迷宮災厄戦㉕〜凍てついた秒針〜
●冷たい息
「……ふぅ」
書架の王『ブックドミネーター』は、時を刻めない懐中時計を胸元で弄りながら小さく嘆息する。
猟兵たちに向かって言った言葉よりも、本来の目的の為に時を凍結させたのに――
「来るのは知っている――否、私の話を聞いて来ないハズはない」
冷蔵庫という文明の機器なんぞよりも、アックス&ウィザーズに住むモンスターやオブリビオンの方がもっと冷たく出来るだろう。
いいや、この絶対零度の凍結世界では“弱い”部類だ。
「さぁ、時間の様だ」
氷で出来た翼を羽ばたかせると、書架の王『ブックドミネーター』は冷たい光を宿したルビーの様な瞳に映す。
猟兵たちの姿を――
●グリモアベース
「皆様、お集まりいただきありがとうございます。さて、アリスラビリンスにて“迷宮災厄戦”という大きな戦いが進む中で、とうとう相見える事となりました。そう、あの“書架の王『ブックドミネーター』”に――」
珍しく真剣な表情のロイド・テスタメント(全てを無に帰す暗殺者・f01586)は、集まった猟兵たちに告げた。
「書架の王が君臨するのが絶対零度の凍結世界。氷を操る能力は、氷からオブリビオンを作ったり、時間凍結能力を使い戦ってくるでしょう」
低く唸りながらロイドは説明を続ける。
「しかし、どんなに強くて私たち猟兵よりも先にユーベルコードを発動出来るとはいえ、必ず突破口はありましょう。しっかりと作戦と準備をして下さい。それでは皆様にご武運を」
龍真 神
オープニングに目を通して頂きありがとうございます。
龍真 神(タツマ シン)と申します。
よろしくお願いします。
靴下を止めているアレ、凄く刺さってキュンキュンしています!
やや難となっておりますので、判定が厳しくなりますのでご了承下さい。
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プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。
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★連携する場合は、相手のIDやチーム名の記載を忘れずにほぼ同時にプレイング送信して下さい。
※連携人数は最大でも3~4人が限度となりますのでご留意ください。
★プレイング受付は最大10件までとなります。
第1章 ボス戦
『猟書家『ブックドミネーター』』
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POW : 「……あれは使わない。素手でお相手しよう」
全身を【時間凍結氷結晶】で覆い、自身の【所有する知識】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 蒼氷復活
いま戦っている対象に有効な【オブリビオン】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 時間凍結
【自分以外には聞き取れない「零時間詠唱」】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11
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地籠・凌牙
【地籠兄弟】アドリブ歓迎
時間凍結能力……つまり並の攻撃やユーベルコードはすぐ弾かれるだろうな。
やっぱ同じ属性が混ざってるのをぶつけるしかねえな……打ち合わせ通りにやるぞ!
相手の攻撃は可能な限り【第六感】で察知して避けるが、それでも避けきれなかったら【激痛耐性】と陵也が貼ってくれた防御で凌ぐ。
その時敢えて腕で受けとめて鱗剥がして【指定UC】を発動、炎を纏っておくぜ。
そこから【カウンター】と【グラップル】の容量で引っついて動きを封じる。炎が氷結晶に干渉して少しは力を削げるハズだ。
陵也の攻撃の射程圏内から動かさないのが俺の役目だ。あいつの貼ってくれた結界があるんだ、耐え抜いてみせるぜ……!
地籠・陵也
【地籠兄弟】アドリブ歓迎
親しい属性をぶつけることで時間操作にラグを生じさせられないか……だったな。
俺の持っているユーベルコードで一つだけ可能性があるものはある……やるしかない。
……信じてるからな。
【多重詠唱】【高速詠唱】で詠唱をしながら【オーラ防御】で俺と凌牙に結界を。
俺は【拠点防御】の容量でその場から動かないで攻撃を凌ぐ。詠唱は決して止めない。
凌牙が敵の動きを封じたら【浄化】【破魔】【全力魔法】で【指定UC】を発動する。凌牙ごと巻き込んで攻撃するよ、俺の貼った結界がきっと護ってくれるハズ……!
時空属性を含んだ攻撃だ、これでUCによる治療を阻害ないしは効力低下ができたらいいんだが……
●二つの龍
チクリ、と針先が当たったかのような痛みに近い寒さを感じる。
「(これが絶対零度の世界――)」
翡翠の様な緑の瞳を細めながら地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)は思う。
黒い髪に反して白いドラゴンの翼を畳むと、両手で握りしめた“形見の杖”を地面に突き立てると声が一つ、また一つと発せられて呪文を多重に紡ぎ始める。
「打ち合わせ通りにやるぞ!」
「(……信じてるからな)」
陵也と同じ顔なのに白い髪、黒いドラゴンの翼を広げて飛ぶ地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)が声を上げながら視線を交えると、陵也はこくりと頷きながら自身と凌牙を覆う様にオーラを展開させた。
「守りの姿勢、威勢の良さ……猟兵で多い行動と見ました」
ブックドミネーターがこくりと頷き、氷の翼が肥大したかと思えば全身が時間凍結氷結晶で覆われる。
パキリ、と破片がはじけ飛び凌牙の視界がぐるりと回ったかと思えば、痛いほどに冷たい何かにぶつかり肺から全ての酸素を口から吐き出す。
「かッ……はッ!!」
凌牙の視界が点滅するが、痛みに耐えながらゆっくりと手を右頬に伸ばそうとする、しかし――
ドサッ、と音がした方へ視線を向けると“形見の杖”を握りしめたまま再びオーラを展開させる呪文を紡ぐ陵也が倒れており、オーラが張られた。
「……大丈、夫……早、く……」
陵也が息を絶え絶えにしながら口元だけ笑みを作ると、凌牙へ一瞥してから守る為に、作戦を成功させる為に、再び呪文を多重に唇で紡ぎ始める。
「分かった!」
ぐっと力を込めて手を右の頬へ伸ばす、が。
氷に覆われていた――
一部ならまだしも、鱗を覆い全てを覆わんばかりに氷はパキパキと音を鳴らしながら範囲を広げる。
「行動に意味があるならば、それは六番目の猟兵のトリガーなのであろう」
読まれていた、それに何よりも氷を操る者であるブックドミネーターにとって金属は都合がいいモノだ。
冷やされ易く、服に付けられている事が多ければこの世界では死に等しい。
「(ならば――!!)」
ガッ、と腕を掴んで爪を立てると鱗をはぎ取った。
「てめえが散々苦しめてきた連中の! そして俺の! 怒りをその身に焼き付けやがれッ!!」
ごうっと凌牙の腕から地獄(憤怒)の炎が噴出し、纏いながら立ち上がって拳を振るうが――
「上っ!」
凌牙の拳が空を殴り、陵也が声を上げる。
第六感で感知した凌牙は陵也を抱えて駆け出そうとするも、凍っており炎で溶かしていると眼前に幼さ残る顔があってルビーの様に赤い瞳とエメラルドグリーンの様な緑色の瞳の視線が交わる。
「にげ、て!!」
「守るべきなのはこの六番目の猟兵か」
氷と炎、確かに相容れないであろうが、ブックドミネーターの戦いに対する知識は予想以上でとても強い。
陵也を抱えたまま凌牙は吹き飛ばされた。
陵也が凌牙を呼ぶ声が小さく聞こえる。
冷たさからなのか、傷からなのか、それさえ分からない痛みが生きている事だけを教えてくれる。
完全に負けた悔しさが胸を苦しいほどに締め付けた――
失敗
🔴🔴🔴🔴🔴🔴
荒谷・ひかる
折角平和になった世界に、再び災いを持ち込もうとするなんて……!
行きましょう、精霊さん達。
あんな暴挙、可能な限り食い止めなきゃ!
「詠唱」であり「聞き取る」必要があるのなら、ちょっと難しいですが対処はできます
風の精霊さんにお願いし、彼の周囲の限定空間の気圧を超低下させて空気を奪い取ってもらいましょう
詠唱とは声であり、声とは声帯を空気の流れで振るわせて発生させるもの
故に空気の枯渇は詠唱そのものを封じることが出来るはず
発動可能になり次第【本気の水の精霊さん】を発動
精霊銃を触媒に召喚した鉄砲水で呑み込み攻撃、更に一気に気圧を戻してやれば、肺の奥深くまで水が入り込み溺れてしまうはずです!
●精霊と姫
「折角平和になった世界に、再び災いを持ち込もうとするなんて……!」
銀の髪を絶対零度の世界で靡かせながら荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)は、ぎゅっと“精霊杖【絆】”を両手で握り締めた。
「行きましょう、精霊さん達。あんな暴挙、可能な限り食い止めなきゃ!」
ひかるの周囲を飛び回る精霊にそう言うと、佇むブックドミネーターの方へ数歩歩んだ。
「風の精霊さん、“猟書家『ブックドミネーター』”彼の周囲の限定空間の気圧を超低下させて空気を奪い取って下さい」
ひかるが風の精霊にお願いすると、精霊は佇むブックドミネーターの周囲の気圧を低下させる。
空気と呼べる気体は山頂に近い薄さに変わって、そして宇宙と同じ真空状態になるとブックドミネーターが踵を返してひかるの方を見た。
「呑み込んでしまいましょう、水の精霊さん!」
“THE EARTH”の銃口をブックドミネーターへ向け、ひかるが引き金を引くと巨大な水塊に覆われた。
だが、巨大な水塊が一気に沸騰したかと思えば一瞬で水は凍って巨大な氷の塊へ。
「溶解すれば解決です!」
ひかるの言葉に水の精霊は答えるかのように氷の塊を溶かすが、水へ戻る度に直ぐに沸騰して凍ってしまうのだ。
それはひかるが風の精霊にお願いした内容によって――
真空では水を沸騰して凍る事、回復するユーベルコードを使わなくともブックドミネーターは傷を負っていない。
「ど、どうしてでしょうか!?」
焦るひかる、それをなだめようとする精霊たちが気付いた時には遅かった。
ここは絶対零度の世界、油断すればブックドミネーターによって凍らされてしまう慈悲のない世界。
精霊たちはひかるを助けるために、ブックドミネーターへの攻撃を止めて彼女の元へ戻った。
大切な姫を氷から救出する為に――
苦戦
🔵🔴🔴
ナイ・デス
六番目、ハビタント、天上界……気になることは、多い、ですが
今は
あなたより、オウガオリジンは、更に強い……でしたね
では
あなたを倒せなければ、オリジンを倒し、この世界を守ることは、不可能
そう思って……挑みます!
【覚悟】決めて【念動力】で身体加速、補助
黒剣鎧の【怪力】で刃【串刺し、切り込み】
【生命力吸収】する光を纏わせ、氷を喰らい、溶かすように【鎧無視攻撃】刃を届かせ、吸収し消滅へ向かわせようとする
速度が違う
一瞬で倒されるでしょう
それでも
『未だわたしは此処にいる』
【激痛耐性、継戦能力、限界突破】
再誕する肉体。諦めない
『未だわたしは此処にいる』何度だって
そうして、刃を、届かせる
これが私の、戦い方、です
黒玻璃・ミコ
※美少女形態
◆行動
辿り着きましたよ、ブックドミネーター
全てを知ったか如く語る傲慢、打ち砕いてみせます
念動力を以て私も空を飛び
積み重ねた戦闘経験と五感を研ぎ澄まして攻撃を捌き
重要な臓器はその位置をずらした上で即死だけは避けましょう
第一波を凌いだら反撃開始です
時間凍結氷結晶で全身を覆ってるのは痛いぐらい理解しました
ですが覆って居るのはその身だけであり魂まではかないませんよね?
ならば逃げ惑いながらも
この地形を凍結させる力…生命力を略奪して構築した
【黒竜の道楽】を以てその傲慢を喰らいましょう
正直なところ貴方の思惑は判りません
ですが、今を生き選び続けているのは私達なのですよ
※他猟兵との連携、アドリブ歓迎
●すれ違うモノ
「(六番目、ハビタント、天上界……気になることは、多い、ですが。今は――)」
白いフードを翻して絶対零度の世界の主であるブックドミネーターを見えるのは、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)であった。
「(辿り着きましたよ、ブックドミネーター。全てを知ったか如く語る傲慢、打ち砕いてみせます)」
首に巻いている夕日の様に黄色い布切れを靡かせながら黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)は、黒曜石の様に黒い瞳でブックドミネーターを見据えた。
ナイとミコの肌を針で刺したかの様な痛みとして冷たい風が頬を撫でる。
冷たい地面を蹴って駆け出すナイ、ぐっと胸を握りしめると念動力で加速した。
「地を這うなら――」
ブックドミネーターが飛翔し、白い霧否ダイアモンドダストで視界が悪くて上を見上げるが、その姿をルビーの様に赤い瞳で捉える事が出来ない。
しかし、ドンッと地面を蹴ってナイが念動力で自身を浮かせ、跳躍した反動で真上へ弾丸の様に飛び上がった。
どんなに戦い慣れているとはいえ、この極寒以上の寒さで支配されている世界では少し反応が鈍っているのだろう。
「そんなの効きませんよ!!」
眼前に迫ってきたブックドミネーター、ミコは少しタイミングが遅れてしまい回し蹴りが横っ腹に当たり数m横に吹き飛ばされるが衝撃を抑えつつ立ち止まる。
凍えて震える手で腹部を押さえなががミコは、キッとブックドミネーターを睨みつけた。
「(こうなったら、同じ事をするしか――)」
ナイはミコがしていたのを見様見真似で跳躍し、念動力で自身を宙に浮かせるとブックドミネーターとミコの間に立つ。
ブックドミネーターが時間凍結氷結晶で覆われた足で蹴りを繰り出すと、ミコの身体に吸い込まれるように当たる。
「に、逃げ――ッ!」
ミコが声を上げる、が。
「ぐっ……そういう事、ですか……」
口元を歪め、表情を変えないままブックドミネーターが低く呻いた。
ナイが身に纏っている“黒剣鎧”から生えた刃が時間凍結氷結晶を貫いており、その刃を通してブックドミネーターの生命力を奪う。
「守りも、攻撃になるのです」
ナイが口元を吊り上げて笑みを浮かべながら言うと、刃はより一層光って急激に生命力を消滅させんばかりに奪う。
「いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第零の竜よ!」
その隙を見逃すハズがないミコは直ぐに詠唱を紡ぐと、影に潜む黒竜の残滓の一撃を放って時間凍結氷結晶に大きな傷を付けた。
「……その程度、いや……」
ブックドミネーターはナイを一瞥し、片手で頭を掴むと力強く捻って千切った――
『未だわたしは此処にいる』
ごとり、と頭部と胴体に分かれた遺体からナイの声が響く。
新たな身体を得て召喚されたナイは、痛いのは嫌ではあったが倒すには手段を選んでいられない、と覚悟と痛みを耐えてまで戦う。
「これが私の、戦い方、です」
屍となった仮初の身体に見向きもせずにナイは言うと、ブックドミネーターは表情を一つも考えずにじっと観察するように見据える。
「くっ! な、なんだよこれは!?」
ミコが放った残滓を通して、パキパキと音を奏でながら彼女の身体を侵食してゆく――
「本当は戦えますが……仲間を見捨ててまで、戦う覚悟はない、です」
「(傷を付け、あまつさえこの身の生命力を奪うなんてね……まだ死ぬ時では、ない)」
ミコがナイに肩を貸してグリモアベースへ転送され、消えてゆく背中をブックドミネーターは静かに見つめるだけであった。
傷ついた部分を癒すために氷で覆い、絶対零度の世界の変わり映えのしない白い空を仰いだ。
成功
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天星・零
【戦闘知識+世界知識+情報収集+追跡】をし、戦況、地形、弱点死角を把握し、敵の行動を予測し柔軟に対応
※防御は【オーラ防御】で霊力の壁を作って威力軽減、防御
先制は上記技能を駆使しいつ使われてもいい様に把握しておき、十の死の感電死、毒死、凍死の骸などで落雷、毒の霧、氷の刃や吹雪など状態異常攻撃を狙う(アレンジ可)
万が一の為【第六感】も働かせる
遠距離は十の死とグレイヴ・ロウで戦況により対応
近接はØ
『とある夜に霧に包まれた街のお話です。あくまでも噂話、楽しんでください』
指定UCを発動し強化、回復効果のプラス効果を反転する霧を戦場全体に
零時間を使ってもダメージ、POWの効果が残っていれば弱体効果にもなる
ケルスティン・フレデリクション
『おうさま』は、なんで『おうさま』なの?
すごいことをしたの?
それとも、つよいから『おうさま』?
…ものがたりのなかの『おうさま』は、かっこよくて、すごいひとなの。
あなたも、そう?
…それでも、みんなをきずつけるのは、だめなの。
強化して襲ってくる攻撃には【ひかりのまもり】をつかうよ。
これは、みんなをまもるむてきの、ひかりのたて。
やぶられないように、がんばるね
皆が攻撃が出来る隙を作れたらいいな。
その後は【範囲攻撃】【全力魔法】【属性攻撃】で炎の雨を作りだして、攻撃するよ
こおりには、ほのお。
自分への攻撃には【激痛耐性】【オーラ防御】
【アドリブ、連携OK】
卜二一・クロノ
アドリブ連携歓迎
ブックドミネーターよ
我は未来を幻視した
力を取り戻し、汝に成り代わったオウガ・オリジンも同じ判断だ
つまり温存する“あれ”とはアレの事だろう 天上界に固執するなら、確かにアレは必要だ
だが、ここでアレを温存することは正解か、己の身で確かめるがいい
【騙し討ち】軽機関銃を持っていて、糸や髪も武器として使うとは思うまい
奴は我を害するために、必ず我に近づくことになる
その一撃は【激痛耐性】【オーラ防御】で耐え凌ぐしかあるまい
我が糸や髪より繰り出される【カウンター】および【捨て身の一撃】にユーベルコード【神罰・時間操作の代償】を載せる
ただの一撃、それだけで神罰は執行される
亞東・霧亥
時を刻めない懐中時計。
もしや、奴もヤドリガミの様な存在なのか?
・怪力、砲撃
怪力があれば、そこらの石ころとて砲丸のような威力が出るはず。
とんでもない速度で動く対象に狙いなど付ける必要はない。
手当たり次第に投げ付ける。
・ダッシュ、忍び足、残像、グラップル
敵が近接攻撃に転じたら、緩急自在の歩法で残像を作る。
攻撃してきた腕を掴み、敵の懐中時計に屑龍を突き立てる。
これが氷に阻まれダメージにならない事は知っている。
【UC】
毒血を刀身に吸わせ、九刃九毒の九頭竜形態にして一点集中する。
「どれか1つでも良い!時の隙間に捩じ込み、懐中時計に喰らい付け!」
●聖なる少女の守り
白い世界、肌を小さな針で刺すような冷たさ。
空中の水分が絶対零度で小さな氷の粒子となり、世界を白く染め上げているのであろう。
転送されてそう感じた天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)は、シトリンの様な金色の瞳とルビーの様に赤い瞳で世界を把握する。
「『おうさま』は、なんで『おうさま』なの?」
ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)が冷たい空気の中で幼く、愛らしい声で小さく首を傾げながらブックドミネーターに問う。
深海の様なアメシストに近い紫色のウェーブヘアを揺らし、ヘリオライトの様に大きなオレンジ色の瞳は好奇心に満ちた光を放っている。
「すごいことをしたの?」
と、ケルスティンは小さな唇で疑問を投げた。
カチン、と懐中時計を開閉しながら表情を変えぬブックドミネーターは冷たい光を宿した血の色の様に赤い瞳でケルスティンを見据えた。
「それとも、つよいから『おうさま』? ……ものがたりのなかの『おうさま』は、かっこよくて、すごいひとなの。あなたも、そう?」
白い小鳥のルルがチチッと小さくケルスティンの肩で鳴く、冷たい視線で幼くともその眼がどういう感情なのかは感じた。
自身の命を軽んじてはいない、ただブックドミネーターは己のやるべき使命を邪魔する猟兵は通る道を塞ぐ大岩の様な障害でしかない事を。
「ブックドミネーターよ。我は未来を幻視した」
濡れ鴉の様に黒く艶やかな長い髪を揺らしながら卜二一・クロノ(時の守り手・f27842)が凛とした声で言うと、傷が癒えていくブックドミネーターを瞳に映した。
「力を取り戻し、汝に成り代わったオウガ・オリジンも同じ判断だ」
パキィン、ブックドミネーターの全身が氷結晶で覆われ、大きな氷の翼を広げて周囲に無数の氷のナイフが生成される。
弧を描きながら無数の氷の刃は、白い霧を切り裂きながら猟兵たちへと放たれた――
「(間に合え――っ!)」
直ぐに反応した零が、自身を守る為にオーラを展開させようと霊力を解放して全身を覆うとする。
「……それでも、みんなをきずつけるのは、だめなの。きらめき、皆をまもって!」
凛とした声を響かせるとケルスティンの背中にある十字の形をした聖痕“かがやき”が、その名の通りに温かく柔らかい光を放つ。
光の壁が仲間を守るように生成されると、氷の刃が当たるとパキィンと硝子が割れるかの様に四散するとパラリ、と地面に破片が散らばった。
「(しまった! この世界には投げれるモノが落ちていない――ッ!)」
苦虫を潰したかの様に表情を歪めながら亞東・霧亥(峻刻・f05789)は、氷で覆われている地面をカツンと蹴り飛ばしながら呻き声を漏らしながら周囲を見渡した。
光の壁によって氷の刃から身を守ってもらったが、今見付かるワケにはいかないと思い足音を鳴らさぬ様に息を殺す。
瞬間、視界からブックドミネーターの姿が消えるが、それを待っていたと言わんばかりにウイザードローブを纏った骸“十の死”が浮くとボロボロの裾から冷気を含んだ霧を放つ。
白い世界は更に白い霧によって視界が悪くなると、そこに毒を含ませて近接してきた時に毒で体を蝕ませて徐々に弱らせていく作戦だ。
「やぶられないように、がんばるね」
ケルスティンが薄紫色のくまのぬいぐるみ“レシィ”をぎゅっと抱きしめ、柔らかくて次第に温められたぬくもりを感じながら足元に炎のルーンが刻まれた。
炎の粒が無数に降り注ぎ始めると、ジュッと音を立てながら絶対零度の世界は溶かされてゆく。
溶かされてゆく氷の翼を羽ばたかせながらブックドミネーターは、ケルスティンの方に向かって滑空する。
●書架の王
「この試練に耐えられたら、赦されるでしょう」
トニーが“時の糸”と“長い神の毛”を放ち、それは見事にブックドミネーターの体を絡んで彼の体を覆っていた時間凍結氷結晶を破壊した。
「二度目は、ない――」
と、トニーが呟くとブックドミネーターの“時間”に関するユーベルコードを封じる事に成功した。
「とある夜に霧に包まれた街のお話です。あくまでも噂話、楽しんでください」
絵本を捲る仕草をしながら零が言うと、彼は静かにゆっくりと唇で物語を紡ぐ。
寝る事はない、それは理解しているからこそブックドミネーターの力を“利用”する事にしたのだ。
「くっ……それで、勝てると、思わない事、ですね」
生き絶え絶えにブックドミネーターが言うと、小さな火の雨粒が頭上から降り注ぎ生成していた氷の塊を溶かす。
「至高の穢れを啜り覚醒せよ!」
と、霧亥が叫びながら“ヴァルギリオスの毒血”を“妖刀屑龍”にぶっかけて封印を解くとソレは“九毒を宿す九頭竜形態”へと姿を変える。
「どれか1つでも良い! 時の隙間に捩じ込み、懐中時計に喰らい付け!」
九頭竜は霧亥の言葉に答えるかのように咆哮し、ブックドミネーターの四肢に鋸歯状の牙に九毒を含んだソレが食い込む。
「つまり温存する“あれ”とはアレの事だろう 天上界に固執するなら、確かにアレは必要だ。だが、ここでアレを温存することは正解か、己の身で確かめるがいい」
と、静かにトニーが呟き、“長い神の毛”や“時の糸”はブックドミネーターを覆いつくさんばかりの勢いで絡みつき、彼女が踵を返すと書架の王の体は白い炎に覆われる。
「これが、汝への神罰だ」
「諦めません。これが神である六番目の猟兵の意志であろうとも――私は、守る時の為に……」
ぐしゃり、霧亥の九頭竜が喰らいつくす――
ブックドミネーターの最後の言葉を言い終える前に。
毒によって声が出ないのであろう、最後に唇を動かすと書架の王は指先から骸の海へと変えるべく消えてゆく。
霧亥は後ろ髪を引かれる思いのまま、見届けると謝罪の言葉を口にしようと唇を動かそうとするが、零は肩を掴むとそれを制止させた。
分からない事ばかりではあるが、それを知るためにオウガ・オリジンを倒す他にないのだから――
大成功
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