迷宮災厄戦㉒〜ぱらいその福音を齎さん
「迷宮災厄戦も折り返し……猟書家へのルートも一気に4箇所開いて、いよいよオウガ・オリジンと猟書家とうちら猟兵、三つ巴の戦いも本格化してきたやろか」
これからは、オウガ・オリジンのパワーアップを睨みながら、猟書家の戦力をどれくらい削るか、上手くバランスを取っていかなければならないだろうか。
「取り敢えず、今回は……猟書家『クルセイダー』との戦いや」
サムライエンパイアを狙う猟書家『クルセイダー』――何でも、「豊臣秀吉の孫」だとか。
「クルセイダー自身は、優男やけどな……で、彼は侵略蔵書『ぱらいそ預言書』を使て、魔空安土城の堕ちた島原に乱を起こそうとしとるんや」
『ぱらいそ預言書』は、魔空原城に狂信的な信奉者を集める程、厄介な侵略蔵書と言えよう。更に、クルセイダーがオウガ・オリジンから奪った力を用いれば、信長が揃えた「魔軍将」をも万の軍勢に「憑装」してしまえるのだ。
今回の戦いに於いても、預言書の記述から攻撃を回避したり、祖父の秀吉を憑装してくるだろう。
「今の内に出来るだけ、クルセイダーの力は削いでおきたい所やね」
白い十字架立ち並ぶ純白の草原に立つクルセイダーは、侵略蔵書「ぱらいそ預言書」のみならず、十文字槍「人間無骨(にんげんむこつ)」で戦う。十字型の槍から放つのは、その銘の通り、体内の骨を溶かす光線だ。
「強敵の例に漏れず、クルセイダーも必ず先制攻撃してくるさかい、上手く凌ぎ切って、ガツンと反撃したってな!」
柊透胡
こんにちは、柊透胡です。
『迷宮災厄戦』8作目にして、猟書家『クルセイダー』との対決です。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「迷宮災厄戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
本シナリオは「㉒猟書家『クルセイダー』」です。
サムライエンパイアを狙う猟書家にして「豊臣秀吉の孫」。『クルセイダー』は、侵略蔵書「ぱらいそ預言書」と、十文字槍「人間無骨(にんげんむこつ)」で戦います。
戦場は、白い十字架が立ち並ぶ純白の草原です。
●プレイングボーナス
このシナリオには、下記の特別な「プレイングボーナス」があります。これに基づく行動をすると、良い結果を得られる確率が大幅に上昇します。
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プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
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それでは、皆さんの熱いプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『猟書家『クルセイダー』』
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POW : 十字槍「人間無骨」
【十字型の槍】が命中した対象に対し、高威力高命中の【体内の骨を溶かす光線】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 侵略蔵書「ぱらいそ預言書」
【預言書に書かれた未来の記述を読むことで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 『魔軍転生』秀吉装
レベル×5体の、小型の戦闘用【豊臣秀吉(フェンフェンだけで意思疎通可)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
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姫川・芙美子
またしても強敵ですね。しかも豊臣の末裔ですか。大物です。
ですが、人々の安寧の為、正義を成し遂げる為には戦い抜くしかありません。
先制攻撃へ対抗。周囲の十字架が障害物として役に立ってくれるかもしれません。【情報収集】で位置を把握。
「黒いセーラー服」を護符に変え【結界術】で触れた者を【破魔】の力で【カウンター】攻撃する障壁を展開。更に「鬼髪」「霊毛襟巻」を伸ばして体の周りを取り巻かせ【カウンター】で近寄る秀吉を【なぎ払い】続けます。
凌ぎきれたら【鬼火】で反撃。
無数の魂火を一つに束ね火力を高めます。
十字架の間を縫う様に【誘導弾】で誘導し敵に直撃させます。
戦乱など絶対に起こさせません。燃え滅びて下さい。
見渡す限り、白亜の世界――或いは、白い十字架立ち並ぶ純白の光景こそが、猟書家「クルセイダー」にとっての「ぱらいそ」なのか。
(「またしても強敵ですね」)
純白の草原で、黒いセーラー服はよく目立つ。聖職者の彩り纏う猟書家も又。姫川・芙美子(鬼子・f28908)は、クルセイダーを遠目に漆黒の双眸を細める。
(「しかも豊臣の末裔ですか。大物です」)
だが、人々の安寧の為にも、正義を成し遂げる為にも、戦い抜くしかない――少なくとも、芙美子はそうあるべきと考える。
フェンフェン、フェンフェンフェン!
右手に十文字槍、左手に蔵書を携え、身構えるクルセイダーの周囲に、湧き出で集うは面妖なる小猿。
『魔軍転生』秀吉装――夥しい数のミニ豊臣秀吉が、雪崩打つように芙美子へ襲い掛かる!
「……っ」
四方八方を包囲されての袋叩きは御免被りたい。先に目星を付けていた白い十字架の陰に飛び込む芙美子。
十字架に背中を預ける間に、装いが変化する。その実、彼女のセーラー服は妖怪「蝶化身」を封じた護符の集合体。幾許かは殴られたものの、破魔の力を以てカウンター攻撃を行う障壁を展開する。
更には、「鬼」が封印された髪の毛や「饕餮」の毛で編まれた襟巻を自在に操っては、やはり襲い来る小型秀吉をなぎ払い続けた。
「一ツや二ツや三ツや四ツ……」
結界の主旨を「カウンター」に据えたが故に、芙美子が負った傷は1つや2つでない。だが、膝折らず凌ぎ切れた重畳。彼女の周囲に70を越える鬼火が顕れ、次々とひとところに収束していく。
「戦乱など絶対に起こさせません」
燃えよ滅びよ――強き意を込め、芙美子は大火球を放つ。
――――!
白き十字架の間を縫うように、ジグザグと軌道を変える小さな鬼火を先触れに、大火球は唸りを上げて、クルセイダーに爆ぜた。
成功
🔵🔵🔴
ミニョン・エルシェ
WIZ
数が多いですね!地形の利用、空中戦、視力、第六感、野生の勘、踏みつけ、逃げ足を駆使して回避に専念、回避し切れない場合は敵を盾にする事で被害を最小限に抑えるのです。
反撃は【宿縁招来・松永弾正久秀】で。
私は秀吉にカウンターと空中戦などで対処し、クルセイダーに接近。
久秀公は爆発反応装甲で秀吉たちを爆破して頂き、遠距離から骨喰の魔刀でクルセイダーの骨を砕いて頂きます。
その隙に、クルセイダーを秀吉からの攻撃の盾にしながら砕かれた骨の側に回り込み、簪宗信で捨て身の一撃を加えるのです。
『得物は三左衛門の槍じゃが、羽柴の孫…のう?…似とらんな。』
『時貞公のは風説に過ぎないのです。真実は闇の中、ですが。』
「数が多いですね!」
フェンフェン、フェンフェンフェン!
鳴き声は細波の如く、襲い来る秀吉装は怒涛の如く。思わず息を呑むミニョン・エルシェ(木菟の城普請・f03471)だが、殺到の寸前に十字架を蹴って宙に逃れた。
「……っ!」
人間であるミニョンは、ユーベルコード使わずして飛翔は難い。だが、重力に従い落下しながら身を捻り、小猿共を踏み付けては再び身を躍らせる。
本来の得手は拠点防御ながら、1箇所で防御を固めても圧し潰されよう。故にミニョンは、五感をフル活用し、時に直感の赴くまま、回避に専念する。
「信貴山城の梟雄。魔王に仇為す焔の蜘蛛……久秀公、力をお貸し下さい!」
頃合いを見計らい、ミニョンが声を張れば、傍らに顕れるは忠義の老将。
『構わぬよ。此の面白き戦、儂にも一枚噛ませよ。のう?』
魔刀を携え、応と答える松永弾正久秀――その視線が、周囲に蠢く小猿を舐め、その向こうに佇む人影に首を傾げる。
『得物は三左衛門の槍じゃが、羽柴の孫……のう? ……似とらんな』
「彼の主張は、風説に過ぎないのです。真実は闇の中、ですが」
ともあれ、今は歴史の真相に思いを馳せるより、猟書家との戦闘が先。
フェンフェンフェン!
天下の梟雄の威容に、秀吉装が飛び掛かれば、案の定。
――――!!
爆風荒び、数多の小猿が宙を舞う。喧噪に紛れて林立する十字架を伝い、クルセイダーへ接近しようとするミニョン。
「今です!」
『承知!』
唸りを上げる魔刀――だが、老将の一閃は秀吉装ではなく、次元を超えてクルセイダーの骨を砕く。
――――!!
右膝を砕かれ、カクリと傾ぐ人影目掛け、ミニョンはその頭上から神刺す馬手差を振り下ろす!
ガキィッ!
転倒の寸前、十字槍を支えに、蔵書を翳すクルセイダー。背表紙に刃を滑らせるも、地に降り立ったミニョンは右膝目掛けて刃を振う。
「……っ、あ……!」
届いた、と思った。確かに手応えはあった。だが、捨て身の体勢を立て直す暇も無く、小猿が群れ成し襲い掛かる。
――――!!
松永弾正久秀の爆風が群れを蹴散らすも、既にクルセイダーは猿壁の向こう。ミニョンは少しばかり残念そうに溜息を吐いた。
成功
🔵🔵🔴
シエル・カーネリアン
【電脳】で参加。【WIZ】対抗。アドリブ・連携歓迎
うへーまた強そうな相手…でもジーっとしててもドーにもならないし、シエルさんひと貢献しますか。レッツ、チェンジアップ、モードY(ユプシロン)!
向こうが数で勝負するならこっちも数、【クラスターtheビットくん】で対応するよ。かもん、超めにービットくん、あいつら片づけちゃって。
できればビットくんの操作に専念したいけど、拉致があかなきゃモードXにチェンジ。【弾幕】で一気に処理してくよ。
数が少なくなって本命狙えるようになったら、引き続きビットくんで注意を逸らすように誘導を狙いますよ。メインのアタッカーは鳳凰院・ひりょさんと椎宮・司さんに任せようかな。
鳳凰院・ひりょ
【電脳】 連携アドリブ歓迎
WIZ
初手は召喚された秀吉を光陣の呪札での乱れ撃ちで迎撃
敵の初手を凌ぎきった後、敵の槍もしくは預言書を媒体に固有結界・黄昏の間を使用、敵の武器を無力化させつつこちらのUC発動を試みる
もし敵の武器での発現が無理なら周囲の十字架を媒体としUC発動
地の疑似精霊に指示を出し敵の頭上に岩の弾丸を多数形成、雨のごとく降らせる
多重詠唱で続けて自分を含め味方の武器表面をダイヤモンドコーティング
武器の強度と攻撃力を強化
接近戦が必要な場合は強化した退魔刀で切り結ぶ
他味方と連携、声を掛けつつ味方の死角をカバーするように立ち回る
味方が隙を突かれそうな場合はかばう
椎宮・司
【電脳】
WIZ サムエン住まいとしちゃ見過ごすわけにはいかないねえ
ってえらい数のお猿さんだな
こういう時は……仕方ない、アレ使うか
高速詠唱で【秘事・邪淫の業】発動、封印解除だ
「さって、たくさん『食べさせて』おくれよ?」
二人の弾幕と白い十字架を利用して
あたいは秀吉の群れに突撃
手当たり次第生命力をいただくとしよう
仮に二人から誤射されても奪った生命力で補えば問題ないさね
初撃を凌いだら刀を抜きながら
シエルさんのビットを活用してクルセイダーに肉薄
ひりょさんのコーディング支援を受けてから接近戦を挑むよ
「ふふ、この姿の時はどんな視線であれ、ゾクゾクするねえ」
これは礼だ、たぁーっぷり刀でお返しだ!
(「うへー、また強そうな相手……」)
面倒臭そうに顔を顰めるシエル・カーネリアン(通りすがりのぐうたらひぃろぉ・f28162)。
フェンフェン、フェンフェンフェン!
シエルが動くより早く、小猿の群れが大挙して押し寄せる。
――――!!
飛び掛かられる寸前、光の束が乱れ飛び、次々と秀吉装を刺し貫いた。
「大丈夫?」
「な、何とか」
声を掛けた鳳凰院・ひりょ(人間の聖者・f27864)は、シエルの背後を守るように背中合わせ。光陣の呪札を操り、秀吉装を迎撃せんと。
「本当に、えらい数のお猿さんだな」
肩を竦めたのは、椎宮・司(裏長屋の剣小町・f05659)だ。ひっきりなしの小猿の来襲に反撃の端緒を掴めず、苛立ち混じりの面持ちか。
「けど、サムエン住まいとしちゃ見過ごすわけにはいかないねえ」
「確かに、ジーっとしててもドーにもならないし、シエルさんもひと貢献しますか」
――レッツ、チェンジアップ、モードY(ユプシロン)!
イエローカラーのプロテクタースーツに身を包み、フォトンスタッフを掲げるシエル。
(「向こうが数で勝負するならこっちも数よね」)
「かもん、超めにービットくん、あいつら片づけちゃって」
シエルの喚び声に従い、小型の戦闘用ビットくんも又、大挙して押し寄せる。
ひりょの光陣の呪札、シエルのクラスターtheビットくん、2人掛りで牽制すれば、司も反撃を捻じ込む隙が見出せるというもの。
(「こういう時は……仕方ない、アレ使うか」)
司は人間だ。だが、小猿の集団を前に全身を取り巻くのは、人ならざる妖艶な気――ひりょとシエルの牽制のタイミングに合わせ、白い十字架を蹴って群れの真っ只中へ飛び込んだ。畢竟、一斉の『視線』を感じ取り、艶美に微笑む司。
「さって、たくさん『食べさせて』おくれよ?」
愛刀は、まだ抜かない。いっそ無造作に踏み込み、片っ端から秀吉装に触れては生命力を奪っていく。
敵は大挙して、その実1度の攻撃にも保たぬ程、脆い。三者三葉に敵と対峙して、じわじわと秀吉装の大群を減らしていく。
(「この距離なら……『場よ変われ!』」)
そうして、着実に前進したひりょは、猟書家をも自らの射程に捉えたと知るや、固有結界・黄昏の間を発動。流石に敵の武器は、完全な無機物では無かったか、結界の影響を及ぼせなかったが、周囲の白い十字架は次々と地の疑似精霊に変換していく。
――――!!
シエルがビットくんを操作して敵の動きを妨害すれば、その頭上より岩の弾丸が雨あられと降り注ぐ。
「司さん!」
「ふふ、この姿の時はどんな視線であれ、ゾクゾクするねえ」
クスクスと含み笑い、野太刀を抜刀する司。その刀身の表面がダイヤモンドコーティングされた。地の疑似精霊を制御するひりょの多重詠唱の賜物で、彼の退魔刀『迅雷』も硬質に煌めいている。
「これは礼だよ、たぁーっぷりお返しだ!」
極めつけ、シエルがブルーカラーのモードXにチェンジして弾幕を張れば、猟書家迄の路が拓かれる。これ以上の「憑装」を許さず、一気に駆け抜けた司とひりょの斬撃が、相次いで猟書家「クルセイダー」を捉えた。
成功
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篝・倫太郎
【華禱】
狂った信仰心でエンパイアに戦禍を呼ぶつもりなら
全力で阻止する
戦の傷はいまだ癒えちゃいないんだから
往こうぜ、夜彦
いつも通りに
先制対応
オーラ防御を常時纏って対応
視力を用いた見切りと残像で回避
必要に応じて念動力で槍の射線をズラしたりもしてく
『命中させない』事を基本に
夜彦への先制攻撃も命中確実な状況ならば確実に庇う
拘束術使用
先制攻撃を回避したら反撃
射程内の場合はその時点で鎖での攻撃と拘束
夜彦とタイミングを合わせてダッシュで接近
生命力吸収と鎧砕きを乗せた華焔刀でなぎ払い
フェイントを混ぜつつ刃先返しての2回攻撃
既にダメージがある場合はその部位狙いで部位破壊も乗せてく
槍の動きは拘束術の鎖で阻害してく
月舘・夜彦
【華禱】
ぱらいそ預言書に豊臣秀吉に、その孫
気になる所ばかりですが、まずはサムライエンパイアに行くのを阻止しなければ
あのような戦を、また起こしてはなりません
はい、倫太郎殿
相手が如何なる者であれ、私達は私達の戦い方をするまで
往きましょう
先制攻撃は回避を最優先
視力にて動きを確認、見切りと残像にて回避
躱し切れなかった時はオーラ防御と武器落としにて狙いをずらす
先制攻撃を凌いだ後、その場でカウンターで早業の抜刀術『神風』
2回攻撃を併せて仕掛け、その後は駆けて接近
倫太郎殿と連携して攻撃
2回攻撃を基本とし、なぎ払いにてより広い範囲で刃を振る
負傷をしているのであれば生命力吸収にて体力を回復
「往こうぜ、夜彦。いつも通りに」
「はい、倫太郎殿」
刹那、見交わし、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)と月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は白き草海を駆ける。
ぱらいそ預言書に豊臣秀吉に、その孫――気になる事も多いが、狂った信仰心が彼の世界に戦禍を呼ぶのなら、全力で阻止する。
「サムライエンパイアだって、戦の傷はいまだ癒えちゃいないんだから」
「ええ、あのような戦を、また起こしてはなりません」
先んじての猟兵達の攻防で秀吉装の魔軍は相当に減じており、接近も容易となった重畳。尤も、相手が如何なる者であれ、2人は2人の戦い方をするまでだ。
「……」
猟書家「クルセイダー」は無言のまま、彼らを見やる。右手に十字槍「人間無骨」、左手に侵略蔵書「ぱらいそ預言書」――聖職者らしい装束は、幾筋も切り裂かれている。目立つのは右足で、膝から先がだらりと力無い。十字槍を支えに立っている様子だ。
――――!!
だが、一瞬、左足に重心を替えるや、十字型の槍が唸りを上げる――狙いは、倫太郎。
「……ッ!!」
倫太郎の像が多重にぶれる。戦場に在って、常にオーラの防護は纏っている。槍の軌道を見切らんと穂先を見据え、回避せんと。
(「重――っ」)
一撃目は脇を掠めるに留まるも、次の瞬間、光線が奔る――体内の骨を溶かす怪異は、寸での所で白き十字架を貫通する。
念動力を以て槍の軌道をずらした。だが、彼が万全の体勢ならば、それも難しかっただろう。手負い故の僥倖、否、猟兵達の健闘の結果だ。
「是なるは――」
クルセイダーの初手が倫太郎を標的にしたのを見て取り、夜彦は納刀したまま身構える。
「空さえも斬り裂く刃也」
抜刀術『神風』――圧倒的な速度を以て、不可視の斬撃が放たれる。
――パラリと、蔵書の頁が捲られた。
「な……」
くるりと、猟書家は十字槍を軸に旋回する。不可視の斬撃が切り裂いたのは、青年の細身ではなく、純白の草海。
「すべては、預言書の思し召し」
静かな声音が、猟兵2人の耳朶を打つ。十字槍「人間無骨」が力技ならば、侵略蔵書「ぱらいそ預言書」は超速の回避の術。そう、まだクルセイダーの「先制攻撃」は続いていたのだ。
悔し気に眉根を寄せる夜彦の肩を、軽く叩く倫太郎。その視線は、クルセイダーの昏き面持ちに。
「縛めをくれてやる」
倫太郎が放つ不可視の鎖は災いを縛る。此度の戦争は「迷宮災厄戦」。猟書家も災厄の1つならば、捕らえれば幾許かとも拘束出来ようか。
息を合わせ、地を蹴る。夜彦が左右に二閃、クルセイダーの上半身をなぎ払えば、倫太郎が狙うのは、右膝。
「その足、貰うぜ!」
華焔刀の苛烈な一撃に、刃先を返してもう1度――拘束術の鎖で、更に十文字槍を抑え込もうとするも、強い手応えで抗われた。
ならば、縛め叶う限り、攻撃を重ねるのみ。倫太郎と夜彦の斬撃は、間を置かずしてクルセイダーに刻まれる。
――とうとう、青年の細身がぐらりとバランスを崩した。
成功
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鷲生・嵯泉
漸く平穏を手に入れようとしている世界をお前なぞに渡す訳には行かん
必ず其の目論見を阻んでくれる
五感全てで以って得た情報を使い、第六感で以って攻撃の起点軌道を見極め
カウンターで衝撃波を当て威力を削ぎ
致命部位へのものは見切り躱し、或いは武器受けで攻撃は弾き落とす
――殲遍萬猟、残さず穿て
クルセイダーに向かう直線状に斬撃を全て集中させて小型猿を消し飛ばし
道を開けてくれよう
斬撃を放つと同時に一気呵成に接敵し
鎧砕きに怪力乗せ、全力で叩き斬ってくれる
如何な手を用い様とも無駄と知れ
此の刃は護る為の刃、過去の残滓なぞに折れはしない
巫山戯た世迷言に付き合い続ける程、暇では無い
――疾く潰えろ。骸の海こそお前の居場所だ
身を屈める猟書家「クルセイダー」の右膝から先が、無い。
そんな彼を庇うかのように、秀吉装の小猿共が純白の草原を埋めていく。
「漸く平穏を手に入れようとしている世界を、お前なぞに渡す訳には行かん」
その光景を、柘榴色の隻眼が睥睨する。
「必ず、其の目論見を阻んでくれる」
凄烈な布告を聞いたか否か、鷲生・嵯泉(烈志・f05845)に気付いた小猿らは、次々と襲来する。
五感を研ぎ澄まし、埒外の勘所をも働かせ、敵群の軌道を察知する嵯泉。時に衝撃波を発して威力を削ぎ、特に急所への攻撃に集中して回避した。
ほんの刹那の、攻撃の間隙。今は猿壁に阻まれるも、最初に目したクルセイダーの方向へ、愛刀を振り抜く嵯泉。
――殲遍萬猟、残さず穿て。
常ならば、数多に放つ斬撃が、一条に集約し、奔る。
秀吉装を消し飛ばした路を、嵯泉は一気呵成に駆け抜ける。
「如何な手を用い様とも無駄と知れ。此の刃は護る為の刃、過去の残滓なぞに折れはしない」
元より、巫山戯た世迷言など聞く耳は無し。間合いに入るや、鎧ごと砕かんばかりの全力を以て、剛撃一閃!
最期まで、苛烈に言い放つ――疾く潰えろ。骸の海こそお前の居場所だ。
大成功
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