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迷宮災厄戦㉑~異形の貴婦人レディ・ハンプティ

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #レディ・ハンプティ

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●グリモアベース
「みんな、猟書家『レディ・ハンプティ』の討伐をお願い!」
 翡翠色のドレスを着たグリモア猟兵、シスカは猟兵たちにそう懇願した。
 レディ・ハンプティ。彼女はアリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラである『オウガ・オリジン』の力の一部を奪い取り、書架牢獄へと幽閉した強大なるオウガ「猟書家」たちの一人だ。
 そして、恐るべきことに彼女はアルダワ魔法学園世界の災魔達の王、『アウルム・アンティーカ』の娘でもあるらしい。
「レディ・ハンプティはアルダワの諸王国連合に災魔の群れをけしかけるつもりだ。絶対にアリスラビリンスから逃がすわけにはいかない!」
 諸王国連合はアルダワ世界の食料生産の要となる土地だ。あの地にオブリビオンが解放されれば、アルダワ世界は壊滅的な打撃を受けるだろう。
「魔王の娘を名乗るだけのことはあって、あの女は強敵だ。レディ・ハンプティのユーベルコードは3つ。
 一つは背中から蒸気を吹き出しながら楽器で敵をひたすらぶん殴る、高速機動モード『武装楽団形態』への変身。
 二つ目は侵略蔵書『蒸気獣の悦び』での亡霊災魔召喚。
 三つ目が『乳房の下の口』での噛みつきと丸呑みだ。
 こほん。なんかいやらしい響きやけど、ボクが名付けたわけではないので、苦情は命名した人に言ってください。
 ともかくこれらのユーベルコードによる先制攻撃を凌がない限り、ボクらのターンは回ってこない」
 過去の戦争でも、強大な力を持つオブリビオンたちは猟兵たちに先制攻撃を仕掛けてきた。今回の猟書家たちも、過去の戦争の強敵たちと同じく、ユーベルコードによる先制攻撃を仕掛けてくるようだ。
「こちらのユーベルコードが【発動するより早く】、敵はユーベルコードを使用してくる。難しいとは思うけど、なんとか対抗策を用意してほしい」
 如何にして敵のユーベルコードを凌ぎ、こちらの反撃に繋げるか。そこが勝負の分かれ目になるだろう。
「準備ができた人から送るからよろしくね!」
 ドレス姿のグリモア猟兵はそう言って、戦場へと繋がる転移の門を開いた。


大熊猫
 こんにちは。大熊猫です。数あるシナリオの中から本シナリオをご覧頂きありがとうございます。今回はアルダワ魔法王国への侵略を企てる猟書家、レディ・ハンプティとの戦いの依頼となります。おかわりです。

●戦場
 蒸気文明が支配する大都会の国。

●先制攻撃について
 レディ・ハンプティは猟兵に対し先制攻撃を行います。猟兵のユーベルコードが「発動するより先」に向こうのユーベルコードが効果を発揮します。

●プレイングボーナス
 敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。

●文字数省略用記号
 アドリブ歓迎→☆。

●完結予定について
 戦況を鑑み、8/15(土)の戦力更新に間に合わせるのを目標にしています。間に合わなかった場合はゆっくりペースで執筆予定です。
 なお、執筆速度を確保する為、野良連携はできないかと思います。

 以上です。皆様のプレイングをお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『猟書家『レディ・ハンプティ』』

POW   :    乳房の下の口で喰らう
【乳房の下の口での噛みつきと丸呑み】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    アンティーカ・フォーマル
【肩の蒸気機関から吹き出す蒸気を纏う】事で【武装楽団形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    侵略蔵書「蒸気獣の悦び」
【黄金色の蒸気機関】で武装した【災魔】の幽霊をレベル×5体乗せた【魔導列車】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイ・リスパー

「アルダワの平和を乱そうとする猟書家、レディ・ハンプティ!
あなたをアルダワに向かわせはしません!」

AIによる自動操縦モードの『機動戦車オベイロン』を先行させ、武装楽団形態になったハンプティにミサイルランチャーとロケットランチャーを放ち対抗します。

「分析完了しました!
その形態の弱点は見切りましたっ!」

熱を操る電脳魔術【マックスウェルの悪魔】で肩の蒸気機関に干渉。
その熱運動を止めて、動力源にできないようにしてあげましょう!

「さあ、オベイロン、今ですっ!」

オベイロンのAIに命じて武装を全開放して一斉攻撃。
さらに主砲の大型荷電粒子砲を撃ち込みます!

「胸が大きいからと、大きな顔をしないでくださいね!」



●私怨
「来ましたわね、猟兵。父様の仇……! ああ、父様。あなたの無念を思うだけで、乳房の下の口がわななきます。どうか、見守っていてくださいね、アウルム・アンティーカ父様……!」
 陶酔するように身悶えながら、猟書家レディ・ハンプティは現れた敵に殺意を向ける。
「アルダワの平和を乱そうとする猟書家、レディ・ハンプティ! あなたをアルダワに向かわせはしません!」
 戦車のスピーカーから少女の声が響く。
 レディと対峙する猟兵の名はアイ・リスパー。
 しかし、アイ本人はレディ・ハンプティの前にいまだ姿を見せてはいない。
 レディの先制攻撃を警戒し、AI操縦の機動戦車【オベイロン】のみを先行させているのだ。
「スクラップにして中身を引きずり出して差し上げましょう。『アンティーカ・フォーマル』」
 レディ・ハンプティの、父の名を冠したユーベルコードが発動する。
 レディは蒸気を纏い、一瞬にして多種多様な楽器が合体したロボットのような異形の姿へと変貌した。
「ハアアアアアアッ!」
 ダンッ!
 肩から蒸気を放出し、レディ・ハンプティは大地を蹴った。
 ドドドドドドッ!
 オベイロンはレディを迎撃せんと、ミサイルランチャーとロケットランチャーを発射する。
 しかし、武装楽団形態となり、超機動能力を手に入れたレディは稲妻のような機動でミサイルとロケットの弾幕をすり抜け、オベイロンの上に着地した。
「せいっ! はっ!」
 ジャジャジャジャーン♪ 
 レディは両の拳に纏ったピアノの鍵盤を何度も叩きつけ、強引にハッチを破壊した。
「さあ、操縦士の顔を見せてもらいましょうか。……あら、いない?」
 無人のコックピットを見てレディは首をかしげた。
 その時、近くに立っていたビルの上から声がした。
「分析完了しました! その形態の弱点は見切りましたっ! 『マックスウェルの悪魔』!」
「戦車は囮!? しまった!」
 アイの電脳魔術が発動し、レディ・ハンプティの肩の蒸気機関が急速に冷却されていく。
「これは、私の蒸気機関が!?」
 蒸気機関は説明するまでもなく、熱エネルギーを利用する装置だ。氷点下まで冷却されてしまえば意味をなさない。
「今です! オベイロン!」
 マスターの命を受け、オベイロンは急発進。上に乗っていたレディを振り落とし、全武装を一斉発射した!
 ボシュシュシュシュ!
「く、こんな! 動きなさい、私の蒸気機関! 何故動かないのです!」
 蒸気機関が動かなければ、身に纏った武装楽器はデッドウェイトに過ぎない。
 ミサイルとロケット、ビームガトリングを雨あられと浴びせられたレディ・ハンプティはビルへと叩きつけられた。
「荷電粒子砲、発射!」
「待っーー、ああーーッ!」
 レディ・ハンプティの艶やかな悲鳴が響き、レディは大爆発に飲み込まれた。
「胸が大きいからと、大きな顔をしないでくださいね!」
 アイの敵意は、仰向けに倒れたレディ・ハンプティの豊満なバストへと向けられていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天御鏡・百々

戦争の末、ようやく平和が訪れたアルダワを侵略するなど言語道断!
この場で成敗してくれようぞ!

単なる災魔ならば対処に苦労もしようが……
幽霊とあらば話は別だ
我は破魔の神鏡なり
悉く浄化してくれようぞ!

神鏡から破魔の光を放ち幽霊達を目潰し&牽制して
ユーベルコード発動の時間を稼ぐ
(破魔110浄化20除霊10目潰し10)

そして『神扇花吹雪』を発動
破魔の力を乗せた桜吹雪で、災魔の幽霊を纏めて浄化してくれる!
(なぎ払い35破魔110浄化20除霊10)

幽霊共を倒したら
そのままレディ・ハンプティへと桜吹雪で攻撃だな

防御の必要があれば神通力(武器)の障壁(オーラ防御103)にて

●本体の神鏡へのダメージ描写NG



●浄魔の桜吹雪
「戦争の末、ようやく平和が訪れたアルダワを侵略するなど言語道断! この場で成敗してくれようぞ!」
「ああ、父様、どうか見ていてください。今度こそ、猟兵の首を貴方に捧げましょう! 貴方の生み出した災魔達で!」
 歌うように口にしたレディ・ハンプティは侵略蔵書「蒸気獣の悦び」のページを開き、黄金の災魔達を大勢乗せた魔導列車を召喚した!
 オオオオ! オオオオ!
「さあ、父様が生み出せし災魔の亡霊達よ! やっておしまいなさい!」 
 亡霊災魔達は猟兵への憎しみを全て百々にぶつけるが如く、怨嗟の声を上げて飛び掛かってきた!
「単なる災魔ならば対処に苦労もしようが……。幽霊とあらば話は別だ!
 我は破魔の神鏡なり。悉く浄化してくれようぞ!」
 百々は空高く舞い上がり、轢殺攻撃を躱して魔導列車に飛び乗ると、手にした本体たる神鏡から亡霊災魔達に向けて眩い閃光を放った!
「グオオオオオオオオオオ!」
 亡霊災魔達は百々の輝きを受け、眩しそうに身動きを止めた。悪霊たる亡霊災魔たちにとって破魔の光を放つ百々は天敵だ。
「何をしているのです! それでも父様の災魔ですか! ええい、ならば私が!」
 不甲斐ない災魔達を窘めつつ、レディ・ハンプティは閉じた侵略蔵書を振りかぶり、百々へと襲い掛かった。
「そのような攻撃は効かぬ!」
 百々は侵略蔵書を神通力で受け止め、レディの体ごと手にした神扇天津で弾き返す。
「天より伝わりし我が扇よ、桜花となりて舞い踊れ」
 既に準備は整った。清澄なる風がどこからか舞い込み、百々の扇がはらはらとほつれていく。
『神扇花吹雪!』
 百々の叫びと共に、浄魔の風と桜吹雪が魔導列車を吹き抜けた。
「ギャアアアアアア!」
 破魔の神技の前に成す術もなく、亡霊災魔達が消えていく。
「くっ! この勝負、預けます!」
 レディ・ハンプティは狼狽する様子を見せ、この場からの撤退を図った。
「逃がすものか――! 汝も浄化の桜吹雪を受けるが良い!」
「あああ――ッ!」
 しかし、百々がそれを許すはずもなく、レディ・ハンプティは桜吹雪の直撃を受け、魔導列車から叩き落されて転がっていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

東雲・深耶
乳房の下の口での噛みつきと丸呑みでで攻撃するか……
だが、自身から30㎝しか射程範囲にならぬのだろう?

ならば、距離を取る。【残像】を残すほど一瞬で去り、射程圏内から離脱して先制攻撃を凌ぐことにしよう。

では、私の番だな。時空間を切断し、距離座標を無視する剣の秘奥、『空閃人奉流』を知るがいい。
遠距離から距離を保ち、時空間を無視する斬撃を放って時空切断でハンプティを攻撃する。
仮に他の攻撃を放たれたとしても時空間を切断することで空間圧縮現象を放ってその反動で回避し、攻撃時にはその反動を以って相手を粉砕するさ。



●魔剣士VS魔王の娘
「あいたたた……」
 魔導列車から叩き落され、市街地に投げ出されたレディ・ハンプティはよろよろと身を起こした。
 さすがは愛しい父の命を奪った猟兵というべきか。これほどまでの手練れ揃いとは思わなかった。
「!」
 向けられた殺気に気付き、レディ・ハンプティは大きく後ろに飛ぶ。
「また、新手ですか」
「空閃人奉流、東雲・深耶。……参る」
 学生姿の少女は静かに名乗りを上げ、紫色に妖しく光る刀を構えた。
「わたくしの邪魔をしないで。わたくしは父様の無念を晴らす為、アルダワにゆくのです!」
 レディ・ハンプティは恐るべき速度で踏み込むと、乳房の下の口をがばっと開き、深那へと襲い掛かった!
(乳房の下の口での噛みつきと丸呑みでで攻撃するか……。だが、自身から30㎝しか射程範囲にならぬのだろう?)
 ガチンッ!
 レディ・ハンプティの乳房の下の口が勢いよく閉じるが、深那はかみ砕かれてはいない。
 深耶はレディの口が閉じる瞬間、残像を残す程の速さで、滑るように後ろに移動したのだ。
「チッ!」
 まんまと得物に逃げられ、レディ・ハンプティの乳房の下の口が大きく舌打ちした。
「では、私の番だな」
 レディ・ハンプティから10メートルほど離れた位置から、深那は剣を構えた。
「時空間を切断し、距離座標を無視する剣の秘奥、『空閃人奉流』を知るがいい。『第一魔剣・幻も現も割する一振りの鋼にして空』」
 ざわっ。
 距離は大きく開いていたものの、生存本能で危機を感じ取ったレディ・ハンプティは右腕で防御態勢を取った。
 一閃。
「がっ!?」
 深那が放った斬撃は時も空間も超えて飛び、なんの抵抗もなく、レディ・ハンプティの左腕をすとんと切り落とした。
「よくも……! わたくしの腕を!」
 怒りに燃えるレディ・ハンプティは手にした侵略蔵書から亡霊災魔に群れを放ち、深耶へとけしかけた!
「ゴアアアアア!」
 亡霊災魔たちが吠える。命ある者全てを亡き者にせんと、怨嗟の声を上げて深那へと襲い掛かる。
「第一魔剣・それは世界に実体ある存在ならば全てを絶つ」
 しゃらん。
 深那の手にした刀から斬撃が走る。格子状に走った斬撃は空間圧縮現象を引き起こし、辺りの空間ごと亡霊災魔をまとめて破壊し、霧散させた。
 ぎしぎし。ぎしぎし。
 悪霊共の気配を感じ取り、妖刀「紫雨」がざわめいている。
 深那は強靭な精神力で妖刀の暴走を抑えつけ、災魔の亡霊たちを空間ごと切り刻んでいった。
 だが、深那が全ての亡霊災魔を切り伏せた時には、既にレディ・ハンプティは都会の闇に姿を消していた。
「逃がしたか……。だが、どのみち奴の最後は決まっている。後は他の者に任せるとしよう」

成功 🔵​🔵​🔴​

メンカル・プルモーサ

…さて。自称大魔王の娘…さっさと骸の海に帰って貰おうかな…
…余所様にまで迷惑を掛けて貰っても困るからね…

…戦場は大都会の国…となれば、地下道・下水…そう言った何某かは存在するよね…
…箒に乗って建物の隙間を縫いつつ…術式装填銃【アヌエヌエ】で牽制射撃…逃げて時間を稼ぎながら周囲の地形の情報を収集…
…地下道の入り口を見つけて地下へと侵入…そして牽制射撃に用いた銃弾にしかけた発信器からハンプティの位置を把握…
…ハンプティが見失うか、地下道を破壊しようとしてる間にその位置に向けて【起動:海神咆吼】を発動……空からワンダレイによる荷電粒子砲を叩き込むよ…



●野望潰えし時
「……さて。自称大魔王の娘……。さっさと骸の海に帰って貰おうかな……余所様にまで迷惑を掛けて貰っても困るからね……」
 箒に横乗りした状態で戦場へと転移を果たしたメンカル・プルモーサは、ぼそりと呟いた。
「あら、ずいぶんと眠たそうですわね。ならば、わたくしが永遠の眠りをプレゼントして差し上げましょう」
 他の猟兵達に痛めつけられたのか、すでにかなりのダメージが見て取れるが、あくまでもレディ・ハンプティは余裕の態度を崩さない。紳士淑女たる猟書家は常にエレガントでなくてはならないのだ。
 ボシュウウウウウ!
 蒸気に身を包み、武装楽団形態へと変化したレディ・ハンプティは、蒸気を噴き上げながらメンカルに突進し、コントラバスを振り上げた。
 ブォン!
 人間大の巨大弦楽器が空を切り、メンカルの前髪が一房はらりと落ちる。
 メンカルは箒に乗ったまま螺旋回転してレディ・ハンプティの一撃を躱すと、レディの脇をすり抜けて建物の隙間へと逃亡した。
「逃がしませんわよ、お嬢さん!」
 レディは振り返り、メンカルを追うべく、屋根の上に駆け上がった。
 バンバン!
 メンカルは片手で最高速の箒を制御しながら、術式を込めた回転式拳銃を発砲。
「くっ!」
 猛スピードでメンカルを追っていたレディは弾丸を避けきれず、胸元に被弾する。
 ビキキキキ!
 しかし、金属楽器を鎧のように身に纏ったレディの肌まで弾丸は届かず、ダメージを与えるには至らなかった。
「ほほほ、たかだか拳銃程度、痛くも痒くもありませんわ!」
だが、レディが弾丸に気を取られた一瞬の隙を突き、メンカルは曲がり角の向こうに姿を消していた。
「しまった!」
 慌ててレディはメンカルを追うが、すでにメンカルの姿はない。
「見失った……」
 レディは無駄な体力の消耗を避ける為、一旦武装楽団形態への変身を解除した。この形態は人間ならば寿命が縮まるほど、消耗が激しいのだ。

「……うまく行ったな……」
 メンカルは逃亡する途中でマンホールを見つけ、下水道へと潜り込んでいた。悪臭が鼻につくが、今は我慢だ。
「あいつの位置は……」
 腕に取り付けた端末でレディ・ハンプティの位置を確認。先ほど銃で攻撃した際、弾丸にごく小さい発信機を仕込んで置いたのだ。
「よし……離れて行ってる……。この術式は近過ぎると私まで巻き込まれるからな……」
 メンカルはレーダーでハンプティの位置をロックし、必殺の術式を発動する。
「座標リンク完了。魔女が望むは世界繋げる猫の道……主砲、一斉射! 『起動:海神咆吼(ラン・ワンダレイ・ハウリング)』!」
 穹を翔るは鋼の飛鱏。巨大な魚影が宙を覆う。
 メンカルの呼び声に応え、ワープゲートから主砲を覗かせた巨大飛行戦艦ワンダレイは、世界の敵に向けて荷電粒子砲を発射した!
「え?」
 レディ・ハンプティが空を仰ぎ見た時には、時既に遅し。
 空が瞬き、海神の怒りの咆哮の如き雷が邪悪なる魔王の娘へと降り注ぐ。
「いやああああ!! 父様――ッ!」
 猟書家レディ・ハンプティは絶叫を残し、光に飲み込まれて跡形もなく蒸発した。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月15日


挿絵イラスト