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迷宮災厄戦㉑〜ゆめくいレディ

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #レディ・ハンプティ



 いとしい父様。あなたの無念、このわたくしが果たします。
 父への愛と受け継いだ夢は、レディのゆたかな胸の中。
 アルダワ魔法学園を救いたい?
 そのような声は、蒸気楽団の音色で飲み込み否定しましょう。
 そのような夢は、わたくしの乳房の下の口が喰らいましょう。
 侵略蔵書『蒸気獣の悦び』で、絶望をお見せいたしましょう。
 誰かの希望を喰らってでも、わたくしは夢を叶えてみせます。
 見守っていてくださいね、アウルム・アンティーカ父様……!


「またこいつの予知をしたんだけれど、付き合ってもらえるかい?」
 猟書家『レディ・ハンプティ』の二度目の予知をしたグリモア猟兵、メリー・アールイー(リメイクドール・f00481)はグリモアベースの猟兵達に協力を呼びかけた。
「向かうのは、魔導列車が走り回る、蒸気建築に埋め尽くされた大都会のような国だね。ハンプティは蒸気建造物の屋上で国中を見渡しながら、猟兵を迎え撃つつもりだよ」
 ハンプティの攻撃方法は大きく分けて三つだ。
 一、彼女の一番の特徴とも言える乳房の下の口で噛み付き丸呑みしてくる。
 二、肩の蒸気機関から吹き出す蒸気で武装楽団形態に変身、高速状態で襲ってくる。
 三、侵略蔵書により黄金蒸気機関で武装した災魔の幽霊を乗せた魔導列車を召喚する。
「この国にはハンプティ以外の生き物はいない。住民の避難等々は考えなくて平気だよ。派手にやらかして建造物を壊しても、誰にも責められないから安心していいさ。けど、ハンプティも国の破壊を気にせず暴れまわってくるから、気を付けるんだよ」
 猟書家との戦いで例外がないように、彼女も必ず先制攻撃を行ってくる。
 まずは初撃にどう対応するかよく作戦を練ってから戦場に向かってもらいたい。
「強敵だけどね、力を合わせたあんた達の方がきっと強いって、あたしは信じてるよ! それじゃあ今回もよろしゅうにー!」
 メリーは小さな手を精一杯振って猟兵達へエールを送り、転移ゲートを開いた。


葉桜
 OPをご覧いただきありがとうございます。葉桜です。
 アリスラビリンスの『迷宮災厄戦』の依頼です。

 『プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する』
 やや難依頼です。敵は必ず先制攻撃してきます。

 ユーベルコードは指定した一種類のみの使用となります。
 プレイングはOP公開から募集開始です。
 申し訳ございませんが、全採用のお約束は出来ません。
 少ない人数採用で、『15日更新時までの完結』を目指します。
 プレイングが集まったらの予定となりますが、どうぞ宜しくお願い致します!
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第1章 ボス戦 『猟書家『レディ・ハンプティ』』

POW   :    乳房の下の口で喰らう
【乳房の下の口での噛みつきと丸呑み】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    アンティーカ・フォーマル
【肩の蒸気機関から吹き出す蒸気を纏う】事で【武装楽団形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    侵略蔵書「蒸気獣の悦び」
【黄金色の蒸気機関】で武装した【災魔】の幽霊をレベル×5体乗せた【魔導列車】を召喚する。
👑11
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薄荷・千夜子
【翠碧】
この地だけでなく他世界への侵攻、見過ごすわけにはいきません
確かに力の根源がよろしくありません
速やかに対処にあたります
手はあります、時間稼ぎをお願い致しますねミツ君

二手に分かれて、地形の利用で建物に罠使いで火薬を仕込んでいきます
ミツ君が敵をこちらに追い込んでくれたタイミングで一斉に爆破
建物を倒壊させ魔導列車の進行妨害
ついでに魔導列車も壊せれば成果は上々です
基本は静かに迅速にが狩りの鉄則ですがやるときはやるんですよ?

では、反撃と参りましょう!
災魔とレディ・ハンプティを巻き込むようにUC使用
破魔・浄化・全力魔法で多数の災魔を纏めて祓いましょう
貴女を別世界へは行かせません
ここで終わりです!


ミツハ・カイナ
【翠碧】
俺の直感があいつはやべー奴って言ってる
いや、攻撃手段がアレって時点でってのは口に出さず
まぁ、視えてる色がドス黒いもんな
さっさと洗い流すに限る、行くぜ千夜
時間稼ぎについては任せとけよ

地形の利用で辺りの建物に隠れて闇に紛れる
これはあんま見せたくねぇからな、単独になってから傀雨を呼び出す(式神使い)
傀雨を放ち敵の気を引く
しばらく掻き回したら千夜の潜む方へ誘導
うまく誘導できたら傀雨は戻す

って…うっわ、景気良く飛ばしたなぁ
魔導列車の進行を妨害できたならUC発動
蒸気機関も書物も水が大敵だろ?
特に蒸気機関に集中的に雨を降らす
やるなら徹底的にだな




 同時に転移された薄荷・千夜子(陽花・f17474)とミツハ・カイナ(空憬・f19350)の前に、蒸気を噴くパイプが天を指す蒸気都市の合間を、魔導列車が自由に駆け巡る光景が広がる。漆黒の淑女、猟書家『レディ・ハンプティ』はその世界全てを見通していた。
「この地だけでなく他世界への侵攻、見過ごすわけにはいきません」
「ああ、俺の直感があいつはやべー奴って言ってる」
 千夜子の呟きに頷き返すゴッドペインターのミツハの目には、黒よりも黒いレディのオーラも視えているようだ。攻撃手段がアレって時点でもやべー……と思った事は口に出さないでおく。
「まぁ、視えてる色がドス黒いもんな。さっさと洗い流すに限る、行くぜ千夜」
「確かに力の根源がよろしくありません。時間稼ぎをお願い致しますねミツ君」
 二人は打ち合わせ通りに二手に分かれて、建物の影へそれぞれの身を潜めた。

(すでにこっちには気付いてたみたいだからな、さっさと手を打つ!)
 闇に紛れるように低めの建物の影に身を潜めたミツハは、速やかに『傀雨』を召喚した。ミツハの身体に描かれた紋様は、リュウグウノツカイの死霊と代わり現世を泳ぐ。
 蒸気が激しく吹き出す音と災魔が牙を合わせる音が近付いてくる。タイミングを見計らって、ミツハを目指す魔導列車の目の前へ傀雨が飛び出した。
 するりと横切る骨っぽい何か――こいつも喰らおうそうしよう。
 まんまと釣られた災魔達は、黄金の蒸気機関を震わせて急な方向転換を行った。ぐるりぐるりと建物を上手く使ってルートを掻き乱し、目的の建物まで敵の誘導を終えた傀雨はミツハの元へと帰って来た。
「これはあんま見せたくねぇからな……」
 身体に死霊を戻し、目を細めて高い建物と空を仰ぐ。あそこに千夜子がいるはずだ。

 ミツハが敵の攻撃を受けてくれている間に、千夜子は建物に数々の火薬を仕込んでいた。最後はこの建物へ追い込んでもらうのも打ち合わせ通り。魔導列車を巻き込めるタイミングで、全ての火薬を一斉爆破させる!
 激しい爆音、溢れる蒸気、倒壊する建物――。
 空を駆けていた魔導列車は瓦礫に埋もれて地面に墜落していく。

「基本は静かに迅速に……が狩りの鉄則ですが、やるときはやるんですよ?」
「って……うっわ、景気良く飛ばしたなぁ」
 そんな千夜子の声も笑顔もミツハには届かないが、想像以上に派手にやらかした彼女は、どんなもんだと笑っているんだろうなあ、と。ミツハは頬を引きつらせていた。
「まあ、やるなら徹底的にだな……嘆きの雨花、喰らってみるか」
 自分の技の範囲内までハンプティに接近したミツハは、【狂花涙・青】を描く。
 呪詛と毒を含んだ涙雨が戦場へ降り注いだ。
「蒸気機関も書物も水が大敵だろ?」
 ハンプティの肩の派手な蒸気機関は、次々と注がれる呪詛で動きが鈍くなる。侵略蔵書だけは守ろうと胸の口の中に収められたが、これで噛み付きも本も読めなくなった。

「では、反撃と参りましょう――咲き乱れて、破魔の鈴」
 涙雨の次は、千夜子の【操花術式:花神鈴嵐】がハンプティを包み込む。
 神楽鈴から生まれた鈴蘭の白は、大魔王と魔女の力を受け継いだ魔の力を祓う。
 壊れた魔導列車から這い出て、二人を狙って建物を昇る災魔は浄化されていった。
 漆黒のレディも花びらに力を奪われて膝を着く。
「貴女を別世界へは行かせません。ここで終わりです!」
 この世界も別の世界の幸せも守れるように。破魔の花びらは悪を埋め尽くした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
貴女にとって私は仇と言えるのでしょうね
大魔王と呼ばれた彼の者を討った数多の猟兵の一人として、責任をもって相対しましょう。
アルダワを脅かさんとするその野望、騎士として阻ませていただきます

流石にその食事の作法は淑女として戴けませんね

噛み付きに対し脚部スラスターでの●スライディング滑走で敢えて『前進』
敵の攻撃予定の目測狂わせつつ、こちらは大盾のリーチを活かし下顎目掛け●怪力での●盾受け●シールドバッシュを叩き込み無理矢理閉口させます

失礼!

間髪入れずUCを射出
猟書家の手が頭の上に来るようつま先立ちさせながら隠し腕のワイヤーで拘束(●操縦+ロープワーク)

舞う様に一回転させ噛み付きを躱し、剣を一閃




「貴女にとって私は仇と言えるのでしょうね」
 蒸気都市の屋上で、薄い笑みを張り付ける猟書家『レディ・ハンプティ』。
 その肩の蒸気機関と胸元の口は、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が嘗て対峙した、大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』の面影を残していた。
「大魔王と呼ばれた彼の者を討った数多の猟兵の一人として、責任をもって相対しましょう。アルダワを脅かさんとするその野望、騎士として阻ませていただきます」

「そうですか。貴方様も父様を……それではその命、わたくしがいただいてもよろしいですね?」
 ハンプティは表情も声色も変えないが、その肩の蒸気機関からは怒りに満ちた激しい蒸気を噴出させて、トリテレイアの元まで跳躍した。
 乳房の下の牙だらけの口はハンプティの身体を折り曲げるように変形して開口し、涎を滴らせながらトリテレイアの巨体を飲み込もうとする。
「流石にその食事の作法は淑女として戴けませんね」
 迫り来る牙に狙われても、トリテレイアは引き下がらない。彼は回避行動とは真逆の手を選び、脚部スラスターによるスライディング滑空で敢えての前進をしてみせた。
 開いた口を閉じて噛み砕く。たったそれだけの動作ではあるが、喰らい付く目測を狂わされた大口は、一瞬反応が遅れる。ハンプティの懐に潜り込んだトリテレイアは、重質量大型シールドも滑り込ませて、渾身の怪力でシールドバッシュを顎下に叩き込んだ!
「グ グ ゥ ……ッ!」
「失礼!」
 獣のような呻き声を上げて体勢を崩すハンプティに、すかさず【両腰部稼働装甲格納型 ワイヤー制御隠し腕】が射出される。
「貴女が淑女らしからぬ所作で全力を尽くすように。私も騎士の戦法ではない不意打ちを使わせていただきます」
 トリテレイアの隠し腕は、ハンプティの両腕を拘束して彼女の身体を宙吊りにする。
 爪先も浮く不安定な体勢ではあるが、それでも夢に喰らい付こうと、仇を討とうと足掻く胸の牙がトリテレイアに再び襲い掛かった。
「その執念はお見事。ですが、貴女の夢はここで終わらせていただきましょう」
 機械の身体は滑らかな動きで舞うように牙を回避し、剣を一閃――その無防備な口の中へ、重い一撃が打ち落とされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネーヴェ・ノアイユ
ハンプティ様もオブリビオン……。そう一筋縄では倒しきれませんか……。
ですが……。何度現れようとあなた様の夢……。邪魔をさせていただきます。

此度もまた……。列車の突撃があることを警戒し……。空中浮遊にて空へと退避します。仮に……。列車が空を飛んだとしても……。あれだけの大きさです。空にて小回りの差にて回避してみせます。
幽霊様が列車内から遠距離攻撃を行ってきた場合は……。氷壁にて盾受けを致しますね。

リボンに魔力溜めしていた魔力をUCに使用……。全てを鋭くて堅い氷の鋏へと仕上げていきます。
UCはまず列車と幽霊様の撃退に使用し……。余力があればハンプティ様への攻撃にも使用しますね。




 蒸気都市で向かい合う、雪白の魔法使いと漆黒の魔女。
 既視感のあるこの光景は、少し前に確かに在った過去だ。
「ハンプティ様もオブリビオン……。そう一筋縄では倒しきれませんか……」
 ネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)はもう問わない。譲れない夢を抱き何度でも甦るオブリビオンに猟兵がしてやれる事は、ひとつだけだ。
「ですが……。何度現れようとあなた様の夢……。邪魔をさせていただきます」

 猟書家『レディ・ハンプティ』は顔を伏せたまま、歌うように本を読み上げた。
 彼女の紡いだ言の葉は、闇色の侵略蔵書から黄金の災魔の霊が乗る魔導列車を喚ぶ。
 ――わたくしの夢を邪魔する輩は、轢かれてしまいなさい?
 空を駆けて突進してくる魔導列車を、ネーヴェは魔法の箒に跨って建物の合間を縫うように退避していく。
「あれだけの大きさです……。私の箒より小回りは出来ないはず……」
 そう予想した通り、列車は急には止まれない。しかし、確かにカーブの度に建物の角に激突はするのだが、黄金の蒸気機関がブーストして、建物を破壊しながらネーヴェを追い続けた。
 ネーヴェはなるべく入り組んだルートを選んで、列車の加速度を落としながら逃走していた。迂回するタイミングで背後を確認すると、災魔の幽霊は蒸気機関に溜めた黄金の魔力を、こちらへの攻撃へ使おうとしている。これは直撃したらまずい……!
「でも、それも想定内です……氷の壁よ……」
 ネーヴェは列車と自分との合間に氷の盾を生成して、黄金の衝撃波を相殺した。
 壊れた氷の屑はキラキラと美しい乱反射を見せながら辺りに散る。……気が付くと、ネーヴェはその場から姿を消していた。突然の急上昇で、空高く舞い上がったのだ。

 リボンに溜めていた魔力を解放すると、彼女の周囲の気温は一気に下がった。
 冷たい魔法使いは、約四百本もの氷鋏を空中に生成する。
「降り注ぐ氷の鋏……。避けきれますか?」
 【icicle tempest】は四方八方に飛んで、世界を脅かす悪を刈りにいく。
 魔導列車で追いかけて来た災魔と蒸気機関は風穴を開けられて、操作不能になった魔導列車は遠い地面へと落ちていく。
 彼女が望む軌跡を描く残りの氷鋏は、ハンプティへ降り注がれた。
「ハンプティ様の夢は……ここで、断ち切ります」
 バツバツバツバツ――。縦横無尽に同じものを切ろうとする小さな力が合わさり、侵略蔵書を大切に持つ黒い手袋の手首が落とされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

塩崎・曲人
ハッ、オレ様の地元に喧嘩売りに行こうたぁいい度胸だコラ
キッチリ夢の沼に沈めて二度と浮き上がれないようにしてやらぁ

相手の初手は速度UP……単純に強くなるからああいうの苦手なんだけどなぁ
代償で徐々に弱っていくって話だし
死ぬ気で【時間稼ぎ】するしかねぇな
この国に在る地形や建造物、フルに使って逃げ回ってやるよ
「うおおおおおおお!?掠った!いまケツ掠って行った!」
割とみっともないが、みっともない程度でコイツに勝てるなら安いもんだ

で、逃げ回りつつこっそりと罠を仕込み
相手が冷静さを欠いてきた辺りでひっかけてやろう
動きが止まったら、その隙を逃さず全力でぶん殴ってやるよ




「ハッ、オレ様の地元に喧嘩売りに行こうたぁいい度胸だコラ」
 淑女にガンを飛ばすチンピラ。と表現するとどちらが悪役か分からなくなるが、ヤンキー風のツンツン頭の塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)の方が猟兵である。
「キッチリ夢の沼に沈めて二度と浮き上がれないようにしてやらぁ」
 見た目によらずアルダワ魔法科コースを履修済みである曲人は、地元の世界に少なからず思い入れがあるようだ。軽く準備運動をして、敵さんが攻めて来るのを待っている。
 ちなみに、現在の立ち位置は曲人は蒸気都市の地上、猟書家『レディ・ハンプティ』は蒸気建築物の屋上だ。曲人を見下ろすハンプティは、肩の蒸気機関から蒸気を噴き出して、武装楽団形態となり――高速で落ちてくる。

「早ぇえなぁおい、チートかよ!?」
 単純強化系の初手を打ってくる輩は、正直苦手である。だが、代償で徐々に寿命を削って弱っていくのなら、どこかで好機が生まれるはずだ。
 つまり、死ぬ気の時間稼ぎの始まりである。

 曲人は走った。こっちも命を削ってるんじゃないかと思うくらい必死で走り続けた。
 ハンプティは豪華なパイプオルガンを鳴らしながら蒸気で飛んで来るので、距離感は把握しやすい。空中戦では完全に相手に劣るが、走りやすい地上なら入り組んだ道を選んで鬼を撒ける。しかし、相手は躊躇なく都市破壊を行ってくるので、
「うっおぁ! ビル突っ込んで通過するとかずりぃだろ!?」
 予想外の場所から突き破られる時には、心臓まで破られそうな恐怖を味わいながらも曲人は逃げる。
「うおおおおおおお!? 掠った! いまケツ掠って行った!」
 音の弾丸を飛ばされても、致命傷にならないように避けながら逃げ続ける。
(割とみっともないが、みっともない程度でコイツに勝てるなら安いもんだ……!)
「ふふ、逃げるのがお上手だこと。でもそろそろ捕まえさせてくださいな」
 ハンプティは余裕そうに微笑んではいるが、彼女の予想以上には時間を食っているのだろう。徐々に焦りが見え始めて、飛行や攻撃がやや乱れているように感じる。

(そろそろだな……)
 曲人は何度目か分からない曲がり角に入り込む。ハンプティも同じように高速で追いかけて――目の前に張られた何かに弾かれた。
「……っ!?」
 それは調度ハンプティが飛ぶ位置に張られていたチェーンの罠だ。勢い良く突っ込んで来たハンプティは、それと同等の力で後方へ飛ばされる。
「卑怯上等がストリートの流儀なんでな。お上品なバトルが出来ると思うなよ!」
 【路地裏鼠】による騙し討ちと罠を仕掛けた曲人は、落ちてくるチェーンを掴んで反撃に移る。油断したところに不意打ちを受けて、まだ体勢を立て直せていないハンプティの蒸気機関をチェーンで絡めて、地面に引きずり下ろす。
「オブリビオン相手だしな。老若男女容赦なし、だ」
 地べたに広がるドレスを踏んで、お綺麗な顔に鉄パイプをお見舞いしてやった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パラス・アテナ
アルダワを危険に晒しやしないよ

戦闘知識と世界知識で情報収集しながら相手の挙動を読むよ
攻撃タイミングを読むために挑発
大口だけは一人前に叩くじゃないか
あぁ確かに大口か
済まなかったね
フォーミュラでもないアンタにできるのは大口叩きだけだったか

UCが来たらタイミングを図ってフェイントで身を沈めて敵に踏み込む
足を狙って体当たり
胸元の口で丸呑みにすることといい肩の蒸気機関といい
重心は高い位置にある
同時に口の攻撃も回避して転倒させる
体勢を崩させ振り返り指定UC
間を置かずに予め最大値にしたアイギスのマヒ攻撃を2回攻撃、一斉発射、鎧無視攻撃で絶え間なく叩き込むよ

アンタの希望はアタシ達の絶望だ
その芽は摘ませて貰うよ




 何度立ち上がろうと、何度甦ろうと。オブリビオンは骸の海に送り還す。
 それが世界に選ばれた猟兵の使命だ。
 片手首を切られ、顔を潰され、他にも多くの傷を受けながらも、まだ諦めない猟書家『レディ・ハンプティ』にも、引導を渡さなくてはならない。
「わたくしは、あの世界を……父様の無念を……」
「アルダワを危険に晒しやしないよ」
 白装束の戦闘服に身を包んだパラス・アテナ(都市防衛の死神・f10709)は、冷たい声でハンプティの掠れる声を遮った。

 あれだけの傷を負っていたとしても、猟書家には危険な能力がある為、ひとつの油断が命とりになる。パラスは深沈たる瞳で彼女の挙動を観察した。今の彼女には始めの頃の心の余裕はもうないだろう。恐らく挑発も効くはずだ。
「大魔王でも成し得なかった夢を自分が代わりに叶えようなんて、大口だけは一人前に叩くじゃないか。なのに、力不足でそんなになっていちゃあ世話ないね」
 パラスの嘲笑に胸の牙が歯噛みをする音がギリギリと響く。
「……りなさい」
「あぁ確かに大口か。済まなかったね、フォーミュラでもないアンタにできるのは大口叩きだけだったか」
「黙りなさい!」
 ハンプティは自分の体を折り曲げて、乳房の下の大口を開ける。口の中も傷だらけで、赤黒い血混じりの涎が零されるけれど、噛まれたら致命傷は避けられないだろう。
 挑発により攻撃のタイミングを図ったパラスは、すぃと身を沈めて、フェイントをかけながら敵側へと踏み込んだ。ボロボロになったドレスの裾ごと抱きしめるように、足を狙って体当たりを仕掛けると、ハンプティはいとも容易く転倒してしまう。
 胸の牙といい肩の蒸気機関といい、彼女の重心が高い位置にある事は少し観察しただけでも分かる。そういう作りのものは、下部の攻撃に弱いものだ。
「ほらね、若いんだよ」
 すぐに頭に血が上って、考えが甘く、望む結果を出せない。
 戦場では常に冷静でいなくてはならないのだ。大切なものがあるなら猶更だ。

「こいつの前に出たのが運の尽きだよ」
 ハンプティを地面に転がしたまま、速やかに【一発の弾丸】をその胸の中心を撃ち抜いた。上の口と胸の口から吐血しても、攻撃の手は止めず、大型銃『アイギス』の電磁波を帯びた実弾をその全身に連射で絶え間なく叩きこむ。
「わたくしは、夢を……諦めたく、な……」
「アンタの希望はアタシ達の絶望だ。その芽は摘ませて貰うよ」
 ダァン――またひとつ、猟書家の命を奪う音が蒸気都市に鳴り響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月15日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト