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迷宮災厄戦⑲〜虚構たるか

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #サー・ジャバウォック


●虚構たるか
 その猟書家がいるのは焼け焦げた森の国だ。
 ちりちりと、足元で熱がくすぶり続けている。
 猟書家――サー・ジャバウォックの手にあるのは侵略蔵書『秘密結社スナーク』と、青白き斬竜剣『ヴォーパル・ソード』のふたつ。
 サー・ジャバウォックがその手にある侵略蔵書『秘密結社スナーク』をめくる。
 実在しない秘密結社スナークについて、その退廃的かつ猟奇的な全容を克明に記載した、完全なる虚構の創作物。
 この侵略蔵書『秘密結社スナーク』には一片の真実も無く、それ故に、人は本書から『実経験に基づく明らかな間違い』を見出すことができないのだ。
「スナークは実在するのでは?」
 サー・ジャバウォックは声にして、くつりと喉鳴らして笑う。
 疑念はやがて本物のスナークを生み出すだろう。
 ヒーローやヴィラン、偉大なるジャスティス・ワンやアトランティスの海底人、親愛なる隣人や、道端のしがない靴磨きまで――スナークは虚構であるがゆえに、誰もがスナークになり得るのだ。
 強気人々の住む『ヒーローズアース』――そこに向かうのは私が最も適任でしょうと、サー・ジャバウォックは紡ぐ。
 それは己が、猟書家の内で最強であるからだ。
 もちろん、それは『書架の王』を除けばであるのだが。
「何を信じ、誰と戦うか……」
 ヒーローズアースの歴史は戦いの歴史。歴史は、繰り返される事となるでしょうとサー・ジャバウォックは瞳細めた。
 まるでそれが楽しみであるかのように。

●戦線
 アリスラビリンスに行ってほしいと、英比良・與儀(ラディカロジカ・f16671)は紡いだ。
 猟書家のひとり、サー・ジャバウォックを倒してきてほしいと。
「場所は焼け焦げた森の国だ。開けた場所、送ればすぐに相対することになる」
 攻撃の手は、相手が先だろう。
 向けられる一撃は何よりも思い。そしてこちらが動く前に、仕掛けてくる。
 交わすことも、運が良ければできるかもしれない。
 守りを固めて重ねるようにしても、深くえぐり取られるかもしれない。
「けど、一撃重ねていけば相手も倒れる」
 決して勝てない相手ではないが、一人では無理だと與儀は告げた。
 初撃を簡単にかわすことはできないだろう。いくつか策を、持てる技能で対したとしても傷を負うと考えていたほうがいいと與儀は言う。
 最後に己をその場にとどめるものがあれば一撃を向けることはかなうはずだと続けて。
「ま、いくつも策をめぐらせてもな、相手の方が力が上だ。ねじ伏せられるだろう」
 だから、向かうならば己の内に一つ――強い想いを抱えていくと良いと與儀は紡ぐ。
 きっとそれが、いかに強力な攻撃でたたき伏せられようとも一手を打つことを可能とするだろうからと。
 一撃を繋げて相手を削っていく――そんな戦いだと與儀は告げてグリモア輝かせ猟兵たちは送るのだった。


志羽
 御目通しありがとうございます、志羽です。
 公開と同時に受付となります。
 プレイングが送れる限りは送って頂いて大丈夫ですが、すべて採用となるかどうかはわかりません。

●シナリオについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「迷宮災厄戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●プレイングボーナスについて
 プレイングボーナスは『敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する』です。
 敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります。
 初撃をかわすことはできません。事前にユーベルコードを使用して、などの準備はできません。

●他
 難易度相当の判定をいたします。
 戦闘もですが、最終的には心情、心の強さでもって立っているようなものになると思います。

 技能はどう使うか。こういう風に動く、などと具体的にお願いします。数値によっての判定も行いますので、数値が高いほどプラス判定となります。
 技能いっぱいだと目が滑ってしまうことが多々なので、核となる技能と、それを支えるいくつか、という感じだと当方が活かしやすいです。
 ただ見切る、盾受けする、といった感じでは攻撃をくらって倒れるものとお思いください。なるほど、と思わせるような技能の使い方は高得点です。
 が、技能が並んでる感じですと、描写はさらっとめになります。戦いの内にも己を含めていただけると幸いです。

●お願い
 グループ参加などの場合は、ご一緒する方がわかるように【グループ名】や【ID】を記入していただけると助かります。また、失効日が同じになるように調整していただけると非常に助かります。
 プレイング受付についてはマスターページの【簡易連絡】にて案内いたします。
 受付期間外に送って頂いたプレイングについてはお返しします。ご協力よろしくお願いします。受付期間中であれば再送については問題ありません。

 以上です。
 ご参加お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『猟書家『サー・ジャバウォック』』

POW   :    侵略蔵書「秘密結社スナーク」
見えない【架空の怪物スナーク】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    ヴォーパル・ソード
【青白き斬竜剣ヴォーパル・ソード】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    プロジェクト・ジャバウォック
【人間の『黒き悪意』を纏いし竜人形態】に変身し、武器「【ヴォーパル・ソード】」の威力増強と、【触れた者の五感を奪う黒翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
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月夜・玲
こんな事言うと怒られるかもしれないんだけど
私はさ、強いキミと闘えるだけで嬉いんだよ
世界がどうとか言うつもりはないよ
私は、私の望む頂に至りたいだけ
だから私の為に、やられてよ


Blue BirdとKey of Chaosを抜刀
竜人形態に変身を確認したら周囲に10m感覚で『オーラ防御』で薄いオーラのバリアを10枚発生
どれだけ早くてもこれなら大体の位置を察知出来るはず!
その情報と『第六感』に身を任せて奴の攻撃を『武器受け』するよ
敵と接触する直前に【光剣解放】を起動
オートで集中攻撃
たとえ五感を奪われようと!
たとえどれだけ威力があろうと!
私は私の作った模造神器を誰よりも信じてる
だからこそ此処は私の間合いだ



 その国に降り立った月夜・玲(頂の探究者・f01605)の表情は――僅かに微笑みをたたえていた。
「こんな事言うと怒られるかもしれないんだけど」
 その先に立つのはサー・ジャバウォック。猟書家、最強の男だ。
 そんな相手を前にして玲の心は躍っている。
「私はさ、強いキミと闘えるだけで嬉いんだよ」
 世界がどうとか言うつもりはないよと零し、玲は走り始めた。
「私は、私の望む頂に至りたいだけ」
 だから私の為に、やられてよと紡ぐ。
 サー・ジャバウォックはその声にくつりと笑い零して。
「よろしいですよ。ではお相手いたしましょう」
 その身に人間の『黒き悪意』を纏いし竜人とるのだ。拡げた黒翼は触れた者の五感を奪うもの。そして手にしたヴォーパル・ソードもその力を増している。
 姿が変わる――それを玲は目にすると同時にI.S.Tを利用した兵器の一振り、還りつく為の力たるBlue Birdと。混沌を齎す鍵にして剣たるKey of Chaosを抜き放つ。
 己の周囲に10m間隔でオーラのバリアを10枚並べた。しかしそれをサー・ジャバウォックは羽ばたき一つで壊して突き抜けてくる。
 けれどそれでいい。壊れて、大体の位置を玲は察することができたからだ。
(「こっち……!」)
 ひゅっ、と風切る音が落ちてくる。
 右、と玲は第六感に身を任せて、振り下ろされるヴォーパル・ソードのを己の手にしたもので流す様に、構えた時にはもう押し切られ×。
 攻撃は重く、衝撃はすべて殺しきれない。
 広がるサー・ジャバウォックの黒翼が玲に触れて、その感覚を奪っていく。
「機能解放、光剣よ舞い踊れ!」
 けれど、近距離。この距離なら逃がすことはないだろう。
 幾何学模様描き飛翔する光剣がサー・ジャバウォックを何も命ぜずとも攻撃をしかけていく。
「たとえ五感を奪われようと!」
 光剣を黒翼でいくつか弾いて、けれどすべてはかわし切れずサー・ジャバウォックへと突き刺さる。
「たとえどれだけ威力があろうと!」
 私は私の作った模造神器を誰よりも信じてる――だからこそ此処は私の間合いだと一層深く踏み込んだ。その攻撃にも真っすぐ対するように。
「ふふ。その様は嫌いではありません。しかし――」
 まだまだ痛みとしては足りませんとサー・ジャバウォックは呟いて玲へ向ける一撃にさらに力込める。
 その衝撃に、玲は地にたたき伏せられた。
 しかし彼女が向ける視線が戦う意思を失うことはなく、もう一手と光剣が突き刺さる。
 サー・ジャバウォックはそれを気にせぬというようなそぶりで、玲を払いのけた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
架空、な……
それが偽りか真実かは些末だ

攻撃が来ること、相手が格上であるということ
それだけが純然たる事実

先制対応
基本は見切りと残像で回避
必要ならフェイントも織り交ぜてく
回避出来るとは思ってねぇからオーラ防御で防ぐ
負傷は激痛耐性で凌ぐ
ただ一つだけ、譲れないものを糧に

防御力強化に篝火使用
衝撃波と生命力吸収を乗せた華焔刀でなぎ払い
なぎ払ったと同時に
フェイントを混ぜつつダッシュで接近して攻撃
二撃目以降は鎧無視攻撃も乗せてく

回避は先制攻撃同様に対処

退けねぇし、退くつもりもねぇ
今ここに居なくとも、俺には俺の正義が居る――
あの正義を、その矜持を護る盾が俺で
盾であろうとするなら
ここで倒れてる場合じゃねぇからさ



 先を行く猟兵が倒れる。その様を目にしても、ただ向かうしか――それを選んできたのだ。
「架空、な……」
 それが偽りか真実かは些末だと篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は思う。
 サー・ジャバウォックという相手。
 その敵から先に攻撃が来ること、相手が格上であるということ――それだけが純然たる事実と倫太郎は知っていた。
 先に攻撃がくる、とわかっているならそれに対しての対応をすればいい。
「おや、新たな訪問者。侵略蔵書『秘密結社スナーク』を慣らすこともしておきましょうか」
 行きなさい、と侵略蔵書『秘密結社スナーク』を開くサー・ジャバウォック。
 そこより鼻垂れる架空の怪物スナークが真っすぐ、倫太郎へと向かっていく。
 向かってくる攻撃はいくつか残像生み出して、回避を。
 けれどスナークは倫太郎を目指し、そして牙をむく。狙いはすぐに歪められ追いかけてくるのだ。
 やっぱり回避できねぇかとオーラで防ぐが、その牙は倫太郎の身をとらえて深く突き刺さる。
「っ!」
 痛みは堪えられるだろう。
 ただ一つだけ、譲れないものを糧に前へと進んでいく。
「祓い、喰らい、砕く、カミの力」
 神の力を纏って、倫太郎は守りを固める。
 そしてスナークを華焔刀で薙ぎ払う。放たれた衝撃波は生命力を奪って、倫太郎の糧とした。
 けれど本当に攻撃向ける相手はスナークではなく、サー・ジャバウォックだ。
「退けねぇし、退くつもりもねぇ」
 今ここに居なくとも、俺には俺の正義が居る――
 倫太郎は強くっ真っすぐに思うのだ。
(「あの正義を、その矜持を護る盾が俺で」)
 盾であろうとするなら――と、僅かに口端はあがる。
 ここで倒れてる場合じゃねぇからさ、と思い込めて一刀を放った。

成功 🔵​🔵​🔴​

スウィートドール・シュガー
明らかな間違いを否定できない……悪魔の証明って事かしら?
スウィートドールは仲間と希望を信じるわっ
そしてあなたや悪意と戦うの、思い通りにはさせないのよっ

初撃は持ってきたお菓子やパラソルを『念動力』で浮かせて盾に
『空中浮遊』も使ってあちこち逃げながら『衝撃波』で少しでも攻撃を逸しつつ本体を重点的に守るわ
今の姿が傷付いても本体があれば、なんとかなる、筈!
勿論とっても痛いのだけれど……でも悪ーい人を野放しにする位なら我慢よっ
傷付いても立てなくなっても、スウィートドールは諦めないから

念動力で土をばら撒いて目くらまし
少しでも隙が見えたら【おかしな友人】で攻撃するわ
怪物より、友人の方が素敵でしょう?
なんてね



 サー・ジャバウォックの開く、侵略蔵書『秘密結社スナーク』から現れた家訓の怪物スナーク。
 それは目に見えないけれど、そこにいることは確かなのだ。
 存在しない、けれど存在している――スウィートドール・シュガー(甘言・f00081)は首を傾げて零す。
「明らかな間違いを否定できない……悪魔の証明って事かしら?」
 目に見えぬ怪物がそうであっても――スウィートドールだって思い信じるものがある。
「スウィートドールは仲間と希望を信じるわっ」
 仲間は、目に見えるものだ。希望は目に見えないものだけれども、それもまたそこにあるもの。
 スウィートドールはきり、と表情引き締めて、サー・ジャバウォックを見詰めびしっと人差し指を差し向けた。
「そしてあなたや悪意と戦うの、思い通りにはさせないのよっ」
「はは、勇ましいお嬢さんですね。ではスナークのエサになっていただきましょう」
 見えぬ怪物が牙をむく。
 どこからくるのか――わからない。
 けれどスウィートドールはぱっと、持ってきたお菓子やパラソルを念動力で浮かせて盾にする。
 それが弾かれれば、そこにいるのだ。
 逃げるようにあちこち空中を浮遊しつつスウィートドールは逃げる。
 どこにいるのかわかれば、どこからくるかわからない時よりも、わかりやすい。
 そして衝撃波で向かってくる攻撃を、少しでも逸らしつつ――己の本体たる人形を守るだけ。
(「今の姿が傷付いても本体があれば、なんとかなる、筈!」)
 スナークの牙が僅かに身をえぐっていく。
 それは勿論、とっても痛くて。表情は痛みに顰められる。
 けれど、でもとスウィートドールの心は言うのだ。
「悪ーい人を野放しにする位なら我慢よっ」
 傷ついても立てなくなっても、スウィートドールはあきらめないから、と強い心をもって。
「ん!」
 焼けた土を盛り上げて、念動力でスウィートドールはばらまいた。
 それは目くらましでもあり、スナークの形をとらえるもの。
 そして、サー・ジャバウォックの意識がそちらに向いている間に。
「がんばって、すてきなお友達!」
 見えない思念体をスウィートドールは放った。
「怪物より、友人の方が素敵でしょう?」
 そう思わない? なんてね、と言葉向けて――後方に回り込んだ思念体がサー・ジャバウォックへと攻撃かける。
 サー・ジャバウォックは後方からのそれを受けてバランス崩した。
 己の方が強いという自負もあるのだろう。油断していましたか、と紡いで攻撃で突いた土埃払うとさらに強い一撃をスウィートドールへと向けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴桜・雪風
サー・ジャバウォック
猟書家最強の男、ですか
まるで名探偵と対峙した犯罪紳士のような危険な印象です
「ですが……剣の使い手となれば、逃げるわけには参りません」

初撃を凌ぐ策は
【影絵眼鏡】による幻術で一手を躱し
広げた傘を太刀筋に合わせ一手を脇にそらし
上記二手で覚えた剣筋を基に最後の一手を見切って躱します
これぐらい出来ねば、探偵は務まらないのです
「嵐のような暴威…しかし、それは竜を殺す剣。人にして花たるわたくしを殺す武器では有りませんよ」

相手の先制を凌いだら、速やかにこちらの剣の間合いまで接近しましょう
「捉えました。――お覚悟!」
【桜純流剣術『鈴鳴』】
剣速だけなら敵手の三倍です
当たればただでは済ませません



 サー・ジャバウォックの方が強者であることはわかっていたことだ。
「猟書家最強の男、ですか」
 その姿は、と鈴桜・雪風(回遊幻灯・f25900)は思う。
 まるで名探偵と対峙した犯罪紳士のような危険な印象と。
「ですが……剣の使い手となれば、逃げるわけには参りません」
 雪風はとんと地を蹴った。手にするのは優美な桜柄の和傘だけれども。持ち手に仕込まれたは直刀を抜き放つ。
 あなたも剣の使い手ですか、とサー・ジャバウォックは言ち、ならばと青白き斬竜剣ヴォーパル・ソードをその手で遊ばせる。
 それを巨大化させ――向けるだけだ。
 サー・ジャバウォックにとってここにいるのは敵ばかり。何の制約もなく振るうのみだ。
 三度、振るわれることが約束されたヴォーパル・ソード。
 サー・ジャバウォックの書撃が雪風をつぶす。けれどそれは影絵眼鏡の見せた幻。
 そのまま、本当の姿を見つけたサー・ジャバウォックは剣を滑らせるように動かした。
 それを広げた傘で受け流し、脇に逸らそうとしたけれど勢いが殺せない。
 だったらと剣の刃の上を転がるように雪風が躱すとほう、と感心するような声をサー・ジャバウォックは零した。
 そして最後の一手。二度受けたのだ、その剣筋をもとに、次の一手を見切って身を低くし、横に薙ぎ払われた剣の下を食い込むように駆けていく。
 これぐらい出来ねば、探偵は務まらないのですと雪風は胸中に。得た情報で瞬時に判断を下していかねば、やっていけない。
「嵐のような暴威……しかし、それは竜を殺す剣。人にして花たるわたくしを殺す武器では有りませんよ」
 そして雪風は間合いに入る。サー・ジャバウォックの間合いの内ではあるが、その大きな剣を取りまわすよりも雪風の方が早い。
「捉えました。――お覚悟!」
 桜純流剣術『鈴鳴』――剣速だけならばと桜色の魔力光を輝かせて。
 当たればただでは済ませませんと雪風の一閃はサー・ジャバウォックをとらえるのだった。
 一閃にその身を切り裂かれサー・ジャバウォックはおっとと傷口を押さえる。
 けれど、これくらいではまだ余裕があると笑み浮かべ再度、今度は逃がさないというようにヴォーパル・ソードで雪風を叩き伏せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナギ・ヌドゥー
一人では勝てないだと?……分かってるよ。
オレに仲間はいないが、猟兵達の強さは知っている。
爪痕さえ残せば必ず皆が奴を倒してくれるさ。

奴のUCは巨大な剣による3回攻撃
斬撃を防ぎながら奴の懐に飛び込むぞ!
一太刀目は【殺気】を帯びた【残像】を発生させ狙いを外す
二太刀目は【第六感】で剣の軌道を【見切り】躱す
三太刀目は【オーラ防御】で受けると同時に武器『邪絞帯』を絡ませ奴の剣を【捕縛】
完全には止められなくても死ななきゃソレで充分だ
UC「九忌怨刃」発動
【2回攻撃】×9の18連続【切り込み】
毒を塗った刃の斬撃だ【毒使い】
一太刀でも浴びれば奴は毒に蝕まれる
オレは倒せてもその体で猟兵全員は捌き切れんぜ……ククク



 猟兵たちはサー・ジャバウォックと対し、攻撃を浴びせつつも倒れていく。
 サー・ジャバウォックはまだ余力を残しているのが明らかだ。
「一人では勝てませんよ」
 サー・ジャバウォックは力量差を理解してらっしゃいますか、と笑っている。
 ナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)はその言葉に僅かに眉寄せて。
「一人では勝てないだと? ……分かってるよ」
 ナギに仲間はいない。
 けれど、猟兵達の強さは知っている。
(「爪痕さえ残せば必ず皆が奴を倒してくれるさ」)
 だから僅かでもいい、とナギは走る。
 己のこの戦いが無為ではないと知っているから。
 向かってきますか、とサー・ジャバウォックは笑ってヴォーパル・ソードを巨大化させる。
 間合いは伸び、敵味方などないサー・ジャバウォックはそれを自由に振るうのだ。
 一太刀目が向かってくる。ナギは殺気帯びた残像を発生させ、そちらにも気を向かせ狙いを甘くさせよけた。
 二太刀目は第六感をもってその軌道を見切る。
 三太刀目は外さぬと向けられ、オーラで守り固め受けると同時に呪いの紋様施された包帯『邪絞帯』を絡ませてその剣を捉えた。
「む」
 動きを抑え込む。完全には止められなくても、己の身をかすって肉をもっていっても死ななきゃソレで充分だとナギは踏み込んだ。
 その手の持つ、鋸の様な刃を持った鉈は鈍く輝く。
 踏み込みその攻撃届く――ナギの心は殺戮衝動に満たされ、黒く濁った眼を輝かせ歪な怨刃を閃かせる。
 その刃には毒を塗り込んで、一太刀でも浴びせればそれは回るはずのもの。
 連続で繰り出す攻撃にのせて、ナギは紡ぐ。
「オレは倒せてもその体で猟兵全員は捌き切れんぜ……ククク」
 ここで倒れても、この連撃は無駄にはならない。これも追い詰めるための一手なのだと、笑って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

灯火・紅咲
うぇひひひ!
故郷を守るために頑張るとか、まさにヒーローですよねぇ?

怖いですねぇ、見えないんですもんねぇ……それなら綺麗な色をつけましょぉ!
見えなくても攻撃自体は直接襲う、みたいな感じですからぁ……ブラッドサンプルに入れてる予備の血液をどーんと辺りにばら撒きましょう!
一つでも当たればぶちまけた血の色がついて動きが予測できるですぅ
そしたらば、その攻撃は改造カバンで受け止めてー……衝撃を殺すように勢いよく跳んでばたんきゅー
残したブラッドサンプルを血糊代わりに割ってやられたフリですぅ

こちらから気が逸れたら、血を舐めて小柄な子供姿に変身!
命中率重視の攻撃でだまし討ちですぅ!



「うぇひひひ! 故郷を守るために頑張るとか、まさにヒーローですよねぇ?」
 灯火・紅咲(ガチで恋した5秒前・f16734)は笑って、サー・ジャバウォックの前に立つ。
 あれが敵、これから故郷へと手を伸ばそうとしている相手――見た目は、老紳士のようだ。
 けれど、何を考えているのかはわからぬまま。
「私の邪魔をしに来るものが多くてこまりますね……」
 侵略蔵書『秘密結社スナーク』を開けば、目に見えぬ架空の怪物が放たれる。
 それは、いるのだろう。けれど紅咲の目には何も映らない。
「怖いですねぇ、見えないんですもんねぇ……それなら綺麗な色をつけましょぉ!」
 見えなくても攻撃は直接この身に向かってくるのだろう。
 であれば、と紅咲はがさごそ、自分の懐を探って――取り出したのはブラッドサンプルだ。
 それに入っている予備の血液をどーんと辺りにばらまく紅咲。
 その上を、何かが奔った。そして跳ねた血は見えぬ何かに散って、そこにいることがわかる。
 これで動きが予想できる――真っすぐ向かってくる、どんな顔をしているのかはわからないが改造カバンを向かってくる正面に構えて受け止めた。
 そして衝撃を殺す様に後ろに勢いよく跳んであたかもやられたようにばたんきゅー。完全にその衝撃は殺し切れなかったが、それでも意識はある。
 そして一撃、攻撃かけることもできそうだ。
 残していたブラッドサンプルを血糊代わりに割って、紅咲はやられたフリをする。
「おや、あっけない……」
 スナーク、戻ってきなさいと呼び戻すサー・ジャバウォック。
 こちらから気がそれた、その瞬間血をなめて小柄な子供姿に変身し紅咲は攻撃かける。
 とにもかくにも、あたるように。その精度に重き置いた攻撃はサー・ジャバウォックにとってか弱い一撃だったのだろう。
 スナークを再びサー・ジャバウォックは紅咲へと差し向ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイ・アイオライト
スナークという影法師を世界に蔓延させて混乱に陥れる、ってことかしら。
蔓延させた張本人は何もしていないから裁けない、フィクションに出てくる犯罪コンサルタントね。
……だからこそあたしみたいな存在がいる。アンタの命、そしてその悪意ごと、全て消滅させてあげるわ。

斬竜剣の範囲外へ退避するために、『闇ノ足音』から迸る影をブースター代わりにして超速退避、『時間稼ぎ』するわ。間に合わないなら剣の軌跡を『戦闘知識』と『第六感』で『見切る』。

ここまで離れていれば、アンタの剣は届かない。【闇影ノ隣人】は無慈悲にアンタの命を投影する。敵の急所と同じ箇所、影の塊へ魔刀を突きつけて『暗殺』よ。

見えざる悪意ごと消えなさい。



 とんと地面を軽くける。
 レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)はサー・ジャバウォックの姿を認めていた。
「スナークという影法師を世界に蔓延させて混乱に陥れる、ってことかしら」
「さぁどうでしょう」
 その言葉に、サー・ジャバウォックは明確な答えを返さず。
 レイは、その返答をなんとなく予想していたから別に変に驚いたりもなく、むしろするっと納得の面持ちだ。
「蔓延させた張本人は何もしていないから裁けない、フィクションに出てくる犯罪コンサルタントね」
 レイが向けた言葉にサー・ジャバウォックはただ笑みをもって返すだけだ。
 それは悪意などなさそうに見えて――けれど、陰に潜ませているのを感じるものは、感じるのだろう。
「……だからこそあたしみたいな存在がいる。アンタの命、そしてその悪意ごと、全て消滅させてあげるわ」
 ではお相手をいたしましょうと、サー・ジャバウォックはヴォーパル・ソードを巨大化される。
 その剣の射程から退避する。レイが選んだのはそれだった。
 その足から、闇ノ足音から迸る影。それをブースター代わりに後ろに一足。
 振り下ろされた剣の間合いから抜けた。けれどその風圧が大勢崩すようにあおりをかけてくる。
 サー・ジャバウォックは間合いに捉えるために詰めてくるが、レイはまた下がり逃れるように。
 それは今まで自分が重ねてきた戦闘の知識、それに第六感でもって体は動いていた。
「ここまで離れていれば、アンタの剣は届かない」
 二撃目、三撃目と距離は縮まってくる。
 けれどそれより早く、レイはサー・ジャバウォックを模した影の塊を生み出して。
「アンタの命は、あたしの掌中にあるのよ」
 これは無慈悲にアンタの命を投影する――急所であろうその場所へと刀身が黒く濁る呪われた刀をレイは突き付けた。
「見えざる悪意ごと消えなさい」
 サー・ジャバウォックは己の身に走る痛みを感じる。
 直接攻撃を受けたわけではない。けれど面喰い、ふらつくと同時に一足、レイを確実な射程に捉えて再び攻撃をかけたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
屈託なく笑って自己紹介
サシで一戦願いたい
侍として滾っているよ

間合いを詰めるべくダッシュ
一発目は残像を囮に使って空振り狙い
二発目は木々の残骸に身を隠し狙いを定めさせない。石でも投げて気配を誤認させる
三発目はジャンプで避ける

神鳴を振るって斬り合うぜ
未だ力量が劣って負傷するのは激痛耐性で我慢
血塗れの長期戦に持ち込む
愉しいね!

盗みの剣の眼力でジャバウォック流を見切って我流に組み入れる…それが真の目的
回避が万全に至れば納刀…踏み込み・呼吸・太刀筋…見えてるよ
力溜めから電撃属性攻撃を載せて抜刀術を見舞うぜ
奥義・電刃居合い斬り!

アタシなりの形でヴォーパル・ソードの妙技を未来に伝えると約束する
手合わせ感謝だぜ



 四王天・燦(月夜の翼・f04448)は屈託ない笑みをサー・ジャバウォックへと向けた。
「アタシは四王天・燦。サシで一戦願いたい」
 侍として滾っているよ、と真正面からサー・ジャバウォックへと挑む。
「侍、剣で相手をすればよろしいかな」
 と、サー・ジャバウォックはヴォーパル・ソードを巨大化させた。
 燦は間合いを詰めるべく走りこむ。
 残像を囮に空振り狙い――と思うが、サー・ジャバウォックはそちらを狙わずその先にある燦を狙ってきた。
 というのも、同じような対策を重ねられサー・ジャバウォックもそうくるのだろうと予想をしていたのだろう。
 そうなると攻撃はもう届いてしまうのだ。
 なら、と雷様が鍛えた刀、神鳴を燦は振るう。
 三度、その刃をふるわさずともよいのだから。
 しかし、その攻撃は重く己との力量差を感じるばかりだ。
 痛みが走る――けれど、燦は笑っていた。
「愉しいね!」
「そうですか。それはよきことですね」
 サー・ジャバウォックは笑っている。刃は重く、受け流せはしないことをわかっているかのようにそのまま、押し切ってきた。
 その剣の冴えを、燦は盗むように我流に組み入れる。それが、真の目的だった。
 きん、と刃同士を外して。燦は納刀し踏み込んだ。
「……見えてるよ」
 力を溜め、電撃属性を乗せて抜刀術を見舞うがそれより早く、サー・ジャバウォックの剣が奔る。
 剣がかみ合って弾いて。けれど二度目の攻撃が燦へと振り下ろされた。
「っ、! 手合わせ感謝だぜ」
 アタシなりの形でヴォーパル・ソードの妙技を未来に伝えると約束する――そう思いながら、燦はその場に倒れ伏した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

阿夜訶志・サイカ
おっもしれぇ本持ってるなァ、ダーリン。
俺様の本より力を持っていそうだ。
ちょっと貸せ。返すつもりもねぇけど。

ああ、どうせ立ってはいられねぇだろうな。
こっちは貧弱な文士だ。
自慢は逃げ足くらいだか、逃げ切れないだろう。
でも口が動きゃ何でもかまわねぇ。足でも腕でも腹でも持ってきな。
けど猫も鴉も逃げるなよ。俺様の盾になれ。時間を稼げ。

質問はシンプルだ。
スナークってのはどんな怪物なんだ?
ああ、抽象的なのはパスだ。
もしくは俺様でも舌を巻くくらい流麗な説明で頼むぜ。
ヒーローアースを攻めるなら、海千山千の怪物じゃなきゃな。

後は怪物に任せるぜ。
どっちが強いかなんぞどうでもいい。怪物モノは俺様の作風じゃねえからな。



 気になるのはその男、サー・ジャバウォック――ではなく。阿夜訶志・サイカ(ひとでなし・f25924)の視線はその手の中にあるものへと向いていた。
「おっもしれぇ本持ってるなァ、ダーリン」
 笑いかける、その視線はサー・ジャバウォックの侵略蔵書『秘密結社スナーク』へと向いていた。
 見ただけでもわかる。
「俺様の本より力を持っていそうだ」
「ええ。もちろんそうでしょう」
 サー・ジャバウォックは否定しない。サイカがその手を伸ばせば、なんでしょうかと穏やかに笑っているのだ。
「ちょっと貸せ。返すつもりもねぇけど」
「この侵略蔵書を? 御冗談を」
 それよりも、剣ならばいくらでも差し上げましょうと踏み込んでくる。
 ヴォーパル・ソードの輝きに目をやって、サイカはそれに対して何もしようとはしない。
 いや、するにはするのだが――目に見えてどうしようという事がないのだ。
 今まで、残像や何かしらの方法で一刀を避けようとしてきた相手ばかりだったサー・ジャバウォックは、逆に何かあるのかといぶかしむ。
 けれど。
「攻めねばどうにもなりません」
 その刃が向けられる――その様をサイカは見るばかりだ。
(「ああ、どうせ立ってはいられねぇだろうな」)
 こっちは貧弱な文士だ、と口端上げて笑って見せる。
 自慢は逃げ足くらいだか、逃げ切れないだろうと思う。振り下ろされる剣と、己の速さは釣り合わないからだ。
 身を斬られる、その痛さがある。
 でも口が動きゃ何でもかまわねぇ――サイカは紡いで、サー・ジャバウォックへと真っすぐ視線向けたままだ。
「足でも腕でも腹でも持ってきな」
 けど、と次に視線向けたのは。
「猫も鴉も逃げるなよ」
 俺様の盾になれ。時間を稼げと使い魔たちに告げるのだ。
 そしてなぁ、とサー・ジャバウォックの二撃目を、猫に防がせながら問いかける。
「スナークってのはどんな怪物なんだ?」
 その問いかけと共に、サイカの手にした紳士録が開かれる。
「ああ、抽象的なのはパスだ。もしくは俺様でも舌を巻くくらい流麗な説明で頼むぜ」
 ヒーローアースを攻めるなら、海千山千の怪物じゃなきゃな、と。
 その本から、どんなものが飛び出てくるのか教えてくれとサイカは紡ぐ。
「それを決めるのは私ではなく。けれどひとつ、答えるならただ見えぬと」
「それじゃあダメだな」
 俺は満足しない。こいつも、と紡げば現れる。
 それは情念の獣だ。己の著作から現れたそれがサー・ジャバウォックへと牙を剥く。
 あとは怪物に任せるのみ。
 どっちが強いかなんぞどうでもいいと痛みの中で思う。
 怪物モノは俺様の作風じゃねえからなとちらりと、視線だけ向ける。
 深く、サー・ジャバウォックへと噛みつく姿が見えた。
 そのまま、食いちぎってもいいとも思うがサー・ジャバウォックは獣を振り払う。
 簡単にはいかないのはわかっていたことと、さらに向かってくる一刀を目にサイカは思うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
蛇さん/f06338

●先制対策
自前の羽織と式紙で囮を作成
《闇に紛れて》一瞬でも視認されづらくする
樹木が焼け残っていれば一番ですが、どうでしょうね。

●方針
【紙技・真奇廊】を利用した奇襲。
まずは1対1だと思わせておきます。
20秒後に“出てくる”よう指示しました。それまでに場を整えましょう。

逃げ隠れしながら『式紙』をばら撒く。
本命、蛇さんを突っ込んだ折り紙風船はヤツの死角へ落とします。
オレが剣を受けようが、五感がなくなろうが、イイですよ。今回はね。その中の人がやり返してくれるんで。

いないものを「いる」と思わせるのがお得意なようで。
いるものを「いない」と思わせる点は、オレが一枚上手です。そうでしょう。


バルディート・ラーガ
矢来の兄サン/f14904

初手の命運は……心苦しくも、身体ア張って頂く兄サンにお任せ致しやしょう。
あっしめは小ちゃくなって、指定の時間まで潜むのみにございやす。
こちらのワザの条件は「防御が成るコト」、それさえ通せりゃア。

時が熟したらば、ドロンと戦場へコンニチハ。
死角に入り込んじまッたらば、卑しき盗人の仕事も容易いモンです。
さア、これぞ【掏摸の大一番】。その業物、お貸し下さいまし。

青白き斬竜剣『ヴォーパル・ソード』、いやはや良いモンをお持ちで。
その銘、なンでも怪物"ジャバウォック"を退治した逸話が有るだとか。ヒヒヒ。
コイツでテメエを斬り倒してこそ、正しき物語つーモンじゃアございやせンかい!



「初手の命運は……心苦しくも、身体ア張って頂く兄サンにお任せ致しやしょう」
 あっしめは小ちゃくなって、指定の時間まで潜むのみにございやす、とバルディート・ラーガ(影を這いずる蛇・f06338)は託す。
 矢来・夕立(影・f14904)は静かに頷いて、まずは一対一と思わせるべく――小さな千代紙の立方体を生み出した。
「矢来の兄サン、んじゃまた後で」
 その中へとバルディートは入り、しばし隠れておくだけ。
「おや、おふたり……ではなかったのですね。まぁ、おひとりでもおふたりでも、どちらでも」
 とんと、自前の羽織と式神で夕立は囮を生み出す。
 闇に紛れて一瞬でもいい。
 視認されづらくして――樹木が焼け残っていれば隠れる場もあったのだが、ここにはなく。
 それでも、選ぶのはまっすぐ向かう事だろう。
 サー・ジャバウォックはその身に人間の『黒き悪意』を纏い竜人形態へと成る。
 速さもなにもかも、サー・ジャバウォックの方が上だ。
 向かってくる――その間に式神をばら撒いていく。
 逃げるなら追いかけましょうとサー・ジャバウォックはその上を駆ける。
 それでいいと、夕立の視線は物を言うがサー・ジャバウォックが気づくことはない。
(「あと――10秒」)
 20秒後に“出てくる”よう指示したのだ。それまでに場を整えるだけ。
 本命たる、その紙風船をサー・ジャバウォックの資格へと夕立は落とす。
 その瞬間、その目の前にサー・ジャバウォックが迫るのだ。
 触れる――その黒翼に失われるものがある。
 けれど別に構わない。
 振り下ろされる剣が見えた――それも。
「イイですよ。今回はね」
 その中のひとがやり返してくれるんで、と口端上げた時には、痛みが走る。
 けれどサー・ジャバウォックの後ろ、バルディートの姿が見えたならその唇は――後は任せましたよ、蛇さんと辿るのだ。
 そしてサー・ジャバウォックがその気配に気づけば笑みうかべ。
「いないものを『いる』と思わせるのがお得意なようで」
 けれど――いるものを『いない』と思わせる点は、オレが一枚上手です。
 そうでしょうと問いかけるが、答えがないのもわかっている。
 むしろもう、もらっているのだ。
 そのサー・ジャバウォックの表情で。
 そしてバルディートは、飛び出してサー・ジャバウォックの後ろを取っていた。
 ドロンと戦場へコンニチハとその目は笑って。
 死角に入らずとも、もうすでに入っていて、ここならば。
「卑しき盗人の仕事も容易いモンです」
 さア、これぞ――掏摸の大一番。
 その業物、お貸し下さいましと手を伸ばし、バルディートはその手にあった剣を奪い取る。
「その業物、お貸し下さいまし――って、もう借りてますけどね」
 己が強化した、その得物でもって身を斬られたならサー・ジャバウォックとてただではすまない。
「青白き斬竜剣『ヴォーパル・ソード』、いやはや良いモンをお持ちで」
 後を任されたからには、ここで簡単に倒れるわけにもいかない。
 バルディートは振るう。それをサー・ジャバウォックはどうにか交わしたが、足がもつれたのか動きが止まった。
「その銘、なンでも怪物"ジャバウォック"を退治した逸話が有るだとか。ヒヒヒ」
 これまで戦いで重ねられてきたすべてが、今その身に響いているのだ。
「コイツでテメエを斬り倒してこそ、正しき物語つーモンじゃアございやせンかい!」
 バルディートが振り下ろす、サー・ジャバウォックの手にあったヴォーパル・ソードが今、その身を斬る。
 けれど、それを借り受けられるのは一度のみ。
 バルディートの与えた傷は深い。しかしその手から己の剣を取り戻し、サー・ジャバウォックはそのまま振り払った。
 さすが強敵、死にかけでもとバルディートは笑いつつ転がって。
 けれど、かの強者がぼたぼたと血を零しつつふらついてその場で倒れかかるのを目にしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ライラック・エアルオウルズ
僕は想像を愛しているが
生憎と、虚構に興味は無い
“存在する”と云うのならば、
僕の眼前と姿を見せておくれ

見えない以上、眸に頼れまい
《第六感》で気配を感じ取って
《オーラ防御》を張り巡らせ、防ぐ
防ぐ時に絵筆滑らせ《アート》
スナークに彩付けるようにして
存在を分かり易く出来れば、良い

“居る”のに“居ない”何て、狡いだろ?

叶わずとも、続けて気配を頼りに
《全力魔法》で想像の剣を創造し
架空の怪物さえ貫くと信じ、剣振るい
スナーク狩れば、侭に、猟書家狙い
駆けて、駆けて、臓を貫きにゆこうか

――揃いの剣だが、想像が勝るさ
ジャバウォックと名乗る以上、
貴方は剣で刻まれる側で無いとね
彼の地が新たな歴史を刻めるように



「大分――傷を負ってしまいましたね」
 それでも、まだ立っているのだから問題はないというようにサー・ジャバウォックは息を吐く。
 痛みがあることは間違いない。そして足元に血だまりがあろうとも。だが次の戦いではいかにと思う心はそこにあった。
 けれど、その瞳はすぐに猟兵の姿を映していた。
 こんにちは、というようにライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)は笑って見せる。
「僕は想像を愛しているが」
 生憎と、虚構に興味は無いとライラックの視線はそのサー・ジャバウォックの手にある侵略蔵書『秘密結社スナーク』へと向けられていた。
“存在する”と云うのならば、――僕の眼前と姿を見せておくれと、言葉向けて。
「君もスナークがお望みかね?」
 と、サー・ジャバウォックは問いかける。先ほども、この本に興味を示していたものがいたのだよと。
 そして、良いでしょうとサー・ジャバウォックは紡ぐ。
 見えぬけれど、お見せしましょうと本を開いて。
 何かが、そこにいる。
 見えない以上、眸に頼れまいと辿るその気配をライラックは感じ取っていた。
 オーラを張り巡らせ、防ぐ。その手には絵筆を持って――ああ、来る。
 そう思った方へと絵筆滑らせ、見えない怪物たるその、スナークへ彩付けるように動く。
 その瞬間、腕の端をかじられたか痛みと血が散る。
 けれどそれもまた、スナークに彩付けるもののひとつとなった。
「“居る”のに“居ない”何て、狡いだろ?」
 ライラックはふ、と口端に笑みを乗せる。
 もうそこには見えないものはいないのだ。
 彩を乗せられ見えるようになってしまったスナークは、果たして虚構でいられるのか。
 そしてそれに対するべく、ライラックが紡ぐのは想像の剣。
「騒々しさに意味は無く、想像こそが意味を成す」
 全力をかけ魔法の力で編み上げたそれはヴォーパルの剣という。
 これは架空の怪物さえ貫くもの――そう信じ、剣振るうだけだ。
 スナークは己が見えぬはずなのに狙い外さず攻撃仕掛けるライラックにたじろいで。そしてその身を散らす。
 そのまま、ライラックはサー・ジャバウォックへと向かっていくのだ。
 駆けて、駆けて、臓を貫きにゆこうかと狙いは一つ。
 ただ真っすぐに向けられたその剣。サー・ジャバウォックは躱そうと、するが――募る痛みはそれを許さなかった。
「――揃いの剣だが、想像が勝るさ」
 ライラックの一手が勝る。その剣は、サー・ジャバウォックを貫いていた。
「ジャバウォックと名乗る以上、貴方は剣で刻まれる側で無いとね」
 同じ名を持つ剣。けれどそれは、あなたが触れるときは最後の時ではと――その名をもつものの末路描かれた物語をなぞらえて。
 サー・ジャバウォックは呻いて、そしてその場に膝をついた。
「先ほども、その名の剣にうまくやられまして」
 その傷をさらに貫きえぐられては私もたまったものではありませと細い息零す。
 猟兵達からの攻撃を受け、何でもないかのようにふるまっていたがやはり、痛みは募るのだ。
「それは持つべきものではないかもしれませんね」
 自嘲めいた笑い零しながらサー・ジャバウォックの身は崩れ落ちていく。
 そしてトドメを、というように視線向けてくるのだ。それは己の終わりを認めているからだろう。
 彼の地が新たな歴史を刻めるようにと、ひたと心に秘めて最後の一刀を振り下ろした。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月17日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト