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迷宮災厄戦⑯〜林檎は甘いか酸っぱいか

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦


●林檎とフラスコ
 どうして……。

 周りで騒ぐ。オウガが騒ぐ。
 しゃくしゃく林檎、すっぱーい!

 フラスコに揺蕩う魂が揺れる。

 だれか……。

 フラスコの周りで、オウガが騒ぐ。
 林檎の蜜は、あまーいぞー!

 楽しげに騒ぐオウガに囲まれ、フラスコの中で泣いている。
 帰りたいと泣くのはアリスかオウガか。

●グリモアベースにて
「アップル・バトル・フィールドの攻略をお願いできませんか?」
 聖典のグリモアを開き、アルトリンデ・エーデルシュタインが周囲の猟兵に声をかけた。
 アップル・バトル・フィールドは巨大な林檎の国。林檎を食べて穴を開ければトンネルになるという国だ。
「オウガの一団が、リンゴの中に洞窟を作って集まっているようです。ですので、このオウガの退治をお願いします。」
 ぱらりとめくった頁に記されるは液体に満たされたフラスコと、中に浮かぶ人の形の靄。周囲にオウガを召喚する『絶望の蜜』で満たされたフラスコに囚われているのはアリス適合者の魂だという。
「囚われた魂を救う術はありません。フラスコを壊して解放してください。ただ、フラスコの周囲には呼び出されたオウガが多数居るようです。」
 オウガ自体は本体である『精魂崩壊フラスコ』を倒せば消える。なので無理に倒す必要はないが、正面から当たってはフラスコまで辿り着くのは大変だろう。
「ですので、こちらも林檎を食べ進んでトンネルを掘り、奇襲を仕掛けるといいと思います。」
 また、林檎の中心近くには『林檎の蜜』がある。『林檎の蜜』にはオウガを誘引する効果があるようなので、これも併用すれば奇襲もやりやすくなるだろう。ただ、その分食べ進む林檎は増えるが。
「この巨大な林檎は林檎の味や食感、満足感はありますが、実際にお腹に溜まるわけではないようです。なので少食の方でも食べ進める事自体は出来ると思います。」
 いかに早く、効率的に食べるかも工夫すればより良いかもしれない。上手く出来れば蜜が無くても奇襲は成功するだろう。
「巨大な林檎はおいしい林檎らしいです。蜜もとても甘いのかもしれませんね。」
 そう言葉を括り、アルトリンデは猟兵たちを送り出すのだった。


こげとら
 しばらくぶりです、こげとらです。
 こちらは『迷宮災厄戦』のシナリオとなります。

 巨大な林檎を食べ進め、オウガに奇襲を仕掛けるシナリオとなります。
 オウガの居る林檎の洞窟はアリの巣のような構造になっており、オウガのたまり場になっている部屋同士を通路が繋いでいる構造となります。だいたい一人一部屋を攻略すればOKです。

 フラスコの周りには対応する能力値のUCで召喚されるオウガが群れています。リンゴパーティをしている最中ですので、気づかれなければ奇襲も成功しやすいでしょう。
 このシナリオでは下記の特別なプレイングボーナスがあります。

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 プレイングボーナス……林檎を食べ進み、奇襲する。
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 林檎は食べてもお腹いっぱいにはなりません。無限に食べ続けられます。しゃくしゃくとした歯ごたえの良い部分と、やたらと甘い蜜の部分があります。中心の芯の部分は固いため食べれません。
 奇襲用のトンネルだけ食べ進めて速攻するか、じっくり準備を進めるかは皆様にお任せいたします。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 集団戦 『精魂崩壊フラスコ』

POW   :    ど して んなこ に
【周囲を見張っていた狼型のオウガ】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    おう に えりたい
【おもちゃの兵隊に扮したオウガ達】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【狙いと行動】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :     れかたす て
【蜘蛛型のオウガ】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
👑11
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蓮見・津奈子
この林檎を食べて、奇襲を仕掛けるのですね…やってみましょう。

最初に、奇襲目標の部屋の位置を確かめます。
次に、その部屋を上か下から奇襲するのに適したポイントを見つけ、そこを起点に林檎を食べていくとします。

食べる際は変異・貪食粘泥を使用、林檎の果肉を溶かし取り込むようにして食べ進んでいきます。
この状態だと味は感じられないので、味気なくはなりますが…目的はあくまで奇襲、と割り切ります。

時々、壁の一部だけを溶かしてその先の様子を確認。奇襲位置の微調整を行い、できるだけフラスコの真上か真下を取った上で部屋へ突入。
そのままフラスコを粘泥化した身体で包み、【怪力】も併せて圧搾粉砕にかかります。



 周囲には甘酸っぱい林檎の香りが漂い、どこからかしゃくしゃくと林檎を齧る音が聞こえる。ここは巨大な林檎の国。今はオウガに喰われている国だ。

「この林檎を食べて、奇襲を仕掛けるのですね……やってみましょう。」

 林檎の国に降り立った蓮見・津奈子は赤く艶やかな林檎に目を向ける。食べ進めるにしてもまずは目指す場所を調べねば。無為に食べては量もかさめば時間もかかる、もし意図せずオウガの部屋へと入ってしまえば奇襲も出来ぬ。
 ほどなくして津奈子は林檎に開いた穴を見つけた。中からは騒ぎ声や林檎を齧る音が聞こえてくる。この先にオウガの居る部屋がありそうだ。穴の大きさ、聞こえてくる声からだいたいの距離を計り、そこへ奇襲をするに適した所へ。

「この辺りが部屋の真上ですね。では……。」

 津奈子の身体がたちまち粘泥に変わる。【変異・貪食粘泥(ミウテヱション・ウウズ)】で身体の一部が変わった溶解性の粘泥が林檎に落ちて、沈み込む。否、粘泥は林檎を溶かし取り込むようにして食べ進んでいた。

「この状態だと味は感じられないので、味気なくはなりますが……」

 目的はあくまで奇襲、と割り切り津奈子は溶かして食べ広げた林檎の穴を進んだ。時々、壁の一部だけを溶かして先の様子を確認し、奇襲を仕掛ける位置を計り、調整をし。

「丁度、ここがフラスコの真上ですね。」

 覗き見た部屋の中では狼型のオウガたちが林檎を貪っていた。まだこちらに気づいた様子は、ない。津奈子が自分の足元の林檎を溶かし食らい、そのまま部屋の中へと降りてゆく。狼のオウガが突如現れた津奈子に吠えたてながら巨大化する。巨大な狼が津奈子へ噛みつくのに先んじて、粘泥がフラスコに落ちて包み込んだ。

 ど して んなこ に。

 ぱきり、と乾いた音が鳴る。津奈子が粘泥の身体で包み込んだフラスコを、凄まじい力で圧搾粉砕した。飛び散る液体は落ちる前に消えてゆき、フラスコに閉じ込められていた魂も消えてゆく。辺りであれだけ煩く騒いでいたオウガの姿もすでに消え、狼の牙の痕がついた林檎の部屋には津奈子だけが残っていた。

 この部屋のオウガは、もういない。

成功 🔵​🔵​🔴​

春霞・遙
食べてもお腹に貯まらないならなんとかいけそうですね。
それなら掘りやすさを考えて【葬送花】でがーっと掘っていって、すりおろしりんごにして食べようと思います。
出来るだけボウルに受けて、ごくごく飲みます。
それだと水浸しになっちゃうから今回は水着で行こうかな。

出来るだけ溜まり場になっている部屋につなげられるように掘り進めて、繋がったらオウガに向けて花びら撒いて視界を奪ったり操り糸を切ったり直接攻撃したりします。
蜘蛛の複眼に向けて残ってるりんごジュースぶちまけて嫌がらせしたり。

美味しいけどこれだけってのはさすがに飽きる。
持って帰ってお菓子作ったり、人に振舞ったりしたかったな。



 現実で自分の身体を超える量を食べるなど並大抵の事ではない。だがここはアリスラビリンスの巨大な林檎の国。食べた林檎でお腹がいっぱいになる事はないのだ。

「食べてもお腹に貯まらないならなんとかいけそうですね。」

 春霞・遙はそんな林檎の国ならば食べ進んでオウガを奇襲するという奇妙な事も出来そうだと思う。そんな遙は水着姿だ。

「すりおろしりんごにして、ごくごく飲もうと思うけど、それだと水浸しになっちゃうから。」

 と、いう訳で濡れても構わない服装で来たのだった。さっそく林檎をすりおろすべく【葬送花(タムケノハナ)】を林檎に向ける。杖から溢れる光を向けた先に飛ぶ薄桃色の花吹雪が林檎を細かく削り、がーっと掘ってすりおろしてゆく。すりおろした林檎をボウルで受け、遙はごくごくと飲んでいった。おろしたての甘酸っぱい林檎の風味が口に広がり、香りが鼻腔に抜けてゆく。掘りやすさを考えて掘っている為、受けきれなかったすりおろしりんごが辺りに撥ねる。やはり水着で来てよかったと言えるだろう。
 【葬送花】で掘り進む事しばし。林檎の壁ごしにもオウガたちの騒ぎ声が聞こえてきた。目指す場所は近い。カリカリと林檎を引っ掻く音がするのは蜘蛛型オウガがリンゴパーティをしている為か。

「ここからなら、一気に狙えそうですね。」

 音の集まる方へと掘り進め、最後の一押しと共に花吹雪がオウガの群れる部屋へと吹き込んだ。壁際に居た蜘蛛のオウガが吹き飛ばされ、突然の乱入者に慌てながらフラスコへ糸を伸ばす。だが糸はフラスコに届く前に花吹雪に切られて散っていった。ならばと飛び掛かろうとしたオウガの複眼に遙がボウルに残っていたりんごジュースをぶちまける。
「ギ、ギギ……!」
 蜘蛛の眼に滲みたのかは分からないが、軋むような声をあげて嫌がるオウガ。そして。

「風に舞う薄紅の嬰児よ惑う命の導きと成れ!」

 部屋に吹き荒れた【葬送花】が蜘蛛のオウガ諸共フラスコを切り砕いた。数多の薄桃色の花吹雪が収まる頃には周囲に残るオウガはなく、ただすりおろされた林檎の香りが満ちるのみだった。

「美味しいけどこれだけってのはさすがに飽きる。
 持って帰ってお菓子作ったり、人に振舞ったりしたかったな。」

 これだけ美味しい林檎ならば、と思わずにいられない。独り言ちて遙は踵を返した。

 この部屋のオウガは、もういない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニオ・リュードベリ
アリスの魂を捕らえているのに自分達はわいわい楽しんで……
ひどい話だね
せめてアリスの魂は解放してあげよう

アリスランスも使いつつトンネルを掘っていくよ
上手く削って柔らかくして食べていく
……この状況でもりんごは美味しい
慎重に食べ進めようかな

オウガは騒いでいるみたいだし、声も届きやすいと思う
妙な物音がすればそちらの方を確認
壁が薄そうなら覗き穴を作るのもいいかも

オウガ達の居場所が分かったら位置関係を把握しよう
特に奇襲しやすそうな方向があるなら、そっちに向かってトンネルを伸ばす
そして【勇気】を出して――UCを発動、ランスで突撃!
アリスが操られる前に一気に【串刺し】していくよ!
ひどいパーティーは終わらせる!



 巨大な林檎の国に楽しげな騒ぎ声が聞こえる。今も林檎のどこかでオウガたちがリンゴパーティをしているのだろう。フラスコに囚われた魂を囲んで。

「アリスの魂を捕らえているのに自分達はわいわい楽しんで……
 ひどい話だね。」

 どこからか聞こえてくるオウガたちの声に、ニオ・リュードベリは眉をひそめた。オウガたちはフラスコに囚われた魂など気にも留めず、楽しく林檎を食べているという。

「せめてアリスの魂は解放してあげよう。」

 想いを胸に、ニオはアリスランスを足元の巨大な林檎へと突き入れた。子気味良い音を立てて削れた林檎を一口。程よい歯ごたえと共に甘い酸味が口の中にじゅわっと広がる。

 ……この状況でもりんごは美味しい。

 削って柔らかくした林檎の味は美味しくて。オウガがわいわいと楽しく食べるのも分かると言うもの。そして、だからこそ、囚われたアリスの魂の絶望も深くなるのだろう。
 オウガの騒ぐ声から方向を探り、慎重に食べ進めるニオ。やがてカリカリと林檎を引っ掻き、削る音も聞こえてくる。蜘蛛型のオウガが爪で削っているのだろう音の方へと食べ進めてゆけばオウガの騒ぐ声も大きくなってきた。林檎の実を透かしてうっすらと影が見える。

「オウガの居る部屋はこの辺りかな?」

 小さな覗き穴を作って見ると、少し先にオウガは集まり、その中心にフラスコが見えた。もう少しトンネルを伸ばせば壁ごとオウガを攻撃し、奇襲ができそうだった。
 しゃくしゃくしゃく。林檎を食べる。
 ギギ、ギギギ! オウガの声が近くなる。

  れかたす て――。

 オウガの近くまでトンネルを伸ばし、ニオは勇気を出して【空明の鎧(アンブレイカブル)】を纏い、威力の増したアリスランスで林檎の壁ごとその向こうに居るオウガへと突撃した。ニオの背に広がる光の翼が羽撃く速度を乗せて穿たれたランスが蜘蛛のオウガを纏めて串刺しにしてゆく。

「ひどいパーティーは終わらせる!」

 オウガが伸ばした糸がフラスコへと届く前に、ニオの突撃が一気にオウガごとフラスコを突き砕いた。砕け散るガラス、飛び散る液体。呼び出した標を失いのたうつ蜘蛛のオウガの声もフラスコに囚われていた魂もやがて消えていった。

 この部屋のオウガは、もういない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リアナ・トラヴェリア
オウガの中でも一際邪悪だね。
こんなのを残す訳にはいかないから、一瞬でカタをつけられるように電撃戦を仕掛けよう。

幸いにして相手は食べることに集中してるみたいだから、食べ進むのは簡単。
黒剣に食べさせて力を溜めて、一撃でフラスコを叩き割れるようにしよう。

狼達の足元を掘り進めて気付かれないように近づいて、フラスコの真下へ移動。
息を整えて巨大化した黒剣に力を込めて、一気に上へと振り上げるよ。

フラスコを叩き割ったらそのまま上に飛び出して狼型のオウガを後ろから切り捨てていくよ。

あなたたちの存在自体が悪意なんだ、ここで逃すわけには行かないよ!



 フラスコを囲むオウガはフラスコに囚われた魂を意に介さず、リンゴパーティを楽しんでいた。フラスコに囚われ絶望の蜜に漬けられたアリスの魂など、どうでも良いと言わんばかりに。その在り方はあまりにも――。

「オウガの中でも一際邪悪だね。」

 リアナ・トラヴェリアが口にした在り様こそが、たむろうオウガたちの性質なのかもしれない。こんなのを残す訳にはいかない。電撃戦を仕掛け、一瞬でカタをつけようとリアナは黒剣を足元の林檎に突き立てた。

「さあ、食事の時間だよ!」

 【喰らいつく魔獣の顎(グラットンソード)】が黒剣が突き立った林檎を喰らいて抉り、己が力へ変えてゆく。巨大化してゆく黒剣を振い林檎を掘り進むリアナにも力は流れ込む。良質な林檎を喰らいながら巨大化してゆく黒剣を振い、リアナはオウガの居る部屋の下、フラスコの真下を目指して進んでいった。
 幸いにしてオウガたちは食べる事に夢中になっている。黒剣が林檎を掘り進む音に気付かれる事はなかった。ざくざくと進むリアナの上からガウガウと騒ぐオウガの声が聞こえる。林檎の実を透かし見ればフラスコの影が見えていた。フラスコの影の真下まで進み、リアナは息を整える。既に黒剣は巨大化に巨大化を重ね、振り上げれば林檎の床ごとフラスコを断つだろう。

「やあ!」

 気合一閃。リアナが力を籠めて振り上げた巨大な黒剣が林檎を裂く。ガラスの割れる音を聞き届ける間もなく、裂いた林檎の穴からリアナは部屋へと飛び込んだ。突然部屋を割った黒い剣撃に狼のオウガたちが気づいて侵入者へと振り向くより早く、リアナが黒剣を薙いだ。

「あなたたちの存在自体が悪意なんだ、ここで逃すわけには行かないよ!」

 フラスコに呼び集められたオウガが散り散りになる前に、纏めて黒剣に斬り捨てられる。狼のオウガたちは自分たちを切った者が何かはおろか、何が起こったかも分からぬまま倒され消えていった。あれだけ騒がしかった声も消え、後には齧りかけの林檎が散らばっているのみ。

 この部屋のオウガは、もういない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

川村・育代
幽霊海賊団のユーベルコードで呼び出した海賊たちと一緒にリンゴを切り崩して食べ進むわ。
一人では無理な量だけど、集団で手分けすれば簡単だから。
何せこちらは全部で321人(あたし+海賊320人)もいるんだから。
人数を生かして敵を挟み撃ちできるように穴を掘って海賊たちとともに一斉に襲いかかるわ。
投げ舵輪を投げつけたり、魔法少女のステッキで殴りつける、祟り縄で敵をたぐり寄せて盾に使うなど、取れる手はフルに使うつもりよ。



 巨大な林檎の国に来た川村・育代は【幽霊海賊団】で呼び出した海賊と共にあった。総勢321人、育代と海賊320人の多勢である。

「一人では無理な量だけど、手分けすれば簡単だから。」

 と、育代は海賊たちと共に林檎を頬張る。海賊は幽霊であるが、ここはアリスラビリンス。生身が無くとも林檎は食べれる。むしろ新鮮な林檎の味に海賊たちの食も進んだ。みるみる掘り、食べられて林檎のトンネルが出来上がってゆく。だがトンネルを多数で進んでも数の優位を十分に活かすのは難しい。そう、トンネルが一つならば。

「挟み撃ちできるように掘り進めていくわよ。」

 育代の指示に従い、がやがや声のする方向へ挟み込むようにトンネルを伸ばしていく海賊たち。この人数だ、掘るトンネルが増えようが速度は大して変わらない。やがて蜘蛛型オウガの林檎を削り食べる音が大きく聞こえてきた。いつでも攻め込めると意気込む海賊に育代が突撃の号令をかける。タイミングを合わせ、部屋の両側から林檎の壁を砕いて攻め入る育代と海賊たち。突如現れた襲撃者に慌てて爪を鳴らす蜘蛛のオウガたちが迎え撃つ体勢を整える間も与えずに育代の投げ舵輪が飛んだ。
「ギギッ!?」
 糸を飛ばす事も出来ずに弾き飛ばされる蜘蛛に雪崩れ込んだ海賊たちが止めを刺す。部屋の中は既に乱戦の様相を呈していた。だが望んで乱戦に持ち込んだ育代や海賊たちと違い、オウガは不意を打たれての事だ。当然ながらその差は戦闘の流れに大きく影響した。連携も取れぬまま飛び掛かってきたオウガを育代の祟り縄が手繰り寄せ、別のオウガの振った脚を防ぐ盾とする。オウガ同士でぶつかり合い、倒れ込んだ隙に育代はフラスコへと近付いた。

  れかたす て。

 切れ切れの声が幽かに聞こえた気がした。育代の振り下ろした魔法少女のステッキがフラスコを粉々に砕く。囚われていたアリスの魂が消え、周囲に居るオウガの動きが目に見えて悪くなった。元よりオウガより海賊の方が数が多いのだ。フラスコを砕かれてはオウガに勝つ目はおろか、逃げ出す隙間もない。やがて蜘蛛型オウガもすべて倒され消えていった。

 この部屋のオウガは、もういない。
 この林檎の国にはもう、いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月12日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト