迷宮災厄戦⑯〜ヒャッハー、このリンゴを喰らえーっ!
199X年で世界がなんやかんやして世紀末がえらいこっちゃになったわけでもなく。
謎の暗殺拳の継承者が出現するわけもない、いたって普通なファンシーな世界、リンゴで出来た世界に響き渡った不釣合いな叫び声。
「ヒャッハー、このリンゴを喰らえーっ!」
「喰い放題だー!」
「ハッハァ! まだまだいけるぜ、メノレツェール!!」
無駄にハイテンションで叫びつつ、世界を構築しているリンゴを食べて洞窟を作っているオウガの集団。
普段は自分勝手な掟を定め、それを破ったアリスを追跡、殺害するトランプの巨人達がひたすらに、互いを鼓舞するように叫びつつ。
リンゴ世界のリンゴをひたすらに、シャクシャクと擬音と共に食べ続けていた。
「しっかしよぉ、なんで……ゲプッ、喰うことに執着してる連中がこないんだ」
「文句言うんじゃねぇよ……うっぷ、別のところで、おぷっ、食べ進んでるんだろ」
先ほどのハイテンションとは打って変わって、冷静に会話を始めるオウガたち。
これはあれだね、このリンゴを食べて洞窟にして、拠点を作ってなんやかんやする為に派遣されたのに。
大食らいなオウガが手伝いに居らず、自分たちだけで一旦は食べ進むように言われてしまい。
延々とリンゴを食べ続け、満腹感と共に嫌気が差したので、無理矢理テンションを上げて食べていたという事らしい。
オウガの世界も大変ダナァ。
とりあえず食べ進み、直進できる通路の先に広場を作って小休止。
次なる進軍を始める前にここで留まるのならば、猟兵にとって奇襲する好機となる。
ならば、急ぎこちらも食べ進み、不意打ちとばかりに仕掛けるのだ。
●
「お集まり頂き、ありがとうございます。今回もアリスラビリンスでの戦いです」
集まった猟兵達を見渡しながら、クアド・ペントヘキシウム(バーチャルキャラクターの人形遣い・f09688)が状況を説明していた。
今回、彼女が予知したのはアリスラビリンスに存在する、リンゴで出来た国の事件。
そのリンゴの国にオウガが出現、世界を構築するリンゴ、そして食べ進めることもできるそれをひたすらに食べ続け、トンネルを、洞窟を作り上げているオウガの一団を駆逐する任務であった。
「現在、オウガの集団はリンゴばかりという食事に飽きて自分たちが食べ進んで作った広場で小休止、という状態です。
相手の作ったトンネルを進んで真正面から勝負を挑むことも出来ますが、無理はしない方が良いのでは?
相手がした様に、此方もリンゴを食べてトンネルを掘り進み、奇襲をするという選択肢があります。
食べ進むという事や不意打ちに抵抗があるかもしれませんが、其方にとっても悪い話では無いと思いますが」
データベースの奥底から、何か妙な喋り方のデータを引っ張り出しながら状況を説明するクアド。
彼女の言うように、この世界は食べることの出来るリンゴで出来ており、掘り進んだ中で色々と仕掛けを施せば一方的に奇襲する事が可能なようだ。
広場に通じる穴を開けた瞬間、なだれ込んでもよし。
通じる穴を開けて、相手を誘い込んで何かを仕掛けるもよし。
奇襲する手は色々と試せるようである。
「説明としては以上となります。
美味しく食べれるとはいえ、リンゴを食べ続ける事になりますので、食べ進む中で飽きないように何らかの工夫はした方が良いかもしれませんね。
もっとも、真正面からぶつかる場合は何も考えず、戦う準備だけでもかまいませんが。
では、皆様をご案内します」
食べ進む場合の注意を付け足してクアドは説明を終了。
グリモアを起動させ、猟兵たちを戦場へ送り出す準備に入るのであった。
紅葉茉莉
こんにちは、紅葉茉莉です。
迷宮災厄戦のシナリオをお届けします。
タイトルでもわかると思いますがネタ、コメディ側のシナリオです。
敵の言動が世紀末チックだったり、吹っ飛び方がコミカルになったりしますが仕様です、気にしないでください。
敵側がもうやけっぱちに、食べることに飽き飽きして休憩中の戦場に奇襲を仕掛けます。
ただし、すでに相手が掘り進めた真正面から仕掛けるとかなり頑強な抵抗を見せてきます。
別方面、つまりプレイングボーナスを得る方法として、此方もオウガと同じようにリンゴを食べ進んで、休憩中の広場に横穴を穿ち、奇襲する方法があります。
この手段をとった場合、相手は対応が遅れて一気に攻め立て、混乱を誘い戦いやすくはなるでしょう。
また、トラップ塗れの横穴を作って相手をうまく誘い込んだりといった手段も用いることが可能です。
なお、トンネルを作る場合は延々と食べ進む事になりますので、おいしくいただけるリンゴですが確実に飽きてきます。
大食いな何かを呼び出したり色々と食べる前に調理してみたりといった工夫が無いと、食べることに飽き飽きする羽目になります、ご注意ください。
その辺りの行動も、プレイングで色々試して遊んでみたり。
相手が食べることに飽きているので、飽きずに食べ進んできた手段などを見せ付けて羨ましがらせたりしてしまってもかまいません。
つまりはやりたい放題ということです。
では、ここまで長文を読んでいただきありがとうございました。
ご縁がありましたら、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『トランプの巨人』
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POW : 巨人の剣
単純で重い【剣】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : トランプ兵団
レベル×1体の、【胴体になっているトランプのカード】に1と刻印された戦闘用【トランプ兵】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : バインドカード
【召喚した巨大なトランプのカード】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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八条・麻乃
「古来より、林檎に対抗するには窓、というし」
通路に窓を作って、ササッとオーガに差し入れを。蜂蜜とかリキュールとかクリームとか。もちろん正体はバレないように。
「One more thing... もうリンゴに飽きなくていいんです、そう、アイスクリームを足せば」
じょぶずさん(仮)風に。
「だまして悪いですが、依頼ですので。(喉の渇きで)ここで、果てていただきます」
所詮はオウガ退治です。刺激的にいきましょう。
「どうですか?リンゴに支配された気分は」
え、私も食べるの?奇襲のため?窓は自分で食べて作れ?
いーやー(でも以外と素直に食べる、食糧は粗末にしない神社の教えや傭兵経験的なナニカって怖いですねー)
林檎でできたこの世界、食べ進み奇襲を仕掛けるべく集まった猟兵の中でとんでもねぇ事を口走る人がいた。
「古来より、林檎に対抗するには窓、というし」
普通に聞いたらなんのこっちゃ、と思うような、それでいて意味がわかるとやばい事を言っていたのは八条・麻乃(ただの巫女・f00108)
え? 意味がわからない人が居るって?
そうですね、林檎と窓を英語に略して、目の前の箱とか色々な情報を検索できる、掌に収まる端末で調べればわかるよ。
まあ具体的にはアップ○とウイ○ドウズなわけで……というかここは林檎の国の話であって、そんな二大メーカーの争いなんて関係ないわい!
「One more thing……もうリンゴに飽きなくていいんです、そう、アイスクリームを足せば」
あっ、この人、そんな突っ込み無視して話を進めだしてやがる。
ものすっごく前向きに、林檎なメーカーの代表だった人の、某じょぶすさん(仮名)な台詞を言ってすごく良い感じに進めていこうとしていますがちょっと待て。
この世界で通路を、もとい窓なんて作って仕掛けるならやる事がありますよ?
そう、食べて相手が通路を作っていったのなら、貴方も食べて、窓をツクルノデス。
「え、私も食べるの? 奇襲のため? 窓は自分で食べて作れ?」
そうそう、何かしれっと地の文とやりとりしちゃってる部分にはもう突っ込みは入れないとして、食べ進んでいく必要がありますのよ。
ほら、窓を作って差し入れと称して相手を罠にはめるんでしょう? とっとと食べた食べた!
「いーやー、そんなに食べるなんてー。できれば他の人に便乗したいなー、なんて」
できるだけ労力を減らしたい、そんな願望を垂れ流しつつも素直に食べ進んでいる麻乃さん。
な、なんだって!? 絶対何か、拒絶して別の斜め上の。ほら、林檎には窓で対抗、って言った冒頭のとんでもねぇ台詞みたいな何かを言って、拒否して楽な手段に出ると思ったのに素直に食べてる!?
「食糧は粗末にしない神社の教えや傭兵経験的なナニカって怖いですねー」
アッ、ハイ、食べ物は粗末にしちゃいけませんね、あと戦場では食べれるものを無駄にはできないですからね。
そういう、教えをきちんと守るのはいい事……っておいぃ!?
称号でただの巫女っていってるけど、ただの巫女が傭兵経験的なナニカなんてあってたまるかっ!
あっ、この人、ツッコミをスルーして食べ進んでやがる。
都合のいい時だけ、地の文と交信して都合が悪いとスルーするなんて、とんでもないやつだ。
「ふぅ、この辺ですね……では、差し入れできるだけの窓をつくって、と……」
そんなこんなで食べ進む麻乃さん、休憩中の広場の一角に小さな差し入れを届けられる程度の窓を作ってそこからそっと差し入れ。
その結果……。
林檎ばかりを食べ続け、もう嫌になってるオウガたち。
だらけた空気の中でふと回りに目をむければ、いつの間にか存在したのは飽きを無くす味変更をもたらすトッピング。
先ずはリキュール、これを使えばアルコールに溶け込む各種成分によって風味が一気に変わるだろう。
次は蜂蜜、甘味にさらに甘味だが、タイプの違う甘味は延々と同じ味を食べ続けた舌に新たな刺激を与えてくれる。
そしてクリーム、こちらも甘味ではあるが、やはり林檎そのものとは違う甘味。
舌触りも滑らかに、林檎のさっぱりとした甘味との対比によって、飽きてきた食事にアクセントを加えてくれるだろう。
「おおっ、いつの間にかこんな差し入れが!」
「ヒャッハー! これで林檎が食えるぜぇー!」
差し入れで味が変わってテンションアップなオウガさん、これで再び食べ進めると、喜び勇んで食べていくが……異変はしばらくして訪れる。
「ぐ、ぐえぇ……のどが、喉が渇いてしかたねぇぜ」
「リンゴ、リンゴを食えば……だめだ、腹が膨れてこれ以上食えねぇ……」
味が変わって食べ進めるはよかったが、差し入れは全て糖分やらアルコールやら、体から水分を奪うタイプの代物。
それらを喜び勇んで使えばまあ、こうなるのは当然であろう。
「だまして悪いですが、依頼ですので。(喉の渇きで)ここで、果てていただきます」
そんなオウガの様子を自分の作った差し入れ窓から覗きつつ、しれっと言ってのける麻乃さん。
所詮はオウガ退治、刺激的にいきましょうっていってますが刺激の意味がちげーよ!?
お口に刺激、飽きを無くして食べれます、なんて刺激で水分を奪うとかなんてむごい……。
「どうですか? リンゴに支配された気分は」
差し入れに喜び、最終的に水分を奪われ苦しむオウガ。
むごたらしい光景を作り出した麻乃さん、まるで機械に支配された人々を見るような目で乾きに苦しむオウガを観察するなんて、やっぱりえげつない人である。
成功
🔵🔵🔴
神羅・アマミ
りんごを食べて掘り進む…えっ?
ちょっと何言ってるかわかんないですね…
いや…だって…明らかに自分の身体より体重とか体積とか…あーわかった!
わかりました!やりゃあええんじゃろやりゃあ!
這って進めるような小さな横穴を掘っていこう。
こうすれば食べる量も最小限に留められる。
【怪力】によって超圧縮したりんごジュースにする、UC『結髪』のブラストを最低火力に収めた焼きりんごを作るとかで間をもたせよう…
腕一つ出せるような横穴さえトンネルに開通させられれば、あとは最高出力のブラストで片っ端から狙撃し火達磨にしちゃる!
奴らも迂闊には手出しできまい!
何せ妾の姿を暴こうと思ったらまたリンゴ食う必要があるわけじゃろ!?
神代・凶津
今回は奇襲作戦って訳か。
とはいえ、俺と相棒が食ってもすぐ腹一杯になって進めなくなっちまう。
なら、別の奴に食い進めさせればいいんだろ?
「・・・式、召喚【捜し鼠】」
相棒が召喚した大量の式神の鼠に食い進めてもらうぜ。
本来の使い方とはちと違うが、式神だから普通の鼠と違って食い飽きて止まる事もないしな。
敵の休憩場所に横穴開けて奇襲を仕掛けるぜ。
ん?どうやって食い進めて来たかって?
鼠に食わせて楽に進んで来たのさ。羨ましいだろ?
動転している敵に一気に詰め寄って妖刀でぶった斬ってやるぜッ!
敵の攻撃は見切りで避けてカウンターで斬り裂いてやるよ。
【技能・式神使い、先制攻撃、見切り、カウンター】
【アドリブ歓迎】
四季乃・瑠璃
緋瑪「流石にこのリンゴばっかっていうのは飽きそうだねぇ」
翡翠「せめてアップルパイとかケーキとか調理して食べたい…。生のままだと飽きるよ」
瑠璃「デスソースならあるよ?」
二人「それは嫌」
【チェイン】で分身
カット、調理、食事を3人で順番に行い奇襲。
開けた穴から接触式ボムをぽいっと放り込んで爆破。
ついでに飽き飽きしてる巨人達に可哀想だから、としてリンゴのデスソースがけを恵んで(?)あげたり…(瑠璃に悪意はアリマセン)
後は3人でK100による牽制からボムによる爆破、大鎌による斬撃と連携して一体ずつ仕留めていくよ。
緋瑪「流石にちょっと食べ過ぎたかも」
翡翠「暫くリンゴは良いかな」
瑠璃「やっぱりデスソース…」
エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎
いまいちオウガ共にやる気が感じられぬがこれも役目じゃ、手早く退治するかの。
さて、方針としては、ビーストマスターの能力を活かして森の動物たち(はらぺこ)を呼び出して地下部分のリンゴを食べて貰って掘り進むとするか。
1匹1匹の食べる量は知れておるが、人(動物)海戦術で対応すればいけるじゃろう。
首尾よくオウガの直下に到達出来たら足元のリンゴを食い荒らして落とし穴にはめるのじゃ。
動けなくなったらチャンスじゃな、オウガを【氷縛の鎖】で雁字搦めにしてオウガが戦闘不能になるまで周囲のリンゴを口に放り込むのじゃ。
ほれほれ、リンゴはまだまだ沢山あるぞ。
お残しは禁止じゃ、たんと食べるがよい。
エドゥアルト・ルーデル
わぁい奇襲!拙者奇襲好き!
この急に湧いてきた【知らない人】!この知らない人が拙者の代わりにリンゴを食べ進めるのだ!
飽きてきたら味変が必要でござるな!ほらこの【レーション(クソマズ)】をお食べ…おかわりもあるぞ!
それでもリンゴを食わない場合はねじ込む所存
これで拙者はリンゴを食わずに済むって寸法よ!
あーだこーだと敵の真横に出るように指示しながら壁一枚分ぐらいまで掘り進めて近づいたら拙者の出番でござるね
こぶし大の穴を開けさせ、穴から手榴弾をコロコロと投入ですぞ
爆発を確認したらサングラスをかけ【火炎放射器】にて敵を浄化でござるよ!このために持ってきたんだからな!
ヒャッハー!!汚物は消毒だぁ~!!
霧島・絶奈
◆心情
大食い最大の敵は飽きでしたね
◆行動
『獣ノ爪牙』を使用
軍勢と共に食します
最初に飽きる迄は其の儘を楽しみます
次は砂糖漬け、焼き林檎、コンポート
ジュースにシャーベット、りんご飴etc
レシピは沢山あります
…そう言えば何かの逸話で黄金の林檎なんてのもありましたね
人類に黄金の時代を齎すモノと考えれば、勝利を齎す此処の林檎も似た様なものでしょう
【罠使い】の技を活かし、「サーメートと白燐焼夷弾」を大量に仕込んだ横穴を作成
罠に嵌めた上で壁面を壊し強襲
軍勢と共に【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
…雌伏の内に果てると良いでしょう
負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
シウム・ジョイグルミット
[POW]
リンゴで出来てる世界かぁ、面白いね
しっかり味見していかないと!
ボクは別方向から食べ進んで奇襲しようかな
この国は相性が良さそうだね、『Hungry Dumpty』召喚!
どんどん食べ進んでいっちゃってー
もちろんボクも隣で空腹状態を繰り返しながら食べてくよ
別の食べ物が欲しくなったら、ダンプティの力でお菓子に変えちゃおう
仲間が近くにいるなら、好きなのに変えてあげるよー
広場に着いたら、オウガ達に挨拶
で、通ってきたお菓子の穴を見せようかな
味変すると進む効率が良くなるよ、試しに齧ってみてー
そう言って集まったきたら、後ろからオウガ達に触れてお菓子にしちゃおう
うん、齧れなくなっちゃうと進めないけどね♪
メフィス・フェイスレス
飽きですって?来るわけないじゃない
こちとら飢餓の衝動を糧に動く死者なのよ?
ただここまで広大だと口だけで掘り進むのは骨が折れるわね
指定UCのドリルにグールドライバーの捕食態を形成してすり潰して食べやすくしながら喰い進んでいきましょう
「飢渇」も複数展開してリンゴを捕食させながら別行動で掘り進む
広場を見つけたらまず「飢渇」が天井に開けた穴から奇襲して絡みつかせて動きを止めつつ捕食、パニックを起こして壁際に来た一体に対して
「こんばんわ お客様よ」
と輝き感をだしながらリンゴの壁から唐突に凶悪に歪めた顔だけ出して恐怖を与えUCの鉤爪の方で穴に引き釣り込んで捕食する
甘酸っぱさだけじゃなくて他の味も欲しいしね
先行した一人がなんやかんやで差し入れの上、オウガを乾きで攻めていた中。
別方向からリンゴを食べ進める猟兵達が居た。
「りんごを食べて掘り進む……えっ?
ちょっと何言ってるかわかんないですね……」
いやいや、そのまんまの意味ですぜ、神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)さん。
普段からぶっ飛んだ事件に遭遇してたりするあなたが、食べて掘り進む、って簡単な事を理解できないなんてありえないじゃないですか、あっはっは。
「や……だって……明らかに自分の身体より体重とか体積とか……」
言い訳無用だ、やれ。というか食え。
「あーわかった! わかりました! やりゃあええんじゃろやりゃあ!」
うんうん、それでいいんですよ。
ごくごく自然に地の文と交流している事は気にせずに、食べ進んで下さいな。
「た、食べる量を最小限に……這って進めるだけの小さな横穴を」
あっ、覚悟を決めた割には出来るだけ食べる量を減らそうと涙ぐましい努力をしておられる。
握りつぶして圧縮して、リンゴジュースにしてみたり。
ユーベルコードで燃やして焼きリンゴにしたりと、味のバリエーションを増やしながら頑張って進むアマミさん。
いけ、そこだ、がんばれ、アマミん!
ゴールまでは果てしなく遠いがいずれ到着できるはず!
そんなアマミさんの健気な努力、頑張ってるシーンを完全にぶち壊す面々の食事シーンをここからご覧くださ……。
「まてぃ! そんなお手軽に進む連中がおるなら、妾がここまでやる必要はなかったじゃろう!」
あっ、気付いた。まあいいや、こっちに来る前にすごい勢いで食べ進む面々の様子を紹介しなきゃ。
「……式、召喚【捜し鼠】」
「ほほう、お主も動物に助力を頼めるのか」
神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)が大量の鼠の式神を呼び出せば、その様子を興味深く見ながらエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)が言葉をかける。
そんな彼女が呼び出したのはビーストマスターとして助力を願った森の動物、ちなみに皆、腹ペコ状態である。
「あぁ、相棒の能力でな。式神だが鼠は鼠だ」
「ほほう、数もおるようで何よりじゃ。なら、我らは人海戦術、もとい動物海戦術でいくとするかの」
使役系能力者の二人が揃えば食べ進む、というより食べさせ進む、という物量を生かした恐るべき進軍速度が与えられるのは明白。
一匹一匹の食べる量は少なくとも、数が膨大ならば最終的には食べ進める範囲、距離は大きくなる。
更に凶津の呼び出した鼠は通常の鼠ではなく式神、つまり飽きがこないし満腹になったというなら帰還させ、別のを呼び出せば解決である。
結果、食事速度、範囲は加速して。
凶津は横から、エウトティアは途中までは仲間と共に、そして現場に近づけば休憩所の下部を目指して動物達を食べ進めさせ、落とし穴的トラップを作成に向かっていた。
「やはり物量作戦は正義です。あちらも中々の勢いですが、此方も一工夫。
大食い最大の敵は飽きですし、それらを解決出来る方法を用いて進みましょう」
物量作戦で突き進む二名を追うように、同じく大量の屍者の軍勢や屍獣の群れを呼び出したのは霧島・絶奈(暗き獣・f20096)
彼女もまた、軍勢を用いる猟兵ではあったのだが、勢いのままに進んでいった二人とは違い趣向を凝らす。
普通に素材の味を楽しんで、飽きてきた場合に備えて用意したのは数多のレシピ。
砂糖漬け、焼き林檎、コンポート、ジュースにシャーベット、りんご飴といくらでもバリエーションはあるとばかりに、軍勢に先行させつつレシピを実行。
「なるほど、水気の多い所ですね、今の場所は。
……ならジュースにするのがよさそうです」
今現在のリンゴの状況、それを見極め適したレシピを実行し、粛々と突き進む大軍勢。
まさに物量作戦の三連打、これで一気に突き進むスペースは出来たといっても過言ではなかった。
やはり数を用意できるのは正義であろう。だがしかし。
個人技で一気に食べ進める猟兵もいるのだ。
「リンゴで出来てる世界かぁ、面白いね。
しっかり味見していかないと!」
「飽きですって? 来るわけないじゃない。
こちとら飢餓の衝動を糧に動く死者なのよ?」
カチャン、と食器を鳴らして自らに強烈な空腹感を与えると共に、手足が生えた巨大な食器で出来た口を呼び出したシウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)
その隣では、常に飢餓の衝動に苛まれるメフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)が依頼時、出された注意なんて関係ないと言ってのけつつ、体からにじみ出るのはタール状の飢餓の衝動。
両者、一応召喚らしい召喚はしているが呼び出したのは共に1つ、そしてその呼び出した存在と共にリンゴを食べ始めるのだが……。
「この国は相性が良さそうだね、Hungry Dumpty。どんどん食べ進んで行っちゃってー」
召喚した巨大な口、それがリンゴにかぶりつき、一口で大きな空間を作りつつ食べ進む。
傍目にはシウムは呼び出した存在頼りに見えるのだが、彼女がこの存在を呼び出す為に支払う代償は、自らの満腹感。
つまりは、強烈な空腹感に苛まれるわけであり。
「それじゃ、ボクもいただきまーすっ♪」
空腹感を満たす様に、取り出した食器でリンゴを切り裂き、一口サイズにしながらシウムも延々と食べ進む。
それに応じて再び満腹感を犠牲にし、Hungry Dumptyを強化。
食べる能力を高め、食べれば食べるほど強くなる、まあなんだ、シウムにとっては無尽蔵のパワーアップアイテムのある世界になっていたわけで。
恐らく、オウガのいる部屋につく頃にはとんでもないことになっているんじゃなかろうか、という勢いで食べ進んでいくのであった。
「さてと……ちょっと食べにくいわね、なら。磨り潰す」
同刻、シウムと別方向に食べ進み始めたのはメフィス。
自らの武装を回転ドリル、ではなくハンドミキサーのように変形させて、リンゴへと突き立てて。
高速回転させればあら簡単、リンゴの摩り下ろしがあっという間に完成である。
それを黙々と口に運び、更には展開したタール状態である複数の飢渇も別方向から侵食するようにリンゴを食べ進み、とんでもない勢いで彼女は目標地点に向かい進んでいくのであった。
「わぁい奇襲! 拙者奇襲好き!
ほらほら、早く食べ進むでござるよ!」
軍勢、個人技、其々でとんでもない勢いで食べる者がいれば。
中間的な感じで尚且つ苦戦している者が居るのも道理であろう。
仲間が作った道に便乗しながらも、自分が進むべき道を食べ進む、というか食べ進まさせていた外道な人はエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)
何が外道かって? ほら、台詞でもわかるでしょう、自分で食べてないという事に。
そう、彼がやっていたのは急に出てきた知らない人をとっ捕まえて、食べ進むように強いるという他力本願な作戦だったんだから。
だがそんな無理矢理食べさせる行為で、しかも一人でリンゴばかりだと限界が来るのも早いぞ、どうするんだ?
「むっ? 飽きてきたら味変が必要でござるな! ほらこの【レーション(クソマズ)】をお食べ……おかわりもあるぞ!」
おいこらぁ!?
今日はカレーを食べていいの!? あぁ、たんとくえ。おかわりもあるぞ。
みたいなノリで嘔吐しそうなほどにやばいものを食べさせるな!?
普通なら大丈夫だけど食べ過ぎていた結果、苦しみ命にかかわるような事案になったらどうすんだよぉ!?
そんなもの食べさせたら、知らない人が本当に知らない世界に旅立って最終、誰も知らなかった人、とかになってしまうぞ!?
そんなこんなで無理矢理リンゴを食べさせながら突き進むエドゥアルト、鬼だ、鬼がいた。
「流石にこのリンゴばっかっていうのは飽きそうだねぇ」
「せめてアップルパイとかケーキとか調理して食べたい……。生のままだと飽きるよ」
同刻、同じように少数で進んでいたのは多重人格者の別人格を分身で呼び出した存在の緋瑪と、更に別人格を宿した人形の翡翠。
すでに飽き飽きし始めているようではあるが、そんな二人の主人格である四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)はというと……。
「デスソースならあるよ」
「「それは嫌」」
赤い小瓶に入ったデスソースをちらつかせて提案、そして二人揃って即答、拒絶の緋瑪と翡翠。
まあ流石にリンゴにそれはないだろう、って言いたいようではあるが。
瑠璃さんに悪意はないんです、許してあげて。
ちょっと辛党なだけなんです、多分、きっと、恐らくは。
そんなこんなで三人で交代しながらカット、調理、食事と進む一行。
分身したり人形を動かしたりで一人でやるよりはまあ、言い感じではあるがいかんせん速度は控えめ。
こうして、それぞれの食べ方や進行速度、方向や攻め方が互いにわかれば食べ進む際に協力しあうのも猟兵である。
「飽きたー……あっ、お菓子に変えれるならこっちにお願ーい♪」
「いいよー、好きなのに変えてあげるー」
完全に飽き飽きしていた緋瑪が見たのは、お菓子の道を作っていたシウム。
Hungry Dumptyの力で改変されていくリンゴ、その力を借りたいと提案すればシウムも快く応じ、ケーキに改変してみたり。
「おいおい、大丈夫か? その……よくわからん、知らない人間、倒れてるぞ」
「大丈夫でござるよ、ほらほら、まだ食べれるでござろう?」
鼠達で進む中、同じ様に横合いから攻めるルートを選択したエドゥアルトを呆れたように見る凶津。
酷使するのは同じだが明らかにダウナーな知らない人を気遣いつつも、そういうスタイルなら仕方ないと自分の事に集中したり。
「おや、摩り下ろしですね、丁度レシピに必要だったので少し分けてもらっても?」
「構わないよ、いくらでも用意できるからね。まあ、完成した分をちょっと貰えれば」
新しいレシピに挑戦する絶奈、ちょど摩り下ろしリンゴが提供できる場所に居たメフィスに頼み、摩り下ろしリンゴを入手して。
調理しつつ、出来た分をメフィスに返し軍勢が進んでいったり。
「どうしたのじゃ、そんな死にそうな顔で這い蹲ってからに」
「ひ、一人で行くには限界があったのじゃ……」
たまたま、小さな横穴にぶちあたったエウトティア。
そこにはめっちゃ苦しんだ顔のアマミが居て、通りすがり挨拶をするような感覚で。
それでいて、限界寸前なアマミが訴えるのを聞きながらしれっと休憩スペースの地下へと自分は進んでいったりとまあ、各々がオウガを上下左右から包囲する形で展開。
こうして、食事に四苦八苦したり逆に利用したりする者とバリエーション豊かな猟兵がオウガに迫り、戦端が開かれようとしていた。
●
「うぁ、あ。もうだめだぁ、喉が、カラカラだが、もう、食えねぇ」
「か、完全にはめられた、な」
こちらは完全グロッキーなオウガ、トランプの巨人さんたち。
先ほどの差し入れで、盛大に喉が渇いてボロボロになっていますが残念、君たちの冒険はこれで終わってしまうぞ。
だって、他に8人の猟兵が既に包囲するように、この空間を取り囲む位置まで食べ進んでいるのだから。
「と、到着じゃ……おのれ、この苦痛。こやつらで発散してくれようぞ!」
一番手として到達したのは、意外にも一人で進んできたアマミ。
まあ、他の人は大穴空けて乗り込んだり、視界を奪ったりするので機会を待っているだけだったりするんですけどね!
「たった一人で食べ進む苦行、仲間と共に食べ進んだ貴様らにはわかるまい、死ねーっ!!」
一方的な怒りを向けて、開いた小さな穴から反重力装置の余剰エネルギーであるフォトンブラストを発射。
へばった状態で突然地面に叩きつけられ、何事かと思い顔をあげればそこには天井付近から見えるアマミの腕があったのだ。
「あべーふっ!? あ、あそこだ、あの腕だぁ!」
「あっ、ひっこんだぞ、誰か、食べ進めろっ!」
「無理だっ、食べられねぇ!」
うん、満腹感でもう食べるのが辛いのに、引っ込まれたらもう追いかけられないねぇ。
完全に三下な会話とかしちゃっていたけど、一人が仕掛けたんで次がくるんだ、オウガたち。
「うあぁ!? な、なんだぁ!? 上から来るぞ、気をつけろ!」
「こっちだ、壁際に逃げ込めっ!」
地面に押さえつけられた直後、天井から落ちてきた黒いタールに絡みつかれたオウガが叫ぶ。
中央付近から滴り落ちるその黒き存在、逃れようと壁際に逃げ込むがそれこそ猟兵の狙いであり。
「こんばんわ、お客様よ」
壁に到達したオウガ、その耳元で突如聞こえたのはメフィスのささやき。
ハッとして顔を向ければ、壁から顔だけ出した状態の彼女が居て、凶悪に歪んだ笑みを浮かべつつ。
直後、壁を突き破るように伸びたのは黒き鉤爪、そしてそのまま突き破った壁の中へと引きずり込んで。
「ぎゃぁぁあああ!? 腕が、足がぁ!? た、たすけ、たすけで……ごぶぅ!?」
「甘酸っぱさだけじゃなくて他の味も欲しいしね、割と美味しかったわよ」
引きずり込まれ、悲鳴と共に瞬間的に捕食された仲間の断末魔。
突然の奇襲によってまともな対応が出来ないままに、仲間を倒され混乱したオウガたちだがもちろん、猟兵はこの機会を逃す事は無く。
「さて……爆破物の出番でござるな」
続いて動くはエドゥアルト。
満身創痍(主に胃袋が)な知らない人を押しのけて、こぶし大の穴を開ければぽいっと投げ込む手榴弾。
「うん? あれは爆破物!」
「これは負けてられないね!」
その様子を別の穴から覗き見ていた緋瑪と瑠璃、遅れてはいけないと自分たちも接触式ボムを投げ込めば、手榴弾と合わさっての爆発のハーモニー。
どどどーん、って擬音が出そうなノリと共に、爆発に巻き込まれて吹っ飛ぶオウガ、うわー、だめだー、なんて悲鳴が聞こえるがここから突入組みの出番である。
薄いリンゴの壁を蹴破り、サングラスをかけて決めちゃったエドゥアルト、その手には火炎放射器が!
ま、まさか、こいつ、やる気か!?
「ヒャッハー!! 汚物は消毒だぁ~!!」
あーっとぉ、いいましたねぇ、この為だけに重たい火炎放射器まで持ち込んで。
サングラスまでかけて、完全になりきってますねぇ、でもね、でもね。
「わー、まんまあの台詞だー」
「けど、モヒカンじゃないね……」
エドゥアルトに続けて飛び込んだ緋瑪と翡翠が言葉を交わす。
この二人が言うように、そうだ、ひとつだけ足りないのだ……台詞もある、火炎放射器もサングラスもある。
だがしかし、エドゥアルトにはたったひとつのポイントが欠けていたのだ、そう、モヒカンという髪型が。
「むっ、言われてみれば。まあ細かい事は置いておいて、浄化でござるよー」
そんな二人の突っ込み受けて、ちょっと考えるエドゥアルトであるが勢いで押し切った。
まあ、勢いって大事ですからね。
「リンゴばっかりで飽き飽きしてたでしょ、これで口直しをしてね」
「あぁ、ありがて……ごぶふっ!? カラミスコビルゥー!?」
そんなやり取りの画面外、瑠璃さんが倒れてたオウガを何かこう、体が爆散してしまうような断末魔を上げさせていた。
何をしたかって?
リンゴばかりでもう飽きた、なんてオウガに自分の特性デスソースかけリンゴを食べさせていたのだ。
言っておきますが、彼女に悪意は無いんです、本当に、善意から、恵んであげたんです。
ただ、ちょっとだけ、彼女の味覚が辛党に振り切れているからおこった、悲しい事件なんです、本当です。
完全に奇襲が決まった猟兵、そして更なる攻撃が続いていく。
爆発で完全に混乱していたオウガ、そこへ開ける巨大な穴が三箇所ほど。
「ひぃっ、まだきやがるっ!?」
混乱からくる恐怖、組織だった連携もとれず各個撃破され始めていたオウガが一度に開いた穴に怯える中、まずは一つ目の穴から出てきたのは凶津であった。
「そ、そんな穴をどうやって!?」
「ん? どうやって食い進めて来たかって?
鼠に食わせて楽に進んで来たのさ。羨ましいだろ?」
とりあえず敵としてのお仕事、どうしてここに、的な台詞を吐いたオウガ。
それに応じるようにして、クイッと顎を凶津があげれば、その足元から姿を見せるは夥しい数の鼠たち。
赤く光る眼光は恐怖を与えるに十分だが、目が血走っているのはおそらく悪意とか敵意ではなく、食べる事を延々と強いられたことに対する不満な気がしてならない。
「ま、ここで終わりだ、最後の食事がリンゴばかりだったのは同情するが、な!」
恐怖でたじろいだオウガに躊躇い無く踏み込んで、凶津が抜くは無銘の妖刀。
刃が一閃、煌けば。
防御も回避も間に合わぬ、オウガの胴部に一筋の線が走ってそのままずれるようにして。
上半身と下半身、それらが離れ離れになって、一撃の元に凶津はオウガを斬り倒し、次なる標的へ斬りかかっていた。
「今まで静かに進み、ここまで来れたようですが。
……雌伏の内に果てると良いでしょう」
同時に別の横穴から仕掛けたのは絶奈。
彼女が姿を見せる前に、横穴からオウガ目掛け伸びるは白く輝く炎。
焼夷弾を炸裂させた彼女は先ず手始めに炎による範囲攻撃を仕掛けつつ、相手の視界を一瞬奪ったこの機を逃さず軍勢をけしかけて。
それと同時に異形へと変じた彼女の右手には槍が、左手には剣があって、振るえば伸びる衝撃波。
リンゴの地面を削り取り、そのまま広域へ広がる衝撃はオウガたちの足を止め、なだれ込んだ屍者の軍勢が組み付いて。
力任せに武器を振るって抵抗し、何人かの屍者を蹴散らすオウガであったが多勢に無勢、更には衝撃を受け体勢崩せば勝負あり。
何とか抵抗を始めたオウガたちも、猟兵の攻勢の前に崩れ、逃走を始める姿を見ながらに。
「……そう言えば何かの逸話で黄金の林檎なんてのもありましたね。
人類に黄金の時代を齎すモノと考えれば、勝利を齎す此処の林檎も似た様なものでしょう」
林檎に関する逸話と共に、何かを思い絶奈は小さく呟いていた。
「ぐぁああ、だ、だめだぁ、にげろぉ!」
「何処に逃げるんだぁ!?」
「へっ、楽しかったぜ、メノレツェール……」
三下な叫びと共に何か別の言葉が聞こえつつ、倒れ動かなくなるオウガや逃げ道を探すオウガが続出、そんな一同に救いの手を差し伸べる者が出た。
「こんにちは、オウガのみんな。はーい、ここにお菓子で出来た穴がありまーす」
声の主は別の穴から姿を見せたシウムであり、彼女が指し示したのは自分が作ったお菓子の穴。
必死で逃げるオウガたちに、こっちに来いと手招きしつつ。
「ここまで食べ進むのも大変だったんだよね? それに、今から逃げるから食べ進むの大変。
飽き飽きして食べ進むのも辛いなら、味変するといいよ、進む効率が良くなるから試しに齧ってみてー」
パニック状態の中、差し伸べられた救いの手。
しかも食べ進む協力までしてくれるなんて、まさに天使、みたいな感じで殺到するオウガたち。
「ヒャッホォォゥ、これで助かるぜぇ!」
「しかも、リンゴ以外が食べれるなんて最高だぜぇ!」
喜び勇んでお菓子の穴に向かうオウガたち、しかし相手は猟兵である。
如何に混乱していても、その甘言に乗ってしまうことはいけないと、彼らは身を持って知る事になる。
「はーい、一名様、お菓子へごあんなーい。
うん、齧れなくなっちゃうと進めないけどね♪」
穴に潜んでいたHungry Dumptyさん、一番乗りのオウガにタッチ。
それと同時にオウガの体がお菓子になって、完全に動きをとめていたのである。
「な、なんだぁ!? ひぃ、あいつがお菓子にっ!」
「だまされたってのかぁ!? くっそぉ!」
ようやく嵌められた事に気付くオウガ、世紀末な思考でいたからこうなるのだ。
だが、罠は二重、三重にするもの。
お菓子の穴に残存するオウガが集まり重量が一点に集中した結果……下部から攻めていたエウトティアの計略が完全に発動する。
「全員集まるとは、よほどお菓子が欲しかったんじゃろうなぁ。
まあ、これで終わりじゃがの」
地面から聞こえた声、それと同時にオウガの足元が一気に崩落。
一箇所に固まっていたが為に哀れ、生き残りオウガが全員、その落とし穴に落下して。
「水の精霊よ。咎人を搦め捕るのじゃ」
透き通るような声、それはエウトティアのもの。
それと同時に数多の氷の鎖が広がれば、穴に落ちたオウガ達を容赦なく縛り上げ、その動きを封じていく。
「ぐぉああああ、ぐっ、はなせぇ!」
雁字搦めにされながら、必死で抵抗しようとするオウガたち。
だが、そんなオウガたちに手心を加えないのが猟兵、っていうかエウトティアさんである。
崩落したリンゴを抱え、めっちゃ良い笑顔で動けないオウガに近づいて。
「ほれほれ、リンゴはまだまだ沢山あるぞ。
お残しは禁止じゃ、たんと食べるがよい」
「や、やめてうぇぇえええ!? もが、もご、うぉぇぇぇ」
体は動けず、そして口だけ開かせて、一人、また一人とオウガの口にリンゴを押し込み、行動不能にさせていく。
いや、その、お残し禁止って、この国、全部リンゴですからね!?
お残し禁止させたら全部食べる事になって、国が消滅しますからね!?
そんな突っ込みどころ満載な、えげつない拷問をしていくエウトティアさん。
なんてことだ、いまいちオウガ共にやる気が感じられぬがこれも役目、手早く退治するなんて依頼に望む時は言っていたのに。
今は延々とリンゴを食べさせる、拷問実施マシーンのようになってしまうなんて、これも迷宮災厄戦が悪いんだっ!
そんなこんなで、残存していたオウガも大食い拷問で全員が行動不能、猟兵の手によりこの一団は完全に制圧された。
「流石にちょっと食べ過ぎたかも」
「暫くリンゴは良いかな」
なんて、緋瑪と翡翠が延々と林檎を食べ続けた面々の気持ちを代弁していたり。
「やっぱりデスソース……」
「「それは嫌」」
ならばと再びデスソースを進めようとして、やっぱり拒否される瑠璃が居たりとそういう所は平常運転。
なんだかんだと、苦行を強いられた者も居たが勝利は勝利、しかも奇襲を完全に決めてのものである。
ひとつの戦場、その勝利は全体にとっては小さな一歩、されど積み重ねることで大きな戦果に繋がる一勝を得た猟兵は、次なる戦いに向け休息を。
如何なる戦いが待ち受けるかはわからぬが、全力で挑み、乗り越える為の癒しを得るのであった。
大成功
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