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迷宮災厄戦⑬〜かつてアリスが絶望した断頭台〜

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦


●アリスラビリンス・召喚断頭台
 アリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラであるオウガ・オリジンの食事を饗する国に、召喚断頭台とよばれる装置があった。これは迷い込んだアリス達を問答無用に直接断頭台に召喚するものである。
 この断頭台に召喚されたものの末路は例外なく、死と絶望が与えられた。そしてその感情と死肉はオウガ・オリジンが遠慮なく喰らっていった。その数は数えるだけ馬鹿らしいであろう。
 さらにその食事のおこぼれを預かろうと、大量のオウガ達がかけつけていた。そして実際に他とは比べ物にならないほどの食事にありつけ、肥え太っていくという事態にまでなった。
 現在は猟書家や猟兵達との戦争中故に、その召喚機能はストップしている。だが断頭台事態は作動している。いつでもその上に立った者の首を斬り落とさんと言わんばかりに。
 そしてその一帯の食事にありつけて、力の増したオウガ「ジャバオウガ」達が外を闊歩している。いずれオウガ・オリジンがその機能を再開させれば、その食事に再びありつける。
 ジャバオウガ達はアリスを喰らうということに忠実故に、この装置から離れることはない。そして縄張りを荒らそうとする者は、神と呼ばれる存在であるオウガ・オリジン以外には容赦はしない。

 知性は獣程度ではあるが、獣故に餌場を守る。その本能が獰猛な戦いを引き起こし、召喚断頭台を結果的に守護しているのだ。

●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「自動召喚されて断頭台とは、とんだ異世界召喚じゃのー」
 悪趣味な断頭台がいくつもある世界を電脳ウインドウに映し出しながらメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は顔を歪ませながら吐き捨てる。オウガ・オリジンの食事を提供し続けた世界は悪趣味というしかない。
「この断頭台は今は召喚停止しておるが、機能はしておるからのー。そこを利用してオウガ共を叩こうというわけじゃのー」
 今映し出されているエリアでは、アリス・オリジンの食事のおこぼれに預かったオウガ「ジャバオウガ」達が闊歩している。豊富な栄養をとっているからか、どの個体も大きくなっており強化されている。
 だがこの断頭台の威力はさすがはアリス・オリジンの力で作り出しただけあって、今のジャバオウガでも首を落とせば一撃で倒せるようだ。故にいかにジャバオウガ達を断頭台を利用して倒すかが、このエリアのオウガ殲滅の鍵になってくる。
「勿論普通に倒すのもありじゃが、やはり利用できるものは利用せんとのー。しっかり有効活用してくれのー」
 そう言ってメイスンは転移術式を展開していく。アリス達を絶望させた断頭台、それをオウガ達が受ける時がきた。猟兵は報いを受けさせるために動き出す。


ライラ.hack
 某欧州革命より酷いギロチンだ……。
 どうも皆様こんにちわ、ライラ.hackです。

 今回は猟書家達の道を塞ぐ国の一つ、「召喚断頭台」攻略戦です。
 かつてオウガ・オリジンに食事を饗する為に使われていた、アリスを直接「断頭台の下」に召喚するという、恐るべき絶望の国です。現在は戦争に注力するため召喚機能は停止していますが、この国のオウガ達は「食事のおこぼれ」を食べてきた事ででっぷりと太っており、戦闘力も高いです。が、この国のあちこちにある断頭台で首を落とせば、一撃で殺すことができます。

 以下、特殊ルールとなります。
 プレイングボーナス…… オウガを断頭台に乗せる。

 以上です。おこぼれで肥えたジャバオウガを断頭台の露とし、アリスの無念を晴らしてあげましょう。
 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ジャバオウガ』

POW   :    喰らいつく顎
【噛みつき】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    かきむしる爪
【爪】による素早い一撃を放つ。また、【翼を限界まで酷使する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    燃え光る眼光
【視線】を向けた対象に、【額のクリスタルから放たれるビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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リンゴ・スターアップル
うわぁ、アリスの人たちの怨念が色濃い所来ちゃったなぁ
これだと私の身体に残ってる人たちのも刺激されて……あ、だめだこれ、抑えられないや。よし、じゃあ……存分に殺しちゃおう

UCでアリス幽霊さんたちを乗せた牛鬼を召喚
アリスさんたちに迷宮UCでオウガたちを迷宮内に閉じ込めて貰うよ!
中はアリスさんたちの怨念や無念の空間
おこぼれを貰ってきた君達はそう簡単には抜け出せないよ☆

そして牛鬼さんはミノタウロスとも言ってね。迷宮をそのまま中身ごと食べれちゃうの
でも今回は食べないで、同じ要領で迷宮を圧縮してそのまま断頭台に乗せて貰うよ
そこで担当アリスさんに迷宮を解除して貰ってオウガの首をちょんぎっちゃおー★


尾守・夜野
「なんと悪趣味で
…素敵な所なのかしら
敵の頭がひのふの…沢山
今度は自分の首が落ちるの楽しみなさいな
世の中因果応報なのよ」

ハイテンションな私(女性人格)でお送りするのだわ

断頭台の近くでUC発動、断頭台に付属する拘束部分及び地面を植物に変化させましょう

「そうね?
最後は空が見えた方が気持ちよく(アリスが恨みを晴らし)なれるでしょうし
上を向かせてあ・げ・る♥️」

本来人道的に首をはねる相手に配慮しその瞬間を見せないとかだけど…
苦しませてから殺してあげる
捕まえ引き寄せUC解除

基本私達復讐者だから仕方ないわね
ついでに別人格悩みすぎてストレス貯まってるからその発散もかねてるわ(私はSい)

視線も全部植物でガードよ



 アリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラであるオウガ・オリジン。圧倒的な力を誇るオウガの祖であるかの個体は、多くのアリスを食い物にしてきた。
 その食事量は膨大であり、一人一人デスゲームで始末していたのでは効率が悪い。故に用いられたのが「召喚断頭台」である。
 強制的にアリスを断頭台に召喚し、首を刎ねるだけの装置。召喚されたアリスは急に断頭台に賭けられたことに絶望し、さらに巨大なオウガ・オリジンを前にして諦めただろう。その絶望と怨念はこの地になお残っている。
「うわぁ、アリスの人たちの怨念が色濃い所来ちゃったなぁ」
 そう呟くのは林檎の愉快な仲間でもあるリンゴ・スターアップル(魔法少女スターアップル・f19739)。願いを聞き遂げる彼女ではあるが、その地に刻まれたアリスの怨念は彼女を刺激する。
 リンゴの身体は自分自身だけではなくオウガに食い残された犠牲者の肉片も構成されている。その部分が、この地の怨念と共鳴して衝動が抑えきれなくなる。
「……あ、だめだこれ、抑えられないや」
 あまりの刺激にリンゴは身体が制御できなくなるのを感じる。そして目の前に現れた、アリスの肉片のおこぼれを預かってでっぷりと太ったジャバオウガを見た瞬間に弾け飛ぶ。
「ゲギャギャギャギャ!」
「よし、じゃあ……存分に殺しちゃおう」
 己の肉片で太ったジャバオウガ達を殺してくれ。その願いを叶えようとリンゴは動き出す。即座に能力「怨念アリスと迷宮喰らいの牛鬼(ゴーストアリス・ラビリンスミノタウロス)」を発動させて、ジャバオウガ達の前にアリス適合者の幽霊と、彼女達を乗せた牛鬼を召喚する。
「ゲギャゲギャッ!」
 自分達の喰らったアリス適合者の幽霊など恐れることはないと額のクリスタルから放たれるビームで倒そうとするジャバオウガ。だが彼女達は怨念や無念でできた武器や異形化した部位で武装しており、ただのアリスの幽霊ではない。
「やっちゃって、アリスさん達!」
 そういうとアリス適合者達の幽霊は怨念を乗せて、各々が連携発動するユーベルコードを起動させる。それこそ、アリス達の怨念の迷宮の構築。
 ジャバオウガ達のビームが到達する前に現れた迷宮こそ、この地で斬首されたアリス適合者達の怨念や無念の空間。それは禍々しく、そして力強く歪んだ迷宮であった。
「おこぼれを貰ってきた君達はそう簡単には抜け出せないよ☆」
 そしてアリス適合者の幽霊を乗せる牛鬼は、ミノタウロスの異名を取る。迷宮をそのまま中身ごと食べる、迷宮喰らいの鬼。
「でも今回は食べないよ? それじゃ断頭台にご案内ーー!」
 そうリンゴが指示を出すと牛鬼が動き出す。構築された迷宮の外壁に触れると迷宮を圧縮し始める。それでもかなりの大きさではあるが数十体を超えるミノタウロスがそれを持ち上げて、そのまま断頭台へと運び出す。
 それに気づいたジャバオウガ達は脱出しようと試みるも、アリスの怨念で作られた迷宮は捕食した敵を逃がしはしない。悪意のある構造をしている上に、強度もかなりのものだった。
「それじゃアリスさん、迷宮解除ー! からのー、首をちょんぎっちゃおー★」
 迷宮を力技で運び上げるという役目を終えた牛鬼が断頭台に乗せた瞬間、アリス適合者の幽霊は迷宮を解除する。そして生物を確認した断頭台はその機能を発動させる。
 断頭台にいたジャバオウガ達はなすすべもなく首を刎ねられる。力が増していようが、オウガ・オリジンの食事を提供する断頭台の刃の前には無意味だった。

 だが迷宮が広すぎたせいか、一部のジャバオウガ達が断頭台に乗らずにすんでいた。だが断頭台の恐怖から逃れても、薄笑いの尾守・夜野(墓守・f05352)は逃す気など毛頭なかった。
「なんと悪趣味で…素敵な所なのかしら。敵の頭がひのふの…沢山」
 本来は男性である夜野ではあるが、彼は多重人格者。現在はハイテンションな女性人格が表に出てきており、服装も黒のドレスを纏っている。
 その様相は美しき少女のよう。だが血を求めるのは吸血鬼のようであった。夜野は薄く笑う。
「今度は自分の首が落ちるの楽しみなさいな。世の中因果応報なのよ」
 断頭台から逃げようとするジャバオウガ達に向かって、能力「【襲】穫祭(ハーヴェスト)」を発動させる。断頭台の地面から現れるは、同じ構成物質の植物だ。
 さらに断頭台に付属する拘束部分までもが植物へと変わり、ジャバオウガ達の身体を捕縛していく。太った身体はパワーはあるが、動きが鈍重になっている故に植物から逃れることはできない。
「ゲギャギャギャギャ!」
 力任せに解こうとするも、幾重に絡まってくる植物を解くには大量過ぎた。能力発動の夜野も気分が乗っているのか、パワーが上がっているのだろう。
 その表情は悪戯っぽい笑みに変わり、残酷な宣言をする。
「そうね? 最後は空が見えた方が気持ちよく(アリスが恨みを晴らし)なれるでしょうし、上を向かせてあ・げ・る♥️」
 その言葉にジャバオウガが必死の抵抗をみせるも、無意味であった。基本復讐者である夜野の性質が今回は全開に表層に出た感じであろう。
 ついでに別人格悩みすぎてストレス貯まってるからその発散もかねてる。夜野の現在の女性人格はサドの度合いが激しいのだ。
 最後の抵抗と言わんばかりにクリスタルビームを放つも、植物が夜野の盾になってガードする為に届くことはない。そしてカーテンシーを披露して、ジャバオウガの断頭を見葬る。
「本来人道的に首をはねる相手に配慮しその瞬間を見せないとかだけど…苦しませてから殺してあげる」
 そして迫り来る断頭台の刃を見ながら、夜野は能力解除して、断頭台が起動する。迷宮で生き残ったと思われたジャバオウガ達はこうして、一匹残らず首を刎ねられた。

 この断頭台で散っていったアリス達の無念はこれで少しは晴れたであろうか。リンゴは複雑な思いを胸に、断頭台を見つめる。夜野のまた同じであった。
 決して晴れることはないかもしれない。だがそれでも、己の肉を喰らったジャバオウガを葬ったことが、少しは餞になればいいと二人は思うのだった。願いは別にあったとして、それは今となってはわからないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朧百合・祈來璃
おまかせ
アドリブ/連携:お好きにどうぞ

・幽世に住まう東方妖怪
・神器遣い×どろんバケラー 

・外見年齢20代前半
・実年齢99歳以上

・彼女を表す言葉は【立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花】 

通常口調『ゆったりと穏やかに(わたくし、~様、ございます、ございましょう、ございますか?)』
真剣な時『信念のある(我、汝、まし、ませ、ましょう、ますわね?)』

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

お相手様の知性は獣程度‥ならば好物のアリスに化術で姿を変えたのち、UCも使用し断頭台へ…さぁ、アリスはここに‥逃げてしまう不安が消えないでございましょう?


ニール・ブランシャード
今更ぼくが何をしても世界の仕組みが変わらないのは分かってる。
でも、この光景は、あんまりだよ…

ぼくタールだし、ごはんが来たとは思ってもらえないかな
ほーら、侵入者だよ!大事な縄張りを横取りしちゃうかもよ!…挑発ってこんな感じ?

攻撃は躱すか、【武器受け】で攻撃をいなすことに集中。反撃はしない。

その間にUC「霧」で麻痺毒を体の中で作る。
意識と感覚を保ったまま体が動かせなくなるように。
眠らせることはできるけど、しない。

君たち体が大きいから、いつもより強いやつを作ったよ。

うまく効いたら断頭台へ連れてく。特に何もしないよ。淡々とやるだけ。

ぼく、君たちの仲間も探したいからもう行くね。

それじゃ、さよなら。



 あまりに凄惨な殺戮の場となった召喚断頭台。オウガ・オリジンの食事を用意するという機能を淡々とこなしたその装置自体には罪はないが、殺された者の怨念は拭えない。
 その怨念すらも食事の肴として愉しめるオウガ・オリジンはまさしく、オウガの王に相応しいが、そのおこぼれを頂いて太ったジャバオウガ達はなお醜く感じるには気のせいではない。実際、かの獣達は醜く貪欲に今だに肉を求め続けているのだから。
 今は召喚機能は停止して、アリス達の召喚は止まっている状態。だがおこぼれが頂けないとなれば、持てる力が上がったこともあり、侵入者を狩る他ない。
「……本当に残酷な光景でございますね」
 幽世の佇む美女という表現が正しいといえるだろう。アリスラビリンスには似合わない東方妖怪、朧百合・祈來璃(ある古神の神使・f28847)は唐傘を持って憂いの表情を浮かべている。
 彼女を現す言葉があるとすれば、「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」。その美しさ・儚さはまさしく朧の百合といったとところだろう。
「今更ぼくが何をしても世界の仕組みが変わらないのは分かってる。でも、この光景は、あんまりだよ…」
 そしてその祈來璃の隣にあって従者か護衛のように立っているのがニール・ブランシャード(うごくよろい・f27668)。着物美人とは対照的に西洋甲冑姿のブラックタールである。
 とはいっても西洋甲冑の中にブラックタールが住んでいる状態ではあるのだが、その感情は悲しみに包まれている。かつて自我がなく群体の一部であった頃にはありえなかったことだ。
「悲しみは終わらせなければなりませんね」
「……行こう」
 そして二人は戦場となる断頭台近くへと歩き出す。そこはアリスの肉を食らって肥え太ったジャバオウガ達が断頭台を守るように闊歩している。
 だが祈來璃は決して怯むことはない。静かにゆったりと能力「弱り目に祟り目(カラミツクタタリ)」を流れるように発動させる。そして東方妖怪ではなく、ジャバオウガ達の好物であるアリスに化ける。
「ゲギャギャギャギャギャ!」
 突然現れたアリスという肉の前にジャバオウガ達は狂喜乱舞する。そして脇目に振らずに祈來璃に殺到するが、それを胡蝶のように避けて断頭台へと向かう。
 その際に妖術で霊力を蝶のようなものに変えて、ジャバオウガに被弾していく。ダメージはさほどないが、ジャバオウガの中である感情が増幅していく。
「さぁ、アリスはここに‥逃げてしまう不安が消えないでございましょう?」
「ゲギャ、ゲギャゲゲゲギャギャ!」
 祈來璃の誘いにまるで幻影でも見ているかのように、狂った攻撃を繰り返すジャバオウガ。これこそが祈來璃の能力であり、先ほどの蝶は拭い切れない恐怖や不安を付与するものだ。
 そして精神は不安定な状態に導かれ、やがて「正気を喪失する出来事」が次々と発生しているのだ。ジャバオウガ達が今見ているのは、口に入れたアリスが噛んだ瞬間、また目の前に逃げている幻影である。
「さあ、報いの時ですよ?」
 精神が幻影に侵されたジャバオウガ達は祈來璃に誘導されるまま、断頭台へと向かう。そして何の疑いもなく断頭台へと上がり、首がギロチンの軌道上に入った瞬間、首を次々と刎ねられていく。
 それはまるで火に誘われて自ら業火へと身を投げ捨てる蛾の如く。祈來璃という蝶は決して強力な攻撃をすることなく、ジャバオウガを断頭台で葬っていった。

 一方のニールもジャバオウガとの戦闘を繰り広げていた。美味しそうなアリスに向かわずに甲冑姿のニールの方向に向かったのは、奇妙な臭いに釣られてたからだであろう。
 ブラックタール特有の臭いというべきか、そこにアリスに食傷気味だったジャバオウガは珍味を感じ取った。そしてニールもまた派手に挑発をする。
「ほーら、侵入者だよ! 大事な縄張りを横取りしちゃうかもよ!」
 そんな安易なニールの挑発であったが、単純なジャバオウガに対しては有効であったのだろう。その甲冑ごと喰らわんと噛み付き攻撃を繰り返して、ニールの身体に迫る。
 それに対しニールは長柄の戦斧を盾に受け流したり、身を翻して回避に専念する。その際一切攻撃を加えることがないことが、ジャバオウガ達にさらなる勢いを与えることになる。
「君たち体が大きいから、いつもより強いやつを作ったよ」
 そんなニールの言葉が響く頃には、攻撃をしていたジャバオウガ達の動きは緩慢になっていた。そして身体を動かすことができなくなり、倒れ込む。
 ニールの能力「霧(ミスト)」。体内で生成した、任意の毒性を持つ霧を放つ能力を体内で麻痺毒を形成したいのだ。それを回避中に散布、意識と感覚を保ったまま体が動かせなくなったわけだ。
「ゲ、ギャ……」
「眠らせることはできるけど、しない」
 それが罰のようにミストは動けなくなったジャバオウガを担ぎ上げて断頭台へと連れていく。その際に特に何もせずに、淡々と作業を行う。
 そこには怒りも憎しみもなかった。ましては悲しみや哀れみもまた。因果応報、ジャバオウガが断頭台で行われることはニールにとっては当然のことだった。
「ぼく、君たちの仲間も運ぶからもう行くね」
 そして断頭台へとセットしたニールはジャバオウガの末路を見ることなく、その場を後にする。
 まだ麻痺毒が効いたジャバオウガ達はいる。それを運ぶ為、仲間も後で追わせるという冷酷なメッセージ。
「それじゃ、さよなら」
 ニールが断頭台に降りる頃には、ジャバオウガの首と胴体は離れ離れになっていた。そしてそれを悲しむ同胞はいなかった。なぜならば同胞もまた同じ末路を辿るのだから。

 ジャバオウガ達にとって幻影に苦しめられて誘われながら首を刎ねられるのと、麻痺毒で意識はありながら首を刎ねられるのはどちらが幸せであろうか? 祈來璃とニールの行為は残酷であろうか。
 しかしアリス達の絶望はもっと深かったはずだ。恐怖だったはずだ。故にジャバオウガ達の結末は、そのアリス達の肉を食べた時点で決まっていたのだろう。二人はその執行者となっただけであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィランサ・ロセウス
私、か弱い赤ずきんちゃん。
ある日、気づいたら断頭台だらけの不気味な国に迷い混んじゃった!
私、これから一体どうなっちゃうの~!?
…って感じで、無力なアリスのフリをして狂暴なネコちゃんの前にうっかり姿を現しちゃうわ
獲物だと思って追ってきてくれたら好都合!
必死に逃げるフリをして、あらかじめ場所を確認しておいた断頭台の前まで誘い出すわ
目の前には人喰いネコちゃん、背に断頭台、もはや絶体絶命…
追い詰めた私にネコちゃんが飛びかかってきた所で、だまし討ちのUC発動!
動けないようにしっかり縛り上げてあげる❤
上手くいったら、あとは断頭台に頭を乗せてあげるだけね
あはっ、その表情すごく“好き”よ?
じゃあ、バイバイ❤


メアリー・ベスレム
国中断頭台だらけの獣だらけ
アリスの血だらけ絶望だらけ
こんな悪趣味な国はもううんざり
早く殺し尽くしてしまいましょ?

【私を飲んで】で小さくなって
【目立たない】よう断頭台へとたどり着く
そしたら一度縮小化を解除して

あら、あら!
こんなに近づかれても気付かないだなんて!
でっぷり太った間抜けな猫じゃ
番犬の代わりもできやしない!

そう大声を挙げて馬鹿にする
言葉が通じる相手だなんて思わないけれど
「馬鹿にされてる」ニュアンスさえ伝われば充分ね!
そうして敵がいきり立って、飛び掛かって来たのなら
【私を飲んで】を再発動!
メアリを見失っているその隙に
自分の居場所に気付かないそのうちに
断頭台で、首を落としてあげるから!



 深き絶望と拭いきれない怨念に満ちた召喚断頭台であったが、おこぼれに預かっていたジャバオウガの数は急速に減りつつある。同士討ちをしているわけではなく、猟兵達が狩っている為だ。
 この一帯のジャバオウガ達は決して弱くない。むしろアリス達の肉を喰らってでっぶり太っている分、生命力に満ち溢れて力も増大しているはずだ。
 残ったジャバオウガ達は怪訝な表情を浮かべているだろう。その乏しい知性からは、まさか自分達の餌の供給源になっていた断頭台で仲間が葬り去られているのを創造することもない。
「私、か弱い赤ずきんちゃん。ある日、気づいたら断頭台だらけの不気味な国に迷い混んじゃった!」
 そんな自己主張の強いアリスの叫び声が木霊する。その声は感覚を研ぎ澄ましていたジャバオウガ達の耳にもすぐに入ることとなる。
 その方向へ視線を向けると、確かにか弱そうな少女が身体を震わせていた。だが少女は決して、か弱いアリスなどではない。
「私、これから一体どうなっちゃうの~!?」
 彼女の名前はフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)。赤ずきんのようなアリスを装っているが、その中身は元ヴィランの強化人間である。
 無力なアリスのフリをして狂暴なジャバオウガ達の群れの前にうっかり姿を現した、という芝居を打っている。傍から見ればそこまで精度のいい演技ではないだろう。だが知性に乏しいジャバオウガに対しては効果覿面である。
「グギャギャギャギャギャ!」
 そして久しぶりの美味しそうな獲物にジャバオウガ達はたまらずに殺到することになる。これにはフィランサも焦っている表情を浮かべながらも、心では満面の笑顔を浮かべていた。
(獲物だと思って追ってきてくれたら好都合! と思っていたけど予想以上の喰いつき!)
 そして始まるのは必死に逃げるフリをしてからの誘引だ。ジャバオウガ達の首を落とす、断頭台へと舞台に上げる為に。

 そんな一見悲愴そうに見えるフィランサの逃走劇ではあるが、遠くから眺めているメアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)は別種の臭いを感じていた。人狼特有の、そしてアリスラビリンスに召喚された者としての勘。
 あれは偽って獲物を狩る者の目である。そしてそれはメアリーも同じであった。怪物すら喰い殺す、オウガを倒す人狼(アリス)。
「国中断頭台だらけの獣だらけ。アリスの血だらけ絶望だらけ……」
 絶望と血こそがアリスラビリンスの日常。だがそれに増してもこの国は酷過ぎる。オウガ・オリジンという巨大なオウガによって蹂躙されたアリス達の絶望が満ちている。
 だからこそ終わらせなければならない。おこぼれを預かって肥えたオウガを屠らなければ、この怨念は晴れることはないだろう。
「こんな悪趣味な国はもううんざり。早く殺し尽くしてしまいましょ?」
 そして不思議な水薬を飲み干して、メアリーな能力「私を飲んで(ドリンクミー)」を発動して小さくなる。そうすることでジャバオウガの誰の目にも見えることなく行動することができる。
 もしかすると発見される可能性もあるが、ただでさえ目立たない上に、今はフィランサが疾走中。発見される確率は皆無に近かった。
 そしてうまく断頭台の近くまで来た瞬間、メアリーは縮小化を解除する。そして声を高らかに宣言する。
「あら、あら! こんなに近づかれても気付かないだなんて! でっぷり太った間抜けな猫じゃ番犬の代わりもできやしない!」
 まさしくそれはジャバオウガ達に存在を知らせると共に、挑発の意味を込めたものだ。明らかに馬鹿にしていると言わんばかりの態度に、声色を上げるメアリー。
 言葉は正確に伝わっているかはわからない。だがアリスの処刑を見てそのニュアンスはわかるようになっていたのだろう。その意図を嗅ぎ取ったジャバオウガは怒りの声を上げる。
「ゲギャギャギャギャ!」
 まるで喰い殺すと言わんばかりに、怒った表情でメアリーのいる断頭台に上がる。だがメアリーは知性のない獣と心の中で嘲笑っていた。
「まるでピエロね。ここが死に場所とは知らずに」
 そう言っていきり立って襲い掛かって来たジャバオウガの爪がメアリーを引き裂こうとする。しかしその爪は当たることはなかった。再び縮小化を発動させたことで、まるでメアリーが消えたからだ。
 実際は縮小化して足元にいるのだが、ジャバオウガは理解できない。そのままの勢いのままに断頭台へと突進し、起動地点に首をかけた瞬間に、ジャバオウガの首は刎ね飛ばされる。
 あまりの光景に他のジャバオウガは慌てるが、再び縮小化を解いたメアリーの蹴りによって、もう一体が断頭台に突っ込む。そして冷酷に、一瞬で首を刎ねられる。
「哀れね。自分の居場所に気付かないそのうちに断頭台で、首を落としてあげるから!」
 もはや誘い込まれたことなど気づかない怒りに支配された行動。そしてその後の混乱と恐怖。縮小化を組み合わせることで、メアリーはジャバオウガ達を翻弄し続けることになる。
 それは巨大な猫のピエロとのダンスであった。マスターであるメアリーの操縦によって、その舞台に上がったジャバオウガはすべての首が落とされることになった。

 一方派手に逃走劇を繰り広げていたフィランサも目当ての断頭台へとたどり着く。目の前にはジャバオウガ、背に断頭台、もはや絶体絶命。
 ジャバオウガも普通に考えればもはや追い詰めたも同然。爪で引き裂き、後は肉を喰らうだけと言わんばかりにフィランサに飛び掛かる。
「キャー! 食べられるーー!……なんてね❤」
 恐怖に顔を歪めたフィランサであるが、次の瞬間その表情は恍惚なものへと変わる。この断頭台は予め目を付けていた場所だった。
 そして能力「咎力封じ」の手枷・猿轡・拘束ロープが飛び出して、一瞬でジャバオウガ達を拘束する。そう、この場所はフィランサが拘束具を設置しておいたトラップ場所なのだ。
「動けないようにしっかり縛り上げてあげる❤」
 動くことができずにもがくジャバオウガを丁寧に縛り上げていくフィランサ。その表情と声色はまるで愛しいものに対するものだ。
 そして動くことのできないジャバオウガを断頭台へと運んでいく。その末路が想像できたジャバオウガは恐怖と絶望の表情を浮かべる。
「あはっ、その表情すごく“好き”よ?」
 フィランサの愛情表現とは、自分の感情を動かすものを好悪問わず「好き」と認識し、その対象を壊してしまう。それが彼女なりの愛なのだが、理解されることは少ない。
 だがオブリビオン相手ならば許される。だからこそ、彼女は戦いが「好き」なのだ。敵が「好き」なのだ。
「じゃあ、バイバイ❤」
 そして運ばれたジャバオウガは首を刎ねられる。そして次と言わんばかりに拘束したジャバオウガの元へと、恍惚の笑顔を浮かべて向かうフィランサであった。

 かくして二人の狩人によって、残されたジャバオウガの群れは残らず駆逐された。一方は騙して翻弄して何をされているかわからず、そしてもう一方は歪な愛の元に丁寧に処刑された。
 これでアリス達の怨念と無念が晴れるとは言わない。だが報いは受けたであろうジャバオウガは滅んだ。後はここで食事をしていたオウガ・オリジンを滅ぼせば、この地の魂は解放されるのかもしれない。
 先はまだまだ長い。守るオウガも膨大、猟書家達も暗躍している。だが戦争を負ける気はない猟兵達は挑み続ける。アリスラビリンスの世界を救う為に、この絶望を晴らすために負けるわけにはいかないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月10日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト