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暗闇の荒野を切り拓いて

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 ―――ここまで上手くやって来たってのに。
 馬も全速力で走らせている。だがヤツラはもっと早い。仲間達の馬車は既にヤツラに襲われた。
 荷馬車が右に大きく跳ね上がる。道端の岩に車輪が乗り上げたか。そんな思考も追いつかず、傾いた荷馬車はそのまま転倒してしまう。男もまた、勢いままに地面を転がる。
 ―――俺があそこを通り抜けようと言ったせいで。
 妻子の泣き叫ぶ声が聞こえる。ヤツラが迫る姿も見える。男は最後の気力を振り絞り、背負っていたマスケット銃をヤツラに向け、構える。
 ―――畜生。
 一発の銃声は何一つ結末を変えられず、虚しく暗闇の空へと消えていった。


「Hello、ハロー!皆さんの案内人、ガラテアでございます!」
 大きくよく通る声が、グリモアベースにいるアナタ達に届く。グリモア猟兵であるガラテア・オートマトン(アスタリスク・f12062)は、そのまま説明を始める。

「今回の冒険の舞台はダークセイヴァー、とある廃村近くを通りかかるキャラバンの皆さんを助けて欲しいのです」
 彼ら放浪の民は元いた村を抜け出す事に成功し、新天地を求めて旅を続けている。そんな彼らに災難が降りかかると、ガラテアは言う。
「廃村を通り抜けた後、彼らは何処からともなく現れたオブリビオンによって襲われてしまいます。予知の通りに事が進んでしまえば、彼らはあっけなく全滅してしまいます」
 空中に投影されたディスプレイには、犬にも似たオブリビオンの姿が映っている。
「皆さんにはこのオブリビオンを討伐して貰いますが…少し、面倒な特性がございます。このオブリビオン、とても臆病で狡猾なのです。なので、猟兵1人では足止めとして数匹が残る程度で、残りはキャラバン隊の皆さんを追って逃げてしまうのです」
 わざわざ強い相手とは戦わずに、弱い相手を狙う。キャラバン隊が逃げている限り、オブリビオンは彼らを追い続ける。
 その為、何らかの対策が必要になる。例えば、乗り物に乗って逃げたオブリビオンを追跡する。キャラバン隊の護衛として搭乗させて貰い、そこから迎撃する等。
「思いつく限り方法は何でもお任せします。キャラバン隊の皆さんは、自らの生まれた土地を捨てて、過酷な旅を選んだ覚悟を持つ人達です。オブリビオンさえ撃破出来れば、彼らはまた旅を続ける事が出来るでしょう」

「説明は以上となります。彼らを無事に助けられるよう、どうかよろしくお願いします」


赤黒い
 赤黒いです。今回はダークセイヴァー。集団戦から始まります。

 敵は余程の事が無い限り、猟兵達との戦闘を避けて、キャラバン隊を襲おうとします。其処をどうにか上手く対処して下さい。
 よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『オルトロス』

POW   :    くらいつく
自身の身体部位ひとつを【もうひとつ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    ほえる
【悲痛な咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    なかまをよぶ
自身が戦闘で瀕死になると【影の中から万全な状態の同一個体】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アウレリア・ウィスタリア
ボクはもともとダークセイヴァーで育ったので
キャラバン隊と同様に廃村から逃げ出してきた子どもを装って接触
隊に潜入します
ただ待つだけなのも申し訳ないので
ボクには歌うことしかできませんが子供達をあやすぐらいはできると思います

そのときが来れば
【血の傀儡兵団】を起動
集団には集団です
一体に対して複数で囲んでいきましょう

気を付けるのは【ほえる】の使用
その兆候を第六感で感じれば優先して攻撃
近ければ拷問具で切り伏せ、遠ければ銃撃です

血人形は数が多いので
できるだけキャラバン隊のひとたちの護衛にもつけるよう
30体ほどは後方に配置しておきます

保護してもらったのなら
その恩返しも含めてボクの全力で守りましょう

アドリブ歓迎




 キャラバン隊の荷馬車は合計で五台。そんな彼ら、放浪の民の一団が廃村を通り抜けた後、それは唐突に現れた。
 誰かが叫ぶ。野犬だ!
 また誰かが叫ぶ。全速力で走らせろ、逃げるぞ!
 馬に鞭打ち、速度を上げさせる。それらは、ヤツラは、次第に目視でも見えてきた。
 集団で向かってくる、暗い炎にも似た体を持つ犬のオブリビオン。通称『オルトロス』が、逃げるキャラバン隊達を追い掛けてきている。
 再度、誰かが叫ぶ。
 ―――あの人達の言った通りだ!

 一台の荷馬車から、突如として何かが飛び出してきた。
 赤黒い液体が滴る、小さな人形が宙に浮いている。それも一体や二体ではない。
 その数、合計100体。
 荷馬車から顔を覗かせ、オルトロスの集団を見るは猟兵の一人、アウレリア・ウィスタリア(瑠璃蝶々・f00068)。
 彼女は事前に、キャラバン隊に事情を話し護衛として荷馬車に乗せて貰うという事をしていた。
 キャラバン隊も最初は訝しんだ。だが、同郷の少女の無表情ながらも真剣な対応に、彼らは無下には扱えなかった。
 そしてオルトロスの集団が襲いかかる今、彼女は自らの役目を果たす為に、血の人形を繰り出した。
 アウレリアの【血の傀儡兵団(ブラッドマリオネット)】が、オルトロス集団へ向かってゆく。
 無数の血の人形はオルトロスを囲い、一体づつ丁寧に屠っていく。
 アウレリア本人もまた、精霊銃『ヴィスカム』を構え、オルトロス達を撃ち抜いていく。
 オルトロス達も抵抗を行う。迫る人形に噛みつき、振り払い、人形たちを落としていく。
 それでも、何体かは攻撃に耐えきれず、瀕死になって横倒れ、群れより脱落していく。かに思えたが、
 瀕死になったオルトロスの影より、同じ姿の、しかし無傷のオルトロスが現れる。それは再びオルトロスの群れへと戻ってくる。

 これは面倒過ぎる、アウレリアの銃は確かにオルトロス達の接近を防いではいるが、決定的な致命打には至らない。
 それでも止める事は出来ない。彼女は護衛として残していた血人形を再びオルトロス達へと放ちながら、自らもまた精霊銃の引き金を引き続ける。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

エメラ・アーヴェスピア
追うか逃げるか、どちらにしろ移動しつつが基本になるのね
…貴方達が諦めない限り、私も全力を出しましょう

悪いけど、最後尾にいる馬車の後ろに乗せてもらうわね
『我が砲音は嵐の如く』、浮遊する座標を私の周辺に固定して、移動しても砲が追跡するように設定
向かってくるのなら、逃げられない位に砲弾を撃ち込むまでよ!
馬車に近づいてくる敵を優先で【一斉射撃】、これなら広範囲で馬車の守りになるでしょう
…ある意味【拠点防御】になるのかしら?
惜しむらくは咆哮に対する防御が盾位しかないのよね…他の同僚さんに期待するしかないわね

それじゃあ…予知された未来を変える戦いを始めましょうか
(OPの男性の様にマスケットを構えて射撃)


カイム・クローバー
キャラバンね。俺もガキの頃、故郷でキャラバンの連中に食いモン貰った事があったな…。この世界じゃ弱肉強食は当たり前みてーなモンだ。けど、あの時の借りを返しとくってのも悪くねぇ。
おい、おっさん。無駄な弾使うなよ?こっからは猟兵の仕事だぜ。
馬車に乗って、追跡してくる犬コロどもをPOW判定で【二回攻撃】【鎧砕き】ユーベルコードで片端から撃ち抜いてくぜ。犬コロチェイスしながら銃を派手にぶっ放せるんだからストレス解消にゃ持ってこいだ。リロードは【早業】。スキは与えねぇぜ。
しっかし、こんな犬コロが対象を突然現れて襲ったってのか…。犬だけに誰かに飼いならされてるのか?…これで仕事終わって報酬なら楽なんだがな。




 オルトロスの集団の勢いは止まらない。集団からいち早く抜け出した一匹が、最後尾の荷馬車へと追いつき、喰らいつこうとして、
 銃声。それと共に飛び出したオルトロスの頭部が吹き飛び、絶命する。
「全く、厄介なヤツラね」
 銃声の主はエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)。マスケット銃を構えて、ふと呟く。
 仕留めきれなければ、また無傷の個体が現れてくる。それでもやらねば、と小さな彼女は気合を入れる。
「貴方達が諦めない限り、私も全力を出しましょう」
 最後尾の荷馬車の周辺に、浮遊し追従するガトリングガンが展開される。

 一方、別に荷馬車では、銃声が連続して鳴り響いていた。
 そこに居るのはカイム・クローバー((自称)凄腕イケメン盗賊・f08018)。『イーグル』『ラプター』、二丁の愛銃を手に、迫るオルトロス達を撃ち抜いていた。
 弱肉強食が当たり前のこの世界。それでも彼はキャラバン隊の姿に、いつかに受けた優しさを思い出していた。
「アンタラじゃねーけど…あの時の借りを返すってのも悪くねぇ」
 呟きながらも手は止めない。弾が尽きても巧みな早業でリロードを終え、弾幕を途切れさせない。

「それじゃ、お片付けと行くわよ」
「雑魚は退場の時間だ。舞台裏に引っ込んでな!」
 向けられるガトリングガン、マスケット銃。『イーグル』と『ラプター』の二丁のハンドガン。
 エメラの【我が砲音は嵐の如く(ワイドエリアバラージ)】。
 カイムの【銃弾の嵐(レイン・ストーム)】。
 偶然にも似た名前と特性のユーベルコードが、二人から放たれる。

 正しく【嵐】。全てを破壊する銃弾の雨に、非情にもオルトロス達は晒され、その身をおびただしい血で濡らす。
 噛み付こうにも、追いつけない。吹き荒れる嵐を中を、どうやって避けて走り抜ける事が出来るだろう?
 オルトロスの集団の大半は、エメラとカイム、二人の掃射により消え去った。

 それでも、その全てが倒されたわけでない。まだ後続より増援が見える。
「これだけやっても、まだ追い掛けてくんのかよ…キリがねぇ。そもそも何処から湧いて出たコイツラ」
「余計な詮索は後。今は…予知された未来を変える為に、戦うだけよ」
 ヒュウ、言うねぇ。軽口を叩くカイムを尻目に、エメラは再びオルトロスへ向けマスケット銃を構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
どうやらワンちゃんたちは追っかけっこがしたいらしいから、存分にやってあげようかね。

【獣相変貌】でオルトロスより一回り大きい猟犬の姿に変身して、逃げ出した奴を後ろから追いかけて襲い掛かるよ。
同じ形の動物なら体が大きいって事は、小さい奴よりも足が速いってことだからね。その分小回りはきかないけど、今回の場合は馬車を追っかけて道の上を走るわけだから問題なし。

噛み付き攻撃で回復する?一撃で仕留めれば問題ないね。

あ、見た目がだいぶあれだから、他の猟兵からの誤射だけは気をつけないと。味方だからね?群れのボスとかじゃないからね?


ベスティア・クローヴェル
こんな世界だからこそ、新天地を求めるのは当然のこと。
新しい場所で、彼等が幸せをつかめるよう、出来る限りの手伝いはする。

包帯等を巻いて、怪我人を装う。
適当に切り傷でも作って、血の匂いをさせておいた方がそれっぽいかもしれない。
その方はキャラバンに同乗させて貰いやすいだろうし、
弱い者から狙うのであれば、きっとこっちへの攻撃を優先するはず

相手が姿を現し次第、囮としてその場に残ってキャラバンを逃がす。
本格的に攻撃に移った時、キャラバンを追いかけ始めても追いつけないように、
【武器受け1】で攻撃を防ぎつつ時間を稼ぐことを優先。

ある程度時間を稼げたら、【月の狼】を使用して1体1体確実に噛み殺す




 銃弾の掃射にも怯むこと無く、オルトロス達の集団はキャラバン隊をしつこく追いかける。
 だがその時、突如としてオルトロスの一体が悶え、苦しみだしたかと思うとその場に倒れ消滅してしまう。
 それは連鎖的に起こった。二体、三体、四体と、オルトロス達が消え去っていく。

 後方より何かの影が見える。オルトロスの集団背後より近づく、二つの獣の影。だがソレはオルトロスでは無い。
 片方の獣は、巨大で歪な猟犬であった。大雑把に合成された、決して自然的でない形の獣。
 もう片方の獣は、巨大な狼。銀色の毛並みに赤い瞳は、先の獣とは決して違う美しさがあった。
 それぞれ、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(蛮族キマイラ・f07620)、ベスティア・クローヴェル(諦観の獣・f05323)。二人の猟兵がユーベルコードによって変身した姿であった。
 彼女らは後方よりキャラバン隊を、オルトロス達を追従し、瀕死となり仲間を呼んだオルトロスに止めを刺して来たのだ。本体を倒せば呼び出された個体も消滅する。自明の理である。
「いやぁそれにしても、あの作戦ダメだったねぇ。この子達全然引っかからなかったよ」
 歪な猟犬となったペトが、片手間にオルトロスを踏み潰しながら語りかける。
「…うるさい」
 狼のベスティアは、オルトロスへと噛みつき、地獄の炎で焼き尽くしながら吐き捨てる。

 弱い相手を狙うのであれば、怪我人に装えばソチラに攻撃の目が向く。そう思って準備をしていたベスティアだったが、オルトロス達は見向きもせず、キャラバン隊へと真っ直ぐに追い掛けていた。その遅れがあったお陰で、瀕死のオルトロスを倒し数を減らす事も出来たのだが。
「思っていた以上に賢いみたいだねぇ、コッチの正体をすぐ見破っていたし」
 大雑把に、豪快に、歪な猟犬が踏み潰していく。双頭を見せたオルトロスにも容赦せず、豪腕が振るわれる。
「それとも、最初からキャラバン隊しか狙っていなかったか」
 正確に、的確に、銀狼の牙がオルトロスの肉を抉り、骨を噛み砕く。反撃を許さない絶対の一撃が決まる。

 どれだけ時間が立ったか。オルトロスを噛み殺し、投げ捨てたベスティアが気付く。
 今のが最後の一匹だと。
 オルトロスの群れは全て仕留めた。これでキャラバン隊の皆も助かる。そう思っていた矢先。
「んぅ…?何か近づいてない?炎みたいな…いや、あれは」
 ペトがキャラバン隊へと向けて、声を上げる。速度を落とさず、まだ走れ!と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ジャック・ザ・カーニバル』

POW   :    汝、肉に別れを告げよ
戦闘中に食べた【肉】の量と質に応じて【炎が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    ヘルファイアゴースト
レベル×1個の【髑髏】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    ジャックブレイズ
対象のユーベルコードを防御すると、それを【頭頂部の炎に映し出し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はネフラ・ノーヴァです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 炎だ。炎が迫ってきていた。
 無数の髑髏を収めた炎が、キャラバン隊目掛けて走っていた。

 炎の中から、無数の声が聞こえる。
「どうして、どうして」
「オレ達は無惨に死んだってのに」
「あなた達は何で生きている」
「憎い、憎い」
「生きているお前らが憎い!」

 廃村にかつて住んでいた、住民達の声が、そこにいる貴方達全員に響く。
 そうして、彼らは、死者は、炎は、嘆きと共に襲いかかる!
カイム・クローバー
うおっとぉ、今度は炎の南瓜頭の化け物か?変わらず狙いはキャラバン…あっさり命を落としたその境遇には同情するが、俺が乗ってる限り、キャラバンにゃ手出しはさせねぇよ。
SPD使って戦闘。基本は銃での遠距離攻撃。【二回攻撃】【鎧砕き】【クイックドロウ】一応【零距離射撃】も交えつつ、ユーベルコードだ。南瓜頭本体も叩くつもりだが、飛んでくる炎を無視したんじゃ キャラバンに被害がでちまう。優先は炎を撃ち落とす。南瓜頭への攻撃はどっちかっつーと、他の猟兵に任せるわ。
つーか、キャラバンは全力で走れよ?捕まったら最悪の可能性もある。命が惜しけりゃ全力で駆け抜けろ!




「うおっとぉ、今度は炎の南瓜頭の化け物か?」
 全速力で駆け抜ける荷馬車に揺られながら、カイム・クローバーは迫る炎を見つめていた。
 煌々と燃える、カボチャ頭に詰められた炎の髑髏。聞こえてくる無数の怨嗟の声。
 …命を落とした境遇には同情するが、それは決してキャラバンへ、今を生きる命を奪う理由にはならない。
 カイムは己の銃を、迷いなく炎へ向ける。
「俺が乗ってる限り、キャラバンにゃ手出しはさせねぇよ」
 【銃撃の協奏曲(ガンズ・コンチェルト)】。カイムの早撃ちによる銃弾が、カボチャ頭を吹き飛ばし砕いていく。
 それに反応するようにか、カボチャの口から髑髏の炎が吐き出される。
 迫りくる炎に、カイムもまた冷静に対応する。
 炎を撃ち落とし、リロードし、撃ち落とし、リロード、単純な繰り返し。しかし動きに微塵の揺らぎは無く、精密に炎を撃ち、荷馬車へと近づけさせない。

 しかし守るばかりでは敵は倒せない。故に彼は、後続の味方へ攻撃の手を任す。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベスティア・クローヴェル
どういう経緯でそういう結末になったのか、私は知らない
助けてあげられなかったのは申し訳ないと思う
だからこそ、彼等を貴方達と同じ目に合わせるわけにはいかない
彼等の為にも、安らかに眠れ

▼戦闘
下手に小細工しなくていい分、オルトロスより相手にするのは楽
とはいえ、今の手札で出来る事は多くない
だからこそ、出来る範囲での最善を尽くす

【武器受け1】で攻撃を防ぎつつ、【月の狼】で噛み砕く
攻撃が通りそうにないのであれば【鎧砕き1】で防御を削る

「汝、肉に別れを告げよ」で戦闘力を上げられるのは厄介
相手の食事は出来る限り妨害しておきたい


ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
見た感じ食べ物持ってるようには見えないし、この場にある肉ってオルトロスの死体?とりあえず、肉を食べさせないよう動いてみようかな。

「どうしてって、生きてる理由なんて運が良かったか力が強かったかのどっちかでしょ。そんな分かりきった事聞きに来たの?」

と、軽く挑発して肉を食べるよりこっちを襲うことを優先してくれないか試してみるよ。
その後は斧で接近戦しつつ、尻尾の発電器官による電撃でマヒも狙おうか。
肉を食べようとする素振りを見せたら、【泰山爆砕】でぶっ叩いて妨害するよ。




 先の戦闘でのユーベルコードを解除せず、銀狼の姿のままのベスティア・クローヴェルがカボチャ頭へ向けて駆け出していた。
 違う点を上げるならば、その背には猟犬の姿より戻ったキマイラ、ペトニアロトゥシカが乗っている事。
「悪いね、あの姿小回りが効かなくってね」
「構わないわ」
 ペトの言葉に短く返し、ベスティアは走る。
 どういう経緯でそういう結末になったのか、私は知らない。助けてあげられなかったのは申し訳ないと思う。
 だからこそと、ベスティアは堅く決意する。彼等を貴方達と同じ目に合わせるわけにはいかない。
 彼等の為にも、安らかに眠れ。決意は同時に祈りでもあった。

「どうして、どうしてって言ってるけどさ、生きてる理由なんて運が良かったか力が強かったかのどっちかでしょ。そんな分かりきった事聞きに来たの?」
 ペトの挑発の言葉がカボチャ頭の髑髏達に投げかけられる。
 身も蓋もない、どう答えようもない問いかけ。その言葉は髑髏達の注意を引きつけるに十分な痛みがあった。
 髑髏の炎が、彼女たち二人に向けて放たれる。
 その炎を、銀狼となったベスティアが咥えている剣で切り裂き、防いでいく。
 ペトもまた、無骨な巨斧を振り回し、ベスティアの助けとなっていく。
 されど切り裂くたびに、高熱の炎は確実に二人の身を焦がす。このまま燃え尽きるかと思われたその時。
 炎の弾幕が途切れたその一瞬を狙い、ベスティアが背に乗せていたペトを咥え掴み、カボチャ頭へ向けて投げ飛ばした。
 高く飛び上がるペト。上空で高々と掲げられる巨斧。
「ぶっ…壊す!」
 渾身の力を込めた一撃。地形ごと破壊する威力を持つ【泰山爆砕(クランブル・スマッシュ)】が、カボチャ頭の脳天へと直撃した!
 深い傷を残し、満足気にニヤリと笑い、重力に身を任せ落下していくペト。
 そんな彼女をベスティアが受け止め回収し、再び背に乗せて走り続ける。
「また悪いねぇ…それより火傷とか大丈夫?」
「問題ない。心配なのはそっち」
「大丈夫だよ、ありがとね」
 短くも言葉を交わし、二人はまだまだ走り続ける。

 カボチャ頭は、未だキャラバン隊の追跡を止めていない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マリア・ホルガストロム
WIZ

死してなおその魂は解放されず、オブリビオンと化してさらなる死を求める…
その無念、解き放ってあげましょう。
それを生者の傲慢というなら、言わせておけばいいのです。
これ以上苦しむ者を出さない為なのですから…。
その為に、私はこの力に目覚めたのですから…。

戦闘の際は全力魔法1を込めた鈴蘭の嵐で攻撃
「せめて死者には弔いの花を捧げましょう…安らかなる眠りの為に…!」


エメラ・アーヴェスピア
炎!?この状況でそれは拙いわ…!
出来るだけ早く倒すしかないって訳ね

馬車に乗るのは継続だけど…
ガトリングじゃ厳しそうね、でも数は欲しい…
仕方ないわね、『我が砲火は未来の為に』!
呼び出すのは小型の狙撃砲(命中重視)を数台よ
コレも私を起点にする事で自動追尾させる
さぁ、しっかりと狙って叩き込んでいくわよ
兎に角当てる事で隙を作り出し、他の同僚さん達への援護とするわ
つまり【援護射撃】ね

ただ問題なのは炎による攻撃が来た場合
この場合は狙いを炎に変更、出来るだけ撃ってかき消していくわ

…きっと無念だったでしょう
それでも…オブリビオンになってしまったのなら、私は容赦なく撃ちぬくわ
それが私の仕事よ

※アドリブ・協力歓迎


アウレリア・ウィスタリア
死者が生者に害を与えるなんてあってはいけないのです
いえ、あの炎は死者ですらない
敵、オブリビオンの炎
ボクは惑わされたりしない

右手に拷問具たる剣を左手に魔銃を持ち空に飛び立ちます
上空から剣を向け【今は届かぬ希望の光】を
七色の光剣を放ちます
敵本体はもちろん、すべて叩き落とすことは無理ですが
その髑髏の炎も討ち滅ぼしましょう

光剣の合間を縫い魔銃からも射撃を続け
キャラバン隊への注意をこちらにそらします

さあ、カボチャ頭のボクの敵
闇夜に輝く光剣でお前の頭を切り裂いてあげましょう

アドリブ歓迎




「死してなおその魂は解放されず、オブリビオンと化してさらなる死を求める…その無念、解き放ってあげましょう。」
 翼を広げ、空を翔ける一人の姿が現れる。マリア・ホルガストロム(解き放たれたオラトリオ・f02174)が、遅れながらもこの走り抜ける戦場へ参戦する。
 傲慢だと言われても良い。これ以上苦しむ者を出さない為に、自分はこの力に目覚めたのだ。
 彼女は己の信念を胸に、炎と相対する。
 自らの武器を鈴蘭の花びらへと変え、【鈴蘭の嵐】がカボチャ頭へと放たれた。
 しかし、植物と炎。致命的なほどの相性の悪さは、カボチャ頭には殆ど効果がない。いとも容易く防御されてしまう。
 カボチャ頭の頭頂部に灯る炎が、大きく燃え上がる。
 その中には、今にも攻撃をしようとする、マリアの姿が映っていた。カボチャ頭の【ジャックブレイズ】によるカウンターが放たれようとした。
 軽率だった。マリアはすぐさま防御の姿勢を取る、だが間に合わない。攻撃を受ける、その瞬間。

 カボチャ頭の炎が、銃撃により撃ち抜かれ、映していた姿をかき消す。何事かと、カボチャ頭も視線を向ける。
 その先には駆ける荷馬車、そこより数台の狙撃銃を空中へと展開し、自らもまたマスケット銃を構えているエメラの姿であった。
「援護するわ、ボサッとしない!」
 【我が砲火は未来の為に(オープンファイア)】。エメラのユーベルコードにより召喚された狙撃銃が、精密な射撃を連続で繰り出す。
 エメラもまた、自らマスケット銃を撃ち、敵の気を惹きつける。
 的確な射撃は全てカボチャ頭の身体を貫き、確実なダメージとして与えていく。
 …きっと無念だったのだろう。だがオブリビオンとなってしまった以上、自分にはどうすることも出来ない。
 だからこそ、出来ることを。エメラは自らの仕事を行う。

「今…!」
 一台の荷馬車より、飛び立つ影。白と黒の翼を持つアウレリアが、好機と見て剣と魔銃を手に、カボチャ頭へと接近する。
 死者が生者に害を与える事があってはならない。いや、違う。あの炎は死者ですら無い。
 オブリビオン。過去の染み。明確な、敵。
 であれば、自分は惑わされたりしない。アウレリアは確かな覚悟を持って、オブリビオンへと向かっていく。
 天空に向け剣を掲げる。現れるは虹色輝く七振りの剣。
 【今は届かぬ希望の光(セブンソードバレット)】。剣先を向け、七剣が向かうべき場所を示す。その先には、オブリビオン。
 七剣が放たれる。オブリビオンもまた、先程奪った【鈴蘭の嵐】を映しだし、アウレリア目掛け放つ。
 だが炎は再びかき消される。銃撃ではない。それはオブリビオンの放ったものと同じ【鈴蘭の嵐】。
 マリアのユーベルコードが、オブリビオンの炎を飛ばし、その攻撃を止める。
 輝く七剣が、オブリビオンの身体を引き裂く。カボチャの頭を、髑髏の炎を、死者の憎悪を切り裂いた。

 細切れとなったオブリビオンは自らの炎で燃え尽き、灰となり消えていった。
 後には、鈴蘭の花びらが手向けられるように辺りに散っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『流浪の民と過ごす一時』

POW   :    狩猟や採取、彼らの為に食料を調達してきます。

SPD   :    吟遊や舞踊、彼らと囲んだ焚き火の前で一芸を披露します。

WIZ   :    修繕や作成、彼らの馬車や持ち物に手を加え、知識を伝授します。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 オブリビオンの危機は去った。キャラバン隊も、猟兵も、皆が安堵しただろう。

 暫く進み、川辺近くに荷馬車を止めたキャラバン隊が貴方達にお礼がしたいと言い出した。しかし彼らも物資に貧しいダークセイヴァーの民。彼らに出来ることは限られているだろう。

 …もう少し、彼らのもてなしの為に手伝おう。勿論、遠慮なく、もてなしをそのまま受けるのも良い。後は全て、猟兵達の自由だ。
エメラ・アーヴェスピア
なんとか…撃退出来たわね
とりあえず、猟兵としての仕事は終わりなのだけど…アフターサービスと行きましょうか

私の技術と資材を使って馬車の修繕と補強、強化を行うわ
技術…と言ってもダークセイヴァーにありそうなものレベルで、ね
高度な技術は争いを呼んでしまう可能性があるもの…彼らもそれは望まないでしょう
でも、出来るレベルのギリギリまではやらせてもらうわよ?
…特に私を乗せてくれた馬車には無茶もさせてしまったし、お礼をしたいわね
…このレベルなら、教えれば役立ててくれるかしら?

…これで、よし。しばらくは大丈夫なはずよ
貴方達の旅に良き未来が訪れる事を祈っているわ

※アドリブ・協力歓迎
UCは単純に人員増強の為使用


ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
【POW】で判定

食べ物が足りなそうなら、川辺なんだしのんびりと釣りでもしようか。
斧の先に右手首から出した蜘蛛の糸を結んで、木の枝を削って作った針で釣りを始めるよ。エサは石の裏とかに居る虫でいいし。
もし一緒に釣りがしたい人がいるなら、その辺の木の枝でもう一本釣竿を作って渡すよ。
首尾よく魚が釣れたら、釣りあげられて死ぬ魚を見てポツリと独り言を漏らす。

「…本当に、生死が分かれるのに大した差なんて無いんだよ。けど、だからこそ今生きてることは奇跡で、守らなきゃいけないんだ。」

程々に魚が釣れたら、キャラバンの人たちに持って行ってあげよう。沢山食べて、明日も元気に生きられるように。


カイム・クローバー
さぁって、折角のもてなしっつー話だし、遠慮なく飯をタカろう……って、お前ら、物資余裕ほとんどねーじゃん。(ガックリ)
折角、タダ飯にありつけると思ったのによぉ……。
しゃあねぇ。ちょっとサービス過剰だが此処まで来たんだ。狩りの一つでもしてくるわ。
POW判定で食料調達。とりあえず肉だな。腹を満たすにゃ肉が良い。鹿や猪辺りが狙い。【追跡】しながらユーベルコードで挟み撃ちを狙ってダガーで仕留める。銃じゃあ、無用な音立てちまうし、一匹じゃなくて可能なら何匹か狩っていきたいトコだな。
余った分はキャラバンの連中にやるよ。俺がタダで何かするなんざ、滅多にないんだ。感謝しろよ?(ウインク)


アウレリア・ウィスタリア
ボクはなにかを作ったり集めたりとかは得意ではないので
せめてキャラバン隊のみんなの旅が平和なものとなりますように
そう祈りを捧げ、歌いましょう

SPD

平和と愛を歌い宴を盛り上げましょう
興が乗ってくれば【合わせ鏡の境界】を使用
ボクともうひとりのボク
ふたりで歌いましょう
ふたりで楽器を奏でましょう

みんなで楽しく歌い踊りましょう
旅の果て、未来の可能性を夢見て
この一時だけでも

いつかボクの、ボクたちの手で
いえ、みんなの手で故郷であるダークセイヴァーに朝陽を
平和という朝陽を迎える
その決意を胸に秘めて




 キャラバン隊の荷馬車の近く、各々がこれからの事の為に準備を行っている。ある者は薪になりそうな枝を拾い集め、ある者は森に入り食料を調達する。宴を行う為の準備だ。
 そんな彼らの準備を手伝い、ペトニアロトゥシカは川で釣りを行っていた。
 斧の先に自身の右手首から出した蜘蛛の糸を結んで、木の枝を削って作った針にそこら辺で拾った餌を付け、糸を垂らす。
 ペトのいる場所の少し先でも子供達がペトが作った簡素な釣り竿を使い、釣りを手伝っている。あまり遠くに行かないようにね―、と一声掛けておく。
 非対称の瞳でジッと糸の先を見つめて、魚がかかるまでゆっくりと待つ。先程まで走りながらの激しい戦闘を行っていたとは思えない程、静かで穏やかな時間が流れていた。
「よう、そっちの調子はどうだい?」
 そんなペトに掛かる声。
 仕留めてきた鹿を担いで、カイムと一緒に狩りに出ていた人達が森より帰ってくる。
「まぁまぁだねぇ。ちっちゃいのしか釣れていないね」
 そう言って見せるバケツの中には十数匹の小魚が詰まっていた。
「タダ飯にありつけるかと思ったらよぉ…物資がねぇからもう一働きとか、勘弁して欲しかったぜ」
「仕方ないよ。こんな世界だもの、皆どうしようもなく困ってる」
「…そりゃ、分かりきってるがよ」
 弱肉強食。世界の仕組みとはそういうものだと、ペトもカイムも自らの人生で嫌という程思い知っている。
「ま、少しサービスし過ぎたが、仕事もコレで終わりだ。後は楽しませて貰おうぜ」
 俺がタダで何かするなんざ、滅多にないんだ。そう軽く言いながら、背負う鹿をキャラバン隊の元へ運んでいくカイム。
 カイムが戻っていった少し後、クッと糸に反応が。竿をを引き上げればまた小魚。
 今は元気に跳ねる小魚を、ペトは目を細めて見つめる。
「…本当に、生死が分かれるのに大した差なんて無いんだよ。けど、だからこそ今生きてることは奇跡で、守らなきゃいけないんだ」
 何気ない独り言は、ペトだけが聞こえていた。
 そうして小魚をバケツへ入れ、遠くで釣りを楽しんでいる子供達に再び声を掛ける。そろそろ戻るよ―、と。


「……これで、よし。しばらくは大丈夫なはずよ」
 エメラの声がキャラバン隊の一人に掛けられる。エメラと数人の彼らは、他の皆が宴の準備をしている間に、自分達が乗っていた荷馬車の修繕と補強を行っていた。
 あれだけの戦闘を行いながら、全速力を出して走らせていた木製の馬車は案の定何処もかしこもガタがきていた。
 ガジェッティアでもあるエメラは自らのユーベルコードも使い、馬車がこれからも長旅に耐えられるように改造を施していた。
 と言ってもダークセイヴァー世界の技術力でも再現可能な範囲内で。それも彼らが理解が出来、今後は彼らだけで修繕が出来るように教えながら。
 エメラの知識、技術力にキャラバン隊の彼らは舌を巻き、そしてエメラへ感謝していた。
 エメラは一つの馬車に触れる。それは自分が戦闘中、ずっと乗ってきた一台であった。
「…ありがとう」
 ただ一言のお礼。しかし誰よりも感謝の心が込められた言葉。
 そのすぐ後、ブルル、と鳴き声がエメラの後ろより聞こえる。
 エメラの乗っていた荷馬車を引っ張っていた馬の一頭が、エメラのすぐ近くにまで歩み寄ってきていた。
「あら、そうね…貴方達も、ありがとうね」
 小さくも微笑みながら、近寄ってきた馬をそっと撫でた。
「貴方達の旅に良き未来が訪れる事を祈っているわ」


 荷馬車の修繕も終え、食料も集まり、いよいよ宴が始まった。
 少量ながらも酒も振るわれ、宴は賑わいを見せた。
 宴も半ばに差し掛かろうとして、誰かが叫んだ。―――誰か一曲歌ってくれ!
 反応するのはアウレリア。自身の持ってきた楽器を手に、歌声を以てリクエストの返答とする。
 キャラバン隊のみんなの旅が平和なものとなりますように、そう祈りを込めた歌であった。
 平和を願い、愛を謳い、アウレリアは自らの心を歌に乗せて音を奏でる。
 その場にいる誰もがアウレリアの歌に心揺さぶられ、賑わいは更に増していく。
 高まる賑わいに合わせて、アウレリアはユーベルコードを使い、【あわせ鏡のアウレリア】を呼び出す。
 二人の演奏が、歌が重なり、宴の夜は深まっていく。

 みんなで楽しく歌い踊りましょう
 旅の果て、未来の可能性を夢見て
 この一時だけでも

 いつかボクの、ボクたちの手で
 いえ、みんなの手で故郷であるダークセイヴァーに朝陽を
 平和という朝陽を迎える
 その決意を胸に秘めて


 そうして夜が明け、キャラバン隊は猟兵達に別れを告げ、再び放浪の旅に出る。
 当てのない旅、明日も生きていられる保証のない旅。それでも彼らは走るのだ。希望は必ずあるのだと。
 闇に覆われた空の雲間が裂け、彼らは数年ぶりに見る朝焼けに照らされながら、旅立っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月30日


挿絵イラスト