4
迷宮災厄戦⑦〜汝、正義のヒーローたれ

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦




 「あゝ、此処は図書館なんだね?」

 その地に現れた少年は、くるりと周囲を見渡して笑みを浮かべる。
 頭部を飾る帽子を一度手に取り、紫色の薔薇を整え直せば再び丁寧に被り直した。
 視界に捉えた書の背表紙には『世界征服のノウハウ』、『愛される悪役とは』、『これで君も四天王のTOPだ!』といったタイトルがずらり。
 最初こそ目を瞬かせた彼であったが、次第にその表情には楽しげな色を浮かべて、その中の一冊を手に取った。

 「なるほど、こういう趣向も悪くない。さて、今日はどうやって遊ぼうか」

 不敵な笑みを浮かべた彼が手にした書物の何冊か先、世界征服の名に紛れて『正義』の文字が並んだ表紙には目もくれず。ゆったりと広大な書架の群れを仰ぎ見て、帽子屋はこれから起こる楽しい出来事へと思い馳せるのであった。



 「皆の者!お待たせ致したのじゃ!ヒーローは遅れてやってくるもの!じゃぞ!」

 翼から零れる白き羽根と共に集まる面々の前へと降り立ち、びしぃ!と効果音が聞こえてきそうなポーズを取ったのは、ティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)。えへん、と聊か得意気な表情も、己へ向けられる視線を認知すれば少しばかり面映ゆげな其れへと変わる。

 「え、ええと。此度の大戦で緊張している皆を、和まそうと思うたのじゃ!……その様な目で見るでない。そ、それに!これだって此度の予知に関係があるのじゃよ?」
 ぱたぱたと顔を仰ぎながら、こほん、と一つ咳払いの後に彼女が続けることには、『迷宮災厄戦』と名付けられた、アリスラビリンスで起きる大戦における一つのエリア、『世界征服大図書館』に現れるオウガの存在。
 其処に現れたのは、10代前半程の少年の見目をした『11番街の帽子屋・アルフレッド』。世界征服に纏わる書が所狭しと並ぶ中、それらの書物によって彼は力を得、強化されているのだという。

 「されど、其ればかりではない。かの地には『正義の書』と呼ばれるものも存在するのじゃ」
 其処に記された「正義の味方っぽい行動・言動」をすることにより、猟兵達も書の力を得、パワーアップして戦う事が出来るのだという。
 書を見つけ出して書かれた行動をとるのも良いが、其の書物そのものを読まずとも、其処に書かれている行動を予測し、的中させても力を得る事が出来る様子。
 例えば、「高いところから格好良く現れる」とか、「罪を憎んで人を憎まず!」とか、「いい感じに味方を庇う」……とか?と、何処かで聞いたらしい例を指折り挙げゆく娘。どうやら先程の登場は其れに感化されたようだ。

 「予知で見た限り、帽子屋は悪意に満ちた……と言うよりも、この状況や戦いを楽しんでいる様な様子であった。とはいえ、この戦における敵戦力に違いなく、放置するわけにもいかぬ。相手が遊んでいるというのなら、此方も遊び返してやるといい」
 そうしてその上で、彼を骸の海へと返しかの地の平穏を一つでも多く得て来てほしい。
 「正義のヒーローたる其方等の活躍、勇姿、楽しみにしておるよぅ!」

 最後に笑顔でそう添えて、彼女は猟兵達を大図書館へと送り出すのであった。


四ツ葉
 初めまして、またはこんにちは。四ツ葉(よつば)と申します。
 此の度は数ある中、当オープニングをご覧頂き、有難うございます!
 戦争でのご案内は初めてとなりますので、これまた手探りながら頑張ってゆきたいと思います。
 新参者ではございますが、精一杯、皆様の冒険を彩るお手伝いが出来ましたら幸いです。

 それでは、以下説明となります。

 ●プレイング受付について
 戦争と言う事もあり、断章無くOP公開からの受付と致します。
 締切等のお知らせは、MSページにて決まり次第のご連絡を。
 今回は気持ち手早く進めていく予定ですので、状況により採用人数が少数となる場合があります。
 採用は先着順ではありませんが、内容に問題がなくともお返しする可能性がありますので、予めご了承の上でのご参加をお願い致します。

 ●シナリオ概要
 今回は『アリスラビリンス』における『迷宮災厄戦』、一章完結シナリオとなります。皆様から頂くプレイングにもよりますが、どちらかと言えば明るくお遊びな雰囲気をイメージしております。

 ◎【プレイングボーナス】「正義の味方」っぽい行動をする。
 舞台は世界征服に関するあらゆる歴史書・図鑑・ノウハウ本・自己啓発本が収められた、巨大な図書館の国です。
 図書館内のオウガは、これらの書物で強化されており、非常に強力です。ですが、この図書館のどこかには「正義の書」も眠っています。
 これを読み、「正義の味方っぽい行動・言動」をすれば、猟兵もパワーアップできます。
 「正義の書」を実際に手に取らなくても、其れっぽい行動を取れば強化されますので、書の下りはお好みでどうぞ!
 『私が考える最強にカッコいい(可愛い)ヒーロー!』なお姿を楽しみにしております。

 ●その他
 ・同行者がいる場合は【相手の名前(呼称可)とID(f○○○○○)】又は【グループ名】のご記入お願いします。記載無い場合ご一緒出来ない可能性があります。
 ・グループ参加時は、返却日〆の日程が揃う様、AM8:31をボーダーに提出日を合わせて頂ければ大変助かります。

 では、皆様どうぞ宜しくお願い致します。
79




第1章 ボス戦 『11番街の帽子屋・アルフレッド』

POW   :    ハット・トリック:イレヴン・フィールド・ノヴァ
【シルクハットから撃ち出した蒼色の火球】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を11時を指した食人花の花時計に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    ハット・トリック:セヴン・シルヴァー・ウルヴズ
【シルクハット】から【7体の銀色に光る狼のエネルギー体】を放ち、【噛み付いて組み伏せること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    ハット・トリック:グリーン・インフェルノ・ネード
【シルクハットから翠色の業火の竜巻】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
丸栖・チエ
水森・ふうか(f27640)と同行/他連携◎

これはじっくり観ていきたい所ですが…仕方ありません
準備はいいですか、ふうか
大丈夫、あなたならやれますよ

ふうかの初実戦もあり、味方の支援重視

書架で視界制限されて本探し
なら、文字自身に見つけてもらいましょう
【指定UC】を放ち【情報収集】
『正義の書』を探すと同時、敵の位置の把握と、敵を強化する書を片端から白紙にしていきます
戦いが終わっても、これらの書は目にするべきものではないでしょうし

見つけた『正義の書』は【本の蟲】に、光り、敵意を受けたら大音量を出す魔術を描かせ、味方には敵の位置を知らせます

私は正義と言える身ではありません
それでも導くことはできるでしょう


水森・ふうか
丸栖・チエ(f23409)に同行/他連携◎

すごい本の数…うう、眠くなりそうです
それに正義の味方って…私にそんなこと…
は、はい先生、頑張ります!

先生の護衛をしながら移動
教わった心得の【理力感知】を使って、敵の意志の流れを探っていきます

正義っぽい事ってよく分からないので、できれば本を読みたいんですが…
あれ?先生は読まないんですか?
皆を導ければいいって…だ、ダメですよ先生だって大切な――
って、こんなところでオウガが…!

UC【無念無想】で集中し【八百耶刀(封印)】を構え後衛を防衛します
積極的に後衛を狙うようなら、裂帛の気合で【指定UC】を放ちます!

私に託されたもの、無駄なんて言わせない――必ず、守る!



 ●

 あらゆる高さの書架がずらりと並び、まるで森のように迷宮のようにと、数多の書物が辺りを覆うこの地は『世界征服大図書館』と呼ばれる場所。そんな書に囲まれた空間に足音が響く。
 「すごい本の数……うう、眠くなりそうです」
 「これはじっくり観ていきたい所ですが……戦場とあらば仕方ありません」
 そうして、其々に異なった感想を口にするのは、水森・ふうか(輝きは未だ眠る ~夢現の斬影~・f27640)と、丸栖・チエ(禁断の智慧図 ~魔術蒐集者~・f23409)だ。

 「それに正義の味方って……私にそんなこと……」
 と、言葉を続けるふうかにとってはこれが初めての実戦。初陣であればこそ、きょろきょろと周囲を見回しては、つい弱気な言葉が口をつく。そんな彼女の教師たるチエの眼差しは教え子を見守る其れであり、温かさを湛えている。
 「――準備はいいですか、ふうか。大丈夫、あなたならやれますよ」
 「は、はい先生、頑張ります!」
 背を押すような励ましの言葉を受け、ぴん、と背筋が伸びたふうかは、彼女より教わった心得の一つ理力感知の力を身に纏い、この地に漂う敵の意志の力を読み取らんとし乍ら、師である彼女を護衛して前へと進んでゆく。初陣へと発つに当たり護衛の為の技を備えていくか迷ったふうかだが、今回は戦いに備え一閃を放つ力を選んだ。その為、周囲への警戒は己が持つ第六感に頼る。

 「正義っぽい事ってよく分からないので、できれば本を読みたいんですが……」
 周囲の警戒と共に書へと目を向けながら、ため息交じりに呟くふうかの背を見守るチエは、本来体術にも長けるが、今回は彼女の支援に徹すると決め、その後ろをゆったりとついて行く。その道中で、広大な書架の中目的の書を見つけるべく、小さく呪言を呟く。其れは彼女が使役する『本の蟲』を放つ力。
 「蛇の道は蛇。文字の事は文字が一番――さあ、いきなさい」
 放たれた本の蟲は彼女の望むままに数多なる文字の中をすり抜け這い往き、『正義の書』を探し乍ら己の通過した世界征服に関する書の文字を奪って行く。
 暫くすると、彼女らの右手にある一冊の書が『本の蟲』の力を受け光を帯び、『正義の書』たるその存在を明らかにする。その事に気付いたふうかが喜色を交えた表情で表紙を捲り、ページに目を走らせ乍ら、なるほど、と頷けば、ふと自分の後ろから動かないチエを振り返る。
 「あれ?先生は読まないんですか?」
 そう、彼女が問うたその時だった。

 「あゝまったく……自分に都合の悪い書を無にしようだなんて。ねぇ君たち、其れは――“正義の味方”らしからぬことじゃないの?」
 まるで、歴史書に書かれた傲慢な為政者のようだね。と、唐突に書架の上から声が降り、はっと見上げた二人の視線の先。白紙となった書を口許に当て乍ら、にやりと弧を描いた青い瞳をチエに向けて帽子屋は言う。
 音も無く現れた少年のそんな視線や言葉をものともせずに、冷静な色を保った彼女の二色の瞳が彼――アルフレッドを捉えた。
 「――ええ、私は正義と言える身ではありません」
 凛と通る声で告げ、一度そこで言葉を区切った彼女が見遣るのは、己を先生と慕うふうかの姿。突如現れた相手から己をを守らんと剣構える姿を、そして彼の向けた言葉に対し、自分の事のように眉を潜める横顔を垣間見れば、眦を緩め続けた。
 「それでも、導くことはできるでしょう」
 「皆を導ければいいって……だ、ダメですよ!先生だって大切な――」
 飽くまで冷静に言い放つチエの言葉を掬い上げるように、言葉を重ねたふうかの続きは、帽子屋より放たれた蒼き火球に寄って遮られる。咄嗟に手に持つ封印された八百耶刀を振るってその力を薙ぎ払い、自分と背後の彼女を護るふうかだが、その威力に、ず、と足元が後退する。弾いた火球の着弾した場所に食人花が咲いた。

 「まあ、この広大な図書館の全てを白紙にはできないだろうけれど……狙いは悪くないんじゃないかな?それに、正義かどうかはともかくさ……面白いよ!」
 さあ、遊ぼうか!そう楽しげに笑い乍ら、11時を指す花時計の上へと降り立った彼が持ち替え手にした書には、文字があった。数え切れぬ書物に満ちた書架全ての文字を食らうには、力も時間も足りないようで、手繰る彼の手に幾分かのハズレを引かせるに止まっていた。
 しかして、彼の興味を引いたチエに向かい、シルクハットを構えたアルフレッドだが、その帽子から竜巻を呼ぶことは叶わなかった。己の師たる彼女を護るべく純粋なる意思を心に抱いたふうかが、一陣の風の如く駆け、手にした八百耶刀を振り抜いたのだ。封印され鞘の抜けぬ其れではあれど、鈍器としての役割は十分に果たす。
 師を護る意志、初陣たれど果敢に立ち向かう勇気は彼女に正義の力を貸し与えた。

 「私に託されたもの、無駄なんて言わせない――必ず、守る!」
 背に頼もしき師、チエの存在を感じ乍ら強き意志込めた言の葉を放ったふうか達のもと、戦いの火蓋は切って落とされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラフィ・シザー
えーと『正義の味方とは』『ヒーローのススメ』このあたりの本かな?ふむふむ…なるほど?
うん、俺ヒーローって言うのやったことあるかもしれない♪

「悪いオウガは許さない!」ってやつだな!
よしっ!ビシッと決めるぜ!
先ずは高いところからの名乗りだ。

「俺は時計ウサギのラフィ!アリスラビリンスを守るためお前を倒す!」(ヒーローとしての【礼儀作法】)

UC【Dancing Scissors】を発動。
敵のUCを発動するシルクハットを重点的に攻撃。上手くいったら【ダッシュ】で近づいて暗殺といきたいところだけど正義の味方らしく普通に攻撃!



 ●

 先を行く猟兵によって齎された力で、書の森に潜む複数の『正義の書』が光を帯びて、其の存在を続く猟兵達に知らしめていた。其の恩恵を得た一人がラフィ・シザー(【鋏ウサギ】・f19461)である。
 「えーと『正義の味方とは』、『ヒーローのススメ』このあたりの本かな?」
 道中で光る書を二冊手にした彼は、ふむふむ……なるほど?と、その軽快な足と共に目を走らせながら表情を綻ばせる。何故なら、そこに書かれる内容には幾つかの心当たりがあったからだ。
 「うん、俺ヒーローって言うのやったことあるかもしれない♪」
 楽しげに表情を綻ばせた彼の爪先は尚軽やかに、その身を前に、前にと運んでゆく。向かう先には既に戦いの気配が漂っていたが、其れさえ今は彼の気持ちを昂らせるものであった。

「『悪いオウガは許さない!』ってやつだな!よしっ!ビシッと決めるぜ!」
 先ずは高いところからの名乗りだ。と、ぴょんぴょんと時計ウサギらしい動きで書架の森を駆けてゆく。時に空いた書架の穴を潜り抜け、時に低い其れを飛び越えて。――さあ、急げ、急げ!!
 駆けて駆けて、跳んで跳んで、仄かな熱気を感じれば、其処にはシルクハットと炎を繰る帽子屋が楽しげな笑みで『遊んで』いた。
 どうやら目の前の相手へと夢中なようで、辿り着いた彼にはまだ気付いていない様子。ならばと予定通りに、書架に掛けられた梯子のひとつをぴょんぴょんと登りゆけば、胸いっぱいに空気を吸い込んだ。

 「俺は時計ウサギのラフィ!アリスラビリンスを守るためお前を倒す!」
 ヒーローとしての礼儀作法だと言わんばかりに、その指先をびしっと帽子屋へと向け乍ら、高らかに名乗りを上げる。それは正に、先ほど手にした『ヒーローのススメ』に書かれた通りの正義っぷりであり、彼の内側から力が湧き出すのをひしと感じていた。
 広い図書館に響き渡る、ラフィの正々堂々とした名乗りに、笑い声を上げながら帽子屋――アルフレッドはその青い瞳を彼へと向けた。

 「あははっ!これはまた真っ直ぐに来たものじゃないか、ウサギ君。いいよ、そう言うのも嫌いじゃない」
 でもね、きみ。それじゃあ格好の的だよ?と、悪役めいてにやりと笑ったアルフレッドは、自慢のシルクハットを手元でくるりと回す。しかし、それをただ許すラフィでは無かった。
 「おっと、『そうはいかない』のは俺の方だぜ!」
 彼に負けず劣らずと楽しげな笑みを浮かべたラフィが、踊れ!踊れ!踊れ!と、手にした『pure』と名付けた細身の鋏を増やして舞わす。彼の力に比例した数の鋏達が踊るように彼の周囲をひらりと飛び交い、その隙を狙い澄ましたなら、帽子屋のシルクハット目掛けて飛翔する。
 「――っと。危ないなぁ」
 大事な帽子が傷付いてしまう、と躱すアルフレッドだったが、縦横無尽に飛び交う鋏の幾つかは、帽子の鍔や彼の身を少なからず引き裂いていた。そんな鋏に気を取られるアルフレッドへ向かい、梯子を蹴りダッシュで近付いたラフィが繰り出すのは、得意とする暗殺の技……では無くて。

 「へへっ、今日は正義の味方らしく普通に行くよっ!」

 何処までも正々堂々と!そう今の心中を映すラフィの真っ直ぐな技が、アルフレッドの身を捉えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

幻武・極
へぇ、正義の味方か、面白そうだね。

敵のユーベルコードはあえて躱して、敵を強化させるかな。
花時計の上で余裕を見せる敵に、食人花の花畑から見上げる構図はよくあるパターンだよね。
ここでボクはトリニティ・エンハンスを発動させ攻撃力を強化して挑ませてもらうかな。
炎の魔力で食人花を焼き、水の魔力で火球を打ち消すよ。


ベルンハルト・マッケンゼン
連携アドリブ大歓迎

(愛用のバトルライフルにバヨネットを装着しながら、
昔の戦場がフラッシュバックする)
正義、か。
アジャンクールの戦いを思い出す。
光輝くフルール・ド・リスの戦旗が、敵兵に踏み潰され泥に濡れていくのを…
勝たなければ、正義なんて何の意味もない。

……そう、歴史は勝者によって作られる。戦いに勝った方が、正義だ。
私は英雄なんかではない。だが、勝つ。私を、貫くため!

(UCを発動、燃え上がる黄金の炎と共に哄笑する)
黄金の炎は不滅の焔。未来への希望が、私を前へと歩ませる。
我が名はベルンハルト、黄金の戦士。
狂える帽子屋よ、我が業を照覧せよ。そして……絶望せよ!
(ライフルを連射後、捨て身の銃剣突撃へ)



 ●

 「へぇ、正義の味方か、面白そうだね」
 炎舞い、剣振るわれる音が書の森を彩る中、幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)は言葉のまま、楽しげな笑みを浮かべていた。その視線の先には、舞う鋏の中シルクハットを巧みに操る帽子屋の姿。
 さて、どうやってあの中に飛び込もうかと、楽しげに計画を練る極の傍ら、対照的に真剣な目で戦場を眺め、愛用のバトルライフルにバヨネットを装着するのはベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)だ。装着音が鼓膜を揺らした瞬間に、彼の脳内で、ある戦場がフラッシュバックする。

 「――正義か」
 ポツリと口をついた彼の裡を駆け巡るのは、フルール・ド・リスの戦旗が、光り輝く其れが、敵兵に踏み潰され泥に濡れていく光景。そう、アジャンクールの戦いと名のついた、嘗ての戦場。
 勝たなければ、正義なんて何の意味もない。あゝその事実を、痛い程にベルンハルトが身に心にと刻んだ瞬間だった。僅かに歪んだ眉を空いた手で一度押さえ、同時に伏せた瞼をゆるりと持ち上げれば、今己が立つ戦場を改めて見据える。
 「……そう、歴史は勝者によって作られる。戦いに勝った方が、正義だ」

 戦いの意志を瞳に宿したベルンハルトを横目に、その隣を極が駆け、前に出た。口許に笑みを浮かべたその表情は、帽子屋と同じくこの戦場を、繰り広げられる戦いを楽しむ色を帯びていて。
 「そこの帽子屋!ボクとも遊ぼうよ!」
 「おっと、きみも物好きだねぇ。あゝでも、楽しいことは大歓迎さ!」
 懐に飛び込む勢いで肉薄する極を躱し、手にしたシルクハットをくるりと回すアルフレッド。其処から招かれるのは、蒼を帯びた焔玉。至近距離から繰り出される炎を持ち前の素早さで躱したなら、外れた火球は着弾した場に人食う花を咲かせ、11時を指し示す花時計の姿が現れる。

 たん、と足音を響かせて身を翻したアルフレッドは、食人花によって描かれた其の上へと降りたって、身に満ちる力に笑みを深めた。
 「あはは!残念。もっと上手くやらないと、僕が強くなるだけだよ?」
 見下ろす様な視線で得意げに語るその様は、何処か無邪気さをも帯びていた。しかし、そんな余裕ある姿さえ極の想像の範疇だ。
 「力増す強敵を前に真の力を発揮する……それだって、よくあるパターンだよね?」
 そんなシチュエーションを待っていた、とばかりに、食人花がその茎をくねらせる中、極は自身を強化する三色の魔力を練り上げてゆく。その魔力に混ざるのは、完成せしこの状況に呼応した『正義の書』から贈られる加護。

 彼女の元にて編まれゆく力の完成を妨害せんと、葉を蔓を伸ばす人喰い花だったが、それを阻んだのは甲高い銃声と共に放たれた銃弾。うねる茎を、葉を、喰わんとする花を貫き落とした弾の軌道を遡れば、そこに居たのは燃え上がる黄金の炎と共に哄笑するベルンハルトであった。
 「黄金の炎は不滅の焔。未来への希望が、私を前へと歩ませる。我が名はベルンハルト、黄金の戦士!」
 其れは対する相手への名乗りのようであり、己へと言い聞かせ鼓舞するための呪文のようにも聞こえた。敵を前にして名乗りを上げるその様が、過去を繰り返さんと己を鼓舞するその意志が――此処にもまた正義の力を呼び覚ます。
 「私は英雄なんかではない。だが、勝つ。私を、貫くため!」
 「さぁ、帽子屋!いや、アルフレッド!キミにボクの武術を見せてあげるよ!」
 この地にて初めて肩を並べた二人の声が重なる。内に抱くものは異なれど、目の前の敵を倒さんとする目的は同じ。あゝその数奇なる縁もまた、正義の名のもとに。

 「急ごしらえの連携で僕に届くとでも?」
 訝しげな表情を浮かべたアルフレッドがそう紡いだ後、弧を描いた口許にて『ハット・トリック』と短く唱えたなら、帽子から飛び出すのは先程と同じ蒼き炎。目の前に迫るその炎へと、次は避ける事無く正面から飛び込んだ極の右手に宿るのは、如何な炎をも打ち消さんとする水の力。振り抜いた拳は火球を打ち砕き、じゅ、と言う音と共に消し去った。
 「まだまだ!」
 叫びながら飛び込む先は食人花の咲く領域。足に宿した焔の力でその花々を焼き尽くさんと極は跳んだ。繰り出す蹴りにて纏めてなぎ倒された人喰い花だが、ひと蹴りで全てを捌くには至らず、残るそれらが襲いかかる。

 ――が。その先が極に届く前に、黄金色の炎に包まれて燃え尽きた。ベルンハルトが一斉に連射した黄金銃の弾が、彼の宿した黄金の炎と正義の力を纏いて、触れる悪しき花を黄金色に燃やしてゆく。
 「狂える帽子屋よ、我が業を照覧せよ。そして……絶望せよ!」
 銃剣を構え捨て身の突撃を繰り出すベルンハルトと、風の魔力をその身に乗せて速度を上げた極の突進が、今や燃え尽き消え失せた花時計の中心に立つアルフレッドへと同時に到達する。
 ――ぐっ、と思わずその膝をついた帽子屋を見やるのは、赤と青、二つの双眸。

 「――急ごしらえが、なんだって?」
 「まだ終わっていない、油断するな」
 重なる二人の声音はやはり異なる響きを擁していたが、目の前の敵を倒す為、正義の名の下に確かな共闘関係が生まれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リグ・アシュリーズ
開架から飛び降り、回転斬りを見舞いながら不意打ち登場!
正義の味方が堂々と名乗りあげるって誰が決めたのかしら?
多少強引でも正義を通す、そんなヒーローだってきっといるわ!

黒剣で斬り結びながら、帽子屋さんを開けた方に追いやるわ!
そのハット、何が出てくるかわからないものね。
相手の狼さんは見切ってかわすか、
生命力吸収の力宿した薙ぎ払いで斬って防ぐわね!

ところで帽子屋さん、ひとつ聞きたいんだけど。
(嘘に反応する魔狼をけしかけ)
――ちゃんと悪役やる気、ある?

答えが嘘でも真実でも楽しそうに笑い。
ふふ、ハウツーを本に頼るようじゃ悪の道は貫けないわよ!
なんせ、私たちみたいなのがひっきりなしに襲い掛かるんだからね!



 ●

 膝ついたその身を立て直そうと、地に触れた手へと力を籠めた帽子屋が何かの気配を察したように、咄嗟に身体を横へと転がした。ざっ!と音を立てて身を移した彼が先程までいた場所には、激しくも重い金属音を響かせて、一本の黒き剣がその地に刃を沈み込ませていた。
 「――いやぁ、不意打ちとは穏やかじゃないなぁ。正義の味方って、そんな登場だったかい?」
 どちらかと言えば、其れ、僕の立場じゃないの?などと言い乍ら、ぱん、ぱんっと土埃の付いた身を叩き帽子を被り直したアルフレッドの青い瞳に映ったのは、開架より飛び降りて回転切りを放ったその人。リグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)が、振り下ろした黒剣を構え直す姿だった。

 「あら、正義の味方が堂々と名乗りをあげるって誰が決めたのかしら?」
 着地で乱れた灰の髪を少しばかり手で流し整えて口許に笑みを浮かべた彼女は、とんと晴れやかな声音で告げる。そして間髪入れずに地を蹴り、帽子屋へ肉薄したなら、手にした黒剣を振り抜きながら続けた。
 「多少強引でも正義を通す、そんなヒーローだってきっといるわ!」
 今の私みたいにね?と、眦緩めたリグの瞳はきらり、と煌めいて。それでいて、その飴色の奥には確たる意志が宿って見えた。彼女が振るう黒き剣の軌道を、ひらり、ひらりと避けゆく帽子屋に、反撃の隙を与えないとばかりに斬り結び、果敢に攻めるリグの狙いは、今居る狭い書架の通路から幾許か開けた場所へと彼を追いやる事。
 「いやはや。君もまぁ、休む間もなくよく其れだけ振り回せるものだね」
 「あら、褒め言葉として受け取るわ。そのハット、何が出てくるかわからないものね!」
 「――おや、ご希望なら見せてあげようか?」
 楽しげに笑った帽子屋がそう告げたのと、書架の通路を抜け視界が開けたのはほぼ同時。軽やかに爪先鳴らした帽子屋が開けた後方へと身を翻し、重ねた戦闘で幾許かほつれの見え始めたシルクハットをくるりと回し力を揮う。彼の喚び掛けに呼応したのは、全身を光輝かせた七体の銀狼達。エネルギー体であるその身を宙で一度翻し、黒剣構え駆けるリグに向かってその牙を突立てんと一斉に飛びかかる。

 しかし、孤高の獣たる狼の力を宿すのは、光り輝く彼等だけでは無かった。向かい来る七体を前に怯むことなくその身を飛び込ませ、一体、二体と其の突進を躱し往くリグもまた、個でも駆け行ける戦士の力をも持ち乍ら、己を慕い集う仲間を慈しむ、群れ愛す狼の心と力を併せ持つ者であるのだ。その裡に宿すのは、この戦いの先にある仲間達との笑顔溢れる日々。其れを切り開く為ならば、如何な手段をも厭わない、その強き意志を『正義』と云わず何としよう。
 「その力、私の糧にさせて貰うわね!」
 続く個体に生命力吸収の力を宿した薙ぎ払いを喰らわせて、満ちる力を感じながら群れをいなし抜けたなら……目の前にはアルフレッドの姿だ。

 「ところで帽子屋さん、ひとつ聞きたいんだけど」
 勢いの儘に駆け、眼前にて斬り結ぶと見せかけたその刃を彼の髪掠るに留め、すれ違いざまに耳元で囁いたのは一つの問い。

 ――ちゃんと悪役やる気、ある?

 耳に届いた問いに瞬いたアルフレッドは、少しの間を置いた後、可笑しげに楽しげにと高く笑った。
 「あはは!そうだね、君達との遊びにスパイスを加えられるなら、其れも悪くないと思ってるよ」
 それが『ちゃんと』になるのかは解らないけれど?――と、懐に持つ一冊の本を覗かせては口端持ち上げた彼に向かって、リグの隣に出現した魔狼が跳びかかる事は無く、その姿がゆらりと消える。どうやら狼が探知する『嘘』は其処に存在しないらしい。
 その答えに、楽しげな様に、リグもまたどこか楽しげな様子で笑い声を重ねる。
 「そう、答えてくれて有難う。でもね……ふふ、ハウツーを本に頼るようじゃ悪の道は貫けないわよ!」

 ――なんせ、私たちみたいなのがひっきりなしに襲い掛かるんだからね!
 そう続けたリグは再び黒剣を構えて駆けだした。そう、彼女の戦いも未だ終わってはいないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティヨル・フォーサイス
リンデ(f14721)と

格好いい決めポーズをして声高らかに名乗るべし?
個人情報なのだけれど
しかも名乗ってる間に攻撃されない?

されないの?
うーんと悩みながら視線を向けずに
はいはい、いいわねそれでいいんじゃない

気は乗らないけど覚悟を決めて
リンデ、いくわよ

待ちなさいっ!
世界征服なんて許さないわ
このティヨルが、あなたを骸の海へ返します

宙を指さし腰に手を当て
だって人を指さすわけにはいかないでしょう
なんで笑ってるの
そもそもそのポーズはなに

気を取り直し、槍を構え素早く飛ぶ
一撃を与えれば
リュイ、きてっ

蒼色の火球は回避に専念
食人花なんて悪趣味ね
リンデ、平気?

こういうのはね、正義が勝つって相場が決まってるんだから


リンデ・リューゲ
ヨル(f14720)と

まあ倒しちゃえば名前知られたところでねぇ
それよりねぇねぇヨル
決めポーズってどんなのがいいかな?
こう?これはカッコいい?
ちゃんと見てよ〜

大丈夫大丈夫
そういうのは大体浪漫でどうにかなるよ

待ちなさーい!
ヨルに続けて鷹が荒ぶるようなポーズ
したままふるふる笑いを堪える
ヨルがとても良い子で可愛いんだもの
あっ、いけない俺もちゃんとしなくちゃ(キリッ
弟分のリンデでーす

リンデくんシールド!
複数クラフトしたシールドで身を守る
怪我したらヨルが心配するからね
さりげなくヨル達の傍にも

俺の立ち回りは援護メイン
ボウガン放ち彼の意識を幾ばくか此方に奪えればいい

そうだぞ
可愛いは正義〜!
うちの姉さん可愛い



 ●

 新緑の色を帯びた透ける翅をひらりと揺らし、訝しげな表情を浮かべ乍ら、床に広げた正義の書に連なる文字を読み上げるのは、ティヨル・フォーサイス(森のオラージュ・f14720)。そしてその様子を穏やかな瞳で見守るのは、彼女の弟分であるリンデ・リューゲ(يقبرني・f14721)だ。
 「格好いい決めポーズをして、声高らかに名乗るべし?……個人情報なのだけれど」
 「まあ、倒しちゃえば名前知られたところでねぇ」
 書かれた内容に対し、至って真面目な顔で正論を述べる彼女に対して、マイペースに返す彼は、並ぶ二人の体躯のように少しばかり凸凹としても見える。しかしそれこそが二人にとっての当たり前で、変わらぬ居心地の良さ。それは戦場であっても同じなのだ。

 「――しかも、これ、名乗ってる間に攻撃されない?」
 「大丈夫大丈夫」
 「……されないの?」
 「そういうのは、大体浪漫でどうにかなるよ」
 根が真面目なティヨルはやはりその一つ一つが気になるようで、うーん、と首を傾げながら文章を指でなぞりゆく。そうして、それにやはり笑顔でかろく返しゆくリンデ。それはまるで、読み慣れた物語の一節のように。当たり前に其処にあるやり取りは、日常の延長。
 「それよりねぇねぇヨル、決めポーズってどんなのがいいかな?こう?これはカッコいい?」
 書から視線を上げようとしない姉貴分へと、リンデは無邪気に声を掛けながら、両手を広げたり、足を上げたり、はたまたくるっと回ってみたり。彼女の隣であれこれとポーズを取ってみる。
 「はいはい、いいわねそれでいいんじゃない」
 尚も書から目を離さずにさらりと言ってのけるティヨルへと、ちゃんと見てよ〜と言いながら。――あゝ、これもまた、二人だけの予定調和。
 ぱたん!と音を立て、ティヨルの手により正義の書が閉じられた。勢い含んだその動作には、覚悟を決めた彼女の意志が見て取れた。
 「気は乗らないけど、やるしかないわね。リンデ、いくわよ」
 気合を入れて脳内シミュレーションを繰り返すティヨルの隣、おー、と腕振り上げたリンデが並び、戦いの熱孕む地へと踏み出した。

 銀狼が駆け、剣交わる音が響く書架の森。七体の其れが対する猟兵に捌かれ、帽子屋が再びシルクハットを翻そうとしたその瞬間!
 「待ちなさいっ!」
 「待ちなさーい!」
 彼の頭上から男女の声と大小二つの影が現れる。
 「世界征服なんて許さないわ!このティヨルが、あなたを骸の海へ返しますっ!」
 続く、凛と通る涼やかな声にアルフレッドが視線を向ければ、其処には己へではなく、宙を指さし腰に手を当てたティヨルの姿。そしてその隣では、彼女に続けて鷹が荒ぶるようなポーズを取るリンデの姿があった。

 ふは、と一度可笑しげに笑った帽子屋は、機嫌良さげにその姿を見上げて問う。
 「あはは!君たち面白いね。……ねえ、妖精の君!その指は何で上を向いているんだい?」
 「――え?だって人を指さすわけにはいかないでしょう」
 帽子屋の問いに、ポーズを崩さぬまま大真面目な顔で語るティヨル。その隣で同じくポーズを崩さぬままにふるふる笑いを堪える彼に、彼女は眉を潜めた。
 「ちょっと、リンデ。なんで笑ってるの。そもそもそのポーズはなに?」
 「ふ……ふふっ、だって、ヨルがとても良い子で可愛いんだもの。え、このポーズ、カッコよくない?」
 さっき、ヨルがそれでいいじゃないって言ったから。と付け加えたなら、ティヨルの潜めた眉が深まった気がして。
 「あっ、いけない俺もちゃんとしなくちゃ。弟分のリンデでーす」
 誤魔化すようにキリッと表情を整えるも、少しばかり大袈裟な言い方は冗談混じり。そんなあどけなさ残した振る舞いは、姉貴分である彼女の前で見せる、弟分たる自分の姿。この後に、もう、と言いながらも許してくれる、そんな関係が心地いいから。

 「――まったく、もう。とにかく!覚悟しなさい!」
 気を取り直して、と、手にした槍を構え直し、先手必勝とばかりに帽子屋の懐へと素早く飛び込むティヨル。その軌道を読み爪先軽やかに避けようとしたアルフレッドだったが、そうはいかないとその足元、避け往こうとした先へリンデが放ったボウガンの矢が突き刺さる。
 彼の的確な援護により行動を妨害され、躱すタイミングを失った帽子屋の腕にティヨルの振るう槍先が到達した。彼の隣をすり抜けながら煌いた先端はその衣を裂き、赤い線を生む。振り向きざまに目のあったリンデと微笑み交わした彼女の攻撃は、未だ終わっていない。
 「――リュイ、きてっ!」
  彼女の喚び声に、その手にした槍が真の姿を現す。ふわりと柔らかな毛並みを風に揺らし、彼女の翅に良く似た森色の瞳を煌かせた白き竜。『リュイ』が一声嘶けば、その身を帽子屋へと翻す。目にも留まらぬ速度で体当たりを繰り出すリュイに、受け身を取った帽子屋も堪える事叶わず、後方の書架へとその背を打ち付けた。

 「――いたた。やるじゃないか。……けど、やられっぱなしだとは思わないでよ?」
 襲う痛みに微か眉を潜めた帽子屋だったが、それすらも楽しいと言わんばかりに笑みを浮かべ、衝突の衝撃で床に落ちた帽子を拾い上げれば、そのままくるりと弧を描き、喚び出し放つのは蒼き火球だ。
 彼の様子に攻撃の予感を感じていたリンデは、すかさず創造の力で複数のシールドを展開し、放たれた火球を弾き返す。己が身を護る其れであれど、裡に抱く思いは『怪我したらヨルが心配するからね』と、姉貴分へ向ける温かな想い。そうしてそれはまた、彼女とリュイの傍にも精製されたシールドにも顕れていた。
 弾かれた火球から生まれる食人花を横目に、すい、とリンデの隣へ舞い戻ったティヨル。
 「食人花なんて悪趣味ね。――リンデ、平気?」
 気遣わしげな彼女へと、大丈夫、大丈夫、と微笑む彼の様子を見れば、彼女もまた安堵の吐息と共に笑みを浮かべ、再び帽子屋へと向き直る。

 「いい?このまま押し切るわよ。こういうのはね、正義が勝つって相場が決まってるんだから!」
 「そうだぞ!可愛いは正義〜!」
 うちの姉さん可愛い!と続けるリンデに向けたティヨルの表情はどんなものだったか。
 続いて交わされる会話は戦音に飲まれるも、彼らの戦いはまだ続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キトリ・フローエ
正義の味方?つまりヒーローってことよね!
友達がヒーローをやってるから、知識は少しだけあるのよ
あたし、一度あれをやってみたかったの
そう、魔法少女!

変身は出来ないけれど、それっぽい服に見えないかしら?
スターリーフェアリー・マジカルキトリ!(きらっ★)
あたしの星で、あなたの心を照らしてあげるわ!
(びしっとそれっぽいポーズを決めつつ)

ネーミングと口上はだいぶ再考の余地があるけれど…
ともかくも今はマジカルキトリとして全力で戦うわ
業火には水で
水の属性を纏わせた空色の花嵐で華やかに
敵はただひとりだけれど広範囲に花弁を舞わせて
きらきらと戦場を彩ってから一気に収束させるの
何となく、とっておきの技みたいでしょう?


千波・せら
正義の書!
かっこいい本だね。
これを読めば私もヒーローになれるかな。
ヒーローって憧れるんだ。

ほー、ふんふん、分かった!
これでヒーローになれる気がする!
登場は光属性の風を吹かせてかっこよく登場をするよ。
せらブルー!参上!
決め台詞もバッチリ。
正義の味方は派手に登場して派手に去って行くからね。

悪い帽子屋は私が倒すよ!
帽子屋の攻撃は炎、それなら次は水属性の風で打ち消す!
そんな生温い炎で勝てると思ったら大間違い
せらブルーの自然を操る力で全部吹き飛ばして平和を取り戻すよ!

私は逃げも隠れもしないよ!
悪い帽子屋、かかって来い!
正義の味方になりきるって楽しいね。



 ●

 ヒーローへの憧れと言うものは、誰しもの心に少なからず宿るものなのかもしれない。一冊の『正義の書』を胸に抱えた千波・せら(Clione・f20106)もまたその一人。
 「これが正義の書!かっこいい本だね。これを読めば私もヒーローになれるかな」
 ヒーローって憧れるんだ!と、光纏う書にも負けぬ煌めきを瞳に宿したせらの傍らで、夜色の柔らかな翅をはためかせ乍ら、その話に耳傾けるのはキトリ・フローエ(星導・f02354)。
 「ええ、その書から力を貰える正義の味方って、つまりヒーローってことよね!」
 だったらきっとなれるわ!と、憧れ宿すせらへと頷きまじりに伝えゆく彼女にもまた、憧れの姿はあった。
 ヒーローをやっている友人を持つと語る彼女には、その知識が少なからずある。そんなキトリが想い描くヒーロー像はと言えば。
 「あたし、一度あれをやってみたかったの!ええと……そう、魔法少女!」
 くるり、と宙を一回りして憧れを口にする彼女の声を聴いたなら、其処に記された言葉を拾い上げようと正義の書へと向けていた視線を持ち上げて、其れを置き空いた両手をぱちんと手を打ち鳴らし、わぁ、それも素敵だね!と、せらは言う。
 「ありがとう!それで、どう?あなたもなりたいヒーロー像は描けたかしら?」
 「うん!ここに色々書いてあったからね、これでヒーローになれる気がする!」
 戦場にて交わされる偶然の縁、しかし同じ『ヒーロー』への憧れを胸に顔を見合わせて笑った二人は、其れじゃあ行こうか、と共に戦音響く地へと身を翻す。

 熱混じり、植物の燃る灰や交わされる剣音の中、シルクハットを操る帽子屋が、牽制にと蒼き炎球を放ち先程まで対峙していた猟兵と一度距離を取った、正にその時!
 彼の視界を埋め尽くす程に、キラキラとした光り輝く風が吹き抜けた。せらの操るその光に眩んだ目が慣れゆく頃、きららかな風吹く中心には、大小二つの影が立ち並ぶ。
 「この地の平穏乱すものを、私は許さない!せらブルー!参上!」
 正義の味方らしい決め台詞も派手な登場もバッチリ!と、満足げな笑みでポーズを取るせらの傍ら、彼女の名乗りに続くよう、くるりと羽ばたいて、星屑煌く宵色のスカートをはためかせたキトリが花蔦絡む杖を華麗に操り、彼女もまた名乗りを上げる。
 「スターリーフェアリー・マジカルキトリ!あたしの星で、あなたの心を照らしてあげるわ!」
 きらっ★っとウインク混じりにポーズを決めれば、光に満ちた二人の愛らしいヒーローの誕生である。彼女達を包む光は、互いが産んだそれのみならず、ヒーローたるその身へと加護齎す『正義』の力も働いていた。

 「あはは!これはまた、随分な登場じゃないか!うん、うん、ヒーローっぽいよ、お嬢さん方!」
 大仰に拍手をしながら楽しげな帽子屋が、シルクハットをくるりと回し、芝居めいた仕草で礼をする。
 その様子を眺めながら、まだネーミングと口上はだいぶ再考の余地があるわね、と密やかに脳裏過った其れを押し込んで、マジカルキトリとして全力で戦うと決めた彼女は、肩並べ合うせらへと目配せをする。それに頷いたせらが、びしっと帽子屋を指差して。
 「悪い帽子屋は私たちが倒すよ!」
 「さあ、覚悟しなさい!」
 「あゝ、向かっておいで!僕も存分にお相手しよう!」
 ぴったりと息のあったタイミング。そんな彼女らの姿に機嫌良さげなアルフレッドは、常より多く回す勢いで、帽子を軽やかに操る。ぽん、と頭上に放り投げられた其処から繰り出されたのは、翠色の炎を纏った巨大な竜巻だ。

 「さあ、これでどうかな?逃げるなら今だよ?」
 「私たちは逃げも隠れもしないよ!悪い帽子屋、かかって来い!」
 囂々と響かせて、周囲の書をも飲み込みながら迫り来る炎の嵐。しかし、それを目の前に二人は怯むそぶりすら見せない。見合わせた顔には笑みすら浮かぶ。そう、彼女達の選んだ力は何れも水の力。
 「そんな生温い炎で勝てると思ったら大間違い!せらブルーの自然を操る力で全部吹き飛ばして、平和を取り戻すよ!」
 高らかに宣言したせらのもとに集まるのは、水の力を纏う風。まるで彼女が愛する海が地上にと現れたかの如く、鮮やかな青で練り上げられてゆく。
 「せらブルー、合わせるわ!これがあたし……マジカルキトリのとっておき!――ベル、あなたの花を見せてあげて!」
 そうキトリが語りかけるのは、手にした花蔦絡む杖。その本来の姿は彼女の信置く大切な精霊だ。マジカルにそしてリリカルに!振るう杖で、舞うその身で、くるりと星の軌跡を描いたなら、其処に生まれ喚ばれるは、水の力帯びた空色の花嵐。
 一面に舞うキラキラとした白と青の花弁が戦場を彩ったかと思えば、その力は突如収束し、大きくうねりを上げたせらの水纏う風と合わさってゆく。空と海、二つの青を抱いた竜巻が、帽子屋の繰り出した翠炎を飲み込んで、その先にいるアルフレッドもまた、うわああああ、と声を上げながら、鮮やかな青のうねりに飲み込まれていったのだった。

 「やったあ!マジカルキトリのとっておき、凄いね!」
 「あなたの技もかっこよかったわよ、せらブルー!」
 ぱちん、と互いの手を重ね合わせハイタッチ!
 正義の味方になりきるって楽しいね。と、顔を見合わせた二人の瞳が、煌く海のように、瞬く星空のように、何処までも鮮やかに輝いていた。

 ●

 この地に満ちる文字に力を借りて、初めの一歩に護るべき者への意志を抱いて、常と異なる技もちて正々堂々の心を抱き、敢てのピンチを好機に変えて、過去繰り返さんと己を鼓舞する力を持ちて、切り開く先の為手段選ばぬ強き意志にて、互い想い合い常と変らぬ絆にて、憧れを形とし力と変える純粋さにて。
 この地に集いし十人の、其々が持つ正義の心が、行動が。交わり、編まれ力と変わる。

 入れ替わり立ち代わりと、帽子屋を追い込んだ面々が、一堂に会し宿る力を合わせ往く。
 その様を見て、帽子屋……アルフレッドもこの後に待つ展開を察したようで。
 「やぁ、そろそろ潮時、ってやつかな?でも、君達と交わす戦いは楽しかったよ!――そうだな、最後は悪役らしく決めるとしようか」
 そう告げた帽子屋へ、各々の持つ得意技を放つ猟兵達。その技が一つ、また一つと重なり往きて、彼へと到達する頃には大きな一つの光の渦となっていた。其れに飲み込まれながら、何処か満足げな笑みを浮かべたアルフレッドの声が大図書館へと響き渡った。
 
 ――覚えてろ!

 ……と。そうして、その姿消えゆく間際、音なく動かされた唇は『また、あそぼう』と紡がれていた。
 大図書館で邂逅した帽子屋との戦いは、これにて幕を下ろす。
 あゝ、誰が最初に口を開いただろうか。
 顔を見合わせた猟兵達が口元に笑みを浮かべたなら、誰からともなく各々にポーズを決めて。

 『――正義は勝つ!!』

 と、晴やかな声が幾重にも重なり、木魂した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月07日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#戦争
🔒
#迷宮災厄戦


30




種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠カグラ・ルーラーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト