迷宮災厄戦②〜剣聖情鬼(作者 鉄錆
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 あぁ、心が躍る。
 混濁した記憶の中で、確かに輝くもの。愛しき恋人の姿。
  幾ら探し求め、幾ら斬り捨てても見つからなかったが、今回こそは。
 この儀式で大量のアリスを喚べば、その中に居るのではないか。いや、居るはずだ。居る。
 こんなにも希望に満ちた気持ちは何時以来だろう。剣も軽やかに奔るというものだ。
 無聊の慰めに斬ったオウガがもう二桁に達しようとしているが、これだけの大軍勢、少しくらい構わないだろう。
「あぁ、早く姿を見せておくれ。愛しの――」

「情け深いのも、度が過ぎれば狂気というものだ」
 そう言って馮・志廉(千里独行・f04696)は戦況の説明を始める。
 かつて無い三つ巴の戦いとなった“迷宮災厄戦”。中でも、『オウガ・オリジン』に捧げる多数のアリス達を召喚する儀式を執り行うべく大量のオウガの軍勢が集結した、「迷宮のような図書館」の国が今回の舞台。
 その軍勢の内の一つ。司令官たるオウガを暗殺することで儀式を妨害するのが今回の目標だ。

「司令官のオウガは、剣士風の男。アリス召喚にかこつけて人を探しているようだが……」
 無論見つかるはずも無い。事によっては、アリス召喚の目的も捨て置いて殺戮を始める可能性もある。
 その前に止めなければならないが、彼のオウガは大軍勢に守られており、接近は容易では無い。
 しかし、今回は【Q】の成功により軍勢を俯瞰する位置を確保できており、司令官の位置は把握できている。
 また、司令官も然程熱心に統率してはいないようで、水も漏らさぬ警備という訳では無い。
 何とか軍勢をすり抜ける工夫を考え、司令官のみを速やかに撃破するのが望ましい。

「召喚されたアリス達の末路は、オウガ・オリジンとやらの腹の中だ。許すことは、出来ん。」
 グリモアベースの背景が、どこか幻想的な書架の並ぶ世界を映し出した――。


鉄錆
 鉄錆と申します。今回は『迷宮災厄戦』中の一シナリオとなります。

 目標はオープニング通り司令官の撃破ですが、プレイングボーナスとして『オウガの群れを潜り抜け、司令官に素早く接近する。』が設定されています。
 地形や油断、その他さまざまな工夫で司令官に迫って下さい。
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第1章 ボス戦 『『異界の剣聖』リヒター・ライヒハルト』

POW ●『謹厳なる実戦の為の剣』
【実戦で磨かれ、鍛え上げた飾り気の無い剣技】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【防御や回避の傾向と癖】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD ●『流麗なる儀礼の為の剣』
【衝撃波で周囲を薙ぎ払う、儀礼用の魔導剣術】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ ●『真に愛しき君の為の剣』
いま戦っている対象に有効な【属性を剣に宿す。更にその属性に応じた精霊】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はマリオン・ライカートです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ハギト・オリンピア
【心情】異世界の剣戟とは、英雄がここまで落ちるというのも、気になるところはある。
【行動】
 敵陣から見える所からで滑空して、司令官のところへ向かいます。
「我が名はハギト。汝の名を聞こう」
 相手の名乗りを聞いたところで、
「ならば、勝負を始めよう」
 と攻撃を行います。攻撃については【POW】でしていきます。
「この剣戟、中々見られないものだな。さて‥‥‥、我が一撃を受けてもらう」と言って、グレートスマッシャーを使います。


筒石・トオル
軍勢と司令官の位置を把握し、最もオウガの群れが少ないルートを選出して飛び込む。
【視力、見切り、フェイント、早業】を駆使し、接近してオウガの攻撃を避けつつ、メダルを貼り付けて行く。
その上でUCを使用し、自身の姿を敵に認識され難くする。
戦っていては時間が掛かる。だからこそ敵をすり抜ける事で司令官に迫れるようにしたい。

気付かれ難くなれば仲間への支援もし易いかな?
熱線銃で【援護射撃】して司令官への道を拓く。


「堕ちた英雄、と言った所か」
 生け贄となるアリスを召喚せんとするオウガの大軍を見下ろし、呟くのはハギト・オリンピア(黄金の鎧と剣で運命を変えるヒーロー・f19356)。
 明星の如く輝く鎧を纏い屹立する姿は一種の神秘すら感じさせる。それもそのはず。
 美しい翼を広げて飛び立つ彼は、厳然たる事実として神であり、天使である。
 オウガの大軍を抜けるべく彼が選択した手段は、シンプル。空中から急襲し、一撃を加えんとするものだ。
 愛用のグレートソードを手に、ハギトは加速する。

 最もシンプルで派手な選択をした男に対し、地味だが、後続にとっても重要なポイントとなる手段を選択した少年がいた。
 筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)である。
 彼は事前に見てとった軍勢の配置から最も効率的な侵入経路を割り出し、既にその陣中に身を潜めていた。
 軽やかな足取りでオウガの裏をかき、するすると歩を進めて行く。目が良い。何より、勘が良い。経験による独特の距離感把握によるものか。
 そして幸運な事に、空中から司令官を攻めんとしたハギトの姿を見つけたオウガ達が浮き足立ち、慌ててハギトを追うべく注意が散漫になった所で、トオルはその背にメダルを貼り付けるのだ。
 その名も、妖怪メダル『ぬらりひょん』。
 これを貼り付けられたならば、オウガにとってトオルの姿はその目に映ったとしても日常の風景。一々気に留めるものでは無くなるのだ。
 斯くして陣中において自在の行動を確保して行くトオル。ブラスターを手に、他の猟兵達の援護も行うべく、陰から陰へ。
 派手な攻撃を仕掛けずとも、このような働きこそが作戦の要となるのだ。

 ハギトは、翔ぶ。あと僅か――と言うところで、させじとオウガが前後から挟撃を仕掛けてくる。
 前方のオウガは問題なく斬り捨てる。しかし、後方に対するには速度が落ちるか……しかし、それは杞憂となった。
 トオルのブラスターが、音も無く、それを撃ち落としていたのだ。僅かに振り替えれば、ハギトとトオルは刹那に視線を交わす。言葉は無くとも、互いの意図は通じるものだ。
 そして、司令官まであと僅か。オウガに囲まれる事を思えば、一瞬のすれ違いが唯一のチャンスになろう。
「我が名はハギト。汝の名を聞こう」
「……リヒター・ライヒハルト」
 互いに名乗り合い、互いに剣を向ければ余分な言葉は無用。
 互いに構えからの紫電の如き一閃。
 この交錯の後に残されたのは、飛び去るハギト睨み付けるように立つ、肩口を切り裂かれたリヒターの姿だった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

鈴桜・雪風
無情、ですね
もしかしたら、生前は良き人だったのかもしれませんが……
喪失の狂気に沈んだ今は、ただの殺戮者でしょう
「せめて、これ以上罪を重ねること無いように。ここで終わらせて差し上げますわ」

まずは歩法(【忍び足】)とラムプの幻術(【催眠術】)で敵を欺き、
すり抜けて本陣に迫れるだけ迫りましょう
警備はおざなりとのことなのでこれで将に接敵できるでしょう

「もし。思索中の所失礼しますわ」
なんとなく
ただの気まぐれですが、この将とは剣で相対したいと思ってしまったので
我ながら酔狂ですが、正面から挑みましょう
「わたくしは貴方を斬りに来た。貴方はここを守りわたくしを斬る。それだけでございます」


西条・霧華
「あなたの本当の想いを護ります。」

守護者の【覚悟】を以て…

物陰に潜みつつ、【視力】を用いて敵の巡回ルートを【見切り】、見つかり難いルートを探りつつ移動します

どうしても接触が避けられない場合は付近の本を離れた場所に投擲
音の方へ【おびき寄せ】、その隙に【ダッシュ】で走り抜けます

指令官との戦いでは纏う【残像】と【フェイント】で眩惑し、【破魔】と【鎧砕き】の力を籠めた[籠釣瓶妙法村正]にて『君影之華』
相手の攻撃は【視力】を以て【見切り】、【残像】と【フェイント】を交えつつ【武器受け】
【オーラ防御】と【覚悟】を以て受け止め、返す刀で【カウンター】

どうか忌むべき執着と狂気を捨て、在るべき場所に還って下さい


 パタン。
 何かの辞典の類いだろうか?分厚い本が落ち、物音をたてる。
 オウガとて、普段なら気にすまい。しかし、たった今襲撃があったとあっては……。
 歩哨も念を入れて確認をするが、それこそが罠。その背後をするりと抜けて、西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)がひたひたと走る。
 先の襲撃による混乱に乗じ、司令官に忍び寄るのだ。幸い、隠れる場所は幾らでもある。
 高みより、彼女の目を以て観察すれば、オウガ達の警戒する範囲は十分に読むことができた。
 彼の敵を斬り、彼の敵を護る。一見矛盾する想いを胸に、霧華は奔る。
 しかし、それでも予期せぬことは起こるもの。これまでサボってでもいたものか、突如目の前にオウガが現れた。霧華が柄に手をかける……と同時。
 ぼう、とオウガの前を灯火が横切った。

 それは、鈴桜・雪風(回遊幻灯・f25900)の持つ。ラムプの灯り。蠱惑的なその光はオウガの視線を釘付けにし――オウガはそのまま何処かへと歩み去る。
 霧華と雪風は互いに目配せをすると、共に目的地へ。そこは、言わば本陣となる部屋。
 そこには、今しがた斬られた肩を押さえつつ、何やら呟くリヒターの姿があった。
「もし。思索中の所失礼しますわ」
 雪風は、声を投げ掛けた自分の事を少しだけ意外に思う。暗殺をしに来たのだから、気づかぬ内に仕掛けてしまえば良いのだ。
 それでも声をかけたのは、剣聖と呼ばれるその剣技への興味からか。
 隣を見やれば、霧華も声をかけた事に異を唱える様子は無い。
 そして驚くべき事にリヒターは全く動揺も見せず、ただ剣を抜いた。物音等から気づいていたものか。
「一応。用件を訊こう」
「わたくしは貴方を斬りに来た。貴方はここを守りわたくしを斬る。それだけでございます」
 桜花舞い散る美しい傘の柄から、するりと銀光が放たれる。仕込み杖なのだ。
 リヒターは、剣先を霧華へ。
「あなたの本当の想いを護ります」
 斬る。護る。それは、矛盾だろうか?

 雪風が仕掛ける。その細身の刀身からは信じられぬ重い斬撃を、リヒターもまた重厚な剣運びで受ける。
 挟む形で霧華も抜刀。流れる様な太刀運びで隙を狙うが、容易には崩れない。
 むしろ太刀を交える回数が増えるほど、リヒターの剣は鋭く、重く、的確になってゆく。
 これ程の剣士が、狂気に飲まれるとは……。
「どうか忌むべき執着と狂気を捨て、在るべき場所に還って下さい」
 言いつつ、霧華は不意に刀を納める。虚を突かれたリヒターの僅かな隙を、【君影之華】――邪心を断つ抜刀が襲う。
 衝撃。
 執着、狂気。そう断じられたリヒターの妄執が、切り裂かれたのか?
 敵の動きが鈍ったのを、雪風が見逃す筈も無い。
「せめて、これ以上罪を重ねること無いように。ここで終わらせて差し上げますわ」
 斬る。護る。二人の語る矛盾。それは、同じ想いに端を発するものであったのかもしれない。
 剣刃一閃!
 気を取り直したリヒターは、かろうじて受けたものの、その剣を両断された。
 不利を悟ったリヒターは、この場を離脱せんと翔ぶ。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

水心子・静柄
軍勢を把握出来る位置にいるのなら先ずは指揮官までの道筋を憶えるわ。時間もあまりない事だし、どの道順がいいかは第六感に従って決めるわ。あとはその道順に沿って指揮官を目指すだけね。野生の勘で警戒しながら進み、途中軍勢を見かけたら、気付かれる前に錬成カミヤドリで複製したものを使って、私のいる方向とは逆の方で物音を立てて注意を引いて、その隙に抜けるわ。指揮官に近づいていけば使いにくくなる手だと思うから、ある程度近づいたら指揮官に向かって捨て身の特攻ね。指揮官を見つけたら複製したものを全て向けて攻撃よ!


黒瀬・ナナ
うぅ、本がたくさんで眠たくなりそう……【気合い】入れていくわよ!

オウガの群れは書架の影に隠れたりしてやり過ごし、指揮官の元へ向かうことを優先。
【視力】で見える範囲に居るとは限らないから、
【聞き耳】を立てて敵の会話や周囲の戦闘音等からも情報を拾うように。
困ったときには風神様のお力を借りて、敵の群れや書架を飛び越え【野生の勘】や【第六感】で突き進む!
考えるな、感じろ!なのよ。


司令官殿には、周りの人達とも協力してお気に入りの薙刀で勝負を挑むわね。
儀礼用のお上品な剣術じゃ、乙女の心にはちっとも響かないわよ!
…逢いたい誰かがいるのなら、あなたの飾らない本音をぶつけてみたら?

※アドリブ等ご自由にどうぞ。


「うぅ、本がたくさんで眠たくなりそう……気合い入れ直さないと!」
 両頬をパンッと軽く張り、黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)は立つ。
 本に溺れてしまうのではないかと言うほどの書架の列を通りすぎながら、ようやくここまで来たのだ。
 道順はしっかり覚えてきた。
 オウガの群れも、鮮やかにかわしてきた。
 しかし、当初の目的地とは、少しずれた場所に、この足は向かっている。
 自分でも理由は説明できない。第六感と呼ぶしか無い。
 その第六感が告げる場所へ、今――。
 ガタン。
 物音が立つ。オウガに見つかった?いいえ、この感覚は。

 その正体は、一振りの脇差しが落ちた音。
 水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)が作り出した、自らの写しである。
 ナナにやや遅れてこの場に到着した静柄は、近づきつつあったオウガを誘導するべく敢えて音を立てていたのだ。
「あら、先客ね。ここは司令官の本陣では無いわよ?」
「ええ。でもなぜか……野生の勘かな?」
「ふふ、私もよ」
 互いに同じ理由でこの場に居ると知り、覚えず二人の頬も弛む。
 一瞬の和やかな雰囲気を壊し、その時は突如やって来た。果たして、二人の勘は的中していたのだ。

「貴女方も、私の邪魔をするのですか」
 走り来る足を止め、二人に剣を向ける男。その剣は折れ、深手を負い、精神にも大打撃を受けているリヒター。それでも言葉を荒らげる事の無い態度には、生前の性質が見てとれた。
 ナナと静柄も瞬時に己のルートの正解を悟り、それぞれなぎなたと、鞘に納められたままの脇差を構える。
 否、静柄はその手の内だけでは無い。七十もの刀が、その周囲に浮かび上がり、リヒターを逃すまいと包囲網を敷く。
 互いに、ここで仕留めなければ先は無い。

 静柄の【錬成カミヤドリ】が、仕掛ける。幾つもの脇差が、上下左右、そんな言葉では言い表せぬ程の角度から死角無く襲う。
 小回りの効く短い刀身こそが、このような空間では有利。斬撃、刺突、あらゆる剣技が隙間無く繰り出されるのだ。
 対するリヒターはその手の折れた剣を、すぅ、と動かし始める。決まった動作。淀み無い剣捌き。格式すら感じさせる魔導剣による衝撃波は、剣身が無くともなんらか遜色無く迎え撃つ。
 一人と一人が戦っているとは思えぬ剣戟の中、ナナもなぎなた【花嵐】を手に飛びかかる。
 無数の脇差と衝撃波が飛び交う中、空を蹴り、華麗に舞うが如く斬りつける。
 これぞ【神憑り・風神の御御足】。
「お上品な剣術じゃ、乙女の心にはちっとも響かないわよ!」
 言葉程の余裕がある訳では無い。
 しかし、リヒターの様子に、一言言ってやらねば済まないのが、『おねえさん』の性。
「……逢いたい誰かがいるのなら、あなたの飾らない本音をぶつけてみたら?」
 一瞬、リヒターの剣が淀む。何かを叫ぼうとする。
 しかし、声は出ない。何故か。曖昧な記憶の中、確かにそれは輝いている。
 なのに――。ぱく、と口だけが動いた時、静柄の脇差が、一つ、二つとリヒターを貫いていった。

 恋人の面影を求めた狂える剣聖は、ついに『真に愛しき君の為の剣』を振るう事無も出来ず、倒れ臥したのだった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

最終結果:成功

完成日2020年08月04日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵