3
迷宮災厄戦⑥〜狂信、献身、兎を殺す

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#戦争
🔒
#迷宮災厄戦


0




「負傷や死を厭わないッてェのは、良い的ッてェことだよな」
 グリモア猟兵の我妻・惇がそんなことを言う。久しぶりの大きな戦いにどこか高揚しつつも、それを楽しむわけでも生き残る気概があるわけでもない、宗旨の違う敵の姿を予知してしまったことにうんざりしている様子でもあり……そんなような、少し複雑な表情を浮かべていた。

 アリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラ『オウガ・オリジン』より力のほとんどを奪った『猟書家』と名乗る者たちが、ユーベルコードによって『他世界の侵略』を開始した。
 オウガ・オリジンが倒すべき敵であるのは元より、その弱体化に一役買った猟書家も当然味方ではなく各々が世界に仇なす強大な敵であるため、こちらにも対応する必要があるという、厄介な状況。説明を行う者だけでなく、受ける者の表情も苦渋のものとなるのは仕方ないことと言えるだろう。

「場所はサムライエンパイアの、原城。何もない所に城だけだ」
 荒野にひとつとか海上に聳えるとかそういうものでもなく、文字通り周囲には何もない、虚空に浮かぶ洋風らしい城である。城外での戦闘や外部よりの大量の増援などというものは想定しなくても良さそうであるので、その点は幸いか。

「敵は耳長の兵隊、突撃銃ッてンだッたか、ああいうの」
 姿を説明しながら、構えて撃つ仕草をして見せる。当然オウガであるため銃だけを武器とするわけではなく、対地攻撃機を召喚したり給仕によって相手の動きを制限したりとややでたらめな能力を持っていたりもするのだが――。

 しかし今回の敵の最大の脅威はその点ではない。そうして最初の話に戻る。
「なンでも、『ぱらいそ預言書』だかッつーのを信じてるとかで、捨て身で襲ってくるンだと」
 猟書家『クルセイダー』の持つ侵略蔵書『ぱらいそ預言書』の影響下にあるらしいオウガたちは今や教信者と化しており、謎の亡霊のようなものを纏い、負傷や死を厭わず捨て身で襲いかかって来るのだそうだ。後先を考えない者は時に実力以上の能力を見せることもあるし、それでなくともただ気味の悪いものである。しかし同時に。
「良い的ッてェことだよな」
 避けることや防ぐことに重きを置かないのであれば、それは重篤な隙と言えるのではないか。逆手に取れば有利に戦闘を運ぶこともできるかもしれない。

「ま、そンなわけだ。こッちは安全に、怪我なく無事に帰ッて来いよ」
 そう言って、グリモア猟兵は皆を送り出していくのだった。


相良飛蔓
 お世話になっております、相良飛蔓です。今回もお読みいただきありがとうございます。久しぶりに気分だけでもサムライエンパイア。

 1フラグメント完結の戦争シナリオとなっております。
 敵のオウガは前述の通り、謎の亡霊を纏っており、負傷や死を厭うことはありません。『オウガの捨て身を逆に利用する』ことで有利に運んだりします(プレイングボーナス)。

 そういうわけで、頑張って行きましょう。またよろしくお願いします。
41




第1章 集団戦 『うさうさトランプ兵』

POW   :    落雷II
無敵の【空飛ぶイボイノシシ型の対地攻撃機】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    そう、我々はやればできる!
自身の【ゴーグル】が輝く間、【軽量自動小銃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    バーガータイム
【ハンバーガーとフライドチキン】を給仕している間、戦場にいるハンバーガーとフライドチキンを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

トゥンク・ニンケ
【POW】
怪我しても構わない感じなのかー。
ってことは自分の攻撃が自分に当たりそうでも避けない感じなのかな…
とりあえず、オウガ挑発して攻撃機呼ぶように仕向けるよ。
もし呼んだら、オウガの足元に潜り込んでおいらへの攻撃にオウガも巻き込めないか試してみる!おいらは【見切り】で必死に避けるよ!
上手く挑発できなかったら、うーん、おいらも疲れるからあんまり呼びたくないけど【鳥葬・追いかけっこ】発動して相棒を呼ぼうかな
で、オウガを巻き込むように動きながら相棒の攻撃を【見切り】で避けるよ!
オウガ避ける気ないなら、いつもより巻き込むのは楽なはず!疲れるのは疲れるけど!



●小型化とは進化である
「お、おいらはただのリス!!ただのリスだってば!!」
 そう言って大袈裟に手を振って見せるトゥンク・ニンケ(ただのリスは人の言葉は話さない・f27145)の言葉は、不自然で、そしてどこか挑発的である。だって、ただのリスは人の言葉は話さない。人らしい仕草でもって、人の言葉でもって、その意志を伝えるそれが、普通の野生動物であるはずがないのだ。

 もっとも、それは言葉を向けられたオウガにとっては関わりのないこと。言葉を話そうが話すまいが、姿かたちがリスであろうが人であろうが、立ちはだかる異教の徒であるのなら、調伏すべき敵である。
 それでも動物であることに印象を引っ張られたためか、はたまた標的の小ささ速さに狙撃の難しさを考慮したためか、トランプ兵たちが空飛ぶイボイノシシを召喚する。その場において即席的に創造されたそれは、室内基準でやや小さく、低空を飛び、トゥンクに狙いを定めながらぱりぱりと纏った電気を爆ぜさせる。

 慌てたようでありながらも挑発的なその言葉は、事実挑発を目的としたものである。そうして引き出した攻撃は、小さな奸雄の望んだ、お誂え向きのものであった。
 空飛ぶイボイノシシ型攻撃機は最強無敵の定義のもとに作り出され、召喚者がそれに疑いを持たない限りはそう在り続ける。狂信者たる彼らの精神を揺らがせることは難しいため、その対地攻撃装置そのものを撃退することは難しいだろう。
 加えて、操るトランプ兵たちの心には恐らく一片の容赦も介在せず、たとえ相手が可愛らしい小動物であっても全力で雷撃を降り注がせよう。
(自分の攻撃が自分に当たりそうでも避けない感じなのかな…)
 而して、それこそがトゥンクの狙いである。

 惧れた通りの――否、求めた通りの落雷が襲う。猟兵はその敏捷性を活かして素早く駆けては避け、トランプ兵の足元へと滑り込んでやった。天井付近よりの攻撃は当然、トゥンクの頭上に遮蔽物があれば直撃させることはできない。その遮蔽物が自身の身体であればなおさら、攻撃には躊躇するところであろう。
 もちろんここには、“普通ならば”の注釈が必要となる。死をも厭わぬ狂信者が、我が身もろとも敵を倒せるのならば、それを逡巡する必要などあるまい。事実その兵士も、迷うことなく攻撃機より落雷を招いた。その電撃は見る間に彼の身体を黒く焦がし、伝ってトゥンクに襲い掛かろうとする。期待に沿いつつ予想より速い、文字通りの電光石火を寸で躱せば、主を失ったイボイノシシが消え失せる。それでもまだまだ敵は多く、創造された攻撃機もまた多い。間断なく降り注ぐ雷を躱し、滑り込み、焼き焦がしては打ち倒し。見切ってのけるも十全とはいかず、毛並みをちりりと焦がされもする。
 それでも、敵は避けず、誘導すべき攻撃は直線的。賢しき敵を相手取るより、疾き相棒と戯れるより、いくらも楽な戦いである。
「疲れるのは疲れるけど!」
 かくして、リスとウサギとイボイノシシの賑やかに過ぎる狂騒は、もうしばらく続く。こういう物語は得てして、小さく賢きが勝つものらしい。

成功 🔵​🔵​🔴​

カイリ・タチバナ
アリスラビリンスに来るのは初めてだが、世界危機は放っておけないってな!

おーお、狂信って怖ぇな。
だが、捨て身ってならこれだ!
【錬成ヤドリガミ】で複製した銛を、俺様のまえに隙間なく配置。
それを敵めがけて、一気に発射!
複製した銛には【神罰】【破魔】【継続ダメージ】ついてっから、結構な痛手だと思うぜ?

そのあと、俺様も本体の銛で攻撃。
敵からの攻撃は符での【結界術】や【第六感】【見切り】で回避を試みる。
まあ俺様、肉体損傷は痛手じゃねぇけど、心配はさせたくねぇんだよな。
つーわけで、骸の海へ帰りな!!



●モリノカミ
「おーお、狂信って怖ぇな」
 揶揄を込めたカイリ・タチバナ(銛に宿りし守神・f27462)の言葉に、ゴーグル越しのトランプ兵たちの瞳は一切の怒りや揺らぎを見せなかった。狂なれ妄なれ、いずれ純なる信仰は、命を賭するに能うもの。信仰なき者の戯言などに、動ずることなどあるはずもない。
 銃を構えて横隊に取り、向かうオウガを不敵に眺め、ヤドリガミの男もまた、並ぶ刃を展開させた。
「だが、捨て身ってならこれだ!」
 自分自身の本体である銛を六十余も複製し、トランプ兵たちの行く道を阻む。言わばそれは槍衾ならぬ銛衾、一分の隙もない鉄壁である。尋常であれば転身するか、怯え慄き立ち竦むのが関の山であろう。それこそその身を捨てねば、通り抜けるなど考えようはずもない。ただし生憎と、その先に浮かぶ瀬などはありもせず。

 カイリの指揮に従いて、数多の銛が発射される。対面の突撃兵に先んじて、整然と宙を駆けるそれらに、間隙はない。
 トランプ兵たちも低く構えたそれぞれの銃を、それぞれに忙しく連射するが、多くは迫る切先に弾かれ、憎き神敵を怯ませることすらできない。そのまま迫った刃によって、幾人ものオウガが胴部を貫かれ、足元の床を暗い血色に染め上げる。
「結構な痛手だと思うぜ?」
 その鋭刃は、ただの鋼のそれではなく、神に拠りて、魔なるを苛み破るもの。纏えるものが亡霊ならば、当然それは痛手となろう。

 猟兵を睨む瞳も、同じく暗い怒りに染まる。応じたように黒い気配が、滴る血潮を覆い隠して、その激痛をも包んで隠す。ゆらりと立てるトランプ兵たちは、その身を貫く刃もそのままに再び銃を構え直し、続く苦痛をものともせずに斉射掃射を激しくする。
「そう、我々はやればできる!」
 強い信仰と強い怒りが、兵団の心と力を奮い立たせる。彼らの行使するユーベルコードは、味方への攻撃を行わねば自らの寿命を縮めるというものだが、捨て身の彼らにその懸念はない。むしろ眼前の逆徒を許すまいと、一弾たりとも無駄にすまいと、銃口を少しでも散らす気配はない。

 ぱらいそ預言書に傾倒するトランプ兵たちにとっての“信仰なき者”カイリ・タチバナは符を構え、結界をなして弾雨を阻む。なお割って襲い来る凶弾を避け、躱し、携えた刃――自らの本体である銛を振るい、駆ける。
 彼らがどのような神を信じようとも、その信仰の正義を押し付けようとも、カイリには関係がないことだ。その結果に肉体を弾丸にかすめられ、あるいは貫かれ、血飛沫を飛び散らせようとも、その信心に自らが踏み入れることは決してない。
「まあ俺様、肉体損傷は痛手じゃねぇけど」
 とは言いつつ表情を僅かに歪める男が、駆けて近付いた敵の一人へ、その銛を強烈に突き立てる。そうして事切れたオウガと違い、カイリの傷はそれほど痛いわけでも命に関わるわけでもない。しかし
「心配はさせたくねぇんだよな」
 かの銛は、時を経たりて心を宿し、銛の神とて奉ぜられる。それは転じて守の神。彼の守るべき民人は、その身の傷に心を痛めるのだ。見た目の深手に憂鬱そうに息を吐き、仕返しとばかりに我が身を振り回し、身を労わらない敵たちを次々に刺し貫いて倒していく。

 誰が誰を信仰しようと構いはしないが、少なくともカイリは、全てを捧げ全てを捨てる信仰心など御免である。
「つーわけで、骸の海へ帰りな!!」

成功 🔵​🔵​🔴​

水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:アノン
「つまり喰い放題ってことだな!」
UDCを纏って黒い狼のような姿になる。
仲間が喰われても逃げねェなら片っ端から喰ってやるぜ。
軽量自動小銃の攻撃は野性の勘で回避して、避けきれねェ分は身に纏ってる液体金属で弾くぜ。多少貫通しても激痛耐性で耐える。
敵の間を縫うように移動して誤射を誘いつつ、カウンターで手近なヤツを喰い殺す。
銃口の動きを覚えちまえば銃撃も当たんねェ、UDCの効果で腹も膨れにくいし、銃も弾も纏めて喰らい尽くしてやるぜ。ヒャハハハハ



●ワイルドハント
 敵は逃げないし、恐れもしない。何があろうと動ける限りは、命の限りに対する者を倒そうと向かって来る。
「つまり喰い放題ってことだな!」
 水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)は嬉しそうに笑って言った。声は弾み、瞳は輝き、いずれにも凶暴性と攻撃性が強く滲んでいる。多重人格者である少年の瞳は紫色。表層に現れたるは、アノン――その性質は、粗暴な捕食者。敵を…否、生き物を食べ物としか思っていない、肉食獣のような者である。
 内包する獣性を体現するかのように、今彼の姿は黒い狼へと変じている。その身に住まうUDCを纏った少年は、歯を剥いて、やはり笑った。

 差し向けられた多数の銃口は、駆け出した獣の姿をすぐに見失った。捉えたと思えば跳び、仕留めたと思えば消え、およそ人とは思えぬ程の機動性でもって銃弾を躱しながら兵士たちの間を縦横無尽に駆け回る。
 一切の被弾を許さずとはいかないまでも、弾丸のほとんどを躱して同士討ちを誘発させる。避け得ず自らの身体に受けたものも、纏って輝く液体金属を鎧とし、硬化させては弾いて退ける。
 その間にも幾人かのトランプ兵が脚を噛まれ、腕を齧られ、時には銃身を千切り取られる。アノンが集団の中を突っ切って振り返れば、敵の多くは浅からぬ傷を負っていた。
 しかし傷を負ってなおオウガたちには、怯む様子はおろか痛みを堪えるような様子すらない。狼が転身する際には、すでにほとんどの銃口が再びこちらを向いていたのだ。
 恐れず怯まぬということは、それだけで対峙する者に重圧を与える。常識が通じぬということは、倫理や感情すらも窺い知れない。人は特に、未知のものにこそ恐怖を感じるものであるらしい。

 されどその兵隊、兎どもの敵するは、圧倒的な捕食者であった。
「仲間が喰われても逃げねェなら、片っ端から喰ってやるぜ」
 未知と既知とに関わらず、“餌”に恐怖など感じはしない。逃げぬ獲物など、ただのご馳走に違いあるまい。
 折り返し、再び駆ける。“喰う”ことに特化されたユーベルコードは、捕食をなおも加速させる。切り抜け、駆け抜け、覚えた動きは回避をさらに容易にさせ、噛み付き喰らう魔性の牙は、硬度も毒性も一切構わず腹に納めて糧とする。
 もっとも、納める腹はアノン――怜悧自身のものではない。UDCを全身に纏った黒い狼は、口内もまたUDCと同化させており、喰らった対象を取り込み、分解するのはそちらの仕事である。
 そのため、捕った食事の量や支払った運動量に対して、それほど猟兵の腹は膨れないのだが、ここにあっては都合が良い事とも言えるだろう。彼の食事のペースはそのまま殲滅のペースであり、腹が満たされない以上はいくらでも喰っていくらでも倒せる。
「銃も弾も、纏めて喰らい尽くしてやるぜ!ヒャハハハハハ!」
 たとえこんな戦場でなくても、アノンにとっては都合が良い。楽しい楽しい狩りの時間を、長く長く楽しめるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

春霞・遙
地雷原をものともせずって認識で良いかな。
で、亡霊のせいで捨て身の行動を取るのか、亡霊がほかのメリットを持つのかはよくわからないけれど、亡霊はなにか重要な役割がありそうだ、と。

周囲に大量の無地の符を撒き、銃撃をかわしながら少しずつ後退します。
敵のオウガが符に触れたら【御霊滅殺符】を発動させます。
符が地面に落ちていようと宙を舞っていようとそれを避けたりしないのでしょう。
憑いている亡霊ごと滅殺します。



●すくう
 春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は特段に戦闘を好むわけでもない。他者の血肉を糧とすることもなく、常に追い来る何かがあるでもない。仮にそういった誰かがいたとしても、その記憶は心を喰らう触手の腹の中、彼女の知るところではないだろう。
 そんなわけで無理をして敵に接近する必要もなく、遙の脚は徐々にトランプ兵より離れた位置へとその身体を運んでいた。生身の人間である彼女にしてみれば、当たれば銃弾は痛いものだし、分厚い皮膚や纏った服で到底防げるものでもない。それならば命に関わる傷を負うリスクは避けるべきが道理であるし、ついでに言えば。
(怪我しても手当ての道具病院からくすねられないな)
 致命でなくとも治療にはコストだってかかるものだ。医者である遙にしてみれば身近なリスクであるし、ある意味ではこれも立派に“死活問題”。

「亡霊のせいで捨て身の行動を取るのか、亡霊がほかのメリットを持つのかはよくわからないけれど、亡霊はなにか重要な役割がありそうだ、と」
 後退しながら考察をまとめ、銃撃を躱しながら次々と符を撒き、その様子は実に冷静なものである。退いた分だけ敵が追い詰めるように前進しても、どこ吹く風のぼんやりした様子。相手を見ては躱して避けて、白紙を放りながら退がるばかりである。
 と、しばらく続けるも不意に遙が足を止める。投げられた無数の符の一枚を、オウガのひとりが踏みつけたところであった。見れば他の者も、宙を舞ったそれを肩に張り付けたり、腕に絡めたりと、それを構うこともしない。死をも厭わぬ狂信者たちが、その攻撃を恐れはしないのは無理もないことである。あるいは信仰がなくとも、たかだか白紙の一枚二枚を気にも留めぬのは当然かもしれないが。
『諸々の禍事、罪、穢れ、大いなる災いの一抹を此処に顕し給え』
 唱えれば、トランプ兵たちの身に触れた符たちが、それぞれに力を発現する。呪言によりてあらゆる霊的要素を死に至らしめるユーベルコード・御霊滅殺符により噴き出す穢れは、黒衣の兵士の纏い煙る黒い亡霊をさらに包み呑み込んで、見る間に、次々と消滅させる。続きオウガたちを取り込むと、そのままこちらも平らげてしまう。
 かくして遙に向かった敵兵たちは、彼女が後退する足を止めたその先へ進むことなく、全員が跡形もなく倒されたのだった。阻んだ道のその先には、たとえこの城が虚空にあろうと、たとえ地続きでなかろうと、きっと彼女の守るべき弱者の世界が続いている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

塩崎・曲人
突撃バカになった兵隊が相手かい
そういう奴の対処はよく知ってるぜぇ

【路地裏鼠】でトラップを山程仕掛けて、そこに誘い込んでやろう
トラップっつっても脅かして動きを止めるブービーな奴じゃなくて、殺傷力マシマシの本格派の奴で
この手の詐術とトラップ設置に、新兵器のカラビヤウ・シックスが効果を発揮するわけだ
「オラオラ、オレを殺すんだろう兵隊共!その程度の罠で死んでないでかかってこいよ!」
屋根から石灯籠が落ちてきたり、井戸の囲いが無くなってて普通に歩けば落ちるようになってたりするだけだ

で、さんざん引っ掻き回した後は生き残ってるやつをしばき倒せばいい
「じゃあな、『ぱらいそ』とやらで元気にやってくれ!」



●窮せずとも捕食はする
 ゴーグルに光を弾かせながらも、瞳に光を宿さないオウガの集団と向き合って、塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)が目を細める。怖気を振って猫を噛む、鼠は油断なるまいが、恐れを捨てて進むばかりの"突撃バカ"なら話は別だ。
「そういう奴の対処はよく知ってるぜぇ」

 ユーベルコード・路地裏鼠。罠の扱いや騙し討ち、暗殺などの隠れ潜んでの攻撃を一時的に長じさせるものである。強化された手の早さもあり、曲人が転送を受けてから敵と対峙するまでの短い間に、無数のトラップを仕掛けていた。
 あとはナメた態度で挑発してみせ、引き下がってはおびき寄せ、罠に掛かるを待つばかり。一直線に向かってくるのだから、待ちぼうけの心配もない。
 とはいえ短時間で設置できる罠といえば、普通は軽量で、単純で、それゆえに殺傷力の低いものとなるのは仕方のないことである。
「そこで、新兵器のカラビヤウ・シックスが効果を発揮するわけだ」
 虹色の複雑な光を放つ球体を、宙に抛って弄びながら、男はなおも挑発的に。そんな言葉に表情に、取り合うことなくオウガの一人がさらに踏み込む歩みに合わせ、その頭上へと落ちる物。
 ご、と響きの悪い鈍重な音がして、一体の姿が変じた。黒い淀みを纏いながら、何をもそこに莫きが如くに、歩き進めたその姿は、一瞬ののちに大きく重い石灯籠となっていた。
 勿論、実際にはトランプ兵による能動的な変化などではなく、曲人のトラップの成果である。それはワイヤーへの接触をきっかけとして、高所に配置した石灯籠を標的の頭上に落下させるという、単純かつ凶悪なもの。効果の程はご覧の通り、あたかもそこに質量をもつ標的が最初から存在しなかったかのようにきっちりぺたんと押し潰していた。

 普通であれば、これ程の重量物をごく短時間で丁寧に運び上げることは難しい。仮に怪力でもって為したとて、周囲への一切の損壊なく静置することもまた容易ならざることである。
 重力制御機能を持つ曲人の新兵器ことカラビヤウ・シックスは、そういった問題を問題ですらない平易なこととし、お手軽簡単で破壊力抜群な殺人トラップの敷設を可能としたのである。
「オラオラ、オレを殺すんだろう兵隊共!その程度の罠で死んでないでかかってこいよ!」
 ここで足を止められれば良いのだろうが、悲しいかなトランプ兵たちにその選択肢はない。群体としての彼らの、元来的な性質による同調圧力からのものなのか、はたまた狂信と亡霊という憑きものによる思考の制限を受けてのものかは分からない。どちらにしても彼らには進むしか道がないのだ。
 逃げる曲人を追い立てる中、底も見えない深みに落とされたり、新たな石灯籠に圧し潰されたり、倒れる柱に道を阻まれたり、多彩かつでたらめな即席トラップに掛けられては次々と脱落していくオウガたち。そんな中で猟兵は余裕の表情で、何となれば新たなトラップすら仕掛ける。
 そうこうしつつ誘き引き連れぐるりとすれば、残るはわずかばかりとなった。数の優位も包囲もなければ、恐れることなどありもせず、あっという間に詰め寄る曲人がその鼻面を打ち据える。向いた銃口もすいと避ければ、見るも鮮やかに回り込む。
「じゃあな、『ぱらいそ』とやらで元気にやってくれ!」
 お見送りの言葉を贈ってやると、奈落へ続く落とし穴へ、その背をぼんと蹴り込んでやるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シリン・カービン
【WIZ】

攻撃を避けようともしないのですか。
ならばそれ相応の対応をさせてもらいましょう。
生命の重みを知らない者に生命は狩らせない。

今は狩りの時間。食事の時間ではありません。
行動は遅くなってしまいますが、問題はありません。

うさうさとらんぷ兵たちと距離を開けて対峙。
命を惜しまなければ、自然に行動は単純になります。
詰将棋のようにポイントを押さえて狙撃し、
敵の侵攻コースを誘導。

敵がまとまったら【スピリット・バインド】を発動。
眠りの精霊を宿らせた投網弾で眠らせて無力化します。
食事を楽しんでいない間は行動速度が1/5になる。
ゆっくりお休みなさい。
…永遠に。
(冷徹にとどめを刺す)



●一網打尽
 シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)の放った射弾は、躱せないものではない筈であった。遠間とはいえ正面からしっかりと狙いをつけての攻撃には不明瞭な要素もなく、当然ながらそれなりの時間だってかかる。
 うさうさトランプ兵たちの服装が見掛け倒しでないのなら、向けられたものの危険性や、その弾丸の直進性は予想できるはずだし、反射的に避ける――避けようとくらいはするはずだ。その反応の一切が見受けられないことは、狩人にいくらかの違和感を与えた。
「攻撃を避けようともしないのですか」
 シリンの標的の多くは獣やオブリビオン、その在り方の違いはあれど、基本的には生き物である。ほとんどの場合は生への執着を持ち、自らの命を守ろうとするものだ。しかし目の前のオウガたちは、自身の危険や倒れた仲間を気にも留めず、ただこちらへと進んでくる。それは、生命としては歪な在り方にも見え。
「生命の重みを知らない者に、生命は狩らせない」
 違和感は、不快感とも、あるいは怒りとも言い換えられる。それは決して小さくはない。

 次弾を準備するシリンを前に、標的たるオウガたちは、それぞれの背嚢よりそれぞれの食料を取り出した。それはフライドチキンやハンバーガー……いわゆるジャンクフードというものである。
 これも当然というべきか、死をも厭わぬ兵隊の中に、栄養バランスなどを気にする者はいはしない。だからといって味を楽しんでいるようにも見えはしないのだが。
 これは何も、脈絡のないただのランチタイムではない。歴としたユーベルコードによる攻撃行動である。この食事を楽しんでいないものは、行動速度を本来の二割まで落とされてしまう。それは非常に不利なことであるのだが……
「今は狩りの時間。食事の時間ではありません」

 シリンは不穏な糧に興味を示さず、その不利をすら問題としなかった。
 彼女は冷静に、一瞬の無駄もなく、装填し、狙いを定め、的確に標的を撃ち抜く。身を顧みずに押し寄せるトランプ兵の脚を撃ち抜いては歩みを止めさせ、ときに敵以外を撃ち抜いては障害を作り迂回を余儀なくさせ、易々とは追い込ませないのだ。

 しかしそれでも行動速度のハンデによって、慎重に開けた距離は詰められていく。敢無く間合いの障壁は突破され、眼前に迫り圧し潰さんばかりに迫るオウガたち。
『眠りの精霊よ、彼奴等を縛れ』
 すかさずシリンの要請の言葉と共に、新たに弾丸を撃ち放たれる。それは従来のものと違い、やや上方に放たれたかと思うと、一気に広がり網の形をなす。密に纏まった兵隊はさらに小さく纏められ、すぐさま寝息を立て始めた。投網弾に込められた眠りの精霊によって齎された、容易くは醒めぬ睡魔である。
 眠りに落ちた彼らの手からは、携えた食べ物たちが次々と取り落とされる。食事を楽しむことができなくなったために、その寝息は目に見えてゆっくりと、遅くなっていく。ユーベルコードによる制限は、彼ら自身も例外ではない。
「ゆっくりお休みなさい…永遠に。」
 無防備に寝入る標的に対しても、シリンは容赦なく銃口を向ける。平時より冷静な視線はさらにその冷たさを増し、貫くように。その鋭さを形にしたような弾丸は、少なくなったトランプ兵たちの呼吸を、完全に止めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィリヤ・カヤラ
敵の残りがどのくらいか分からないけど、
捨て身なら姿を見せたら向かって来てくれるかな。
向かって来てくれるなら月輪の食事に丁度良いって事だよね。

事前に影の月輪を地面に広めに広げておいて、
四精儀で小さめの氷の津波を敵に向かって使って、
こっちに気付いてもらうね。
少しくらいの怪我は良いけど大怪我はしたくないから、
攻撃が激しそうなら月輪で防いでみるね。

敵が近付いてきたら『高速詠唱』の【四精儀】の氷の津波で敵を囲むようにして準備完了!

影の月輪にまとめて好きに食べてもらって血をゲット!
ついでに敵の体も食べてもらって掃除も完璧!って感じで、
後片付けもバッチリで気分良く帰れたら良いな。



●来た時よりも美しく
 獣にしろ人にしろ、牙を剥き武器を取るのは元来生きるのに必要な行為と言えるかもしれない。受動的には住処を、能動的には食料を確保するため、いずれも日々の糧を得るためのこと――即ち、殺すは、食べることと。
 ヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)には、その感覚をより容易く受け入れる土壌がある。誰かが奪われ、誰かが虐げられる環境は、直接は知らずとも、生まれた時から彼女の傍ら近くにあったものであり、家族や故郷と同じくらい自然に知ること。なれば、戦い殺すことはそれほど特別なことではない。平静の息で、普段の足取りで。殺気に満ちた獣たちの前へと、軽やかに歩みを進める。

 戦闘が始まり幾らもの時間が経ち、少なくはないトランプ兵が倒れ。それでも彼らは気炎を上げて、それを体現するように揺らめく靄の亡霊も戦意の大きさを窺わせる。
ヴィリヤは定めた自身の立ち位置に、注意を引いて敵をおびき寄せようと考えていたのだが、意気軒高な彼らにはそれを必要なく、挙って一気に押し掛かって来るのだった。
予定とはやや違うが不意を突かれたわけでなく、猟兵には慌てる様子もない。至って涼しげな表情で、使用するはずだったユーベルコードをそのまま行使してやる。
『この地を構成するモノよ、その力の一端を示せ』
 迅速な詠唱でもって展開されたのは、一円をぐるりと取り囲む氷の壁である。津波の形をとった魔力は分厚い氷を成して彼らの退路を断ち、ヴィリヤを中心とした逃げ場のない檻を作る。これでトランプ兵の新たな増援の可能性はなく、じっくり丁寧に“料理”できるようになったのだった。

 とはいえ、元々退路を気にするような敵ではない。今は死をも恐れぬ狂信者であり、背後に氷の壁が聳えようともやることは変わらず、眼前の猟兵を殺すこと、だけだ。
 こちらでも取り出されたジャンクフードは、猟兵には配膳されずヴィリヤの行動の精彩を奪う。食べながらも発射された弾丸の数発は彼女の身体を掠め、貫いていく。血が噴き、流れ、表情を僅かに顰めるヴィリヤだが、準備が整うまでの被害がこの程度であれば、小さな傷や痛みなど、大したことではないだろう。

 猪突猛進のトランプ兵たちの視界には、足元の影などはきっと捉えられていないのだろう。自身のものも、仲間のものも、それらを全て覆い隠して、周囲いっぱいに広がっている、憎き猟兵の異様な巨影も。
 そう、準備は整ったのだ。綿密な下処理、丁寧な調理、そうして膳が揃ったならば――あとは食べるだけ。
「好きに食べていいよ」
 呼びかけを合図に影の一部が突然に盛り上がり、形を大きな顎として、一体のオウガを襲った。やや緩慢な動きのそれは、抵抗する相手をその剛力でもって無理やりに捕らえると、そのままばくんと、上手に閉じてまた平坦な影へと戻って行く。
次に現れた影は先ほどよりも随分と速く、声を上げることすら許さずに一人のトランプ兵を攫ってしまった。手に持ったハンバーガーごと呑み込んだUDC・月輪は、間違いなくその食事を楽しんでいるのだろう。そうしてみるみる素早く、数を増やしていく大顎は、放たれる銃弾すらも呑み込んで、一滴の血も残さずに全兵員をぺろりと平らげてしまったのだった。
「後片付けもバッチリ!」
 満足げに頷き、綺麗な惨状を見回すヴィリヤの様子は、マナーの良いピクニックのお帰りのようである。

成功 🔵​🔵​🔴​

九十九折・在か
恐れないのは強さの証!ビビッて動けないよりよっぽどイイ!
でもね
畏れを忘れたケモノは逃げることも忘れて……エサになっちゃうんだよ?
しへへへ


●感情
戦闘への高揚
兎という本来か弱い生物が逃げず戦う状況への一方的な哀れみ

●戦闘
UCを発動
地上の敵を蹴散らし、食い千切り、焼き焦がす
爆撃機には雷撃で応戦
『“イノシシ”では“ヘラジカ”に敵わないのでは』と疑念を与える為
不遜に、堂々と立ちはだかり吼える

多少の反撃や攻撃は覚悟のうち
堪え、睥睨する
(敵が恐れないのに王が恐れたら示しがつかないし、むかつくもん!)

あ、ハンバーガーとフライドチキンは私も食べる!

*アドリブ大歓迎です



●力に伴う
「恐れないのは強さの証!ビビッて動けないよりよっぽどイイ!」
 数を減じつつも恐れも怯みも見せないトランプ兵たちの様子を、九十九折・在か(デッドガールのゴッドハンド・f24757)は鷹揚に称賛して見せる。その言葉には当然オウガたちが喜ぶ様子などはなく、信仰に塗りつぶされた感情は、ゴーグルの向こうの瞳に怒りと殺意の色しか出力しない。
 ともすればとても威圧的な眼光がいくつも刺さる中、在かもまた、怯む様子を一切見せはしない。なぜなら彼女は強者であるから。強き者は不必要に恐れはしないのだ。
「でもね」
 そして強者は、弱き者の克己に対して称賛を与えることも吝かではない。同時にその無知無謀に対しては憐憫すらも与えよう。
「畏れを忘れたケモノは逃げることも忘れて……エサになっちゃうんだよ?」
 だって彼らは、可哀想な弱者なのだ。しへへへ、と独特の笑い声を漏らしながら、剥いて見せた歯は鋭く尖り、紛うかたなき捕食者のそれであった。エサはもちろん、可哀想な弱者たち。

 召喚され、天井付近に展開する無敵のイボイノシシたちを見上げ、在かは少し表情を曇らせる。たとえ敵の夢想しただけの存在とはいえ、それはいま二つの目でもって彼女を見下ろしている。それは何とも不敬ではないか?
『えらくてつよいオウジャの姿、見せたげる!』
 無礼な認識違いを糾弾するように宣言すると、在かの姿は見る間に巨大化し、天井に角を届かせるほどのヘラジカへと変じた。これなら室内にいる誰だろうと見下ろすことはできまい。そして王者は、全てを見下ろすこととなる。

 その威容に対してなお、トランプ兵たちが怯む様子はない。手に手に持った銃を構えて、どことは構わずその巨体へと弾丸を放つ。そのほとんどを身体に受けながら、森の王はしかし小動もせず堂々としている。続く攻撃にゆっくりと視線を巡らせ、睥睨する。その視線は対象への怒りを湛えて見えるものの、そこに危機感や恐怖など微塵も浮かばず、あるのは煩わしさばかりである。
 決して、痛みが無いわけではないし、ダメージもまったく無いわけではない。平静な表情は、いわゆるひとつの“やせがまん”の賜物であるとも言えよう。
(敵が恐れないのに王が恐れたら示しがつかないし、むかつくもん!)
 強者、王者たるものの責任や矜持とは、時に大変な苦労を強いるものであるらしい。
 しかしその由縁である“力”は、在かに高揚感や楽しみだって与えるのだ。胸の裡の情動を表すように、元来草食動物であるヘラジカの姿の口元には、鋭い牙を露わにした、獰猛な笑みが浮かべられていた。

 在かによる攻撃は、銃火に対する反撃などというものではなかった。小骨に気を付けながら肉を食べる程度の、そんな危険度。苦もなく気もなくにべもなく、蹴散らし、踏みつけ、喰い千切る。上段より襲うイボイノシシの落雷も、自身の雷撃で迎撃し、相殺する。その姿に対し、一切の攻撃が通用しているようには見えない。
 そうして幾人かのトランプ兵が倒れ、なおも畏れぬ者が前進し、また倒れ。付随してイボイノシシも消滅し、数をさらに減らしていく。
そのうちに雷撃を受けた爆撃機たちが、損傷を得るようになってきた。いかに死をも恐れぬ蛮勇とて、死しても勝てぬ可能性においては懸念することができるらしい。即ち、無敵のイボイノシシの無敵を、疑うということ。そうなればもはや物の数でもない。王者は角を振り立てて、一度に薙ぎ払い、叩き落としてしまった。
あとはすべて、見下ろすばかりである。悠然と、あるいは傲然と、在かはその食事を心行くまで楽しんだのであった。

 なお、うさうさトランプ兵たちは最後まで恭順を示さず、おいしそうなジャンクフードたちは王者に饗されることはなかったようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月09日


挿絵イラスト