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迷宮災厄戦②〜薔薇園に潜む者

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●バラのソノにヒカるヒトミ
 オウガ・オリジンが囚われていた『迷宮のような図書館』の国。今はアリス召喚儀式が行われている場の一角に、その薔薇園はあった。

 ミドリのヒトミがクルリとマバタく。

 オウガたちと猟兵の乱戦を遠目に、まるで庭園迷路の如く繁茂した薔薇の茂みの中で薔薇の身体もつ魔導植物『エーリカ・クアッド』は身を潜めていた。

●グリモアベースにて
「皆さん、砕かれた書架牢獄で行われているアリス召喚儀式の首謀者の一体を予知しました。」
 猟兵たちへアルトリンデ・エーデルシュタインが呼びかけた。
 首謀者を倒せればそれだけ儀式の進行を遅らせる事ができる。また儀式魔術【Q】の成功により敵の陣容が把握しやすい位置を事前に確保できたため、状況はこちらに有利。周囲には儀式をしているオウガも多数いるがくぐり抜けて首謀者を倒す事は十分に可能だ。

「ですので、奥への進む道を繋ぐと同時に儀式の妨害も出来るはずです。」
 アルトリンデが聖典のグリモアを開き、示した頁にはキレイに刈り込まれた薔薇が壁一面を覆っていた。さながら、薔薇の迷路のように。
「この薔薇園の中に儀式の首謀者の一体、魔導植物『エーリカ・クアッド』が潜んでいます。もっとも人語も解せず意思疎通もできない存在ですので、儀式を先導するというよりは自分のエサを集める程度の認識かも知れませんが。」
 頁に浮かぶは薔薇の蜥蜴のような姿。かなりの巨体だが、薔薇園を構成している薔薇と同じ植物で身体ができている。その為、動き出すまではパッと見て判別するのは難しい。
「ですが薔薇園に入って来た者を捕食しようとしてきますので、そこを叩く事は可能と思います。」
 相手に先制を許せば見つける事は困難ではない。或いは何らかの方法で先に見つけて攻撃しても良いだろう。また、魔法の素質を持つ者を優先して捕食しようとする性質を持つ。
「どのような手段を用いてもかまいません。オウガの儀式を阻止するためにも皆さんのお力を貸してください。」
 そう言葉を括りアルトリンデは猟兵たちを送り出すのだった。


こげとら
 しばらくぶりです、こげとらです。
 こちらは『迷宮災厄戦』のシナリオとなります。

 舞台となる「迷宮のような図書館」の国では現在、戦争サバイバルの真っ最中です。シナリオ目的はボスを倒す事ですが、アリス召喚儀式を行っているオウガの群れも猟兵に襲い掛かってきます。まず負ける事はないくらい弱いですが、気をとられているとボスから不意打ちを喰らう事になるので注意してください。逆にうまくくぐり抜けて首謀者こと魔導植物『エーリカ・クアッド』を見つけ出せるような行動にはプレイングボーナスがあります。

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 プレイングボーナス……オウガの群れを潜り抜け、司令官に素早く接近する。
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 エーリカ・クアッドは擬態していますが、近くまで猟兵が来ると襲い掛かってきます。防いで反撃するか、先に見つけて攻撃するか。皆様の判断にお任せします。

 それでは皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『魔導植物『エーリカ・クアッド』』

POW   :    鳴動スル大地
【植物の常識を超越した速度での突進】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に自らの根を張り巡らせることで】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    生存ヘノ渇望
全身を【青白い雷光を放つ高出力の魔力】で覆い、自身が敵から受けた【損傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ   :    永遠ノ薔薇
自身の装備武器を無数の【魔力を帯びた赤・白・青・黒の四色の薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はイヴ・シュプリームです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シール・スカッドウィル
迅速に滑り込む、なら、
「最近取ってきたこれが使えそうだ」
どこでもサーフボードこと、ヴェレン。
<パフォーマンス>さながらに、派手に突っ込もう。

直接蹴散らすわけではない。
ヴェレンは〝流れ〟を捉え、受け流し、推進力に変える。
万物は大なり小なり、その性質を持つ。

故に、その特性を、
「レイズ」
【増幅】でもって、強化する。
オウガたちの妨害を力に変え、逆にかき乱しながら司令官の元へ。

そして、攻撃らしい攻撃はシンプルにただ一撃。
ヴェレンの推力に、強化外骨格ウラノスの全力を乗せて、十字架の鉄槌ラ・ピュセルを突き立てる。
【増幅】付きの<呪殺弾>みたいなものだ。
当たればさぞかし、よく燃えることだろう。



 まるで庭園のごとく刈り整えられた薔薇の生垣、その合間に蠢く無数のオウガ。様子も分からぬまま正面から当たったら難儀しただろうその群れを、シール・スカッドウィルは一望できる地点に居た。オウガの群れを抜け首謀者の元へと迅速に滑り込む、なら。

「最近取ってきたこれが使えそうだ。」

 シールが手にとるはサーフボード……と呼ぶにはエッジがなく、むしろスノーボードに近い形状のボード、ヴェレン。シールはヴェレンに乗せた足に体重をかける。まるで波に乗るかのように滑り出したボードの速度がみるみる上がっていく。瞬く間にオウガの群れに迫り、オウガたちも高速で突き進むシールを見つけて襲い掛かってきた。シールはその群れの最中へと滑り込み――。

 直接蹴散らすわけではない。
 ヴェレンは〝流れ〟を捉え、受け流し、推進力に変える。
 万物は大なり小なり、その性質を持つ。

 オウガの間を、或いは上を滑り抜けていった。掴みかかろうとするオウガの腕を受け流し、突進を乗り越えるたびにヴェレンの速度が上がっていく。遠くからその様を見た者はまるでサーフィンでもしているかのようだ、と語った。オウガたちの妨害をも力へと変じ、薔薇の園へと突き進むシールが一言、口にするは。

「レイズ。」

 【増幅(エクステンド)】によりその力をさらに増幅し、水面を蹴立てるが如くオウガの群れを蹴散らしながら進むシールの先に青白い雷光纏う緑の顎が襲い掛かった。だがそれもシールの想定の範疇を出るものではない。突き進むヴェレンの速度はそのままに、十字架の鉄槌ラ・ピュセルの尖端を向ける。ヴェレンの推力に強化外骨格ウラノスの全力を乗せてラ・ピュセルが襲い掛かったエーリカ・クアッドに突き立った。
「ギャッ!?!?」
 【増幅】された呪殺弾の如き一撃がエーリカ・クアッドを轟音と共に吹き飛ばす。薔薇の生垣を突き破り、転がっていったエーリカの身体からは炎が垣間見える。

「当たればさぞかし、よく燃えることだろう。」

 一拍おいて爆炎が上がる。噴き上がる炎の上を滑り、シールは騒然とするオウガの群れを後にして去っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジュリア・ホワイト
任務了解!
オーヴァードライブ、儀式を破壊するため出撃するよ!

大群を突破して首謀者に肉薄する、と
まぁ、数が多い雑魚の相手は得意中の得意さ
ロケットランチャー、放水銃、、精霊銃にアーマーの機関砲
持てる火器を総動員して正面突撃
道を阻むオウガ達を吹き飛ばしながらバラ園に最短で突き進むよ

で、件のエーリカが存在しそうな辺りを射程に収めたら
【安全第一!線の内側にお下がり下さい!】を発動
「さあ、命じるよ!『姿を隠すのは禁止!』」
これでエーリカが隠れ続ける限りはダメージ
擬態を解いて襲いかかってきたら、そのまま撃破すればいい
「鋼の刃の前に、植物は無力なものさ!覚悟!」



「任務了解!
 オーヴァードライブ、儀式を破壊するため出撃するよ!」

 転送されたジュリア・ホワイトの前には情報として聞いた通り、多数のオウガのいる薔薇園があった。目標となる儀式の首謀者は薔薇園の中。既に誰かの襲撃があったのか騒然としているオウガの群れを突き抜けなければ儀式の首謀者へは届かないが。

「大群を突破して首謀者に肉薄する、と。
 まぁ、数が多い雑魚の相手は得意中の得意さ。」

 ヤドリガミであるジュリアの本体の蒸気機関車『 D110ブラックタイガー号』がロケットランチャー、放水銃、精霊銃にアーマーの機関砲と持てる限りの火器を総動員して正面突撃を敢行した。乱れ飛ぶ弾丸、撒き上がる爆発の連鎖が浮足立っていたオウガの群れへと襲い掛かる。不意に襲い来る射撃の嵐にオウガたちは反撃の体勢を取ることもままならず吹き飛ばされていき、弾丸で拓いた道を蒸気機関車が疾駆した。目指す薔薇園はすぐそこだ。だが、薔薇に紛れる魔導植物『エーリカ・クアッド』を如何にして見つけるか。エーリカ・クアッドの居そうな辺りを視界に収め、ジュリアはホイッスルを口に当てる。

「他のお客様の迷惑になるからね。行儀の悪い振る舞いはご遠慮願うよ?」

 ホイッスルの音が高らかに響き、【安全第一!線の内側にお下がり下さい!(エマージェンシー・ホイッスル)】を発動した。ホイッスルの音が当たった対象が、宣告したルールを破ると負傷するその力が薔薇の奥で身を潜めていたエーリカ・クアッドを打つ。そしてジュリアがルールを宣告した。

「さあ、命じるよ!『姿を隠すのは禁止!』」

 ジュリアの言葉をエーリカ・クアッドは理解したわけではない。だが隠れていたら突如襲い掛かった痛みに驚き、エーリカ・クアッドは飛び出していた。
「キュルルルルッ!!」
 痛みに怒ったのか蔦の擦れるような鳴き声を上げ突進してくるユーリカ・クアッド。姿を現した標的を見据え、ジュリアも真っ向から突き進んだ。

「鋼の刃の前に、植物は無力なものさ! 覚悟!」

 ジュリアの残虐動輪剣が唸りを上げる。植物よりもしなやかで固い何かを断ち切りながら動輪剣がエーリカ・クアッドを裂き、蒸気機関車は走り抜けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

伊能・為虎
ばらのお花がいっぱい!
……そしてオウガもいっぱい!!(ここら辺だけ、本人に被って狗霊が歓声を上げて)

……よーし、儀式を止めに行こうか、わんちゃん!
数が多いオウガさん達には、その数を思いっきり利用しちゃおう
向かってくるのを〈なぎ払い〉、そのまま《喰らい操る狗霊》を使うよ!
どんどん大きくしてどんどん攻撃に巻き込んじゃおう
なんなら僕はその上に乗ってこうかな?
オウガを〈吹き飛ばし〉ながら薔薇園に〈ダッシュ〉で向かうね!
わんちゃんに注意が向いた辺りで飛び降りて、妖刀で薔薇を〈串刺し〉ちゃうよ!



 猟兵の攻勢を受けてなお、薔薇の園は変わらず美しい庭園の様相を保っていた。それは即ち、この薔薇園が尋常の物ではないという事。幾度踏み荒らそうとも主を隠す薔薇を散らす事はない。
 そんな、変わらず美しい薔薇園を目に伊能・為虎は声をあげた。

「ばらのお花がいっぱい!」

 為虎の声に周囲で騒がしくしていた多くのオウガたちの視線が一斉に集まる。

「……そしてオウガもいっぱい!!」

 為虎の言葉に、そしてこちらに襲い掛からんとするオウガの群れに、為虎の傍らに控えていた狗霊が歓喜の声をあげた。見渡すかぎり尽きる事ないオウガ、という事は、狗霊にとっては喰らう者が無数にいるのと同義。今にも飛び出しそうな狗霊の様子に為虎も待ったは言わない。

「……よーし、儀式を止めに行こうか、わんちゃん!」

 主の言葉に一声吠えて駆ける狗霊と共に為虎も向かってくるオウガの群れへと走り出す。一足先に飛び込んだ狗霊がオウガの群れをなぎ払、喰らい付く。その顎がオウガへ突き立ち、屠ると同時に為虎の【喰らい操る狗霊(ダイナミックヒロイグイ)】が狗霊に飛んだ。息絶えたオウガを狗霊が一呑みにする。見る間に大きくなる狗霊にぎょっとしたオウガの動きが止まった。その隙に倍は大きくなっている狗霊の口が先の倍のオウガを喰らう。

「どんどん大きくしてどんどん攻撃に巻き込んじゃおう。
 なんなら僕はその上に乗ってこうかな?」

 見上げるほどに巨大化した狗霊の背に飛び乗った為虎が狗霊に行く先を示す。目指すはエーリカ・クアッドの潜む薔薇園の奥。既にオウガでは足止めできない大きさの狗霊がオウガの群れを吹き飛ばしながらダッシュで駆ける。薔薇園ごと踏みつぶしそうな巨躯に危機感を覚えたか、薔薇の園に色とりどりの花びらが吹き荒んだ。その中心にはエーリカ・クアッドの姿。目標を見つけて飛び掛かる狗霊、空を覆わんばかりの巨大な姿にエーリカ・クアッドの放つ魔力を帯びた薔薇の花びらが突き立つ。着地点をずらされエーリカ・クアッドの傍に着地した狗霊、狗霊の姿に警戒を強めるエーリカ・クアッド。だが、狗霊の背に為虎の姿は無く。

「わんちゃんに気をとられてると串刺しにしちゃうよー!」

 空中で狗霊から飛び降りた為虎が突き刺した妖刀が、エーリカ・クアッドの無防備な背に深く突き刺さった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:アノン
「薔薇園の奥に居るってんなら、纏めて切り裂いてやるぜ」
風を纏い、薔薇園の中央まで全力で突進。周りのヤツが反応するより早く動けば邪魔されねェだろ。薔薇は風で切り裂いて、エーリカってヤツを見つけたら炎に切り替えて、突撃して燃やす。
相手の突進は野生の勘で回避してカウンターで殴りつける。
「ん-草って喰っても美味くねェんだよなー」
燃え落ちた箇所を喰いつつ、根元から燃やし尽くしてやるぜ。

(アノン、大火災になる前に消火してくださいね)
ロキがうるせェから水出して火は消しておく。本が傷む?知るかよ。



 傷を負ったエーリカ・クアッドが薔薇の茂みに逃げ込んでゆく。その行く先を確認し、水鏡・怜悧は紫の眼を細めた。往く手には邪魔なオウガがウジャウジャいる。こちらを見つければ黙って通してはくれないだろうオウガの群れを抜け、再び隠れたエーリカ・クアッドを探す……まともにやっていては手間も時間もかかるだろう事態を前に怜悧の人格の一つ、アノンが口の端を歪める。

「薔薇園の奥に居るってんなら、纏めて切り裂いてやるぜ。」

 怜悧の身体が液体金属へと変じる。【黒き獣の狂走(クロキケモノノキョウソウ)】により液体金属で象られた黒い獣の姿へとなった怜悧が風を纏い、四肢に力を籠めた。ゴウ、と響く風音を置き去りにしてアノンがオウガの群れの只中へと飛び込んだ。吹き抜けるは黒き颶風の如し、疾駆するアノンをオウガが敵と認識し、襲い掛かろうとした時には既に先へと駆け抜けている。目指すは薔薇園の中央、先ほどエーリカ・クアッドが逃げ込んだあたりだ。全力で突進するアノンが目指す薔薇の茂みに踏み込み、纏う風が周囲の薔薇を斬り散らす。
「シュルリルル!!」
 切られた薔薇が舞う中、エーリカ・クアッドが奇怪な声をあげながら仕掛けた突進をアノンが寸でで躱す。予兆も何も無い奇襲、だがアノンは野生の勘を頼りに避け、身に纏う風を炎に換えて逆に突撃した。横からの一撃を受け、エーリカ・クアッドの身体から固い蔦の束を砕くような音が鳴った。エーリカ・クアッドが足元に張り巡らした根によって吹き飛ぶ事は無かったが、果たして幸いと言えるのか。

「んー草って喰っても美味くねェんだよなー」

 突撃を受けた場所から炎が広がるエーリカ・クアッドを前に、アノンが燃え落ちた薔薇の蔦に牙を突き立てる。たちまち燃え広がる炎は地面に張り巡らされた根まで燃やし尽くしていった。燃え盛る炎にエーリカ・クアッドがのたうつ。さて、まだ燃やしてやろうかと牙を剥いたアノンの脳裏に別の人格であるロキの声が響いた。

(アノン、大火災になる前に消火してくださいね。)



 人の身ならば舌打ちの一つもしただろうか。アノンは炎を水に換えて燃えゆく薔薇園に振り撒いた。炎を一息に消した時には濡れそぼる薔薇園だった跡にはエーリカ・クアッドの姿はなく、何処かへと逃げていた。辺りを見渡すアノンの脳裏に再びロキの声が聞こえた。

「本が傷む? 知るかよ。」

 濡れた蔦だった燃えカスを踏み砕き、アノンは踵を返した。深手を与えた手ごたえはあった。エーリカ・クアッドはそう遠くまでは逃げていないはずだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

水心子・静柄
雑兵の群れを潜り抜けて指揮官を狙うね…全員倒してしまえば簡単なんだけど、それは時間が掛かりすぎるわね。それなら雑兵を浮き足立たせて、その隙に一気に指揮官まで駆けつければいいわ。で、どうやって浮き足立たせてるかって簡単よ…この重い鞘を使って地面に向かってグラウンドクラッシャー(+重量攻撃)を放って地形を壊すのよ!足元を崩されば動きが鈍るわよね?その隙に第六感と野生の勘に従って指揮官を目指すわ。指揮官が雑兵を立て直す前に接近出来れば勝ちね。無事に接近出来たら脇差(鈍器)で撲殺よ!



 かき乱されていたオウガたちが再び集まり始めていた。姿を消したエーリカ・クアッドが自身を守ろうとしているのか、或いは儀式を続ける為か。どちらにしてもオウガたちの動きは水心子・静柄に敵の位置を知らせるには十分だった。

「雑兵の群れを潜り抜けて指揮官を狙うね。」

 目標となるエーリカ・クアッドの居場所はあたりが付けられる。だがそれは数多のオウガを抜けた先にあった。全員倒せば簡単ではあるが、それは時間がかかりすぎる。

「それなら雑兵を浮き足立たせて、その隙に一気に指揮官まで駆けつければいいわ。」

 だが一口に雑兵と言ってもオウガは様々な個体が居る。それこそ小人のような小さくすばしこい者から巨体で道を塞ぐ者まで様々だ。それらをひとまとめに浮足立たせるなど。

「簡単よ……この重い鞘を使って地形を壊すのよ!」

 静柄が刀を収めた鞘を地面に打ち付ける。重量ある鞘で【グラウンドクラッシャー】を叩きつけた地面が崩れていった。地の崩壊は伝播しオウガたちの足元までも崩してゆく。多様なオウガの群れであったが、その大半が地に足を付けていた。ならば地を崩されれば浮足立つのは必定。さらに薔薇園を崩した一撃はエーリカ・クアッドの擬態を解いていた。足元を崩され動きの鈍ったオウガたちの間を抜け静柄がエーリカ・クアッドへと駆ける。

「指揮官が雑兵を立て直す前に接近出来れば勝ちね。」

 己が第六感と野生の勘に従いエーリカ・クアッドへと肉薄した静柄が脇差を一閃した。
「キュグッ!?」
 固い蔦に重量のある鈍器を打ち付けたような鈍い音。エーリカ・クアッドへと放った静柄の一閃、振るわれた脇差は鞘に納められたままだった。
 抜き身になるのは恥ずかしいと日本刀的感性を持つ静柄。故に鞘に納めた剣戦は撲殺に等しく。静柄の脇差が振り抜かれるたびに鈍い音が響き、何度目かの殴打でよろめいたエーリカ・クアッドに叩き込まれた一撃が薔薇の体を大きく吹き飛ばしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御魂・神治
ここは植物ばかりか、こりゃ好都合や
オウガを一体ずつ相手に出来へん、めんどいから纏めて蹴散らしたる

『爆龍符』の【範囲攻撃】でオウガを蹴散らしつつ一気に駆け抜ける
死角から飛び掛かってくるヤツや飛び道具は【オーラ防御】で弾き飛ばして対処
その間に『天将』には敵の本体の位置を【情報収集】で特定してもらう
本体の位置が分かったらUC【五行霊弾『万物』】を撃ち込む
【属性攻撃】やから火にする
着弾したら再生能力を上回る火力の自然発火現象を発生させる

残念やけど、その火はアンタが燃え尽きるまで消す事はできへんで
植物のバケモンとして生まれてきた事を恨むんやな



 破壊された地面が、その上にある薔薇園ごと時間を巻き戻したかのように修復される。だが形を取り戻した薔薇の色はどことなく褪せているように見えた。もう、エーリカ・クアッドに残された力は多くはない。

「ここは植物ばかりか、こりゃ好都合や。」

 繁る薔薇の園を目に御魂・神治は言ちる。傍らに人工式神の天将が浮かび、刻々と変わる状況を視て情報として得ていた。一度は散らされたオウガは再び群れ、エーリカ・クアッドの潜む場所を十重二十重と囲んでいる。

「オウガを一体ずつ相手に出来へん、めんどいから纏めて蹴散らしたる。」

 天将と共に駆ける神治がこちらへ気づいて襲い掛かってくるオウガの群れへと爆龍符を放った。御札型爆弾である爆龍符が炎を撒きあげながら爆発する。広範囲に飛ばした爆龍符が群がってきたオウガを纏めて吹き飛ばした。正面切っては分が悪いとオウガが爆炎や薔薇の茂みの影から飛び掛かってくるも神治へ届く前にオーラに阻まれる。合間に飛んでくる飛び道具もオーラで弾き、神治は天将を見やった。

「どうや? そろそろ見つけたんやないか?」

 頷きを返す天将が指し示す一角、薔薇の茂みの奥に緑に輝く瞳が見える。エーリカ・クアッドの居場所を捉えた神治が大ぶりなハンドガン神器銃『森羅』の銃口を向けた。

「自然を嘗めると怖いで?」

 森羅から放たれた【五行霊弾『万物』(ゴギョウレイダン・バンブツ)】がエーリカ・クアッドに向けて迸る。火行の属性を得た銃弾が身を潜めていたエーリカ・クアッドに炸裂した。
「ギュアァァッ!?!?」
 炎の弾丸に撃たれて茂みから叩きだされたエーリカ・クアッドがのたうつ。その体に青白い魔力の雷光が爆ぜた。受けた傷の数々が生存ヘノ渇望を増し、エーリカ・クアッドが神治へと突進する。生命を吸収すれば、まだ、この命を繋げられる――その一念のみで突き動く薔薇の脚が炎で爆ぜた。気が付けば撃ち込まれた弾丸から発火した炎が次々に燃え広がっていた。

「残念やけど、その火はアンタが燃え尽きるまで消す事はできへんで。
 植物のバケモンとして生まれてきた事を恨むんやな。」

 神治の言葉通り、【五行霊弾『万物』】により引き起こされた自然発火現象は燎原の火の如く薔薇の身体を燃やし尽くしてゆく。やがて広がる炎が薔薇園を飲み込み、炎の収まった後には燃え尽きた薔薇が散らばるだけとなっていた。やがてその痕跡すら骸の海へと還ってゆく。

 この一角でアリス召喚儀式を取り行っていたオウガは倒され、儀式の妨害は成されたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月03日


挿絵イラスト