迷宮災厄戦⑧〜狙撃手は尾羽を高く掲げて
●戦争開始
猟書家たちの不穏な動きから幕を開けた『迷宮災厄戦』。
猟書家を倒すことは、そのままアリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラ『オウガ・オリジン』へ本来の力を取り戻させ、奴の強化に繋がる。
それでも猟兵たちは、猟書家の企みとオウガ・オリジンの野望、どちらも食い止めるために不思議の国へと向かい、オウガを仕留めなければならない。
●アリスラビリンスの御鳥様
「みんなに行ってほしいのは、『美しい星空が広がる不思議の国』よ」
掻巻・褥(家庭内女神・f16422)は、集まった猟兵たちへ説明する。
「その国では、天文台の最上階に陣取ったオウガが猟兵を今か今かと待ち構えているの」
オウガ『つばくらさま』は猟兵たちを望遠鏡で発見すると、一方的に遠距離攻撃を浴びせてくる。
つばくらさまがいくら可愛い見た目でも、決して油断してはいけない。
「つばくらさまは、普通の個体だったら翼による斬り裂きを得意とするオウガなの。でもこの国にいる個体は、望遠鏡を覗いている間だけなら『まるで敵が目の前にいるかのように』どんなユーベルコードでも自在に命中させてしまうわ」
褥は続ける。
「もし、あの望遠鏡で捕捉されないように接敵できれば、有利に戦えると思うわ」
つばくらさまは複数いるものの、それぞれが自分の縄張りたる塔と専用の望遠鏡を保有している。
ゆえに、猟兵ひとりにつき、基本的には一対一で戦うことになるだろう。
「それじゃ、つばくらさまの駆除をよろしくね」
戦争はまだ始まったばかり。
肩の力を抜いて皆を送り出す褥だった。
雨都瑣枝
ご覧くださりありがとうございます、雨都です。
このシナリオは、『戦争シナリオ』です。
1フラグメントで完結し、『迷宮災厄戦』の戦況に間接的に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●ご注意
雨都のキャパシティーの少なさから、必ずしもプレイングを全採用できるわけではありません。
少ない人数でさっさとリプレイが終わる可能性もございますこと、どうかご容赦くださいませ。
●集団戦(プレイングボーナス)について
つばくらさまに望遠鏡で発見されないような工夫をして戦えば、大成功しやすくなります。
素敵なプレイング、楽しみにお待ちいたしております。
第1章 集団戦
『つばくらさま』
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POW : するどいつばさ
【翼】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : スワローテイル
【尾羽】が命中した対象を切断する。
WIZ : きりっ
【きりりとした瞳】を向けた対象に、【翼】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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岩永・勘十郎
「得意分野を発揮できそうで良かったよ……バチだけは当たらんでほしいが」
狩りが得意な勘十郎でも商売繁盛の象徴であるツバメを狩るのは気が引ける。だが奴はオブリビオン。同情は要らない。
「さて、狩りの時間と行くか」
そう呟きUCを発動。完全に透明になると【サバイバル】技術や【忍び足】を駆使しながらゆっくりと近づく。もちろん風の向きも考えて匂いの行かないように敵の風下へ行く。
「恨みは無いんだ。気を悪くしないでくれ」
と弓特有の無音の攻撃を繰り出す。きっと、どこから射たれたかも分からないだろう。もちろん当たった場所からの位置バレを防ぐべく曲射なども混ぜる。パニックになったであろう敵を次々に射ぬいていった。
●正当なる燕狩り
不思議の国。
「得意分野を発揮できそうで良かったよ……バチだけは当たらんでほしいが」
岩永・勘十郎(帝都の浪人剣士・f23816)は煌めく星空の下、つばくらさまの待つ天文台を見上げて呟いた。
バチとはつばくらさまがツバメのオブリビオン——即ち商売繁盛の象徴であるのを気にした発言らしい。
幾ら狩りが得意な勘十郎でも、ツバメを狩るのはいささか気が引けるようだ。
「だが奴はオブリビオン。同情は要らんだろう」
しかし勘十郎の意志は固い。
「さて、狩りの時間と行くか」
そう洩らした時には、勘十郎はもう完全に透明になっていて、ゆっくりと塔へ向かって進んでいたぐらいだ。
気配を殺しながら敵へ近づくべく、サバイバル技術や忍び足の腕を活かす勘十郎。
また、風向きにも考慮して、匂いで気取られぬようつばくらさまの風下から近づく慎重さを見せた。
(「恨みは無いんだ。気を悪くしないでくれ」)
武器も無音で放てる蒙弓「狗鷲」を選んだ。
どすっ。
「グゥッ!!?」
勘十郎の狙い通り、つばくらさまはどこから射たれたかわからないのか、痛みと恐怖で半ばパニックに陥っている。
老梟の弓術で透明になった勘十郎の作戦勝ちといえよう。
曲射して射かけた方角をカモフラージュできるのも、弓の強みだ。
——ドスドスドスッ!
「ゲフッ……」
この機を逃がさずに勘十郎は矢を次々と連射。縦横無尽な矢捌きによって、確実につばくらさまを仕留めたのだった。
大成功
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ライカ・ネーベルラーベ
見つからないように……というか
見つかっても攻撃されなければいいんだよね
「なら簡単だよ――雷を目で捉えて、対処できるやつなんかいない」
【マクスウェルの方程式】で雷に変身
そのまま音より早い雷の特性を生かして天文台に突っ込むよ
「光ったと思ったら、命を奪われている。雷光っていうのはそういうモノ」
望遠鏡を呑気に覗き込んでる燕たちを見つけたらそのまま電撃で焼き鳥にしていこう
鳥に雷はよく効くって話だし
その斬撃も実質体当たりだし、喰らっても相手が雷に焼かれるだけ
「わたしに目をつけられた時点でおしまい。残念だったね」
●完璧な守り
一方。
「見つからないように……というか、見つかっても攻撃されなければいいんだよね」
ライカ・ネーベルラーベ(りゅうせいのねがい・f27508)は変わらず物憂げな雰囲気ながら、どことなく自信を滲ませて呟く。
「なら簡単だよ――雷を目で捉えて、対処できるやつなんかいない」
そんな断言を最後に、ライカはマクスウェルの方程式を発動。
己が肉体を雷へ変貌させると、文字通り音より速い光速を発揮して天文台に突っ込んでいく。
(「光ったと思ったら、命を奪われている。雷光っていうのはそういうモノ」)
ライカが内心でほくそ笑むのも道理で、つばくらさまは望遠鏡を呑気に覗き込んで獲物を探している間に、電撃で焼き鳥にされてしまった。
(「わたしに目をつけられた時点でおしまい。残念だったね」)
ライカにしてみれば、自らの体を雷へ変えたのは例え翼で斬りかかられても光ならばノーダメージだろうと考えての、究極の防御策であった。
加えて、光の速さならば相手が攻撃するより速くこちらから攻め込めるという勝算もあった。
「ギュ~……」
結果、つばくらさまは望遠鏡に映った眩い閃光に驚愕した刹那、ライカいうところの焼き鳥にされて、最上階の床に転がる羽目になったのだった。
まさに、攻撃は最大の防御である。
大成功
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チトセ・シロガネ
ボク自身が望遠鏡に覗かれなければいいンだネ。
なら……。
天候操作で付近に雷雲を形成して、ボクはUC【電瞬乃型】で稲妻となって空中浮遊で移動、残像でかく乱しつつ早業で一気に観測所上空へGO!
木を隠すなら森の中、雷を隠すなら雷雲の中ってワケ、さぁ、音より疾いボクを見つけてごらンヨ。
でも残念、ボクはもうユーの上で落下する準備ができてるヨ。
『霹靂』のリミッター解除、高出力の雷の刃(属性攻撃)を振り下ろすッ!
さらに鎧砕きで観測所ごとユーをスラッシュしてやるネ。
ボクは、チトセ・ザ・スターライト。
ユーのような奴にボクの星は奪えないネ。
●疾る稲妻
他方。
「ボク自身が望遠鏡に覗かれなければいいンだネ。なら……」
チトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)は天文台も兼ねた塔を見上げて、ニヤリと口の端を吊り上げた。
かと思えば、早速天候操作の腕を活かして頭上を中心とした近辺に雷雲を形成。
電瞬乃型で自らの肉体を稲妻に変えると、空中浮遊によって雷雲の中へと吸い込まれた。
(「木を隠すなら森の中、雷を隠すなら雷雲の中ってワケ」)
そのまま稲光を瞬かせ、時折地上へ雷を落としながら——いわば己が姿の残像である——一気に天文台上空へと移動したチトセ。
(「さぁ、音より疾いボクを見つけてごらンヨ」)
ゴロゴロゴロ……ピシャーン!
もしつばくらさまに人間と同程度の思考力さえあれば、常に星空が広がっているはずの不思議の国の唐突な天気の崩れを不審に思っただろう。
だが、天候と猟兵の関連性に気づかないつばくらさまは、未だに望遠鏡を覗いたままだ。
(「でも残念、ボクはもうユーの上で落下する準備ができてるヨ」)
チトセは自分と同様に雷雲へまぎれている叢雲ユニットのリミッターを解除すると、高出力の雷の刃を振り下ろすべく、つばくらさまの頭へ突撃した。
——ドンッ!!
属性攻撃に加えて鎧砕きの手練れなチトセの一撃である。まるまると太ったつばくらさまと天文台の最上階が彼女曰くのスラッシュの餌食になったのは言うまでもない。
「ボクは、チトセ・ザ・スターライト。ユーのような奴にボクの星は奪えないネ」
元の姿に戻ってすっかり黒焦げのつばくらさまを見下ろし、チトセは笑顔で言い放った。
大成功
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ノエル・フィッシャー
【SPD】
真の英雄は目で殺すと言うよね。
即ち! 英雄とは!! 目からビームが撃てて初めて一人前!!!
古事記にもそう書いてある!!!!
という冗談はさておき、腕を組んだ仁王立ちの構えで敵の視線を待ち受け、放ちしUCは【麗しき王子様の魔眼光】だ。
敵が覗く望遠鏡のレンズ目掛けて目から殺人イケメンビィムを放ち、レンズで収束された溢れ出る光の9連射で、敵の思考と認識、そして反応よりも早くその瞳と体、ついでに望遠鏡を焼き尽くすよ。
他の味方が心配かつい目を向けてビィムの余波が飛んじゃうかも知れないけど、その時はごめんね。
アドリブ・共闘歓迎だよ。
●王子の秘策
猟兵たちが順調につばくらさまを仕留めていく傍ら。
「真の英雄は目で殺すと言うよね」
ノエル・フィッシャー(呪いの名は『王子様』・f19578)もまた、自らの手でつばくらさまを倒すべく動き出した。
「即ち! 英雄とは!! 目からビームが撃てて初めて一人前!!!」
まさかの勘違いをドヤ顔で語る王子様。
『目で殺す』とは、決してそんな物理的な意味ではないのだが。
「古事記にもそう書いてある
!!!!」
さらには、アース系のサブカルに対する造詣の深さがよくわかるボケを重ねて、何故かノエルは腕を組んで仁王立ちしたまま動かない。
どうも、開口一番の冗談はともかく、つばくらさまへ目からビームを撃つ自体は本気だったノエル。
「さあ、今回ばかりは遠慮なくボクの瞳を直視するがいいさ!」
と、つばくらさまが覗く望遠鏡のレンズ目掛けて、麗しき王子様の魔眼光——宝石の瞳から殺人イケメンビィムを放ったのだ。
傍から見れば、敢えてつばくらさまの視界にわざと姿を曝すなど自殺行為にしか思えないが、もちろんノエルには勝算があった。
それはライカやチトセと同じ。雷と光線、自ら飛び込むのと発射する違いはあれど、光の速さならばつばくらさまの狙撃より速く初撃を当てられるだろうと踏んでの策である。
しかも、望遠鏡のレンズで収束された光は輝きを増して溢れ出し、つばくらさまがそれと気づいて反応するより早くその円らな瞳と丸い体、ついでに望遠鏡をも焼き尽くす……。
望遠鏡によって光線の威力が倍増すると信じての、ノエルの賭けでもあった。
「グギョォオオオ!!?」
果たして、ノエルはその賭けに勝利し、不思議の国に巣食っていたつばくらさま最後の1羽を見事駆逐できたのだった。
大成功
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