迷宮災厄戦④〜大戦争?きぐるみウォーズ!
●これはこれでありかもしれない。え?ナシ?
『なぁ~~~んだこりゃ~~~
!!!???』
とある不思議の国から悲鳴が上がった。1つ波紋のように生まれた悲鳴は連鎖して、あちらこちらから同じような悲鳴が上がる。
悲鳴の元では愉快な仲間(ブリキのおもちゃ)の姿がみるみる大きくなり、ブリキの光沢は柔らかそうな布へ、背中には少し錆びついたようなチャック。
別の場所では猫っぽい愉快な仲間が四足歩行から二足歩行っぽく立ち上がり、やっぱり大きくなりながら背中の部分にチャックが生える。
突然の愉快な仲間たちの変化に阿鼻叫喚なこの場所へ、一人の少女がやってきた。
「あら、これが新しい馬車ね」
にっこりと笑った少女は、慌てふためく愉快な仲間の一人を掴むと、ためらいなくその背のチャックを降ろした。
●戦争なんだそうです
「え、えぇと、初めまして。僕は風花琥珀といいます。アリスで、グリモア猟兵だそうです。……って自己紹介している場合ではなかった。大変なんです!」
くりくりした青い瞳を大きく見開いて、琥珀は大きく腕を振る。
どうしたという猟兵達の前でもこもこの白熊フードを困ったように深くかぶせた彼は、消え入るような声でこう言った。
「きぐるみになっちゃいました」
迷宮災厄戦。すでにアリスラビリンスでの戦争の話はいきわたっていたが、それはそれとして全く関係なさそうな発言に一瞬空気が止まる。
違うんです!ちゃんと関係がありますぅ!!!と琥珀が泣きそうなものなのでちゃんと語らせることにはこうだ。
戦場となるその不思議の国はなぜか「愉快な仲間」たちだけをきぐるみ化させる特性があるらしい。その結果、何も知らずに入り込んだ愉快な仲間がきぐるみ化。ご丁寧に2倍ほどまで大きくしてくれたものなので大混乱。
しかもそこにやってきたオブリビオンがこのきぐるみ化した愉快な仲間を捕まえ、無理やり乗り込んで陣取っているらしい。
「どうやらきぐるみ化した愉快な仲間さんに乗ると愉快な仲間さんの恩恵を受けてパワーアップできるみたいです」
きぐるみ化した愉快な仲間に乗り込んだオブリビオン、シンデレラはきぐるみの上からガラスの靴を履き、時にはきぐるみを着たまま呼んだ馬車に乗っては華麗に乗り回すようだ。
ガラスの靴にはユーベルコードをコピーする能力が備わっており、そうでなくとも彼女の蹴りは強力だという。近づく際は注意が必要だろう。
しかも無理やり乗り込んだ愉快な仲間の恩恵なのか、動きが多少素早く、ユーベルコードの威力も上がっている様子だという。
「そのまま戦うこともできるとは思いますが、目には目を、って言います。現地にはまだまだきぐるみになってしまった愉快な仲間さんがいるみたいですし、乗り込ませてもらえないか頼んでみるのがいいと思います」
無理やり使われている仲間を気にかけているようなので、きちんと話せば身体を貸してくれる愉快な仲間は多いと思います、と彼は付け足す。
また着るというと愉快な仲間へのダメージが心配だが、不思議なことにユーベルコードを含むすべてのダメージはきぐるみを貫通し、着ている本人だけに届くので心配はいらない、ということのようだ。
「僕はまだまだ未熟で、できることも少ないですけどこうやって助けを必要とされている人のところへ送ることはできます。だから、どうか……」
オブリビオンを倒し、愉快な仲間の救出を。さらにはこの争いの終結を。
それだけを願うように琥珀は雪の花を咲かせ、戦場への道を拓いた。
心音マリ
今回は三つ巴でなんだかややこしい感じですね。心音マリでございます。
こちらでは迷宮災厄戦『④大きな愉快な仲間のいるところ』の戦場をお届けします。
現在この戦場では踏み込んだ愉快な仲間たち(猟兵も含みます!)が身長の2倍に巨大化しきぐるみ化してしまいます。
きぐるみ化してしまった彼らに乗り込むことができ、乗り込んだ場合は戦闘力が数倍にパワーアップします。
またオープニングにもあります通り、きぐるみに乗り込んでいてもダメージはすべて着ている人にのみ入り、きぐるみ化している愉快な仲間たちへは入りませんのでご安心ください。
こちらの戦場にはプレイングボーナスがございます。「きぐるみ愉快な仲間」の許可を得て、乗り込んで戦うことがその条件となります。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『シンデレラ』
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POW : カボチャキャバリア
自身が操縦する【カボチャの馬車に乗り、そ】の【UC耐性を持つ馬車の重装甲】と【轢き逃げ攻撃の威力・速度】を増強する。
SPD : 魔性の硝子細工
【ガラスの靴】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、ガラスの靴から何度でも発動できる。
WIZ : ビードロキック
【防御貫通効果を持つ、蹴り】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
👑11
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榎・うさみっち
うーむ、まずは着ぐるみに入らせてくれる愉快な仲間を
見つけなきゃいけないわけだが…皆デカい!!
ただでさえ俺よりデカい種族なのに更にデカくなって!
とりあえず、出来る限り小さい愉快な仲間を探す
見つけたら小さい者同士という
共通点で話を持ちかけてみよう
ヘイ!俺とお前、気が合いそうじゃね!?
どうだ、あのオウガを一緒にケチョンケチョンにして
小さくてもやれるんだぜって事を証明しようぜ!
交渉成功したら、いざオウガと決戦!
小さいからってなめんなよ!
喰らえ、着ぐるみっち千手観音!(UC発動
敵が呆気にとられて動きが止まった今がチャンス
蹴りが届かない遠距離から
うさみっちばずーか砲をお見舞いしてやるぜ!
●よく考えなくても元の身長の2倍だもんね
皆デカい!!!!
それが戦場に降り立った榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)が真っ先に思ったことである。
当然と言えば当然なのだがフェアリーの身長は通常の人間基準で6分の1。対していろんな姿がある愉快な仲間たちといえどきぐるみ化する過程でその身長を2倍にされている。
つまり、大きさの差が圧倒的なのである。乗り込ませてもらっても行動できるかどうか。
「ただでさえ俺よりデカい種族なのに更にデカくなって!」
ぶーぶー言いながらもぶんぶん飛び回ってできるだけ小さい愉快な仲間を探すうさみっち。
ほどなくして元は小鳥と思われる比較的小柄のきぐるみ愉快な仲間を発見。困ったようにぴぃぴぃ鳴いている彼(?)に声をかける。
「ヘイ!俺とお前、気が合いそうじゃね!?」
「ぴっ!?確かに……みんな急に大きくなるもんだからびっくりしてたんだよ。君のサイズを見て安心したな」
「どうだ、あのオウガを一緒にケチョンケチョンにして小さくてもやれるんだぜって事を証明しようぜ!」
少しだけ悩むような仕草を見せた後で、彼は頷き一つ、嬉しそうに鳴いた。
「まぁ小さな子。でもネズミの御者はお呼びじゃないわ」
くすくす笑うシンデレラ。可愛らしい笑い声とは裏腹に、彼女が身にまとっているきぐるみはブリキのおもちゃか何かのように見える。無理やりガラスの靴を履かされて、恐怖に顔が固まっている。
そんな不気味な見た目に対してもうさみっち in 小鳥のきぐるみ愉快な仲間は動じない。
「小さいからってなめんなよ!」
「ぴぃ!そうだ!彼を放せー!」
小さいものごときに何ができるのか。一発蹴り飛ばして終わらせようとドレスの裾(きぐるみを着ているのでないのだが普段からドレスを着ているのでそういうマインドが大事)をたくし上げて走るシンデレラ。
それを見てうさみっちは光を放った。否、この光はうさみっちから出ているのではない。しかし突然謎の後光がうさみっちの後ろに現れ、さらにその光から何かが出てくる。
「うさみっち様だぞ!あがめたてまつれ!!」
ピィーーーー!!!!
小鳥のさえずりがラッパのように響き、ついにそれは現れた。
それは仏だった。
それは仏の姿をしたうさみっちだった。
「喰らえ、着ぐるみっち千手観音!」
現れて早々、残像を伴いながらシンデレラの前に飛び出した仏様うさみっちは腕を素早く動かすと……なんということか!まさに千手観音のように無数の腕が生えてるように見えるではないか!
「な、なによこれ!何してくるのよ!!!」
訳が分からず呆気にとられ、千手観音と化した仏様うさみっちを眺めるシンデレラ。
その隙を見逃さず、小鳥の機動力を生かして素早く離れたうさみっちはうさみっちばずーかからばにみっちゆたんぽを次々射出。キャノンの砲撃と体当たり、ついでにキャノンでぶん殴ってシンデレラに少なくないダメージを与えたのであった。
成功
🔵🔵🔴
アトシュ・スカーレット
きぐるみがいっぱいだなほんと!?
「あ、誰でもいいからオレを乗せて!!手助けしてくれたら無理やり乗られた子たちを助けるから!!絶対だから!」
【言いくるめ】使ってでもなんとかしよう!うん!
力を貸してもらえたらなるべく中距離を保ってもらえるようにお願いするね
Joyeuseと村雨に腐敗の【呪詛】を付与して銃形態を主に使用するね
【展開術・剣聖式】は使える場面で使っていくよ!
ガラスの靴で受け止められないように軌道を【見切り】した上で【援護射撃】や【誘導弾】で妨害していくね
●愉快な仲間たちとして、きぐるみとして
「きぐるみがいっぱいだなほんと!?」
グリモア猟兵に転送されて、やっぱりというべきなのかアトシュ・スカーレット(銀目の放浪者・f00811)もまたきぐるみ愉快な仲間たちに圧倒されていた。
実際、困ったようにうろうろしてたり、声を上げて騒いでいるきぐるみ(しかも大きい)がたくさんいると圧がすごいのである。圧が。別の世界にありそうなテーマパークとは違うんですよ!
しかし怯んではいられない。倒すべき敵がここにはいるのだから。
息を大きく吸って、アトシュは声を上げる。
「誰でもいいからオレを乗せて!!」
え!?という感じに付近の視線が一斉にアトシュに集まる。
──どうしよう。 中に入れるのちょっと怖いよね。 あいつに向かっていくのも怖いなぁ。
悩む声があちらこちらで聞こえる。
元々心優しい愉快な仲間たちだ。手伝いたい気持ちも、仲間を助けたい気持ちもある。だが、きぐるみ化というイレギュラーが迷いを生ませていた。
だからアトシュは言葉を紡ぐ。
「手助けしてくれたら無理やり乗られた子たちを助けるから!!絶対だから!」
「本当?!」
「本当!!無理やり乗ってるやつを倒して乗られてる子を助けるから!!」
「……わかった。約束だぞ、乗りな!」
彼の言葉がよっぽど響いたらしい。のそのそと人の形をした樹のような姿の愉快な仲間が進み出て、その背中のチャックを自ら開けてみせた。
「本当にこの辺りでいいのか?」
「うん、問題ないよ。見てて」
きぐるみ愉快な仲間に乗り込ませてもらい、共に目標であるシンデレラの近くまでやってきた。しかしアトシュはある程度視認できる程度の位置で「これ以上近寄らなくていい」という。
不思議そうにする愉快な仲間をよそに、彼はいつの間にか形を変えていた2丁の銃を構えた。
「変な菩薩にぬいぐるみって思ったら、今度はまだまともそうなやつが来るじゃない?」
頭にたんこぶでもできたのか、軽く頭部をさすりながらアトシュの存在に気づいたシンデレラは銃弾を避け、時には蹴りながら距離を詰めようと駆ける。
しかし事前に示し合わせていたようにアトシュときぐるみ愉快な仲間は息を合わせ、距離を詰められないように後ろへ、右へ、左へ、軽やかに立ち回る。
銃を打ちながらシンデレラから離れるように動く。このまま引き打ちが続くのかとそんな思考が愉快な仲間たちとシンデレラに少し芽生えた、その時だった。
「呪いの剣よ、立ち塞がる全てを斬り伏せろ!」
アトシュの声が響き、同時にシンデレラを囲むように現れる無数の剣。それらは縦横無尽に空を舞い、きぐるみをすり抜けてシンデレラを切り裂いていく。
「せっかくのドレスが台無しでしょ!」
剣を蹴り飛ばそうとしても、直前で軌道が変わり捕らえられない。捕らえたと思った時には銃弾がガラスの靴に当たり邪魔をする。
剣が消えるまでそれはシンデレラを傷つけ、透明だったガラスの靴を黒く濁らせていった。
大成功
🔵🔵🔵
ミア・ミュラー
ん、きぐるみはかわいいけど、愉快な仲間のみんなが困ってるなら、助けないと。
けど、戦うにはわたしも愉快な仲間のきぐるみに乗った方が、いいね。みんな混乱してるから、落ち着いて優しく話しかける、ね。わたしはアリスのミア、だよ。愉快な仲間たちに昔助けてもらったから、今度はわたしが助けたい、の。だからあなたの力を、貸して?
戦う時には「視力」で動きをよく見て、蹴りをしてきたら足を掴んで転ばせちゃう、よ。動けない間に【プリンセス・バースト】で中のオウガを、攻撃。急にオウガ自体に攻撃すれば受け止めるのも難しいはずだし、できるだけ愉快な仲間を攻撃したくない、から。
あなたを倒して愉快な仲間を絶対に、助ける……!
●アリスとして、恩返しとして
続いて戦場となっている不思議の国へ降り立ったミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)の気持ちはとっくに決まっていた。
愉快な仲間のみんなが困ってるなら、助ける。
シンプルだが、かつて愉快な仲間に助けられたアリスとして今度は自分が彼らを助ける番なのだと、その意志にに揺らぎはない。
きぐるみ化という突然の事態と仲間が無理やり乗り込まれて使われているという事態、そして猟兵の来訪。いろんなことが続けて起これば混乱というのも一部で治まったとてそう簡単に静まるものではない。だからミアはゆっくりと落ち着いて、できるだけ優しく元はうさぎの何かであったであろうきぐるみ愉快な仲間に声をかける。
「わたしはアリスのミア、だよ」
「アリス……?あぁ、可愛いアリス。ごめんよ、こんな姿じゃ君をもてなすこともできない」
ううん、とミアは首を振る。
「愉快な仲間たちに昔助けてもらったから、今度はわたしが助けたい、の」
彼(声の質から判断した)を見つめるミアの藍色の瞳には強い意志が宿っていて。
「だからあなたの力を、貸して?」
その言葉に彼は快く頷いてみせた。
ウサギの形をしたきぐるみの効果だろうか。飛ぶように地面を蹴って走りながらミアはシンデレラの元へと急ぐ。
果たして、たどり着いたミアが見たのはきぐるみから血を流し、黒く染まったガラスの靴を履いたシンデレラだった。シンデレラが乗り込んでいるブリキのおもちゃのきぐるみは被害こそないもののこれまでの戦闘に怯えたのか泣きだしそうな顔をしている。
ミアの手がぎゅっと強く握られる。
「その子を、放してあげて」
「嫌よ、新しい馬車だもの。欲しいなら奪ってみなさいな!」
さすがはオブリビオン──オウガというべきか。それまでに負っている傷を意にも介さずミアに向かって飛び掛かる。顔に向かって放たれた鋭い蹴りをミアは動きをよく見つめることで避け、さらにはお返しとばかりに突き出された脚を掴むと思いっきり引っ張った。
「きゃっ!?」
当然、バランスを崩したシンデレラは転倒。その間もミアはシンデレラを見つめることを止めない。きぐるみではない、例えダメージが行かなくても愉快な仲間を攻撃したくないから。狙いはきぐるみの中にいるシンデレラ本人、きぐるみを見通して──捕らえた。
「視えた、よ。どかーん」
宣告と同時、ブリキのおもちゃのきぐるみが隙間から七色の光を放ちながら大きく膨らんで、跳ねた。はじけ飛んだりしなかったのはきぐるみには被害が及んでいないためであろう。
何が起こったかわからないという顔をしているブリキのおもちゃのきぐるみに、よろよろと立ち上がるシンデレラ。
未だ見通し続けるミアは言う。
「あなたを倒して愉快な仲間を絶対に、助ける……!」
彼女の言葉に応えるかのように、後方から新たな足音が近づいてきていた。
大成功
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ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK
んー、愉快な仲間のきぐるみを着て戦うかあ。
とりあえず誰か一緒に戦ってくれる子がいないか声をかけてみようか。
普段の姿だと爪とか角とかで中を傷つけそうだし、人間に擬態しとこう。
「あのオウガ何とかしたいんだけど、誰か一緒にやるかい?
手伝ってくれると楽になるからありがたいんだけど。」
まあ、戦いだし無理に手伝ってとは言わないよ。
きぐるみが無くても、やることは変わらないしね。
シンデレラと戦う時は【泰山爆砕】で地面を思い切り殴って陥没させて、
轢こうとした馬車が横転するように地形を変えるよ。
後は乗り込んでシンデレラを殴り飛ばそうか。
こういう事もあるんだから、安定性も増強しておくべきだったね。
本山・葵
・コミュ力を駆使して愉快な仲間たちにお願いしてまわる。もし呼びかけに応じてれくた愉快な仲間がわさびの着ぐるみ立った場合は、葛藤しつつも感謝して乗り込む。
「この国に平和を取り戻すためにはみんなの協力が必要なんす!どうか力を貸して欲しいっす!」
「わ、わさび!?運命のイタズラが過ぎるっす…」
技能:コミュ力
・(SPD対策)あらかじめ食事を抜くことによる加速分で、コピーの速度を上回る
「この技は、ただマネするだけじゃ本領発揮できないっすよ。準備が大事なんす!」
「まったく!今朝から何も食べてないんすよ!このイライラを一撃にこめるっす!」
技能:早業、なぎ払い、串刺し
※共闘、アドリブご自由にどうぞ
●暴走馬車とガラスの靴、後わさび
シンデレラの元へ歩いてくる影が2つあった。一人はのっしのっしと歩く熊(なぜか桃色)のきぐるみ愉快な仲間に乗り込ませてもらっているペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)だ。そしてもう一人は──。
「どうしてこうなったっす!!!」
わさびのきぐるみ愉快な仲間に乗り込ませてもらった本山・葵(ユートレマジャポニカ・f03389)であった。え?なんでわさびかって?それでは少し時を戻そう。
それは数刻前のこと。
先の猟兵達から余り遅れずに現地についた二人は、バラバラながらもそれぞれ協力してくれるきぐるみ化した愉快な仲間を探して声をかけていた。
ペトニアロトゥシカはその身を人間そっくりにさせ、葵は持ち前のコミュ力で次々声をかけて回る。
「あのオウガ何とかしたいんだけど、誰か一緒にやるかい?手伝ってくれると楽になるからありがたいんだけど。」
暗に『無理しなくていい』と伝えながら探してみると、意外とあっさり頷くきぐるみがあった。なぜか桃色をしている点を除けば熊そのもののきぐるみである。元が何か難しいが、こういう色の熊かぬいぐるみ関係の愉快な仲間だったのかもしれない。
キマイラであるペトニアロトゥシカに何か感じるものでもあったのか、グッと親指を上にあげて『乗れよ』という態度を示してくれたのでペトニアロトゥシカはありがたく乗り込ませてもらうことにした。
さて一方の葵だが。
「この国に平和を取り戻すためにはみんなの協力が必要なんす!どうか力を貸して欲しいっす!」
声をかけ続ける葵の前にぬっとあらわれる一つの影。そのきぐるみ愉快な仲間の姿は……!
「わ、わさび!?」
そう、わさびだった。よくよく一般的に知られているすりおろす前と思われるわさびが1本、でーんと立っているのである。
よくよく見れば足元は二又に分かれていて歩けるようになっているし、挨拶するように腕(!?)が上げられたので胴の部分から少し分かたれていて腕が動かせるスペースがあるらしい。しかし、両足をしっかりつけて両腕も胴にしっかりと付けたらもうすりおろす前のわさびそのもの。香りさえしてくる気がする。
思わず葵は目を逸らした。しかし、追いかけるように視界に収まってくるそれ。
別の方を向いてみる。でもやっぱり視界に入ってくる!
やはり逃れられないのか……悟った葵は力を貸してもらうことに決めながらも呟いた。
「運命のイタズラが過ぎるっす……」
ということがあり葵はわさび(元は喋るわさびの花だったのかもしれない)のきぐるみ愉快な仲間に押し負けるように力を借りていたのであった。
しかしどんなきぐるみ愉快な仲間の力を借りようが、本質的には変わらない。そしてやることも変わらないのだ。
「次から次へと鬱陶しいわね!いいわ、私の本当の馬車を見せてあげる!!!」
とうとう堪忍袋の緒が切れたとでもいうのか、シンデレラはタン!と地面を蹴りつける。するとそこから芽が生え蔓を伸ばし、見る見るうちに巨大な南瓜を実らせて馬車へと姿を変える。
シンデレラが御者台に飛び乗れば、馬車は二人目掛けて突っ込んでいく。
「あはははは!私の馬車は止まらないわ!王子様のお城までずっとね!」
「それはどうかな?」
大したことではないとペトニアロトゥシカはふわっと小さく欠伸をしながら一歩前に出る。右腕を大きく引いて、突っ込んでくる馬車を見つめる、そして──。
「何でもかんでも、ぶっ壊すよ!」
その拳を馬車ではなく足元へと放った。グラグラと地面が大きく揺れて、余りの威力に大きなクレーターができる。
シンデレラといえば突然目の前にできたクレーターに全速力で馬車で突っ込んだものだから、思いっきり浮遊そして着地の衝撃でバランスを崩して馬車が横転。
いくらユーベルコードの耐性がある馬車と言えど地形によって横転させられてしまえば意味がない。
そしてその隙を見逃さずわさび……ではなかった、葵が飛び込む。
「餓えたフードファイターは狼より狂暴っすよ!」
「えっ、そうなんだ」
「ペトさんには言ってないっすよ!?」
のんびりとした反応に突っ込みながらも葵はグルメツールを振るう。このままやられてなるものかと器用にガラスの靴で受けとめコピーを試みるシンデレラ。
だがコピーしてもなお、素早くグルメツールを振るう葵の速度に追いつけない。
「どうして!?」
「この技は、ただマネするだけじゃ本領発揮できないっすよ。準備が大事なんす!」
悲鳴のようなシンデレラを次々繰り出す攻撃で追い詰めながら葵は言う。
そう、このユーベルコードは食事を抜くなどで身軽になればなるほどさらに速度を増し加速するタイプのもの。ごくごく普通に現れ、戦っていたシンデレラと朝からご飯を抜いて来た葵ではその差は歴然なのだ!
「まったく!今朝から何も食べてないんすよ!このイライラを一撃にこめるっす!」
ざくざくと空腹のイライラとわさびに好かれた八つ当たりをシンデレラにぶつけると、トドメとばかりにスプーンでシンデレラを打ち上げる。
「今っすよ!」
「わかったよ」
無防備に飛んでいくその先には跳び上がったペトニアロトゥシカ。
「もう一発いくよ!」
組んで振り上げた両腕をシンデレラ目掛けて振り下ろす。目いっぱい力を込めた一撃は打ちあがった時以上の速度で抉れた地面にシンデレラを叩きつけた。
「う、ぐぅぅ……」
横転した馬車を支えに何とか立ち上がるシンデレラ。しかし言葉を発する気力もないのか、もれるのはうめき声ばかりだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
よしきた、そのビズ承ったぜ
アシストしてくれる奴がいるなら楽なもんだ
ターゲットは?ワオ、こいつは大物だな
世界的に有名な童話のプリンセスを殺せるとは、光栄だね
では、ランだ
いいか、見るべきは『足』だ
最も警戒しなくてはいけないのは超威力のキック
必ず予備動作がある、筋肉の緊張がある
それを【見切り】、準備をしておくんだ
来ると分かった瞬間に【早業】でバックステップ
空ぶったと確認した瞬間に、左腕の仕込みワイヤーアンカーを射出
シンデレラ本人に撃ち込み、高速巻取りで強制接近
すかさず、手札を切る──『Dead Copy』
さぁお返しといこう、プレゼントは山ほど用意した
耐えられるかな?実験してみようぜシンデレラァ!!
●そして姫は闇に消える
「ターゲットは?」
事の詳細を聞いたときヴィクティム・ウィンターミュート(End of Winter・f01172)はにやりと笑ってこう言ったという。
「世界的に有名な童話のプリンセスを殺せるとは、光栄だね」
そして彼は今、狐のきぐるみを纏ってシンデレラの元へやってくる。なぜ狐のきぐるみ愉快な仲間を選んだったか。ただ近くにいたから声をかけただけだと思うが、もふっとした狐の尻尾が誰かを連想させたからかもしれない。
きぐるみに乗り込んでいる状態だが行動に支障がないのはここまで来る時点で確認済み。両腕に仕込んである武器が問題なく動作するのも確認してある。
これで愉快な仲間本人に被害が一切ないというから不思議なものだ。
びっくりする、という感想はもらったがヴィクティムは笑って流した。
新手の登場にシンデレラは顔を上げた。その表情はきぐるみの後ろに隠れて見えないが、ミシッと小さな音が彼女の手元から鳴り、ガラスの靴が地を蹴った。
戦意が残っているのは明らかで、そしてそれはヴィクティムの仕事としては大して関係がないのだ。
「血気盛んなプリンセスだ」
シンデレラとの距離が縮んでいく。およそ後5メートル。
ヴィクティムは動かない。きぐるみ越しの瞳は何を見ているのか、シンデレラを見つめたまま動かない。
後1メートル、もう少しで彼女の射程距離。
踏み込んだシンデレラの脚に力が入る。──来る。
「全く……っと」
こんなんじゃ王子様も来やしない。言葉を遮るように渾身の蹴りが放たれるより先に素早くバックステップで距離を取る。来るとわかっているなら避けるのは難しくはない。
シンデレラの蹴りは空を切り風を生み出すがそれだけ。
次の行動に移るより早く、彼女の身体にはワイヤーアンカーが撃ち込まれていた。抵抗する間もなくワイヤーが巻き取られていく。もちろん、繋がっているワイヤーの先にいるのはヴィクティムだ。
バックステップで開いた距離をワイヤーの巻き取りで詰め、切るのはたった一枚で最高の仕事をしてくれる手札。
「さぁお返しといこう、プレゼントは山ほど用意した」
「はっ、魔法使いのおばあさん気どりなのかしら?」
強がるようなシンデレラの声に無機質な電子音声が重なった。
『事象指定・クリップ完了――是より対象の模倣再現を開始する』
一拍置いて、シンデレラを鋭い蹴りが襲った。どこから放たれたかわからない蹴りが突然に。
右、左、上、下、背後、反応する間もなく見えない蹴りに襲われる。
この威力、鋭さ、シンデレラには心当たりがあった。
「こ……れは、まさかっ
……!!!」
気づいた様子にヴィクティムは心底嬉しそうな笑みを浮かべる。
「耐えられるかな?実験してみようぜシンデレラァ!!」
声と共にワイヤーフックを切り離して離脱したヴィクティムの後ろから馬車がどこからともなく飛び出し、シンデレラに激突。吹き飛んだシンデレラを勢いのままに再び轢くと、彼女を下敷きにして止まった。
一瞬の静寂、そして──。
「た、たすかったぁ……」
もそもそとシンデレラに乗られていたブリキのおもちゃのきぐるみ愉快な仲間が馬車の下から這い出してきた。
彼の背中のチャックは開いていて、その中にはもはや何もなく、ガラスの靴もきらきらと光を放って消えていった。
成功
🔵🔵🔴