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雷雲に咲く不滅の薔薇(作者 天木一
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 眩い稲光が薄暗い辺りを照らす。
 見渡す限りの雷雲。大地などなく、稲妻を宿す雲が地面の代わりに一面に広がっている。
 全てが質量を持った雷雲で出来た土地。群竜大陸の一画であるそこは以前は帝竜『ワーム』が支配していた場所。ワームの圧倒的力によって雷雲の大地が生まれ、如何なる存在も住む事が敵わない大地だった。だが猟兵によって討伐され、圧倒的支配者を失うと大小さまざまな生物が新たに棲み処を求めて集まっていた。

 そんな場所に、この世のものとは思えぬ美しい花が咲いていた。雷雲しかない過酷な環境だというのに、雲から生えるのは見たものを魅了してしまいそうな、魅惑的な薔薇だった。その色は鮮やかな真紅で、雷雲しかない白黒の世界を彩っていた。
 その美しい薔薇を巨大な影が覆う。見上げれば、そこには翼を羽ばたかせて飛ぶ、王冠のようなものを被った巨大なドラゴンがいた。
 そのドラゴンが脚に捕まえていた大型の狼のような魔獣を投下する。それが雷雲にぶつかると、衝撃で雷雲をへこませながらバウンドし、血を撒き散らせ地面を転がった。
 弱った魔獣が立ち上がろうとする。だがその脚に茨が絡みつき、動きを止めて全身を覆うように巻き付いていった。それは薔薇の茨。棘が柔らかな部分に突き刺さり、血と生気を吸い上げて魔獣を干からびらせていった。すると美しい真紅の薔薇が新たに咲いて、赤い彩りの範囲を広げた。
 ドラゴンは餌やりを済ますと、まるでこの場所が自分のテリトリーだと知らしめるようにゆっくり旋回して存在を誇示する。そして雷雲に着地すると咲き誇る真紅の薔薇を見下ろし、その美しさを鑑賞するようにじっと眺めていた。


「こんにちはー! 今回はお宝探しの冒険だよ!」
 閃光の走る雷雲の世界を映すグリモアベースで、ラフィロワ・ベルシルト(幸せ運ぶ星のうた・f04751)が猟兵達に元気に挨拶をした。
「アックス&ウィザーズでの戦争は終わったけど、群竜大陸にはまだまだモンスターがいっぱいいて、探索してない場所もたくさんあるみたいだよ!」
 帝竜を倒しても、モンスターを一掃した訳ではない。まだまだ広い土地を探索出来ていない状態で、群竜大陸を『無尽蔵の開拓地』と呼び、未知のお宝目当てに探索している冒険者も増えている。
「そんな冒険者さんたちから聞いたんだけど、みんながやっつけた帝竜『ワーム』がいた雷雲の大地に、まっ赤でキレイなバラが咲き始めたんだって!」
 冒険者の間にそんな噂話が流れているとラフィロワが口にする。

「土もないしお花さんが住むのは無理そうな場所なんだけど、そのバラは生き物を食べて繁殖する怖いバラなんだよ! 名前は『不滅の薔薇』っていうんだって! その名の通り枯れないんだって!」
 生き物であれば何でも食べて増殖し、険しい雷雲の土地でも少ない生物を食べて永遠に咲き続ける希少な薔薇なのだという。
「怖いけどキレイで珍しいから、とっても高価なお宝なんだって! だけどそのバラが咲いてる場所に、おっきなドラゴンが住み着いていて、冒険者さんたちは諦めて帰ってきたらしいんだ」
 王冠を被った巨大なドラゴンの姿を見たという情報だった。
「雷雲の世界は同じような風景で目印もないから、はっきりとした場所はわからないんだ。でも高い位置にあるおっきな雲だったらしいよ!」
 こーんなとイメージしてラフィロワは両手を広げた。

「それと、ドラゴンの近くに雷雲に隠れて獲物を待ち伏せるオブリビオンのフェアリーの集団も見たって言ってたよ」
 探索慣れした冒険者は運よく先に敵を発見して、近づかないように遠距離からの情報収集に徹したのだという。
「そんなフェアリーやドラゴンの場所を探せば、バラの咲いてるドラゴンの棲み処を見つけられるはずだよ!」
 まずは広く高低差もある雷雲の大地の探索を行い、不滅の薔薇が咲く竜の棲み処を見つけなくてはならない。
「あと、バラは直接触ると食べられちゃうから、何か密封できるケースに入れてしっかり保管しないと危ないよ!」
 厳重な管理をしないと、周りの弱い生物を根絶やしにして繁殖してしまう。採集にも保管にも気を配る必要がある。力はないので分厚いガラスなら割られる心配はないだろう。

「冒険にお宝! ワクワクしちゃうよね!」
 まるでも物語の冒険譚のようだとラフィロワは目を輝かせながら、宝石のように煌く道で世界を繋いだ。
「ドラゴンをやっつけてキレイなバラを手に入れてきてね! 手に入ったら、ボクにも見せてくれるとうれしいな! ずっと咲き続けるバラなんて、お部屋に飾れたらきっとステキだよね☆」





第2章 集団戦 『暗殺妖精』

POW ●スキルオーバーリミット「妖精暗殺術」
【気配を猟兵に感じさせない状態】に変形し、自身の【暗殺実行後の生存率】を代償に、自身の【「暗殺」の技能レベル】を強化する。
SPD ●暗殺技能・魔法罠即席設計
いま戦っている対象に有効な【魔法で作成したトラップ】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ ●暗殺技能・虚構群衆召喚
戦闘力のない、レベル×1体の【二乗の数までの現地人・生物を模したデコイ】を召喚する。応援や助言、技能「【群衆偽装】」を使った支援をしてくれる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●雷雲の居城
 ドラゴンを見失わないように、猟兵達は上へ上へと移動していく。するとドラゴンが速度を緩め空に浮かぶ分厚く大きな雲へと魔獣と熊を投げ捨てた。そして空を優雅に旋回している。
 あそこがドラゴンの棲み処だと、猟兵達がその姿を肉眼で確認した。
 見上げれば巨大な雲はまるで小さな山のようにも見える。その頂上にドラゴンは住んでいるようだった。
 階段状に浮かぶ雲がその巨大雲へと続き、道のようになっている。生き物はドラゴン以外に存在しているようには見えない。だが猟兵達は知っていた。その巨大な雲に潜む悪しき妖精の存在を。
 じっと目を凝らせば、風で雲が動いた時に黒い衣服に身を包んだ無表情なフェアリーの姿が目に入った。小さく気配が薄い。暗い雲の陰に紛れればすぐに見失ってしまうだろう。
「1班3番、侵入者発見」
「1班1番、了解。接近次第急襲を開始」
 ぶつぶつとフェアリー達は小声で簡素に行動の確認だけをする。それはまるで心を持たぬ機械のようだった。

 竜を守る護衛。地上からでも空からでも迎撃に現れる暗殺妖精の部隊を倒さなくては竜の元まで辿りつけない。
 不滅の薔薇を手にする為、そして危険な妖精のオブリビオンを放置もできないと、猟兵達は雷雲の道を踏みしめて、雲で出来たドラゴンの棲み処へと歩み出した。