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誰が為に歩んだ結果(作者 神崎-Kanzaki-
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●偽りの英雄
 帝都で一つの特報が世間を震わせていた。
『正体不明のヒィロォ、現る』
 殺人事件の記事ではあるが、なぜ良い意味でのヒィロォと言われるのか、それは狙われる人物は全員殺人事件や窃盗等何か悪い事を起こし、帝都の民から悪者と見なされていた人物のみであったからだ。
 その存在がいたからこそ、帝都の民は安心して生活や娯楽を楽しむことができる。
 いつしかその正体を確かめたいと、多くの人たちが探し回っているが、未だ成果はでていない。

 ……。

「と、言う事になってる」
 少女はベッドに横たわり、その記事の内容をまぢまぢと見つめる、その部屋はその同じ特報の記事で散乱しており、見るに堪えない状況となっていた。
 端から見れば、それは狂気以外の何物でもないだろう。
 少女は横に刀を置き、棚の上に保管していた物に燐寸で火を灯す。目標はあるが、それにたどり着く事など絶対に出来ないと悟り、自暴自棄になっていた際に骨董屋で見つけた小型のラムプ、それはいつしか少女の宝物となり、誰にも言えない秘密となっていた。
 骨董屋で見つけたがゆえに、埃等は沢山ついていた物の、その何処となく引かれる意匠が気に入り、つい買ってしまったのだ。
 でも、今ではその行動を起こした当時の自分に感謝こそしている。
「――し、師匠。私、今日もやれましたっ。」
 少女が見つめる先は、ラムプの光映る白き小屋壁、だが只の光ではない。その光には薄くだが、大きな剣を持った一人の女性の影が映っていた。その女性は少女に向かってニヤッと笑っている。まるで、少女の活躍を喜んでいるかのように。
 少女はそれを師匠と呼んでいる、なんでも師匠と出会ってから剣の腕がみるみる上達していったという。
「明日も頑張ります――で、ですから、見守っていてください、コホッコホッ」
 最近多くの人を斬ってきたからなのか、体調が悪くなっている。でも師匠を心配させまいと、そんなことお構いなしに見栄を張る。
 師匠の表情は変わらない、ずっと少女を笑っている。
「頑張ります――だから」

「見捨てないでください」

●グリモアベース
「やっほやっほ、ところで皆は籠絡ラムプという兵器を知っているかな?」
 帝都の中心部で、鍛冶用ハンマーを片手で振り回しながらソルティリア・ブレイズ(過去の剣豪・f27901)は、皆にそう問うた。
「影朧っていう不安定なオブリビオンを閉じ込めてる代物でね? それを使っちまうと、凄い力を得る対価に、何れ所有者が壊れちゃうどころか、その影朧が蘇っちゃって帝都が滅んじゃう可能性が出てくるんだ、相当ヤバい代物だよ」
 要するに、影朧の力を拝借することができるラムプと言ったところなのだろうか? 各々がそう口にすると、ソルティリアは『察し良し!』とグッドサインを飛ばした。
「勿論影朧の力を拝借した子はユーベルコードも使えちゃうわけで――あ、ここまで言ったら分かるかな? そう、ユーベルコードは万能な力だけど、適合しない者が使っちゃえば、身も心も滅ぼしちゃう力になってしまうんだ。
 そして今回、その兵器を使ってる存在を確認したから、皆にその存在を見つけ出し、ラムプの回収を行ってほしいんだよね」
 ユーベルコード、それを一般人が何らかの理由で手にし、世界が滅びかけてしまったという事例はいくつか存在する、故に今回の騒動は放っておけばカタストロフィなど簡単に起こってしまう事など想像に難くない。
「ラムプを使った所有者だって、何も知らずに使ってしまったらさぁ~? 一種の被害者となっちゃうんだよね、可哀そうに。
 だから、取返しのつかなくなる前に、その子も保護しなきゃらないないし、やる事はいっぱいだよぉ~。心身がボロボロになってたら、相当ヤバい状況だからね」
 いくらその力を好き勝手に行使したとしても、ラムプの入手経路は大抵が偶然の産物だ。もしそれで加害者扱いにされてしまっては、復帰した所有者も納得いかないだろう。
 故に、所有者も被害者として扱うのだ。

「手がかりとなるのはこれっ、正体不明のヒィロォの特報記事ッ。内容も荒唐無稽でさ? 凄い怪しいんだよね。何でも、誰も正体を知る事ができない正義の味方扱いされてるとかなんとか……ね? 可笑しいでしょ」
 ソルティリアは特報記事をぴらぴらと見せながらそう告げる。それ以外に所有者が起こしたと思われる事件も発見されなかったがゆえに、一番可能性のある手がかりと言えるであろう。
「それじゃぁ、保護と回収よろしく頼むね。
 それにしても、可哀そうなもんだよ。ラムプを所有して使ったとしても、得た力に興味がなければ、すぐ捨てたりするものなんだ。だから、所有者には何かしら理由がある。その力を得る理由が。
 今回はどういう理由なんだろうね?」
 ソルティリアは意味深な言葉を言い残し、その場を去った。





第2章 ボス戦 『人斬り『十香』』

POW ●血戦山河
【魔刃刀『裏正』】が命中した対象を切断する。
SPD ●悪鬼羅刹
自身に【裏正に封じられしかつて斬った人々の怨念】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波と血のような斬撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ ●百花繚乱
自身の【瞳】が輝く間、【魔刃刀『裏正』による斬撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はガイ・レックウです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●路地裏にて
「い、行き止まり?」
 少女は猟兵達の策にハマり、行き止まりの場所へと逃げ込んでしまった。猟兵達は好機と捉え、ジリジリとその距離を縮めていく。
「わ……私が、私がやらなきゃ」
 腰に担いだ鉄剣の鞘に手をかける。

 ――……だが、目の前の猟兵達の存在に圧倒されているのか、身体の震えが止まらず、鞘を抜く事ができなかった。

「どうしよう――師匠っ」
 彼女がその名を叫ぶと、ラムプの炎が輝きを増し、遂にそれは直視できない程へと到達する。
 その光はすぐに収まり、猟兵達が目を開くと、先程まではいなかった場所に赫い刀を担いだ女性の影朧が出現した。
 これが――彼女に力を与えている影朧だろうか?

『全く――この子はただ人助けをしているだけなのに、それだけで怖い顔をしながら追い詰めるのかい?』

 殺意を放ち、影朧は貴方達に語り掛ける。
『私も昔、長く悪い奴を成敗する人斬りをやってたんだ。お前達みたいな存在は、その時の悪い奴によー似てるわ』

 ――だから、この子の代わりに私が成敗してあげる。
雪華・風月
人助け…その果てに自身の、この世界の破滅があるとしてもでしょうか?
彼女はその不利益を知っているので?

わたし達が悪人なら貴方は口八丁で善人を騙す詐欺師ですか
もはや問答無用、ただその悪心を斬るのみです


雪解雫にて『切り込み』を
足を活かし、動き回りながら敵の刀と交わせ
敵の剣筋を目で覚えさせてもらいます
敵のUCを動作から『見切り』、『カウンター』のUCによる一太刀を
我が刃にて、邪剣を断ち、心を正す


師を名乗るなら剣だけではなく心も正しく導くものです
貴方に師を名乗る資格は…ありません


●本当に正しき事
――だから、この子の代わりに私が成敗してあげる。
 彼女の師だと言う影朧がそう告げ、貴方達に刀を向ける。ギラリと輝るその刀身から放たれる覇気は、流石と言わざるを得ない程だった、それも恐らく影朧が過去に“悪い奴を成敗していた存在"であったが故なのだろう。が――……

「人助け…その果てに自身の、この世界の破滅があるとしてもでしょうか?」
『うん?』

 雪華・風月(若輩侍少女・f22820)が、誰よりも先に口を開いた。ただ率直に感じた疑問を影朧に投げつける、こんな物を投げかけた所で、相手が動じない事など想定の範疇ではあるのだが。
「貴方から力を借りて人助けをすることで、彼女の身体は害される――そのことです。彼女はその不利益を知っているので?」
 雪華は影朧の後ろで震える少女に視線をやる。時折咳込むような仕草をし、顔は少し熱があるかのように赤くなっている。これも影朧の力を借りて、得た代償なのだろう。
『……人助けってのは、そんな簡単じゃない事は彼女も知ってるだろうと思ったからね。知らないで言っているのなら、とんだ大馬鹿者だよ』
「――何故説明しなかったのです? することによって、何か不都合な事があるからでしょう? ならば貴方は、口八丁で善人でありたい者を騙す詐欺師の様な者です。
 そんな貴方に、誰かを悪人だと言う事も……師を名乗る資格も、ありません」
 雪華はゆっくりと腰につけた刀を鞘から抜く。もうこれ以上、影朧と会話しても無意味と判断したのだろう。それを示唆するかのように、雪華の眼は影朧に対する純粋なる敵意に染まっていた。
「師を名乗るなら剣だけではなく心も正しく導くものです!」
 ダンッ――……と、地を蹴り、影朧に向かって刀を振り、勢いよく切り込む。当然影朧はそれに反応し、手に握った大きな赫い刀でそれをいなす。
『いい切り込みだっ、ならこういうのはどうだ』
「!」
 突如、影朧の瞳が赤く煌めく。影朧の動きが、次第に陽炎の如く揺らめき始める――いや、これは残像か?
『百花繚乱!』
「(これは……)」
 影朧の動きが早くなったのか知らぬが、一度に刀を振ったかのように思えば、剣閃は9個に増えていた。
 雪華はその剣閃一つ一つを後退しながらいなし続ける。こういう斬撃には大抵法則性がある。一つの剣技として成っているのならば、斬りこむ場所が同じであったりする事等が多い。
 一つの剣技を即席で別の剣技へと派生させる事は、容易い事ではない。それが出来る剣士という者は、それ即ち歴史に名を刻む者のみであろう。

「……剣技という者は目で見て覚えるのです」

 ――……

 何度いなしただろうか? 何十? 何百? いや、もう誰にも分らない。でも、これだけは分かる。
 もう、この剣技は見飽きたという事。
「頃合いです」
『何?』
 相手の剣閃一つをいなした刹那、地を蹴り影朧の方へ刀を素早く振る。強くいなした際に出来る隙という物は予想以上に大きい。
「もう見飽きたという事です。後はそのふざけた悪心を斬るのみです」
 一閃、雪華の持つ霊力のこもった刀《雪解雫》で敵の心臓部――いや、心を斬る。
『なっ――』
 燕返し、カウンターによる一撃。それは不可避の斬撃。
「……凄い」
『くっ……いや、まだだ!』
 影朧は立つ、だが勿論想定の範囲内。油断は禁物――と、再び雪華は刀を握る。
 だが、少女が漏らした『凄い』という言葉を聞いた雪華は、少しだけ心を撫でおろしたのだった。
成功 🔵🔵🔴

ベルベナ・ラウンドディー
失礼。貴女のお名前は?
…あんたじゃねえ影朧、保護対象のヒィロォごっこさんのほうです
何がしたいのか知りませんが殺されそうなので倒して構いませんね?




●地形の利用・串刺し・読心術

狭い路地裏で刀を、それも斬撃で振るうのは難しいのです
その点では突きに優れる直刀はこの状況では向いてますが…
爪や牙で突く、刺す、避けるの体術で応戦します
…剣術で格上の相手に同じ剣術で勝負など仕掛けませんよ。刀を使うと警戒させ、その裏を突いてこそ刀の名手です
体術を警戒されたら?それこそ直刀の出番です


●逃げ足・優しさ
私は戦闘は専門外です
ほどほど交戦を済ませたら保護対象を連れて後退します
…人斬りが向いてるようには見せませんけどねぇ…


●巧な戦術
 他の猟兵達が影朧と戦っている中、ベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)は常に冷静であった。その時、ふとある疑問を投げかけた。
「失礼。貴女のお名前は?」
 誰もがこの状況下で必要だとは思わないその疑問に、影朧は猟兵の攻撃を裁きながら応答する。
『何だ? その疑問は――』
 彼はすぐに舌打ちする。
「あんたじゃねぇ影朧、保護対象とされている後ろのヒィロォごっこさんのほうです」
 指さした先には身震いしながら、座り込んでいる少女がいた。が、小さい声で泣くだけであり、彼の言葉に反応することなんてなかった。
 それを見てすぐに彼は呆れた様な溜息をつく。
「何がしたいのか知りませんが殺されそうなので倒して構いませんね?」
「ぁ……だ、ダメ、コホッ」
 少女の言葉を気にする事なく、彼は影朧の隙を見計らって一気に間合いを詰める。影朧もそれに気づいたのか、戦っていた猟兵を弾き飛ばし、彼を迎撃する体制に入る。
『(間合いを詰めた――刀か?)』
 影朧は彼に向かい、勢いよく刀を振り下ろす。
「(狭い路地裏で刀を、それも斬撃で振るうのは難しいですね――ならば)」
 彼は振り下ろされた刀に向かって、自身の爪を大きく振り上げ、それを弾き飛ばす。その時に出来た隙を見逃す程甘くはなく、すかさずそこに片腕の爪で致命傷を突く。
『くっ……へぇ、中々な体捌きにその爪……人の物じゃないな。剣術相手にそれで挑むとはな』
「…剣術で格上の相手に同じ剣術で勝負など仕掛けませんよ」
 相手の剣を的確に避け、その際に爪や牙で突いたり、刺したりする簡単な仕事――だが、相手の剣も流石の物であり、いくつか剣閃が掠り負傷する。
 剣士という物は、戦いの中で成長していく者である。相手がどういう手で戦うかを見極め、その中で順応していく存在である。影朧も恐らくだが、相手が体術の使い手だという事を悟り、戦い方を体術相手に変えてきているのだろう。
 それを裏付けるかのように、剣を薙ぎ払う等こちらの体勢を崩すかのように戦い方を変えてきていた。
 だが、それも彼は計算のうちであった。
「まぁ、剣術を使わないとも言ってないですしね」
『!?』
 相手が薙ぎ払い終わったのを見計らい、腰から隠していた直刀を取り出し、それを敵の腹部に向かって勢いよく突く。直刀は相手を刺殺することに適している、故に直ぐには使わず、相手が刺しやすい動きをしてくれるまで待っていたのである。
「私、本来戦闘は専門外なのです。後はお任せしますよ」
 そう言い残し、動きを止めた影朧を過ぎ去り、その後ろにいた少女を抱きかかえ、保護する。
「えっ…だ、誰?」
「ただの猟兵です。…それにしても、全く人斬りが向いている様には見えませんけどねぇ」
 彼は少女と共に、そのまま元の定位置へと戻っていった。少女の問題は一先ず解決した、後は奴を倒すだけだ。
成功 🔵🔵🔴

八坂・操
【SPD】

悪い子どこの子操ちゃん! ちょっと調べてるだけで悪い子扱いするなんて酷くない?

「ね、操ちゃんもそー思うでしょ?」
「操ちゃんもそうだそうだって言ってるよ!」

そんな感じで【影の煩い】でもう一人の操ちゃんを出して、場を攪乱しよっか♪
ある程度の斬撃なら『見切り』、隙を見て包丁を『投擲』だ!

「ヘイ、操ちゃんパス!」
「わぁ自分殺し!」
「頑張れ二刀流!」

どっちが本物かは分からなくとも、無手になれば当然『おびき寄せ』られるよね? ここまでが『フェイント』だよ!
相手の攻撃に合わせて『カウンター』狙いの『串刺し』貫手だ!

「ごめん、嘘♪」
「操ちゃんったら悪い子!」

ヒヒヒッ、操ちゃん無手の方が強いんだ♪


●搦手
「ちょっとちょっと! 悪い子どこの子操ちゃん! ちょっと調べてるだけで悪い子扱いするなんて酷くない?」
 影朧の言い分に『さっきから言わせてみれば』と言わんばかりのハイテンションな声で、八坂・操(怪異・f04936)が声を上げる。その勢いには、流石の影朧も驚いた様であった。
『どうせお前“ら"も責め立てるのだろう? ただ人助けをするだけの善良な者にさ』
 八坂はその言い分に対して特に何も返さなかった。ただ何時ものように、笑っているだけ。
 それに――影朧が驚いたのはそのハイテンションぶりな事だけではなかった。
「知らないよ! 操ちゃんは良い子だよ! ね、操ちゃんもそー思うでしょ?」
「操ちゃんもそうだそうだって言ってるよ!」
 ハイテンションな様子でしゃべる彼女の後から、もう一人の彼女がひょっこりと姿を現す。見た目も性格も瓜二つ――双子にしては出来すぎていると言った感じであった。
 二人に増えた事で、周りの猟兵も騒然とし始める。もはや、この戦場は八坂の独壇場と言っても過言ではなかった。
『な、何だこれは! しかし、例え増えたとて、斬れば問題ない!』
「おっと! 危ない危ない! そしてヘイ、操ちゃんパス!」
「わぁ自分殺しだ!」
『本当に何なんだ?』
 予想を上回る出来事に、影朧の放つ斬撃も少し弱まっている様に感じた。想定外の出来事に弱いタイプなのだろうか? もしそうだとするのなら――と八坂は妖しく笑った。
「操ちゃん頑張れ二刀流!」
『――躱す際の動きはそう速くない、ならばッ!』
「ひゃー刀だよ! こわーい!」
 地を駆け、素早い速度で影朧は八坂の腹に一発剣を振るう。だが視線は背後を向き、後ろの包丁二刀流の八坂にも注意する。襲い掛かってきたならば、多少の体術で弾き返せばいい、そういう算段だったのだろう。

 ――……だが

『……な』
 刀先が八坂の腹に触れる――事はなく、逆に影朧の腹に八坂の腕が振れていた。――というより、貫通していたと言ったほうが正しいだろうか?
『ぐぁ……な、なんだこれは……』
 膝から崩れ落ちる、まだ死にはしないが相当なダメージを負った事は確かだろう。
「ごめん、怖いの嘘♪」
「操ちゃんったら悪い子!」
「ヒヒヒ、だって……」

 ――……操ちゃん無手の方が強いんだ。

 その時に見せた八坂の笑顔は、周囲に恐怖を与えたという。
大成功 🔵🔵🔵