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War never ends

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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●亡者の行進
 その日は長い砂嵐が巻き起こっていた。
 吹き荒ぶ砂は道を覆い、その視界は著しく損なわれ、目の前を往く者すら覚束ない。
「……獲物……」
 それは呻き声のような声だった。
 ひとりやふたりではない、幾人もの声が、そこらから聞こえてくる。
「……獲物……」
 道はまだ見えず……それでも、迷わない。
 今回の目標は決まっていた。この世界に大凡似つかわしくない、豊かな自然と水が潤う地だ。
「……獲物……」
 歩く理由。別に『歩かない理由』が無いから。向かう理由。そこに『物』が有るから。
 襲う理由。……そこに『略奪対象』が居るから。
「…………前進、せよ」
 唯一、指示らしいものを下す者が居たとしても、目的は変わらない。
 聞こえているかもわからない、その呟き声。それを聞いてか否か、やはり歩みを止める者はひとりとして居なかったのである。

 略奪。
 それが、彼らの生きる唯一の理由であり、戦う意味だった。
 だから、彼らは迷わない。
 今日の略奪こそ、自分達の渇きを癒してくれるものだと信じて。

●グリモアベース
「アポカリプスヘルで襲撃を察知した」
 その古きウォーマシン、萩原・誠悟(屑鉄が如く・f04202)は重々しく口を開いた。
「今回、彼らが狙っているのは拠点の外にある農場だ。実際、大した規模の農場なのだが、それ故に目を付けられた形だな」
 誠悟の手の写真数枚の中に、現地で撮影されたと見られる景色が納まっている。
 瑞々しい果実、陽を浴びて光を反射する野菜。畑の中に点在する木々。
 そのいずれも、確かに存在するのだと写真越しに生命力が主張し、視覚に訴えて来ていた。
「この農場を作ったのは、アポカリプスヘルで活動する猟兵達に勇気づけられて新たに生活をスタートさせた者達だ」
 以前にオブリビオンの魔の手から守ってくれた猟兵達。その後ろ姿が、農場に生きる人達の目に焼き付き、さらには希望を見出したのだと言う。
 それならば、その活動を支援するだけの義理が、猟兵達にはある。
 戦う理由なんていくらでもあるが、あえて誠悟が口にした理由は『義理』であった。
「何より少し栄えた程度で目を付けられて水の泡、というのは興醒めだろう。なんとかしたいところだ」
 そう理由を付け加え、誠悟は次のお題目を切り出した。

「目下の敵は所謂レイダー達だ」
 今回の敵について、誠悟は襲撃者を意味する言葉で称した。
 徒党を組み、略奪を繰り返す。今回の敵はそういう集団だと言う。
 彼らもまたオブリビオン。油断の出来ない敵に違いはない。
「さらに、これらをけしかけて来た者が別にいるようだ」
 けしかけて来た……とはいえその性質上、完璧に統率の取れた部隊であるとは考えにくい。
 それでも、そのレイダー達の動きを操作する者が、より強力な敵である事は想像に難くない。
「彼らは、亡者のような存在だ。略奪をする事でしか最早自己を維持できない」
 終わらない襲撃、略奪。それを作り出す敵は、現れる度に倒していかなければ、世界は遠からず滅んでしまう。
「今回も放っておけば……物資を奪って、その物資を消費して、また次の地へ略奪に向かうだろう」
 彼らには基本、改心はない。
 それ故に遠慮も容赦も必要としない、純然たる敵。
「戦いは続く……いつ終わるのか? それは誰にもわからない」
 もしかしたら終わりは来ないのかも知れない。それどころか猟兵達がいつまでもオブリビオンを退け続けられる保証もない。
 それでも。
「それでも、我々猟兵達は今まで通り『当たり前に』この障害にぶつかっていき、これを打ち砕いていくべきだ」
 ――飽くまで私の持論だがね。
 最後に茶化すように述べた後、誠悟は猟兵達を見送った。


あるばーと。
 こんにちは。あるばーと。と申します。
 MSとして初めてのシナリオとなりますが、よろしくお願いいたします。

●第1章:集団戦
 本能に任せて拠点の農場の畑を襲うレイダー達と戦います。

●第2章:ボス戦
 レイダー達をけしかけてきたボスが現れます。撃破しましょう。

●第3章:日常
 主に農場での描写になります。
 農作業を手伝ったり、収穫物で料理をしたり。束の間の日常を謳歌しましょう。
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第1章 集団戦 『ロスト・レイダース』

POW   :    バリアブルランチャー・バーストモード
自身の【虚ろな瞳】が輝く間、【背負った四連バリアブルランチャー】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    バリアブルランチャー・イージスモード
【四連バリアブルランチャーの自動迎撃モード】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    レイダース・カムヒア
自身の【略奪物】を代償に、【レベル分の人数のロスト・レイダース】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【四連バリアブルランチャー】で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リカルド・マスケラス
「この世界で芽吹こうとしているものを、邪魔させるわけにはいかないっすよ!」
そんな感じ現れたのは狐のお面のヒーローマスク

「その進行、止めさせてもらうっす!」
そう言って【霧影分身術】で人型の分身を景気よく80体くらい召喚。【集団戦術】で全員が一度に被弾しないようばらけたり、互いに【かばう】をしたりしつつ肉薄して戦闘。……というのは囮
そうやって派手に戦闘している陰で【忍び足】で敵後方に回り込み、鎖鎌の【なぎ払い】などで敵を一掃する。肉体は分身隊の一つでも使っとく。
「急にターゲットを変えようものなら、フレンドリーファイアは免れないっすよね~」
そんな飄々とした態度と共に、急に攻撃をやめられない敵達を刻む



●到着
「……」
 無言を貫く人の列。面を伏せながら前に、前に歩いて行く。
 目標はすぐそこだ。到着次第、攻撃を開始する。
「……獲物」
 誰が、誰に下した言いつけではなく、そこに居る全員がそう『決めていた』。
「いや獲物ではないっす」
 ……だと言うのに。目標は目と鼻の先なのに。
 すっかり無くした自我が言う。
 白い狐のマスクの青年。
 今は『アレ』を倒さないと、目標にはたどり着けないのだと。

●Confusion
「この世界で芽吹こうとしているものを、邪魔させるわけにはいかないっすよ!」
 啖呵を切ったその青年は白い狐の面を顔から側面に直し、不敵に笑みを顕わにする。
 名を、リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)。
 この世界、アポカリプスヘルの住人の危機に馳せ参じた、猟兵がひとりだった。
 なお、リカルドの本体はあの狐の面で、青年自身は装着者である。
「……獲物」
「うん、まあ、話聞いてくれるわけはないっすね」
 わかってはいたものの、それでも溜め息は出る。
 別に会話を楽しみたかったわけではない。ただ、ほんの少し張り合いが無かったのだ。
「その進行、止めさせてもらうっす!」
 そう言うと、リカルドの周囲には無数の仮面が出現する。
 それと同時に現れた霧は濃くなり、やがて密集し、人型を形成する。
「夢か現か幻か、とくとご覧あれっすよ!」
 これぞ【忍法・霧影分身術】。これにより出現した分身約82人が全て、リカルドの持ち得る武器だった。
「獲物……獲物」
 先の会話により、やはりレイダー達は意思疎通が出来ない存在である事は知れている。
 しかし、それでも『獲物』となる目標以外は彼らの目に映らないのか、と言えば答えは否だ。
 それも自分達の数を超えようかという物量で目の前を埋め尽くされれば、構えのひとつも取らざるを得ない。
 すでにリカルドの事を『障害』と認識したレイダー達が取った対応は『迎撃』だった。
 レイダー達がそれぞれ背中から伸ばす銃器のモードがひとつ。【バリアブルランチャー・イージスモード】……自動迎撃モードである。
 実際には迎撃しているのは猟兵側だが、そんな事にレイダー達は疑問など持たないし、意味もないだろう。
 程なくしてリカルドが作り出した霧分身部隊とレイダー達は衝突した。
 次々とレイダー達のバリアブルランチャーによる発砲音が上がっていく。
 射程と効果範囲で言えばリカルドの霧の分身体の多くがその範囲内に収まっていた。
 あわや一網打尽……だが、すでにリカルドはその対策を練っていた。
 大柄な分身体がそれより小柄な分身体を守る。霧の分身体による霧の分身体へのカバー。
 さらに砲撃の隙間を縫って霧の分身体がレイダー達に肉薄。インビジブルダガーで斬り付けていく。
 さらにその迎撃にレイダー達がバリアブルランチャーで砲撃すれば別の霧の分身体が庇い……その戦場にはサイクルが出来上がっていた。
「そして、これが仕上げっす」
 リカルドは、レイダー達の『背後』に手を振った。
 もしその行動を不審に思うような心理がレイダー達は後ろを振り向いただろうか。それは残念ながらわからなかった。
 振り向くような暇は無く、次の瞬間には数人のレイダーが飛んできた鎌によって身を刈られていた。
 驚愕したのかどうかも定かではないが、攻撃を免れたレイダー達は後ろに敵が居る事に気が付くと転身、そのまま後ろに振り向いた。
 ……レイダー達の装備のモード、【バリアブルランチャー・イージスモード】。
 とにかく敵に対し、連続で砲撃を加えるこのモードにはひとつの大きな弱点があった。
 それは『連続砲撃を途中でキャンセルできない事』だった。
 この迎撃モードは発動中で、それが後ろに振り向くと言う事は。
「急にターゲットを変えようものなら、フレンドリーファイアは免れないっすよね~」
 連続砲撃を止められないレイダー達が急速に方向を転換し、背後に現れた敵を撃とうとする。その中には当然、他のレイダーも居るわけで。
 無差別の砲撃が、そこらから飛んでくる。攻撃してくるのは敵なのか、それとも『同類』なのか。
 最早、レイダー達にはその判断すらつかなかった。
 要するに、リカルドは戦場の『掌握』を粗方成功させていた。
 そうなれば、あとは速い。
 レイダー達が『同類』を撃っている事に気が付いたとしても、しばらく砲撃はやめられない。
 格好の的になるのは明白だった。
「まあ大体終わったけどダメ押しっす!」
 その後も、リカルドと残った霧の分身体達は、持てる武器を持って隙を晒すレイダー達を屠り続けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

パラス・アテナ
略奪のために略奪する、ね
どこの世界にもいるもんだ
こういうどうしようもない
目的と手段を履き違えた連中が
アンタ達みたいな亡霊にこの世界を蹂躙させたりしないよ
「骸の海へお還り」

虚ろな瞳が輝く間攻撃回数が増えるんだろう?
なら輝かせなけりゃゃいい
技能クイックドロウで先手UC発動
命中重視で狙いは頭
まず目を潰す
鎧無視攻撃でヘルメットを貫通させて
2回攻撃、制圧射撃、一斉発射を併用して多くの敵を攻撃
攻撃回数を減らしていこうじゃないか

敵の攻撃は第六感で回避
食らったら激痛耐性と継戦能力でダメージを無視
立ち止まる訳にいかないんでね

何のために戦うのか
その軸を見失ったらおしまいなんだよ
もうアンタ達には届かないだろうけどね



●俯瞰
 前提として、アポカリプスヘルは食糧や資材などは潤沢とは言えない世界だ。
 現地の住人はその少ない物資を使ったり、物々交換に利用したりしてなんとか生きていけるようやりくりする。
 ただし、レイダーのようなオブリビオンにとっては『物資』とはそういうものではない。
 あればあるほど有利なのは、レイダーにとっても変わらない。
 しかし、何のためにあるのか、という理由に関してはまったくと言って良いほど異なる。
 曰く、略奪のための略奪。
 拠点を襲撃、奪った物資を食いつぶし、次の拠点へ。
 それは、物資は物資でも、さながら略奪のための『燃料』のような扱いだ。
 女性は拠点に向かう人の列……レイダー達を見下ろした。
 ――どこの世界にもいるもんだ。こういうどうしようもない、目的と手段を履き違えた連中が。
 その鋭い眼で見て、そして練り歩いてきた戦場を思い出す。
 望んだか否かに関わらず、あの手合いとやり合う事に慣れていた。
「アンタ達みたいな亡霊にこの世界を蹂躙させたりしないよ」
 今回も同じように対処する。
 黒い髪を揺らす女性、パラス・アテナ(都市防衛の死神・f10709)にとって、今回の戦いはそれだけだった。

●Theater of war
「……獲物」
 戦場に降り立ったパラスは、一組のレイダー達の前に立ちはだかっていた。
 何者にも興味を持たないレイダーでも、進む道を阻む者に対しては敵意を向けるものである。
 立ち止まったレイダー達は一瞬立ち止まり、若干の間を置いて対処を開始する。
 今回は目の前の敵、パラスに対して包囲する選択を取ったようである。
 レイダー達の装備、バリアブルランチャーにはいくつかモードがある。
 前情報によれば、そのひとつが急激に攻撃回数を増やす【バリアブルランチャー・バーストモード】というものだ。
「そう来たか」
 デメリットもあるという話だった。
 それが『増えた攻撃回数の内、一度は味方を攻撃しなければ寿命が縮む』というもの。
 しかしなるほど、仲間ごとパラスを撃てるこの『誤射上等』の布陣ならばデメリットはあって無いようなものだ。
 だが。
「させないよ」
 今にもバリアブルランチャーが火を噴くという所で、パラスはそれより先に銃を抜いた。
 両手に、それぞれ相棒である拳銃EK-I357N6『ニケ』、IGSーP221A5『アイギス』を持ち、一斉射撃を開始する。
 ファイアレートの限り連射を続けるパラス。一見、ただの制圧射撃のように見えるが、その実しっかりと狙いはつけている。
 その狙いは、レイダー達のヘルメット……即ち頭部。
 レイダーの【バリアブルランチャー・バーストモード】の発動にはもう一つ条件があった。
 それは発動している間は『レイダー自身の虚ろな瞳が輝いている』という点だ。
 逆に言えば瞳が輝かなければそれは発動しない。
「なら輝かせなけりゃいい」
 パラスの銃弾はレイダー達のヘルメットを貫通する。
 ある者はそのまま頭部を貫かれ、またある者は直撃こそしなかったものの割れたヘルメットの破片で眼を損傷した者も居た。
「え……もの……ッ!」
 パラスの銃撃を受け、それでも即死しなかったレイダーはそのまま反撃を開始。
 また、パラスの銃撃を免れたレイダーは【バリアブルランチャー・バーストモード】を発動し、負傷したレイダーごとパラスに照準を合わせた。
 しかし、負傷したレイダーの砲撃はほぼ当たる要素は無いし、バーストモードで狙ってくる砲撃は負傷したレイダー自体が遮蔽物となる。
 あとは勘だ。直感だ。第六感だ。
 射線が自身に向くのを感じ、すぐさまパラスは回避行動を取る。
 バーストモードを封じられた多くのレイダーはほとんど戦力にはならず、そして結局は誤射によって倒れていく。
 パラスの狙い通り、レイダー達のこちらへの攻撃回数は目に見えて減っていた。
 しかし、というか。人数と銃の数はこちらとあちらでは差がある。
 その中で、ひとつの被弾もしない立ち回りはパラスにとっても至難の業だった。
 やはり、たまにレイダーの砲撃が身体をかすめてしまう。
 それでも、パラスは怯まなかった。
「……立ち止まる訳にいかないんでね」
 レイダーの数は、まだ多い。こんなものは怪我の内に入らない。
 両手の銃のリロードを済ませ、再びパラスは制圧射撃を開始する。
 撃ち合いに撃ち合い。飛び交う銃撃、砲撃。激化する戦闘。
 その末に立っていた者は。

「何のために戦うのか……その軸を見失ったらおしまいなんだよ」
 立っていたのは、ひとりの女性……パラスだった。
「もうアンタ達には届かないだろうけどね」
 直撃こそ免れてはいるものの、白で統一された戦闘服は所々に傷ができ、血が滲む。
 しかし、大した事もなさげに、倒れたレイダーに語りかける。
 辛うじて動いているレイダーにそっと銃口を向ける。
「骸の海へお還り」
 銃声。頭部を貫く弾丸。動かなくなるレイダー。戦闘は終わったかのように見えた。
 それでも、まだそこら中にレイダーは居る。
 一息だけ吐いたパラスは、すぐさま別のレイダーを探しに戦場を駆けて行った。

成功 🔵​🔵​🔴​

英・明夜
暮らしを豊かにして欲しいのは勿論だし、農作業の苦労が
報わる、収穫の喜びを守りたいって思う。

敵がまだ農場に到着してないなら、
住んでる皆に避難を呼び掛けてから、農場の外で敵を待ち構えるね。
視力と第六感で、敵の方向が判ると良いな。

到着してたら、住民さんを庇ったり、励まして(コミュ力+鼓舞)逃がすのを優先。

どちらでの戦いでも、なるべく作物を荒らさないように気を付けるね。
敵の攻撃範囲が広そうだから、(早業で)霊符を投げたりなぎ払いをしたり、
攻撃される前に数を減らしたいな。
他の猟兵さんとの連携は積極的にするよ!

敵が大勢居るうちは、神桜爛漫で攻撃。
減って来たり咄嗟の時は、霊符投げと薙刀(なぎ払い)を使うね。


ユージィーン・ダイオード
〇心境
アポカリプスヘル…再びこの地に戻ってきた…。
相も変わらずの乾いた風の大地。

だが、僕のコンピューターがわずかだが緑と水の反応を捉えた。
素晴らしい。
ならそれを守るのが僕達の仕事だ。

〇戦闘
拠点を背に闘う。
攻撃の流れ弾が農場へ落ちては…本末転倒だ。

【視力】強化、目標…確認。殲滅に入る

――――武装展開。ヘビーアームド・ウェポナイズ起動
右手に零式直接支援火砲
左手にビームキャノンを装備。このまま目標を殲滅(ターミネイト)する
全弾【一斉発射】敵の全てを【爆撃】する。


〇その他
アドリブ及び他猟兵との連携はOK



●その歩みは牛歩の如く
 拠点の農場は、言うなれば『汗と涙の結晶』だ。
 彼らは、一度は無くしてしまった希望を取り戻し、平穏を願い、毎日の農作業に苦心しつつも充実感に汗を垂らす。
 しかし、罪なき彼らには敵が多い。
 命は儚い。特にここ、アポカリプスヘルでは。
 毎日どこかで誰かが戦い、そして何人散っているかわからない。
 この拠点の住人ももちろん例外ではなかった。
 オブリビオンは農場を狙うし、自然の砂嵐は大丈夫だとしても、暗黒の竜巻『オブリビオン・ストーム』などに見舞われればひとたまりもない。
 各地の復興が遅々として進まない所以である。
 守るのは大変だが、消えてしまうのは速い。希望が失われ、絶望してしまうのと同じように。

「――拠点の皆! 向こうからレイダーが来るよ!」
 それでも戦い続ける者は居る。
 なぜ自分達のために戦ってくれるのか。
 ――だって暮らしを豊かにして欲しいのは勿論だし、農作業の苦労が報われる、収穫の喜びを守りたいって思うから。
 問われたとしたら、その妖狐の少女、英・明夜(啓明・f03393)はこう答えるだろう。

●Return
 砂に、岩に、鉄錆、朽ちたコンクリート。相も変わらずの乾いた風の大地。
 文明の死骸がそこかしこに存在するこの地を、男は懐かしく感じていた。
 懐かしくもあり……変わっていないという、落胆もあり。
 かつてユージィーン・ダイオード(1000万Gの鉄面皮・f28841)という男はアポカリプスヘルで瀕死の重傷を負い、UDCアースという世界に運ばれた。
 そこでも近年UDC(アンディファインド・クリーチャー)の凶暴化が報告され、出現頻度も増していると言うが……それでもアポカリプスヘルと比べれば、まだ平和なものだ。
(アポカリプスヘル……再びこの地に戻ってきた……)
 サイボーグ化手術を受け、実に肉体の9割が機械になったユージィーンが、今回アポカリプスヘルに戻ってきたのは『この場所』の存在を知ったからだ。
 近辺まで赴き、データを解析すれば、見えてくるのは緑、水。……アポカリプスヘルにこんな農場があるなんて。
 素晴らしい、と思った。
(ならそれを守るのが僕達の仕事だ)
 拠点や農場を戦場にするわけにはいかない。
 ユージィーンは拠点と農場を背に、レイダー達の前に立ちはだかった。

「目標……確認」
 右手に歩兵用対地対空ミサイル『零式直接支援火砲』。
 左手に超兵器・ビームキャノン。
「――武装展開。ヘビーアームド・ウェポナイズ起動」
 武器を【重武装モード】に変形する。これで戦闘準備は整った。
 レイダー達も立ちはだかるユージィーンの存在に気付き、バリアブルランチャーを構えだしたが、それより先にレイダー達がユージィーンの有効射程に足を踏み入れていた。
「目標を殲滅(ターミネイト)する」
 強化された零式直接支援火砲とビームキャノンによる、実弾と光線が混ざる『爆撃』。
「え……も……の……」
 その爆撃範囲内にいるレイダーは、たちまち炎と光に呑まれていく。
 しかし。
(……想定していたよりレイダーの数が多い)
 ユージィーンは全弾撃ち尽くす勢いで撃ち続けているが、何人かのレイダーが爆撃を掻い潜り、ユージィーンに向かって来ている。
 距離を取りたいが、重武装モードになった関係でユージィーンは移動速度が落ちてしまっている。
 こうなると、せっかく伸ばした射程だが近い者から撃っていかざるを得ない。わざわざ攻撃回数を減らすのも避けたかった。
 そう思ったその時だった。
(……なんだ、あれは?)
 ユージィーンは『花びら』見た。
 こんなところに花……それもユージィーンが見たところ、あれは桜の花だ。
 アポカリプスヘルのこんなところになぜ。農場に木でもあるのか?
 疑問は尽きず……そのうち、花びらは風に吹かれるレイダー達に向かっていった。
「御神木の裔よ、霞の如く嵐の如く、桜花咲かせませ!」
 どこからか幼い少女の声がする。
 それと同時に、向かっていった桜の花びらはレイダー達を囲むように舞い、斬り刻んでいった。
 その様子にユージィーンは一瞬だけ周囲を警戒する。
 しかし、桜の花びらが攻撃したのはユージィーンが撃ち漏らして接近していたレイダーだし、このような攻撃をする敵についても今回は報告にはあがっていなかった。
 ユージィーンは攻撃の手を緩めないまま、花びらの攻撃の主を探してみた。
「……僕はユージィーン・ダイオードだ。今のは、そちらが?」
 ユージィーンは後方から接近してきた少女を、花びらと幼い声の主と断定し、回答を求めた。
「英・明夜だよ。助けに来たよ!」
 少女、明夜は自身の名を述べ、肯いた。
 拠点や農場内で住人に動きがある事は察知し、それを漠然と避難活動だと考えていたユージィーンだが、明夜という少女を見て誘導していた者の正体に合点が行った。
「支援に感謝する、英・明夜。……迅速な避難誘導にも」
「どういたしまして!」
 ユージィーンの謝辞を受け、明夜はやや照れくさい表情で返す。
 改めて、ユージィーンは戦況を確認する。
 先の明夜の花びら……【神桜爛漫】とユージィーンの爆撃のおかげで、敵の数はすでにだいぶ減っていた。
 この妖狐の少女が参戦した事で、人数的な余裕が生まれているのを感じたユージィーンは戦略を再検討する。
「英・明夜、提案がある。僕はこの状態だと射程はあるが機動力に乏しい」
「うんうん?」
 機動力の低下は【ヘビーアームド・ウェポナイズ】の唯一にして最大の欠点だ。
 ユージィーンの重武装モードは防御力が上がっているわけでもない。接近された場合は咄嗟に逃げられない為、倒される危険性が高くなる。
 それを解決してくれるのは、やはり仲間の存在だ。
「近くのレイダーに対処してくれれば、遠くの敵は引き受けよう」
「なるほど。了解だよ!」
 提案を承諾した明夜は元気に走り出す。提案したのはユージィーンだが、ここまで二つ返事で快諾されるとは思ってなかった。
「あまり離れすぎないようにな」
「大丈夫だよ! 任せといて!」
 見れば、先ほどの花びらが明夜の手元に集まっていくと、棒状の武器……薙刀を形成していた。
「それじゃあ行ってきます!」
 そう言うと、明夜は近くに居るレイダーから攻撃を開始した。
 素早く接近し、レイダーが反応するより先に霊符を投げる。
 呪力によって動きが封じられたレイダーを、間を空けずに薙刀でなぎ払う。
 一連の動作、特に霊符投げがかなり速い。ユージィーンの援護もあるが、レイダー達ではあの速さに対処するのは難しいだろう。
 霊符の意匠が妙にファンシーなのは気になったが、この働きに対する疑問としては些末な事だ。
「よし、この調子なら」
 明夜へのカバーは然程必要ないと判断したユージィーンは、自らも再び爆撃を開始した。
 再びの炎、光。今度はレイダー達も、新たに現れた妖狐の少女の存在に注意を向け始めており、先ほどよりも効率的にレイダー達を爆撃に呑みこんでいく。

 遠ければ爆撃。近づいたら霊符、薙刀。
 互いをカバーし合い、レイダーの数は順調に減少していった。
「……周辺の目標、概ね殲滅完了」
 ひとまずユージィーンは重武装モードを解除し、明夜へ歩み寄った。
「英・明夜。僕はこれから敵の居る別のポイントへ移動する」
「あ、別の場所で戦うの?」
 ユージィーンは肯く。
「ユーベルコードと霊符投げ、それに薙刀さばき、見事だった。協力に感謝する」
「こちらこそありがとう! またね!」
 元々コンビを組んでいるわけではないふたりは、一旦ここで分かれる事にした。
 戦う目的はしばらく同じだ。どこかで会えればまた頼もしい味方になる事だろう。
 手を振る明夜に釣られ、ユージィーンも手を振ってふたりは解散した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

囁石灯・銀刃郎
義理人情にそこまで命は掛けられないのだけれど、
偶に寄れる場所が増えると助かるのよね。

レイダーの前に立ちはだかり
早業、問答無用で撃ってくるであろう銃撃を蒼気を流した刀で打ち払いオーラ防御。

スナイパー、人工知能に運転させた武装バギーで発煙弾を撃ち、目潰し。
煙で見失った隙にダッシュ、第六感で感知し刀で串刺しにする。

てぇ訳だから、先に通すつもりはないよ。
【銀光一閃】間合いの内にいる敵をなぎ払う。

……聞いちゃいないか。



●Get set
 あの古いウォーマシンは『義理』があると言った。
 猟兵が与えた希望なのだから、その面倒を見るという義理が、あると言った。
 ……正直、それはどうなんだろうと思う。
(私は義理人情にそこまで命は掛けられない)
 デッドマンの女性、囁石灯・銀刃郎(ミュータントファントム・f24401)の考えは『否定』だった。
 そもそも『義理』とは、物事の正しい筋道や人として正しい在り方などを指す言葉だ。
 それを、このアポカリプスヘルに求めるのか。
 奪還者であった時期のある銀刃郎だからこそ、この世界の在り方は知っているつもりだった。
 不合理、不条理、理不尽。それがこの世界の常だ。
 発狂したアウトロー、危険なカルト信者、暴走する戦車。極め付けに『オブリビオン・ストーム』。
 この世界は『義理』を通すには窮屈なものが多すぎた。
 これら『不』が付く3つの前では、容易く押しつぶされてしまうから。
 ――けれど。
「――でも、偶に寄れる場所が増えると助かるのよね」
 そう。
 銀刃郎にとって、戦う理由などはこの程度で良かった。

●Phantom slash
「てぇ訳だから、先に通すつもりはないよ」
 銀刃郎は手にカタナを握り、顔はレイダー達を見据え、立ちはだかる。
 カタナはオーラを通しやすく打った特製品で、その刀身は銀刃郎の身体を通して出る蒼いオーラ……蒼気を纏わせる。
「獲物……獲物……」
「……聞いちゃいないか」
 話の通り、呻き声を出すだけで返事などは無い。
 しかし厄介な事にバリアブルランチャーを向けてくると言う事は、敵意は存在する。
 対応し、銀刃郎はカタナを構える。
 レイダー達の、メット越しに見える虚ろな瞳が光ったのを、銀刃郎は見た。
 モードのひとつ【バリアブルランチャー・バーストモード】。攻撃の回数を急激に増やすものだ。
 その砲撃のほとんどは当然、銀刃郎に向けられる。
 まずは一発。思い発砲音と共に砲弾が銀刃郎に迫る。
「……ふっ」
 息を吐くと同時に振り払ったカタナは纏う蒼気が砲弾の軌道をそらし、斜め後ろの地点に轟音と共に着弾した。
 銀刃郎はもちろん、拠点も農場も関係ない方向なので他の被害もゼロである。
「……来なよ」
「……獲物ォ……!」
 言葉を受けた……というのではないだろうが、その後も次々とレイダー達は銀刃郎に向けバリアブルランチャーを発射していく。
 振り下ろし、振り上げ、袈裟切り、逆袈裟。
 そのことごとくを、カタナとオーラで防いでいく。
(……そろそろ良いかな、いい加減きついし)
 いくらオーラで防いでいるとはいえ、バリアブルランチャーの砲撃をカタナで受け続けると身体が衝撃に疲労していく。
 ふい、と後方に停めておいた武装バギー・ジギーに目をやる。
(頼むよ)
 ジギーのAIはエンジンをかけると、搭載しているキャノン砲からレイダー達めがけて砲撃を開始。
 レイダー達には当たらなかったが……否、これがジギーのAIが考えた効果的な着弾地点だった。
 着弾地点からは大量の煙が噴き出す。他の着弾地点からも同様だ。
 ジギーがキャノン砲で撃ったのは発煙弾であった。
 その煙の量に、さしものレイダー達も視界を奪われ、動きを止めた。
 障害と認識していた者を見失ったからだろう。
「よし、狙い通り」
 レイダー達は複雑な思考が出来ない。消えた敵を探しはしても、居る位置を予測までは出来ない。
 もちろん煙で見えないのは銀刃郎も同じだが、そこは自身の感を頼りにする事にした。
 それに煙で一瞬なり動きが止まるなら、そこに狙うのは難しくない。
 レイダー達の位置にあたりを付け、真正面からダッシュで距離を詰め、銀刃郎はその勢いのまま刺突を繰り出した。
「……あッ……あぁ」
 結果、そこに見事串刺しになったレイダーが居た。
 目の前のレイダーからカタナを抜き、血を拭う。
「……ひゅぅぅ……」
 カタナを鞘に納め、息を吸う。
 ――今だ。
 鞘から、銀の光が閃いた。
 神速の抜刀術、【銀光一閃】。これなら範囲内のレイダー達を一太刀の内に斬り伏せられる。
 そのために、銀刃郎は発煙弾まで使ってレイダー達の目を潰したのだ。
 銀の光は煙を吹き飛ばし、その抜刀の速さにレイダー達は斬られてすぐに倒れず、遅れて倒れていく。
「周辺のレイダーはこれで終わり、と……遊んでる暇は無いの。悪いわね」
「えッ……もの……ッ」
 範囲内に居たのだから斬られている筈だが、そのレイダーはまだ立っていた。
 別に不屈の闘志だとか、負けん気などはレイダーには無い。ただ、斬られて動けなくなっている。ただそれだけだ。
「ああ、ごめんごめん」
 銀刃郎は残ったレイダーの肩に手を置く。
「……聞いちゃいないんだったね」
 そのまま、その肩を押す。レイダーはそのまま倒れ、動かなくなった。
 レイダー達も残りはわずかだ。
 カタナを拭い、鞘に納めると、銀刃郎はまた戦場を駆け抜けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

グルクトゥラ・ウォータンク
【アドリブ共闘歓迎】
ここがアポカリプスヘル、愛を取り戻したり取り戻さなかったり口笛が似合ったり似合わなかったりする大地…。
そんな世界に流された、わし。どんな世界でも戦争は尽きぬのう。

早速じゃが仕事に取り掛かるか。【拠点防御】は得意な方でな、手持ちの資材を吐き出して防壁を、ガジェットボールズを使って簡易塹壕を作り防衛線を構築。【援護射撃】【弾幕】用タレットを【メカニック】で設置して準備をするぞい。
ユーベルコードは攻性電脳妖精、数と速度で押し切って電気【属性攻撃】の【マヒ攻撃】で一網打尽じゃ。



●荒涼
 アポカリプスヘル。
 愛を取り戻したり取り戻さなかったり、口笛が似合ったり似合わなかったりする大地。
「いや、今まさに愛は失われそうになっとるかの」
 どんな世界でも戦争は尽きぬのう、と背後に広がる農園を見てひとつ溜め息。
 色黒の肌のドワーフのその男、グルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)もまた、今回の『仕事』に名乗りを上げた猟兵のひとりであった。
 怪人にUDCとか邪神とか。果てはドラゴンとも戦ってきたグルクトゥラ。
 猟兵として彼が歩んできた世界は、どれももれなくこういう敵に悩む者が居た。
 目を凝らせば、すでに進軍するレイダー達がその姿を現していた。
 アレか、今回のは。略奪のための略奪、拠点を蹂躙するだけの存在。
 なんだかんだと面倒見が良い事に定評のあるグルクトゥラは、すでにこの世界に親近感を抱いていた。
「さぁて、早速じゃが仕事に取り掛かるか」
 だから、このような『地獄』においても、グルクトゥラの『仕事』は変わらなかった。

●Gadget zone
「獲物……」
 その呟きは未だに止まず、跋扈する。
 動き出した猟兵達の働きかけにより、だいぶ数は減っているが、それでも予断を許さない状況だ。
 間もなく、進行してきたレイダーの数人が農場を射程に収めようというところだった。そんな時だった。
「獲物……え、も……の……」
 最前列を歩くレイダーの様子が変わる。
 踏み出した足はそのまま硬直し、身体は痙攣を起こしたように震える。
 基本的に標的にしか興味のないレイダー達も、やむを得ずこの現象を引き起こしている敵を探し始める。
「タレットを起動じゃ!」
 声が上がった直後、地面から円筒形の物体……タレットが『生えてきた』。
 その後、物体から銃身が伸び、レイダー達を銃撃し始めた。
 硬直していたレイダーから次々と銃弾が命中し、反撃の間もなく倒れていく。
「お前さん達を待っとったんじゃ。拠点防御は得意な方でな」
 ドワーフ・グルクトゥラもガジェットボールズを駆使して急ピッチで作り上げた塹壕から顔を出し、そこから前進。手持ちの資材で作った防壁に移る。
 身体が硬直する現象とタレットからの銃撃が現れたドワーフ・グルクトゥラの仕業と判断したレイダーは、バリアブルランチャーの砲身をグルクトゥラの隠れた防壁へ向ける。
「おっと……ガッツリ電圧上げとるからの、電撃で焼き鳥になりたくなければ降参した方がいいぞい」
 ――レイダー達に衝撃が襲う。
 身体の感覚は鈍くなり、痺れが走る。関節に関節が上手く動かず、足は固まる。
 何が起こっているかと言えば、現場ではグルクトゥラの【攻性電脳妖精多重召喚】により呼び出された無数の【攻性電脳妖精】が、限りなく視認できない速度でそこらを動き回っていた。
 その特性上、レイダー達が複雑な思考が出来たとしても、この場で何が起こっているか理解するのは難しいだろう。
 対策らしい対策も取れず、レイダー達はとにかくグルクトゥラを狙うほかない。
 バリアブルランチャーの砲撃で、防壁を破壊。そこを飛び出し、次の防壁へ移るグルクトゥラ。
 急ピッチで作った防衛線とはいえ、そのコンセプトはしっかりとしていた。
 グルクトゥラを狙うレイダーを素早い攻性電脳妖精による物量攻撃、それにより生じた硬直をタレットが取る。
「つまり一網打尽じゃ」
 駆けるグルクトゥラと攻性電脳妖精、そしてタレット。
 これらに正しく対処出来ないレイダーが全滅するのは、時間の問題だった。

「やっと一息吐けるわい」
 周囲にはすでに立っているレイダーは居なかった。
 唯一の懸念が、防壁が全て壊れるまでにレイダーを倒しきれるかどうかだったが、なんとか最後の防壁が壊れる前に周囲のレイダーを討伐する事に成功した。
 とはいえタレットの消耗も考慮すると、また直さない限りこの防衛線はもう使い物にならなかった。
「まあ、レイダーもこれで打ち止めじゃろう。一安心、一安心……む?」
 あとは適当に休憩でもしていようか。そう考えていた時だった。
「……獲物」
「獲物……」
 あの呟き声が、ひそかにまた聞こえて来ていた。
「……おいおい増援とは聞いとらんぞぉ!?」
 レイダー、まさかの増援。
 それを受けたグルクトゥラは、慌てて壊れた防壁の残骸をかき集め再利用を開始。
 タレットも修理し、急遽防衛線維持に奔走するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

高砂・オリフィス
【ファブル】で参加!
略奪のための略奪? えーと、つまり、延々と人のものを奪り続けるってこと? 
むかー! そういうの許せない! そういうやつをぶっ飛ばすのがぼくたちの使命! やるぞー!
こういう時こそ笑顔笑顔、声出してこ!

なんだか取り回しの難しそうな武器を使ってるね
射線を潜り抜けるようにしてスライディングとダッシュで接敵!
得意技のカポエイラ《かつて過ぎたる現在》で仕留めてくよ!

玲さんと連携して、急所狙いで数を減らしていこうかな! 無力化されて泡食ってる子から蹴飛ばす!
仲間と拳がつん! まだまだ準備運動だけどへばってないよね? いらぬ心配? そりゃそうか! あははっ!


雨音・玲
【ファブル・SPD】
おおぅ!?いつも以上に気合が入ってんじゃん?
微力ながら俺も手を貸すぜ!

略奪なぁ…
この世界の生き方としては間違って無いのかもしれない
だけど、みんなで手を取り合って前を向こうとしてるのに
略奪しか考えられないのは、マジ悲しい奴らだよ

なるほど
4つのウェポンアームからの敵味方関係なしの波状攻撃が売りって訳か
なら俺はオリフィスが動きやすいように、最強の囮になってやるよ
「静かな心炎」で攻撃を無効化しつつ距離を詰め、属性攻撃の炎の拳でぶん殴ります

無理難題な環境の方が燃える性質なんでな!!俺を倒したきゃもっと気合を入れな!

あぁ当たり前♪ダウンまではまだまだ早いぜ♪
コツンとお互いの拳を重ねます



●決意の共有
 会話の発端は男性で黒髪の方、雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)のある呟きだった。
「むかー! そういうの許せない!」
「おおぅ!?」
 それに対し、まさか隣の女性がここまでの反応を返してくるとは予想していなかった玲は、思わず身じろぐ。
「いつも以上に気合が入ってんじゃん?」
「だって略奪のための略奪だよ? それってつまり、延々と人のものを奪(と)り続けるってことでしょ?」
 やや鼻息を荒くして柔軟体操を入念に行っているのは女性で金髪の方、高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)だ。
「そういうやつをぶっ飛ばすのがぼくたちの使命!」
 普段から『カラス』と呼ばれる情報屋として活動する玲とその『お得意様』であるオリフィスだが、そんなある程度見知った仲である玲が見ても、今回のオリフィスの張り切り振りは普段以上の物だった。
 その口ぶりから察するに、今回のレイダーの襲撃と略奪に対して強い憤りあるものと思われる。……のだが、彼女は笑顔だ。ややチグハグな印象を受ける玲だが……。
「こういう時こそ笑顔笑顔、声出してこ!」
 悲観的でも楽観的でもなく、これが彼女の『やる気』なのだと、玲はすぐに理解した。
 それを示されたら、玲としては尊重しないわけにはいかない。
「いいね、微力ながら俺も手を貸すぜ!」
「よーし、やるぞー!」
 玲がオリフィスを肯定すると、彼女のやる気はさらに向上。
 ふたりはその勢いのまま、進行してくるレイダーに接触するべく動き出した。

●Fire fist & Good walker
「…………?」
 まず最初に、玲はレイダー達の前に立ちはだかる。
 猟兵は別にレイダーにとって標的ではないが、障害にはなり得る。目の前に突然現れれば尚のことである。
 レイダー達は一旦立ち止まり、その後順繰りに玲を取り囲もうと動き出す。
(なるほど、4つのウェポンアームからの敵味方関係なしの波状攻撃が売りって訳か)
 玲は知らないが、この陣形自体はすでにレイダー達が別の猟兵に対して使ったものと同じ者であった。
 レイダー達の使う技と照らし合わせ、陣形の意味を理解した玲は、目を閉じて構えを取ると……玲の身体は炎に包まれていく。
「……獲物」
 その動きには構わず、レイダー達は取り囲んだ状態からバリアブルランチャーを玲に向け、砲撃を開始した。
 その動きはたとえ射程内、射程上に同族が居ようがお構いなしで、とにかく障害である玲の始末を優先した攻撃だった。しかし。
「……これが修業の成果さ」
 自らを包んだ炎を振り払うと、傷一つ負っていない玲が姿を現した。
 玲の【静かな心炎】の効果で、玲自身の身体が炎に変化している間のレイダーの攻撃は全て無効化されていた。
「……?」
 驚いている、というよりは困惑している風で、レイダーの動きが一瞬止まった。
 これ幸いにと、玲はレイダーのひとりに接近。炎を込めたその手を握り締め、叩き込む。
「略奪な。この世界の生き方としては間違って無いのかもしれない」
 拳を叩き込まれたレイダーは腕の力と炎の火力を持って吹っ飛び、倒れている。
 意識ある限り襲いかかって来そうな者だが、とりあえずは倒れたままだ。
「だけど。みんなで手を取り合って前を向こうとしてるのに、略奪しか考えられないのは、マジ悲しい奴らだよ」
 再び拳を握り締め、玲は構えを取る。その構えに、油断はなかった。
「無理難題な環境の方が燃える性質なんでな!! 俺を倒したきゃもっと気合を入れな!」
 挑発に乗ってか乗らずか、レイダーの多くはその場で例に照準を合わせ始めた。
 排除するまで撃ち続ける。レイダーが持つ唯一の解決方法は至極暴力的だった。
「隙ありっ!」
 ここで、今まで様子を窺っていたオリフィスが参戦。
「……!?」
 突然現れたオリフィスに咄嗟にバリアブルランチャーを向けるレイダーだったが、そこは不意を突いているのもあってオリフィスの方が速い。
 腹部を狙って押し出すような前蹴り・ベンサォンで怯ませ、回転しながら後ろ足での蹴り払い・アルマーダ。
 トドメに、頭部を狙った上段蹴り・マルテーロ。
 オリフィスが持つ数ある技のひとつ、【かつて過ぎたる現在】のキックコンボである。
「もー、動きが硬いよっ?」
 一連の流れを全て受けたレイダーはダメージ、特に頭部受けた蹴りが効いているのかそのまま倒れて動かない。
 動かないレイダーを確認して、オリフィスはよしっとガッツポーズ。
「油断するなよ!」
 そのオリフィスの背中を守るように、炎に包まれた玲が立つ。
 どちらかを狙ったバリアブルランチャーの弾は、玲の炎に包まれ燃え尽きる。
「玲さん! まだまだ準備運動だけどへばってないよね?」
「あぁ当たり前♪ ダウンまではまだまだ早いぜ♪」
「そりゃそうか! あははっ!」
 お互い半身だけ振り向き、拳を打ちつけ合う。
 その後、再びレイダーへ駆けていく。
 玲が【静かな心炎】で注意を引きつけ、その間にオリフィスが射線をスライディングで避けつつ駆け抜けてレイダーに接近し、急所を狙った蹴りや【かつて過ぎたる現在】コンボで沈めていく。
 玲も防御のみに徹さず、オリフィスに注意が向きそうなタイミングで自身も炎の拳でレイダーを殴りつける。
 一度攻撃したら深追いせずにまた身を守れば良い。玲が殴った敵は、オリフィスがトドメを刺してくれる。

 オリフィスの速さと玲の火力を組み合わせた連携は、ロスト・テクノロジーで身をかためたレイダーを相手取ってもなお洗練されていた。
 一度に複数の敵を攻撃するような技などは使っていないふたりだが、それでもレイダー達が倒れていくペースは速い。
 気が付けば、ふたりは圧倒的な連携で戦場を掌握していた。
 ……その後、周辺にレイダーが居なくなり、ふたりが他にもレイダーが居ないか探しに行ってしまうのは、また別の話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
【Ahnenerbe】で参加

◆心情
さあ、初の連携です
共に愉しみましょう、スノウホワイトさん

◆行動
『暗キ獣』を使用
我が軍勢と共に、スノウホワイトさんの砲撃開始まで盾として前線を支えます
…勿論、斃せる分は斃してしまいますが

【罠使い】の技能を活かし「魔法で敵を識別する指向性散弾」を複数設置

私自身は【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
マヒの範囲攻撃で敵勢力の動きを止め、スノウホワイトさんのロックオンを援護

負傷は各種耐性と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復

私もスノウホワイトさんも、共に範囲攻撃を得意とする身です
仮に制圧砲撃を生き抜いたとしても、私と我が軍勢が喰い散らかすだけです


アイン・スノウホワイト
【Ahnenerbe】
アドリブ歓迎
【】は技能
POW

いきましょうか霧島様。
農園の雑草狩りの時間です

前衛は霧島様に任せて後衛を担当【集団戦術、情報収集】
NIX-06G二門を展開し広範囲に弾幕を張りながら【制圧射撃、範囲攻撃、援護射撃】霧島様に当たらなそうな距離にはNIX-15ML(F)NIX-08MLによるミサイルの爆撃攻撃を実施【範囲攻撃、爆撃、一斉発射】
また霧島様の様子を確認しながら要所で指定UCを使い敵を足止めさせて攻撃をしやすいようにする



●見下ろす者
 猟兵達の激しい抵抗により、すっかりその数を減らしたレイダー。
 それでも、彼らに後退の二文字はなく、飽くまでも前進、前進と限界まで突き進む。
 眼下に荒涼なる大地、農場へ向かう襲撃者の列。
 そしてまた、その進行を阻む猟兵が、ここにもふたり。
 ひとりは、後天的に神格位を得た『奇跡の人』にして『異端の神々』の一柱。
 白き神、霧島・絶奈(暗き獣・f20096)。
 もうひとりは死の運び屋にして希望の使者たる『武器屋』。
 赤い瞳のサイボーグ、アイン・スノウホワイト(世界を壊す者。世界を救う者。世界を売る者・f26034)。
「いきましょうか、霧島様」
「共に愉しみましょう、スノウホワイトさん」
 挨拶は一言ずつ。
 多くを語る必要を、そのふたりは持たなかった。

●Duet
「スノウホワイトさんと連携を取るのは初めてですね……」
 レイダーの進路上にある岩陰などを行き来しながら、絶奈は地面に手製の『罠』を仕込んでいく。
 今回、絶奈の役割は前線の維持。後方にはパワードスーツ『ALBA EX MACHINA』に身を包んだ相方、アインが居る。
 アインの援護ももちろんだが、どれだけ長く絶奈が前線を維持できるかは、絶奈の下準備も大いに影響するところだろう。
 これは、特に入念に行う必要がある。
「こんなところでしょう。……彼らも来ましたか」
 罠の設置を終え、丁度というタイミングでレイダーが姿をハッキリと視認できる距離までやって来た。
 前線を作るのは絶奈と罠。そしてあともうひとつ。
 最後にそれを加えれば完成だ。
「闇黒の太陽の仔、叡智と狡知を併せ持つ者。私を堕落させし内なる衝動にして私の本質。嗚呼……、此の身を焦がす憎悪でさえ『愛おしい』!」
 自身を異端の神々の似姿に変身させ、屍獣の群と槍衾を構えた屍者の軍勢で攻撃する絶奈の能力、【暗キ獣】。
 これならレイダーの数を、絶奈の作った軍勢で対抗する事ができる。
「……あら?」
 ところが、絶奈の軍勢を目の当たりにしたレイダー達は、少し手を変えて来た。
 その手には、どこかの拠点で奪って来たと思われる金品。それが粒のように細かくなり……そのうち無くなってしまう。
 その代わりに現れたのは、レイダーと全く同じ姿のオブリビオンであった。
「なるほど……略奪品はそのように使うのですね」
 興味深そうに絶奈はレイダー誕生の瞬間を眺めていた。
 しかし、レイダーの数が増えようとやる事自体に影響はなく。
「……勿論、斃せる分は斃してしまいますが……よろしくお願いしますね、スノウホワイトさん」
 絶奈は早速軍勢に指示を出していく。
 屍獣の群と屍者の軍勢、対するは襲撃と略奪の権化レイダー。
 少々禍々しい軍隊戦の始まりだった。

「始まりましたか……」
 絶奈が展開した前線より後方にて、アインは敵情を観察していた。
 すでに多くの猟兵達がレイダーを撃破して来た筈。確かに数は減っているが、それも思った程の量ではなかった。
 先の光景見るに、略奪品を代償に数を増やす…… 【レイダース・カムヒア】の能力を使っていたとすれば、合点はいくか。
 とはいえ、数は確実に減っている。あと一息だ。
「では、農園の雑草狩りの時間です」
 まずアインが用意したのは6門大型ガトリング砲『NIX-06G』。……これを二挺。
 これを使い、制圧射撃を開始。
「獲物……え、も……」
 たちまち蜂の巣となるレイダー。さらにアインは間髪入れず、すぐに次の援護射撃を開始。
 それが大型超電磁砲『NIX-20RG』に装填する超電磁砲用特殊弾【ハイデローゼ】を使った射撃だ。
 大型で槍の形を模した弾丸がレイダーに命中し……被弾箇所内部で無数の棘に変形する。
 身体に留まり、そして除けない弾丸は重く、そして被弾した者をより傷付ける。
 それこそ『死の運び屋』としては、面目躍如の働きだろう。
 それを見て絶奈自身も本格的に攻撃を開始する。
 まずは罠を作動。これの正体は魔法によって敵を識別する効果を付与した『指向性散弾』だ。
 本命というわけではないがその効果は十分で、レイダーの注意を存分に引いてくれていた。
「足を止めていただきます」
 さらに、絶奈は広範囲にマヒ効果のある衝撃波を放ち、レイダー達に攻撃。
「え、も……の……」
 足は固まり、手も上手く動かないのだろう。ふるふると震えているのが見える。
「……あの距離なら、霧島様は大丈夫かしら」
 レイダーと絶奈の距離が開いているのを確認し、アインはもうひとつ……いやふたつ、兵器を用意する。
 まずは周囲に展開するタイプの非固定型大型ミサイルランチャー『NIX-15ML(F)』。
 そして、もうひとつはアインの強化外骨格に搭載されているミサイル『NIX-08ML』。
 いくら注意していると言っても、絶奈が爆撃の範囲内に居る状態では誤射は避けられない。
 当然これが撃てれば手っ取り早いが、おいそれと発射する事もできない代物だ。
 しかし今見たところ、絶奈は上手くレイダーの足止めに成功しており、しっかり距離を取れている事がアインの目からも確認ができた。
 となれば、もはや遠慮は要るまい。
「―― こちらの商品は如何でしょうか?」
 一礼し、アインは持っているミサイルを一斉に発射した。
 絶奈が前線を維持した甲斐があり、ほとんどのレイダーは絶奈に罠や衝撃波によって足を止められていた。
 ミサイルの爆撃は瞬く間にレイダー達を飲み込んで行き……。
 やがて、そこに立つ者は、ひとりとして居なくなってしまった。

「霧島様っ」
「お疲れ様でした、スノウホワイトさん」
 粗方レイダーの掃討が済み、絶奈とアインは合流を果たしていた。
「お怪我はありませんか?」
「大した怪我はありません。スノウホワイトさんの援護のおかげです」
 絶奈は無かった、とは言わなかった。確認のため訊いてきてはいるが、おそらく後ろから見ていればわかるだろうと思い、絶奈は正直に話すことにした。
 しかし、傍から見ても服が少し傷付いた程度で目立った外傷も無い。
 レイダーからの攻撃もオーラによる防御で間に合うレベルだったし、なんなら生命力吸収攻撃だって捗った。
 それを見て、アインは笑顔を浮かべる。
「大事無いようで何よりです。これでレイダーは全滅でしょうか?」
「あの爆撃です。生き残っていたとしても虫の息でしょう」
 そう言い、絶奈は足元に落ちていた軍勢の槍を拾い……顔も向けずにそのまま倒れていたレイダーに突き刺した。
「それに、生き残っていたとしても、私と我が軍勢が喰い散らかすだけです」
 倒れていたレイダーだが、絶奈の目には彼が密かに動いていたのが見えていた。
 不意打ちをするような思考能力があるかは不明だが、絶奈はトドメを刺すべきと判断した。
 レイダーが息を引き取ったのを確認し、絶奈は改めてアインに向き直る。
「……これで本当に最後のようですね」
「それでは?」
「ええ、出てくるでしょう。……真打、というものが」
 絶奈とアインは同時に、レイダーが歩いてきた道に視線を向ける。
 レイダーは全滅した。
 ならば、あの向こうには……その『真打』がいるはずなのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『サイバーレイダー』

POW   :    パワーアシストアーマー
予め【パワーアシスト機能に充電しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    奪い尽くす者達
レベル×1体の、【タトゥーで額】に1と刻印された戦闘用【機械化レイダー軍団】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    レイダーズシャウト
【略奪を宣言する叫び声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●孤独な指揮者
「……全滅したか」
 猟兵達とレイダーの戦いを遠目で眺める男が居た。
「せっかく増えてきた駒だったが……仕方ない。襲撃する拠点を間違えた俺の落ち度か」
 レイダーが全滅したと言っても、男が悲しむ事は無い。
 何故なら、彼らは男にとってはただの手駒でしかないから。
「とはいえ、せっかく増やした手駒を全滅させられただけでは大損もいいところか」
 男は立ち上がる。
「それでも帳尻が合うかどうかだが……決めた」

「農場だけではない。あの拠点の『全て』を奪おう」

 アーマーによって隠れた素顔は嗤っていたのか、それとも『無』だったのか。
 それは本人にしか、知り得ない。
グルクトゥラ・ウォータンク
【アドリブ共闘歓迎】
貫禄の重役出勤じゃなMr.ハンマーマン。しかしいかんのう、戦力投入の遅さ、損切り判断の誤り、どちらも戦争屋としちゃ落第点じゃよ。

とはいえ仲間を増やして襲ってこられると面倒なのでな、まだ余裕こいてる間に倒させてもらおうか。真っ正面から殴り合いじゃ。
ユーベルコードを発動し飯を食いながら接敵、【武器改造】で装甲強化したガジェットアームで上手く【盾受け】し受け流しつつ【時間稼ぎ】。
そしてこちらに注意を引き付けたなら隙を見てガジェットボールズ【スナイパー】仕様に狙撃させ、電脳妖精に【マヒ攻撃】させながら一気にかたをつける!
正面から殴り合いとは言ったが正面以外から殴らぬとは言っとらん。


ユージィーン・ダイオード

【偵察】に出ていたスカウトボールが新たな敵影を確認。
迎撃にはいる。
この農場を…オブビリオンに奪わせるわけには…いかない。



欺瞞装置(【目立たない】【迷彩】)起動
姿を隠した状態で敵を迎え撃つ。
―武装展開(オープン・コンバット)
アサルトライフと零式直接支援火砲を装備選択(セレクト)。
【視力】強化…敵を確認...ヘッドショット

HITを確認。
追撃を開始する。
アサルトライフルと零式直接支援火砲の【一斉発射】で【弾幕】を展開。
レイダー軍団の接近を防ぎつつ、【制圧射撃】で本体を迎撃する。
欲にかられ、損切できなかった貴様の判断ミスだ。
―殲滅(ターミネイト)する。


英・明夜
やっとお出ましだね。
この戦いに勝っても、一時の平和を作るだけかも知れないけど。
それでも、涙は少ない方が良いに決まってるよね。

敵は1人だから、猟兵たち皆で厚い壁になれるのが嬉しいな。
明夜は、大打撃を与えるのを狙ってる仲間の為に、隙を作る
お手伝いが出来たら嬉しいな。
勿論、明夜が自分でそんな好機を掴めたら、遠慮はしないけど!

ダッシュと見切り、第六感で、後ろへ回り込んだり、攻撃を避けたり。
なぎなたを使って、近付きすぎない距離から突いたり、仲間に
当たらないように出来るなら、ブンっとなぎ払い。

どうしても避けられない!って時と、なかなか近付けないとか、
離れてる時に敵が隙を見せる好機が在れば、巫覡載霊の舞を。



●Scout
 サイボーグの男性、ユージィーン・ダイオード(1000万Gの鉄面皮・f28841)が『報せ』を受けたのは、戦闘が始まる数分前の事だった。
 先のレイダー達を撃退した後、ユージィーンは有利な『位置』を求めて戦場をひた走っていた。
 ユージィーンの持つ装備のほとんどは射撃武装。正面切って戦うにしても不意を狙うにしても、特にそのポジションは非常に重要だ。
 粗方近辺の潜伏場所に目星を付けたユージィーン。
 その頃に、装備のひとつである偵察用ドローン『スカウトボール』が、新たな敵影を捉えていた。
「……確認。敵がそこなら……あそこだな」
 地図を取り出し、スカウトボールが捉えた敵の位置と、自身が潜伏するべき地点をマルやバツで印を付けていく。
「欺瞞装置、起動」
 腰を落とし、さらに『欺瞞装置』を使って潜伏の効果を高めていく。
 全ては、ユージィーンの攻撃を確実なものとするため。
「この農場を……オブビリオンに奪わせるわけには……いかない」
 敵は目前に居らずとも、すでに『戦い』は始まっていた。

●会敵
「貫禄の重役出勤じゃなMr.ハンマーマン」
 持っている得物を指して、指揮者の男をそう呼ぶ声がある。
 指揮者の男、サイバーレイダーも声の方へ振り向く。
 視線の先に、骨付き肉を頬張るドワーフ、グルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)の姿があった。
「しかしいかんのう。戦力投入の遅さ、損切り判断の誤り、どちらも戦争屋としちゃ落第点じゃよ」
「……は」
 グルクトゥラの指摘に、サイバーレイダーは短く笑った。……ように聞こえた。
「ん? お前さん、今笑ったか?」
 食い破った肉をボトルの酒で流し込み、とりあえずその意図を尋ねてみる。
「まず……先のレイダー達は奪った品を与えれば勝手に増えるから『飼っていた』だけだ。戦力に期待はしていない」
「ほー」
 まあ、確かにあまり言うことは聞かなそうではある。
「次に『損をするかどうかはまだ決まっていない』」
 その発言は猟兵や拠点の防衛機能を侮ってか、それとも自身の武力に自信があってのものか。
 しかし当のグルクトゥラも負けてやる気は毛頭ないし、ここで逃した場合は仲間を増やして再び襲いに来る事も考えられる。
「最後に……『今日は肉の日ではない』」
「……わしの中じゃ肉の日だったんじゃ」
 事もあろうに飯にケチを付けてきたサイバーレイダーに、それまで話半分に聞いていたグルクトゥラは驚きを持って向き直った。

 ばちばち、音を立ててサイバーレイダーの装甲がスパークする。
 予め充電しておく事で戦闘力を増大させる、サイバーレイダーの【パワーアシストアーマー】の機能だ。
 しかしその見た目ゆえ、この状態の攻撃は避けられやすい部類となる。
(まだ余裕こいてる間に倒させてもらおうか)
 これに対し、グルクトゥラも【呑海喰地の大宴会】による自己強化で真正面からぶつかり合う事を選択。
 接敵する前に肉も酒もしこたま入れてきたおかげで強化は十分。あとは殴り合いだ。
(……なぁんて、の)
 実際には戦いの『決め手』は別の場所だ。それをごまかすため、あえてグルクトゥラは前に出る事にした。
 少々根気の要る戦いだが、勝算は確かにある。ひとりでも……。
「あーっ、見つけた!」
「えぇ?」
 ひとりでも十分だ。グルクトゥラがそう思ったところだった。
 突如少女のものと思しき大声を聞き、視線を向ければそこには想像した通りの姿をした少女……妖狐が、サイバーレイダーを指差していた。
 サイバーレイダーもやや顔を傾け、声の主を確認している。
「邪魔だな」
「おっとそうはいかん」
 サイバーレイダーの標的が自身から妖狐の少女に移った事を感じ取れたおかげで、グルクトゥラはサイバーレイダーが走り出す前に回り込み、少女との間に割って入る事ができた。
 振り下ろされたハンマーの衝撃を、グルクトゥラは右腕の義手、『万能義腕ガジェットアーム』の強化した装甲で受け止める。
 それを見た当人の少女、英・明夜(啓明・f03393)もなぎなたを持ち、サイバーレイダーの攻撃の後隙に目掛けて振り払う。
 その一撃はアーマーに阻まれたものの、相応の衝撃を受けたサイバーレイダーは飛び退いて距離を取った。
 最低限、顔合わせできる時間はできたと言っていいだろう。
 グルクトゥラは前に出つつ、顔だけ明夜の方へ向けた。
「お嬢ちゃん、名は?」
「あ、えっと。明夜!」
「そうかそうか、わしの事はグルクと呼んどくれ」
 親指をぐっと立て、笑ってみせる。余裕ある表情に、明夜も思わず笑い返す。
 やって来たばかりで状況が読み込み切れていない明夜に、それを察してグルクトゥラは再びサイバーレイダーを見据える。
「奴さんは見ての通り、すでに自己強化済みじゃ。わしの装甲なら受けられるが、明夜ちゃんは無理するな?」
「了解!」
 明夜の快活な返事にやや不安を覚えたグルクトゥラだが、能力はすでにサイバーレイダーに対する反撃でその一端を目にしている。
 その身のこなしは接近戦を仕掛けるグルクトゥラと連携を取るのに好都合だ。
 サイバーレイダーはすでに体勢を整えていたが、猟兵がふたりに増えたからか安易には踏み込んでこない。
「さすがにお前さんも旗色が悪いと感じておるんじゃろうな。しかし逃さんよ」
「は……お見通し、か? 気にいらないな……」
 不快感に身体を揺らすサイバーレイダーに、明夜はすぐさま接近。
 なぎなたとハンマーがぶつかり合う。
「ガキが、戦場に何の用だ?」
 何度かの接触、互いの得物はぶつかり合い、拮抗する。
 サイバーレイダーはその中、明夜には同時に言葉を投げ掛ける。
「娯楽も嗜好品も、ここには無い。ガキが欲しがる物など、ここには無い。大人しく、おうちに帰ったらどうだ」
「おい、そういうお前さんは大人げないぞ!」
 そこに割って入るグルクトゥラ。
 ハンマーをガジェットアームの装甲で受け流し、反撃のアッパーカットでサイバーレイダーと明夜の距離を引き離す。
「クッ……」
 アッパーカット自体はサイバーレイダーのハンマーによる防御と着込んでいるアーマーのせいで決定打にはなっていなかった。
 しかしこの時、一瞬だけサイバーレイダーの恨めしげな視線が自身に向かっている事を、グルクトゥラは感じていた。
「ありがとな明夜ちゃん。作戦成功じゃ」
「え?」
 直後。明夜の頭上に浮かんだ疑問符は、突如鳴り響いた銃声に吹き飛ばされた。
「がはッ……」
 アーマーの頭部と肩口が破損し、破片を撒き散らす。
 さらに、そこを追って制圧射撃まで飛んでくる。
 一撃でアーマーを破壊された肩口部分の衝撃は甚大のようで、サイバーレイダーは肩を押さえて片膝をつく。
「す……すごい! これがグルクの作戦?」
 期待と尊敬の眼差しをグルクトゥラに向ける明夜。
 明夜とサイバーレイダーの距離に気を使っていたのも、必要以上に攻め込まなかったのも、ひとえにこの『ガジェットボールズ』の狙撃を成功させるためだった。
 万が一にも自身や味方を巻き込まないよう、重要なのは『距離』だった。
 この思惑が通ったのだから、さぞ自信に溢れた返しをしてくれるだろう。明夜はそう思っていた。
「んん……?」
 しかし、明夜が見たのは腕を組んで首を傾げ、怪訝な表情のドワーフ・男の顔であった。
「え、どうしたの?」
 思っていた表情と違うものを見た明夜は、グルクトゥラよりさらに困惑している。
「……最初の狙撃は確かにわしのガジェットボールズのなんじゃがな……?」
 それを聞き、明夜は辺りを見渡す。
 銃器にはあまり詳しくない明夜だが、制圧射撃の銃声は何となく最初のガジェットボールズより近い位置から聞こえた気がした。
 そうして見ると……かなり目立たない位置取りながら、明夜にとっては見覚えのある人影がそこにあった。
「【ヘッドショット】実行、HITを確認。追撃を開始する……武装展開(オープン・コンバット)」
 その人影、ユージィーン・ダイオードは手に持っていたアサルトライフルを一旦下ろし、今度は『零式直接支援火砲』を構える。
「……英・明夜とドワーフの猟兵へ。標的から追加でもう10mほど離れる事を推奨する」
 次の瞬間、放たれたミサイルは瞬く間にサイバーレイダーを爆炎、爆煙の中に包み込んだ。
「これ、さっきの……ユージィーンって人の大砲攻撃!」
「何じゃ、知り合いか? 派手にやるのう」
 ユージィーンの警告で咄嗟に距離を取ったグルクトゥラと明夜は、爆破距離から逃れたところで振り向くと眼前には炎と煙が立ち昇っていた。
「……おっと、逃さんぞ」
 煙の中でサイバーレイダーの動きを感じ取ったグルクトゥラは、すぐに『電脳妖精』を煙の中へ飛ばした。

「……やってくれたな」
 爆撃の炎の持続時間は少ないが、煙はその限りではない。
 それでも、サイバーレイダーは煙の向こうに爆撃を行った張本人を見出した。
「策を誤ったな。欲にかられ、損切できなかった貴様の判断ミスだ」
「……またそれか」
 飽きた、と言わんばかりにため息を吐いてしまう。
 先ほどのドワーフの男に言われた事と奇しくもほぼ同じ事だ。
 猟兵がここまで集まってくるとは、確かに見積もりは甘かったか。
 いきなり飛んできた『半透明の妖精のようなもの』に足を攻撃され、サイバーレイダーは満足に動けない。
 煙もじきに収まってしまうが、どう立ち回るのがいいか。そう考えていた。
 その時、ドワーフやサイボーグの男と居たもうひとり。妖狐の少女が眼前に現れた。
「さっき、何で居るのかって聞いたよね」
 サイバーレイダーは、返事をせずにハンマーを振り下ろす。
 それは、驚くほど手応えのない感触だった。肉がほぐれる軟らかさも、骨の砕ける感触もない。
「もちろん、戦いに来たよ。確かにこの戦いに勝っても、一時の平和を作るだけかも知れないけど……」
 そして、気がつけば少女は背後にいた。
「それでも、涙は少ない方が良いに決まってるよね」
 困難や悲劇と戦う事で、流れてしまう血や涙を少しでも減らしたい。
 サイバーレイダーにとっては、その少女の願いはアポカリプスヘルにおいてはあまりにも儚く健気なものに映った。
 そんなものは実現できるはずがないと、そう思った。
 ただ状況的には不利で、それを言ったところで状況は覆らない。
「……お優しい事だな」
 サイバーレイダーがあえて言えたのは、それだけだった。
 少女、明夜はなぎなたを振りかぶり……【巫覡載霊の舞】。
 衝撃波を放つなぎなたの斬撃でアーマーのダメージは加速した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

パラス・アテナ
連携アドリブ歓迎

さてと
わかりやすいのが来たね
こんな脊髄反射で生きてるような奴に、拠点をやらせやしないよ

まずは牽制しながら「情報収集、世界知識」で奴を観察
レイダーのパワーアシスト機能とやらがどこにあるのかを見極める
見極めたら「クイックドロウ、先制攻撃、鎧無視攻撃」で破壊
UCを使わせないよ
敵の攻撃は「第六感、見切り」で回避
食らったら「激痛耐性、継戦能力」で戦闘続行
UCを封じたら攻勢に転じるよ
「体勢を崩す、部位破壊」で足を狙って攻撃
体勢を崩したら指定UC

無慈悲な暴力を振るうだけのアンタにやるものは、麦粒一つありゃしないよ
骸の海へお還り



●Chase
「わかりやすいのが来たね」
 敵の指揮者であるサイバーレイダーとの戦いが始まったという報せは、拠点周辺でレイダーと戦っていた猟兵を中心に触れられていた。
 最初にサイバーレイダーとあたった猟兵達の攻撃は、サイバーレイダーに少なくないダメージを与えたらしかった。
「……さすがに、休ませてはもらえないか」
「当たり前だろう?」
 アーマーを修復していたサイバーレイダーに、愛銃を構えて。
「アンタのような脊髄反射で生きてるような奴に、拠点をやらせやしないよ」
 銃口と共にその女性、パラス・アテナ(都市防衛の死神・f10709)の細い眼はサイバーレイダーを睨み付けていた。

「その装甲の壊れっぷり、ずいぶんイジメられたようだね」
「……踏んだり蹴ったりだよ。今もこんな物騒な婆さんとやり合ってる」
「ふん、思ったより口が達者だね」
 愛銃、EK-I357N6『ニケ』で距離を取りつつ牽制で発砲していくパラス。
 サイバーレイダーには上手く防御されているが、それは特に問題ではない。
(あのアーマーのパワーアシスト機能……『装置』はどこだ?)
 パラスが睨んでいたのはサイバーレイダーの着込んでいる【パワーアシストアーマー】だ。
 パワーアシスト機能を搭載しているようだが当然、その装置はあのアーマーのどこかにあるはず。
「何を見ている」
 サイバーレイダーがハンマーを振り上げる。
 幸い、サイバーレイダー自身の動作は比較的わかりやすく、攻撃を回避する事自体は難しくない。
 パラスは横に転がり、垂直に下されるハンマーを回避する。
 砕かれた地面の砂や石が、バラバラに飛び散る。
「……迷惑なやつだねぇ」
 最低限、飛び散る石の破片が、眼球などを傷付けないように身を守り、そのままサッと距離を取り直す。
 石の破片も去る事ながら、パワーアシストを受けたハンマーの衝撃もかなりのもので、存在そのものがプレッシャーを放つ。
「……消耗戦がお望みか? 貴様はやめておいた方がいいと思うが」
「何でそれ言ったかは聞かないでおいてやるよ」
 再び愛銃を数発撃ち込む。
 この牽制はサイバーレイダーに対しても有効だ。銃弾自体は装甲が弾いているが、その衝撃はある程度生身にも響く。
 それを嫌がり、サイバーレイダーはハンマーでも銃弾を防いでいる。その分、進行も遅れる。
 つまり、牽制は十分に効いている。であれば、装備を観察する時間も十分だ。
「……なるほど、あそこか」
 そう言っている間にも、ハンマーは迫ってくる。
 しかし、今度のパラスの行動は『回避』ではない。
「何……?」
 ハンマーが当たらない位置に下がりつつ、愛銃を抜き撃ち……サイバーレイダーの胸を貫いた。
「これでしばらく装置は動かないね」
 アーマーがパワーダウンを起こしたサイバーレイダーは、明らかに動きが悪くなっている。それによりかなり狙いも付けやすい。
 6発、発砲。3発は胴体以上へ、もう3発は足元に。
 足を被弾したサイバーレイダーは膝をつき、動きを停止する。
「くッ……」
「無慈悲な暴力を振るうだけのアンタにやるものは、麦粒一つありゃしないよ」
 動けないサイバーレイダーに、パラスは愛銃を向けたまま油断なく歩み寄る。
 照準はサイバーレイダーの『頭部』に向け、そのまま動かさない。
「骸の海へお還り」
 軽口を言わせる暇も与えず。その【一発の弾丸】は、正確にサイバーレイダーの頭を撃ち抜いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

高砂・オリフィス
【ファブル】で参加!
あなたが親玉だねっ! さあ覚悟してもらおうか! 燃えるぼくの肉体技、受けてもらうよーっ!
軽快なリズムで仲間を鼓舞! しつつ大胆な空中戦で躍りかかる!
その見るからにごっついパワー系、撹乱して目回しちゃえばいいんだ! あははっ!

止めは玲さんに任せて、動きを止めることに専念するよっ。ダメージ上等、どんとこい!
何かそぶりを見せたら、ぼくも声を出して威圧して相殺する!
せっかくだしハデハデでかっこいー技みたいなっ! よろしくよろしくーっ!

そのがっしりした手、別の何かにきっと使えると思うのに、もったいないなぁ!


雨音・玲
【ファブル・POW】
ほんとゴテゴテで重そうなアーマーだな?見るからにパワー自慢ね
まぁ相性最悪だろコレ?
スピードタイプの俺らを捉えるのは骨だろうさ
軽快にステップを踏みながら入れ替わり立ち代わりで踊るような
空中戦を交えて立ち回ります

せっかく隙を作ってくれるんだ、派手な技を御見舞いしてやるよ!!
動きを見切り、一足で懐に潜り込み
属性攻撃で業火を宿した拳を突き入れ『龍殺の炎拳』を叩き込みます
貫き喰らえ!!俺の拳!!
ごっついパワーアシストアーマーが鋼の棺桶に早変わりだぜ!!

せっかくの力をさ…
正しい使い方をしてりゃ世の中の役に立ってただろうに
勿体ねーな…

と愚痴りながら崩れ落ちる姿を見つめます



●Cross raid
「あなたが親玉だねっ! さあ覚悟してもらおうか!」
 と言い、サイバーレイダーの背後から声をかける2人組が居る。
「なんか思ったよりボロいけど……ほんとゴテゴテで重そうなアーマーだな?」
 強襲をかけるものの、的確に迎撃されてしまい……サイバーレイダーのアーマーには、もはや応急処置では隠しきれないほどにダメージが蓄積していた。
 それでもその堅牢さは健在であり、有効打を与えるのも容易ではない。
 しかし、その2人組は一切怯まない。
「見るからにパワー自慢ね……まぁ相性最悪だろコレ?」
 黒髪の男性の方、雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)。
「燃えるぼくの肉体技、受けてもらうよーっ!」
 金髪の女性の方、高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)。
 ふたり一緒に、サイバーレイダーに対して拳を突き出した。
「……今度の連中は、騒がしいな……?」
 ため息を吐き、サイバーレイダーは脱いで修復していたメットをかぶり直した。

 玲の『レッドショット』と『レガリアスシューズ』を用いた格闘、それに合わせるようなオリフィスのカポエイラ主体の蹴り技。
 端的に言えば、ふたりの技と戦術はサイバーレイダーにとっては厄介そのものであった。
「そのがっしりした手、別の何かにきっと使えると思うのに」
「……女でもエスコートしろって言うのか? ……笑えないな」
「あはは、もったいないなぁ!」
 軽口の応酬の中、オリフィスにハンマーを振り下ろそうとすると、空いている横から玲がジャブを見舞ってくる。
「悪いね、スピードタイプの俺らを捉えるのは骨だろうさ?」
「当たれば終わるさ」
「なら当ててみな!」
 玲のパンチコンボを防御し、反撃を加えようとすると、今度は『上』から降りてきたオリフィスがその隙に蹴りを叩き込む。
 それらは【パワーアシストアーマー】を持ってしても対処が難しい。
 オリフィスと玲のふたりの肉体が鍛え上げられているだけでなく、その舞うような『連携』がサイバーレイダーを追い詰めている大きな要素であった。
 となれば、やはりサイバーレイダーはこの『連携』を崩したかった。
「……かかれ」
 突如、サイバーレイダーの周囲に、先程のレイダーが機械化したような出で立ちの敵が、大勢出現した。
 これは先の戦いでたくさん居たレイダー達とは関係ない、サイバーレイダー自身の【奪い尽くす者達】の効果で出現した者達だ。
「うわ、やっべ……どうしよう?」
 さすがに、あれらに一斉に攻撃されると、オリフィスと玲の連携は破綻する。
 作戦の練り直しの必要性を感じ、玲はオリフィスに視線を向ける。
「大丈夫、任せといて! 止めはお願いね!」
 人懐っこい笑顔を浮かべ、親指をぐっと立てるオリフィス。軽いノリだが、不思議と不安はなかった。
「マジ? 何とかなっちゃう?」
「せっかくだしハデハデでかっこいー技みたいなっ! よろしくよろしくーっ!」
「や、やってやらー!」
 先行するオリフィスに追従するように、玲は拳を打ち鳴らして駆け抜ける。
 前蹴り『ベンサォン』や足を引っ掛ける組技『ハステイラ』。相手の体制を崩す頭突き『カベサーダ』に顎を目掛けた蹴り『ケイシャーダ』。
 機械化レイダー達は次々とオリフィスのカポエイラの前に倒れていく。
「ぼくの動きについて来て!」
 その呼びかけに応じ、玲は機械化レイダー達の間を縫うように駆け抜けていく。
 そして……。
「全部アドリブだけどね☆ ……――――――!!!」
 オリフィスの口、いや喉から飛び出したのは、【やがて来たる過去】により巨大化した気迫の声。
 そのオリフィスのシャウトに、機械化レイダーのほとんどがかき消されていく。
「……おっかねー……」
 合図に合わせてシャウト対策を取っていたため、玲の鼓膜にダメージは無いものの、その状況には笑いも渇く。
 しかし、これはチャンスだ。
 機械化レイダーが召喚されてから時間はそこまで経っていない。ならば、サイバーレイダーはまだ次の行動に移る準備は整っていないだろう。
 玲は踏み込み、駆け抜ける。
「くッ……!?」
 そこには、想定通りに隙を晒したサイバーレイダーの姿があった。
「せっかく隙を作ってくれたんだ、リクエスト通り派手な技を御見舞いしてやるよ!!」
 サイバーレイダーは咄嗟にハンマーを横なぎに振るう。
 しかし玲の踏み込みは深く、ハンマーは玲の頭上を通過する。
 その一足で、玲はサイバーレイダーの懐に到達する。
「ごっついパワーアシストアーマーが鋼の棺桶に早変わりだぜ!! 貫き喰らえ!! 俺の拳!!」
 出火し『業炎』を纏う拳。装甲すら意味を為さない【龍殺の炎拳】。
 それらを吹き出し、玲の拳は真っ直ぐにサイバーレイダーの懐に沈み込んだ。
「ぐ……が、あぁ……ッ!!」
 拳の衝撃は『全ての防御、耐性を無効化し貫通する』。
 そして、この拳を受けた者は体内を『業火の炎杭』で焼かれ続ける。
 玲は、苦悶の声を上げるサイバーレイダーを見下ろす。
「……せっかくの力をさ。正しい使い方をしてりゃ世の中の役に立ってただろうに」
 膝をつき、苦しむサイバーレイダーの前に、玲はポツリ、ポツリと呟いていく。
 力を持つ者は、決して多くはない。だからこそ、玲はその力の使い方については、ずっと考えてきた。
 レイダー。その力を使い、各拠点を襲撃し略奪を行う者達。
「……オリフィスが言ったのとは違うけどよ。……ほんと、勿体ねーな……」
 その力の使い方を、認めるわけにはいかない。
 目の前の、ましてや苦しみ悶えている男にその言葉が届かずとも。
 戒めのように、玲は言葉を投げかけた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リカルド・マスケラス
「いよいよボスのお出ましっすか~。何とかして止めないとっすね~」
そんな訳で宇宙バイクを呼び出して搭乗

「行くっすよ、アルタイル!」
バイクを【操縦】し相手の周囲をぐるぐる回りなら、遠巻きからビーム砲を撃ち込む
「適度な距離感って大事っすよね。強化された相手に正面から挑む義理もないっすし」
更には鎖鎌を振り回して牽制をかけておく
以上の行動はUCの下準備を悟らせない為のフェイク

「これくらいでいいっすかね」
走っている間にバイクの轍で魔法陣を描き、魔法陣の中にいる敵に【破魔】【属性攻撃】【結界術】を込めたUCで攻撃
「略奪する必要のない世界を作ろうとしている人達を邪魔していい道理なんてないっすよ!」



●Greeting
 どんどん採算が合わなくなっていく、今回の襲撃。
 増やしたレイダーは全滅するし、自慢のアーマーはまだ動かせるのが不思議なほどに傷んでいる。
 修理にどのくらいのジャンクを注ぎ込めばいいか、もはやサイバーレイダー自身にも想像がつかない。
 そんな中、接近してくるバイクの駆動音。
 単なるワイヤー式や油圧式ではないような音。少なくともこの辺にある物ではない。
「いよいよボスのお出ましっすか~。……なんか、もうボロいけど」
 その正体を、サイバーレイダーは見た。
「……聞いた事がある。宇宙バイクというやつだ。なるほど……完璧な追撃、と言うわけだ」
「と言うわけっす。まあ、何とかして止めないとっすね~」
 飽くまでも気の抜けた雰囲気の男、ヒーローマスクのリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)。
 このような態度でも、敵を逃すつもりは毛頭無かった。

「行くっすよ、アルタイル!」
 リカルドは宇宙バイク『アルタイル』に呼びかけ、急速に加速させる。
 独特の駆動音を鳴らし、『アルタイル』は……サイバーレイダーの周囲を走り回る。
「……何の真似だ」
「適度な距離感って大事っすよね」
 サイバーレイダーの【パワーアシストアーマー】のパワーアシスト機能は凄まじい物だが、それでも機動力は大したことはない。
 まして、バイクに追いつく事などそうそうできないだろう。
「強化された相手に正面から挑む義理もないっすし」
「……言ってくれる」
 リカルドはそのまま走りながら、『アルタイル』に搭載されたビーム砲【ミルキーウェイ】でサイバーレイダーに攻撃していく。
 サイバーレイダーはハンマーを振り回し、これを弾いていく。
 手負いのように見えたが、それだけの余力はあると言う事か。
 となると、攻撃が【ミルキーウェイ】のみだと少々物足りない。もう一声必要だ。
「そら、ビームだけじゃないっすよ!」
 走行中のアルタイルから、鎖鎌を投げつける。
 ただし、この攻撃で鎖鎌がサイバーレイダーの身体やハンマーに引っかからないように注意する。
 うっかり掴まれて手繰り寄せられると、サイバーレイダーの攻撃をくらってしまいかねない。
「……日が暮れるぞ?」
 ビームや鎖鎌の攻撃を防ぎつつ、サイバーレイダーは口を開く。
 痺れを切らしてきているようで、強引にリカルドの方へ接近を試みているのがわかる。
「その手には乗らないっすよ〜。それよりも、その動きはむしろビーム砲が当てやすいっす」
 サイバーレイダーの接近を許さず、ひたすら走り、ひたすら撃つ。
 それの繰り返し。
 大きく円を描くように駆け抜け……機は、熟した。
「ちょっと思ったより大きくなっちゃったけど…… これくらいでいいっすかね」
 リカルドの乗る『アルタイル』はハンドルを切り、横滑りしながら停止する。
 様子の変わった敵の姿に、サイバーレイダーは警戒を強める。
 そして、リカルドの『アルタイル』は急速発進し……サイバーレイダーの横を通り過ぎて行った。
 そして、リカルドはひとつ、大きく息を吸った。
「――ここに悪しきを払い、恵みをもたらせ!」
 短く、それでいて力強い詠唱。
 それに応えるように、サイバーレイダーの周囲に隠されていた魔法陣が姿を表した。
「……これは……バイクの轍か!」
「ご名答っす」
 すぐにサイバーレイダーは足元の魔法陣から脱出しようと走り出す。
 しかし、リカルドの想定よりも大きく描かれた魔法陣は相当な物であり、サイバーレイダーの足回りでは間に合わず、『結界』に阻まれる。
 リカルドの術のひとつ、【森羅穣霊陣】である。
 魔法陣を結界が覆い、中にいる敵に破魔の効果や様々な属性でダメージを与える術式。
 結界の中が光に包まれていく。この光は、サイバーレイダーにとってはダメージが発生するエネルギーだ。
「ここならどんな作物も育ち放題っすよ~。何か苗でも植えてみたらどうっすか?」
「ぐッ……」
 すでに結界の中、どこへ行っても逃げ場はなく。豊穣を与えられた地の上でただ力を奪われていく。
「略奪する必要のない世界を作ろうとしている人達を邪魔していい道理なんてないっすよ!」
 結界の中で力を失い、膝をつくサイバーレイダーの姿を見届けると、リカルドはそのまま『アルタイル』に乗って走り去って行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

囁石灯・銀刃郎
武装バギーを運転。
あの集団の中にレイダーのボスがいるかしら。

バギーの多弾頭ミサイルランチャーで範囲攻撃、
機械化レイダー軍団を散らしつつ、バギーでダッシュ、駆け抜ける

バギーを跳び下りて零距離射撃。早業でもう一発
合体した機械化レイダーを破壊。
サイバーレイダーの一撃をジャンプで回避。

アンタは会話できるのかしらね。(サイバーレイダーに指を差しながら)
まぁできた所で、レイダーを逃がす理由が今ん所無いのだけど。
【ミュータントカメレオン】
指鉄砲を向けた時に飛ばした水銀の粘体生物でハッキング、アーマーの電力を落す。

パワーアシストも電力が落ちたら鉄の塊ね。
抜刀、なぎ払い鎧無視攻撃。



●Engage
「……よし、見つけた」
 荒野を疾駆する影がひとつ。
 別の猟兵からレイダーの指揮者、サイバーレイダーを発見し、ダメージを負わせる事に成功したという報せが届いたのが数十分前。
 その報せを皮切りに次々と猟兵達がサイバーレイダーと交戦、着実にダメージを与えていった。
 そして現在、サイバーレイダーの耐久力はほとんど限界である、と言うのが大方の意見であった。
 それを受けたデッドマンの女性、囁石灯・銀刃郎(ミュータントファントム・f24401)は自身の武装バギー『ジギー』を駆り、サイバーレイダーの追撃へ乗り出した。
 走り続けて数分、銀刃郎が見つけたのは言わば先のレイダー達が機械化したような姿の敵の群だった。
 おそらくはサイバーレイダーの【奪い尽くす者達】の効果だろう。
「あの集団の中にレイダーのボスがいるかしら」
 彼らもこちらの存在には気付いているが、あちらはまだ様子見をしている段階のようで近寄ってくる気配はない。
 しかし、今現在の猟兵達は『レイダー』と戦っている。
 そんな状況において、屯ろしているレイダーは全て標的と言っていいだろう。
 考える暇など与えないとばかりに、銀刃郎の攻撃は始まった。
 早速『ジギー』に搭載されている多弾頭ミサイルランチャーを真正面に連射。
 爆炎、爆風に機械化レイダー達は散り、銀刃郎は出来上がった『道』を駆け抜ける。
 そこに、銀刃郎に対抗してひとりの機械化レイダーが立ち塞がる。
 それは額に『10』とタトゥーで刻印されており、驚異度がわかりやすく表現されている。
 しかし……如何せん、対応が遅かった。
 機械化レイダーの拳を悠々と回避し、銀刃郎が向けるのは『ソードオフ・ショットガン』。
 一瞬の内に轟音は2回鳴り、機械化レイダーの胴体は粉々に吹き飛んだ。
「おっと」
 機械化レイダーを粗方片付けた銀刃郎は、ここで倒してきた連中とは毛色の違う攻撃が迫って来ているのを感知。
 咄嗟に跳躍すると……機械化レイダーごと、銀刃郎が居た地点を叩き潰す、ハンマーの姿が見えた。
 跳躍から体勢を整え、機械化レイダーの残骸などが無い場所に着地。
 そこからようやく、銀刃郎は『指揮者』の姿を見た。
 率直な感想を言えば、思ったよりも『貧乏臭い』。
 自慢のアーマーは度重なる応急処置の末、装甲と装甲の継ぎ接ぎのようになっており、頭部を守るメットも穴が開いていたり割れていたり。
 猟兵達の激しい攻撃を受け、サイバーレイダーがここまで逃れてきたのだと、銀刃郎はすぐに理解した。
「……アンタは会話できるのかしらね」
 人差し指を突きつけ、銀刃郎は呟くように問う。
 その人差し指を無視するでなく、逆上するでもなく、サイバーレイダーはただ油断なくハンマーを握りしめる。
「……話せたら、何だ。優雅に茶でも飲むのか?」
「へぇ、面白いじゃない」
 サイバーレイダーの軽口を受け流す。
 警戒はしているようだが、銀刃郎の意図に気が付いている素振りはない。
 その行動を演技ではないと判断、銀刃郎はそのまま行動を開始する事にした。
「――まぁそれができた所で、レイダーを逃がす理由が今ん所無いのだけど」
 ……銀刃郎の結論が出るのと同時に、小さな声で銀刃郎が「ばーん」と呟くと突然『水銀』がサイバーレイダーの襲いかかった。
「ッ……何だ、これは」
 1秒未満の鋭い『射撃』のため、それが銀刃郎の指先、指鉄砲から放たれたものかどうかはサイバーレイダーにも判断がつかないようだった。
 とにかく、それは銀刃郎の技のひとつ、【ミュータントカメレオン】。
 超高速で飛来する『水銀の粘体生物』を射出する、銀刃郎の早技。
 さらにこの粘体生物、銀刃郎が操る事で対象の行動を妨害できる。
「パワーアシストも電力が落ちたら鉄の塊ね」
 例えば敵のハイテクマシンなどに効果を発揮する能力『ハッキング』。
 これにより、負担がかかっていたアーマーはさらに電力が落ち、パワーダウンを起こす。
「くッ……」
 動力が絶たれ、著しく動きが悪くなったサイバーレイダーは、むしろアーマーの重みを支えきれず、片膝をついてしまった。
 誰が言ったか、遠慮も容赦も不要と。
 ――抜刀。
 そしてその女性、囁石灯・銀刃郎の抜き放たれた剣筋は、まさに遠慮も容赦も乗らない純粋な『技』であった。

「…………ここまでか」
 銀刃郎の剣を受け、文字通り『首の皮一枚』だけつながっているサイバーレイダーは、大の字で倒れて空を眺めている。
 斬った本人である銀刃郎は、このレイダーがもう永くない事を知っている。
 ゆえにレイダーに背を向け、何も言わず、構わず。視線すら向けない。
 ただ、そこで聞いていた。
「損切り判断を誤った、か……確かにな」
 欲に駆られた者の末路だろうと、人は言うだろう。
 しかし、この世界のレイダーは得てしてそういうものだ。
「次に『損』をするのは……どっちかな……」
 その捨て台詞を最後に、レイダーは動かなくなった。
 弔う必要も特にない亡骸に対し、銀刃郎が何かをする義理はなく。
 一応遺言を聞き届け、銀刃郎は振り向かず、静かに去って行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『アポカリプスで農業を』

POW   :    力仕事を担当する

SPD   :    丁寧な仕事を心掛ける

WIZ   :    技術指導などを行う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達の活躍によりレイダーは撃退され、危機は去った。
 それに伴い、拠点から避難していた拠点の住人達は続々と拠点に戻って来ている。
「被害状況の確認、急げ!」
 農場の目と鼻の先で激しい戦闘があった事もあり、農場に役割を持つ住人達は真っ直ぐに農場へ向かっていた。
 農場の規模が大きいため、その分住人はどたどた、大勢押し寄せて行く。
「お前んとこのトウモロコシ、もうすぐ収穫だったよな?」
「おうよ。レイダーめ、何もこのタイミングで来なくたってなぁ!」
「腕の立つ猟兵さん達が来てくれたから大丈夫だべ。なぁに、万が一焼けててもトウモロコシならポップコーンが食えらぁ!」
「そうはならねぇだろ! ……あれ、奪還者じゃなかったっけ?」
 外装がでこぼこした軽トラックに乗ったり、編み目が所々傷んでほつれた麦わら帽子をかぶったり。
 先ほどまで命の危機に瀕していた住人達は、すぐに農民の顔になった。

 少々忙しそうだが、彼らの仕事振りを拝見できる良い機会かも知れない。
 作物の収穫や手入れを手伝ったり、彼らの農作の技術について物申したりする事で、この拠点の暮らし振りを体験してみるのも悪くはないだろう。
英・明夜
…良かった。
厳しい土地で希望を見付けて生きてる人たちだもんね、
前向きな人ばっかりみたい。

明夜、収穫とか、草むしり(草刈り?)とか…
人の力や、もし動物の力を借りることが有れば、何でもお手伝いするよ!
それとも、作業着の繕いものだったり、普段手が回らないような雑用でも。
明夜に出来そうなことなら言い付けて欲しいし、手伝わせて!って、
声を掛けてみるね(コミュ力と誘惑とで人懐っこく笑い)。

つやつやの野菜や果実。
どれだけ苦労したんだろう。
今まで辛かったねって言うんじゃなくて、凄いね、頑張ったんだね! って。
美味しそう! って。
感じたら、ちゃんと伝えるね。
たくさんの笑顔、見れたら良いな。

(アドリブ・絡み歓迎)



●晴れ後、
「……良かった」
 レイダー達が去った後、畑から畑へ駆け回る拠点の住人達を、英・明夜(啓明・f03393)は見て回っていた。
 過酷な環境、略奪者などの無法者に晒されるこの地。こんな場所で生きていくのは決して容易い事ではない。
 それでも、見付けた希望を手放さずに強く生きる者達が、眼前に広がるこの農場を創り上げ、維持に奔走していた。
(厳しい土地で希望を見付けて生きてる人たちだもんね……前向きな人ばっかりみたい)
 彼ら抱いた『希望』は元々は猟兵達が与えたものだったのかも知れない。
 しかし蓋を開ければ、すでにその希望は立派に彼らの物となっていた。
 その光景に、明夜が抱いたのは『安堵』だった。

「ん? おお! 避難誘導してくれたお嬢ちゃんじゃないか」
 明夜の元へ、ひとりの初老の男性が駆け寄ってくる。
 男性も農場で畑をひとつ担っている人物のようだった。
「あんときゃ、ありがとな。今度はどうしたんじゃ?」
「うん! 明夜、何かお手伝い出来ないかなって思ってて」
 男性は顎に手を当てる。
「手伝い? お嬢ちゃんがかい?」
「うん! 明夜に出来そうなことなら言い付けて欲しいし、手伝わせて!」
 人懐っこく笑う明夜に、男性は次に眉間に皺が寄る。
 その様子に、一瞬拒絶でもされてるのかと心配になる明夜。
 しかし、辺りを見渡している男性は明夜の為に仕事を探しているように見えた。
 視線は、男性が出て来た畑に止まった。
「じゃあ、せっかくじゃ。うちの畑の作物、トマトなんじゃが。収穫を手伝ってくれんか?」
「本当? やりたいやりたい!」
 明夜は男性の提案を二つ返事で引き受けた。
 男性も明夜の反応に、嬉しそうにうんうんと首を揺らす。
「そうと決まれば……お前ー」
「『お前』じゃありませんよ、あなた」
 話を聞いていたのか、畑から今度は初老の女性が出て来た。
「お嬢さん、日射病や熱中症にならないようにこれをしてくださいね」
 その手には選んできたのか、比較的新しい麦わら帽子が握られていた。
 それを、明夜に渡してくる。
「わ、良いの?」
「ええ。むしろ、これをせずに畑作業は手伝わせられませんから」
「じゃあ早速始めるぞー」

 その後、男性か女性かが隣につき、トマトの収穫の方法などを教わりつつ、明夜はトマトをその手に摘んでいく。
 途中、ちょっとした言い争いもあったりはした。
「あ、お前ー! 良いなーお手伝いさん! ずるいぞー!」
「ええい、静かにせんかい! 明夜ちゃん怖がるじゃろ!」
 あわや喧嘩かと思った明夜は止めに入ろうかと思ったところで、女性が明夜を制する。
「大丈夫ですよ。あれはじゃれ合いのような物ですから」
 明夜が改めて見れば、確かに取っ組み合いにはなっておらず、互いに示し合わせて腕を打ち付けているように見えた。
 それらのやり取りから明夜は農場の強い結束を垣間見た。

 結局、明夜はその後も色々な畑へ移りながら、農業を手伝って行った。
 休憩時間、明夜が手伝った畑の関係者は挙って明夜の元へ作物を持ってやって来た。
 その様子には明夜も苦笑するしかなく。
 しかし、その野菜や果実。そのほとんどが、明夜の目から見てもアポカリプスヘルで作られたとは思えない、品質の良さを感じる出来栄えだった。
(どれだけ苦労したんだろう)
 その努力を、労わなければと明夜は思った。
 しかし、その言葉は重要だ。なんと言う?
 大変だったね。辛かったね。苦しかったね。確かにどれもそうだったろう。
 でも、明夜はかけるべき言葉は、そうではないと思った。

「――美味しそう!」

 飽くまで、それは明夜が素直に感じた、明夜の言葉。
 だからこそ。
 それを受けた、農場の住人達は誰も彼も笑っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

囁石灯・銀刃郎
【POW】装甲トラックを運転、荷台で収穫物を運搬。

レイダーを退治した上に、農場も手伝うなんてね…
猟兵活動はなんどかしたけど、人が良いというか、なんというか…
ま、良いか。人に感謝されるのも悪い気はしないし。

あ、ソーシャルディーヴァは居る?
居ないならいないでソーシャル・ドローンでもいいけど、
私のとネットワーク繋げときたくってね。
そのうち近くを通るか寄るかもしれないし、何かあったら力になるわよ?
有料だけど。

ああ、今回はタダよタダ。一応は依頼で来てるから。気にしないで。
(物資を貰っても良いのだけれど……今回はやめ。一応、義理で来てる訳だしね。…此処で強請るのは筋が通らないでしょ)



●でもそう言うあなたも。
(レイダーを退治した上に、農場も手伝うなんてね……)
 囁石灯・銀刃郎(ミュータントファントム・f24401)は、トラックの窓に肘をかけていた。
 現在、銀刃郎は『装甲トラック』である『クランクバッグ』を運転中。
 その荷台には、大量の収穫物を載せている。
 今までも何度か猟兵として活動して来た銀刃郎だが、このような猟兵と住人の交流には『猟兵達の』人の良さを感じざるを得なかった。
(ま、良いか。人に感謝されるのも悪い気はしないし)
 しかし……そうは言う彼女自身も、やはり『猟兵』そのものなのであった。

「この収穫物、ここで良い?」
 『クランクバッグ』を停め、一度エンジンを切る。
 荷台には大まかに箱詰めされた作物があり、それぞれの場所に送っている。
 箱には個人の名前が刻まれており、この作物が個人の財産である事を表していた。
「ああ、ありがとう。おお、豊作だな……」
 銀刃郎が荷台を開放し、積み出しを始めると、住人もそれに応じて次々と積み出しに参加していく。
 その中で、ふと銀刃郎は気になった事を聞いてみた。
「ソーシャルディーヴァは居る? 居ないならいないでソーシャル・ドローンでもいいけど」
 その問いに、住人同士で顔を見合わせる。
「いや……どちらも無いな。どうして?」
「私のとネットワーク繋げときたくってね」
 銀刃郎は自らの持つ『ソーシャル・ドローン』を見せつつ、今度は提案を続ける。
「そのうち近くを通るか寄るかもしれないし、何かあったら力になるわよ?」
 有料だけど。と最後はわざとらしく小声で呟く。
 聞いていた住人は、その話に唸る。助けてくれた人物からの提案だ。向こうからしてみれば願ってもない事だろう。
「……わかった。拠点の皆と相談して、次の行商からソーシャル・ドローンを交換するか検討するよ」
「良いわ。……ああ、今回はタダよタダ。一応は依頼で来てるから。気にしないで」
 答えにひとまず満足した銀刃郎は、最後の箱を住人に手渡して荷台を閉める。

(物資を貰っても良いのだけれど……今回はやめね)
 今回の件は『依頼』で来ている事実と、出発前に古いウォーマシンが口にしていた事を薄らと思い出し、銀刃郎は頬をかく。
(此処で強請るのは筋が通らないでしょ)
 そう割り切り、銀刃郎はその場を去ろうとした。
 仕事が無い以上は長居は無用。別の場所へ移ろうと言うタイミングだ。
「あ、ちょっと待ってくれ」
 『クランクバッグ』に乗ろうという銀刃郎を呼び止める住人が、ひとり居た。
 箱を脇に抱えたまま、乗ろうとしていた銀刃郎を見上げている。
「何?」
「まだしばらく此処の作業手伝ってくれるんだろ?」
 そう言って、箱の中に手を突っ込むと、それを掴んで銀刃郎にぽい、と放り投げて来た。
 銀刃郎がそれを片手で受け止める。……リンゴだった。
「後で色々ご馳走させてくれよ。それは前払いだ」
 リンゴを渡して来た者も、それを眺めていた者も、誰も彼も笑顔だった。そして、頷いて銀刃郎の返事を待っているように見える。
 受け取ったリンゴを片手で手玉にし、銀刃郎は口を開く。
「……気が向いたらね」
 それだけ言い残し、銀刃郎は『クランクバッグ』に乗り込んだ。

 『クランクバッグ』を走らせ、次の畑へ。
 猟兵の仕事で来て、農場を守った。報酬などには元々あまり期待はしていなかったのだが。
 それでも向こうは、義理を果たそうと努力する。
 誰かからもらった希望を、誰かに返そうとする。
(人が良いというか、なんというか……)
 ひとかじりしたリンゴは、その甘さが農場全体の人間味を表現しているようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユージィーン・ダイオード

すばらしい。
オブビリオンの襲撃を受けながらも…まったく折れず、嘆かず。
この農場を支えている彼ら農民こそ…。
この戦いの真の勝者だ。


判定:POW

力仕事を手伝おう。
農業は…未経験。データーベースにも何も情報がない。
故に…僕は先の戦闘の片付けを実施する。

―作戦受理…行動開始(ミッション・スタート)

戦闘で発生した残骸を回収。一か所に纏める。
また破壊された地形…穴を埋める作業を手伝う。
パワーはある方だ(怪力発動)
―ム。
その残骸は僕が運ぼう(精一杯の笑顔を浮かべるが鉄面皮すぎて周囲に引かれる)



●Deep emotion
 ――素晴らしい。
 ユージィーン・ダイオード(1000万Gの鉄面皮・f28841)は、感動していた。
 かつて、猟兵として活動していた際、怪我によって去る事となってしまったアポカリプスヘル。
 最後に見た故郷もやはり荒れていて、残念ながら戦う力を持たぬ者に厳しい、そんな世界だった。
 だと言うのに、この拠点の住人はオブリビオン……レイダーの襲撃を受けたにも関わらず、全く折れず、弱音も吐かず、嘆かない。
(この農場を支えている彼ら農民こそ……この戦いの真の勝者だ)
 武力とは違った、しかし確かな強さを持つ。
 その彼らに、ユージィーンは敬意を抱かずにはいられなかった。
 そんなユージィーンだが。
 ユージィーンと拠点の住人、その間には思わぬ壁が潜んでいた。
(農業は……未経験。データーベースにも何も情報がない)
 住人達との交流の為には農業を手伝うのが手っ取り早い。それはわかる。
 しかし、慣れない者を作業に混ぜると全体の効率にも影響が出るかも知れないし、ユージィーンとしてもそのような迷惑をここの住人にかけたくはなかった。
 何か役に立てるものは無いか……そう考え、辺りを見渡した。
 すると、目に止まるものが。
「――ム」
 住人達が運ぶそれに、ユージィーンは手を触れる。
「その『残骸』は僕が運ぼう」
 ……それが、たとえぎこちなく、鉄のように動かない表情筋が覆っていたとしても。
 彼はおそらく、精一杯笑って見せたのだった。

「ところで……これがあるという事は、少なからずレイダーはここまで進行していたんだな」
 ユージィーンは肩に『残骸』を担ぎながら、道すがら住人達と会話を試みている。
「ああ、避難を始める前に何体かね。あんた達のお陰ですでに虫の息だったが」
 当初は『笑顔』に面食らいながらも、その親切心に触れた住人からはすでにユージィーンは信用を得ていた。
 隣を歩き、質問にひとつひとつ答えてくれている。
「たまたま残ってた住人総出でなんとかトドメは刺したんだけど、そん時に何発か撃たれてね」
「それで、あの穴か」
 レイダーの持つランチャーが着弾した地点は大きな穴……クレーターが出来上がっていたのを、ユージィーンは見ている。
 想像よりも穴は大きく、威力の高さを想像すると、これが住人達に当たらなくてよかった、と思わずにはいられなかった。
 結果として住人はそのほとんどが無傷で、農場の畑の方も損傷は軽微。
 振り返って見れば、襲撃の規模に対してはまさに奇跡的な結果だったと言える。
「良ければ、これより残骸の回収と穴を埋める作業を手伝いたい」
「本当かい?」
 そう問われ、ユージィーンは持っている残骸を両手で下ろしたり、上げたりを何度か繰り返して見せる。
「パワーはある方だ。任せてくれ」
 今度は親指まで立ててみせて『安心感のある笑顔』を表現する。
 これもまた鉄の表情筋は今回も働いてはいなかった。
 しかし、ユージィーンの本心を知る住人は、もはやその笑顔を疑ったりはしないだろう。
 自身の代わりに笑うかの如く、ユージィーンの周りに人は集まる。
「――作戦受理……行動開始(ミッション・スタート)」
 銃の代わりに、今度はスコップを持って。
 今日できた『戦友達』と共に、ユージィーンは作業に取り掛かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高砂・オリフィス
【ファブル】で参加
暮らしぶりの体験? んーん、ノンノン! むしろ古巣に帰った気分! だからテンションアップ! あははっ! 楽しくなってきたぞ♪
さあ収穫を手伝うよー! どれだけ持ち上げられるか、この辺の人はもちろん猟兵の誰にも負けないもんねっ
なんてったって鍛えてるから! 見てよこのバランス! 積み上げて積み上げて持ち上げて、ウヒョーこっわ! ちょっとした大道芸人な気分かもっ

終わったら? んーせっかくだし握手してこう!
ついでにご馳走になれたら万々歳! お腹減ったー! 減ったなー玲さん! ちらちらっ!


雨音・玲
【ファブル】
使えるのは全部使いたいしな、せっかくの収穫物を無駄にしたくない
それに「焼きもろこし」だけだと味っけないしな
俺の能力で絶妙に乾燥させてから粉にして「コーンスターチ」を作るか
コレなら保存も効くし
設備が在ればコーンブレッド、蒸しパンもありだけど…
トルティーヤなら簡単かな?

決まれば即行動だ
選択UCを使用
選択技能は「料理」「コミュ力」「早業」「見切り」「属性攻撃」
絶妙な火加減で超絶美味なトウモロコシ料理を準備するぜ

おーお疲れ♪
休憩にしようぜ♪
ツマミの「コーンチップス」と「コーン・ウィスキー」の準備OK♪
酒が湧き出る「うわばみ瓢箪」を片手に声を掛け
みんなに料理の腕をコレでもかと振るいます



「――トウモロコシが焼けたら出来上がるのは、ポップコーンじゃなくて焼きもろこしだろ?」

●Everyday event
「んーん、ノンノン! むしろ古巣に帰った気分!」
 積み上がった箱の下、それを支える者がひとり居た。
 事は高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)が拠点の住人に収穫の手伝いを申し出た時だった。
 拠点の住人達は、拠点と農場を守ってくれた猟兵達に雑用のような作業をやらせる事に抵抗を示したところ、現状のような事になっている。
「なんてったって鍛えてるから! 見てよこのバランス!」
 力仕事は拠点住人はもちろん、猟兵の誰にだって負けないと豪語するオリフィスは、出身地アポカリプスヘルの拠点に居るせいかテンションアップ。
 次々と収穫物を箱詰めし、それを縦に積んで持ち上げている。
「ウヒョーこっわ! ちょっとした大道芸人な気分かもっ」
 両手にそれぞれ収穫物の詰まった箱を持ちつつ、踊るように回りだすオリフィス。
 踊っているようにグラグラと揺れる箱という、なんとも手出ししにくい状況。
 そして密かに発動している【落ちる過去は未来】によって住人達は踊りに巻き込まれるように右往左往していた。

「いや、一番怖い思いしてるのは住人の方々だよ……?」
 一方、少し離れたところでオリフィスの作業(?)を眺めていたのは、彼女と今回のレイダー退治に携わっていた猟兵のひとり、雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)。
 オリフィスの周りで泡食っている住人達には同情の念を抱きつつ、玲は目の前の台に置かれたトウモロコシに視線を移す。
 聞けば、住人達はトウモロコシは基本的に焼いて食しているらしい。
 それだけでも、まあ特に消費に関しては問題無いのだが。
「焼きもろこしだけだと味っけないしな……」
 せっかくの収穫物、無駄なく全部使いたい……というのが、農場の事情を見た玲の思いだった。
 差し当たって、トウモロコシをどうやって使うかというところから考えているわけである。
「……よし、やってみよう」
 そう意気込むと、玲はその手に熱を込める。
 その【一握りの焔】を手に、玲はトウモロコシの用途を模索していく。
 まずは、右手の焔の熱を微調整し、トウモロコシを乾燥させていく。
「それは、何をしてるんだい?」
 その様子を見ていた住人のひとりが玲に話しかけて来た。
 文明が破壊されて久しく、これまで原始的な調理しか行なってこなかったのだろう。
 まして、猟兵がUCを使って料理を作るのだ。住人達の目には余計に珍しく映る。
「コーンスターチを作ってるのさ。トウモロコシを乾燥させて粉にするんだ」
「面白そうだな。手伝うなら、何をすれば良い?」
「お、良いね。じゃあまずは……」
 こうして、玲の調理に興味を持った住人数名と協力してトウモロコシ調理を模索していく事に。
 玲が指示だししていくうちに、拠点からは「用途がよくわからない」という理由で封印されていた石臼なども発見され、期せずしてわずかに文明が発展したりもした。

「ただいまー!」
「おーお疲れ♪ 何事もなかったみたいだな?」
 しばらくすると、収穫物の詰まった箱の運搬に一区切りをつけてオリフィスが戻って来た。
 拠点の住人男女数名が和気藹々とオリフィスを周りを固めている。様子を見るに、オリフィスは箱を落としたりはせず、無事に運び切ったようだった。
「もうみんな仲良しよ、握手したりしてさ」
 手どころか肩まで組まんとするようなテンションに玲は見えた。
 話を続けるオリフィスだったが、調理場の様子を見て一瞬で目を光らせる。
「それよりお腹減ったー! 減ったなー玲さん!」
 演技がかった仕草で自らのお腹を摩ったり、玲の顔色を窺ったり。というか「ちらちらっ!」などと口に出している。
 玲も息を吐いて呆れたふりをする。作業から戻って来た彼女がこう言ってくるのは玲には想像がついていたからだ。
「おう、休憩にしようぜ♪」
 そう言って、玲は先んじて作っておいた料理の皿をテーブルに並べていく。
「俺特製のコーンチップスさ。コーン・ウィスキーと合わせてお上がりよ!」
「わ、お酒だ!」
 酒類の思わぬ登場。
 日頃から玲の料理と酒を合わせて口にしているオリフィスは、やはり注がれるコーン・ウィスキーに目を輝かせている。
「……飲んじゃって良いのかな?」
「堅い事言うなって。ほら、みんなもお上がりよ!」
 玲の呼びかけに、拠点の住人達はどんどん集まっていく。
 コーンチップスから始まり、いつもと味付けを変えた焼きもろこし、茹でたトウモロコシとその他葉野菜を使ったサラダ。そして、コーン・ウィスキー。
 並んでいく料理の皿は、オリフィスと住人達によってどんどん平らげられていく。
 酒に関しては玲の『うわばみ瓢箪』のおかげで在庫切れには無縁だし、これで玲は調理に集中できるというわけだ。
 こうして、もはや宴会となった休憩は、まだまだ続く。

 ふと、玲は振り返る。
 並んでいる料理の皿は、住人達から受け取り、玲が作っていった代物だ。
 そして、それを取り囲む仲間、住人。
 それら全てが活力に満ちていた。
 元々そこにあったものだと言えば、それはそうなのだろう。
 だとすれば、それを引き出す手伝いを、自分達はできたのだろうか。
 問うような玲の視線。それに気付いたオリフィスは、屈託なく笑って見せる。
 それに釣られ、玲もまた笑顔で調理を続けていたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グルクトゥラ・ウォータンク
【アドリブ共闘歓迎】
普段SSWに引きこもっとるとこの手の仕事が全く分からんのう。あっちじゃボタン一つで出てくるしの。余計なもんも出てくることがあるが。まぁ、ぼちぼちできることを手伝っていこうか。

とりあえず電力関係とかなら直線翼の縦軸風車なんぞどうじゃろうね。全方向から風を受けて発電できるからこの世界の風向きが安定せんくせに風速は強い環境には合うじゃろう。とりあえず理論部分と実運用部分をまとめた資料とかも用意するぞい。設置するのを手伝わせて構造とかも覚えさせておこうか。
他にもボールズと電脳妖精を貸し出して防衛施設づくりだの各種インフラだの、出来ることはやっておこう。



●Do it yourself
「普段SSWに引きこもっとるとこの手の仕事が全く分からんのう」
 男のぼやき声が聞こえてくる。
 ぼやき声に赤茶色の髪と髭の主、グルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)は一枚の紙を手に持ち、それと睨み合っていた。
 紙面に描かれていたのは、拠点の地図だ。施設や、それこそ農場の間取りなどもある。
 ……のだが、グルクトゥラはこの地図に対していくつか物申したい気分になっていた。
 微妙に狂っている距離感、大きさに矛盾のある建物、存在しない隙間。
 おそらく『その道』の専門家が居なかった為、しっかりとマッピングできていないのであろう。そんな出来だった。
 実生活だとそこまで重要な物というわけではないが、これからグルクトゥラが行おうとしている仕事には非常に重要なものとなる。
 故に、こうして測量がてら拠点を練り歩き、地図に片っ端から情報を書き足している次第出会った。
(あっちは、そもそも『船』じゃからなぁ。マップなど探せば出てくる)
 あっち……先ほども『SSW』と略した世界『スペースシップワールド』を思い起こし、あちらの世界との違いを痛感していた。
 片や必要な物はボタンひとつで出てくる世界。文明が一度崩壊しきったアポカリプスヘルとは比べるべくも無い。
「……余計なもんも出てくることがあるが」
 完全に便利な世界は無いものか。
 それに関してはぼやくよりも目指した方が精神衛生上も良いと判断し、グルクトゥラは地図を折り畳んだ。

「というわけで電力関係の問題解消のためにお前さん達と一緒に風車を作ろうと思うんじゃ」
 地図に情報を入れ終え、次にグルクトゥラが取った行動は拠点内で有志を集める事だった。
 特に思考も柔軟であろう若者を中心にして呼びかけを行ったお陰で、30代以下の年齢の男女が十数人ずつ集まっていた。
「風車? それってあのプロペラを回して発電するってやつかい?」
「うむ、大体合っとる」
 文明が崩壊したこの世界だが、古の建造物などは現存している場合も多い。
 おそらくその中にも風車があったのだろう。なんとなくというレベルではあるが、この拠点の住人達も風車の存在は知っていたようだ。
「でもこの辺は風向きが安定しないから、発電が安定しないんじゃ?」
「うむ、尤もな意見じゃ」
 確かに基本的にこの荒野は風は強く向きが不定であり、一定の方向からの風を受けるやり方ではプロペラが回り難かった。
 この地に住む者が揃えて口に出している以上、その意見がこの地の事実だろう。
 しかしそれを解決する計画は、すでにグルクトゥラにはあった。
「ずばり、直線翼の縦軸風車なんぞどうじゃろうね?」
 にやりと笑うと、グルクトゥラはその辺にあった台の上に自身の作った風車の設計・計画書を広げた。
 先に住人達も言ったように、風車というと多くの人はプロペラ型を想像するものだ。
 プロペラ型は風に対して発電機に取り付けられた回転軸が『水平』となるタイプ、言わば『横軸』の風車である。
 それに対し、グルクトゥラの言う『縦軸風車』とは即ち発電機に『垂直』に回転軸が取り付けられ、それを周りに取り付けた『直線翼』によって回転させる代物である。
 その構造にはプロペラ型と比べても様々なメリットがあるが、なんと言っても最大の特徴は『風向きに関係なく回転する無指向性』だろう。
「この世界の風向きが安定せんくせに風速は強いから、環境には合うじゃろう」
 それは縦軸風車の弱点のひとつである、回り始めほど強い風が必要となる点をカバーできる可能性があるものだった。
「すごい……! そんな風車なんてあるんだな!」
「思ったよりシンプルだわ。でもこんなに効果が見込めるなんて……」
 グルクトゥラの説明を聞きながら、集まった住人達は興味津々という具合に挙って設計図を眺めていた。
(よしよし、掴みはバッチリじゃな)
 ひとまず興味を持ってくれた事に安心しつつ、グルクトゥラの計画は次の段階へ進んだ。
 次の段階、即ち『設備の増築』である。
 グルクトゥラは『強化電脳妖精』と、それと同じだけの数の『戦闘用強化ボールズ』を召喚し、台の上に並べた。
「何はともあれ風車の設置じゃ。配布した資料を見ながら、各々構造を覚える事を意識しながらやってみろ、いいな?」
 威勢よく返事が来る。
「他には風車が出来上がる事を見込んでインフラの拡張じゃ。これができれば、やれる事の幅が広がるぞ!」
 元気よく返事が来る。
「それらができたら今度は防衛施設の拡張じゃ。サーチライトとかタレットとかかの? まあこれは後でな!」
 溌剌とした返事が来る。

 元はアックス&ウィザーズの鍛冶屋、グルクトゥラ・ウォータンク。
 レイダーとの戦いは終わったが、彼自身の戦いはしばらく終わりそうにない。
 しかしその戦いは、レイダーとの命のやり取りよりも充実した時間になるに違いない。
 住人達の流す汗を見て、グルクトゥラは良い予感がしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リカルド・マスケラス
「これは豊作祈願の祈禱みたいなもんすね。ちょっとやってみるっすか?」
農地に、作物の邪魔にならないように魔法陣を描き、【森羅穣霊陣】を施し、作物の育成促進を試みる。その際に、農場の人達の体を借りて行い、志願者が多ければ(負担はあるが)【仮面憑きの舞闘会】を併用して同時に多くの人に憑依してUCを使用する
ユーベルコードの習得は無理でも魔力の使い方や破魔、結界術の感覚なんてものを誰か掴めれば、これからの助けになるかもしれない
「うまくいくかはわからないっすけど、できることの選択肢は増えるのはありじゃないかと思うんすよ」
今までも似たような農地で何度かやっているけど、うまくいく時いかない時あったっすからね



●Graceful garden
「それは一体何をしてるんだい?」
 何も農作業を手伝うだけが手段ではないと、木の棒を片手にこの男は言う。
 木の棒を使い、地面に複雑に陣を描いていく。
「これは豊作祈願の祈禱みたいなもんすね。ちょっとやってみるっすか?」
 狐面のリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)は陣を描きつつ、住人に人懐こく笑いかける。
「え? それって僕にもできる事があるのかい?」
「もちろんっす! 人は多ければ多いほどいいっすよ」
 たぶんちょっと疲れちゃうけど……と小声で言ったセリフは、住人には聞こえなかったようだ。
「わかった。今日の作業はみんな粗方終わってるから、声をかけてみるよ」
「ありがとうっす!」
 住人が離れていくのを見送ると、リカルドは再び陣を描く作業に戻った。

 最初に話しかけてきた住人は交友関係が広かったのか、集まった人数は想像以上に多かった。
 軽く驚きつつも、リカルドはそれを歓迎する事にした。
「思ったより集まってくれたっす! じゃあみんな、最初に教えた通りにいくっすよ!」
「大丈夫なのかい? なんかお兄さんが大変そうだけど」
 説明を聞いた住人ひとりが口を挟んだ。リカルドが最初に誘ったあの住人だ。
「自分は大丈夫っすよ! うまくいくかはわからないっすけど、できることの選択肢は増えるのはありじゃないかと思うんすよ」
 これに関しては、紛れもなくリカルドの善意であった。
 それを聞いた住人は「そうか」とだけ言うと、以降は何も言わず、他の住人達と同じ列に加わった。
「……よし、じゃあいくっすよ。みんな気を楽にしててほしいっす!」
 そう言うと、リカルドは狐面の分体を召喚、それを住人達に飛ばして行った。
 リカルドのユーベルコード、【仮面憑きの舞闘会】。対象に狐面の分体を憑依させる事で自身の能力が技能を宿すことのできる能力。
 これを使えば【森羅穣霊陣】の効果がより安定するのでは、と思っての行動だった。
 しかし……。
(……あ、あー。やっぱりちょっと無理があったか)
 住人達は気にしていないようだが、狐面の分体がうまく住人達に憑依できていない。
 これは、元々短い時間でのユーベルコードの併用、つまり同時使用は無理があるせいだった。
 今回の場合、陣を先に描いた事により【森羅穣霊陣】が先に発動しており、【仮面憑きの舞闘会】が十全に機能していない状態のようだった。
(うーん……まあ、仕方ないか)
 と、それ自体はリカルドは割り切る事にした。
 むしろ、こうなると問題は【森羅穣霊陣】の方だ。
 ちゃんと発動しているのか心配になったリカルドは、自身が描いた陣をなぞるように視線を這わせる。
(……よかった、そっちは発動してる)
 描いた陣からは確かに力を感じる。発動している証拠だ。
「んん……? どうなったんだい?」
 状況の確認をしているうちに、住人のひとりから狐面が離れて意識が戻った。
 住人としては憑依されているのかどうかと言う具合で、考えてみればこちらも心配だったが、なんともなかったようでリカルドはひとまず安堵した。
 ひとりが戻ってくると、他の住人からも狐面は離れていく。
「全部じゃないっすけど、とりあえず祈禱の方はうまく行ったっすよ!」
「本当だ、なんだか緑が濃くなった気がする!」
 農場の様子を見た住人達が湧く。
 今回は【仮面憑きの舞闘会】による憑依ができなかったのが心残りではあるが、他の農地で上手くいかなかった時の事を思い出す。
 その時に比べれば今回の結果は上々と言えるだろう。
 それに、完全に今回の失敗が無駄だった、とはリカルドも思っていない。
(ユーベルコードの習得は無理でも魔力の使い方や破魔、結界術の感覚なんてものを誰か掴めれば、これからの助けになるかもしれない)
 これら全ては湧いて出た能力ではない。考えようによってはここの住人にも十分習得できるものはあるだろう。
 活力を増した畑に、住人達の笑顔。
 あの笑顔と同じように、未来が明るい事を、リカルドは人知れず願った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パラス・アテナ
ひとまずの安全は確保されたかね
だがまだ油断はできないよ
ここはアポカリプスヘル
自分の身は自分で守れなけりゃ
待っているのは破滅のみだ

アタシは農作業ってガラじゃないんでね
この拠点の連中の訓練と洒落込もうか
農作業が一段落ついたら拠点の連中を集めるよ

いいかい
いつでもアタシ達がアンタ達を助けに来れる訳じゃない
次の襲撃はアタシ達の助力は無いかも知れないんだ
だから今から最低限の防衛策を教えるよ

拠点周囲の地形を利用して防護柵の設置計画
襲撃を察知した時の行動や避難計画を伝授
アタシが教えられるのは形だけだ
後はアンタ達が普段から訓練して身につけていきな

この世界からストームが消えるまでは生き延びるんだよ
まずはそこからだ



●Spartan Education
「……ふむ」
 一枚の紙を手に、拠点を練り歩く白い影があった。
 周囲の光景と紙面に描かれた拠点内の地図を見比べ、パラス・アテナ(都市防衛の死神・f10709)はその場で一息吐く。
(地形の把握はこんなところか。……都合良い物があったもんだ)
 その地図には拠点内や農場の詳しい間取りや地形なども描かれている。
 これを譲ってくれた拠点住人によれば、この地図は改訂版であり、足りない情報を別の猟兵が自分で歩いて書き込んでいった物らしい。
 もしその猟兵が骨を折ってくれなければ、パラスが自身でやらなければというところだった。
 パラスは密かに、その猟兵に感謝の念を送っておく。
「猟兵さん、こちらでしたか」
 そんなパラスへ駆け寄ってくるのは、トマトを詰め込んだ籠を脇に抱えた青年だった。
「アンタは、トマト畑のか」
「ええ、丁度収穫が終わったところで。お一ついかがです?」
 差し出されるトマトを、パラスは拒む事もなく受け取る。
「作業に滞りは無いかい」
「はい、お陰様で僕や周辺の畑は一段落ですね」
 見れば青年はひとりではなく、周辺の畑の住人と歩いていたようだ。
 青年が目配せすれば、あちら側は手を振って応じる。
「……アンタ、友達多そうだね」
「え? ええ、まあ」
 パラスの意図がいまいち掴めず困惑する青年を尻目に、パラスは歩き出す。
「お友達を拠点の外れに集めな。木材もあった方がいいね」
 ここからが、訓練の時間であった。

「いいかい、ひとまずの安全が確保されたからといって油断はできないよ」
 地に木の杭を打ちつけながら、パラスは声を張り上げていた。
「いつでもアタシ達がアンタ達を助けに来れる訳じゃない」
 杭を打ちきり、住人達に向き直る。
「次の襲撃はアタシ達の助力は無いかも知れないんだ。だから今から最低限の防衛策を教えるよ、いいね!?」
 若干の戸惑いを感じるものの、若い者が集まっているからかその返事は威勢が良かった。
 早速、住人達でパラスが打ち込んだ杭を基に、防護柵を組み立てていく。
 農場を含めた拠点外周をぐるっと囲む計画で、これがあれば拠点への侵攻を遅らせる事ができるだろう。
 見張り台を設置しても良いかも知れない。
「それと、襲撃を察知した場合も無闇に拠点の外へ逃れようとするのもダメだ。そこが安全である保証は無い」
 その場合、重要となるのは避難場所、および避難経路だ。
 一般的な住人がオブリビオンのような敵に対して対抗できる手段は限られている。
 最悪の場合は拠点の放棄まで視野に入れなくてはならない。
「アタシが教えられるのは形だけだ。後はアンタ達が普段から訓練して身につけていきな」
「でも、猟兵さん。拠点から逃げるための訓練なんて……」
 そこで初めて反論の声が上がり……パラスは、その声の住人の肩を掴む。
「ここはアポカリプスヘル、自分の身は自分で守れなけりゃ待っているのは破滅のみだ」
 この世界において、住人に必要なのは『勝つ手段』ではなく『生きる方法』。
 それがパラスの結論だった。
「この世界からストームが消えるまでは生き延びるんだよ」
 誉れのために死ぬ生き方は、この住人達には似合わない。
 だから、パラスが伝授するのは勝利のために血を流す『戦い方』ではなく、生き延びるために汗と泥に塗れて足掻く『生き方』なのだ。
 もし、それで戦いたいと言い出す者が居たとしても。
「……まずはそこからだ」
 アポカリプスヘル。
 生きるための戦いとは、なんと過酷な物か。
 そのパラスの迫力に、住人達はもはや誰も口を挟もうとはしなかった。

 レイダーは消えず。怪物も居なくならない。
 オブリビオンストームは大地を蹂躙し、汚染する。

『War never ends.』

 それでも。
 せめて、いつかの終わりに希望を見出すために。
 世界のどこかで『戦いは続く』。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月13日


挿絵イラスト