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戦え! みんなのスーパーヒーロー!!(作者 カンナミユ
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●浮遊岩諸島に悪が立つ
「ぐふふふふ、ぐわーっはっはっは!」
 平和だった地に悪の声が響き渡った。
 巨大なハンマーを担ぐ男はどずんとそれを地に置くと、重みで地面がめこりとへこんでしまう。
「ふん、何もなさそうな場所だなあオイ」
 つまらなそうに言いながらぐるりと見渡す大男は更に周囲を見渡した。
 爽やかな風に木々は葉を揺らし、花は踊り、鳥は歌う。
 緑豊かな大地は今まさに踏み荒らされようとしているのだ。
「まあいい、とりあえずは略奪だ! 金に女! あとメシだメシ! 今日からここはオレ様のモノだ!!」
 再び響く悪の声。
 それを聞くモノ達は怯え震える事しかできない。
 誰か、誰か助けて――!
 悲痛な叫びは果たして届くかどうか。

●悪を倒すはヒーローの務め
「おいお前達、これから浮遊岩諸島へ行くぞ!」
 グリモアベースの一角で海老名・轟(轟く流星・f13159)は猟兵達へと声をかけた。
 帝竜ヴァルギリオスとの戦い――『帝竜戦役』も終結し一件落着と思いきや、群竜大陸は極めて危険な土地であり、オブリビオンの残党も多く蠢いている。
 浮遊岩諸島もそんな地域の一つであり、グリモア猟兵は再びその地へ向かおうとしているのだ。
「お前達覚えているか? 浮遊岩諸島は全ての浮島が独立した生態系を持っていて『王』と呼ばれる1体のオブリビオンが全てを支配しているというあの場所だ。今回は帝竜戦役で王を倒して平和になった浮遊岩諸島の一つに新たな『王』が現れちまった訳でな」
「新たに現れた王を倒せばいいんだな?」
 猟兵達の理解は早く、その声を聞いた轟は頷きながら資料を取り出し説明を始める。
 とはいえ帝竜戦役で戦った地。猟兵達も戦い方は覚えていた。
「確か浮島にいる奇妙な生物達の支援を得ることができれば『王』との戦いが有利になるんだっけか」
「ああ、そうだったな」
 戦った事がある猟兵達は言葉を交わしながらかつて戦った地の話の話題に花が咲き、
「私達が行く場所の生物達から支援をもらうにはどうしたらいいのかしら」
 一人の猟兵の問いに他の猟兵達の会話はぴたりと止まった。
 強力な敵相手に必要不可欠な要素を聞くべく猟兵達はじっと見つめ、
「俺がお前達を送る浮遊岩諸島に生息する生物達はな、ヒーローが大好きなのさ!」
 ビシッと決めておっさんは言い放った。
「ほう、ヒーローか」
「ああ、ヒーローだ」
 にっと笑いながら話す轟が言うには、生物達は悪を倒すカッコいいヒーローが大好きなのだという。当然、支援を求める為に必要なのもヒーローである。
 それは可愛い魔法使いであり、輝き戦うメタルヒーローであり、何かを抱え戦うダークヒーローであり、輝く一撃と共に悪を討つヒーローであり。
「そう! 悪を倒すお前達はヒーローなのさ!」
 との事だ。

 グリモア猟兵の後ろは既に浮遊岩諸島があった。
「って訳で行くぞヒーロー達! ……なに、準備ができていない? 気にすんな。ノリと勢い、あとは勇気と度胸さえあればなんとでもなるさ」
 言い終えた轟だが不安げな表情を見せた猟兵へ更に言葉を続けた。
「どんな相手が敵になろうとも最後に勝つのは正義と相場が決まっている。何も恐れるな、行くぞ!」
 こうしてヒーロー達は戦いの地へと赴くのだった。


カンナミユ
 カンナミユです。
 浮遊岩諸島に新たなる脅威が襲い掛かる。
 巨悪を倒し、平和へと導くには皆さんの力が必要です!

 第一章では、不思議な生物たちと交流しつつ敵の情報収集をして、
 第二章では、襲い掛かる絶対不敗の敵を叩き潰し、
 第三章は、新たに現れた『王』を倒します。
 プレイングは追加情報を確認の上でお願いします。

 それではプレイングお待ちしております。
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第1章 冒険 『群竜大陸の探索』

POW地道に歩き回って情報を集めたり、あえて危険な場所に踏み込んで捜索する
SPD潜伏するオブリビオンの痕跡を見つけ出し、隠れ場所を突き止める
WIZオブリビオンの行動を予測して網をはったり、偽情報で誘き出したりする
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●再来せよヒーロー!
 爽やかな風に木々は葉を揺らし、花は踊り、鳥は歌う。
 平和な日常の中、楽しげにはしゃぎ笑う子供達だが恐ろしい音に思わず目を見開いた。
「ぐふふふふ、ぐわーっはっはっは!」
 それは野太い、どこまでも響く咆哮。
 武器を手にする大男の後ろには鎧をまとった男たちが並んでいるではないか。
 わるいやつらだ。
 子供達は直感でそれを感じ取った。
「ふん、何もなさそうな場所だなあオイ」
 皆にとって大切な場所だというのに大男はつまらなそうに言い、
「まあいい、とりあえずは略奪だ! 金に女! あとメシだメシ! 今日からここはオレ様のモノだ!!」
 巨大な得物をずぶんと振り上げて男は吼えるように声を上げると、後に続く男達もおおーっと声を上げる。
 何という事だ。
 せっかく取り戻した平和な大地があの男たちに踏み荒らされようとしているのだ。
「たいへんだ」
「どうしよう」
「こわいよ」
 木々の間に隠れる子供達は小さくささやきあい、
「みんなのところへかえろう」
 小さな声に他の子供達も頷いた。
「きっとまたヒーローがたすけにきてくれる」
「そうだね」
「かえろう、わるいやつらのことみんなにつたえなきゃ」
 子供達はみんなが暮らす集落へと静かに逃げていく。
 ――きっとまたヒーローが助けに来てくれる。
 その思いを胸に、ひたすら子供達は逃げていった。 

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※1章のプレイングについて(注意:アドリブがそこそこ入るリプレイになる予定です)。
 1章では不思議な生物たちと交流しつつ敵の情報収集を行い、アジトを探します。
 不思議な生物達は人間の姿をしており、オープニングで説明されたようにヒーローが大好きです。
 変身した姿で接触すれば大喜びするでしょう。
 情報を聞き出しつつ子供達と交流するのも楽しいですよね。
 変身前の状態で接触して「自分はヒーローの知り合いがいるからピンチを伝えてあげる」と話して情報を聞き出し、2章でヒーローとして登場するのもカッコいい演出です!
 もちろん不思議な生物達と接触せず、自分の経験や勘からアジトを探すのもオッケーですよ!
 2章で颯爽と現れるヒーローもまたカッコいいですよね。

 この章で変身して登場、もしくはヒーローの名前を出す場合はプレイングに「ヒーロー名」「どのような格好か」「どんなヒーローか」などを記入して下さい。
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※プレイングは6月30日(火)AM8:30からお願いします。
キャプテン・ハマーヘッジ
「ここか、ヒーローの到来を求めている世界は…!」宇宙紳士であるキャプテン・ハマーヘッジは周囲を見回した。彼はレトロな宇宙服と年代物の光線銃を装備した、自身に満ち溢れる巨漢だ。「ヒーロー…それは即ち猟兵、そして私のような宇宙紳士のことだな!おお、そこの子供たち、この宇宙紳士の助けは必要ないかな!?」と言って話を聞こうとします。
彼は"ヒーロー"とは何かをいまいち理解してはいないし、変身することもできない。しかし、"宇宙紳士"としての己のルックスと生き様には絶対の自信と誇りを持っているのだった。


アテナ・カナメ
【心情】ヒーローが好き…丁度いいわね!子供達に色々聞いてみようかしら…

【心情】君たち、悪い人がいるって聞いたんだけどどこだかわかる?私?私はスーパーヒロイン、アテナマスクよ!って感じで色々聞いてみようかしら。子供達との交流については子供達がやることに付き合うって感じで行くわね!
(絡み・アドリブOK)


 空を見上げれば雲一つない晴天が広がり、小鳥達はすいと舞う。
「ここか、ヒーローの到来を求めている世界は……!」
 緑豊かな大地を眺め、正義と自由と冒険のために宇宙を駆けるナイスガイ――キャプテン・ハマーヘッジ(スペースノイドのブラスターガンナー・f28272)は思わずつぶやいた。
 のどかで平和なこの地に巨悪の手が伸ばされ、つぶされるのも時間の問題。
 早く敵の情報を聞き出さねば。
「子供達は集落に向かっている筈。子供達に色々聞いてみようかしら……」
「よし、行こう!」
 燃え滾る炎のごとく深紅の髪が揺れ、駆けだすアテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)の後に遅れぬようキャプテンもまた森へと入っていく。
 ――と、森に入りさほど進まないうちに子供の泣き声が二人の耳に入ってきたのだ。
「子供の泣き声が聞こえるぞ」
 走っていたキャプテンは足を止めて耳を澄ませると、アテナもまた周囲を見渡し声を聞く。
「近いわね……あっちかしら」
「まさか敵か? 急がねば!」
 最悪の事態が脳裏をよぎるアテナとキャプテンは万が一の戦いに備えつつ声がする方へと一直線。
 木々を抜け倒木を飛び越え近づく声。
「大丈夫か!」
 駆けつけ見れば、ああ何という事だ。小さな男の子が倒れているではないか。
 倒木が倒れた男の子の足を押さえつけてしまっている。ほかの子供達もどうにかして助けようと試みているが、子供の力はか弱く非力である。
「いたいよーたすけてー」
「よし、宇宙紳士であるキャプテン・ハマーヘッジに任せなさい」
 レトロな宇宙服と年代物の光線銃を装備した、自信に満ち溢れる巨漢は胸を張り挟まれた男の子の元へと向かうと木をむんずとつかむと軽々持ち上げた。そのまま遠くへぽいと投げると、ずずんと大きな音が響く。
「大丈夫? ケガはない?」
 よろよろと立ち上がる男の子のあちこちについた汚れを払い落とながらアテナは優しく声をかけた。
 木の隙間に足が挟まったのか、擦りむいた膝から少し血がにじんでいるだけで大きなケガはしていないようだった。安堵の息をつき、手早く応急処置を施した。
「ありがとう、おねえちゃん」
「おにいちゃんとおねえちゃんはどうしてここに?」
 痛みも引いたのか礼を言う男の子のそばにいた女の子がアテナとキャプテンへと問いかける。他の子供達も見慣れない大人に少しばかり怪訝な顔をするが、ここはぐっと拳を言を胸に、声を張り言いあげるべきだろう。
 ――俺がお前達を送る浮遊岩諸島に生息する生物達はな、ヒーローが大好きなのさ!
「おお、そこの子供たち、この宇宙紳士の助けは必要ないかな!?」
「君たち、悪い人がいるって聞いたんだけどどこだかわかる? 私? 私はスーパーヒロイン、アテナマスクよ!」
 自信に満ち溢れた声と立ち姿に子供達の表情は一瞬にして輝いたのを二人は目にした。
 かっこいい宇宙服、さっと吹く一陣の風になびくマントに身を包むヒロイン。子供達は自分達の目の前に現れ助けてくれたのがヒーローだと理解したのだ。
「たすけてくれてありがとう! つよいんだね!」
 ケガをした足でひょこっと近づいてくる男の子はにこにこと満面の笑顔と共にぺこりとお辞儀する。
「ぼくみたよ! わるいやつ」
「わたしもみたの。おおきなぶきをもったひとと、こーんなながいぶきをもったひとがいーっぱい!」
「たくさんいたよ」
「いーっぱいいたの!」
 子供達はそれぞれが見たことをそれぞれ話していく。聞いて分かるのは大きな武器を持った、おそらくリーダー格の敵が1体、それに長い、恐らく槍のような武器を持った部下が沢山。
 そして、
「わるいやつらをかっこいいひとたちがたおしてくれたの」
「きらきらするぶきでね、えいって!」
「でもまたわるいやつらがやってきたの……」
 襲われた村がヒーロー達の尽力によって救われ、再び狙われているという事。
「アテナマスクのおねえちゃん、うちゅうしんしのおにいちゃん」
「わるいやつらをやっつけてほしいの」
 他の子供達が怪我をしていないか確認していたアテナマスクは子供達の頭を優しくなで、あふれる涙をそっとぬぐう。
「あのね、わるいやつがいっぱいいるばしょみたの」
 こぼれる涙もようやく落ち着いた子供はそっとアテナマスクの耳元でその場所を口にし、
「ふむふむ……そうか!」
 次いで打ち明けられたその場所を聞き宇宙紳士は大きく頷いて見せた。
「教えてくれてありがとう。あとは私達に任せて!」
「悪い奴らは必ず倒すからな!」
 マスクの奥の瞳は心優しい子供達を見つめ、感謝の気持ちと共にぐっと拳を握りしめると宇宙紳士も光線銃を構えてみせた。
「じゃあ私達は悪い奴らのアジトへと向かうわ」
「君達は安心して村へ戻るんだ。転ばないようにな」
 そう言い残しヒーロー二人は子供達の声援を背にアジトへ向かう。
 燃える正義の炎を胸にスーパーヒロインは駆ける。だがキャプテンは『ヒーロー』とは何かをいまいち理解してはいなかった。
 変身することもできない。だがしかし、『宇宙紳士』としての己のルックスと生き様には絶対の自信と誇りを持っている。
 迷いなどない。
「悪は絶対に許さない! どんな相手だろうと必ず倒す!」
 頷くアテナマスクと共に宇宙紳士は地を蹴りアジトへと向かっていくのだった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

リリ・リーボウィッツ
王道に従い、最初は正体を隠して子供たちに接触しましょう。
「一見普通だけど、どことなく只者ではない感じがする旅人のお姉さん」を装って、可愛いネーベル(黒猫)と美味しいドーナツで警戒心を解きほぐしつつ、敵の情報を聞き出します。

なるほど。ハンマーを持った大男ですか……おそらく、奴ですね(思わせぶりな台詞を言ってみる)。
でも、心配御無用。噂によると、百億馬力(盛りまくり)のスーパーヒロイン『ブラックにゃん娘』がこの地に来ているそうです。きっと、彼女が悪者たちを成敗してくれるはず。
ただし、百億馬力を発揮するためには皆の応援が必須なんです。『ブラックにゃん娘』が現れた時には応援してあげてくださいね。


アルフィンレーヌ・ティタンルミエール
アドリブ、連携、歓迎

(子供たちがまた、元気に遊びまわれるように、早急に悪党ども見つけ出し、滅殺しなくてはならないわね)

「さぁ、どうぞ。たっくさんあるから、遠慮しなくてもいいのよ?」
まず、おまんじゅうとお茶でお茶会を開く【料理/奉仕】

「こわい思いをしたのに、思い出させて申し訳ないのだけれど、悪者がどの辺りにいるのわかる?」
親交を深めつつ、情報を聞き出し【礼儀作法/優しさ】、探索すべき場所の絞り込みを行う。詰問したり、無理強いはしない。

頃合いを見て、おまんじゅうを食べまくり【大食い】、UCを発動。あたりを付けた場所を上空より偵察
「では、ちょっと行ってくるわね。お茶会のつづきは、またあとでね」


 静寂に包まれる森の中をリリ・リーボウィッツ(CROWBAR CAT・f24245)とアルフィンレーヌ・ティタンルミエール(ユルティムメール・f28065)は進んでいた。
 この地に再び現れた悪を目にした子供達が森へと入っていったのを二人は見ており、接触すべく歩いている。
 ――と、
「声が聞こえますね」
 足を止め、耳を澄ませるアルフィンレーヌの声にリリも歩を止め、注意深く聞き澄ますと確かに声が聞こえてくる。
 大人、ましてや悪漢どもの声ではない。となれば声の主たちは集落へ戻ろうとしている子供達であろう。
「ネーベル、お願い」
 傍にちょこんと座る黒猫はリリの声にゆらりと尾を揺らすとしなやかな体はさっと声の方へと駆けていく。ほどなくしてわあっと弾む声が響き、リリとアルフィンレーヌは声の元へ。
 伸びた小枝をそっとよけて近づくと、子供達が倒木に座っていた。ネーベルも女の子に撫でられ気持ちよさそうである。
「こんにちは」
 警戒されぬようアルフィンレーヌは優しく声をかけ、
「ネーベルったらここにいたのですね」
 リリの声に黒猫はにゃんと鳴く。
「このねこ、おねえちゃんの?」
「はい、私はネーベルと旅をするお姉さんです。お腹はすいていませんか? よければドーナツをどうぞ」
「おまんじゅうもありますよ」
 座っていた子供達へリリとアルフィンレーヌはドーナツとおまんじゅう、お茶を振舞われると森の中でささやかなお茶会となった。
 聞けば子供達は悪い奴らを見てしまい、大人達へそれを伝えるために村に戻る途中。おなかもすいていたし喉もカラカラだった子供達にとってドーナツとお饅頭はお腹を満たすには十分であったし、お茶の潤いはとても喜ばれた。
「ドーナツすごくおいしいね」
「うん! すごくおいしい」
「それは良かったです。まだありますよ」
 にこにこ笑顔の子供達はリリから新たに受け取ったドーナツをおいしそうに頬張り、お茶を一口。
 アルフィンレーヌが用意したお饅頭も子供達に大好評。
「さぁ、どうぞ。たっくさんあるから、遠慮しなくてもいいのよ?」
「ありがとう! おまんじゅうおいしいね」
「もうひとつください!」
 お饅頭にドーナツ、温かなお茶。疲れを癒すささやかなひととき。
「こわい思いをしたのに、思い出させて申し訳ないのだけれど、悪者がどの辺りにいるのわかる?」
「どんな悪者かお姉さんたちに教えてくれませんか?」
 刺激しないよう細心の注意を払いながらのその声に子供達の表情がきゅっと引き締まった。
「たくさんいたの」
「すっごくこわいやつだよ!」
「おおきな、えーと、おとうさんがつかう……」
「はんまーだよ!」
「すごーくおおきなはんまーだよ!」
「なるほど。ハンマーを持った大男ですか……おそらく、奴ですね」
 子供達の言葉を聞くリリは思わせぶりな台詞をぽそりと口にするとネーベルがにゃーんと鳴いた。
 おなかいっぱい食べ、幸せな顔をしていた子供達だが、くしゃりと顔をゆがめ、涙を流す子供さえいるではないか。
「こわいーよ! またわるいやつらがくるよ!」
「おうちこわされちゃう」
「こわいよー」
 泣きじゃくる子供達を目に二人の心はちくんと痛んだ。
 ここはかつて『王』と呼ばれる1体のオブリビオンによって支配され、ヒーロー――猟兵達の手により平和を取り戻した地。その平和は悪の手により握りつぶされようとしているのだ。
(「子供たちがまた、元気に遊びまわれるように、早急に悪党ども見つけ出し、滅殺しなくてはならないわね」)
 子供たちの頭を撫で、アルフィンレーヌは決意を胸に誓い、
「みんな、悪党どもはどこにいるか分かるかな?」
「もりのむこうだよ」
「おかあさんは『きぼうへいげん』っていってた」
 こぼれる涙を優しく拭うと、子供達は教えてくれた。
 森の向こう、『希望平原』。
「教えてくれてありがとう」
 にこりと笑んだアルフィンレーヌはおもむろに用意したお饅頭の山をものすごい勢いで平らげ始めた。涙する子供達もぽぽぽぽぽんとリズミカルに口の中へ吸い込まれていく様子に思わず目を丸くしてしまう。
 聞き取れぬ呟きと共にアルフィンレーヌの体をやわらかな星の光が包み、
「では、ちょっと行ってくるわね。お茶会のつづきは、またあとでね」
 優しい微笑みと共に星の光は空高く飛翔する。上空からでも手を振る子供達の姿はよく見えた。
 手を振りながら偵察へと向かったアルフィンレーヌを見送り、残ったのは子供達とリリ。
「おねえさんだいじょうぶかなあ」
「わるいやつら、いっぱいいたよ」
 すこしばかり不安をこぼす子供達だが、大丈夫。
「心配御無用。噂によると、百億馬力のスーパーヒロイン『ブラックにゃん娘』がこの地に来ているそうです」
「ぶらっくにゃんこ?」
「にゃんこちゃん?」
 ちょっぴり設定を盛りつつ話すリリの説明に子供達は顔を見合わせ、ネーベルをじーっと見つめたり。
「つよい?」
「わるいやつやっつけてくれるかなあ」
「百億馬力のスーパーヒロインですからね」
 不安そうな子供達へとリリは力強く頷いてみせ、さらに話す。
「きっと、彼女が悪者たちを成敗してくれるはず。ただし、百億馬力を発揮するためには皆の応援が必須なんです。『ブラックにゃん娘』が現れた時には応援してあげてくださいね」
「うん!」
「まかせて!」
「いっぱいおうえんするよ!」
 きっと子供達の前にスーパーヒロインは現れるであろう。
「さて、そろそろ私も行きましょう。転んだりしないよう、気を付けて帰ってくださいね」
 すっと立ち上がるリリの声に応えるように子供達から離れたネーベルはお別れを告げるように尻尾をゆらんと振って見せた。
「きをつけてね、おねえちゃん」
「はい、ありがとうございます」
 優しい笑顔と共に手を振り、子供達の声を背に旅人のお姉さんは森を後にする。
 どことなく只者ではない感じがする旅人のお姉さんが向かう先はアルフィンレーヌが向かった場所。
 百億馬力のスーパーヒロイン『ブラックにゃん娘』もまた、そこへと向かっているだろう。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴