9
戦え! みんなのスーパーヒーロー!!

#アックス&ウィザーズ #戦後 #群竜大陸

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ
🔒
#戦後
🔒
#群竜大陸


0




●浮遊岩諸島に悪が立つ
「ぐふふふふ、ぐわーっはっはっは!」
 平和だった地に悪の声が響き渡った。
 巨大なハンマーを担ぐ男はどずんとそれを地に置くと、重みで地面がめこりとへこんでしまう。
「ふん、何もなさそうな場所だなあオイ」
 つまらなそうに言いながらぐるりと見渡す大男は更に周囲を見渡した。
 爽やかな風に木々は葉を揺らし、花は踊り、鳥は歌う。
 緑豊かな大地は今まさに踏み荒らされようとしているのだ。
「まあいい、とりあえずは略奪だ! 金に女! あとメシだメシ! 今日からここはオレ様のモノだ!!」
 再び響く悪の声。
 それを聞くモノ達は怯え震える事しかできない。
 誰か、誰か助けて――!
 悲痛な叫びは果たして届くかどうか。

●悪を倒すはヒーローの務め
「おいお前達、これから浮遊岩諸島へ行くぞ!」
 グリモアベースの一角で海老名・轟(轟く流星・f13159)は猟兵達へと声をかけた。
 帝竜ヴァルギリオスとの戦い――『帝竜戦役』も終結し一件落着と思いきや、群竜大陸は極めて危険な土地であり、オブリビオンの残党も多く蠢いている。
 浮遊岩諸島もそんな地域の一つであり、グリモア猟兵は再びその地へ向かおうとしているのだ。
「お前達覚えているか? 浮遊岩諸島は全ての浮島が独立した生態系を持っていて『王』と呼ばれる1体のオブリビオンが全てを支配しているというあの場所だ。今回は帝竜戦役で王を倒して平和になった浮遊岩諸島の一つに新たな『王』が現れちまった訳でな」
「新たに現れた王を倒せばいいんだな?」
 猟兵達の理解は早く、その声を聞いた轟は頷きながら資料を取り出し説明を始める。
 とはいえ帝竜戦役で戦った地。猟兵達も戦い方は覚えていた。
「確か浮島にいる奇妙な生物達の支援を得ることができれば『王』との戦いが有利になるんだっけか」
「ああ、そうだったな」
 戦った事がある猟兵達は言葉を交わしながらかつて戦った地の話の話題に花が咲き、
「私達が行く場所の生物達から支援をもらうにはどうしたらいいのかしら」
 一人の猟兵の問いに他の猟兵達の会話はぴたりと止まった。
 強力な敵相手に必要不可欠な要素を聞くべく猟兵達はじっと見つめ、
「俺がお前達を送る浮遊岩諸島に生息する生物達はな、ヒーローが大好きなのさ!」
 ビシッと決めておっさんは言い放った。
「ほう、ヒーローか」
「ああ、ヒーローだ」
 にっと笑いながら話す轟が言うには、生物達は悪を倒すカッコいいヒーローが大好きなのだという。当然、支援を求める為に必要なのもヒーローである。
 それは可愛い魔法使いであり、輝き戦うメタルヒーローであり、何かを抱え戦うダークヒーローであり、輝く一撃と共に悪を討つヒーローであり。
「そう! 悪を倒すお前達はヒーローなのさ!」
 との事だ。

 グリモア猟兵の後ろは既に浮遊岩諸島があった。
「って訳で行くぞヒーロー達! ……なに、準備ができていない? 気にすんな。ノリと勢い、あとは勇気と度胸さえあればなんとでもなるさ」
 言い終えた轟だが不安げな表情を見せた猟兵へ更に言葉を続けた。
「どんな相手が敵になろうとも最後に勝つのは正義と相場が決まっている。何も恐れるな、行くぞ!」
 こうしてヒーロー達は戦いの地へと赴くのだった。


カンナミユ
 カンナミユです。
 浮遊岩諸島に新たなる脅威が襲い掛かる。
 巨悪を倒し、平和へと導くには皆さんの力が必要です!

 第一章では、不思議な生物たちと交流しつつ敵の情報収集をして、
 第二章では、襲い掛かる絶対不敗の敵を叩き潰し、
 第三章は、新たに現れた『王』を倒します。
 プレイングは追加情報を確認の上でお願いします。

 それではプレイングお待ちしております。
57




第1章 冒険 『群竜大陸の探索』

POW   :    地道に歩き回って情報を集めたり、あえて危険な場所に踏み込んで捜索する

SPD   :    潜伏するオブリビオンの痕跡を見つけ出し、隠れ場所を突き止める

WIZ   :    オブリビオンの行動を予測して網をはったり、偽情報で誘き出したりする

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●再来せよヒーロー!
 爽やかな風に木々は葉を揺らし、花は踊り、鳥は歌う。
 平和な日常の中、楽しげにはしゃぎ笑う子供達だが恐ろしい音に思わず目を見開いた。
「ぐふふふふ、ぐわーっはっはっは!」
 それは野太い、どこまでも響く咆哮。
 武器を手にする大男の後ろには鎧をまとった男たちが並んでいるではないか。
 わるいやつらだ。
 子供達は直感でそれを感じ取った。
「ふん、何もなさそうな場所だなあオイ」
 皆にとって大切な場所だというのに大男はつまらなそうに言い、
「まあいい、とりあえずは略奪だ! 金に女! あとメシだメシ! 今日からここはオレ様のモノだ!!」
 巨大な得物をずぶんと振り上げて男は吼えるように声を上げると、後に続く男達もおおーっと声を上げる。
 何という事だ。
 せっかく取り戻した平和な大地があの男たちに踏み荒らされようとしているのだ。
「たいへんだ」
「どうしよう」
「こわいよ」
 木々の間に隠れる子供達は小さくささやきあい、
「みんなのところへかえろう」
 小さな声に他の子供達も頷いた。
「きっとまたヒーローがたすけにきてくれる」
「そうだね」
「かえろう、わるいやつらのことみんなにつたえなきゃ」
 子供達はみんなが暮らす集落へと静かに逃げていく。
 ――きっとまたヒーローが助けに来てくれる。
 その思いを胸に、ひたすら子供達は逃げていった。 

====================
※1章のプレイングについて(注意:アドリブがそこそこ入るリプレイになる予定です)。
 1章では不思議な生物たちと交流しつつ敵の情報収集を行い、アジトを探します。
 不思議な生物達は人間の姿をしており、オープニングで説明されたようにヒーローが大好きです。
 変身した姿で接触すれば大喜びするでしょう。
 情報を聞き出しつつ子供達と交流するのも楽しいですよね。
 変身前の状態で接触して「自分はヒーローの知り合いがいるからピンチを伝えてあげる」と話して情報を聞き出し、2章でヒーローとして登場するのもカッコいい演出です!
 もちろん不思議な生物達と接触せず、自分の経験や勘からアジトを探すのもオッケーですよ!
 2章で颯爽と現れるヒーローもまたカッコいいですよね。

 この章で変身して登場、もしくはヒーローの名前を出す場合はプレイングに「ヒーロー名」「どのような格好か」「どんなヒーローか」などを記入して下さい。
====================

※プレイングは6月30日(火)AM8:30からお願いします。
キャプテン・ハマーヘッジ
「ここか、ヒーローの到来を求めている世界は…!」宇宙紳士であるキャプテン・ハマーヘッジは周囲を見回した。彼はレトロな宇宙服と年代物の光線銃を装備した、自身に満ち溢れる巨漢だ。「ヒーロー…それは即ち猟兵、そして私のような宇宙紳士のことだな!おお、そこの子供たち、この宇宙紳士の助けは必要ないかな!?」と言って話を聞こうとします。
彼は"ヒーロー"とは何かをいまいち理解してはいないし、変身することもできない。しかし、"宇宙紳士"としての己のルックスと生き様には絶対の自信と誇りを持っているのだった。


アテナ・カナメ
【心情】ヒーローが好き…丁度いいわね!子供達に色々聞いてみようかしら…

【心情】君たち、悪い人がいるって聞いたんだけどどこだかわかる?私?私はスーパーヒロイン、アテナマスクよ!って感じで色々聞いてみようかしら。子供達との交流については子供達がやることに付き合うって感じで行くわね!
(絡み・アドリブOK)



 空を見上げれば雲一つない晴天が広がり、小鳥達はすいと舞う。
「ここか、ヒーローの到来を求めている世界は……!」
 緑豊かな大地を眺め、正義と自由と冒険のために宇宙を駆けるナイスガイ――キャプテン・ハマーヘッジ(スペースノイドのブラスターガンナー・f28272)は思わずつぶやいた。
 のどかで平和なこの地に巨悪の手が伸ばされ、つぶされるのも時間の問題。
 早く敵の情報を聞き出さねば。
「子供達は集落に向かっている筈。子供達に色々聞いてみようかしら……」
「よし、行こう!」
 燃え滾る炎のごとく深紅の髪が揺れ、駆けだすアテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)の後に遅れぬようキャプテンもまた森へと入っていく。
 ――と、森に入りさほど進まないうちに子供の泣き声が二人の耳に入ってきたのだ。
「子供の泣き声が聞こえるぞ」
 走っていたキャプテンは足を止めて耳を澄ませると、アテナもまた周囲を見渡し声を聞く。
「近いわね……あっちかしら」
「まさか敵か? 急がねば!」
 最悪の事態が脳裏をよぎるアテナとキャプテンは万が一の戦いに備えつつ声がする方へと一直線。
 木々を抜け倒木を飛び越え近づく声。
「大丈夫か!」
 駆けつけ見れば、ああ何という事だ。小さな男の子が倒れているではないか。
 倒木が倒れた男の子の足を押さえつけてしまっている。ほかの子供達もどうにかして助けようと試みているが、子供の力はか弱く非力である。
「いたいよーたすけてー」
「よし、宇宙紳士であるキャプテン・ハマーヘッジに任せなさい」
 レトロな宇宙服と年代物の光線銃を装備した、自信に満ち溢れる巨漢は胸を張り挟まれた男の子の元へと向かうと木をむんずとつかむと軽々持ち上げた。そのまま遠くへぽいと投げると、ずずんと大きな音が響く。
「大丈夫? ケガはない?」
 よろよろと立ち上がる男の子のあちこちについた汚れを払い落とながらアテナは優しく声をかけた。
 木の隙間に足が挟まったのか、擦りむいた膝から少し血がにじんでいるだけで大きなケガはしていないようだった。安堵の息をつき、手早く応急処置を施した。
「ありがとう、おねえちゃん」
「おにいちゃんとおねえちゃんはどうしてここに?」
 痛みも引いたのか礼を言う男の子のそばにいた女の子がアテナとキャプテンへと問いかける。他の子供達も見慣れない大人に少しばかり怪訝な顔をするが、ここはぐっと拳を言を胸に、声を張り言いあげるべきだろう。
 ――俺がお前達を送る浮遊岩諸島に生息する生物達はな、ヒーローが大好きなのさ!
「おお、そこの子供たち、この宇宙紳士の助けは必要ないかな!?」
「君たち、悪い人がいるって聞いたんだけどどこだかわかる? 私? 私はスーパーヒロイン、アテナマスクよ!」
 自信に満ち溢れた声と立ち姿に子供達の表情は一瞬にして輝いたのを二人は目にした。
 かっこいい宇宙服、さっと吹く一陣の風になびくマントに身を包むヒロイン。子供達は自分達の目の前に現れ助けてくれたのがヒーローだと理解したのだ。
「たすけてくれてありがとう! つよいんだね!」
 ケガをした足でひょこっと近づいてくる男の子はにこにこと満面の笑顔と共にぺこりとお辞儀する。
「ぼくみたよ! わるいやつ」
「わたしもみたの。おおきなぶきをもったひとと、こーんなながいぶきをもったひとがいーっぱい!」
「たくさんいたよ」
「いーっぱいいたの!」
 子供達はそれぞれが見たことをそれぞれ話していく。聞いて分かるのは大きな武器を持った、おそらくリーダー格の敵が1体、それに長い、恐らく槍のような武器を持った部下が沢山。
 そして、
「わるいやつらをかっこいいひとたちがたおしてくれたの」
「きらきらするぶきでね、えいって!」
「でもまたわるいやつらがやってきたの……」
 襲われた村がヒーロー達の尽力によって救われ、再び狙われているという事。
「アテナマスクのおねえちゃん、うちゅうしんしのおにいちゃん」
「わるいやつらをやっつけてほしいの」
 他の子供達が怪我をしていないか確認していたアテナマスクは子供達の頭を優しくなで、あふれる涙をそっとぬぐう。
「あのね、わるいやつがいっぱいいるばしょみたの」
 こぼれる涙もようやく落ち着いた子供はそっとアテナマスクの耳元でその場所を口にし、
「ふむふむ……そうか!」
 次いで打ち明けられたその場所を聞き宇宙紳士は大きく頷いて見せた。
「教えてくれてありがとう。あとは私達に任せて!」
「悪い奴らは必ず倒すからな!」
 マスクの奥の瞳は心優しい子供達を見つめ、感謝の気持ちと共にぐっと拳を握りしめると宇宙紳士も光線銃を構えてみせた。
「じゃあ私達は悪い奴らのアジトへと向かうわ」
「君達は安心して村へ戻るんだ。転ばないようにな」
 そう言い残しヒーロー二人は子供達の声援を背にアジトへ向かう。
 燃える正義の炎を胸にスーパーヒロインは駆ける。だがキャプテンは『ヒーロー』とは何かをいまいち理解してはいなかった。
 変身することもできない。だがしかし、『宇宙紳士』としての己のルックスと生き様には絶対の自信と誇りを持っている。
 迷いなどない。
「悪は絶対に許さない! どんな相手だろうと必ず倒す!」
 頷くアテナマスクと共に宇宙紳士は地を蹴りアジトへと向かっていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リリ・リーボウィッツ
王道に従い、最初は正体を隠して子供たちに接触しましょう。
「一見普通だけど、どことなく只者ではない感じがする旅人のお姉さん」を装って、可愛いネーベル(黒猫)と美味しいドーナツで警戒心を解きほぐしつつ、敵の情報を聞き出します。

なるほど。ハンマーを持った大男ですか……おそらく、奴ですね(思わせぶりな台詞を言ってみる)。
でも、心配御無用。噂によると、百億馬力(盛りまくり)のスーパーヒロイン『ブラックにゃん娘』がこの地に来ているそうです。きっと、彼女が悪者たちを成敗してくれるはず。
ただし、百億馬力を発揮するためには皆の応援が必須なんです。『ブラックにゃん娘』が現れた時には応援してあげてくださいね。


アルフィンレーヌ・ティタンルミエール
アドリブ、連携、歓迎

(子供たちがまた、元気に遊びまわれるように、早急に悪党ども見つけ出し、滅殺しなくてはならないわね)

「さぁ、どうぞ。たっくさんあるから、遠慮しなくてもいいのよ?」
まず、おまんじゅうとお茶でお茶会を開く【料理/奉仕】

「こわい思いをしたのに、思い出させて申し訳ないのだけれど、悪者がどの辺りにいるのわかる?」
親交を深めつつ、情報を聞き出し【礼儀作法/優しさ】、探索すべき場所の絞り込みを行う。詰問したり、無理強いはしない。

頃合いを見て、おまんじゅうを食べまくり【大食い】、UCを発動。あたりを付けた場所を上空より偵察
「では、ちょっと行ってくるわね。お茶会のつづきは、またあとでね」



 静寂に包まれる森の中をリリ・リーボウィッツ(CROWBAR CAT・f24245)とアルフィンレーヌ・ティタンルミエール(ユルティムメール・f28065)は進んでいた。
 この地に再び現れた悪を目にした子供達が森へと入っていったのを二人は見ており、接触すべく歩いている。
 ――と、
「声が聞こえますね」
 足を止め、耳を澄ませるアルフィンレーヌの声にリリも歩を止め、注意深く聞き澄ますと確かに声が聞こえてくる。
 大人、ましてや悪漢どもの声ではない。となれば声の主たちは集落へ戻ろうとしている子供達であろう。
「ネーベル、お願い」
 傍にちょこんと座る黒猫はリリの声にゆらりと尾を揺らすとしなやかな体はさっと声の方へと駆けていく。ほどなくしてわあっと弾む声が響き、リリとアルフィンレーヌは声の元へ。
 伸びた小枝をそっとよけて近づくと、子供達が倒木に座っていた。ネーベルも女の子に撫でられ気持ちよさそうである。
「こんにちは」
 警戒されぬようアルフィンレーヌは優しく声をかけ、
「ネーベルったらここにいたのですね」
 リリの声に黒猫はにゃんと鳴く。
「このねこ、おねえちゃんの?」
「はい、私はネーベルと旅をするお姉さんです。お腹はすいていませんか? よければドーナツをどうぞ」
「おまんじゅうもありますよ」
 座っていた子供達へリリとアルフィンレーヌはドーナツとおまんじゅう、お茶を振舞われると森の中でささやかなお茶会となった。
 聞けば子供達は悪い奴らを見てしまい、大人達へそれを伝えるために村に戻る途中。おなかもすいていたし喉もカラカラだった子供達にとってドーナツとお饅頭はお腹を満たすには十分であったし、お茶の潤いはとても喜ばれた。
「ドーナツすごくおいしいね」
「うん! すごくおいしい」
「それは良かったです。まだありますよ」
 にこにこ笑顔の子供達はリリから新たに受け取ったドーナツをおいしそうに頬張り、お茶を一口。
 アルフィンレーヌが用意したお饅頭も子供達に大好評。
「さぁ、どうぞ。たっくさんあるから、遠慮しなくてもいいのよ?」
「ありがとう! おまんじゅうおいしいね」
「もうひとつください!」
 お饅頭にドーナツ、温かなお茶。疲れを癒すささやかなひととき。
「こわい思いをしたのに、思い出させて申し訳ないのだけれど、悪者がどの辺りにいるのわかる?」
「どんな悪者かお姉さんたちに教えてくれませんか?」
 刺激しないよう細心の注意を払いながらのその声に子供達の表情がきゅっと引き締まった。
「たくさんいたの」
「すっごくこわいやつだよ!」
「おおきな、えーと、おとうさんがつかう……」
「はんまーだよ!」
「すごーくおおきなはんまーだよ!」
「なるほど。ハンマーを持った大男ですか……おそらく、奴ですね」
 子供達の言葉を聞くリリは思わせぶりな台詞をぽそりと口にするとネーベルがにゃーんと鳴いた。
 おなかいっぱい食べ、幸せな顔をしていた子供達だが、くしゃりと顔をゆがめ、涙を流す子供さえいるではないか。
「こわいーよ! またわるいやつらがくるよ!」
「おうちこわされちゃう」
「こわいよー」
 泣きじゃくる子供達を目に二人の心はちくんと痛んだ。
 ここはかつて『王』と呼ばれる1体のオブリビオンによって支配され、ヒーロー――猟兵達の手により平和を取り戻した地。その平和は悪の手により握りつぶされようとしているのだ。
(「子供たちがまた、元気に遊びまわれるように、早急に悪党ども見つけ出し、滅殺しなくてはならないわね」)
 子供たちの頭を撫で、アルフィンレーヌは決意を胸に誓い、
「みんな、悪党どもはどこにいるか分かるかな?」
「もりのむこうだよ」
「おかあさんは『きぼうへいげん』っていってた」
 こぼれる涙を優しく拭うと、子供達は教えてくれた。
 森の向こう、『希望平原』。
「教えてくれてありがとう」
 にこりと笑んだアルフィンレーヌはおもむろに用意したお饅頭の山をものすごい勢いで平らげ始めた。涙する子供達もぽぽぽぽぽんとリズミカルに口の中へ吸い込まれていく様子に思わず目を丸くしてしまう。
 聞き取れぬ呟きと共にアルフィンレーヌの体をやわらかな星の光が包み、
「では、ちょっと行ってくるわね。お茶会のつづきは、またあとでね」
 優しい微笑みと共に星の光は空高く飛翔する。上空からでも手を振る子供達の姿はよく見えた。
 手を振りながら偵察へと向かったアルフィンレーヌを見送り、残ったのは子供達とリリ。
「おねえさんだいじょうぶかなあ」
「わるいやつら、いっぱいいたよ」
 すこしばかり不安をこぼす子供達だが、大丈夫。
「心配御無用。噂によると、百億馬力のスーパーヒロイン『ブラックにゃん娘』がこの地に来ているそうです」
「ぶらっくにゃんこ?」
「にゃんこちゃん?」
 ちょっぴり設定を盛りつつ話すリリの説明に子供達は顔を見合わせ、ネーベルをじーっと見つめたり。
「つよい?」
「わるいやつやっつけてくれるかなあ」
「百億馬力のスーパーヒロインですからね」
 不安そうな子供達へとリリは力強く頷いてみせ、さらに話す。
「きっと、彼女が悪者たちを成敗してくれるはず。ただし、百億馬力を発揮するためには皆の応援が必須なんです。『ブラックにゃん娘』が現れた時には応援してあげてくださいね」
「うん!」
「まかせて!」
「いっぱいおうえんするよ!」
 きっと子供達の前にスーパーヒロインは現れるであろう。
「さて、そろそろ私も行きましょう。転んだりしないよう、気を付けて帰ってくださいね」
 すっと立ち上がるリリの声に応えるように子供達から離れたネーベルはお別れを告げるように尻尾をゆらんと振って見せた。
「きをつけてね、おねえちゃん」
「はい、ありがとうございます」
 優しい笑顔と共に手を振り、子供達の声を背に旅人のお姉さんは森を後にする。
 どことなく只者ではない感じがする旅人のお姉さんが向かう先はアルフィンレーヌが向かった場所。
 百億馬力のスーパーヒロイン『ブラックにゃん娘』もまた、そこへと向かっているだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミニョン・エルシェ
旭おじさま(f25871)と参加
叔父、姪の関係なのです。扱いが雑?母からその様に扱えと聞いているのです。

もう、恐れる事は無いのです、子どもたちよ。
そこの…ええと、ロード・ハガネ…でいいんでしたっけ?…と、
このサムライ、ミニョの守が悪漢どもを討ち果たしてしんぜよう。(眼鏡きらーん!)
…具足姿、ヒーローっぽく見えます?

子どもさんたちと交流しつつ、私は得た情報を整理。
私の特技は城跡、過去の人々の痕跡から歴史を紐解くこと。
それは生きた存在にも応用は効くでしょう。
傍若無人な傾向が見える上、多人数。己の痕跡を丹念に消す様な真似は、恐らくしない…足跡、焚火や食べかす、幾らでも見つかりそうなのです。


水無瀬・旭
姪のミニョン(f03471)と

『正義という名の暴力』か…。
それでも、その『悪』を為す事で子どもたちの希望になるなら…俺も進んで『正義』を名乗るかな。
『善悪の折返し鍛錬、鍛造した一振りの『正義』。ロード・ハガネ、君たちの大切な場所を取り戻すよ。』

子どもたちと話す時は、視線の高さを合わせ。遊ぶ時は子どもたちのペースに合わせ。
その『わるいやつら』がどれ程居たかや、特徴なども聞いておこうかな。
『大丈夫、おじさんも、ミニョの守も、君たちの声が有れば、わるいやつらになど負けはしないさ。…ヒーロー、だからね。』

とても大らかな性格で、
姪の言動には律儀にツッコミを入れたり、笑って応じたりします。



 静寂な森に耳をすませば、風に揺れる葉音がさらさらと聞こえてくる。
 この地に新たに現れた『王』を倒すべくミニョン・エルシェ(木菟の城普請・f03471)と水無瀬・旭(両儀鍛鋼・f25871)は情報を得る為に深い森の奥へと進んでいた。
「『正義という名の暴力』か……」
 伸びる蔦をそっとよけ、旭は小さく口にする。
 少しばかり表情が曇ると胸の内には様々なものが過り――ミニョンはそんな叔父へ目もくれずさっさと進んでしまう。
 おや、何やら訳アリはモノを抱えている様子ですがスルーしますかミニョンさん。ちょっと扱いが雑すぎませんかね?
「母からその様に扱えと聞いているのです」
 なるほど。
「む、なにやら声が聞こえてきます」
 叔父をそのままにスタスタ歩いていくと騒がしい声がする。声の方へとさらに進むと森は開かれ集落が見えてきた。
 頷く姪と共に向かうと集落の入り口では子供達が大人達へ必死に訴えているようである。
「たいへんだよ! わるいやつらがまたきたよ!」
「いっぱいいたの!」
「いーっぱいいたよ!」
 少し離れていても聞こえるその声を聞きながら二人は近づいていくと必死に話す子供達に大人達も深刻な事態に表情を険しくする様子も伺えた。
 ここには必要なのだ。平和を脅かす悪を討つ『正義』が。
「もう、恐れる事は無いのです、子どもたちよ」
 少しばかり距離をおき、ミニョンが誰にでもなく話しかけるとすべての視線が一斉に二人へと向いた。
「えっと……ええと……」
 花の髪飾りをつけた女の子がミニョンと旭をじっと交互に見つめてもじもじする。見慣れぬ人物に何を言うべきか迷っているのだろう。
 迷っているのなら、こちらから言ってしまえばいいのだ。
「そこの……ええと、ロード・ハガネ……でいいんでしたっけ?」
 眼鏡の奥でちらっと目配せし、隣からの確認がとれたミニョンはここぞとばかりに胸を張る。
「……と、このサムライ、ミニョの守が悪漢どもを討ち果たしてしんぜよう」
 きらーん!
 魔力が込められた丸眼鏡がきらりと光り、周囲からはおおーっと歓声が沸き上がった。
「……具足姿、ヒーローっぽく見えます?」
 こそっと聞けば叔父は小さく頷き、
「サムライさん!」
「カッコいいー!」
 嬉しそうにはしゃぐ子供達だが、髪飾りをつけた女の子は旭をじーっと見つめている。
「おじさんもせいぎのひーろーなの?」
 正義。
 その単語に内心がかすかに痛む。
 かつて己を『悪』と称し、『正義』を探求し続けた男は『正義という名の暴力』――その『悪』を為す事で子どもたちの希望になるのなら。
 ――俺も進んで『正義』を名乗るかな。
「善悪の折返し鍛錬、鍛造した一振りの『正義』。ロード・ハガネ、君たちの大切な場所を取り戻すよ」
「ありがとう、ハガネのおじさん」
 笑顔を見せるその顔はついさっきまで泣きじゃくっていたのだろう、目が真っ赤で涙の跡も濡れているではないか。
「大丈夫、おじさんも、ミニョの守も、君たちの声が有れば、わるいやつらになど負けはしないさ。……ヒーロー、だからね」
「ありがとう、たすけにきてくれて」
 膝をつき目線を合わせた旭がそっと濡れた頬をぬぐうと他の子供達の頭を優しくなでてあげた。
「まさか再び『王』が現れるとは」
「ああ恐ろしい」
 集落の大人達はそんな言葉を交わしているが、ここには再び現れた希望がいるではないか。
「子どもたち、そして大人たちよ、悪漢どもを討ち果たすために情報があれば教えてくれないかな?」
 丸眼鏡がきらりと輝くサムライの声に大人から子供までがわっと集まり、沢山の情報が一斉に集まってきた。
「こーんなおおきなはんまーもってたよ!」
「いっぱいいたの」
「ながいぶきをもってたよ」
「あれ程の部下を連れているとは思わなんだ」
「もりをぬけたところにむかってたよ」
「ものすごーくおおきいの!」
「きっとあの平原にいるに違いない」
 本当に一斉に集まりまくった。
「……んっ、ちょ、ちょっと待たれよ。一人ずつ順番に話してくれぬか」
「さすがに一度には聞き取れないようだね、ミニョの守」
 くすりと笑いながら遊ぶ旭もまた子供達から情報を聞き取ると、二人が収集した情報から敵がいるであろう場所の目星は大体ついた。
 放置しておけばいずれここにも敵はやってくるに違いない。
「ではこのサムライ、ミニョの守とロード・ハガネが悪漢どもを討ち果たしてみせよう!」
「おじさん達がわるいやつらを退治できるように応援してくれると嬉しいな」
「するよ! いーっぱいするよ!」
「がんばってね!」
 力いっぱい手を振る子供達の声援に二人は手を振り返しながら集落を後にする。
「きをつけてねー!」
「まけるなー!」
「がんばれー!」
 叫ぶほどの子供たちの声援はいつまでも聞こえる。それを背に人々の希望となったミニョンと旭は森を抜けた。
 城跡、過去の人々の痕跡から歴史を紐解く事を特技とするミニョンの能力が役立った。
 集落で得た情報から敵は傍若無人な傾向が見える上に多人数。己の痕跡を丹念に消す様な真似は、恐らくしないだろう。
「予想通りです」
 かすかに眼鏡がきらりと光る。
 食事をしたであろう焚火がそのままの状態で残っていた。しゃがんで手を近づけてみるとほのかにあたたかい。火が消えてから時間がたっていないという事か。
「かなりの大人数のようだし、移動した形跡も残っているね」
「あれを辿れば敵の居場所まで一直線ですね。行きましょう、旭おじさま――」
 言葉を交わす間に具足がかちゃりと鳴り、
「では参ろうぞ、ロード・ハガネ」
「仰せのままに、ミニョの守」
 二人のサムライは敵の拠点目指して歩き出すのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『絶対不敗・負けナイト』

POW   :    我が盾は無敵!誰にも破れない!
対象の攻撃を軽減する【盾を構えた防御型の姿】に変身しつつ、【盾による殴打や槍】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    完全に見切った!同じ手は通用しない!
【槍と旗の攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    この戦いが終わったら
【故郷の恋人の話をしながら限界突破モード】に変形し、自身の【生存フラグ】を代償に、自身の【攻撃速度と攻撃力】を強化する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●激突! 絶対不敗の旗を折れ!
 希望平原。
 その名の通り、人々に希望を与えた平原である。
 かつてこの地には『王』がいた。人々を暴力と恐怖で苦しめ、助けを求めようにもここは浮島の一つでしかなく外部から旅人が来る事も滅多にない。
 耐える事しかできなかった苦しい日々は突如現れたヒーローによって終止符を打つ。
 悪は倒れ、戦いの地は人々の希望の地となり『希望平原』と名付けられた――が、新たに現れた王はそのようないわれは知らないし、知っていたとしても、だからどうしたとあっさり一蹴したであろう。
「おいお前達、準備はできているか?」
 空腹も満され、さてこれから襲撃しようといったところである。
 王の声に配下達はそれぞれ持っている槍を高々とかがけてみせた。
「「「「「準備完了、いつでもオッケーです!!」」」」」
「よしよし、……そういえばあの森に向かって道が続いていたな。誰かいるに違いない。よしお前達、まずはあの森の木をぜーんぶ切り倒して丸裸にして、それから金目のモノを片っ端からいただくぞ!!」
「「「「「おおーっ!!」」」」」

 さあ大変、このままでは木々はすべて倒され集落が襲われてしまう。
 いそげヒーロー! 人々を悪の手から救う為に立ち向かうのだ!!


====================

※プレイングについて(注意:アドリブが多い章となります)
 この章では『王』の配下である絶対不敗のナイト達との戦闘になります。
 指定したユーベルコード以外に所持している武器で攻撃したり、子供達が喜ぶショーのような殺陣や大立ち回りがアドリブで入ります。
(イメージ的には以前運営したシナリオ『クリスマス! 真っ赤に輝けぼくらのヒーロー!』『戦え! ぼくらのスーパーヒーロー! ふたたび!』のような戦闘描写になります。)
 以下の内容をプレイングに記入していただけると盛り上がります。
 もちろん普通のプレイングでも大丈夫ですよ!
 
・敵に対しての声かけと名乗り
 悪の前に立つあなたは立派なヒーローです!
 「そこまでだ!」「お前達の好きにはさせない!」など言い放って登場するとカッコいいですよね。
 場所は高台やちょっとした頑丈な岩がある場所なので、高い場所からジャンプして着地! というのもいいですね。
 当然、敵からお前は誰だと問われるでしょう。ビシッとポーズを決め、名乗りをお願いします。
 名乗らず戦うヒーローもクールでカッコいいですね!

 2章からの参加も大歓迎!
 悪を倒すためにはヒーローである皆さんの力が必要です!
 2章から参加される方はヒーロー名、どのような姿かをプレイングに記入をお願いします。

====================

※プレイング7月9日(木)AM8:30より受付します。
ミニョン・エルシェ
【暁】
ふむ。長い武器の、たくさんいる方でしたか。
いきましょう、おじ…こほん。
征こうぞ、ハガネ。

無敵の盾。対抗したくなりますが、
前哨戦はさくっと片付ける方が、後の頭目との戦いが映えるというもの。ヒーロー的に。(眼鏡きらん!)
其方が無敵というならば、此方はズルで対抗です。
敵を『踏み付け』足場にし、『地形利用』しての空中戦を展開しつつ…
『合わせるのです、ハガネ!ヒーロー的に!(きらん!)』
視界に堂々と収まりすぎなのです。… 時を止め、背後から木菟ノ凶爪。ハガネの一撃もおまけします。

…おじさま、おじさま。今は自分の立ち位置に悩まなくて良いのです。今のロード・ハガネは子どものヒーロー!解決!なのです。



「ようし、そうと決まればまずはあの森を丸裸にするぞ!」
 ずぶんと大きなハンマーがうなり、配下たちがおおーっと声を上げて立ち上がる。
 巨大な武器を軽々と持ち上げ王が指し示した森へ向くと、配下たちは目標めがけて歩き出そうと――、
「そこまでだ、悪漢ども!」
 どこからともなく響く声に何事かと周囲を見渡すが、声の主は見つからない。
「どこだ?」
「姿を現せ!」
 きょろきょろと周囲を見渡す配下たちだが、声は彼らのはるか上。
「おい、あそこにいるぞ!」
 気付いた一人が指さす先、高台には太陽の輝きを背に立つ二人のヒーローがいるではないか。
「ふむ。長い武器の、たくさんいる方でしたか」
 見下ろすミニョンの眼下には子供達が教えてくれたように槍を持った配下たちがずらり。
 数え切れぬほどの配下がいるようだが、ミニョン――ミニョの守には心強い存在がある。
「いきましょう、おじ……こほん。征こうぞ、ハガネ」
「ははは……了解。やろうか、ミニョの守。くれぐれも油断なきよう、抜かり無くいこう」
 うっかり口にしてしまういつもの呼び名に小さく咳ばらいする飛び立つミニョの守に続いて、旭も高台からジャンプすると二人は敵陣のど真ん中。
 突然現れた存在に配下たちはざっと下がるのを目に具足姿のヒーロー二人はちらりと目配せ。
「なんだお前達は?!」
「お前達の狼藉、このサムライ、ミニョの守とロード・ハガネは決して見逃しはしない! 覚悟するがよい!」
 きらーん!!
 輝きを放つ眼鏡がきらりと光り、旭――ロード・ハガネも手にする馬上鎗を構えてそれっぽくポーズを決めると王はぶるぶると拳を震わせ武器を振り上げた。
「サムライだとぉ? 気に食わん、やっちまえ!!」
 ずんとハンマーが地面を叩くと配下たちはミニョの守とロード・ハガネをぐるりと取り囲んだ。
 ぐるりと見回せば盾を構える配下達がずらり。
「無敵の盾。対抗したくなりますが、前哨戦はさくっと片付ける方が、後の頭目との戦いが映えるというもの。ヒーロー的に」
 再び眼鏡がきらりと光り、配下たちは二人へと一斉に襲い掛かる!
「とうっ!」
 地を蹴り襲い掛かる槍を一つ、また一つと飛び越えるミニョの守は新たに飛び出す槍を馬上鎗でまとめて薙ぎ払うと、ぐるんと回して石突で背後から奇襲を仕掛けてくる配下をどんと盾ごと押し飛ばす。
「ぐあっ」
「なんてヤツだ!」
 配下たちは声を上げるがまだまだ襲い掛かってくる。
「くらえ!」
 ぎいん! きん! きいん!
 槍と槍が打ち合い、火花を散らすともう一合。
 払っては一人増え、返しては一人増え、ミニョの守へと襲い掛かる槍はだんだんと増えてくる。
「くっ……」
 いくつもの刃を受けて身動きが取れないその背後を狙って配下が飛び出した。
「これでもくらえーっ!!」
「っ、まずい!」
 槍を受けたままでは背後からの攻撃を防げない! これはピンチだ!
 一撃を覚悟し、くっと歯をくいしばるミニョの守だが――、
「ぎゃあっ!」
「うわあ!」
「ぎゃあー!」
 背後から聞こえたのは敵の叫び声。
 握る槍をぶんと振ってよろけた敵を踏みつけ飛び上がるミニョの守の眼鏡の奥から見えたのはロード・ハガネの槍だった。
 装甲を纏い目立たぬよう駆けるロード・ハガネの槍は一人、また一人と倒していくではないか。
「見事だ、ハガネ」
 ふわんと体は新たな敵を足場に飛ぶとさらにロード・ハガネの槍が援護にと繰り出される。この援護はとても助かるが、このままでは注意が自分からロード・ハガネへと向いてしまう。それはまずい。
「さあこのミニョの守を討ち取らんとする者はいないのか! 単騎で戦う度胸すらないなら束になってかかってくるがよいぞ!」
「なんだとお!」
「ならば勝負だ!」
 眼鏡がきらーんと光ったのを見た配下達は一斉にミニョの守へと得物を向けて飛び掛かってくる。あまりの数に飛び避けようとするも相手が速すぎる。
 ――だずん!
 突如足元に突き刺さる黒炎の槍。それが何かを確認する必要さえない。
「たあっ!!」
 とんと柄に足をのせ、ミニョの守の体は宙を再び舞う!
「合わせるのです、ハガネ! ヒーロー的に!」
「ああ、最高のタイミングだよ! ……合わせて……極めるッ!」
 二人の呼吸は今まさにかちりと合い、二人の連携技がここに決まるのだ!!
「邪視起動・木菟ノ凶爪!!」
「鐵断・黒陽断!!」
 丸メガネからの瞳は敵の時をぴたりと止まると構える二ノ太刀で敵を真っ二つ! 加えてロード・ハガネの攻撃が追い打ちをかけると配下たちはひとたまりもなかった。
「「「「ぎゃあーっ!!!」」」」
 ばたばたと倒れる配下たちの中に凛と立つヒーロー二人。
(「誰かにそう呼ばれたからヒーロー、か……」)
 軽く息を整え武器を構えなおして内心でぽつりと呟くロード・ハガネだが、かすかに歓声が耳に入ってくる。
「わあー! すごーい!」
「かっこいー!」
「がんばれー! がんばれー!」
 ちらと見れば、戦う場所から離れた岩陰から子供達が応援してくれているではないか。
 どれ程敵が束になってこようとも、純粋な応援は自分たちの力となるだろう。
「……おじさま、おじさま。今は自分の立ち位置に悩まなくて良いのです。今のロード・ハガネは子どものヒーロー! 解決! なのです」
 力いっぱいの声援を耳にそっと囁くミニョの守の言葉を聞きながらも瞳は自分を応援する子供達を優しく見つめ、
「確かにそうかもしれないね。名乗った以上は全うするとも。……ありがとう、ミニョン」
「子ども達がいる事を気付かれては大変です。計画通りに前哨戦はさくっと片付けてしまいましょう」
 二人は槍を握る手にぐっと力をこめた。
「さあ次の相手は誰だ! かかってこい!」
「ぐぬぬぬぬ……お前達なにやってるんだ! さっさとやっちまえ!!」
 眼鏡がきらんと光り、王は悔し気にハンマーを振り回す。
 ビシッと構えた二人を配下たちがぐるりと取り囲んだ。これはまずい。
「むむ、これはいかん」
 囲む距離をじりじりと詰めてくる配下たちへ穂先を向けるロード・ハガネだが、ミニョの守は気づいていた。
 この地のピンチに駆けつけたヒーローは自分達だけではない事に。

成功 🔵​🔵​🔴​

キャプテン・ハマーヘッジ
「自分の命を削りながら戦っている!?それ程の覚悟を持ちながら、悪行に走るとは…なんと哀しきことか!!」
自分の命を省みない敵の姿に驚きながらも、キャプテン・ハマーヘッジは退かない。
「よろしい、ならば私の全力を持ってお前たちの目を覚まそう!宇宙紳士の誇りにかけて!!」
訓練で身につけた神速の光線銃連射で敵を牽制し、仲間の猟兵を援護します。「さあ、今の内だ皆!」という感じで。


アテナ・カナメ
【心情】あのたくさんの鎧の男達が敵ね…子供達の為にも負けられないわ!宛那(中の人)!今の私達は子供達のヒロイン、アテナマスクよ!さあ、平和を勝ち取りに行くわよ!!

【作戦】敵の攻撃は【見切り】、【残像】で回避するか、【怪力】で受け止めるわ!そこから、何人かを【2回攻撃】の【鎧無視攻撃】のヒートスタンプで【吹き飛ばした】後、64個のファイアボールを【一斉発射】して【範囲攻撃】も狙うわ!これで数を減らして行くわよ!人々に手は出させないわ!【絡み・アドリブOK】


水無瀬・旭
【暁】
ははは…了解。やろうか、ミニョの守。
くれぐれも油断なきよう、抜かり無くいこう。

鐵断・黒陽断で装甲を身に纏いつつ、『目立たない』事で、姪に注意を引き付けられている者の不意を突き、槍を振るって各個片付けようか。時折槍を足場に撃ち出すなどして、ミニョンの空中戦もサポートしようかな。

技量が低かろうと、姪のUCの影響下なら、敵の体勢が整わぬ状態で『焼却』『属性攻撃』を載せた、鐵断・黒陽断の致命的な一撃を加えられる!
『ああ、最高のタイミングだよ!…合わせて…極めるッ!!』

誰かにそう呼ばれたからヒーロー、か…。
確かにそうかもしれないね。名乗った以上は全うするとも。
…ありがとう、ミニョン。



「どうだどうだ~? これだけの人数に囲まれては手も足も出せないだろう! がーっはっはっはっはっはー!!」
 希望平原に数え切れぬほどの配下たちがぐるりと囲むとニヤリと王は大笑い。
 このままではヒーロー達が大ピンチだ!!
「ようし、やっちまえー!!」
「そうはさせるか!」
 ギュイィーン! バキューン!!
「ぐわあっ!」
「ぎゃー!」
 輝く光線が放たれ、命中した配下たちはばたばたと崩れ落ちていく。
 取り囲まれた仲間の前に颯爽と現れ光線銃を構え立つのは新たなヒーロー!
「ここは宇宙紳士、キャプテン・ハマーヘッジに任せてくれ!」
「宇宙紳士だと? そんなヤツは知らん! やっちまえ!」
「「「おおー!!」」」
 吼える王に応える配下たちは標的を切り替えキャプテンめがけて襲い掛かる!
「おりゃあ!」
 ぶん!
「くらえっ!」
 ざん!
「ええいっ!」
 ひゅんっ!
 立て続けに襲い掛かる攻撃を光線銃で撃ち弾くと胴を狙う刃をばっと避け、ばしんと銃身で叩き落す。
「すごーい!」
「キャプテンがんばれー!」
 どうやら森にいたはずの子供達が応援に駆けつけてくれたようだ。遠くからの声援に頷き応えれば、力がどんどん湧いてくる。
「どうした! お前達の力はこんなものか?」
「ぐぬぬぬぬぅ~……お前達もっと本気出せって!!」
 王のハンマーがぶんぶんと唸り上がるのを見た配下たちは槍を構え盾を構えて再び宇宙紳士へ猛突進!
「くっ……!」
 切っ先が宇宙服をかすめ飛び避けるとぶおんずぶんと槍がいくつも飛び出してくる。
 迫る盾をがんと押し、
「うおおおおおお!!」
 ばあんっ!
 押し寄せる配下を盾ごとキックで蹴り飛ばし、槍を飛び越え光線銃が閃けば、配下たちは大きくのけぞり倒れていく。
「なんだあれは!」
「まるで重力がないみたいじゃないか!」
 ぽんと宙を跳びあがる姿は正に宇宙を駆けるナイスガイ。
「自分の命を削りながら戦っている?! それ程の覚悟を持ちながら、悪行に走るとは……なんと哀しきことか!!」
 声援を胸に光線銃の引き金を引き攻撃を弾き飛ばす宇宙紳士だが、その攻撃に重なる覚悟にぶるぶると拳を震わせ決意する。
「よろしい、ならば私の全力を持ってお前たちの目を覚まそう! 宇宙紳士の誇りにかけて!!」
「やれるものならやってみろ!」
「この絶対不敗の旗のもと、お前をひねりつぶしてやるぞ!」
 倒せど倒せど新たに襲い掛かってくる配下たちの目を覚まさせるべく戦う続ける宇宙紳士だが、そんな姿を高台から見下ろすヒーローが一人。
「あのたくさんの鎧の男達が敵ね……子供達の為にも負けられないわ!」
 深紅の髪が風に揺れ、マントがばさりと風をはらむと大きくなびき――スーパーヒロインが宙を舞う。
「宛那! 今の私達は子供達のヒロイン、アテナマスクよ! さあ、平和を勝ち取りに行くわよ!!」
 気弱な少女は正義に燃えるヒーローマスクと共にいざ、戦いの舞台へ!!
「たあっ!!」
 ガガガッ!!
 宇宙紳士を狙う槍を豪快なキックで跳ね飛ばすは真っ赤に燃える正義の炎!
「燃える正義の炎! アテナマスク見参!」
 シャキーン!!
 わあっと上がる幼い歓声と共にばさりとマントを翻したアテナマスクはビシッとポーズ!
「一緒に戦いましょう、宇宙紳士!」
「ああ!」
「まだいたのか! 全員叩き潰しちまえ!!」
「「「うおおおおおっ!!」」」
 ガギィン!!
 一斉に襲い掛かかる槍はアテナマスクを貫いたように見えたが、
「残念! 私はここよ!」
 高く舞い上がったアテナマスクは宙でくるんと一回転し、
「たあっ!!」
 ズガガン!
 なびくマントと共に高々と上がる回し蹴りが大炸裂!
 吹っ飛んだ配下たちの後ろから新たな配下が現れるもアテナマスクは構えるも間に合わない。
「どうだ!」
「くらえ!」
 どずりずぶりと槍はアテナマスクの体を貫くが――、
「それは残像よ!」
 ぶうんっ! ばきんっ!
「ぐああっ」
「残像だとっ?」
 貫いたはずの姿は消え、あわれ配下たちは背後からの強烈な攻撃に吹っ飛んだ。
 ぎらりと光る刃をすっと躱して盾を蹴り飛ばし、迫る槍を掴むと配下ごろとぐるんぐるんと振り回し、
「ええいっ!!」
「ぎゃあーっ!!」
 ぽいと離して一網打尽!
 さて新たな敵へ向かおうとするアテナマスクだが、
「「あぶない! アテナマスク―!!」」
「なに……?」
 子どもたちの声と殺気に振り向けば槍はもう目前!
 ギュイィーン! バキューン!
「大丈夫か!」
「助かったわ」
 あわや一大事の攻撃は宇宙紳士の光線銃によって防がれ、立て続けに放つ光線は更なる敵を貫いた。
「さあ、今の内だ!」
「任せて!」
 力強く頷いたアテナマスクは配下へと攻撃して吹き飛ばすとばっと構え、とっておきの一撃をおみまいすべく滾る炎を解き放つ。
「炎の玉達よ! 敵を焼き討て! ――ファイアボール!!」
 ボボボボボボボボボッッ!!!
 ズキューン! キュイィーン! ズガーン!!
「うわあああっ!」
「ぐおっ!」
「ぎゃあああー!」
 放たれた火球と光線銃は周囲の配下たちをまとめて一気にうちたおす。炎は燃え上がり、輝く光弾に子供たちは大喜び。
「すごーい!」
「わあっ!」
「がんばれー! がんばれー!」
 純粋な応援に手を振りたいところだが、配下たちはぞろそろと現れる。
 だが、敵が何人現れようとも、子供たちの応援がある限り、ヒーローに敗北の文字はない。
「さあかかってこい!」
「人々に手は出させないわ!」
 新たな敵へと宇宙紳士とアテナマスクは立ち向かっていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リリ・リーボウィッツ
ヒーローコスチューム(普段の衣装に黒い猫耳とドミノマスクを付け足しただけ)に身を包み、かっこよく登場しましょう。逆光でキメたいので、太陽を背にしますね。

「猫にマタタビ、悪党にバール! 愛と正義と鏖殺の使徒『ブラックにゃん娘』参上!」

(耳の後ろに手をあて)むむっ! よい子の声援が聞こえてきました。これで百億馬力を発揮できますね。
まずはバールでどかーんと地形を破壊しまくり、足場を悪くして、敵の転倒を誘います。盾を構えているせいで視界が悪そうですから、簡単に転ぶんじゃないでしょうか。
一度でも転んだら、こっちのもの。起き上がる隙を与えず……ふん! ふん! ふん!(無表情でバールを何度も叩きつける)


アルフィンレーヌ・ティタンルミエール
飛来して立ちふさがり
「あなたたちね。子供たちを泣かせたのは・・・悪行もここまで。死んで、あの世で懺悔なさい!」

名乗らず、問答無用とばかりに仕掛ける
「ユミルハンマァァァブゥゥゥメランッ!」
【怪力】【誘導弾】で神代兵器『ユミルのうでまくら』をハンマー投げの要領で投擲

次に、額の碧玉に左右の人差し指、中指を広げて添え、構まえ、UC発動

詠唱
「そは生命のたぎり そは魂のぬくもり 暁より生まれし者 黄昏に還りし者 とこしえの誓約 いにしえの盟約 今ここに
 星の火よ われと汝、一つとなりて ゆく手を遮りし、全ての忌まわしき者を焼き尽くせ!」

「悪は絶対!滅殺ビィィィィムッ!」
額の碧玉より発射

アドリブ、連携 歓迎



「オイオイオイ~? お前達、いったいどれだけ時間がかかってるんだ!」
 ヒーロー達が幾重も現れ、配下たちはいつになっても倒せず、むしろこちらが打ち負けてばかり。王の苛立ちも最高潮である。
 ずん! ずん! どずん!!
 イライラとハンマーを地面に叩きつけるとその度に地面が揺れ、配下たちはぐらぐらバランスを保つのに精いっぱい。
「やられてばかりだが、もうこれ以上は邪魔も入らんだろう。いいかお前達! さっさとやっちまえー!!」
「いいえ、邪魔をさせていただきます!」
 苛立ち吼える王だが、しゃんと響く声に思わずぎょっと目をむいた。
「なんだなんだ? まだいるのか! 隠れてないでさっさと出てこい!!」
 配下たちと王はきょろきょろ周囲を見渡すも、それらしき姿は全くない。
 さて、ヒーローはいずこ?!
「あ、ねこさんだ!」
 物陰から戦いを応援していた子供はそれに気が付いた。
 幼い指が示す先。輝く太陽を背にシルエットがすらりと伸びている。
「たあっ!!」
 掛け声と共にシルエットは高台からするりと落ちるとくるくる回ってすたんと着地。
 敵のど真ん中に颯爽と現れたのは素顔を隠すドミノマスクに可愛らしい黒い猫耳を付けた素敵なヒーロー!
「猫にマタタビ、悪党にバール! 愛と正義と鏖殺の使徒『ブラックにゃん娘』参上!」
 キュピーン!!
 リリ――ブラックにゃん娘の登場に子供達は大喜び。
「わあーっ! かっこいー!」
「にゃんこがんばれー!」
「がんばれー! がんばれえー!」
 攻撃が及ばないだろう場所からの声はブラックにゃん娘にしっかりと届いた。
「むむっ! よい子の声援が聞こえてきました。これで百億馬力を発揮できますね」
 耳の後ろに手をあて聞き取るブラックにゃん娘にぐんぐん力が湧いてくる。
「さあかかってきなさい!」
 ぐぐっと拳を握りしめ、キルマークが付いたバールがぎらりと光り。
「ええい、やっちまえ!」
「「「おおーっ!!!」」」
 ブラックにゃん娘へ配下たちが一斉に襲い掛かる!
「くらええーっ!」
 ぶんっ!
「これでどうだ!」
 がん!
 迫る槍をしゃがんで避けると頑丈な盾をバールで一気に受け流し、ブラックにゃん娘の体は猫のようにするんと攻撃を避けていく。
 ずぶんとかすめる槍の上にひょいと乗り、そのまま配下に必殺キック!
 がつんっ!
「ぐわーっ!」
「すごーい!!」
 ぱちぱちと可愛い拍手と共に上がった歓声を耳に蹴った反動で宙を舞うブラックにゃん娘はくるんと一回転して配下たちを足場にぽんぽーんと飛び跳ね着地し、
「どっかーん!」
 ぼごーん!!!
 叩きつけたバールがあたり一面をぼこぼこに破壊した。
「な、なんだ?」
「地面がへこんだぞ!」
 ぼがーん! どごーん!
「それくらい飛び越えろ! さっさと倒せえ!!」
 バールはどんどんと地面をぼこぼこにしていくが、王はそんなもの気にしない。
 けしかけられバランスの悪い足場を配下たちは武器を手に悪戦苦闘しつつも進んでいると――、
「あなたたちね。子供たちを泣かせたのは……悪行もここまで。死んで、あの世で懺悔なさい!」
 どこからともなく声が降り注ぐ。
 どこだ? どこにいる?!
「おねえちゃーん!」
「ここだよー!」
 子供達が空へと手を振る様子を律義に見守っていると、飛来した小柄な少女――アルフィンレーヌはすうっとブラックにゃん娘の前へと降り立ち、
「ユミルハンマァァァブゥゥゥメランッ!」
 ズドゴオオオオオォォォォォオオオオオオオオンンンンンン!!!!!!
「ぎゃー!」
「なんかきたー?!」
 問答無用の神代兵器が超炸裂!
「な、なんだお前!?」
「あなた達に名乗る名はありません」
 勢いで乱れた髪をすっと直したアルフィンレーヌはブラックにゃん娘へと向くとふわりと優しい笑顔を向けた。
「共に戦いましょう」
「ええ! 戦いましょう!」
 アルフィンレーヌに力強く頷くブラックにゃん娘はバールを握りなおすと戦闘再開!
「おりゃあ!」
 ぶおん! ぶうんっ! ぶん!
 束ねたおさげを揺らしながらアルフィンレーヌは攻撃をすっと受け流し、飛んで避け、するりと躱して距離を置き、
「ユミルハンマァァァブゥゥゥメランッ!」
「またまたどっかーん!」
 恐ろしい攻撃とバールの一撃が重なり配下たちは吹っ飛んだ。慌てて起き上がろうにもぼこぼこの悪地でかなり苦戦しているようである。
「こんな場所では立っているのも大変よね」
 再び放たれた無慈悲な超炸裂の中、アルフィンレーヌの前をブラックにゃん娘はすたすた歩くと転がる敵へと一直線。
 盾を構える敵は視界が悪いだろうし、こんな悪地形では起き上がれないだろう。
 ドガッ! ドゴッ! ゴスッ!!
 ふん! ふん! と気合の入った声と共に叩きつけるバール攻撃をアルフィンレーヌは後ろから見ているが、表情を消したブラックにゃん娘の顔を見なくてよかったと思うべきかはさておき。
「がんばれー!」
「おねえちゃんがんばれー!」
「いけー!」
 子供たちの声援に応えるようこくりと頷くアルフィンレーヌは左右の人差し指と中指を開いてVを作ると、額の碧玉にそっと添え――構え。
「そは生命のたぎり そは魂のぬくもり 暁より生まれし者 黄昏に還りし者 とこしえの誓約 いにしえの盟約 今ここに
 星の火よ われと汝、一つとなりて ゆく手を遮りし、全ての忌まわしき者を焼き尽くせ!」
 キュイィィイイイイイ……1
 ああ、碧玉が輝き光がこぼれ、今ここに必殺が放たれる!!
「悪は絶対! 滅殺ビィィィィムッ!」
 キイィ……チュドオオオオオォォォォォォンンン!!!
 子供たちを守るべく放たれた滅殺の一撃は強烈だった。
「凄いですね!」
「あなたのバールも凄かったですよ」
 ドガアアアアアアァァァアアアンンンンン!!!!!
 爆炎が上がるともうもうと黒煙が上がり――その中から現れる二つの影。
 配下たちをねじ伏せたヒーロー二人は子どもたちへとビシッとポーズ!!
「「「かっこいいー!!」」」
 幼い歓声と拍手に思わず二人は微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ブルクハルト』

POW   :    自慢の怪力ハンマーを受けてみろ!!
【ハンマーが棘がついた形態 】に変形し、自身の【理性】を代償に、自身の【ハンマーと、飛び出す棘の殺傷力】を強化する。
SPD   :    おっと、手が滑ったァ!
【両腕か両足 】から【毒霧】を放ち、【混沌状態】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    なまっちょろい技使ってんじゃねえ!
対象のユーベルコードを防御すると、それを【己の解釈で効果を反転させて 】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はエスエス・ジーケーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●決戦! 巨悪を討つはヒーローなり!
「ええい、なんて憎らしい奴らだ!」
 どずん!
「この俺様の配下をボッコボコにするとは許せねえ!」
 ずずん!
「ボコボコにしていいのはこの俺様だけだ!!」
 どごん!!
 ヒーローに配下たちをボッコボコにされ、怒り狂う王は巨大なハンマーで地面を叩いて怒鳴り散らす。
 びりびりと空気を震わす声はあたり一面に響き渡り、それを聞いた動物たちは恐怖に慌てて逃げていく。
「――ふん、まあいい」
 気が済むまで怒鳴り散らし、ボコボコとハンマーを叩きまくった王の怒りは少し収まったようだ。
 鼻を鳴らして腕を組み、王はどっかり仁王立ち。
「こういう事があってもいいように俺様はと~っておきの奥の手を用意しているのだよ~だ! がーっはっはっはっはっはー!!」
 豪快に笑う王の元へそそっとやってきた配下たちはこそこそと耳打ちをする。
「そうかでかした!」
 ついに準備ができたのだ。王が言う『とっておきの奥の手』の準備が。
「よしよし、それじゃあ俺様が相手になってやろう。お前達は手も足も出ないだろうがなあ! がっはっは! がーっはっはっはっはっはー!!!」

 王が用意した『とっておきの奥の手』とは果たして……?!


====================

※プレイングについて(注意:2章と同じようにアドリブが非常に多い章となります)
 この章ではついに浮遊岩諸島を支配しようとする『王』との戦いになります。
 王は『とっておきの奥の手』を用意しているようですが、勝利の軍配は果たしてどちらに上がるか?!
 以下の内容をプレイングも記入していただけると盛り上がりますが、もちろん普通のプレイングのみでも大丈夫です!
 2章リプレイのようなヒーローショーのノリでアドリブが多く追加されますのでご了承ください。
 また、倒したはずの配下が登場しますがモブ扱いなので気にしないでOKです。

・迫るピンチ!
 王は『とっておきの奥の手』を用意して皆さんの前に現れます。
 その奥の手を前に皆さんは太刀打ちできずピンチに陥るでしょう。
 ですが皆さんには『ヒーローが大好きな子供たちの応援』という支援があります!
 「このままでは……みんな力を貸してくれ!」「うおおおおお! みんなの声が力になる!」「皆の声が届いたよ!」などヒーローショーでよく聞くようなセリフがあると盛り上がります。
 こっそり隠れてここぞのタイミングで仲間のピンチから救うというプレイングもアツいですよ!

・決めるぜとっておきの必殺技!
 戦いの中、応援の力を受けた皆さんは王を倒すべく、とっておきの必殺技を放つでしょう。
 ユーベルコードに「ウルトラスーパーデラックスキャノン」「アルティメット激滅ソード」などカッコいい技名をつけてみてはいかがでしょうか。
 ちょっと恥ずかしいかもしれないので必殺技はなくてもいいですよ。

・子どもたちへのお礼
 子供たちの応援は皆さんを良い結果へと導くでしょう。
 「応援ありがとう」「皆のおかげだ!」「困ったときはいつでも呼んでくれよ!」などヒーロー達の言葉に子供たちは必ず喜んでくれるはずです。
 もちろん無言で立ち去るクールなヒーローもいいですね。

 3章からの参加も大歓迎!
 ピンチを救う新たなヒーロー登場は激アツです!
 3章から参加される方はヒーロー名、どのような姿かをプレイングに記入をお願いします。

====================

※3章は参加される方のリプレイをまとめて公開する為、こちらから再送のお願いをする場合があります。
 プレイングは7月15日(水)AM8:30よりお願いします。
アテナ・カナメ
【心情】どうやら戦いも終盤…あいつが親玉ね!いかにもパワータイプ…脳筋って感じね!そんな奴にこのアテナマスクは負けないわ!行くわよ!

【作戦】敵の攻撃は【見切り】で回避よ!「そんな大振りじゃ当たらないわよ!」と【挑発】しつつ向かってきた所をバーニングパンチで迎撃よ!そこから【2回攻撃】のヒートスタンプを浴びせるわ!
そして奥の手でピンチになるだろうけど、子供達の声援を聞いて負けるわけには行かないと思い直しスーパー・アテナとなって自身を強化させるわ!そして最後に新しいユーベルコード、ファイヤー・バーストを食らわせるわ!
「食らいなさい!これが私の新たな力!ファイヤァァァ!バァァァスト!!」


ビリー・ライジング
ミリィ(f05963)と共に行動。

まさかキマイラフューチャーでの、
ヒーローステージの経験がここで役立つとはな。

「イグニッションッ!」
変身の掛け声と共に、金色の鎧と真紅のマントを纏った姿で登場。
「全てを照らす太陽の如く、暗闇を斬り裂く翼! 太陽の騎士、フィニクス!」

「負けるか……守る者がいる限り、俺たちは絶対に負けない!」
例え倒されても勇気・大声・鼓舞・限界突破で立ち上がる!

ミリィと呼吸を合わせて、炎の属性攻撃・全力魔法・焼却の必殺技だ!
「火翼!」

「いや、皆の応援があったから、俺たちは勝てたんだ。ありがとう!」


ミリィ・ライジング
ビリー(f05930)と共に行動。

キマイラフューチャーで、
ヒーローショーに出た事あるけど、そんな感じでいいのかな?

「イグニッションッ!」
変身の掛け声と共に、白の忍装束と銀色のマフラーを巻いた姿で登場。
「闇夜に煌めく満月の様に、邪悪を消し去る翼! 月光の忍者、サマノス!」

「……大丈夫。どんなに傷ついても、あなた達だけは絶対、守るから」
子供達をかばい、心配してくれる子供達に対して優しさ・礼儀作法・慰めで勇気づける。

ビリーと呼吸を合わせて、手裏剣に炎の属性攻撃・破魔・投擲で必殺技よ!
「連裏!」

「また困ったら、呼んでね。必ず駆けつけるからね!」


アルフィンレーヌ・ティタンルミエール
仲間救出
「今度はあなたがボッコボコになる番よ!このハンマーで、粉微塵に打ち砕いてあげるわ!・・・と、その前に、邪魔だから、ちょっとどいてもらえる?」
神代兵器『フレイアの寝床』を展開。【救助活動/医術】で怪我の治療

ピンチ
「子供たちの涙が、わたしに勇気をくれる・・・子供たちの笑顔が、わたしに力をくれる・・・だから、あなたなどには負けない!」

必殺
UCを発動。抜けた虫歯を地面に植えると芽が出る。
「よい子は真似してはだめよ?ちゃんと歯を磨いてね」
「ユミルハンマァァァクラァァッシュ!」全力で叩きつけ、反動で前転してもう一撃【2回攻撃/重量攻撃/怪力】

お礼
「邪魔者は消えたし、お茶会のつづきをしましょう」


御門・結愛
正義感の強いお嬢様。正義の味方に憧れ、演じる少女。

みんなの危機に、ベルトから取り出したユニコーンメダルからユニコーンの形をしたオーラを放ち援護します。
「間に合いましたわ」
戻ってきたユニコーンを体に纏わせ【アリスナイト・イマジネイション】を使用。
「行きますわよ。ユニコーン!」
純白のドレスを身に纏い、呼び出した聖剣を抜いて優雅に構えます。
「わたくしはユニコーンナイトのユア。罪なき人々を守るため、正義を為すわ!」

必殺技は、ベルトのスロットから取り出したユニコーンメダルを聖剣の鍔に装着して放つ【聖なる一撃】
「これで終わりですわ」
「ディバイン・スラッシュ!」

最後は子供たちにはカッコいいヒーローを演じます


リリ・リーボウィッツ
●ぴんち
こ、こんな奥の手を用意していたとは……あいかわらず卑怯極まりないですね(本当は初対面)。
あ? よい子たちの応援がまた聞こえてきました。さっきよりも強く、大きく、激しく!

解説しましょう!
よい子の応援があるレベルを超えた時、ブラックにゃん娘はなんやかやで千兆馬力にパワーアップするのです!

●ひっさつわざ
超進化! ハイパーブラックにゃん娘!(バールを巨大化)
覚悟しなさーい!(モブ軍団を薙ぎ倒し、ボスに突進。終始、無表情【恐怖を与える】)
ふん! ふん! ふん!(【恐怖を略】)
さあ、もう後がありませんよ? ドデカぶちかましスマッシュ!(【恐略】)

●おれい
ありがとうございます。(にっこり【優しさ】)


ミニョン・エルシェ
ふむ。なんとも悪辣、しかし勝つためなら手段を択ばぬのは正解ですが後で殴るのです。…おじさまが。

しかし、私は恐れる子らに誓ってしまったのです。必ず悪を討ち果たすと。

ハガネよ。ヒーローたるもの、必殺技があるのは当然なのです。
そして、もう一つ、ヒーローに必要なものがあるのです。
それは…城!!
間違えました。秘密基地!なのです!!

さあ、ハガネ。振り落とされちゃダメなのですよ!
(木菟城に変身し、天へ)
そして…見せてあげましょう。必殺、城郭音速落とし!!
(マッハで王に突っ込む巨大要塞。)
ふ…王を名乗るには城が足りないのです。

子らよ、諦めぬ限り、ヒーローという逆転の切札は、必ず現れるのです。ね、おじさま?


水無瀬・旭
参ったな、これではどうにも、ね。
ああ、同感だよミニョの守。…頭を割って反省して貰おう。

諦めず、折れないのがヒーローだ。
例え、誰の目にも留まらなくても。
…言葉は要らない。
己の正義は、背中で伝えようじゃないか。

なるほど、秘密基地…うん、今まで秘密にしてたから秘密基地かな?
(木菟城に入城。音速の衝撃波を物ともせず、前面に仁王立ちする鐵の姿。)
ああ、良い悪の臭いだ。斬るに足る。
…君が今まで為してきた、数え切れぬ悪。
俺が代わりに数えてあげよう。
(濛々と上がる粉塵から現れる影一つ。)
鐵断・悪果微塵…!

君たちのおかげで、俺はヒーローでいられる。
もしも、また何かあれば、俺を(そう)呼んでおくれ。
…ありがとう。


キャプテン・ハマーヘッジ
「こんな奥の手を用意していたか…!」「だが負ける訳にはいかない。アテナマスク達の見せてくれたヒーロー魂に報いるため、そして子供たちの声援に応えるためにも…私が皆を守る!」その場で仁王立ちになり、冷静に光線銃を構えて正確無比な射撃を叩き込んでボスから仲間への攻撃を防ぐ。「…宇宙紳士は常に冷静たれ、だ」

戦いが終わったら、子供たちの声援に礼を言い、他の猟兵の活躍を大いに称えてから宇宙バイクで去ります。



 配下達を見事やっつけたヒーロー達の前に立ちはだかるのは、巨大な大男。
 日の光に頭をぎらりと輝かせ、大きなハンマーを軽々と片手で持ち上げる大男は人々を苦しめる元凶なのだ。
「今度はあなたがボッコボコになる番よ! このハンマーで、粉微塵に打ち砕いてあげるわ! ……と、その前に、邪魔だから、ちょっとどいてもらえる?」
 傷の手当てをしようとアルフィンレーヌはすと前へ歩み出るが、そんな事を悪が許す訳がない。
「な~に言ってるんだ? 俺様がさせる訳ないだろうが!」
「……っ!」
「ようしお前達、俺様の『奥の手』をここに連れてこい!」
 にいと笑う王はひょいとハンマーを持ち上げ、どずんとハンマー一つで地面を唸らせ、王は配下達へと命令を下す。
 『奥の手を連れてくる』
 連れてくる、という事はモノではないようだが――。
「いかにもパワータイプ……脳筋って感じね! そんな奴にこのアテナマスクは負けないわ!」
 嫌な予感を感じつつもアテナマスクは王めがけて一直線!
「行くわよ!」
「スト~ップ!!」
 力いっぱい地面を蹴り、深紅が駆け抜けるも吼える王が見せつけてくる『それ』に思わずぴたりと足を止めた。いや、止めるしかなかった。
「ママあー!」
 配下達が連れてきたのは、なんと森の中で出会った子供達。
「うえぇええーん!」
「ママー! ママーぁ!!」
「こわいよー!」
 何という事だ! 王は密かに配下たちを二つに分け、1つを集落がある森へと向かわせていたのだ!
 子供達はロープでぐるぐる巻きにされ、おまけに体には爆弾と思しきものがアクセサリーのようにたくさんくっついている。
「なんてひどい事を!」
「こ、こんな奥の手を用意していたとは……あいかわらず卑怯極まりないですね」
「卑怯ではありませーん! 俺様にとっては常識も常識! こんなのアタリマエですよ~だ!!」
 批難するアテナマスクとブラックにゃん娘の言葉などにやにや笑う王にとっては痛くもかゆくもない。
「こんな奥の手を用意していたか……!」
「おお~っと動くな宇宙ヤロウ! ガキどもが目に入らないかなあ? んん~?」
 密かに引き金に指をかけていたのを目ざとく見つけた王が合図すると押し寄せる配下がばしんと蹴り飛ばし、銃を届かぬ場所へと飛ばしてしまった。
「動くなよ~? 動くなよ~? おおっと、そこのお前達もだ! このガキどもがどうなってもいいのかあ~?」
 泣きじゃくる子供達をじろり見渡す王は隙をみて動こうとしていたミニョの守とハガネも見逃さない。くいっと合図一つで配下達を動かし取り囲む。
「ふん、その長~い武器で俺様の配下をちょっとでも攻撃してみろ。この起爆スイッチをポチっと押せばガキどもは一気にドカーン! だ!!」
 取り出した大きなスイッチをこれみよがしに見せつけ、大きく胸を張った王はヒーロー達をもロープでぐるぐる巻きに命じてしまう。
 王の前には縛られた子供達とヒーロー達がずらり。
 反撃しようにもぐるぐる巻きに縛られ、下手に抵抗しようものなら子供達は『ドカーン!』である。
「動くなよ~? 絶対に動くなよ~?」
 ヘルメットの奥でキャプテンはぎりっと唇をかみ、アテナマスクとブラックにゃん娘は歯噛みしつつも起死回生のチャンスを狙い、アルフィンレーヌもまた訪れるだろうその時を待つ。
「参ったな、これではどうにも、ね」
「ふむ。なんとも悪辣、しかし勝つためなら手段を択ばぬのは正解ですが後で殴るのです。……おじさまが」
 縛られ動けないハガネとミニョの守がこそこそ言葉を交わすのを王は聞き逃さなかった。
「ほう? 殴るか、この俺様を。殴れるものなら、殴ってみろ!!」
 ガッ!!
「っ!」
「おじさま!」
 力任せに殴られハガネはどうっと地に崩れ落ちる。じんじんと鈍い痛みに眉を寄せるが、子供たちの苦しみに比べれば――。
「よし気が変わったぞ! これより大花火大会を開催する! ガキどもをそこに並べろ!」
 ふと唐突に発せられた王の一言にヒーロー達は目を見張る。
「やめなさい!」
「やめるんだ!」
「やめる訳ないだろバーカ! ガキどもをずらーっと並べてこのスイッチをポチ~っと押せば爆弾がドカーン! 大きな花火もドドーン! だ!! ホレ早くしろ!」
 アルフィンレーヌとキャプテンの非難はまるっとスルーすると子供達はご丁寧にヒーロー達に見えやすい位置へと一列に並げていく。
「やだあー!」
「たすけてー!」
「たすけてえー!」
「よおしカウントダウンいくぞぉ~!」
「「「おお~っ!!」」」
 にやにや王は配下たちと一緒にカウントダウン!
「ごぉ~! よぉ~ん! さぁ~ん! にぃ~い! いいぃ~……ち!」
 このままでは悪の王の凶行によって子供達の命が散ってしまう!
 身動きが取れないヒーロー達はただそれを見守ることができない。
 ああ、力があれば。
 ああ、頼む、どうか――!!
「させませんわ!」
 それは正に蒼天から降り注ぐ天の声。
「な、なんだあ?! うわあっ!」
 突然の声に慌てた王はきょろきょろするも姿は見えず、代わりにユニコーンの姿をしたオーラがさっと現れ起爆スイッチをぽーんと空高く蹴り上げる。
 スイッチは高く、高く蹴り上げられ、綺麗に放物線を描きながら落ちていき――少女の手にぽすんと収まった。
「間に合いましたわ」
「間に合っただと?! 誰だキサマは!」
 王を見下ろす高台に立つのはメダルを手にした新たなヒーロー!
「行きますわよ。ユニコーン!」
 傍らに戻ってきたユニコーンは雄々しくいななき姿を解くと、まばゆいオーラはユニコーンから純白のドレスへと姿を変える。
 手にするメダルからは一筋の輝きが放たれると聖剣を引き抜かれ、新たな希望は純白のドレスを纏い現れた!
「わたくしはユニコーンナイトのユア。罪なき人々を守るため、正義を為すわ!」
 シャキーン!!
 御門・結愛(聖獣の姫騎士・f28538)――優雅に構えるユニコーンナイト、ユアの凛とした声は隅々まで響き渡る。
 希望は一つだけではない。
「「イクニッションッ!」」
 二つの掛け声が重なり、颯爽と現れるのは真紅のマントをなびかせる金色の鎧と銀のマフラーに白い忍び装束の二人組。
「全てを照らす太陽の如く、暗闇を斬り裂く翼! 太陽の騎士、フィニクス!」
「闇夜に煌めく満月の様に、邪悪を消し去る翼! 月光の忍者、サマノス!」
 キラーン!!
 煌めくエフェクトを纏った二人、とビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)――太陽の騎士、フィニクスが配下達を大ぶりな斬撃で凪ぎ払いつつて斬りかかると、ミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)――月光の忍者、サマノスは子供達やヒーロー達を縛るロープを手際よく切っていく。
「ありがとう!」
「こわかったよー!」
 解放されてなお泣きじゃくる子供達にサマノスは優しい瞳を向けるが、背を殺気に振り返ると恐ろしい形相をした配下の槍が迫りくる。
「よくもっ!」
「たあっ!」
 バシッ!
 子供達に流血を見せたくはない。槍を叩き落とすと駆けてくる金色の蹴りが配下を吹っ飛ばす。
「……大丈夫。どんなに傷ついても、あなた達だけは絶対、守るから」
 太陽を背に見せるのはとても優しい月の笑み。
「ありがとう、助かったわ!」
「間に合ってよかったですわ」
 アテナマスクの礼へユアは頷き応え、
「そうだ、これを」
 言いながら縛られていた仲間達へ子供たちがつけられていた爆弾を手渡した。
 ぽーい! ぽぽーん! ぽおーん!
 ヒーロー達が投げる爆弾は王の配下たちのところにぽんぽん落ちていき――スイッチオン!
 どかあああああぁぁぁん!
「「「ぎゃー!!」」」
 ずどおおおぉぉぉんんん!
「「「うわあー!!」」」
 爆炎が上がり配下達は吹っ飛んでいく。
「ああっ! 俺様の配下が!!」
「残念でしたわね」
 これみよがしに見せつけるように髪をばさりと払ってユアは王へ胸を張って見せた。
「よくもよくもよくもお前ら! 俺様ら許さん! 絶対に許さんぞ!!」
「子供たちよ、ここにいては危険であるぞ」
「悪い奴は俺達が倒すからここから離れるんだ、いいね」
 怒り狂う王を背にミニョの守とハガネに子供たちは頷き、アルフィンレーヌの誘導で攻撃が及ばない場所へと避難させる。
「お前の野望はここまでだ」
「覚悟するのです!」
「ぐぬぬぬぬぬぬぅ……!」
 ビシッと決まったキャプテンとブラックにゃん娘の鋭い声に王はわなわなと腕を震わせ怒りに顔を真っ赤に染める。
 こうして――、
 希望平原に9つの希望が新たに現れた。
「おおのれえぇえ! お前達はこの俺様が殺す! ギッタンギッタンのボロボロにしてやるからな! 覚悟しろ!!」
 ずどぉおん!!
 唸るハンマーが地を抉り、ぼごんと土が飛び散った。

「そおりゃあっ!!」
 ぶおんっ!
「そおれえっ!!」
 ずおんっ!
 巨大なハンマーが唸りを上げてヒーロー達へと襲い掛かる!
「そんな大振りじゃ当たらないわよ!」
 ひらんと躱したアテナマスクは挑発しつつも攻撃へと転じ、
「俺たちも行くぞ!」
 フィニクスの声にサマノスは頷くと銀のマフラーがひらんと風に流れ、深紅のマントもばさりとなびく。月光の忍者の体は軽やかに攻撃を受け流すと太陽の騎士の刃とハンマーが打ち合い火花を散らす。
「さっきはよくも邪魔をしてくれましたね」
 聖剣の閃きの間をぬうようにアルフィンレーヌの神代兵器が王へと鉄槌を撃ち、キャプテンの射撃で生じた隙にブラックにゃん娘は懐まで一気に近づいてバールをぶん!
 ガキン!!
「むむ、頑丈ですね?」
 打ち払われ狙い定めたハンマーをくるんと一回転で避け躱す。
「さすが王というだけありますね」
 眼鏡の奥でじっと王を見据え、ミニョの守は思わずつぶやいた。
 仲間達は王の攻撃を避け、受け流しつつも大きな蹴りやパンチを繰り出し、豪快な炎や斬撃を放ち攻撃しているが、いずれも致命傷には至らない。
 これだけの人数がいるというのに、どれだけのダメージを与えればいいのであろう。
 ――と、
「ミニョン!」
 呼ばれた名に思わずはっとすれば、目前にハンマーが迫っているではないか。
「はっ!」
 ぎん!
 打ち合い火花を散らし、間にハガネが割入り押し返す。
「戦い最中に考え事はよくないよ」
 ぶんと槍を構える姿を目にふうと息を吐き、
「そうですね、戦いに集中しましょう」
 鐵貫を手にする体はハンマーを飛び越え突きかかる。
 王とヒーロー達は攻防を続けるが、どれほど攻撃しようとも息を上げる事もなく巨悪の一撃を振るい続けた。
 このままでは押されてしまうのではなく――ちらりと過る不安は現実のものとなってしまった。
「おおお、りゃあっ!!!」
 ずおおんっ!!
「くっ!」
「きゃあっ!」
 幾重に続く戦いの中、巨大なハンマーの一撃がフィニクスとサマノスに直撃すると、返す手でユアとミニョの守、そしてハガネを叩き撃つ。
「みんな……!」
「おおっとお!!」
 ブオォウッ!!
「っく!」
「こ、これは……!」
 毒によって倒れたブラックにゃん娘に駆け寄ったキャプテンもまた、毒攻撃に意識が朦朧となって動けなくなる。
「動くなよ? こいつらがどうなっても知らないぞ~?」
 動けない仲間達へとハンマーをちらつかせる王にアルフィンレーヌとアテナマスクは動きを封じられ、
「ホレお前達も動けなくしてやるわー!!!」
 ずがん!!!
 容赦ない攻撃に二人も地面に叩きつけられてしまう。
「クックック、正義なんて知るかー! 悪だ悪! 力こそすべてだー!!」
 動けないヒーロー達は悔しさに拳を握り、心で叫ぶ。
 力を。
 もっと、もっとたくさんの、悪を倒す力を――!
「みんな! こ、このままじゃやられちゃう! 大きな声で『がんばれ! がんばれー!』って応援して!」
 それはヒーローショーに出た事があるサマノスが絞りだす必死の声だった。
 フィニクスもまた、あの時の事を思い出す。ヒーローショーでは必ずと言っていいほどピンチに襲われる。そんなピンチを力に変える声援をもらうべく、ステージでMCが必死に声を張り上げていたではないか。
 思い出せ、あの時の事を。
「さあ! 大きな声で応援してくれ! いくぞー! せーえのー!」
「「「「「がんばれー!!!!!」」」」」
 フィニクスに子供たちは応えた。
「もっと、もっとおおきな声で応援をお願いしますわ! せえの!」
「「「「「がんばれー!!!!!」」」」」
 叫ぶユアに子供達はもっと、力いっぱい応援を返してくれる。
「あ? よい子たちの応援がまた聞こえてきました。さっきよりも強く、大きく、激しく!」
 耳に手を当てながらブラックにゃん娘はその声を耳によろりと立ち上がる。するとどうだろう。立つのも精いっぱいだったというのにぐんぐん力が沸き上がってくるではないか!
「解説しましょう! よい子の応援があるレベルを超えた時、ブラックにゃん娘はなんやかやで千兆馬力にパワーアップするのです!」
 そう、良い子の応援はレベルを振り切り、なんやかんやでみんなをパワーアップさせたのだ!
 パワーアップしたヒーロー達の傷は応援の力で回復し、アテナマスクの体はたんと軽く跳ね上がり、
「子供たちの涙が、わたしに勇気をくれる……子供たちの笑顔が、わたしに力をくれる……だから、あなたなどには負けない!」
 拳をにぎり、アルフィンレーヌは力強く言い放つ。
「私は恐れる子らに誓ってしまったのです。必ず悪を討ち果たすと」
 立ち上がったミニョの守はずれてしまった眼鏡を直し、子供達、そしてハガネへと瞳を向けた。
「諦めず、折れないのがヒーローだ。例え、誰の目にも留まらなくても。……言葉は要らない。己の正義は、背中で伝えようじゃないか」
 力いっぱいの声援を受け、二人は武器を構えなおすと仲間達もまた、再びの戦いへ立ち向かう。
「何度戦っても無駄だ! 俺様に勝てる訳がない!!」
 王は豪語するが、ヒーロー達への応援は絶大だ。
 涙を流しながら応援する子どもがいれば悲鳴に近いほどの声で叫び応援する子もいる。ちからいっぱい手を振って応援する子供たちもいる。
「負ける訳にはいかない。アテナマスク達の見せてくれたヒーロー魂に報いるため、そして子供たちの声援に応えるためにも……私が皆を守る!」
 どっしりと地に立ち仁王立ちするキャプテンは声援を背に光線銃を構え――!
「……宇宙紳士は常に冷静たれ、だ」
「ぐおうっ?!」
 ずう、ん!
 放たれた一撃は王の手に命中すると、巨大なハンマー鈍重な音を響かせ零れ落ちた。チャンスとばかりに更に一発!
「な、なんだとっ!?」
 機動力を奪う射撃に王はバランスを崩し、そこにアテナマスクが懐へ飛び込み豪快キック!
「ぐああっ!」
 巨体はずんと崩れ、それでも王は起き上がる。だが、応援を受けたヒーロー達の攻撃で大ダメージを受けているのは確かである。
「ここで決着をつけますわ!」
 大きくのけぞる巨悪を前にしユアの聖剣がここぞとばかりにひときわまぶしい輝きを放った。
「さあここが正念場だ!」
「皆! 力いっぱいの応援をお願い!」
 わああああああああっ!!!
 フィニクスとサマノスの声に割れんばかりの応援の声が返ってくる。
 子供たちの応援に力がどんんどん、どんどん溢れてくる。これならどんな敵を相手にしても倒せるだろう。
「ハガネよ。ヒーローたるもの、必殺技があるのは当然なのです。そして、もう一つ、ヒーローに必要なものがあるのです。それは……城!! 間違えました。秘密基地! なのです!!」
「なるほど、秘密基地……うん、今まで秘密にしてたから秘密基地かな?」
 眼鏡がちかりと光るとミニョの守は木菟城へと姿を変えるとハガネを招き入れ、
「さあ、ハガネ。振り落とされちゃダメなのですよ!」
 ごおっ!!
 巨大要塞は飛翔する。
 音速の音速の衝撃波を物ともしないハガネの面前、仁王立ちする鐵の姿がそこにある。
 ――ああ、良い悪の臭いだ。斬るに足る。……君が今まで為してきた、数え切れぬ悪。俺が代わりに数えてあげよう。
「そして……見せてあげましょう。必殺、城郭音速落とし!!」
 ズ、ドオオオオンンンン!!!
「ふ……王を名乗るには城が足りないのです」
 王へ突っ込んだ巨大要塞からばっと何かが飛び出した。濛々と上がる粉塵から現れるが影一つ。
「あ!」
 それに気付いた子供が指をさす。
「鐵断・悪果微塵……!」
「ぐ、ぬおおおおぉおお!!」
 どおぉっ!!
「こ、これしき……? なに?!」
 強烈な攻撃にぼぼんと地面がめりこみ土煙が上がると、その中でちかりと何かが輝いた。
「よい子は真似してはだめよ? ちゃんと歯を磨いてね」
 アルフィンレーヌの声と共に輝くそれは――歯科医院の診察券。
 小柄な少女は新しい歯を生やした始原の光の巨神へと姿を変え、
「ユミルハンマァァァクラァァッシュ!」
 ドゴオオオオオォォォォオオオオオンンンン!!!
 容赦のない攻撃を全力で叩きつけ、反動で前転してもう一撃!!
 ズガアアアアアァァァァァアアアアアンンン!!!
 さすがにこの一撃は避け切れなかった。陥没した大穴から這い出た王がようやく立ち上がり見たものは巨大なバール。
「超進化! ハイパーブラックにゃん娘!」
 ぐんぐんと大きくなるバールをぶうんと大きく振り回し、
「覚悟しなさーい!」
 生き残った配下たちをぶんぶん薙ぎ払うその顔に表情はなく、ただひたすらにブラックにゃん娘は敵を倒す。
「ふん! ふん! ふん!」
 ごん! ずん! どごん!!
 バールによって打ちのめしていく中、ユアはベルトのスロットから取り出したユニコーンメダルを剣の鍔に装着。きらりと輝く聖剣はより一層輝いた。
「これで終わりですわ」
「さあ、もう後がありませんよ?」
 ユニコーンナイトとブラックにゃん娘は巨悪に向かって一直線!
「ディバイン・スラッシュ!」
「ドデカぶちかましスマッシュ!」
 ザシュッ!! ドッカーン!!
「ぬおおっ! なんの、これしき……!!」
 鋭い一閃と鈍重な一撃を王はハンマーで受けるが耐えきれない。ずずりと下がり、膝をつく。
「負けるか……お前達にこの、この俺様が……!」
 腕をぽたりと血が伝い、滴り落ちた。
 それでも王はハンマーを持ち上げ構えるが――限界は近い。
「いけー! がんばれー!」
「まけるなー!」
 子供たちは力いっぱいの応援を続けてくれている
 さあ、最後の攻撃だ!
「いくぞ!」
「まかせて!」
 太陽と月が今まさに一つとなり巨悪を炎で焼き払う!
「火翼!」
「連裏!」
 息ぴったりの攻撃を受けた王に追い打ちをかけるのは子ども達の力を受けたアテナマスクの新たな炎!
「食らいなさい! これが私の新たな力! ファイヤァァァ! バァァァスト!!」
「スペース・シュート!!」
 ゴオオオオオォォォォォ!! キュイィィイイイイイ……バキューン!!
 滾る炎に光線が追い、王の体を貫いた。
 子供たちの応援と共に放たれた必殺の一撃。これを悪が耐えられるわけがない。
「お……おのれ……」
 よろよろと後ずさり王は低く呻き、ごぶりと血を吐き出した。
「お前達……わ、忘れるなよ……悪は俺一人だけではない……この先何人も、何人も現れるだろう……く……クク……ハハハハハ……!!」
 ズドゴオオオオオォォォォォオオオオオオオオンンンンンン!!!!!
 ばたりと倒れた王は爆発四散! 子供達は力いっぱい拍手し歓声を上げる。
 大丈夫、何人も悪が現れようとも――。
 拍手と歓声はいつまでも、いつまでも続いていた。

「邪魔者は消えたし、お茶会のつづきをしましょう」
 集落ではアルフィンレーヌがお饅頭とお茶を振る舞い、大人達はそれぞれ家から持ち寄った食べ物などがずらりと並ぶと広場はちょっとしたパーティー会場のように華やいだ。
 人々は笑い、その表情は誰もが明るい。
 ああ、ようやく平和が訪れたのだ。
 ――と、どるんと大きなエンジン音が響いてきた。
 皆でその音の元へ向かうと集落へと通じる森の入り口で一緒に食事をしていたキャプテンが宇宙バイクにまたがっていた。
「あ、うちゅうしんし!」
「キャプテンもうかえっちゃうの?」
「ああ、まだ悪い奴らが他にもいるかもしれないからな」
 残念がる子供達に後ろ髪を引かれる思いだが、宇宙紳士は常に冷静たれ。
「皆、今日は応援ありがとう。そして君達と戦えて本当によかった」
 子供達から共に戦った仲間達へと宇宙紳士は心からの礼を言い、
「困った時はいつでも呼んでくれ。私達は君達と共にある」
 心強い言葉を残して宇宙紳士、キャプテン・ハマーヘッジは別れと感謝の言葉を背にバイクと共に駆け抜けていった。
「わたしたちも帰りましょうか」
 用意したお饅頭もすっかり空っぽ。前へ出たアルフィンレーヌが人々へと向くと仲間達もそれに続く。
「わたくし達も行きましょう。他にも悪さを働く悪党どもがいるかもしれませんわ」
「それもそうね。みんな、悪い奴らがいないかパトロールに行きましょう!」
 ユニコーンナイトにアテナマスクは力強く頷くとヒーロー達は子供達、そして集まった全ての人々へと瞳を向けた。いつまでもここにいる訳にはいかない。帰るべき時がやってきたのだ。
「皆の応援があったから、俺たちは勝てたんだ。ありがとう!」
「また困ったら、呼んでね。必ず駆けつけるからね!」
 凛々しくも優しく立つフィニクスとサマノスの前には涙ぐむ顔がいくつも並び、
「ありがとうございます」
 優しく笑むブラックにゃん娘へ子供達は力いっぱい手を振ってくれた。
「子らよ、諦めぬ限り、ヒーローという逆転の切札は、必ず現れるのです。ね、おじさま?」
 ちらりと見上げる瞳にハガネは膝をつくと、子供達の頭を優しくなでる。
「君たちのおかげで、俺はヒーローでいられる。もしも、また何かあれば、俺を呼んでおくれ」
「もちろん!」
「うん! ぜったいよぶよ!」
 子供たちは自分との別れに涙し、それでも笑顔を見せてくれる。
 ああ、この子供達はどんな時でも俺を呼んでくれるだろう。――ヒーローと。
「……ありがとう」
 一人一人見つめながら優しく、優しくハガネはなでる。
 さあ、そろそろ時間だ。
 それぞれが子供達へ握手したり頭をなでたりしていたが、一人、また一人と立ち上がり歩き出す。
「さようなら!」
「さようならー!」
「たすけてくれてありがとう!」
「またきてねー! やくそくだよー!」
「ありがとう、命の恩人!」
「一生わすれないからなー!」
 子供達だけでなく大人達までもが手を振り感謝の言葉をかけけてくる。ヒーロー――猟兵達はその声を背に戻るべき場所へと戻っていった。

 こうして悪は倒れ、邪悪なる野望がまた一つ潰えた。
 だが、油断はできない。
 光あるところに影あり。闇はいつでも人々に忍び寄りその牙を剥くだろう。
 戦えヒーロー! 戦え猟兵達!!
 みんなの笑顔を守る為に!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月19日


挿絵イラスト