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迷い路ノスタルジア(作者 柚烏
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 ――どこまでも伸びていく影法師を追いかけて、夕暮れの路地裏に足を踏み入れてしまえば。
(「ほぉら、おいで。こっちにおいで」)
 不思議とこころをくすぐる甘ぁい声が聞こえてきて、更に奥の、誰も知らない細い道へと手招きをします。ああ――お豆腐売りのラッパも、カラスの鳴く声も、あっという間に遠ざかって聞こえなくなって。
(「帰り路は気にせずに、どこまでも進んでおいで」)
 お化けみたいな電信柱を、おっかなびっくり越えていきながら、足は声のほうへ――まるで魔法にかかったように、ふらふらと進んでいってしまうのでした。
(「だいじょうぶだよ、だってね、」)
 ――そろそろ夜がやって来るのに、おうちに帰らないといけないのに、もう幾つ角を曲がったのでしょう。茂みからぎらりと覗いた不吉なまなざしは、化け猫なんかじゃなく、もっと恐ろしい妖怪のもののようです。
(「……もうあなたに、帰る場所はないから」)
 ぼぉっ――今まで手招きをしていた甘ぁい声が、其処で冷ややかな呟きを漏らした直後。背後に生じた篝火が、今まで歩いてきた道を燃やして、瞬く間に消し炭に変えてしまいます。
(「道は消えた、道は消えた。ここは全ての道が朽ちた『迷子の世界』――」)
 見渡す限りどこまでも――気づけば足元にも道は無くなって、夕陽に照らされる景色はどこかでみたような、けれどどこかは分からない場所なのです。
(「あなたはどこへも、帰れない」)
 ――突然ですが、世界は滅亡してしまったようでした。

「新しい世界で事件が起こりますのー!」
 どたばたと駆けこんで来た、レイン・ドロップ(みずたま・f14853)が言うには、妖怪たちの世界であるカクリヨファンタズムが、いきなり滅亡してしまうとのこと。何でも幽世からひとつの概念が消え、まるで世界の終わりが訪れたかのような光景が広がってしまっているようなのです。
「奪われたものは『道』ですのよ。夕暮れの街を歩いていると、不思議な声に誘われるようにしてふらふらと……気づけば見知らぬ路地裏に立っていて、進む道も戻る道も無くなってしまっているのですわー!」
 ともだちと遊んで、そろそろおうちに帰る時間――そんな時に迷子になってしまって帰れなくなる心細さは、ちっちゃいレインだけでなく、きっと誰もが一度くらいは経験したことがあるでしょう。
「今、そんな幽世には無数の骸魂が飛び交っていて、とっても危険な状態ですのよ! これは、急いで解決しないといけないですの!」
 ぶるぶる震えながらそう主張するレインの肩の上では、かえるのけろちゃんもファイティングポーズを取っています。かたつむりのまいまいさんは――まだのんびりしているようですが、急いで解決しないと手遅れになってしまうでしょう。
「まずは、道なき迷子の世界へ『えいや』と飛び込んで、飛び交う骸魂に呑み込まれた妖怪さんを助けてあげてくださいですの。普通にぶん殴って大丈夫ですけど、一緒に帰ろうって伝えられるように……お友達みたいに振る舞ったり、帰る道を示してあげたりすれば、うまく骸魂から引き離すことが出来ると思いますのよ!」
 ――どうやらちょっぴり過激にぶつかりつつ、妖怪さんのことも考えて戦うと、上手く行きそうな気配です。伝承とは逆に『大いなる災い』をもたらすと言う麒麟ですが、呑み込んだ妖怪が弱いからか、そんなに強くはないようです。ただ、数は結構いるので注意が必要そうでした。
「ある程度配下を片付けると、元凶のオブリビオンが姿を現す筈なので、こちらも倒して世界を元に戻して下さいですの。無事に『道』を取り戻せば、夕暮れの街角をのんびり散策して、晩ご飯までのひと時をわいわい楽しめると思いますのよ!」
 その幽世はどこか郷愁を抱かせる、昭和の空気を色濃く宿した場所のようです。田舎町の路地裏をどこまでも、童心に帰って駆け抜けて――懐かしい遊びを楽しんだり、駄菓子屋や骨董屋、古本屋などが軒を連ねる通りを散策するのも良いでしょう。店主の猫又さんには、かつおぶしを差し入れしてあげると、ちょっとおまけしてくれたりレアな商品を見せてくれるかも知れませんね。
「もう一度、あの頃へ……その為にも、失われた道を元に戻して、妖怪さんを助けてあげるのですわー!」
 ――さあ、用意が出来たら幽世へ。絢爛豪華妖怪絵巻のはじまりです。





第3章 日常 『もう一度、あの頃へ』

POW全力で遊びを極め尽くす
SPDあれこれ欲張りに楽しんでみる
WIZのんびりとマイペースに遊ぶ
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――幽世に忍び寄っていた、滅びの気配がすぅっと消えて。断たれた道が蘇り、目の前の視界が開けていけば、其処にはどこか懐かしい田舎の街並みが広がっていました。
(「……にゃあ」)
 柔らかな夕陽に照らされる、昭和のころの思い出をぎゅっと閉じ込めたような街。通りの商店では、お座布団の上でごろんと猫たちが微睡んでいますが、彼らが店長の猫又さんでしょうか。
 ――二股の尻尾のほかは、普通の猫さんと変わらないようですが、お年を召した猫又はこの街の長老格。きっと、平和を取り戻してくれた猟兵さん達を歓迎してくれるでしょう。
(「うにゃーう」)
 あ、異世界のひとが珍しくて、かつおぶしをねだっている猫又さんも居るようです。ちなみに、もうおじいちゃんおばあちゃんなので、またたびはちょっぴり刺激が強いのだと言います――何でも酔っぱらって、ただの猫みたいになってしまうのだとか。
(「にゃー、なーう」)
 ふむふむ、この通りのお店はみんな猫又さん達がやっていて、駄菓子屋や古本屋、骨董屋に雑貨屋などなど、色々なお店があるようです。
 ただし、そろそろ晩ご飯の時間ですから、間食はほどほどに。梅ジャムをつけたお煎餅やくじ付きのキャンディ片手に、紙風船を転がすくらいなら大丈夫でしょうか。お店には懐かしい玩具も置いてあって、メンコやヨーヨーなど懐かしい遊びを体験することも出来そうです。

 ――おや、何だか辺りにはきらきらした光が舞っています。ありがとう、と囁く声が遠くから聞こえてきたことから、助けて貰った座敷わらしの少女が恩返しをしてくれたみたいですね。
 幸運を齎すと言う謂れから、街を散策している間はちょっぴり素敵なことが起きるみたいです。アイスを買えば『当たり』を引きやすくなったり、欲しいなあと思っていたものと巡り会えたり、何気なく拾った石が綺麗な硝子の石だったり――そんな些細な、けれども嬉しい出来事と出会えそうです。
 遠くには緑なす野山が広がり、澄んだ川がうつくしいせせらぎの音を奏でるなかで、晩ご飯までの時間を無邪気に遊んでみることにしましょう。

 ――大丈夫。帰り路は、すぐに見つかるのですから。


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●第3章補足
・平和を取り戻した懐かしい街並みを、のんびり散策したり遊んだり、買い物を楽しんだり出来ます。
・オブリビオンから救出された、妖怪の座敷わらしの祝福で、ほんのちょっぴり幸運な出来事が起こりやすくなっています(プレイングに書いて頂ければ、大体希望通りのことが起きたりします)
・お店の店主の猫又さんは、かつおぶしを差し入れして貰うと喜んで、更にサービスをしてくれるかも。ただしまたたびは酔っぱらってしまい、普通の猫みたいになってされるがままの状態になるようです。
・その他、空き地や神社など、昭和の懐かしい街並みにありそうな場所なら、自由に指定しても大丈夫です。遊ぼうと誘えば、近くに居る妖怪さんも興味津々にやって来ると思います。

 第3章プレイングは『7月11日 朝8:31~』から『7月14日一杯まで』の受付と致します。期間に余裕がありますので、ぜひゆっくりプレイングを考えてみて下さいね。

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