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星、燦々と

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 日が落ちて時刻は丁度日付変更線に差し掛かろうとしていた。夜天には宝石を撒いたような星の煌めきが現れる。今日は恋人との三度目のデートとして、天体観測を選んでいた。彼女が星が好きだというので、観光も兼ねて樹海の奥深くまで足を伸ばしたのだ。彼女の髪に絡まった枝を折ってやる。
「あ、ありがとね!…ねぇ、望遠鏡が無くても星がすごく見えるね!」
 うきうきとした彼女の笑顔が星より眩しい。
「望遠鏡っていうのは一つ一つが綺麗に見えるものなんだよ」
 笑顔につられて笑うと彼女の微笑みが翳った。直後に腹から突き出た物に目を見開く。角のようなものだが何故こんなことになっているのか知れない。口から血反吐が出れば意識が急激に落ちていった。

●グリモアベースにて
「皆さん、依頼の時間ですよ。今日は取り急ぎ、命名樹海ツアーです」
 今日も明るくプルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)が依頼説明をしようという時だった。集まった猟兵たちの一部から、はぁ?という呆れ声が上がる。
「どういうことかというとですね、樹海にデートに行った人たちがオブリビオンによって命を落とすという未来が見えたんです。それで皆さんにはオブリビオン退治に樹海に向かってもらおうと思ったわけなんですよ」
 なるほど、それは猟兵たちの出番だなどと納得した者や、いやそこじゃないと抗議する者が現れる。そんな猟兵たちを見ながらプルミエールは説明を続ける。
「それでですね、オブリビオンが現れるのは星空が美しく見えるポイントなんですけど、数が二体。樹海の住人の守護者、幻獣ヒューレイオンです。もうとっても執念深い生き物で、花の芽一つ、小枝一本折っただけで執拗に追い回して凄惨な復讐をするオブリビオンなんです」
 それはもう恐ろしい化け物なのだと言う。それは誇張でも何でもなく、事実なのだろう。
「それから、この樹海の近くにゴブリンの巣も発見されています。ゴブリンは異種族間での交配による高い繁殖力があって大繁殖する危険性があります。放っておくと近隣の村から人を攫ってしまう可能性や、家畜や畑を荒らす可能性が考えられます。ゴブリンは複数体いますので、そちらの掃討を先にお願いします。出来るだけ根絶やし推奨です」
 と、そこまで言ってもう一度指折り依頼内容を確認する。
「始めにゴブリン退治、そのあとヒューレイオン二頭の退治、あっ……大切なことを忘れていました」
 ぱっと顔を上げると猟兵たちをぐるりと見回す。
「この樹海なんですが、星が見れるだけじゃなくて縁結びのスポットとしても密やかに人気があるそうです。好きな人やお友達を誘って深夜の星覧会なんていいかもしれませんね」
 そう言って締め括れば、いつものように猟兵たちの様子を伺った。ヒューレイオンの話を聞き、俄然やる気を漲らせる者、ゴブリンの狡猾さを憎み討伐に赴きたいと考える者もいれば、深夜の星覧会を守る為に戦うことを選ぶ者など様々だったがその全てに向けてプルミエールは言葉を紡いだ。
「皆さんの協力が必要です、どうか力を貸してください」
 そう言うと、集まった猟兵たちに黙礼をした。

 プルミエールの説明を一通り聞き終えた劉・碧は、人懐こい笑みを浮かべて頷いた。
「このまま放っといたら村や星見に来た奴らに被害が起こるだろうな。そうなる前に猟兵の力で食い止めてやろうじゃないか」
 そう言うと、決意の浮かぶ眼差しを猟兵たちに向けて軽い口調はそのままに鼓舞をする。
「さァ、アンタたちの意思は固まったかい?なぁに、きっと大丈夫さァ。悪事も善事も星が見守ってるだろうよ」


雪芳
 こんにちは、雪芳と申します。
 数あるシナリオの中から当シナリオをご覧くださり、誠に有難うございます。

 第一章は団体戦の冒険パート、ゴブリン討伐です。村への被害は今は出ておりませんので、ゴブリン討伐にのみ専念して頂ければと思います。
 第二章は冒険パート、ヒューレイオン二頭の討伐です。一般人が現れる前ですので、そちらもヒューレイオン討伐にのみ専念して頂ければと思います。
 第三章は日常パート、星覧会となります。この章では幻想的な星空の鑑賞が出来ます。

●NPCについて
 お誘いプレイングがあった場合のみ、劉・碧(夜来香・f11172)が第3章の日常シーンのみ登場します。

 どの章からでも構いません、皆さんのご参加を心よりお待ち申し上げております。
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第1章 集団戦 『ゴブリン』

POW   :    ゴブリンアタック
【粗雑な武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    粗雑な武器
【ダッシュ】による素早い一撃を放つ。また、【盾を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    足払い
【低い位置】から【不意打ちの蹴り】を放ち、【体勢を崩すこと】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイシャ・ソルラフィス
WIZで行動

尚くん(f01298)と一緒に参加します

尚くんと夜のデートするための口実として、この依頼を受けました!
…っていうのは冗談です、半分は…
だ、だって…こういう事でもしないと、夜間に一緒に出歩くなんて、そうそう出来ないし…
ともかく! さっさとオブリビオンを倒して、平和と星空デートを勝ち取ります!

ゴブリン相手には、ボクのユーベルコードで尚くんを強化しつつ、尚くんに背中を預けて、《属性攻撃》で攻撃します
樹海だから、火属性ではなく、状況に応じて様々な属性で攻撃します
相手の攻撃は《見切り》で避ける予定…
もし避けられなかったら…尚くん、お願いっ! たすけて!


日野・尚人
あーちゃん(f06524)と一緒に参加

あーちゃんがこの依頼にするって決めて来たんだけど・・・まずはゴブリン討伐か。
近くに巣があるってことはそこそこの数が居るだろうし、囲まれないよう注意しないとな?
ん? あーちゃん、どうかしたのかよ?
(表情をコロコロと変えている幼馴染を見て不思議そうに)

戦闘が始まったら連携してゴブリンを一体一体確実に討ち取って行く。
まあと言っても俺が攪乱、あーちゃんがトドメって感じかな?
≪属性攻撃≫を駆使してあーちゃんと息の合ったところを見せてやるぜ!

薄汚いゴブリンなんかがあーちゃんに触れようとしてんなよっ!

決め手は上着(パーカー)を脱ぎ捨てて加速したシーブズ・ギャンビット!


緋翠・華乃音
……こういう状況は狙撃手の独壇場だな。
幻獣はともかく、ゴブリン如きに俺の狙撃が読みきれるものか。

俺の瞳は星明かり程度の光源でも問題無く見渡せる。
戦場から離れた樹の上や枝に潜伏し、遠距離から一体ずつ確実に仕留めていこう。

「目立たない」や「迷彩」で夜の樹海に溶け込む。
「視力」「暗視」「聞き耳」で敵の姿や行動を確認。
「第六感」や「見切り」で常に先読みを行う。
リロードは「早業」を使い隙を最小限に。
必要に応じてユーベルコードを使用。
仮に射線が読まれたなら素早く狙撃位置を移動。
近接戦闘を行う必要がえる場合ほ拳銃やナイフ等で応戦。

……こんな奴らに本気を出すまでもない。
まあ、本命の前の肩慣らしみたいなものか。


エウロペ・マリウス
恋人達の憩いの場に、キミ達は無粋というものだよ

行動 WIZ【全力魔法】【誘導弾】【高速詠唱】【属性攻撃】【視力】【暗視】
使用ユーベルコード
【射殺す白銀の魔弾(ホワイト・フライクーゲル)】

【全力魔法】と氷の【属性攻撃】で火力を
【高速詠唱】で手数を
【誘導弾】で命中率を共に強化して攻撃するよ

殲滅ということだから、こちらも数で押すことにするよ
下手に逃がしてしまって、後々の問題になってしまっても駄目だからね
油断なく、容赦なく、殲滅するとするよ
万が一、様子を伺っている、もしくは逃亡をはかるようなゴブリンがいると困るから、【視力】と【暗視】で、遠方もしっかり監視するようにだね


リュカ・エンキアンサス
樹海か。
森の中はそれなりに覚えがあるつもりだけれど、迷わないようにしないとな。

地形を利用しながら移動・追跡して木々に隠れながらとりあえず進めるところまで進む。
ゴブリンを見かけたらとりあえずレプリカクラフトで簡単な足止め用の罠を張ってから、銃で撃つ。
なるべくうまく狙って一撃で倒せられたらいいけれども、長引いてこちらに向かってくるようなら罠を足止めにして逃げられればいいな、とは思ってる。特に囲まれるのは阻止したい。
それでも接近されたらダガーを抜いての戦闘に移る。
そこまで追い詰められるのは、正直避けたいけれどね。
また、近くに同じ猟兵がいる場合は必要に応じて援護射撃を行う。

※アドリブ・連携歓迎


風魔・昴
麻生竜星(f07360)と共闘
竜星のことは『竜』と呼んでいる
他の仲間との共闘もOK・アドリブOK

素敵な星空と星覧会ために、まずはゴブリン退治ね
素敵な場所に奴らのようなのはちょっと遠慮してもらいたいものね?

Bellatrixの風と水の【属性攻撃】を使い【全力魔法】で攻撃
できるだけ多くの数を倒すことができる様心がけるわ
「風の精霊、我が友よ。水の精霊、親愛なる乙女よ。共にその力を我が敵に見せつけよ!」

また竜星との協力するときは
『Bellatrix』の風の【属性攻撃】を使って【全力魔法】で攻撃を
「風の精霊、我が友よ。戦友の生み出す炎を邪悪なる者に届け焼き尽くせ!」


麻生・竜星
風魔昴(f06477)と共闘
昴のことは『スー』と呼んでいる
他の仲間との共闘もOK
アドリブOK

樹海の星空か……いかにもスーが好きそうだな
その星覧会と近辺の村の安全の為に、まずはゴブリン退治だな

【サモニング・ガイスト】を使用し、攻撃するよう命じる
「古の戦士よ、不浄なる敵を一掃せよ」
昴と共闘する場合は、彼女の操る風に炎を乗せるように命じる
「古の戦士よ。友の生み出す清風に炎を乗せ敵を一掃せよ」



 真冬の白夜に静まり返る北欧のように、ひっそりと不気味に日が暮れていく。薄ら寒く不気味な雰囲気を醸し出している深い樹海の中に、それは居た。幼馴染と夜の逢瀬を楽しむための口実として樹海に赴いたのはアイシャ・ソルラフィス(隣ん家の尚くんを毎朝起こす当番終身名誉顧問(願望)・f06524)だ。
「(…っていうのは冗談だけど、半分は…。だ、だって…こういう事でもしないと、夜間に一緒に出歩くなんて、そうそう出来ないし…)」
 今から討伐後のお楽しみを思うと知らず顔が緩んでしまう。しかし先ずはゴブリンを倒してしまわないといけない。
「(さっさとオブリビオンを倒して、平和と星空デートを勝ち取ろう!)」
 きりっとした表情になり改めて敵の討伐を心に誓ったその時だった。
「ん? あーちゃん、どうかしたのかよ?」
 表情をコロコロと変えている幼馴染を見て不思議そうに声をかけたのは、日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)だ。
「な、なんでもないよ!」
 少し上擦った声でアイシャが答える。まるで見透かされていたようで少し恥ずかしい。幼馴染のアイシャがこの依頼にすると決めて、尚人は一緒に付いて来た。近くに巣があるということはそこそこの数が居るだろうと考えた尚人は、囲まれないよう注意しなければと手に持つカンテラを掲げて周囲を見渡す。暗がりで素早く動いた影を捉えれば得物とするルーンソードを構える。それに呼応するようにアイシャのエレメンタルロッドも魔法の杖に変化を遂げた。

「……こういう状況は狙撃手の独壇場だな」
 二人を視界の端に捉えつつ狙撃の準備をしていたのは緋翠・華乃音(prelude finale.・f03169)だ。星明かりよりも大きな光源にゴブリンかと警戒したのだが、どうやら仲間のようだった。幻獣ならばともかく、ゴブリン如きに己の狙撃が読みきれるものかとほくそ笑む。星明かり程度の光源でも問題無く見渡せる華乃音は尚人たちの光源により集まってきていたゴブリンの数を数えながら、また二人の猟兵たちをも捉えていた。

「恋人達の憩いの場に、キミ達は無粋というものだよ」
 暗闇を見渡して敵の配置を探っていたのはエウロペ・マリウス(揺り籠の氷姫・f11096)だ。エウロペは様子を伺っているゴブリンや、武器を携えているゴブリンを確りと目の中に捉え、更に遠方を見渡した。数はざっと百。多いが個体の強さを考えれば、怯むことはない。地形を利用しながら移動していた冒険者、リュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)に気付くと片手を上げて存在を伝えた。
「(樹海か)」
 森の中はそれなりに覚えがあるつもりだが迷わないようにしなければと、思考しながら進んでいたリュカは合図に敏く気付いた。こんな鬱蒼とした樹海の中でさえ、志を共にした猟兵たちが集っているのだと知り、僅かながら安堵を覚える。しかし、その安堵も束の間──矢の音をリュカは耳で拾った。
一気に緊張感が喉元まで迫り上がるのを押し殺して、エウロペの指が示す方向を見た。暗がりであまりよく見えないが、そこに敵がいるらしい。リュカは愛用のアサルトライフル、灯り木を構えるとリュカの誘導を受けながら暗闇に銃口を向けた。

 離れた場所から銃声の響く音がした。ゴブリンが攻撃してきたのかと一瞬体を強張らせたアイシャだったが、すぐにそれが猟兵のものだと気付き、魔法の杖からエレメンタル・ファンタジアを展開させた。氷の属性と自然現象の津波がゴブリンを襲えば生い茂る木の周りを巡り、群の一部を制圧する。制御が難しく暴走する危険性があるものの、今は尚人がいるせいか安定して術を使えていた。氷の津波を避けて転がり出たゴブリンには、上着を脱ぎ身軽になったことで加速したシーブズ・ギャンビットを放つ。素早い一撃がゴブリンの急所を的確に穿った。遠くではもう一つ銃声が聞こえるが、ゴブリンに銃を扱う知識は無いはずだ。
「(ということは狙撃手が二人か…)」
尚人はダガーを構え直すと肩で息を整えた。
『――駆けろ、瑠璃の流星よ。』
詠唱し、向ける銃口からは夜空を駆ける流星の如き銀と瑠璃色の銃弾が放たれた。十発、二十発とその数は少ないながら確実に武装したゴブリンを射抜けば、辺りには先ほどより濃い鉄の匂いが漂った。
「……こんな奴らに本気を出すまでもない」
華乃音は小さく呟くと場所を移す。一方からだと影になる場所や死角を出来るだけ少なくするべく動いた。
『幸運の白い薔薇を持たぬあなたは、ただ魔弾に貫かれるだけの運命』
 エウロペが短く詠唱を唱えると得物、ゼノ・コキュートスから放たれたのは百五本もの魔弾だった。エウロペの前方に広がるように放たれた魔弾は次々とゴブリンに傷を負わせ、その傷を癒す間も無く次の第二波が飛来すれば、ゴブリン慌てて樹洞へと引き返す。冒険者たちの猛攻により、ゴブリンの数も半数以下になっていた。しかし半数と言えど、完全に武装が無力化したわけではなく、生き残った精鋭たちも冒険者たちに牙を剥いた。魔法の杖を構えていたアイシャと、合流を果たしたリュカたちの間に矢が放たれたのだ。その隙間に割り込むようにナイフを振りかざしたゴブリンが斬りかかってくる。リュカは咄嗟にダガーを抜き受け流したが、総数三十体余りと数は少なくない。アイシャも最初のうちは見切りで避けていたがあっという間に囲まれ隙の多い利き手とは逆の方からナイフが差し迫った。避ければ利き手側の方にいるゴブリンとの間合いを詰めてしまう。
「…尚くん、お願いっ! たすけて! 」
 アイシャがそう叫ぶと背を守っていた尚人が地を蹴ってシーブズ・ギャンビットを放っていた。その瞳には大切な幼馴染を守りたいという闘志がはっきりと見て取れた。

 女戦士の名を持つ銀杖Bellatrixを構え、漆黒の髪の青年と戦線に躍り出たのは風魔・昴(父の心と星の力を受け継いで・f06477)だ。昴は幼馴染の漆黒の髪の青年、麻生・竜星(銀月の力を受け継いで・f07360)と共にゴブリン退治に赴いていた。
「風の精霊、我が友よ。戦友の生み出す炎を邪悪なる者に届け焼き尽くせ!」
「古の戦士よ。友の生み出す清風に炎を乗せ敵を一掃せよ」
 二人が同時に唱えれば、昴の銀杖からは風と水のエレメンタルが展開される。竜星の持つ剣、月影からは古の戦士が召喚され、昴の操る風に乗じて炎をゴブリンに打ち出した。四人を取り囲んでいた壁が突き崩されれば早く、エウロペのゼノ・コキュートスで一掃された。残る二、三匹も闘争を試みたが、華乃音の仕掛けた罠に引っかかり、その場で射殺された。


「樹海の星空か……いかにもスーが好きそうだな」
 戦闘が終わった後には小休憩を挟む。ゴブリンを残らず殲滅したとは言え、やることはまだ残っていた。幻獣ヒューレイオンの討伐である。
「素敵な場所に奴らのようなのはちょっと遠慮してもらいたいものね?」
 微笑みを浮かべて昴が答える。大切な星空の見える場所と星覧会は誰にとっても楽しみだったが、星に特に強い思い入れのある二人はそれを必ず自分たちの手で守ろうと誓うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ヒューレイオン』

POW   :    ディープフォレスト・アベンジャー
【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チャイルド・オブ・エコーズ
【木霊を返す半透明の妖精】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    サモン・グリーントループ
レベル×1体の、【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミレイユ・ダーエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エウロペ・マリウス
さて、ではもう一息だね
頑張っていこうか

行動 WIZ【全力魔法】【誘導弾】【高速詠唱】【属性攻撃】【鼓舞】
使用ユーベルコード
【清浄なる魔力の調和(クラルス・コンコルディア)】

ボクは基本的に、皆の補助に徹するよ
【全力魔法】と氷の【属性攻撃】で火力を
【高速詠唱】で手数を
【誘導弾】で命中率を共に強化して攻撃するよ

この後の星の鑑賞を楽しむためにも、【クラルス・コンコルディア】で皆の猟兵の傷を癒やしながら【鼓舞】するよ

樹海の住人の守護者、か
共存共栄できれば一番なんだけれどね


日野・尚人
あーちゃん(f06524)と一緒に参加

幻獣ヒューレイオン、樹海の住人の守護者か。
そんな名で呼ばれてたんだ、嘗てはここの奴等にとって大切な存在だったんだろうな。
だけど今はオブリビオンだ。
そう難しく考えんなよ、あーちゃん。
こいつ等のことを想うなら樹海とその住人を守ってやるべきだと思うぜ!
(ニッと笑顔を見せる)

さて!ボス戦攻略と行くか!
≪トリニティ・エンハンス≫で風の魔力を纏って(防御力強化)っと。
あとは≪属性攻撃≫で削、うわっ!・・・っ痛ぅ!危ないだろあーちゃんっ!
ったく、防御重視で正解だったぜ。
まあお陰で間合いを詰める必要はなくなったけど、なっ!
(いつものことなので即ダガーを構えて攻撃に移る)


アイシャ・ソルラフィス
尚くん(f01298)と一緒に参加します

このオブリビオンって、元は森の守護者だったんだよね?
数が二体ってことは、オスとメスのつがいだったのかな?
彼らは森を守ってるつもりだろうけれど…これじゃあ森だけで、そこに住む動物たちは守れてないと思う
やっぱり、倒すしかないんだろうね…

前回と同様に、ボクのユーベルコードで尚くんを強化しつつ、回復系ユーベルコードも使って、怪我した人を治癒して、尚くんや皆の支援に努めます

…二体を同時に相手するんじゃなくて、各個撃破で倒せないかな?
氷属性の《エレメンタル・ファンタジア》で、片方を足止めとか?
ちょっとやってみよう……って、尚くんが吹き飛んだ!
尚くん、ごめんなさ~い!


緋翠・華乃音
……さて、やっと本命の登場か。
……油断は出来そうにない相手だな。少しは本気で戦う必要があるか。

基本的な戦術はゴブリン戦と同様。
狙撃に適した位置に潜伏し、優れた視力・聴力・直感を生かして敵の行動を予測・先読みする。
適宜目立たぬよう潜伏場所を変更。
可能なら接近を避ける為、ゴブリン戦よりも遠距離に潜伏を試みる。
仮に接近戦になった場合は拳銃やナイフ等を用いて牽制し、樹と樹の間や枝を影のように駆けて距離を取る。
狙撃で優先的に穿つのは瞳、脚の関節、爪先、角。
何処を撃たれたら何処が反応するか、又はどんな行動を行うか確実に読み切る。
妖精は幻獣より優先的に狙う。
ユーベルコードは使うタイミングを考えて使用。



 夜風が冒険者たちを包む。
 星空鑑賞のスポット付近まで歩けば、先程までより明らかに空が広く見える。ヒューレイオンが予見された場所は、どうやらこの付近で間違いないようだ。冒険者たちは物音を立てぬよう、最新の注意で辺りを伺った。
「幻獣ヒューレイオン、樹海の住人の守護者か…」
嘗てはここの奴等にとって大切な存在だったんだろう、と尚人は予想する。樹海に住み、それを愛し守るものとして。
「このオブリビオンって、元は森の守護者だったんだよね?」
「そうだな…だけど今はオブリビオンだ」
 今は自分たちが倒すべき存在となってしまったことを、少女は残念に思った。そうなる前はおそらく──
「数が二体ってことは、オスとメスのつがいだったのかな?」
 二頭で仲睦まじく、樹海を駆ける様を思い浮かべた。それは儚くも美しい、神秘の存在として、少女の心に映るのだろう。そして今も彼ら二頭は彷徨うように何処かから、敵対することになるであろう冒険者たちを見定めんとしているのだ。後からくる一般人を殺害したグリモアベースでの予見通りに。
「彼らは森を守ってるつもりだろうけれど…これじゃあ森だけで、そこに住む動物たちは守れてないと思う」
 それはあまりにもアイシャの思い描く神秘の存在とは程遠く、漏れ出た言葉には悲しみの色が滲んでいた。
「やっぱり、倒すしかないんだろうね…」
「そう難しく考えんなよ、あーちゃん。こいつ等のことを想うなら樹海とその住人を守ってやるべきだと思うぜ!」
 のろのろと顔を上げれば、尚人の笑顔が見えた。いや、暗闇が濃いせいではっきりとは見えないが…確かに尚人はアイシャを元気付けるように笑ってくれたのだと、そう感じ取ることが出来た。

「さて、ではもう一息だね」
「……さて、やっと本命の登場か」
 油断は出来そうにない相手だな、と華乃音は得物に手を掛ける。
「少しは本気で戦う必要があるか」
 と自身を奮い立たせるように呟けば、
「頑張っていこうか」
 とエウロペも頷いた。

 樹海の奥にいた幻獣は二頭。人間の足音、声音などを殺しても消しきれぬ匂いが本能を呼び覚ます。これは殺さねばならない。早く殺さねばならない。神聖なる我が領域が侵されぬ前に、息の根を止めなければ。
「いたぞ、あそこだ」
 エウロペが指し示すほうに一斉に視線が集まる。ぼんやりとした青白い影が、暗闇に慣れた目に映った。それはおそらく闘志の色で、より一層強くなり、近付いてくる。
「みんな!怪我しないように、気をつけて!」
 守護の祈りを全員に捧げると先ほどより気が巡り、戦闘力の飛躍が実感できた。その横ではエウロペが高速詠唱を唱えている。尚人はトリニティ・エンハンスで風の魔力を纏い、防御を高めた。そこへ二頭の幻獣が角を振り翳して飛び出してくる。
「うお…!」
 尚人はその角をルーンソードで受け止めれば、エウロペの声が響く。
「援護します…!」
 煌々と赤く放たれた誘導弾がヒューレイオンを射る。もう一頭がアイシャに角を立てようと襲いかかった瞬間に華乃音の狙撃が腹を穿った。二頭はその痛み故か大きくいななき、1と刻印された植物人間と、半透明の妖精を呼び寄せた。敵の手数が増える。
「(…二体を同時に相手するんじゃなくて、各個撃破で倒せないかな?)」
 アイシャは今までの戦闘知識を総動員して考える。
「ちょっとやってみよう……」
 やればわかるはずと、敵に目掛けてエレメンタル・ファンタジアを放てば、氷の津波がヒューレイオンを巻き込み近くにいた尚人が吹っ飛ばされて行く。
「うわっ!・・・っ痛ぅ!危ないだろあーちゃんっ!」
「尚くん、ごめんなさ~い!」
 慌てて怪我の有無を調べるがぽんっと頭に手が添えられ、くしゃっと撫でられた。
「ったく、防御重視で正解だったぜ」
 態勢を立て直すとヒューレイオンに斬りかかると、背後でアイシャの悲鳴がした。
「しまった…!」
 こんな近くに来ていたのに目の前の敵に気取られていた。角を背に刺されたアイシャからは血が滲んでいる。
「大丈夫だ、治癒するよ」
 言うが早いかエウロペが治癒の祈りをアイシャに向ける。
「我が癒し手の魔力(マナ)を贄に。かの者の傷よ、調和せよ、調和せよ、調和せよ」
 エウロペの清浄なる魔力の調和(クラルス・コンコルディア)がアイシャに注がれれば、傷は急速に癒えていく。が、この術は同時に術者の疲労も蓄積していく。あまり長い間は持たないだろう。
「ありがとう、エウロペさん!」
 アイシャは目を開くと先ほどと同じようにヒューレイオンに立ち向かっていく。その近くで銃声が聞こえればぴゃっという声と共に何かが霧散した。華乃音が妖精を狙撃したのだ。
「あーちゃんをよくも…!」
 尚人が怒りに任せてヒューレイオンに刃を向ければ、数度の攻撃を受けていたヒューレイオンの一頭が倒れた。次いでアイシャが氷の津波でヒューレイオンと植物人間が固まったように動きを止め、オブリビオンたちは跡形も無く霧散していった。

「あぁ…終わったのかな?」
 ちょっとだけ疲れが出たみたいだ、とエウロペは笑う。その肩を華乃音に支えてもらいながら、近くで休憩を取る。周囲は静寂を取り戻し、空を見上げれば雲一つなかった。良い星覧会が出来そうだな、と尚人が言えば、アイシャも無邪気に頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『天落つる星々』

POW   :    見つけた流れ星の数を数える

SPD   :    流れ星に願いごとをする

WIZ   :    空を見上げ物想う

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エウロペ・マリウス
行動 WIZ

……縁結び
ボクは色恋沙汰には特に興味があるわけでもないしね
そういう類いは、他の人達にお任せするよ

ただ……そうだね
オブリビオンとはいえ、ヒューレイオン達は森を守ろうとしていたのだろうから
その手段には問題があったのだけれど、目的は純粋なものであると思うよ
願わくば、その魂が安らかに眠らんことを
ボクにできることがあるとすれば、それぐらいだね


アイシャ・ソルラフィス
尚くん(f01298)と一緒に夜空を見上げます

刺された背中、痛かったぁ…
治してくれたエウロペさんに、お礼を言いたいです
もちろん、心配してくれた尚くんにも、ごめんね、ありがとうって伝えなくっちゃ!

そして念願の星空デートだけど…
星座早見表を見ながら、星座のお話をしつつ、尚くんと手を繋ぎたいな~っと、手を出したり、引っ込めたり…
もうちょっと傍によりたいんだけれど、恥ずかしいから尚くんに気づいてくれないかな~っと思ったり…
流れ星を見つけて騒いだり…
そんな、幼なじみ以上恋人未満な、あと一歩が踏み出せそうで、踏み出せない、やきもきしつつも幸せな時間を過ごしたいです



…ボクの顔、たぶんずっと赤いと思う…


日野・尚人
あーちゃん(f06524)と一緒に参加

くそ、あーちゃんに怪我をさせちまった。
俺がもっと警戒してれば・・・
って、まあ傍を離れたのはあーちゃん自身に吹っ飛ばされたからなんだけどさ。
何にしても強くならなくちゃな。
守りたいものも守れないとか嫌だし。
(物思いに耽りながら星空を見上げる)

よしっ! 反省終わりっ!
ん、何でもないって、それより怪我は大丈夫なのかよ?
(その後2人で話ながら星空を眺め・・・ふと何やらもじもじする幼馴染に気付く)

ん? あ、もしかして寒いか? ほら?
(着ていた上着を脱いであーちゃんに羽織らせる)
これで少しはマシになっただろ♪
(自然と肩を抱くような形となり、先程より近い距離でニッと笑う)



 しんと静まり返る樹海の深く、夜の暗さは一層深まりを見せる。ヒューレイオンが現れた方向に進んで行くと、鬱蒼とした木々が拓けた場所に出た。空を見上げれば宝石のように光り輝く星が、夜の天幕に鏤められている。エウロペに助けてもらった折の礼を述べ、アイシャは尚人の元に戻ってきた。尚人も血に染まった背中を心配していたが、今は傷も塞がり痛みも無くなっていた。
「心配させちゃって、ごめんね。ありがとう」
 そう言うと、尚人の口からは
「俺がもっと警戒してれば・・・」
と後悔の言葉が出たのだが、傍を離れたのはアイシャ自身に吹っ飛ばされたからである。
「ごめんってばぁ」
 アイシャが言うと尚人は小さく笑い、
「何にしても強くならなくちゃな」
 と二人で笑いあった。アイシャは星空デートのために持参した星座早見表を見ながら、星座の話を尚人に聞かせている。その横で尚人は話を聞きつつ、
(守りたいものも守れないとか嫌だし…)
 と物思いに耽りながら夜空の星を眺めていた。こんなに近くにある煌めきが、手には掴めないのだ。それくらい今の自分に足りないのが力だと思うと、もっと強くなりたいという気持ちが込み上げてくる。
 そんな一方でアイシャはといえば、尚人に向けて手を出したり、引っ込めたりしていた。手を握りたいけれど、握れるほど度胸が無いのだ。もうちょっと傍に寄りたいとも思うのだが、やっぱり恥ずかしいから、気づいてくれないかな~っと思って俯いてしまう。そして、流れ星を見つけては
「ねぇ、見た?流れ星が流れたの!お願いごとしなきゃ!」
と騒いだりしていた。だが肝心の尚人はそんな胸中を知る由もなく。
「ん? あ、もしかして寒いか? ほら?」
と着ていた上着を脱いでもじもじしていたアイシャに羽織らせた。尚人の温もりの残る上着と肩に添えられた手がアイシャを包む。
 自然と肩を抱くような形となり、先程より距離が縮まったことにアイシャは頬を染めた。心臓が、煩いほどに拍動する。
「これで少しはマシになっただろ♪」
 と尚人はニッと笑って見せた。

「(……縁結び)」
 自分は色恋沙汰には特に興味があるわけでもないし、そういう類いは、他の人達に任せたいと考えるエウロペの脳裏に、先ほど交戦したヒューレイオンの姿が過ぎった。恐らく二頭は番だったのだろうと思い至ったのだが、あれは紛れもなくオブリビオンだった。オブリビオンとはいえ、ヒューレイオン達は森を守ろうとしていたのだろう。その手段には問題があったが、目的は純粋なものであると思われた。
「願わくば、その魂が安らかに眠らんことを」
 自分に出来ることがあるとすれば、それぐらいなのだから、と淡く思いを馳せながら夜空を見上げた。暗い夜空に月はなく、肉眼でも星がよく見える。ヒューレイオンの魂も、あの星空のもとに向かったなら、きっと今の自分たちを見ているような気がした。今の自分たちを見たら、ヒューレイオンはどうしただろうかと考える。或いはオブリビオンでなかったとしたならば。きっと恐れることもなく、襲うこともなく、今この時を迎えている、ただの神秘の存在であったかもしれないとエウロペは思うのであった。

 今宵の大気はよく冷え、星空は澄み渡るようだ。
 星、燦々と──。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日


挿絵イラスト