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【UDC-P】棒人間は生き残りたい

#UDCアース #【Q】 #UDC-P

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●無人疾走バイクの秘密
 ネオン煌く夜の街。降りた筈の帳すら人は科学の力ではぎ取る。こと人生は短くやるべきことは多い。欲があり、仕事もある、世界の理に従っている暇は現代人には無いのだ。眠れぬ街で眠らぬ人々は今日も行き交う。
「ちょ、あれ見ろよ!」
「げ! ナニアレ、ちょーやべーじゃん!」
 程よく酒精を取り、頬を上気させてやや足元がふらつく若者が二人。まだ満たされぬ欲を埋めるために、次はどの店に行くかと舗装された歩道を歩いていたその時だ。向かう先、前方の車道から複数のヘッドライトとエンジン音が届く。そこまでは特筆すべきものではなかった。問題は、その光と音の主、数台のバイクが街灯に照らされる位置まで来たときだった。
「誰も乗ってねーのに走ってるぞ!」
 バイクは無人に見えた、誰もバランスを取っていないにもかかわらず転倒することも無く走行する無人バイクの集団。二人の若者は驚きながらスマホを取り出してその様子を撮影しようとする。次の瞬間、手の中からスマホが消えた。否、持っていた腕ごと消えた。
「へ……ぎゃああああああっ!?」
 その先を失った腕の断面から鮮血をまき散らしながら男は絶叫する。
「ひいいいいっ!!?」
 隣の男を襲った理不尽とショッキングな光景に、もう一人の男は先ほどまで朱かった顔を青ざめ後ずさる。そんな男へ走ってくるバイクの一台が、速度と落とさずに真っすぐ突っ込んでくる。
「な、にんげ……ぎぇっ!」
 後方、自分達が歩いてきた繁華街の方。多くの無人バイクが向かった方で爆音や悲鳴が響く中、飛び込み自分を吹き飛ばす無人バイクの上に、人間をデフォルメしたような無数の何かがしがみ付いて動かしているのを、最期に男はみたのだった。

「しにったくなーい♪ しにったくなーい♪ しぬまえにころせー♪」
「「「「「ころせー♪」」」」
 地獄絵図だった。多くの人が行きかう夜の繁華街へ、無人のバイクが難題も飛び込んだ。建物に、通行人に、一切減速する事無く飛び込んでいく。建物はガソリンの爆発で吹き飛び延焼し、轢かれた人々は弾む毬のようにアスファルトをバウンドし動かなくなる。
 バイクの標的にならなかった人々にも安寧は訪れない。止まったバイクから飛び出した小さな何か、無数のよくわからないものが襲い掛かる。あるものは剣で切り裂き、あるもののは槍で貫き、あるものは鈍器で殴りかかる。小さい、鼠ぐらいの大きさしかないそれらは常識外れの膂力で人々を斬殺していった。
「しにったくなーい……しにったくなーい……でも、ころしたくもない……」
 そんな中で一体、何もしない個体がいた。人間に牙を剥くことを躊躇するそれを、そのうち周囲の同胞も気づき、最終的に仲間達から叩きつぶされ消滅してしまうのだった。

●敵の総数は数億
「UDC怪物による集団殺戮の阻止と、UDC-Pの保護をお願い出来る猟兵の方はおられますか?」
 グリモアベースの一角で真月・真白(真っ白な頁・f10636)が声を上げる。それを耳にした幾人かの猟兵が集まってきた。真白は彼らに頭を下げて礼を言うと、本体である本を開いて語りだした。
「ありがとうございます。向かっていただきたいのはUDCアース。日本のとある繁華街となります」
 予知された未来では一見すると無人で走行する複数のバイクが出現し、人通りの多い夜の歓楽街に突っ込むのだという。
「実際には無人ではなく、小さい無数のUDC怪物が運転をしています。彼らはバイクによる意図的な事故を起こした後で、巻き込まれなかった人々を襲い始めます」
 その小型UDC怪物の識別名は『棒人間ソルジャーズ』という。簡略化された人型実体で手に手に様々な形状の凶器を所持しているのだそうだ。
「同胞を召喚する能力も有していて、現場には最終的に数億を超える個体が出現することになるでしょう」
 真白の言葉に絶句する猟兵。いかに小型とはいえUDC怪物、すなわちオブリビオンが数億も出現するのは想像を絶する話だろう。真白は即座に猟兵達へ安心材料を提示した。
「桁違いの出現数ではありますが、実は棒人間ソルジャーズは非常に脆弱なUDC怪物なのです。皆さんなら一撃で数千から数万を一瞬で消滅させられるでしょう」
 ただ、一つの注意点として今回出現する棒人間ソルジャーズの中に、一個体だけUDC-Pが存在するのだ。
「ご存知の方も多いと思います。UDC-Pとは、UDC怪物、すなわちオブリビオンでありながら破壊の意思を持たない存在。UDC組織の保護対象となっています」
 外見は同じでも猟兵は一目見るだけで違いを確認できる。気を付ければ攻撃に巻き込む心配はないだろう。
「現地へ転移後はまず走行するバイクの繁華街突入を阻止してください。UDC組織によって工事現場に偽装した何もないスペースが用意されていますから、そちらへ誘導してほしいのです。難しい場合はバイクを破壊しても構いませんが、UDCアースの人々への偽装工作が必要になってきますから、なるべくなら色々な手段を用いて戦闘空間へ誘導してみてください」
 その後は前述のUDC-Pを保護しながらの戦闘。そしてUDC組織の回収舞台が到着するまでに新たなUDC-Pに対する対処マニュアルを作成してもらうことになるだろう、と真白は続ける。
「UDC-Pという存在がなんなのか、未だ謎も多いです。それでも一つだけ確かな事は、『彼』は殺戮を望んでいません。どうか彼のその手が血に染まらぬ『物語(みらい)』を、皆さんで綴ってあげてくださいませんか?」
 本を閉じると真白は頭を下げ、猟兵達の転送準備に入るのだった。


えむむーん
 閲覧頂きありがとうございます。えむむーんと申します。

●シナリオの概要
 冒険、集団戦、日常のシナリオフレームです。
 まず人々を襲わんとするバイクを何らかの手段で無人の戦闘予定場所へ誘導したり、無力化を行ってください。なるべく人目に付かないような方法。バイクの破壊や爆発等を避ける作戦や手段があるとよいかもしれません。
 次に戦闘です。数億もいますが一度に倒す数も膨大なので、組織の隠蔽工作も万全ですからここではど派手に無双できます。保護するべきUDC-Pはきちんとわかるのでご安心を。
 最後に保護したUDC-Pの対処マニュアルを作成します。詳しくは三章で説明しますが、UDC-Pには何らかの難点があるので、それを補う保護方法を考えていただくことになります。UDC組織はUDC怪物に関する知識や、表に出ていない凄い技術、魔術、色々あるので、結構無茶な保護手段とかも実行可能です。

●合わせ描写に関して
 示し合わせてプレイングを書かれる場合は、それぞれ【お相手のお名前とID】か【同じチーム名】を明記し、なるべく近いタイミングで送って頂けると助かります。文字数に余裕があったら合わせられる方々の関係性などもあると嬉しいです。
 それ以外の場合でも私の独断でシーン内で絡ませるかもしれません。お嫌な方はお手数ですがプレイングの中に【絡みNG】と明記していただけるとありがたいです。

 それでは皆さまのプレイングをおまちしております、よろしくお願いします!
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第1章 冒険 『ナイトライダーの噂』

POW   :    火力をもって直接バイクを走行停止状態にする

SPD   :    機動力を活かしバイクを追跡して捕縛する

WIZ   :    情報を集め、バイクが通りそうなルートを予測して待ち伏せる

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

地籠・陵也
【アドリブ・連携諸々歓迎】
一見無人に見えて大量の棒人間……うん、ある意味怖いな。

うーん、聞き込みはできるが、ルート予測は俺はあんまり得意じゃない……
でも爆発させたりは良くないし……む、難しいな……
もう真正面からそのバイクにぶつかりにいって止めたらよくないか?(※考えるのをやめた)

【指定UC】を使ってバイクの車線上に立ってるよ。
一旦ぶつかったらUCを解除して、すぐにバイクのハンドル辺りをひっ掴もう。それからもう一度UCを使えば、動けないのを利用して固定できないだろうか?
何かを握っている状態では使えないってワケじゃなさそうだしこういう使い方もできるハズ……
止めた後はみんなに任せるよ。動けないし。



●恐怖を抱き尚立ち続ける者
「一見無人に見えて大量の棒人間……うん、ある意味怖いな」
 バイクにびっしりとしがみ付く大量の棒人間という図を想像し、地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)は少し身を震わせる。もう寒い時期ではないのだが、なんとなく愛用の白いジャケットの襟を掴んで着直してしまう。
 それにしても、と陵也は黒髪の生えている後頭部に手を当てた。
「うーん、聞き込みはできるが、ルート予測は俺はあんまり得意じゃない……でも爆発させたりは良くないし……」
 誠実そうな顔の眉を顰め緑の瞳を細める陵也。もう真正面からそのバイクにぶつかりにいって止めたらよくないか? と頭から煙を吐きそうになりながら考えるのをやめた陵也は結論付けた。
「猟兵の方ですね、組織の者です」
 そんな陵也にもたらされたのは、UDC職員達によるバイク発見の報告だった。まさに渡りに船と陵也は職員に案内されて場所を移動していく。、

 そして陵也は人気のない道路の中央に立っていた。仁王立ちだ。
 陵也の前方、彼方にヘッドライトの光hがいくつも現れる。風に乗りエンジン音も届き始める。バイクの集団が近づいてきていた。
 陵也は光を見つけると瞳を閉じた。暗闇、その中で浮かび上がるのは、何時だってあの日の光景だ。双子の弟以外の大切な人を、全てを、己の心すら喪った日。瞼の裏の暗闇は、陵也のこころの暗黒に通じる。それは虚ろだ、穴だった。全て喰われてしまったのだ。否、一つだけ残っている。『恐怖』が、『喪失』するから、無くなるから/亡くなるから、こわい。
 陵也の内を占めるのは恐怖だけだった。けれど、その恐怖は陵也に力を与える。だって、ここで引いてしまったら。同じ事が繰り返されるのだ。
「ああ、ああ――嫌だ! 俺はもう何も失いたくない!!」
 それは同時に、他の誰かにもあの喪失の恐怖を味会わせたくないという想い。もはや恐怖しか残っていない陵也の心には、恐怖しか残っていないからこそ誰かを守りたい強い意思があり、それが彼の力となる。
 開眼。
「これ以上手出しをするなら、俺を倒してからにするんだな!」
 陵也を中心に白く輝く膜の如き力が広がっていく。それは道路をすっぽりを包み、歩道を浸食し、左右の建物にすら到達する。何かを傷つける事は無い、その光は、陵也の前後で完全に道を分断しバイクの集団を迎え討った。
 バイクが白銀の結界に突撃をすると、まるで何かに絡めとられたかのようにそれ以上進むことが出来ない。次々に接触し、それ以上走行できなくなるバイク達。その様子を見た陵也の脳内に一つのひらめきが降る。
「これ、上手く使えば動けないのを利用して固定できないだろうか?」
 早速十分に引き付けて結界を解除する。支えの亡くなったバイク達をその両手て、さらには両足で、白い翼や尻尾でも抑え再び結界を発動っせた。
 絶対の結界の中では陵也自身が動くことが出来ない、雪の結晶が足元から舞い上がる中で、微動だにしない陵也とバイク達の姿は、まるでそれ全体が巨大なスノードームのようだった。
 後は自力で動けない陵也は多くのバイクと共にUDC職員に運ばれて目的を達成するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
さながらディストピアでひとり 我に返っちまったってとこかィ。難儀だねえ。
それはそれとしてバイクの対処だ。俺はでけえ《虫》に乗って高所へ退避。かわりに坊主を地上においてく。ウトガルデロックよ、うまくやってくんな。
UDCどもに幻を見せろ。ヒトを轢いていると見せかけて、うまい具合に誘導しなァ。幻を免れたやつらにゃ犬が行け。煽りたおして自分を追わせな。なに、てめぇよか捷ぇバイクなんざねえさ。うまくやれ。
婆ちゃんはネコといっしょにフォローにまわってくンな。俺も眷属《鳥》からカラスの群れとか飛ばして、衆目をうまくごまかすからよ。



●朱ノ鳥は闇夜を舞う
「ん? 朱い、羽根?」
 作戦地域の警戒任務にあたっていたUDC職員の一人の眼前に、不意に空から一枚の羽根が降ってきた。
 様々な異常現象と関わってきた職員は、安易にそれを拾わず警戒をしていた。すると突然背後から声がかかる。
「こんな時間にお勤めたぁ、お前さん達もご苦労さんだねぇ」
 慌てて振り向いた職員の目には、一人の男が映った。一見するとごく普通の青年にみえるが、危険なUDC怪物に遭遇した時の様な、恐怖が忍び寄るのを感じる。
「安心しな、今日『減らす』のはあっちの方だからさ」
 どこか昏く朱い双眸がエージェントの何もかもを見通すかのように射抜き、『ソレ』はおかしそうに喉の奥で笑うのだった。


「さながらディストピアでひとり 我に返っちまったってとこかィ。難儀だねえ」
 UDC組織エージェント達と別れた後で朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は独り言つ。帳尻を合わせる神(もの)である逢真に、減らす者でありながらそれを拒否するUDC-Pの在り様は如何に映るか。
「それはそれとしてバイクの対処だ」
 逢真の眼前には巨大な虫が、そしてその背後には、一つの影が現れる。両の眼に深い知性の光を蓄えた賢者の如き存在。それは逢真へ深く一礼をする。
「坊主(ウトガルデロック)よ、うまくやってくんな」
 古に伝わる巨人の王の名を持つ賢人へ逢真は命じると、先ほど呼び出した虫へと乗る。賢人が右手を振ると一匹の犬が、左手を振ると猫を抱いた老婆が現れるのだった。

 寝静まった通りを走り抜ける幾台ものバイク。その進路上に人間が現れた。
 早速先頭の一台に乗っている一台がそのままの速度で激突する。肉の感触、骨を折る音、遥か前方に吹き飛ばされた人は二度三度地面を刎ねて転がり動かなくなる。右腕と左足がありえない方向へと曲がっている。
 さらに前方に人間、その先にも一人。そのさらに先は右の方に三人。視界に捉えた人間達を殺すべくバイク集団はいつの間にか当初の予定していた繁華街のある方とは別へ進路変更し始める。

 ――UDCどもに幻を見せろ。ヒトを轢いていると見せかけて、うまい具合に誘導しなァ。

 羽根を広げて飛ぶ巨大な虫の背から逢真は地上を見下ろしていた。賢人の生み出した幻は、視覚のみならず、五感全てを惑わし欺く。バイクの大半は、既に繁華街を大きく外れ、UDC組織が用意した戦いの場所、工事現場に偽装したフィールドへと誘導されていた。
 だが、眼前の人間一人二人より、遠くの大勢の気配を重視したUDC達もいた。彼らはそのまま道を直進していく。そんな彼らの前に一頭の犬が飛び出した。
 素早く動きまわりバイク集団の中を、あるいは周囲を、同じ速度で走ってかき回す犬。人間であればその速度は明らかに異常だとわかっただろう。けれどバイクを操縦していたのはこれまた異常存在であるUDCだ、絡んでくる犬が普通では無い事に気づけなかった。
「じゃまなわんこを、さきにころせー♪」
 執拗に煽られたUDC達。すっかりヘイトを稼いだ犬が横道に、それさらに速度を上げ駆けさって行こうとするのを追いかけ始めた。

 ――幻を免れたやつらにゃ犬が行け。煽りたおして自分を追わせな。なに、てめぇよか捷ぇバイクなんざねえさ。うまくやれ。
 ――御意。

 主より賜りし使命を全うせんと四肢に力を込めてアスファルトを蹴る犬。本来なら音より捷いが、今はバイクを置き去らぬようあえて速度を調整し、幻に惑わされなかったバイクの大多数を目的地へ誘導していく。
 そして犬による誘導を免れた最後の数台、その前に猫を抱いた老婆が現れた。早速人間を轢き殺そうと迫った、が。ふるふると震えながら突き出された老婆の右腕は、時速百キロメートルを超えるバイクを押しとどめる。
 それ以外の走行するバイクには、老婆の腕から飛び出した猫が、否、老婆の腕の中に下半身を残したまま『伸びた』猫が立ちふさがる。そのままバイクを受け止める猫の体は、多少たわみはすれども千切れず、そのままぐるりとバイクに巻き付いて無力化する。

 ――婆ちゃんはネコといっしょにフォローにまわってくンな。

「よしよし、上出来だァ、お前さん達」
 上空でカラスを飛ばして衆目をごまかしていた逢真は、眼下の結果に満足そうに笑う。
 老婆と猫が捕獲した一団最後のバイクをUDC職員の車が輸送するのを眺めつつ、次の目的地へと虫を進ませるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・カンタレッラ
あはは、死にたくないなら仕方ないよなぁ
過去の残滓でも、そりゃあ生きてるんなら死にたくないよな
ま、私らも死にたくねぇから攻撃は絶対の防御、ってなことする訳だが

死にたくない、でも殺したくない、そう言うんなら助けに行くさ
私が迎えに行ってやる
身を潜めて良い子で待ってな

【第六感】で敵の通るルートを引き当てたら【恐怖を与える、誘惑】で敵の集団を惹き付けて誘導してみようか
暴れ回られる前に【先制攻撃】で行動出来ればやれなかないだろ、多分
私自身は猟兵だし、何しててもこの世界で違和感なんざ持たれねぇからな
流石にバイクの速さに勝てる気しねぇし、万が一、クヴェレの背に乗って空を往く方が良さそうならそっちに切り替えるよ



●海賊紳士は夜に暗躍す
「あはは、死にたくないなら仕方ないよなぁ」
 ルクス・カンタレッラ(青の果て・f26220)夜の海を思わせる美しく艶やかな黒髪を揺らしながら笑う。過去の残滓でも、生きているなら死にたくはないだろう、と。
「ま、私らも死にたくねぇから攻撃は絶対の防御、ってなことする訳だが」
 そういいながらルクスは、傍らに滞空している翼竜と、肩の上に乗る海竜を撫でた。二頭は愛おしそうにルクスへと頬ずりを返す。
「死にたくない、でも殺したくない、そう言うんなら助けに行くさ」
 ルクスはコーンフラワーブルーの瞳を細め二頭を見つめた後で、遥か前方、バイクが来るだろうと感じた方を見る。優しかった先ほどとは打って変わってその視線は力強い。
「私が迎えに行ってやる。身を潜めて良い子で待ってな」
 まだ見ぬUDC-Pへ語り掛けるとルクスは走り出した。

 闇夜を疾走するバイクの集団。それは突然起こった。後方の数台のタイヤが大きな音と共に破裂したんのだ。さらに続けて獣の咆哮のような音と共に発生した衝撃波が襲い掛かる。結果バランスを失ったバイクはそのまま転倒し、道路に擦られて火花を散らす。
 異変は一台だけではない、二台、三台と同じようにパンクさせられ、衝撃並で倒される、これが続いていく。正体を掴ませぬ攻撃は、バイクを操るUDC達に言い知れぬ不安を恐怖を与える。彼らは人間を狩りに行くためではなく、恐怖から逃げるために進路を変更し始める。すると、その先に人影が在った。破壊の意思を宿すオブリビオンであるUDC達はその一瞬、自分達を追いかける何らかの脅威の事を忘れた。目の前の人間の命を奪う誘惑に抗えなかったのだ。
 激走するバイクが真っすぐにその人影へ突撃しようとしたまさにその時。
「Seewind!」
 風が吹いた。純白の突風は人影の後方から。今まさに激突せんとしたバイクへまっすぐに。激しく吹き飛ばされたバイクは、後方を巻き込んで盛大に転倒した。
「よくやった、いい子達だ」
 ルクスの言葉にバイクを攻撃し此処まで狩りたてた海竜と、ルクスを狙ったバイクへカウンターを叩きこんだ翼竜が嬉しそうに跳ね回る。
「さて、流石にバイクの速さに勝てる気しねぇし……Quelle!」
 四苦八苦しながらUDCがバイクを立て直している様子を眺めながらルクスは仕上げに取り掛かる。名を呼ばれた海竜は一声鳴くと迅速にルクスの元まで飛んできた。ルクスは軽やかに地を蹴り、中空に躍らせたその体をひねると海竜の体を掴み乗った。
「さあ征け、私の騎士よ!」
 ルクスの掛け声に応えた海竜が飛び退るのを、ようやく復帰したUDCのバイク達が追いかける。その向かう先が自分達を斃すために事前に用意された物であることも、海竜の爪と衝撃波で走行不能になったバイクとそれに乗っていた同胞は、既にUDC職員の手で同じ場所へ運び込まれていることも知らずに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
身体が脆弱な事を補うように、文明の利器を使いこなす賢さがある棒人間ソルジャーズ…侮れない

髪に結んだ向日葵色のリボンを風に揺らして気持ちを鼓舞し

まずはバイク
歓楽街を歩き街並みを把…あ、クレープ屋さんと、お肉屋さん

チョコ生クリームクレープと串焼肉を手に街並みを把握していく
バイクが突入してきそうな場所は空から透明の大鷹が5羽で警戒

ん、来た
第六感も働かせバイクの轟音とライトの光を感じ取りその場へ急行
大鷹の皆、バイク達を掴み上げ工事現場へ運んでいって?

まだバイク残ってる?
真正面からバイクを怪力で受け止め、ぐいと抱え上げて運んでいく

…いつもは花の乙女だからバイクなど持ち上げない
少し恥ずかしくなって独りごち



●闇夜舞う白銀
 賑わいを見せる繁華街の隅、雑居ビルの屋上に木元・杏(食い倒れますたーあんさんぽ・f16565)の姿があった。
「身体が脆弱な事を補うように、文明の利器を使いこなす賢さがある棒人間ソルジャーズ…侮れない」
 今宵戦う相手が、本能だけで動くようなただの獣や、己の力のみを過信する怪物の類では無い事に杏はやや緊張の面持ちを見せていた。
 そんな杏の背後から風が吹く。優しい風だ。風は杏の頬を撫で髪を揺らした。視界に向日葵色のリボンの先端がゆらゆらと揺れているのが入り込んできた。
「……ん」
 ぐっ、と拳を握り気持ちを鼓舞する杏は自らの異能で白銀の大鷹を生み出し、夜空へ解き放った。彼らにはバイクが突入してきそうな場所を空から警戒してもらうつもりなのだ。
 そして杏本人は街を歩き街並みを把握しようとしていた、が。
「あ、クレープ屋さんと、お肉屋さん」
 ついふらふら~っと美味しそうな物へつられてしまうのだった。

「……ん、来た」
 杏が微かなバイクの音や気配の様なものを感じた時、その両手にはチョコ生クリームクレープと串焼肉が握られていた。おかわりをしたかどうかは秘密だ
「大鷹の皆、バイク達を掴み上げ工事現場へ運んでいって?」
 現場へ急行しながら空の大鷹達へ指示を飛ばす杏。大鷹達が飛んでいくのを感じながら急いで両手の食べ物を口へ放り込み処理を行う。
 現場では大鷹達が一羽がバイクの連携をとっていた。一羽が進路を塞ぎ、別の一羽がバイクを掴まて飛びあがる。そのまま工事現場まで運んでいくのだ。
「まだバイク残ってる?」
 現場に現れた杏に、まだ無事だったバイクが跳ね飛ばさんと飛びかかる。
「ん!」
 杏は飛んできたバイクに真正面から向き直り両手を前に突き出した。ぐっと腰を降ろして全身に力をこめると、なんとそのままバイクを受け止めてしまった。
 バイクは激しくアクセルをふかし、後輪は甲高い音を立てながら地面とこすれ合う。
「よい、しょっと」
 杏はそのままバイクを抱え上げ、手の空いた大鷹の所まで運んでいく。年端もいかない小柄な少女にしか見えない杏が、バイクを軽々と持ち上げて運ぶその姿に、サポートの為に集まったUDC職員から驚きの声が上がる。特にまだそれほど経験の無い新人らしき職員は、あんぐりと口を上げて固まってしまっていた。
 一仕事終えた杏は彼らの視線に気づく。
「……いつもは花の乙女だからバイクなど持ち上げない」
 頬に桜色を乗せて恥ずかしそうにそう独り言つのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

春霞・遙
彼らも死にたくないのなら危険そうに見えるものを設置しておけば迂回してくれるでしょう。

UDC職員の方々に協力してもらって一般の人を近づかせないためUDC集団よりやや離れた場所に 工事中 迂回路はこちら という看板を設置しておきます。
また、そこよりUDC集団に近い位置にハシバミの枝で篝火を焚いておきます。一般人から見たら工事用の光源に見えるように偽装。
UDC集団が近づいて来たら【悪霊祓いのまじない】で「恐怖を与える」ように「破魔」の炎を燃え上がらせましょう。

他の方の戦闘を見てしまった一般人や戦闘予定場所へ向かってきそうな一般人は記憶消去銃の「催眠術」で去ってもらいますね。



●破魔の灯の導きに
 UDC組織の作戦車両で到着した春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)はゆっくりと降車する。
「それでは車内での打ち合わせ通りにお願いします」
「了解、気を付けろよ春霞」
「えぇ皆さんも」
 同乗していた顔見知りの同僚達と手短に会話を済ませると彼らと別れた遙はゆっくりと歩きだす。
「一般人対策はこれで良しですね……後は」
 事前の打ち合わせ通り、他のUDC職員達がこちらへ繋がる道路に工事中、迂回路はこちらという看板を設置し、既に作業員の恰好になっている者達が配置に付き始めている。一般人がこちらに近寄る事はこれでないだろう。なのであと必要な対策は、そんなものを無視するだろうUDC怪物を誘導する手段だ。そしてそれを用意するのが遙の役目なのだ。
 白衣の裾をひらめかせながら遙は周囲を見分する。同僚達の一般人対策よりもUDC怪物の集団に近い位置。まもなく通過するであろう場所を見出すと、片膝を突いてそこに何かを設置していく。それはハシバミの枝だった。遙はその先端に着火する。魔力ある木と言われるハシバミの灯りは、どこか怪しく揺らめいて遙を照り返す。
「こうしておきましょう」
 遙はその灯に被せ物をして、遠くから見た時に工事用の光源に見える様に偽装を施した。そして全ての準備を終えると、ひとまとめにした焦げ茶色の髪を揺らしながら足早に、近くの路地裏に身を潜めるのだった。

 しばらくして観測されたバイク集団が近づいて来る。遙はそれをモニターで確認すると、指を複雑な形に結び力ある言葉を紡ぐ。
「夏至の夜を汚す悪しきものを追い払え、聖なる炎を消す水の流れを探し出せ」
 遙の詠唱に応じてハシバミの灯は、偽装のカバーを飲み込み大きな炎となって吹きあがった。
「うわー! なんだなんだー!」
 突如噴き出した炎に、魔を祓う力を感じたUDC怪物達は恐怖し大慌てで進路を変更し、別の道へ逃げていく。その先にはUDC組織が用意した、工事現場に偽装したフィールドがあるのだ。
 本来このまじないは枝を命中させれば攻撃に藻使えるのだが、作戦の性質上今回遙は敵の誘導に活用したのだ。
「作戦成功ですね。それでは後は……」
 バイクの群れが去っていくのを見届けた遙は破魔の炎を消しその場を離れる。その手にはUDC組織の記憶消去銃。今回の任務に参加した猟兵やUDC職員達はみな十分に注意を払って行動した。その為、これだけ大規模なUDC怪物の活動だったが、一般人に被害はおろか目撃も今の所はない、けれどまだ作戦は続く、より完璧に人々の日常を守る。組織への忠誠心と他者への滅私奉公の精神に盲従する遙にとっては、このようなアフターケアのフォローも当たり前のことなのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『棒人間ソルジャーズ』

POW   :    棒人間デリバリー
【貧弱な武器】で武装した【これまで倒された棒人間ソルジャーズ】の幽霊をレベル×5体乗せた【ダンボール箱】を召喚する。
SPD   :    棒人間ブレード
【武器による貧弱な一撃】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    棒人間あるある
【棒人間あるある】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達の活躍により、本来引き起こされるはずだった繁華街での虐殺は阻止された。誘導、追立、あるいは力任せの移動等で、無人バイク達は全てが街外れの工事現場へと集められる。
 UDC組織職員は確認後設置された呪具を起動させる。工事現場に偽装したこの領域を包み込むようにUDC怪物は出入りが出来ない結界を展開した。
「これで奴らが逃げる事はありません。今回のUDC怪物の性質も考えて、領域内は何も置いていないただの更地ですから隠れる事も難しいでしょう。作戦の第二段階をよろしくお願いします」
 猟兵ならば問題なく突入可能だ。結界内部でバイクから飛び出し、さらに仲間を召喚して増えていく棒人間ソルジャーズを、UDC-Pである一個体を除いて全滅させるのが次の作戦だ。特に隠れられるようなものもない見通しのいい更地ならば猟兵達にとって有利に戦えるだろう。
地籠・陵也
【アドリブ連携諸々歓迎】
この棒人間たちはかなり攻撃的だったよな。そんな中でそのUDC-Pは争いを好まない……
ということは、多分罠にかけるような形でふるいにかけることができるんじゃないか?

できればここの中でも特に何もない場所を使わせてもらおうかな。
そこに一見無防備に思える感じで陣取っておいて、UDCが襲いかかってきたら【指定UC】を【高速詠唱】で俺がいる位置を中心に展開する。
範囲はだいたい人が三人分並んだぐらいでいいかな?
俺は【氷結耐性】があるから、陣の外には出ずに凍ったUDCを【部位破壊】の要領で攻撃して数を減らす。

考えた通りならそいつだけ展開範囲の外にいるハズだから、片付けたら保護しよう。



●氷中に眠る
「しにったくなーい♪ しにったくなーい♪ しぬまえにころせー♪」
「「「「「ころせー♪」」」」
 更地を埋め尽くすかのようなUDCの群れ。彼らは目についた人間、つまり猟兵達へと襲い掛かる。
 弓矢やチャクラなどの射出武器、投擲武器を持つ個体が真っ先にその場から放つ。陵也は全身を包むように光のヴェールを展開させ、清く澄んだ雰囲気を放つ浄化の波長が、物理的な危害をも防ぐ。
 それに次いで剣や斧などの凶器を手にした個体たちが迫る。
「っとぉ!」
 眼前に迫り大上段から剣を振りかぶる個体に陵也は手にしていた獲物を両手で持ち打ち合う。金属同士の激突する激しい音が響き、火花が散る。超常の存在が持つ刃物にも抵抗する陵也が握るそれは、実はただの工具だ。
 本来なら一息に断ち切られるであろうそれは、陵也の手の中にある限り強固な『盾』となる。彼は此処に来る前に事前に使いやすそうな工具を見繕っていたのだ。
「ぜぇいっ!」
 そのまま両の膂力で打ち返し吹き飛ばす陵也。返す刀で利き手を離し、工具の先端を全力で押し込めば握りを軽くした反対の手の中で工具は素早く滑り、激しい勢いで押し出された側が、横殴りに襲ってきた斧と打ち合い吹き飛ばした。
「この棒人間たちはかなり攻撃的だったよな」
 事前に聞いた予知の通りだと、自分に殺到するUDC達を見て陵也はその認識を強める。
「(そんな中でそのUDC-Pは争いを好まない……)」
 刹那の思考。その間も休む事なく、激しい波のように繰り返される攻撃をいなしながら、己を囮にした罠のような形でふるいにかけることができるのではないか、という結論に達する。
 陵也は素早く周囲を確認する。できれば特に何もない場所を使いたかった彼にとって、ただの更地となっているここは非常に都合が良い、更に目論見に合致させるなら、と四隅の一つへ向かって駆けだす。動線上にいる個体を殴り飛ばしながらだ。UDC-Pの位置は大まかにわかっている。先ほど見回した時に、一瞬だけ、ほんの僅かだが違和感をその緑の瞳が捉えていた。それだけで、方向が分るだけで十分だ。
「にっげるなにげるなー♪」
「逃げねぇよ。ほら、来い。相手してやるぜ」
 陵也は『盾』として活用していた工具を放り投げ、その身を包んでいた光のヴェールも消し去った。無防備な姿を晒して立ち止まった彼に、凶器を振りかぶったUDCの群れが飛びかかる。
「其は第九の圏、其は嘆きの川、其は罪が流せし涙、出でよ、侵せ、蝕め……術式展開」
 陵也の高速詠唱により彼の足元を中心に魔法陣が展開される。その範囲は人間が三人並べる程。その魔法陣からこの世の物とも思えぬ冷気が噴き出す。絶対零度もかくやな冷気は、大気中の水分から熱を一呼吸も終わらぬ間に奪い去り、小さな氷の粒を無数に生み出す。氷たちは霧の如く広がり、陵也を取り囲んで飛びかかったUDC達をたちまちのうちに凍らせてしまう。
「そう簡単に逃がすワケにはいかないんだ」
 UDC達が凍り付いていく中で、唯一変化がないのは陵也だった。彼は凍り付いたUDCを破壊していく。
「考えた通りなら……」
 争いを望まぬぬUDC-Pならば、自分に殺到せず、展開範囲の外にいるはずだと、霧氷の内より、UDCの群れの彼方にいるはずのUDC-Pを見つめていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

春霞・遙
死なずに済んで、殺さずに済んで、本当に良かったですね。
その想いに応えて、できる限りあなたのことは守りますよ。

優先事項はUDC-Pを生きたまま確保すること。次点で他のUDCたちを逃さないこと。

まずは視認でUDC-Pを把握することに努めます。
戦闘の中で傷つけずに確保するのは対象の脆弱さから難しいかと思うので無理はせず。そういうのが得意な方にお任せするか、UDC殲滅を行いつつUDC-Pに様々な攻撃が当たらないようにフォローしようと思います。
花吹雪を操って広く攻撃を撒きながら、UDC-Pにダメージを与えそうな攻撃があればそちらを攻撃。あまりあからさまだとUDC-Pが目をつけられそうなので適度にごまかす



●葬送の紅
「死なずに済んで、殺さずに済んで、本当に良かったですね」
 遙は更地を埋め尽くすUDCの群れを見ながら独り言つ。その想いに応えて、出来る限り守る。それが彼女が自身に課したオーダーだった。
「(優先事項はUDC-Pを生きたまま確保すること。次点で他のUDCたちを逃さないこと)」
 飛んでくる銃弾や矢、飛びかかってくるUDC怪物を

体をひねって
避けながら、白衣の内側に隠したホルスターより拳銃を引き抜く。そのまま立ち止まる事無く発砲。撃ち抜かれた個体が吹き飛んで消滅していく。
 数えるのも嫌になる程の棒人間ソルジャーズの群れ、その先にいるUDC-Pを視認で把握しつつ、遙は思考を巡らせる。
「(戦闘の中で傷つけずに確保するのは、対象の脆弱さから難しい……)」
 背後から襲い掛かる敵を咄嗟にしゃがみ回避、そのまま目視せずに上方へ連射し撃退。さらに地を蹴って回転防御しながら立ち上がる間にマガジンを交換。即座に発砲しながら移動を開始する遙。困難な任務、だが従事しているのは己だけではない。
 確保は得意な者に任せ己は第二事項を遂行する。それが遙の出した結論だった。
「風に舞う薄紅の嬰児よ惑う命の導きと成れ」
 遙は拳銃をホルスターにしまうと一振りの木製の杖を取り出した。かつての医者は診察に用いたともいわれるそれを両手で構えると、その先端を知覚の棒人間ソルジャーズ達へ向けて、力ある言葉を放つ。言葉に呼応して杖から光が溢れる。その光に導かれるように数多の薄桃色の花びらが舞った。花吹雪は一瞬で光を向けられたUDC怪物達を飲み込み消していく。
「よし」
 確かな手ごたえを感じた遙。杖から光を迸らせたままその場で素早く回転をする。全周囲のUDC怪物達が光を浴びた、次の瞬間。遙の動きに追従するかのように花吹雪が周りを飲みこんだ。仲間達が一瞬で消された事を恐れもせず、否、恐怖したからこそまだ大量に居るUDC怪物達が遙に襲い掛かる。
 遙は慌てるそぶりも見せず、正面へ杖を突きだしながら駆け出す。直ぐに視界を埋め尽くすほどの花びらが舞い、大きく前方の敵を消し去って、僅かな間空白地帯が生まれる。遙はそこを駆けていく。かと思えば急に向きを変えて別方向へ突き進む。
 一見してでたらめに動き手当たり次第に倒しているように見えるが、そこんはきちんとした意図があった。他の猟兵の攻撃から、UDC-Pに万が一危険な流れ弾が飛んだ時に、それをすぐさま迎撃できる場所取りなのだ。敵は遙の行動の真意に気付く事も無く、花吹雪に包まれていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
棒人間の皆さん…乗り物がなければ数だけ多い貧弱な身体
ねぇ、死にたくない?だから殺す?
それじゃ駄目
死にたくないなら、ね、手を繋ごう?
一緒に生きていく方法考えよう?
【うさみみメイドさんΩ】
メイドさんズ、手を差し伸べて回って?こちらからは攻撃せず、根比べ

UDC-Pの子はきっと呼び掛けに応えてくれる
でも、他にも応えてくれる子がいないか、探したい
棒人間だと生きにくかった?辛いこと多かった?
出来る限り愚痴は聞いてあげたい
どうしても戦闘が避けられなくても、少しでも気持ちが楽になってから骸の海に戻って欲しい
出来る限り戦いは避けて、無理な場合はパンチ

UDC-Pの子が戦闘に巻き込まれないように庇いオーラ防御



●それでも、と手を伸ばす
「しにったくなーい♪ しにったくなーい♪ しぬまえにころせー♪」
「「「「「ころせー♪」」」」
 歌いながら武器を振り回す棒人間ソルジャーズ達を、その攻撃を避けながら杏は複雑な面持ちで見つめる。
「(棒人間の皆さん…乗り物がなければ数だけ多い貧弱な身体)」
 思考を傾ける杏へ、近くのUDC怪物が剣を振りかざして襲い掛かる。軽やかなステップで距離を取る杏だが、絶好のチャンスが来てもUDC怪物へ攻撃しようとしなかった。
「ねぇ、死にたくない?だから殺す? それじゃ駄目」
 彼女は。
「死にたくないなら、ね、手を繋ごう?」
 彼女『たち』は。
「一緒に生きていく方法考えよう?」
 手を、伸ばす。
 杏の周りに出現した、幾体ものうさみみメイドさん。杏の念動力によって、まるで生きているように動き舞う人形達はUDC怪物を攻撃せず、ただその手を伸ばしていた。

 木元・杏は猟兵である。幼い少女でありながら、これまで彼女は数多の世界を家族と、仲間と、時には独りで渡り歩き、多くのオブリビオンとも対峙した。本来オブリビオンが相いれない存在であるということは、よく理解できている。彼女は、ただ何も考えずに大言壮語な願望を喚き散らすだけの無知な子供では決して無い。
 だが。それでも。
 UDC-Pはきっと呼びかけに応えてくれる。それだけで十分だ、それ以上はどうやっても無理なはずだ。
 でも。それでも。
「他にも応えてくれる子がいないか、探したい」
 向日葵の瞳に決意の色を湛えて、杏は手を伸ばし、語り掛け続けた。甘いクレープも美味しいお肉も、そして手を取り合える可能性も諦めたくはない。花の乙女は欲張りなものなのだ。
「棒人間だと生きにくかった? 辛いこと多かった?」
 語り掛ける杏に返ってくるのは殆どが刃で、偶に言葉があっても、それは恨み節だ。それでもよかった、それでよかった。どうしても戦闘が避けられなくても、少しでも気持ちが楽になってから骸の海に戻ってほしい、それが杏の偽らざる思いだ。加虐に至る原因、死にたくないというUDC怪物の思いを生み出す源泉を少しでも軽くしたくて。
 その後特筆するべきことは何もない。『オブリビオン』は攻撃を続け、『猟兵』は『オブリビオン』を倒した。その事実は何も変わらない。
 『猟兵』がかけた言葉に、行動に、『オブリビオン』が何を感じ、何を応え、そして最期の時にどんな表情(かお)をしたのか、それを知るのは彼女だけだ。それは彼女の、彼女だけの『物語』なのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
問答無用で滅ぼし尽くせってんなら超得意なんだが、ひとりだけ殺しちゃいけねえんが混じってるってなるとなあ。無差別系はまずいか。
おっし、表れな頼もしき骸ども。受肉してやっから代わりに手伝ってくれ。
《獣》や《鳥》から犬でもトラでも鷹でもワシでも連れてっていい。武器はぜんぶ毒をまとわせてやる。銃でも剣でも使っていいが、爆弾はちょっと控えてくれな。
てめぇらプロだから、目を見りゃ相手に敵対の意思があるかどォかわかんだろ。目が点じゃちょっと…だってェ? ま・そこは経験でうまいことしてくれや。頼んだぜ。
無茶振りも何度目やら。それでも応じてくれんだから感謝してらぁよ。俺は虫に乗って、上から戦場を観察すっか。



●死に抱かれし軍団
 その場を埋め尽くすようなUDC怪物の群れ、逢真は眺めながらため息を一つ。
「問答無用で滅ぼし尽くせってんなら超得意なんだが、ひとりだけ殺しちゃいけねえんが混じってるってなるとなあ。無差別系はまずいか」
 凶星たる彼は増えたモノをまとめて減らす事は得手としているが。その中から結果的に生き残るのではなく、最初から狙って特定のモノを除外するのは難しい。
 僅かな逡巡の後、逢真は自身が面倒ならば別の者に任せる事に決めた。
「おっし、表れな頼もしき骸ども。受肉してやっから代わりに手伝ってくれ」
 逢真の言葉に現世に招かれたのは骸骨。骨だけとなった骸達が彼の周りを取り囲むように出現する。骸達はその場に跪き頭を垂れた。
 「《獣》や《鳥》から犬でもトラでも鷹でもワシでも連れてっていい。武器はぜんぶ毒をまとわせてやる。銃でも剣でも使っていいが、爆弾はちょっと控えてくれな」
 周りの骸達に指示を下す逢真。
 倒すべき敵の中に同じ姿で保護すべき対象が含まれている事を聞かされた骸の一体が顔を上げ、声帯無き口を開いた。
「てめぇらプロだから、目を見りゃ相手に敵対の意思があるかどォかわかんだろ。目が点じゃちょっと……だってェ?」
 彼らの声なき声による質問に対して逢真は口元に手を当てて少し考えた後
「ま・そこは経験でうまいことしてくれや。頼んだぜ」
 丸投げした。
 質問した骸は骨だけの手を額に沿えて天を仰ぐ。まるでおお、神よ、とでも嘆いていそうな様子だが神は既に目の前にいるのだ。
 とにもかくにも立ち上がった骸達。逢真は彼らに祝福を授ける。
「そォら、獲物だぜ」
 骸達の骨しかない姿に肉が戻り、神経が走り、血が巡り、皮と毛が生えていく。体という言葉が本来骨と肉を意味する體であったというならば、今まさに彼らは躰を取り戻し、生前の身体となったのだ。
 戦闘に適した服に身を包んだ彼ら、その手には逢真の指示通りの刃物や銃器、集団戦で効果があるだろう複数を巻き込むようなものではなく、一人一殺のための者が揃えられている。武器は最初から彼らが信奉する神により毒の加護を賜っていて従来以上の殺傷力を有している。
 彼らの傍らには四足の獣と翼持つ者達が控えていた。逢真の病の権能を広げる役目持つ眷属達だ。
 かくして作り上げられた病毒の神の軍団は、およそ人間離れした身体能力を発揮して突撃していった。

 今、病毒の神は天に在った。眷属たる虫の背に乗り戦場を観察していた。
 眼下には死が広がっている。己の信者であった死者達による骸軍は、今一時ばかりの仮初の命を以て、過去より還りし命を削っていた。特殊部隊としての経験と技術を有する彼らは個ではなく全として機能し、見事な連携でUDC怪物達を殲滅していく。
 無論骸軍とて無傷ではない。UDC怪物達の振るう武器に、物量によって致命傷を負い倒れ伏す者も少なからずいる。けれど彼らに恐れは無い、そもそもが一度死して神の権能により一時的な命を与えられただけの者達だ。UDC怪物に殺されなくとも、一定時間を経れば彼らは再び死ぬ。帳尻を合わせるために病毒(し)を撒く神が、一度終わった命を永遠普遍に現世に留め置く道理は無い。
 だが、骸軍の彼らが死を恐れぬ理由は別にある。一度死を経験したからだ。自らが信奉する神(し)に抱かれる甘美(くるしさ)を知っているからだ。故に彼らは『二度目』を与えてくれた神(逢真)に感謝し、与えられた使命を文字通り命をかけて実行していく。
「無茶振りも何度目やら。それでも応じてくれんだから感謝してらぁよ」
 どうやらなんとか目と目で通じ合ってUDC-Pを判別できたらしい。それ以外のUDC怪物と己の信奉者達が削り合っていく様を、その一つ一つを、逢真はしっかりと瞳に収めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・カンタレッラ
区別が付かねぇってのが問題なんだよな、【第六感】に頼るかね
死にたくねぇなら私んとこおいで、って言ったら来てくれるもんかな
命からがら逃げて救われるより、そっちのが良いじゃん
匿ってやるからさ、こっち来いよ
窮鳥追い出すほど冷たくねぇつもりだよ、私は

おいで、逃げ込んでおいでと遠巻きにしていると予想した方向へ【誘惑、言いくるめ】で声を掛けながら
遊んどいで、と巨大化させたクヴェレを敵の真っ只中に放つ

や、クヴェレが敵の目を引き付けてくれてるなら、そいつも頑張って私に近付きやすくなるかなーと
大丈夫、ちゃんと庇ってやるからさ
死にたくねぇなら今だけ頑張れ、そしたら君にリュウグウの至宝の専属護衛を貸してやるよ



●その手を掴むための勇気
 猟兵達の四肢奮迅の活躍により、億を超える棒人間ソルジャーズの群れもその数を減らしてきている中で、ルクスは手をかざしながらUDC-Pの姿を探していた。
「区別が付かねぇってのが問題なんだよな」
 猟兵はUDC-Pを他のUDCと見比べて違いがわかる。けれどこれだけ同じ姿のものがひしめき合うと隠れてしまうのだ。
「(死にたくねぇなら私んとこおいで、って言ったら来てくれるもんかな)」
 脳裏によぎったその考えに不敵な笑みを浮かべる。
「命からがら逃げて救われるより、そっちのが良いじゃん」
 かくして方針は決まる。ルクスは己の直感を信じ、心の赴くままに残った集団へ突撃する。
 数が減っても尚、否、数が減っているからこそ必死に、狂ったようにUDC怪物達が襲い掛かる。
「匿ってやるからさ、こっち来いよ」
 首を断ち切らんと放たれる斬撃をかわし、尚も言葉を紡ぐ。
「窮鳥追い出すほど冷たくねぇつもりだよ、私は
 降り注ぐ矢の雨と、突き出されり槍、それがルクスに刺さろうとする直前、ぴたりと空中で固定されたようにとまってしまう。ルクスはその間を悠々と通り抜ける。立ち去り際ルクスは無いも無い場所へウィンクを投げる。ほんの一瞬だけそこには、美しい魚に似た海の娘の双子の姿があった。
「おいで、逃げ込んでおいで」
 ルクスは己の直感に従い、遠巻きにしている一団へ向けて声を掛け手を伸ばす。
「遊んどいで」
 そしてUDC-Pと他のUDC怪物達がルクスに注目したそのタイミングで、彼女は海竜クヴェレを繰り出した。
 気高きルクスの騎士は見上げなければいけないほどの巨体へと変貌し。その鋭い爪で手前側の集団を人凪ぎに消滅させる。
 同胞の大量消滅に動揺するUDC怪物の群れ、ルクスは一点だけ見つめ続けて言葉を紡ぐ。
「大丈夫、ちゃんと庇ってやるからさ。死にたくねぇなら今だけ頑張れ、そしたら――」
 ルクスの言葉の途中で飛び出す者が居た。
 死を与えられる事を恐れ、かつ、死を与える事を嫌った『UDC-P(かれ)』は、勇気を振り絞り駆け出した、真っすぐに。
 混乱する同胞をかき分け、体を震わせながら。
「殺したくない! 死にたくない! 助けて!」
「――あぁ、頑張ったな。君にリュウグウの至宝の専属護衛を貸してやるよ」
 ルクスは飛び込むUDC-Pを優しく力強く抱きしめる。そしてくるりと踵を返し、胸の内にUDC-Pの顔を隠してなにも見せぬようにしながら。
「さあ征け、私の騎士よ!」
 主の号令に海竜は高らかに吠え、その咆哮の衝撃波と水によるドラゴンブレスが、先ほどまでUDC-Pが隠れていた一団を薙ぎ払うのだった。

 UDC-P確保。その事実を確認したこの場に居合わせた猟兵達の行動は素早かった。
 防御が得意な者は確保しているルクスと共にUDC-Pを守り、広域に攻撃が得意なものは、残った集団を削り取り、それ以外の者が撃ち漏らしを確実に討ち取り。
 やがて、UDC-P以外、全ての棒人間ソルジャーズを倒しきる事に成功したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『UDC-P対処マニュアル』

POW   :    UDC-Pの危険な難点に体力や気合、ユーベルコードで耐えながら対処法のヒントを探す

SPD   :    超高速演算や鋭い観察眼によって、UDC-Pへの特性を導き出す

WIZ   :    UDC-Pと出来得る限りのコミュニケーションを図り、情報を集積する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達の活躍により、今宵命を奪われるはずだった者。罪無き多くの一般人と、オブリビオンとしての破壊活動が出来ないがゆえに同胞に殺されるはずだったUDC-P、全ての命を無事に守り切る事が出来た。全ては猟兵達が誇るべき成果だ。
 ただ、あともう一つだけ猟兵達に課せられた任務がある。UDC組織によるUDC-P保護収容チームが到着するまでの間に、今回保護で来たUDC-P、棒人間ソルジャーズの対処マニュアルを作成しなければならない。

「……」
 保護されたUDC-Pは不安そうに周囲を見回している。彼は先刻まで戦ってきた棒人間ソルジャーズと基本的なスペックは変わらないが、仲間を召喚する能力は失われてしまったようだ。
 右手には片刃のナイフを抜き身で握っている。手放す事も可能なようだが、そのナイフ自身も彼の一部であるのか、置いて遠くまで離れる事は出来ないようだ。抜き身のまま持たせるのは危ないので何らかの収納所持手段が必要かもしれない。
 また、危険なので試してはいないが、恐らく脆弱な肉体は変わっておらず、他のUDC-Pよりもさらにその辺に考慮した保護手段が求められるだろう。
 UDC組織においてUDC-Pは貴重な研究サンプルであり、大切な仲間でもある。故に人道的な扱いをしてもらえることは確実だし、個体ごとの特色に合わせた特殊な保護プロトコルを実行できるだけの資産と技術と知識がある。
「どうか猟兵の皆さんと『かれ』の忌憚ない意見をお願いします」
 書記役として同席するUDC職員のその言葉で対処マニュアルの作成は始まった。

 街外れの工事現場。激闘の在った場所は今、一般人の目を欺く結界の中で、簡易テーブルや椅子が設置され、猟兵達とUDC職員、そしてUDC-Pが車座になっていた。
 UDC-Pは逃げ出したりはしないものの、それでもきょろきょろと周囲を何度も見まわし、ふるふると震え緊張の色が隠せない様子だ。猟兵達に自分を害する意思が無い事は、UDC-P本人もわかっているのだが、己と同じ脆弱な肉体の同胞たちを狩りつくしたのは間違いなく猟兵だ。人間でいうなら、何の武器も防具も無い状態で猛獣と相席するような本能的な恐怖は、完全に御しきれていないのだ。
地籠・陵也
【アドリブ連携諸々歓迎】
話をしよう。
自分だけが全く違う環境におかれるのは苦しいと思うし、そう思える"心"が芽生えたからこそ、きっとUDC-Pになったんだろうから。

今まで辛かったろう。もう大丈夫だ――と、最初に声をかけてあげたい。
この子もきっとたくさん話したいことがあるだろうから、聞き役に徹しよう。
どうして自分がこうなったのかとか、人間で興味のあるところとか、何でもいいから時間の許す限り話して欲しい。俺は全部聞くから。

それとこの子の周りにある"穢れ"をUCで祓うことはできないだろうか?
UDCとして悪さをさせる要因の一つかもしれないし……
おまじないみたいなものだって笑いながら疲れはごまかすよ。



●清め祓う翡翠
「今まで辛かったろう。もう大丈夫だ」
 真っ先に声を掛けたのは陵也だった。UDC-Pに不必要に近づかないように自分の席に腰を降ろしたまま、UDC-Pを怯えさせないように落ち着いた声色で。その瞳もまた、険の取れたものだ。
 自分だけが全く違う環境におかれるのは苦しいだろう、既に己は喪失への恐怖以外を失ってしまった陵也だが、だからこそ怖さや辛さを味会わせたくないという想いは人一倍強いのだろう。そしてまたそんな陵也だからこそ、UDC-Pが苦しく感じるのは、そう思える”心”が芽生えたからこそ、きっとUDC-Pになったんだろうと確信していた。
「あんたの事、聞かせてくれるか? 俺は全部聞くから」
 柔らかな口調で言葉を続ける陵也。
「……うん」
 小さな声ながら、UDC-Pは確かに首肯しぽつぽつと語りだした。
 他の棒人間ソルジャーズはわからないが、少なくとも『彼』は、己らが元々どういう存在で、どういう経緯で過去として骸の海へ放逐されたか、覚えていなかった。『彼』にとって最も古い記憶は、オブリビオンとして受肉し、地上で目覚めたその時だった。
 生誕のその時から同時に『彼』の恐怖は始まっていた。同胞なのに相いれない程の、人間への殺意を抱いたUDC怪物達、その中で何故か同じ思いを持てない自身。脆弱な肉体であるからこそ、彼らは『敵』に容赦しない。少しでも同じでない自分が同胞(かれら)に敵と認定されない確証はない。
 そんな恐怖と苦しさを抱えた日々の中で、彼が見つけた光、それが人間だった。形が違う、色が違う、身に着けている物も違う、武器だって持っていない。なのに。
「てを、つないでた」
 違うのに、異なるのに、人間は笑顔で手を繋いでいたのだ。
「話してくれてありがとうな」
 優しく言葉を返す陵也。UDC-Pの為に自分が出来る事は……そう考えた彼が出した結論は。
「祓え、清めよ、全ての"穢れ"を大地に還せ……」
 陵也の言葉が紡がれる、翡翠色の吹雪が驚くUDC-Pを包んでいった。
「おまじないみたいなものだ」
 吹雪と同じ翡翠色の双眸をUDC-Pへとと向けながら、陵也は異能の代償として負った、全身から噴き出す汗と疲労感に気付かれないように気丈に振る舞っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルクス・カンタレッラ
頑張ったなあ、君
うん、偉かった
私の声聞いてくれてありがとな
怖かったな、もう大丈夫だよ
君には言葉があって、意思がある
何かあったらちゃんと周りの人に言おうな

って訳で、色々本人に聞こうや

んー、このナイフって鞘ないのか
もしくはどっかに仕舞ったりは?
難しいなら、背中に背負うとか腰に提げるとかの形で収納場所が要るね
君も両手使えた方が色々出来るもんなぁ

どんな所が暮らしやすいんかね、君
とりあえず、か弱さ考えて、部屋内とかなるべくやわこく整えた方が良いよな?
君、掌サイズだから、あんまりでかい部屋だと落ち着かないか

あー、あとは
仲間喚べないし急にぼっちになっちまったもんなぁ、ちょっと不安だったりするんかなぁ……



●信じられる笑顔
「頑張ったなあ、君。うん、偉かった」
 UDC-Pの身の上を聞いたルクスは笑顔で口を開く。
「私の声聞いてくれてありがとな。怖かったな、もう大丈夫だよ」
「ぼくのほうこそ、ありがとう」
 ルクスの言葉にUDC-Pは少し恥ずかしそうにもじもじとしながら答えた。
「君には言葉があって、意思がある。何かあったらちゃんと周りの人に言おうな」
「うん」
 素直に首肯するUDC-Pの様子に満足げなルクスは本題へと入る。色々考えるに当たって本人から話を聞こうという考えだ。
「んー、このナイフって鞘ないのか」
 最初にルクスが注目したのは、シンプルなUDC-Pのデザインの中でひときわ際立つ、握られた武器、ナイフだった。
「もしくはどっかに仕舞ったりは?」
 ルクスの言葉に首を横に振るUDC-P。それを受けてルクスは、ナイフの収納場所が要るねと結論付けた。
「背中に背負うとか腰に提げるとかの。君も両手使えた方が色々出来るもんなぁ」
 ルクスの言葉にうんうんと首肯するUDC-P。二人の会話はUDC職員が記録していく。
 幸いにもUDC-Pのナイフは、切れ味は確かに良いのだが、ただ置いているだけではただのナイフで常識を超えた切断力などの異常性は持ち合わせていなかった。これならば彼のサイズに合う鞘等を作るのも容易だろう。
「どんな所が暮らしやすいんかね、君」
 次にルクスが考えるのはUDC-Pの居住環境だった。当人に聞けば、どうも普段は同胞たちと集まって野宿をいていたらしい。そんな彼のオーダーは『怖くない所』
「とりあえず、か弱さ考えて、部屋内とかなるべくやわこく整えた方が良いよな? あと、君、掌サイズだから、あんまりでかい部屋だと落ち着かないか」
 そうしてルクスのアイディアとUDC-Pの意見が盛り込まれていく中でルクスはふと気になった事をUDC-Pに聞く。
「仲間喚べないし急にぼっちになっちまったもんなぁ、ちょっと不安だったりするんかなぁ……」
 UDC-Pは少し考え込んだ後で、ルクスに微かな笑みを浮かべて返す。
「ふあん。でも、みんなをしんじてる」
 その言葉にルクスも満面の笑みを返すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

春霞・遙
乳幼児健診の時にお話する子供の事故防止が色々思い出されます。
うん、子供の事故防止ハンドブックとか公衆衛生の教科書をたたき台として提案しよう。

まずはUDC-Pを観察して知力と運動能力が何歳相当か大体の見当をつけて、誤飲とか省けそうなものは省きます。逆に人の子供とサイズが違うから挟まるとか落ちるとか溺れるとかは採用しても良いかな。

あとは、自室を与えるなら、家で靴を脱ぐのと同じように自室にいる間ナイフをしまう棚を設置するとか。
いざという時のためにUDC-Pが共感できる【棒人間あるある】を書き留めて収集しておくとか。
コミュニケーションをとる時に人が踏んだり蹴ったりすることがないように注意書きするとか。



●医者として、エージェントとして、寄り添う
「(乳幼児健診の時にお話する子供の事故防止が色々思い出されます)」
 遙は子供の事故防止ハンドブックや公衆衛生の教科書をたたき台として提案した。UDC職員は直ぐにタブレットで消費者庁のHP等を開き確認していく。
 その間にも遙は他の猟兵達とやり取りをするUDC-Pを観察し、その知力が何歳相当か大体の見当をつけようとしていた。
「(子供の様な拙さあはあるけれど、知力自体は結構ありそうですね)」
 話し方や表現に子供のような部分はあるが、その内容はしっかりとしている部分も多い。運動能力も観察をしたかった遙はUDC-Pに話しかける。
「こんにちは、私は春霞・遙だよ。はるかせんせーって呼んでね」
「こんにちは、はるかせんせー」
 表向きの仕事として子供達を診察する時のように語りかける遙。怖がらせないようにしようという彼女の気遣いと話術でUDC-Pは随分と緊張がほぐれているようだ。
 遙はそのままUDC-Pに軽い運動をお願いする。結果として見えてきたのは。
「(やはり身体能力はとても高いですね)」
 実際の子供との差異を参考に先ほどの資料から省けそうなものを省いていく。
「誤飲とかははぶけそうかな。逆に人間の子供とサイズが違うから、挟まるとか落ちるとか溺れるとかは採用してもいいかな」
 一通りの測定を終えた遙が考えたのは収容場所、つまりUDC-Pが生活する場所の事だ。
 UDCエージェントでもある遙は、当然UDC-Pの取り扱いも把握している。人型実体のUDC-Pは基本的に他の職員が利用するのと同じような自室が与えられる。彼の場合はそのサイズ差から特注のフロアが与えられる事になるだろう。
「(それなら、家で靴を脱ぐのと同じように自室にいる間ナイフをしまう棚を設置するとかできそうですね)」
 その場においても一定距離ならば自由に歩き回れるから、それを考慮した間取りが必要だと遙は考える。
「おっと、施設内に注意書きも必要ですね」
 コミュニケーションをとる時に人が踏んだり蹴ったりすることがあってはならない、とメモに加えてもらう。
「最後にそうですね、いざという時のために……」
 遙はその後UDC-Pと色々と話し込んだ。同胞を召喚する能力は失われたが、棒人間あるあるを聞いて共感することで治癒する能力は健在だ。あらかじめ職員間で棒人間あるあるを共有しておくことで、もしも万が一UDC-P自身や職員に危険が迫った時の緊急治癒も可能だろう。
「命を持たない紙の鳥、散らず褪せない紙の花、くるりくるり、舞い踊れ」
 遙が手製で折った色々な折り紙を、彼女の異能で動かして、動物や機械を見せながら一人と一体はあるあるを探していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

朱酉・逢真
そうさなぁ…。ナイフにゃ鞘がいるだろう。鞘のついたベルトつけるにゃ体が細すぎっから、肩掛けにすっといい。ヒトと接せるのがいいし、組織で雑用とかするんはどうだい? いろんなことやらせてみりゃ、自然とできっことできねえことがわかってくるもんさ。
あとは定期的な健康診断と体力検査か。研究施設でやるよォなんじゃなく、ガッコでやるようなもんをさ。幅跳びだの100メートル走だの、あれで基本的なこたぁわかるだろ。
あとはやっぱ人類に親しみを覚えてもらうんがいちばんさ。暴力で従えても遺恨が残る、いっしょにいたいって思ってもらうんがいいのさ。
あとはどうだい、棒人間くんよ。これはやめてほしいってのがありゃ言っときな。



●ヒトとヒトならざるものの距離
 抜き身のナイフ問題に関しては逢真も気になっていた。他の猟兵と同様に彼も鞘を用意するべきだと主張する。
「鞘のついたベルトつけるにゃ体が細すぎっから、肩掛けにすっといい」
 その上で逢真はUDC-Pの身体の細さを考慮して肩掛け案を推した。UDC職員は推奨理由を添えてタブレットに入力していく。
 また逢真は、この場で簡単な運動で身体能力を調べている様子を見ながら、一つ今後の事について考えが生まれた。
「ヒトと接せるのがいいし、組織で雑用とかするんはどうだい?」
 雑用ですか? と返すUDC職員に、口角をあげてニヤリと笑みを浮かべる逢真。
「いろんなことやらせてみりゃ、自然とできっことできねえことがわかってくるもんさ」
 UDC職員はなるほどと首肯しそれも加えていく……が、次の逢真の言葉には不可解な顔をしてしまう。
「あとは定期的な健康診断と体力検査か。研究施設でやるよォなんじゃなく、ガッコでやるようなもんをさ」
 幅跳びだの100メートル走だの、あれで基本的なこたぁわかるだろ。と続く逢真の提案。
 UDC職員は流石に学校の授業のようなものをする意味は無いような気がする。と伝えようと逢真を見る。視線が交錯する。昏く、昏く朱い瞳はじっとこちらを見ていた。美しい顔立ちに笑みを浮かべてこちらを見ているだけなのに、UDC職員は知らず寒気の様なものを覚える。なんとなくそのまま見つめ合うのを避けたくて何も言わずにタブレットへ視線を戻した。一体なぜ彼はこのような事を……悩む様子のUDC職員へ逢真は言葉を続ける。
「あとはやっぱ人類に親しみを覚えてもらうんがいちばんさ。暴力で従えても遺恨が残る、いっしょにいたいって思ってもらうんがいいのさ」
 その言葉を聞いて、ようやくUDC職員は得心がいったという顔をする。ナイフを鞘に納め、雑用などを行い、学校の様に運動も行う。なるほどつまり彼はUDC-Pと我々が良好な関係を築けるように腐心すべしと言ってくれているのだ、と。
 逢真の意図をそう解釈したUDC職員は再び彼に向きなおり、そうですね! と笑顔で応えタブレットを操作しはじめる。もう逢真を見ても体が違和感を覚える事はなくなっていた。
 一方の逢真は次にUDC-Pへ視線を向けていた。源流は違えどどちらも人ならざる身だからだろうか、UDC-Pは逢真を見て人一倍緊張しているようだった。彼が、最も恐れる死をもたらす存在(かみ)であると本能的に気づいているのだろう。
 UDC-Pの内面の葛藤を知ってか知らずか、逢真は普段と変わらぬ様子で、あとはどうだい、と話し始める。
「棒人間くんよ。これはやめてほしいってのがありゃ言っときな」
 逢真の言葉にUDC-Pは色々と思案し始めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

木元・杏
ん…、わたしは杏。杏は名前
名前は自分を象どる器のようなもの
あなたは?無いなら一先ずはソル
ソルジャーのソル
自ら助けを求めた勇気、それは戦士のそれと同じだから
また後で、自分の気に入った名乗りしてね

あ、お腹すいた?
ご飯は何を食べるの?
衣食住の習慣大事
しっかり聞き取るね

ソルの身体は脆い
でも色んなものを操る頭の良さと器用さがある
わたしからは、ミニ空飛ぶ円盤的な乗り物、提案してみる
強化ガラスで覆われて、色んな景色が見れて人ともお話出来る
ナイフの収納も可能。物を掴みたい時はアームも出てきて、作業も可能
保護されるだけでなく、お仕事、出来るよ

死にたくない、希望は叶った
なら、次の希望見つけさせてあげて欲しい



●希望を灯す
「ん……わたしは杏。杏は名前。あなたは?」
 腕を組みながら思案するUDC-Pへ杏は声を掛けた。
「なまえ、ない」
 UDC-Pは顔を上げて、その向日葵の瞳を見つめ返す。元々特にそういった個を識別する為の者は無かったのだそうだ。
「無いなら一先ずはソル」
 名前は自分を象どる器のようなもの、と杏は告げ、UDC-Pに名を与えた。
「そる」
「ん、ソルジャーのソル。自ら助けを求めた勇気、それは戦士のそれと同じだから」
 命名の由来を述べた杏は、また後で、自分の気に入った名乗りしてね、と締めくくる。UDC-Pは、そる、そる……と何度か販推したあと。
「ぼくは、そる。ありがとう、あん」
 笑顔を向けるのだった。
 この日この時、無数の棒人間ソルジャーズの一体ではない、ただ一人のソルがこの世に生まれた。
 不意にソルの腹からぐうと音が鳴る。
「あ、お腹すいた? ご飯は何を食べるの?」
 杏は、丁度良い機会なのでその辺を聞いてみる事にした。
 衣食住の習慣は大事だ。他の猟兵達による交流で住と衣の話は出ている。つまり残るは食だ。
「えっと、ごはんは……」
 ソルからしっかりと聞き取った杏。脆弱な肉体といってもそれは外部からの攻撃に対しての話で、人間が食べられるものは大丈夫なようだ。。
 時間も時間なので、少しだけ小腹を満たせるような物を通信機で頼んだUDC職員に、杏は一つ考えていた提案をする。それはいうなればミニ空飛ぶ円盤と言ったような乗り物を作れないだろうかというものだった。
「ソルの身体は脆い。でも色んなものを操る頭の良さと器用さがある」
 杏は今回の任務では常に、棒人間ソルジャーズが文明の利器を使える知能と器用さがある事を重要視していた。ソル自身も他の棒人間ソルジャーズと共にバイクを操作していたはずだ。であれば、彼のサイズに合わせた彼の為の機械を操る事は造作もないだろう、と。
「ん、これを見て欲しい」
 杏はスケッチブックにイメージイラストを描いていた。丸みを帯びたフォルムはまさに円盤というにふさわしい。『←強化ガラス』と書かれた透明な部分からはソルが顔を出している。
「これなら色んな景色が見られて人ともお話出来る」
 断面図もあった。コクピットに当たる部分には柔らかな素材で覆われて、搭乗者であるソルの身体を守るように設計されている。そして円盤の側面や下部からは様々な形状の先端部を持つアームが出てくるようになっており、物を掴んだり作業を行えるように考えられていたり、ナイフを収納するスペースが設けられていた。
「保護されるだけでなく、お仕事、出来るよ」
「しごと、ぼくにできること……」
 ソルは杏の考えたイラストを食い入るように見つめていた。今までずっと、殺したくない、殺されたくない、ただそれだけを考えてきた。周りにいるのは同胞でありながら相いれない者達で、心情の吐露など許されず、ただただ生き残る事だけを考えさせられてきた。今は人間達に保護され身の安全を、生命を保障された。そうなってやっと、初めて、ソル自身が、己には『次』があるのだと気づいた、気づかされた、杏に、猟兵達に気付かせてもらえた。
「死にたくない、希望は叶った……なら、次の希望見つけさせてあげて欲しい」
 杏はUDC職員に深々と頭を下げた。もしかすると彼女は昨年末に出会った保護されているUDC-P達の事を思い出していたのかもしれない。人と異なる特徴特性を持ちながら、自分のやりたいことを謳歌出来ていた彼らのように、ソルにも、と。
「資料、お預かりします。実際に全く同じスペックの物を開発できるかはこの場では断言できませんが、貴女の希望にそうように。彼が我々の組織で生活するなかでやりたいと思ったことを出来るように、必ずします」
 職員は力強く杏に返事をすると、なぁに、UDC組織(うち)のメカニックは優秀ですから、と笑った。



●エピローグにしてプロローグ~ここから始まるソルの『物語』~
 その後、届いたお菓子を摘まみながら、提案されたものをまとめた報告書の作成が終わる頃に、収容チームが到着したとの連絡が入った。各々は立ち上がり準備を始める。職員は保護対象であるソルを収容チームへ引き渡すために。そして猟兵達は任務完了として帰還する為に。別れの時間だ。
 ソルはこの場に集った猟兵達一人一人にありがというとお礼を述べる。助けてくれてありがとう、過去を聞いてくれてありがとう、未来を考えてくれてありがとう、希望をくれてありがとう。
「ぼくは、こんどはみんなをたすけたい」
 何ができるかはわからないけれど、それがソルが抱いた未来への希望だ、彼が選んだ『物語(みらい)』だ。
 死への恐怖や不安が完全に消えたわけではない。だがそういうものだ。生きていくとは常にそれを抱えて、その上でそれ以上に大切なものを見つめるという事だ。
 猟兵達に見守られながら、ソルはその『物語(じんせい)』の第一歩を、確かに、しっかりと、踏み出した。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年07月04日


挿絵イラスト