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ワは「惑星ロボ」のワ

#スペースシップワールド #【Q】 #クエーサービースト #惑星ロボ #小夜鳴鳥(ナイチンゲール)号 #グレイテスト号の"色男"

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 グリモアベース。
 グリモア猟兵の白鐘・耀は、なんだかうんざりした顔であった。
「巨大ロボットねえ……私正直、そういうのピンとこないのよねえ」
 何の話だろうか? 訝しげな猟兵たちの視線に、彼女はいまさら気付いた。
「あーごめんなさい、説明するのが先よね。まあほら、なんていうか……。
 スペースシップワールドの未踏領域探査を妨害してる、アレのことは知ってる?
 ……そう、クエーサービースト。小惑星サイズのバカデカい宇宙の怪獣よ」

 クエーサービースト。
 それは、あの「銀河帝国」ですら手をこまねき放置していた、謎の宇宙生命体。
 巨大さもさることながら、人類への恐るべき敵意を持つ、危険な存在だ。
 現在スペースシップワールドでは、このクエーサービーストが物理的な障害となり、
 唯一「居住可能惑星」の存在が期待できる"未踏領域"の探査が難航している。

「で、そのクエーサービーストの中に『マインドミナBVA』ってのがいたわけ」
 こいつね、と耀が背後に映し出したのは、無数の殺戮兵器を生やした黄金の怪物。
 これはすでに幾度となくグリモアの予知にひっかかり、その猛威を振るってきた。
「こいつ自体はもう何度も倒されてるんだけど、問題はこいつの装甲の特性なのよ。
 ちょっと難しい言葉を使うと、「思念に反応しユーベルコードを伝達できる」のね。
 で、前々からこれをなんかに使えないか、っていう議題が挙がってたんだけど……」
 グリモアベースで行われていた「儀式魔術【Q】」がついに発動し、
 どうやらマインドミナBVAの装甲を戦いに利用する方法が見つかったらしい。
「……それが、巨大ロボットなのよね」
 そして話は、一番最初の耀のうんざり顔に落着するのである。

 "惑星ロボ"。
 現在グリモアベースでそう仮称されているのが、件の装甲を利用した産物だ。
 まさに小惑星サイズ――つまりクエーサービーストと同じ大きさのロボットである。
 これを使ってサイズ差を克服し、戦いをなんとかしようというわけだ。
「いまのところはみんなのユーベルコードであいつらをやっつけてこれたけど、
 これから先、もっとデカブツが出てこないとは限らないわけでしょう?
 ……まあ今の時点だとまだ、実用するにはデータが足りない試作段階なんだけどね」
 そもそも、実際に惑星ロボを組み上げることすら出来ていない状態だ。
 思念に反応して強化される惑星ロボを作り上げるためには、方法はひとつ。
「みんなに実際に建造してもらって、想いを込めるのが一番だっつー話になったのよ。
 ……うん、なんか燃える展開みたいなんだけど、私そのへんさっぱりだわ……」
 いわゆる「男のロマン」が、耀にはピンとこないらしい。

 ともあれ今回やるべき最初の仕事は、試作型惑星ロボを完成させること。
 ロボというと複雑な機械に関する知識が求められるのでは、と思われるが、
 その点については心配要らない、と耀は言った。
「ようは「こだわり」とか「思い入れ」が大事な仕事だからねえ……ノリよ、ノリ。
 それに、この試作型ロボットの基礎理論って、実は意外なところから出てきたのよ」
 耀によれば、そもそもマインドミナBVAの装甲の有効活用例は、
 こともあろうにあの「銀河帝国」の総帥――銀河皇帝が実践していたのだという。
「実際にあの皇帝と戦った人なら憶えてるかしらね。「マインド」っていう思念兵器」
 銀河帝国攻略戦において姿を見せた銀河皇帝の全体像がグリモアに投影される。
 宇宙最強のサイキッカーが背負う、後光めいた巨大な純金の構造物。
 それこそが、彼奴のワープ能力を底上げしていた思念兵器「マインド」であった。
「これの原材料が、例の装甲だった……って資料が見つかったらしいわよ?
 まあとにかく、そのへんの教本があるから、専門知識がなくても大丈夫よ」
 もちろんそういった知識を持つ猟兵がロボット建造に加われば、
 開発される試作型惑星ロボは、さらに頑丈に構築できるかもしれない。

 ただし、と耀は前置きした。
「試作型は試作型だから、惑星ロボを完成させたとしても出来ることは多くないわ。
 まず最大の武器は、「パイロットのユーベルコードを小惑星サイズにする」こと。
 ただしその反動で、乗り込んだ人は一回ユーベルコードを使うとそれで限界なのよ。
 だから実際に戦闘になったなら、皆でパイロットを交代してもらう必要があるの」
 実地試験の目標は、新規パーツ確保も兼ねて「マインドミナBVA」が予定されている。
 しかしもしかすると、そこで新たなクエーサービーストが現れかねないという。
「確証はないけどね……こういうとき敵も新型を出してくるのって定番なんでしょ?
 私、詳しくないけど。てなわけだから、組み立てて終わりってことにはならないわ」
 危険な任務だ。しかし成功すれば、これからの未踏領域探査は大きく変わる。
「建造作業に協力を申し出てくれてるスペースシップもたくさん出てきてるわ。
 あの世界の人たちが無事に新たな星を見つけるためにも、力を貸してちょうだい」
 そう言って、耀は火打ち石を取り出した。
「……しっかし、ほんと男のロマンってのはピンとこないわねえ」
 目を輝かせている一部の猟兵にうんざりしつつ、火打ち石を鳴らした。
 それが、転移の合図となった。


唐揚げ
 鉄の城です。儀式魔術【Q】、成功おめでとうございます!
 そしてやってきましたクエーサービースト編第三展開!
 今回はまさかの……巨大ロボット建造ですよ!!

●各章の概要
 一章:試作型惑星ロボの建造(冒険)
 二章:クエーサービースト『マインドミナBVA』との戦い(ボス戦)
 三章:未確認クエーサービーストとの戦い(ボス戦)

●専門用語のまとめ
『銀河帝国攻略戦』
 昨年2月に発生したスペースシップワールドでの戦争。
 この時戦ったオブリビオンフォーミュラが、OP中で登場した「銀河皇帝」です。
『未踏領域』
 銀河帝国が秘匿していた、「居住可能惑星」があるかもしれない場所。
『クエーサービースト』
 戦争終結後しばらくして登場した、『未踏領域』に存在する謎の銀河生命体。
 これまで二種類の敵が確認されており、いずれも「小惑星並のサイズ」を持つ。
 言語などによるコミュニケーションは一切不可能(意思が存在してるかも不明)
『思念兵器マインド』
 先述の『銀河皇帝』が使用していた、謎に包まれた兵器。
 原材料に、『マインドミナBVA』の装甲を使用していることがわかった。
『惑星ロボ』
 『マインドミナBVA』の装甲を使用して建造する試作型ロボット。
「小惑星ほどの大きさ」を持ち、「搭乗者のUCを巨大化させて放つ」ことが出来る。
 なお、他世界への持ち込みは不可。現時点では理論上の存在。
 また、メインパイロットはユーベルコードを一回使用すると疲労してしまうため、
 戦闘中は『メインパイロットが入れ替わりながら闘う』ことになる。
(戦闘章にて詳しく説明します)

●一章の備考
 ロボットの建造は『未踏領域の既知探査宙域』にて行います。
 現地にはこれまで未踏領域の探査に名乗りを上げたスペースシップが駐在し、
 必要に応じて猟兵たちの作業を手伝ったり、休憩スペースを提供してくれます。
(これまで当方のクエーサービースト系シナリオに登場した艦はすべて存在します)

●プレイング受付期間
 06/05(金)08:30前後までとします。

 色々説明が長くなってしまいましたが、連作シナリオというわけではないので、
 はじめて戦いに挑むぜ! てな方も大歓迎です。お待ちしております。
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第1章 冒険 『試作型惑星ロボ開発計画』

POW   :    完成したパーツを組み立てて、小惑星サイズの巨大ロボを完成させる

SPD   :    試作型惑星ロボの完成に必要な装置を作成したり、分割したパーツごとに完成させていく

WIZ   :    試作型惑星ロボの設計を行なったり、必要な資材をもつスペースシップに出向いて交渉する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●既知探査宙域:NG-004〈渚〉、宇宙艦ナイチンゲール号ブリッジ
「……と、いうわけでじゃ」
 宇宙艦「レインフォース号」から出向してきた老人技師が、鼻息荒く言った。
「猟兵連中が見つけ出してくれた極秘資料の内容が正しけりゃ、
 この「マインド」をコクピットにすれば、どんな大きさの機械でも動ける。
「マインド」が、搭乗者の思念をそのままダイレクトに伝えてくれるからのう!」
「つまり……クエーサービーストと同じサイズでも、ということですか?」
 ナイチンゲール号艦長・パトリックの質問に、老人技師は自信ありげに頷いた。
「つっても、俺らが出来たのはあくまで資料の解読と理論の構築だけ。
 実際には猟兵の手が関わってないと実現できねえし、動くかどうか……」
 一方でナイチンゲール号の若手メカニック、レヴァン少年は不機嫌そうだった。
 動くかどうかもわからない機械の理論をひけらかすのは、
 いっぱしの技術者として腹に据えかねる、といったところだろうか。
 しかし先のマインドミナBVA遭遇戦において実際に問題の装甲を加工した彼は、
 猟兵という不確定要素がもたらす威力を、よく実感している。
「なあに、あいつらならやってのけるだろ。だって、あいつらだぜ?」
 宇宙艦「グレイテスト号」の艦長、"色男"ジャックが呵々大笑した。
 それが癪に障ったのか、レヴァン少年はへの字口で腕を組む。
「とにかく我々は、猟兵のみなさんが滞りなく動けるようにサポートしましょう」
 パトリック艦長はそう言って、AR映像を見上げた。
 そこには、ロボットと呼ぶにはずいぶん不格好な「完成予想図」の姿。
 しかしこれが、人類の版図を切り拓く鍵になるかもしれないのだ――。

●第一章のまとめ
 ・猟兵たちは『マインドミナBVA』の装甲を使って試作品を作る。
 ・『惑星ロボ』は造り手の思念=ロボットへの思い入れやこだわりで、
  最終的な戦闘力や、装甲の強度といったものが決定される。
 ・あくまで試作品であり、どの程度こだわりが実現されるかは不明。
 ・UCを小惑星サイズに拡大できるメインパイロットは一度にひとりのみ。
 ・現地には未踏領域探査に参加したスペースシップが駐在し作業に協力する。
  退役軍人やベテラン技師など老人が集まった『レインフォース号』
  後方支援や士気高揚のために遊覧中のサーカス艦『グレイテスト号』
  前線指揮および探査任務を実行する戦闘艦『ナイチンゲール号』
  などなど。
(ご要望があれば各艦およびそれぞれのNPCもリプレイ中に登場します。
 作業に参加せず英気を養うなどの、実質日常フラグ的プレイングも歓迎です)
トルメンタ・アンゲルス
◆SPD

へぇ、大型鎧装。いいじゃないですか!
もし量産できれば、俺達猟兵にしても猟兵じゃないヒトにしても、対抗手段となりますしねぇ。

合体、同調とかその辺のシークエンスは、俺と相棒のアクセルユニゾン辺りの仕組みを流用し、汎用性を持たせて。
俺が核になって、実際に装置の試作をしてみて……。
いや、俺は制御出来るとして……

……そうか、操るのはマインドミナの外殻なんですよね。
ちゃんと、リアさんにはお礼をしないといけませんね。

――俺が擦り切れる前に。

――MaindominantMemory connect.

さぁ、実験を始めようか!
その力、貸してもらうぞ……。

未来を掴むために。
何より速く、
何より強固に――!



●星の行く先
 流星とは実際のところ、デブリが燃え尽きる前に見せる一瞬の輝きなのだという。
 宇宙のゴミ見せる最期のロマンチックをシビアな現実と捉えるか、
 はたまた「だからこそロマンチックなんじゃないか」と頷いてみせるのか。
 ……ただどうせなら、自分は誰かの輝きとなって燃え尽きたいと思う。
 トルメンタ・アンゲルスは、まだ17歳の少女だ。
 そういうところぐらい、年相応の乙女でもいいだろう。彼女はそう思った。

「もはやこれじゃあ、"鎧装"ってレベルじゃないですねえ」
 スペースシャトルのコクピットめいて無数のボタンと計器が転がるコクピット。
 仮設操縦席に座るトルメンタは、半ば呆れたような声音で呟いた。
 この世界のテクノロジーは他の世界に比べてはるかに進歩しているが、
 それでも"鎧装"といえばあくまでパワードスーツの延長であり、
 大きくても10メートルを超えるのは稀……というのが、定説である。
 もちろん、奇跡を起こすユーベルコードによって生み出されたものであれば、
 そうした尋常のテクノロジーを凌駕することは枚挙にいとまがない。
 とはいえそれでも、この小惑星並みの巨大な「建造物」は明らかに規格外。
 なるほど、自分たち猟兵でなければ手がつけられないわけだ。
「さすがにユーベルコードなしに操縦するのは難しそうですね……。
 一般のスペースノイドでも、量産型でもいいから操縦できればいいんですが」
 しかし量産を考えるにはまだ早い。試作品は形にすらなっていないのだ。
 このコクピットはもちろん、惑星ロボ自体がいまだ生まれぬ赤子も同然。
 全身のパーツはまさに今このときも急ピッチで建造中であり、
 仮設コクピットはかすかに振動して、ドリルやマニピュレータの音を伝えていた。
「……銀河帝国のテクノロジーが、回り回って俺たちの助けになるとは。
 本当に、何が幸いするかわからないものですね……正直、妙な気分ですが」
 マシンハンドを開き、握る。同調システムの調子はすこぶるいい。
 マインドミナBVA。あの黄金外殻の恐ろしさは身を以て知っている。
 だからこそ――力に溺れてはならない。トルメンタは深く深く息を吐いた。
「ちゃんと、リアさんにはお礼をしないといけませんね」
 いつか、流星(おれ)が燃え尽きてしまう前に。
 流れ星のように輝く嵐の乙女は、いつか来る終わりの時を夢想した。
 それはきっと地獄のような戦場で、大往生には程遠いだろう。
 けれども、それでいい。自分は、そのためにこの生を選んだのだ。
 ベッドの上で安息のうちに眠るなど、もはや願いすらしまい。
 ……後悔がないといえば嘘になる。平穏無事に過ごせればどれほどよかったか。
「"MaindominantMemory"、コネクト! ブリッジ、準備はいいですか!」
 仮設コクピットに誂えられた粗悪なスピーカーがノイズを鳴らした。
『十分じゃ! モニタリングはこっちでするぞい!』
「感謝します。では、始めましょう」
 クリスタル型メモリをソケットに装填。サイバーパーツが励起発光した。
 組み立て中の惑星ロボがゴウン、と鳴動した。まるでそれは心臓の脈動だ。
「……未来を掴むために、何よりも疾く強固にならなきゃいけない。
 お前はそのために生まれたんだ。だから今は、俺に合わせてくれ」
 ゴウン――応えるように、惑星ロボが再び鳴動した。
 ゆりかごのような心地よいゆらぎ。トルメンタの口元に緩い笑みが浮かんだ。

 いつか必ず、自分は宇宙の塵と同じように燃え尽きるだろう。
 それでもいい。
 それがいい。
 ――数多の犠牲を積み重ねて拾って死に損なったこの命が、輝きになるなら。
 その輝きが、誰かにとっての希望になるのなら。
「さあ、実験を始めましょうか!」
 流星は、輝くのをためらわない。

成功 🔵​🔵​🔴​

聖護院・カプラ
居住可能惑星の発見は我々スペースシップワールドの民の悲願。
未踏領域探査の為、私も試作型惑星ロボの建造に関わらせていただけませんか。

まず『レインフォース号』の方々へご協力をお願いしましょう。
惑星ロボはUCを小惑星サイズに拡大できはしますが、
それだけではクエーサービーストと対等となるだけ。
相性や状況次第では敗北を喫する事もあるでしょう。

そこで提案するのが技能も小惑星サイズに拡大する機能の追加です。
身に付けた技能は……自身を裏切りません。体が衰えてもです。
ベテラン揃いの『レインフォース号』の皆さんならご理解していただけるかと。

幸い単独技能の私が居ますので、出力のテストに使っていただければと思います。



●出力テストとはおっしゃいますが
「つまり、徳です」
「「「は?」」」
 ここはスペースシップ、レインフォース号。
 老人技師たちは、一様に豆鉄砲を食らった鳩のような顔をしていた。
 聖護院・カプラはやれやれとばかりに頭を振り、もう一度言い直す。
「ですから、徳です。徳こそが戦況を変えるのですよ」
「うむ、何言ってるのかさっぱりわからんのう!」
「何も言い直されていないんじゃが……」
「そもそもなんじゃ徳って」
 老人技師たちが困惑するのも無理はなかった。
 カプラの主張は、おおよそこのようなものである。
「……惑星ロボはユーベルコードを小惑星サイズに拡大すると言います。
 しかしそれでは、あくまでクエーサービーストと対等になれるだけ。
 これからの強敵相手には、少しでも多くの有利な条件が欲しいところです」
「うむ、それはわかるんじゃが……」
「そこで徳なのですよ」
「それがわからんのじゃが!?」
「そうですか……」
 カプラはしばし腕組し、考え込むような仕草をした。
 彼にとって功徳はほとんど呼吸と同じレベルで当たり前のように行えるのだが、
 あらためて徳という概念を説明しろと言われると、なかなか難しい。
「……そうですね。この際一度、徳の概念は脇に置いておきましょう。
 私が言いたいのは、操縦する猟兵の個性を引き出したい、ということです」
「「「個性」」」
「もうすこし我々猟兵に馴染みのある言い回しをすれば、"技能"ですね。
 そう、私の場合は徳……そしてその徳を生み出す、この存在感こそが!」
 パァアアアアアア。なんかカプラが光を放ち始めた。
 いや、違う。後光を背負っていると見紛うほどの……強烈な存在感!
「そ、存在感って技能なんじゃったかのう……!?」
「わからん、猟兵というのはよくわからんが……とにかく、すごいのじゃ!」
 その有無を言わさぬオーラに、老人技師たちも気圧された。
 カプラは存在感を控えめにして(それもどうやってるのだろうか)改めて言った。
「この存在感を、惑星ロボを通じて小惑星規模で放射できたならば……。
 ユーベルコードのぶつかり合い、その雌雄を決する一手となるはずです」
「うーむ……つまりようは、メインパイロットの動きをもっと反映したいと」
「そうとも言います。まあ私のように物理的な挙動に左右されなかったり、
 呪いや浄化といったふうに、魔術的な技能に秀でた方もいらっしゃいますからね」
 そう言われてみるとわかった……ような、気がする。
 老人技師たちは顔を見合わせて、しばし唸った。
「サイキッカーのサイキックエナジーみたいなもんかのう……?」
「百聞は一見にしかず。まずは私を実験台として出力をテストしてみましょう」
「徳の出力を……?」
「テストする……?」
「……どうやれば?」
「…………そこは皆さんに考えて頂くということで」
 老人技師たちは膝を突き合わせ、うんうん唸りながら推論を交わし合う。
 カプラは後光を放っていた。割とこれですべてを解決するきらいがある。
 はたから見ると、かなり奇妙な光景であったという。

成功 🔵​🔵​🔴​

マヤ・ウェストウッド
「巨大ロボねえ、男の子ってそういうの好きだよね」
・マヤは銀河帝国に滅ぼされた故郷《コロニーK9》を復興するべく、猟兵稼業を行なっている
・ユーベルコードで召喚されたK9のスタッフもまた祖国復興のために結集した技術者である。メカニックの知識は勿論、拠点防御のノウハウはロボの防御力向上に貢献できるはず
・医術や救助活動のスキルはロボの乗組員を保護する機構(操縦席の装甲を厚くする、機内医務室の設置など)の導入を促し、開発建造中の技師たちの健康管理に役立つはず
・マヤのこだわりは、安全性。搭乗者達が無事に帰還できることと、エンジニアたちの健康が保たれる事を重要視している
「ロマンもイイけど、まずは安全第一さ」



●いつかの再起のために
 銀河帝国は滅んだ。
 この世界を永きに渡って停滞に落とし込んでいた巨悪は、死んだのだ。
 しかしそれは、この世界の完全な安寧とすべての安息を意味しない。
 かの邪悪の残滓は世界そのものを、人々とコミュニティとを蝕んでいる。

 宇宙の片隅に浮かぶ独立共同体、《コロニーK9》はそのひとつだ。
 そしてマヤ・ウェストウッドこそは、そんな共同体の再起を願う女であった。
 猟兵稼業も、いわばそのための仕事の一つと言えるだろう。
 そんな彼女が、今回のこの仕事にはたしてどんな感慨を抱いたか……。
「マインドミナBVA……あの金ピカ野郎の残骸がこう役立つとはねえ」
 マヤは腕組し、小型作業挺の窓から巨大な威容を見上げた。
 いまだ建造途中の機械の申し子――生半可なスペースシップより巨大な体躯。
 手足も満足に構築できていないそれは、まるで継ぎ接ぎのぬいぐるみのようだ。
 無数のガラクタを磁石でくっつけたような、ブサイクな見た目である。
 しかしそれが、かえって無限の可能性を感じさせていた。
「男の子って、こういうの好きだよねえ。アンタもそうだろ?」
『やめてくださいよ。もうそんな歳じゃないです』
 ユーベルコード"嵐の救急医療"で召喚された精鋭スタッフのひとりが苦笑した。
 見た目は若々しい青年だ。しかし、腰から下は機械で義体化されている。
 彼もまた、度重なる銀河帝国の蹴撃によって重い代償を支払ったひとりなのだ。
『けどまあ心は躍りますよ。これでクエーサービーストをやっつけるんでしょう?
 もしも居住可能惑星が見つかれば、我々の復興作業だってスムーズになる』
「……そうだね。ま、こいつはあくまで試作品だが」
 組み上げ途中のガラクタには、他のスタッフらが何人も取り付いていた。
 彼らはクエーサービーストに関する知識こそ乏しいものの、みな腕利きだ。
 特に防御面、そして戦闘中の乗組員のケアについては任せていいだろう。
 もちろんマヤは、作業に従事する技師らのケアにも目を向けていた。
「爺さんたち! 気持ちはわかるが、張り切りすぎてぶっ倒れないどくれよ?」
 作業挺の上部ハッチを開き、特殊宇宙服越しに冗談めかした。
 作業をしていた老人技師たちは、勝ち気な女の言葉に呵々大笑する。
「何言っとる、こちとら銀河帝国攻略戦も生き延びたんじゃ。高血圧で死ねるか!」
「あの戦いにも参戦してたのかい? 年寄りの冷や水ってのは怖いねェ」
「お前さんも戦ってたんじゃろ? 同じとこで戦えなかったのは残念じゃな!」
「まあね……けど、それでいいさ。似たような体験は二度と御免だ」
 マヤはシリアスな声音で言った。そしてそれは、皮肉でも冗談でもない。
 彼女ももちろん、猟兵としてあの大戦に参戦していた。
 そしていくつもの死地をくぐり抜け、かろうじて生き延びた。
 ……あんな戦いは、もう沢山だ。ようやく勝ち得た平穏なのだ。
 クエーサービーストなんて連中も、さっさと消えてしまえばいい。
「本当、平和ってのはなかなか手に入るモンじゃないねえ……ま、仕方ない」
 マヤは老人技師らに改めて激励を入れると、今度はコクピット部へ。
「ロマンもイイけどまずは安全第一さ。装甲は厚めに頼むよ。
 こっちで資材をかき集めて持ってきた。何かの足しにしとくれ」
 作業中のスタッフらはサムズアップし、マヤに感謝を述べた。
「物は壊れたって作り直せる。けど命ばかりは、そうもいかないからね。
 いっそ機内医務室を導入するのはどうだい? 交代用にももってこいだろう」
『悪くないですね。スペースが確保できないかやってみます』
「頼んだよ! ここからはアタシも参加だ。休憩まで頑張るとしようか!」
 作業員らはオー!と野太く声をあげて、マヤの参加を歓迎した。
 快活に笑う勝ち気な女の表情に、もう戦争へのセンチメントはなかった。
 これは未来に向けた戦い。喪に服し沈むのは、ひとりで酒を傾ける時でいい。
 どんな困難からも立ち上がってきた女は、静かな戦いの作法も心得ているのだ。・

成功 🔵​🔵​🔴​

黒川・闇慈
「巨大ロボですか……ゴーレムならともかく、流石にロボの建造は初めてですねえ。クックック」

【行動】
wizで行動です。
さて、機械工学の専門的な部分は詳しい方におまかせするとして、私は私なりにできることをしましょうか。
私の魔術知識を応用して、防御用装備を設計してみましょう。機械に魔術を使わせることはできませんので、猟兵から力を吸い上げ、防御に転化するという単純な装備になるでしょう。
猟兵から力を吸い出す方法や吸い出した力の伝達ラインなどには魔術的な知識が有用かと思います。

「私もゴーレムを製造するとなれば色々と凝るでしょうし……どの世界でも同じということでしょうか。クックック」

【アドリブ歓迎】


国栖ヶ谷・鈴鹿
◎アドリブ&絡みOKです!

【思い入れ】
巨大ロボだって!すごい!
ぼくも開発に携われるなら、やっぱり火力は欲しいよね!ぼくのUCの超力陽子加速砲・天火明!対巨大対象で周囲の被害を気にしないならこれほどお誂え向きのものはないでしょ!

あとは空間跳躍とか高速戦闘向きの慣性制御装置とか、あとはやっぱりジヱネレヰタア!パワフルに動かすなら外せないね!

うーん!考え出すとキリがないけど、いつかもっと遠くの場所まで行く為のロボなんだから、どこまでも飛翔して道を切り開けるように、ぼくの未来への祈りも隠し味に入れておこっか!

製造や組み立ては、ぼくもお手伝いするよ!巨大ロボなんてそうそう作れるものじゃないもんね!


ミレア・ソリティス
※アドリブ連携◎です

記憶が無いとはいえ、私の造られた世界です。
その世界の人々の為とあらば、協力は惜しみません

【WIZ】
UCを使用し「簡易兵装のミレア」達を生成し、資材運搬や情報のやり取りの補佐を行います
「私達」はデータリンク機能とセンサーデバイスを有していますから
作業区域が広範囲化してもお役に立てるかと

……設計案、ですか。
猟兵が乗り込みUCを使用するのでしたら可能な限り自然なヒトの動きを実現するべきです。加えて、酷使されるであろう関節部位、被弾面積の多い前面への耐久力の向上も必要と判断できます。将来的な量産を視野に入れる場合効果を得られる最低限の素材量の調査も必要であると……どうしたのですか?



●ジイニアスの見る夢
「というわけで、ね! これ!! いいでしょ!?」
「う、うむ……」
「まあ悪くはないと思う、いやむしろワシらも好きなんじゃ、が……」
「……これ、何がどう出来とるんじゃ……?」
 宇宙艦「レインフォース号」の老人技師たちは、
 国栖ヶ谷・鈴鹿が生み出した超機械を取り囲み、揃って首をひねった。
 見た目としては車に搭載されているエンジンに似ていないこともないが、
 明らかに構造や利用されている理論がオーバーテクノロジーなのである。
 この遥かに科学が進んだスペースシップワールドの技術力をもってすら、
 "ハイカラさん"である鈴鹿の生み出す機物は解析不能なのだ。
「えっとねー、これはここのつまみをいじくると、任意の座標に転移出来るんだ!
 ほら、ここがX軸で、ここがY軸、あとここがZ軸ね。障壁も越えられるよ!」
 星のような目の輝きをキラキラさせながら、得意げに語る鈴鹿。
 老人技師たちは、目を点にして顔を見合わせた。
「あとはここのメーターが時空間振動数を指してて、こっちがスイッチね!」
「「「……使い方じゃなくて原理を説明してほしいんじゃが!?」」」
「え? ……あーそっか、うーん……」
 鈴鹿は腕組して考え込む。彼女にとってはこれが一番の難問だった。
 ハイカラさん……サクラミラージュに由来する人間めいた彼ら彼女らは、
 時としてあらゆる道理を越えて、オーパーツめいた技術を作り出して"しまう"。
 明らかな技術的ブレイクスルーも、彼らにだけはわかる理屈がある。
 それを只人に説明してみせろというのは、ようは悪魔の証明に近しい。
 だからこそ、鈴鹿のような超天才は超天才足り得るのだから。
「……失礼ですが、少々よろしいでしょうか?」
 と、そこで老人技師たちに助け舟を出したのは、ウォーマシンの少女だった。
 ミレア・ソリティス……"たち"、つまり自己複製された同型機体らは、
 老人技師たちと入れ替わる形でその超機械を囲み、あれこれ調べ始める。
「あっ、どうかなどうかな! これ、アリだと思わない!?」
「「「非常に特出した技術力だと驚嘆します。ですが……」」」
「えっ、何!?」
「「「これは少々、将来的な量産を視野に入れるとコスト的に難しいかと」」」
 ミレア"たち"は、老人技師らのように顔を見合わせて頭を振った。
「えーっ!? でもでも、他にも色々あるんだよ? ほらこの慣性制御装置!」
「「「慣性制御装置」」」
「これがあれば、理論上亜光速に達しても搭乗者への影響率は0.01%以下!」
「「「……しかしこれも、量産は極めて難しいと判断せざるを……」」」
「ちょっとー!! 巨大ロボってそういうものじゃないよ!?」
 もはや老人技師たちはそっちのけで、喧々諤々に言い争う鈴鹿とミレア。
 取り残された老人たちは、どうしたものかと困り果てるのだった。

 と、その騒ぎを聞きつけたのか、新たな猟兵がその場に現れた。
「なにやら騒がしいですねえ……一体どうしました? クックック」
 現れたのは技師……ではなく、頭髪から服から何まで黒ずくめの男である。
 そしてその魔術師然とした見た目から分かる通り、黒川・闇慈はウィザードだ。
「何か技術的な衝突でも起きましたか? まあ、私は門外漢なのですが……」
「おお、いいところに! 実はかくかくしかじかで……」
 完全に蚊帳の外になっている老人技師たちから説明を受けた闇慈は、
「なるほど。そこなお二方……というかそちらのお嬢さん」
「え? ぼく?」
「ええ、あなたです。どうやらあなたが一方的にまくし立てているようですから」
 と、鈴鹿に声をかけ、ひとまず彼女を落ち着かせた。
 たしかにミレア(たち)はこれといって強弁するつもりはないらしい。
 というよりもそもそも、彼女には人間的な機微が不足しているらしかった。
「話は大体お聞きしました。おふたりとも正しいことを言っていると思いますよ」
「だよね! 巨大ロボはロマンの塊だもの!」
「それもありますが……資材は有限、というそちらの方の意見も正しいかと」
「「「はい。特にマインドミナBVAの黄金外殻は特に貴重です」」」
 ミレアたちの感情のない声音に、鈴鹿はむむっと眉根を寄せた。
 しかしそこで闇慈は、こう続けたのだ。
「つまり現状では、量産を考える域には達していない……ということです。
 まずはひとまずコストを度外視して、積み込めるだけ積み込んでもいいのでは?」
「「「…………なるほど。一理あります」」」
 ミレアたちは納得を得たらしく、一様に素直に頷いた。
「「「失礼いたしました。どうやら、ワタシのご意見で不快感を与えてしまったようですね」」」
「ううん、そんなことないよ! だってぼく、これも楽しかったもん!
 あれこれ意見をぶつけ合わせてよりいいものを作り出す、それが開発だもんね!」
 鈴鹿もまた、年頃の少女らしい天真爛漫な笑顔を浮かべて言った。
「でもコストかあ、それもたしかに考えてみないとダメかもしれないなあ。
 ……あっ! 待って、いいスリムアップのアイデアが浮かんだよ!!」
「どうやら意見をぶつけ合った甲斐はあったようですねえ、クックック」
 闇慈はウィザードであり、機械工学に関しては完全に門外漢だ。
 しかし彼は魔術師ならではの思慮深さで、見事に場を収めてみせたのである。
「せっかくですし、ひとつ私の設計アイデアもお聞きいただけませんか?
 猟兵から魔力を組み上げて、魔力障壁を展開するというものなのですが……」
「へー、面白いね! それならジヱネレヰタア問題も解決できるかも!
 大出力のヱンジンと魔力機構のツインジヱネレヰタアとかどうかな!?」
「ほう、おもしろいのう! しかし積み込み作業が大変そうじゃな」
「「「であれば、ワタシたちがお手伝いいたしましょう」」」
 老人技師は、ミレアたちを見てほう、と唸った。
「「「見ての通りワタシたちは、思考をリンクさせることが出来ます。
   資材の運搬はもとより、作業中の情報伝達もスムーズに行えるかと」」」
「おー! すごいね! じゃあこれで作業分担は決まりだね!」
「……ということは私も人手に組み込まれていますかね、クックック。
 だがまあ、いいでしょう。私もゴーレム製造となれば色々と凝るでしょうし」
 陰気な笑みを浮かべているが、闇慈もどこか楽しげだ。
 紆余曲折を経て一致団結し始めた猟兵と技師たちを見渡して、鈴鹿は頷いた。
「よーし、みんなで頑張ろう! 最高の試作品を造れるように!!」
「……はい。ですが、ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「ん? なあに?」
 ミレアたちのうちの一機が、おずおずと鈴鹿に問いかけた。
「"ロマン"というものが私には理解できません。ですがそれでも少し不思議です。
 ワタシにとって、この世界は生まれ故郷だからという理由がありますが……」
「ぼくがどうしてこんなにやる気か、ってこと?」
 ミレアは頷いた。すると鈴鹿はにぱっと、一番明るい笑みを浮かべてみせる。
 そして艦橋のガラス越しに、建造中の惑星ロボを見つめた。
「だってあのロボは、いつかもっともっと遠くの場所まで行くんだよ。
 どこまでも飛翔して、どんな場所にも道を切り開く最強のロボになるんだ。
 それって、とってもすごいことだよ! だからぼくはワクワクするんだ!」
 そう語る様子は子供のようで、どこか超然としてもいた。
 "ハイカラさん"とは、その興味や想いの赴くままに超機械を生み出すもの。
 天才(ジイニアス)は、どこまでも自由でそして奔放なのだ。
「……どこまでも飛翔し、道を切り開く……ですか」
 ミレアもまた、鈴鹿にならってガラス越しの機械の卵を見つめる。
 その言葉の意味を、心なきウォーマシンは理解しきれなかった。
 けれども何か、形容しがたい暖かなものが、その胸のうちに生まれていた。
 彼女らを見守る闇慈の笑みは、陰気なようで少し穏やかに見えた……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

マレーク・グランシャール
【壁槍】カガリ(f04556)と

男のロマンは二つある
それがハーレムとロボだ
俺には最愛の女がいて、そっちは一人で間に合っている
ならば俺のロマンはロボしかなかろう?

グリモア猟兵の耀がパイロットを交代するようなことを言っていたが、いちいちコクピットに移動して選手交代するのはロスタイムが大きい
コクピットに行かないまま選手交代できるシステムがあるといいだろう

ロボット内のどこかにいれば、後はWi-Fi的なのでどこからでも端末からコクピットにアクセスし、リモート操作できるようにならないか?
接続出来るのが一人だけとすればよかろう
腕時計型端末とかはどうだ?

他、ロボにビームは必須
カガリ、お前もそう思うだろう?


出水宮・カガリ
【壁槍】まる(f09171)と

前から、思っていたのだが……まるは、ロボが好きなのだなぁ
おとこの、ろまん(わかってない)
はーれむ、ろぼ(わかってない)

こくぴっとに、移動せずとも、操縦できるのであれば
確かに、交代しやすくはなるのかな
……ろまん、というのはいいのか?
本物に触ってこそとか、そういうのは
……ものとしては、直接触れて、愛でて貰いたいが……(ヤドリガミ並感)

びーむ。主砲は、必要だと思うぞ。
大きな主砲を、胸とか、腹の辺りに。
明らかに砲とわかるものを外付けすると、狙われて破壊されるかも、だしな。
あと、隔壁も大事だ。
装甲で直接受けるより、防御に特化した機能が別にある方が、被害を抑えられると思うぞ。



●竜、大いに語る
「まる、いいか」
 マレーク・グランシャールは、いつになく饒舌な調子で言った。
「男のロマンとは、大きく言ってふたつある」
「はあ」
 出水宮・カガリの返事はかなり気のないものだったが、マレークは気にしない。
「それは――ハーレムと、ロボだ」
「はーれむ。ろぼ」
 気のないというよりも、よくわかっていないらしかった。
「しかし俺にはもう、最愛の女がいる。だからハーレムは必要ない。
 となれば……俺のロマンは、ロボしかなかろう? そういうことだ」
「そういうことなのか」
 やっぱりよくわかっていなかった。というか、若干気圧されていた。
 カガリは思った。マレークは、本当にロボが好きだなあと(字余り)
「つまり、まるはロボが好きなのだな? それはとてもいいことだと思う」
「もちろんだとも。しかし……ここでひとつ、問題が発生する」
 マレークはあまり表情に変化があるタイプの男ではないが、
 今回ばかりはいつになく真剣な面持ち、そして深刻そうな声音であった。
「……惑星ロボは、メインパイロットを入れ代わり立ち代わりしなければならない。
 それはつまり、戦闘中にどんどん搭乗者が乗り換えなければならないということだ」
「はあ」
 まるがそう言うのなら、そうなんだろうなあ。みたいな顔のカガリ。
「……それでは、戦闘の中のロスタイムが大きい。これは問題だ」
「あ、それはカガリもそう思う」
「そうだろう。……ん? 他のところは同意してくれていなかったのか?」
「いや、なんというか……」
 正直ピンと来ないしよくわからん、と言いかけたカガリだが、やめた。
 ヤドリガミとしてのカンが、そしてマレークの相棒としての直感が、
 これを口にするとものすごく面倒な事態を引き起こしそうだと思ったのだ。
 そして事実、それは正しい。
 もしもカガリが下手なことを言って話を横道に逸らしてしまっていたら、
 マレークはおそらくウン時間もかけて滔々とロマンのなんたるかを語ったからだ。
 あいつロボの話になると早口になるの……というやつである。よしなよ!

 ともあれマレークは気を取り直し、言った。
「そこでだ。俺が提案したいのは、Wi-Fi的な端末操縦だ」
「わい、ふぁい(ヤドリガミなのでよくわかってない)」
「そうだ。つまり……あの惑星ロボのどこに乗り込んでいたとしても、
 即座にメインパイロットになることが出来る、リモート的なやつだ」
「……なるほど。ようは、ロボの中に入っていなくてもよいように、ということか」
 それならばわかる。カガリは頷いた。
 しかし意外にもそこで、今度はカガリのほうがうーんと首をひねった。
「たしかに交代はしやすくなるのかもしれないが……」
「なんだ?」
「……ろまん、というのはいいのか? まる」
 マレークはふむ、と思案した様子の声を漏らす。カガリは続けた。
「本物に触ってこそとか、そういうのがあると思うのだが……」
「……たしかに、実物を愛でることで得られるロマンはある」
「そうだろう。カガリとしても、ものはそうあるべきだと思う」
 ヤドリガミにもヤドリガミなりのこだわりがあるらしかった。
 しかし、マレークは頭を振って、こう言ったのだ。
「いいかカガリ。ロボは、直接乗り込むだけがロマンではない」
「はあ(まるがまた妙なモードに入ったぞ、という顔)」
「そう、リモート操縦による一心同体……たとえば腕時計とかリモコンとか、
 あとは「かっとべ!」と叫ぶとそういう装置はないのにスピードアップしたり」
「ちょっと待て、まる。後ろのはなんとなくロボではない気がするぞ……?」
 思わず口を挟んだカガリだが、マレークは聞いていなかった。
 しかしまあ、それはそれでロマンというものがあるらしい。
 マレークが、そう言うならば、そうなのか(字余り)
「……とにかく、だいたいわかった。ろまんとは、深いものなのだな」
「ああ、深い。実現できるかどうかはともかく、やってみる価値はあるな」
 手応えを得たらしいマレークは、うんうんと腕組して頷いている。
 そこでふと何かに気づき、これまたシリアスな目つきで言った。
「待て、カガリ。俺はもうひとつ重要なことを思い出した」
 ごくり。マレークの"圧"に、思わず息を呑むカガリ。
 すると……マレークは重々しい沈黙を置いて、言ったのだ。
「……ビームだ」
「びーむ」
「ロボたるもの、出来るだけ大口径のビーム砲がなければ……!」
「…………」
 カガリはしばし沈黙し……そして、言った。
「わかる」
「そうだろう」
「できるだけ胸とか、腹のあたりにほしいな」
「そうだとも」
「あと、隔壁も大事だ。防御力は、とても大事だ」
 城門には城門のこだわりがあった。思わずぐっと手を握り合うふたり。
「カガリ……やはりお前も、ロマンをわかってくれたのだな」
「(他のことはよくわかんねえけど)とてもわかるぞ、まる」
 ふたりの絆が深まった感じの効果音が、どこかから聞こえた気がした。
 ロマンは、世界を救うのだ……!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三咲・織愛
眞白さん(f00949)と

巨大ロボットはロマンですよねーっ!
我が身のように動かして巨大な敵と戦うのってとってもかっこいいですもん!
がんばって作りましょうね、真白さん!

っと、お爺さん達へご挨拶に行くんですね
私も眞白さんについて行ってご挨拶しましょっ
ロボット建造のためのアドバイスなんてあったらお聞きしたいですね!

惑星ロボは想いを籠めて作るといいんでしたっけ
眞白さん、やはり想いといえばパワーではないでしょうか?
力を籠めて作っていきましょうっ!
殴って叩いてガンガンいきます
鉄は熱いうちに打てといいますし、
想いも熱いうちに打ち込みましょう!
多少小さくなるのは問題ありませんね
なんせ想いが詰まっていますから!


神元・眞白
三咲さん(f01585)と一緒に。

銀河の彼方へ旅を続ける船団。その中でも今回は新しい技術を発展させ――

この世界も久しぶり。お爺ちゃん達に挨拶をしておかないと。
飛威、お土産はどうしましょう。竜の世界のお酒がいいでしょうか。
楽しい事が大好きな皆さんですし、少しばかり羽目を外してもらえる様に。
それになんだかやる気みたいですから人形を形にしてあげましょう。

乗り込んで強さが変わる様ですが、大きだけが取り柄はつまりません。
小さくても能力がいいものを作りましょう。人が乗って、いえ着るぐらいの人形。
……強化型外装。三咲さんなら飛びまわって凄い事になりそう。
見た目は小さくても、攻撃力は惑星サイズ。わくわくします



●少女たちのお土産
 宇宙艦、レインフォース号。
 以前のマインドミナBVA戦から、未踏領域探査に参加したこの船は、
 ともすれば始まって以来の大騒ぎとなっていた。
 惑星ロボの建設……それはどうあがいても多くの人手を必要とする。
 そこで、老人技師らはひっぱりだこになっていたというわけだ。
「まったく忙しいわい。若いもんに任せるどころの話ではなさそうじゃ」
「ええことじゃろ。わしらだって隠居するつもりはないしのう!」
 老人たちはそんなふうに語らい、額に汗してあちこち駆けずり回っている。
 そんな折やってきたふたりの少女を見て、艦長の老人はかっかと笑った。
「おお、また懐かしい顔じゃ! よう来たのうお嬢ちゃんたち!」
「こんにちは、おじいちゃん。お久しぶりですね」
「お邪魔しますっ!」
 神元・眞白と、三咲・織愛のおてんばコンビである。
 特に眞白とレインフォース号は、あの銀河帝国攻略戦の頃からの付き合いだ。
 老人技師たちはぞろぞろとふたりを見に集まり、人だかりを作った。
「わあっ、すごい人気です……! 眞白さんは仲がいいんですねっ!」
「何を言っとる、お前さんもあの戦いで力を貸してくれたんじゃから同じじゃ。
 わしらみたいな老いぼれにとっては、年頃の子はみんな孫みたいなもんじゃしな!」
「「「違いない!」」」
 老人らはどっ、と大笑いした。若者たちは目をぱちくりさせている。
 まさしく好々爺といった様子である。工業用油臭さが不思議と馴染む。
「あ、そうそう……飛威、お土産を渡してあげて」
 眞白がぽむぽむ、とお嬢様っぽく手を叩くと(もちろんわざとやっている)
 メイド姿の飛威がしずしずと前に出て、なにやらいくつもの酒を差し出した。
 アックスアンドウィザーズで手に入れた、とびきりの酒のようだ。
「なんと! こりゃありがたい!」
「お、お酒ですか……! まだ作業はありますけど、大丈夫なんでしょうか?」
「お爺ちゃんたちは、楽しいことが大好きだから。きっとだいじょうぶ」
 眞白の言った理屈はだいぶ理屈になってないが、それでも織愛は納得した。
 彼女がそう言うならそうなのだろう。
 それにこの陽気な老人たちなら、たしかにどんなトラブルも乗り越えそうだ。
 もしも何かが起きたとして、実際に闘うのは自分たちなのだし。
「そうですよねっ! それにしても、巨大ロボットですかあ……」
「おう? お嬢ちゃんにはロボのロマンがわかるのかのう?」
「もちろんですよ!!」
 老人の問いかけに、織愛はぐっと握り拳を作って目を輝かせた。
 レインフォース号の老人たちがぎょっとするほどの前のめりっぷりである。
「我が身のように動かして巨大な敵と闘う……とってもかっこいいじゃないですか!
 それを私もパイロットになることが出来る……燃えないはずがありません!」
「ほーう、これは見上げた娘さんじゃ。わしらもはりきらねばな!」
「私も、こんなプランを用意したのだけれど……」
 そこでなぜかクイズ番組風のフリップを取り出す眞白。
 なにやらそこには、宇宙を自由に飛び回るアーマード織愛の姿が描かれていた。
「「「なんじゃこれ」」」
「……三咲さん専用、小さくても惑星レベルの攻撃力を持った惑星ドレスです。
 そう、いわゆる強化型外装……大きいだけが、ロボの取り柄じゃないから」
「な、なるほどっ!! ……でもこれ、実現出来るんでしょうか?」
 おずおずと老人たちを見やる織愛。彼らはうーんと悩んでいた。
「さすがに試作品のレベルで、ここまで小型化するのは難しいんじゃよなあ」
「……そう」
 眞白は気持ちしょんぼりした様子である。しかし、と老人たちは言った。
「このアイデアは使えるかもしれん。つまり薄くした装甲を重ねて……」
「ふむふむ。ようはミルフィーユみたいな感じでしょうか?
 それならつまり、あの金色の装甲を薄くする技術があればいいんですね!」
 織愛は腕まくりをして、ふんすと鼻息荒く力こぶを作ってみせた。
「それならお任せください! 私がなんとかしてみせます! 主に拳で!!」
「「「拳で!?」」」
「はい、鉄は熱いうちに打て、と言いますし! そのほうが思いもこもるかと!」
「……さすが、三咲さん。なんだかわくわくしてきたかも」
 一転、眞白も目を輝かせているような表情で言った。
「見ててください眞白さん、惑星ロボを手のひらサイズにしちゃいますから!」
「楽しみにしてるね、三咲さん」
「……手のひらサイズにしたら、それ壊れてるんじゃないかのう……?」
 そもそも金属を加工する? ……素手で?
 実際にグーパンで作業する織愛を見て、さしもの老人たちも声をあげたという。
 乙女のパワーは無限大……つまり、そういうことなのだ!!(?)
(なお、惑星ロボそのものを小型化するということは流石にできませんでした)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

露木・鬼燈
巨大ロボは男心を擽るよね。
特に浪漫に生きる僕みたいな人間には、ね。
うんうん、全力で楽しんで手伝っちゃうですよ。
惑星ロボとゆーロマンあふれる響き。
堅牢な装甲で敵の攻撃を受け止め、強大な一撃で反撃する。
みたいなロボであってほしいよね。
その性能を実現するには優れた内部フレームが必要だよね。
気合入れて内部フレームの組み立てを手伝うですよ。
化身機装<火廣鐵>
さすがにある程度の効率化は必要。
サイズがサイズだけに組み立てだけでも大変だから。
戦闘以外の活用でもイケルイケル!
んー、超巨大ロボを作るために巨大ロボを使う。
これはこれでロマンがあるっぽい。
やっぱりロボはたーのしー!



●一撃必殺、千撃滅殺
 猟兵たちとスペースシップの人々の奮闘により、
 惑星ロボは徐々に人型……と、言えなくもない形を得つつあった。
 ただしそれは、まだまだ仮組み、設計図をなぞっているような状態だ。
 仮に完成しても、ひどく無骨で不細工な見た目になるだろう。
 まるでガラクタを人型にぎゅっと押し固めたような、無愛想な姿である。
 だが。そんないい見た目ではない惑星ロボの雛形を、
 露木・鬼燈はどこか感慨深げな、趣のある表情で見上げていた。
「うんうん、見た目度外視でコストをかけて作られた無骨なプロトタイプ……!
 くぅ~、これこそまさに男心をくすぐる巨大ロボ、って感じなのです!」
 どうやら、これはこれでロマンにヒットしたらしい。
 プロトタイプと名がつけば、多少の設定的矛盾は許容される。
 そういう不文律が、ロボットには存在する……かは、まあさておき。
 鬼燈はノリノリで作業に参加し、あちこちの装甲増設や駆動部のチェックを見て回った。
「……にしても、まだちょっと装甲の厚みが足りない気がするなあ」
『これでもまだ、ですか? もうすでにかなりの外殻を使っているのですが』
 近くで作業していたメカニックが、訝しげな様子で言った。
 鬼燈はこくりと頷き、こう返す。
「クエーサービーストの攻撃って、どんな兵器よりも強力なのです。
 それに今後、もっと強い敵は現れるだろうし、出来るだけ装甲は堅牢で、
 敵の攻撃を受け止めて肉斬骨断の一撃を放つ……みたいなロボがいいっぽい!」
『なるほど……』
「まあ見てて、内部フレームの組み立ては僕も手伝うのですよ!」
 鬼燈は素早く印を結び、背後の空間に巨大な機械仕掛けの神を招来した。
 化身機装、火廣鐵である!
、無敵と信じて創造された想像の神ですら、惑星ロボに比すればはるかに小さい。
 だがもしも、惑星ロボを経由してこれを召喚したなら……?
「うーん、これはこれでロマンがあるっぽい! たーのしーのです!」
 鬼燈はうきうきとした様子で言いながら、さっそく作業を始めた。
 普通なら数百人係の作業も、機械神を使えばほぼひとりで可能だ。
 無骨で不細工な見た目の惑星ロボは、徐々に徐々に組み上がっていく。
 それを見守る鬼燈の表情は、どこか親のように暖かなものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月凪・ハルマ
【狐屋】

巨大ロボを弄れるとか、そんなの
参加しない理由がないんですけど?
なにせ俺は【メカニック】でもあるからね

まず【魔導機兵連隊】で手を増やす
サイズがサイズだ、力が必要な場面も多いだろう
足場代わりにしてもいいし
数が多くて邪魔な場合は合体で調整する

個人的には変形機構が欲しいかも
パイロットが変われば、得意な戦法も当然変わる
なら、機体もそれに対応できた方が良いだろう

とはいえ複雑すぎると面倒も多い
大まかな形状は変えず、機体の能力を
ある程度特化させるくらいでいいか

そういやレインフォース号のおじいちゃん達いるかな
手を貸して貰えれば、パーツ組むの大分楽になるんだけど


……いやそのネーミング、どっちもヤバくない?


山梨・玄信
【狐屋】
巨大ロボットじゃと。出身世界では見た事が無かったが猟兵になってからは、色々見たが…また、凄い事を。

【POWを使用】
確かにこれだけ巨大じゃと移動だけでも大変じゃな、
なので、褌一丁の上に宇宙服を着て脱ぎ力を貯め、UCを発動じゃ。

基本的には月凪殿の助手2になるぞい。機械には詳しくないのでな。

暇があれば、巨大ロボは侵入されて破壊されるケースが多いから、セキュリティ機構の作成もするぞい。
ハッキングや罠知識で、電子的な機構も原始的な罠の機構もどちらも設置しておくのじゃ。
もちろん、猟兵には反応しないようにしておくぞ。

「このロボの名か…絡繰魔神Zとかどうじゃ?」

アドリブ歓迎じゃ。


高柳・零
POW

【狐屋】
巨大ロボット!男の子でこれに憧れない者が居ようか。いや無い!
しかも、惑星サイズですよ!

自分の能力は戦闘特化ですので、月凪さんの助手になります!
使えそうな技能が「操縦」くらいしかないので…。

「変形するなら、角、羽、尻尾、画面は必須ですね。それらを持った種族のUCに不可欠なので」
設計のアイデアを出しつつ、これが完成すれば人々を守れるという想いでUCを使い、高速移動での輸送や力仕事をこなします。

「ところで…このロボの名前はどうしますか?やっぱり名前は必要ですよね!」
「自分は『猟兵ロボ シックスゴッド』なんて良いかなあと」

アドリブ、絡み歓迎です!



●これの名は。
 最初はデブリの塊にしか見えなかった惑星ロボも、
 猟兵たちの作業の甲斐もあって、徐々に人型らしさを見出してきた。
 それでもあくまで試作型ということもあって、見てくれは非常に不格好だ。
 しかし、それが逆に「らしさ」を感じられてよい、という声もある。
「いかにもプロトタイプって感じだなあ。ま、これはこれでだな。
 ……っと、第三チーム作業遅れてるぞー、第四チームも働けよー」
 せわしなく働く魔導機械式ゴーレムたちを指揮するのは、月凪・ハルマだ。
 メカニックとしての血が騒ぐのか、しきりに全体像を見上げてはうんうん頷く。
「なんじゃ、いつもより気合が入っておるのう月凪殿」
「そりゃあ当然ですよ山梨さん、だって巨大ロボなんですよ!?」
 山梨・玄信の言葉に、高柳・零が半ば食い気味な調子で言った。
「男の子で巨大ロボットに憧れないものがいようか……いや、居ない!!」
「ふうむ、そういうものなのかのう? わしにはいまいちピンと来んな」
「まあもともと居た世界が世界だしな、見たことがなくて当然だろ」
 山梨の年頃に似合わない年寄りっぽさも、こうなるといよいよ老人らしく感じられる。
 ほら、あれあれ。ゲーム機のことなんでもピコピコって呼んだりするやつ。
 月凪はそんな玄信の相変わらずな様子に、苦笑を浮かべた。
「じゃがまあ、これだけのサイズの機械をこさえようというのはすごいことじゃ。
 おかげで作業しようにも、あっちこっちを行き来するだけで大変じゃな……」
「さすがに作業中ずっと、ユーベルコードを発動するわけにもいきませんしね」
 ふたりはそれぞれのユーベルコードで高速移動能力を発動し、
 小惑星サイズのロボットの各部を超高速で行き来していた。
 しかしそれはあくまで、戦闘中に一時的に発揮するべき能力だ。
 作業が長時間に渡っていることもあって、零はかなりへとへとの様子である。
「けど、おかげで助かってるよ。これだけゴーレムが居ても足りないからな」
 ハルマが使役する魔導機械式ゴーレムは、合計で80体。
 ある程度は自律出来るとは言え、そこまで複雑な作業は不可能だ。
 彼らというメッセンジャーがいなければ、作業は立ち行かないだろう。
「なあに、この程度でよければいくらでも働くぞい」
「はい! 足りないぶんはクエーサービーストとの戦いでお返ししますから!」
 ふたりはそう言うと、また脅威的なスピードで各部を飛び交う。
 はたから見るとそれは、惑星ロボを包む星の輝きのようにも見えた。

 しかしそんな彼らの共同作業も、ある時点で暗礁に乗り上げた。
 それは、作業休憩中のブレインストーミングの折でのこと。
「絶対に『猟兵ロボ シックスゴッド』がいいと思います!!」
「いいや、絡繰魔神Z以外にはありえんのお」
「……それ、どっちもヤバくね……?」
 呆れた様子のハルマをよそに、零と玄信はむむむと睨み合う。
 紛糾している議題……それは世間話の流れで出た、惑星ロボの名前であった。
 まあそもそも、ロボの名前を決められるかどうかはまったく別の話なのだが、
 零も玄信も自分の提案したアイデアのほうがいいと言って憚らなかったのだ。
「なんですか絡繰魔神って! カラクリエンパイアじゃないんですから!
 やっぱりシックスゴッドが一番いいですよ。ゴッドって強そうでしょう!?」
「その言い分もわからんでもないのじゃが、わしは絡繰魔神Zを推すぞい。
 横文字ばかりじゃとわかりづらいからのう。それに魔神のほうが強そうじゃ」
「シックスゴッドです!」
「絡繰魔神Zじゃ!!」
「……まあ、ふたりの熱意はよくわかったからさ。そこまでにしとこうって」
 珍しく睨み合うふたりの間に割って入るハルマ。口元には苦笑い。
「そもそも俺らの一存で名前を決めるもんじゃないと思うしな」
「……むう、それはたしかにそうじゃのう」
「そうですね、自分としたことがつい熱く……」
「気持ちはわかるよ」
 ははは、とハの字眉で笑いながら、しかしハルマは続けた。
「……けどそういう思い入れが、あの惑星ロボを強くしてくれるんだよな。
 ならいっそ、ふたりそれぞれで名前をつけて、そう呼んでやるのはどうかな?」
「ほほう、月凪殿は面白いこと言うのう!」
「たしかにそれなら、操縦するときも気分がノリそうですね!」
「そうそう。星の名前だって色々あるんだしさ。あれだけデカいならそれでいいだろ」
 そう言って、ハルマはガラス窓の向こうに浮かぶ巨躯を見やった。
「……つーか俺的には、変形機構が欲しいんだよなー」
「変形? 人型から四足になるとかかのう?」
「いや、そこまで大掛かりだと色々コストがかさむし、耐久性の問題がな」
「なら角とか羽、あと尻尾は欲しいですね! それと画面も!!」
「「画面?」」
 ハルマと玄信は声を揃え、零の顔を見て、ああ、と頷いた。
 なるほどたしかに、惑星ロボはユーベルコードを小惑星サイズに拡大するもの。
 テレビウムのような特徴的な外見を持つ猟兵がパイロットとなるのなら、
 それに相応しい部位があることで、ユーベルコードの威力が増すかもしれない。
 実現できるかどうかはともかく、悪くないアイデアだとふたりは感じた。
「ならあとでこの船のおじいちゃんたちに話して、パーツを集めてみるか」
「となると、次は力仕事じゃな? それなら任せてほしいぞ!」
「テンション上がってきましたね……! 一休みしたら早速始めましょう!」
 少年たちはわいわいと盛り上がり、ああでもないこうでもないと意見を出し合う。
 それは年頃の少年が思い描く空想ごっこのようでもあるが、いまは違う。
 窓の外には、その想いを受けて立ち上がる鋼の巨人が浮かんでいたのだから。
 彼らの熱い想いは、彼ら自身に味方する強い力となってくれるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユーノ・エスメラルダ
【飛空挺】の三人で
●心情
うちゅうせん!でっかいです。
惑星ろぼっと、これより大きいんですよね
●行動
…と興味津々にふらふらしてたら、いつものクセでまわりのお手伝いを
重い荷物、お持ちしましょうか?
お疲れではないですか?

聖痕で技術者さんの持病を癒やしたり
マッサージしたり
昔のお話を聞いたり
持参した干し芋チョコを一緒に食べたり
気がつくとお年寄りにばかり声をかけてます
(無意識にUC発動

●ロボ
…はっ、そうでした
ユーノたちも作らなければ
お手伝い、お願いしても良いでしょうか!
良かった、おじいちゃんたちありがとう。心強いです!(安心スマイル

ニィエンさんのパワーを示せそうな『竜王バハムートロボ』できますでしょうか


ニィエン・バハムート
【飛空挺】
懐柔策とは…流石はユーノさん。
悪魔に相乗りする我らが同胞…悪魔的ですの…!

はい!注目お願いしますの!とバハムート・コインをザバァっと机か何かの上に大量に出します。
この金貨がこの世界で価値を持つかは分かりませんが、これがあなた方の『仕事』に対して私が払える代価にして、せめてもの誠意ですの!

―――なので、ユーノさんが言っていた素晴らしい名前のロボを何卒作ってくださいまし…!
と【情熱】を込め、最早【威厳】すら感じる【限界突破】した美しさで頭を下げますわ。

どうかバハムートロボを…!
そしてどうかユーノさんが無理しなくて済むような強いロボに…!
アステルさんの希望は二の次でいいですから、どうか…!


アステル・オウラノス
【飛空挺】
はいどーも。美少女二人に見込まれた技術屋さんたち。
あの子らのお仲間のアステルす。よろー。

早速すけど、オレはこのロボで宇宙を自由に飛び回りたいんだ。
だからその為の装備を作って欲しい。

ま。これだけだとフワフワなハナシすよね。
だから。とりま、手伝えることなら何だってする。
さしあたって、オレがイメージしてる飛行軌道をこれから箒で再現するす。
そのデータを元に装備の設計とかその他諸々、お願いするすよ。

無理難題っしょ?
でも、あの二人の目利きと采配。それに爺さんらの腕を信じてるんで。
……あのさ。あんだけ良い子が、体張って戦うんだからさ。
オレたちも、多少の無茶はやんなきゃすよね。



●竜王バハムートロボ、爆誕……!?
「お客さん、凝ってますねー」
「いやーありがたいのう、歳を取ると腰が……ああ~極楽じゃ~」
「…………って、完全にマッサージ屋さんみたいになってますの!?」
 ニィエン・バハムートは思わず大声を出してしまった。
 なにせふらりと姿を消したユーノ・エスメラルダをようやく見つけたら、
 なぜか老人技師たちにマッサージをしたり、お菓子を配ったり、
 話し相手になってあげたり、とにかく出来の良い孫みたいな動きをしていたからだ。
「完全に馴染んでるっすね……さすがのカンロクっす」
 ニィエンとともにユーノを探していたアステル・オウラノスも、感服していた。
 飛空挺"グラシャ=ラボラス"の三人組は、宇宙でも相変わらずだった。
「あっ、ニィエンさんにアステルさん! おふたりもマッサージ、します?」
「そうですわね、せっかくですし肩を揉んで……って、違いますわっ!?」
「オレらがここまで来た目的、忘れてないっすよね?」
 言われてユーノはしばし考え込み……ぽん、と手を叩いた。
「そうでした! 思い出しましたよ!」
「ならよかったっす。それじゃさっそく……」
「荷物運びもしなきゃですよね! お年寄りの方は荷運び大変でしょうし!」
「……いやいやいやいや! チガうっすよ!!」
 アステルが思わずツッコミを入れるほどの自然な流れであった。
 ユーノののほほんとした笑顔にほだされかけたニィエンも、はっと我に返る。
「そ、そうでしたわ! さすがはユーノさん、悪魔的な誘惑でしたの……!!」
「いや、いまのはただ単に竜王様がボケただけじゃないっすかね……?」
 アステルのツッコミをスルーしつつ、キリッと真顔になるニィエン。
「ユーノさん、私たちの目的……それは、巨大ロボのためですわ!」
「……ああっ! そうでした!」
 ユーノ、ようやく本来の目的を思い出す!
「ユーノたちも作らなければ、ですね……! そのためにここへ来たんでした。
 あの、おじいちゃんたち、手を貸していただけないでしょうかっ?」
 話の経緯を聞いていた老人技師たちは、明るい笑顔を浮かべてサムズアップした。
「もちろんじゃ! まあとはいえ、わしらが出来るのはあくまで作業の協力じゃ。
 実際にあの惑星ロボが使い物になるかどうかは、お前さんたち次第じゃしのう」
「それはもちろん承知の上ですわ。その上で皆さんの力を借りたいんですの」
 などと言いながらニィエンは、なにやら一同の耳目を集めた。
 やおら近くにあったテーブルにつかつかと歩み寄ると……ザバァ!
「「「おおっ!? なんじゃこれは!」」」
「ふっふっふ……その名もバハムート・コイン! ですわ!!」
 じゃらじゃらじゃら……袖口から出てくる出てくる、眩い金貨の山!
 さすがはメガリス、物理法則など無視して出てくる出てくる。大量だ。
「これはいわば、私があなたがたの『仕事』に対して支払える『代価』ですわ。
 良き仕事には、相応の報酬を以て報いる。それが、せめてもの誠意ですもの」
「ほほう。お嬢ちゃんは、なかなか世の中というものがわかっとるようじゃな」
 感心した様子で自らの顎をさする老人技師たち。
 この金貨が実際どれほどの価値を持つか、それは些細な問題だ。
 猟兵が心を尽くし、その上でこうして実際に代価を支払う。
 その心意気に、老人技師たちは感服し、敬意を払う気になったようだ。
「あ、オレからも一応、オーダーみたいなのがあるんすよ」
 言いながらアステルが近くの壁に張り出したのは……はて、箒の絵である。
 設計図、というよりも、イメージイラストのようなものだ。
「んん……? こりゃあつまり、飛行ユニットということかのう?」
「それっす! オレがあの惑星ロボで宇宙を自由に飛び回れるような、
 そんなステキな装備を作ってほしくて、イメージを伝えたかったんすよ」
 アステルはそう言うと、さっそく愛用の箒を取り出した。
「けどイラストだけじゃ足りないと思うっすから、実際に飛行軌道を見せるっす。
 そのデータをもとに、装備の設計とかその他諸々、お願いしたいわけっす」
「なるほど! それは面白そうじゃ。まあ動くかはお前さんたち次第じゃが……」
「そのために、ユーノたちでがんばりますよ!」
 ユーノがぐっと握り拳を見せながら言えば、アステルとニィエンも頷いた。
「……実は、もう惑星ロボの名前も決めてありますの」
「名前までか!? そりゃまた気が早いというかなんというか……」
「はい、ユーノが考えました! 名付けて……竜王バハムートロボ、です!」
 ばばーん。なんだか集中線が見えそうなドヤ顔で胸を張るユーノ。
「ニィエンさんのパワーを示す、とってもすごいロボットなんですよ!」
「……というわけですわ、どうか強い惑星ロボを完成させたく思いますの。
 この際、アステルさんの希望は二の次ですから、どうか……お願いしますわ!」
「ってさりげなくオレおざなりにされてんのどういうことっすか」
「このさい細かいことは置いておくべきですわ!!」
「ゼンゼン細かくねーっすけど、まあいいか……」
 やれやれと頭を振りつつ、アステルは言った。
「オレら会って間もないっすけど、あのふたりが爺さんらを選んだってんなら、
 オレはその目利きと采配に賭けるっすよ。どうっすか、やれそうすか?」
 老人技師たちは考え込む素振りを見せ……たかと思えば、みな一様に破顔した。
「無論じゃ! わしらに出来ることはいくらでも手伝うぞい!」
「とってもいい子に腰まで揉んでもらえたからのう!」
「わあ……皆さんとってもやる気で、心強いです!」
 沸き立つ老人たち、そして安心した笑顔を浮かべるユーノ。
 ニィエンとアステルは顔を見合わせ、ユーノに聞こえない声で言い合った。
「ユーノさんが無理をしなくて済むかどうかは、私たち次第ですわね」
「まあ、そうなるっすね。少しぐらいの無茶なら、オレもやるっすよ」
 天真爛漫な少女を見守るのは、何も老人たちだけではない。
 同じ船の仲間であるふたりもまた、彼女の善性を守りたいと願っているのだ。
 はたして惑星ロボがそれに応えてくれるかどうかは――これからわかるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ジョン・ブラウン
ウィスパーに搭載されている
『ありとあらゆる世界の人々の救いを求める声をかき集める機能』をロボに搭載する

「ヒ―ローってのは凄いよね、こんな呪いみたいなもんをずっと背負えるんだからさ……っと」
独り言をつぶやきながらデバイスを接続しプログラムを構築していく

託された膨大な量の希望は非常に大きな強化リソースとなるが
只人が背負うにはあまりにも大きく、代償は小さくない

本来の用途は装着者の耳に優しい声だけを届けるフィルターであり
この使い方はウィスパーにとって非常に不本意である

また、悪意も同じようにかき集めることができるが
死者の怨念まで拾ってしまうため
量が桁違いであり裏コードとして封印されている


ティアー・ロード
「んんー、マインドミナBVA
マイ、ミーナ、ナミ……マインもいいな」

何に悩んでるかだって?
決まっていだろう、試作型の名前だよ
名は体を表すというからね、一番大事な所さ
良ければ誰かに意見を求めたい所だ
最有力候補は「マイン・ビーヴァー」かな

名前が決まったら早速造形だね
手はないが念動力で装甲を曲げたり組み合わせるよ!

「よし、金髪縦ロールの髪型でお嬢様に仕上げよう!
黄金の装甲は髪に、体は黒い装甲でスリムに仕上げてー…」

「っと、武装の素材忘れてた、や、コードを使うし不要かな?
……そうだ、あの刻印でマインドミナのドリルをビットにするか」

「ジャック、彼女に着せる服を身繕いたいんだが
そっちにドレスとかあるかい?」


曾場八野・熊五郎
「うーんこの味でもない……こっちはもっとコクが欲しいでごわ……」
試作機【O-MORI号】の横で大量の犬の餌サンプルを味見する

誰かが作って放置しただろう円盤UFO型試作機を見た瞬間に理解した
これデカい餌皿みてーだと
「我輩一度でいいからこんな餌入れで山盛り食べてみたかったでごわす」

「広い宇宙でお腹がすいたら大変でごわすからな」
先の戦争で手に入れた秘宝を売った金で餌生成機構をオーダーしている
余った金で理想の宇宙犬食を追求している

「きっと良い機体になるでごわすなー」
犬は気づかない。ご飯山盛りの皿というオーダーを実現するために、機体の上に餌が盛られる構造になっていることに
無重力下に犬の悲鳴が響く日は近い


リチャード・チェイス
機動兵器に必要なものとは何か。
ドリル? ハンマー? 目が2つに角? 拡散荷電粒子砲?
どれも浪漫溢れる響きであるが、ノーである。

答えは、そう自爆装置。
機密保持のための証拠隠滅装置であり、
死地へ赴く戦士の最後の武器でもある。
これを搭載せずして機動兵器といえようか。
当然、惑星サイズであれば相応の爆発力も必要だろう。
ということで流れ着いた因果地平の彼方で発見した
超エネルギー集積体"0RDarkMe"を核に組み込もうではないか。
キャッチコピーは「平和のために禍根は根こそぎ絶て」。

では、このボタンをコックピットの真ん中に設置してくれたまえ。
(真っ赤でドクロマークの書かれた押しやすいボタン)



●少年の独白
「……ヒーローってのはすごいよね、こんな呪いみたいなもんをずっと背負えるんだから」
 誰に言うともなくひとりごちながら、ジョン・ブラウンは作業を進める。
 彼はいま、組み立て途中の惑星ロボのコクピットルームにいた。
 接続されたデバイスは、彼の有する補助AI"ウィスパー"と連結されている。
 ジョンは、ウィスパーが持つ「ある機能」を惑星ロボに搭載するつもりなのだ。
《あなたもこれを操縦することになりますが》
「そこはそれ、まあパイロットになるって決まったわけじゃないし?」
 ウィスパーの電子音声に冗談めかしながらも、ジョンは手を止めない。
 プログラムは構築されていく。それは極めて危険なプログラムだ。

 ウィスパーが持つ重大な能力……それは、
『ありとあらゆる世界の人々の、救いを求める声をかき集める機能』である。
 一見するとそれは、無限大の力を組み上げる無敵のアイテムに思える。
 しかし実のところ、救いを求める声とは呪いにも似ている。
 希望を願う想いは、もしも失敗すれば簡単に怨みに変わるからだ。
 そもそも、数え切れない人々の想いを人が背負うなど、簡単に出来ることではない。
 代償は大きい――心身どちらにとっても。ジョンはそれを知っている。
「少なくともこんなものに好んで乗りたがるような猟兵なら、耐えられるさ。
 ……そうでなきゃ困るね。なにせ相手は、惑星サイズの化け物なんだよ?」
《裏コードを悪用される危険性があります》
「それこそ猟兵相手には杞憂だよ。まあ、プロテクトはかけておくけどね」
 そしてウィスパーの機能は、逆用すれば希望でなく悪意を集めることもできる。
 もしも悪しき心を持つ誰かが、この世全ての悪を汲み上げたならば……。
 やすやすと自由にしてはいけないその力を、ジョンはあえてロボに託すのだ。
 なぜ、と問う機能を、ウィスパーは持っていない。
 しかし電子音声は文句を言わない。ジョンがそうすると決めたならば従うまで。
「……きっとこいつは、とびきりすごいヒーローの夢を叶えてくれる。
 これはいわば、そうなってほしいっていう、僕なりの祈りみたいなものかな」
 ジョンの表情は垣間見えない。ウィスパーは、やはり何も言わない。
 ……プログラムを組み上げた少年は、デバイスとの接続を解除し立ち上がった。
 そして未完成のコクピットを、幼子の頭を撫でるように指でなぞる。
 その優しい指先には、言葉通り未来への希望の祈りがこもっているかのようだった。

 で、その指先が、明らかにヤバげなドクロマークの赤いボタンに触れた。カチリ。

●シリアスに終わると思ったか? このざまだよ!!
 KRA-TOOOOOOOOOOOOOOM!!
「グワーーーーーーーーーーーーーーーッ!?」
 火を噴くコクピット! そして砲丸投げの砲丸めいて投げ出されたのは!
 あ、あれは……! なぜか服が燃えてパンツ一丁になったジョンだ!
「うむ、大成功であるな。いや機体が爆発してないので大失敗なのだが」
『いやそもそもなんで自爆装置なんて搭載したのさキミは』
 なぜか宇宙空間で優雅にコーヒー(紅茶)を飲むリチャード・チェイスに、
 対面で紅茶(緑茶)をたしなむティアー・ロードがおっとりツッコミを入れた。
 なおその隣には、クッソでけえUFOらしき何かが鎮座しており、
 さらにその前には、いろんな犬の餌を食べ比べする犬がいた。なんだこいつ。
 言うまでもないがあえて言っておこう、それは曾場八野・熊五郎だと!
「うーんこの味でもない……こっちはもっとコクがほしいでごわ……」
『熊五郎、まだ選ぶ終わらないのかい? もうかれこれ一時間は経ってるよ』
「さもありなん……トナカイにとってバイクが切り離せないものであるように、
 犬にとってドッグフードの味は超重要。いわば結婚相手のようなものである」
『含蓄があるようでまったく当たり前のこと言ってるよねそれ』
「それもまた人生……人生とはドッグフードなのであるな」
『よし、意味がわからなくなってきたからそれでいいや!』
 御存知の通り、ご存知の連中である。そこに、犬が混ざっている。
 そんなわけでこの悪巧みをしたりしなかったりする厄介な連中がいたのだ。
 哀れジョン……! せっかくシリアスにキメてたのに……!
 ああ、見よ。自爆装置(仕掛けたのはリチャードだ)で吹き飛ばされた彼の姿を。
 なぜか特殊宇宙服は無事なまま、パンツ一丁の姿になっている。
 なんでって? 前のスペシシナリオでそういう格好してたからですよ!!
「ちょっと! 誰だよあんなとこに自爆装置仕掛けたの!!」
「私であるが? あんなものに触れるのが悪いのでは?」
「すごい勢いで責任転嫁してきたぞこいつ! ちょっとティアーもなんとか」
『いやあ私、いまあの惑星ロボの名前を考えるので忙しくてさあ』
「どうでもよすぎるだろそんなの!!!!」
 ジョンはカンカンであった。児童漫画みたいに飛び上がって怒っている。
 しかしティアーは完全無視で、ああでもないこうでもないと悩み続けていた。
『マインドミナBVA……マイ、ミーナ、ナミ……いや、マインもいいな』
「なるほど、つまりトナカイZであるな」
「ちなみにこの試作機はO-MORI号でごわす(UFOみてえな皿を指差す熊五郎)」
「どうでもよすぎるしもはや惑星ロボ関係ないじゃんそれ!!」
 ジョンのツッコミはむなしく宇宙にこだました。
「いやあ……我輩一度でいいからこんな餌入れで山盛り食べたかったんでごわす。
 もちろん自腹でこさえたものだから安心してほしいのでごわすよ! わんわん!」
「中途半端に犬っぽいこと言えば許されると思うなよな!!」
 ぎゃあぎゃあと言い争う熊五郎とジョン。どこ吹く風のリチャード。
『……よし、キメたぞ! あの惑星ロボの名前はマイン・ビーヴァーだ!
 設定年齢は16歳、趣味は高笑いと人間観察の金髪縦ロールお嬢様さ。どうだい?』
「名前どころか設定まで考えてるんでごわすか!?」
「しかもロボ要素がかけらもないよそれ!」
 せめて少しぐらいロボ要素を入れろ、とギーグは思った。
『いやほら、あんまり設定乗せると過積載になるし……』
「今の時点で重量オーバー警告ビービー鳴ってるでごわすな」
「そんな時こそ自爆装置。自爆装置があれば設定など全部吹き飛ぶのである。
 あと機密保持とかのために証拠隠滅も出来るし死の覚悟もし放題であるな」
「その自爆装置のせいで僕いまこんな恥ずかしいカッコなんだけど!!!!」
「安心せよジョン、あれは試作品である。本番は超エネルギー集積体を使う予定だ」
『さすがの私もこいつをコクピットに入れちゃいけないことはわかるよ』
 明らかにヤバげな虹色に輝くエネルギー物質を手にするリチャード。
 はたして彼の何がそこまで自爆装置に駆り立てるのか。ボケ心じゃねえかな。
「何を言うか! ドリルだのハンマーだの、拡散荷電粒子砲だの!
 そんなものよりも自爆装置である! 自爆装置なくして機動兵器にあらず!!」
『いいや違うね、マインに必要なのはドレスさ! そうだろうジャック!?』
『急に艦内通信繋がったと思ったらなんだよその無茶振り!?』
 サーカス艦「グレイテスト号」の艦長、"色男"ジャックはビビった。
 無茶振りが過ぎる。どうやって小惑星サイズのドレス用意しろってんだ。
『お前さんたちなあ……前のときもそうだが今回はもう少し真面目にしたらどうだ?
 いや、俺が言えた義理じゃねえんだけどよ。他の連中は皆頑張ってるぜ?』
「うん、どっちかっていうと僕もそっち側だったんだけどね……」
「我輩も頑張ってるでごわ!!(よりよきドッグフードライフを)」
『惑星ロボのこと考えろっつってんだよ!! とにかく通信終わり!!』
 ぶつん。グレイテスト号との通信は一方的に切られた。
「おかしいでごわすなー、我輩はただよい食事がしたいだけでごわすのに」
「……ていうかこれ、どうやって餌を盛るの?」
 何の気なしに聞いたジョンの言葉に、熊五郎は胸を張った。
「よくぞ聞いてくれたでごわす! これは餌の生成機構を内蔵しておってな。
 ここのボタンを押すと、こう餌がもりもり湧いてきてグワーーーーッ!?」
「ちょっ餌が上から湧いてきてグワーーーーーーーッ!?」
 ドサー。UFOみてえな大皿に無の空間から排出される大量のドッグフード。
 そばにいた熊五郎とジョンは巻き込まれ、しかも餌はもりもり溢れていく!
『あっ私これ見たことあるよ! どら焼きのあれだよね!』
「とんだ世界終焉シナリオの発生である。やはりここは自爆装置を使うべし。ポチッとな」
 なぜかO-MORI号に備え付けられていた自爆装置を押すリチャード!
 KRA-TOOOOOOOOOOM!! 爆炎が全てを呑み尽くす!
「「アバババババーッ!?」」
『ちょっなんで私までグワーッ!?』
「アイルビーバック……具体的に言うと戦いが始まったら戻るのである」
 巻き込まれる三人。なぜかサムズアップしながら炎に消えていくリチャード。
 そして宇宙にまたひとつ、新たな星が生まれた……。

 え? 惑星ロボのこと?
 真面目に作業してたジョン以外は特に何もしてなかったのでほぼ影響なしです!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
巨大な構造物はチェックも一苦労だろう
そちらに回るか

『天光』で作成中の機体全体を走査
設計通りになっていない部分、接続や取り付けなど甘くなっている部分を見つけ出し作業者に伝える
特に組み終えた部分は何かおかしくなっていても外から気付けないだろう
早い段階で作業をやり直せるとスムーズな筈

巨大ロボのロマンは俺には縁遠いが
この世界の者たちの安寧には大きく寄与するのだろう
真面目に作業するとしよう


セフィリカ・ランブレイ
設計図を目敏く読み取り、担当部位は即座に組み上げる自分の腕前が怖いね
まずやるべき事が終えて、趣味に走るワケ

『何を追加で作るの…?セリカ。人様に迷惑だけはかけないでね』
呆れ声で忠告してくるのはシェル姉……相棒の魔剣だ

新機能を追加したいんだ
私の傑作、【蒼斧の武者】ガイレツオー!
漢字で書くと鎧烈王!
この仕組みを利用して、皆のテンションで加速する推進機構作りたい!
この船の主題歌も作ってさ、皆で歌いながら楽しく銀河を駆けたら楽しそう

歌詞…迷うな、あ。シェル姉って歌下手だったね
『私はセリカの作った鎧烈王の歌、歌詞のしつこさ忘れてねーわよ。ガイレツオーって何回繰り返してんの?』
騒ぎつつ、手はキッチリ動かす



「……何をしている?」
「あれ? アルトリウス君だ」
 セフィリカ・ランブレイは、ケロッとした顔で振り返った。
 対するアルトリウス・セレスタイトは、いつもどおりの無表情である。
 しかしどことなく、その眼差しに怪訝な色があるのを彼女は見て取った。
「"それ"は本来の設計図にないパーツだろう。増設するつもりか?」
「ん? あーあーこれね、そうそう!」
 セフィリカが取り掛かっていたのは、なにやら巨大なバーニアであった。
 バックパックらしき機構には、ご丁寧にスピーカーまで増設されている。
 サイズから見て、惑星ロボに取り付けるつもりらしい。
『……セリカ、呆れられてるのよ。見てわからないの?』
「え~? アルトリウス君はシェル姉と違って理解があるからそんなことないよ」
『さりげなく私のこと、物分りが悪いみたいに言わないでくれる?』
 魔剣とあっけらかんとした顔で対話するセフィリカの奇行にも、
 アルトリウスは慣れた顔だ。腕組して開発中のパーツを見上げ、目を細める。
「……いたずらにパーツを取り付けると、逆にマシントラブルを起こしやすいが」
「大丈夫大丈夫、もう私自分の担当箇所は終わらせてあるし?
 設計上は問題なく組み込めるはずだよ。動作するかは運次第だけど」
「それが問題なのだがな」
「試作品なんだからそれぐらいでいーんだって、大丈夫大丈夫!」
 セフィリカは大して気にしていない様子である。アルトリウスは頭を振った。
 こうなると、セフィリカには自分が何を言ったところで聞く耳持つまい。
 魔剣シェルファの声も届いていないとなると、いよいよお手上げだ。
「……まあいい。それで、これはどういう機能を持っている」
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました!」
 セフィリカが指を鳴らすと、ふたりの特殊宇宙服の中で音楽が流れ出した。
 どうやらそれは、問題の機構に組み込まれている音源らしい。
『七虹一番の伊達役者、蒼天勇者ガイレツオー、ここにありぃ~!!』
 ずいぶんとごきげんなサウンドである。いわゆるヒーローソングというやつだ。
「あ、これまだ仮歌なんだよね。歌詞けっこう迷っててさ~」
『どうでもいいことにばっかりこだわる……』
「もー、シェル姉はうるさいって。だいたいシェル姉歌ヘタじゃん」
『あんなしつこい歌詞よりはマシよ……ガイレツオーって何回繰り返してんの?』
 ぎゃあぎゃあと魔剣と言い合う様子を見て、アルトリウスはまた頭を振った。
「……つまりこれは、ロボットの内部に音楽を流す装置なのか?」
「あーいやいや、それもあるけどいちばん重要なところはそこじゃなくって。
 ようは、これを操縦してる猟兵の皆のテンションで加速する推進装置なんだ!
 ほら、みんなでガイレツオーの歌を唄って、意思が合えばスピードアップ!」
 自慢げな様子のセフィリカ。アルトリウスはしばし考え込んだ。
 ……いきなりトンチキな歌が流れ出し、面食らう猟兵の顔が思い浮かぶ。
「これは取り外すべきだと思うが」
「ええっ!? なんでー!?」
『当たり前でしょうが。そもそも自作の歌を流したいだけじゃないの?』
「もー、シェル姉は黙っててよ! ちゃんと船の主題歌も考えてるんだから!」
『そういう問題じゃないと思うのよね……』
 本人的には意外な不評を受けて、セフィリカはふくれっ面だった。
 このおてんばで天真爛漫な振る舞いも、彼女らしさと言えばそうだが……。
「ねえ、アルトリウス君もこの歌、微妙だと思う?」
「……いや、俺が言ったのは、歌がどうこうの話ではない。機構の問題だ」
 という意外な言葉に、セフィリカは目をパチクリさせた。
「なんだ。俺は思ったことをそのとおりに述べたまでだが」
「あー……てっきり歌がダメなんだって言われると思って」
「それは好きにすればいいだろう。歌声で闘う猟兵も存在する」
 セフィリカの心情を汲んだというより、アルトリウスは少々ズレていた。
 しかしどうやら、彼は流れるヒーローソングを悪く思っていないらしい。
「巨大ロボのロマンとやらは、俺には程遠い。だがあの惑星ロボは、この世界の希望だ。
 この世界の者たちの安寧に寄与出来る機能ならば、それはあってもいいのだろう」
「ふーん、そっか。……ふーん、なるほどねー」
「なんだ」
「べっつにー」
 何やら含みがあるセフィリカの言葉に、アルトリウスはわずかに眉根を顰めた。
 己には彼女の言いたいことがわからない。その機微を汲み取れない。
 ……ただ少なくとも、悪しざまに取られているわけではないらしい。
 にんまりと笑っているセフィリカの表情が、それを物語っていた。
「……とにかく、組み込むなら調整が必要だ。俺も手伝おう」
「あ、ほんと? ラッキー!」
『ほんとに大丈夫なのかしらねえ、これ……』
 不安げなシェルファの声もスルーして、セフィリカは共同作業に勤しんだ。
 並んで作業する彼女の背中は、どことなく先程よりも楽しげに見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

狭筵・桜人
コクピットはマッサージ機能付きの電動リクライニングチェアーにして
全自動ピザ焼き窯とドリンクバーもつけましょう。
エアコンにマルチモニターでしょう。
Wi-Fi完備にして、あとテレビ。

私は真面目に搭乗者のモチベを考えてですね。ねえったら。聞いてます?

じゃあロケットパンチとか肩からミサイルとかそういうのつけたらいいじゃないですか。
あ?電脳魔術士の肩書き?
後学のために教えておいてあげますけど
電脳魔術士には二種類のタイプがいます。
ゼロから理論を構築し実現するガチの奴と
他人が構築したシステムをぶち壊したり利用してセコい操作をする奴です。

まあ大抵前者は後者を兼ねるのですが……
つまり戦闘面は専門家に任せまーす。


矢来・夕立
オレもロマンとかちょっと分かりかねるところがあります。
でも選ばれしものが乗るワンオフより量産型のほうに惹かれるタイプです。

以前外殻を鋼材にしてもらったのはレインフォース号の方でしたね。
話が早そうなんでそちらに相談します。

実用性が一番大事だと思うんですよね。
操縦者を変えていくならそれなりの汎用性もいりません?やはり量産型が強いと思いませんか。オレはそう思います。
コレできちんと考えてあったら凄いな。おじいちゃんのこと見直すかもしれない。

既に決定した部分については
式紙に運搬をやらせときます。
人手が足りなきゃ組み立てにも回しますが、なるべく人がやったほうがいいでしょう。
人が乗って戦うものですから。



●ロマンを解せぬ少年たち
「やっぱり量産型が一番強いと思うんですよ」
 ここは宇宙艦、レインフォース号。
 そこへやってきた矢来・夕立は、開口一番そんなことを言い出した。
「量産型」
「そうです。正直オレ、巨大ロボのロマンとかちょっとわかんないタイプでして。
 でもどちらかというと、ワンオフ系より量産型のほうが惹かれるんですよね。
 だから量産型みたいな感じにカスタマイズするといいんじゃないかと思います。オレが」
「うわー、出ましたね自己中忍者の自己中主張。ないわー」
 と、そこで口を挟んできたのは、ピンク頭こと狭筵・桜人であった。
「いやーわかってない、いまさらな話ですけど矢来さん全然わかってないですよ。
 どのぐらいわかってないかっていうと、私が受けた模試ぐらい全然ですね」
「それは狭筵さんがただ勉強足りてないだけでは?」
「単位も足りてないから安心してください。いやそういう話じゃないんですよ」
 やれやれ、と天才系キャラみたいに手のひらを上向けて首を振る桜人。
 老人たちは、あっこの子寂しがり屋なんだな、かまってほしいんだな、と思った。
 なんやかや相手してあげる夕立への心象がちょっぴり上がったらしい。閑話休題。
「いいですか? 量産型がどうとか、そんなことより重要なポイントがあります」
「はあ。というと」
「居住性ですよ、居住性」
 チッチッチッ、とこれみよがしに指をふる桜人。いちいち鬱陶しい。
「あれだけ巨大なロボットで、しかもここは何が出るかわからない宇宙です。
 もしかしたら今後、長期間の航海をするかもしれないわけじゃないですか」
「狭筵さんにしてはなかなか的を得た指摘が出ましたね」
「なんですかその言い草。……まあとにかく、そういうときに備えて、
 それこそ何日間も生活できるように環境を整えるのがいいと思うんです」
「つまり?」
 桜人はそこでにっこり満面の笑みを浮かべた。
 そしてなにやら、わざわざ用意したらしい仕様書を取り出す。
「これ、私の提案書です。ちゃんとコンビニでコピーしてきました」
 夕立と老人技師たちは、怪訝な顔をしながらそれを覗き込んだ。

 マッサージ機能付きの電動リクライニングチェアー(出来るだけふかふかのやつ)。
 全自動ピザ焼き窯(天然石製)とドリンクバー(メロンソーダ必須!!!!)
 エアコン。
 マルチモニター(出来るだけ解像度高いやつ)
 Wi-Fi完備、テレビ、冷蔵庫、カップ麺用の電子ケトル、etc,etc……。
「「「…………」」」
「どうですかこれ! 私なりに真面目に居住性を考えたアイデアがここに」
「で、ですね。量産型というのはつまり汎用性を重視することなんですけど」
「はい出た自己中忍者の完全スルー! 出た~これ、これだからほんと、ねえ!」
「もちろんそこはわしらも懸念しておったところじゃ。パイロットが切り替わるんじゃしの」
「あれーーーおじいさんたちも完全スルーですか!?!?!?」
 もはや誰も桜人のほうを見てなかった。話を聞いてすらいなかった。
「ちょっと! 私のこの渾身のアイデアを見ておいてノーリアクションですか!?
 いいですか! これ本当に真面目に考えたんですよ! むしろ取捨しましたよ!
 ほんとはリクライニングベッドとか床下暖房とかもほしかったのに……!」
「すごいですね。その労力を使って勉強したらいいのでは?」
「ムキー!!」
 児童漫画みたいに飛び上がって怒る桜人。カンカンであった。
「……お前さんのう、そりゃロボの機能じゃなくてただのリラックスルームじゃろ。
 もっとこう、こういう兵器がいいとか機能がいいとかはないんかのう?」
 呆れた様子で老人のひとりが言った。桜人はけろりとした顔でこう答える。
「え? そんなのなんかロケットパンチとか肩からミサイルとか、
 なんかそういうのつけとけばいいんじゃないですか? 私専門外なので」
「あなた電脳魔術士ですよね」
「あ? そんなの私はあれなので、他人の構築したシステムを利用するタイプなので」
「セコいほうってことですね。端役さんと違って」
「ガチな人のことはいいじゃないですかーーーーもーーーーーー!!」
 おもちゃを買って欲しい子供みたいに喚き散らす桜人。子供だこれ!
「……まあとにかく、少し見直しましたよおじいさんたち」
 ともあれ夕立は、懸念点の話を聞くとさすがに驚いた様子であった。
「作業は山積みでしょうし、オレも手伝うとしましょう。式紙程度ですが」
「ちょっとー! 私も真面目に働かないとダメな流れじゃないですかこれー!」
「やっぱり真面目じゃなかったんですねあれ」
「ほらーもーそうやって揚げ足取るー!! わかりましたよ私もやりますよお!!」
 老人たちは顔を見合わせ肩をすくめた。
 なんやかや、凸凹の過ぎるふたりのやりとりは安定感があったからである。
 どうやらこれが、少年たちなりのコミュニケーションらしかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジャガーノート・ジャック
★レグルス/アドリブ歓迎

(ザザッ)
マインド。
余りいい思い出はないな。
そもそも宇宙にあまりいい思い出がないが――(憶えているのはいくつかの戦場、そして強敵黒騎士と――他にもあった気がするが、あまり記憶にない。)

ともあれ巨大ロボ。
大いに興味のある所だ、協力は吝かでない。

(ザザッ)
UCを使用し組立に協力をしよう。重量物の操作なら任せるといい。然し便利な外殻だな。武器類への転用を検討したい――、……?
(いや、既に使用している。「剣狼」と「LAIKA」に。……何故そんな事を忘れて――?)

……さっきからどうしたロク。
サーカス?此処は宇宙だぞ?
……本機が君を連れて?

………一体、本機は何を忘れて……(ザザッ)


ロク・ザイオン
★レグルス
※お任せです

(相棒が巨大メカとかロボで嬉しくなることを森番は知っている。
なので)
ジャック。
なあ。
(横でちょろちょろと手伝っている
ものを真っ二つにするなら任せろ)
…ジャック。
なあ。
(相棒が、こういうものを作るのが楽しいのは、よく知っている
夢中になるのも仕方ない
けれど)
………ジャック。
なあ。

会いに行かないのか。
サーカス。行かないのか。

……遊びに来たんじゃない、けど、さ。
でも。宇宙は……大変だったけど。楽しかっただろ。
いちばんはじめに、この船に
おれを連れてきたのは。キミじゃないか。



●代償
 ……惑星ロボ建造の作業は、非常に滞りなく、順調に進んでいた。
 ガラクタの塊に思えたそれは、人型らしい姿を描きつつある。
 じきに惑星ロボは完成し、その勇姿をこの宇宙に誇ることだろう。
 それは、喜ばしい。誇らしささえ感じる。だからそれは、「いいこと」だ。
 けれども、ロク・ザイオンの表情はこれっぽっちも浮いていなかった。
 彼女はグレイテスト号の隅っこで、うずくまるように丸まっていた。

 話の発端は、ジャガーノート・ジャックの異変にあった。
 ロクにとってこの世界は――そしてこの船は、とても縁深い場所だ。
 宇宙という、一見森番にとって縁がないはずのこの世界で、しかし、
 このぼろっちくも暖かな船は、彼女にとっての「縄張り」だった。
 そうしてくれたのは……他でもない、相棒だったのだ。

 だった、のに。
「なあ嬢ちゃん……どうした? そんな難しい顔してよ」
 "色男"ジャックが、苦笑しながらロクに声をかけた。
 ガラス窓の向こうには、徐々に完成に近づきつつある惑星ロボの遠景。
 実に、喜ばしい。誇らしささえ感じる。けれど。
「…………ジャックは」
 ロクはしばしの沈黙のあと、うっそりとした目つきで彼を見た。
「あんなことを言われて、気にならないのか」
「なんだ、前よりずっと上手に喋れるようになったな嬢ちゃん! いいことだ!」
「ジャック」
 ぴしゃりとした声音に、破顔した色男はばつが悪そうな表情をし、頭をかいた。
 ロクは思う。どうして彼が、そんな表情をするのだろう。
 だって。

 ――ロク、君がどうしてもというからこの船に来たが一体何だというんだ?

 相棒は、ロクに連れられてこの船に来た時、そう言った。
 あれだけ思い出深いはずの、サーカスなのだ。
 縄張りで、森で、ネズミを捕って、パーティをして……。

 ――この船に、技師はいないようだ。長居する理由はないと考えられる。

 あの戦いをくぐり抜けて、そのあともまたやってきて。

 ――正直なところ、本機はここに居るのを時間の無駄だと感じている。

 なのに。どうして。


 ……作業に戻ったジャガーノートは、拭いきれぬ違和感を抱えていた。
 自分が知らない思い出をしきりに語るロク。
 記憶にない、しかしたしかに加工された己の装備。
 そして……あの一見役に立たない船で邂逅した、初対面の男性。
(……本機は、いや、僕は……)
 ジャガーノートは無心で手を動かし続けながら、考えていた。
 グレイテスト号"とやら"に乗り込んだふたりの前に現れたのは、
 やけにけばけばしくカラフルな服を着た、胡乱げな男性であった。
 その男はこちらを見るなり破顔して、人懐っこく笑いながら駆け寄ってきた。
 そう……まるで、家族か何かにでも久々に会ったかのように。

 ――よう兄弟、久しぶりじゃねえか! やっぱりお前さんも来てたんだな!

 ジャガーノートは相棒のほうを見た。相棒はこちらを見上げていた。
 何か思いもよらないものを見た、そんな表情をしていた。
 そんな目で見つめられる理由がないことに、自分は当惑した。

 ――どうした兄弟、またなんか悩み事か? お邪魔しちまったかね?

《――……いや、すまない。その兄弟というのは、本機のことだろうか?》
 ロクが大きく目を見開いていた。その理由がわからない。
 対する男は……一瞬、ほんの一瞬だけ同じように大きく目を見開いて、
 しかしすぐに"人当たりのいい笑み"を浮かべて、帽子を外してお辞儀した。
『こいつは失礼! 自己紹介が遅れちまった。あー、"私"はジャック。
 人は私を"色男"と呼ぶんだ。このサーカス船の船長であり、座長なのさ!』
《――本機のシリーズネームは『ジャガーノート』、機体識別名は『ジャック』と言う。好きに呼んで構わない》
 いつもどおりに応えた時、ジャガーノートは妙な胸騒ぎを憶えた。
 いや、既視感? ともあれ色男はにこりと笑い、言った。
『あんたもジャック、俺もジャックか。奇遇だね! よろしく、ジャックよ!』
 それから相棒が騒ぎ出して……そして。

(……僕がこの世界に関して覚えている記憶はそこまで多くない)
 作業をしながら、ジャガーノートは沈思黙考を続けた。
(けれどロクもあのジャックという男性も、妙な振る舞いをしていた。それに……)
 同じく作業に立ち会っている船――視界の端に映ったナイチンゲール号。
 あの船を見ていると、妙に心がざわつく。まるで昔のように。
 かりかりと胸が痛む。"僕"の胸が、どうしようもなく痛むのだ。
(……僕は、何を忘れている? いや、そもそもなぜ……?)
 彼はひとり考え続ける。
 惑星ロボの建設は順調だ。喜ばしい。誇らしささえ覚える。
 けれども――ぽっかりと空いた胸の穴は、どこまでも空虚だった。


「どうして、あんなこと言ったんだ」
 ロクは恨めしげに"色男"を睨んだ。
「あんな嘘、つかなくてよかった……だろ」
「嘘じゃないさ」
 ジャックは帽子をもてあそびながら、笑みらしき形を口元に浮かべた。
 寂しげであり、
 哀しげであり、
 しかし誇らしげでもある。
「ありゃあな、俺が兄弟に初めて出くわした時に言ったことと同じなのさ」
「…………」
「だが兄弟はあの通りだった。ま、なんかしら事情があるんだろうよ」
 ロクはぐるぐると唸った。そうじゃない、といいたかった。
 そうじゃない。相棒に事情があるとか、ないとか、そうじゃなくて。

 ――どうしてキミはそんなに、平気な顔をしていられるんだ。

 出かけた言葉は、しかし、口にされることはなかった。
 ロクは何度も戦いを経て、何度も人の悲鳴(うた)に触れてきた。
 悲しみに触れてきた。
 怒りに触れてきた。
 怨みに触れてきた。
 憎しみに触れてきた。
 だから彼女にはわかった。そして理解したのだ。
 彼はショックを受けている。当然だ、相棒があんな振る舞いをしたのだから。
 自分だってそうだ……けれども、ああ、この男は。
「なあに、人間だって歳をとっちまえばボケてあれこれ忘れちまうんだ。
 兄弟もお嬢ちゃんもまだ若者だろ? いやまあ、兄弟の年齢はわかんねえが」
 色男はおどけた様子で言って、帽子を被り直した。
「ならそのうち、元通りになるさ。そんときゃ今までみたいに笑い話にして、
 "まったくひどいやつだぜ!"って言う。俺に出来るのは、そのくらいだろ」
 ――どこまでも猟兵(おれたち)を信じているのだと。
「…………そう、かな」
「そうさ」
「……うん」
 ロクは立ち上がった。色男は振り返らない。
 そして森番は相棒のもとへ向かう。縄張りをあとにする。
 相棒のあのふるまいはおかしい。何かよくないことが起きている。
 きっとそれは、一朝一夕でどうにか出来ることではないのだろう。
 けれどもロクは思った。
 ――あのろくでなしの言う通り、"きっとなんとかなるかもしれない"と。
 彼女の足取りは、思っていたよりはずっと軽かった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フェルト・フィルファーデン
ロマン、ねえ……正直、わたしもサッパリわからないのだけれど……
とにかく強いロボットを作ればいいのよね?

仮想敵があのクエーサービーストである以上、生半可な攻撃ではダメね。
だったら剣よ!硬い装甲もバターのように斬り裂けるものがいいわ!エネルギーを集束させて光の剣にしましょう!
お次は盾ね!自分を守ったり、船を庇ったり色々出来るし!ついでに衝撃を吸収して跳ね返すカウンター機能も付けましょう!
最後は鎧!白銀に輝くカッコいいものがいいわ!おまけで迷彩機能も付けちゃいましょう!敵の隙を突けるわ!

・・・ちょっと、気合入れすぎちゃったかしら……(騎士っぽい惑星ロボを見上げ)ま、まあ、強ければ問題無いわよ!ねっ!


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

まあ、ロマンがどうのはいったん置いとくとして。相手がデカいんだからこっちも大きくなればいい、はシンプルだけどできるならそりゃやりたいわねぇ。
実際あたし、連中相手だと絶望的に火力足りなくてサポートと嫌がらせに回ってたし。実用化できればだいぶ楽になるかしらねぇ?

あたしロボット自体には思い入れとかなんにもないし…武装のほうに回ろうかしらぁ?
思い入れとかこだわりが重要なら…いっそのこと、「オブシディアン」作っちゃおうかしら。一番最初の「相棒」だもの、構造は当然全部頭に入ってるし。この子ならそれなり以上には思い入れあるわよぉ?
…まあ、たまーに滅殺とかで結構な蛮用するけど。


ヌル・リリファ
……♪(人形は彼らが死んでいてもさほど気にはしないが、生きて再び一緒に仕事をできることが嬉しいと思いはする。)

ロボット! 
マスターがいたらなあ。きっともっとすごいものをつくれるんだけど。

ん、でもわたしも一応マスターのそばで仕事をみてきたから。マスターほどじゃないけどすこしはわかるよ。

(こだわりは「マスターの素晴らしい作品にすこしでも近づいたものを作りたい」です。)

……いつかマスターのつくったものにものりたいな。
マスター、あんまりこういうハイリスクハイリターンのものはこのみじゃないかもしれないけど。必要になるかもしれないなら、つくってはくれるとはおもうから。



●機械じかけの神
 ヌル・リリファは、珍しく満面の笑顔を浮かべて上機嫌なようだった。
 彼女は手近な宇宙船のデッキに腰掛け、完成間近の惑星ロボを見上げている。
 もはやそれは――ひどく不格好だが――人型と言っていいフォルムをしていた。
 あまりに巨大ゆえに遠近感が大きく狂わされてしまうが、
 ヌルはそんなことはお構いなしといった様子で、足をぱたぱたさせていた。
「マスターがいたらなあ。きっともっとすごいものをつくれるのに」
 と言いながらも、ヌルの空色の瞳はぱちぱちと明るく輝いていた。
 それは、人と猟兵とが作り上げた傑作を見上げる、子供めいた輝きだ。
 もちろん彼女も、各部で制作に協力し智慧と技術を提供した。
 そのおかげもあって、彼女には黄金のボディが輝くように見えていた。
 彼女が知るマスターの神の手の如き造形には、それはこれっぽっちも届かない。
 月とスッポン、はたまたアリと象……それほどの差だ。
 当然だ。敬愛するマスターの作品に、そう簡単に近づけていいはずがない。
 けれどもそれは、あの人の想いを背負ったロボットが不出来だというわけではない。
 むしろ逆だ。
 とても到底近づけないからこそ、"近づこうとする"ことが出来る。
「……マスターが見たらおこるかな。それとも、ほめてくれるかな」
 ヌルは思った。もし前者ならとても怖い、けれど誇らしさもある。
 それはつまり、マスターがヌルと仲間たちの作品を評価してくれたということ。
 後者だったら……それはとてもとても、喜ばしいことだ。
 マスターが褒めてくれるぐらい、素晴らしいものを作り上げられたのだから。
「ひとが、あつまって。おもいをこめて、何かをつくって」
 ヌルは歌うように言いながら、指先で遠く遠くのフォルムをなぞった。
 それはまさしく星のように、近いようで遠い場所に鎮座している。
 人の想いを背負いし者。猟兵の武器にして鎧、星の獣を打破する秘策。
 ひどく不格好だけれど、それはとても誇らしげで、なによりも――。

「……ちょっとやりすぎた気がするわねえ、これ」
「ええ……いかんせんはりきりすぎたわ……」
 疲れ切った、しかしどこか晴れやかな様子のふたりが言った。
 ティオレンシア・シーディアとフェルト・フィルファーデンの前には、
 "つい"、"勢いで"作ってしまった、巨大な武器の数々が浮いている。
 彼女らが陣頭に立って、その場のノリと余り資材で組み上げた品々だ。
「あたしロボットへの思い入れとかないから、武器でも、と思ったんだけどぉ」
「そうね……ティオレンシア様が銃を考えていたのをみて、わたしも熱が入っちゃったの」
 ガンナーであるティオレンシアは、当然銃を形にしようとした。
 パーツのひとつひとつまで微細に記憶した相棒、『オブシディアン』を、
 いっそいまのうちに惑星ロボサイズで作れないか、と考えたのである。
 そこにやってきたのがフェルトだった。そして彼女のアイデアはと言うと。
「ものすごい熱量だったわねえ、剣と盾のプレゼンするあなたの勢い……」
「……我ながら、ちょっとだけ恥ずかしいわ……」
 フェルトは顔を覆った。

『硬い装甲もバターのように切り裂ける剣! 武器ならこれしか無いわ!!
 それに盾! まるで騎士のような立派なものを作るべきだと思うの!!』

 建造途中だった銃を見て、なにやらスイッチが入ってしまったらしいフェルト。
 彼女はけして(それこそティオレンシアと同じように)ロボのロマンは解らない。
 どこぞの"神の手"がここにいたらどうだったかはわからないが、
 とにかくフェルト自身はそうなのだ。しかし、武器となると話は別だ。

『それに装甲も重要よ……そうだ、白銀に輝く鎧を作るのはどうかしら!?
 おまけに迷彩機能もつけちゃいましょう! あとはマントもほしいわね……!
 そう、これはもはや惑星ロボではないわ。惑星騎士、いえ騎士ロボ? とにかく、それよ!!』

 ……とまあ、そんな勢いだったのである。
 勢い任せでスタッフを酷使して出来上がったのは、試作品の山。
 これが実戦で使えるかどうかは、出たとこ勝負ということになろう。
 そして残念ながら、惑星ロボを覆うサイズの鎧までは作れなかった。
「さすがに本体から資材を引っ剥がそうとするとは思わなかったわぁ」
「うう、言わないで……! 顔から火が出そうなのよ……!」
 恥じらう乙女を見やりつつ、ティオレンシアは巨大なロボを見上げた。
 それはひどく不格好で、おとぎ話の騎士のようにはとても思えない。
 けれどもなんとなく、ティオレンシアは思ったのだ。
「人は見かけによらず、って言うしねぇ。これはこれで立派じゃないかしらぁ」
「……ええ、そうね。まだまだ試作品だもの。それに……」
 フェルトはロボに近づき、黄金の外殻装甲を指先でなぞった。
 見た目を度外視して構築されたそれは、まるで不格好だ。けれど。
「……この世界の人々の希望を背負う、機械じかけの神。そんな感じかしら。
 どことなく暖かくて、それでいて雄々しくて……ふふっ、なんだか頼もしいわ」
 その威容は、間違いなく猟兵たちの想いが通じたことを示していた。
 これがあれば、勝てる。ティオレンシアもフェルトも、そしてヌルも……いや、
 その場にいる猟兵たちも作業員も、誰もが心からそう思ったのだ。

 これこそが、暗黒たる宇宙を切り開く、人類の剣にして鎧。
 星の獣に対抗しうる力は、今ここに完成したのだと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『クエーサービースト・マインドミナBVA』

POW   :    BVAジェノビック
【無限に変化する外殻が超殺戮形態 】に変形し、自身の【防御力】を代償に、自身の【攻撃力と攻撃速度】を強化する。
SPD   :    BVAエクスタリ
いま戦っている対象に有効な【無限に変化する外殻が変形した殺戮兵器 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    BVAリモーフ
対象のユーベルコードを防御すると、それを【無限に変化する外殻によって再現し 】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 試作型惑星ロボは、猟兵たちの尽力の甲斐あって一応の完成を見た。
 その見た目はひどく不格好で、まさに試作品と言うべき無骨な見た目だ。
 組み込まれた無数の機能がどこまで働いてくれるかは、完全に未知数。
 しかし。完成した惑星ロボはたしかに駆動し、光り輝く眼で宙(そら)を睨んだ。

 その先に、禍々しき黄金を放つ星の獣が近づいていた。

「マインドミナBVA、確認! 距離30000!」
「敵性体はこちらを認識している模様、接触は600秒後と思われます!」
 ナイチンゲール号艦橋、あたりは騒然となっていた。
 艦長である青年パトリックは、ウィンドウに表示された映像を睨む。
 マインドミナBVAはこちらに気付いている。目的は推察するまでもない。
 ……破壊だ。惑星ロボ、ひいてはここに集まった全ての船と人々の破壊と殺戮!
「本艦は限界域まで離脱、後方から猟兵たちの支援を行います1
 他艦と連携し、彼らが全力で戦えるよう総員で状況を整えてください!」
 各艦に緊張が走る。一度打破した敵とは言え、相手は規格外の獣だ。
 クエーサービースト! 人類の探査を阻む星の獣!
 近づきつつある黄金の獣はゴキゴキと音を立て、殺戮兵器を構築する。
 対する惑星ロボは再びツインアイを輝かせ、重々しく構えを取った。
 ブリッジが騒然とする。あの巨躯が……動いた。猟兵の意志に呼応して!
「……やれるのか。いや、やれるはずだ。絶対に……!」
 パトリックは祈るように呟き、指揮に没頭した。
 戦いが始まる。ここから先は、ユーベルコードのぶつかり合いだ!

●本章の概要
 ついにクエーサービースト『マインドミナBVA』が出現しました。
 これは惑星ロボの試金石であるとともに、新たな資材を確保するための戦いです。
 完成した惑星ロボの力を使い、マインドミナBVAを撃破しましょう!

 惑星ロボの操縦について。
 すでに説明したとおり、惑星ロボが持つ機能は『メインパイロットの使用したユーベルコードを小惑星サイズに拡大する』というものです。
 第一章の結果を踏まえて様々な機能や武装がロボには搭載されていますが、
 それが実際に効果を発揮するかどうかは、皆さんのプレイング次第でしょう。
 また、メインパイロットは入れ替わり立ち替わり交代しながら闘うことになります。
(ユーベルコードを一度使うと疲労でダウンしてしまうためです)
 交代の演出は深く考えなくてOKです。
 なんかこう、どこぞの巨大ロボみたいに中で席が入れ替わるかもしれませんし、
 なんかテレポート的なパワーでスイッチしたりするかもしれません。
 プレイングにあれば極力演出として拾いますが、ふわっとした感じでやります。
(ちなみに、思い思いの名前で呼んでいただいて構いません。みんなのロボなので!)

 なお、もしも『ロボに乗らず戦いたい』という方がいらっしゃった場合。
 その場合は、『惑星ロボの戦闘を援護する』という感じの描写も一応可能です。
 合同プレイングなどでメインパイロット役を定めたい方々や、
 あえて生身ないし自前の船やロボットで大立ち回りをしたいなんて方も、
 出来るだけ頑張ってかっこよく自然に登場できるよう、執筆させていただきます。
 細かいことは考えずかっこよさ重視でいきましょう。ロボってそういうものです!!
(あと『サブパイロットとして操縦を支援する』とかもかっこいいですよね。自由!)

 だいぶファジーですが、とりあえずノリ重視です。
 惑星ロボのパワーを、クエーサービーストに味わわせてやりましょう!

●プレイング受付期間
 05/10 23:59前後まで。
●業務連絡
 プレイング受付期間が過去にさかのぼっていることに今気づきました。
 正しくは06/10 23:59前後までとなります。丸一日気づかなくてすみませんでした!!
アロンソ・ピノ
※アドリブ歓迎

すまねえ「ろぼっと」だの「めか」だのにはてんで疎いんでそっちには加勢出来んかったが。
こっから先はとりあえずユーベルコード振り回しゃ良いんだろ?

ユーベルコードは「夏鯨」。ろぼっとの大きさ並に巨大な刀を作って、敵を叩っ切る。使えるなら「怪力」「武器改造」も追加だ
(ユーベルコード使用後)…確かにキツイなこれ。
えーっと名乗り…春夏秋冬流、機刃!

素直に交代する…が?
なんだろうな、この感覚。ろぼっとの、っつうかマインドって思念に反応する素材の方か…?
オレの刀で刀身生やす時の感覚に似てるような……流派の開祖は侍でエンパイアから来た筈なんだが、刀は一体どう手に入れたんだ…?いや、今は関係ねえが…


黒川・闇慈
「まさかロボに乗り込んで戦う日が来るとは……猟兵をやっていると退屈しませんねえ。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
惑星ロボがどれだけ十全に機能するかわかりませんし、単純なUCを使うのが無難でしょうか。
属性攻撃、全力魔法、高速詠唱の技能を活用し炎獄砲軍を使用します。炎を一つに合体させ、マインドミナに砲撃です。
マインドミナがUCを借用し反撃してきた場合は私が設計し組み込んだ防御用装備を試してみましょう。普通に直撃をもらうよりはマシな被害になると思います。

「巨大な火の玉を発射するロボ……まるきりアニメですねえ。こういうのも嫌いではありませんよ。クックック」

【アドリブ歓迎】


マヤ・ウェストウッド
「剣ってのは、切っ先が鋭いだけじゃあ能がないものさ。頑丈な茎、安定した柄、そして帰るべき鞘があってこそ」
・K9の万能医療班を継続召喚して、兵站の充実につとめる
・機内医務室に陣取って疲労した搭乗者を[医術]で保護したり、機体を[メカニック]技術で修理したりで[継戦能力]を発揮。機外で立ち回る同僚も装備の修理、弾薬の補充、応急処置でサポート
・(流石にスタッフ自身が巨大化したら不自然なので、ロボの素材で強化外骨格を付けているのって、どうすか? 外骨格は漢のロマン)
・マヤ本人は携帯端末片手に医務室で陣頭指揮。他の後方支援の猟兵と連携する
「戦う味方をもっと戦えるようにするのも、戦いの内。そうだろう?」



●第一陣:獄炎、獄刀、豪華絢爛
 ……KRAAAAAAAAAASH!!
「む……!」
 惑星ロボの拳とマインドミナBVAの殺戮兵器が激突し、真空を揺るがせた。
 伝搬する大気が存在しないはずの宇宙にも、しかしエーテルは満ちている。
 超質量、かつ超自然的物質同士の炸裂は、宇宙すらも振動させるのだ。
 メインパイロットとなった黒川・闇慈は、珍しくわずかに顔を顰めた。
 与えられた衝撃の大きさはもとより、敵の持つ戦力の高さだ。
 闇慈はかつて、マインドミナBVAと生身で戦ったことがある。
 あの闘いも相当に困難なものだったが……否、だからこそわかることがあった。
 敵の殺意。人類種に対する歴然たる敵意が、倍増しに膨れ上がっていると。
 己の装甲を利用されたことに対する怒りか、はたまた同族嫌悪的なものか?
 殺意はパイロットである猟兵たちよりも、むしろロボそのものに注がれている。
 つまりそれは、この惑星ロボが彼奴らの天敵足り得ることを示し……。
 ……KRAAAAAAASH!! さらなる轟音! 惑星ロボは大きく後退する!
 闇慈は呻いた。激甚たる衝撃が、けして頑強ではない彼の体をみしみしと揺らす。
 もう一つの事実。それは、敵の力が以前よりも間違いなく上だということ。
 倍増しの殺意は、裏返せばそれだけ油断ならぬ相手だと知らしめているからだ!
「チッ、さすがに試作型じゃあ、力比べ勝負にゃ分が悪いね……!」
 一方、惑星ロボ機体内に併設された機内医務室。
 そこに陣取ったマヤ・ウェストウッドは、ARウィンドウを睨み舌打ちした。
 彼女はメインパイロットになるのではなく、後方支援に回ることで、
 疲労でダウンした猟兵をサポートし、戦いを円滑に進めることにしたのだ。
 無論、ただ裏方仕事ばかりではない。機外で立ち回るのは彼女の同僚たち。
 マインドミナBVAの黄金装甲を外骨格加工した、前線サポート医療兵たちだ。
 二度の衝突で生まれたクラック痕も、彼らの尽力で即座に保護される。
 当然、巨体同士のぶつかり合いは、いわば竜巻同士のこすり合いも同然である。
 一瞬でも気を抜けば、スタッフらはたちまちウォッシャーめいてすり潰されるだろう。
 危険は大きい。だがサポートの価値も大いにデカい!
「メインパイロット! 多少機体がイカれてもこっちがどうにかするよ!
 気にせずぶつかりな! それとも他のプランがお好みかい? ならそれでもいい!!」
『恩に着ますよ、クックック。体力勝負はガラではないですからねえ』
 通信越しに闇慈は答え、そしてコクピットの操縦桿を握りしめた。
 これはいわば"アイコン"だ。大事なのは、思念をイメージし、投射すること。
 それならば、魔術士である闇慈には朝飯前の仕事と言えた。
 惑星ロボは体勢を立て直す――だがマインドミナBVAの殺戮変形の方が早い!
 大量のドリル兵器が、惑星ロボごと外骨格医療兵をすり潰そうと射出される!

 ……ガガガガガガガガッ!!
 しかしそこで迸ったのは、惑星ロボの周囲を包む多角的バリアであった。
 クロスガード状態の惑星ロボから放射された、防御エネルギーによるものだ。
「防御用装備は上々のようですね」
 闇慈は不敵な笑みを浮かべて言った。医療室のマヤは呆れた顔で笑う。
「装備のテストのためにわざと受けたってのかい? ヒヤヒヤさせるじゃないか!」
「これは試作型の試験でもあるでしょう? 当然ですよ、クックック」
 闇慈は悪びれずに言うと、ウィンドウ越しにマインドミナBVAの巨躯を睨む。
 惑星ロボが片手をかざせば、続けざまに生まれたのは無数の太陽……否、獄炎だ。
 ひとつひとつが隕石並のサイズをした炎の球体は、惑星ロボを取り巻き、
 そして衛星めいて高速回遊し……エーテルの風を起こしながら突っ込んでいく!
「まさかこんな、アニメじみたロボを操縦して戦う日が来るとは……。
 猟兵をやっていると退屈しませんねえ、クックック。さあ、燃えなさい!!」
 ドウ、ドウドウ――KRA-TOOOOOM!!
 小惑星規模に拡大された獄炎の連撃が、マインドミナBVAの装甲を破壊する!
 続けざまの攻撃に移ろうとした闇慈だが、強烈なめまいが彼を襲った。
 ユーベルコード拡大によるバックファイア。これほどのものとは……!
『仕事は終わったろ? なら選手交代だ! 次のパイロットはもう向かってる!』
「……ここは、お医者様の言うことを素直に聞いておくとしましょうか」
 闇慈は脂汗を拭いながら嘆息し、意識を集中させてコクピットから消失した。
 思念兵器マインドが不穏に唸り、入れ変わりに新たな人員をテレポートさせる。
 ヒュボッ、とフラッシュライトめいて光が瞬いたあと、青年がそこにいた。

「こっからはオレの番だ。なあに、やり方はおおよそ見て学んだぜ」
 青年……アロンソ・ピノはひとりごち、拳を握り、開いた。
 惑星ロボもまた同じ仕草をなぞる。敵をにらめば、ツインアイがぎらりと輝いた。
 獄炎が晴れていく。マインドミナBVA、健在! 原初の殺意が放射された!
「"ろぼっと"だの"めか"だの、そういうのはてんで疎いがよお!」
 アロンソはイメージを育てる。超巨大となった己の愛刀のイメージを。
 腕を突き出し手を開いた惑星ロボのその掌に、黄金の輝きが収束した。
 おお、見よ。想像から創造された、あの紛うことなき大業物を!
「へえ……"瞬化襲刀"までお星様のサイズかよ。こりゃあいいや!」
 アロンソは快哉めいて笑い、惑星ロボにその大刀を掴み取らせる。
 ゴコン――惑星ロボは腰だめに剣を構え、そしてゆっくりと抜いてみせた。
 するとどうだ。刀身はさらに膨れ上がり、なおも巨大化していく!
「なんだありゃあ……! いよいよ怪獣決戦じみてきたね!」
「巨大化系ユーベルコードをさらに拡大すると、こうもなりますか……」
 医務室。治療を受けていた闇慈と、マヤは揃って呆れたような驚嘆を見せた。
 惑星ロボが構える大刀、"瞬化襲刀"の刀身はさらに倍以上に膨れ上がっていた。
 超重量、かつ超質量。それはもはやブラックホール化しそうなほどである!
「春夏秋冬流、機刃! ……一撃見舞うぜ、受け取りな星の獣ッ!!」
 ユーベルコード発動による甚大な疲労感に苛まれながらも、アロンソは一閃。
 惑星ロボは、彼の生身の動きをそのままトレースするように動いた。
 疾い。超質量を手にしているとは思えないほどのなめらかさである。
 それもまた、外骨格医療兵が駆動系を常にメンテナンスしているおかげだ!
(なんだろうな、この感覚……いやに手に馴染む。いや、体に……か?)
 一瞬が無限じみて引き伸ばされた時間間隔の中、アロンソは思った。
 思念兵器マインド。あるいは、その素材となったマインドミナBVAの黄金外殻。
 それが返してくるエネルギーの波動は、"瞬化襲刀"の変化に似ていた。
 まるではじめてとは思えない、いや、ともすれば生身同然のこの"馴染み"。
 あるいはそれは、謎に包まれた彼の流派、そしてこの刀のオリジンに……否!
 今は考えるときではない。アロンソは思索を振り切り、吠えた!
「星の海ごと食らう、夏の鯨は――獣だろうが、容赦しねえぜッ!!」
 KRAAAAAAAASH……!!
 超質量がマインドミナBVAを横合いに殴り飛ばし……否、無理矢理に押し切る!
 反撃すらも叩きのめす超絶の一撃。これが拡大されたユーベルコードの力か……!

 だがその代償は、惑星ロボにとっても大きい。
 さきほどの衝突以上のバックファイアが機体を襲い、駆動系がはぜた。
 メインパイロットも無事では済むまい。マヤは同僚たちに檄を飛ばす。
「戦う味方をもっと戦えるようにするのも戦いのうちだ。救護と修理、急ぎな!」
 敵が復帰変形するよりも先に医療兵たちは動く。
 戦いとは、力をぶつかり合わせるだけではない。
 帰るべき鞘を守ること。それもまた、マヤの戦い方なのだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

マレーク・グランシャール
【壁槍】出水宮・カガリ(f04556)と共に

マインドミナBVA……
以前戦った時はお前が敵の攻撃を防ぐ間に俺が変化中の奴に飛び込み、剛槍の一撃を喰らわせたのだったな
持ち帰った外殻でロボットに変化する黄金のライターを作ったが、今度も外殻を剥ぎ取って結婚指輪の材料にするぞ

それはそうとカガリよ、この腕時計を嵌めるのだ
例のパイロットを瞬時に切り替えるリモート装置だ
二個しか作れなかったから実質ペアウォッチだな

さあ、今こそ俺達のロボの力を見せてやる
カガリの【駕砲城壁】のビームを打ち破ろうと力を攻撃に全振りしたところで選手交代
防御がゆるゆるになったところをロボに合わせて巨大化した【雷槍鉄槌】でズドンと行くぞ


出水宮・カガリ
【壁槍】まる(f09171)と

あのとてもでかい黄金の、思い出すな
まい、まいんど……なんとか(覚えられない)
前の時は、こちらが小さすぎて壊れるかと思ったが
大きさは、今回は互角
ならば、ユーベルコードで互角以上の戦いができる、というもの

けっこん、ゆびわ。あれの、外殻で(真顔)
強そうな指輪だな…?喜ばれるなら、いいのでは。
カガリ達が使うなら、二つあれば十分だが……お揃い、か(装着に手間取る)
では、行こうか

先に、カガリがメインで操縦して【駕砲城壁】を
そう言えば。己自身がロボ?になる事は時々あるが
操縦する側になるのは、とても珍しいかもだ
カガリの壁に対して、敵が防御を捨ててきた所で交代
まるに追撃を頼むぞ



●黄金指輪のために!
 マレーク・グランシャールは、いつになく張り切っていた。
 それというのも、彼は黄金外殻で作りたいものがあるらしい。
「あの外殻を使って、結婚指輪を作る」
 いつもの無表情でそう豪語したマレークの顔を、出水宮・カガリは二度見した。
「けっこん、ゆびわ」
「そうだ、結婚指輪だ」
 マジであった。相棒の顔は、マジの大マジであった。
 もともと冗談の類は言わないタイプの男だ。言葉にした時点でそれはマジなのだ。
 だが……とにかく、マレークはマジの大マジだったのである。

 そんなわけで(?)やる気十分にメインパイロットに臨んだマレークとカガリ。
 先手を取ったのは、もちろん我らの頼れる城壁ことカガリであった!
 目の前には、視界いっぱいに映し出された巨大な星の獣の殺戮兵器装甲。
 しかし臆することはない。かつての質量差は、もはや克服しているのだ。
 惑星ロボが、カガリの思念に呼応してゴゴン、と大きく身動ぎした。
 ヤドリガミとしての霊的な感覚が、そこに宿る意思の萌芽を感じる。
 ――行ける。この頼もしき巨神ならば、あのクエーサービーストを滅ぼせる!
「カガリ自身が"ろぼ"になることは多いが、操縦するというのははじめてだな」
 慣れない感覚に戸惑いつつも、カガリは不敵に笑っていた。
「これはこれで、悪くないものだ。さあ、行くぞ!」
 惑星ロボが拳を握りしめた。振り上げた腕部に生まれる黄金の大盾!
 さながらシールドバッシュめいて、変形途中のマインドミナBVAを猛烈殴打!
 KRAAAAAASH!! 質量と質量とがぶつかり合い、クエーサービーストが吹き飛んだ!
 敵は己の体を殺戮戦闘形態に変形させようとする。しかしそれはすでに見たものだ。
 カガリはさらに仕掛ける。もう一方の機械腕にも大盾が顕現。殴打!
 ゴウオオオオオン――! 星の獣の、咆哮じみた駆動音が惑星ロボを揺らす!
「どうした、まいんど……なんとか。大きさを克服されただけで、その程度か?
 それならば、カガリのユーベルコードを使うまでもないようだな。さあどうした!」
 SMAAAAASH!! カガリは惑星ロボの両腕で熾烈な痛打を仕掛け続ける。
 それはすべて、敵を挑発し前のめりの攻撃を誘うための呼び水なのだ。
 マインドミナBVAがさらに鋭角的な形態に変形する。さながらそれは獣の顎だ。
 狼か何かの首から上をカリカチュアライズしたかのような、不気味な巨体!
「――食らいついたな。カガリの得手は、防御にこそある!!」
 カガリの思念に呼応し、惑星ロボは即座にクロスガード形態を取った。
 すると両腕に生まれた大盾がさらに巨大に――それこそ城壁めいて展開し、
 惑星ロボの黄金外殻が光り輝く。まるでそれは、曇りなき鏡のようであった。
 マインドミナBVAの装甲から、牙めいて生えた無数のドリルが射出された。
 ドウドウドウドウ……しかし! 装甲を削るかに思われたドリルは反射爆裂!
 そのエネルギーは光り輝く運動力と化し、逆にマインドミナBVAを迎撃した!
 マインドミナBVAは、さらに無数の殺戮兵器を生み出そうとする……が!

「まる、今だぞ!」
「ああ。あとは任せろ、カガリ」
 ふたりがお揃いのアイテムめいて腕に嵌めた腕時計が、赤いアラートを鳴らした。
 すると全制御がマレークのコクピットに移り変わり、視界が切り替わる。
 惑星ロボのツインアイがぎらりと輝いた。それは竜の稲妻に似た蒼き輝き!
「我らは矛と盾、あらゆる敵を打ち砕く者と知れ。さあ惑星ロボ、応えろ」
 バチバチバチバチ……!! と、全身の輝きが片手に収束していく。
 白熱した雷光は、たちまち身の丈を超えるほどの超弩級の剛槍に変じた。
 まさしく小惑星サイズに拡大された、三位一体の竜槍だ!
「我が槍を三位一体と成し、神竜の雷の鉄槌をもって全てを粉砕せよ。
 喰らえ――雷槍鉄槌(トリニティ・トールハンマー)ッ!!」
 裂帛の気合が宇宙に木霊し、恐るべき剛槍が全力投擲された。
 それはダークマターを切り裂く雷光と化して、クエーサービーストを貫通!
 バチバチバチバチ……!! 稲妻が宇宙を切り裂き、雷鳴がエーテルを揺るがす!
「……まるも、そんな大声を出すのだな」
 消耗したカガリも、思わず目を点にして言った。
 マレークは相変わらずの無表情だが、心なしかすっきりした表情で応える。
「当然だ――ロボが必殺技を使うときは、叫ぶものだからな」
 その瞳は、まるで少年のように曇りなき眼であったという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

山梨・玄信
【狐屋】
ふむ、ゴッド魔神の初陣じゃな(話し合いの末この名前に落ち着いた)。予定通りに動くと良いが…。

【POWを使用】
ふむ、月凪殿らしいな。ならば、わしも手伝うとするか。
ハッキングや見切り、聞き耳ならわしも出来るしな。
また、不具合を情報収集や第六感で見つける事も出来ると思うぞ。

メインになった時は見切りと第六感で敵の攻撃を躱しつつ一気に敵に接近。
拳を敵にくっ付けてから、灰燼拳発動じゃ!

「ここから異音がするぞい。頼むぞ、月凪殿」
「零殿は無茶をするのう。まあ、嫌いな戦法ではないが」
「灰燼拳の有効射程がサイズに合わせて伸びるか分からんからのう…確実にやるのじゃ!」

アドリブ歓迎じゃ!


月凪・ハルマ
【狐屋】

さぁて、いよいよ出陣だ
二人とも、準備はOK?

……あ、名前そうなったんだ

◆SPD

しかし思念で思い通りに操れるとはいえ、この巨大さだと
イメージ通り完璧に動かすってのは難しそうだよな

よし、サブパイロットとして乗り込んでメインのサポートするか

メインパイロットの要望を聞いて、【ハッキング】でその都度
【早業】でロボのプログラムを調整したり、装備を切り替えたり、
【見切り】で敵の動きを読んで伝えたり。やれる事は色々ある筈だ

勿論、必要ならメインもやるよ
その場合は今までの感覚から自分に合うようにプログラムを変更
敵の攻撃は【武器受け】【第六感】で回避して、【破天剛砕錨】で
敵を打ち抜く

※アドリブ・連携歓迎


高柳・零
【狐屋】
WIZ
ゴッド魔神発進!…………言ってみたかったんですよ、この台詞!

「サブパイばかりでも問題ですので、(身内で)最初のメインは自分が行きます!」

盾の代わりに装甲の硬い部分で(オーラ防御も増幅出来るならオーラも被せ)攻撃を受けながら前進、ある程度接近したら、ジェットを最大噴射して加速!
今度は無敵城塞を発動します。

「総員、衝撃に備えてください!とんでもなく揺れますので!」
無敵城塞を発動したままクエーサービーストに突撃します!
質量と速度は最大の力ですから!
「防御技も使い方次第では攻撃技にもなるんですよ。まあ、以前に月凪さんが考えたんですが。…後はお願いします」

アドリブ歓迎です!



●戰え! ゴッド魔神、ゴー!
 雷の剛槍を受けたマインドミナBVAは、肉体の修復にかかった。
 殺戮兵器を変形させることで亀裂を埋め、傷を癒そうとしているのだ。
「まずいな、再生能力まであるのか? こりゃ畳み掛けないとジリ貧になりそうだ」
「つまり、次はわしらの出番ということじゃな! 最初のメインパイロットはどうする?」
 月凪・ハルマの言葉に山梨・玄信が続き、三人を見やった。
「なら自分がいきますよ! サブパイロットはふたりにおまかせします!」
 高柳・零は元気よく手を上げて言った。ハルマと玄信はこくりと頷く。
「サポートはこっちで受け持つよ。そこからローテーションで入れ替えだ」
「うむ、ならゴッド魔神の初陣といこうではないか!」
 意気揚々と腕組する玄信……を、ハルマはきょとんとした顔で見返した。
「え? それ、もしかして惑星ロボの名前なの?」
「そうじゃ。あのあと、零殿と話しおうての」
「はい! かっこいいですよね!?」
「ゴッドと魔"神"で被ってるような気がするんだけど……ま、いいか」
 きゃっきゃとはしゃぐ少年たちに苦笑しつつ、ハルマは気を引き締めた。
「よし、それじゃコクピットへ向かおう。俺たちの出番だ!」
「はい!」
「おう!」
 三人が声を揃えた瞬間、彼らの体をサイキックエナジーの力場が包み込んだ。
 励起するように惑星ロボの外装が輝く。テレポートが始まる……!

 視界が金色に染まった直後、一瞬の浮遊感が三人を襲った。
 そして目を開けば、そこはまさしく惑星ロボのコクピット内である。
 三人一組で行動する彼らの操縦を反映して、内部は変形していた。
 最初のメインパイロットは零。彼の目の前のウィンドウが発光する。
 そして表示されたのは……再生を終えつつあるマインドミナBVAの超巨体だ!
「さあ行きますよ、ゴッド魔神発進!!」
 緊迫した状況ではあるが、零の心は割とウキウキしていた。
 なにせ巨大ロボのパイロットだ。男の子としてワクワクしないはずはない。
 密かに言ってみたかった台詞を口にしつつ、操縦桿を握り、思い切り押し込んだ。
 言うまでもなく、惑星ロボを制御するのはあくまでパイロットの思念波だ。
 そこかしこに用意されたレバーやスイッチ類はすべて補助端末でしかなく、
 あえて雑な言い方をすれば「気分を盛り上げるアクセサリ」というのに近い。
 つまり、ロボットアニメめいて操縦桿を押し込むことで、
「このロボットは自由自在に動かせる」という無意識を刺激するのである。
 ゴゴン……と、惑星ロボが片腕を振り上げ、マインドミナBVAに急接近した。
 もう片方の腕で盾めいて頭部をガード、そして振り上げた拳を……KRAAASH!!
「うおっ!? すごい衝撃だな……!」
「零殿は無茶をするのう。まあ、嫌いな戦法ではないが!」
 ハルマ、玄信はそれぞれサブパイロットとして、全力で白兵戦をサポートした。
 同サイズ同士の質量のぶつかり合いは、当然惑星ロボにもダメージをもたらす。
 ハルマがプログラム調整などによってその影響を最小限に抑え、
 細かい駆動を玄信が整える。零は攻撃のみに集中すればいいというわけだ。
「まだまだここからですよ! 総員、衝撃に備えてください!」
 ゴウ、ゴウ! と、惑星ロボ背部にあるバーニアが燃焼剤を噴射した。
 零は無敵城塞を前面展開し惑星ロボを防護、敵殺戮形態変形前にさらに突撃!
 SMAAASH!! 二度、三度と拳を叩きつけ、抉れた破砕部を掴みこじ開ける!
 ゴウオオオオオン……クエーサービーストの全身が鳴動する。
 それはまるで、黄金の外殻を引き裂かれる痛みに星の獣が苦悶しているようだった!
「このまま真っ二つにしてあげますよ!!」
「零殿、前のめりは危険じゃぞ! 敵の攻撃パターンが変化しとる!」
「迎撃はこっちでやる! けど、過信はするなよ!」
 マインドミナBVAは外殻を高速変形させ、無数の砲台とドリルを作り出した。
 そしてゼロ距離射撃! KRA-TOOOOM……惑星ロボの外装が爆炎に包まれる!
 ハルマは防御プログラムを切り替えて同じように外装を変形させる。
 まるで針山めいて砲台を生やした惑星ロボが対空砲火を放ち弾丸を相殺!
 爆発エネルギーがふたつの巨体を吹き飛ばす。距離が開いた!
「ぜえ、ぜえ……! そろそろ自分の出番は終わりですね……!」
「なら次はわしじゃ。サポート頼むぞ、月凪殿!」
 玄信がメインパイロットを引き受け、バーニアを噴射し敵の砲撃を回避。
 側面を取ると再び急速接近し、赤熱した拳による一撃を裂け目に叩き込んだ!
「これがゴッド魔神灰燼拳じゃ! 確実にやってくれるわい!」
 KRAAAAAAAAAAAASH!! 超接近距離から放たれた拳がクエーサービースト体内に炸裂!
 めきめきと音を立てて拳がねじ込まれる。二度と離れないように玄信はクエーサービーストの巨体を両手で掴み固定した!
「これなら避けようもあるまい……仕上げは任せたぞ、月凪殿!」
「オーケー、ゼロ距離アンカーの威力を味わわせてやるよ!」
 即座に交代したハルマは生成した【破天剛砕錨】を傷口に突き刺した!
 そして体内で炸裂――拳でこじ開けられた破砕部でアンカーが展開!
 言うなれば体内で爆弾が爆ぜたようなものだ。クエーサービーストはもんどり打つ!
 感情持たぬ星の獣すら、その猛攻の前には絶叫を上げざるを得なかった……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ニィエン・バハムート
【飛空挺】
ふふふ、正直な話、ロボットの善し悪しなんて分かりませんが仲間2人の反応を見るに中々の出来のようですの。ならば命を預けるに足りますわね!

何か危うい雰囲気を感じるユーノさんはサブパイロットに!無理のない程度に私とアステルさんの支援をお願いしますの!
アステルさんは好きに飛んでくださいな!おケツは私が持ちますの!

…あ、言うまでもなく、そう動かれてますわね。(寂しそうに)

敵に辿り着いたら全身全霊を懸けてUC発動。強化された大地震の力を込めたバハムートロボパンチで星を砕いてみせますの!※【『地』属性攻撃・部位破壊・捨て身の一撃・限界突破】

お二人ともナイスな働きでしたの……生きてます?(疲労困憊)


アステル・オウラノス
【飛空艇】
イーカンジのロボすねー。ジイさんたちは良い仕事してくれたみたいす。
あの労力に報いがあるのかどうか。決まるのはこれから。戦いの結果次第すか。

ははっ。なんだよそれ……アツいじゃん。
そんなのもう、勝つしかない。

こっから先の戦いはオレたちの領分す。トバして行くすよ!

ユーノの光による強化を肌で感じ取り、イケるって確信するす。
ロボだ怪獣だと不慣れな事ばかりだったけど、箒に乗って飛ぶんなら専売特許だ。誰にも負けない。

『雷光反射』で箒型飛行装備を装着したロボを操りゼロ距離まで肉薄。
全部出し尽くすつもりで最速のブチかましを食らわせてやる。

ぷー…もームリ。竜王様、美味しいトコ残したんで、あとよろー。


ユーノ・エスメラルダ
【飛空挺】の三人で
●行動
ニィエンさんとアステルさん攻撃を強化するように、UCの『生まれながらのエメラルドの光』を発動

自身の苦しみは我慢して隠しながら、お二人の潜在能力を引き出すことで、その攻撃の威力を底上げします!

ロボに込められた思いと可能性への【祈り】で思念を注ぎ、ロボの強化につとめます

●祈り
この試作ロボは、このロボの制作に関わった全ての方々の努力と知恵と情熱が産んだ、可能性です
そして海の生き物だったり竜だったりするバハムートさんの可能性も宿しています
そんな、みんなの持つ可能性が力になることを、願います
未来という望み、可能性の竜、希望の象徴…
(某サイコフレームのように緑色に光りながら)



●征け、バハムートロボ!
 グググ……ゴンッ、ドオウッ!!
 相撲めいて手四つ状態で力比べしていた惑星ロボが、大きく吹き飛ばされた。
 まるで内部から爆弾で四散させられかけたかのようなひび割れた星の獣は、
 己の殺戮兵器生成機構を利用して、外傷を治癒しようとしている!
 しかし自己再生はあまりにも追いつかない……猟兵たちの猛攻がためだ。
 吹き飛ばされた惑星ロボは体勢を立て直し、ぎらりとツインアイを輝かせる。
 メインパイロット用のコクピットに座るのは、アステル・オウラノスだ。
「イーカンジのロボすねー、ジイさんたちはいい仕事してくれたみたいっす!
 竜王様、ユーノ、どっちも準備いいっすか? こっからはスピード勝負すよ!」
「もちろんですわ! まあ私、正直ロボの良し悪しとかわかりませんけれど!
 ……ユーノさんも大丈夫ですわよね? 無理をしたらいけませんわよ?」
「……うん、大丈夫です! 心配しないで、ニィエンさん!」
 ニィエン・バハムートの言葉に、ユーノ・エスメラルダは明るく応えた。
 しかし実際のところ、ユーノは無茶をしている。
 心臓が脈拍を刻むたびに全身が痛み、脂汗が背中に吹き出してくる。
 味方を強化する代償はその痛み。そして、命そのものを削るという愚行だ。
 ユーノはまともな死に方をすまい。彼女はそういう生き方が出来ない。
 目の前の敵を、困難を、そして苦しめられる誰かを見過ごせないのだから。
 ……それでもいい。今はただ、仲間たちを少しでも楽に戦わせるために。
 彼らの勇気に報いるために。この生命を賭して力をもたらす……!
『坊主、聞こえるか! いまから例のユニットを射出するぞい!』
 そのとき、アステルの座るコクピットにレインフォース号から通信が入った。
 アステルはにやりと笑い、応える。
「オーケーっす。見せてやるっすよ、オレの華麗な飛行を!」
 後方、レインフォース号……カタパルトから巨大な何かが発進した。
 その姿はまさしく"箒"だ。惑星ロボが乗り込めるサイズの超巨大飛行ユニット!
 それとともに、ユーノのもたらす祈りの力がアステルとニィエンの体を包んだ。
 サブパイロットとしてサポートに回るユーノのユーベルコードでは、
 ロボ全体を強化することは出来ない。せいぜいがふたりを底上げする程度だ。
 しかしそれでいい。このロボットは、搭乗者の思念によって駆動する機械の神。
 戦いの趨勢を決めるのは猟兵自身。つまりは意思と絆が物を言うのだ!

 そしてマインドミナBVAは自己再生を中断し、外殻の殺戮兵器化を急いだ。
 奴は察知したのだ。ユーノの祈り、そのユーベルコードの力を。
 強化がロボ全体に回る前に殺す。星の獣は、本能的に総判断したのである。
 外殻上に生まれた無数のドリルが惑星ロボに狙いを定め、一気に射出された。
 ドウドウドウドウ……! 真空を切り裂き、音速のドリルミサイルが迫る!
「アステルさん、来ますわよ! 避けられますの!?」
「くそっ、飛行装備は間に合わないっすか……それでも!」
 アステルは直感的に操縦桿を握り、思念波によって惑星ロボを制御した。
 やや不器用な動きながら、惑星ロボは無数のドリルミサイルを回避し飛翔。
 飛行ユニットは全速力で戦闘宙域を目指しているものの、いかんせん距離が遠い。
 たった数秒。そのタイムラグがもどかしく感じられるほどの弾幕!
「ああもう、次から次へとエラーが出てて何がなんだかわかりませんわ!
 ユーノさん、そちらで駆動部の計算を……ユーノさん? 聞こえていらして!?」
「あっ、は、はい! だ、大丈夫です……!」
 ニィエンは眉根を寄せた。ユーノの声が、明らかに憔悴していたからだ。
 また彼女は無理をしているのではないか? しかしそれを確かめる暇はない。
 避けそこねたドリルミサイルの衝撃が惑星ロボを揺らす。非常灯が赤く明滅!
 振動がガクガクと少女たちの体を揺さぶり、視界がぐるぐると回転した!
「調子こいてんじゃねーっすよ、ここからはこっちの番っす!」
 アステルはギリギリのところで飛行ユニットをキャッチ、即座にコネクト。
 惑星ロボのツインアイが鈍く輝く。飛行ユニットが黄金光に包まれた!
 ゴシュウ……! と、数倍の量の燃焼剤が吹き出し、惑星ロボの体を引っ張る。
 爆発衝撃の次はすさまじい加速Gだ。ニィエンは目を回す!
「きゃあああああっ!?」
「トバして行くすよ竜王様!」
「も、もうっ、覚悟はしていましたけど勝手な方ですわね本当……!
 まあいいですわ、おケツは私が持ちますの。盛大にかましてくださいまし!」
「言われなくてもっす!!」
 アステルは笑っていた。一転して爽快感が彼の全身を支配していた。
 大気なき宇宙を自在に飛び回る興奮。惑星ロボと一体化したような喜び!
「ロボだ怪獣だ、不慣れなことばっかすけど、悪くないっすねこれも!」
 飛行ユニットと連結した惑星ロボは曲芸的軌道で敵の飽和弾幕を回避。
 大きくカーブしながら、流星じみた軌跡を描いてマインドミナBVAの死角を取る。
 ユーノの光が彼の反射神経と動体視力を強化していた。だがまだ足りぬ。
 マインドミナBVAの攻撃は空間を圧殺する飽和弾幕だ。近づけないのである!
(これじゃ足りない、もっと力を……力を引き出さなきゃ……!)
 ユーノは祈りを深めた。そして己にさらに代償を強いて力を行使する。
 ともすれば意識を失いかねぬほどの猛毒が全身に巡り、口元から血が溢れた。
 惑星ロボ全体の強化は不可能。ならば駆動系に力を集中させるしかない。
 惑星ロボの関節部と背部バーニアが緑色の粒子を放つ。スピードが加速した!
「これは……ユーノさんですの? 無理はいけないとあれほど……!」
「無理なんて、してないですよ……ユーノも、一緒に戦ってるだけ、です!」
「…………っ」
 ニィエンはそれ以上の言葉を飲み込んだ。彼女がそう言うならば、そうなのだ。
 叱責はあとでもできる。いまはこの黄金の獣を一刻も早く倒さねば!
「未来という望み、可能性の竜。希望の象徴……お願い、ユーノの力を、あなたに!」
 レインフォース号の老人たちは、その黄金と緑の輝きに目を奪われた。
 翡翠の軌跡を暗黒の宇宙に刻み、強大なる黄金の機械神が飛翔する!
「ははっ、なんだよそれ――アツいじゃないっすか!!」
 ドウッ!! と、背部バーニアが爆砕しそうなほどに燃焼剤を噴射した。
 一瞬にして音速を越えた惑星ロボは、一条の矢となって巨体に突貫――KRAAAASH!!
 クエーサービーストが対応できぬほどの、超最速のチャージが炸裂した!
「ぷは……っ、あー、もームリ。竜王様、美味しいトコは任せるっす!」
「おまかせですわ! 世界を揺るがす竜王の鉄槌! 受けてみなさいな!!」
 メインパイロットがアステルからニィエンに切り替わる。
 飛行ユニットは過負荷によって爆砕し、破砕しながら脱落していった。
 ニィエンはクエーサービーストの巨体を片腕で鷲掴みにし、もう片腕を振り上げる。
 まるで押さえつけた死刑囚の首を叩き落とす、死刑執行人めいた構図だ。
 マインドミナBVAは外装表面に無数のドリルを生成し、スパイクめいて防御。
 拳を貫くことでロボを引き剥がそうとする。だがニィエンは逃さない!
「ユーノさんが繋いでくれたこの力! そしてアステルさんの届かせたこの距離!
 いまさら離しはしませんわ――さあ! 応えなさい、バハムートロボ!!」
 ニィエンの体がエメラルドの輝きに包まれ、ロボのツインアイが同じように輝いた。
 駆動系にとどまっていた光は、いまやその全身を覆い、そして拳へと1
「バハムート・デストラクション・パンチ――星をも砕く一撃ですわぁ!!」
 大地を粉砕する超絶の力を込めた翡翠の鉄拳が、光の如き速度できらめいた。
 ……SMAAAAAAASH!! 質量のぶつかり合いが波動となって暗黒の宇宙を揺るがす!
 拳が、入った。クエーサービーストの全身に夥しい亀裂が走る!
「もう……一、撃ィッ!!」
 ニィエンは意識が飛びそうなほどの疲労に鞭打って、もう片方の拳を振り上げる。
 これ以上仲間を苦しめぬために。
 この世界の人々の未来を切り開くために。
 思いに応えて翡翠の輝きが脈動する……そして!
「てやぁあああああああっ!!」
「ぶちかましてやるっすよ!」
 破滅の双撃が――クエーサービーストの体を貫き、そして破砕せしめる……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

神元・眞白
【SPD/割と自由に】三咲さん(f01585)と一緒に。
ようやく作ったロボットの出番。
小さくできなかったのは残念ですが乗り込むのも1つの経験でしょう。
2人乗りのコックピット……複座式にすればメイン制動を三咲さんにお任せできますね。ユーハブコントロール。
大きな人形って思えば操作方法もなんとなくできそうですし、やってみましょうか。

メインの方は疲れたら交代?最初は動かすだけでも疲れそうですけど…。
それなら1回分ですが疲れるのを肩代わりすればそのまま動かせるんですよね。
疲労の点を少し調整して、こちらに。魅医の力の応用をしましょう。
ロボは勢いと気合でなんとかするもの。三咲さんみたい。……冗談です。


リア・ファル
POW
お任せ

操縦支援
惑星ロボの電脳・ナビゲーション制御

皆の想いを汲むマシンか
キミはボクの親戚みたいなモノかな
一緒に頑張ろう

(ずっと電子の世界から、ロボの制御シスステムを
支援しようと奮闘していた)

【電子幻想の申し子】を使用してOSから火器管制まで、
内部から修正改善していく
(操縦、ハッキング、学習力)

照準修正速度……2sec改善
姿勢制御プログラム……最適化完了
搭乗者との思念リンク……オールグリーン

機能把握まで時間が掛かっちゃったけど、
これで何とかサポート可能かな!

(コンソール越しに映像がサムズアップする)
ボクがこの子をナビゲートする! 全力でやっちゃって!


狭筵・桜人
うわぁ〜……乗りたくない……。
だって乗ったらアレとタイマンさせられるのでしょう?
前回なんて爆発に巻き込まれかけたんですよ。
挙げ句ダウンするのでしょう?
いやぁ〜乗りたくないわ〜……。

あそうだ!私はダウンした猟兵を救護しますから
皆さん存分に戦って来てください!
帰りを待つヒロインみたいな……ね?
皆さんの無事を祈るやつ。
必要でしょそういうポジション。

それにほら次々とダウンされちゃあ、ねえ?
支援してくださる宇宙艦の方々も人員不足に陥るでしょうし
いやほんとちゃんと看病しますってちゃんとお世話するから散歩も行くし小屋も掃除するから

今ならUDCも無料貸出し中です。
そのままじゃちっちゃい?

乗れ?

いやです。


ミレア・ソリティス
未だ、ろまんというものはよくわかりませんが……
道を拓くためにも
倒しましょう。必ず。

戦闘中交戦データ収集とサポートを行いますが、交代時の隙を突いてきた敵のUCによる攻撃に対し、咄嗟にロボをハッキングしロボとリンクする形で一時的にコントロールを得ます。

やらせはしません……!

敵攻撃を装備盾と防御機構で防ぎ、推進機構により一気に接近しUCを発動。
武器を突き立て、周辺の残骸から生成した「惑星ロボの半分程のサイズの簡易型ミレア」による一斉発射の追撃で吹き飛ばし、距離を離し態勢を整えます

その後簡易型は無理な急造が祟り自壊、
私も無理な干渉とUC使用によりダウンしコントロールを返却します

※アドリブ連携歓迎です


露木・鬼燈
化身機装で更に大きなロボを。
ってのも悪くないんだけどね。
こいつはプロトタイプ。
ここは更なる改良のヒントになりそうなものをね。
分厚い装甲に突出した火力を!
化身鎧装<穿機>
巨大ロボ×パイル…これは間違いなく強い!
防御力場と装甲で攻撃を受け止め、ブースター全開で肉迫。
そして必殺のパイルをぶち込む。
うんうん、これぞ巨大ロボットの戦いだよね。
いずれはUCに依存しない通常兵装として組み込んでほしいね。
そのためにはまずは機動データの収集かな。
攻撃を受け止めての直進が一番だと思うけどね。
今日はサブブースターで回避機動を、ね。
パイルは…我慢できないデータよりロマンだよね!
一撃必殺、全力で撃ち込むっぽい!


三咲・織愛
眞白さん(f00949)と

いよいよ惑星ロボ始動の時ですね!
掌サイズに出来なかったのは残念でしたけれど、
大きい分パワーを籠めて戦いましょう!

せっかくですから眞白さんと二人で乗り込みます
ありますよね、上半身と下半身でパイロットは別々みたいな!
そんなイメージです!
あ、私がメインで動いていいのでしょうか
任せてもらったからにはしっかりとこなしましょう!(ふんす)

という訳で【ものすごく痛いこと】惑星サイズー!!
ぐるんぐるんに振り回してから、
近くの惑星(生命反応のなさそうな)にぶん投げます!

すっきり爽快……さすが惑星サイズですね!
でもちょっと、かなり、疲れちゃいました……
後は眞白さんにおまかせしますー……!



●黄金外殻、滅殺
 めちゃくちゃな音をあげて、マインドミナBVAの巨体が四散した。
 これで、終わったのか?
 後方から戦いを見守っていたスペースシップの人々は誰もがそう思った。
 だが前線に立つ猟兵は違った。彼らはまだ危機を感じていたのだ。
「さっすがクエーサービースト、バラバラになっても生きてるなんてすごいのです!」
 露木・鬼燈がそう言ったのと、マインドミナBVAが変形したのはほぼ同時だった。
 たしかに彼奴は膨大なダメージを受け、その巨体を四散させた。
 だがそれは、マインドミナBVAにとっても覚悟の上のダメージだったのだ。
 奴は自らの体を分裂させることで、複数の殺戮兵器へと"変形"したのである!
「試作型のテスト相手としてはちょうどいいっぽい! 次は僕が行くよ!」
 メインパイロットなった鬼燈は、即座にユーベルコードを起動。
 彼に同化したナノメタルが惑星ロボの巨躯全体に伝搬し、装甲を変異させる。
 黄金外殻がメキメキと音を立て、重戦車の如き超重装甲へと変貌した。
 これぞ化身鎧装<穿機>! 右腕には雄々しきパイルバンカーが装着されている!
 鬼燈自身の生命力をF1燃料めいて消費しながら駆動する呪われた装備である!
「巨大ロボ×パイル……これは、間違いなくつよーい!!」
『……そういうものなのでしょうか……?』
 なにやら男子らしいワクワクしたテンションで断言した鬼燈の言葉に、
 サポートとして乗り込んでいたミレア・ソリティスは首を傾げた。
 ウォーマシンである彼女には、巨大ロボットのロマンはピンと来ないらしい。
 ロボット本人にロボットのロマンがわからないというのも妙な話だが。
『細かい話はあとあと。いまは、全力で戦えるようにボクらが支援しなきゃね!』
 同じくサポートパイロットとして乗り込んだ……と、いうよりは、
 電子制御系のシステムと半ば同化したリア・ファルが言った。
 彼女はバーチャルキャラクター兼超弩級戦艦AIとしての演算能力を駆使し、
 ハードウェアではなくソフトウェアの面から惑星ロボの微調整を行っていたのだ。
 メインパイロットだけがユーベルコードを拡大させられるとは言え、
 小惑星サイズの惑星ロボを、ただひとりの意識だけで制御しきることは不可能だ。
 こと、黄金外殻を変形させて無数の殺戮兵器を生み出すマインドミナBVAが相手では、
 どれだけ優れた猟兵であれ、防御の死角が生まれてしまうのである。
 だからこそリアやミレアのような、優れたオペレータやサブパイロットが必要だ。
「みんなの思いを託したマシン……つまりキミはボクの親戚みたいなモノかな。
 さあ、一緒に頑張ろう惑星ロボ。それに、乗り込んだ猟兵のみんなもね!」
『……"ろまん"というものはよくわかりませんが、その気持ちは私も同じです』
 リアとミレアは意志を統一し、白兵戦を仕掛ける鬼燈のサポートに入った。
 装甲の厚さに物を言わせての強行突破……鬼燈の戦略判断は正しいと言える。
 分裂したマインドミナBVAは、全周囲からの同時攻撃で仕掛けてきたからだ。
 もしも機動力で回避しようとしていたならば、今頃蜂の巣だっただろう。
 ダメージによるシステムエラーや駆動系の微調整をふたりが担当し、
 鬼燈は本体と思われる外殻片に一気に攻め込む。完璧な役割分担である!
「ブースター全開……っ!」
 ガガ、ガ、ガガガガガガガガガッ!!
 黄金外殻に生じた無数の砲口が、機械神の進行を止めようと弾幕を張る。
 しかしびくともしない。だからこその化身鎧装なのだ。
 一気に間合いを詰め、鬼燈はパイルバンカーを……勢いよく、突き刺す!
 KRAAAAAASH……!! 炸裂火薬が杭を叩き込み、外殻片を爆砕せしめた!
「とりあえず、これでひとつ……! あとは、ふたつっ!!」
 鬼燈はサブブースターを噴射させ、残る欠片に向き直ろうとした。
 しかし。鍛え上げた忍者である彼ですら、意識が飛びそうなほどの疲労感。
 くらりと視界が回転する。脂汗を拭い、鬼燈は舌打ちした。
「これが惑星ロボのデメリット? うーん、ここは要改良なのです。
 あとは次の人たちに任せるしかないかな……それじゃ選手交代っぽい!」
『了解、それじゃあメインパイロットをパージ! 回収は……』
『ああ、それならこちらで請け負いますからご心配なく』
 回線に割り込んできたのはナイチンゲール号……に、乗り込む猟兵からだった。
 ARウィンドウに表示されたピンク頭の少年が、にこやかな笑みで手をふる。
「はい、こちら最後方からお届けしてまーす。医療班担当の私でーす。
 ……あ、サボってるとかじゃないですからね! 現にいま大変ですよこっち!」
 この緊迫した状況にそぐわぬ、のほほんとした笑顔の狭筵・桜人である。
 どうやら彼は、わざと後方で医療班として活動しているらしかった。
 ふたりがなにかいうより先に、桜人は手をパタパタ振って弁明を始める。
『私たちはまだ何も言っていないのですが……?』
「いやあほら、後ろにいるとサボってると勘違いする方いそうですし?
 いやホント、私あんなのとタイマンとか絶対イヤですからねえ。ははは」
『ほとんどサボってるって自白してるようなものだけど、まあいいかな!
 とにかくメインパイロット、射出するよ! 交代要員は要請済みだから!』
 バシュウ! と惑星ロボのうなじ付近から鬼燈がベイルアウトする。
 メインパイロットと思しき光条が近づく――だがその時である!
 生存していたふたつの残骸が、一気に接近し攻撃を仕掛けてきたのだ!
「げっ!? このタイミングで攻撃……!?」
『……やらせは、しませんっ!』
 リアがどうすべきか判断に迷ったその一瞬、ミレアが動いていた。
 彼女はパイロット交代中のシステムにハッキングをかけ、一時的にロボとリンク。
 文字通り"一心同体"となることで、この奇襲に対応しようとしたのだ!
『!? 無茶だよ、ダメージのフィードバックが……!』
「あとのことはリア様に、おまかせいたします……!」
 ミレアはリアの静止をあえて無視し、バーニアを噴射させた。
 そしてユーベルコードによって生み出したインパクトランスを、
 目の前に現れたマインドミナBVAの残骸に突き刺す。周囲の残骸が変形!
 それらは惑星ロボの半分ほどの大きさに生成されたミレアの簡易型分体である。
 インパクトランスで身動き出来ぬマインドミナBVAへの分体による一斉射撃!
 360度から浴びせられた飽和砲火により……二体目の残骸が爆発四散する!
「…………っ」
 しかしその代償は大きい。
 まず、無理矢理に製造した簡易型ミレアは役目を終えた途端に爆砕。
 反撃のダメージがそのままフィードバックされたミレアも重傷状態だ。
 リアはミレアも同様にベイルアウトさせ、同時に新たなパイロットを受け入れた。
 残る残骸はひとつ。敵はこの隙を逃さない……!

 そして複座型に変形したコクピットに降り立ったのは、ふたりの女性。
 すなわち神元・眞白と三咲・織愛であった。
「ようやく作ったロボットの出番。乗り込むのも一つの経験ですね」
「しかも二人乗りだなんてロマンの塊ですね! 燃えてきましたよ!」
 横並びに搭乗したふたりは顔を見合わせ、こくりと頷きあった。
 事態は逼迫している。いつものようにジョークを飛ばしている暇はない。
 マインドミナBVAの残骸が無数のドリルを生み出し、ミサイルめいて射出した!
「三咲さん、ユーハブコントロール」
「あ、私がメインですね? わかりました! いきますよー!!」
 織愛は重装甲でドリルミサイルを受け止め、一部をキャッチした。
 ギャリギャリと外殻を削るドリルを、なんと握り飯めいて押し固める!
 さながらデブリによって無理やり作られた鋼鉄の球体だ。なんたる握力!
 そして織愛はぐるぐると腕を振り……巨大鉄球を思い切り投擲した!
 KRAAAAAAAAASH!! 球体と激突したマインドミナBVA残骸がビリヤードめいて吹き飛ぶ!
「いかせませんよっ!!」
 織愛はバーニアを噴射し、バランスを崩した敵残骸を素早くキャッチ。
 惑星ロボ全体を使って回転を続ける。回転、回転、回転……!
『え、まさかこのまま振り回すつもり!?』
 制御を支援していたリアは思わず目をむいた。
「いいえ! これを――こーやって、投げますっ!!」
 SMAAAAAAAAAAAAAAAAASH!!
 全力で投擲されたマインドミナBVA残骸は戦闘宙域をランダムに吹っ飛ぶ!
 戦闘の余波で生まれたデブリは、いわばショットガンの散弾も同然だ。
 そこに猛スピードで激突すればどうなるか? 当然、大ダメージである!
「さあ第二回……といきたいところですけど、かなり疲れちゃいました……!」
「それじゃあ、アイハブコントロール。私が行きますね」
 眞白は背後に現れた戦術人形「魅医」の力を借り、意志力をブースト。
 織愛の疲労を回復しつつ、ボロボロのマインドミナBVA残骸に接近する。
「ロボは勢いと気合でなんとかするもの……これだと、三咲さんみたい」
「えっ、それどういう意味ですか!?」
「冗談です。……これで、終わり」
 惑星ロボは拳を握りしめ……すべてのエネルギーを叩きつけた!
 マインドミナBVA残骸の全体にヒビが走り……そして、豪快に砕け散る!
 クエーサービーストは、ついに彼らの奮闘によって撃破されたのだ……!

「……って、これで穏やかに終わるわけ無いですよねえ」
 その頃、最後方に鎮座したナイチンゲール号では。
 ベイルアウトしたメインパイロットたちの救護にあたっていた桜人が、
 大騒ぎのブリッジからの通信を聞き、ため息をついた。
 一回きりの戦闘で、華々しく勝利を飾って終わり、とはいかないらしい。
「うーん、こっちもこっちで大忙しですね。まあいいでしょう。
 まさかこのまま連戦続きになって、私も乗り込むとかありえませんし?
 ……いや、フラグとかじゃなくて本当ありえないはずですからね! ね!!」
 誰に言っているかはわからないが、まだまだ章は続くし戦闘もある。
 そう、二体目のマインドミナBVAが、この宙域に接近しつつあったのだ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン
★レグルス
※お任せです

ジャック。
……あとでキミに、聞かせたい話がある。
でも、今じゃない。

"派手に、決めてくれ"、相棒。
……かっけーとこ、見せたいんだよ。
(なんとかなる、ってところを
大丈夫だ、ってことを
あの、優しい"ろくでなし"に)

(ロボに副操縦士として共に乗り込む
一度対峙したことのあるものだ
あの戦いを、己は忘れていない
手口は全て見切っている)
お前は、咲かせない。
なにも――させない!!
(「捎花」
星を包む炎の花は
あの船からも、見えるだろうか)

ジャック。
今だ。


ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと

クッッッッッソこンな愉快そうな案件に乗り遅れるたァ暫く仕事いらねェなんて思ってサボろォとしてたのが完全に裏目りやがった!!(💢累積1)
クソ ロボ加工
浪漫が……畜生……(冷めたポテトみたいになる妖精)

は?浪漫がわからねェ??
(ウッッソだろお前みたいな面。💢累積2)
あっオイ待てテメェフェルト何勝手に先に……


は???????
(巨大サイズと化した同族)
(🍗は自分よりデカい存在が基本的に嫌いである)

(同族が馬鹿デカいという最大級の解釈違い+)

小 ッッッ
(チビ扱い。💢累積∞)

――さいだと誰がだ阿呆が ア゛ァ゛!!!?!
糞邪魔だ素材風情が死ねやァ!!!!!(超々巨大ガリバーで八つ当たり)


ジャガーノート・ジャック
★レグルス/アドリブ歓迎

(ザザッ)
ロク。
本機は――いや。僕は、……

……そうだな。話すのは終わってからだ。

派手に、カッコよくか。
嗚呼。それなら本機の得意とする所だ。任せておけ。

(――派手な技も、自分が格好良いと思う技も。理想を創造するこの鎧装には数多備えているが)

(何故か今回は、直感で。此れを選ぶべきだと思った(学習力×戦闘知識×第六感)。)
(ザザッ)
――"Gepard"召喚。ロボ右腕部に接続。

必要なのは一瞬の判断だ。それが勝敗を分ける。
任せたぞロク。

――流石だ相棒。
(炎がさいた後、砲火を放つ。――何故だろう。不思議と、前にも同じような事をしたような気がした。)


フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と
ちょっと遅れただけでそんなに凹まなくても……
やっぱり、浪漫なんてぜんぜんわからないわ。

ともかく今は目の前の敵を……確かこれ、使ったUCが小惑星サイズになるのよね?
それじゃあ……
(UC発動。出てきたのは動いて喋る小惑星サイズと化した写身の絡繰人形)

「あら、やっぱりこうなるのね?じゃあわたしは休むから、あとはよろしくね?ワタシ」

『えっ?ちょっと待って!?何よこれ!もう……あら?ケン様がこんなに小さく……

ええっ!?そ、そんな、見たままを呟いただけなのに……怒鳴らなくてもいいじゃない馬鹿じゃないの!?💢

今取り込み中なの邪魔だから後にしなさいよっ!!』(さっき作った剣でズバッと八つ当たり)



●星の獣、襲来
「……ウッソだろ、おい」
 最後方で戦いを見守っていたグレイテスト号艦長、"色男"ジャックは呻いた。
 ブリッジに大写しになったのは、無傷のマインドミナBVAの姿である。
 ……そう、二体目だ。本来複数存在しないはずのクエーサービースト。
 一体目のマインドミナBVAが撃破された直後に、二体目が突如現れたのである。
 なぜだ? こんな偶然はあり得なかった。よもや惑星ロボを脅威と感じてのことか?
 あるいは同族同士でなんらかの通信を行い、危機に駆けつけたのか。
 わからない。クエーサービーストに関しては謎ばかりが積み重なっている。
 たしかなのは、このままでは惑星ロボは無防備だということである!
「へッ! ンだよ、おかわりが来やがったのか? クソ野郎にしちゃ上出来だ!
 おかげで鬱憤晴らしが出来んだからなァ、こっちはブチギレてんだ!!!!!」
 そんな惑星ロボに新たに乗り込んだのは、ふたりのフェアリーだった。
 その片割れ、ケンタッキー・マクドナルドは怒気満面といった様子である。
 一体なぜか? 同行するフェルト・フィルファーデンもうんざりした様子だが……。
「ちょっとロボットの開発に遅れただけでそんな怒らなくても……」
「あぁ!? だってロボだぜェ、ロマンの塊だろうが!!」
「……そのロマンとか、わたしにはぜんぜんわからないわ」
「あァ!?!?!?!?!」
 ビキッ。ケンタッキーは額に青筋を浮かべてブチギレた。
 あまりの剣幕に、フェルトもちょっとびくっと身をすくませたほどである。
「ウッッッソだろお前……テメェともあろうものが!!」
「ああもう、そんなのどうでもいいわ! とにかく迎撃しなきゃでしょう!?」
 言い争いになりそうな気配を察したフェルトは、一方的に制御権を奪った。
 然り。ぎゃあぎゃあと口喧嘩をしているような時間は今はないのだ。
 無傷のマインドミナBVAが、無数の殺戮兵器を生じさせて近づいてきている!
「あっ、テメェフェルト何勝手――に!?」
 その時、ケンタッキーは予想外のモノを目の当たりにして目を剥いた。
 それは一体……!?

「……大きな、フェルトだ」
 その様子を遠くから見ていたロク・ザイオンは、半ば呆然とした面持ちで言った。
 然り。惑星ロボから現れたのは、小惑星サイズに拡大されたからくり人形。
 ……つまり、フェルトと同じ姿をした、写し身のドッペルゲンガーだったのだ。
 惑星ロボは、メインパイロットが使用したユーベルコードを拡大する。
 もうひとりのフェルトを生み出す"Copy-shadow doll"を使えば、
 まあ当然こうなるのである。しかしロクがショックを受けていたのば別の点だ。
「小さくてかわいらしい、フェルトが……」
 しょんぼり。小さくて可愛いもの好き(オブラートに包んだ表現)のロクは、
 どうやらそっちにショックを受けたらしい。因果なものである。
 フェアリーが人間サイズになるとか解釈違いです。彼女はそういうタイプなのだ。
 ともあれ召喚された巨大フェルト人形は、己の体をまじまじと見下ろすと、
『えっ? なにこれ、一体何が起きているの、"わたし"!?』
「あら、やっぱりこうなるのね……わたしは休むから、あとはよろしくね"ワタシ"」
『ちょっと待って!? せめて説明を……ああもう!』
 といった具合に、フェルト同士で言い争いしてなし崩しに戦闘に入っていた。
 そこでロクははっと我に返り、ジャガーノート・ジャックを見上げる。
「違う、いまはそんな場合じゃなかった」
《――そうだ、ロク。我々は後続のパイロットとして準備を》
「ちがう」
 ロクはきっぱりと言って、ジャガーノートの顔を見上げている。
《――……さきほどのことなら、ロク。正直、本機も……いや》
 言いよどむような間。
《――……"僕"も、少し……》
「その話は、あとでする」
 ロクが言いたいことは、そうではなかったらしい。
「そうじゃないんだ。ジャック。いまは、"派手に決めてくれ"。……相棒」
《――派手に? それはつまり、どういう……》
「……かっけーとこ、見せたいんだよ。"ジャック"に」
 それは相棒ではなく……グレイテスト号を率いる、あの"ろくでなし"のことだ。
 ジャガーノートは知らない。いや、正しく言えば忘れてしまった。
 彼のことも、彼との出会いも、彼とともに駆け抜けた戦いのことも。
 何もかも。言わずもがな、この宇宙へ来たあのナイチンゲール号のことも。
 違和感だけがある。その上で、ロクは相棒に言ったのだ。
「おれたちで、あいつを倒そう。だから、派手に、カッコよくだ」
《――派手に、カッコよく、か。ああ、わかった、いいだろう》
 ジャガーノートは頷き、惑星ロボめがけて一直線に飛んでいく。
 ユーベルコードの使用は一度が限度。おそらくすぐに今のパイロットは限界が来る。
 すぐに交代し、己らの為すべきことを為すために。彼は翔ぶ。
「でも、大丈夫かな。フェルトだけじゃ……」
《――心配ない。どうやら、もうひとり頼れるパイロットがいるようだからな》
 ジャガーノートの言葉通り、惑星ロボは猛然と反撃を開始した。

 ……惑星ロボ、メインパイロット用コクピット内!
「俺様よりデカくなってんじゃ、ねェエエエエエエエエエエエッッ!!」
 こっちもこっちで、超巨大フェルト(人形)に解釈違いを起こしていた。
 といっても彼の場合、そもそも自分より大きな存在が嫌いというのがある。
 それが同族である。しかも、よりにもよってあのフェルト(の人形)なのだ。
『あら? ケン様がなんだかちっちゃく……』
「テメェよりにもよっていいやがったなその台詞をォオオオオッ!!」
 ぐおんっ!! と、超巨大フェルト人形の隣に超巨大"ガリバー"が出現する。
 これで三対一。マインドミナBVAは殺戮兵器を外装上に生成するが……KRAAASH!!
『ああもう、こっちもこっちで取り込む中なのに邪魔だわ! あとになさい!!』
「誰が小ッッッさくてそのくせプライドは高くて傲慢な豆だゴラァアアアア!!」
『そこまでは言ってないでしょ!? 戦闘中なんだから怒鳴らなくてもいいじゃない!』
「うっるっせェエエエエエエエ!!」
 ぎゃあぎゃあと言い争いながらマインドミナBVAを滅多打ちにするふたり。
 あれ? 言い争うような時間はなかった……はず、じゃなかったっけ……?
「ッッハァ、クソ、しかも存外に限界はえーじゃねェか……!!」
 しかしただでさえ巨大複製されたガリバーをさらに感情の力で増幅したことで、
 ケンタッキーはあっという間に疲労困憊の状態である。
 三対一の優勢はあっという間に崩れ、殺戮兵器がロボを削り取り始めた。
「クソが、テメェでなんとか出来ねェのかフェルト!!」
『そもそも"ワタシ"は"わたし"がいないと……これでも頑張ってるのよ!』
「チッ、次にバトンタッチしねェとかよ――あ?」
 その時ちょうど、ジェット噴射でジャガーノートとロクがエントリーしてきた。
 豹めいた鋼の騎士と、野卑なフェアリーの視線が交錯する。
《――あとは任された》
「……あァ?」
 ケンタッキーが眉根を寄せた理由は、おそらく誰にもわからないだろう。
 ともあれメインパイロットは交代し、ジャガーノートがコクピットに立つ。
 ロクはサブパイロットとして、その他のすべてを請け負う形だ。
「おれが、先にやる。――あいつには、何もさせない。咲かせない……ッ!!」
 ごおうっ!! と、宇宙を焦がすほどの炎の花が生まれた。
 "捎花"。その炎の花は、殺戮兵器を、いやさ黄金外殻そのものを包み込む。
 "ろくでなし"と呼ばれた男は、遠く最後方からたしかにその炎を見た。
「ありゃ、嬢ちゃんのユーベルコードか……!?」
 グレイテスト号の主がそう呟いたのは、彼らには聞こえなかっただろう。
 だがロクはわかっていた。たしかにこの輝きは、彼に届いていたはずだと。
「……ッチ! フェルトォ、そいつ抑えろ! 逃がすなッ!!」
『わ、わかったわよ……! もとからそのつもりだもの!」
 ケンタッキーは舌打ちし、スパークする惑星ロボの駆動系を制御する。
 そしてフェルト人形は燃え移るのも厭わずに、マインドミナBVAを拘束!
《――見事だ、相棒。あとは、本機が――》
 そのとき。ジャガーノートは、半ば無意識に"それ"を選んでいた。
 ジャガーノートの外装に装備された兵器は、枚挙にいとまがない。
 生み出そうと思えばなんでも模倣出来る。だが今は"これがいい"。
 これで"あるべき"だ。なぜだか、そう思えた。

 浮遊戦車型兵装"ゲパルト"。
 右腕に接続された超巨大大砲の砲口が、マインドミナBVAを捉えた。
 炎は燃え上がる。逃げようともがく星の獣をフェルト人形が抑え込む。
 過負荷でショートする惑星ロボはケンタッキーが抑えた。好機、到来!
「やれ、相棒!!」
《――これが、貴様を葬る一撃だ……!!》
 砲塔が無理矢理に巨体にねじ込まれる。そして――KBAAAAAAAM!!
 超砲撃がマインドミナBVAの巨体の内部で炸裂! 全身に亀裂が走る!
 その輝きは、獅子星のように気高く煌めいて宇宙にこだました。
 誰もが見ていた。未来を切り開くような、大いなるその光を。
 いつかのときと同じように。絶望を打ち砕く、雄々しき光を。
「……ははっ。やっぱやるじゃねえか、兄弟」
 遠くグレイテスト号のブリッジで、"ろくでなし"は嬉しそうに呟いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

リチャード・チェイス
【スペース悪巧み】
今日はなんだかすごい自爆装置を作るとかでスペースシップワールドに来たのだが、
作るのに夢中になっていたヤツの背後から怪しい角を持って近づき一撃を加えてしまった。
目が覚めないうちに丸めて弾薬庫に詰め込んでおくのである。
この何気ない行為が惑星を揺るがす一撃になると鹿は語るのであった。

確かに世界には助けを求めるものが無数に存在するだろう。
しかして、世界の視点になることで死角はできていないだろうか?
つまり、救いはまず身近なところから始まるとマザーテレサも言っているのであるな。
(宇宙に放流されるリクロウを見送る)


曾場八野・熊五郎
【スペース悪巧み】
「おほー、見えてきたでごわす」
「よっしゃ、戦の前に腹ごしらえでごわ」

(餌生成ボタンポチー)
(無重力で解放空間に生まれる餌)
(天の川のように帯を引きながら宇宙にぶち撒けられる餌)
(´・ω・)
(・ω・`)
(´・ω・`)

「ギャイーーーーン!?やめてーとめてー!」
窓を掻きながら『大声』で悲鳴を上げる犬

「なんかないかなんかないか!あ、トリニク!なんとかしてーなんとかしてー!」
『野生の勘』で宇宙に漂うリクロウを発見
【ケダマックス】で巨大化させて餌の流出を止めようとする

「どこ行くでごわすか!?玉遊びは後にするでごわぁぁぁ!?」

呼び方
ジョン…モジャ公
鹿…鹿
ティアー…お面
リクロウ…トリニク


ティアー・ロード
【スペース悪巧み】

サブパイロットとしてマインに搭乗するよ
ジョンは運動神経良くないし、今からやる事にサポートが必要だろう

そう、皆の思いを込めた必殺の一撃には
本当のヒーローたる私のサポートがね!
「そう、これぞお嬢様の必殺技!」
「スピニングドリルサーブ!」

曾場八野くんによって巨大化した詩蒲くんを弾丸とした
必殺のサーブを仕掛けるよ!

UCは【刻印「勇猛精進」】を使用
ジョンの能力を6倍にして負担を軽減を狙おう
使用後は気絶するが……
どうせ疲労で倒れる、問題あるまい

「他人の心は抱え込むものではないよ
ましてや一人で背負うものでもない……私たちはチームなのだろう?

って起きたら伝えといてくれるかい、ウィスパーくん」


ジョン・ブラウン
【スペース悪巧み】

《”警告”》<許容限界を遥かに超えています>

「いつもの事だろう?」

《NO》<試作機には”私”が搭載されていません><再考を提案します>

「悪いが却下だ、もう僕の番なんでね。前任者が疲れ切ってる」

<……了解>

「行くぞクェーサービースト、人々が救いを求める声のある限り、僕は決して――<クゥー…ン…ギャァア…

「ちょっと待って、なんか凄い聞き慣れた声が」

『救いはまず身近なところから始まるとマザーテレサも言っているのであるな』

「ねぇウィスパー、回線詰まってない?…うわっ、あいつらの悲鳴や嘆き聞いても全然負担ないや、不思議」

「んで目の前の惑星サイズのバレーボールはそういう事なんだね…?」


詩蒲・リクロウ
【チーム悪巧み】
今日はなんだかすごいロボットを作るとかでスペースシップワールドに来たはずなんですが、作るのに夢中になっていた僕は背後から近づく怪しい角を持った人影に気付けず、

目が覚めたらボール化させられて弾薬庫に砲弾として詰められていました。

「……あれ?なんかこんなの前にもありませんでした?」

まあ大人しく撃たれる訳もなく、さっさと脱出して……
あれ、ここどうやって出るんでしょう?
というかまたボールから戻れないですし……。

取り敢えず転がって出る道を探しますか。外に出れば誰かしら出会えるでしょう……。(コロコロ)

___

やっと……出口に繋がりそうな扉が……。
これでやっと外に……!

『注意:宙外隔壁です』



●あの迷惑野郎どもがついにウォーミングアップしだしたようです
「…………………はっっ!?!?!?」
 詩蒲・リクロウは突然に目を覚ました。
 そして周りを見る。照明は存在せずどこにいるのかはっきりと見えない。
 しかしこの窮屈さと、猛烈な振動……少なくともまともな場所ではないようだ。
「う、うう……頭が痛い、いったい自分はどうしてこんなところに……」
 激しい頭痛に顔を顰めながら、リクロウは頭をさすろうとした。
 だが、出来ない。代わりに彼の体は、ボヨンボヨンと軽快に跳ねた。
「……はい?」
 ぼよんぼよん。狭苦しいどこかで、リクロウは跳ねる。反射しまくる。
 そこで気付いた。動かない腕。やけに跳ねる体。もしかしてこれは……。
「……ゲェッ!? 僕いつのまにかボール化させられてるー!?」
 そういうことであった。これぞリクロウボゥルである。
 それ自体はいい。だってこれ、リクロウのユーベルコードだし。
 問題は、自分が気絶させられてる間にこんなことになってたってことだ!
「……あれ? なんかこんなの前にもあったような……」
 痛みに顔をしかめながら記憶を紐解こうとする。
 なんだかすごいロケットを作るために夢中になっていたら、
 背後から怪しい角を持った人影が近づいてきて、そして殴られたのだったか。
 怪しい角を持つ、ついでに言えばなぜかスーツ姿の人影……あれは一体!?
「いやどう考えてもリチャードさんじゃないですかこれ!!!!!!」
 ご明察であった。そんなことをするような奴はリチャード・チェイス以外にいない。
 ということはここは、弾薬庫か? また砲弾めいて撃たれるのか、自分!?
『やあリクロウ、ようやく目を覚ましたようであるな』
「ちょうどいいタイミングで、悪の組織の博士っぽいアナウンスが!?」
 ワンワンワン、と狭い弾薬庫内に鳴り響く、リチャードのアナウンス。
『うむ、「また」なのだ、すまぬな。だがその状況を理解した時、
 言いようのない心の高揚感がなんとかかんとか……つまりそういうことである』
「うろ覚えで台詞埋めようとするのやめてくださいよ! ていうかですね!!
 さすがに僕も二回も同じ手に引っかかるわけないじゃないですか! 脱出しますよ!」
 どやぁ。リクロウは姿見えぬ悪の博士(鹿)に対して宣言した。
 しかしリクロウ少年、脱出方法はわからないしそもそもボールから戻れない。
 それでも転がって出ればなんとかなるだろう、という安直な考えである。
 そんな考えでいるから、こうやって悪用されるのではないだろうか……?
「外に出れば誰かしら出会えるはずですからね! そうすれば助けてもらえますよ!」
 意気揚々と言うリクロウだったが、そもそも考えてみてほしい。
 ジョン・ブラウンなりティアー・ロードなり、はたまた曾場八野・熊五郎なり、
 彼の思いついたメンバーが彼を見つけたとて、助けてくれるだろうかと。
 リクロウ少年はピュアである。何度してやられてもへこたれない真面目な青年だ。
 まあ逆に言えば、何度も同じ手口にひっかかるアホとも言えるのだが。
 彼は想定しなかったのだ。奴らが悪ノリするという当然の可能性を!
「おっと、こちらが出口のようですね。さあ脱出しましょう!」
『ゴッドスピード、リクロウ。である』
「えっ」
 ピピーッ。特殊宇宙服がアラートを鳴らした。
《この先、宙外隔壁となっています》
「えっ」
《惑星ロボによる自動ユーベルコード拡大機能を実行します》
「えっ」
《衝撃に備えてください》
「えっ」
 転がるだけのボールに備えることが出来るわけがなかった。
 そんなわけで、いつものようにリクロウ少年はしてやられたのである。

 ……一方、惑星ロボメインパイロット用コクピット内!
「ギャーーーーーン!! やめてー!! とめてー!!」
 がりがりぎいぎい。ガラス窓をひっかきながらぎゃあぎゃあ騒ぐ畜生。
 いや熊五郎だ。彼の目には涙、そして視線の先には宇宙の暗黒と星の海……。
 いや違う。天の川かなんかに見えたけど全部犬の餌じゃねえかあれ!
「我輩の! 我輩の大事な大事な餌が!! あーっ!!」
『曾場八野くんは実にやかましいね! 盛りのついた犬みたいだね!』
「みたいな、っていうか犬だけどね。盛りついてたほうがまだマシかな……」
 はっはっは、と呵々大笑するティアーに対し、ジョンは呆れ返っていた。
 いまは戦闘中である。目の前のウィンドウにはマインドミナBVAの巨体。
 彼らは戦闘しながら、そのさなかに熊五郎がきゃんきゃん騒いでいたのだ。
 なんでかって? 戦いの前の腹ごしらえにあのドッグフード食おうとしたら、
 まあ惑星ロボの中にまで降ってくるわけがなく、ああして飛んでったからだ。
「すごいねウィスパー、あいつらの悲鳴とか嘆き聞いても全然負担ないよ!」
《当然です。そもそもあれは悲鳴でも嘆きでもないかと》
「うんまあ鳴き声だよねどっちかっていうと。……あれ?」
 気を取り直して操縦桿を握ったジョン少年、視界の隅に何かを見つけた。
 それはボールだった。より正確に言うと、ボールにさせられたリクロウであった。
「おお、リクロウよ、なんと情けない。シリアスな戦いに割り込むとは」
「実行犯がよく言うよね!? どう見てもリチャードの仕業じゃん!!」
『むしろあれが彼らなりのシリアスなのかもしれないね』
 チーム悪巧みのメンバーはうろたえない。ついでに言えば同情もしない。
 星の海めいて広がるドッグフードの中を転がるリクロウボール。なんだこの絵面。
「クゥン……はっ!! あ、あれはトリニク!! おいトリニクー!!
 なんとかしてー我輩のドッグフードなんとかしてー! かえしてでごわすー!!」
 そして熊五郎は、バンバンとガラスを叩きながらむちゃくちゃ言い始めた。
「んーぱっ! んーぱっ! ちょっとモジャ公、そこよこすでごわす!!」
「えっ」
 そしてやおらジョンの席を奪い取ると、ユーベルコードを発動したのだ!
「さあトリニクよ! いまこそキョダイケダマックスでごわすーっ!!」
「いや惑星ロボの機能なんてことに使って……う、うわあ」
 ぐおーん。目の前で、リクロウボゥルがすさまじくキョダイにマックスした。
 戦いのど真ん中で膨れ上がったボールにより、マインドミナBVAは吹き飛ばされる!
「よしやったでごわす! これで餌の流出を止め」
『ギャアアアア!! ちょっとなんですかリチャードさんですかこれやめてくだ』
「どこ行くでごわすか!? 玉遊びはあとにするでグワーッ!?』
 熊五郎、吐血! そしてすさまじいダメージにのたうち回った!
『あ、惑星ロボの疲労ってああいうふうに出るんだね?』
「絶対違うと思うけどな僕……まあいいや、気を取り直していこう(三度目)」
 シリアスが大事だ。ジョンは咳払いし、今度こそ操縦桿を握った。
《"警告"。許容限界を遥かに超えています》
「いつものことだろう?」
 ウィスパーはその軽口にも動じずに続けた。
《NO――試作機には"私"が搭載されていません。再考を提案します》
「悪いが却下だ。もう僕の番なんでね。前任者が……ほら、もうあれだし」
「アバーッ!! ゴワワワワワーッ!!」
 のたうち回る熊五郎を視界に入れるとシリアス濃度が一気に急低下した。
《……了解》
 "ウィスパー"と惑星ロボが接続し、システムが連結された。
 流れ込むのは、あらゆる世界に偏在するすべての弱き人々の願いと祈り。
 ジョンは鼻血を一筋垂らし、にやりと笑うと親指でそれを拭った。
「いけるよ。それに、こんな声を聞いて、やる気を出さないわけには……」
「ゴワーッ!! わ、我輩の餌が、ゴワ、ゴワワワワーッ!!」
『ちょっとなんですかこれ自分膨れ上がってるんですがおいちょっとやめてくださいなんかクエーサービーストの攻撃がギャアアアアア!!』
「……聞き慣れた声しかしないけど、まあとにかく負担はないさ!
『救いはまず身近なところから始まる。マザーテレサも言っているのであるな』
「なんかいいこと言ったふうな顔してるけど何もかも台無しだよ!!」
 ぐびり。ジョンのツッコミも意に介さずティータイムを楽しむリチャード。
「はあ……ほんとに大丈夫かなこれ」
『なあに、心配要らないよジョン。それに私からあえて偉そうなことを言うならば』
 一方で、サブパイロットであるティアーは優しい声音で言った。
『他人の心は抱え込むものでも、ましてやひとりで背負うものでもないさ』
「…………」
『私たちはチーム、なのだろう? どんなときでも一緒にいこうじゃないか』
 ジョンは見た。寄り添うように力を貸してくれるティアーを。
 そしてなぜか惑星ロボの内部でティータイムを楽しむ鹿を。
 あと、血反吐を吐きながらのたうち回る犬ころと、でけえボウルを。
「うん、さっぱり決まらないねこれ」
『それもそうだね! けどまあ、それも私たちらしさってことでひとつ』
 はっはっは、といつものように笑い、ティアーは言った。
『さあいこうじゃないか、みんなの思いを込めて必殺の一撃を放とう』
「……ああ、わかったよ。僕らの」
『私たちとこの惑星お嬢様ことマインのスピニングドリルサーブをね!!』
「ちょっとまって何その全然かっこよくない技名!?」
『お嬢様の必殺技だよ! なんてことを言うんだジョン!!』
 ぷりぷり怒るティアー。いまいち怒る地雷ポイントがわからない。
「サーブ、サーブね……うん、まあわかったよオチの付け方」
「まこと、運命と鹿は不思議なものである。――シェイクスピア」
「絶対シェイクスピア言ってないよねそのセリフ! ……まあ、とにかく!」
 惑星ロボがゴオン、と駆動した。そのポーズは……さ、サーブだ!
 そして振り上げられた手がおもいきり降ろされる。……リクロウめがけて!!
「喰らえクエーサービースト! スピニングリクロウドリルサーーーーブ!!」
『えっいや待ってください僕がボールとかそういうギャアアアアアアア!!』
 SMAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAASH!!
 小惑星サイズに拡大したリクロウそのものを叩きつける一撃!
 何もかもが悪ふざけの一撃だが、しかし質量と速度は正義である!
 マインドミナBVAは大きく揺らいだ……こ、こんなトンチキな攻撃で!
「ふっ、それでこそさ、ジョン……あとリクロウは、さようならだね」
 倒れゆくティアーは、一応生きてるリクロウに敬礼をした。
 そのそばでは、相変わらず熊五郎が血反吐を吐いてのたうち回っている。
 なんだこの地獄。張本人の鹿は、ただ優雅にティーを愉しんでいた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
ま、何時も通り戦えば良かろう

搭乗せず戦闘
特に問題ないので

受ける攻撃は『絶理』『無現』で自身の存在を一時的に否定し影響を回避
『天光』で常に戦況を把握
必要魔力は『超克』で“世界の外”から汲み上げる

破界で掃討
対象はマインドミナBVA及びそのユーベルコード
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

『刻真』で高速詠唱を無限加速
『再帰』で多重詠唱を無限循環
生成する星の数ほどの魔弾に『天冥』で因果改変
『解放』で全力の魔力を注いだ魔弾を「着弾した状態で」射出し討滅を図る

防ぐ間が無ければコピーも不能
仮に防げてもユーベルコードは穿たれ消滅し機能すまい

後は継続
そのうち誰かが「でかいの」を入れるだろう

※アドリブ歓迎


セフィリカ・ランブレイ
船外に子機を飛ばす。これは単純に撮影機能オンリー
複数設置したモニタであらゆる角度から惑星ロボの姿を見られる
待機部屋にモニターを設置して、皆に応援してもらおう!
皆が手塩にかけたこれ。活躍を見れば応援の心が湧く!
組み込んだポジティブハート機構が皆の頑張れ!惑星ロボ!
という心に反応して、機体の出力を向上させる!
燃費は悪くなるけどね!!仕方ないね!

『テンション上がりすぎて爆発四散しないわよね?』
相棒の魔剣の声は冷たい
ヤバいテンション来たら機能止まるよ!
アルトリウス君だって見てたでしょ、平気平気!

私は今回、惑星ロボを恰好よく撮るカメラ係や、
各種連絡を取り持つ事に専念しようかな!
皆の頑張りを映像に残す!


ロニ・グィー
【pow】
【ロボに乗らずに戦う】
アドリブ・連携歓迎

おー!すごい!おっきいロボット!
でもちょっと間抜けなお顔だね、不格好だし
しょーがないにゃー…
ボクが手伝ってあげるよ!

滅多に使わない超特大級の球体くんたちを防御の為に前に出してロボットへの攻撃を受け止めさせる
さらにドーンッ!とぶつけてからに同様のサイズの餓鬼球くんたちにがぶがぶと食い付いてもらって動きを封じよう
それーいまだー!やっちゃえー!
アハハハハ!アハハハハハハハハ!!

後はまあ強く当たって流れで!
ドリルボールくんたちにトンネルをゴリゴリ穿ってもらって、彼の心臓でもドーンッ!と殴りにいこうかな?
一発決めたらさっさとと脱出しよっと


国栖ヶ谷・鈴鹿
◎アドリブ&絡みOKです!

【動力炉】
ぼく、みんなのやりたいことを見てみたいんだ。
だから、ぼくはジェネレヰタの力を最大化してみようと思うんだ!

UCで作られた超効率化導線、これを使えば動力炉の効率はクァンタムさ!

それにね。
ぼくは、このロボットがどれだけの可能性を発揮するか見てみたいんだ。
無限の宇宙の果て、その最奥にまで到達できる翼が、ぼくたちに掛かっているのなら、ぼくはみんなの生み出す力を信じてみたいんだ。

さぁ、あのBVAを倒して、いざ進もうじゃないか!

(満ち溢れる力を感じながら、ゆっくりと体を横にして)


ティオレンシア・シーディア
さぁて、いよいよ本番ねぇ。ちゃんと動いてくれないと困るんだけど…そこらへんはぶっつけ本番するしかない、か。
…折角だし、ちょっとノリよくカッコつけましょうか。
――ティオレンシア・シーディア、『スノーフレーク』エンゲージ!

前回はジャマと嫌がらせに徹してたし。憂さ晴らしもかねて、ドカンと一発ブチこんでやりましょうか。
動体○視力と第六感全開にして全速で戦闘機動ブン回しつつ、準備した巨大オブシディアンで○鎧無視攻撃の●射殺を叩き込むわぁ。
刻むルーンはイング・ダエグ・ティール。
「新生」した「黎明」をもたらす「勝利の剣」――今更あなた程度にかかずらってられないの。
大人しく風穴開けられてブッ壊れなさいな。


矢来・夕立
おっと空飛ぶ金鉱。
アレ、前みたいに回収してもらえたりするんでしょうか。

だからですね。オレはこの宇宙の世界平和とか、そういうのはいいんです。
金になるものをカッ剥ぐためにここにいます。
清い思いばかりを燃料にしていては栄養バランスが偏りますよ。
人間の私利私欲とかでも動いてください。人間が作ったものなんだから。

【紙技・冬幸守】。
実は一度やってみたかったんですよね、ものすごいサイズの式紙。
惜しむらくは間近で見られないことです。
敵が敵、乗るものが乗るものですから、式紙を追尾弾みたいにできないでしょうか。
トドメにはならなくとも、消耗や誘い込み、迎撃みたいに使い勝手は良いはずです。

その為の“汎用性”ですしね。


トルメンタ・アンゲルス
マインドミナなら何とか普通に倒せますし、今回はロボの調子を見ましょうか。
ちゃんと動けるよう、露払いしませんとねぇ!

さぁ、行くぞ相棒!
変身!アクセルユニゾン!
『MaximumEngine――Mode:Formula』
攻撃力重視の装甲と変身合体し、征きます!

トップスピードのダッシュで突っ込みます!
第六感で奴の動きの先を見切り、攻撃を迎撃します!
特に、ロボが役立つ前に沈んでは困りますからねぇ。

でも、あれだけの大きさのロボの攻撃を通すとなると、奴の攻撃網に風穴を空けないといけませんかね。
なら、纏めて消し飛ばすまで――!
『Multiple Capture――』

――サドン、ストォォォォム!!

さぁ、行けぇ!


ヌル・リリファ
ん。一発でダウンってわかっててやるのはあまりすきではないけれど。(不測の事態に備えて常に余力を残しておけ、というのが主人から教わった基本だ。)
だけど、必要なら多少のリスクをのみこむことも大事だっていってたから。あとのことはおそれすぎない。がんばる。

ロボの力で巨大化した幻影をうみだす。相手が攻撃力を強化しても、攻撃が幻影のほうにいくよう誘導する。どんなにつよい攻撃もあたらないのなら意味がないから。

相手が攻撃してるときは、防御がうすくなってるからチャンスでもある。巨大な幻影の爆破となんかいっぱいロボについてる武器で攻撃するよ。

……魔力はかなりもっていかれたけど。たまにはこういうのも、わるくないね。



●黄金の獣、堕つ
「おー! すごい、おっきなロボットだねえ!」
 戦場にやや遅れて参着したロニ・グィーは、楽しそうにはしゃいだ。
 それは、この緊迫した戦況にはふさわしからぬ、平和ボケしたような声だ。
 実際のところ、彼にとっては戦いも暇つぶしの遊びのようなもの。
 見た目は華奢な少年のようでも、実際ロニはまごうことなき神なのだから。
「でもちょっと間抜けなお顔かなー、不格好だし。しょうがないにゃー……。
 このボクが手伝ってあげよう! どうやら苦戦してるみたいだしねー!」
 意気揚々と言ったロニの真横で、またひとつ新たな爆炎が生まれた。
 マインドミナBVAが外郭上に形成した、無数の砲台による対空砲火である。
「これは滅多に使わないんだけどにゃー、特別に見せてあげよう!」
 ロニは手を開き、かざした。その掌に、恐るべき光の球体が生まれた。
 まるで風船のように、球体は非現実的な速度で膨れ上がっていく……!

「うわっ、なんだあれ!?」
 さしもの国栖ヶ谷・鈴鹿でも、そこに生まれた異様な光景には目を見張った。
 彼女はいま、惑星ロボの内部にある動力室に位置している。
 そしてARウィンドウ越しに目撃したのは、超・超巨大な"球体"だった。
 ロニが生み出した、"白昼の霊球"と言われる極めて剣呑な霊的物体である。
 惑星ロボの拡大効果を受けていないにも関わらず、それはあまりにも巨大だった。
 太陽めいて煌々と輝く球体からは、さらに牙を持ついくつもの"子"が生まれ、
 それらはマインドミナBVAによる弾幕を受け止めながら、巨体にかじりつく。
 惑星ロボの拡大効果がないため、それらは決定打には成り得ない。
 しかし、執拗なまでのクエーサービーストの弾幕が、物理的に阻まれたのだ!
「よーし……ぼくも、ぼくの仕事をしなきゃね」
 鈴鹿はたすき掛けで気合を入れると、巨大動力炉に向き直った。
 彼女のやるべきことは、メインパイロットとして戦うことではない。
 ジイニアスとしての智慧と技術力を使い、この惑星ロボをさらに強化すること。
「……このロボットは、みんなの思いと祈りを背負った、この世界の希望だ。
 惑星ロボ。キミがどこまでやれるのか、どこまでぼくらについてきてくれるのか。
 ぼくは見てみたい。キミという翼が、無限の宇宙のどこまで翔べるのかを!!」
 鈴鹿は目を輝かせて言い、レンチを手に稼働中の動力炉に挑んだ。
 一手間違えばジェネレーターは爆発し、彼女も惑星ロボも微塵に消えるだろう。
 しかし、だからこそいい。ひりつくスリルが集中力を強化してくれる。
 額に汗しながら、鈴鹿はただ目の前の機械をよりよくすることだけに集中した!
「キミの力を、みんなの生み出す力を、ぼくに見せて……惑星ロボ!」
 ジェネレーターが光を放つ。それはまるで、流星のような輝きだった。

 一方、メインパイロット用のコクピットにて。
 操縦桿を握るヌル・リリファは、急激なエネルギーの増大を感知した。
 誰かが、いままさにこのロボットをカスタマイズし、強くしてくれている。
 人間で言うところの"愛"を感じる、とてもあたたかな波動だった。
「……これなら、いける。かな」
 反撃のタイミングを伺っていたヌルは、即座にレバーを思い切り押し込んだ。
 惑星ロボが駆動する……その姿は、まるで残影を引くかのように二重にブレる。
 錯視ではない。ヌルのユーベルコード、"虚水鏡"による効果だ。
 自らと同じ姿の幻影を生み出すこのユーベルコードは、惑星ロボの拡大により、
 惑星ロボそのものと同じ姿を持つ幻影を、その巨体に重なり合わせていた。
 これにより、敵の攻撃は惑星ロボ本体そのものを決して傷つけることなく、
 一種のバリアのようにして巨体を包み込み、そして攻撃力も増大させていたのだ。
 ドウ――! と、急激なバーニア噴射により惑星ロボが一気に加速した。
 ただし、背後へ。その場に残るのは、抜け殻めいた幻影体のみ!
 そして後方へブーストした本体とは真逆に、幻影体は前へと加速する。
 この幻影体が持つもう一つの力――それは、自身を媒介とした強力な爆発効果!
「水面にうつろうつきのかがみ――宇宙でも、それはいろあせないよ」
 幻影体は、餓球を吹き飛ばしたマインドミナBVAにしがみつき……KA-BOOOM!!
 自らの体を爆弾に変えて炸裂し、黄金の巨体を爆炎で飲み込んだのである!
 クエーサービーストの巨体から、無数の外殻がデブリめいて剥離していく。
 あれは、この惑星ロボをさらなる完成体へと近づける材料となってくれるだろう。
 しかしヌルの制御端末は、近づくさらなる不運を未来予知めいて感じていた。
 ここで倒れるにはまだ早い――そうわかっていても、体の力が抜けていく。
 人形である彼女を駆動させる魔力の大半が、今の一撃で持っていかれたのだ。
(一発でダウンってわかっててやるの、あまりすきではない、な……)
 けれども不思議と、ヌルはどこか晴れやかな気持ちを感じてもいた。
 ロボットのロマンとやらはわからない。なにせ自分自身が駆動機械なのだから。
 そもそも人間の情動に疎い殺戮機械では、ロマンなどわかろうはずもなかった。
 ただ、それでも――どこか晴れやかで、誇らしい気持ちが湧いてくる。
「……あとは、まかせる、ね」
 誰に言うともなくヌルは呟いて、コクピットから崩れ落ちた。

 床に倒れかけたヌルの体を受け止めたのは、サングラスをかけた凛々しい女性だ。
「派手にやりましたねえ。けどいいです、戦いの狼煙としては最高じゃないですか。
 それじゃ、あとはこちらが受け持ちましょう――二番手は、俺が行きますよ」
 サングラスの女性……トルメンタ・アンゲルスはニヒルに言うと、
 思念兵器『マインド』のコクピットに座る。精神がシステムと連結する違和感。
 サイボーグボディがニューロンレベルで惑星ロボと同調する。
 いまやこの小惑星規模の巨体が、拡張されたトルメンタの五体だった。
「さあ、行くぞ相棒! 変身――アクセル・ユニゾンッ!!」
 そしてトルメンタの体が鋼の装甲で覆われ、惑星ロボもまた同様に"変身"する。
 爆炎の中から現れた無数のドリル――これを高速機動で回避する惑星ロボ!
 その身は、コクピットで制御するトルメンタと同じ、蒼の戦士となっていた!
《MaximumEngine――Mode:Formula》
「こっちには時間がありませんからねえ、トップスピードでいかせてもらうッ!!」
 ドウッ!! と、強烈なバーニア噴射とともに惑星ロボの巨体が消えた。
 それほどの巨体をも、音速をはるかに超えた速度で駆動させる移動能力。
 これこそがまさにトルメンタの唯一の、そして誰にも負けない武器なのだ。
 一瞬にしてマインドミナBVAの背後をとったトルメンタは、鋭角的カーブで接近。
 緑色の粒子を背部バーニアから噴射しながら、四肢を大きく広げた!
《Multile Capture》
「サドン、ストォオオオオオムッッ!!」
 カッ!! と、惑星ロボの全身から放たれる無数のレーザー光条!
 光は黄金外殻に360度生成された殺戮兵器と装甲を貫き、ドリル攻撃を迎撃!
 さらに光纏う弾丸と化した惑星ロボが、回転蹴りを巨体に中心に叩き込む!
 KRAAAAAAAASH……両者はビリヤードのボールめいて吹き飛んだ。重い!
「これで、敵の弾幕は払えたでしょう……ッ」
 さらに追撃を仕掛けようとしたトルメンタだが、強烈な違和感に気圧された。
 全身が鉛のように重くなり、鋭敏化された感覚に追いつかない。
 これが、惑星ロボによる"弊害"――戦闘継続も難しい疲労か。
 サイボーグとなって忘れて久しい倦怠感が、重い鎖めいて体を縛った。
「バトンタッチまで早くするつもりはなかったんですが、ね……ッ!」
 トルメンタは惑星ロボに同乗した次のメインパイロットに権限を委ねつつ、
 素早くシステムを書き換えてサブパイロット権限を取得、駆動系を制御した。
 隣では、せり出てきたコクピットに立ち上がったヌルが座っている。
「大丈夫ですか? 休んでいても構いませんよ」
「……ううん。こういうのも、わたしは得意だから」
 ヌルは額の宝石状端末と惑星ロボのシステムをシンクロさせた。
 彼女自身が外付けの演算装置となることで、惑星ロボの負担を軽減するのだ。
 メインパイロットとして戦闘行動を行えなくとも、この程度は出来る。
 彼女の兵器としての誇りが、ここで倒れることをよしとしなかった。
「……いいでしょう、ならばここからは裏方として働くとしましょうか!」
 トルメンタは装甲の下でにやりと笑い、膨大なデータストリームに没入する。
 敵は健在。マインドミナBVAはさらなる変形を行いつつある……!

 同じ頃、惑星ロボ躯体内にあるコクピットルーム。
 そこに腰掛けていたのは、ティオレンシア・シーディアであった。
「あーあ、こりゃまたすごい有様ねえ……」
 彼女を辟易とさせていたのは、周囲に浮かぶ無数のエラーメッセージ。
 連戦と無理がたたり、惑星ロボはあちこちのシステムがショートしていた。
 彼女は電脳魔術士でもメカニックでもないが、これがピンチなのはわかる。
 言うなれば、壊れかけの機械を無理やり火の車めいて動かしているようなもの。
 すぐにでも戦闘をやめ、一刻も早く修復すべき状況だった。
 だが、敵は逃してくれない。逃げるつもりも、どうやら誰にもないようだった。
「ならせっかくだし、ちょっとノリよくカッコつけましょうか」
 ティオレンシアはいつになくくすりと笑い、レバーを握った。
「ティオレンシア・シーディア、『スノーフレーク』エンゲージ!!」
 ゴオウ――ッ!!
 そのコールに応えるように惑星ロボは燃焼剤を噴射し、一気に加速した。
 サドンストームによって敵の弾幕が途絶え、外装の殺戮兵器が散らされた今が好機。
 一瞬で白兵距離に詰め寄ると、巨大リボルバー銃を亀裂じみた傷口にねじ込む。
 このためにティオレンシアが設計・建造した、巨大"オブシディアン"だ。
「あたしの前に立ったんだもの――逃げられるわけ、ないでしょお?」
 ――BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
 超速の六連射! ルーンを刻まれた弾丸が敵巨体の内部に叩き込まれた!
 新生・黎明・勝利の剣――それらを意味するルーンは体内で光り輝き、炸裂!
 KRA-TOOOM!! マインドミナBVAの巨体のあちこちから魔力光が溢れ出る!
 強烈な一撃だ。だが敵は……変形し、惑星ロボに絡みついた!?
「へえ、これを待ってたってぇのかしらぁ……? 甘いわねぇ!」
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
 ティオレンシアは、オブシディアンのオーバーヒートを厭わず連射連射連射!
 コクピットを物理的に破砕しようとする、黄金の触手じみた体の一部を吹き飛ばし、
 無理矢理に巨体を振り払うと、その駆動部にさらに弾丸を叩き込んだ。
 トリガを引くたび尋常ならざる過負荷が彼女の全身を襲う。視界が赤く染まった。
 だが指先は離さない。弾丸を思念から生成し、打ち込む。ひたすらに打ち込む!
 マインドミナBVAは、死にもの狂いで黄金の触手を伸ばし惑星ロボを飲み込もうとする。
 ともすればそれは、怪物じみた大蛸を討伐しようとする神話の英雄じみた、
 まさしく宇宙的な規模の質量のぶつかり合いであった……!

 ところで、そんな惑星ロボの周囲には、無数の"子機"が浮かんでいる。
 それは、待機用の部屋にこっそり残っていたセフィリカ・ランブレイが、
 惑星ロボの勇姿を人々に余さず届けるために用意したカメラドローンだ。
 実際、戦場の最後方で戦いを見守るスペースシップ各艦には、
 セフィリカが撮影したこの白熱の映像が、リアルタイムで届けられていた。
「ははっ、すげえや! あんなデカブツがほんとに動いちまうなんてな!」
 ナイチンゲール号のブリッジでは、若きメカニック・レヴァン少年が快哉をあげた。
「当然じゃあ! わしらが手伝い、あいつらが動かしてるんじゃからな!」
「しかしスリルがあるのう! こりゃ心臓が止まっちまいそうじゃわい!」
「いけ、やれ! そこじゃ!!」
 工作艦レインフォース号では、老人技師たちが年甲斐もなく盛り上がる。
 誰もが肩を組み、拳を握り、手に汗して猟兵たちを応援していた。
「……クエーサービーストなんてやっちまえ! お前さんたちならやれるぜ!」
 同じようにサーカス艦グレイテスト号でも、艦長兼座長のジャックが笑う。
 彼らは信じているのだ。この世界を救った英雄たちのその力を。
 そしてその想いが、祈りが、惑星ロボにさらなる力をもたらす!
「うん、ポジティブハート機構絶好調! 出力まだまだ増大中!」
 そして待機用の部屋では、セフィリカが莞爾と笑い頷いていた。
 戦いは流れを掴んだほうが勝つ。つまりは、ノリのいいほうが勝つものだ。
 勝利を信じる人々の想いを、勝利を目指す猟兵たちの執念。
 それが、ボロボロの惑星ロボにさらなる力を与え、無理矢理に突き動かす。
『本当に大丈夫なのかしら? これ、燃費が悪いどころじゃないでしょう?』
「そこはロマンだよ! ……って言いたいところだけど」
 魔剣のツッコミに言いつつ、セフィリカは別のメーターを睨んだ。
 とっくに悲鳴を上げているジェネレーターの出力は、まだ安定している。
 おそらく誰かが――彼女は知る由もないが、それは鈴鹿だ――いまも、
 直接ジェネレータールームに残り、房総寸前の動力炉を調整しているのだ。
「みんな、みんな頑張ってる。だから負けるな、惑星ロボ!!」
 セフィリカもまた手を握りしめ、黄金の機械神に声援を送った。
 いまや外から見れば、不格好なロボットは黄金の輝きを放っている……。
「……人の想いを背負って動く巨大ロボット、か」
 同じ頃、惑星ロボ機体外。
 戦場宙域に生身で参戦したアルトリウス・セレスタイトは言った。
 彼の生み出した"原理"の力は無数の魔弾となって降り注ぎ、
 触手形態に変形して惑星ロボを飲み込もうとする星の獣を圧倒していた。
「俺はいつもどおり戦うだけだが――」
 アルトリウスは目を細めた。
「……どうやらお前に、勝ち目はないようだな。星の獣よ」
 同時に生まれた無数の弾丸が、更に黄金の獣を打ちのめす!
 そこへ追い打ちめいて噛み付くのは、ロニが生み出した無数の餓球!
「アハハハハ!! いいねえ、やっぱ巨大ロボットってのはこうでなくちゃ!
 ボクももう少し、神様らしいところを見せておこうか、なあっ!!」
 魔弾とドリルと餓球とレーザーと弾丸が飛び交う危険な宙域にロニは飛び込み、
 亀裂じみた傷口から敵体内に侵入すると、コアと思しき場所を素手で打ちのめした。
 KRAAAAAAAAAAASH!! 人の身では到底為し得ぬ一撃が巨体を揺るがす!
「そーれ、とどめだ! やっちゃえー!!」
 マインドミナBVAの巨体のあちこちが爆発を起こす……敵は弱体化している!
「これで……出力、200%!! さあ、いけ、惑星ロボ!!」
 ジェネレータールームでは、鈴鹿がついに最後のパーツを組み込み終えた。
 動力炉は太陽めいて光り輝き、爆発寸前のエネルギーを循環させる。
「こんなこともあろうかと――ってね」
 見事ジェネレーターの最大化を遂げた鈴鹿は、その場に膝を突いた。
 あと一撃。最後のとどめを、誰かが務めてくれるはずだと信じて。

 ……ダウンしたティオレンシアに代わったのは、意外な男だった。
 その男は、巨大ロボのロマンも理解しないし、そもそも熱血でもない。
 彼らの高揚にはまるで付き合わず、いつものように無表情であった。
「勝利とか世界平和とか、正直オレはどうでもいいんですが」
 眼鏡の位置を直しつつ、矢来・夕立はいつもどおりの声音で言った。
 祈りも、思いも、彼にはない。ただシビアな仕事としての義務感がある。
 しかし、だからこそ。この一手を進めるには彼が最適だった。
 ひたむきな想いでも、命を賭すほどの熱血でもなく、
 淡々と、クールに、敵に"とどめの一撃"をもたらす漆黒の殺意が。
「清い思いばかりを燃料にしていては、栄養バランスが偏りますよ。
 オレの生命力ぐらいあげますから、私利私欲とかも味わってください」
 夕立は操縦桿を握り、誰にともなく――いや、惑星ロボに言った。
 それはシビアでシニカルな忍らしからぬ、センチメントな行為だった。
 意思があるかもわからない無機物に語りかけるなど、ナンセンスの極みだ。
 ……どうやら自分でも思っている以上に、充てられてはいるらしい。
「終わらせます」
 夕立の冷たい殺意に呼応し、惑星ロボは掌を広げた。
 黄金の輝きは黒く染まり、それらは蝙蝠めいて変化し矢のように降り注ぐ。
 "紙技・冬幸守"。
「間近で見れないのは少し惜しいですね……まあ、いいでしょう」
 惑星ロボが――夕立が片手を振り上げる。コウモリたちは敵を囲んだ。
 それはまさしく処刑儀式めいて。逃げ場もなく、抜かりもなく。
「カネのために死んでもらいましょう。――どうぞ、お覚悟を」
 死刑執行の腕が振り下ろされた。漆黒のコウモリが……一気に飛びかかる!
 それはまさしく、巨大なる小惑星を貫く無数の黒き矢であった。
 マインドミナBVAは防ぐことも避けることも出来ず、無数の矢に貫かれる。
 しかしなおも黄金の獣はその体を変形させ、惑星ロボを飲み込もうとした。
 夕立はすでに動いていた。振り下ろした手を、抜き手めいて大きく弓引く。
「獣の分際でしぶといですね」
 惑星ロボが動いた――弓引かれた手刀が、深く深く突き刺さる。
 限界寸前のボディを循環するエネルギーのすべてをその指先に込めて。
 黄金の殺戮刺突が、巨大なる星の獣の中心を貫き……向こう側へと貫通!
 一拍遅れて、マインドミナBVAは内部爆発を起こし……四散! 誘爆!
 強壮なるクエーサービーストが、今ここにその命を断たれたのだ……!
「……とどめまでやるとか、本当にらしくないですね、今日のオレは」
 強烈な疲労感に包まれながら、夕立は己の掌を見た。
 冷たく乾いた心に、なにか言いようの知れない気持ちが水のように零れ落ちる。
 形なく、意味もないはずの"それ"を掴むように、掌を握りしめた。
 ……伝搬した熱は、冷たき忍びの心のなかにも、たしかに熾火をもたらしていたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『クエーサービースト・ヴァキアスEAT』

POW   :    EATグラトニウム
【周囲に蠢く存在を喰らいたいという暴食】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    EATマテリライズ
【外殻を物質を破壊する超振動モード】に変形し、自身の【喰らった栄養分の消化】を代償に、自身の【外殻の防御力・スピード・反射速度】を強化する。
WIZ   :    EATベルゼバブル
【あらゆる生物・物質を消化する分解液の霧】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠メイスン・ドットハックです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 マインドミナBVA、堕つ。
 死闘は終わり、ついにクエーサービーストは破壊された。

 ……おお、しかし見よ!
 くろぐろとした宇宙の深奥から来たるもの、それは未確認の星の獣!
「なんだ、あれは!?」
「……ふ、不明です! あれは銀河帝国の遺失データにも存在しません!」
 ナイチンゲール号艦橋。オペレータは悲鳴じみて叫んだ。
「新手のクエーサービースト!? しかも、こんなときに……!!」
 眼なき蛇の如きくろぐろとした巨体には、裂け目じみた口が大きく広がっていた。
 牙だらけの大顎が開かれる――それが示すところは、ひとつ。
 捕食。まったき殺戮の意志を示す行為だった。

 "ヴァキアスEAT"。
 その特徴から名を得たクエーサービーストは、あまりにも巨大である。
 マインドミナBVAを遥かに超えるほどの……惑星ロボをしてすらなお巨大。
 無論、その戦闘能力は、あの殺戮黄金獣をはるかに越えている。
 一方で惑星ロボは、もはやあちこちがショートしボロボロの有様だった。
 システムは絶えずエラーを吐き、戦闘を経た猟兵たちは疲弊している。
 勝ち目がない。修理など間に合うわけはなく、逃走などもってのほかである。
 しかし、誰かが言った。
「……やるしかない」
 また誰かが言った。
「勝てばいいのさ」
 駆動しているのが不思議な惑星ロボの双眸が、太陽めいて光り輝いた。
 焼け付いた動力炉が再動し、火花を散らしながら不格好な巨体が構えをとる。
 ファイティングポーズである――戦おうとしている。猟兵たちは戦うつもりだ!
「無茶だ!」
 若き船長パトリックが言った。
「無茶だろうが、やるしかねえよ!!」
 グレイテスト号の艦長、ジャックが言った。
「こうなったら全艦突撃だ、ありったけの兵装であいつらを支援するしかねえ!」
「面白くなってきおったわい! わしらも命を賭けるとするかのお!!」
 老人技師たちは楽しげに言って、レインフォース号を全力前進させた。
 クエーサービーストが大口を開く。それはすべての獲物を飲み込んで余りある。
 惑星ロボは破損寸前。いつ停止してもおかしくない状況だ。
 まさしく絶体絶命。はたして猟兵たちは、この巨大な敵を倒すことが出来るのか?
 ――征け、惑星ロボ。敵はどれほど巨大で、強大だとしても。
 その拳で獣を砕け。明日を拓くために!

●三章の概要
 おおよそやることは二章と同じです。
 ただし惑星ロボはもうボロボロでいつ壊れてもおかしくありません。
 全壊寸前の巨大ロボで決死の一撃……ロマンですね!!
 そんな感じのシチュエーションで考えて頂けると燃えると思います!

●プレイング受付期間
 2020/06/20 23:59前後まで。
月凪・ハルマ
【狐屋】

……まったく、こうもピンチが重なるか
何処ぞのロボアニメの演出じゃあるまいし……!

……二人とも、まだいけるか?

◆SPD

この際だ。いっその事、試験も兼ねて無茶してみるか

何をするのかと言われれば『真の姿を解放』
猟兵の能力を強化したらどこまでロボが反映できるか、検証しよう
データは送るんで(【情報収集】【ハッキング】)支援艦は
記録よろしく

敵の動きを【見切り】、【早業】で【操縦】
更に【武器受け】で少しでもロボのダメージを抑えつつ戦闘
(【継戦能力】)

隙を見て【潜刃・禍ッ牙】を【投擲】して敵のUCを封じる
姿を隠しきれなくてもアレだけデカい的だ、外しようが無い

UC発動後は他の面子に任せてサポートに回るよ


高柳・零
【狐屋】

WIZ
特攻なんて無茶はさせません!
このゴッド魔神で決着をつけます!

「ちょっと休みましたし、行けますよ!というか、ここで動かないのでは聖騎士の名が泣きます!」
無茶をするなら、自分は操縦席の衝撃緩和にオーラを張ります。
「思い切りやってください!」

月凪さんに続いて操縦席に座り、戦います。
ボロボロで機体が危ないなら短期決戦を仕掛けます。
見切りで敵の攻撃を掻い潜り、ETAベルゼバブルを使って来たらUCを発動して受け止めます!
「この為にモニターを付けたんですよ!」

速攻でモニターに敵の姿を映し、分解液をぶつけてやります。
「何でも分解するなら、あなた自身も分解出来るんですよ!」

アドリブ歓迎です。


山梨・玄信
【狐屋】
やれやれ。一難さってまた一難か。
酷使して申し訳ないが、もう一踏ん張り頼むぞ、ゴッド魔神

【SPDを使用】
では、わしが最後じゃな。それなら、出番が来るまではサポートに徹するぞ。

2人共結構無茶をしたのう。なら…わしも無茶させてもらうぞい。
第六感と見切りで攻撃を躱しつつ、UCを発動して機動力を上げるのじゃ。

敵がUCを発動してきたら、こちらは破損した不要部分や装甲をパージ、更に加速するのじゃ。
今まで観察して見つけた敵の弱点を狙い、集中して徹底的に切りつけてやるぞい(鎧無視攻撃+2回攻撃)

「無論、まだ行けるぞ。鍛錬しておるからの」
「スピード勝負なら負けんぞ!」

アドリブ歓迎じゃ。



●接敵
「……まったく、こうもピンチが重なるか」
 月凪・ハルマは、目の前に広がる黒蛇めいた巨躯を睨み毒づいた。
 ヴァキアスEAT。
 それがあの未確認のクエーサービーストに与えられた名称だ。
 悪意をたたえた牙まみれの口は、明らかな食欲と殺意に燃えている。
 彼奴が大口を広げれば、惑星ロボですら数口で飲み込んでしまえるだろう。
「どこぞのロボアニメの演出じゃあるまいし……!」
「けど、燃えてきましたよ! 特攻なんて無茶はさせませんしね!」
「そういうわけじゃ。酷使して申し訳ないが、もうひと踏ん張り頼むぞ、ゴッド魔神!」
 高柳・零と山梨・玄信はサブパイロット席で言った。
 ハルマはARウィンドウ越しに彼らの顔を一瞥する。
「……ふたりとも、まだいけるか?」
「「もちろんです(じゃ)!!」」
 ふたりの力強い言葉に、ハルマはこくりと頷いた。
「なら、すこし無茶をするぜ――特攻とはまた違うけどな!」
 ハルマは思い切り操縦桿を押し込んだ。惑星ロボが全力で加速する!

 ――AAAAARRRRRGH……!!

 ヴァキアスEATは、宇宙のエーテルを震わせる恐るべき咆哮をあげた。
 それは戦意高揚と敵対の意思表明。すなわち、猟兵たちへの!
 ヴァキアスEATは大きく口を開け、先ほどの戦闘で散逸した黄金外殻を食らう。
 そのたびに巨体は不気味に蠕動を……いや違う、超高速で振動しているのだ!
 触れるだけであらゆる物質を破壊する超振動モード、これが奴の武器か!
「支援艦! データは送る、計測は頼むぜ!」
 そう叫んだハルマの髪はみるみるうちに伸び、そして灰色へと染まる。
 少年らしい体格はがっちりとした成人男性のものへと急成長していた。
 これこそがハルマの真の姿。鋭い眼光が映像越しにヴァキアスEATを睨む!
「どこまで惑星ロボに反映できるか……テストさせてもらうぞ」
 ヴァキアスEATは噛み砕いた"食べ残し"を散弾めいて撒き散らす。
 惑星ロボは意外な機敏さでこれを回避。明らかに運動性能が向上している。
 真の姿の作用か? はたまた、窮地において黄金外殻が応えたか。
 急激な加速Gは、零が展開した魔力フィールドによって相殺されていた。
「おもいきりやってください、月凪さん! 倒れても自分たちが続きます!」
「頼もしいセリフだな……それじゃ、行くよ!」
 ハルマは……否、惑星ロボはジグザグめいた軌道を描きながら急接近。
 反射的に噛み砕こうとしたヴァキアスEATに口蓋に、手裏剣を投擲した!
 小惑星サイズの爆発手裏剣は体内で炸裂し……ヴァキアスEATの超振動が停止!
「もらった……!」
 追加生成した巨大トンファーによる一撃が、ヴァキアスEATの腹部を打ちのめした。
 二撃、三撃! くるくると回転しながらのコンボが巨体を吹き飛ばす!

「それじゃあ、次は自分の番ですね……いきますよ、ゴッド魔神!」
「悪い、頼むよ……俺も、できるだけサポートする」
「気にするでない月凪殿、まだわしもおるからのう!」
 ガション、と音を立ててコクピットが入れ替わる。次は零の番だ。
 零は接近した機会を失わぬよう、敵の体表を素早く蹴立てて頭上へ。
 そして脳天に打ち下ろしの一撃を――と、その時、玄信が叫んだ!
「高柳殿、敵の様子がおかしいぞい!」
「!!」
 その声に応じ、零はあえて致命的攻撃のチャンスをふいにして跳躍した。
 そしてその判断は正しかった。ヴァキアスEATの全身から吹き出す謎めいた霧!
 周囲に散らばっていたデブリが、霧を浴びて一瞬で霧散していく……!
「全身から消化性の霧を吐き出すだなんて、汚いクエーサービーストですね!」
「奴もこちらがうかつに近づくタイミングを待っておったようじゃな……!」
「来るぞ、ふたりとも! 衝撃に備えろ!!」
 煙幕めいて充満した霧を鋭角的に貫きながら、ヴァキアスEATが迫る。
 なんたる俊敏さ。黄金外殻を消化したことで身体能力をブーストしたのか。
 巨体が矢のようにまっすぐ迫る。この角度では避けようがない――!
「ふっ、甘いですねクエーサービースト! こんなこともあろうかと!」
 その時である。
 惑星ロボ頭部に設置されたテレビ画面が、零と同じ表情を映し出した。
 その映像はヴァキアスEATそのものに切り替わり、画面内から写し身が飛び出す!
『!?』
 どうやらヴァキアスEATも、この"反撃"は予想していなかったらしい。
 飛び出した写し身と本体は真正面からかちあい――KRAAAAAASH!!
「なんでも分解できるなら、あなた自身も分解できるんですよ!」
 衝撃によって破砕した写し身の体液は、あの消化性の毒霧だったのだ!
 ヴァキアスEATは、他ならぬ己自身の消化液を浴びて悶絶する!
「さあわしの出番じゃ! 切り刻んでやるわい!」
 さらにパイロットが切り替わる。玄信はあえて破損した装甲をパージ。
 惑星ロボは流星のようなトップスピードに到達し、生成されたダガーで敵を切り裂く。
 ひとつ、ふたつ、みっつよっついつつむっつ!
 縦横無尽に駆け巡る惑星ロボの描く軌跡は、まるで正二十面体のようだ!
 刃の結界に囚われたヴァキアスEATは、苦痛と怒りの絶叫に全身を震わせた!
「スピード勝負なら負けんぞ! わしが倒れるまで切り裂いてやるわい!」
 玄信はかんらかんらと笑い、疲労感を意志力でねじ伏せ操縦桿を握り続けた。
 その攻撃は、はるかに巨大なヴァキアスEATをつかの間追い詰めるほどの猛攻。
 未確認クエーサービーストは、天敵が天敵たる所以をその身で味わったのである!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

黒川・闇慈
「新しいクエーサービーストですか……ずいぶんと生物らしくなったものです。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
さて、惑星ロボはボロボロですし、防御も回避も満足にできそうにありませんねえ。ならば、攻撃と防御を兼ねさせていただきましょう。
高速詠唱、属性攻撃、全力魔法、範囲攻撃の技能を活用し風獄刃軍を使用します。
巨大化させた竜巻でヴァキアスが吐き出す分解液の霧を叩き返して差し上げましょう。攻撃は最大の防御というやつです。

「そういえばロボットアニメにもありましたねえ、溶解液を含んだ竜巻を発射する技が……いえ、別段狙ったわけではないのですが。クックック」

【アドリブ歓迎】



●魔術士の智慧
 ヴァキアスEAT。
 彼奴の武器はその大口による捕食だけではない。
 全身から噴霧する消化液の毒霧、さらに捕食による急激なスピード増加。
 それは巨体に見合わぬ機動性を誇る――つまり脅威的だ。
「なるほど、防御と攻撃を兼ねた生態というわけですか。実に面白いですねぇ」
 そんな敵を前にして、黒川・闇慈にはこれっぽっちも不安はなかった。
「ずいぶんと生物らしくなったかと思えば、食欲に支配された個体とは……。
 しかしおかげで、私もひとついいアイデアが浮かびましたよ。クックック」
 パイロット席に座った闇慈は、謎めいて言ってみせる。
 一体何を考えているのか? ヴァキアスEATはすさまじいスピードで接近!
 螺旋回転しながら毒霧を噴霧することで、惑星ロボを粉砕消化するつもりだ!
「――ならばこちらも、防御と攻撃を兼ねさせていただきましょう」
 闇慈の動きに応じるようにして、惑星ロボが大きく両手を広げた。
 見るものが見れば、それはヴァキアスEATの処刑攻撃を受け入れるようにも見える。
 しかし違う。見よ、その巨体の周囲に浮かび上がったいくつもの魔法陣を!!
『!!!』
 ヴァキアスEATはどうやら、本能的にその魔法陣に危険を感じたらしい。
 しかしもう遅い。獲物を粉砕する螺旋回転は彼奴自身にも止められないのだ!
「吹き荒れるは命を逃さぬ致死の風」
 大気なき宇宙に吹き荒れる風――それは真空の刃。見えざる風の太刀。
「一切全てを切り刻め、風獄刃軍(テンペスト・センチネル)……ッ!!」
 惑星ロボの特性によって、小惑星サイズに拡大された風の竜巻が吹き荒れた。
 たとえるならば、それはガソリンスタンドによくある戦車マシーンと同じだ。
 制御する必要はない――なにせ、獲物は向こうから突っ込んでくる!

 ――AAAARRRRRGH!!

 苦悶! 毒霧ごとヴァキアスEATを切り裂く無慈悲なる真空の竜巻!
 彼奴自身が生み出した勢いが、そのままヴァキアスEATを切り裂く刃となる!
「そういえばロボットアニメにもありましたねえ、溶解液を含んだ竜巻を発射する技が。
 ……まあ、別段狙ったわけではないのですが。お味はいかがです? クックック」
 真空の刃はそのままヴァキアスEATの体を切り裂き、風圧で押し込まれた消化液が敵の体内を溶解する。
 筆舌に尽くしがたい苦痛が、奴の本能に怒りと殺意をもたらした。
 魔術士は悪魔めいて笑う――その智慧こそが、彼の武器なのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

露木・鬼燈
これは熱い!
ロボ系では稀によくある展開。
さっきの戦闘で結構キツいんだけど。
でも、もうひとがんばりしないとね。
ロマンが力となるっぽい!
とは言え、僕の体は気合で動いてもロボはね。
みんなもまだまだやる気みたいだよね。
とゆーことで、機体への負荷はなるべく小さく。
移動も負荷となるよね。
他の人が近距離攻撃系UCの実行直後にパイロットを交代。
即座に<血霧腕>を発動して敵に叩きこむです。
動作は小さく高威力のこれならイケルイケル!
臓腑を抉り出し、代わりに百足型呪詛を詰め込んでやるのです。
呪詛に喰われて…死ね!
巨大ロボでロマンを堪能できたし大満足なのです。
でも…マジでキツいよね。
さすがに指一本動かせないのですよ。



●ロマンを力に
 ――オオオオオオン……!!
 度重なる反撃を受け、ヴァキアスEATの声ならぬ咆哮が宇宙を揺るがした。
 超自然的なその雄叫びは、ボロボロの惑星ロボの装甲を通じコクピットにまで到達する。
 まさしく肌に突き刺さるほどのプレッシャー……油断ならぬ強敵だ。
 その巨体はいまだ健在であり、ダメージの比率はどう見てもこちらが上。
 そして猟兵たちのほとんどは、まだ疲労ダメージから回復していない……。
「なら、僕がやるしかないのです!」
 いち早くそのタフネスで復帰した露木・鬼燈は意気揚々と言うと、操縦桿を握る。
 実際のところ、全身を包む倦怠感は晴れていない。
 ユーベルコード使用による疲労は、ただの運動疲労とはわけが違う。
 いわば魂のダメージ、無理をすれば心身に重篤な後遺症を受けかねない。
 だからこそ、心身を鍛え上げ練磨する忍びは、他のものよりも回復が早いのだ。
 しかし、鬼燈を動かしているのは単なる理屈だけではなかった。
「ロマンが力となるのを感じるっぽい……もうひとがんばりしないとね」
 にやりと不敵に笑い、レバーをおもいきり押し込む。
 ボロボロの惑星ロボはあちこちをスパークさせながらバーニアを噴射。
 超接近距離まで飛び込む。膨れ上がる巨体に飛びついた!
「動作は小さく、高威力のこれなら……っ!!」
 鬼燈は噴射速度を利用し、手刀にすべての重みを載せて突き出した。
 それは、岩盤のように強固なヴァキアスEATの外皮をたやすく貫く!

 ――AAAARRRRRGH!!

 声ならぬ咆哮! それは敵の苦痛を示している!
「これで……骸の海に沈めっ!!」
 バターを切り裂くように突き刺さった貫手はなんらかの臓物を掴み、引きちぎる。
 代わりに叩き込まれたのは、ムカデ型に編み上げられた強力な呪詛だ。
 ぎちぎちと鋏角を鳴らし、呪詛の塊は体内で暴れ狂う……!
「そんなに何もかもを喰いたいなら、とっておきの呪詛を味わわせてやるですよ。
 せいぜい呪詛に臓腑を灼かれて、痛みと苦しみの中で死んでいくがいいっぽい!」
 凄絶なる笑み。それはまことの修羅だけが見せる貌(かお)だった。
 のたうち回るヴァキアスEATの体を蹴り、鬼燈は意識を手放した。
 布石は叩き込んだ。あとの活路は、仲間たちが切り開いてくれるだろう。
「――あー、これまじでキツいなあ……」
 意識を闇に落としながら呟いたその声音は、どこか満足げだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

国栖ヶ谷・鈴鹿
🔴◎アドリブ&絡みOK

SPD

【予測済み】
新手の奇襲ね、予想の範囲内、対応は可能だよ。
今、みんな動くだけの力が不足しているなら、補充すれば問題ないよね。

紅路夢、バックパックを開いて、そこにぼくの作ったスペシャリテがあるから!さぁ、みんなに配りに行くよ!

ぼくの今日のお菓子は、『サクラ🌸ヰ゛タジュレ(ヴィータジュレ)』!
こういうこともあろうかと、パックに詰めておいたのさ。
特別な花の香りを漬け込んだシロップと、特製の不老長寿の花の最初に絞られた花蜜と果実(企業秘密)を使ったスペシャルなゼリー飲料!飲めば、不思議と元気の湧いてくる特別なのだから、あと一回、この危機を乗り越えよう!


マヤ・ウェストウッド
「こんなこともあろうかと! って、一度言ってみたかったんだよね」
・壮絶な戦いを予感し、マヤ自ら操縦席に搭乗
・建造時にこっそり仕込んだ非常用リアクターを発動。激烈なGに耐えうるよう、マヤも獣人の血を解き放つ:全身の筋肉は隆起させ、妖狐然とした尻尾を生やした様相はまさしく地獄の走狗
・先程まで指揮していた"医療班"には引き続きロボのダメージコントロールをしてもらうよう指示
・装備品「Xキャリバー」を惑星ロボのシステムに無理矢理接続し、ロボの身体にフィットするサイズで敵の装甲を撃ちぬける弾頭を生成するよう呼びかける。銃の悪態は敢えて無視
「一粒の、麦ィ……落ちて、死なば……多くの、実を、結ぶべしッ……!」


ミレア・ソリティス
何が相手であろうとも、やらせはしません
例え、この身に代えようとも

損傷は激痛耐性で無視、シールド装備でそのまま艦より発進
周辺のマインドミナの残骸、あるいは戦闘で脱落したロボの装甲等のマインド素材へ取り付き、「何とか敵の動きを止めます。その隙に攻撃を」とロボへ通信後リミッター解除と怪力で無理やり動かし最大出力で敵へ突貫

そのまま残骸ごと、喰らおうとする敵の口内へ突入
口内で『重力属性』を加えて【コード・レギオン:Ω】を発動、
残骸へUCを伝播拡張させ、「私と残骸を自爆により重力崩壊させ小型ブラックホール化」し口内で重力場を発生させ敵を捕縛し攻撃のチャンスを作ります

後を、頼みます

※アドリブ連携歓迎です


アルトリウス・セレスタイト
俺のやることは変わらんな
退場しろ

受ける攻撃は『絶理』『刻真』で自身を異なる時間へ置き影響を回避
此方の攻撃は目標が存在する時間へ向け実行
必要魔力は『超克』で“外”から汲み上げる

始源を展開
目標はヴァキアスEAT及びそのユーベルコード

万象一切を砕く破壊の原理を宿す魔弾として行使
因果の原理を以て目標以外へは無害とする

高速詠唱を『刻真』で無限加速
多重詠唱を『再帰』で無限循環
生み出す無数の魔弾を統合、惑星破壊規模の魔力を込めた魔弾に『天冥』で因果改変
「目標外殻へ着弾した」魔弾を射出、ダメージと共に衝撃で行動制限、更にユーベルコードを破壊し機能不全を誘発
間断なく繰り返して動きを止めロボを待つ

※アドリブ歓迎


セフィリカ・ランブレイ
もう最終回のような流れだったのに!
これが真の最終決戦か
これまで得た装備を全て失い、最後は初期機体や素体の状態となるも気合で勝利ってね!

今は惑星ロボに回復の時間を!
前回応援に徹してる分、まだまだ元気!
最終回に相応しい大放出!
七虹全機出撃だ!
シェル姉、貯蓄分の魔力まで全部回して!
【フォースマシン総突撃】
赤杖、極低温と灼熱を繰り返して揺さぶりを!
橙弓、惑星ロボの回復に専念!
黄槍、スピードで攻撃を引き付けて!
碧剣、活動限界まで出力を上げて攻撃!
蒼斧、皆応援してる!負けるな!
藍盾、バリア展開、前衛のサポートに専念!
紫砲、とにかく撃ちまくれー!

全機、これで壊れても構わない覚悟でぶつけてやる!


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

いっ、たたたぁ…あーもー体中いったいわねぇ…
これだから安定性に欠ける試作品はヤなのよもー…
…けど。ここで纏めてあいつの腹の中、なんてのはもっと御免だし。やるしかないわよねぇ…!

あちこちエラー吐きまくってボロッボロだし、さっきみたいに高機動でブン回すのはちょっと無茶よねぇ。無茶させたから武装にもかなりガタ来てるし、長期戦も厳しいかしらぁ?
…なら、〇カウンターで一発でかいの叩き込むしかないわねぇ。
攻撃の軌道〇見切って、すれすれで躱して●明殺一閃。
刻むルーンはシゲルの二乗。エネルギーの爆弾、口の内側に文字通り「喰らわして」やりましょ。



●窮地、絶命、反撃!
 ――KRAAAAAASH!!
「いっ、たたたぁ……! さすがにこの体でやり合うのは、きついわねぇ!」
 ヴァキアスEATによる強烈な体当たりを受け、ティオレンシア・シーディアは呻いた。
 彼女を取り囲むのは無数のARウィンドウ。いずれも赤く染まっている。
 コクピットではレッドアラートが鳴り響き、そこら中にエラーメッセージだ。
 機体の駆動率も明らかに落ちている。動きの伝達があまりにも遅い。
 現にヴァキアスEATによる攻撃を回避しきれていないのがその証拠である。
 なによりティオレンシア自身も、先の戦闘による疲労が抜けきっていなかった。
 緊急的にパイロットを代わったはいいが、このままでは攻撃どころの話ではない。
 ユーベルコードの発動などままならず、防御も回避も精一杯という状況だ。
「ちょっとぉ、誰か代わってくれないかしらぁ!? あたし回復したいんだけどぉ!」
「って言ってもねぇ、うかつに交代したらその隙を突かれそうだよ」
 ティオレンシアに応えたのはマヤ・ウェストウッドだ。
「医務室(こっち)もてんてこまいだ、すぐには交代できそうにない!」
「まいったわねぇ、無茶するのとか性分じゃないんだけどぉ……」
 特攻――そんな馬鹿げた言葉が脳裏によぎり、ティオレンシアは自嘲した。
 こんなところで、わけもわからない怪物の腹の中に自ら飛び込む?
 それこそナンセンスだ。自分は死ぬために戦っているわけではないのだから。
 すさまじい勢いで巨体が迫る――動きがあまりにも疾い!
 決死のカウンターをティオレンシアが覚悟した……その時!

 ――AAAARRRRGH!?

 ヴァキアスEATは苦悶と驚愕らしき咆哮をあげ、巨体を拗じらせ悶絶した。
 何が起きた? その正体は、横合いから降り注いだ大量の魔弾だ。
 惑星ロボのカメラが魔弾の出元へズームする――そこには銀髪の男がひとり。
「そちらは無事か? 敵の足止めはこちらに任せておけ」
 銀髪の男……アルトリウス・セレスタイトは涼しげにそう言うと、
 ヴァキアスEATの巨体を覆うほどの大量の魔弾を生み出し、さらに斉射。
 無限加速と無限循環による原理の滅びは、巨体を滅するには至らないものの、
 彼奴の勢いを削ぐだけの威力はあった。惑星ロボは体勢を取り戻す!
「やるじゃんアルトリウス君! こちらセフィリカ、交代するよっ!」
 そして同時にメインパイロットルームへ駆け込んできたのは金髪の乙女。
 セフィリカ・ランブレイは疲弊したティオレンシアとパイロットを交代すると、
 髪を結い上げで気合を入れる。傍らに立て掛けた魔剣がカタカタと震えた。
『さっきの戦いで休んでおいて正解だったわね。準備はいい?』
 それは相棒である魔剣の声だ。セフィリカは快活に頷く。
「もっちろん! 真の最終決戦、ここで負けるわけにはいかないってね!
 みんなはその間に回復しておいて! ……回復できる人、残ってるよね?」
『任せておいて、この奇襲は予測済みだったから!』
 通信越しに応えたのは、国栖ヶ谷・鈴鹿の元気そうな声だった。
 動力炉の調整に全力を注いでいた彼女は、かろうじて疲労ダメージが少ない。
 メインパイロットにはなれないが、そのぶん裏方に回るだけの余力があった。
『こういうこともあろうかとスペシャリテを用意しておいたんだ!
 さあ行くよ紅路夢、みんなにぼくの作った自慢の品をお見舞いしなきゃ!』
 傍らを飛ぶフロートバイに飛び乗り、鈴鹿は医務室へ急いだ。
「じゃ、あたしは次の交代に備えて小休止を取ってくるわぁ」
 ティオレンシアはパイロットルームから撤退。
 セフィリカはそれを見送った上で、操縦用のレバーを握りしめた。
「行くよシェル姉……貯蓄分の魔力まで全部回して。全力全開だぁっ!」
『はいはい、こうなったら付き合うわよ。どこまでもね!』
 惑星ロボが力強くバーニアを噴射し、ヴァキアスEATへ挑む……!

 一方、惑星ロボ内医務室。
 何人もの猟兵がここに担ぎ込まれ、疲労ダメージからの回復を待っていた。
 マヤと彼女が召喚した医療チームによって急ピッチの作業が進んでいるものの、
 やはり絶対的な人手不足は否めない。さながら野戦病院じみた有様だ。
 そんな中、ベッドから起き上がる影がひとつ……マヤはすぐに見咎めた。
「ちょっと待った。アンタ、まだ疲労が抜けきってないだろう? 見りゃわかる。
 いくらウォーマシンだからって、無茶をすればどうなるかわかってんだろうね?」
『……問題ありません。この程度であれば痛覚抑制で無視できる範囲です』
 ミレア・ソリティスは感情を憶えさせぬ声音で淡々と答えた。
 マヤはがしがしと頭をかく。そして苛立ち混じりの声で言った。
「だから、無茶をするなって話をしてるんだよ。仲間が時間を稼いでくれてる。
 最悪の場合アタシも出るつもりだ。いまは次に備えて休息を……って、こら!」
 しかしマヤの小言も聞かずに、ミレアは立ち上がり通路へと歩き始めた。
 止めようとするマヤを制するように、ミレアは無表情のまま振り返る。
『ご心配なく。私はもう、"ロボの操縦はしないつもり"です』
「あン? そりゃ一体……ああもう、行っちまった!」
 医者のはしくれとして、患者の無茶は見過ごせない。
 しかし猟兵としてはどうか。……ミレアの気持ちはよくわかる。
 マヤはたしかに感じていた。抑揚のない声の奥底、ミレアの心の熱を。
 この状況に活路を拓くため、彼女は全力で戦うつもりなのだ。
 その意気を汲まずして猟兵を名乗れようか? 医者と戦士というアンビバレント……。
「……ええい、仕方ない! 外装修復班へ通達!
 いまからそっちにボロボロの娘が行くと思うけど、止めんじゃないよ!」
 マヤは搭乗口付近に待機しているチームに通信し、頭をまたガシガシかいた。
 彼女が己のなすべきことを選んだのならば、己もやるべきことをやるだけだ。
 ズズン……惑星ロボが大きく揺れる。セフィリカが奮戦しているのだ。
 外部を映したARウィンドウを見れば、そこには魔弾と虹色の軌跡が見えた。
「スペシャリテ宅急便、到着だよっ! おまたせしましたっ!」
 と、そこへフロートバイ"百弐拾伍式・紅路夢"で勢いよく駆け込んできたのは鈴鹿。
 フロートバイの後部ハッチが開き、現れたのは……奇妙なゼリーパックだ。
「ああ、来てくれたかい。これがさっき言ってた?」
「そう、ぼく特製のスペシャリテ。名付けて……」
 ゼリーパックの表面には『サクラ🌸ヰ゛タジュレ』と刻印されている。
 現代仮名遣いで記すなら「ヴィータジュレ」といったところか。
「特別な花の香りのシロップ漬けと、不老長寿の花の最初に絞られた見つ。
 そこに企業秘密の果実を使ったスペシャルゼリー飲料だよ!」
「……企業秘密ぅ?」
「ふふふ、そこは聞かないで! さあさあ、みんなどうぞ!」
 鈴鹿は元気よくパックを猟兵たちに配る。その中にはティオレンシアもいた。
「ああ、そうだ。さっき通路でウォーマシンの子とすれ違わなかったかい?」
「うん! 急いでたみたいだけどちゃんと渡してきたよ。安心して!」
「ならアタシもいただくとしようかねえ……すぐに出番が来そうだから、ね」
 ドオン……惑星ロボが再び揺れる。さきほどよりも揺れが大きい。
 ARウィンドウの中では、七色の軌跡が狂ったように飛び回っていた。

 ……同時刻、パイロットルーム!
「全機、まだまだ耐えて! このくらいじゃ退いてられないよ!!」
 セフィリカは力強く言い、自身もまた惑星ロボを全力で操縦した。
 マヤらが目撃した七色の軌跡の正体は、セフィリカが操るゴーレム機だ。
 赤杖、橙弓、黄槍、碧剣、蒼斧、藍盾、紫砲。
 "七虹"の名をコードネームを与えられたこれらのフォースマシンは、
 セフィリカと彼女の相棒・魔剣シェルファの魔力によって駆動する。
 惑星ロボを経由して拡大されたそれらはセフィリカ自身と協力することで、
 すさまじいスピードを発揮しているヴァキアスEATを翻弄しているのである!
 無論そこには、機外で支援を続けるアルトリウスの力添えもある。
 しかしヴァキアスEATのタフネス、そして機動力はあまりにも強大だ。
 どうやら彼奴は周囲のデブリを捕食・消化することで燃料に変え、
 食えば食うほどにそのパワーを増大させ、傷を修復しているらしい。
(周りに餌が多すぎる……! 七虹に処理させる? ううん、その暇がない……!)
 セフィリカは極限の集中のなか、取るべき戦術を取捨選択し続けていた。
 周囲にある"餌"――つまりデブリは最優先で処理すべき障害物だ。
 しかし一瞬でも惑星ロボの機能をそちらに回せば、おそらく敵はこちらを捕食しに来る。
 現にそれをカバーしようとした"藍盾"はすでにかなり傷ついている。
 かといって本体の防衛を優先すれば、敵は際限なく餌を喰らい続ける。
 デブリの排除、さらに本体の防衛、そしてヴァキアスEATへの攻撃。
 その三つを同時にこなすことは、七虹とアルトリウスの援護があっても難しい。
 せめて惑星ロボの機能が十分に健在なら――しかしそれは叶わぬ願いだ。
『セフィリカ、来るわよ! 気を抜かないで!』
「わかってるよシェル姉! 黄槍、スピードで攻撃を惹きつけて!
 橙弓は装甲の回復を専念、蒼斧と赤杖でアルトリウス君に合わせて攻撃を!」
 なにより無視できないのは、セフィリカにのしかかる疲労ダメージだ。
 ユーベルコードの発動による消耗は重い。意識を保つので精一杯だった。
 長時間の戦闘はジリ貧である。突破口を拓くにはあと一手が足りない!
『――セフィリカ、備えろ。応援が来るぞ』
「え? アルトリウス君、それってどういう――』
 出し抜けに入った通信に、セフィリカが虚を突かれたその時。
『私がなんとか敵の動きを止めます。その隙に攻撃を』
 続けざまに入った通信は、ロボを離れたはずのミレアの声だった。
 そして見よ。周囲のデブリが一箇所に誘引されている。あれは!?
「……まさか、口の中に飛び込むつもり!?」
 セフィリカはミレアの意図を察し、驚愕した。
 止める暇もなく、ミレアは周囲の残骸を集めて自ら敵へ突進していく。
 ヴァキアスEATは、まんまとその"餌"をミレアごと飲み込んだ……!

 口内!
 重力制御で破片を集めたミレアは、全身を急速に消化されていた。
 当然だ。ヴァキアスEATの体内に自ら飛び込むなど自殺行為もいいところ。
 じきに奴は、天敵の体から得たエネルギーで惑星ロボを蹂躙するだろう。
 狂ったかミレアよ。否、それは彼女の目を見た人々ならば誰も否と応える。
『――オプションΩ、適用』
 擬似重力がさらに強まる。彼女と残骸を中心点に向け惹きつける。
 否、押し潰す。めきめきと音を立てて残骸がひしゃげて一点に集まる。
 ミレアは擬似重力で、自分ごとすべての残骸を自壊させるつもりなのだ!
『継戦用データ、送信――あとは、任せますよ』
 ミレアは思った。
 発進する直前、入れ変わりにやってきたあの少女――鈴鹿の表情を。
 自らが無茶無謀をしようというのに、彼女は微笑んで飲料を手渡してくれた。
 一度は彼女のプランにつっかかった自分にも、あの子は笑顔を見せた。
 あれは、心の底から人類の、そして猟兵たちの未来を信じている者が見せる顔。
 敵を倒し、生きて帰ることを信じている者の見せる笑顔だ。
『…………"私"、そして皆さん……!』
 ――べきり。
 ミレアの体もまたひしゃげ、事象の地平線に飲み込まれた。
 質量崩壊により生まれた小型ブラックホールは、そのまま周囲を飲み込んでいく……!

 ――AAAARRRRRGH!!

「……!!」
『セフィリカ!』
「わかってる――七虹、私に続けぇっ!!」
 ヴァキアスEATの苦悶から何が起きたかを察したセフィリカは、
 アルトリウスが放射した魔弾攻撃に乗じ、一気に急速接近した。
 フォースマシンが応える。狙いは敵頭部。降り注ぐ光弾、そしてロボの拳!
「喰、ら、えぇええええええっ!!」
 SMAAAAAAAAAAAAAAAASH!!
 質量とスピードを乗せた一撃は、ブラックホールにより動きを捕縛され、
 弱点を晒したヴァキアスEATの頭部真上を破砕、大量の出血をせしめた!
 巨躯の獣はのたうち回る。七虹が、逃亡しようとするクエーサービーストを押さえつけた!
「こ、これ、で……!」
『まだよセフィリカ、敵は死んでないわ!』
「ウソ……!?」
 ヴァキアスEATは、苦し紛れにのたうち回り惑星ロボを睨みつけた。
 死にものぐるいの反撃が来る。この距離では避けられない!
「……カウンター、行くわよぉ!」
 その時、セフィリカはメインパイロット権限を強引に剥奪されたのを感じた。
 横に表示されたのは、別パイロット席に戻ったティオレンシアの姿。
 彼女は無理やり権限を奪取し、壊れかけた右手の銃を敵の口蓋にねじ込む!
「食い足りないなら、こいつも持っていきなさぁい……!」
 BLAMN!!!
 とっておきのルーン魔力を乗せた小惑星サイズの弾丸が口蓋に命中!
 小型ブラックホールの重力と相殺された魔力が、爆弾めいて体内で爆ぜる!
 ヴァキアスEATが怯んだ! しかしセフィリカはもう指一本動かせない。
 無事な"七虹"のコントロールを指揮するので精一杯であった。
 そんな疲労困憊の彼女の肩を叩き、にやりと微笑む女――マヤ。
「よく頑張ったね。医務室にスペシャリテがたんまり待ってるよ」
 交代の時間だ。マヤはそう言い、セフィリカをコクピットから下ろした。
『セフィリカ、大丈夫!?』
「……うん、平気。ありがとうシェル姉、それに――」
 セフィリカはよろめきつつもかろうじて立ち上がり、マヤを見返した。
「あとの一発……よろしく!」
「任せときな!」
 マヤはにやりと笑い、左手に顕現させた自銃"Xキャリバー"を握りしめた!
「全員対G防御体勢! 急旋回で距離を取る……ッ!」
 非常用リアクターが機動、すさまじい加速Gが惑星ロボ全体を襲った。
 ティオレンシアの決死のカウンターにより怯んだヴァキアスEATはそれを追えない。
 全身の筋肉を一回り近くパンプアップさせたマヤの形相は獣のようだ。
 地獄の走狗。隻眼がにらみつけるのは血を撒き散らしのたうつ星の大蛇!
「一粒の、麦ィ……落ちて、死なば……多くの、実を、結ぶべし……ッ!!」
 血走った隻眼で画面越しに敵の傷口――破砕した頭部をにらみつける。
 そして……BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
 左手のXキャリバーと、右腕の"オブシディアン"が同時射撃!
 左半身をマヤが、右半身をティオレンシアが同時制御しているのだ!
 決死の弾雨がヴァキアスEATを撃つ! 撃つ!! 撃つ!!!
 そして爆砕――敵の胴体が、爆裂し肉片を撒き散らした……!!

『……やり遂げましたね、"私"』
 同時刻、惑星ロボ内貨物室。
 そこに鎮座していたのは、自爆したはずのミレアであった。
 正確に言えば、彼女がユーベルコードで生成した"バックアップ"である。
 ウォーマシンかつ並列共有した精神を持つからこその無茶。
 "ミレア"は立ち上がり、暗がりに映し出されたARウィンドウを見た。
 爆砕するヴァキアスEAT。それこそは、仲間たちが繋いだ意地と覚悟の証。
『あなたの意志は、皆様の活路に、たしかに繋がりましたよ』
 そう呟く機械の乙女の声音は、心なしか誇らしげに思えた――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

アロンソ・ピノ
※アドリブ歓迎
向こうはバカでかい新手、
こっちはボロボロのろぼっとを動かさないと勝てねえ…
が、なんにしろやるだけやるしかねえな。
ユーベルコードはさっきと同じく夏鯨だ。
ろぼっと本体が悲鳴上げてる以上、徒手空拳よりは刀の方が良いかと思うが……ただ振り回し続けるのは身体が持つかわからんか?
とりあえずオレ自身は真の姿を使いながら【怪力】【武器改造】で夏鯨を振るう。
【鎧無視攻撃】【範囲攻撃】【鎧砕き】【吹き飛ばし】あたりも使いつつ【野生の勘】【先制攻撃】【クイックドロウ】で、
ヴァキアスが寄ってきた時の初太刀に全部を賭ける。何度も振り回せられねえ以上、一発が1番大事だからな、
―春夏秋冬流、参る。



●一閃
 ヴァキアスEATの巨躯は、およそ3割近くが削れていた。
 然り、削れている……猟兵たちの猛反撃が、これを成し遂げたのだ。
 その代償として、惑星ロボの消耗はさらにひどく、駆動率は相当に低下していた。
 だましだまし動かしているものの、戦いのあとには無残なことになるだろう。
 しかしまだ倒れるわけにはいかぬ。敵は戦意を衰えさせていないからだ。
 否――手負いの獣こそがもっとも恐ろしい。咆哮がそれを物語っている!
「さあて……それじゃま、もうひと勝負いくとするかねえ」
 そんな中、コクピットに座るのはこの男、アロンソ・ピノ!
 体の疲労感は、とある猟兵が差し入れたゼリー飲料のおかげでさっぱりだ。
 むしろすこぶる調子がいい。問題はやはり、この惑星ロボだろう。
「"だめえじ"は最小限にしなきゃならねえ……なら、刀(こいつ)"の出番だ」
 アロンソはやおら上半身をはだける。するとその髪がひとりでにざわめき、
 桃色から深い深い黒へと染まる――翠眼がぎらりと煌めいた。
「春夏秋冬流、アロンソだ。かかってきな、星の獣」
 惑星ロボはその手に再び超質量の刃を顕現させ、構えを取った。
 明らかなカウンターの構え、手痛い反撃を幾度も受けたヴァキアスEATは、
 ぐるぐると唸りながらとぐろを巻き、仕掛けるべきタイミングを見計らう。
 巨躯と巨躯、獣と機械。何もかもが異なるが、これはいわば真剣勝負だ。
 剣豪同士がそうするように、獣と鋼の殺意は膨れ上がり破裂寸前。
 あとはどちらが仕掛け、そして先の先あるいは後の先を得るかである。
「…………よおけだもの」
 ふと、アロンソが言った。
 その声がはたして届いているかはわからない。
 届いていたとして、彼奴に理解する知能があるかどうか。
 だが構わない。アロンソは独り言めいて呟く。
「てめえは何もかもを食っちまう大食感のようだがよ――」
 ぎらり、と、夏鯨の刃がヴァキアスEATの姿を映し出した。
「――オレの"夏鯨"は、もしかすっとてめえより凶暴かもしれないぜ?」
 口元には不敵な笑み。
 浮かび上がった映像越し、
 惑星ロボのツインアイ越し、
 数キロメートルの距離を隔て――両者の視線が交錯した。
 然り、交錯した。ヴァキアスEATはたしかにアロンソを視た!
 視線に宿るのは敵対の意志。ヴァキアスEATが爆発じみた速度で迫る!
 膨れ上がった殺意と捕食欲を乗せた、必殺の噛みつき攻撃――!!

 ――ごおうっ!!

 と、質量が薙いでいた。
 いっそ爽やかなまでの初太刀。その質量に見合わぬ涼やかな一閃。
 極めに極めたその一閃は、ヴァキアスEATをばっくりと切り裂いていた。
「だから言ったろ」
 体の半分近くを両断され、のたうち回るヴァキアスEATを振り向き、男は笑った。
「夏の鯨は、凶暴だってよ」
 その口元には、野卑な笑みが浮かんでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

マレーク・グランシャール
【壁槍】カガリ(f04556)と

多少ロボがボロになったが、以前と比べれば楽勝だったな
この愛機と俺達のコンビネーションなら新たな敵をも倒せよう
しかし愛機とはいい響きだな

もちろん先鋒は、カガリ、お前に任せたぞ
敵が防御能力や速度を強化する前にユーベルコードを封じてくれ
大丈夫、俺はお前を信じている(肩ぽん)

カガリが敵の強化を阻止したその時が俺の出番だ
スイッチオン! さあ、今こそ俺の槍を受けてみろ(腕時計リモコンでチェンジ)
【玄竜王槍】で槍を強化
『黒華軍靴』(ダッシュ)で敵よりも素早く急接近
ランスチャージ+鎧砕きで鋭い一撃で敵を串刺しにする

ロボなら勝利のポーズも必要だ
(串刺したまま槍を掲げて獲ったどー)


出水宮・カガリ
【壁槍】まる(f09171)と

ろぼが、ぼろ…そう、だな…?(確かにボロいなしか思ってない)
しかし、この機体
本来ならば修理が必要だろうに…

…まる、ちょっとだけ、手を(手を握ろうとする・覚悟)
ん。では、いってくる。

カガリは、『内なる大神<オオカミ>』の力を借りて
『大神の神眼』で以て敵を「視る」だけだ
あの獣の破壊力は、全て食べる為……暴食、満たされぬ飢餓と食欲によるもの、ならば
その「意志」、この眼に捉えた

閉じよ、閉じよ、緩やかに
こちらに来たりて閉じよ
閉じれば飢えはなく、安らかに
ただ、静かに閉じよ(【死都之塞】、全力魔法・呪詛)

敵の動きが鈍れば交代、だ
多分、あまり長くはもたない、と思うから



●竜槍、宙を切り裂いて
「多少ロボがボロになったが……最初の戦いは以前よりも楽勝だったな」
「…………????」
 マレーク・グランシャールの真顔をぱちくりと見つめる出水宮・カガリ。
 ロボが、ボロ。……もしかしてこれは、"だじゃれ"というやつか?
 他ならないマレークが? いやいや、そんなまさか……。
「……うむ、そうだな。ぼろくなってしまった、が」
「ああ。我らのコンビネーションならば、新たな敵をも倒してみせる」
 マレークとカガリは改めて見つめ合い、そしてがっしりと握手を交わした。
 信頼の証であり、彼らなりの覚悟のかたちでもあった。
 手を離し、カガリは二度三度と、その掌のぬくもりを味わうように手を握る。
「先鋒は任せたぞ、カガリ」
「ん。では、いくとしよう」
 カガリは頷き、敵を睨んだ。傷ついたヴァキアスEATが声なき咆哮を上げる。
 それこそは、敵対者を叩き潰す星の獣の先制に他ならない……!

 体の三割近くを"削がれ"たヴァキアスEATは、一刻も早い回復を求めていた。
 すなわち食事を。おのれの尽きることなき植えを満たすものを。
 驚くべきことに、クエーサービーストに物理的な触媒は必要ない。
 敵対者を食い殺すという筆舌し難い憎悪こそが彼奴の体を膨れ上がらせる。
 このまま座視していれば、敵はこれまでのダメージをも無効化してしまう……!
「――なんという飢餓、そして食欲。だがその意志、たしかに"捉えた"」
『!?』
 その時、ヴァキアスEATはたしかに声を聞いた。
 遠く遠く、ボロボロの惑星ロボから聞こえたカガリの声ならぬ声を。
 そして視た。ツインアイ越し、こちらを射竦めんばかりに睨むカガリの眼を。
 あれは、認められぬ。
 あれは、あってはならぬものだ。
 クエーサービーストとてオブリビオン、すなわち猟兵の天敵。
 彼奴は天敵たるその存在を忌まわしく思い、食らうことを選んだ。
 裂けんばかりに大口を開き、棒立ちの惑星ロボを飲み込もうとする!

 ――飲み込もうと、した。
 しかし見よ。ヴァキアスEATの大口は、開かれたまま閉じられていない。
 明らかな異常事態。それを誰よりも訝しんでいたのはヴァキアスEAT自身だ!
 なんだこれは? 何が起きている?
 そう……これこそがカガリの放ったユーベルコード。
 怨念や意志に呼応し、大神の眼を以て愚かなる獲物を射すくめる"死都之塞"。
 幽世のしじまは訪れたり。ヴァキアスEATは「捕食」という厚意に至れない!
 まるで見えない枷に縛られているかのように、がちがちと骨が鳴る。
「餓えはなく、安らかに。緩やかに、閉じよ、閉じよ――」
 否。断じて否!
 開かれた口蓋は獲物を取り込まずして閉じられることなどあってはならぬ。
 ヴァキアスEATは、その傲慢なる執念でもって大神の誓言に抗った。
 しかしその数秒の拮抗。そこに間隙がある。
「よくやったカガリ!」
 マレークは腕時計型のリモコンを操作し、一瞬で制御を入れ替わった。
 棒立ち状態だった惑星ロボは、その手の中に恐るべき竜槍を顕現させ、構える。
 ゴシュウ!! 脚部バーニア全開、大口を開いたままのヴァキアスEATに肉薄!
「さあ、今こそ俺の槍を受けてみろ! そして惑星ロボの一撃を!!」
 その質量すべてを穂先に乗せ、捨て身のランスチャージが口蓋を貫く!
「これが、俺とカガリと惑星ロボ――俺たちの、三位一体の一撃だ……ッ!!」
 おお、その軌跡はまさしく流星の如し。
 穂先はヴァキアスEATの岩盤めいた口蓋を貫き――先端が、頭頂から飛び出した!
 獣は悶え苦しむ。串刺しとなった獲物を食らうことすら出来ぬ!
 これは狩りである。猟兵たちが、星の獣という獲物を狩る儀式なのだから――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと

いつぶっ壊れてもおかしくねェなこのロボ。
――丁度良い、弄れなかった分好き放題に弄ってついでに直してやらァ。

おいフェルト、後で行く。
あンま無茶すんなよ。

「アスクレピオス」。
俺の"天獣"、ついでにさっきぶっ倒した奴の部品も使って突貫補修だ。(アート×武器改造×防具改造)
……っし、これで暫くァ持つだろ。さっさとあいつ助けに行く。

邪魔な霧ァロボに追装した波動砲ぶつけて消し飛ばしてやる。

待たせたなフェルト。
おォ、こうもデケェ人形揃い踏みなのァ愉快じゃねェか。面白ェ、半分貸しな。

繰糸繋ぎ替えて操縦して霧が薄くなった所にカチ込む。
へ、言うじゃァねェか 良いぜ。
神の手が如何なモンか披露してやらァ!


フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と

ふふっ、ケン様が修理してる間の【時間稼ぎは任せてちょうだい!
言われなくてもわかってるわよ……あのサイズの敵に吶喊するほど馬鹿じゃないわ?
高速で接近し【ハッキングで感覚器官を一時的に阻害。すぐさま離れて攻撃を避けるわ。
気を散らせればこちらのものよ。……ちょっとくらい【激痛耐性で耐えれるしね。

ロボの修理が出来たら乗り込み反撃よ!
先程の戦いで呼び出した人形でも大きさが反映される事は確認済み。
さあ、わたしの人形兵士達よ!武器を手に立ち向かいなさい!

えっ、使うの?いいけれど……半数の兵の指揮権をケン様に譲渡。
おまけに【リミッター解除して【限界突破させておいたわ!
神の手の操演、見せてちょうだい!



●その神なる御手を見よ
 頭部を串刺しにされたヴァキアスEATは、血を撒き散らして吠え猛った。
 注意を惹くために接近したフェルト・フィルファーデンだが、
 その撒き散らされる血になにか嫌な感じを憶え、即座に接近を中断する。
 歴戦の猟兵としての第六感と判断が、彼女を消化死の無残から救った。
 撒き散らされた血は体液、すなわちヴァキアスEATの消化液でもあるのだ。
 ダメージを与えれば与えるだけ、敵はあの剣呑な毒霧を纏うのである……!
「厄介ね……けど、その中でぬくぬく回復なんてさせないわよッ!」
 フェルトは絡繰人形たちを操作し、電脳魔術で敵の意識体へ潜入を試みる。
 しかし、無謀だ。クエーサービーストとの質量差はあまりにも大きい。
 ただでさえ小さなフェルトの体は、もはや豆粒どころかダニにも劣る。
 そして常軌を逸したクエーサービーストの意識体は、戦慄と混乱をもたらした!
「……ッ」
 ただハッキングを仕掛けただけで、逆流した狂気がフェルトを灼く。
 ニューロンがかき混ぜられるような痛烈な苦しみ。フェルトは顔を顰めた。
 だが彼女は電脳魔術の手綱を握り続ける。ヴァキアスEATは悶え苦しむ。
 そして、目のような亀裂が、ぐるりとダニじみた"小物"を睨みつけた。
 敵はフェルトを意識に捉えた――噴水じみた毒霧=消化液の奔流!
「わたしを食べるつもりかしら、そうはいかないわよッ!」
 フェルトは盾兵を犠牲にこれを回避、だがそこへ巨躯が迫る!
 大きい。あまりにも大きすぎる。だのにその機敏さはまさしく韋駄天!
 これが大気圏内の戦闘であれば、超音速の余波が彼女を吹き飛ばしただろう。
 真空中であったことは幸か不幸か、フェルトはぎりぎりで体当たりを回避。
 よだれを撒き散らしながらむき出された牙にぞくりと悪寒を憶えながら、
 残存人形を集結させたフェルトは、決然たる面持ちで敵を睨み返す。
「……さあ、食べたいなら食らいついてみなさい。クエーサービースト!」
 いったいなぜ、フェルトはこんな無謀な囮を引き受けているのか……!?

 その答えは、惑星ロボにあった!
「ったくアイツ、ヒトの話を聞いちゃいねェな……!」
 ケンタッキー・マクドナルドは惑星ロボを突貫作業で補修しなだら毒づいた。
 もちろん作業に従事しているのは彼だけではない。
 他の多くの猟兵、あるいは猟兵が召喚した人員やメカも参加し、
 さながらピット・インしたF1カーを修理するメカニックめいて、
 つぎはぎのパッチや間に合わせのパーツにより、修復を続けている。
 気休めもいいところだ。本当ならばケンタッキーももっと落ち着いて作業をしたかった。
 しかしフェルトが囮となっている以上、時間をかけるわけにはいかない。
「それにしてもテメェ、いいじゃねェか……たっぷり想いを受け止めてよォ」
 ケンタッキーは皮肉げに笑いながら、不格好に補修された装甲を叩く。
 修理しているだけでも、ケンタッキーはたしかに惑星ロボの意気を感じた。
 多くの猟兵、そして人々の祈りと想いを受け止めたそのボディの熱さを。
「まだやれるだろ。戦えるように俺様がしてやる――だから征こうじゃねェか!」
 応えるようにツインアイが煌めいた。ケンタッキーはコクピットへ転移!
「この程度の修理なら十分だ! さァ行くぞ惑星ロボ!!」
 ゴシュウ――惑星ロボは勇敢にバーニアを吹かし、仇敵へと肉薄!
 フェルトに食らいつこうとした大口を、その両手で受け止めこじ開けた!
「ケン様!? もう済んだの!?」
「当然だろうが、俺様だぜェ? さあ来いや、フェルトォ!!」
 フェルトはこくりと頷き、電脳魔術によって自らをコクピットへと転移。
 ケンタッキーは波動砲によって毒霧を薙ぎ払い、制御権をフェルトへ!
「さあ、わたしの人形兵士たちよ! ここからが反撃の時間よ!
 武器を手に立ち向かいなさい。人々を、未来を脅かす獣を狩るときよ!!」
 気高き王女の号令に従い、惑星ロボの周囲に無数の絡繰人形が出現!
(小惑星規模を人間スケールとした上での)妖精らしいサイズをした人形たちは、
 剣を、槍を、あるいは弓を盾を構え、一斉にヴァキアスEATへ挑んだ。
 形勢逆転である。大きく傷ついたヴァキアスEATではこの猛攻を止められぬ!
「やっぱりサイズも拡大されるのね……けど、これは……少し、きついわ……!」
 フェルトはそのまま惑星ロボを動かそうとしたが、限界が彼女を襲った。
 たったひとりでの陽動、加えて超大量の絡繰人形の召喚と使役。
 それは、ただユーベルコードを発動する以上の疲労を彼女にもたらした。
「十分だぜェフェルト。デケェ人形揃い踏み、あとは俺様に任せなァ!!」
 制御を受け持ったケンタッキーは、小惑星サイズの繰糸をワイヤーめいて射出。
 限界突破した妖精人形たちを、たったひとりで制御してみせる!
 さながら宇宙規模の人形劇。その動きは変幻自在かつ神妙不可思議!
 巨大なる獣を星のごとき妖精たちが狩る様は、まるで星座の大戦めいている!
「すごい……わたしの人形兵士たちが、本当に生きているみたい……!」
「当然だろォ? 俺様は! 神の手だぜェ!!」
 肉を削ぎ、鱗を貫き、牙をへし折り、そして盾が毒霧を圧する。
 ここからが反撃開始。戦いはいま狩りを経て、必殺のクライマックスへ至る!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
ちょっと死に損な、ンン。お年を召した方々にお聞きしたいんですけど。
アイツ、金(かね)になると思います?
未知の材質とかありそうですか?
なくっても中途半端なシゴトはしません。
でも、もしあったら次に活かせますから。

オレがやることはひとつ。
【紙鳴】で動きを封じて、即離脱。
もし次に乗る方がわかっていれば、その人の戦法に適した場所へロボを移動させておきます。
ふつう身体が大きくなっても感覚器の機能は変わらないはずです。
逆に鈍くなってるかもしれませんね。

ロボとかなんとか、被造物はその限界を越えるのがお約束ですよ。
顔ぶれも顔ぶれです。慢心抜きにして、ここで終わるはずがない。
ですから、最後まで見ててあげます。


狭筵・桜人
いやなんでおじいちゃんたち船を前に出してるんです?
パトリックさんも言ってやってくれませんかねえ!
あーもー乗りますよ!乗ればいいんでしょ乗れば!
ってロボ壊れかけてません?大丈夫ですか?突然パージしたりしない?

エレクトロレギオンを展開。砲撃準備、【一斉発射】。
……自動モードで。操作とかする余裕ないですよ。
精度を問うてる場合じゃないでしょう。
それにこんだけでかけりゃ嫌でも当たりますって!お互いに!

レギオンはそのまま敵の攻撃から船を【かばう】ために
遮蔽物にしておきます。一発くらいは凌げるんじゃないですか?
UC使用後は速やかに交代します。
私は存分に休むので寝てる間に努力と友情で勝利しといてください。



●悪ガキども
 ドオン、ドオン……。
 そこら中でスパーク音と衝撃が鳴り響き、何度も大きくボディが揺れる。
 ここは惑星ロボの機体内、猟兵交代のために用意された医務室だ。
「なるほど」
 そんな場所で、矢来・夕立は相変わらずの無表情でいた。
「わかっていただけました? 私、乗りたくて乗り込んだわけじゃないんですよ。
 それもこれも、あのおじいちゃんたちが勝手に船を前に出すからで……」
 うんざりした表情で、狭筵・桜人がため息をついた。
 もともと彼は、後方艦隊に乗ってぬくぬくとサボ……支援をしていた。
 が、ノリにノッたレインフォース号が前線に出るのにつられて、
 ついついこのまま惑星ロボに乗り込んでしまった……と、いうことらしい。
「あの死に損なった方々も酔狂なものですね」
「酔狂といえばあなたこそでしょう。矢来さんなんでこんなところにいるんです?」
「あれ、カネになるかと思いまして」
 指差したのはARウィンドウ……映し出されたのはもちろんヴァキアスEAT。
 その姿が黒い奔流となる。ドオン! ひときわ大きくロボが揺れた。
「そういう話してる場合じゃないですよねこれ」
「まあ、仕留めなきゃ材質を調べるもクソもないのはたしかです。
 今やってる方が疲労したら、あなた次行ったらどうですか?」
「は?」
 夕立の言葉に、桜人は割と素の表情で返した。
「正気ですか? なんで私が」
「いやだからそのために乗ってきたんでしょう?」
「ち! が!! い!!! ますよ!!!! 話聞けよこの鉄面皮!!!!!」
「行かないんですか? じゃあオレが行きます」
「え」
 またしても予想だにしない言葉に、むきになっていた桜人はきょとんとした。
 なんでもないように歩き出し、振り返りながら夕立は言った。
「サボりにきたわけではないので。シゴトをこなすのがプロの必須条件ですよ」
 その姿は闇に消える。
 桜人はひとり、その場に残された。

 ……メインコクピット!
 疲弊した猟兵と入れ替わり、夕立は思念兵器の椅子に座す。
 冷静に状況をチェック。どうやら機体はある程度応急処置を施されたらしい。
 駆動率は多少マシになっているが、所詮付け焼き刃のようなものだ。
 過信すれば死ぬ。そして、このポンコツは動く棺桶もいいところだった。
「十分ですね」
 ウソである。彼が毒づかないのは通信が他の部屋につながっているからだ。
 あいにくと夕立はこういうタチなため、気力で現実を上回ることもしない。
 ただ次につなげるため、淡々と彼はシゴトをこなす。
 急速に近づくヴァギアスEAT――その体は三割以上が削れ貫かれ抉られているが、
 敵はむしろ勢いを増していた。クエーサービーストにも感情はあるらしい。
 怒り。殺意。そして捕食欲。
 よだれを垂れ流したヴァキアスEATの血は、それ自体が危険な毒霧だ。
 装甲を補修したとは言え、いまの惑星ロボで触れれば2秒で溶解されるだろう。
 毒霧を振りまく危険な攻撃を、夕立は半ばカンに任せた操縦で回避する。
 付かず離れず、敵の攻撃欲求を誘う抜群の中距離。だがそれも一瞬で詰められる。
「こういう正面切っての戦い、苦手なんですよね」
 事実であった。本来彼の得手は不意打ち――だが今はそうもいくまい。
 惑星ロボは動くたびにスパークを起こす。駆動率が秒単位で下がっていく。
 まるで、破産した大金持ちの預金口座でも見ているかのようだ。
 徐々に敵の攻撃はボディをかすめる。そして命中――否!
「かかりましたね」
 KBAM!!
 ……と、大気なき宇宙に音のない盛大な爆発がこだました。
 超新星爆発かと見紛うほどの閃光は、ヴァキアスEATの感覚器を麻痺させた。
 わずか数秒。夕立はすさまじい倦怠感に全身を襲われ嘆息する。
 緊急リアクターを起動、全力噴射で離脱。
 格好の機会、このチャンスをつなぐのは――。
「頼みましたよ、狭筵さん」
 見透かした声に、それはそれは盛大なため息が応えた。

 ――こういうのは、自分のキャラではない。
 誰かが繋いだチャンスを任されて、一撃を叩き込むなど。
 もっと後ろでのんびり構えるか、前に出るとしても支援がせいぜい。
 命を張ってあれこれするなど、どう考えても割に合わないのだ。
 しかし、なぜだか桜人はそこにいた。
 さっさと降りればいいものを、わざわざコクピットルームまでやってきて、
 このロボットアニメじみた大仰なコクピットに座っている。
「……あーもー、やりますよ。やればいいんでしょ、やれば!!」
 半ば自棄になりながら、桜人はユーベルコードを発動した。
 エレクトロレギオン。惑星ロボの周囲に無数の機構兵器が召喚される。
 それらはどれも、小惑星サイズに等しく拡大されていた。
 同時にバックファイアが来る。全身が鉛と化したような急激な倦怠感。
 自動モードで狙わせればいい――そのはずだ。
「ほんっとうに、根性悪いですよねえ矢来さんは……ッ!!」
 桜人は操縦桿を思い切り押し込んだ。惑星ロボが攻撃指揮を下す。
 BRATATATATATATA! BRRRRRTTTTTTTT!!
 エレクトロレギオンによる一斉射撃! 惑星ロボ内蔵火器のおまけつきだ!
 ああ、なんて疲労感だ。こんなだからメインパイロットは嫌だったのだ。
 おまけにあの老いぼれどものことまで考えてやらなければならない。
 エレクトロレギオンを盾にしながら、敵の視界を突いて射撃を続ける。
 キャラじゃない。らしくない。さっさと横になって眠りたい。
「さっさと! 死んで!! くれませんかねえ!!!」
 もはや飄々とした愛想の良さもかなぐりすてて、桜人は吠えた。
 無表情ながら、疲れ果てて壁に背を預けた忍者はそれを見ていた。
「なんだ。やればできるんじゃないですか。オレは最初からそう思ってましたよ」
 そのセリフはウソである。
 ついでに言えば、悪ガキ仲間に対するあてつけでもあるらしかった。
 轟音と衝撃が絶え間なく襲いかかる。
 彼らを照らす閃光は、まるで朝焼けのようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三咲・織愛
眞白さん(f00949)と

ふふふ……ここで諦める訳にはいきませんよね、眞白さん!
ちょっぴり疲れていますけど、まだまだいけますよ!

鉄 拳 制 裁
純粋な暴力で粉微塵にしてみせます!
一人でいるよりも二人の方が力が湧いてきます
そして、二人よりももっともっと多くの人が支援してくださっているんです
ありったけの想いをパワーに!
星も砕いてみせましょう!!!
……あ、本当に星を砕いたりはしませんよっ

という訳でてやーーーっ! 【想駆星穿】右ストレートパンチー!!!
で、吹き飛んだところをさらに追い掛けて追いうち左ストレートパーーーンチ!!!
純粋暴力完了です!
あとは眞白さんにおまかせしますよ!


神元・眞白
【WIZ/割と自由に】三咲さん(f01585)と一緒に。

大きい。あれだけ大きいのがこの先に何体も?
三咲さんはお疲れですから少しお休みした方が。
……そうですね、今は休んでいる場合ではなかったですね。

こんなこともあるかと思って、お爺ちゃん達に頼んでおいてよかった。
目だたない様にエネルギー吸収機能をつけておいて正解。
レインフォースのエネルギーはもらっちゃうけどこんな時だから、うん。

相手の攻撃に合わせて符を展開。落とされたふりをさせておいて、
その間にビームを撃ってもらって、一旦補給。
そこからは三咲さん式の勢いで相手の攻撃の隙に合わせて攻撃を。
みんなのちからを1つに。たくさんの想いを乗せて



●鉄 拳 制 裁 !
 ZMZMZMZM……ヴァキアスEATが体の欠損部分を補い巨大化していく。
 一体どうやって? 捕食行動によって体を補ったのか?
 否。自然界の生物に、それほどの高速自己再生が可能なものは存在しない。
 すなわち、奇跡の力ユーベルコード――"EATグラトニウム"。
 暴食の名を冠されたこのユーベルコードは、
 ヴァキアスEATが膨れ上がらせた捕食衝動によって自身を強化する。
 おお、なんたることか……ただでさえ巨大な体躯がさらに成長していく!
 ヴァキアスEATの目の如き亀裂が、喜悦を示すように歪められた。
 牙まみれの大口から滴り落ちるのは、黄金外殻をも溶かすほどの消化液……!
「敵は強いですね……けど、ふふふ! こんなところで諦めたりはしませんよ!」
 コクピット席に座った三咲・織愛は、しかし不敵な笑みを浮かべていた。
 他の猟兵たちによって突貫補修が行われたとは言え、惑星ロボは重傷だ。
 あちこちの関節部が絶えずスパークし、レッドアラートが鳴り響き続ける。
 次々に表示されるエラーメッセージは、まるでスパムメールのようだ。
「三咲さんはお疲れですから、すこしお休みしたほうが……」
「いいえ、まだまだいけますよ! 眞白さんこそ、大丈夫ですか?」
 神元・眞白は無表情のまま、ふるふると首を横に振った。
「心配しなくて大丈夫。私は戦術器だから、少しは無理をできる」
「なら……私たちに出来ることをやらないと、ですよね!」
 こくりとふたりは頷きあい、正面の大型ARウィンドウを睨んだ。
 嗤笑するヴァキアスEATへ――いま、新たな挑戦を叩きつける!

 彼女らは同時にメインパイロットとなることで、意識をシンクロさせた。
 ふたり分の出力を得た惑星ロボは、勇ましくバーニアを噴射し急接近する。
 ヴァキアスEATの巨体がさらに膨らむ……正しく言えば相対距離が縮む。
 しかし敵が膨らんだのではないかと思わされるほどの威圧感があるのだ。
「いくら大きくなっても、私たちを怯えさせることはできませんよっ!!」
 織愛は気高く言い捨て、レバーを制御し格闘戦の思念をロボに伝えた。
 惑星ロボは瀑布じみた勢いの消化液噴射を回避、大きくターンしながら側面へ。
 そして横っ面を左拳で叩く! 強烈なブーストフックだ!
 SMASH!! 速度と質量を乗せた一撃は、ヴァキアスEATを大きく吹き飛ばした!
「まだまだいきます! 眞白さん、念の為防御に備えておいてください!」
「わかりました」
 ゴウ、ゴシュウッ! と背部バーニアが全噴射され、惑星ロボが多段加速。
 吹き飛んだヴァキアスEATへの連続パンチ!
 左! 右! 左! 右! 左右左右左右左右左右左右左右!
「たぁあああああっ!!」
 ラッシュというべき強烈な拳の連打が、ヴァキアスEATの外皮を粉砕する。
 吹き出す血! しかしそれは同時に惑星ロボを消化する危険な毒霧にもなる!
「三咲さん、私に作戦が――」
 眞白がそう言いかけたとき、毒霧は触手のごとく惑星ロボを包んだ。
 おお、おお……攻撃に転じたあまり、カウンターで倒されたというのか。
 艦隊からは何も見えぬ。毒霧は濃く惑星ロボの無事も確かめられない!
「……いまが頃合いじゃな」
「うむ! お嬢ちゃんの頼みを果たすときじゃ!」
 しかし! レインフォース号の老人たちは違った!
 彼らは突然最前線に躍り出ると……毒霧の中にビーム砲を打ち込んだ!?
「さあ惑星ロボよ、ワシらのエネルギーで復活じゃあ!!」
 見よ。毒霧の中に輝く、太陽のごとき黄金の光を。
 それは、レインフォース号のエネルギーを吸収した惑星ロボの姿だ!
「……おじいちゃんたちに頼んでおいて、正解でした」
「こ、こんな機能を用意していたんですね、眞白さん……!?」
 どうやら織愛も知らなかったらしい、この秘密のエネルギー吸収機能。
 それは、眞白が持つエネルギー吸収機構を参考に作られたもの。
 毒霧を払った惑星ロボの周囲には、拡大展開された鏡鳴府がバリアめいて広がる!
 噴射される消化液をむしろ逆に吸収し、惑星ロボは回復しているのだ!
「三咲さん、ここからはおまかせ。ユアコントロール」
「はい! ふたりの、いいえ、みんなのありったけの想いをパワーに!!」
 ゴオオウウウン……惑星ロボのツインアイが鈍く輝いた。
「星をも砕いてみせます――これが! 想駆星穿の一撃ですッ!!!」
 SMAAAAAAAAAAAAAASH!!
 人々の思いと祈りを込めた右ストレートが、ヴァキアスEATの体を貫いた!
 白く輝く惑星ロボの描く軌跡は、まさしく流星そのもの……!
 未来を切り開く機械の神は、その役目と意義を人々に見せつけたのである!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニィエン・バハムート
【飛空挺】
とんでもないのが出てきましたわね…!

ユーノさん、『無理』はいけないと言った気持ちに嘘はありませんし撤回する気もありませんわ。
だから…今度は最初から3人一緒に命懸けの『無茶』をしましょう。あなたという仲間を信じますの。※【鼓舞】

アステルさん!まさか、さっきまでの飛行が全力ってことはありませんわよね?
キツイなら飛ぶのも全部私がやってあげますわよ!※【挑発】

私に、竜王に限界はありませんわ!※【限界突破】【封印を解く】
アステルさんに倣い、この獣を踏み台に高く飛ぶことにしましょうか!※【踏みつけ】【グラップル】
超!絶対必滅!!ニィエン・ユーノ・アステルロボキィィィッッック!!!ですの!!!!


アステル・オウラノス
【飛空挺】
うっわデカ。スケール違いすぎて現実味ないじゃん。
てか、ミスった。二回戦あるなら箒も二本用意して貰えばよかった。

専用装備は爆砕した、機体だってボロボロで瞬発力もザコ。詰んだか?
や。でも、ここで逃げるのだけはナシっす。そんなのはダサすぎ。

はー……。こーなりゃ趣味じゃないけど。
竜王様に煽られっぱなしは癪だし。ユーノが機体を直すまでの最終手段ってコトで。
お上品な飛行にはならないすよ! 二人とも覚悟しとくっす!

何もない宇宙を『スカイステッパー』で蹴り飛ばして跳躍。
スラスターでは不可能な鋭角の軌道と、初速を以てピンボールのように鋭く跳ねて敵を翻弄するす。


ユーノ・エスメラルダ
【飛空挺】の三人で

無理がバレてました…(困った感じの笑顔で)
はい。協力して、ですね
サポートは得意です!

●行動
生物でも物質でもない、『護りの狐火』で【かばう】【オーラ防御】を強化して味方の行動を【奉仕】の気持ちでサポートです
この【祈り】の炎は、ユーノたちが諦めない限り消えません…!

そして、少しでもみなさんの操縦の負担が減る様に『電脳ゴーグル』の『マインドダイヴ・ツール』で惑星ロボのシステムに【ハッキング】をして、故障で動かない部分を補う動作が出来る様にモーションの修正を試みます

みんなの祈りと、願いと、思いがこもってるから簡単にはやられません…!
これで…いけーっ!



●誰かではなく、皆で
 惑星ロボ機内に用意された医務室にて。
「……あははは」
 ユーノ・エスメラルダは、困ったような笑顔を浮かべて頭をかいた。
 そんな彼女の前では、ニィエン・バハムートが腕組してむっつりと押し黙り、
 その隣に立つアステル・オウラノスは、ふたりを交互に見てため息をついている。
「……ユーノさん」
「はい……」
 ニィエンが口を開くと、ユーノはしょんぼりした様子で肩を落とした。
 それもそのはず、ユーノはニィエンの忠告を半ば無視して、
 彼らを強化するために自らの生命力を燃やしたのである。
 つまり、"無理"をしたのだ。怒られて当然だと、ユーノ自身は思っていた。
 ……だがニィエンは、重く長いため息をつくと、こう言ったのだ。
「無理はいけない、と言った気持ちに嘘はありませんし、撤回もしませんわ。
 ただ……私が落胆したのは、ユーノさんがそれを隠そうとしていたことですの」
「え……?」
 頭ごなしに叱られると思っていたユーノは、伺うように顔を上げた。
「それならそれで、一言言ってくれればよかったんですわ。
 まあ、だからといって頷いていたかは別の話ですけれど……」
「ようはさ、心配なんすよ。オレも竜王様も」
 間をとりなすように、絶好のタイミングでアステルが口を挟んだ。
「どうせ無茶するなら、みんなで無茶するってのもアリじゃないっすか?」
「ちょ、アステルさん、そのセリフは私が言うつもりだったのに!」
 慌てふためくニィエンの顔を見返し、アステルは悪童めいて笑った。
「じゃあいいじゃないっすか。話が回りくどいんすよ、竜王様らしくもない」
「……むう」
 そんなふうなふたりのやりとりを見ていたら、ユーノは思わず吹き出してしまった。
 それがきっかけとなり、何がおかしいのか、三人は笑い始める。
 しばらく盛り上がったあと、ユーノは笑い涙を拭って、こくりと頷いた。
「……はいっ。わかりました。三人で協力して無茶をしましょう!」
「そう言われると微妙な気持ちになりますけど……まあ、いいですわ!
 ユーノさん、アステルさん、私は信じていますの! あなたたちという仲間を!」
 そう言ってニィエンは、おもむろに片手を突き出した。
 きょとんとして顔を見合わせるユーノとアステル。
 しかしその意図をすぐに理解すると、彼らもその手に手を重ね合わせた。
「飛空艇トリオ、やってやりますわよ!」
「「おー!!」」
 かくして彼らは、メインパイロットとなるためコクピットへと急ぐ。
 あの巨大な怪物を打ち倒すため――いいや、それだけではない。
 この世界の人々に、未来を切り開くことはできると示すために。
 彼らの絆と信頼でもって、星の獣を打ち倒すために!
 少年少女たちは、命がけの無茶をするために戦いへ赴くのだ――!

 そして、コクピットルーム!
 三人は複座式のコクピットに座り、ヴァキアスEATと対峙していた。
 惑星ロボの状況は、三人の誰もが思っていたよりも悪い。
 機動制御を受け持ったアステルは、その駆動率に思わず顔をしかめた。
「なんだこりゃ……動けてるのが不思議なくらいじゃないっすか。
 おまけにもうあの箒はないしなあ……こりゃちょっとまずいかもっす」
「あら、アステルさん。まさかさっきのが全力だなんておっしゃいますの?」
 などと挑発的に言いながらも、ニィエンは信頼を込めた笑みを見せた。
「あなたなら出来ますわ。おまかせしますわよ」
「……仕方ないっすねえ! ユーノのほうはいけるっすか!」
「はい! こっちでシステムを修復すれば、ある程度は……!」
 最後部のパイロットシートに腰掛けたユーノは電脳ゴーグルを装備し、
 スパゲティコードめいてぐちゃぐちゃになった惑星ロボのシステムにアクセスしていた。
 突貫作業で組み上げられたそれは、まるで迷宮のように入り組んでいる。
 しかし、電脳魔術士のはしくれとして、ここで怯んではいられない。
 少しでもアステルとニィエンが快適に戦えるよう、彼女は彼女の戦いに没入する。
 そんなふたりを包み込むように、護りの狐火が星のように瞬いていた。
「へ、ここで逃げるのだけはダサすぎっすからねえ。そんじゃま――」
「ええ、いきますわよ!!」
 ゴシュウッ!! 惑星ロボがバーニアを噴射し加速した!
 ヴァキアスEATは、そんなものは見切っているとばかりに大口を開け、
 惑星ロボが接近してくるであろう空間ごと、ばくりと飲み込んだ。
 しかし、見よ。惑星ロボはヴァキアスEATの大きな口のギリギリのところで角度を変え、ほぼ直角的にターンをするとさらに上方へ移動していた!
 遠くから見れば、それはZの字を描いているように見えたことだろう。
「きゃあっ!?」
 作業に集中していたユーノは、その加速に思わず悲鳴を漏らした。
「す、すごい機動ですわね、これは……!」
「竜王様に煽られっぱなしじゃ収まりがつかないっすからねえ!」
 驚くニィエンに意趣返しめいて言いながら、アステルは意識を集中させる。
「箒がなきゃ飛べないってわけじゃないんすよ、こっちは……!
 ちっぽけな"人間"だからこそ出来る小細工、魅せてやろうじゃねえっすか!」
 ギュンッ、ゴウッ!!
 アステルはスカイステッパーによって宇宙の真空を"蹴り飛ばし"、跳躍。
 スラスターやバーニアではどれほど細かく装備しても不可能な、
 人間的なピンボールめいた鋭角機動でジグザグを描き、敵を翻弄する。
 ヴァキアスEATは毒霧を噴射し、喰らい、あるいは吹き飛ばそうと荒れ狂うが、
 まるで挑発するように、惑星ロボはそのギリギリをかいくぐるのだ!
「残り5回……! 最後の一回で敵の上取るっすよ、竜王様!」
「わかりましたわ……その瞬間、コントロールをこちらへ!」
 アステルは頷き、宇宙の暗黒を蹴る。残り四回。
 真上に大口を開けたヴァキアスEAT。真横に跳躍。残り三回。
 さらに上へ跳躍――と見せかけ、ユーノが調整したばかりのバーニアを全力噴射。
 ヴァキアスEATの想定を越えた加速で、消化液を振り払う。
 さらに跳躍、残り二回。……さらにさらに跳躍! 残り一回!
「こいつで……ラストォ!!」
 最後の跳躍! それは上ではなく、下!
 見よ、超加速を得た惑星ロボはヴァキアスEATの直上を取っている!
「全噴射機構調整完了……加速の負担はこちらで受け持ちます!」
「上等ですわ!!」
 ユーノの言葉に応じ、メイン権限を得たニィエンが咆哮をあげた。
「私に――私たちに! この竜王ロボに限界は、ありませんわっ!!」
 加速・加速・加速加速加速加速加速――もはや速度は亜光速へ!
「超! 絶対、必滅ぅ――ニィエン・ユーノ・アステル!
 ロボ――キィイイイイイッッック!!!!!!!!!!」
 螺旋回転を乗せた必滅の一撃が、いままさに最後の壁を越えた。
 光条は黒き巨体をまっすぐに貫く。それはまるで世界樹のように。
 世界そのものを支えるアトラスじみた膂力が、踵一点に集中し、爆砕!
 いま、星の獣をも貫く、最強の一撃となって解き放たれたのだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジョン・ブラウン
◎【スペース悪巧み】

「いやぁボロボロだね、刀折れ矢尽きとはこの事だ」

「僕としちゃもう休んでも良いと思うけど――君はどうだい」
惑星ロボにワンダラーを接続、ウィスパーを介した<対話>を開始

「……オーライ、オーライ、オーライ」
<士気未だ軒昂、されど損傷は誤魔化せず>

「なら、誤魔化してやろうじゃないか」

「聞いてたかいリチャード?神様をペテンにかける準備はオーケイ?」

<追加インターフェース展開、入力準備完了>

「プログラマーの魔法の言葉だ、”何で動くか分からんが、動くからヨシ!”ってね」

「なぁに、不格好だろうが精神論だろうが、勝てばいいのさ」

「あ、ちょ、クマゴロウここ狭いから入れな(足蹴にされる」


詩蒲・リクロウ
◎【スペース悪巧み】
ふぅ……(行間で様々な苦難を乗り越え無事にロボットに帰還)

なんか流れで次のメインパイロットに僕らしいですけどー、僕は皆さんの様に器用ではないですし、ていうかここまでで既に僕ボロッボロなんで一撃しか打てません。

けど、僕達はチームです。一人と一機で足りなくても二人、一匹、一鹿、一つ、一機なら……単位が多いな……。
ごほん、こんな状況もきっと打破できる筈です!

……周りが喧しい……
要は勝てばいいんですよ!

貴方も含め今この時、僕達こそが「スペース悪巧み」!!!!!!

この一撃を受けてみろ!!!!!!!

グラウンドォ……

クラッシャーーーーーーーーーーーッッ!!!!!


ティアー・ロード
◎【スペース悪巧み】

「誤魔化す?それでは少し足りないな」
相手はマインドミナBVAよりも強大だ
ましてや相手はさらに巨大化している

「そう、少しだけ足りない……故に!
私たちが猟兵と呼ばれる所以を、
奥の手を見せて上げようじゃないか!」

コックピットから飛び出してマイン
猟兵たちが作り上げた惑星ロボに取りつくよ。

「コードセレクト、ザ・ワン!」
使用コードは刻印「真正真銘」!
私の持つ戦闘技能及び念動力の元であるサイキックエナジーを代償に
装着者を強化する刻印だ!
本来なら真の姿も解放するのだけど、さて……マインだと如何なるかな?

「問題はこの刻印を使うと私はもう何もできない事だけど……
まぁ、勝てばいいのさ」

「皆でね」


リチャード・チェイス
【スペース悪巧み】
ペテンとは失敬であるな。
私は常に誠実な言動を心がけているのである。
それはそれとして、鹿が創造せしものであれば鹿に直せぬ通りはない。
惑星ロボ、ニールス・ホーゲル君(勝手に命名)
私を信じたまえ。

(ポテチを摘まみながら高速タイピング。
流れるようにプログラムを打ち込んでエラーへ対処していく。
画面に怒涛のように流れる制御コード・バックドア・裏コマンド。
そして、最後に必殺の一文が撃ち込まれる。カチャカチャ、ターン)

// ここの処理に意味はないが、あると何故か動く

つまり……勝てばよいのである。


曾場八野・熊五郎
◎【スペース悪巧み】
「よっしゃトリニク、あの口だけ蛇がなんか食べてるうちにさっさと倒して餌を回収するでご……わ?」(周囲に漂う餌天の川を貪るヴァキアスを見る)

「あああああトリニク早くしてー早くしてー!我輩のぶんがー!」
「ええいまどろっこしい!ちょっと我輩にもやらせるでごわ!」(サブパイ席に座る)
≪不明な畜生が接続されました≫

「星の獣だろうがこっちは首輪付き賢い獣+αでごわ!狩りは連携が第一!勝てばいいのでごわす!」

「二本足より四本足の方が移動が上手いのは当然!道中は我輩が全部何とかするからトリニクは殴ることだけ考えるでごわ!」(『野生の勘、追跡、ダッシュ』で敵の攻撃を回避して移動を補助する)



●スペース悪巧み、見参!
 ヴァキアスEATは、"捕食"という生理行動に特化した個体である。
 そもそもクエーサービーストが、尋常の生命体と同じ生態を持つのかどうか、
 意識や感情があるのかどうか、何を目的としているのか。
 それらは何一つ判明していない――そして現在確認されている限り、
 クエーサービーストが食事や睡眠を必要とする形跡は一切見られていない。
 にもかかわらず、ヴァキアスEATは獲物を捕食する。
 それはおそらく存在を維持するためではなく、"そういう生物だから"なのだ。
 生物は生きるために捕食する。そこに善悪はない。
 だが"喰うために喰らう"というべきヴァキアスEATは、まさに邪悪。
 生命体すべてに反旗を翻す、見逃してはならないオブリビオンなのだ……!

 ……とまあ、そういうシリアスは話はともかく。
「ああーっ!! あああああああーっ!!」
 曾場八野・熊五郎は叫んでいた。だばだばと涙を流していた。
 何故? それは、割と自業自得な話の上に迷惑なことこの上ないのだが、
 とにかく前章で彼がばらまいたあの犬の餌が原因である。
 ……犬の餌。それはつまり、食物である。
 天の川よろしく宇宙にばらまかれたそれは、もちろん戦場に残っている。
 さて、そして敵はヴァキアスEAT。"捕食"を行動原理とする危険なクエーサービースト。
 すると何が起こるか? 相手が餌食いまくりなんだよ!!
 なんか捕食するとパワーアップすると書いてある敵相手にこの惨状。
 狙ってやったのか? いや、そのはずはない……ないが、このざまである。
 やっぱりスペース悪巧みってすごい。心からそう思いました。

 ……それはともかく!
「トリニク早くしてー早くしてー! 我輩のぶんが食べられるでごわすー!
 はやくあの口だけ蛇をさっさと倒して餌を回収するでごわすー!! ああー!!」
「さっきから喧しいですねこの犬! 僕戻ってきたばかりですよ!?」
 なにやら全身ズタボロの詩蒲・リクロウがうんざりした様子で叫んだ。
 あれ? こいつさっきボールになって盛大に吹っ飛んでなかったか?
 そんなツッコミは無粋だ。ついでに言えばこいつらには無意味である。
 それこそ微粒子レベルで散華したとしてなんでか回復している。
 それがギャグ補正。そいつを味方につけたスペース悪巧みは無敵なのだ……!
 心強いんだか厄介なんだかわからない。だってその被害味方にも出るし。
 まあともあれ、リクロウは様々な苦難を乗り越えて無事に戻ってきたのである。
 宇宙空間に住まう恐るべき宇宙人(おそらく幻覚である)との戦い、
 異次元から侵略してきた強大なる第五次元人との闘争(おそらく幻覚)、
 はたまた未開の惑星を舞台にした美少女たちとのめくるめく冒険(幻覚)、
 あとこうなんか色々、そういうのがあったんだと思う。まあ幻覚なんだけど。
「だいたいあれ完全に熊五郎さんの自業自得じゃないですか……」
「うん、ていうかやかましいからクマゴロウちょっとこっち来ようね」
「キャイン!!」
 げしっ。おもいっきり雑に足蹴にするジョン・ブラウン。
 そして彼はおもむろにサブパイロット席に腰掛けると、再び"ウィスパー"を接続。
「いやぁしかし、あっちもこっちもボロボロだね。刀折れ矢尽きとはこのことだ」
『そうだね。敵も相当の重傷だが、マインも相当無理が効いてる。
 私たちが力を合わせたとしても、それだけでは足りないかもしれないな』
 いつの間にそこに居たのか、ティアー・ロードがその言葉に頷く。
「ならば諦め屈するのであるか? それもまた鹿のひとつの生き方なのである」
「いや勝手に惑星ロボまで鹿にしないでくださいよ!?」
「すべては鹿に通ず――古代ローマのことわざである」
「全然話聞いてないですねこの人!!!」
 リクロウのツッコミも完全スルーのリチャード・チェイス。
 そしてキャンキャン喚く熊五郎。ともあれそんな五人を見渡し、ジョンは笑った。
「みんなやる気みたいだね。僕としちゃもう休んでもいいと思うんだけどな。
 ――とはいえ、僕らだけで決めたら可哀想だ。だから、"君"にも聞いてみよう」
 ウィスパーを介し、ジョンは対話を行った。
 誰と? ……それは、彼らが乗り込むこの機体。
 すなわち、惑星ロボそのものに、話しかけたのである。

 ――ゴウウンン……。

 あちこちから血のようにスパーク電光を散らす惑星ロボが、身動ぎした。
 ツインアイが鈍く輝き、誰も操縦していないのに拳を握りしめる。
 それは意思表明だ。誰でもない、惑星ロボ自身による意思表明。

 まだ、戦える。
 まだ、やれる。
 否、やらなければならぬ。

 声なき声がそう応えていた。

 我はそのために鋳造されしもの。
 此度の戦いで我は潰えよう。
 跡形もなく消えて失せ、何も遺るまい。

 ゴウウン――惑星ロボはひとりでにファイティングポーズを取った。

 されど、それでよし。
 我はそのために鋳造されしもの。
 この戦いを以て、未来への階となるもの。

 ジョンはその声をウィスパーによって変換し、仲間たちに聞かせた。
 そして四人を振り返り、肩をすくめると、やれやれといった様子で頭を振る。
「オーライ、オーライ、オーライ」
《士気、未だ軒昂。されど損傷は誤魔化せず。戦闘行動は危険です》
「なら、ごまかしてやろうじゃないか」
 ウィスパーの言葉にジョンは言い、リチャードを見た。
「聞いてたかいリチャード? 神様をペテンにかける準備はオーケイ?」
「ペテンとは失敬であるな」
 ふんす、と不服そうに鼻息荒く言いながら、リチャードは続けた。
「私は常に、誠実な行動、清廉な行いを心がけているのである。
 人には優しく、鹿にも優しく。仲間に対しては全幅の信頼を置くものゆえ」
「……(突っ込むな僕、ここはツッコミを入れるな……!!!!)」
 背景でぷるぷる震えてるリクロウはさておき。
「それはそれとして、鹿が創造せしものならば鹿に直せぬ道理はなし。
 惑星ロボ――いやさ、我が鹿ロボ、ニールス・ホーゲル君。私を信じたまえ」
『いやこの子の名前はマイン』
「名前とかどうでもいいから我輩の餌を回収してほしいごわー!!」
 やかましい外野(具体的に言うとティアーと熊五郎)を放置して、
 リチャードはオペレーター席に腰掛けるとポテチをつまみだした。
 片手間じみた作業ではあるが、そのタイピング速度はもはやヤバイ級だ。
 するとどうだ、レッドアラートとともに表示される無数のエラーが、
 あかあかと染まったARウィンドウが次々に消えていくではないか。
 代わりに画面内に流れるのは、瀑布のごとき超高速のコマンド群!
『さすがはリチャードだね。だが"ごまかす"だけでは少し足りないな。
 ゆえに! 私たちが猟兵と呼ばれる所以を、奥の手を見せてあげよう!』
 颯爽たる言葉とともに、ティアーは……なんと、機外に飛び出した!?
 惑星ロボと睨み合うヴァキアスEATの、眼なき凝視が彼女に突き刺さる!
 しかしティアーが向いたのは敵の方でなく、惑星ロボのほうだ!
『コードセレクト、真正真銘(ザ・ワン)!!』
 ティアーの体は純粋なサイキックエナジーに還元され、光の粒子となる。
 その光は惑星ロボの全身と一体化――黄金外殻が太陽じみた輝きを放つ!
 不格好なその身はメキメキと音を立て、よりヒロイックに変じた!
 半壊したボディを無理矢理に覆ったその姿はいかにもアンバランスだが、
 それがかえって、いくつもの戦傷をたたえた戦士めいて勇猛さを感じさせた。
『さあ、これで準備完了だ。あとは任せたよ、みんな!』
 ゴウ、ゴシュウ……惑星ロボがバーニアを噴射し、機動する。
 ヴァキアスEATが動いた。この事態を看過してはならぬと判断したのだろう。
 消化液を噴射し、逃げ道を塞いだ上で捕食にかかるという二段構えの攻撃!
「ええいまだるっこしい! 我輩にもやらせるでごわ!!」
「あ、クマゴロウ!」
 ジョンの制止を無視し、サブパイロット席にすっぽり収まった熊五郎!
《不明な畜生が接続されました》
「星の獣だろうが、こっちは首輪つき賢い獣+αでごわ!!」
「プラスアルファにひとくくりにするのやめてもらえませんかねぇ!?」
「狩りは連携が第一! 勝てばいいのでごわす!!」
 リクロウのツッコミも無視。熊五郎は無理やり機体を動かす!
 消化液をかわし、捕食攻撃を回避し、変幻自在の機動でヴァキアスEATを翻弄だ!
「うむ、見事である。ではこれにて、我が最後の一文としよう」
 カチャカチャカチャ……ッターン!
 ARキーボードをなぜか力強く叩くリチャード。
 画面に雄々しく表示された、その最後の一文は……!

 // ここの処理に意味はないが、あるとなぜか動く。

「――つまり、勝てばよいのである」
「その文不安しかないんですけどぉおおおおお!?」
「いやいや、プログラマーの魔法の言葉だ、信頼に値するよ」
 リクロウに対してジョンは言い、すべての制御権をリクロウへ。
 彼自身は惑星ロボとの接続を維持する。惑星ロボは彼らの心意気に応える。
 出力が高まる。惑星ロボの全身がまばゆく輝き、スピードは音を越えた!
「不格好だろうが精神論だろうが、勝てばいいのさ」
『そうとも、皆でね!』
「動きは我輩が全部なんとかするでごわ! トリニクは殴ることだけ考えろー!!」
「ああもう、やかましい人たちですね……!」
 言いながらしかし、リクロウの声音は笑っているように思えた。
「ひとりと一機で足りなければ、一匹! ひとつ! 一鹿も加えれば!
 ……単位が多いですが、とにかくみんななら! この一撃いけますよ!!」
 ギュン! 惑星ロボが光の帯となった!
「グラウンドォ――クラッシャーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
 ゴオオオオオオウウウ……KRAAAAAAAAASH!!
 おお、見よ! これぞスペース悪巧みの意地と信念の一撃!
 彼らとて、猟兵。奇跡を以て世界をも捻じ曲げる者たち!
 すべてを込めた一撃が、ヴァキアスEATの体にけして癒えぬ傷をもたらした……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
アドリブ共闘歓迎
相変わらず機体サポートが主

後方にはナイチンゲール号や皆もいる!
ここで沈むワケにはいかない

「損傷増大、メイン動力の駆動率低下……エネルギーバイパスをマニュアル接続!
……確保、まだ行ける!」

持てる演算応力でメインパイロットを全力サポート!
(情報収集、学習力、ハッキング、戦闘知識)


さらに、機会を創るべく、
一撃だけコンソールを回してもらって、
UC【封絶の三重錨】!

どんなに早くても、機動を読めば、捕まえられるはずだ

動きが止まればコッチのモノ
他猟兵にチェンジ!

「機体の制御はボクに任せて、叩き込むんだ! さあ、いくよ!」


ジャガーノート・ジャック
★レグルス/アドリブ歓迎

(ザザッ)
――ロボの耐久性低下。機体の保護が必要と判断する。

策はある。
"Wild Hunt"を使えばロボの稼働を補助できる筈だ。

君が剣になるなら機体オペレーターが一人必要か。幸いケンタッキーがいる。奴に任せれば……

何だロク?聞こう。

彼か。
頼れそうか否かで言えば否寄りに見えるが……

だが君の事は信じている。
ならば彼も信じよう。

(――ザザッ)
聞こえるな、"色男"。
現在ロボは本機とロクが武装と化し補助中。
操縦者が必要だ――同じ名前を持つよしみで君に任せる。

操作がし易い様改造も済んだ(防具改造×操縦)。後は君達の手で君達の道を切り開け。

ユアコントロール、グレイテスト号。
(ザザッ)


ロク・ザイオン
★レグルス
※お任せです

じゃあ、おれが剣になる。
(乗り手がいなくなる。それなら)
ジャック。
キミが信じる、おれを信じろ。
あの「ジャック」は、とても、とても、"いい男"だ。
……あんまりそう見えないな。それな。わかる。

(「捧架」で剣に変じる前に、叫ぶ)
ジャック!!
ドリー!!
おれたちを、任せた!!
おーば!!!

……ワイルドハント、群れで狩り、だろ。
じょーとー、だ。

(「捧架」
星を喰らう獣を断つ剣に
全火力を尽くして【焼却】する)


トルメンタ・アンゲルス
ハ、ここに来て新顔のお出ましとはねぇ。
良いじゃないか、宇宙(せかい)!
まだまだ踏み込めるじゃないですか!

――ヘイ、ロボ。
まだ走れるだろう?
さぁ、征こうじゃないか。

炉心のパワーが足りないか?
炉心なら、ここにもあるぜ!
パワーラインを繋げ!
俺の有りっ丈をくれてやる!
全力を叩きつけてやるぞ!

リミッター解除!
真の姿解放!
覚悟は疾うに出来ている!
捨て身の一撃だろうと構わない!
お前をここで消し飛ばし、更にその先へ征く!

全パワーライン、出力全開!
『Power Line,Full Open. Maximum Drive――』

ウオオオオオオオ!!
バスタアアアアアノヴァ!!
スパアアアアアアアク!!!


ロニ・グィー
【wiz】
アドリブ・連携歓迎

アハハハハ!すごいすごい!
君が今日のメインイベントだね!

じゃあ引き続きロボくんの援護をしようか
とはいってもこれじゃあちょっと厳しいかな?
それじゃあボクはとりあえずは球体くんたちで壁を作ってもらって時間稼ぎをしよう
その間に、「叡智の球」をロボくんに接続して(もらって)時空を揺るがす魔力を注ぎ込む
そして、限定的にボクの創造物とみなしてUCで彼に命を吹き込むよ
与えるのは知性、というか気合!気合さえあればなんとかなるって言うものね!
人の夢、人の願いを託された君は、果たしてどんな心を持つのだろうね……
それをボクに見せてよ!
アハハハハハ!いいぞー!それ!やっちゃえーっ!!


ヌル・リリファ
……確実じゃない。これにかけるのは正直リスクのほうがおおきいともおもう。
だけど、なんとなく。さっきつかった感覚だと、大丈夫なきもするんだ。明確な根拠があるわけではないけれど……。やってみてもいいなっておもうくらいにはね。

UCの武器はあくまでエネルギーだから、分解はできないはず。
あとはロボへの負担だけど……。物理的にできるだけ距離をおきつつ魔力でまくをはって(【オーラ防御】)保護するよ。

このふねのひとたちは、きらいじゃなくて。あんまりしんでほしくはないから、がんばるよ。

……わたしはこころをもっている。それは不安定で、たよりたいものではないけれど……。たしかにちからをもっているっておもわされるね。



●"P" is for Planet Robots
「……はああああ!?」
 最前線からやや後方、支援艦グレイテスト号艦橋。
 惑星ロボから突然の通信を受けた艦長・"色男"ジャックは、
 突然のことに声をあげた……だが、彼の反応も無理からぬものである。
 パイロットを務めていたジャガーノート・ジャックとロク・ザイオンの言葉は、
 この状況で言い出すことにしては、正気とは思えない内容だったからだ。
「待て待て待て! 冗談きついぜ兄弟! いくらなんでも……」
《――ジョークの類ではない、"色男"》
 ろくでなしとも呼ばれるちゃらんぽらんな男の自称を、ジャガーノートは呼んだ。
 サーカス艦の座長であり艦長は、その言葉に押し黙る。
 本来彼らは、数奇な縁から結ばれた義兄弟のような親友のような間柄として、
 この世界を舞台にした様々な戦い、そしてイベントで肩を並べてきた。
 いまは"あるどうしようもない事情"により、ジャガーノートはそれを喪失している。
 ……その彼が"色男"と呼んだことは、ただならない意味を持っていたのだ。
《――正直言って、本機自身は君のことをあまり信用していない》
 ジャガーノートの電子音声は淡々としたものだった。
《――君の風評をさきほど検索してみたが、散々なものだ。
 加えて戦闘前のやりとりからして、君が風評通りの男だと一瞥で分かった》
「な、ならどうしたって……俺に戦うのを任せるってんだ」
 ジャガーノートとロクの提案。
 それは……猟兵でもなければ戦闘要員でもないこの"ろくでなし"に、
 あろうことか宇宙ロボの操縦を任せようという、とんでもない申し出だったのだ。
《――だが、本機の相棒が君を信じている》
 惑星ロボ、パイロットルーム。
 ジャガーノートの前に立つのは、相棒であるロクだった。
『キミが信じる、おれを信じろ』
 ロクのその言葉が、この荒唐無稽な作戦を決断させるきっかけとなったのだ。
『あの"ジャック"は、とても、とても、"いい男"だ。
 …………あんまりそう見えないな。それな、わかる』
 ロクはジャガーノートを見つめ続けている。さきほどの言葉が脳裏によぎった。
 わかる、と頷きつつ、しかしロクははっきりと言ったのだ。
『それでもおれは、あいつを信じている』
 と。
「…………」
《――ゆえに、本機と同じ名前を持つ男。本機は君を信じよう》
 それがこの男にとって、どれほどの殺し文句か、彼はわかっていまい。
 ジャガーノートはある事情から、とても重要な記憶を喪失した。
 多くの戦いの記憶、その戦いで結んできた繋がりに関わる記憶を。
 それでもこの"ろくでなし"のほうは、それを覚えているのだ。
 その"兄弟"が、信じると言った。……ろくでなしは、笑い出した。
「ははははははっ! ……そう言われちゃ仕方ねえなあ」
 やれやれといった様子で頭を振る。
「しかしよぉ、なら兄弟たちはどうするってんだ?」
《――本機はユーベルコードで惑星ロボの稼働を補助する》
「おれは、剣になる。それで、武器と鎧が揃う」
 ロクとジャガーノートは顔を見合わせ、頷きあった。
 ゆえにパイロットが必要なのだ。そして彼らはその一翼をこの男に任せることにした。
 まったく馬鹿げた作戦だ。惑星ロボは、猟兵だからこそ稼働するもの。
 ユーベルコードを拡大するのは、彼ら自身が惑星ロボに想いを込めたからこそ。
 思念兵器マインドは、戦う才能もない男に応えはしないのである。
「けどよ、さすがに俺じゃあお前さんたちみたいに戦うことは――」
 それでもまだ、ろくでなしのジャックがそう言いかけた、その時。

『いやあ、そうでもないかもしれないよ?』
 と、その会話に参加していたすべてのものの脳裏に、声が響いてきた。
 声の主は、惑星ロボの近くに浮かぶひとりの少年が発したものである。
 桃色頭の少年、ロニ・グィーは、いかにも面白そうに小首をかしげた。
「いいじゃん! ボロボロの機体で死闘を繰り広げて、そこに常人が参戦?
 どんでん返しの連続で悪くない! ボクもちょっと本気だそうかなってね」
 一見すると年端も行かない子供に見えるがその実、ロニは神である。
 彼の周囲には大小様々な霊球が付き従い、ヴァキアスEATを相手していた。
 さらに別の浮遊球体が複数、ボロボロの惑星ロボに"接続"する。
「あいつはオブリビオン、つまりボクらにとっての天敵なワケ。
 意思があるかはわからないけど、あいつはボクらの行動をある程度予測してる。
 なら、何の力もない人間がそこに加わったら? ……読めるわけないよね!」
 ロニは段々と声の調子をあげながら捲したてた。
「それならさあ、もうひとつピースを追加してみるのはどうかなあ?
 ――さあ、起きなよロボくん。これは、キミの戦いでもあるんだから!」
 "叡智の球"を通じ、流し込まれたもの――それは、ロニ自身の膨大な魔力。
 神気を浴びた惑星ロボのツインアイは、眩い黄金色に輝いた。
 ロニは知っている。惑星ロボそのものに語りかけた猟兵たちがいることを。
 そもそも、これだけの猟兵たちと人々の祈りと想いを受けた機械が、
 ただの機械でいられるわけがないのだ。だから、必要なのはきっかけだけ。
 おお、見よ……惑星ロボが、ひとりでに駆動し、拳を握りしめた!
 どくん、どくん……と、その機体全体が生命の脈動に身じろぎしている!
『嘘……!?』
 オペレータとしてシステムの調整を担当していたリア・ファルは、
 その奇跡的現象に目を剥いた。システムのレッドアラートが消えていく。
 突貫作業で無理やり"ごまかしていた"システムが急速に回復したのだ。
 そして感じる。バーチャルキャラクターである彼女はたしかに感じた。
 システムが返す意思のエコー、吐息めいた残響、そして生命の暖かさ……。
『惑星ロボは、"いのち"を得たんだ。この子は、今は立派な知性体だよ!』

 ――ゴウウン……。

 惑星ロボが、リアの言葉を肯定するかのように震えた。
 "対話"のためのシステムすら必要ない、まったき知性の煌めきが双眸に宿る。

 我は未来を切り開くために鋳造されしもの。
 このひとたびの戦いに全てを燃やし、燃え尽きるもの。
 ゆえに我が名は惑星(Planet)、燃え尽きるさまは流星の如く。

『……キミは、自分が試作型でしかないことをきちんと受け入れているんだね』
 壊れることを厭わないと豪語する惑星ロボの意識体に、リアは瞼を伏せた。
 己もまた、人と人の媒と成り、未来を切り開く礎となることを決めたもの。
 ならば同族として同志として、彼の戦いをサポートしない理由はない!
『エネルギーバイパスをマニュアル接続! 足りない出力はボクから供給する!
 だから心配ない、戦えるよ! 誰かだけじゃない、みんなで戦おう!!』
「――と、まあそういうワケさ。だからさあ、やってみせてよボクの前で!
 この世界に生きてる人たちと、猟兵と! 新たに生まれたいのちと!
 キミたちがどんな戦いをするのか、敵を倒せるのか……その結末をね!」
 ロニは超然的に言い、無数の球体でヴァキアスEATを圧倒した。
 ロクとジャガーノートは顔を見合わせ、それぞれにユーベルコードを発動する。
《電脳体離散、装着対象指定――プログラム"Wild hunt"、起動》
「群れで狩り、だろ。じょーとー、だ。おれたちで、戦うんだ!!」
 ロクのその身は、惑星ロボの巨躯にふさわしい燃え上がる剣へ。
 ジャガーノートの全身は電脳体へと変換され、惑星ロボと一体化する。
「ええい畜生、どうにでもなれってんだ!!」
 そしてグレイテスト号から、"ろくでなし"のジャックが惑星ロボに到着!
 しかし、戦うパイロットは彼だけではない。
 いくら多くの猟兵と、意志を萌芽させた惑星ロボの助けがあったとて、
 あくまで常人でしかない彼に戦う術はない。ともに戦う猟兵はさらにふたり。
「いいですねえ艦長! あなたも燃えてきませんか!?」
 なにやらハイテンションで語りかけたのは、トルメンタ・アンゲルスだ。
 恐るべきクエーサービーストを前に、しかし戦乙女は震えていた。
 恐怖? 否、武者震いだ。そしてなによりも――未知への期待と歓喜に!
「見知らぬ敵! 誰も踏み入れたことのない宇宙! 世界にはまだ"先"がある!
 まだまだ踏み込めるなんて、いいじゃないか世界! まったく頼もしい!
 ――俺たちで、見に行こうじゃないですか。この宇宙の果ての果てを!」
 トルメンタは謳うように言って、自らが座るコクピットシートを撫でた。
「ヘイ、ロボ。あなたも見たいだろう? 全員で、一緒に」
 応えるように、機体が震えた。装甲の下でトルメンタは笑う。
「必要なエネルギーは俺と相棒のコアマシンからも組み上げます!
 リアさんの支援もあるならなおさらだ! 動きを止める役目は、いけますね!?」
「――うん。わたしが、クエーサービーストをおさえてみせる」
 同じように複座に乗り込んだヌル・リリファが、こくりと頷いた。
 彼女は見てきた。この宇宙に生き、そして戦う人々の姿を。
 ナイチンゲール号。
 レインフォース号。
 グレイテスト号。
 そのほかにもたくさんの――そしてそこに住まう人々の生き様を。
「わたしは、人間じゃない。人形でしかない。でもわたしはそれでいい。
 だってわたしは、マスターのつくりだした最高傑作で、そして……」
 ヌルは胸元に手をおいた。
「……わたしは、こころをもっている。とっても、不安定な、だけど」
 戦術的に考えれば、そんな未知の力には頼るべきではない。
 合理的なシステムはそう答えを出す。だが一方でヌルは決めていた。
「この"こころ"が――わたしたちみんなにあるものには、ちからがある。
 ……その"ちから"を使えば、どんな敵だってたおせる。だから、だいじょうぶ」
「さあ決まりだキャプテン! 一蓮托生、腹くくってもらいますよ!」
「……くそったれぇ! どうにでもなりやがれ!!!!」
 三人のパイロットと、ひとつの意志、ふたつの電脳存在、一振りの剣。
 それらを乗せ、惑星ロボはバーニアを噴射した。勇ましく!
 惑星ロボは意思の限りに燃焼剤を燃やす。だがまだパワーが足りぬ!
『エネルギー出力さらに上昇……! ここで、止めたりなんかしない!!』
「俺のありったけをくれてやりますよ! 炉心接続、この命を持っていけぇ!!」
 リアが、そして体内コアマシンを直結させたトルメンタが吠える!
《――全ユニット、出力輪転。機体制御および出力上昇に注力》
 さらに同化したジャガーノートの支援! 黄金の噴射光が軌跡を描いた!
「――ヴァキアスEAT。あなたにも、たべられないものはある」
 そしてヌル。彼女もまた、己の制御端末を惑星ロボと同期させた。
 黄金外殻と額の水晶ユニットがシンクロし、眩い輝きを放つ。
 輝きは装甲から剥離し、無数の剣あるいは槍となってほとばしった!
「このふねの――ううん、このせかいのひとたちは、しんでほしくない。
 だから、食べさせたりしない。わたしは、ぜったいに、あきらめない――!!」
 神の裁きじみて降り注ぐ無数の光は、刃となって巨体を貫いた。
 さながら標本にピン留めされる剥製めいて、ヴァキアスEATは串刺しとなる!
『グラビティアンカー、射出!! さあ、あとは叩き込むんだ!!』
 リアが繰り出した三重の鎖が、光の剣雨ごと巨体をがんじがらめにした!
「アハハハハハハ! いいぞー! そーれ、やっちゃえーっ!!」
 ロニは手を叩いて声援を送った。そして彼は、そこに光を見た。
 光の速度に達した――否、それだけではない。
 思念兵器の限界を越え、人と猟兵と機械とが一心同体となった輝きを!
《――ユアコントロール、パイロット。さあ、叩きつけてやれ》
『おれたちの!! いのちの力を!!! 見せろ!!!!!』
 刃となったロクが咆哮する。その刃がすさまじいまでに灼熱を放った!
「覚悟はとうに出来ている! そうでしょうキャプテン!?」
「……ああ、ああ! あの戦争の時点で大概だよこんちくしょう!!」
 やけっぱちめいて叫んだ"色男"の言葉に、トルメンタは笑った。
 剣となったロクの刃が放つ灼熱に、コアマシンの緑が混じり合った!
 パワーラインフルオープン。最大出力攻撃(マキシマムドライブ)!
「「「『『『《ウオオオオオオオ――ッ!!》』』』」」」
 咆哮を声にしたものも居た。
 声ならずして心で吠えたものもいた。
 命を振り絞ったものがいた。
 炎を燃え上がらせたものもいた。
 しかしてその心はひとつ。
 この敵を討つ。ただそのためにすべてを賭ける!
 燃え上がる緑と赤の炎は、惑星をも断ち切るほどに延びて、伸びて、伸び上がった!
 これこそ超新星をも撃つ必殺の輝き、バスターノヴァスパーク!
 ――オオオオオオオオオオ……!!
 もはや誰の声でもない、すべての意思が混じり合った咆哮。
 鋼をも震わせるそれは宇宙の真空を轟き、世界そのものに名乗りを上げる。
 星の獣よ、見るがいい。そして畏れよ!
 これこそが汝らの仇敵と、脆弱なる人々、そして機械の愛子が生み出したもの。
 汝らを討ち、破滅の終焉を過去とする一撃――!!

 …………そして光は、ヴァキアスEATを完全に飲み込んだ。
 残滓すらなき完全消滅。光は消え、あとにはただ残骸が遺る。
 役目を終えた惑星ロボは……否、そうであったものは、身動ぎしない。
 咆哮することも、応えることもない。いのちを、終えたのだから。
「……よく頑張ったね」
 戦いを見届けたロニは、色を喪ったその装甲を優しく撫ぜた。
 そう、ひとときの命を得た惑星ロボは、勝利と引き換えに「死んだ」のだ。
 だがそれは終わりではない。何の未来もない破滅を意味しない。
 猟兵たちが、そしてロボが得たデータは大きな資源となるだろう。
 これから先のさらなる戦い、そしてそのさらに先の未来を拓くために。

 これは終末でもなければ、終焉でもない。
 次の一秒へつながる命の煌めき。
 人はそれを、勝利と呼ぶのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月24日


挿絵イラスト