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ワンダー・フレイル

#グリードオーシャン #深海人 #深海島


●ワンダー・フレイル
 白波が揺れる海面から、浅く潜ればコバルト・ブルーが出迎える。常に大時化の、グリードオーシャンの海域でも、それは変わらない。人の生存域では無いと、表の顔が告げているのだから、遊泳や潜水を考える輩の方が、どうかしている。
 陸上の深海人の多くは、そうやって、海賊達を揶揄う。彼等自身も、御伽噺と信じて疑わない深海島。経験豊富、歴代海賊の一族ならば、何処かの代で、それを航海日誌に記している。そんな海賊は、きっと宝の山があるに違いないと、剛毅に酒をかっ食らいながら、陸上の深海人に向けて、笑うのだ。
 触れれば弾けてしまいそうな、大きな気泡に囲まれた、色鮮やかな貝と珊瑚で出来た都市。周囲にも空気を多分に含んだ小さな気泡が無数に沸き立つ。童話の中に有るような幻想風景。
 そのような場所にも、人心に鬼が住み付いてしまう以上、幻想的な見目とは裏腹に、黒く淀んだ、爛れた膿が沈殿するのも、世の道理。
 深海よりも深い深い闇の底、爛れた膿は骸の海に一滴二滴と負の感情を溜め込んで、湧き出た報われぬ心の欠片が、許さぬ、許さぬと絶えず怨嗟を振り撒いて、船に集めた兵と忠実な騎士霊と共に、御伽の国を平らげんと侵攻を開始する。

●グリモアベース
「昔々から始まりゃあ、めでたしめでたしで終わって欲しいよなあ……皆はどう思う?」
 特に意味の無い問いかけから、海神・鎮(ヤドリガミ・f01026)は資料に目を落とし、今回の仕事の話を始める。
「今回行って貰うんはグリードオーシャンの深海島じゃな。現地の人はそこ出身の人とか、寝物語に聞いたり、海賊の人等から噂話くれえは聞いた事あるんじゃねえかなあ」
 言いながら、グリードオーシャンという世界についての資料を配り始める。
 この世界はまず、他世界から落ちてきた島で構成されており、その海は絶えず異常気象が発生していること。
 その為、グリモアによる予知及びテレポート、島間の飛行移動が制限されている事。
 この地のオブリビオンはメガリスという秘宝の適応に失敗した、コンキスタドールである事。
 そして、島の統治は、その多くを海賊達が行っている。善人とは言えないが、コンキスタドールとの戦いには協力してくれる事、島民も猟兵に友好的である事などが記されている。文明レベルは大航海時代の物以外は大半が落ちる最中に消滅するらしい。
「海賊はメガリスに適応しとる人等じゃけー、ユーベルコードを使えることも伝えておくな。そん中でも深海島は行き方が特殊でな、よっぽどじゃねえ限り、誰も行かんと思う」
 場所の地図自体は手に入れていると、湯呑みを傾けた。
「異常気象で見え難ぃけど、気泡が多く立っとんよ。金魚の水槽とか知っとったらピンと来るんじゃねえかなあ。目印はそれじゃ」
 これのお陰で空気には困らないが、海中深くに潜る必要はある。猟兵ならば水圧は気合で耐えれる筈だとも伝えた。
「信用出来んかったら潜水服とか用意してな……この辺、儂は感覚が分からん。で、深海島が見えてきたら、コンキスタドールの軍勢とかち合うと思うけー、まずはそれを撃破して欲しい。サムライエンパイアの武者みてえな格好しとると思う」
 協力体制にある先遣隊らしく、使い捨ての軍勢らしい。協力態勢であるにも関わらず、その様な位置づけとなっている理由は恐らく、融通が利かない所為だろう。
「……一般人を手に掛けんとか、そう言うのじゃな。首魁は無差別破壊を望んどる」
 敵の数は20程、水軍の為、海中でも淀みなく連携を取ることが予想される。
「かなり無茶な依頼じゃけど、良かったら付き合ってくれると嬉しい。信頼しとるよ、宜しく頼む」
 そう言って、鎮は深く頭を下げると、猟兵を送る準備をし始めた。



●挨拶
 紫と申します。
 今回はグリードオーシャン、幻想的な風景を持つ、深海島への旅となります。

●シナリオについて
・1章毎にopを制作します。
・章構成は集団戦→日常→ボス戦です。ボスを倒す事が目的です。

※2章は【日常:温泉】となっておりますが、色気は悉く塗り潰す予定です。

●1章ギミック
・敵数:20ほど。
①スタートシーンは【船上からの潜水】となります。航海シーンは有りません。
②海中、深海は深海島が見えるまでは、視界が悪く、海流も激しいです。
③敵は海賊に並々ならぬ敵意を頂いています。

●敵情報【里見水軍】

 POW:高波の一撃
【あらゆるものを断ち切る日本刀や槍】が命中した対象を切断する。

 SPD:渦潮の囲い
【共に戦う多くの屈強な侍】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。

 WIZ:戦場そのもの
【且つて倒した海賊の船や武器、復活した味方】を降らせる事で、戦場全体が【あらゆる船が浮かぶ大規模海上戦闘】と同じ環境に変化する。[あらゆる船が浮かぶ大規模海上戦闘]に適応した者の行動成功率が上昇する。


●最後に
 なるべく一所懸命にシナリオ運営したいと思っております。
 宜しくお願い致します。
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第1章 集団戦 『里見水軍』

POW   :    高波の一撃
【あらゆるものを断ち切る日本刀や槍】が命中した対象を切断する。
SPD   :    渦潮の囲い
【共に戦う多くの屈強な侍】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
WIZ   :    戦場そのもの
【且つて倒した海賊の船や武器、復活した味方】を降らせる事で、戦場全体が【あらゆる船が浮かぶ大規模海上戦闘】と同じ環境に変化する。[あらゆる船が浮かぶ大規模海上戦闘]に適応した者の行動成功率が上昇する。
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シーザー・ゴールドマン
深海島、面白そうな場所だね。
帝竜戦役の慰安旅行と洒落込もうじゃないか。

いつも通りの真紅のスーツ姿。
オド(オーラ防御)を活性化させて濡れず、水圧をものともせず。
空気もついでに魔力で生成して、気泡は道標くらいのつもりで。
『創造の魔力』で深海を明るく照らす光を。
『破壊の魔力』で海流の流れから自分達を遮断。

里見水軍

私は別に海賊ではないのだがね。
まあ、深海島の出迎えと思うことにしよう。来たまえ。

参加した猟兵を数を考慮して自分とステラのノルマ数を相手に。

歓迎を私達だけ受ける訳にはいかないだろう?

オーラセイバーを振るって戦います。
敵POWUCは見切って回避からのカウンター攻撃を。

◎:ステラと


ステラ・リデル
帝竜戦役の慰安に深海島ですか?
シーザーは戦役そのものを楽しんでいたと思いますが。
いえ、喜んでお供いたします。

シーザーに倣ってオド(オーラ防御)を活性化して後に続きます。

里見水軍

サムライエンパイア出身に見えますね。
あの世界からグリードオーシャンに落ちて来た島に過去、住んでいた存在なのでしょうか?

『魔剣舞踏』を発動。
70を超える魔力剣が数本ずつ連携をとり、敵を襲います。
敵SPDUC
敵がいつ複数瞬間移動してきても対応できるように魔力剣を配置して余力を持って戦います。
逃亡に使う場合は深追いせずに着実に追い込んでいきます。

◎:シーザーと


クレア・フォースフェンサー

深海島が狙われておるのか、敵の拠点となっておるのか判然とせぬが、その無差別破壊を目指す首魁とやらは成敗せねばならぬな

適応機能で水中活動に適応
広域に展開した光珠で索敵を行いつつ、潜水を開始

初めの相手は水軍か
あの刀と槍はかなり危険な代物のようじゃな
斬り合いが御所望かもしれぬが、まずは光弓で数を減らさせてもらおう
接近戦の間合いにまで近付かれたならば、光剣を抜く
すまぬが、わしはこちらの方が得意じゃぞ?

主義が異なる者の手駒となることを良しとするとは、それだけ恨み憎しみが大きいということかの
しかしその上でなお、民には手を掛けぬというのは見上げた心掛けじゃ
せめて苦しまぬよう骸の海に還してやろうぞ


神羅・アマミ
此度の一戦、何やら因縁めいたものを感じる!
憎悪を断ち切るためにも渦中へ身を投げぬ道理はなし!

敵は海上戦闘を仕掛けてくるらしいが、こちとらサムライ戦争からその後の大航海まで嫌ってほどやらされとんじゃ!
負けるはずがあるかーい!
という気概で臨む。

何にせよ海賊船が増えて足場が増えるというのはむしろ好都合!
こちらも適応させてもらおうじゃないの!
UC『明転』を発動し、傘とモーターの組み合わせから揚力・浮力を発生させ、【ダッシュ】も用いて船から船へと飛び移れる状態を整える。
これぞハッソウ・ビートという奴よ!

あとは辻斬りが如く無数の刃の射出や斬撃で戦場を尽く撹乱し、他の猟兵が確実な制圧を行うお膳立てとしたい。


レナータ・バルダーヌ
水中での戦いはアリスラビリンスで経験したことがありますけど、ここは不思議の国ではありませんからね。
ちゃんと海に潜る準備はしてきましたよ!
潜水服と酸素ボンベと……えっ、なくても大丈夫なんですか?
(よく説明を聞いていなかった模様)

海中は視界が悪いようですから、敵に特別な索敵手段がなければ自ずと接近戦になると思います。
リスクはありますけど、普段の恰好で潜水できるならいつもの戦法でいきましょう。
敵の攻撃をサイキック【オーラによる防御】で軽減し、しばらくは【痛みに耐え】つつ凌ぎます。
敵をできる限り引き寄せたら、【ブレイズフレイム】で負傷した箇所から一気に炎を噴出し、水蒸気爆発で一網打尽にします。 ◎


村崎・ゆかり
水中戦か。苦手なのよね。
SSWで支給された宇宙服で潜水服の代わりになるかしら? これが使えないと、水の中じゃ呪を唱えられないのに。
呪符はいつものトランプカードじゃなく、耐水紙に呪を記したものを使うわ。使い慣れないのは否めない。

愛奴召喚でエルフのクノイチ・アヤメを召喚。
アヤメ、あなた、水練は大丈夫? 頼りにしてるわよ。

それじゃ海底へ向かいましょう。

「全力魔法」「範囲攻撃」水の「属性攻撃」で器物覚醒。
操るは海水、象るは渦潮くねる大水蛇。さあ、水軍兵に食らいつき、ズタズタに引き裂きなさい。海上の敵船も勢いのままにぶち壊せ!

アヤメはあたしの目の届かない部分のフォロー頼むわね。

よし、深海島が見えてきた。



●船旅
 猟兵の乗った鉄甲船が異常気象海域を進む。うねり、煽る様な高波に揺られながら、海図の示す場所へと、依頼を受けた海の猛者が剛毅な笑いで、高波をねじ伏せるように、舵を取る。有る時は木の葉のように左右に揺れ、前面からの大波を被り、ねじ伏せて船体が跳ねる。
「深海島、面白そうな場所だね」
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)はそろそろ、そう言った過酷な航海を暇潰しと愉しんでいたが、アトラクションの乗り回しにも、そろそろ飽きたと、深紅のスーツのタイを正した。練り上げられたオド、創造の魔力が船体の周囲を包み込み、外海、天候の影響を遮断する。
「帝竜戦役の慰安旅行と洒落込もうじゃないか」
「帝竜戦役の慰安に深海島ですか?」 
 凪いだのを見て、ステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)はすぐさま、携行していた容器から、船倉に予め幾つか保持していた愛用のカップを魔法陣から取り出し、上質な紅茶を注ぐ。彼女等の管理する近未来都市で作られた携行容器は、淹れ立ての品質を損なわず、長期保存が可能な様で、シーザーは立ち上る香りを暫く愉しんでから、口を付けた。
「シーザーは戦役そのものを楽しんでいたと思いますが
「不満だったかな?」
 揶揄うような声音で、従者を眺めると、一瞬、返答に詰まった様に視線を逸らす。平静を取り戻してから、何時も通りの、確りとした返事が返ってくる。
「いえ、喜んでお供致します」
 自身のカップにも紅茶を注ぎ、ステラも、暫しの静寂を楽しむ。

●臨戦
「あの様な術があるのならば、最初から使えば良かろうに……」
 暫しの航海を振り返りながら、クレア・フォースフェンサー(UDC執行人・f09175)はのんびりと茶を楽しみ始めた二人を見て、呆れたように金眼を閉じる。
「兎も角、深海島が狙われておるのか……」
「らしいのぅ、此度の一戦、何やら因縁めいたものを感じる! 憎悪を断ち切るためにも渦中へ身を投げぬ道理はなし!」
 神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)が、携行している極彩色のシュガースカルを掲げる。赤瞳を閉じ、閃光が身体を包むと、長い灰色の髪が俄に浮き上がる。戦闘形態への移行を終わらせる。
「ふむ、おぬしがそう言うならば、手を抜く道理も無し。わしの形態変化は尚早じゃの。先ずは索敵じゃな」
 相手が水軍であるならば、潜水より先に起こり得る事が一つ、有る。資料に纏められていた敵の能力も気になる。108の光球を操作し、周辺一帯をできるだけ広範囲に探らせて行く。
「今回は水中での戦いになるんですよね? アリスラビリンスで経験したことがありますけれど、ここは不思議の国ではありませんからね。潜水服と、酸素ボンベと……」
 戦闘形態への移行を終わらせたアマミと、光球を操作するクレアに、レナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)は潜水用具をあれこれと取り出していく。
「気合で耐えられるらしいと資料には記載されておるぞ? まあ、空気は気になる所じゃな。読む限り、必要量はありそうじゃのう」
「えっ、無くても大丈夫なんですか」
「わしはこの身体なのでな。断言出来る材料は少ないのう」
 クレアの答えに、半信半疑と言った様子で、紫色の瞳が惑う。

●主従
「水中戦か、苦手なのよね」
 物見は他の猟兵が担当してくれた様だ。村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は凪ぎの航海となった今の間に、耐水紙を取り出して周囲に浮かべ、指先に力を集中する。仄かに光る指先で札をなぞる。込められた力が吸収され、紙面に呪が宿るのを確認すると、次の紙に指を這わせていく。
(SSWで支給された宇宙服で潜水服の代わりになるかしら?)
 呪を込めながら、水中戦の事を考える。潜水服が使えなければ、詠唱もままならない。さくさくと一連の作業を終わらせ、式神を呼ぶ印を切る。
「お呼びですかー」
「ええ、アヤメ。あなた、水練は大丈夫? 頼りにしてるわよ」
「里は陸続きでしたが、川や湖で、一通りは身に付けましたよー。勿論、水遁も身に付けていますよ。魔力を使ってサボると、先生、厳しかったので……」
 それとは別に、環境適応系の魔法は彼の発想によって一応体系化し、忍術の一環として、鍛えられたとも。
「それ……もっと早く教えなさいよ」
「ゆかり様なら応用も簡単ですよー。やり方は教えますから」
 後でお仕置きと、小柄な少女にぼそっと呟かれ、慌てた様子で、アヤメは環境適応の術法を主に教えて行く。

●見敵
「さて、そろそろお出迎えの時間かな。ステラ、準備を」
「仰せのままに」
 シーザーが指を弾き、カップを元に有った場所へ送還する。
「抜かりの無いようにね」
 予め、二人の立ち回りは決めていた様だ。甲板に居た3人組に、シーザー歩み寄ると、ステラは船員へ伝達を終わらせてから、後に続く。
「方向は分かるかな?」
「正面じゃな。このまま行けばかち合うが、そう素直に来るとも思えん。相手が兵ならば、定石が飛んで来る頃合いじゃのう」
 言うが早いか、20程の矢が射掛けられる。シーザーの魔力壁を貫通する事は無く、弾かれて海に落下する。
「何の、こちとらサムライ戦争からその後の大航海まで嫌ってほどやらされとんじゃ! 負けるはずがあるかい!」
「うむ、では先ず、わしから、そっくりそのままお返しと行こうかの!
 108の光球に探索を任せたまま、自身も白色の大弓を構え、光矢を掲げる様に上向きに構え、放つ。放たれた光の弓が、敵の船上上空で無数に分裂し、矢雨として降り注ぐ。
「逃げられた。やはり足回りが良い。其方の手立てを聞いても良いかの?」」、
「ふむ、赤壁に倣ってみてね。お眼鏡に叶うかな?」
 オドで編まれた深紅の鎖が船頭から、未だ視認の難しい船に繋がれている様だ。互いの舵が引き摺り合う様に、海面を滑る。
「あれってこうじゃなかった気がするんだけど……乗り込む為に鎖付きを打ち込むのって、海賊のやり方じゃないかしら……」
 いつの間にやら合流したゆかりが、額を抑えながらシーザーの言を咎める。彼はは愉しげに笑みを深めるだけだった。何方でも良いと言った風体だ。
「兎も角、海上戦闘よね、私はこの船から動かないわ。後方からの火力支援役よ」
「私は、皆さんを守るためにも、先行しましょうか。それに……」
 海から落ちた後に、追い打ちを掛けるなら、其方の方が好都合だと、レナータは考えを明かさずに、紫色の目を細め、微笑んだ。
「妾も行くぞ」
「アヤメも、私の代わりに頼むわね。有効範囲は意識するのよ?」
 レナータとアマミ、渡された深紅の鎖を渡って行く。式に言付けると、ゆかりは印を切り、呪符をばら撒いて霊力を集中させていく先程の攻撃で敵意を確信したのだろう。海域に、突如、大規模な船団が宙空から飛来する。船だけでは無く、そ武者鎧を着た人影を、クレアの光球が捉えた。振ってきた全ての船団を、シーザーは瞬時に把握し、着水の前に、オドの鎖を生成し、全てを繋ぎ止め、行動を瞬時に把握したクレアが。船団の大まかな位置を把握し、瞬時に三の光矢を番え、放つ。局所に降り注ぐ矢の雨が、身動きの取れない船3つに降り注ぎ、兵を射殺して行く。
「そういう事ね……貴方を見てると、何となく、私の常識が揺らぐわ」
「褒め言葉として受け取っておくよ。私達も行こう、此方の鎖は切っておくよ。ステラ、伝達は終わったかな?」
「手筈通りに」
 包囲された戦闘海域とは言え、繋ぎ止められた敵大規模船団と、自由の効く一隻で有れば、立ち回り様は有るだろう。
「それでは、此方の船は任せたよ」

●古式海上奇襲戦術(ハッソウ・ビート)
 火薬の弾ける轟音と鉄塊着弾時の水柱。辛くも鉄甲船がそれらを避けながら、クレアが弓術で応戦する。空間、魔法、概念、一切の区別無く、貫通し、打ち貫く技術。矢雨に砲弾の雨、血色の鎖を物怖じせず渡りながら、猟兵達は大規模船団相手に格闘戦を仕掛けていく。断ち切った鎖が尚も緩まないのは、それがシーザーの魔力によって作られているからだろう。敵船団に乗り込んだ時点で猟兵は分散、多対一を実行していく形になる。
「何にせよ、海賊船が増えて足場が増えるというのは、寧ろ好都合。此方も適応させて貰おうじゃないの! 百花繚乱、剣山刀樹!玄妙にて幻惑せし荘厳なる紅き華の刃を、其方の血煙でもってより鮮やかに彩ってくれようぞ!」
 一族によって培われた技術、合金製の和傘の軸に、超高速回転の機構が加わり、強烈な揚力と浮力を生む。羅刹特有の並外れた身体能力、脚力が組み合わされば、デッドウェイトなど物とももしない、超跳躍が可能となる。鎖から船上へ一挙に飛び移る。
「死ねーッッ!!」
 跳躍の最高高度から、眼下の軍勢目掛けて、和傘に仕込まれた刃を射出。絶えず振り続ける矢の雨に、更に刃の雨が追加され、しかも、此方に至っては鎧の隙間を狙い打つ精度だ。応戦する間もなく、多数の兵が四肢を貫かれ、堪えた所に無数の首狩りの斬撃。力任せに圧し斬る羅刹らしい戦舞。粗方の制圧が終われば、矢の雨が届かぬ他の船へ次々と飛び移る。
「これぞハッソウ・ビートという奴よ!」
 残敵は逃げ道を塞ぐように、ステラの70の光剣が舞う。包囲制圧、360度自在機動の刺突、斬撃。防ぎきるのは如何に訓練された兵とて難しい。
「此方の制圧は完了致しました。火計を講じたくなりますね……」
「何、焦る必要は無いさ、恐らくだがね」

●トリガリング
 荒らし回るアマミの後をレナータとアヤメが行動を共にしながら追従する。
「近接戦以外にも、火縄は有りますね……」
「遠距離なら、私にお任せ下さいませ」
 二人の戦法は単純だった。まずアヤメが分身で攪乱しつつ、遠距離役の指を削ぎ、あわよくば首を落とす。レナータは近接の気を引き、刃物の攻撃を超能力で軽減する。浅く全身を裂かれる、何時もの慣れた痛み。それでも苦痛に顔を歪ませる。何もしてこない癖、妙に打たれ強いレナータに狙いを定めるも、ある程度の時点で、アヤメの分身が庇う。打ち合わせた位置に誘い込んだ所で、アヤメの分身が包囲、不意を突かれた水兵に、容赦なく人体急所に苦無が突き立てられた。
「有難う御座います」
「予定通りとはいえ、心配になりますね。あ、気泡が見えます。丁度此処みたいですよ」
「それでは、皆様には悪いですが、一足先に、ダイビングですね」
 フラフラと、船から身を投げるような潜水行為、或いは沈むと、表現しても良かった。超高温の気配を帯びた血液が、海中に撒かれていく。

●暴威
 赤い洋装の偉丈夫が、矢弓の届かぬ船団の一角に忽然と姿を現した。件の縛差の主だろう。兵力差等知ったことでは無いと語るように、或いは特に興味も無いと言う風に、その切れ長の金瞳は何も写していないように、その兵達には写ったようだ。
「此処も本命では無いようだね。さて、君達は何故、攻めてこないのかな?」
 目前に居るのが只の命知らずならば、そうしただろう。我武者羅など、目前の男に通用するはずも無い。とは言え、手立ても無く、指揮官はやむを得ず、突撃命令を出す。
「ふむ……成程、そう言う感じかな。有能だと褒めておこう。それだけでは、足りないがね」
 そうだ。この兵力差で包囲して尚、この目前の男を仕留めきる気がしない。どのような陣形をとっても、この優男の見えぬ剣閃の方が間違いなく早いのだ。自らも気炎を吐いて斬り掛かるが、感覚無く、斬られて絶命したのだと確信する。
 軍勢全てを切り伏せた光剣、シーザーの剣閃を追える物は居ない。
「一人は既に潜水を開始したようだが、もう暫く、この軍勢を切り伏せなければね」

●九頭大蛇
 52枚の耐水呪符を沈め、印を切り続け、五芒星の法陣が浮かび上がる。それを囲むように、ずるずると徐々に巨大化していく渦潮の水蛇、術者その物の精神力を試すように、顎を開き、象られた鋭利な牙をもって威嚇する。のたうつ渦潮は計九つ。
「汝ら……我が下知に応じ……手足の如く動くべし……」
 みしりと頭痛がする。極度の疲労感に、額から汗が伝い、甲板に絶えず染みを作る。
「救急、如律令! さあ、食らい付きなさい!」
 周囲をのたうち回っていた水柱が九頭龍の形に束ねられ、水軍に威勢良く食らい付き、横腹に次々と穴を開けて行く。応戦する水軍を象る渦潮が飲み込み、身体を激流で引き裂きながら、船団を壊滅させていく。
「おお、まるで神話に聞く八岐大蛇の様じゃな」
「象ってみたけど……やりすぎたわね」
「これなら、わしの援護も要らんのう。どうも、気になることも起きとるし、そろそろ潜水と行くかの」
 クレアはナノマシンを操作し、潜水適応形態に変身する。
「悪いとは思うのだけれど、抱えてくれないかしら?」
「動けんのじゃな。良かろう」
「……ありがと」
 ゆかりはアヤメに教わり、事前に作って置いた環境適応用の呪符に、なけなし残った霊力を込める。

●海中合流
海流の大蛇が暴れ始めた所で、猟兵全員が気泡溜まりに向けて飛び込んだ。激しい海流とプランクトン、不純物を多量に含んだ海中の視界は最悪だった。クレアは即座に光球を展開、まずは仲間の位置関係を把握。アヤメというゆかりの式神が此方に向かっているのを確認し、ゆかりを引き渡し、自身はレナータの方へと向かう。気泡は広範に広がっており、勢いも強く、酸素は心配しなくても良さそうだ。
 シーザーはオドによって自身を覆い、魔力で酸素すら生成し、ステラと供に、気泡を道標として、逸早く深海へと潜水していく。
  レナータと合流したアマミとクレアは、彼女の意図に気付き、必要量がばら撒けたかを確認し、現状を伝えた。こくりと頷いたのを見て、海中で、手早く止血を済ませる。
 
●リキッド-リキッド・コンタクト
 クレータは血液に力を送り込む。海中に混じった血液が熱を持ち、周囲の海水を少しずつ、蒸発させ、細かい蒸気膜に覆われる。やがて、赤色の血液が青色に変化し、蒸気膜を破り、分裂する。1から1700を作り出す、凄まじい膨張エネルギー、膨大な圧力波が形成され、海域に耳が潰れそうな轟音が響く。船団全てを巻き込み、九頭の大蛇をも飲み込み、消滅させる。鮮やかなキノコの雲が、異常気象の海域に咲き誇る。

●サバイバー
「大規模水蒸気爆発か、上空で見たかった気もするね」
 猟兵は一先ず一塊になり、非実体の防壁を貼り、反動でショートカットを試みる。
「深海島はアレね、アヤメ、ありがとう。そろそろ動けそうだわ」
「確かに、幻想的じゃな。む?」
 大きな気泡に囲まれ、貝殻と珊瑚で彩られた、深海の幻想風景。暫し気を取られている間に、クレアの光球が、敵影を捉える。
「あれで生き残りが居るとは、身投げでもしたか?」
 空間を穿つ一矢は、抵抗も水圧も、一切意に介さず、相手を穿とうと奔る。

●敬意
 生存した水軍は猟兵に構わず、深海島を目指して行く。聞こえて来るのは今回の協力態勢への不満と、諫める声。仲間割れという訳でも無いが、流石に主義が違い過ぎたのだろう、兵に多少の不満は有る様だ。
「主義が異なる者の手駒となることを良しとするとは、それだけ恨み憎しみが大きいということかの。しかし。その上でなお、民には手を掛けぬというのは見上げた心掛けじゃ」
 本隊は20前後という話だったが、大蛇とレナータの起こした水蒸気爆発で大半が食われたのだろう。数は10に満たない。
「せめて苦しまぬ様、骸の海に還してやろう」
 ナノマシン・サーキットを励起。加速機能を全開にし、猟兵を追い越そうとする水軍に肉薄。すれ違いざま、居合いのような一閃が、力の核のみを的確に斬り落とす。核を失った肉体が粒子に返り、援護に刀を突き付けた所で、70の光剣による包囲網。辛くも後退し、掻い潜った所で、傍らに居たシーザーが彼の剣閃を見てから、胴を薙ぐ。
 後退も前進も許さない状況で、どうにか距離を保ちながら槍による中距離戦を維持しようとするが、槍撃ごと切り伏せるクレアの技術には及ぶ道理も無く、残兵は、瞬く間に、猟兵によって平らげられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『海を臨む温泉』

POW   :    心行くまで温まる

SPD   :    全身の力を抜いてまったりと

WIZ   :    他者と交流、スキンシップする

👑5
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●歓待の声
 貝殻と珊瑚が固まって出来た特殊な地表構造、本来は酸に弱い筈の土壌は、グリードオーシャンと言う特殊な海域下の中で、或いは、メガリスの恩恵によって、致命となる組成構造を克服している。
 桜色がかった白亜の大地に足を踏み入れ、踵を鳴らせば軽い音が響くのが想像出来る。そう言った異常性を加味すれば、建材への使用にはもってこいだろう。大きな法螺貝を模した塔の様な建物、UDCアースの近代洋式に似た箱型の居住区。
 その、深海島のメインストリートは、暫くざわめきに包まれた。島を包んでいた大気泡を揺るがす轟音、続いて目前に潜水してきた幾人の影と、見慣れぬ甲冑を着た人型、目の良い深海人が辛うじて、彼等の動きを捉え、此処を守るために戦っていた事に気付く。
 かつて謳われた姫騎士を思わせる奮闘に、彼等は握り拳を作り、その手を歓声と共に一斉に振り上げた。
 踏み入れた勇士を、彼等は歓待の声と共に迎え入れるだろう。無論、今代の統治者は、彼等より詳細に、この騒動を把握している。長として、敬意をもって接してくれるだろう。

●状況進行
 猟兵達は深海島に入るなり、歓待を受けるだろう。民衆の歓迎の声の後、統治者が現れ、もてなしを考えてくれる。この島には深海と、深海生物を楽しむと言う、独自の趣の浴場が幾つか設置されている。統治者は猟兵の要望を受け入れるが、何も言わなければ、一番良い宿泊先を手配し、受けられるサービスを無償で提供してくれるだろう。
 この浴場は、大衆用も有れば、当然、個室の物もある。個室と言っても贅を費やすのなら、一人には広すぎる程度の広さは有る。
 大衆浴場の方には、湯浴みの際に著る服も、シンプルな物から個性的な物、深海人の美的センスの溢れた物が用意されている。猟兵の要望には自在に応えてくれる。そう言った宿泊施設の有る周辺は当然、この地でも娯楽施設が集中しており、温泉以外も遊び歩く事が出来そうだ。
 その上で、漏れ聞こえてくるのは姫騎士の再来、至る所で目に付く女騎士の小さな像、民衆に慕われているのを見ると、護国に熱心だった事が窺える。
 それらを手掛かりに、近く起こる侵攻に備える事も、猟兵には重要だと言える。
 歓待の内容を統治者から聞いた猟兵達は、それぞれの考えに従い、行動を起こす。
シーザー・ゴールドマン
なかなか見ものだね。
深海島のもてなし、浴場、娯楽施設など、ステラと共に楽しむ。
姫騎士、ね。
統治者から、そして散策時に民衆から姫騎士の逸話を訊いてみよう。
さて、お約束だとその姫騎士がオブリビオンとして蘇って襲い来る、というところだが、どうなるだろうね?
◎/ステラと


ステラ・リデル
神秘的な風景ですね。
この深海の底でどうやって暮らしを維持しているのか……気になるものです。
シーザーと共に深海島で行動。楽しみます。
姫騎士ですか。そうでなければ良いと思いますが……
◎/シーザーと


村崎・ゆかり
歓迎ありがとう。地上人がここまで来るのは珍しいのかしら?
それじゃ、遠慮無く歓待受けさせてもらうわ。
あたしには個室の浴場をお願い出来るかしら?

それじゃ、愛奴召喚。一緒にお風呂入りましょ。
お互い身体を洗いあっているうちにエスカレートしたり、湯船でお湯を散らしながらじゃれ合ったり。
その後は、一つのベッドで朝まで、ね。

おはよう。素敵な一夜だったわ。
この深海島を狙ってるコンキスタドールって、見当は付いてるのかしら?
もちろん、歓迎のお礼にそいつの討滅はさせてもらうわ。元々そのためにここまで来たようなものだし。

姫騎士のように格好良く行くかどうかは分からないけど、全力は尽くすわよ。

――来たみたいね。出番だわ。


クレア・フォースフェンサー
せっかくの歓待を固辞するのも失礼じゃな
温泉で温まるくらいのことはさせて貰おうかの
敵が来たならばすぐ醒ますことになるが、酒などもあると嬉しいのう

この地では姫騎士なる者が慕われおるようじゃな
鎮殿の予知によれば、此度の首魁は騎士霊を引き連れているとの話じゃが――
何か関係があるのか訊いてみようかのう

アマミ殿は何か因縁を感じると言っておったの
水兵を全て斬り伏せたは早計であったか
首魁に思うところがあったのであれば、何か話を聞けたかもしれぬ

しかし、敵の目的が支配ではなく破壊というのはやっかいじゃな
泡を剥がされ、外殻に穴でも開けられたら、それだけで一大事じゃ
光珠を半分に分け、島の中と外に配置しておこうぞ


神羅・アマミ
激戦の後は自分へのご褒美!
温泉にゆったり浸かり心身共にリラックス、しかしそれは次なる戦いへの備え…
と言いたいところじゃが、そんなのは猟兵としちゃ二流三流!
遊びにも全力を尽くしてこそ本物よ!

温泉街の娯楽と言ったらそりゃあ…卓球じゃろ!?
シンプルな浴衣を小粋に着流し、小さなピンポン球へ魂を賭けたガチバトルを展開!
対戦相手は他の猟兵を適当に捕まえる。

もしくは明らかに数世代前の落ち物パズル筐体とかねーかな~!
メガリスとかいうのの力をもってしても流石に稼動してる実機は見つかんねーかな~!と、場末を巡ること自体も面白いかもしれぬ。

さて、各所で聞こえる姫騎士の再来とやら、どちらに転んでも嵐の予感がするぜ…!


レナータ・バルダーヌ
ここが深海島……なんだか不思議なところですね。
お野菜を育てるのは難しそうですけど、地面がとっても綺麗です!
そういえば、あまり深く考えずに水蒸気爆発を起こしたせいで、島民さんを驚かせてしまったでしょうか?
もしそうだとしたら、びっくりさせてしまってすみません。

深海にも温泉があるんですか。
なるほど、お魚さんを眺めながら入れるなんて素敵ですね!
せっかくですから大衆浴場のほうにお邪魔したいですけど、よく考えたら先ほどの戦いで、いつもの調子で派手にやってしまっていました。
傷だらけでは衛生的によくないと思いますし、今回は個室をお借りして……あら?
向こうにあるのはいったい……足湯って何でしょう?



●アポイントメント
 飾り気の無い白のドレス、流体をそのまま切り取った様な、透き通った海色の腕輪、貝殻色の街灯に反射し、僅かに蒼く光る糸を通して作られた三連のネックレス。赤目と銀髪が特徴的な、長身の女性。付き人と、スケイルメイルを纏った近衛兵が、槍を掲げて待機する。王族の来訪に、メインストリートに集っていた市民は散り散りになり、自身の生活へと戻って行く。
「其方等の戦い振り、見事で有った。民衆も見ての通りでな、其方等を称えておる。統治者、サザナミの名において、礼を言うぞ、旅人よ。念の為問うておくが、海賊では……無いのだな?」
「此方からも、豪勢な出迎え、有難う。まあ、似たような物だよ。襲うほど、困窮してはいないがね。シーザー・ゴールドマンだ」
 差し出されたか細い女性の手を、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)の大きな掌が柔らかに握り返す。
「然し、可愛らしいお姫様だ。どうかな、後で付き合って貰えると嬉しいのだが」
「シーザー?」
 優男の目で頭二つ分ほど身長の劣る水底の姫を口説いていると、ステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)が険のある瞳で彼を咎めた。
「美人は口説くのが礼儀というものだろう? さて、冗談はこのくらいにしておこうか。幾つか聞きたいことがあるのでね、都合の良い時間は何時かな?」
 寧ろ従者のその様な仕草を楽しむかのように覗き見る。
「冗談には聞こえんかったぞ……」
「奇遇ですね……私もその様に感じました。真面目に口説いてましたよ、今の」
「やはりか。其方が居って助かった。此方でも礼を言おう。名を聞こう。公務の終わる時間帯、そうじゃな、夕食に招待しよう。無碍には出来んのでな……」
 解かれた手から、青い髪青目の小柄な少女へと悪手を求める。
「ステラ・リデルと申します。暫しの滞在となりますが、お見知り置きを」
「滞在中の身許は此方が保証しよう。宿泊先等もな。護国の礼じゃ、歓待しようぞ」
 ステラと固く握手を終わらせると、次はクレア・フォースフェンサー(UDC執行人・f09175)に手を差し伸べる。
「固持するのも失礼……いや、させんと言う雰囲気が有るな。ささやかながら、受けようかのう」
「質素な方が良いかもしれんが、其方等を歓待せねば、民衆に示しが付かぬのでな。心遣い、痛み入る」
 クレアとの握手を終えた後、サザナミはそう言って、軽く頭を下げた。二心が感じられない所を見ると、善良な統治者なのだろう。
「気にするでない。所で、この島に酒は有るかの?」
「ふむ……酒か。暫し待たれよ。」
 青色の用紙に何やら幾つか記された物が、クレアに渡された。
「購入には王家の許可が必要でな……それが許可証じゃ。持って行くが良い」
「つまり、酒はこの地では貴重品、と言う事かな?」
「シーザー殿じゃったな。その通りじゃ」
 すっと指を天に向ければ、光の差さぬ、見果てぬ蒼海。水音と共に、
「此処には光が届かぬ。作物の栽培は、王家認可のもと、高位のメガリス適合者や魔法素質を有した者によって行われておる。他は商人が他の島から買い付けてくる物じゃな」
「初めまして、サザナミ様。レナータ・バルダーヌと申します。でも、この辺りは、明るいですよね?」
 レナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)が手を差し出すと、サザナミはそれに応じる。握手を交わしながら、彼女の質問に答えた。
「これは街灯の光じゃ。光源はウミボタルじゃな。中で軽度の衝撃を与え続ける事で、光源としておる。作物が育つ程の光量にはならん。同様の理由で、穀物類や野菜も此処では貴重品となっておる」
「神秘的な風景と思っていましたが、実体は、過酷なのですね」
「とは言え、ある物でやりくりするのは、何処も同じであろう? 地上から来た者は皆、その様に言葉を残してくれてな、王家の人間としては、それが嬉しいものよ」
 柔らかく微笑むのに釣られて、レナータも顔を綻ばせた。
「歓迎ありがとう。お出迎えが貴方の様な、綺麗な方で良かったわ、姫様。少し触れていらしたけれど、地上から人がここまで来るのは、珍しいのかしら?」
「うむ、深海人でなければ、此方の手引き無しでは、到着する前に死んでしまうからな。其方等、どうやって来たのじゃ? 見る限り、着の身着のままじゃったが……」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)の疑問に応えながら、彼女と握手を交わした。
「そりゃあ……気合で何とかしたのよ! ああ、神羅・アマミと言う。暫く世話になるぞ」
 神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)は両腕を組んだまま、サザナミより小さな体躯で自信満々に言い放ち、握手をかわす。
「気合、聞き慣れぬ魔法じゃが、成る程、その様な術法もあるのじゃな」
「姫様……そろそろ」
「うむ、そろそろ時間のようじゃ、滞在の間は、存分に楽しむと良いぞ」
 最後に深く一礼をし、近衛と共に、自身の住居へと帰って行った。

●散会
「酒類が貴重というのは、少々不憫な気もするね」
「しかし、この環境下では必然とも言えます。時間まではまだ余裕が有りますし、見て回りますか?」
「そうだね。その前に」
 シーザーが指を弾く。霧状になった深紅のオドが深海島周辺の海域を覆うように発生し、溶け込んで行った。
「敵襲への備えじゃな。わしも光球を飛ばして、内外を見張らせておくか」
 クレアが光球を飛ばし、54に分けられた光球がそれぞれ、島の内外を定期集会し、ナノマシンで構成されたボディスーツへ、常に信号を寄越す。
「助かるよ。それでは改めて、散策に赴こうか」
「所で、あれは何でしょうか?」
 メインストリートの中央に位置する、見慣れぬ建造物を、レナータが指差す。先程からちらと目に映る物だった。
「あれは……なんじゃろうな?」
「小さな広場とくれば、中央に有るのは噴水か時計か、花壇と、相場は決まっているのだけどね」
「行ってみましょう」
 とは言え、確証は無いと、切れ長の瞳に僅かな好奇が宿る。猟兵は揃って、直進する運びとなる。小さな広場には住民が数人、貝殻色の立て看板と、その物体を交互に覗き見たり、他の住民と、のんびりと語らっている。
 大きい椀状の加工物体には、目盛りが刻まれ、穴が開けられており、それぞれ数字が宛がわれている。下部の池に、開けられた穴から、水滴がぽたり、ぽたりと音を立てて、落下する。
「水時計か。随分古式だが、此処では確かに、理に適っているね」
 大人の半身ほどの位置で固定された椀状を覗き見れば、水の残量と目盛りを照らし合わせ、大まかな時刻が分かる様だ。
「日時計の代替、光が届かぬ故かの」
「資源が手に入らないのも一つだろうね。冶金技術が育つ土壌で無いのは明白だ。精巧な歯車が作れるとは考えにくい」
 UDCアースで言う、大航海時代に当たるので有れば既に振り子時計や懐中時計が開発された後になるが、それは飽くまで鉱物資源に恵まれ、冶金技術が発展する環境で無ければ起こり得ないと言う事だ。、
「そう考えると、ちょっと不便ねえ……」
「良い工夫だとは思うけどね。さて、行こうか、ステラ」
 少し期待外れだとくたびれるゆかりに、シーザーは同意するように、唇を釣り上げ、従者の名前を呼ぶ。何方から巡ろうかと、思うままに足を向ける。
「宿泊施設は……彼方か。どれ、その前に酒を買っていかねばな」
「激戦の後は自分へのご褒美! 温泉にゆったり浸かり心身共にリラックス、しかしそれは次なる戦いへの備え……」
「ふむ、アマミ殿も一緒に来るか?」
「温泉街には行こう! が、あえてじゃ、あえて、寂れた方に行こうと考えておる! とは言え、途中までは一緒になりそうじゃなあ」
「では一緒に行くか。レナータ殿は……居らぬ」
 見回してみると、いつの間にやらレナータの姿は既に無かった。
「あ、私達は個室の有る温泉の方に行くわ、また後でね。それじゃあ、行きましょうか」
 のんびりとした返事が忍者装束の従者から帰ってくると、満足気に頷き、手を取り、連れ立って歩いて行く。
 
●文化視察
 空気の泡に覆われている為、この島中には必然、海水が入り込んでこない。つまり、生活自体は地上と変わらないが、ウミボタルの街灯以外の光源は乏しく、周辺は常に夜中の様に薄暗い。
 人の生活に欠かせない、衣食住に、シーザーとステラはまず着目した。民家の連なる街並みは形が一定では無く、建材は恐らく、大型生物の骨や異常発生する、貝類である事が窺える。街灯の素材もそれらの余りだろう。
 食料は簡単だ。此処が海底で有れば、必然、最も捕獲が容易なのは魚介類である。建材の基礎からして、て特殊な漁業が行われているのは間違いないだろう。
「沿岸の栄えている方に足を伸ばしてみようか。途中、服飾や紡織を行っている職場が無いか、聞いてみよう」
「お供致します。ですが、口説くのは許しませんよ。シーザー」
「これは手厳しい」
 見ようによっては愉快そうに肩を竦めて、歩を進めていく。途中、幾つか住民に聞いて見れば、紡織場や服飾雑貨の店はある様で、店内を覗く。染色された衣服はとりわけ高額であり、素材欄を見れば、水糸と書かれており、シーザーは一つ頷いた。似合いそうな物を2,3着見繕い、気に入ったという物を、ステラに贈る。
「硬貨で大丈夫かな?」
「はい、希少価値が高いので、通常のお支払いとは異なりますが……有難う御座いました!」
 近くの紡織場に行くと、専用の魔法道具を用いて、瓶に汲んだ海水を浄化、塩と水に分離させ、更にそれを細く細く加工し、物体として固定する。光にすかせば、綺麗な透き通った水色が揺らめいた。感触は絹のように柔らかく、上質だった。余った塩はそのまま生活や貿易に用いる様だ。
「陸上生物の家畜が見込めないからかな。しかし、考えたものだね」
「ええ、本当に。着心地もとても良いので驚きました」
「鱗等は容易に手に入りますが、何分、普段の衣服には向きませんから、誰もが魔法で衣服を作り出せる訳では無いですから、この様に。原料の入手が容易ですからね」
「……繊維は海水からの生成に頼っているのかな?」 
「製紙の事ですね。はい似た技術で作られております。脱色すると間に合わないらしく、海色が抜けないのが悩みだそうで」
「邪魔をしたね。これは礼だ。硬貨は希少と聞いたからね」
 硬貨を数枚、紡織場に居た住民に渡すと、皆で良い物でも食べに行こうと、活気に溢れた声が聞こえてきた。
 目的地沿岸部では、独自発達した骨や鱗、ヒレを利用したらしい潜水艇が、大型小型問わず停留している。深海人にとって空気の有無が大した意味を持たないのなら、これは潜水艇と言うより、彼等にとっては、単に船となるのだろう。水揚げされた鯨、巨大タコ、巨大イカ、巨大な貝が並び、その隙間を埋めるように通常の魚介や深海魚が並ぶ。
 別の港に足を向ければ、幾つかの海商船が地上や他島から、輸入物資を運び込んでいた。中身は此方で手に入りにくい穀物類や酒、調味料、果実等だろう。
「思っているより、交流は盛んなようですね」
「そうでなければ、ここは立ち行かないだろうね」
「捕鯨となると、食用の他に脂の確保も兼ねられているのでしょうね」
「街灯に使用しないと言う事は、あれを生活用の火種に使っていると見るべきかな。近くに海底火山の見込みがない地域だね。次はプラントの方に行ってみようか」
「はい」
「ああ、言い忘れていたね。そのドレスは良く似合っているよ」
「……有難う御座います」
 ステラの頬が僅かに、桜色に染まる。差し伸べられた手を取り、二人はプラントの方へ歩いて行く。到着したプラント内部で、行われていたのは水耕栽培だ。
 主に寒冷地に強いテンサイが餓えられており、天井には小さいが、太陽の様な、強い光源が浮いて、灯されている。核が有る所を見るに、魔法によって組み上げられた、極小の人工太陽だ。
「不完全だね。島を照らせる様になるのが、最終目標かな」
 作り出す際の組成を頭に思い浮かべ、比べてみれば、それは余りに不純物が多く、純化されていない。勿論、技術としては十分、賞賛される物ではある。
「頻繁に手を入れなければならないだろうね」
 魔法でほぼ管理が自動化されているとは言え、人工太陽の方はそうも行かないようだ。呟くなり、魔導師らしき者が入ってきて、人工太陽に何らかの魔法を掛け、安定化を図る。つまりこの事業は、島に不足している作物の育成と同時に、将来、この島を照らすための技術開発、両方を兼ねた施設と言える。
 一先ず満足したと、ステラの手を引いて、宿泊施設の区画へ向かう。

●レナータの足取り
「お野菜を育てるのは難しそうだけど、地面がとっても綺麗です」
 街灯に照らされる桜色、天然の有色街道で、レナータは上機嫌に踵を鳴らす。気の向くままに歩いて見ると、島民に声を掛けられた。
「地上から来たんだってな、あの轟音、お嬢ちゃん達がやったのかい?」
「ええと、はい。もしや、驚かせてしまったでしょうか?」
「いやいや、あれくらいでびびる様な奴はいねえよ。でもよ、何したらあんな音が起きるんだ?」
「海の中でお水を一気に沸騰させるんですよー。そうすると、蒸気になって膨れ上がるんです。量が多くなると、当然、凄いことになるんです」
 レナータの説明に、イマイチピンと来ないという風な顔をする。水をフライパンに垂らせば一瞬で沸騰し、気体となる。感嘆に言うとこれの応用となる。水の体積は蒸気になれば1700倍に膨れ上がるのだから、多量に蒸発を促せば、膨張する瞬間に衝撃を持つと言うのも、ギリギリ、理解出来るかも知れない。UDCアース程度の科学知があるならば、だが。
「まあなんだ、魔法みてえなもんか」
「正確には違いますが、大体合っています」
「そうかそうか、サザナミ様からの歓待だってな、その前に、この辺りに行ってみな」
「有難う御座います?」
「おう、着いてからのお楽しみだよ。守ってくれてありがとなあ」
 悪気のない声を残して、男が去って行く。露天風呂は大変楽しみなのだが、彼が示した場所は、宿泊施設の有る場所とは、また違った場所だった。
「そう言えば、何時もの調子で派手にやってしまいました……」
 大衆浴場の方に入ろうとしても、これでは傷口が余計に痛むだけであり、衛生上も良くない。教えてくれた場所に向かってみると、他とは趣の違った建物が見える。
「あれは……何でしょう?」
 近付いてみれば、立て看板に低温の足湯と書いてある。利用はフリーで、他の深海人も何人か足やヒレを付けて温まっている。
「足湯……読んで字の如く、でしょうか」
 膝下まである、少々深めの造りは、深海人の下半身が、必ずしも人型ではないからだろう。ゆっくりと温泉に足を浸す。人肌より少し温かいお湯が、じんわりと人体に熱を伝え、足の筋肉を解していく。
「これは、癖になりそうですねー……」
 気持ちよさに、緊張が解れ、表情が緩んでいく。

●酩酊アクアリウム
 プラントで栽培されているテンサイを醸造した酒、周辺の島と取引したものなど、幾つもの酒が並ぶ。保存器具が硝子製や陶器製の物は地上に有る島からの輸入品であり、この島で醸造された物は、例外なく大き目の貝類や骨を加工した物であった。クレアはこの島の醸造酒と、サムライエンパイア所縁の島と思われる日本酒を購入し、店を出る。そう量は要らないが、残りは王族に帰すか、振る舞いに使えば良いだろう。
「この地では姫騎士なる者が慕われておるようじゃな」
 暫し歩くだけでも、目に入る姫騎士の像、王族であるサザナミと、何処か似ている気もするが、血族の可能性は捨て切れない。
「とすれば、会談の時に詳細は聞けそうか」
 幾つかの懸念はある。アマミとは既に別れ、クレアは酒を携えて、宿泊施設を訪れると、個室浴場に身体を浸す。ナノスキンが血管の如く温度差に流動し始め、筋肉が緩むような感覚を与える。吹き抜けに写るのは大型の海生哺乳類や穏やかな性格のシャチ、小型の群遊漁から、深海棲息のアンコウなど、天然のアクアリウムが出迎える。一人用にしては余裕の有る浴場で、このもてなしは、中々に気分が良い。徳利に注がれた冷酒を貝殻の容器に注ぎ、唇に寄せる。米を凝縮したような甘さと、アルコールの辛さが舌を刺激し、ナノマシンが躊躇無く、頭に成分を送り込み、ゆるりとした酩酊が、思考を緩慢とさせ、心地良い。
「これは、中々癖になりそうな贅沢じゃなあ……とは言え、アマミ殿の言も気になる所じゃ……水兵を全て斬り伏せたのは早計じゃった。首魁に思うところがあったので有れば、何か話を聞けたかも知れぬ」
 ほろ酔い気分のままに、幾つかの可能性を探りながら、次はテンサイ酒を注ぐ。キツい香りに、それがウォッカである事に気付き、ゆっくりと口に含む。日本酒に比べ、圧倒的な辛口の口当たりに、酔い過ぎると、ナノマシンで殆どのアルコールを中和した。
「美味いんじゃが、完全に酔ってしまう訳にも、いかんからなあ……しかし、敵の目的が支配では無く、破壊というのはやっかいじゃなあ」
 少しうつらとしながら、金色の美貌を、浴槽に預けた。

●紫の花
 宿泊施設自体は同じの個室浴場で、ゆかりとアヤメは個室浴場に来る。
「すっごいですねえ」
「天然のアクアリウムね。ええ、ロマンチックだと思うわ。ほら、背中流してあげるから、座りなさい」
「有難う御座いますー」
 適当な場所に座ると、此処で作られたらしい独特の繊維で編み上げられた布地がゆっくりと這い回る。今回はアヤメのお陰で助かった部分が多かった事も有り、ゆかりが流すことにしたようだ。互いに海水に濡れきっているので、乾いて塩水が張り付いている。
「結構気持ち悪いわね。良く洗っておかないといけないかしら?」
「あのー、ゆかり様、変なこと考えてません?」
「良いことなら考えているわよ」
 何か嫌な魔力の流れを感じたのでそろりと待避しようとするアヤメだったが、見抜かれていたようで、呆気なく回り込まれた。暫くして、肌つや良く、やけに上機嫌な様子で浸かっている主人と、疲れ果てたように身を預けている従者が浴槽に横たわっていた。
「うぅ、本当に良い景色ですから、のんびり楽しみたかったです……」
「……悪かったわよ。そうね、それはまた今度にしましょう。その為にも、討滅は頑張りましょうか。夕方、だったわね。一夜、越せると良いのだけど」
 もう少し、この従者とじゃれ合っていた亥というのは、ゆかりの本音だろう。

●捜し物は稼動できない物
「電気さえ有れば何とかなったなー!」
 アマミはシンプルな浴衣を小粋に着流し、寂れた温泉街をうろついていた。彼女の望み通り、この島にも辛うじて原型を留め、漂着した旧世代落ち物パズルゲームは見つかった。肝心の電気の供給源は無く、良く分からないオブジェとして置かれているだけだった。
「残念じゃなー。さて、さくっと風呂を済ませるかのう」

●入浴
 シーザーとステラも同様に、個室浴場での入浴を満喫し、疲労を抜いた後、再び街に繰り出していく。パノラマを所狭しと泳ぎ回る水棲生物は、シーザーの目を大いに満足させ、ステラの目を奪うには十分だった。
「他の深海島にも、少し興味が湧いてくるね」
「気持ちは分かりますが、行く方法は、どうにかならないのでしょうか……別室のフォースエンサーさんからウォッカを分けて頂きましたが、飲まれますか?」 
「少し度が強いね。終わった後に頂こう。もう少し、時間は有りそうだね」
 面白い事を考えていそうな、あの少女の後を追う。

●卓球
「何故じゃ、卓球台が存在せん……じゃと? くっ、深海島であっても技術劣化の影響は受けると言うのか……神羅アマミ、一生の不覚……ッ!」
 拳を握り締め、場末の温泉街で崩れ落ちる羅刹の少女、卓球台が無いと言うだけの理由で、彼女は打ちひしがれた。19世紀に考案され、ラケットとボールだけでも空洞プラスチック球、ゴムの生成に、滑り止め加工、木板が必要となれば、この世界の、この島で実現するのは、非常に難度が高いスポーツと言って良かった。
「卓球台をお探しかな? 成る程、此処は確かに、そう言う雰囲気だね」
「何……?」
 パチンと二指が擦れ合う音が響く。眼前に深紅が渦巻き、ネットで挟まれた卓球台とラケットが現出する。
「何を隠そう、私もこう言った遊技は嫌いでは無くてね」
「お、応とも! 相手にとって不足無しじゃ! 行くぞ!」
「……卓球か、楽しそうじゃな。どれ、ステラ殿、わしと一試合、どうじゃ?」
「いえ、私は遠慮しておきます……」
「二人とも頑張って下さいねー」
 小柄とは言え、羅刹の力で振り回されるラケットが、ピンポン球とは思えぬ破壊力を生み出すワンバウンド・ショット。迎え撃つのは徹底的に鍛え上げられた肉体と才気。的確に球の軌道を見抜き、難なく打ち返す。軌道は迷い無く端を狙い、驚くべき長さのラリーが続き、寂れた温泉街に居た一般の深海人がその様を見て、他の深海人を呼び寄せる。目前で続く嵐のような応酬、地面に一切着地すること無く続く、秒間100に迫るピンポン球のやり取りは、互いが人外で有る故になせる技で有り、勝負は次第に、点数では無く、一度、このラリーを止めた者が敗者で有ると、アイコンタクトで通じ合う。先に息切れを見せ始めたのはアマミの方で、次第にシーザーの繰り出す軌道に追いつけなくなっていき、次は返せぬ、となったところで、全力の打ち返しを試みる。
「良い重さだが……終わりだね」
「く……っ!」
 シーザーのラケットが的確にその球を捉え、唇の笑みが深まった。彼の勝利の笑みであると、アマミは悟る。的確に隅を狙われ、足を踏ん張るも、一歩届かない。
「妾の……負けじゃ!」
 呆気なく地面に落ちたピンポン球に、アマミは敗北を認め、決着の瞬間に、ギャラリーが湧き上がる。どう言った遊びなのか問い詰められ、その場に居合わせた猟兵は卓球のルールを事細かに説明し、シーザーは卓球台のついでにルールブックも造りだし、台に備え付けた。
「さて、そろそろ会談の時間だよ。王宮に行こうか」
「姫騎士の像と噂なー、何方に転んでも、嫌な予感がするぜ……」

●サザナミの話
 一時許された時間が過ぎ、夕刻、王宮の食事会に猟兵達は招待された。魚だけでは無く、貴重と言っていた穀物、交易でしか手に入らない動物の肉、果てはデザートに小麦を使うケーキなどが饗された。
「女騎士の像が有るのは見たのじゃろう? 民衆に慕われていた、立派な方じゃった。此処では、深海人と地上人のハーフと、疎まれておった。最後は、謀殺されてな……随分昔の話じゃ。妾も良く似ていると言われるが、血縁かどうかなど、最早分からぬよ」
「報復するには、十分すぎる動機だね」
「うむ、其方達には引き続き、手を貸して欲しい。あれはコンキスタドールなのじゃろう? 此度襲って来るのが、そのツナミ様ならば、尚のことじゃ。進んで前に出る勇猛さから、部下にも慕われていたらしい。死の海より来るのならば、引き連れてこよう。我等王家の失態は、繕わねばならん。そして、次こそは……」
「英雄として、心安らかに眠って欲しいと、そう言う話かのう」
 酔いを覚ましたクレアの言葉に、サザナミは僅かに首肯した。
「……む、不躾で済まんが、警戒と一般人の非難を頼む。お出ましじゃ。霊体、となると今言われた騎士の霊か?」
「その様だよ。前哨戦と言った所かな」
「もう少し待って欲しかったのだけれど、出番ね。アヤメ、行くわよ!」 
「では、歓待の御礼をさせて頂きますね。足湯、とても気持ちよかったです」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『謀略の泡に消えた悲劇の姫騎士・ツナミ』

POW   :    出でよクラーゼン!そして全てを呑み込め!
【甲殻と触手を合わせ持つ全長レベルmの怪物】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    見よ!王国と人類に仇なす者は私だけではないぞ!
【深海王国の様々なオーバーテクノロジー武器】で武装した【深海人の忠実なる騎士や兵士】の幽霊をレベル×5体乗せた【深海武装船団】を召喚する。
WIZ   :    聞くが良い!我が呪われし王家の深き闇を!
【長々とした悲話に耳】を向けた対象に、【予め部下が壁や床に仕掛けていた罠の爆発】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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●泡沫の姫君
「協力態勢にあった先遣隊は壊滅、此方の騎士も、非戦闘員の居る地域に入る前に捕捉された、とな……随分な兵が居るものよ」
 長い銀の髪を僅かに揺らし、付き従う兵等に号令。この様に堕ちた自身を肯定し、かの島国との闘争に躊躇い無く同意した彼等が、唯一、彼女の信頼する者だった。
 人は醜悪である。守護に感謝をしようとも、出自の疑義は拭い去られる事も無く。感謝に縋り、尽力すれば、仮面を捨て、本性を露わにし、利益の為に使い捨てる。王族等と取り繕おうと、肩書に縋るだけの、醜い小心者ばかり。優しさなど欠片も無い。
 民衆にも同様の魔物が住み着くのなら、その一切合切を刈り取ろう。人に救いなど必要無いのだ。
(いいや、これも只の繕いよ)
 気に食わぬ、許せぬ、あの国が自身を切り捨てて、今も存在する事が、何よりも耐え難い。滅べ、滅ぶことこそが正道と知れ。畜生が統治する国に蔓延るのは、例外なく畜生であろう。他の島国にも伝播するならば、全てが病巣、人類とは存在その物が世界を食い破るどうしようも無い病原体であることを自覚するが良い。
「証拠に、見よ。王国に、人類に仇為す者は、私だけではないぞ……!」
 偵察が破れた今、小手先の探りなど必要は無い。下された号令は一つ、全て、例外なく、包み囲んで、鏖殺せよ。
 出現した深海武装船団から、800体あまりの騎士霊が、深海島を包囲せんと進軍する。

●状況進行
 猟兵達が施した索敵機構により、コンキスタドールの軍勢、騎士の亡霊は事前に察知することが出来た。少数であり、即座に撤退したのを見るに、先遣が望めなかった代わりだろう。追尾した結果、既に本陣が包囲陣形を構えながら、深海島に進軍しているのが見える。
 事前察知により、現統治者のサザナミが、近衛を用いて王宮内への非難を呼び掛けている。此方を気にする必要は無い。猟兵達は、コンキスタドールの討滅に力を注ぐ事が出来る。
 事前に語られていた通り、敵コンキスタドールの正式名称はツナミ、深海人と地上人の禁断の愛から生まれ、蔑まれながらも騎士として前線に立ち続け、民衆からの支持を得るも、政治的に利用された挙げ句、民衆からの支持を疎ましく思う敵対勢力に謀殺された悲劇の姫だ。水底の幻想も、実体を知ってしまえば、抱える問題は変わらない。
 猟兵は深海島を守る為に、行動を開始する。
シーザー・ゴールドマン
成程、悲劇の姫君という訳だね。
うん、生きている内に出会えたなら救いを与える事も出来たが、君は既に過去だ。復讐を否定はしないよ。
力を示したまえ。君の力が我々を上回ればそれはなされるだろう。
今も昔も、それが真理というものだよ。

オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢へ。(水中戦×水中機動)

敵POWUC
『破壊の魔力』そのものの真紅の衝撃波でクラーゼンを呑み込みます。
(先制攻撃×衝撃波×範囲攻撃)

姫君自身はオーラセイバーで斬り伏せます。

ああ、今でもあの国には君の像が立っている。その最期も正しく伝わっている様だ。君にとって価値はないかもしれないが、あの国にとって君は価値ある存在だったようだよ。

◎/ステラと


ステラ・リデル
生前の貴女の最期には憤りも感じますし、その復讐心も尤もだと思いますが……
復讐すべき存在は既にこの世に居ません。
今を生きる人々にその矛先を向けるのはただの八つ当たりというものでしょう。それに、親(祖先)の罪は子(子孫)の罪ではありません。
それが如何に理不尽であるか、貴女にはよく分かると思いますが?
(両親のことで翻弄されたのだから)
『魔王の黒船』を召喚。
軍人幽霊達の操船で武装船団を砕き、悪魔の軍団が外に出て騎士霊の集団と対峙します。ステラ自身は船内で全体指揮。
敵WIZUC
歴戦の軍人や悪魔の軍団は戦闘中に悲話に耳を傾けないでしょう。
(シーザーが怖いですからね)
◎/シーザーと


クレア・フォースフェンサー
国を守護った英雄がその若さで謀殺とはのう
此度の戦は正当な復讐ということかの

じゃが、おぬしはオブリビオン、姫騎士本人ではない
残酷な話じゃが、おぬしは姫騎士の姿と記憶に世界への憎しみを加えて生み出された別の存在じゃ
オブリビオンたるその目や耳には、今なお姫騎士を敬愛する者達の姿や声は入らぬのであろうな

それにしても、赤い瞳に灰色の髪、そして二本の角とは、なんとも似ておることじゃ
確かに何らかの因縁を感じざるを得ぬのう

となれば、わしはあのデカブツの引き受けようぞ
仲間から離れて光弓を放ち、敵の意識を自分へ
喰らいついてきたなら、UCで対クラーゼン用に身体を再構築
攻撃を見切って接近し、最大長の光剣で斬り伏せよう


レナータ・バルダーヌ
復讐を否定はしませんけど、皆さん反省されていますし、そもそも当事者の方はご存命なのでしょうか?
少なくとも、償いの結果を見ないままにこの島を潰えさせるわけにはいきません。

島からはそう離れていませんし、先程のような爆発は控えた方がよさそうです。
となると水中での攻撃手段は限られるので、【A.F.アルゲジア】とサイキック【オーラによる防御】を最前衛の味方にかけて援護に回りましょう。
こちらを狙われる危険はありますけど、【痛みに耐え】てしばらくは凌げると思います。

ところであの騎士様、なんだかアマミさんにも似ているような……。
加勢してもかえって水を差しそうな雰囲気ですし、お二人にはいったいどんな関係が……?


神羅・アマミ
な…なんと…!
年齢こそ一回り上じゃが、あの美しき威容、またしても妾のそっくりさんが!
…そっくりさんだよな?
お前ら言え!そうだと言えーッ!

さておき、なまじ民衆の支持が高く、その複雑な血筋が故に忙殺されたという皮肉まみれの運命、同情せぬわけではない。
じゃが…なればこそ、其方もまた本来は慕い、慈しんでいたはずの民草を裏切るような真似はせず、大人しく躯の海に還グワーッ(爆発)

長々としゃべくってる間に壁爆破とは上等だよ…!
なんせ考えることは同じじゃからな!
時間稼ぎからUC『吊込』の罠転送ポイントを絞り込み、ツナミの周囲へとおもむろに展開!
電撃・氷結で四肢の自由を奪い、速やかに渾身の一撃をお見舞い!


村崎・ゆかり
地上だろうと海の底だろうと、ヒトのすることは変わらないわね。でも、それだけがヒトの有り様じゃない。隣人を愛し、その人のために立ち上がろうという正しい心も持っているって知っている。
姫騎士、あなたは自分からそういう人々から離れて、薄汚れた世界へ落ち込んだんじゃないの?

問答をするにも取り巻きを何とかしないとね。
掌大の貝殻に印を書いて即席の呪符にして、辺りにばらまく。器物覚醒。周辺の海底そのものを巨獣に変えて操る。
「全力魔法」「衝撃波」のブレスで騎士たちを「なぎ払い」、姫騎士への道を作らせる。

勝負よ、姫騎士ツナミ。現在と過去、どちらが《今》を制すべきか!
巫覡載霊の舞で薙刀を振るい、「串刺し」狙い。



●摺り合わせ
「南無八幡大菩薩、この地、罷り通れると思う勿れ」
 クレア・フォースフェンサー(UDC執行人・f09175)の鍵言葉に、108の光球が結界を生成、外部に居る島民の区域まで、隈無く覆う。オブリビオンのみを通さぬ時間稼ぎ、避難を完了するには十分だろう。
「サザナミ殿、言うた通りじゃ。後は頼む」
 彼女の言葉に、サザナミは頷き、先程の言と合わせ、動ける人材全てを使用して避難勧告と緊急号令を出す。手並みは鮮やかで、猟兵を安心させるには十分だ。
「これなら、私の方は必要無さそうだ。先ずは騎士団か」
「シーザー、以前頂いた黒船の方は、何時でも」
「召喚術式の安定化も終わったのかな。試運転には良い機会だね。慣らしておくと良い」
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は海中を覆っていた自身のオドを、スーツの襟を正すと共に純化、回収し、従者としてのステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)に指示を出した。
「私は、そうですね。痛みを肩代わりする魔法を皆様に施しましょう。ただ、展開している間、動けないので、狙われてしまうかもしれません」
「でしたら、私とご一緒しましょう。いえ……これでは失礼に当たりますね。ご助力を、願い出ても良いでしょうか?」
「はい。私で力になれるのなら、喜んで」
 レナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)の申し出に、ステラは軽く頭を下げた。二人は同行する形となった。
「ええと、騎士団の物量包囲が予想されるわよね。じゃあ、私は後方火力支援に回るわ。召喚術に近いから、合図は送るわ」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は解除していた水練の術を自身に施し、従者であるアヤメに周囲の護衛を依頼する。アヤメは、レナータに痛覚代替の術式を任意開放式で埋め込んで貰う。
「必要無いとは思うのですがー、念の為、ですね」
「妾は……隙を見てそっくりさんを拘束するかー」
「そっくりさんじゃったか」
「そっくりさんなのですか?」
「そっくりさんなのですねえ」
「え、年齢こそ一回り上じゃが、あの美しき威容、またしてもとなるが、妾のそっくりさん……そっくりさん……だよな?」
 神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)の言葉に、思わず聞き返したレナータとクレア、その後に何故か、アヤメが妙に納得した様子で幾度か頷いていた。
「お前ら言え、そうだと言えーっ!」
 シーザーはまたしてもと零した彼女の言葉に、オブリビオンの発生源はアマミでは無いかと訝しんだが、特に確証も無く、本人にも自覚が無いので、特に害は無さそうだと判断し、彼女の訴えるような大声を聞き流し、考えを改めるように首肯した。
「是非は一先ず置いておこうかのう。儂も後方から弓を射掛け、注意を引くとしようか」
 大まかな各人の方針の摺り合わせを終えると、島外へと猟兵達は展開する。

●静音海戦
 ステラは王宮の外でオドを集中させ、蒼光の法陣を描く。二重の八芒星、シジリウムが呼応する。
「来たれ」
 一言と共に、主、シーザーが作り上げた別世界外宇宙の黒船が、彼女等の統治世界の悪魔の軍勢と共に、深海島に召喚される。領空を警戒する様に、編成済みの小隊が飛行する。
「バルダーヌ様は此方へ。周囲警戒はシーザーと彼等が行ってくれますが、特に前線に出る物に、痛覚代替をお願いしても宜しいでしょうか」
「分かりました。この人数ですと、あまり長くは持ちそうにないですし、先程と同じ様に、少し工夫をしておきましょう」
 レナータは艦内で座禅を組み、力を集中させる。回数制限付きの痛覚代替の術法を展開、艦内全てを包み込み、750に及ぶ悪魔と幽霊の全てに、証拠の紋章が浮かび上がる。復讐を終え、原初の傷跡を思い出したレナータの力の気配は、守護の気配が強く、慈母の様な暖かさに満ちている。
「傷を受けなくなるわけではないので、気を付けて下さい」
 彼女が力について注意を促すと、ステラがすぐに効能と注意を全軍に通達する。ある程度無茶は出来るので、撤退時期の詳細をある程度計算し、デバイスを通じ、周知させる。
 全てを終え、黒船は敵軍を警戒しつつ、低速隠密機動。
「諸君、戦の時だ。気を引き締めてかかりたまえ」
 主君の号令に、総勢750の悪魔と幽霊の軍勢が諸手を上げ、声を上げる。
「ああ、それと、敵の悲哀に耳を貸さぬように。この意味が分からない無能は居ないと、思っているがね」
 冗談の無い声音に、兵等一同は幽霊を含め、死の恐怖に背筋を凍らせる。指揮が落ちた様に見えるが、良く訓練されている為か、そう影響は無さそうだ。
 島を離れ、深海に着水。水圧に、浮遊する電子パネルの数値が変動し、艦内の悪魔が指揮を執るステラに結果を告げる。
 有効と思われる探知機を作動し、武装船団の位置を探る。護衛は深海行動に長けた悪魔と、そもそも物理的制約を受けない幽霊の軍勢。
 包囲するように展開された武装船団の位置を捉える。隠密性能に長けた黒船は、彼方の探査には引っ掛からず、また、危うい時にはステラが介入し、軽度のクラッキングを行う。
「この深度が探知範囲、装甲共に限界です」
僅かに差す光も無くなりかけた所で、静かに告げられる。
「少し時間が掛かりましたね。シーザーに位置情報の共有は終えましたし、取り掛かりましょう」
「は……いえ、イエス・マムですかね?」
「他意が無い事は分かっていますが、その言い方は少々、複雑なので……何時も通りでお願い致します」
 少しだけ軽い笑いが響き、ステラの頬が多少、赤らむが、この程度の茶目っ気は何時ものことであり、仕方の無い事だ。深海の暗闇、光は艦内の照明のみ、耳が痛くなると形容したくなる程の無音。探知機のみを頼りにする隠密行動、精神的ストレスの軽減は必須と言える。息を呑む位ならば、軽い笑気が有る方が頼もしい。
「誘導魚雷発射用意、命中後、纏わり付くと思われる幽霊軍を逃さぬ様にお願いします。一人逃せば、私達の行動は無に帰すと、心得て下さい」
 艦隊規模は24隻、母艦と思われる敵影は捕捉しているが、役目は露払いだ。小型の護衛艦隊が居ないのは、敵性存在が少なかったか、船の足が速く、潜水能力と、隠密性能も兼ねているからだろうと、ステラは考えた。全ての艦船が海上、海中両用なのだから、通常の艦隊と構成が異なるのも納得出来るだろう。
 魚雷発射管の弾込めが終わり、周辺人員の待避を確認。戦闘機動から、射程内まで急速浮上、静音性に長けた動力が、僅かに唸りを上げる。水が泡立ち、魚雷下部の燃料に火が入る。発射、命中は疑う必要も無い、僅かな駆動音を察知されながらも、急速潜行。
「……私の艦隊よりも優れた潜水能力の艦船……じゃと……!? 見えている間に追撃、急げ!」
 ツナミは駆動音の静かさとその潜水能力に驚愕しつつも、4隻を潜水させ、追撃に差し向ける。届かせるのは艦船では無く、そこに搭乗させた幽霊騎士だ。見えぬ敵は脅威だと、140程の軍勢を割き、誘導魚雷を掃射。2隻が4発、2隻が2発。見透かした様に撒かれる熱源、魔力のチャフ。誘爆し、当たらずに潜行不能領域に逃げる黒船を、深海人の騎士幽霊が追撃し、護衛の悪魔達が魔法と魔法機雷で寄せ付けず、尚越えてくる幽霊を、水の抵抗を受けぬ、魔力弾による機銃掃射、残党を、護衛悪魔が近接戦で幽霊を浄化する。どさくさに紛れて乗り込んだ二人から通信。
 追撃を停止した瞬間に超射程のアンカーを射出。追撃に使用された4隻をゆっくりと、水圧に耐えられぬ深海へと引きずり込む。残20隻。経過は順調。ステラが安堵に息を吐くと、ブリッジで従う悪魔が、飲料を持ってくる。
「気を抜かぬ様、皆様も休息を執って下さい。被害報告を、バルダーヌさんの術があるとは言え、過信せず、負傷兵は艦内へ待避して下さい」
 近接戦闘で数名の兵が軽傷。目を瞑り、座禅を組んだままのレナータの表情は変わっていない様だ。カップを差し出すと、紫の色の目を開き、嬉しそうに受け取った。

●灯下盲目
「彼女達も、あんなのと戦うなんて思わないわよね……がら空きになるのも当然か」
 魔力アンカーに繋がれ、引きずり込むと見せかけ、すぐに離された1隻を、手筈通り、ゆかりは受け取った。ステラに通信。呪符の代わりとした印の描かれた小粒の貝殻を一つ落とし、丸ごと疑似生物化する。流石に規模が大きすぎるので、通信傍受までは出来なかったが、暫く身を任せられる程度で十分だった。彼方に注意が向いている間に、彼女は静かに術式を編む。51の印刻みの貝殻が、僅かな魔力光を伴いながら、深海の底に沈んで行く。
「斗、午、女、虚、危、室、壁、北方七宿に願い奉る。二の帝、二尾一頭の御身、我が呼び掛けに応え、亀蛇、共に寄り添い、もって牡牝となし、後に番いとなるべし。青龍・百虎・朱雀・玄武・空珍・南儒・北斗・三態・玉如……」
 玉粒の様に吹き出る汗に構わず、九字の印を切る。高まっていく霊力に反比例する様に、体力が座れていく。アヤメから無理に分けて貰ったとは言え、夜まで付き合って貰いたかったというのが本音だ。
「んー、法陣の強度が、儀式に足りていないとお見受けします。ゆかり様の術式は幾度か拝見しておりますし、簡易となりますが、陣の強度を上げておきましょう」
 言うや否や、水中では投擲できない苦無を観戦の上に突き刺し、ゆかりが描く法陣の内部に、更に法陣を追加する。既存の術式の邪魔をしない、的確な補助だった。
「変な気を、遣うんじゃ……無いわよ……!」
「ご安心を、こう見えても山育ち、鍛えられております!」
 余裕が無く睨めつける様な視線と、唸る様な低い声音。込められた意味は、其方も辛いのだから無理をするな、だ。素直では無い主の一面が可愛らしいと、親指を立てて微笑んだ。滴ることの無い汗を拭くよりは、倒れる彼女の後を心配するべきだろう等と考え、彼女の傍に佇むと、諦めたように目を瞑る。
「急急如律令。汝、我が下知に応じ、守護聖獣……破邪顕正……」
 術式完成。脱力と共に、霊力の奔流。海底が励起するように、けたたましい地響きを慣らす。伝令、戦闘中で有れば、待避を。

●嘆き
「村崎さんからの伝令、作戦は順調に移行して居ます。私達の出番はそろそろ、終わりでしょうか」
 作戦継続。詠唱の間にもう何隻かを同様の奇襲で沈め、少々の疲弊を解消する様に、ステラは眉間を揉む。見えぬ敵に向かって、敵の母艦から悲哀の物語が流れてくる。内容はほぼ、聞いた通りで有り、この状況で回線を開示する訳にも行かず、言いたい事は後に回す他無い。聞いていなかった兵達の中では、生返事を漏らしながら頷いている。シーザーの言の意図を察したのも有るが、ある程度同情している念も見受けられる。何せ、シーザーの軍勢は殆どが元人間、割と個性に富み、悪魔とは思えぬ程情感が豊かだったりする。
(復讐自体は正当だとは思うのですが……)
 シーザーもステラも、納得するのは、そこまでだ。
「彼女には、どの程度、見えているのでしょうね」
 ふっと過っていったレナータの言葉は、同情よりも、そう言った存在が何に囚われているのかを、改めて兵達に知らせてくれた様だ。

●北方七宿、守護聖獣、玄武
 此処が零下に迫る海底ならば、冬の帝を呼ぶのに是程適した土地も無い。水底に死への旅路が有るのならば、冥界と現世を往来し、信託を授ける聖獣が、それを依代に顕現するのは自然のこと。
 亀の首を擡げ、二頭の蛇の尾を海中で叩き付け、北方七宿の聖獣が、一切の邪悪を討滅せんと、声高に吠え猛る。
「壮大だが、やり過ぎて居る気配も有るね。あまり召喚を持続させるのは危険かな」
 オドを纏い、飛行するように水中に佇みながら、機を伺うシーザーは、そう見極める。実際、操作すべき術者の力がギリギリで保っていると言った所だ。敵の艦船を優に越える巨体が、幽霊騎士ごと艦船を噛み砕き、蛇の尾が薙ぎ払い、食らいつく。耳鳴りを齎す方向、食らいついた先から、霊魂すら凍結させる氷気が流し込まれ、艦船を凍結させ、行動不能に陥らせていく。
 ステラの黒船、ゆかりの作り出した、聖獣の暴威、両者が武装艦隊を次々と陥落させていく。指揮を執るツナミは歯噛みしながらも、緊急自体に即応していく。
「急速潜行、後に隠密潜伏……出でよクラーゼン! そして全てを呑み込むが良い!」
 残った艦船全てを急速潜行、召喚媒体のみを射出、有効範囲から呪文詠唱。玄武の追撃を躱しながら、ステルス戦艦への対処に頭を巡らせる。僅かに探知を効かせれば、亀の化物とクラーゼンが思惑通り、潰し合いを始めたようだ。

●兵法者
「国を守護した英雄がその若さで謀殺とはのう。此度の戦は正当な復讐ということかのじゃが、おぬしはオブリビオン。残酷な話じゃが、おぬしは姫騎士の姿と記憶に世界への憎しみを加えて生み出された別の存在じゃ」
 その身は最早姫騎士では無く、別の影で有ると、クレア・フォースフェンサー(UDC執行人・f09175)は無差別に語られていた悲哀に耳を傾け、呼び出された醜悪な化物を見て、目を伏せる。
「その目や耳には、敬愛する者達の姿や声など、もう届かぬのじゃろうな。斯様な化物を持ち出すのが、その証拠じゃ」
 水中適応、クレアは白の大弓を構え、外殻に狙いを定め、光矢を番え、非実体の弦を引き絞る。
「デカブツじゃしな、源氏の十一男の真似事は要らんのう。力押しで罷り通る!」
 斜め上に向けられ、開放を待つ一矢が、黄金の瞳が見開かれると同時に、水中で放物線を描く。空間干渉に至るまで鍛えられた弓の絶技、ナノマシンボディが有する性能では無い、純粋な術技は、驚嘆に値する。
 超速で飛来した光矢が上空で弾け、絡み合う玄武を避け、頭上から光の矢雨を降らし、外殻を貫通する。息吐く暇も与えず、被せるように次射、更に次の矢が番えられ、外殻に絶えず穴を開けんと降り注ぐ。悲鳴が上がり始めると同時、無差別に攻撃される触手全てがクレアの方向へ向き始めた。
「ケダモノ狩りより楽じゃのう! そうれ、来るぞ!」
「君の兵法は中々勉強になるね。人間の身でそこまでの境地に至るというのは、驚嘆に値する。今度、手合わせ願いたいね」
 敵の構成データをシーザーから受け取り、光剣以外をナノマシンによって分解、身体に取り込み、クラーゼンに最適な形態に再構築させる。ナノマシンの活性、光剣を最大長に巨大化させる。その全長は77メートルにも及ぶ。
「あの手の獣に虚実など意味も無かろう、正面から斬り伏せる」
「合わせよう。端から刻む。損ねる事など無いだろうが、仕損じれば此方で終わらせる。安心したまえ」
「かたじけない。では、クレア・フォースフェンサー、全力全霊の一刀を以て、お相手仕る!」
 ナノマシンの活性、加速機構をオン。襲来する触手をシーザーが変幻自在のオドによって切り裂き、道を開く。穴の空いた外殻、触手を斬り裂かれ、悲鳴を上げる化物に、横薙ぎの白光一閃。弓矢と同じく、空間ごと、ユーベルコードを断絶する一刀、鋭利な太刀筋が、或いは細胞の認識を遅らせ、クレアが残心を終えてから、ずるりと二つに別れ、光の粒子となって砕け散る。
「つまらぬ物を斬った……この様な影が生まれる前に、助けてやれれば、良かったのじゃがな」
 届かぬ願いと知りながら、年老いた魂が、僅かな時間、心を残す。役目を終えた光剣が、慈悲無い機械音を響かせ、刀身を消し去った。

●艦隊撃沈
「目標、全て撃沈しました。幽霊騎士も最早根絶されたと思います。敵艦、急速浮上! 追いますか?」
「必要ありません。上部に出現した召喚獣はシーザーとフォースフェンサーさんが討伐された様です」
 負傷兵は僅かだが、流石に肩代わりしているレナータも僅かに顔を顰めた。戦艦に収容されたゆかりとアヤメは、呼吸の乱れも無く、健やかに眠っている。
「後は残った方達にお任せしましょう。此方の作戦は状況終了ですが、バルダーヌさんはどうされますか?」
 座禅を崩し、レナータは微笑んだ。
「加勢に行きたいので、少しだけ、浮上をお願いしても、宜しいでしょうか」
「貴方のご助力のお陰で、此方の兵は痛覚に惑わされる事無く、作戦を遂行できました。遠慮は不要です。改めて、私からも、謝辞を述べさせて頂きます」
「いえ、そんな……と謙遜するのも良くないでしょうか。え、ええと、有難う御座います。でも、これで終わりにして下さいね?」
 戸惑いながら言うレナータに、思わずステラの口元に笑みが零れた。、

●奄美と津波
 敗走を喫した母艦に、アマミは好機とみて乗り込む。最早姫騎士を慕っていた兵は残らず刈り取られ、彼女一人となっている。
「私の呪いは適わず、彼の王国は存命じゃと……ええい、あってはならぬ。浄化はまだ始まったばかりじゃ。この様な道半ばで……閉ざしてなるものか!」
「なまじ民衆の支持が高く、その複雑な血筋が故に忙殺されたという皮肉まみれの運命、同情せぬわけではない」
「お主、何者じゃ……」
 乗り込んだアマミが、姫騎士と対峙する。良い所だけッ持って行こうとしたわけでは無いが、改めて、その顔を見て見たかったようだ。成程、成長すれば、或いはこの様に育つかも知れず、逆に幼ければ、アマミと瓜二つになってもおかしくない。
「貴様に何が分かるという。我が苦悩の日々がお主の様な小娘に、解る訳が無かろう。浄化のみが、人に残された、唯一の救いの道よ」
「成程、悲劇の姫君という訳だね。うん、生きている内に出会えたなら救いを与える事も出来たが、君は既に過去だ。復讐を否定はしないよ。だが……君の力が我々のそれを上回る事は無かった。君は力を示す事が出来ず、復讐はなされなかった。今も昔も、それが真理であり、結果とはそうして起こるのだよ」
「貴様……私を馬鹿にしておるのか?」
「そう思うなら、剣を振るうと良い。まだ諦めるには、早いだろう?」
 そう、まだ結果は覆せるのだから、足掻くのが筋だろうと、シーザーは光剣を作り出し、構える。残された剣を引き抜き、ツナミが渾身の力で上段に振り下ろす。オブリビオンの身体能力と、彼女自身の技術に裏打ちされた、確かな一刀だ。心を残す事無く、受け止められた一刀を囮に腹を貫かんとする襲撃。飛び退いたシーザーを追尾し、心臓を狙う刺突。流れる様な連撃は、嘗て、誉れを誇り、民衆から称えらた事を、シーザーに納得させるには十分な説得力を持っていた。楽しめる領域では無いのが残念だと、目を閉じる。それの意味する事を知り、ツナミは歯軋りをする。
「貴様の様な、物がッ! 世界を歪ませる。欲の儘に振る舞う」
 艦船の浮上に、海中がうねる。作戦を終えたステラが、彼女の刃を止める。
「生前の貴女の最期には憤りも感じますし、その復讐心も尤もだと思いますが……復讐すべき存在は既にこの世に居ません。今を生きる人々にその矛先を向けるのは、ただの八つ当たりというものでしょう? それに」
「娘、貴様がその船の指揮艦か! 雪辱を果たさせて貰う!」
「ご随意に。親(祖先)の罪は子(子孫)の罪ではありません。それが如何に理不尽であるか、貴女にはよく分かると思いますが」
 光剣と刃が俊足で絡み合う。両親の事で翻弄された彼女が、それを解らぬ筈が無い。出自のそれを抱えながら、無念を抱え、一生を終えた筈だろうと、ステラは無表情に刃を交えながら、語りかける。
「私が、あの者達と同一だと言うか。その様な事が起こらぬように、醜悪を浄化しようと言っておる!」
「皆さん反省されていますし、そもそも当事者の方はご存命なのでしょうか? 少し目を覚ますべきかと」
 痛覚共有、心痛を見る事が出来るか否かは解らないが、彼女の心を改めて垣間見ようと、突き立った剣を媒介に、痛みの源泉をレナータは探る。血と傷口で彩られた心象風景、黒い海の底の底。民衆の温かさが彼女の心を癒す唯一の時であり、両親の愛は彼女にも変わらず注がれた。つまり彼女の忘れ去られた第一動因は、復讐等では無く……故に彼女を救う手立てが無いと、レナータは痛ましく、悟ってしまった。
「レナータ! また無茶をしおって……其方もまた本来は慕い、慈しんでいたはずの民草を裏切るような真似はせず、大人しく躯の海に還……」
「ええい、お主は外見からして五月蠅い、吹き飛ぶが良い!」
 先程のオープン回線の際に仕掛けていた爆薬を、合図で起動させると、アマミが直撃を受けて吹っ飛ぶ。
「おのれ、皆と妾が長々としゃべくっている間に爆破とは上等だよ……! ほんと、意図を見抜いて、協力してくれたことに感謝するぜ……盛者必衰、油断大敵!己の力に自惚れて、迂闊な歩を進めた、その一寸先こそが闇! 呪縛されし五体に後悔の二文字を刻め!」
 次元転送装置、霊的覚醒を駆動、罠がツナミの周囲に設置され、氷結の魔力が、彼女の四肢の自由を奪う。
「死ねーッッ!!」
 すかさず距離を詰めたアマミが、膂力任せに畳まれた和傘を叩き込む。
「く……が……! まだだ……まだ……私は」
 アマミの頭を狙った致命の一打は、それまでのやり取りによって、疲弊したツナミから、継戦能力を奪うには十分だった。拘束の氷結を解く力も無く、粒子に帰る彼女に、レナータは無駄と知りながら、一つ言葉を残す。
「今度は、優しい光で一杯の世界に、生まれて下さいね。迷わずに、ですよ」
「ああ……そう、か」
 人が醜いと感じるのは、人の暖かさに幾度も幾度も触れていたからだ。復讐という動機、悲哀の出生、折り重なった悲劇は、優しい人達で溢れた世にしたいと願う、第一動因を覆い隠し、忘れさせてしまうには、十分過ぎた様だ。
「ふむ、今でもあの国には君の像が立っている。その最期も正しく伝わっている様だ。君にとって価値はないかもしれないが、あの国にとって、君は価値ある存在だったようだよ。もう届かないだろうがね」

●エピローグ
 クレアが張った結界を解き、ステラが猟兵を黒船に収監し、島に戻って行く。緊急事態の収束を確信し、然し、悪魔の800近い軍隊を歓待するのは財力的に厳しいと、サザナミは頭を悩ませた。大衆浴場を1日貸切にする程度が限界だと言われると、悪魔と幽霊の軍勢はそれで良いと快諾した。重ねて言えば、観光が出来ればそれで良かったようだ。期せずして今回召集された面々は全員、慰安旅行に出向く形となっていた。
 サザナミは、ツナミを静かに眠らせてくれた猟兵一同に、深い感謝を示した。
「何時でも歓迎する。自由に遊びに来て欲しい。王家から名誉を送らせて貰うぞ」
 水で作られた宝石に、幾つかの装飾を遇った物が猟兵に授けられた。どうも、無線程度の通信機能が付いている様で、島内に居れば、何時でも王家と連絡を付けられる様だ。
「まあ、流石に、穀物類はそう出せんのでな、それだけは勘弁して欲しい」
 夕食に饗した物もそれなりに貴重だった様だ。温泉などは自由に使えるので、特に文句を言う物は居なかった。何より海の幸が遙かに安価なのだから、文句の付け様が無い。
 シーザー、ステラは部下が満足するまで、もう暫くこの地を二人で楽しむ為に、連れ立って歩く。
 アマミはクレアを誘い、見付けた旧作落ち物ゲームが動かないか掛け合ってみた。光剣の発生原理を利用し、ナノマシンを活性化した結果、どうにか動いた様で、暫くアマミは夢中でゲームに興じていた。代わりに、入浴中のクレアの酌をする羽目になるが、今はまだ知る由も無い。
 レナータは大きく出来た傷をどうしようか悩んでいると、応急専属のヒーラーをサザナミが紹介してくれた。古傷の多さにヒーラーは驚いたが、本人の希望した傷口のみを丁寧に治療してくれた。行きそびれた露天風呂で、皆が見た竜宮城さながらの天然アクアリウムを、時間の許す限り、思う存分に楽しんだ。
 ゆかりは術式には課題が山積みであると頭を悩ませながらも、一度隅に追いやると、アヤメの望む儘に、数日をのんびりと二人で過ごした。
 暫しの間、心身を存分に充足させた後、猟兵達は、何時もの日常へと戻って行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月15日
宿敵 『謀略の泡に消えた悲劇の姫騎士・ツナミ』 を撃破!


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#グリードオーシャン
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は神羅・アマミです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト