目覚めた熱き機械、蜜ぷにたちの悲劇
●ぷに、悲劇の逃走
アルダワ魔法学園のとある迷宮にて、蜜ぷに達が集まってこんな会話をしていた。
「プニー(なんか最近暑くない?)」
「プニプニ(たしかに、最近は異常だ)」
「プニープニ……プニ。プニ(なんか嫌な予感する……暑さは天敵だし。溶けるし)」
そんな蜜ぷにたちの可愛い井戸端会議をしている中、迷宮に一段と大きな地震が響く。響く地響きに落ちる瓦礫。蜜ぷに達も驚く中、地面を突き破り現れたのは――1つの炎を吐く機械。炎を吐きながら他の蜜ぷにたちを容赦なく食べながら、溶かしながら暴れまわり、迷宮の外を目指そうとしている!
「プニー! プニー!(あ、暑い! こいつのせいか!)」
「ププニプニ(でも下へ行こうとすればこいつにやられるし、上へ行けば生徒に食べられる、どうする?)」
「プニプニ! プニプニニ!(いいや、上へ脱出するしかない! どっちがマシかという話だ!)」
蜜ぷに達は一斉に逃げるように迷宮の上層へと向かう。挟み撃ちとなるのがわかっていたとしても……。
●まとめて退治しろ
「かわいそうな話だよね……」
予知の内容を話した水島・可奈(少女自由に夢幻を掴め・f01117)は集まった猟兵たちを前にそう言った。何の話だとばかりに他の猟兵たちも集まってくる。
「でも、悲しいけど、これもまた運命。心を鬼にしないと、学園が大変なことになる。今来た猟兵たちもいるからもう一度状況を説明するね」
そう言うと資料をめくり、再び説明を始めた。
「アルダワ魔法学園の地下迷宮で災魔のうちの1つである炎を吐く機械が目覚めたみたいで、あらゆるものを破壊しながら上層へ向かっていくのを予知したんだ。このままじゃ迷宮を突破されてしまうから、迷宮の中で迎撃してほしい。
で、これに巻き込まれたのが――かわいそうな蜜ぷにたち。この機械に追いかけられるように迷宮の上層へ向かっているらしい」
それってもしかして、と猟兵の数名が息を吞む。
「うん。挟み撃ち。猟兵のみんなには蜜ぷにも倒してほしい」
場がざわめく。中には「こんなむごい話があるか!」という声も出た。だがその声に応えるように可奈が首を振る。
「わかってる、でも……一応、オブリビオンだし、かわいいけど倒さなくちゃいけないんだ。悲しいけど、ね。蜜ぷにも、こっちを敵とみなして襲ってくるだろうし」
だからって、と可奈に掴み掛ろうとする猟兵を他の猟兵が止めるというありさま。それを見て可奈は呟くように言う。
「……こっちがやんなきゃ、学園がやられるだけだよ……蜜ぷにだって、完全に無害というわけじゃない。学園にどんな損害が出るかわからない。悔しいけど、倒すしかない」
どことなく、涙を流しそうなのをこらえているように見える可奈だった。
「学園の方が、事が終わったら鍛錬場を開放するみたい。気持ちを切り替えるために体を動かす――というわけじゃないけど、生徒たちも期待しているみたいだし、付き合ってあげてもいいと思う。
……強くなければ、助けられるものも、助けられないからね」
そう言うと可奈は転送の準備を始めた。半ば心をぐっと抑えている気がするのは気のせいじゃないだろう。
結衣謙太郎
――助けられるのなら、助けてあげたかった。だが、状況はそれを認めない。猟兵よ、全部を壊せ――。
結衣です。
結構シリアスです。そして多分後味悪いです。
……念のためもう一度。蜜ぷにを助ける方法は恐らくありません。
後ろからくる本題のスチームドレイク共々、容赦なく、討滅してください。
第3章の鍛錬は生徒も混ざれます。可奈ちゃんも呼べます。
生徒や可奈ちゃんを呼びたい場合はプレイングに明記してください。
鍛錬場は学校の体育館くらいの広さと考えてくれれば大丈夫です。
第1章 集団戦
『蜜ぷに』
|
POW : イザ、ボクラノラクエンヘ!
戦闘用の、自身と同じ強さの【勇者ぷに 】と【戦士ぷに】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD : ボクダッテヤレルプニ
【賢者ぷに 】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ : ミンナキテクレタプニ
レベル×1体の、【額 】に1と刻印された戦闘用【友情パワーぷに】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
「プニニ!(もうすぐだ!)」
「プニニ!?(やつは!?)」
「プニー!(だめ、追いつかれそう!)」
必死の表情で逃げる蜜ぷにたち。だが、もうすぐ外に出れる。外にさえ出れれば。
――そう、確信していた。否、生徒たちが来るのはわかっていただろう。だが――
――それでも、こっちの方がいい、外にさえ出れれば生徒に気をつければ大丈夫、と、そう思わずにはいられなかった。
――嗚呼、しかし、そこにいたのは――
リュセフィーヌ・オールセン
蜜ぷに…また会いましたね……
ですが迷宮の外に出すわけにはいきません!
可哀そうですが、倒させて頂きます!!
ユーベルコード「鈴蘭の嵐」を使って、蜜ぷにを討伐します。
「蜜ぷにには気の毒ですが、討伐させて頂きます……」
討伐が終わったら、蜜ぷにに黙とうを捧げます。
優陽・無訓
蜜ぷにと災魔退治、か。
可愛くても、オブリビオンだとわかってしまうと、
さすがに放っておく訳にはいかないからね。
蜜ぷに達には悪いけど、まとめて倒れてもらおうかな。
使用するユーベルコードは『Tempesta di fiori(テンペスタ・ディ・フィオリ)』
せめて安らかに逝けるよう、歌いながら、かな。
(アドリブや絡みは歓迎、だよ)
クァン・リンドヴルム
まあ、これも仕事です。細かいことは気にしないようにして戦います。
《挑発/12》をして正面に誘って、勇者ぷにや戦士ぷにを《盾受け/8》でいなしましょう。
そのうちの一体をドラゴニアンチェインで掴んで、本体にぶつけてしまいましょう。
あまり時間敵余裕もなさそうです。学園に被害が出ないよう早急に事に当たりましょう。
「蜜ぷに…また会いましたね……ですが迷宮の外に出すわけにはいきません!」
気合を入れながら立ちはだかるリュセフィーヌ・オールセン(オラトリオのビーストマスター・f10236)。
「たしかに可愛いし可哀そうだけど、オブリビオンだとわかった以上は流石に放っておくわけにもいかないからね……」
サウンドウェポンを片手に白と黒の翼をはためかせる優陽・無訓(影夢の弾語手(かげゆめのひきかたりて)・f06284)。
「まあ、これも仕事です。細かいことは気にしないようにして戦いましょう」
仕事と割り切って冷酷であろうとするクァン・リンドヴルム(荒ぶる力の忘れ形見・f03652)。
以上3名によるチーム。人数的にもまさしく攻略パーティともいえる猟兵たちだった。
「プニー!?(学生どころか、猟兵!?)」
「プニ! プニ!(勝てるわけない! 僕たちの未来が目の前で閉ざされた!)」
「プニ……(ああ、神様……)」
「ほら、何怖気づいているんですか。私たちを突破しない限り皆さんはやられますよ?」
クァンが獲物を回して挑発をする。ほんとは正面におびき寄せたかったが、あまりに蜜ぷにが混乱していたのか、正面に行ったのは勇敢なる戦士なぷにと勇者なぷにのみ。
「プニ! プニー!(猟兵が何だ! 僕らにはいかなければいけない理由があるんだ!)」
勇者ぷにがクァンに向かい突撃するが、クァンにとってはそれが狙い通り。黒曜石を加工した短剣『オブシド・マジック・ガルド』を裏に装備した『オブシディアン・クリスタ・シルド』で突撃を真正面から受け止め、その隙を狙いドラゴンオーラで爆破する。
「プニー!(勇者ぷにA-!)」
息も絶え絶えの勇者ぷにAをそのままオーラの鎖で後ろに回し、ぐるぐると振り回すと。
「時間に余裕はなさそうです。学園に被害が出ないよう早急に事に当たった方がいいですね」
と、オーラの鎖ごと蜜ぷに軍団に投げつける!あまりの勢いに勇者ぷにAをはじめ何体かの蜜ぷにが気絶する。
「プニ……? プー……(も、もうだめ……? あの少女がいる限り……)」
「プニ!(いや、ここは数を集めて、ごり押しだ!)」
「プニ! プニ!(そうだ! 猟兵だってみんなで行けば怖くない!)」
というわけで、数で押しつぶそうといわんばかりに召喚UCも使いながら目の前から大量の蜜ぷにが襲いかかる。さすがにこれは自分一人では、とクァンが思ったその時。
「蜜ぷにには気の毒ですが、討伐させて頂きます……」
「せめて安らかに逝けるよう……踊り巡れ、花嵐」
迷宮に歌が響き渡る。それは優陽の持ち歌の1つでUCの域にまで昇華したナンバー、Tempesta di fiori(テンペスタ・ディ・フィオリ)。
その歌と共に、優陽のサウンドウェポンが霞草の、リュセフィーヌの獣奏器が鈴蘭の花びらとなり、襲いかかる大量の蜜ぷに、そのすべてを通さないといわんばかりに攻撃していく。それはさながら花びらの竜巻、そして花びらに包まれた優陽による天国へのオンステージ。
「プニ……プ(だめ……なのか)」
「プニプニ(これだけの数でもダメとは)」
「プニ……プニ……プニープニ……(この歌……それに花びら……僕らは、このまま天国へ行くのか……)」
間違ってはない。だが、オブリビオンに天国があるかどうかは知らない。あったところで骸の海だろう。
だけど。せめてこの蜜ぷにたちは天国に行ってほしい。そう考える猟兵もいたのは事実である。その証拠に、リュセフィーヌは大量にやられた蜜ぷにたちに対し黙とうをしていたし、優陽の歌は蜜ぷにたちがせめて安らかに逝けるよう、優しい音色をしていた。
蜜ぷにたちがあらかた消えた後も、歌はしばらく鳴り響いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユリ・アップルヤード
「そんな素敵なものが目覚めるとあっては、私が行かないわけにはいかないでしょ!ぜひともお持ち帰りしたい逸品だね!!」
素敵な機械のためにも邪魔なのを一掃していこう。
Code:Genocideで機械巨人リアンと偵察ロボットコロマル、万能型ドローンルー、戦闘用機械兵ヒューズのリミッターを解除。
リアンは大楯と鉄柱を装備して前衛で薙ぎ払い、敵を面で叩き潰していこう。派手に暴れて惹きつけて盾役になってもらうよ。
コロマルとルーはそこを逃れようとする敵に対して制圧射撃。機動力を生かして駆け回りつつ、敵からの攻撃はリアンを盾にしていこう。
ヒューズは私の直掩。
リアン達を抜けて寄る敵には銃剣と狙撃を叩き込んでやろう。
シェミア・アトック
可哀相……いや、別に…?(無慈悲)
こいつらもオブリビオンな以上、どの途仕留める必要があるのだから関係ない…
でもまぁ、わざわざ苦しませる気はないから…comet、制圧射撃モード…
moonも構えて…奥まで一直線に、薙ぎ払う…!
目の前が拓けたらmetorに乗って通路を駆け抜ける…
近付いてくるなら、斬首斬撃で全員鎌の餌食にしてあげる…
さて、この事態を引き起こしたオブリビオンがどんな存在なのやら…
…歯応えがある敵だといいね…
●機械使いの殲滅作業
「可哀相……? いや、別に……?」
表情を変えないまま銃としては大きめの熱線銃『Shoot the Moon』を構えるシェミア・アトック(首刈り彗星・f00259)。
「そうだねぇ、邪魔だよ。こいつらを追いかけている、炎を吐く機械だっけ? そんな素敵なものの方が、私としては興味あるね。こんなスライムなんて邪魔だよ邪魔」
むしろ追いかけてきている機械の方に興味を示しているユリ・アップルヤード(パーツ屋「アップルガレージ」・f00153)。ちなみに彼女はグリモアベースで話を聞くや否や。
「そんな素敵なものが目覚めるとあっては、私が行かないわけにはいかないでしょ!ぜひともお持ち帰りしたい逸品だね!!」
と、40秒で支度を終わらせた女で、今回の依頼にやる気十分である。というか、蜜ぷにアウトオブ眼中。
「リアン、コロマル、ルー、ヒューズ。何も気にせず暴れておいで」
ユリはジェノサイドコード……え、コード名はちゃんと正確に? 失礼しました、Code:Genocideを自身の戦闘用ロボットに送信する。すべてのロボットのリミッターが外れ、大きなうめき声にも似た駆動音を上げる。
ではここで彼女のイカれた戦闘用ロボットたちを紹介するぜ! 蒸気機関で動き棘のついた大楯と鉄柱で前衛を張れる機械巨人、リアン! 小さなガトリングガンと少しの工具を備えた偵察ロボット、コロマル! 銀河帝国製ドローンを改造したものでレーダー、機関砲など色々備えた万能型ドローン、ルー! 高度な精密射撃や近接戦闘のAIを搭載した戦闘用機械兵、ヒューズ! 以上だ!
「プニーーーーー
!?!?(なんか強そうなロボたちなんですけどーーー!?)」
蜜ぷにたちが怯える中リアンは前衛で薙ぎ払いつつ面で蜜ぷにを叩き潰していく。派手に暴れているのはある種の挑発。前衛が暴れれば、それを止めようと敵は殺到する。それをあえてすることで盾役になってもらう作戦だ。
コロマルとルーはそこを逃れようとする敵に対して制圧射撃していく。機動力を生かして駆け回りつつ、蜜ぷに達が隙を見つけて攻撃していけばそれはリアンが盾となり守っていく。そして一部の蜜ぷには棘に刺さる。
ヒューズはというと、ユリを守るように上空をブーンと飛んでいる。
「プニ!(今なら、いける!)」
おーっと蜜ぷに、一瞬の隙をついた接近だ! しかしユリ本人も戦闘できないわけじゃない! 念動銃剣と狙撃が容赦なく叩きこまれる!
「私も、負けていられない」
この状況でシェミアはというと、何やら機械の操作をしていた。
「わざわざ苦しませる気はないから……comet」
シェミアがそういったかと思うと、背中に宙間用六連装ビームカノン『Stampede Comet』が召喚され、そのまま装着される。
「comet、制圧射撃モード……薙ぎ払う」
熱線銃を構えなおし前屈みになるような姿勢で足を踏み切りながら熱線を放ち、そのまま薙ぎ払うように蜜ぷにを焼き払っていけば、ビームカノンも6つの砲塔がそれぞれ別の場所をターゲットにし、独立に動いて確実に殲滅していく。
「プ」
訳もできないほどの短い言葉のみ残し次々と熱線やビームに焼き払われ蒸発させられていく蜜ぷにたち。前方は次々に薙ぎ払われていく。
「meteor、ブースター起動」
足を止めぬまま熱線銃とは違う手で鎌を持つと、その鎌の刃とは逆の部分についたプラズマブースターが起動、一気に急加速して通路を駆け抜けていく。
「プニ!プニプニ!(ひるむな!サイドから攻めろ!)」
シェミアの右舷前方と左舷前方から勇者や戦士な蜜ぷにたちが迫ってくる。彼らも必死だ。どれだけ攻撃が広範囲でも、潜り抜けて突破しないといけない理由がある。
だが、シェミアはそれを容赦なく踏みにじる。オブリビオンな以上、どの途仕留める必要があるのだから関係ない。立ち塞がるなら全て敵。対オブリビオン生体兵器として様々な手段で育てられたシェミアが感じるのはただ、それだけ。
シェミアは右へ左へ、あるいは止まって鎌を回転させ、蜜ぷにの首(どこかわかりにくいけど)を狩っていく。
「」
首を狩られては、何もしゃべることなどできず、蜜ぷには次々に鎌の餌食となっていく。
しばらくして、増援の蜜ぷにも来なくなったころ、いったん止まって帽子を整えていると。
「いやー、その機械いいねぇ! 素晴らしいよ!」
同じく蜜ぷにたちを殲滅してきたユリが追いついてきた。
「どうかな、私にその機械たち、詳しく見せてくれても――」
それにはシェミアは熱線銃を向けることで応じた。まるで、静かに、とでもいうかのように。
「――来る」
地響きが鳴り、迷宮の壁の上の石が落ちていき土煙を上げる――
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『スチームドレイク』
|
POW : スチームフレイム
【口内から射出される「錬金術の炎」 】が命中した対象を燃やす。放たれた【紅蓮の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 頭部連装機関砲
【頭部連装機関砲 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : スチームファイア
レベル×1個の【錬金術 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
●追いつかれた
ガォォォォォン!
勢いよく猟兵たちの目の前の地面を突き破って登場したスチームドレイク。無差別に炎や機関砲で攻撃していき、残ったわずかな蜜ぷにたちも全滅させる。
――蜜ぷにたちの逃避行は、ここに幕を下ろした。悲しい、形で。
スチームドレイクは猟兵を見ると大きな駆動音を立てながら全身から煙を、口から炎を吐き出す。
戦闘は避けられない。ここで撤退したら、それこそ蜜ぷにたち以上に学園に被害が出るだろう。
ガォォォォォン!
再び放たれた咆哮にも似た音が、猟兵たちの前から、迷宮に響いた。
ユリ・アップルヤード
「Fantastic! 素晴らしい! 全くもって素晴らしい! 加えてその戦闘能力、無茶苦茶しても良さそうだね。試作品のデータ取りといこうか」
まずは相手の力量を見ていこう。
大楯と鉄柱を装備してリアンは前衛に。盾を前面に出して詰めつつ、殴れそうなところは殴っていこう。
コロマルとルーはリアンを盾にしつつ、援護射撃。攻撃パターンのデータも取ってもらうよ。
ヒューズは敵の攻撃タイミングに合わせて、射出口へ狙撃。
一通り敵のデータが取れたら、Code:Deus Ex Machina発動。
内蔵した重力制御装置で敵に徹底的に加圧して動きを鈍らせつつ装甲を凹ませ、レーザー砲で削り、重力砲を叩き込んでやろう。
●予想以上に強かった
「Fantastic! 素晴らしい! 全くもって素晴らしい! 加えてその戦闘能力、無茶苦茶しても良さそうだね。試作品のデータ取りといこうか」
それがスチームドレイクを見たユリの第一声だった。ユリは素早く自分のロボットたちを繰り出す。リアンは大楯と鉄柱を装備して前衛にまわり、盾を前面に出して詰めつつ、スチームドレイクの殴れそうな固い部分などを殴っていく。コロマルとルーはリアンを盾にしつつ援護射撃をしていく。ドジに分析プログラムを使い攻撃パターンのデータも取っていく。とりあえず炎と頭の連装機関砲がヤバいことはわかった。そこで試作品のテストだといわんばかりにヒューズは敵の攻撃タイミングに合わせて炎や機関砲の射出口へ狙撃。カウンター狙いだ!
「グォォォ……グァァァォォォォン!」
スチームドレイク、このコンビネーションにはかなわないのか異様な音を立てる。
「……よし、データはある程度取れた。Code:Deus Ex Machina――転送」
ユリがそう言うと、すべてのロボットたちが一瞬頭を垂れる。と、次の瞬間、まるで戦隊の合体ロボットみたいにユリのロボットたちが合体していき、機械巨神デウスエクスマキナが誕生する!
「さぁ、機械仕掛けの神はここに現れる。神の審判はただひとつ、仇為す者に破滅の鉄槌を!」
デウスエクスマキナはその言葉を聞いているのかいないのかわからないが、スチームドレイクの胴体を掴むと一気に加圧(つまり押しつぶし)しようとする!
「グォォォ……ガォォォォォン!」
……あれ、これスチームドレイク怒ってない? スチームドレイク、デウスエクスマキナの攻撃をものともしないで炎をデウスエクスマキナに吐いているように見える。お互い攻撃しあいで、どちらが勝つかの根競べか。
――勝ったのは。
スチームドレイクだった。
デウスエクスマキナが感電したような、あるいは機械にあってはならないようなビリビリ音を出しながら後退する。ダメージを受けすぎたか!
「なっ……デウスエクスマキナ!くっ、解除だ!」
しかしその声は届かない。デウスエクスマキナは理性がない。速く動くもののみを攻撃し続ける。スチームドレイクが怒ったようにデウスエクスマキナに向かいながら炎を吐けば、それをデウスエクスマキナが攻撃する。自分の身も考えないまま。
「だめだ! それ以上は! やめるんだ!」
――声が届くこともなく、ビリビリ音を出しながら無理に戦ったデウスエクスマキナは、損害過多で強制的に合体が解除されてしまった。
……スチームドレイクに、傷もあまりつけられぬまま。
失敗
🔴🔴🔴
リュセフィーヌ・オールセン
心情
「よくも蜜ぷに達を外へ追い出そうとしてくれましたね…許せません!!」
「スチームドレイク」に立ち向かう為にユーベルコード「スカイステッパー」で気合いを入れて飛び蹴りをくらわせます。
「炎を吐き出していたのは、あなただったのですね!」
「蜜ぷに達をあそこまで追い詰めるなんて、許せません!!」
「スチームドレイク」を倒した後、私はこう言います。
「蜜ぷに達の仇はとりましたよ……」
優陽・無訓
炎も熱さも嫌い。
けど、そんな事言ってられないし、
これ以上、被害者を増やすつもりもないからね。
やれるだけ、やってみようか。
相手は強そうだし、味方の強化にまわる方が良いかな。
「それじゃ、一曲どうかな?」
使うユーベルコードは
【Hymnen des Mutes(ヒュメン・デス・ムテス)】。
(アドリブや絡みは歓迎だよ)
●刻み込め、勇気と罪の旋律(ビート)を
続いて怒れるスチームドレイクの前に出てきたのは無訓とリュセフィーヌの2人。先ほど蜜ぷにたちが天国に行けるように願ってた2人だ。もちろん、だからこそ蜜ぷにがここまで出る羽目になってしまったスチームドレイクには怒っているわけで。
「炎を吐き出していたのは、あなただったのですね! 蜜ぷに達をあそこまで追い詰めるなんて、許せません!! このリュセフィーヌがお相手しましょう!」
とリュセフィーヌが獣奏器を向ければ、無訓は頭を掻きながら呟くように言う。
「……俺は昔幽閉されてた家もろとも燃やされたことがあってね、その時に本気で死にかけた……だから、炎も熱さも嫌い。……だけど、そんな事今は言ってられないし、これ以上、被害者を増やすつもりもないからね。……やれるだけ、やってみようか」
無訓もサウンドウェポンやシンフォニックデバイスを展開してリサイタル(戦闘行動)の準備をする。
「一応強そうだし、強化しといたほうがいいよね。それじゃ一曲、君の力を高める曲でもどうかな?」
「あ、ぜひお願いします!」
無訓が強化はいらないかと問えばリュセフィーヌは二つ返事で了承する。願ってもない、学園生徒のためにも、平和のためにも、そして何より蜜ぷにたちのためにも、ここはどうしても倒さなければいけないのだから。
「届けたまえ――勇気の加護を。Hymnen des Mutes(ヒュメン・デス・ムテス)」
無訓の曲が始まる。サウンドウェポンが演奏し、シンフォニックデバイスが彼の歌を響かせる。だが。
(くっ……やはり暑いし、さっきの戦闘もあってか、喉が……!)
無訓の声が、少しばかりかすれていた。それでもなお、汗を垂らしながらも懸命に歌い、演奏し続ける。
その様子を横目に見たリュセフィーヌは一つ頷くと駆け出す。
「はぁぁぁああああ!」
気合を入れて跳びあがると、そのままスチームドレイクに跳び蹴りを浴びせる。そのまま蹴った勢いでさらに跳ぶとスカイステッパーで空中を飛び、また跳び蹴りを叩きこむ。右から、左から、真上から。まるで音に合わせてビートを刻むかのように、スチームドレイクの反撃もかわしながら蹴りを叩きこんでいった。そのまま、歌が終わる寸前に渾身の一撃をスチームドレイクに叩きこむ。スチームドレイクが吹っ飛び、迷宮の壁に激突し、鈍い音を立てる。壁が一部崩れ、土煙が舞い上がる中、スチームドレイクは再び動き出した。
「まだ動きますか。しぶといですね」
体のあちこちがへこんだスチームドレイクを見ながら、リュセフィーヌは今一度蜜ぷにたちの仇を見据えた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
メルフローレ・カノン
手が足りないと聞き、
遅れての推参となりますが、助勢します。
目前の機械を撃破すればいいのですね。
私の得物はメインがメイス、予備が剣で
硬い所を叩く場合はメイス、隙間に突き刺す場合は剣といった具合に
状況で使い分けます。
[力溜め]の上で[2回攻撃]で叩いていきます。
[鎧砕き]で装甲を剥がすとか、
関節部分をねらって動きを鈍らせる([気絶攻撃])ことも
狙いましょう。
「全力で行きますよ!」
敵の攻撃に際しては、[見切り]でかわしたり、
[武器受け][なぎ払い]で払いのけます。
耐えなければならない場合は
[オーラ防御]【無敵城塞】を使用します。
「ここは堪えてみせます!」
●恥ずかしさは耐えられなかったよ
「遅れての推参となりますが、助勢します。目前の機械を撃破すればいいのですね」
メルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)が他の猟兵たちから遅れること増援にやってきた。彼女はシスターらしく魔法で……
「全力で行きますよ!」
……見間違いじゃなければ、メイスと剣を持って全力で殴りに行ったように見えたんだが。
「でやぁ! ……もう一発!」
見間違いじゃない! スチームドレイクのへこんだ部分にメイスを力をためて叩き続けてる! 二の腕がすごい膨らんでいる! 殴りシスターか!
『ギギギ……ギィ』
鈍い音を立てながらスチームドレイクが炎を吐く。それを武器で受けようとしたメルフローレだが、受けきれないかと考えれば無敵城塞のような防御態勢を取る。
「ここは……堪えてみせます!」
――だが。
炎の勢いは激しく、メルフローレに攻撃に戻る隙を与えない。
それどころか炎で服が燃えて、乙女の大事なもの、具体的には可愛い系の白いアレが――
「き、きゃっ!? この破廉恥機械! 許しません!」
メルフローレは防御態勢を解除するとやけくそのままスチームドレイクの関節にグラディウスを刺そうと駆ける。そして、スチームドレイクが尾を薙いだ瞬間に跳びあがり、頭部近くの関節にグラディウスを刺そうとする――
「――よし、刺さりまし――あれ!? 抜けません!?」
確かに刺さってスチームドレイクの動きは鈍った。だが、今度は自分の剣が深く刺さりすぎて埋まってしまった。メルフローレが慌てて力任せに引きずり出そうとしたところで。
ぺしーん。
メルフローレはスチームドレイクの尾に払われ、剣を手放して地に落ちざるを得なくなってしまった。尻餅をつかされたメルフローレの下の方から可愛い白の――
「もうそこは追及しないでください!」
苦戦
🔵🔴🔴
●危険!
「お、おい、転校生さん!」
いつの間にか後退していたのだろうか、学園生徒たちが心配そうに様子を見に来る。
「これ以上は危険だ! これ以上押し込まれたら、俺たちの学園に被害が出ちまう!」
あくまでもこいつは迷宮内で押しとどめないといけない。それは共通の意志だった。だが、猟兵たちの苦戦がそれの難易度を示している。
『ギガァ……ァァ……』
スチームドレイクは先ほどの攻撃で動きこそ鈍れど、まだ体力的には余裕がありそうだ。
――これ以上苦戦するようだと、まずいかもしれない。
猟兵たちは息をのみ、改めてスチームドレイクに向き合った。
ヨハン・デクストルム
微力ながら助成します。
UC『過ぎたるは及ばざるがごとし』を使用。できる限り“聖地”の上に居るようにしつつ、火炎耐性で耐え、第六感、聞き耳、見切りで致命傷を避けながら、怪力、二回攻撃、早業を駆使して杖で攻撃し、過剰なエネルギー供給による自壊を狙います。かすめただけでも大ダメージですよ。
他猟兵の皆様に攻撃が行く際には杖による盾受けでかばいます。
「我が神よ、どうかお力添えを……!」
●救世主になれるか
「大丈夫です、皆さま。ここはお任せください」
生徒たちの前に出るように前線に立ったヨハン・デクストルム(神亡き狂信者・f13749)。閉じられた目を不安に思う生徒たちもいる中、ヨハンは杖を構える。
「我が神よ、どうかお力添えを……!」
スチームドレイクが現れた猟兵であるヨハンに対し炎を複数放つが、それを目を閉じているのに――否、目を閉じているからこその第六感と見切りで避けていく。――1つの感覚を失った存在は、他の感覚が鋭敏になるという。即ち視覚を――
「失ってませんからね? まぶしいのが苦手で、炎の眩しさが瞼越しに伝わっただけですからね?」
おおっとこれは失礼しました。ともあれ、うまく炎を回避していきながら杖に魔力をこめる。……なんか過剰すぎる気がするのだが。
「そこですね」
相手の攻撃が止んだ瞬間を狙ってスチームドレイクに素早く(過剰な)回復の魔法を打ち込む。
「待ってあれ回復魔法じゃ――」
学園生徒の一部が焦る。まさか回復魔法とは思わないスチームドレイクはその魔法をかわすが、少しかすってしまう。次の瞬間。誰もが驚く光景が見えた。
――スチームドレイクの様子がおかしい。全身のあちこちから煙を出し、暴走したように荒れ狂う。だが、怒っているよりむしろ、苦しんでいる感じだ。その音を聞いたヨハンは優しく微笑む。
「うまくいきましたね――奴に過剰な力を与え、自壊させていく。これもまた、一つの戦略、相手を使うという――ごほっ、げほっ」
あーあーそんなに長く説明ご苦労な感じに話すから! ヨハンは体が弱く、大声や長く話しているとむせちゃうのだ。生徒たちが心配そうに駆け寄るが、心配はいらないというように胸を押さえながらスチームドレイクを瞼越しに見据える。
「――まだ、立っているようですね」
苦しむスチームドレイクを瞼越しに見ながらそう呟いた。防衛ライン上の攻防は続く――
成功
🔵🔵🔴
ヨハン・デクストルム
(連続プレイングです。不可ならば却下してかまいません)
誤射が危険ですので最前線に立ち、UCを使用。絶対零度の暴風を自分の眼前からスチームドレイクに向けて思い切り吹かせます。暴走によって内外ともに高温になっているでしょうから、急激な温度変化による崩壊を狙います。
使用技能:火炎耐性、氷結耐性、高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃など
レイチェル・ケイトリン
可奈さんのおしらせきいておてつだいにきました。
「念動力」「範囲攻撃」「吹き飛ばし」の技能で「ダイヤモンドダストストリーム」の絶対零度の吹雪をぶつけて敵をふっとばすよ。
敵からの炎や機関砲も「クイックドロウ」と「早業」の技能も追加してふっとばしてふせぐね。
ほかの猟兵さんへの攻撃もふっとばしてふせぐよ。
「かばう」技能もつかえるから。
凍結系攻撃はふつう暑いとつかいにくいけど、空気の熱を運動エネルギーにそのままかえるダイヤモンドダストストリームは逆にその分つよくなる。
蒸気機関の稼働にも、炎が燃えつづけるにも、熱が必要で、その熱をうばって攻撃するよ。
スチームドレイク自身の熱さでスチームドレイクをこわすね。
●絶対零度。一撃必殺が2回。相手は死ぬ
その後もヨハンは最前線に立ち続ける。誤射が怖いというのもあったが、むしろこの防衛ラインを超えさせないというほうが強い。相手がいくら苦しみの暴走中であろうと、油断はできない。
だがヨハンだけでは抑えきれないか――とそこに。
「たすけにきましたわ」
全身が白系で、まるで幽霊とも妖精とも感じられるヤドリガミ、レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)が増援に来た。
それを見たのか見てないのかもはやわからないが、スチームドレイクが大量の炎をやたらめったらに大量にばらまく。無差別とも思える攻撃に学園生徒たちが後ずさる。
しかしそれが生徒たちに届くことはない。
「はっ――」
レイチェルの得意技である念動力によりダンジョンの瓦礫や彼女の獲物、数多のものが炎を防いでいく。
「――っ!」
と、ヨハンの方に炎が飛んできた。流石にこれは避けられないかと思えば、レイチェルによって動いたものが彼をかばうように吹っ飛ばして代わりに炎を受ける。
「あ、ありがとうございます」
「いいですよ、おかまいなく――」
と言いながらもレイチェルはすぐに反撃の準備に取り掛かっていた。相手が暴走している今がチャンスだ。彼女の前方の腹のあたりに出した両手に氷の力が溜まっていく――
「氷魔法!? でも、この暑さじゃあ――」
学園生徒の1人から言葉が漏れる。
(――そう。凍結系攻撃はふつう暑いとつかいにくい――けど、空気の熱を運動エネルギーにそのままかえるわたしのダイヤモンドダストストリームなら――逆にその分つよくなる。蒸気機関の稼働にも、炎が燃えつづけるにも、熱が必要なら、その熱をうばえば――)
レイチェルはカッとスチームドレイクを見つめ、念動力でスチームドレイクに絶対零度の吹雪をぶつける。
――しかし。吹雪は1つだけじゃなかった。
ヨハンもまた、絶対零度の吹雪をスチームドレイクに浴びせていた。奇しくも2人の攻撃が被ったのは、後から出したヨハンが合わせたのか、それとも――
――嗚呼。暴走によって内外ともに高温になっている今のスチームドレイクにその範囲攻撃をかわすすべはなく、スチームドレイクには急激な温度変化が襲いかかる。それは自分の熱さを逆利用された、絶対零度の力。一気に数百度はくだらない温度の急降下をさせられたスチームドレイクは――
「――――」
凍り付いて。喋ることもできないまま。
内部からへこんでいき。そのまま動くことはなかった。
原子すらも止まる絶対零度の世界。スチームドレイクの生命はもはや絶望的だろう。現に、凍り付いたスチームドレイクはピクリともしない。
なにげに程よい涼しさになったダンジョンで、二人は優しいハイタッチをかわした。
蜜ぷにたちの仇は、ここに取られた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『鍛錬をしよう』
|
POW : 拳と拳、体術勝負
SPD : 技と技、技能勝負
WIZ : 心と心、精神力勝負
|
●その鍛錬の意味とは
戻ってきた猟兵たちと学園生徒だが、表情は浮かない。
蜜ぷにたちのことを考えると、なかなかいい顔はしにくい。
だが蜜ぷにもオブリビオン(災魔)。倒さなければいけないのはわかっている。そのはず、なのに――
学園が気を使ったのか否か知らないが、鍛錬場を開放した。
生徒たちと戦ってもいいし、猟兵同士で戦ってもいい。
――……強くなければ、助けられるものも、助けられないからね。
ふと、猟兵たちは可奈が言ったことを思い出した。
今後何があるかはわからないが、こういう事がある可能性は零ではないし、むしろ増えるだろう。
その時、自分たちが弱くては――
思い思いの気持ちで、猟兵たちは誰とどう鍛錬するか思考する――
※このシーンのみ、NPCの呼び出しが可能です。
NPCは具体的には可奈か学園生徒となります。学園生徒の場合はどんな学園生徒かの指定もある程度可能です。
また、ユーベルコードの使用は可能ですが、学園生徒を【過度な危険】にさらすような真似は控えてくれると助かります。
優陽・無訓
『蜜ぷに』。敵であっても、救えたのなら、何か変わったのかな?
少なくとも「心」は救えた。そう思いたいね。
せっかくの機会なんだし、
音楽「以外」の鍛錬をするのも良いかもしれないね。
でも、音楽以外のことはあまり知らないから、
教わりながら、になるかもね。
「ね、それ、教えてくれるかな?」
知らないことを知るのも、鍛錬の一歩、なんてね。
恩人からの受け売りだけど。
鍛錬相手は誰でも構わないよ。
剣でも魔法でも、どちらでも。
アドリブや絡みは歓迎、だよ。
●
「『蜜ぷに』。敵であっても、救えたのなら、何か変わったのかな? 少なくとも「心」は救えた。そう思いたいね」
無訓は今回の件を振り返りそう語る。オブリビオンであろうと、救うことで何か変われるかもしれない。来世はきっと救われるのかもしれない。オブリビオンに来世があるのか知らないけど。
そう思いながら鍛錬場に入ると、いろんな生徒が鍛錬していた。その中でも目についたのは――
(あの子――歌うように魔法を放っている?)
それは吟遊詩人とかサウンドソルジャーに似ているが少し違う、「歌を歌うように詠唱をする」魔法使い。せっかくなので音楽以外を学びたかったが音楽以外何も知らない彼にこれは僥倖だった。
「ね、それ、教えてくれるかな?」
知らないことを知るのも、鍛錬の一歩。そう彼はわかっていた。恩人の受け売りだけど。
「あ、はい、よければぜひ――」
そうして、無訓への魔法講習が始まった。
「そうです、そういう感じで、声に魔力を載せる感じで――」
(……結局音楽をやっちゃっているな……でも)
無訓はなんだ、音楽じゃんという気持ちを少し感じつつも、いや、違う――これは音楽ではなく、魔法の詠唱なんだと自分に言い聞かせて練習をつづけた。
――無訓は演奏のユーベルコードはあっても歌のユーベルコードはない。何か自分に得られるものはないか。そう感じたからこそ、続けることができた。
成功
🔵🔵🔴
レイチェル・ケイトリン
あとからおてつだいにきたからわたしはいままでのことあんまりわからないけど、みなさん、いろいろかんがえてるみたいだね。
鍛錬場つかわせてくれるそうだしわたしもかんがえながら練習するね。
ダイヤモンドダストストリームはやっぱりむずかしいね。
気温を吹雪のはやさにかえる力だから、涼しいとよわくなっちゃう。
さっき勝てたのは冷えたところで、ヨハンさんが自力で凍らせられる攻撃を重ねてくれたのがすっごくおおきかったとおもうの。
逆に炎の力で気温をあげてくれるんでもいいの。
この力は熱さと冷たさを切り替える力だから。
なら、ここにいる学園生徒さんたちにおねがいして、協力の練習するね。
心を重ねることで未来をつかめるように。
●復習、分析、そして連携の鍛錬
レイチェルは他の猟兵たちや学生が色々考えながら鍛錬しているのを横目に見ながら、自分は何をすべきか考えていた。
そこで思い出したのは先ほどの戦闘でのダイヤモンドダストストリーム。気温を吹雪の速さにかえる力だから、涼しいと弱くなるのが弱点だ。先ほどスチームドレイクに勝てたのはヨハンが自力で凍らせられる攻撃を重ねてくれたのが大きかった。レイチェルはそう考えていた。もしくは逆に炎の力で気温を上げてもよかった。熱さと冷たさを切り替える力だから。現にあの時スチームドレイクは暴走しており、内部は非常に熱かった。
ならば――何を鍛錬すればいいか。明白だ。涼しい時に、どう協力すればいいか。
レイチェルは学生たちに頼み、協力の要請をした。
涼しい気温の中、レイチェルは集中する。
「行きますよ、レイチェルさん」
「はい、お願いします」
スチームドレイクを模した仮想敵に学生が炎魔法を当てる。そこにレイチェルはダイヤモンドダストストリーム。
――少しタイミングがずれた。十分に温度が上がりきっておらず、そこまでへこまなかった。
「もう少し、ワンテンポ置いてから命中するようにしてもいいかもですね」
「はい、やってみます」
次の仮想敵の準備の間にそうして会話をしつつ、2パターンの連携練習。相手の温度を炎魔法で上げたところで一気に絶対零度に落とすパターン。二つの吹雪を同時に当て、より早く絶対零度に落とすパターン。
数時間後。
「お願いします」
「はい、行きます!」
学生が炎魔法を仮想敵に放つ。ダメージを受け、炎で燃える仮想敵。少し遅れて、レイチェルはつぶやく。
「心を重ねることで未来をつかむ――気温を吹雪の速さにかえて、わたしの――いえ、わたしたちの重なる心の想いのままに」
氷のつぶてを含んだ風が仮想敵を襲い、その温度を下げていき――やがて、景気よくバコンバコンとへこんで、床に落ちた。
「うん、いいんじゃないですかね」
「ええ――」
レイチェルは胸に手を当て、にこやかに。
「ありがとうございました。おかげで何か、見えてきそうです」
「お役に立てたのなら幸いです。僕たちも連携の訓練できてよかったです。強くなければ、助けられるものも、助けられないですからね」
その言葉に、ふと最初に言われた言葉を思い出した。それはときに事実であり、ときに嘘でもあるが、でも強いにこしたことはない。
レイチェルは目をつぶり、両手を広げ、心でつぶやいた。
――心を重ねることで未来をつかめるように。と。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年03月05日
宿敵
『スチームドレイク』
を撃破!
|