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祭囃しが聞こえる

#UDCアース #呪詛型UDC #星見ケ丘市

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#UDCアース
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#呪詛型UDC
#星見ケ丘市


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●初夏の祭
「出店をやってみぃへんか?」
 グリモアベースの片隅。シャオロン・リー(Reckless Ride Riot・f16759)は、薄いパンフレットを片手ににまにまと笑っていた。
「星見ヶ丘市、っちゅー地方都市があるねんけどな、その町やと夏祭りを前倒しにして、ちょうど今頃の時期にやるらしいわ」
 シャオロンが掲げてみせたパンフレットには、確かに祭の文字が記されている。
 夕方頃から始まるその祭では、大きな神社の境内に出店の屋台がずらりと並ぶようだ。
「……実はなぁ、この祭に来た奴らがUDCの怪異に巻き込まれる、いう予知を見てんな。なんや曖昧なもんやってんけど、調べた結果、これはこの祭を満喫した奴らに降りかかる「呪い」みたいなもんらしいねんな。……それでや。猟兵が一般人よりもめいっぱい祭を楽しめば、呪いの矛先は猟兵に向かう。つまり、祭を楽しんできて欲しいねん、……ただし、客側やのうて、運営側でな?」
 聞けば今年は例年の集客数に対し、運営側の人員の集まりがあまり良くない。更に運の悪いことに、例年その祭で店を開いているグループが今年は参加できなくなってしまい、このままだと出店の列に大きな穴が空いてしまうのだという。
「そんなわけやから、呪いを誘き寄せる役ついでに、自分らは祭の運営側として楽しんできて欲しいねんな」
 一口に出店と言ってもさまざまなものが有る。りんご飴やイチゴ飴などを売る屋台、金魚すくいや亀すくいなどの屋台、クレープ、かき氷、綿あめ、タコ焼きや焼きそば……、くじ引きの景品にもさまざまな物があるし、アクセサリーやパワーストーンを売る露店などもそうだ。必要な屋台や道具、売り物などは全てUDCコーポが間に入って借り受けてくれるそうなので、猟兵たちは当日の売り子をやれば良い。
 店番に立つのはちょっと……という者にも、迷子センターや警備の役割がある。
「星見ヶ丘はそこそこ大きい町やけど、その町でも有名な祭りやねん。客がようさんくるこの祭、盛り上げて、そんで楽しんで来たらええねん」
 せやけど気ぃつけてや、とシャオロンは付け加える。
「祭を楽しんだ後は、呪いが来る時間や。何かしらの怪異が訪れる筈やねん」
 自分には、それが何かは見えなかったけれど――と。
「最後まで気ぃ抜いたらあかんのは、祭も怪異相手も同じやからな」


遊津
 遊津です。
 UDCアースのシナリオをお届けします。
 一章日常、二章冒険、三章集団戦の構成になっております。
 第一章では運営側としてお祭りを楽しんで頂くことになります。
 プレイングにはどのような出店で売り子をするかなど(勿論少し休憩で抜け出してみるのも悪くないでしょう)書いていただければと思います。
 第一章は必要成功数が少ないので、お気をつけください。

 オープニング公開後すぐにプレイングを受付いたします。
 プレイングをお送り頂く前に必ずMSページを一読くださるようお願いいたします。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『夏祭りに行こう(運営側)』

POW   :    会場の警備を行い迷子などに対処する

SPD   :    射的や金魚すくいなどゲームの屋台を運営する

WIZ   :    焼きそばやりんご飴など食べ物の屋台を運営する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

初志・貫鉄
【軽食屋台 功徳】 パートナーの呼び方は、『リム』
WIZ

出店をするなら、自前の店を持ち込むから大丈夫だ
大型装甲車を改造した『機動厨房 功徳丸』で出店を開く
出す店はハンバーガーのみ ドリンクやサイドは無し

他の屋台との兼ね合いを考えハーフサイズバーガーをメイン販売
もちろん、通常通りのフルサイズや、追加トッピングなんてのもあり!

なに、もっと食いてぇ?なら俺のスペシャル!
パティ5枚に野菜たっぷり五段重ねバーガーなんてのはどうだ?

おっと、すまねぇ。うちはフライドポテトはやってねぇんだ。ほら、あそこの屋台の揚げたては旨そうだぞ?
飲み物は、あそこのヨーグルトドリンクでさっぱりするのも美味ぇぞ

他の店も勧めるぞ


リムティア・クィリス
【軽食屋台 功徳】
初志・貫鉄の呼び方は、『アナタ』
WIZ

開店後、嬉しそうに料理するパートナーを見て、顔を綻ばせながら売り子と配達の仕事ね

最近、出店の時の制服っぽくなったフー○ーズのウェイトレスさんみたいな姿で接客よ

呼びこんだり、注文受けたり、商品と代金の受け渡し等、ある程度調理に集中できる環境を整えてあげるのも大事な事、慣れてるけどね

本部席に差し入れといって配達したり、ナンパされても売約済みよと軽くあしらってみたり

戦役の後だから、尚の事こんな日が嬉しいわね

他の食べ物屋台から、配達ついでに少しずつ商品を買っては、大食いのシェフにもアーンと食べさせ、出店者としても個人としても、お祭りを満喫するわよ




 ぴい、ぴい、ぴぃひゃらぴいひゃら、ぴいひゃらら――
通りを練り歩く神輿と、お囃子の笛の音が遠くに聞こえる。
並んだ出店の中には移動販売車が混ざっていることも珍しくはないが、初志・貫鉄(拳食合一のゴッドハンド・f26667)とリムティア・クィリス(愛され看板おねーさん・f26831)の二人が用意した店はなんと改造された大型装甲車。そしてそこからは、ジュウジュウと音を立てる香ばしい肉の焼ける香りが漂う――ハンバーガーショップだ。
その物々しい外観に惹かれた男たち、香りにつられた育ち盛りの学生たちが列をなす。
「おねーちゃん、俺はフルサイズくれよ!」
「ハーフサイズにチーズ乗っけてー!」
「はぁい、ちょっと待っててね!アナタ、フルサイズ1とハーフサイズにチーズ1お願いねー!」
「おうよ、任しとけ!」
 ウェイトレスじみた姿で注文を取るリムティアが、奥で肉を焼く貫鉄に朗らかな声をかける。その客さばきは熟れたもので、寛鉄が調理に集中できるような細やかな気配りに満ちていた。
 サイドメニューを一切扱わず、ハンバーガーのみに絞った彼らの店『功徳』のおかげで、周囲のフライドポテトやドリンクを扱う店の売上も上々だ。
 と、まさに食べざかりと言った少年たちが二人、寛鉄に訊ねる。
「なあ兄ちゃん、このスペシャルメニューってのはどんなのだ?」
「おお、そいつは俺のオススメでな、パティ5枚、野菜たっぷり5段重ねのバーガーだ!」
「すげえ……!な、なぁ、お前どうだよ、いけるか?」
「……ふ、二人でなら、なんとか……!」
「そ、そうだな、じゃあお姉ちゃん、スペシャルバーガー一つ!」
「はーい、5段バーガー1つー!!」
 貫徹とリムティア、二人の店は盛況ぶりを見せるのだった。

「はい、アナタ、あーんして?」
「おお、ありがとうな……あちちち!」
「ふふ」
 よその屋台で買ってきたたこ焼きを貫鉄に食べさせ、リムティアは微笑む。
(あれだけの大きな戦争の後だもの、尚更こんな日が迎えられるのは嬉しいわね……)
「もうしばらくは俺一人で回せそうだ、リム、お前は今のうちに休憩に行ってこいよ」
「そうね、それじゃあ本部に差し入れでも持っていこうかしら」
「すいませーん、ハーフサイズいっこちょうだーい!」
「おう、いらっしゃい!そら、行ってこい!」
 寛鉄は新しく来た小さなお客へと向き直る。
抜け出していった彼のパートナーが、大食いなシェフのためにたくさんの商品を買って戻ってくるのは、もう少し先のことになるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「はい、クレープ屋さんがやりたいです!でも他の方と被ってしまうなら、りんご飴屋さんでもたこ焼き屋さんでも、人手不足の所に配置していただいて構いませんっ」
前のめり且つ食い気味に

「チョコレートとフルーツがこんなにたくさん…生クリームもカスタードもマヨネーズも確保できるなんて…素敵すぎて倒れてしまいそうです」
サクラミラージュの屋台ではまだ多く確保できないものが潤沢にあってうっとり
裏方もこなすパーラーメイドなので、カットもクレープも普通に出来る
ハムツナキャベツのおかずクレープも作るが本人の気合いが1番入るのは生クリーム入りナッツバナナチョコチップ

UC「ノームの召喚」
人手不足の屋台の裏方お手伝いをさせる



●万緑叢中、桜一点
「いらっしゃいませー!」
「私いちごクリーム!」
「じゃああたしはツナチーズ、一つずつください!
「はい、かしこまりました!」
 御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)のクレープ屋台には、浴衣姿の少女たちが列をなす。
 ホットメニューのオーダーに応えるため、鉄板にクレープのタネを流し込み、薄く丸く伸ばしていく。裏方もこなす桜花を陰ながら支えるのは、彼女が呼び出したノームたち。
(ああ、チョコレートとフルーツがこんなにたくさんっ……生クリームもカスタードもマヨネーズも確保できるなんて、素敵すぎて倒れてしまいそうです!)
 彼女の出身であるサクラミラージュにはクレープの文化は根付いてはいない。その分だけ、クレープの屋台を希望した桜花の熱意は一入だった。
「お待たせいたしました、400円になります!」
「あ、あの、クレープ、くださいっ!」
 兵児帯を金魚の尾びれのようにゆらゆらとゆらした小さな少女が、五百円玉を握りしめてやってくる。
「はぁい、どれにいたしますかー?」
「えっと、えっと……これ!」
 少女が指差したのは、ナッツチョコチップバナナクリーム。一番気合の入るメニューに、
桜花も拳を握りしめた。
奇しくもちょうどお客は途切れて、小さなお客様のために、クレープ生地の上に生クリームとフルーツたちが描き出すショーを披露する時間をとることが出来た。少女の顔が興奮で紅潮する。
ぱたん、ぱたんと折込まれ、紙に包まれたクレープを満面の笑顔で受け取るお客様に、桜花の顔も自然と緩んでしまうのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

神坂・露
すーちゃん(f19200)と。
凄く悩んだけど金魚すくいの屋台を二人ですることにしたわ。
「よろしくね。すーちゃん♪ こーゆーのあたし初めて」
戦争とかで何度も一緒に戦ってるしお友達だから大丈夫。
「大丈夫よ~。お客さんの対応はあたしがするわ♪」
緊張してるすーちゃんの両手を握って。にへにへ笑う。

用意した網とか金魚を入れる器とかを一緒に配置して。
いざ。屋台の営業開始よ~!
「さあ。金魚すくいよ♪ 可愛い金魚釣ってみない?」
金魚が泳いでる簡易プールの手前に座って声でアピール。
スーちゃんには売り子とかお願いするわ。
?スーちゃんもアピールしたい?うん。一緒にしよ♪
声はあたしが沢山出すわ。がんばろ。すーちゃん♪


浅間・墨
露(f19223)さんと共に。
二人で相談して金魚すくいの屋台をすることにしますね。
何度かお仕事でご一緒しているので安心してできます。
「…はい。私…そ…よ…しく…お願…し…す…」
相変わらず可愛らしく明るい方です。私とは真逆で。

屋台のお仕事は売り子や器や網の補充を主にしようと思います。
声を出すのは苦手…といいますか自分の声がどうも好きになれず…。
でも露さんの優しくて心地がいい声をずっと聞いていると。
なんだか私にもできそうな気がして。不思議と勇気が。
思わず私もしてみたい…なんて口走って我ながら驚きです。
「……き、金魚…し…みま…せ…か?」
旗を持ちながら露さんと一緒に宣伝してみます。
…少し楽しかった。



●ひらひら揺れる赤と黒
 水を張ったビニールプールの前に、小さな子どもたちが集まってわぁわぁとはしゃいでいる。
「ちぇっ、もう破けちゃった」
「お姉ちゃん、もう一回!」
 破けたポイを手に、数枚の百円玉を渡してくる小学生くらいの男児に、浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)の手は緊張で震えた。
「……あ……ぁの……」
 ぽん、とそんな墨の肩を叩くのは、一緒にこの出店――金魚すくいをやることになった友人、神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)。
「そんなに気負わないでも大丈夫よ~、お客さんへの対応はあたしがするわ♪」
 墨に代わり、露は少年から代金を受け取って、新しいポイを手渡す。
「よぉし!今度こそこのでっかいの、掬ってやるからなー!!」
 大物に挑戦する少年に、周りの客たちもその手元に注目する。
「姉ちゃん、こっちもだ!」
「はいはーい!」
 笑顔で応対する露を見て、墨は自分の手をぎゅっと握る。
(露さんは、相変わらず可愛らしく明るい方です……私と真逆で……)
 墨は声を出すのが苦手だ。喋るのが、というよりも、自分の声がどうにも好きになれず、
どうしても小さくて聞き取りにくくなってしまう。
そんな墨が出店の売り子をすると決めたのは、何度も戦いの中で背中を任せた露が一緒にいるから。彼女がいれば安心してできると思ったのだ。
 ――こーゆーの、あたし初めて。よろしくね、すーちゃん♪
 にっこりと笑って、手を差し出してきた露の笑顔が、墨の脳裏にリフレインする。
そんな彼女に、墨だって応えたのだ。
聞き取りにくかったかも知れないけど、確かに「よろしくお願いします」と。

「ああ、また破けちゃった……」
「残念だったわねー、また挑戦する?」
「したいけど……やめとく!まだ他にも色々見てまわりたいんだ!」
 しばらく粘っていた少年たちの一団が店の前を去ると、店の前にはつかの間誰もいなくなる。
そんな時、墨の目に映ったのは、まだ小さな男の子。手をぎゅっと握りしめ、緊張した面持ちで、プールの中の金魚と墨とを見比べている。
少し先には、両親と思しき二人の大人がその様子を見守っている。彼らは墨の視線に気づいたようで、やらせてやってほしい、とジェスチャーをしてきた。
墨にとって、それは大きな大きな一歩。そしてそれは、子どもにとっても同じこと。
墨はおずおずとポイを持つと、男の子に向かって口を開く。
「……き、金魚……し……みま……せ……か?」
 相変わらず、聞こえにくかっただろう。けれど子どもはぱあっと顔を明るくさせて。ぶんぶんと頷いて、墨に握った硬貨を渡してくる。
 差し出したポイとお椀を小さな手に持って、男の子が金魚に挑む。
結果は、一匹。赤い尾びれをひらひらとさせる金魚が、ビニールプールから透明な袋の中へとお引越ししていく。それを受け取って、子どもはにこにこと笑顔でいった。
「ありがとう、お姉ちゃん!」
 それは誰でもない、墨に向けられたもので。ぱっと両親のもとへ駆け出していった少年の腕の先、袋の中で赤い金魚がくるくる回る。
「よかったわね、すーちゃん♪」
 露の言葉にこくこくと頷きながら、ああ、楽しい、と墨は思うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『事故・事件現場を調査せよ』

POW   :    ●『己の身体能力で調査する』:捜査は足だ。それに腕力に話術に度胸に…。とにかく何でもだ。

SPD   :    ●『己の感覚で調査する』:嗅覚や聴覚…。今、己の脳内には、当時の状況がありありと再現されている。

WIZ   :    ●『己の技術や術法で調査する』:自分達は猟兵だ。過去を覗き見るのも、なんだったら霊媒だって…。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 夜も更け、家路に向かう人の数すらラッシュを越えて少なくなった頃。
閉店の準備をしている出店も多い中、その音は猟兵全員の耳に入った。
――ドォン、ガシャーン!!
 それは非常に近くで聞こえた。
駆けつけてみれば、自動車が一台、電柱に衝突しているのが見える。
怪我人などいないようだ。しかし、電柱がなければ、その車は間違いなく出店の列に突っ込んでいたであろう。
運転席は――運転席にいたのは、男、だったように思う。
その男には、顔がなかった。
つるりとゆで卵を剥いたかのように、目も口も鼻も存在してはいなかった。
そして、その男が目に入ったのは、ほんの一瞬だった。
無貌の男はそのまま、煙のように運転席から消えてしまったのだから。
その異様な出来事に、猟兵たちは気がつくだろう。
これこそが、祭りの終わりとともにやってきた、「呪い」の始まりだと。

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第二章が始まりました。
時刻は夜。既にお祭りに来たお客様はほとんど帰ってしまっており、出店の後片付けをしている人々だけが残っています。
一見ただの自動車事故に思えますが、猟兵たちが目撃した「無貌の男」は見間違いでもなんでも無く、この事故は怪異が引き起こしたものであると確信できるでしょう。
警察には通報されていますが、通報者以外は帰宅の準備を進めています。
また、警察は基本的に調査の邪魔となるため、猟兵たちの行動がすべて終わるまで到着しません。
敢えてなにか聞きたい場合は到着を待つプレイングが可能ですが、警察到着後には事故車を調べるような行動が不可能となります。
事故車は警察の到着と同時にその監視下に置かれ、運ばれて行きます。
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初志・貫鉄
【軽食屋台 功徳】 即興歓迎 相方の呼び方は継続

うちの屋台(大型装甲車)に対して、普通の乗用車ってのは半端な判断だな
となると、そこまで智慧は回ってねぇのか?
それとも注意を引くための陽動か?

事前に花茶をキめて、狂気と激痛に対して抵抗を得ていく
そう、冷静に対処することを心掛けろ

屋台から飛び出す前にUCを使用し、分身と分かれて行動
分身は陰ながらに周辺の警戒。残っている一般人が巻き込まれないように、何かしらの時の保険

本体は、車の突っ込んできた方向を確認
追撃が来ても反応できるよう、覇気を練り上げオーラ防御を高める

無人で突っ込んでくるなんてことは基本ないので、怪我人の救助名目で車内を確認、手掛かりを探す


リムティア・クィリス
【軽食屋台 功徳】 アド◎ 初志貫鉄の呼び方は『アナタ』で

来たわね?しかもお片付けの最中に

流石にビームライフル握って警戒は、ここじゃ目立ちすぎるわよね
玩具と言っても通用しないだろうし、現地警察に捕まっちゃいそうだわ

自分に今できる事は少なさそうなので、野次馬が近寄らないように注意の声を上げて、差し入れで見知った本部の人間と連携しておきます

「引火爆発するかもしれないから、離れておいてー」

パートナーが突っ込んでいくのは、怪我人の確認と救助のためと言っておきます

「あの人、とても身体を鍛えてるから、大丈夫です」

車内探索の邪魔が入らないようにフォローしつつ、自分は周囲に怪しい行動をとる人がいないか注意です



●漂う不穏
「……来たわね? しかも、お片付けの最中に」
「うちの屋台に対して普通の乗用車ってのは半端な判断だな、そこまで智慧が回ってねぇのか? それとも注意をひくための陽動か? ……どちらにしろ」
 行ってみないとわからねぇもんもありそうだ。
「リム、後はお前に任せるぜ」
「ええ、いってらっしゃい、アナタ」
 この世界の人前でビームライフルを握るわけにも行かないと逡巡していたリムティアの肩を叩いた寛鉄は、ポットの中のカメリア花茶をぐいと飲み干す。
ユーベルコードで呼び出した分身を暗がりに潜ませ、寛鉄は電柱にぶつかったままの乗用車へと近づいた。
「気をつけて、引火するかもしれないわよ!」
 リムティアの声に車の周りにいた男たちが遠巻きになる。逆にずんずんと進んでいく貫鉄の姿を見て、隣でポテトフライの屋台を出していた壮年の男がリムティアに話しかけた。
「おい、ありゃあお前さんの旦那じゃねぇのかい」
「運転席の様子をを確認に行ったみたいです。大丈夫、ウチの人、とっても体を鍛えてるから」
「鍛えてどうこうなるって話じゃねえと思うがねぇ……」
 無論、仮に車が引火爆発しようと、猟兵である前に寛鉄の鍛え方は余人とは違うのだが、他人に危険だと言っておいて自分の夫ならば近づくことを良しとするリムティアに、男は少しだけ首を捻った。とはいえ、怪我をしたくないのは男も一緒だ。誰かが危険を犯してくれればいいと口を出すのはそこまでにしたようだった。

「さぁて、鬼も蛇も出ねえといいんだが……」
 運転席のドアに手をかける寛鉄。抵抗はない。鍵はかかっていないようだと判断すると、一気にドアを開ける。そうして車内に首を突っ込んだ寛鉄は、ぞわりと背中に直接氷柱を突き立てられたかのような寒気に襲われた。
それは、車外と車内、二つの空間を隔てていた境界線を破った瞬間のこと。
襲いくる寒気、しかし、車内の温度が別に低いわけでもない。これは冷気によるものではないのだ。
耳元で、否、体中に、なにかざわざわとしたものが纏わりついてくるような感覚がする。
その不快感に、全身を掻きむしりたくなるのを寸前で耐える。
(落ち着け、そうだ、冷静に対処することを心がけろ……!)
 先程飲み干した花茶が寛鉄を落ち着かせる。見れば、ギアはトップに入ったまま。けれど運転席にはやはり、誰かがいた様子はない。
(無人で突っ込んでくるなんてことは基本無いはずだ、これは単なる事故じゃねぇ……)
 車内のどこにも人はいなくて。誰かがいた気配すら感じ取れない。
けれど寛鉄は見たのだ、運転席にいた無貌の男を。少なくともあのナニモノカは、少し前までここにいたはずなのだ。
 ――未だ纏わりつくざわざわとした感覚の正体を探ろうとする。
 この、全身を滑るような感触。いつかどこかで、必ず感じたことがある筈だ――。

 リムティアからは、車内を見回る貫鉄の姿は見えない。
彼女は祭り会場で不審な行動を取る者がいないかどうか、それとなく周囲に目を光らせていた。
もう十分に暗くなった夜、リムティアの視界に入るのは警察を待つ本部会の者や、出店の後片付けを続ける者たちだけだ。
(……少なくとも今この中に、怪しいやつがいるということはなさそうね……)
 しかし、ざわざわとした不穏さはリムティアも感じていた。どこかで感じたことの有るような不快さ。気温にそぐわない寒気に二の腕をさする。
やがて、寛鉄がリムティアの元に戻ってくる。
「どうだったの?」
「どうもこうも、やっぱり車の中には誰ひとりいやしねえ。まるっきり消えちまったみてぇだ」
「やっぱり、さっき見たのは……」
「お前も見てたか、リム。あの顔のねえ男を」
「あれは、UDCなのかしら?」
「さあな。ところでよ、車を開けてからこっち、覚えの有る嫌な感触がしてたまらねぇんだが……お前はどうだ」
「アナタもそうなの? 私もよ。いつからかはわからないけど……アナタが車を開けてから、なのかしら」
「そうかもしれねえ。……なあ、リム、俺は「思い出しちまった」。この感覚が何なのかをよ」
 貫鉄の言葉に、リムティアは眉を潜めた。
それはリムティアには余り馴染みのない感覚であったかもしれない。
「……思い出した?」
「ああそうだ。こいつは……オブリビオンの肉を貫いて、その血を浴びた時と同じ感触なんだ」
 それが何を示すのかはわからねえが――と、寛鉄はそれだけ言うと押し黙った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

浅間・墨
露(f19223)さんと調査します。
聞き込みは露さんにお願いし私は事故車を調べてみます。
呪いに関するモノが車内に僅かでも残っているかもしれません。
例えば木や紙製の札。藁の人形…などの依り代になるモノ…が。
なので車両の内部…特に運転席の周辺を念入りに探ってみます。
車に呪詛が組み込まれている可能性があるので注意深く調べます。
見えない部分や何気ない部分に仕込まれているかもしれませんから。
そしてもし何か発見しても迂闊には触れないようにします。
触れる場合は【破魔】の技能を用いて耐性を施し直して触れます。
(呪詛耐性、狂気耐性、オーラ防御、見切り、第六感、失せ物探し)
調べたことは露さんや他の方にも報告を。


神坂・露
すー(f19200)ちゃんと調べるわ。
怪我人がいなくて本当に本当によかったわ♪電柱さまさまね?
すーちゃんは車の方ならあたしは目撃者さんとお話してみるわ。
事故を起こす前のこととか事故直前のことを聞こうかしら。
「ねえねえ♪」っていつものよーに声かけてみるわね♪
「大きい事故にならなくてよかった~」とか世間話を中心にお話。
お話を聞く人の表情を観察して言葉をよく聞いておくわ。
…何気ない会話に重要なことがかくされていることが多い…。
って親友が言ってたことを思い出したの♪もしかすると今回も?
(コミュ力、見切り、学習力、聞き耳、使用)
しっかりじっくり聞いた後は「ありがとー♪」ってお礼言うわね。



●感触
「怪我人はいないみたいね? 本当に良かったわ……電柱さまさまね」
「そ……じゃぁ、私……行き……す、から……」
「うん、お互いに収穫があることを期待しましょ♪」
 車の方へと歩き出す墨に笑顔で手を振り、露もまたある場所を目指して移動する。
まだ明かりの消えていない本部テントの入り口をくぐれば、思わぬアクシデントで撤収の手を止められた実行委員たちが警察を待っていた。
「遅いな……まだ来ないのか?」
「困るよ、明日の準備もあるっていうのにさ」
 不機嫌な声を隠そうともしない大人たちの中、不安げな顔をした青年がスマートフォンを前に居心地の悪そうな顔をしている。
「ねえねえ、大丈夫?」
「え、ああ……君は、まだ帰らないの?」
 ――お母さんか、お父さんは?
ヤドリガミである露の外見は中身とは裏腹に幼い子どもだ。心配顔の青年に、露は努めて明るい笑顔を作ってみせる。
「さっきの事故で作業が遅れてるから、帰るのはもうちょっと後になりそうなの」
「そ、そうか……俺もさ。通報したの俺だから、警察が来るまで待ってないと」
「近くで見てたの?」
「うん、多分俺が一番近かったんじゃあないかな……まあ、このとおり怪我もしてないからさ。心配してくれてありがとう」
「――まあ、今は帰りの客で道が混んでるんだろう。もう少しの辛抱だろうさ」
 腕章を巻いた壮年の実行委員が青年と露の二人に冷たい麦茶を注いだ紙コップを差し出してくれる。青年はそれを一口飲んで、ふうとため息を付いた。
「誰も乗ってなかったんだ、ギアが入れっぱなしになってたんだろう……警察が来りゃあ車の持ち主もわかるってもんだ」
「でも、車は坂の下から上がってきたんですよ。こんなことって起こるのかなぁ」
「考えこみなさんな、それも警察が調べてくれるさ……」
 彼らの会話を、表情を観察しながらじっと聞いていた露が青年に問いかけた。
「誰も、乗ってなかった?」
「そうだよ。だから怪我人も誰もいないんだ」
 青年の答えに、実行委員の男も首を縦にふる。
(……私達にははっきり見えた、あの顔のない男……もしかして、一般人には誰も見えなかったのかしらね)
 そも、アレは何なのか。……今の露には、考えてもわからないことだ。
どうやらそれ以上彼らから引き出せそうな情報はなさそうだ。麦茶を一気に喉へ流し込むと、露は席を立つ。
「教えてくれてありがと―♪もうそろそろ、戻るね」
「おう、気をつけるんだぞ」
 テントを出て、待ち合わせ場所である自分たちの設営場所へと戻るために歩く途中。
――ぞく、と、背筋が総毛立った。
(……何、やだ、この感覚……!)
 気持ち悪い。露の感想はそれだった。日常の中ではおよそ体験しない感覚。
匂いは何も変わらないのに、空気がどこか生臭いような気がしてならない。
走っても走っても、何かが追いかけてくるような、そんな不安感。
(すーちゃん、……すーちゃんは、まだ……大丈夫……なの?)

 時を遡って。
車に向かった墨は一人の男とすれ違う。それは、猟兵の一人であると墨の記憶は判断した。
どうやら墨より先に事故車を調べていたらしい。こわばった顔をした男は、何かを見つけたのだろうか。
(二度手間になるかも知れませんが……私も調べないわけには、いきません)
 そうっと車のドアを開ける。途端、墨の背中にも、寒気が走る。
脊椎から直接氷を突き入れられたかのような悍ましい冷たさ。
(これは……何なのでしょうか……?)
 まるでこの車の中だけ空気が薄いような、そんな呼吸のしづらさ。は、はっ、と短く息を吐きだして。
運転席には誰もいない。誰もいないのは織り込み済みだ、あの無貌の男は消えてみせたのだから。
墨が探すべきは、その消えたからくり。――呪いに関する、何か。
例えば木や紙の札や形代、藁の人形のような依代などは無いか?
見えない部分や何気ない場所に、まじないの品は置かれていないか?
そうっと助手席のグローブボックスを開けた墨は、長い前髪の下で目を見開く。
グローブボックスの中には、長い黒髪がわさわさと詰め込まれていた。
「…………っ!」
 人の髪。それは呪術に使うには格好のものだ。
長いそれは、自分のもののようにも思えるし、相棒である露のもののようにも見えて――……
(っ、そんなはずは、ありません……!)
 一本や二本ならともかくも、これだけの量。ありえない。何故そんな考えに至ってしまったのかと首を振った。
呪いのようなものの対処、退魔の術ならば慣れている。
この車内の空気がそんな思いに囚われさせるような呪いの効果を持っているのかと訝しみながらも、墨はうねる髪の中に白いものを見つけた。
(この形は……形代、では……?)
 出来る限り迂闊に触れないようにと気をつけてきたが、暗がりで黒髪に埋もれているそれは手にしなければわからない。丹念に呪い除けをして、墨は手を髪の中に突っ込む。
「……っ……」
 慣れている、慣れているはずなのに嫌悪感が殺せない。今にも蠢き絡みついてきそうな髪が手に触れる。摘まみ出すだけだったつもりが、指は髪をかき分け探っている。
やっと、それを引きずり出す。
(――――えっ?)
 それは想像していた重さではなかった。見た目は人の形に切った白い紙だ。それが、ひどく重い。それも、手に馴染んだ重さだ。全身を苛んでいた不快感、嫌悪感が一心に手の中に集まって。
 次の瞬間、指先から、手の中から、その白い紙切れは消えていた。
その奇妙な重さもともに無くなっている。
まさか落としたのかとあたりを見渡すも、どこにも見当たらない。
まるであの無貌の男が消え失せたように消え失せたその形代は、最初からなかったかのように、墨が車から離れるまで見つかることはなかった。

「すーちゃん!」
 車から戻ってきた墨を、設営場所にいた露が出迎えたのはそれからすぐ後のこと。
「……ぃ、やな、気配……し……す」
「うん、あたしもさっきからちょっと気分が悪いかな」
「だい……じょ……で……か?」
「うん、耐えられないわけじゃあないよ」
 少女たちはお互いに触れ合い、互いの温もりで冷え切った手を温める。
「……形代……ヒトガタ? それが、呪いってやつなのかな……」
「わ……ま、せん。消……て、……まい……た、し……」
 ――ねえ、すーちゃん。と、露が口を開いた。
「あたし、なんとなく覚えがあるの。この、気持ち悪さ。……これ、ね」
 オブリビオンを切った後、返り血を浴びたときに似てる。
その言葉を聞いて、墨は思い出す。
形代を握ったときに感じた重み、あれは――彼女が振るう刀の重み、だった。
かれらを殺した後の、剥がれた肉に触れてしまったときに、よく似た感触だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御園・桜花
「貴方達だけに見えるもの、感じるものを探しに…行って下さい」

車に駆け寄り車体に触らず中の様子確認
UC「蜜蜂の召喚」使用
蜜蜂の温度・湿度・電荷・磁気を感じる力で違和感を感じる場所を見つけたら教えれくれるよう依頼

自分は暗視で車の下や壁と車の間等に呪いの気配がないか確認

「少なくとも、此処に呪いの1つが置かれました。これを浄化しないと、警察や残った方々が怪異に巻き込まれると思います。終点である此処と、起点となる先程の怪異。双方を浄化すれば、呪いが絶てるのではないでしょうか」
他の猟兵の確認が終わったら高速・多重詠唱で破魔の力を込めて歌い事故現場の浄化を図る

蜜蜂が異変を発見したら他の猟兵にも伝えて急行する



●蝕み
 桜花は足音を殺して、前面が潰れかけた車のそばへとひたり近づいた。
決して車体には触らないようにして、中の様子を確認する。
(やっぱり……誰も、いませんね。それどころか、何もない……)
 この車の所有者が人間であるとしたら、どこかに滲み出てくるであろうものが何も感じられない。まるで不自然なまでに、綺麗さっぱり何もない。
 ユーベルコードを発動し、蜜蜂たちを呼び寄せる。
「貴方達だけに見えるもの、感じるものを探しに……行って下さい」
 違和感を感じる場所を見つけたら、教えてくれるように。
桜花の司令を受けた蜜蜂たちは思い思いの場所へ飛んでいく。
その視界、聴覚、嗅覚、触感、そして電荷や磁気の感覚までをが桜花にダイレクトに共有される。
 突然の事故に作業を中断せざるを得なくなった祭の実行委員会や、撤収作業を進めるも機材を運び出すことが出来ずに足止めされている出店の人々が話している。
彼らの話題は警察が来ないということへの不満や不安。そして、それは帰りの客の混雑によって足止めされているのではないかという、自分たちを安心させる理由付け。
 話を聞く限りでは、彼らの中には怪しいところは一切見えてこない。
蜜蜂たちに引き続きそちらを任せながら、桜花はこっそりと車の下を覗き込む。
(少なくとも、ここに呪いの一つが置かれました……これを浄化しないままでは、警察や残った方々が怪異に巻き込まれるおそれがあります)
 呪いの終点となる此の場所と、起点となる先程の事故――無貌の男の怪異。
双方を浄化すれば呪いが断てるのではないかと、桜花は考えて。
そうして車をもう一度見上げたときだ。
無数の、むき出しの眼球が、窓にへばりついて桜花をじっと見ていた。
(――――っ……!)
 桜花の背筋に、氷柱を直接突き刺されたような寒気が走る。
 眼球たちは一瞬で消えた。それは呪いの残滓か、ただの脅かしか。
落ち着いて考えをまとめようとも、背筋の寒気はずっと消えない。両腕から上ってくる不快感――まるで無数の蟻が、自分の手足を這い回っているような、非常に強烈なそれに、立っているのもままならなくなる。
 蜜蜂の視覚と聴覚を通じて共有される、今この会場にいる他の猟兵たち。
彼らもまた一様に桜花と同じ様に不快感を訴えているようだった。
――まるで、オブリビオンを殺した後の死骸に触れたような感触。
そう言っているのが聞こえる。それを認識した瞬間に、ぬるりと指先を粘ついた感覚だけが襲う。真っ黒なタールのような、或いはこぼれ落ちた血のような、その感触。
やがて触感はザリザリとしたものに変わり……桜花は、気づいた。
(これ……この感覚、私のじゃあ、ない)
 蜜蜂たちだ。桜花が放った蜜蜂たち、その全てが何らかのジャミングを受けている。
悍ましさに震えながらも立ち上がり、桜花が優先したことは――呪いの浄化、だった。
侵食された感覚によたつきながら、車から数歩下がって。
破魔の力を込めた浄化の歌を歌い上げる。
それは周囲の人々からすれば突然の奇行に思えただろう、ぎょっと目をむいて、桜花に何事か話しかけようとした誰かの手が、ふっと暗闇に消えた。
たった一瞬。瞬きの合間に、祭り会場から桜花達猟兵を除いたすべての人々が消えていた。
「……みなさん、気をつけて……あちらから、来ます……!」
 桜花は震える喉でそれだけ言うと、蜜蜂たちから送られてくる――まるでねっとりとしたタールの蜘蛛の巣に囚われているような感覚、その方向を頼りに、歩き出す。
 祭提灯の灯と、街灯が誰もいない夜の中に、猟兵たちを照らし出した――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『『エラー』』

POW   :    ■、1あ■アオ、蒼、青い■あァあ、%2■3屍%蒼
【■アl■%あ、蒼い跳ぶ、頭■%、■格闘技】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    %2あ、か■赤血赤赤、■ア垢か、ぁ■赤い、%1■
【紅、?■2閼伽■紅い紅い紅い紅い紅い紅い】【紅い、紅い■■あああ■、紅い%貴方、四肢】【屍%、4赤■■、■ぁ■死あァぁ7。%呪術】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    キき■%、4■黄イ生ぇ膿キ■徽き、君、君■■%4
【■%黄い脳m、キ嬉々、黄%■未来、予知で】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 駆けつけたその場所、街灯と提灯の灯りに照らされた、男たちはそこにいた。
無貌の男たち――無貌、といえば無貌だ。
だが、彼らはもはや先ほど見せたような人間の皮膚の擬態さえ行うことをやめていた。
ブロックノイズに覆われた顔面。そこから不可解な声を上げ、猟兵たちへと歩いてくる。
彼らは、亡霊と同じもの。或いは残り滓。
猟兵たちが倒してきたオブリビオンの、消え残りの集合体。
祭の終わった夜に彷徨い出てきた、幽霊のようなものだ。
さあ、亡霊退治を始めよう。

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 UDC「エラー」が現れました。
戦いのフィールドは大きめの道路上です。
歩道・車道の上になりますが、人や車などは一切通りません。(既に停めてあった車両などは存在しますので、戦闘に活用するアイディアがありましたら使用することも可能です)
猟兵たちとUDCのいる場所は、一種の「異界」となっております。
第二章の間に感じていた不快感は、その元であるUDCに対峙したことで消えています。
神坂・露
すー(f19200)ちゃんと。
一体かと思ったら沢山いたわ。本当に顔ないのね~。
呪いというか『淋しさ』とか『切なさ』とかそんな感かしら。
ほら。楽しいことの後ってそんな感じがするじゃない?
あたしを手にしてた人の中で覚えたことなんだけどね~♪
そんな淀みはあたし達がお掃除しちゃうわ!…え?違う?
相手は幽霊みたいな存在みたいだしあたしは【闇狼】を使うわ。
(早業、2回攻撃、破魔、限界突破、フェイント、武器受け)
あとねあとね。すーちゃんとばんばん連携攻撃したいわ。
スーちゃんと攻撃の呼吸合わせて同じところを同時にとか。
あたしがお腹ですーちゃんは腕とか…一体ずつ消していくわ。
んー。闇雪って連携技どうかしら?


浅間・墨
露(f19223)さんと共に。
祭事の際は妖の類が寄ってくる…といいますが…。
相手はオブリビオン達の魂…でしょうか?
通常の斬撃ではあまり効果を望めないかもしれませんね。
ならば【雪駆】で。そして刀は『真改』でいきます。
(早業、破魔、属性攻撃、限界突破、見切り)
一体ずつ確実に倒したいので露さんと連携攻撃をします。
露さんは素手で戦うようなので彼女を護るように前に出ます。
…出ますが露さんの動きを阻害しないように注意したいと。
あとは露さんの動きに合わせて戦おうと思います。
…れ、連携技…です?えっと…今…考えるので…すか?
戦いながらだと難しいのですが…露さんすごく器用です…。
技名は露さんにお任せしたいと。



●夜に降る
(祭事の際は、妖の類が寄ってくる……と言いますが……これは、オブリビオンたちの魂……でしょうか?)
 ならば通常の斬撃で効果があるかどうか。墨は真改を抜き、露の前に進み出た。
「思ってたよりたくさんいたわ……本当に顔がないのね~」
 墨の後ろで露は常通りののんびりした声を出す。けれど、それは彼女が暢気に構えているというわけでは決してない。
(呪い、というか……『淋しさ』とか、『切なさ』とか、そんな感じかしら? 楽しいことの後って、そんな感じがするもの)
 かつての持ち主のもとで覚えたそんなことを思い出しながら、露は言った。
「そんな淀みは、あたし達がお掃除しちゃいましょう!」
 こくり、と墨が頷いた。
露の両腕が、指先が、淡い青色に染まっていく。
「合わせましょ、すーちゃん♪」
「は……ぃ……!」
『―――――!!―――!!……!!』
 言葉にならない声を上げながら、顔どころか体の所々がブロックノイズで崩れ始めている男たちが次々に押し寄せてくる。二人は瞳を交わした。
「いくわよー!!噛み砕け……っ!」
 露の声に合わせ、墨が動く。大刀に両腕を斬り裂かれた男の腹を露が殴りつける。
『――!!……!――――!』
 墨と露、二人が選んだ攻撃方法は肉体を傷つけずに邪心と魂のみを砕き、斬るもの。
けれど男たちは呪いだ。亡霊だ。骸の海に還ったオブリビオンたちの、消滅できなかったカケラたちが合わさって形を成したもの。故にもとより結合は脆く、動きながら戦いながらも崩れていく。
魂は寄せ集め継ぎ接ぎの不完全で、邪心と呼べる心があるのかどうかすらわからない亡霊たちはそれでも露の拳で胸を穿たれ痙攣し、墨の刃に斬り落とされた場所から凍てつき、ノイズに塗れて泡のように消えていく。
ひゅう、と冷たい風が噴いた。
墨が刃を閃かせる度、空気が冷えて、初夏の夜の路上が薄っすらと凍りつき、ちらちらと風の中に白いものまで混じり始める。走り抜ける二人は、一体一体、亡霊たちを撃破していった。
「すーちゃん!!」
 露の声に墨が動いた。刃が舞い、男の足元を一瞬凍りつかせる。たたらを踏んだそこへ露が飛び込み、薄青に染まった拳が胸を貫く。ノイズに覆われて、魂の結合が解れて消える。飛び込んだ墨の黒髪が舞い、刃が首を落とした。ごろり、転がる前に泡立ったノイズに包まれて消え失せ、頭部を失った体はどうと倒れて――そのままノイズと化して消えていく。
「これぞすーちゃんとあたしの連携技、名付けて「闇雪」ってどうかな!」
「……い、ま……名付……たの、で……か……!?」
 やはり露はすごく器用だ、と、墨が長い前髪の下で目を瞬かせる。その唇が綻んだのを見て、露も笑顔になった。
 祭提灯が赤く照らす道の上、季節外れの雪が舞う。
押し寄せる亡霊たちを斬り捨て殴り飛ばしながら、少女たちは舞うように駆けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「此の方達、悪意や邪心を減らせば弱体化するのではないでしょうか」

敵の強化を阻害できればあっさり倒せるのではないかと思いUC「強制改心盆」使用
自動車等の影を走って予想外のところから相手を強襲したり
高速・多重詠唱で破魔の属性を銃弾に与えて制圧射撃、敵を足止めして殴りかかったりする
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す

「枯れ尾花と同じです。絡操さえ分かれば、力ずくでも対処出来ると思います。それに…彼等を全滅させないと此処から出られないなら、他の方達は安全です」

戦闘後は慰め乗せた鎮魂歌を歌い敵を送る
「此処はサクラミラージュではないけれど。望めば叶う可能性はあります。いつか…共に祭りを楽しむ者としてお戻りを」



●例え世界が違っても
『……!――!!――――!!!』
 全身にノイズを纏った男たちが、理解できない言葉で呻き声を上げている。
車の影に隠れながら、桜花はその様子をじっと観察していた。
(此の方たち……まるで悪意を切り貼りして作られているかのよう。ならば、悪意や邪心を減らしてしまえば……弱体化するのではないでしょうか?)
 桜花の手にした銀盆が彼女の霊力を籠められ、淡く輝く。
隠れ潜む車の横を男たちが通っていく。軽機関銃を取り出し、その只中に銃弾の雨を降らせると同時、桜花は飛び出した。背後を取った男を銀盆で殴りつける。
『!!――!!……――!!あ あ あ』
 男の動きが緩慢になる。盆を叩きつけたところから柔らかいものを潰した感覚が手に伝わってきた。
『ああ……あ あ あ――!!――――!!!』
「……!」
 背後に迫っていた、また別の男の繰り出した蹴りを盆で受け止める。機関銃の弾丸を背中へと向かってゼロ距離で放ち、振り向きざまに頭部へと盆を振り抜いた。
男の体が頭から泡のようなブロックノイズに包まれ、ぐじゃぐじゃと崩れて消えていく男を前に、桜花は息を吐き出した。
「……枯尾花と同じ。絡繰さえわかれば、力ずくの対処が可能、というわけですね。……それに、あなたたちを全滅させないと此処から出られないと言うなら、ある意味好都合。他の方々は安全ですから」
 あたり一面全方位に軽機関銃の弾丸が撒き散らされる。それに反応して押し寄せてくる男たちの攻撃を躱しながら、桜花は次々と銀盆で男たちを殴り倒していく。
――此処は桜花の生まれた世界、サクラミラージュではない。同じオブリビオンであっても彼らはUDCであって影朧ではなくて、だから転生が出来るかどうかはわからない。
「けれど、望めば叶う可能性はあります」
 それは、桜花が桜の精だからが故か。彼女はその願いを捨てない。
「いつか、その時は。ともに祭りを楽しむものとしてお戻りなさいますよう……だから、今はお眠りくださいませ」
 一体一体、桜花の銀盆と機関銃とが数を確実に減らしていく、それでも――。
この場には、呪詛に満ちた亡霊のような男たちがまだまだ残っている。
鎮魂の歌を歌うには、まだ時間がかかりそうだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

初志・貫鉄
【軽食屋台 功徳】 パートナーの呼び方はリム
即興歓迎 WIZ

警告の声と周囲に起きた異変に反応し、覇気の練り上げを一気に加速
限界突破して、覇気をため込みオーラ防御を厚くしながら、敵を視認

なんだぁ?他の猟兵たちに倒された無念の残滓が、此処で呪詛化しましたってか?それとも…

リムの呼び出す水陸両用装甲車を足場にジャンプ
上空で、真の姿を開放
パンプアップした肉体がコックコートを破り、褌姿の筋肉達磨爆誕
上空から敵の大まかな位置を把握してから、破魔の力を乗せリミッターを解除してUCを発動
数百の具現した覇気の拳撃、手刀、足刀で敵の群れを打ちすえます

着地後は接近しながら、二発目のUC&肉弾戦を仕掛けます
弾幕は力


リムティア・クィリス
【軽食屋台 功徳】 初志・貫鉄の呼び名はアナタ
即興◎
WIZ

異変を感じ取れば、すぐさまビームライフルを隠し場所から掴みだし、構えながら外に出ます
周囲の状況確認
猟兵以外に巻き込まれていないことにホッとしてから、放置車両などのせいで得意のバイクによる高速突撃戦術が取れないことに、小さな舌打ち
敵の咆哮を確認してから、ビームライフルを構える

アナタっ!合わせてッ!

声を出してからUC発動
貫鉄が足場にしやすいように、亡霊の水陸両用装甲車を呼び出し、すぐさま部隊展開
展開した女傭兵の霊に連携をとらせながら、自分は貫鉄の援護射撃
時折、リロードついでにUCに指示

戦闘後は、服を破いてるであろう貫鉄に対して軽くお説教です



●祭囃しが聞こえる
「皆さん、気をつけて……!あちらから来ます……!!」
 猟兵の誰かが発した声に、リムティアは装甲車に隠してあったビームライフルを掴みだす。隣で貫鉄もまた自らの覇気を練り上げ、戦いに備えていた。
外に出たリムティアたちが見ることになったのはまるで屍の群れのように歩いてくる、顔のない――ブロックノイズで覆われ削り取られた――亡霊のような男たちの集団。
そして、自分たちと同じ猟兵以外が一切消え去った祭り会場だった。
「なんだぁ? 他の猟兵たちに倒された無念の残滓が、此処で呪詛化しましたってか? それとも……」
 男たちを目にした貫鉄は、訝しげに眉を寄せて唸るような声を出す。
(巻き込まれた一般人はいないわね……良かったわ)
 それにしても、とリムティアは小さく舌打ちをする。祭りから帰る人々が乗っていたものだろうか、放置された車両が道の邪魔をしている。これでは、彼女のお得意のバイクによる高速突撃戦術が取れそうにない。ならば、此処でとるべき戦法は――。
ビームライフルを構えたまま、リムティアは叫んだ。
「アナタっ!合わせてッ!!」
「おうよ!」
 地中から浮上するように、もう一台の装甲車が現れる――そこには武装した女たちの幽霊が乗り合わせている。そのまま装甲車を降りた女たちの霊は、男たちになだれ込むように襲いかかった。
貫鉄は装甲車に足をかけ、そのまま空中に飛び上がった。
彼の真の姿が解放される――コックコートが耐えきれずに弾け飛び、褌一丁になった筋肉達磨がそこに爆誕する!!
貫鉄は対空したまま眼下の戦況を確認し、上空高くに飛び上がったまま地上へ向けて拳を構える。
「六掌六足の影象りて……暴神調伏せし威を此処に――!!」
 練り込まれた覇気がゴッドハンドたる彼の力で形を得る。三百を有に超える数の拳撃、手刀と足刀が女たちを避け、男どもだけを打ち据える。
 ぐしゃり、と顔を奪われた男たちが押し潰されてノイズに包まれ消える、その後ろから新たな男たちがわらわらと集い……それを薙ぎ払うのは、リムティアのライフルから放たれるビーム砲。
「……数が多いわね、っ……」
 ライフルをリロードしながら、リムティアはもう一度舌打ちをした。
「だが、数だけだ!リム、こっちも物量で押しつぶすぞ!」
「ええ、任せて、アナタ!」
 リムティアが呼び出した女傭兵がハンドガンで男に鉛玉を浴びせかければ、ぐじゃぐじゃと荒いノイズに包まれながら男が消えていく。また別の男の首を、女傭兵が搔き切る。その渦中に降り立った貫鉄がダン、と震脚で地面を震わせ、男たちの足を止めては、手近にいた男に正面から掌底を、拳を、手刀を、次々と叩き込んでいく。
 勇猛果敢なる女傭兵たちが、貫鉄の覇気と肉体が、リムティアの砲撃が、無数とも言えた男たちをじりじりと削っていく――そして。
「これで、終わり……だッ!!!」
 最後に残った男の鳩尾を貫鉄の手刀が貫き、頭部をリムティアのビーム砲が吹き飛ばす。
……敵が消えれば、女傭兵たちも何処かへと姿を消し。あたりは随分と静かになって。
「もうっ、またアナタったらそんな格好になって……」
 駆け寄ってきたリムティアが褌一丁の寛鉄を嗜める。
彼が装甲車の屋台に戻り、その鍛え上げられた体を再び布に覆い隠す頃には、祭り会場には人々が戻ってきていた。いつの間にか警察が到着したのか、電柱に激突した車は然るべき場所へと運ばれた後のようだった。

 パトカーの赤色灯が回り、本部テントにはそれらしき制服姿が出入りしている――
怪我人も出ていない、この一件は事故として片付けられることになるだろう。
呪いの元は、呪いを引き受けた猟兵達によって斃され。
祭りを穢すものはもうどこにもいない。
撤収作業を進める人々に混じって、猟兵たちもそれぞれに帰還の準備を始めていく。

――ぴい、ぴい、ぴぃひゃらら……
もうすぐ日付も変わる頃。祭りの日も、終わる頃。
どこか遠くから、笛の音が。祭囃しが聞こえてきていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月15日


挿絵イラスト