●街角にて
「にゃんにゃ~ん♪」
「にゃにゃ~ん!」
とある街角でブチ猫と三毛猫が仲良くじゃれ合っていた。
2匹は所謂恋仲同士なのである。
だがそんな2匹の猫を邪魔する存在がいた。
「見つけたにゃ!」
「邪魔してやるにゃん!」
しゅぱっと伸びた手が三毛猫を捕まえる。
「ここは恋愛禁止にゃ!」
捕まえた三毛猫を箱に入れ、しゅぱぱっとその場を去っていく。
「にゃあああ!」
ブチ猫が慌てて追いかけるも、相方の猫も誘拐した黒い箱も消えていた。
それからブチ猫の悲しい鳴き声が街角に響き渡るのであった。
●学校にて
「にゃ~ん♪」
「今日も遊んであげる」
同じ頃、学校の庭では女子生徒が1匹の白猫と遊んでいた。
猫じゃらしをちらつかせる女子生徒と、それに飛びつく白猫。
1人と1匹の楽しい日課であった。
「許せないにゃ!」
しゅぱっと伸びてきた猫の手が白猫を浚っていく。
「人間と仲良くするなんて不届きな奴にゃ!」
女子生徒が白猫を助けようとするも、彼女の手が届く前に白猫を浚った黒い箱はしゅぱぱっと校庭から消え去っていくのであった。
「ど、どうしよう…」
白猫を連れ去られ、女子生徒はただ戸惑うばかりであった。
●レストランにて
「ねーあんなところに変な黒い箱があるよ?」
両親と一緒にファミリーレストランで来ていた小さな男の子が、隅っこにある黒い箱に気付いて近寄った。
「あ、猫さんがいるよ」
「うにゃっ!?」
男の子は箱を開けられて、びっくりした黒い猫はスイッチをOFFにして閉じこもった。
「ここを押せば開くのかな?」
男の子が箱のスイッチを押すと、しゅっぱっと手が伸びてきてスイッチを再びOFFにしてしまう。
「あはは、おもしろ~い♪」
「しゅぱしゅぱにゃ!」
しばらくの間、男の子と猫の間でスイッチの押し合いが続く。
やがて男の子は両親に呼ばれると、自分の席に戻っていった。
「にゃんにゃん」
黒い箱だけが取り残され、中に入っている黒い猫に平穏が訪れた。
子供とのやり取りもまんざらでなかったようで、黒い猫は上機嫌である。
だがそれも束の間のことであった。
「何を遊んでいるニャ!」
「にゃああ!?」
そこに別の黒い箱が現れて、中の猫が叱りつけてきた。
「今日もノルマは達成できないのかにゃ、本当にお前は駄目な奴にゃん」
「にゃああ…」
叱られた方の黒い猫は箱の中でしょんぼりしてしまい、レストランを去っていくのであった。
●にゃんドラボックス再び
「またあいつらが悪さをしていのですか…」
銀色の猫の猟兵、オヴィリア・リンフォース(銀色の魔女猫・f25140)が、やれやれといった感じで毛づくろいをする。
「にゃんドラボックスがまた性懲りもなく、UDCアースの街で悪さを働いているので懲らしめて欲しいのです」
にゃんドラボックスは黒い箱に入った黒い猫のUDCであり、オヴィリア自身も何度かかかわった事のある存在である。
「どうやら猫や人と仲良くしている所を邪魔しているみたいなのです!まずは事件の現場から手掛かりを見つけて、にゃんドラボックス達が集まっている場所を突き止めて欲しいのです」
情報収集の候補となるのは、事件現場である街角と学校、そして目撃現場であるレストランの3か所であると、オヴィリアは説明する。
「首尾よく見つけることが出来たら、もう悪さが出来ないよう懲らしめて欲しいのです。でもその中に1匹だけUDC-Pがいるので、その子だけは保護して欲しいです」
UDC-Pとはシャーマンズゴーストに代表される何らかの異常により、オブリビオンとしての「破壊の意志」を持たない、希少な存在である。
UDC組織に持ち帰り研究が進めば、貴重な情報が得られるかもしれないのだ。
「外見も箱に閉じこもる習性も、にゃんドラボックスと全く同じだけど、箱を開けてその姿を猟兵が見れば、UDC-Pである事が一目で分かるのです」
なのでしっかりと箱を開けてから調べていく必要があるだろう。
「連れ帰った後はコミュニケーションを取れるようにも力を貸して欲しいです。元々、引き籠りで臆病な猫なので、打ち解ける事が大事なのです。その時は必要なら私も手伝うのです」
同じ猫同士だけにオヴィリアも乗り気だった。
「説明は以上なのです。悪い猫達を懲らしめUDC-Pを助ける為にも、健闘を祈るのです」
オヴィリアは尻尾と頭をぺこりと下げるのであった。
吾妻 銀
吾妻 銀です。
今回はUDC-Pの出現シナリオとなります。
プレイングは常時受け付けます。
第一章では事件現場や目撃情報から、にゃんドラボックスの縄張りを見つけ出す事が目的となります。
オープニングでの被害者・目撃者たちから情報を聞き出し、痕跡を追う事が成功につながります。
街角では大事な相方である三毛猫を誘拐されたブチ猫から、学校では遊んでいた猫を連れ去られた女子生徒から、レストランでは子供や客たちから、にゃんドラボックスの情報を聞き出すことが出来ます。
どの選択でも正しく情報を聞き出せれば、にゃんドラボックスの縄張りに辿り着く事が出来るでしょう。
独自の手段で情報収集しても構いません。
第二章ではにゃんドラボックスを懲らしめつつ、その中に1匹だけいるUDC-Pを見つけ出す事が目的です。
箱の外からでは見分けはつきませんので、どうにか箱を開けて中にいる猫を確かめてください。
適度に怖い目に遭わせれば、にゃんドラボックス達は、しばらくは大人しくなるはずですので、必ずしも倒さなくて構いません。
第三章はUDC-Pである、にゃんドラボックスとの交流となります。
言葉は話せますが臆病で引き籠りな性格ですので、優しく接してあげてください。
オヴィリアも登場しますので、何かさせたければプレイングにご記載ください。
オヴィリアは甘えん坊でグルメな銀猫として振る舞います。
以上となります。
参加をお待ちしております。
第1章 冒険
『冒涜するは恋の味』
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POW : 街中で怪しいところを探す
SPD : 学校に潜入して情報収集
WIZ : カフェやレストランで聞き込み
👑11
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ケルスティン・フレデリクション
ねこさんが、いたずらするの…?
うーん…じゃあ、止めなきゃ…!
レストランで情報を聞き出すよ。同じぐらいの子供なら、あまり
警戒されないよね…?【コミュ力】
「んと、変わったくろいはこをみたことある?」
お話が聞きたいな、と知ってそうな子に話しかけるよ【第六感】
「うんうん…ねこさん、かわいかった?」
「いいなぁ…んん、ちがう…ほかに、へんなこと、あった?」
ねこさんすきだから…つい、いっぱいおはなしきいちゃう…
あ、レストランだし…デザート食べようっと。
ケーキ、あるかな?おいしいケーキ、もぐもぐたべて、がんばる!
「えへへ…おいしい…」
「にゃ~ん♪」
オラトリオの少女、ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)は、道中で一匹の野良猫を見かけた。
野良猫は自由気ままに、ケルスティンの脇を通り過ぎていく。
「ねこさんのいたずら…止めなきゃね」
野良猫を見送ってから、ケルスティンはいたずら猫を止める為に、目撃現場であるレストランへと入るのであった。
「まずは無事に入れたね」
幼い子供だけの入店で、最初は店員も戸惑いも見せたが、ケルスティンのしっかりとした態度に、店員も快くケルスティンを迎えるのであった。
「ねぇ、おねえちゃんひとりなの?」
ケルスティンが気になったのか、好奇心旺盛な男の子が近づいてきて声をかけてきた。
(警戒されないか心配だったけど、これなら大丈夫だね?)
目撃者である男の子に、どう情報を聞き出そうか考えていたケルスティンであったが、自分の方から近づいてきてくれて一安心する。
「んと、変わったくろいはこをみたことある?」
「うん、さっきみたよ。くろいねこさんがはいっていたんだ」
ケルスティンの問いかけに、男の子は目を輝かせて答える。
「うんうん…ねこさん、かわいかった?」
「うん、とてもかわいかったよ。でも、こわがりでそとにでてきてくれなかったんだ」
男の子はその時の事を楽しそうに、ケルスティンに伝える。
その話から正体がにゃんドラボックスである事は間違いないようである。
「いいなぁ…んん、ちがう…ほかに、へんなこと、あった?」
「う~ん、すごくすばやかったよ。でも、すこしみないあいだにいなくなっていたんだ。もしかしておねえちゃんのねこさんなの?」
「ちがうけれど、そのねこさんを探しているんだ。どこにいったか分からないかな?」
「わからないよ…あのへんにいたのだけれど」
男の子が指したレストランの片隅には、にゃんドラボックスの姿はなかったが、そこに何か落ちている事に、ケルスティンは気付く。
「これは包帯かな?」
ケルスティンが手に取るとそれは布状の切れ端で、包帯の一部のように思える。
にゃんドラボックスが付けていたものなのかもしれない。
「おねえちゃん、ねこさんすきなの?それならねこさんがたくさんいるばしょしってるよ」
「え?ほんとう、おしえて!」
それからもケルスティンは男の子と猫との会話で盛り上がるのであった。
「あ、デザートが来た。一緒に食べる?」
「え、いいの?」
ケルスティンは男の子と一緒に注文したケーキを食べる。
「えへへ…おいしい…」
レストランのケーキを堪能してから、ケルスティンは上機嫌で、男の子に教えてもらった猫が集まる場所へと向かうのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ラムル・クルトア
POW
連れ去られた仔達が無事だといいのだけど…
しっかりお灸を据えて二度とさせないようにしないとね
タマさんとシロと一緒に街角で足取りを探るよ
猫のことなら人より猫の方がきっと詳しいよね
タマさんとシロと手分けして、近くにいる仔たちに聞いてみよう
驚かさないように【優しく】声を掛けて【情報収集】するよ
「この辺で、最近、変わったことはなかったかな?」
悲しい鳴き声が聞こえたら【聞き耳】、声のする方に進んでみよう
ブチ猫に会えたなら、慰めながら詳しく話を聞くよ
「それは心配だね…」(そっと頭を撫で
「どこにいるか、俺も探してみるよ」
二匹がまた仲良く過ごせるように力になりたいから
「知ってること、教えてもらえるかな?」
「この辺りかな?それじゃタマさんにシロはよろしく」
「にゃ~!」
ヤドリガミの青年である、ラムル・クルトア(ヤドリガミのウィザード・f10895)は事件現場付近の街角に辿り着くと2匹の猫を呼び寄せて、一緒に調査を開始するのであった。
タマさんは魔法で創造された猫で、ラムルの大切な友人である。
シロはラムルに懐いてついてきた、UDCアース出身の毛並みが綺麗な優しい白猫である。
2匹ともやる気満々の様子で街角を縄張りにしている野良猫達に、聞き込みを開始する。
特にシロは出身世界という事もあって、慣れた様子で野良猫達の注目を集めるのであった。
「この辺で、最近、変わったことはなかったかな?」
「うにゃ?」
ラムルの優しい問いかけを、タマさんが翻訳して野良猫達に伝える。
最初は警戒心を見せていた野良猫達であったが、シロの仲介のおかげでラムルの話しに耳を傾ける。
「にゃ~!にゃんにゃん!」
タマさんから事情を聴いた野良猫達は、鳴き声をあげたかと思えば裏路地の方へと進んでいく。
「付いて来いって事かな?」
ラムル達は野良猫達に案内される形で、入り組んだ裏路地を進んだ。
ラムルがギリギリ通れるぐらいの通路で進むのには一苦労した。
「…にゃあ~」
悲しそうな猫の鳴き声が聞こえてきた。
「どうやら早速お目当てに会えるようだね」
もうしばらく裏路地を進んでいくと、その奥にはすっかり落ち込んでいる様子のブチ猫が蹲っていた。
「これは酷いね…」
ブチ猫の毛並みは乱れ、所々に引っかかれたような裂傷が見られた。
野良猫たちはラムル達を案内すると、元居た場所へと戻っていった。
「にゃ~ん…」
タマさんとシロは心配そうに、ブチ猫に寄り添っていく。
そして何があったのかと猫同士での会話が始まるのであった。
「にゃにゃにゃあ!」
「うにゃにゃ~ん」
ラムルはブチ猫の手当てをしながら、タマさんシロの翻訳で会話の内容を知った。
目の前で黒い箱に入った黒猫に三毛猫を誘拐されたブチ猫だが、それから僅かな痕跡を手掛かりに必死に追いかけた。
だがその途中で、別の黒猫に襲われ返り討ちにあってしまったのだ。
そして野良猫達に助けられ、今はこの場所に匿われている。
ブチ猫の悲しそうな様子から、今でも三毛猫の事を想っているのが、ラムルにも伝わった。
「それは心配だね…」
「にゃああああ!」
ラムル達の手当てで多少具合の良くなったブチ猫は、起き上がろうとしている。
再び三毛猫を助けに行こうとしているのだ。
「にゃ~ん」
シロがそんなブチ猫を宥める。
「知ってること、教えてもらえるかな?どこにいるか、俺も探してみるよ」
タマさんから伝えられたラムルの言葉にブチ猫は頷き、黒猫を最後に見かけた場所へと案内する事を約束した。
その先に、にゃんどらボックス達が集まっている可能性は高いだろう。
「連れ去られた仔達が無事だといいのだけど…しっかりお灸を据えて二度とさせないようにしないとね」
ブチ猫に案内されながら、ラムルは改めてそう誓うのであった。
大成功
🔵🔵🔵
大門・有人
不採用含めて全て歓迎だ。
WIZ対応
UDC-P…そんなのもいるのか。
猫とは喋られんし、学校なんぞ行こうものならこっちが犯罪者扱いされちまう。
となるとカフェかレストランか。普通に話しかけても怪しまれるだろうし、ここは子供グループが出てきた所を狙って【宇宙バイク】を見せびらかして親睦を深めるとするか!(事案発生!)
上手くいけば子供たちから情報を貰って目的地の探索だ。
通報された場合はバイクでそのままトンズラだ。その前に情報を貰えるといいが……。
協力してくれた子供が怖がらなければ、少しぐらいはバイクを触らせたり、乗せてやってもいいな。
「そろそろいいかな?」
改造人間である大門・有人(ヒーロー・ガンバレイにして怪人・トゲトゲドクロ男・f27748)は、宇宙バイクに乗った状態で、レストランの外でタイミングを伺っていた。
猫との会話も出来ず、改造人間の姿では学校に行くのも危険と判断した有人は、レストラン付近で情報を聞き出す事にしたのである。
「うわぁ…すごいのりものだぁ…」
「しってるよ。ばいくっていうんだよ!」
「おにいさん、かっこいいね!」
レストラン付近で遊んでいた子供たちが、有人の宇宙バイクに興味を持って集まってきた。
子供たちは有人を怖がっている様子はなかった。
「おう、俺のバイクが気になるのか?」
有人は出来る限り優しい態度で、子供たちに声をかけた。
(犯罪者扱いされないようにしないとな…)
有人は周囲の目を気にしつつ、子供たちから情報を聞き出すタイミングを伺う事にした。
「さわってもいい?」
「ぼくも、のってみたいな」
子供たちは好奇心の赴くままに、宇宙バイクに触ったり、乗ってみたりして無邪気に遊びはじめた。
その様子に有人は自身の子供時代を思い出すのであった。
「ところで箱に入った猫を見たことないか?黒い箱に入った黒猫なんだが…」
今なら聞いてもいいだろうと思い、有人はストレートに子供たちに問いかける。
「はこに、はいったねこ~?しらないよ」
「しらな~い」
「あ、わたしはみたよ」
男の子たちが首を横に振る中、一人の女の子がそう答えた。
「本当か?その猫を探しているんだ。どこに行ったかわからないか?」
「それはわからないけれど、ねこがあつまっているところならしってるよ。そういえば、さっきもおなじこときかれたな」
「あ、それならぼくもしってるよ。でも、ねこさん、あまりみなくなったんだ」
「そこあきちになっているところだよね?」
女の子の言葉をきっかけに、子供たちから次々と言葉が発せられる。
そこから正確な情報を聞き出すのには苦労したが、有人はどうにか猫が集まっているらしい空き地の場所を特定することが出来た。
宇宙バイクで移動すれば、そこに辿り着くのにそう時間はかからないだろう。
「助かったよ。ありがとうな」
「ね~ぼくものせてよ」
目撃した大人たちに誤解されないよう、有人は早々に立ち去ろうとしたが男の子の一人がバイクにしがみついてきた。
「まだ危ないからな…バイクに乗っていいのは、大人になってからだ」
有人は出来る限り優しい態度で男の子を宇宙バイクから降ろすと、そのまま走り出した。
宇宙バイクで走り出す有人を、子供たちは羨望の眼差しで見送るのであった。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
オヴィリアさん、予知に出て来た猫の見た目
どんなんでしたっけ? 細かく教えて頂きたいです。
え、チラシ作りますけども。
飼い猫いなくなったって体で聞き込み調査したら、会話の取っ掛かりとしては楽でしょう?
上手いこと作れたら、学校まで向かいましょうか。
えぇ、何ならチラシ貼ってもらいます、学校で。
後は帰り待ちの学生にチラシ配って声かけて回る。
思うところがある子がいれば、来ると思うんですよね。
白猫を知りませんか、うちの飼い猫だったんですが……
最近なんか、黒い猫? が出て他の猫と一緒に消えるって
噂を聞いてから不安で不安で……
現場なり縁の品なりに到達出来ればUC発動
残留思念を辿って縄張りまで向かいたいね
春霞・遙
へぇ、もともと人に害を及ぼそうとしないUDCですか。興味深いですね。
そういうUDCが見つからなくても、組織からUDC退治を命令されてるのでお仕事お仕事っと。
それではUDC組織の協力のもと臨時の養護教諭とかそういう立場で学校に侵入して「情報収集」を試みましょう。
保健室を利用した生徒さんの対応をしながら変わった噂がないかとか、そういうものを見た友達がいないかとか尋ねてみます。
理由を訊かれたら、はぐらかすか「失せ物探し」をしているとでも答えましょうか。
もし有力な情報がみつかったら【仕掛け折り紙】で情報を書いた用紙を他の猟兵の人たちに届けますね。
それは出発前の事であった。
「オヴィリアさん、予知に出て来た猫の見た目、どんなんでしたっけ? 細かく教えて頂きたいです」
「わかったのです」
パフォーマーでもある鈴木・志乃(ブラック・f12101)が、グリモア猟兵である銀猫のオヴィリアに、学校で誘拐された白猫の詳細を訪ねた。
ターキッシュバンと呼ばれる種であり、整った毛並みにオッドアイが特徴の好奇心旺盛な白猫であると、オヴィリアから志乃に伝えられる。
「ふむふむ…なるほど、こんな感じかな」
オヴィリアから得られた情報を特徴を元にチラシを作成してから、志乃は現場へと転送されるのであった。
「へぇ、もともと人に害を及ぼそうとしないUDCですか。興味深いですね」
UDCエージェントであり医師でもある、春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は一足先に臨時の養護教諭の立場として、白猫の誘拐事件が起きた学校へと赴いていた。
「さ、お仕事お仕事っと」
新しく来た養護教諭の遙を一目見ようと、生徒達が遙の勤め先である保健室へと集まっていた。
遙は生徒たちを対応しながら、何か変わった事がないかと尋ねていく。
その大半は事件とは関係のない話ばかりであったが、遙は教えてくれた生徒たちにお礼を言ってから次の診察を始める。
「変わった事?先生ってもしかしてスパイか何かだったりする?」
「そうかもしれませんね…突如学校にやってきた美人教諭なんてね♪」
「先生、自分で言うのかよ」
遙の返しに男子生徒は、冗談だと思ってくれたようである。
「先生が興味あるかわからないけれど、この前へんな箱を見たよ」
「変な箱ですか?」
「うん、黒い箱で中に何か入っていたようで動いていたんだ…猫の鳴き声も聞こえたかな…中を確かめようとしたら、凄い速さで逃げていったけれどね。多分、捨て猫か何かだったと思うけれど」
「そうですか…ちなみにそれはどこで目撃したのか覚えていますか?」
「うん、そこは…」
遙は診察を終え男性生徒を保健室から退室させると、得られた情報を整理する。
男性生徒が黒い箱を目撃したのは、学校からそう離れていない、空き地となっている場所の近くのようである。
しかも他の猟兵達が情報収集に向かっている、街角やレストランも近くに位置している。
有力な情報である事は間違いないだろう。
「これは皆さんに知らせましょうか」
遥は得られた情報を仕掛け折り紙に記載してから、折り鶴にするとそれを仲間である猟兵達に向けて飛ばす。
「私もここでの仕事が終わったら向かいましょうか」
もっとも並んでいる生徒達の診察を終えるのは、まだまだ時間がかかりそうであった。
「飼い猫いなくなったっのだけれど、誰か知らないかな?」
一方、学校に到着した志乃は校門の前で白猫のチラシを生徒たちに配りながら、聞いて回っていた。
「お姉さん猫を探しているのですか?」
そんな所に一人の女子生徒が声をかけてきた。
「白猫を知りませんか、うちの飼い猫だったんですが……最近なんか、黒い猫? が出て他の猫と一緒に消えるって噂を聞いてから不安で不安で……」
志乃から渡されたチラシを見て、女子生徒はあっと驚きの表情を見せる。
「お姉さんの猫さんだったのですか?最近、学校によく来ていてから一緒に遊んであげていました」
「そうだったの…それでどこにいるかわかる?」
「それが…お姉さんが言っていた通り黒猫さんに連れていかれて…でも、元々どこの猫かわからなかったから、どうしようかと思っていました」
女子生徒の態度から、白猫の事を本気で心配している様子がわかる。
「そう…よかったら、連れ去られた時の場所に案内してもらえるかしら?」
「ええいいですよ…手掛かりは残ってはいないと思いますけれど…」
それから志乃は女子生徒に、事件現場へと案内される。
そこは校庭の一角で駐輪場が近くにあった。
「ありがとう。あとは私だけで大丈夫よ。必ず連れて帰るわ」
志乃にそう言われると、女子生徒は心配の様子を見せるも、素直に従いその場を離れていった。
「ここでいいかな…想いよ、伝われ、浮かび上がれ」
人気が無くなった事を確認してから、志乃が手をかざすとそこから光が生まれる。
その光から残留思念が浮かび上がり、女子生徒が白猫と遊んでいる場面から、箱に入った黒い猫に連れ去られるまでの光景が浮かび上がった。
「ここで間違いないようだね…さて、どこに行ったのかな?」
残留思念から猫達の行先を分析しようとした所で、飛んできた折り紙が志乃に届いたのであった。
「あら…これは?」
届けられた折り紙には、黒い箱の目撃情報が記載されていた。
折り紙に書かれた情報と残留思念の情報を合わせると、同じ場所を示している事がわかった。
「この場所で間違いなさそうかな?私からも皆に知らせないと、その必要はないかもしれないけれど…」
志乃は仲間の猟兵達に、空き地の情報を連絡した後で、そこに向かうのであった。
大成功
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第2章 集団戦
『にゃんドラボックス』
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POW : しゅぱっ(スイッチが奥に引っ込む)
非戦闘行為に没頭している間、自身の【箱の中に引き篭もり、トグル式スイッチ】が【OFFになる。スイッチを引っ込めて】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
SPD : しゅぱっ(音速を超えるスイッチOFF)
レベル分の1秒で【スイッチを瞬時にOFFにする神速の行動】を発射できる。
WIZ : しゅぱっ(しかし箱から伸びてきた手でOFFに)
【スイッチON以外絶対に開かない箱】を披露した指定の全対象に【トグル式スイッチをONにしたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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「今日も沢山働いたにゃ!」
「幸せな奴らを懲らしめてやったにゃん」
にゃんどらボックス達は縄張りである空き地で、戦果を称え合っていた。
「ところで捕まえた猫達はどこにいったのかにゃ?」
「そっちにはいないのかにゃ?」
「誰かの箱に入れられるのを見たにゃん」
「誰にゃ?独り占めは良くないにゃあ」
捕まえた猫達の姿が消えた事に、にゃんどらボックス達がざわめき立つのであった。
「ど、どうしたらいいにゃあ…」
にゃんどらボックス達が騒いでいる中、1匹のにゃんどらボックスが箱の中で怯えていた。
「にゃあ!」
箱の中にはもう2匹、三毛猫と白猫が入っている。
にゃんどらボックスの箱の中は猫達にとって快適そのものであり、3匹が入った状態でもそれは変わらなかった。
「鳴き声をあげたら駄目にゃん!気付かれたら酷い目に遭うにゃん」
にゃんどらボックスは慌てて2匹の猫を宥める。
他のにゃんどらボックス達に虐められていた所を、勢いで助けて匿ったのだが、それからどうしていいかわからず箱の中で途方に暮れているのだ。
「やっぱり駄目な奴なのにゃん…」
自分でも何故そんな事をしたのかわからず、他のにゃんどらボックス達に馬鹿にされてきたように、出来損ないではないのかと、落ち込んでしまう。
そんなにゃんどらボックスを心配してか、白猫がすり寄ってきた。
白猫なりに、にゃんどらボックス慰めているらしい。
「とにかくじっとしているにゃん。この箱がそう簡単に開けられることは無いはずにゃん」
他にいい方法が思いつかず、にゃんどらボックスは他のにゃんどらボックス達に気付かれないよう、2匹の猫を一緒に箱の中に隠れ続けるのであった。
春霞・遙
猫って掃除機とかドライヤーとか大きな音が嫌いってよく言いますよね。蛇も嫌いなんでしたっけ?
大きな音を出すとUDC-Pの子と連れて行かれた猫たちも脅かしてしまいそうなので、銃にサイレンサーをつけます。
「先制攻撃」として遠距離から銃のスコープで開いた箱の中身を確認して、UDC-Pでなかったら狙撃。
その後ほかのUDCたちも閉じこもってしまったら諦めてスイッチを押しに行きますよ。
UDCの周囲には触手の群れを配置して外に出てこられないようにしておきます。
全員にスイッチごと奥に引きこもられてしまったらもう仕方がないので、サイレンサー外した銃を箱の真横で発砲するという意地悪をすることになっちゃいますね。
ラムル・クルトア
WIZ
アドリブ連携歓迎
この中にUDC-Pが…みんな同じに見えるから1箱ずつ確かめよう
「これを押すんだね
ポチッと中を確認…する前にしゅぱっ閉められる
『『にゃー!
勝手に閉まる箱が面白いらしくタマさんとシロがON連打
「…これじゃ確認できないね(苦笑
楽しそうな2人には悪いけど…
UCで相殺→OFFスイッチの周囲に魔法障壁を貼り押せなくする
「これでよし…と
中身が敵なら素早く蓋を閉じ魔法のロープで縛り閉じ込め放置
「嫌な事される気分…分かった?
反省の色が無ければ思いっきり箱を上下にブンブン!
「…もうしないって約束する?
UDC-P達なら笑顔で安心させ
「君が守ってくれたんだね、ありがとう
もう大丈夫
後は俺達に任せて
ケルスティン・フレデリクション
ねこさん、かくれてるの?じゃあ、さがさなきゃいけないね
ひとつひとつ、確認するよ。
にゃーにゃー、ねこさん、おへんじください
スイッチを押して開けるよ。ONにしたい気持ちになっても我慢!
UDC-Pじゃないふつうのにゃんドラボックスには開けた瞬間に【ひかりのねむり】を使っておやすみさせるね。すやすやー
UDC-Pを見つけたらこえをかけるね。
ねこさんねこさん、ちょっとおはなし、しよ?
だいじょうぶ、ほかのねこさんはおやすみしてるから!
…ほかのねこさんをまもって、いいこいいこ、なの。
ねこさんは、ヒーローだね!
怖がらせないように笑顔で、話しかけるね!
大門・有人
不採用含めて全て歓迎だ。
ひとつだけ当たりのびっくり箱か。殺すって選択肢が出るほどの悪さはしてないが、凝らしめなくちゃな。
ひとつずつ中身を確認するぜ。
イタズラ坊主には、その辺で捕まえた毛虫やらムカデやらを放りこんでやる。
蓋を上から押さえてそう簡単には出させてやらないぞ。
件のにゃんどらボックスが見つかれば確保って所だが、すぐに確保できないようなら周りのにゃんどらボックスにバレないように、拐われた猫たちを回収して群れでの立場を悪くしないようにしておかなきゃだな。
エールを送ろう。
周りと違った者は必ずいる。だけどよ、それを出来損ないとするか個性とするかは、お前次第なんだぜ。
鈴木・志乃
念動力で遠隔からぽちぽちスイッチ入れるよ
さーてさてさてどこにいるのかなっと……
あ、アレか
見つけ次第その箱だけ高速詠唱でオーラ防御を展開
他の子にいじめられたら困るからね
さ、幸福を潰す子達を止めに行こうか……
鎧砕き出来る魔改造ピコハンで箱を、何度も、ぶっ叩く
延々、何度も、ぶっ叩く
破壊するつもりでぶっ叩く。何度でも何度でもぶっ叩く
え? 何? 怖い? 知らんな。
君達もこれと同じようなことをしたのだよ……しかも分かった上でだ。
どうして自分の不幸を嫌がる権利があるんだい? ん?
必要ならUC発動
念動力で遠隔操作し、すぱすぱっと箱を切断する
……これに懲りたら二度とイジメなんかしちゃだめだよ?
猫攫いもね。
「む…誰か近づいてくるにゃ…この気配は猟兵達に違いにゃいにゃん!」
縄張りにしている空き地で誘拐した猫達を探していた、にゃんドラボックスであったが、猟兵達が近づいてくる気配を察知して慌て始める。
「ついにこの時が来たにゃ!戦闘態勢を取るにゃ!」
にゃんドラボックス達は揃って箱の中に閉じ籠るのであった。
これがにゃんドラボックスの戦闘スタイルなのである。
得られた情報を元に猟兵達が空き地に辿り着くと、そこには黒い箱がずらりと並んでいた。
「よく来たにゃ!だけど邪魔しても無駄にゃ!大人しく帰るにゃ」
箱の中からにゃんドラボックスの声が聞こえる。
籠ったままであるが、降参するつもりはないようだ。
そして誘拐された猫達の姿も見当たらない。
おそらくは箱の中に隠されているのであろう。
「この中にUDC-Pが…みんな同じに見えるね…」
ラムル・クルトア(ヤドリガミのウィザード・f10895)が、にゃんドラボックスの箱をじっくりと観察するも、どれがUDC-Pの入っている箱なのかは見分けはつかなかった。
「ねこさん、かくれてるの?じゃあ、さがさなきゃいけないね」
じっと黒い箱を眺めていた、ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)は、UDC-Pを探すべく箱に近づくのであった。
「ひとつだけ当たりのびっくり箱か。殺すって選択肢が出るほどの悪さはしてないが、凝らしめなくちゃな」
大門・有人(ヒーロー・ガンバレイにして怪人・トゲトゲドクロ男・f27748)も、また一つずつ箱の中身を確認すべく動き出す。
「猫って掃除機とかドライヤーとか大きな音が嫌いってよく言いますよね。蛇も嫌いなんでしたっけ?」
春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は、銃にサイレンサーを取り付ける。
大きな音を立てては、UDC-Pの子と連れて行かれた猫たちも驚かしてしまうと配慮しての事である。
遙は銃のスコープで唯一開いた箱の中身を確認し、UDC-Pでない事を確認すると即座に発砲した。
「にゃっ!?」
様子を伺おうと覗き込もうとしていた、1匹のにゃんドラボックスは驚いて、銃弾が命中する前に再び箱に閉じ籠ってしまった。
「やっぱりスイッチを押さないと駄目みたいだね」
遙は銃での狙撃では無理と判断し、スイッチを押しに向かうのであった。
『『にゃー!』』
ラムルの側にいた猫、タマさんとシロがにゃんどらボックスの入った箱に飛びついて、トグル式スイッチをぺしぺしと押し始めた。
にゃんどらボックスも負けじと、しゅぱっとスイッチをOFFにする。
「しゅぱっ!」
「にゃー」
「しゅぱぱっ!」
「にゃにゃー」
「しゅぱぱぱっ!」
「にゃにゃにゃー」
「しゅぱぱぱぱっ!」
「にゃにゃにゃにゃー」
すっかりスイッチを押す事に夢中になった、タマさんとシロとにゃんドラボックスによるスイッチ連打の応酬が続くのであった。
「…これじゃ確認できないね」
そんな様子を見てラムルが苦笑するのであった。
「楽しそうな2人には悪いけど…」
ラムルは黒い箱に近づくとスイッチをONにして、中にいる猫を確認する。
「UDC-Pじゃないみたいだね」
一目で違いを理解できたラムルは、素早く蓋を閉じ魔法のロープで縛り閉じ込める。
そしてラムルは箱を抱え、思いっきり上下にブンブンする。
「にゃ~何をするにゃ!」
「…もうしないって約束する?」
「いやにゃ!」
「それじゃ、こうだね!」
ラムルはにゃんドラボックスが心から反省するまで、箱をブンブンするのを止めなかった。
「にゃーにゃー、ねこさん、おへんじください」
ケルスティンも黒い箱のスイッチを押しながら声をかけて、中にいる猫がUDC-Pであるかを確認する。
「しゅぱにゃ!」
中の黒猫が即剤にスイッチをOFFにされ、閉じ籠ってしまったが、UDC-Pでない事だけはケルスティンにも判別できた。
「すやすや、おやすみなさい」
ケルスティンもう一度スイッチをONにして、ユーベルコード【ひかりのねむり】を発動させる。
「にゃ~…おやすみにゃあ…」
中にいる猫は眠気に耐える事が出来ず、箱の中ですやすやと眠りこけるのであった。
「がまん、がまん…」
それでもスイッチをまたONにしたくなる衝動にかられるが、ケルスティンは気を強く持って我慢し、次の箱の調査に向かうのであった。
「にゃあああ!」
にゃんドラボックスから悲鳴をあがった。
箱に入っている猫がUDC-Pでない事を確認した有人が、スイッチをONにするや、その辺で捕まえた毛虫やらムカデを箱の中に放り投げたのである。
更に蓋を上から押さえて出られないようにする。
そこに追い撃ちをかけるように、鈴木・志乃(ブラック・f12101)が魔改造ピコハンで箱を何度も叩く。
黒い箱は猟兵の武器に耐えられる強度を誇っているが、それでも何度も叩かれれば中にいるにゃんドラボックスに恐怖を与えるには十分であった。
「やめるにゃ~どうしてこんな事をするにゃ!」
「え? 何?知らんな!君達もこれと同じことをしたのだよ……しかも分かった上でだ。どうして自分の不幸を嫌がる権利があるんだい? ん?」
志乃は魔法のトランプを遠隔操作し、壊れかけていた黒い箱をすぱすぱっと箱を切断した。
「にゃあああああ!」
自らの城を失った、にゃんドラボックスは、必死にその場から逃走するのであった。
「……これに懲りたら二度とイジメなんかしちゃだめだよ?猫攫いもね」
あの様子では悪さをする事もないだろうと判断し、志乃は追跡する事はしなかった。
「さーてさてさてどこにいるのかなっと……」
にゃんドラボックスを懲らしめた志乃は、念動力で遠隔からぽちぽちスイッチ入れ、まだ未確認の箱を調査する。
そして、ついにUDC-Pを見つけるのであった。
「にゃ~!見つかったにゃ!」
この場にいるの誰もが、その猫がUDC-Pである事を確信した。
UDC-Pの黒猫は中にいる2匹の猫を守るように、慌ててスイッチをOFFにして再び箱に閉じ籠るのであった。
「ちゃんと護ってみせるよ」
志乃はオーラ防御を展開して、UDC-P達が籠っている黒い箱を他のにゃんどらボックスから遠ざけるようにした。
UDC-Pの黒猫が2匹の猫を匿っているのを目撃したにゃんドラボックス達は、次々と箱の中からUDC-Pを罵るのであった。
「やっぱりお前の仕業だったのかにゃ!」
「裏切り者にゃ!」
「お前とはもう絶好にゃ」
「にゃあああああ!」
オーラ防御に守られている黒い箱から悲しげな鳴き声があがった。
「やっぱこうなっちまうか…」
猫達を匿っているのがばれ、UDC-Pが群れでの立場を悪くなる事を危惧していた有人だが、こうなっては仕方ないとUDC-Pと猫達の護衛を優先する。
「でも良かったじゃない…これで不良猫達ともお別れできるわね。そして代わりに私達が彼等を懲らしめてあげるわ」
UDC-P達の安全が確保された事を確認すると、遙は遠慮なく謎を喰らう触手の群れを召喚するのであった。
触手の群れを、にゃんドラボックス達の周りに配置して、外に出られないようにする。
「にゃああ!気持ち悪いにゃ!」
外から聞こえてくる触手の這い寄る音に、にゃんドラボックス達は恐怖するのであった。
「悪い事ばかりする猫達にはお仕置きが必要ね」
銃に取り付けていたサイレンサーを外した遙は、にゃんドラボックスが入っている箱の側で発砲する。
「ふぎゃあ!」
間近で銃声を鳴らされ、にゃんドラボックスはびっくりしてそのまま失神した。
それからも、にゃんドラボックス達は猟兵達に一匹残さず懲らしめられるのであった。
縄張りを奪われ、散り散りとなった彼らが、もはや群れで悪さをする事はないだろう。
残されたUDC-Pのにゃんドラボックスは、猟兵達を警戒してか箱に閉じ籠ったままである。
「ねこさんねこさん、ちょっとおはなし、しよ?だいじょうぶ、ほかのねこさんはおやすみしてるから!」
ケルスティンはUDC-Pの猫を怖がらせないよう優しく話しかける。
「話す事はないにゃ!にゃんは、もうぼっちになったのだから、放っておいて欲しいにゃ」
どうやら他のにゃんドラボックス達と絶交され、完全にはぐれ者となってしまった事に、UDC-Pの猫は落ち込んでしまったようである。
「…ほかのねこさんをまもって、いいこいいこ、なの。ねこさんは、ヒーローだね!」
「…そんな事ないにゃ…この子たちを助けに来たのなら、連れて帰って欲しいにゃ」
笑顔で優しく励ますケルスティンに、UDC-Pの猫は少しは心を開いたらしく、匿っていた三毛猫と白猫を猟兵達に引き渡そうと箱を開ける。
「にゃー!」
「にゃ!何をするにゃ!やめるにゃ!」
三毛猫と白猫はケルスティンの意を汲んだのか、UDC-Pの猫を連れて一緒に箱の外にへと出るのであった。
小柄な黒猫が猟兵達の前に姿を現す。
「君が守ってくれたんだね、ありがとう」
ラムルが黒猫にお礼を言って三毛猫と白猫を保護しようとしたが、先にタマさんとシロが飛び出して猫同士でじゃれ合うのであった。
「周りと違った者は必ずいる。だけどよ、それを出来損ないとするか個性とするかは、お前次第なんだぜ」
有人は外に出され、不安そうにキョロキョロしている黒猫にエールを送った。
「にゃにゃ~!」
「や、やめるにゃ~くすぐったいにゃ!」
それから黒猫は猫達のじゃれ合いに巻き込まれのであった。
こうなってしまえば、可愛らしい猫そのものである。
「幸福な猫達で何よりだね」
猫達のじゃれ合いを見て、志乃はにゃんどらボックスとの戦いで張っていた気が緩んだ。
早く猫達を元の場所に帰してあげたいと、志乃は思うのであった。
「ひとまずここでのお仕事は終わりかな」
遙は他のにゃんドラボックス達に、反抗の意志が無くなった事を再確認してから拳銃を収める。
そして彼等の動向をUDCエージェントに見張らせておくよう、遙は連絡を取った。
猫達を無事に保護した猟兵達は、意気揚々と帰路につくのであった。
事件はこれで解決だが、猟兵達にはまだ一仕事が残っている。
大成功
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第3章 日常
『UDC-P対処マニュアル』
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POW : UDC-Pの危険な難点に体力や気合、ユーベルコードで耐えながら対処法のヒントを探す
SPD : 超高速演算や鋭い観察眼によって、UDC-Pへの特性を導き出す
WIZ : UDC-Pと出来得る限りのコミュニケーションを図り、情報を集積する
👑5
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「外に出てくるのです!」
「嫌にゃ外に出たく無いにゃ!」
誘拐された猫達を無事に元の場所に帰してあげた後、猟兵達はUDC-Pのにゃんドラボックスを連れ、UDC組織に保護してもらう事にした。
だがUDC-Pは再び箱に閉じこもったまま、外に出ようとはしない。
元々、箱に籠りたがる習性なのだろうが、こんな調子では研究員達も手を焼く事だろう。
同じ猫のよしみで銀猫のオヴィリアも、説得を試みているが箱の中でじゃれ合っているだけで、上手くいっていないようである。
今後、UDC組織とトラブルを起こさない為にも、にゃんドラボックスとのコミュニケーションは必要不可欠であろう。
「箱の中は猫にとって本当に快適そのものです…これは中々、厄介なのです」
オヴィリアも箱の中に閉じ籠りたくなる衝動を我慢しながら、猟兵達に助けを求める。
「このままではこの子にとっても良くないのです。少しでも信頼を得て欲しいのです」
UDC-Pの信頼を得る事は、これからの役に立つかもしれない。
猟兵達とUDC-Pとのコミュニケーションが始まろうとしていた。
「それにしてもお腹が空いたのです…」
グルメなオヴィリアはそんな事を呟くのだった。
ケルスティン・フレデリクション
ねこさん、ねこさん。そのなかは、きもちいい?
でも、すこしおはなししたいなぁ。
箱をじーっと見つめてお話するよ。
あのね、このままだとねこさんまたひどいこといわれたりしちゃうの。
ねこさん、いたいいたいは、いやだよ
だからね、ねこさんをひきとってくれるひとがいるの。
…あとね、おいしいごはんをくれるんだって!
だからねこさん、はこからでて、いっしょにきてほしいの!
精一杯お願いして【祈り】
あ、ねこさん、おやつあるんだよ!あげるね!(にぼし取り出し誘う)
あ、オヴィリアも! あげるねー。
なんとか、お願いして、外に出てもらうのように、お願いするね。
春霞・遙
私の身の回りは猫が嫌いなものばっかりなのであまり近づかない方がよいでしょうか
呼んでないのに触手が出てきていたずらでもしたら困りますし
遠くから遊んであげるような方法というと、遠隔でおもちゃを動かすとか?
鳥、魚、ネズミ、くす玉で作ったボール、乗っても壊れないような箱などを折り紙で折って、【仕掛け折り紙】で本当の小動物やお掃除ロボットのような動きをするように操ります
もし好きなおもちゃがあるようならそれを多めに作ります
ねぇ、やっぱり同族のコたちと一緒にいたかった?
にゃんドラボックスじゃないヒトとかネコと仲良くするのは嫌かな。
もしよかったら、仲良くなれそうな人とだけでいいので仲良くして欲しいな。
大門・有人
不採用含めて全て歓迎だ。
SPD対応。
オブリビオンも生物としての習性があるかも知れないな。
オリヴィアの言葉から猫に人気のある餌を買ってこよう。
箱の前に置いて持久戦だ。にゃんどらボックスの様子をしっかり観察してこの餌で効き目がありそうか、そもそも餌に効果があるのか確認だ。
進退極まったらボックスのボタンを押してにゃんどらボックスと勝負だ。子供と遊んでた時は機嫌が良さそうだったからな。
上手く出てきたら安心させてやりたいが、そうだな。
めいっぱい遊んでやるしか思いつかねーな!(猫じゃらし用意)
ラムル・クルトア
【WIZ】アドリブ交流歓迎
安心できれば自然と出てきてくれるんじゃないかな?
無理に出させようとはせずに、基本はにゃんドラボックスの自主性に任せるよ
オヴィリアの「お腹が空いた」の一言で、タマさんとシロの空腹スイッチON
『にゃー』とラムルにおやつをねだる
おやつを取り出して2匹にあげつつ視線向け
「こんなので良ければオヴィリアも食べる?」
「そういえば君はこういうの食べたりするのかな?」
ささみジャーキーをUDC-Pの箱の中にそっと入れてみる
気にいってくれたらよかったと微笑み
「みんなで食べるともっと美味しいよ」
その後も箱越しに話したり、箱の縁で指を動かしてじゃらしたり
許してくれるなら撫でたりして交流を図るよ
鈴木・志乃
……これかなり難しいぞ。居心地いいんだろうなあ、箱の中。
んー、もっと居心地良い場所を作って、そっちに来させるしかないかなァ?
【罠使い】の要領で、猫ちゃんに別の住みかでも作ってみますか。
まあその為にはボックスの中も知らないといけないんだけどね! ってことでそのお家どーなってんのか見せてほしーな……
後は目の前で魚焼いて釣る。古典的だけど。煙大丈夫なら七輪で焼いてやる。
さっきは他の子も守ってくれてありがとうね。お礼ってわけじゃないけど、良かったら食べてくれる?
……マタタビってきくんだろうか(ぼそっ)
「それにしてもお腹が空いたのです…」
銀猫の呟きにその場に居た猫達が反応した。
UDC-Pが閉じ籠っている黒い箱から、お腹が鳴ったような音が聞こえ、ラムル・クルトア(ヤドリガミのウィザード・f10895)の相棒である2匹の猫が、ラムルにおやつをねだるのであった。
箱ではなく、空腹スイッチがONとなったようである。
「にゃー、にゃー!」
「タマさんとシロもお腹が空いているんだね」
ラムルはおやつに用意していた、ささみジャーキーを取り出して、タマさんとシロに差し出した。
「にゃんにゃん♪」
2匹は喜んで尻尾を振って、おやつに飛びついた。
その様子をじっと眺めている銀猫の視線に気づいたラムルは声をかける。
「こんなので良ければオヴィリアも食べる?」
「いいのです?ありがとうなのです」
銀猫も2匹と一緒に、おやつを食べるのであった。
オヴィリアはグルメではあるが、何でも食べる銀猫なのである。
「そういえば君はこういうの食べたりするのかな?」
ラムルは箱のスイッチをONして、ささみジャーキーをそっと中に入れる。
「にゃっ!?」
箱の中から歓喜の鳴き声があがる、ラムルのおやつに反応したようだ。
むしゃむしゃと食べる音が聞こえるが、箱の外に出る様子はない。
「ねこさん、ねこさん。そのなかは、きもちいい?でも、すこしおはなししたいなぁ」
ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)が、箱をじーっと見つめながら話しかける。
「箱の中にいたいにゃ!外は怖いにゃ」
UDC-Pの黒猫はケルスティンにそう訴えかける。
群れからはぐれた黒猫にとって箱の中は、唯一安心できる城なのである。
「あのね、このままだとねこさんまたひどいこといわれたりしちゃうの。ねこさん、いたいいたいは、いやだよ」
「痛いのは嫌にゃ」
「だからね、ねこさんをひきとってくれるひとがいるの。…あとね、おいしいごはんをくれるんだって!」
「にゃ!」
「だからねこさん、はこからでて、いっしょにきてほしいの!」
ケルスティンはUDC-Pの猫に精一杯お願いするのだった。
「にゃあ…」
心が揺れ動いたのか、箱の中が少し開いたかと思うと、黒猫とケルスティンの目が合った。
「にゃあ!」
だがすぐに黒い箱の蓋は閉じてしまう。
「……これかなり難しいぞ。居心地いいんだろうなあ、箱の中」
鈴木・志乃(ブラック・f12101)は、説得に応じないUDC-Pの黒猫の様子を見て、そんな感想を漏らした。
「んー、もっと居心地良い場所を作って、そっちに来させるしかないかなァ?」
餌だけでは釣るのは難しいと判断し、志乃は新しい住処を作り始めた。
「まあその為にはボックスの中も知らないといけないんだけどね! ってことでそのお家どーなってんのか見せてほしーな……」
箱の中を確認しようと志乃は、トグル式のスイッチをONにする。
「開けたら駄目にゃ!」
UDC-Pの黒猫は慌ててスイッチをしゅぱっとOFFにする。
「やっぱり居心地、良さそうだね」
確認できたのは僅かな間であったが、箱の中が猫にとってとても住みやすそうな空間である事が、志乃は理解できた。
それから志乃は目にした光景を参考に、罠を作る時の要領で居心地の良さそうな箱庭を作り始める。
「私はあまり近づかない方がよいでしょうか…」
春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は、普段猫が嫌いそうなものばかり持ち歩いていることから、少し離れた場所から様子を伺っていた。
触手でも勝手に出てきて悪戯しようものなら、UDC-Pの黒猫は怖がらせてしまい、心を閉ざしてしまうだろう。
「遠くから遊んであげるような方法というと…」
鳥、魚、ネズミ、くす玉で作ったボール、乗っても壊れないような箱などを、遙は折り紙で折りはじめる。
「餌を買って来たぞ」
オヴィリアの言葉を聞いた、大門・有人(ヒーロー・ガンバレイにして怪人・トゲトゲドクロ男・f27748)は猫に人気のありそうな餌である猫缶を買ってきた。
「効き目があるといいのだがな…」
有人は猫缶を開いて箱の側に置く、猫缶から放たれる芳醇な香りが、箱の中にいる黒猫にも届いた。
「うにゃ?」
猫缶に反応した黒猫であったが、未だに箱が空く気配は無い。
元より持久戦を覚悟していた有人は、じっくりと待つ事にした。
だが猫缶に反応したのは、UDC-Pの黒猫だけではなかった。
「にゃにゃ~ん!」
おやつを食べ終えた、タマさんとシロが猫缶から放たれる匂いに釣られて飛び出そうとするが、ラムルに止められる。
「駄目だよ。これはUDC-Pの猫君のものだからね…」
「にゃ~!」
それならとタマさんとシロは、猫缶を一旦は諦め、代わりに箱のスイッチをONにする。
「しゅぱ!」
「にゃ~!」
「しゅぱぱ!」
「にゃにゃ~!?」
またしてもスイッチの押し合いの勝負が続くかと思われたが、黒猫のスイッチをOFFにする動きがピタリと止まった。
「古典的ではあるけれどね…」
仮住まいを作り終えた志乃が煙に気を使いながら、七輪で魚を焼き始めたのである。
焼き魚の香ばしい匂いが、その場にいた全員の食欲を刺激する。
「もう…我慢できないにゃ!」
黒猫は猫缶と焼き魚の誘惑に抗うことが出来ず、ついに自分から箱の外へと出るのであった。
「にゃ~♪美味しいにゃあ!」
黒猫は猫缶に飛びつき、その濃厚な味を堪能するのであった。
「どうやら効果あったようだな」
黒猫の反応に有人は機嫌を良くして、他の猫にも猫缶を開けるのであった。
「にゃ~ん♪」
タマさんとシロも黒猫と一緒に猫缶の中身を堪能する。
「あ、ねこさん、これもあげるね!」
ケルスティンはにぼしを取り出して、3匹の猫に差し出すのであった。
「あ、オヴィリアも! あげるねー」
「ありがとうなのです」
オヴィリアも一緒になって、にぼしにかじりつくのであった。
「さっきは他の子も守ってくれてありがとうね。お礼ってわけじゃないけど、良かったら食べてくれる?」
「にゃあ!」
食欲に取り付かれた猫達は、志乃に差し出された焼き魚にもかぶりついた。
「皆さんも一緒にお食事するのです」
自分達だけじゃ、悪いと思ったのかオヴィリアは猟兵達に食事に誘うのであった。
「そうだね、みんなで食べるともっと美味しいよ」
ラムルもそれに同意して、猟兵と猫達はしばらくの間、お食事タイムに入るのであった。
「ねぇ、やっぱり同族のコたちと一緒にいたかった?」
食事を終え、志乃が作り上げた箱庭で居心地良さそうに、仕掛け折り紙のおもちゃで猫達が遊んでいる所を、遙がUDC-Pの黒猫に話しかけた。
「普段は引き籠りたいけれど…それでも一匹はいやにゃあ…」
一緒に食事をした事で気を許したのか、黒猫は箱の中に戻りたそうにしながらも、遙の問いかけにそう答える。
「にゃんドラボックスじゃないヒトとかネコと仲良くするのは嫌かな?もしよかったら、仲良くなれそうな人とだけでいいので仲良くして欲しいな」
「そうだぜ。俺達とも仲良くできないか?」
遙の言葉に有人も続いて、黒猫を安心させようと猫じゃらしをちらつかせる。
「…仲良くしくれるのかにゃん!君たちはいい人たちみたいにゃ」
黒猫は有人が差し出した猫じゃらしに釣られて、嬉しそうに飛びついた。
どうやら猟兵達に、黒猫は心を開きつつあるようである。
「……マタタビってきくんだろうか」
その様子を見ていた志乃が、ぼそっと漏らした。
だが生憎、志乃はマタタビを持っていなかったので試す事は出来なかった。
「撫でてもいいかな?」
ラムルの言葉に黒猫は頷いた。
「いい毛並みをしているね」
「にゃあ~ん♪」
ラムルに優しく撫でられ、黒猫は気持ち良さそうに尻尾をぶんぶんと振る。
「ねこさん、なかよしになれたかな?」
「にゃ!」
ケルスティンの元にタマさんとシロが近寄ってくる。
どうやら主人であるラムルの代わりに、撫でて欲しいようである。
「きょうはねこさんたちも、がんばったね」
「にゃん♪」
2匹の猫達はケルスティンに撫でられ、無邪気に喜ぶのであった。
「猫に好かれる人達はいいよね…」
「…別に撫でてもいいのです」
離れて様子を見ていた遙に、オヴィリアがじっと見上げながら声をかける。
それからもUDC-Pの黒猫との猟兵達の交流は続き、最期はUDC組織に引き取られる事を、黒猫は快諾するのであった。
大成功
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