帝竜戦役㉒~コキュートス・エンカウンター
猟兵達が集合場所に着くと、そこは視界一面に真っ白な雪が降り続けていた。
その中心で、ちりん、ちりん、しゃんしゃんしゃんと、澄んだ氷の音を鳴らしながら舞う、雪女の様な姿の妖精。
以前彼女の誘いに乗って依頼を受けた者がいれば、違う光景が見れただろう。
増えてる。と。
舞う妖精はグリモア猟兵のポーラリア・ベル(冬告精・f06947)、そして冬告精のユーベルコードに誘われてやってきた多数の冬妖精達。冬の舞が巻き起こっていた。
妖精達は猟兵を見ると、吹雪の世界に誘うように両手を広げ、転送の光を……。
放とうとした所で止められた。
「ふぇあ?」
「ポーラ、ダメだよ。」
「ちゃんと説明しないと。」
「わ、ごめんね。絶対零度の素敵な大地で、またオブリビオンの予知をしたから、皆で一緒に冬祝いの舞をしていたの。こんにちは。あたしポーラ。皆を冬の地に誘うの。」
そう言ってポーラリア、もといポーラはグリモアの映像を見せる。
そこはあらゆるものが氷の中に閉ざされて、常に凍てつく吹雪が吹き付ける極寒の世界。
通称【絶対零度地帯】である。
「氷の妖精だってカチンコチンになっちゃうここにね、不凍熊っていう熊さんの毛皮を纏ったオブリビオンがいるの。よかったら、倒してきて欲しいなって。」
不凍熊。絶対零度の中にあっても凍る事のないすごい熊さんであるが、狩られ過ぎて絶滅している。今はオブリビオンの着ている毛皮だけが残っている感じだ。
「相手は不凍熊さんの力で凍らずに済んでるけど、こっちはそれがないから…代わりの力で対抗するの!」
今回絶対零度の地で、冷気に克服する術、それは……。
「「「わたしたちだよ。」」」
一斉の声が決まってハイタッチしたりしテンションをあげる妖精達。
何が何だか分からない猟兵に、ポーラリアが映像を出し、説明する。
「えっとね、絶対零度地帯の、このへんにー…いたわ!」
氷の中に眠るは、肌が雪、衣服や翅が透き通る氷で出来た、小さな冬の妖精。
先の説明で『氷の妖精だってカチンコチン』と言っていたが、まさか。
「この氷に閉じ込められてる、私達みたいな妖精さん。気持ちよすぎて眠ってたら冷凍保存されちゃったみたいで…起こしてあげれば、皆の力になると思うの!」
氷を削り、目覚めさせ、説明すれば、傍にいる間は氷雪の加護を得られ、絶対零度にも耐えられる耐性を得られるはず、と妖精達は言う。
しかし気をつけなければならない。まずその妖精が護れるのは一人につき猟兵一人。
それも妖精の近くに居なければ加護を得られない。オブリビオンの攻撃から守らなければいけないのだ。
そして、その加護で得られるのはあくまで絶対零度に耐えられる力。
氷の力を得た所でぽかぽかにはならないし、敵の攻撃となれば話は別だ。
実際に冷気の耐性を持っているか防寒対策をしていなければ、妖精の冷気は間違いなく猟兵に届き、あとで風邪をひくだろう。
「それじゃあ。一通りの事は説明したから転送するね。」
「私達はポーラに呼ばれただけで、転送とか入れないし」
「ここで雪だるま作って待ってるからー」
「頑張ってね」
「お土産は毛皮じゃなくてもいいの」
思い思いの妖精の言葉を受けながら、猟兵達は絶対零度の地に転送されていく。
古塔
第二回、絶対零度の地。
担当は古塔と申します。宜しくお願いします。
●どういう話?
A&Wの戦争『帝竜戦役』における『㉒絶対零度地帯』の戦争シナリオです。
このシナリオは集団戦1章のみで完結します。
自然界には存在不可能なレベルの超低温の大地『絶対零度地帯』。
敵は既に絶滅した『不凍熊』の毛皮を羽織る事で、この絶対零度に耐性をつけています。
あなたはオブリビオンを普通に倒してもいいし、毛皮をはぎ取ってもいい。
●プレイングボーナスと対策
転送地の近くに、氷の中に閉じ込められた冬妖精が転がっています。
バカンスに来たような心地よい様子です。
この氷を砕いたり溶かしたりすると現れる冬妖精から氷雪の加護を得られれば、絶対零度の冷気に耐性を得られます。
【冬妖精の力を借りて凍結を克服】すると今回プレイングボーナスがもらえます。
でも、高い氷結耐性や自前の対策で凍るのを防いだって構いません。
敵も敵なので簡単には凍らないでしょう。泥試合の予感。
・冬妖精の性格や容姿は様々。プレイングで指定しても構いません。
・冬妖精は『エレメンタル・ファンタジア』の氷属性限定バージョンを使えますが、敵には大して効きません。
・氷から解凍するまでの過程は省いても構いません。
・猟兵は冬妖精の近く(大体半径2メートルくらい)に居ないと加護を貰えません。どう付き合ってくかが大事。
・保護も対策もしていなければあっという間に氷漬けになるかも。
(氷漬けになった場合はグリモアベースに転送しますのでご安心ください。)
●敵
『ブリザード』
別名氷トカゲ。氷の吐息を吐くリザードマンの一種。
気に入ったものは氷漬けにしてコレクションする習性がある。
敵を倒す事に至上の悦楽を感じる。
場所と体質的に、毛皮をはぎ取ってもある程度は凍らず動いてきます。
猟兵の氷対策は向こうも勘づいてます。氷による物理や妖精を狙うなど、勝つ手段を探ってくるかも。
●お宝
オブリビオンの纏っている「不凍熊の毛皮」そのものが今回のお宝です。
あらゆる寒さに耐性を持つ優れた毛皮ですが、絶対零度地帯以外の外気ではたちまち溶けてしまいます。
どれだけ厳重に保護を施し持ち帰っても、売る場合は切れ端程度しか残らないでしょう。
一枚金貨116枚(116万円)。
それでは、絶対零度の寒さ多めな戦い、もし宜しければ。
第1章 集団戦
『ブリザード』
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POW : ブリザードクロー
【周囲の気温】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【ダイヤモンドダストを放つ超硬質の氷爪】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : ブリザードブレス
【レベル×5本の氷柱を伴う吹雪のブレス】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を氷漬けにして】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : 人質策
【氷漬けにした被害者】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
👑7
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●
絶対零度の世界。
何もかもが青白き極氷の中に閉ざされ、居るだけでたちまち凍り付いてしまう、ユーベルコードにも匹敵する極寒の吹雪が吹き荒れる世界。
その中で動く影がいた。熊の毛皮を纏い、氷を運び、その氷を眺め、決められた位置に立ち並べ、保管する。
まるで自身の住処を、飾り置く宝物庫をそこにしたかのように。
「………………」
氷のような髪、瞳、鱗、尻尾、爪を持つ、少女のようなリザードウーマン。
彼女らの名はブリザード。
己がかつて打ち勝ち、倒し、蹂躙し、その証として氷漬けにした者達。
それらを二度と溶ける筈の無い絶対零度の地に、定期的に現れては運び、保管していた。
「………………」
ブリザードは今回の戦勝品、即ち襲い、氷漬けにした者達を見上げ、低く、吹雪のような唸り声をあげる。
口からは彼女らが氷の申し子であると言うべき様な、小さな吹雪の風が呼吸と共に吹き荒れる。
「タリナイ……」
凍てつく大地、絶望に凍り付き、永遠に冷たき棺に閉じ込められた冒険者達。
人間、ドワーフ、エルフ、フェアリー……。
これほどのものを飾り、保管し、己の強さを誇示しても。
まだ足りない。まだ欲を満たすに至らない。
「……タリナイ!」
ブリザードの一人が、氷の一つに爪で斬りつける。
暴力の痛々しい跡が冒険者を閉じ込めた氷に残る。
「タリナイ!」「タリナイ!」「タリナイ!」「オオォォォォォォ
………!!!」
暴風雪の如き咆哮が、獣の如く一斉に放たれる。
それは絶対零度地帯の吹雪に乗り、更に勢いを強め、周囲の地形に強固で巨大な氷柱を突き上げる。
彼女達を満足させられる存在はどこにいるのか。
ブリザードをかき消す程の力ある者はどこで会えるのか。
彼女達は氷に閉ざした者達の傍に回り、爬虫類の如き鋭き目で、厳寒なる世界の果てを睨みつけた。
間もなく猟兵達が来る。
フェドーシヤ・ロゼストベンスカヤ
えーと。
まず妖精叩き起こさないといけないのね?
流石に爆発で叩き起こすのは機嫌悪くしそうだから「アヴローラ・ヴォルフ」で一気に氷割って起きてもらうのだわ。
「くるみ」を足で踏んで、爆風で、加速!突き割るのだわ!
……さて。
ここからはこの子のご機嫌取りしながらの戦い、なのだわ。
…………冷たいのが好きなら「もっと冷たい」を報酬にしようかしら。
それに、敵の彼女達も。「もっと冷たい」には耐えられるのかしら?
『世界が白く冷える時』
『其処には生物は存在しないのだわ』
●冬精遭遇~フェドーシヤ~
「いたのだわ。あれが妖精なのだわ?」
絶対零度の地に染まるような、雪の様に真白き、冬の装いをした兵隊の姿の少女。彼女はフェドーシヤ・ロゼストベンスカヤ(f19067)。
「えーと。まず妖精叩き起こさないといけないのね?」
彼女は何処か宜しくなさそうな顔をしつつも、訪れた氷の中、気持ちよさそうに眠る冬妖精を見つける。
マフラーにロシア帽。厚手のコートや手袋ブーツ。
小さくなったフェドーシヤがマフラーをより厚く口元に覆った様な、ロシアンな姿の冬妖精だった。
「流石に爆発で叩き起こすのは機嫌悪くしそうなのだわ。ここは一気に氷を割って起きてもらうのだわ。」
フェドーシヤは手に持った『くるみ』をぽいと後ろに投げると後退。手には何も持たないというのに、槍を構えるポーズを取る。
「Авролла волкф, белая атака!」
『くるみ』を力いっぱい踏むと、強烈な爆発が巻き起こる。
その衝撃で超加速を行うと、一気に見えない槍を、厚き氷にぶち込んだ!
爆発、破砕。
冬妖精は氷が砕けた衝撃で明後日の方向へと2回、3回、回転しながら吹き飛んでいく。
「おっと、やり過ぎたかしら?」
「……ん……」
飛んだ先でくしくしと目をこすり、それが当たり前だったかの様にまどろんで声を上げる冬妖精がいた。
「はいちょっと。起きるのだわ」
フェドーシヤは妖精を抱き上げてゆさゆさと揺らす。
「……春……?」
「暦の上ではそろそろ梅雨かしら?でもここはまだ冬だわ。あなた冬妖精でしょ」
「……冬……」
妖精はまどろんで目を閉じようとしている。
「寝るんじゃないのだわ!」
ぺちぺちと冬妖精を叩くと、冬妖精は少しずつ凍りつつあるフェドーシヤの帽子を見やる。
「……寒さ対策、できて、ないの……?」
「ああ、ううん。一応できてはいるのだわ?でもここの冷気は種類が違うのかしら。私の力でも凍ったり寒くなったりするのだわ。全く厄介なのだわ。」
「……力……冷気……?」
「ああもう、手っ取り早く協力するのだわ。あなた、ここが気持ちよくて寝てたのだわ?」
こくりと、妖精はうなずく。
口元からの冷気がマフラーに付き、雪結晶を生んではマフラーが吸収して消えていく。
「だったら私もいい冷気があるのだわ。ちょっと、ほら。触ってみるのだわ」
一方の手に冬妖精を乗せると、その手に座った冬妖精がフェドーシヤのもう片方の手から放たれる冷気の光を見やる。
極白の絶対零度の世界にあって、更になお冷たく輝くその光。
「…………綺麗
…………」
冬妖精の視線はそれに釘付けになった。
「えーと。絶対零度で気持ちいいのなら、これだともっとよくなるはずなのだわ」
「……綺麗。」
「そうね綺麗ね。あとでこれを浴びせてあげるのだわ。」
「…冷たい、しゃあー」
「シャワーなのだわ?」
「しゃわー」
「シャワーなのだわ。だからその代わりに、ちょっと協力して欲しいのだわ。」
冬妖精はこくりとうなずいた。
●氷を超えし極光
フェドーシヤが訪れるは、真白の絶対零度の地。
氷の中に閉ざされしはかつての冒険者か。彼ら彼女らの氷に覆われ凍てつく瞳が助けを求めるような感情を生み続けている。
その氷の陰から、白き蜥蜴のような少女が、ひとり、ふたり。
まさか現れまいとしていた、絶対零度の地に現れた獲物を、吟味するかの様ににらみつける。
「狩りの時間なのだわ。大人しく全員倒れ伏すがいいのだわ。」
冷たき言葉を言い放つと、ちりちりと身体から雪や氷の結晶が浮き上がる。
真白の世界に佇む、兵隊のような雪の女神。
その肩には冷たく純粋な瞳で座り乗る、ロシアンな冬妖精。
「(来るのだわ!)」
冷たく凍え上がる殺気を放ったと当時、氷の陰から覗く白き少女…ブリザード達が、一斉に襲い掛かった!
氷の爪を!氷柱の如き尾を、口からは氷河の如き牙が、振るわれる!
「しっかりつかまってるといいのだわ!」
冬妖精がうなずく間もなくフェドーシヤは武器を構える。構えたポーズを取る。
極限まで高めた純度の氷は光すらも透過し、見る事の出来ない物となるというが―。
彼女の構えているはずの武器もまた、冬妖精にも、ブリザードにも見えていない。彼女だけが知りうる力。
ブリザードの吹雪を纏った爪が!
フェドーシヤの見えない小盾に阻まれ、流される!
ブリザードの吹雪を纏った尻尾が!
フェドーシヤの見えない槍に貫かれ、痛みで回転しながら飛び退く!
ブリザードの吹雪を纏った爪が!
フェドーシヤが回転して放つ見えない槍の一撃にいなされる!
ブリザードの極限の冷気を纏った牙が!
フェドーシヤに突き刺さったかの様に見える!しかし見えない鎧に阻まれて…!
「その牙、その爪、冷たさが自慢なのだわ?」
牙を突き立てながら、氷で強化されていく爪をこれ見よがしに見せるブリザード。
一秒の隙を以て切り裂こうとしている様子だ。
「あなた、元から冷たいの平気みたいに見えるけど、毛皮を着なきゃここでは耐えられないのね?」
だがフェドーシヤもその手に冷たき光を灯す。
それは絶対零度より冷えつき、凍てつく。極限を超えし終焉の凍光。
「あなた」
「いまより『もっと冷たい』のには耐えられるのかしら?」
フェドーシヤは光を放った。
それは牙を突き立てたブリザードよりも速く。
「………ァ………ヵ………」
それを浴びた少女は、ブリザードは。
-730℃の光を以て、不凍熊の毛皮ごと、瞬く間に氷の彫像と化した。
「やれやれなのだわ。」
フェドーシヤは牙を見えない鎧から引きはがし、倒す。
かしゃり。静かに凍土の地に倒れたブリザードの氷を見やる者は誰一人いない。
ブリザード達は身を隠す。周りにはいつの間にか無数の氷塊が立ち並ぶ。
氷塊の中にはかすかに人影が見える。のけぞるように氷漬けとなった、驚き顔のドワーフやエルフ少女…。
「ああ、逃げても隠れても駄目なのだわ?」
その氷の隙間から、縫う様に出ては、隠れ、隙を伺うブリザードの群れ。
数体が同時に氷の陰から、そしてもう数体が氷塊を動かし、氷ごと押しつぶさんと、迫る。
『世界が白く冷える時』
フェドーシヤは、ただ静かに言葉を紡ぎ、冷気の光を地面に、放つ。
氷塊は地面に張り付いて止まり、隠れる者、襲う者、彼女にしがみつく冬妖精さえも、その光に飲まれると―。
『此処には何もいない』
絶対零度を超える究極の凍てつく光が、肌身全てを白く凍り付かせ。
氷像を更に氷で白く染め上げ、飛び上がる白蜥蜴の少女は立ち上がる氷の柱に飲まれ、動きを止める。
果敢に爪を伸ばす者さえも、無数の氷柱が生えるばかりの白き樹氷となって静止し。
隠れ潜む者達さえも、貫通する氷の光を浴びて例外なく、潜んだままに、絶対零度の倍に迫る冷気の中で氷となって立ち尽くす。
『立つ者はただ、私だけ。此処には、其処には』
冬妖精すらも驚きの中寒さに耐え、加護すらも凍てついて、身をすくめようとしたままに。
『生物は存在しないのだわ』
●ただ、世界は白く、白く。
フェドーシヤ・ロゼストベンスカヤが、絶対零度の地に立つ。
その一角は訪れる者を、不凍熊さえも生きる事を許さぬ世界に変えて。
「へぷちっ!…はっ、しまったのだわ!妖精がいないとまた凍ってしまうのだわ!変な世界…。」
慌てて拾い上げる、もう動く事のなさそうな冬の妖精。
それは驚きと嬉しさに混じった様子で。フェドーシヤが、冬を超えた絶対零度を生み出した事に対する喜びのようで。
「氷像だと叩き割れば粉々になりそうだわね?えい」
ひょいと『くるみ』を妖精の口の中へ。
「……!!!??!」
直後、爆発。
絶対零度を超えた冷気で、身も心も極限まで凍っていた筈の冬妖精は、体の氷をはがして見事に復活していた。
「いい夢見れたのだわ?おかしなことに、あなたがいないとここでは私もいずれ凍ってしまうのだわ。傍にいるのだわ」
こくり、うなずく冬妖精。
無口であるが、その眼はその冷気をもう一度見たいと輝かす子供のそれで。
「……ま、これくらいいくらでも出せるから、適当に付き合うのだわ。」
妖精は再びフェドーシヤの肩に乗る。
普段より大きな雪の結晶が、小さな氷片の舞う絶対零度の冷気の加護が、フェドーシヤを覆う。
先程までの冷気を放っていた体は既に再び凍り掛かっていたけれど、かしゃり、かしゃり、氷が落ちて。
冬の妖精、その女神のような少女。
二人は絶対零度の地を歩み進めた。
成功
🔵🔵🔴
ケルスティン・フレデリクション
ルル(鳥型の氷属性の精霊)はつめたくて、きもちいいけど…でも、つめたすぎるのもこまっちゃう…
ふわふわマフラーとふわふわ帽子、暖かいコートを着て出発だよ!【氷結耐性】も忘れずに!
ようせいさん、ようせいさん。
あのね、おてつだいしてほしいの。こわいブリザードさんをたおす、おてつだいなのー
おねがい!と【祈り】
【第六感】で敵を見つけたら【ひかりのねむり】
ですやすやしてもらうね!
その間に【属性攻撃】【範囲攻撃】【全力魔法】で炎の魔法を使うよ。
…もやしちゃうのは、かわいそうだけど…でも、しかたないよね…
せいれいさん、おてつだいありがと!
●冬に咲く花の少女と
オレンジの瞳に紫の髪。
菫色のような紫のファンシー衣服を着こなす彼女はケルスティン・フレデリクション(f23272)。まるで人形のようだ。
頭にふわっと乗っかるは氷精霊のルル。ふくふくふかふかな丸っこい鳥で。
今日の彼女はふわふわマフラーにふわふわ帽子。暖かいコートを羽織っている。
「ルルはつめたくて、きもちいいけど…でも、つめたすぎるのもこまっちゃう…」
吹雪で凍える。はあっと吐いた息は、白でなく雪の結晶が舞う様になっていて。
心配そうに首を傾げるルルを、そっとよしよしと撫でる。
「だいじょうぶ。ルルはルルだよ。」
するとルルはふありと飛んで、ケルスティンの頭に咲く花を啄み始めた。
「あはは、くすぐったいよ。…だいじょうぶ。げんきもでたし、これからようせいさんにあいにいかなくちゃ」
ふわふわ帽子の傍で、もふりと満足そうに乗ったルルを感じると、そのままさくさくと凍土に足跡をつけながら、ケルスティンは進む。
髪に咲く花はいつもより霜がかかってて、さくさくしていたけれど。
見つけた氷。その中にはもふもふ、もこもこの冬の装いに、可愛らしい雪結晶の髪飾りをつけた、雪と氷の冬妖精。
日向ぼっこをしているように、氷の中に閉じ込められている姿は、何処か宇宙でふわふわと浮いているように神秘的で。
「ようせいさん、みいつけたっ。おひるねちゅうにごめんなさい。ちょっとおきてほしいの」
ケルスティンが氷の前で、祈る。
奇跡をもたらすというオラトリオは、祈るだけで聖なる光と奇跡が巻き起こる。
冬妖精の為に祈り、願った力が氷を包み込み、光の中からふわふわと、氷から解き放たれた冬妖精。
それをケルスティンは両手で優しく受け止めると、そっと頬を撫で、冬の妖精を起こす。
「ようせいさん、ようせいさん。」
「…ほぇ…?」
「あのね、おてつだいしてほしいの。こわいブリザードさんをたおす、おてつだいなのー」
「…おて…つだい…」
まだ微睡んでいるようで。
「ここはつめたすぎて、わたしはこごえてしまいそうなの。いっしょにいると、ちからがわいてくるの!」
「…おー。」
ぱちくりと目を開く、その冬妖精の少女は、ぴょこりと手の上で立ち上がり、ケルスティンの頬っぺたにおでこをちょっとくっつける。
「きゃっ?」
「つめたい、さむいの、ないない。…わたし、おてつだい、するー…」
「おてつだい、してくれるの?」
「あとで、あそんでくれる?」
「んーっ…あそぶ!」
ぎゅっと、小さな手が小さな妖精を抱きしめて。
「ひゃ―」
ケルスティンの髪に、花と共に雪の花が咲き誇り。
絶対零度の冷気が、心地よい風に感じれる様になった。
「なにしてあそぶ?」
「ゆきだるま?」
「すてっぷあそび、とか。」
「すてっぷ?」
「こおりのかいだんをつくってね、ぴょんぴょんとんでね、なんだんとべるかちょうせんするの」
「たのしそう」
「つくるの!」
「こわいブリザードさんをたおしてから、ね?」
「んー。」
すると冬妖精の頭に、ふわりと小さな鳥が乗る。
「わ、もふもふ」
「ふわふわ。ふくふく。こおりのせいれいさんの、ルルっていうの。」
「るる。」
「ピィ」
「るーるるるー」
冬妖精は頭に手を伸ばし、捕まえようとする。
「ピィ」
飛び、また頭に乗り。冬妖精を翻弄しながら、一人と1羽は遊ぶ。
「るー…つよい、とりさん」
「ピ」
なんだかルルは自慢げだ。この地で頼る冬妖精に優位を取れたからかもしれない。
その時である。
「……あ」
ケルスティンは吹雪の向こうから、白蜥蜴の群れが襲い掛かる予感を察知した。
「ブリザードさん、こわいの。おねがい、ちからをかして」
「あのこはやさしいおんなのこの…」
「やさしいの?」
「いつもこおりをもってきてくれるの」
「にんげんがはいってるの、こわいの」
ふわりとケルスティンから、不思議な花弁と光が放たれる。
心持ちあまり使いたくなさそうに。けれど覚悟を決めて、きらめく銃と、いのりを込めた短剣を、手に取る。
ケルスティンの花弁は吹雪に乗るけれど、しかし吹雪は気まぐれで、狙ってブリザードにかかりづらい。
「ゥゥゥ……シャアッ!」
やがて迫りくるブリザードが、飢えた目をして氷の爪をケルスティンに放つ!
「ごめんね、ぶりざーどさんっ」
冬妖精がぱんっと手を打ち鳴らすと、突風のような氷の衝撃波がブリザードを怯ませる。
そのまま両手を掲げ、冷気を溜めると、吹雪の風が意のままに動き、ケルスティンの花弁がちゃんとブリザードの方へと飛んでいく。
「かわいそうだけど…でも、しかたないよね…」
他方から襲い来るブリザードの氷爪!
それをなんとか短剣で受け止めると、鈍い音と共に押されていく。もう片方の氷爪が襲い来る前に…。
「ごめんね」
ぱぁんと、懐に押し当てた短銃がブリザードを撃ち貫き、倒す。
光の籠ったその銃は見かけ通りの銃弾でなく、光があり、強い。
冬妖精の加護と補助、そしてケルスティンが絶対零度に花を咲かせながら、舞い、戦う。
「ごめんなさい。こわくて、こわいの。でも、たおさなくちゃ」
決意を胸に、また1体のブリザードに短剣を突き上げ。
また1体のブリザードを光の銃弾で撃ち抜き。
そうして勢いがついて。
「みんなたおさないと、りょうへいさん、こまっちゃう」
そうして前に出た時に、ブリザードはさっと、氷を盾にして攻撃を受け止めようとした。
「!だ、だめっ!」
「きゃ…っ!?」
ケルスティンの髪が引っ張られる!ルルが啄んで怒るが、何故そうしたか氷の中を見て理解した。
安らかに眠っている、他の冬妖精。
ブリザード達も発掘し、コレクションに入れていたのだ。
「…おともだち、こうげきしちゃ、だめ…!」
「あっ…!」
ケルスティンは驚き、後退。その隙を狙ってブリザードが足元に吹雪のブレスを放つ!
「きゃ…あ、あし…うごけ、な…」
冬妖精の加護もぶれてしまい、足元が氷に閉じ込められ、動けなくなる。
「わ…!ご、ごめん、なさい。いまたすける。たすけるの…!」
動転し、慌てた冬妖精は、冷気をなじませ、絶対零度の氷を崩し落とそうとする。
その隙をブリザードが狙わないわけが無かった。
「オオォッ!」
「や…めて、っ!」
切り裂く氷爪のラッシュ。ケルスティンはひたすらに短剣を、奮う。振るう。
光を纏うその剣で、フラッシュを生じながらのいなしは長く足止めたけど。
「あっっ!」
「おねえちゃん!」
両の手で放つ氷爪に、遂にバリバリと胸のコートが破られ、斬られてしまう!
「い、や…だめ…」
ケルスティンは祈る。どうか届いてと。どうか収まってと。
ひるんだ隙を見たブリザードは息を吸い込み、至近距離で冬妖精をも吹き飛ばす、凍てつく吹雪のブレスを見舞おうとする……。
…………。
ばたり、ばたり。
息を吸い込んだブリザードがまず倒れ。周囲にいたブリザード達が次いで次々と倒れていく。
「いのりが、とどいた、の。」
「おねえちゃん、ごめんなさい。いまくずれる、の。」
「ありがとう。ようせいさん」
ケルスティンの周りに舞う花弁は、ユーベルコードの乗った勿忘草。
その効果は吸い込んだ相手を眠らせる。ひかりのねむりの花弁の舞。
「こーと、やぶれちゃった」
「わたし、なおしてみるね」
「ようせいさん、できるの?」
冬妖精が言うや否や、ケルスティンの引き裂かれたコートの代わりに、絶対零度の雪風を集める。
しゃくしゃく、ふわり。不思議な質感の、雪で出来た真っ白なコートが出来上がった。
そのコートの胸にルルが、ケルスティンの花を差し込む。そこはかとなくお洒落に色が付く。
「わあ、すごい!」
「わたしがさむさをなくしてあげる。これをきて、いっしょにあそぼ。」
「…うん!でもちょっとまってね。」
ケルスティンは忘れずに。念入りに、眠りについたブリザードの上に炎の精霊を呼び出す。
「……おねがいね。せいれいさん」
1対1体、念入りに、炎の精霊が立ち上げる炎の柱が、ブリザードを焼き尽くしていく。
その身に纏ったふわふわな不凍熊の毛皮は、常温で溶ける程度の耐熱性。
たちまち毛皮ごと、ブリザードを溶かし、焼き、消滅させていった。
「せいれいさん、おてつだいありがと」
手を振って消滅する炎の精霊を見送ったケルスティンは。
「さあ、いっしょにあそびましょう!」
「わぁい、いますぐこおりをつくるの!」
冬妖精と、絶対零度の世界で戯れ始めるのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
セゲル・スヴェアボルグ
凍らない状況になるだけで十分だ。
俺自身の氷結耐性との兼ね合いを考えれば、大した問題にはならんしな。
妖精はまぁ俺の体毛の中にでも隠しておこう。
相手に視認されない方が狙われる確率も下がるだろうしな。
さくっと炎のブレスで溶かしちまうというのもありだが、氷の妖精が近くにいるなら流石にまずいか。
なら、今回は物理的に叩くとしよう。
相手の爪が超硬質だろうがなんだろうが、地形ごとぶっ壊す一撃なら何とかなるだろう。
それに、壊れなければ何度でも叩きつければいいだけの話だ。
一応、妖精がふきとばないように注意はしておかんとな。
●剛健なる竜の探訪
「加護を得た所で暖かくはならんと妖精は言ったな。」
大柄の青き竜人、セゲル・スヴェアボルグ(f00533)。彼は今氷の大地で斧を振るい、冬妖精の眠る氷を破壊する。
貫通しないよう微妙な力加減で破砕する技量は猟兵ならではであった。
「凍らない状況になるだけで十分だ。俺は大した問題にならん。」
砕けた氷の中から現れるは、宝石のような氷の装飾を全身に飾った、薄い氷の洋服を着る、冬妖精。
「起きろ。」
目をくしくしとこすり、微睡むように見上げると、冬妖精の目の前には大柄の竜神。
「…おっきい」
「おう」
「…けーき…」
「おぉ!?待て!髭を噛むな!」
噛んだ所から霜が降り、固まっていく。
「お前」
「ふぇ」
ひょいと冬妖精をつまみ、持ち上げて目線を合わせる。
「俺がケーキに見えるか」
「…青く凍らせた、ふわふわ…パンケーキ?」
「お前さんの食べるパンケーキはいつも動いておるのか?」
「…?……あっ、食べられちゃう…?」
「おい途端に立場を入れ替えるな。」
「―というわけだ、力を貸してくれんか。」
セゲルはここまでのいきさつを軽く説明した。
「わたしの、力、借りなくちゃ、だめ…?」
「其処はあのグリモア妖精にでも文句垂れてもらおうか。ぶっちゃけ凍らなければお前さん抜きでも攻略できるのだがな…。」
セゲルは妖精を放した。
するとたちまち絶対零度の冷気が彼の衣服に霜を降ろし、角の先が徐々に氷で覆われていく。
「…あいす、どらごん…」
「おう。かっこいいだろう」
「全身氷で、飾っていい?」
「今回は無しだ。」
「けち」
「…少しだけだぞ」
冬妖精は手に氷の結晶を生み出す程の冷気を作ると、セゲルの角をはじめとして様々な所に氷の装飾を飾る。
たちまちセゲルは此処より更に異世界に現れそうな、煌びやかな氷の重戦士となった。
「絶対零度から作った、わたしの氷… 着けてると、凍らないよ。やったね」
「と言うとなんだ、これが『加護』って奴か?」
「…………」
「おいなんでそこで目を逸らす。まあいい」
そう言うとセゲルは妖精をひっつかみ、髭の中に入れる。
「きゃ。…ごわごわ…」
「んん!?…手入れはしておるつもりだが…。」
「そんな…趣味…なの…」
「何が言いたい何が」
体の氷が、じゃらじゃらして重い。しかしセゲルには大した枷にはならない。何より不思議な力で、これ以上凍る事は無くなった。
「どっちにしろお前さん、このままふらふら行かせればまた眠るだろ。俺についてこい。」
「どこまで?」
「そうさな…とりあえず、目的の蜥蜴共を倒すまでだ。」
●力の戦
セゲルの進む先。何もかもが氷に閉ざされた、一見樹氷地帯の様にみえるそこに。
氷の上でくつろぐように乗り、座っていた白蜥蜴の少女…ブリザードがこちらを睨みつける。
「おう来いや。」
わしゃわしゃと髭が動く。ドラゴンの体毛から、ひょっこりと冬の妖精が顔を出す。
「お前さんはそこでじっとしてろ。」
同意を得るかどうかも待たず。
ブリザードは瞳孔を細め、新たな獲物の出現に口角を釣り上げると、一斉に襲い掛かる!
セゲルは口に炎を溜め、吐き出そうとした所で中断した。
「…おっと!妖精が溶けちまう。今回炎は無しだったな」
「やって」
髭の中の冬妖精が
「お?」
「見たい。炎見たい」
きらきらと輝いた目でセゲルを見上げていた。
「いやお前さん溶けるだろうが」
「溶けない。おじさんの炎とか怖くないし」
「言うたな」
再び吸いなおす。先の解凍でこれをしていれば肺が凍り付く心配があったが、もう大丈夫だ。
「ならば溶かしきってやろう。【朱竜回禄(ブランド・カタストロフ)】!」
焼けつく髭にしっかりとしがみつく冬妖精はその光景を見届けた。
セゲルの口から放たれる、赤く燃え上がる灼熱の息吹。
その炎は飛び掛かってきたブリザードを包み込むと。
「ウゥゥゥ…!」
その炎をあろうことか、吸い込んだ。
焼けない。ダメージも無しだ。
ジュウゥと絶対零度水蒸気がブリザードの身体に纏いつくと、彼女が振りかぶる氷の爪が、強く、硬く、大きくなっている。
「竜のおじちゃん?」
「ふん!炎を冷気に変えたのか」
ならば。
豪快な音が鳴り響く。
氷の爪と、セゲルの巨大な錨斧が鍔ぜり合った音だ。
「ならば、当初の目的通り。」
轟音が絶対零度の地に響く!何度も、何度も!
「今回は物理的に叩くとしよう!」
凍てつく氷飛沫がセゲルに当たりながらも、ブリザードの氷爪を、吹雪の如き猛襲を受けては合わせ続けるセゲル!
「しっかりつかまっていろ!お前さんを落とせば俺が不利になる。」
「…面白い…ぶーらぶーら」
「止めろ、戦闘の最中だ。おい、こら、遊ぶな!」
その勢いでブリザード氷爪を弾き、槌のような斧の一撃を、上から降り下ろすセゲル!
「…オモ、シロ、イ…オモシロイ…!」
降り下ろされた槌の一撃が、絶対零度を超えて凍らせた氷爪で反応、クロスして受ける!
この戦いに応じて更に血沸き踊るのはむしろブリザードの方だった。
宿敵が如きドラゴンの戦士。勝って『もの』にすればさぞかし良き勲章になるだろう。彼女達にとっては。
「壊れんか!だが構わん」
更に打ち下ろす!打ち下ろす!3度目の隙を突いてブリザードは防御を解き、セゲルの鎧の隙間に氷爪をねじ込もうとする!
「ぬうん!」
それをセゲルは地面に突き刺すように構えた斧で防ぐと、1歩強く踏み込む。
どしん、と、大きな音を立てて地面が割れる。
「何度でも叩きつけてやろう。その爪は超硬質との事らしいな!」
態勢を崩したブリザードの腹に、セゲルは拳を見舞う。
「ガ…シュウゥウゥ!」
吹雪の息を吐きだしながら食いしばると、ドリルのような形を取った氷の爪をセゲルの鎧にねじ込んだ!
「効かん!」
斧を取り、振り上げる一撃!
「ウウウウゥ!」
それを氷爪で受け流す!しかし…氷爪を持つ腕の鱗が、剥がれ、ドラゴンの血を流し始める。
「根っこは耐えられんようになったか!」
絶対零度の氷の大爪がセゲルを斬り!
豪快な槌の如き斧がブリザードに響く!
何度も、何度も、何度も、何度も!
だが何度目かの一撃の際、ブリザードが別種の笑みを浮かべた。
横から2体、別のブリザードが氷爪を伸ばして飛び掛かる影が見えた。
更にその瞬間、ブリザードの氷爪はセゲルの顎…妖精を狙っていた!
「おう、機を伺ってたつもりだろうが…」
その時、セゲルは体勢を…変えた!
「それはこちらも同じよ。我が暴威を見るがいい!」
体を横にねじり、振りかぶるその斧に、絶対零度の息吹は暴風となって彼の身体に集まっていく。
「【狂飆の王(クンイェン・アブ・ストルム)】」
ねじったゴムが回転するように、竜巻を伴うセゲルの槌斧の回転切り!
氷の大地を破壊し、潰しながら襲い来る豪快な破壊力!
「ウ…ォォ…!」
ブリザードは爪先に美しき吹雪を巻き起こし、力を込めた氷爪で防ぐ!防げた!
防げ…否…削られていく。まるで回転機械の如き硬く力強い竜人の回転暴力に。
同じ回転で相殺しているはずの吹雪が削られ、無理矢理に貫通した氷爪が削られ、肉に達し、遂にはその竜巻に…巻き込まれ…!
「オオォアァァ…!」
細切れになって吹き飛んでいった!
「おぉおおぉらあぁぁあ!!」
次いで飛び掛かる2体のブリザードにも、切迫、氷爪をたちまち粉砕し…。
「無理も通れば道理になる。お前達もねじ伏せてやろう!」
竜巻による暴威の回転!そのとどめとした一撃を、大地に叩きつけると、絶対零度の地が…砕け、崩壊する!
「ア、アアアアァァ!!」
衝撃波がブリザード達を吹き飛ばしていく!
崩落していく大地、巻き込まれる樹氷。その中に閉じ込められた、ブリザードのコレクション。
セゲルは砕き壊れた世界の中で、ずっしりと足を着け、立ち上がった。
「おう、お前さん大丈夫か」
「…スケートで、よくやるから大丈夫…」
しかし少しくらくらしていた冬妖精は、何とか掴まって無事だった。
「フィギュアスケートだったか。そんなもんではなかった気がするが」
「おじいちゃん、面白い」
「あ?」
「くるくるしたりとか、ごぉーってしたりとか、もっと見たい」
知らない物を見つけたような好奇心。氷のような冬妖精は、もうすっかりなついた様子で。
「ならばもう少し付き合ってもらうぞ。まだまだ沢山いるのでな」
ドラゴンと妖精のコンビは絶対零度の地を駆けていった。
成功
🔵🔵🔴
凍雪・つらら
さむいいっ!凍っちゃいそうです!
早速妖精さんを【暖かな雪】で解凍して状況を説明、耐性を貰ったら【凍雪纏い】を発動します!
絶対零度の吹雪を纏った高速移動で思いっきり抱き付いたら【全力魔法】で氷の吐息を口や鼻からゆっくりと流し、内側から凍えさせ毛皮を剥ぎ取ることを繰り返します
もふもふの分厚い毛皮、沢山貰いますよ!氷漬けにされた人の分まで凍えて凍っちゃって下さいっ!
テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可
SPD
冬妖精さんが封じられている氷塊発見!杖で砕いて助け出します!
とてもかわいい冬妖精さんなのです♪よしよし…
…と、割と懐かれています、ユーベルコードに妖精さん使うから…かな?
とりあえず肩の上でしがみついてくださいね!
オブリビオン発見!早速【全てを凍てつかせる小さな妖精】で攪乱させて、そのどさくさに毛皮を奪ってしまいましょう!
…って相手も攻撃してくる!でもタダで凍るわけにはいきません!
そのまま一直線に向かって…そのまま抱き着きます!
そして冬妖精さんを巻き込まれないように逃がしつつ、妖精さんを集めさせて…ボクごとオブリビオンを素敵な氷像に…♪
(毛皮の行方はお任せします)
●
絶対零度の地にまた一人、この場に似合う全身防寒着の姿をした、凍雪・つらら(f14066)。
瞳も髪も氷で出来たかのような冷たさを持つ。
「さ、さささむいいぃっ… こここ凍っちゃいそ…」
氷を司る者、つらら。だが予想以上に本場の絶対零度は寒かった。
己の絶対零度の冷気と混ざり合う厳冷の吹雪が、たちまち体を駆け巡り、凍り付かせていく。
「……………………」
遂につららは、全身の総てが凍り付いた。
全身にはもこもこの衣服からして無数の氷柱が垂れ下がり、可愛いリボンに装飾された氷色のマフラーさえも凍り付く。
その上から幾重にも吹雪に晒され、氷漬けの雪だるまの様になり、
余す所無く薄青き氷で覆われ、冷たく、美しく、そして硬き氷に支配され。
絶対零度の地の景観として、佇み続けるだけの物と化した。
その後方より。
●
「冬妖精さんが封じられている氷塊発見!…はわわ、いっぱいいます!?」
浅く焼けた褐色肌に乳白色の体毛、長髪を持つ兎耳の獣人(キマイラ)。
少女のような姿をした男の子、テフラ・カルデラ(f03212)もまた、絶対零度の地を訪れていた。
彼は自身を模した彫像のついた魔法の杖で、かつん、かつんと氷を砕くと、中から真っ白な雪で出来た着物の様な服を着た冬妖精が現れた。
「はわわ、とても可愛い冬妖精さんなのです♪よしよし…」
絶対零度の世界の中、自身が凍る事も構わずによしよしと撫でていくテフラ。やがて。
「…んゆ?」
冬妖精が起きる。
「よく、寝たの… ……うさぎさん、うさぎさんだ。」
「え、えへへ。そうです。兎さんですよーっ」
本当はキマイラだが、ぴょこぴょこと自身の兎耳を動かして機嫌を取るテフラ。
その兎耳にぴょんぴょんと跳ねて触りに行く冬妖精。
「おもちかえり、したい…凍らせていい?」
「ふぁ!?だ、だめですよぅ!?」
まだフラグも立てていないというのに。
「…そもそもなんで凍ってないの?こんなにあったかいのに」
袖を口に当て首を傾げる。
「それにはいろいろと事情がありましてですね…ブリザードさんってオブリビオンを氷像にしに来たのですよ。」
「ぶり…ざーどー…」
知ってます?と聞けば、こういった寒冷地にはよくいるよと冬妖精。
彼らがブリザードを狩りに来た事を納得する。
「でも、わたしの作品に、加えたいの…おっきな雪像兎さん、だめ?」
「だめですってば!」
「おともだちにもいっぱい紹介したかったのに…」
「わたしの使うコードなら、もっと沢山のお友達を呼べるかもしれませんよ?」
テフラは最近得たという、氷妖精の力の事を話す。冬妖精も興味津々だ。
「…見たい…でも…」
「い、いう事を聞いてっひゃああぁ!?」
その途端、冬妖精は絶対零度よりもさらに寒い吹雪を放つ。
「はわわわわ!わーわー…わぷっ
!…!……!!……」
テフラはたちまちその吹雪に飲まれると、兎耳がぴょこんと生える雪玉に閉じ込められてしまう。
雪玉は氷の様に硬くなっており、冬妖精がなつく事によりダメージは免れているが、動く事ができない。
「確か、あっちの方、だったかもー…」
雪玉テフラはごろごろと冬妖精に転がされていった。
●
ごろごろごろ…と転がっていく、テフラ。
その途中で樹氷のような雪だるまにごつんと当たり、その雪だるまが倒れる。
倒れた雪だるまはその衝撃でひび割れ、中から凍てついたもこもこ衣装の少女が、ブルブルと震えながら現れた。
「は、はひひ…寒い…さむいですぅぅ……」
未だ頭や体のあちこちに厚い氷の塊がついたままの凍雪・つらら。
「は、速く妖精さんを見つけないととと…」
彼女は妖精探索を再開した。
そしてテフラが先程までいた、冬妖精が沢山眠る、寝床らしき氷山を見つける。
あちこちの氷が崩れているのは、途中で飽きて起きた冬妖精達か。それとも猟兵達によるものか。
「はふ…妖精さんが、一杯。早速解凍を…。」
絶対零度を封じ込めた魔本(この場ではほぼ外気と変わりない)を広げ、掲げると、絶対零度地帯とは別の暖かな雪が降る。
「解凍する力も持っていてよかったです…はふ。あったかい…」
絶対零度に反した温度が、しゅうしゅうと冬妖精を溶かしていく。
「ん…」
「冬?冬なの?」
「朝だっ。よく寝たー」
「探索者さんがこっちを見てるよ」
冬妖精達がつららを見据え、つららもまた妖精達を見た。
「これが、妖精……」
色とりどり、衣装も様々。
肌は雪、髪や衣服が氷で出来た彼女らは、大体軽装であった。
「折角起きたから」
「冬告一番、沢山雪を降らせましょう。」
「冬の祝福を、おねえさんに、いっぱい。いっぱい。」
つららの前を舞う妖精達を、1体ひっつかみ、自身の懐にもってくるつらら。
「…?」
「みんな…」
「みんな、もこもこになるのですっ」
そう言うとどこからともなくつららの衣服から様々なものが出て来る。
冷たい色をしたもこもこの毛布、雪みたいにもこもこのマフラー、唾液の様にしっとりとした手袋…。
ひゅぱぱと妖精を慣れた手つきで抱え込むと、あっという間にもこもこの防寒冬妖精が出来上がった。
「わぷ!な、何?何?」
「これでよしです。妖精さん、皆して寒いのですっ。暖かくしているべきなのです。」
しかし妖精は暑苦しくなさそうな感じだった。
「冷たくて、気持ちよくて…あと、あと…何か臭う…なにこれ」
「雪と氷は不香の花。絵具で鮮やかな色を足すみたいに、においがあれば証になるのです。」
そう言いながらつららは妖精をぎゅっと抱きしめて、勢いよく……吸った。
「「「うわああぁ
!?」」」
ディープキスにも似るそれは周りの冬妖精達も、何か恋的なものを見るような目で手の隙間から見ていた。
「…はぁぁ…いい匂い…もっともっと、増やしたい…」
「え?」
「わ」
2体3体と冬妖精を懐に取り込んでは、エスキモーな完全防寒の、むわりとした臭い立つ姿に変えていく。
「クリスマスの匂いが良かったかも…」
「雪に埋まったみたい。もっこもこ。」
冬妖精は賛否両論。とりあえず珍しいからと受け入れていき、雪だるまのようなもこもこ冬妖精がどんどん出来上がる。
「素敵なもこもこがいっぱいです。これはもう…皆お持ち帰りするしかないですねぇ!」
「「「ふぇ?」」」
つららは魔導書を広げると、もこもこにした妖精達に強烈な猛吹雪を発生!
「ふわわ!」
「な、何、これー…っ…」
「う、うごけな…」
硬い雪の中に閉じ込められ、氷の様に固まった雪像へと変えられていく冬妖精達。
「はふぅ…もこもこの凍り人形…沢山臭いを嗅いで…お家で…コレクション…」
「わ、わー!わー!」
「なんだかよくわからないけどこわーい!」
「にげろにげろー!」
冬妖精達はその光景に恐れをなして逃走!
「えっどうして逃げるんですかぁ!待ってくださいぃ!」
雪像に変えたもこもこ冬妖精達を自身のもこもこポケットに入れながら、つららは一心不乱に追いかけていった。
●
「…!……!!……」
テフラがごろごろ転がった先はブリザードの巣だった。
氷柱立ち並ぶ領域の中、妖精と雪玉に目を付けたブリザードが、宙を飛んで急降下。
テフラの雪玉を切り裂き、破壊した。
「きゃー!?」
女の子の悲鳴みたいな声をあげて破壊されたテフラ。
「おねえさん、おねえさん、起きて起きて!」
ぺちぺちと冬妖精に叩かれる目の前には、新しい玩具に目を輝かせる白蜥蜴の少女の姿。
「え!?わ!?ぴ、ピンチ!?」
胸倉をつかみ、ズタズタに切り刻まんとブリザードの爪が伸びる。
その時。
「きゃー!」
「わー!」
「おたすけー!」
もこもこ可愛い冬妖精の群れが一斉に体当たり。
ブリザードは氷塊が当たったかの様にのけぞり、隙ができる。
「はわぁ!?ぶ、ブリザードです!それと、え、何!?」
テフラは咄嗟にキュッと冬妖精を抱きかかえると、後ろからやってくる人影に驚いた。
「つららさん、です…!?」
同趣向の知り合いであるつららとテフラが邂逅した。
「待ってくださぁい。…あれ?みんな…」
やってきたつらら。新たな獲物ににやりと笑みを浮かべ、襲い来るブリザード。
「…なんでもふもふしているのに、凍ってないのですか?」
●
その瞬間、つららの手にした魔導書が輝き、戦場に強烈な吹雪が巻き起こる。
「はわわわわ!妖精さん、しっかりつかまってくださいぃ!」
おびえるテフラだが、凍ってはいない。冬妖精の加護が付いてるのだろう。
「…ブリザードくん、でしたっけぇ?それとテフラくんぅ…みんなみんな、絶対零度なのに薄着過ぎです。本気で氷漬けにしてあげますぅ!」
「ちょっと待ってください今ボクも対象に入れませんでしたか」
そう言うや否やつららの衣服が、常に凍てつき吹雪の結晶が模様の如く流れる、もこもこの霜のドレスへと姿を変える。
「雪でもこもこにしてあげますよぉ!」
つららが手をかざすだけで放たれる超低温の吹雪!
だがブリザードにはさして効いている感じがしない。不凍熊の毛皮で防寒されているからだ。
しかしブリザードは、一歩も進めない。つららの放つ吹雪があまりにも強い勢いで、風力的に動きが阻害されている!
「そのままじっとしててくださいねぇ。外は凍らなくても、中は凍りますよねぇ…」
「…グ…」
つららがその中を歩き、ブリザードにキスを迫る。
だがその時、ブリザードの姿が吹雪の中に消えた!
「…んんぅ?どこいったのぉ」
慌てて吹雪の中、走っての捜索に切り替えるつららは、突如氷塊にごつんと当たった。
「いたっ!…あれ…」
その氷は冒険者の成れの果てであった。
村に襲撃をかけたブリザードを追い払う為、雇われた、レザーの服に身を纏った女戦士が敗北し、おそれを成して逃げようとした所を閉じ込めた、氷。
「…この人ももこもこじゃない…」
おかしな方向に狼狽えるつららの上、氷漬けの人間を飛び越えたブリザードが、真下のつららに冷気を溜め、吹雪のブレスを放つ!
「きゃあぁぁ!!ささささむいぃぃ!」
咆哮にも似た轟音の吹雪のブレスがつららに直撃!
凍りもしなければ、氷柱すらも防御したが、自身の身に纏う吹雪が押し付けられるように頭上から降りかかると。
「…さ…さむ…う…うごけな…」
またしても雪だるまの様に全身が固まって、動けなくなってしまう。
「ヒトリ…」
にやりとしたブリザードが、ゆっくりと氷の爪を鋭く、大きくし、トドメを刺しに行く。
その時である。
「!?」
己の纏っていた不凍熊の毛皮が、ぽろりと脱げたのは。
「これが、おねえちゃんのお友達?」
「そうです!【アイシング・フリーズ・フェアリー】!悪戯大好きな氷妖精さんです!」
魔法の杖で誘導し、呼び寄せた、テフラの冷たき隣人。
絶対零度の冬妖精よりも透き通る氷の色をした氷妖精達が、周りにいるブリザードの毛皮をするり、するりと脱がしている!
「…コシャク…!」
…ブリザードの眼がぎろりとテフラを睨む。
「はわぁ、こっちにも攻撃してきます!?」
言うや否や、他方から飛び掛かるブリザードが急襲。
「おねえちゃん戦えないの!?」
肩の上でしがみつく冬妖精が瞬時に氷の盾を形成し、氷爪を防ぐ!
「今回は基本妖精さん頼みだったのでぇ!」
瞬く間に氷盾が削れていく。凍り付いていくブリザードよりもテフラを狩るのが早いか!
「でもタダで凍るわけにはいきません!」
「ズタズタにされそうな感じじゃない?」
「いえいえ、ボクの場合は大体最後に凍らされるのがオチなんです!きっと今回もそう!でも、凍結なんかに絶対負けません
………!」
そう言い放ったテフラは突如、冬妖精をつららの方へと投げ込んだ。
「きゃっ!えっ…おねえちゃん?」
「妖精さんで通じないなら…ですね。つららさんはその程度で終わったりはしませんから、あとは頼ってください!では―」
飛び掛かるブリザード。その1体にテフラは、抱き着いた。
一方、残ったつららを纏う氷雪は、ぴしり、ぴしりとヒビが入っていた。
「シャアアッ!!」
動けないでいるつららに、凍り付く前にとどめを刺しにブリザードの爪が襲い掛かる。が…。
「寒い…ですうっ!」
つららを纏う雪が、間一髪で破壊!
崩れ落ちる雪の中、カウンターでブリザードに抱き着いた!
「!!?」
「この程度の絶対零度でわたしぃ、凍り尽くされませんので…よく見ると毛皮が落ちていますね。良く分かりませんがあの毛皮はあとで没収です。」
つららは眼前のブリザードに、抵抗もねじ伏せしっかりと口づけをすると。
「…!!…!!!」
口や鼻の中に絶対零度の吐息が、全身くまなく内側から入り、侵し、凍り尽くしていく。
「…ぷはっ」
残ったのはガチガチの氷柱まみれに凍り付いた、ブリザードの氷像だった。
「まだですっ!」
つららは手をかざすと、そのブリザードに容赦なく吹雪を叩きつけ、あっという間にブリザードは先程の不凍熊の毛皮を纏ったような…雪で出来たもこもこ熊耳毛皮を身に纏う、分厚く着込んだような氷のオブジェと化したのだった。
「これでよし、です。もっともっと氷漬けにされた人の分まで、凍えて凍っちゃってくださいっ!」
つららの暴走はまだまだ続く…。
「それじゃあ自爆、行きましょう!妖精さん…頼みましたよ♪」
「ハ…ハナ…セ…!」
もがくブリザードの周りに、杖から呼び寄せた氷妖精達が一気に集まる。
これをはがそうと、もう1体のブリザードが爪を伸ばす。その時…妖精達が、一斉に爆発した!
「……!!………」
襲い来るように氷の爪を前に伸ばしたブリザードと、白蜥蜴の少女に今にも捕食されそうなテフラの氷像が、その場に残っていた。
「おねえちゃん…冬の中に眠っちゃった。」
なんだかつまらなさそうに、ちょっとだけ悲しそうに、その冬妖精はテフラの成れの果てを見た。
しかしそうしている暇はあまりなかった。すぐ後ろから、伸びる腕。
「あなたもぉ、もこもこになりましょう…?」
「えっ、ひゃ―」
戦闘が終わると、そこには震え凍えるつららと、氷妖精達。
極寒の余り凍え尽くすもこもこ白熊衣装のブリザード達の氷像。
もこもこ雪の兎耳パーカーを被ったテフラと、それを捕食しようとする白熊なブリザードの氷像。
今、氷妖精達が、彼らにその上から凍らせて、美しい氷柱を身体の至る所から垂れ下げさせて、遊んでいた。
それは最早復活不可能にも見える程の、幾重にも極寒に晒された者達の姿。
「えへへ…もふもふ毛皮…凍らない毛皮…あったか…匂いもすごいぃ…」
もふもふ冬妖精達と、和服姿を分厚いもふもふアレンジにされて雪の兎耳を生やした冬妖精。
彼女達の雪像群の中心で、テフラが落とした不凍熊の毛皮が集まっていた。
つららは飽きるまで絶対零度の中、籠る熊の毛皮の匂いを嗅ぎ続けていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
フィロメーラ・アステール
「うおー、起きろ!」
【気合い】の【踏みつけ】氷砕き!
妖精は眠そうで寝ぼけてる感!
でも協力はしてくれるみたい!
【空中浮遊】で連れていく……つめたっ!
ほぼ絶対零度という宇宙への【環境耐性】はあるけど!
冷気は体温を奪うし体感的には超寒いな!
体に【オーラ防御】を纏い【氷結耐性】獲得!
敵近くで【下天あらたむ五行の星守】発動!
氷や吹雪から動物を生み出す!
コイツらはこの地の自然から生まれたから元々耐性もち!
【全力魔法】でじゃんじゃん作る!
泥仕合なら数は多い方が有利!
手数で足止めしてる間に氷属性の津波を起こしてもらうぞ!
氷の波で固めたら、耐性あっても動けない!
妖精も凍ってたし!
毛皮は布団代わりに妖精にあげる!
ティエル・ティエリエル
SPDで判定
寒さ対策にもこもこのお洋服を着て出発だー♪
ボクと同い年くらいの冬妖精さんを見つけて仲良くなるよ!
動物さんの話題で盛り上がったりしたところで【ライオンライド】でライオンくんを召喚!
ライオンくんも寒いだろうと思ってライオンくん用のもこもこのセーターも用意しておいたよ♪
二人でライオンくんに「騎乗」していざ出陣!ブリザードをやっつけにいくぞ☆
「動物と話す」技能でライオンくんとのコミュニケーションはばっちり、「動物使い」で完璧にライオンくんを乗りこなすよ♪
ブリザードの攻撃を避けつつ接近してボクのレイピアとライオンくんの爪でどんどんやっつけていくよ♪
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
●私達、雪月花妖精!
「うおー、起きろー!」
煌びやかに輝く金色の髪を持つ妖精、フィロメーラ・アステール(f07828)。
彼女は開始早々に見つけた冬妖精の氷を勢いよく踏みつけていた。
やんちゃな妖精の連続踏み付けは次第に氷を砕き、中から冬妖精が現れる。
「んー…何」「起きろー!」「ふぎゅっ!」
「おっと失礼踏みつけちゃった」
雪だるまの帽子をかぶった小さな男の子っぽく見える冬妖精は、涙目でフィロメーラを見た。
「おっとそこのおねーさんー♪」
ハイテンションな妖精が突如一人増えだした。
「おやおやあなたは!」
「ティエル・ティエリエル(f01244)!」
オレンジの髪に春を思わせるような草と花色のフェアリードレスを着こなした妖精だ。
失礼。訂正する。今回の絶対零度の地において彼女はもこもこお洋服を着て防寒している。
「おおっと、でも冬妖精にあやかれるのは一人に付き一人までだっ!」
「それじゃあ私も氷を削るね!」
「だいじょぶだいじょぶ旅は道連れ!ちょっと待っててすぐに済むから!」
「ふぇ」
冬妖精がびっくりして見守る中。
「うおー、起きろー!」
フィロメーラはもう1個あった冬妖精の氷を勢いよく踏みつけ始めた。
「わーい!ボクも参加していい?いいよね。いくよー!うおー!」
妖精が二人、勢いよく氷を踏み付け始めた。
小さくても力は人一倍。妖精達のストンピングにまた一人の冬妖精が目覚めようとしている。
「もーっまどろっこしいや!出てきてライオンくん!」
ティエルがくるりと舞って召喚すると、そこにはもふもふもっこもこの衣服を羽織ったライオンが現れる。
「うおー!ライオンももこもこだー!」
「みんな寒そうならライオンくんも寒いよね!」
「その発想はなかった!いやあったかも!あたしだけもこもこしてないやいぇーい!」
「という訳でライオンくん、やっちゃって!」
妖精ストンピングにライオンくんの容赦なきパンチが加わる!
だがうまい具合に球体に削れてしまったそれはつるりと滑り。
「「うわきゃー!」」
転んだ妖精達。転がった先では先の冬妖精がその氷をキャッチする。
「…あっ、おねえちゃん…」
「えっ」
氷の中でぐっすり眠る冬妖精は雪結晶で装飾された可愛らしい女の子で、ティエルが少し髪を伸ばして冬のお姫様になったらこんな感じだと連想されそうな姿をしていた。
「……」
無事に氷が砕かれ、解凍された冬の妖精二人にフィロメーラは興味津々の顔をして、そそくさと隣に位置どった。
「どうしたの?フィロメーラ」
「それがねそれがねティエルちゃん、私は光と、星と宇宙の妖精じゃん?」
「すっごい属性盛り!」
「それでさ、星って月も含まれるじゃん?つまり月の妖精でもあるわけじゃん?」
「あ、わかった!じゃあ私は見た目的に花でー!」
「あの、えっと」「私達姉妹が」姉はぎゅっと妹を抱きしめながら。
「冬だから…雪」
「「「「雪月花妖精
!!!」」」」
「うぇーい!」
フィロメーラが冬妖精にハイタッチ!
「うおぉつめたーっ!」
ドライアイスを触ったかのような冷たさが手を伝う!
「姉さん、この人面白い」
「どんどん触りましょうどんどん」
寝ぼけが覚めて、ぐいぐい押してくるようになった冬妖精姉妹がぺたぺたとフィロメーラを触り出す。
「あーん!ちょっとちょっとくすぐったいしやーめーてーっ!あたし絶対零度という名の宇宙は慣れてるんだけども!ここ体温奪って体感寒いし!」
「どれどれー!ボクもさわってみーたいなー♪」
ティエルがぎゅーっと姉冬妖精を抱きしめると。
「わっ、後ろからとか卑怯です。手が届かないっ」
「こっちから花の感触をおとどけだよ♪」
「じゃあ姉さんの代わりにほっぺた触る。えいっ」
「ぴゃー!?」
「あはははは!お触りっこだー♪それで何しにここに来たんだっけ」
妖精達はテンションもたけなわに情報を整理する。
「確か白熊くんの皮を被った蜥蜴の女の子をやっつけにきた話っ」
「白熊?」
「不凍熊だったかな!」
「武闘ぐま!」
「ま!」
「きっとこんな感じに、蜥蜴さんなのにくまっくまーしてるんだ!」
フィロメーラは頭の星の髪飾りを熊耳に見立ててぴょこぴょこしている。
「不凍ペンギンさんはいない?」
妹冬妖精の言葉だ。
「絶対零度地帯ってキミ達のが詳しそうだけど」
「ペンギンも良いわよね。確かお友達の子が冷気ペンギンを抱き枕にして寝てたはずだけど、見当たらないわ。」
「えっホントにペンギンもいるんだ!」
「じゃあねこさんはいる?」
ライオンを差し向けるティエル。
「きっといる」「いるね」「トラがいたと思う」
「なにーっ!トラもかっこいいよね!でもライオンくんの方がずっとずっとかっこいいよ!きゃー♪」
ライオンくんは照れ甘えた様にぺろぺろとティエルを舐め始めた。
「ネコが出たなら犬はどう!」
「わんわん?」「わんわんもふさふさしてていいよね」
「わかるー!」
「わんわんの毛の隙間に雪を詰め込んで困らせるの、好きー」
「わぁいそこはかとないいやがらせ!」
「其処は氷の塊をぽろぽろーってくっつけたりしてもいいかもしれない!雪玉とか、意外と取れないよね。」
「犬種にもよるんじゃないかな!」
「へぷちっ!」
くしゃみをしたのはティエルだ。防寒してても絶対零度。極地の世界はやっぱり寒い。
「そろそろやっつけにいこっか☆フィロメーラは大丈夫?」
「はっはっはあたしは気合い!気合いで何とかしてるから万事おっけー!」
「えい」
「うひゃああぁ!?」
妹冬妖精のひんやりタッチだ!
「あっはっは!フィロメーラ、凍ったら困るよ!」
「大丈夫。」「ですよ」「折角雪月花が揃ったんだから。」「私達の力で守ります」「それで、皆でこう…。」
「はじけたい!」「あそびたい」
「ブリザードさんを協力プレイで!」
「「「「へーい
!」」」」
妖精達のハイタッチだ!
「さあさあ行くよ。ライオンくんに乗って!」
当初の予定の倍。4人乗りライオンライドと相成った。
もこもこ妹冬妖精はティエルの後ろにおんぶの如く乗り、しとやか姉冬妖精は後ろのフィロメーラにおんぶの如く乗る。
セーターを着た黄金のライオンは落ちないか少々心配しながらも、4人の妖精を乗せて、駆ける。
「おねえちゃんの方寒そうだよね。ボクの替えがあればよかったのに」
ティエルの基本的な姿が雪っぽくアレンジされていると考えて欲しい。そういう格好だ。
でも妹の方はそれなりにもこもこである。たぶん力の制御がまだうまくいかない云々だろう聞かれてないけど。
「よーし、それじゃああたし、この戦いに勝ったらお姉さんに不凍熊の毛皮をプレゼントするんだ…」
「いま微妙にフラグっぽいの立てなかった?」
「気のせい気のせい雪の精ー!」
「えっ私?」
「がんばろうお姉ちゃん。」
「あっ見えて来たー!」
ティエルが指さした方向。先までの戦いで警戒態勢に入った白蜥蜴の少女、ブリザード達が、ぎろりとこちらを睨みつけていた。
●ブリザード・バスター・クエスト
「あたし前衛ー!」
「じゃあボクは中衛でかき乱してみるね!」
「じゃあ。」「私達は光栄な後衛ですね」
「おおぅ何それ冬ジョーク!?まあそんな感じ!いい感じに氷の津波をお願いー!」
「わかった。」「波を、なみなみとですね!」
絶対零度の大気を吸って強靭になっていく氷爪を振るい、ブリザードが飛び込む!
それに合わせてライオンから飛び出したフィロメーラが両手を突き出し、吹雪を操作していく。
「星を廻る命の形……生み出て!【下天あらたむ五行の星守(キャラクター・ミューテーション)】!」
雪が固まり、氷で出来た、熊に馬にネコに犬に。様々な氷雪動物が氷爪を防ぎ、蹴りや殴りをお見舞いする!
「オォォアァァ!!」
それに対抗するように次々とブリザードが集まって来る。集団で放ち、乱舞する氷の爪。それに伴う吹雪のような氷のつぶては動物達には効かない!絶対零度から生まれた故に耐性があるからだ!
ブリザードの攻撃は氷の動物で相殺され、しかし氷雪動物達の攻撃も氷爪で防がれる。どちらも突破を乱せぬ戦いに突入する。
「なんの!もっともっと数を増やせば!」
しかしそれに応じて、ブリザードもどんどんと数を増やしていく…。
「ボクの出番だね!ライオンくん、いっくよー♪」
雪のような蜥蜴の氷乱舞と氷のような動物達の氷乱舞、その中を縫う様に走る金色の線。
ティエルとライドしたライオンの高速軌道だ!
「えーいっ!」
振りかかる氷爪の根元にレイピアを突き刺す!
「グアアアアァ!!」
爪の隙間は痛い!もだえ苦しむブリザード!
「ガオオオォ!」
突き刺すように飛び来るブリザードの氷爪突撃を躱すと、後ろから爪で斬りつける!
「グアアアアァ!!」
毛皮に氷の血が滲み倒れるブリザード!
「よーしこのままどんどんいくよ!」
「いまだー!津波をおねがーい!」
「おねえちゃん。」「ええ。絶対零度に飲み込みましょう」
フィロメーラの号令と共に冬妖精達が冷気を集め、ライオンの後ろから雪と氷の津波を放つ!
「グ、アアアアァ!?」
雪と氷の雪崩のような波、それは戦場を氷の動物達で密集していた回避困難な状況において高い効果をもたらす!
動物達と共に押し流され、雪が固まり、氷となって…ブリザードを固めていく。
「シャアアァァ!」
「ふふーん。冬妖精も寝たら凍り付くくらいだから、物理的に固める方なら効くと思ったんだ♪」
フィロメーラはとどめと言わんばかりに、静まり返った世界の中で大気中の絶対零度の吹雪を空中に集め、何かしようとしている。
だがその時間はあまりかけられなかった!
「シュゥゥゥゥ…!!」
「ウウウゥゥゥゥ…!」
ぼこり、ぼこり。氷が瞬く間に割れて、ブリザード達が復活する!
氷の冷気を吸いこんで温度的に氷を崩し、爪を強靭にする事で力づくで破壊したのだ!
「わっ、わっちょっと待って、今準備中だからそこでスペースお寿司でもね…!?」
一斉に空気を吸い込み、絶対零度の息吹の用意をするブリザード…。
「ボクを忘れてもらっちゃ困るなー!」
そこを横からレイピアで突き刺していくティエル!
「ガッ!」
「グアアァ!」
「足止めは任せて!」
するとブリザード達は溜めていたブレスをティエルの方へと吐き出す!
8000本はくだらない大量の氷柱がティエルとライオンくん、そして冬妖精達を襲う!
「ライオンくん、岡目八目!指示するから、避けて、避けてー!」
ティエルの指示に従って、ライオンの移動が更に機敏に!黄金の軌跡がガトリングの如き氷柱を次から次へと躱していく!
「おねえちゃん。」「あれって…」
ふと、冬妖精の姉妹が空を指さした。
「「不凍熊…」」
戦場を覆う、巨大で強靭な熊が、絶対零度を集めた力で作り上がっていた。
「いー!まー!だー!」
絶対零度の自然に宇宙の魔力が合わさったことで、奇跡的に召喚された、氷の不凍熊。
「グマアアアァァァ!!」
80メートルを超える巨体が、戦場に、お…落ちる!
「ライオンくん逃げてーっ!」
爆裂するような音と共に、悲鳴すらもかき消して。
戦場はギリギリ逃げ切ったライオンくんと妖精達。
そして落下の衝撃で爆散した氷の不凍熊と動物の破片があるばかり。
ブリザード達は1体残らず骸の海に帰り、そこには不凍熊の毛皮だけが残っていた。
●戦い終われば、あとはおやすみ。
「はい!不凍熊の毛皮!」
「え、あ、ありがとうございます。」
戦闘が終わり、姉冬妖精に毛皮が渡される。
「良かったねー!でもそれおっきくない?」
人間の少女サイズであるそれはもうハロウィンのお化けの被り物みたいだった。
「ん?これ被って生活してーじゃないよ?はい妹くんにも」
「…?」
不凍熊の毛皮を渡され首を傾げる妹冬妖精。
「布団だよ!!!!あったか凍らず毛皮さんなら、もうここで眠っても凍らず快眠できるよね!」
「「あっ」」
「あー!」
感心したのはティエルもだった。
「そっかそっか、フィロメーラよく考えてるよっ!…それさーそれさぁー、ボクもあやかっても…いいかな?」
「えっ?」
「絶対零度のお泊り会!試してみたいけど凍ったらアウトだから駄目かなーって思ってたけど!」
「あー!」
「冬妖精さん、お家はどこ?氷の世界で、ふっかふかにお休みしたりしてもいい?」
「かまくらみたいなおうちが。」「もう壊れてません?」「じゃあつくろう。みんなで」
「「「「おー
!」」」」
絶対に凍る地で、凍らぬ暖かなひと時を。
妖精達の賑やかしは夜まで続いたとか。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
佐伯・晶
前回は毛皮を砕いたせいで
回収し損ねたから
今回は持って帰りたいな
冬妖精は服に隠れて貰おうかな
冷気耐性あるし
普通に凍ったくらいなら
邪神の繰り糸で動かせるから支障ないしね
人間の姿だけど邪神の体だから
その辺り割といい加減だよ
周囲の気温を代償って
絶対零度の状態だとこれより下げようがないから
あまり強化されないのかな
攻撃されたら空中浮遊やワイヤーガンを使って回避
当たりそうなら神気で攻撃の時間を停めて防御
これは僕なりのオーラ防御だよ
攻撃後の隙を狙って魔法陣を当てよう
敵の時間が止まったら毛皮を回収するよ
そのまま放置すれば冷凍されるかな?
ところで冬妖精は連れて帰った方が良いのかな?
放っておくと氷漬けになりそうだし
箒星・仄々
絶対零度の中でお休みなんて凄いです
魔法で氷中からアポート
お早うございま?す
起こしちゃって御免なさい
オブリビオンさんを海へお還りする為
力を貸して頂けませんか?
戦闘中
妖精さんを迷彩魔法で隠し
お嫌でなければ帽子に捉まってもらいます
UCで氷上を高速で滑走して接敵
敵攻撃に対しては
摩擦抵抗を操作し
華麗なドリフトと共に
魔法の残像分身で回避
回避できない時は魔法の盾
炎の魔力…は冬妖精さんがおられるので使いません
すれ違いざまペロリ
仲間同士でドミノ倒しになっていただきましょう
氷漬けで戦闘力upとの事ですけれど
それは立っている時の話ですよね(笑
事後は妖精さんと遊びたいですけれど…
風邪には気を付けないといけませんね
ラモート・レーパー
「水先狐ダッキトスー川が凍ったので各自で歩いて(棒」
めっさ手を抜いて魔法少女姿で挑む。
UCで衣装を変えて防寒対策をしておく。妖精を見つけたら魔法のステッキであるオールで氷を割って助ける。
敵を見つけたら妖精に雹を降らしてもらって自分は魔法とかでかまくらを作ってそこに逃げ込む。
雹は当たると痛いから寒さ関係ないもん。
どれくらいの大きさの雹が降ってくるんだろうね。サッカーボールくらいの大きさかな?
●水先案内人の行方
漆黒の瞳に白い髪をした、羅刹。
如何様次第で姿の変わるラモート・レーパー(f03606)は、今回狐耳フードを被った少女姿でこの地に赴いた。
手に持つはオール。まるで水先案内人の様に。
「水先狐ダッキトスー」
こんこんと氷の世界をオールで叩く。其処には川があったはずの、ラインの沿った氷の大地を。
「川が凍ってるので各自で歩いて」
『えっマジで!?』といった感じに狼狽えたのは、彼女の付き添い、いわばマスコット、水先狐のダッキトスだ。
彼女は既にユーベルコードを発動し、魔法少女の姿になっていたのだ。
「ここ寒いし、めんどくさいしー…ぼくの話なんて、妖精見つけるだけでいいや。」
ぶっきらぼうに呟きながら、寒さに凍える狐達と共に氷の川を渡っていく。
すると氷の中に閉ざされて眠る冬妖精を見つけた。
「よし。じゃあ、こーんこん!っと」
魔法のオールに魔力を籠めると、それで叩く。
オールの形をした水先案内の魔法杖によるその一撃は、瞬く間に氷を二つに割り、桃太郎の如く中の冬妖精を取り出した。
彼女もまた氷で編まれた狐耳のフードを着ていたのは偶然か。
「氷で編まれたって何さ。うわ凄い透き通ってる。」
一通りダッキトスと共に冬妖精を眺めまわした後、ラモートはある決心をする。
「水先狐ダッキトスーかまくらつくるよ。もうそこで寝てればいいよね。」
●黒猫の舌は冬色に染まり
「絶対零度の中でお休みなんて凄いです。」
西洋の貴族めいたマジックナイトの服を装う二足歩行の黒猫。彼は箒星・仄々(ほうきぼし・ほのぼの)(f07689)。
「妖精さんはそういう事も出来るのですね。まあ感心してはいられませんが。」
猫の身でとても寒く震えるこの地は耐えがたい。
吐息が凍り付き、寒さが帽子を凍らせる。
「あれですかね。」
そんな中すぐに目的の氷を見つけられたのは幸いか。
いたいけな少女のような容姿をした氷のような冬妖精が、すやすやと氷の中で眠っている。
「さて、手荒な真似はしたくありませんので。『アポート!』」
魔法剣を杖の様に振るうと、氷の中の妖精が光に包まれ、あっという間に仄々の手の内に収まる。
氷の中から瞬間移動させたのだ。
「ん…むにゃむにゃ… …冬…?」
サンタのような服を着た冬妖精だ。
「おはようございま?す。起こしちゃって御免なさい」
「…ねこさんだ…」
「箒星・仄々と申します。」
「ほのぼの、にゃんこー…?」
「ええまあ、そんな感じでございましょうか。」
仄々は帽子に冬妖精を乗せ、自身ごと透明魔法をかけようとする。
「にゃんこさん、どこへいくの。あたしもつれてってくれるの?」
「一時の協力体制ですね。オブリビオンさんを海へお還りさせる為、力を貸して頂けると幸いなのですが。」
「う、んー… 良く分からないけど、おいしそう…」
「…あのオブリビオンは美味しいのでしょうかね。尻尾辺りなら百歩譲れば。」
しかし広大な氷の大地で目的のオブリビオンを探すのは大変だ。
そこで仄々は一度座り、自身の足をぺろぺろと舐める。
「毛づくろい…?」
「その様な物ですかね。…恐る恐る聞いてみたいのですが、私の舌を凍らせないようにできたりしてます?」
「んぅ…?」
冬妖精はぱたぱたと飛び、仄々に正面から向き合う。
「ねこさん、寒そうだから、あたしの力でとりあえず凍らないようには、してる…けど、舌は唾液が出るから、その分やっぱりくっついちゃう、よー…」
「そう、でしたか…では、これから戦うオブリビオンや地形を舐めるのは無しですね。」
「…ひとつ、てはあるよ?」
にへぇと笑う妖精に、仄々は何かを感じ取った。
「あ、いえ、ちょっと待ってください。それは何かこの先遠い未来の話でいざこざが起こりそうな気が―」
「だめ。」
冬妖精は強引に押し倒した。なんという怪力か。なんという力強さか。怒られても知らないぞ。
「にゃうん…っ!!」
「したをだしてるのがわるい、のだ。えへへ…」
冬妖精がにへぇと笑う。仄々の舌には雪結晶がちらちらと降り積もるような柄に染まっており、なんだか舌で突くものが何でもかんでも冷たい。
「これでぺろぺろ、くっつかないと思うよ。…おいしりおん、がんばろー」
「オブリビオンですか?いえまあ協力的で助かりました。良ければ帽子に。しっかりつかまっててください。」
●おしゃま冬妖精
「前回は砕いてしまったけど、今回はちゃんと回収したいな。不凍熊の毛皮」
青い瞳に金髪の女性、佐伯・晶(f19507)は凍土の中でごちた。
彼女は冬妖精の救出の傍ら、毛皮の奪取へと再び絶対零度の地に赴いたのだ。
「で、これが件の冬妖精か…」
探索し、氷を砕き、現れたそれは、とてもなんというか…えらそうな態度を取っている。
服装もこれまでの冬妖精とは一歩上をいくような豪華な衣装。
「…私、次に目覚める時はイケメンの殿方と思っていましたの」
あっそういう奴かこいつ。
「あなた、私の白馬の王子様になりえて?」
「そんな事言われても困るけど…」
「そぉんなみすぼらしい恰好で。凍りたくないからって私の力を借りに来ただなんて。一人でやってればいいじゃない。」
「その辺はしょうがないよ。たぶんグリモアベースに帰ったらより取り見取りだと思うけど、今は勘弁して、力を貸して欲しいな。」
「………」
冬妖精は意地わるそうな目で晶を見ると。
ふうっと、息吹を吹き付けた。
それは絶対零度の地になじむ事でただの冬より強くなった、絶対零度の吹雪の吐息。
「うわっ―」
晶はそれに吹き付けられ、風に沿って身体に氷柱を残しながら、瞬間的に白い氷の像と化してしまった。
「ふん。その程度の絶対零度にも凍り付く方なんて、私には不釣り合い。また良い殿方が訪れたら起こしなさ―」
ぎぎぎ、と、凍って動けないはずの晶の身体が、動いた。
「なっ―!?」
「支障は無いよ。普通に凍ったくらいなら。」
冷気の風がひゅうひゅうと伴う声で、受け答えをする。
目の前に居るのはまるで氷の等身大人形だ。
「でも絶対零度の気候では動かせられないんだ。君の力が、必要なんだよ。」
「あ…貴方生きているの!?凍っているの!?なんなの!?」
「ごめんね。その辺割といい加減なんだ。」
「…ふーん、ふーん!私の冷気が絶対零度より耐えられるなんてよくも見せつけてくれたわね。」
そっと、冬妖精が晶のおでこにキスをする。
その直後、凍てつく冷気が体に回り、なじみ、晶の身体の冷気がからからと崩れ落ちていく。
「良いわよ。今回だけ力を貸してあげる」
「ありがとう。所で言い忘れてたけど、僕は元男なんだ」
「…はぁぁ!?なんでそれ先に言わないの!?顔立ち…イケメンポニーテール東洋男子…服さえ整えれば…!」
「邪神の呪いが溶ければ元に戻れるんだけどね。」
「まあいいわ。まあいいの。胸元貸しなさい。其処に入って、貴方の活躍、どんなのか見させてもらうから。」
「うん。そうしてもらえると助かる。」
こうして、晶は冬妖精の加護を手に入れた。
「それにしても敵の気配がないな…帰還転送はしてこないから、まだいるんだろうけど、もう殆ど狩り尽くされた後かな?」
●一方、白き蜥蜴のオブリビオンは。
絶対零度の、風しか音の無い世界。
そこに足音が新たに追加される。
白き蜥蜴の少女達は、足並みを揃えてある場所に向かう。
凍土のあちこちで暴れた猟兵。己より強き者達。
強い。楽しい。
彼らを打ち倒し、屈服させ、無様なまま氷に閉じ込めてしまえば、どれ程の優越感を得られるだろう。
彼女達は気配を探っていた。まだ残っている全ての白蜥蜴が、まだ残って探している猟兵達の元へ。
ざわりと、雪の様に白き鱗が沸き立つ。
彼女達はある1点、とても目立つオブジェクト…かまくら。
そこにいる只者ではない気配の元へ、迫り来ることにした。
●かまくら防衛戦線
「……ここ、どこ……」
その冬妖精は目が覚めると、雪で出来た室内のような所にいた。
なんだか部屋の中心がぽかぽかする。
「起きた?」
ラモートがどこから取り出したのか、こたつやミカン、きつねうどんなどを用意してくつろいでいた。
ここは絶対零度地帯に魔法による即席でできた、かまくらの中。
「あたたかいの」
「きっと冬だからだよ」
「冬って、あたたかい?」
「それよりみかんでも食べる?」
こくりとうなずき、冬妖精がみかんを手に取ると、それはあっという間に冷凍ミカンになり、シャリシャリとほおばる。
「器用だね」
「こたつもあったかそう」
「あたたかいのが好きなの」
「さむいせかいは、あたたかいのをもとめがち…」
すると足音がした。
それは猟兵のものではなく、爪をひっかくような音。
ブリザードの最後の群れが、彼女らの所に迫りくる音である。
「おともだち?」
「ぼくたちのユートピアを壊しに来た怪人」
「怪人???」
「やっつけないとここ壊されるよ」
「えっ…頑張る!冬がここを守るの」
「あ、じゃあ適当に頑張ってね。」
ラモートは突飛に出ていった冬妖精を止めもせず、目的は達成したからとかまくらこたつ生活を満喫した。
こたつの中でもぞもぞするダッキトスが足に触ってくすぐったい。
「さむいの、きいてなさそう…」
冬妖精は精一杯吹雪を放ちブリザードを足止めするも、全く動じる様子はない。
「へいる…すとーむ!」
冷気がダメなら物理と、空から雹を降り注がせる。
最初は小石程度、どんどんと大きく落下していく雹が、次第にサッカーボール大の大きな雹へと変わり。
ごつん、ごつんと、鈍い音を氷の世界に響かせ落下させる。
だがブリザードは動じない。
襲い来る雹に合わせて、爪を振るい、切り裂いていく。
3枚降ろしになって軌道がそれて落ちる雹の大群。
冬妖精の力だけではオブリビオンには勝てない。
過去の骸を倒すには、やはり猟兵の力が必要だった。
距離を詰められ、かまくらの中にいるラモートを見やるブリザード。
顔をにやりとした後、何体かは息を吸い込み、何体かはその爪を、一振りで破壊できそうなほどに巨大化させ。
無慈悲なる一撃を、打ち放つ…。
●氷を以って狩る者。それを狩る猟兵。
「させないよ」
放たれる無数の氷柱のブレス!
それはかまくらに直撃する直前で静止し、勢いを殺されて落ちる。
「何かしら今の!貴方の氷の力?」
「僕なりのオーラ防御だよ。…さて爪は耐えきれるか…」
気配に辿り着き、駆け付けた猟兵、晶がかまくらを守っていた。
十数メートルもある巨大な爪が、叩きつけられるように降り下ろされる!
「周囲の気温を代償って、絶対零度ならこれ以上下がらないんじゃ」
「世の中には絶対零度を超える寒さの魔法や現象もありましてよ。それより大丈夫なの?止め切れて?」
「信じられないな…分子が止まる以上に下げてどうするつもりなん、だかっ!」
邪神の力を開放した晶の、時を止める魔法。
それが氷爪を止める…否、滑るように、落ちて来る!
絶対零度の静止した世界を超える力の爪であれば、止まった世界の中でさえも貫通し、動く!
「理屈が良く分からないけど…!」
「あ、あわわ、こわされちゃう…!」
雹を降らせていた冬妖精がいよいよ観念する。その時!
「おっと、そうはさせませんよ。」
後ろから飛び込んできた黒猫が、ぺろりと氷爪をなぞるように舐める。
降り下ろされた氷爪が…かまくらを滑り、地面に落ちた!
帽子に透明な冬妖精を乗せた、仄々も加勢に現れたのだ!
「あ、いいですねこたつ。終わったら入っても宜しいでしょうか?」
「どうぞどうぞ。今来てもいいよ。」
悠々とうどんをすするラモート。
「戦わないの。まあいいけど。言ってる間にもう襲ってきそうだ。」
色々と突っ込みたい気持ちは戦闘の流れに押しつぶされる。
どうあれブリザードはかまくらを中心に猟兵達を狙う。
ここが最後の正念場だろう。
ブリザードが氷爪を空に振るう。
それはダイヤモンドダストの斬撃となって晶に襲い掛かる!だが!
「ふっ!」
晶は凍土にワイヤーガンを放ち、ひっかけ、巻き取るようにして斬撃をおおらかに回避。
ついでにかまくらの間合いからも外していく。
滑るように移動するのは仄々だ。
舐める事で摩擦を無くすユーベルコードを足裏に使う事で、氷の世界でスケートをする優雅な黒猫となっている。
スピードスケーターの様に滑走。ドリフトを行いながら、ブリザード達の吹雪のブレスを晶とは反対方向に躱していく。
「キイィィィッ!」
翻弄に次ぐ翻弄。
まともに戦わぬ猟兵達の攪乱にブリザード達は怒りの目を向けながら、追撃に駆ける。
「オオオォォォッ!」
一人のブリザードが、地面に対してブリザードブレスを放つ!
無数の氷柱は空から飛ぶのでなく、凍てついた大地から突き上がるように放たれた!
「そんな芸当が…!」
大変である。これに関しての対策など取っていない。予想外が現れればその場での判断が重要となる。
「にゃうっ!」
仄々は目の前で突き上がる氷柱を…ぺろりと舐める!
つるりと摩擦を無くすことにより、ぶつかり時の衝撃を無くしてブリザードに接近する。
だが今度は足元から氷の柱が突き上がろうとしていた!
「ケットシーを舐めないでいただきたい!」
仄々の持つ魔法の武器が光る!それは残像を残し、物理法則を一瞬捻じ曲げて、突き上がる氷柱を回避した!
「地に居れば氷の柱、そして空にいれば…」
邪神の力で宙に浮き、空を跳ぶ。
そんな晶に巨大な氷の爪と、無数の氷柱が襲い掛かる。
凍てつく空の下、ブリザード達の猛襲に晶は回避の一途をたどっていた。
「外せば自爆してしまう…僕のコードを、確実に当てる隙を見極めないと。」
「では作らせて頂きましょう。ちょっとはしたないですが!」
仄々はブリザード達とのすれ違いざまにぺろぺろと地面を舐めた!
「ウ!?」
「ガッ…!!」
二人はただ逃げ回っていただけではない。円を描くように移動して、ブリザード達を円の中心に密集させていたのだ。
そこにツルツルと滑る、立てない程の氷床にされたブリザードは、ドミノ倒しにこけていった!
「ははっ。凍らせれば凍らせる程強くなると聞いていましたが、それは立っているときの話ですよね。」
「オノ…レ…!オノレ…!」
「タオス…タタカウ…タオス
・・・!」
這いまわる、文字通りの蜥蜴の様にもがき続けるブリザードは、必殺の一撃の恰好の餌食だ!
「助かるよ。外すと悲惨な事になるからね」
晶は邪神の力から、時空凍結の魔法を練り上げる。
それは今まで防御に使っていたものだが、敵が動きを止めた今、ブリザード達を中心に展開される!
【邪神の抱擁(フリージング・タイム)】
時空よ 凍れ
「「「「「……………………」」」」」
「な、何をしたんですの?貴方さっきから…」
「これは時空凍結のユーベルコード。もう安心だよ。彼女達の時空は止まった。」
空を跳ぶのを止め、ふわりとブリザード達の所に降りる晶。
ブリザード達は、地面でもがき慌てる様のまま、凍ったように静止していた。
「羽織ってる毛皮が無ければもう凍っていくしかないよね?前回回収し損ねたんだ。全部頂くよ」
晶はゆっくりとブリザードの羽織る、不凍熊の毛皮をはぎ取り、素の姿に戻していく。
「「「「「……………………」」」」」
やがてブリザード達は絶対零度の冷気に晒される。
みっともなくみじめな姿のまま、ただ止まり、凍り、凍り続け。
ゆっくりと、ゆっくりと、リアルな蜥蜴少女の樹氷が出来上がるように、延々と、凍り続けていった……。
●絶対零度から抜けて、猟兵、春へ。夏へ。
「あ、折角だから一つ頂戴。」
「もしよろしければ私にも頼めますかな。」
「…まあ沢山あるけれども。」
晶は仄々とラモートに不凍熊の毛皮を分ける。
「んじゃ、ぼくはこれで。春のこたつ生活満喫完了っと」
早々にラモートは帰還していく。
「え?春?」
「冬終わったばかりじゃない!?」
戸惑う妖精達に、仄々は早速不凍熊の毛皮を羽織りながら。
「まあいいじゃありませんか。ここは常に絶対零度。常冬なのでしょう?」
「ん…そうなの。」
「でもずっといると周りが暑くなるから、私達は世界を巡って行くんだよ」
「成程。所で私、この地に興味があって訪れた口ですので」
足元に転がっていたサッカーボール大の雹を、ころんと足で転がして。
「折角なので、終了時まで遊んでいきたいです。どなたか参加していただけませんか?」
「わ、遊ぶ遊ぶ!」
「絶対零度で爆発あそびとか!」
「何ですかその物騒な遊び」
「サッカー?サッカーするの?」
次々に、どこかから集まってきた、眠りから覚めた妖精達が集まってくる。
「こたつもみかんもあるから、終わったらくつろげるね。」
「えっ!しまっ…忘れて…ぁぁ…」
こたつ。みかん。
仄々は冬の誘惑に乗ってしまいそうになるが、しかし目の前の雹玉も捨てがたく。
「…では遊び疲れてからこたつに参りましょう。良いですね。絶対ですよ!」
「「「わーい!」」」
飽きるまで冬妖精達との戯れを。
それが不凍熊の毛皮を身に纏う、絶対零度の勝者の報酬であった。
「ところで…連れて帰った方がいいのかぐえっ!」
晶が一人、疑問に思いながら胸の妖精に語りかけると、妖精は素早くきゅっと晶の首を絞めた。
「連れていきなさい。殿方がいるのでしょう。私を待ってる方がいるのでしょう。ぐりもあ?ベースとやらに。さあ、早く、速く。」
「…まあいいか。あのグリモア妖精が最悪保護してくれるだろうし。ああ僕の家でももちろん構わないよ」
それに、ここに居たらまた氷漬けで眠ってそうだしと。
妖精の勝手じゃない!等と冬妖精がごちながらも、晶もまた帰還の光に包まれた。
彼女達の行方は、とりあえずご想像にお任せする方で。
かくして猟兵達はオブリビオンを退け、遊び疲れてこたつに潜った仄々も帰還したところで、ようやく幕を閉じる。
その地はまた絶対零度の凍気が吹雪を呼び、静寂なる氷の世界の様子を続けていた。
ただ少し変わった事といえば、脅威になる敵がもういない事、氷の幾つかが壊れた事。
絶対零度の地の中心に、不思議とあたたかなかまくらが建っていた事だった。
成功
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