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ハイド・アンド・シーク

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●きっとどこにでもある一つのお話
 ――いいかい。泉や川、それに沼なんかには大人が居ないときは近付いちゃいけないよ。
 ――大きな水のあるところには子供を食べるのが大好きな……大きな、それは大きな蛇がいるからね。
 ――そんなの嘘だって? そんなことはないよ、本当の話さ。
 ――それじゃあ今から、お婆ちゃんがお話を聞かせてあげようね。

 ……。
 …………。
 ………………。

 ――昔々、あるところに男の子と女の子が居ました。
 ――二人はとっても仲良し。一緒に近くの森を冒険するのが毎日の楽しみでした。

 ――あるとき二人は森の中で泉を探す冒険に出ました。
 ――世にも珍しい青い鳥がそこにだけ住んでいる、その鳥を見た者には幸運が訪れる、そう大人たちが話しているのを聞いたからです。

 ――二人は森を行きます。場所も知らない泉を探すため、歩き慣れた道を外れ。大人たちに青い鳥を見たと自慢するため、その奥深くを目指して。
 ――危険な動物を隠れてやり過ごしたり、知恵を働かせて悪路を乗り越えて、ついに二人は森の奥で泉を見つけました。
 ――青い鳥はどこだろう、二人は泉の縁に駆け寄って空を見上げます。
 ――……そのとき。

 ――湖に波紋が浮かび上がり、そこから一匹の大蛇が顔を覗かせました。
 ――上を見るのに夢中で泉の様子に気付かない二人を、お腹を空かせた大蛇がまる飲みにしてしまいます。
 ――大好物の子供を食べて満足した大蛇は再び泉に潜っていきます。
 ――青い鳥を探した男の子と女の子。今は青く深い泉の底……。

 ………………。
 …………。
 ……。

●子供を狙う牙
「……というお話なんですけど、こういうお話、皆さんは聞いたことありますか?」
 グリモアベース。一堂に会した猟兵たちへ向けて尋ねる可愛らしい声があった。
「チーカも似たような話をちっちゃい頃に聞かされました。今思えば、小さな子たちだけで水場に行って溺れてしまわないようにするための……ぐうわ? って言うんでしたっけ? それだったのかなって」
 小さな身体を翅で宙に浮かべたまま、形は違えどどこにでもあるような話にエスチーカ・アムグラド(Espada lilia・f00890)は思いを馳せる。
「……あやっ! 違います違います!今はそれはいいんでした! 実はですね!チーカ、見てしまったんです!予知してしまったんです! 森の中で男の子と女の子がおっきな蛇に食べられてしまう所を!」
 本題を思い出してはっとするチーカ、身振り手振りを交えながら彼女の見たという予知についての説明を始めた。
 曰く、森に冒険に出た子供二人が水の大蛇というオブリビオンに襲われてしまうのだそうだ。まるで先程彼女の口から語られた寓話の中の子供たちのように。
「皆さんにはこの男の子と女の子の事を助けてあげて欲しいんですっ! どうか、よろしくお願いしますっ!」
 エスチーカは花を思わせる桃色の髪を舞わせ、妖精の小さな身体で猟兵たちへ深々と頭を下げるのだった。

●陰に潜んで危険を討て!
「まずは森に入った男の子と女の子を探してあげてください! 今から急いで行けば、二人がそんなに遠くへ行く前に追いつけると思うんですけど……それでも森の中です、簡単には見つけられないかもしれません。注意深く探さないとですね! あとあと、この森と接するように二人の住む町があるんです。そこで二人が何処を目指して森に冒険へ行ったのか聞いてみるのも手かもしれません! きっとやり方はいっぱいあるはずです!」
 意気込むように両手を握り猟兵たちに明るい表情を向けるエスチーカ、しかしその眉尻がゆるゆると下がり、笑顔は申し訳なさそうに弱々しくなっていく。
「それでそれで……、なんですけど……。男の子と女の子を見つけた後、出来たら皆さんには影から二人のサポートをしてあげて欲しいなって……チーカ、思ってまして……」
 俯きがちになって、様子を伺うように猟兵たちを見上げる妖精は、言い辛そうにしながらもそのまま言葉を紡ぎ続ける。
「だって、あの、……冒険って楽しいじゃないですか、ワクワクするじゃないですか。何かを見つけられたら嬉しいですし、何にも無くってもその事だけで笑えちゃうっていうか……」
 妖精が今一度握った拳に力を籠めて顔を上げる。その幼い瞳には強い光が宿っていた。
「だから、ですね……っ! 皆さんには二人が冒険をちゃんと終えられるように、こっそりと危ないものを取り除きながら進んで欲しいんです!」
 例えば野生動物との遭遇、例えば歩き辛い道との邂逅、そういったものを子供たちにバレないように何とかして欲しいのだそうだ。そして最後には――、
「水の大蛇も、です。放っておいたらまた同じことが起きてしまうかもしれませんからね。予知で二人が……襲われてしまっていたので、二人の進む先にこのオブリビオンの住処があるはずです」
 説明を終えて一息つくチーカ。後は出発するだけとなった猟兵たちへ無垢で温かな笑顔を向け、最後にもう一つ言葉を送る。
「チーカたち猟兵はオブリビオン……過去から襲ってくるものと戦っていますが、どうか今の二人を、きっと未来で楽しかったって語れる思い出を、いつか過去になるこの冒険を……守ってあげてください」


芹沢
 影ながら戦うヒーローって格好いいですよね。
 今回猟兵の皆さんにはこっそり隠れながら子供の冒険を助けて頂きたいと思います、よろしくお願いします。

●各章について
 第一章:冒険に出た男の子と女の子の捜索(冒険)
 第二章:男の子と女の子から隠れ、冒険の障害となるものを取り除く(冒険)
 第三章:水の大蛇との戦闘(ボス戦)

 という流れで進行します。
 上記の流れ以外は定まったものはありません。どの様な行動であっても結果はプレイング内容とそれによる判定にのみ依存します。ですので自由な、猟兵の皆さんらしさ溢れる発想で臨んで頂ければと思います。

●その他
 スケジュールとキャパシティの都合でプレイングをお返ししてしまう可能性は常に付きまといます。無理のない範囲でより多くの採用をしていきたい所存ですが、予めご了承して頂けますと幸いです。
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第1章 冒険 『幸せの青い小鳥』

POW   :    そんなに遠くへは行っていないはず。森の中をしらみつぶしに探す

SPD   :    足跡や目撃情報を探し痕跡を追う

WIZ   :    子どもが通りそうな道を予想したり、森の動物に尋ねて後を追う

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

作図・未来
目的地もわからない森を二人で冒険か。
僕たちで危機を取り除けば、それはとても楽しい物語になるだろうね。
その為にも、僕たちが頑張らないと。

と、その前に。
まず町に行って、二人の私物を借りておきたいな。
子供たちが二人きりで森に行ってしまったと言えば、誰か協力してくれないかな。
できれば靴かなんかがあるといいんだけれどね。


僕は砕牙の舞踏を使って探索しよう。
ああ、すまない。今回は戦闘目的じゃないんだ。
君たちにこんなことを頼むのも申し訳ないんだが、この臭いを辿れないかな?

ん、持ち主はどんな奴だって?
そうだね、将来君たちのように誇り高い大人になるかもしれない――
――小さな小さな、勇気ある者たちさ。


ジェット・ラトリオック
町で情報収集を行う。幼いとはいえ仲の良い二人組の男女、知らない、見かけていない人物は少なくはないだろう。
親でも、その子達の友達、知り合いでもいい。見つけ次第に危険が迫っている事を伝え、森の中へ向かうルートを可能な限り聞き出す。森近くの街であるなら、住んでいる住民も森に詳しいはず。兎に角些細な情報でもいいので聞き取ろう。
下手に向かえに行かれても面倒だな。自分の他にも腕の立つ冒険者達が動いている事も伝えよう。全て任せて欲しい。

好奇心を否定はしない。だが恐れも持つべきだ。例えどれだけ平和に見える世界であっても。…まぁ、今考えるべき事でも、俺が言う言葉でも無いか。
すべき事をするだけだ。


ピート・ブラックマン
【SPD】で判定
二人の冒険を無事に終わらせるためにも、まずはガキどもを見つけないとな

人探しはあんまやった事はねぇんだが、まずは情報を集めねぇとな
地図を片手に二人が住む近くの街で情報収集だ
とにかく二人が行きそうな場所を手あたり次第に教えてもらう

場所が分かれば、地元の奴らなら通りやすいルートも知っているかもしれねぇな
全く違うルートを通っているかもしれねぇが、やみくもに探すよりは見つけやすいだろ、たぶん

【他の参加者との連携、アドリブ等歓迎】



 森と接するように広がる、その森からの恵みを享受して発展したとある町。そこに二人の猟兵の姿があった。彼らは行き交う人々に声をかけては質問を投げかけ、数度のやり取りを経てまた次の人の元へ……それを繰り返し行っている。
 しばらくの後、彼らは情報を交換し合うために集まり、向かい合う。
「どうよ、目ぼしい情報あったか?」
 黒い流体で形作られた相貌、持ち主のピート・ブラックマン(流れのライダー・f00352)が口を……恐らく口を、開いている。発声している。彼の右手はペンを回し、左手は町と森とが記された地図を開いていた。
「件の二人の遊び友達から話を聞けた。どうやら森に入る時にいつも使う入り口があるらしい。目撃情報も得た」
 金属に反響したような、くぐもった声で応じるのはジェット・ラトリオック(黒玉の蛸・f01121)だ。バケツと見紛うような円柱型の兜でその相貌を隠す彼はピートの持つ地図の一点、商業区画の片隅へと静かに人差し指を置いた。
「俺たちのスタートも……ここからになるな。こっちはゴールの方を聞けたところだ」
 ピートは手にしたペンに円を描かせ、示された点に印を書き入れる。
 紙の上を滑る乾いた音の後にペン先が地図から離れ、持ち主の言葉が続いた。
「……といっても俺たちのゴールじゃねぇ、二人のゴール、目的についてだ。ガキども、森の中で青い鳥を探そうとしてるらしい」
「いよいよあの話じみてきたな」
 ジェットは思い出す。グリモアベースで聞かされた青い鳥を探す男の子と女の子の、そしてその顛末の話を。
 兜に隠れたその表情は果たしてどんな感情を表しているのだろうか。声音から探ろうにもその音は複雑に反響していて捉えどころがない。
 そんな時、二人へ駆け寄る足音が響く。
「待たせたね、首尾はどうだい?」
「上々だ。そっちは?」
「目当てのものは借りられたよ。親御さんにも事情の説明をしておいた」
 息を乱すことなく、落ち着いた表情で語るのは足音の主、作図・未来(朝日の死者のタンツ・f00021)だ。未来は地図を示すように片手を挙げるピートへ手にした小さな靴を見せる。
 彼は二人とは別行動で森に冒険へ出た二人の子供の一方、男の子の家を探して赴き、この靴を託されてきたのだ。
「ならば、森へ急ごう」
 ずしりと、重い響きで声を発するジェットにピートも未来も頷き、三人は商業区画にあるという子供たちが使用した森の入り口を目指す。

 目的の入口へとやって来た三人。しかしその顔触れは一つ増えている、未来の傍らに白い毛並みを持つ大狼がいた。
「この臭いを辿れないかな?」
 未来は屈み、手にした靴を狼の前へと差し出す。狼はじっと未来の瞳を見つめた後その鼻先を近づけ、少しの後で離す。
「君たちにこんなことを頼むのも申し訳ないんだが……」
 狼は再び未来へと視線を送る。睨むでもなく、訝るでもなく、鋭い表情のまま、じっと。
「ん、持ち主はどんな奴だって? そうだね、将来君のように誇り高い大人になるかもしれない」
 ――小さな小さな、勇気ある者たちさ。
 凛とした笑みを浮かべて語る未来。彼の言葉に満足をしたのか、白い毛並みを持つ古き勇者はゆったりとした足取りで森へと踏み出していく。
「……にしても、幸せの青い鳥を探して二人で冒険か。とても楽しい物語になるだろうね……危険な目に遭わなければ、だけれど」
「二人の冒険を無事に、楽しいまま終わらせるためにも、まずはガキどもを見つけないとな」
「……すべき事をする、それだけだ」
 見守る三人の耳に狼のひと吠えが届く、匂いの道標を見つけたのだろう。
 彼らはそれを合図に森へと踏み込んでいった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

天命座・アリカ
冒険とはね素晴らしい!夢と浪漫は大事だよ!
無謀とも言える行動力が子供の特権ならば!
それを守るのが大人の特権だからして!
この天命座!影ながら青春を応援しようじゃないか!

とにもかくにも追跡さ!見つからなければ始まらない!
森の中を進むとしよう!大丈夫、尾行任務だからね!少しは静かに喋るとしよう!(相変わらず動きはうるさい)

急ぐ時こそ冷静に!頭脳明晰な私の分析と行こうじゃないか!
方角的にこちらではなく、こっちは人が歩いた形跡がない!
子供が通りそうなルートはいくつか絞れたが……ふむ!
(落ちていた木の棒を立てる。倒す。)
こっちだね!大丈夫、天命座の勘は当たるのさ!【第六感1】
人事も尽くした、問題ないよ!


クロヴィス・オリオール
迷子のガキの捜索に護衛……っておいおい、オトナは忙しいんだ。
ンなもん勝手にてめーらで……あ゛ー……ぁー…わぁったよ、行くよ、行く。ちっ、そんなキラキラした目で見ンじゃねぇっつの。

【POW】
ガキの歩ける距離なんざ知れてンだろ、しらみつぶしに探してくぞ。
同じトコ何人で探しても意味ねぇし、出来るだけ他のヤツが向かってない方を選んでこうかね。

アンタはそっちに行くのか?じゃあ俺はこっちだ。
何か見つけたら後で情報共有な、ってカンジで。

ガキは2人でいるンだろ。
2人だけの冒険で盛り上がってるにしろ、町を離れて不安になってるにしろ、何かしら会話はしてそうだな。
よーく耳をすませりゃ、何か聞こえたりしねぇモンかね。


小此木・くどら
捜索、捜索………
どこに?なぜ?どうして?

いや、余、そういうの考えるの苦手だった!わはは!!
【相棒】(ママチャリ)と共にそれこそ足で!レッツ…ゴー!!!

しらみつぶしもしらみつぶし!
子供の足なんてたかが知れている!!
余の足に敵うはずもなーい!!

とはいえ、痕跡があれば見逃す余でもない
しっかりと目を開いて、耳を立てて、
さあ、行こうか!!!



「あンでオレが迷子のガキの捜索に護衛なンて……」
 湿り気を帯びた森の風にクロヴィス・オリオール(GamblingRumbling・f11262)の小さな――フェアリーとしては大きな――身体とその口から零れ出た悪態がそよぐ。
「……ちっ、あんなキラキラした目で見ンじゃねぇっつの……、あ゛ー……オトナは忙しいっつーのに」
 答えるものの無い森の中、静けさと会話するのでなければ返答は己の内からしか出てこない。そして浮かんだのは、グリモアベースでの一幕。
 ――焼きが回るにはまだ早くねぇか。
 そんな自分へのぼやきと共に溜息が一つ。眉根は未だに皺が寄っているものの、クロヴィスは四色の翅をはためかせて、溜息を置き去りに前進していく。
「(ガキは二人。何かしら会話してンだろ。よーく耳をすませりゃ……)」
 森の静けさの中で、自分の放つ翅音以外の音を探るために集中するクロヴィス、彼の耳を微かな声が揺らした。

 でこぼこの不整地に車輪の音。
「捜索、捜索……」
 音源はマウンテンバイク……ではなく、ママチャリだった。そのママチャリを相棒と呼ぶ、この森の中を行くのでさえママチャリに跨り、自慢の健脚でペダルを踏むのは小此木・くどら(Hey,Chari・f00728)だ。
 どこに、なぜ、どうして。胸中にいくつかの疑問が湧いては消え、湧いては消え……まるで交互に上下する左右の脚のよう。
「いや、余、そういうの考えるの苦手だった! わはは!!」
 しかし快活に笑えば疑問を振り切るように一層足に力が籠り、ペダルが回る。樹の根、岩に泥濘などお構いなく、相棒を自分の身体のように操って進んでいく。
「兎にも角にも痕跡だ。しっかりと目を開いて、耳を立てて……」
 周囲にしっかり意識を注ぐかれの耳もまた、微かな声に揺らされることとなる。

「方角的にこちらではなく!」
 色白の指が力強く右を指す。
「こっちは人が歩いた形跡がない!」
 しなやかな指が風を切って左を指す。
 その指の持ち主、天命座・アリカ(自己矛盾のパラドクス・f01794)は幾らかトーンダウンさせた声で、しかしその分だけアグレッシヴさを増しているように見えなくもない動きで枝分かれした道と相対していた。
「となればルートはいくつか絞れたが……ふむ!」
 アリカはふと目についた木の棒を手に取ると岐路の中心にそれを立て、手を離せば、棒は物理法則に従い乾いた音と共に一本の道へと倒れ込む。
――こっちだね!
 得意気に頷き、人事を尽し天命座が行くとばかりに一歩踏み出したとき、彼女がつい今しがた指差し確認をした左右の道から妖精の翅音とママチャリの走行音が近づいてきた。
「いや、アリカの声かよ……」
「余としたことが! よもや仲間の声だとは思わず!」
「おっと、こんなところで……。すまないね! 私は完璧電子生命体だからさ!どうしても誰かを惹きつけてしまうのさ!」
 恨めしげな視線を送るクロヴィス、楽しげに驚いているくどら。そんな二人にアリカはニコニコと笑ってみせ、
「ここで合流したのも何かの縁!共に行使しようじゃないか大人の権! 無謀とも言える行動力が子供の特権ならば!それを守るのが大人の特権だからして!」
 仁王立ちするように胸を張り、朗らかに言ってみせる。
「オトナの……、ね」
「……子供の特権を守るために!」
 その言葉は忙しいオトナに、疑問が湧き出す胸中に何を感じさせただろうか。
「ガキの歩ける距離なんざ知れてンだろ」
「子供の足なんてたかが知れている!!」
「「……」」
「はっはっは! 君たち気が合うみたいじゃないか!」
 同時に発せられた同じ主張、続く何とも言えない沈黙を快活な笑いが吹き飛ばす。
「行くぞ、しらみつぶしだ」
 バツが悪そうに進みだすクロヴィスの後ににこやかなアリカが続き、そんな二人の後ろからはママチャリの――なぜか二つ取り付けられている――ベルの音が、賛同の意志と共に響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ロク・ザイオン
(森番は森と。森の危険からひとを守る。
子供の蛮勇は森番としては止めるべき。なのだが)

…………子供が健やかに強くなることも。森番は、望むから。

(建前である)
(とても、とても、子供が喜んでいる。張り切っている)
(それを邪魔するなど、自分にはッ……!)

【SPD】
(街の中の聞き込みは、慣れた者に任せたい。
森の中なら自分の領域。
歩き慣れぬ子供の足跡はきっと、見つけ易い。【野生の勘】も駆使しよう。
【地形利用】して【追跡】する。)

……はじめての冒険は。
楽しい、もんな。


リコリス・ミトライユ
絡み、アドリブ歓迎

流石に、こんな冒険をするような子を放っておくのも、
ちょーっとだけ、年上のあたしには心配かもです。

ほら、帰ってきて怪我で怒られたりするのって、イヤですし、ね?
心配のない冒険にしてあげましょう。

森の中を探すってことは、エルフの技能も役に立つかもですし。

流石に、このくらいの子供が足跡を誤魔化して迂回、なんてしないでしょうから、
足跡や、折れた草、枝なんかを見てチェックしていきますね。
折れた方向なんかを見たら、次はどっちってわかるかもしれません。

あとは、自分がどこに居るか迷子にならないように、
木の上に、ジャンプして、ブーツの力で移動して、
地図を作って、チェックしておきましょう、っと。


黒白・鈴凛
冒険は良いアル。心踊る経験は多少の危険を犯してでもやる価値があるヨ。
しかし、その多少で人生台無しする良くないネ。
此処は私たちが一肌脱ぐヨロシ。

先ずは子供の探索アルナ。【野生の勘】と身体能力を活かして木の枝を飛び移りながら探すヨ。
見つけたらこっそり追跡開始アル!



 枝葉の揺れる音、小気味よく連なり森を進んでいく。
「随分空気が冷たくなってきたアルナ。」
 黒白・鈴凛(白黒娘々・f01262)は太く立派な樹木を選び、その枝を飛び移っていく。自然に囲われた空間特有の澄んだ冷気を素肌に感じながらも、右の瞳で周囲に視線を走らせていた。
「まだ浅い所とはいえ時期が時期ですしね。子供たち、寒がったりしていないといいんですけれど……」
 そこに更にもう一つの影。鈴凛よりも、さらに言えばこの森に生える木々よりも高くから降ってきたその影は枝の手前で空を蹴って小さく跳ねる。減速の為の跳躍の後、白金の糸を思わせる髪を揺らして枝に着地したのはリコリス・ミトライユ(曙光に舞う薔薇・f02296)だ。
「早く見つけて、守ろう。危険からも……寒いのからも。おれたちで。……でも、」
 樹上を行く鈴凛とリコリスの下方、腐葉土に足が置かれる柔らかな音に混じって砂塵で撫でるような特徴的な声が紡がれる。二人の速度に遅れることなく、軽やかに、初めて足を踏み入れる森にも関わらずまるで長年この地の番をしてきた者のような慣れた足取りで追走していたロク・ザイオン(疾走する閃光・f01377)だ。
「森のすぐ傍で育った子供たち、きっと対策、してる」
 もしそうでなかったとしても今は冬、それに対する防寒は少なくともしているはずだと語るロクの瞳には子供たちに向けた期待のような、信頼のような、そして慈しみのような前向きな感情を秘めていた。
「くふふ、ロクは子供のこと好きみたいアルネ?」
「…………子供が健やかに強くなることを。森番は、望んでいるだけ、だ。」
「怪我をしてしまったり、帰って来てそれで怒られてしまったら可哀想ですしね。あたしたちで心配のない冒険にしてあげましょう」
「そうネ。多少の危険、子供の成長に繋がる事もあるかもだけど、その多少で人生台無しする良くないネ」
 前進するために身体を躍動させながら言葉を交わしあう三人。鈴凛は意気込みも新たに笹団子を取り出すと、それを包んでいる笹ごと食べてしまう。良く噛んで飲み込めばまるで全身に気が漲ったように行軍スピードが上がり、
「ここ、枝が折れてるネ!」
 野性的な勘まで研ぎ澄まされたのだろうか。ふと走らせた視線の先で数本の、低い位置にある小枝が中ほどまで折れ、曲がっているのを見つける。それは例えば、折るためにそうしたのではなく進む為に意図せずそうしてしまったような中途半端さ。
「足跡も。二人分だ。……ちゃんと歩いている、怪我もしていない、と思う」
 鈴凛の見つけた小枝の元でロクは小さな足跡を見つける。それは一定の感覚で刻まれていて、左右の跡に大きな差異も見受けられない。子供たちが確かな足取りで前へと向かっている証拠だった。
 リコリスは子供たちの足取りを確かめると、町と現在地、そして進行方向を確認するために空へと跳ねていく。一つ跳ねる度に身を捻り、くるり、くるくるり。宙で踊るように全周を確認して、
「町から森の中心に向かって、進んでるみたいですね。でもちょっとだけ、東にずれているかも」
 軽やかな着地と共に情報を持ち帰る。森の中で正確に、真っ直ぐ進み続けるのは難しい。これが果たして子供たちの予定通りの道筋なのか、それとも知らず知らずのうちにそこから逸れてしまっているのか。今は未だそれを知る術がないが、猟兵たちは最初の目的地である子供たちの元へと真っ直ぐに進んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四樫・マコル
【アドリブ歓迎】
男の子と女の子が二人で一緒に冒険だなんて青春っすねー!甘酸っぱいっすねー!
そんな甘酸っぱい青春物語を完結させるためにもあたし頑張るっすよー!
おー!!

【SPD】
まずは森の中の二人を探し出すところからっすね!
しかし、こんな薄暗そうな森じゃまともに探しても見つかりっこないっす!
というわけでUC『白ヤギさんたら詠まずに喰べた(ユーゴートメール)』を使って視力を強化するっす!
この視力なら森の薄暗いところでも昼間のように明るく見えるっす!!
あとはあたしの「野生の勘」を頼りに探していけば、自ずと二人を見つけられるはずっす!


浅葱・シアラ
冒険冒険だ!
子供達を守ってシアたちも冒険冒険!
えへ、楽しそうだね、男の子と女の子を守って、2人の最高の思い出にしてあげようよ!


判定は【WIZ】
使うユーベルコードは「紫光蝶」

シアもね、伊達にかくれんぼ得意なわけじゃないんだよ!
えへへ、同じ子供の目線に立って、探してみるよ。
動物さん達ともお話してみたり……。……動物さん何言ってるか分かんない!
技能【地形の利用】を使って地形をよく見て、利用して、子供達ならどんな風に歩いて行くか予想して、道を見つけてみるよ

もし薄暗い道とかあったら紫光蝶を使って照らしてもらうよ
地形で傷ついたりしたら回復もできるしね、疲れすぎないようにほどほどに使って行こう


ヴィクティム・ウィンターミュート
ったく、男して生まれたからにはそういうのに憧れるのは分かるけどよぉ…無理無茶無謀が通るのは強ェー奴だけだぜ。しゃーねーな。今回ばかりはいい目を見せてやる。主役はお前だ。超一流の端役がいることに感謝しとけよ、ジューヴども。

広域偵察なら俺の出番さ。偵察ドローン105機をフル動員して、機海戦術としゃれこむぜ。子供が物理的に通れない場所を除外して、【情報収集】で探す。足跡やら、人が通った痕跡がありゃ【追跡】できる。ついでに、森の中の危険な場所、生息動物も調べあげて危険を予測しておきたいな。仲間との連絡は随時行うぜ。

「レッグワークにおいて、俺以上のプロなんざ早々いねえよ」

アドリブ、連携大歓迎



 ひと時の雲間。森の中で常緑樹が生い茂る一帯に踏み込んだ猟兵たちは二重に光を遮られ、薄暗い中を進むこととなった。
「男の子と女の子が二人で一緒に冒険だなんて青春っすねー! 甘酸っぱいっすねー!」
 しかしその中で揚々とした声が上がっている。声の主、四樫・マコル(フォーエヴァー・f00620)は頑張るっすよー!と、握った拳を燦々と輝く太陽のように頭上へ掲げていた。
「ったく、男して生まれたからにはそういうのに憧れるのは分かるけどよぉ……」
 一方、その隣を行くヴィクティム・ウィンターミュート(ストリートランナー・f01172)の声は沈み行く斜光のように低空飛行気味。冒険に赴いた子供たちの、とりわけ男の子の心境に少しばかりの予想が付くのだろう。そして付くからこそ、己の子供時代の経験が重なる部分があるのかもしれない。
「冒険冒険だ! 子供達を守ってシアたちも冒険冒険!」
 そんな二人の間を穏やかな午後の陽ざしを思わせる輝きがそよ風のように通り過ぎていく。浅葱・シアラ(黄金纏う紫光蝶・f04820)が紫の光を放つ蝶と連れ添って飛んでいく。
「えへ、楽しいね!」
「綺麗なお宝でも見つかったら最高っすねー!」
 にこやかな笑顔と共にふわりと振り返るシアラにマコルもノリノリで、身に着けたマフラーに尾を引かせながら肩を並べた。
「……はぁ。女もどっこいどっこいなわけね。主役は食ってやるなよ、俺たちはあくまで端役だ。つっても……」
――超一流の、だけどな。
 溜息一つ。しかし足取りを緩めく事も無く、次いで常緑の葉を見上げる表情はにやりと不敵に。
 レッグワークにおいて、俺以上のプロなんざ早々いねえ。そんな自負の籠った視線の先には一機のドローン、搭載された偵察用のカメラが周囲を見下ろしている。このドローンはネットワークを介して辺り一帯の、同じように偵察を行うドローンと繋がる視界の網の一部。網目を形成するために放たれた点の数は実に百と五機にも上っていた。
 上段からの監視をヴィクティムが務めるのなら、中段からはマコルがその目を光らせる。
 もごもごと動くマコルの口の中には呪文の記された化学パルプ100%の上質紙。その呪文の意味するところを本人はよく分かっていないが、しかし頬張れば、噛み締めれば、そして飲み下せば、内から身体能力が向上することを彼女は知っていた。
「……んぐ。真っ暗なダンジョンの中だって、あたしはお宝を見逃さないっすよ~」
 に、と歯を見せ朗らかに笑うマコル、強化された視覚を駆使して子供たちの痕跡を見逃さない。例えそれが小さな茂みに覆われてしまっていても、
「シアが見て来るね! ……、…………足跡、こっちに続いてるよ!」
 かくれんぼで身を隠すように、シアラがその足で茂みの中へ小さな身体を潜り込ませる。子供に近い視点で、子供よりも低い目線を駆使して下段からも痕跡も見失うことはなかった。
 茂みを揺らして別方向から飛び出すシアラが元気に進行方向を示せば、ヴィクティムとマコルが妖精の導きに従うようにその後に続いた。
「あー……そろそろ動物もちらほら見え出してきたな」
 一歩進むたびに着実に町から遠ざかっていく猟兵、そしてその先を行く子供たち。次第に森は人里の気配から離れ、そこに住まう住人達の気配を濃くしていく。
「ほんとっすか! ヤギとかいるっすかね!」
「シア、お話ししてみたい! どこかなー!」
 ドローンからの映像の幾つかに映る野生動物の姿を流し見しながらヴィクティムが呟く。その呟きを燃料にするように、マコルの脚とシアラの翅は軽やかに動いて行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーファ・レイウォール
子どもだけでの冒険ね
まぁ、そういうのも良いじゃない?
過保護なのは、どうかと思うし。
でも、哀しいエンディングは迎えさせる訳にはいかないもの

行動指針はWIZ
【世界知識】で予測して【動物と話す】で森の動物にも聞いてみるわね
時折【聞き耳】で足音や他の猟兵たちの動きにも気を配るわ

平坦な道を行っていると良いのだけど
獣道って、人にも歩きやすいらしいのよね
山中に入る人は、獣道を見つけては、そこを往くらしいもの

動物には
・大蛇の住む水場の場所
・子供たちを目撃したか、目撃した話を聞いたか
・私たち猟兵が来る前にいつもと違う『足音』や『におい』が森に入ってきていないか
を聞くわね

確実に追っていくわよ


シュシュ・シュエット
いいですよねっ、大人たちにはナイショの大冒険っ。
偶然拾った木の枝も、冒険の間は立派なつるぎ……! 行く手をはばむ森の茂みもなんのその、勇気をだして進むのですっ。
……あっ、いえ、危ないですよねっ! 宝物を探しにいかれた王子様とお姫様を、さっそく見つけにいきましょう。

わたしも【縁の下の力持ち】のネズミさんたちと一緒に、子どもしか通れないような抜け道を探します。
それこそ、拾った木の枝を使ったりして森の茂みをむりやり潜り抜けているかもしれませんっ。
葉っぱが散っているとか、枝が折られているとか……そういう痕跡にも気をつけたいですっ!

*森の動物さんたちとお話できたら、水場のある方角もお尋ねしたいですねっ。


ロカロカ・ペルペンテュッティ
まずは、男の娘と女の子を探して安全確保を図らなければなりません。目は多い方がいいですし、見つかりがたい方がより良いでしょう。UCで不可視の《追跡者》を呼ぶとしましょう。
この上で、シャーマンとしての力を喚起し、森の地霊達の力を借りましょう。彼らの声を聞き、その足取りを追います。(技能:地形の利用+第六感)
それと、僅かながらですが、《UDC因子活性剤》で、追跡に役に立ちそうな因子を活性化させて(技能:追跡、暗視、視力、聞き耳、動物と話す)、少しの手掛かりも見逃さないように努めましょう。

まだ、そう遠くへは行っていないでしょうから、今のうちに発見しなくては。他の猟兵の皆さんとも協力してまいりましょう。



「ん……そう、うん……うん……。わかったわ、ありがとう」
 比較的なだらかな、ここは森の獣道。リーファ・レイウォール(Scarlet Crimson・f06465)の声と、それに交じって鳥の囀りが静かに響いている。
 リーファの話し相手となっていたのは白い体毛に黒く縁どられた翼を持つ鳥、エナガだ。森に住まう動物との会話から情報を得た彼女は別れを告げたエナガに左右で色の違う、純白と漆黒の翼を向けて同行者の方へと戻って来る。
「子供たち、さっきここを通ったそうよ。楽しそうに、仲良く歩いてるみたい」
 安心したように口元を緩めるリーファ、薄く開いた唇からは八重歯がその姿を小さく覗かせていた。
「地霊たちもそう言っています。このまま進行方向を探ってみますね」
 ちゃり、と首飾りが揺れる微かな音。添えられていた手が離れ、重力に従って再びあるがままに首から垂れる。
 首飾りの持ち主、ロカロカ・ペルペンテュッティ(《標本集》・f00198)はリーファの言葉に漆黒の髪と獣耳とを揺らして一つ頷くと、先行させている《追跡者》と共有している五感の情報をさらに手繰るように集中を強める。
 一方、二人のやや前方ではシュシュ・シュエット(ガラスの靴・f02357)が鈴の音を奏でながら落ち葉の上を歩いている。その足元には数匹のネズミの姿、シュシュは時おり彼らに視線を落としては口を開き、何事かやり取りをしている。
「いいですよねっ、大人たちにはナイショの大冒険っ。偶然拾った木の枝も、冒険の間は立派なつるぎ……! 行く手をはばむ森の茂みもなんのその、勇気をだして進むのですっ」
 青い瞳をガラスのように透き通らせ、楽しげに進んでいくシュシュ。そんな彼女の耳にネズミの小さな鳴き声が届く。
「仲間を見つけた、ですか?」
 ネズミの声に示されたのだろう、視線をついと走らせればその先に居たのは番のリス。鈴の音と共に駆け寄って、屈みこんで目線を近づけるのだった。

「何か聞けたかしら?」
「はいっ! 水場の場所、教えて貰えましたよっ。この森の中心に泉があるそうなんですっ!」
 ややあって、リスと言葉を交わすために歩を止めたシュシュの元にリーファとロカロカが追い付いてきた。シュシュの話すリスから得た情報、それを聞いたロカロカは考え込むように指を顎に添える。
「中心……か。となると、もう少し西寄りに進んで行かないと遠回りになってしまいそうですね」
「子供だけの冒険なんて、何事もそう上手くいくものではないわ。こういう紆余曲折も悪くないんじゃない?」
「そうですっ。それに今回はわたしたちが居ますから、こっそり誘導してあげられるかもしれませんしっ!」
 長い赤髪を風に揺らし、リーファがロカロカに微笑んで見せる。その言葉にきゅ、と両手を握ってシュシュが意気込みを露わにする。
「ええ、その通りですね。その為にも早く男の子と女の子を見つけて安全を……、」
 言葉を途切れさせるロカロカ、その表情がふわりと柔らかいものになる。
「居ました。……うん、リーファさんや地霊たちから聞いた通り、仲良く歩いています」
 先行させていた《追跡者》を通して遂に子供たちの姿を視認したのだ。
 後は気付かれないままこの目に届く所まで追いかけるだけ。緋と金、そして青の瞳が宿す光を強くする。
 三人は足音を忍ばせながら、一直線に子供たちとの距離を詰めていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『めざせ!いちにんまえのぼうけんしゃ!』

POW   :    体を張って肉食獣を追い払う

SPD   :    肉食獣の居場所を特定し、仲間に伝える

WIZ   :    『宝物』と思える品物を上手く発見させ、二人を満足させる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「もう半分位まで来たかな?」
「どうだろうね、もしかしたらもうすぐそこだったりして!」
 男の子と女の子の楽しげな会話が猟兵たちの耳を揺らす。
 まだまだ気力も体力も十分、だってこんなに楽しいんだから。弾む会話と遠目に見える横顔がそう物語っているようだった。
 しかし男の子は知らない。人の気配濃い町は遠く、小鳥や小動物を目にする機会は徐々に増え、確実に野生の気配が強まっている事を。
 女の子は知らない。僅かに、ほんの僅かずつに、一直線に進んでいると信じていた道が東へ逸れている事を。
 二人は知らない。人への配慮などない悪路も、森の中を進めば出くわすという事を。
 
 例え猟兵たちが何もせず、ただ見守るだけでも彼らは泉へ辿り着くだろう。
 だがそれは、きっと多くの困難を乗り越えた先だ。子供の身には余る過酷を乗り越えたその先だ。
 陽の光を淡く包む雲は、未だ晴れないまま。常緑の葉は森の奥に進むにつれ深く、濃くなっていく……。
四樫・マコル
【アドリブ歓迎】
引き続いて『白ヤギさんたら詠まずに喰べた(ユーゴートメール)』を使って視力を強化しながら周囲を探索するっすよ!
ちょっと食べすぎてお腹いっぱいになってきてるっすけど…
動けば大丈夫っす!動けば!

【SPD】
さぁて~少年少女に迫る危険を探すっすよ~。
ってあれは腹を空かせて凶暴化している肉食獣じゃないっすか~!
ひぃ~!(草食動物の本能で縮こまってしまう)
でもでも、あたしが倒せなくても他の人なら倒せるはずっす!
お~い!こっちっす~!こっちに肉食獣がいるっすよ~!
なんとかしてほしいっすよ~!!


小此木・くどら
童は発見次第、陰から見守る……か
むむ………むむむむ…………
(直接解決したい気持ちと本人たちの意思を尊重したい気持ちのせめぎ合い)(ぐぬぬ)

お?なんだそなた、ここの森の者か?
おぉおぉ、元気は良くともいいが鳴くな鳴くな!バレるバレ………おお!そうかなるほどそなた頭がいいな!!
コレを鳴らしてみようか!!

相棒を走らせながらベル(獣奏器)を鳴らして回ろうか!
何故だか知らんがコレを鳴らすと動物たちが寄ってくるからな!
そして動物たちにあの子らを案内を願ったり、他の動物たちに邪魔しないよう頼んでもらおうか!!

凶暴?巨大?
余には等しく可愛い生き物よ!!


ピート・ブラックマン
困難を乗り越えてこその冒険……っても、ガキどもに肉食獣の相手はキツイか
しゃあねぇ、もう少し手を貸してやるか

ガキどもに見つからねぇようにしながら、先行しての肉食獣の居場所を探す
こういう時に、自由に形を変えれる身体は便利だよな
身体の形を変えながら物陰に隠れるように移動

『世界知識』やガキの居場所を探す時の聞き込みの情報から、
このあたりに居そうな肉食獣の種類や生態を把握
大体の居場所に当たりをつけながら居場所を特定

肉食獣を見つけたら他のやつらに連絡
追っ払ったり何なりの荒事は他の奴らに任せるさ

【SDPで判定】
【他の参加者との連携やアドリブ歓迎】



 紙を食む咀嚼音が森の中に現れては消え、現れては消え。子供たちがその音に、そして猟兵たちの様子に気付く気配はない。
「ちょっと食べすぎて……、お腹いっぱいになってきたっすね……」
 同様に、消え入るように小さい声で言葉を紡ぐマコル、進むは子供たちの進行方向。中心にあるという泉に近づくたび暗さを増していく森の中で、迫る危機を未然に防ぐために彼女は継続して呪文の綴られた紙を口にしていた。強化された視覚ならば索敵を行うのにもってこいだ。しかし強化すればするほど胃に溜まる紙の量は増えていく。
「身体を動かした方がよいのではないか? 余の相棒の運転をしてみるか?」
「確かに動けば……いやいやいや、無理っすよこんな森の中で! くどらさんみたいに器用なこと出来ないっすよ!」
 マコルの傍らではくどらが、ママチャリにも拘らずダニエルからのホッピングで障害物を飛び越えたり、ジャックナイフターンで切れ味よく方向転換したりとアクロバティックに、そして身体の一部を扱うようなバイクコントロールで驚くほど静かに森の中を移動していた。
 舌を巻くマコルと、あくまでこれが自然体のようにしているくどら。そんな二人の前方から黒い影のような、或は黒い水たまりのような物体が這い寄って来る
「あらかた見て回ってきたぞ。熊だの狼だの猪だの、気の立った連中がちらほら居るみてぇだな」
 物体からぬるりと、首が姿を現し話しかけてくる。何も知らずに、それも森の深くで拝めばホラーな光景だが、その正体がブラックタールだと……共に仕事をする猟兵、ピートだと知る二人に驚く素振りはない。
 ピートは先行していたマコルとくどらのさらに前方で、ブラックタールとしての身体特徴を如何なく発揮し森の中を泳ぐように索敵を終えてきたのだ。
「熊、狼……うわ、本当にいるっすよ! ひぃ~……」
 ピートの持ち帰った、そして自身の肉眼で確認した肉食動物の情報と姿にマコルが身を縮こまらせてしまうのは、草食動物の特徴を持つキマイラ故だろうか。
「ガキどもにアレの相手はキツイ、他の連中にも知らせて追っ払う算段付けねぇとな」
「それがいいっすね、こうしちゃいられないっす……!」
 ピートの提案にマコルはするりと軽快な身の熟しで……或は肉食動物から逃げる草食動物の身の熟しで子供たちを迂回するように情報伝達に駆ける。
「そういや鈴の音って確か熊避けになるんじゃなかったか? チャリのそれ、使えねぇか」
「……おお! そうかなるほどそなた頭がいいな!! コレを鳴らしてみようか!!」
「声落せ声。あと距離とって鳴らせよ。俺も他の奴らに伝えに行ってくるから」
 言ってとぷん、とピートの首が黒の中に溶け、マコルとは逆方向へと移動を開始する。
 一方ママチャリで、凡そママチャリにとっては悪路である森を更に進むくどら。子供たちから十二分に距離を取ってママチャリのベルを鳴らすが、
「……何故だか知らんがコレを鳴らすと熊が寄ってくるな!」
 まるで惹きつけられるように熊がママチャリを追走していく。それもそのはず、鈴が奏でたのは獣と意思疎通する音色。熊は仲間の吠え声とでも思ったのだろう。
 ピートの期待した展開とは逆となったが、しかし惹きつける事でも子供たちから引き離す事は出来る訳で、森の中を二輪と四足が駆けて行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジェット・ラトリオック
危険は未然に防ぐ。肉食獣を先に見つけ、然るべき処置をする。

二人に気づかれないよう、目立たないように動く。姿勢は低く、獣を真似るように。例え気づかれても獣だと勘違いされるように。

肉食獣は見つけ次第に【咎力封じ】を放ち、拘束。逃亡を防ぐため、拘束ロープは手足を狙う。声も上げさせない。抑え込んで静かにナイフで仕留めよう。
群れている場合は、敢えて俺を囮にして子供から遠ざけるように誘き出そう。勿論、俺は子供に見つからないように隠れながらな。

悪意を感じる…ああ、子供にはあまりにも残酷な、いずれ知るべき事だろうと、今は知るべきでない現実だ。
ならば、今、俺がすべき事は。


ヴィクティム・ウィンターミュート
さて、主役の膳立ての時間だ。なぁーに、こそこそと工作かますのは何度もやってきた。ガキに気づかれずに事を成すなんざ造作もないね。影に潜むランナーの手際、とくとご覧あれってな。

SPD重視。ユーベルコードでステルス状態になって、【忍び足】で音と気配を消しながら護衛よろしく【追跡】する。メインは、危険な生物への対処。見つけた、あるいは仲間から教えられ次第、見えない位置で迅速に【暗殺】する。もたもたはしない。【早業】と【ダッシュ】で静かに、手早く処理だ。仲間が何かの工作をするなら、これ見よがしに音を立てりして【時間稼ぎ】してみよう

「シーッ…邪魔をするなよ。主役に握手を求めんのは、カーテンコールの後でな」


クロヴィス・オリオール
ガキどもは…よし、一先ず無事か
探し回った挙句に変わり果てた姿、なんてのは流石に後味が悪ィしな
オレの苦労もちったぁ報われたってワケだ

【POW】
って、泉に大蛇がいるだけじゃねェのかよ!
…あー……うわー……でけー……。こちとらケーキを狙うネコでさえライオンに見えるフェアリー様だぞちくしょうめ…。

しゃーねぇ、ここまで来たら腹くくンぞ……つっても変に刺激して食われちまうのは御免だかんな、悪いがオレの…じゃなかった、女王様の御戯れに付き合ってもらうぜ

いくら肉食獣っつったって、襲いかかってくるスピードがなけりゃ大して怖くもねえはずだ

……追い払うのは誰か任せた、オレは近づきたくねえ。


※連携、アドリブ、歓迎です



「泉に大蛇がいるだけじゃねェのかよ!」
 妖精の小さな憤りが枝葉の騒めきに溶けていく。
「こちとらケーキを狙うネコでさえライオンに見えるフェアリー様だぞちくしょうめ……」
 向かってくる猪を見据え、背面方向へと飛ぶクロヴィスが零す。瞳に映る猪は彼の身の丈からすればまるで大型車のようで、縄張りに入り込んだ者への怒りでエンジンを吹かせていた。
 辟易した視線を、それでもクロヴィスは逸らさない。背中を向けることだって当然しない。インチキじみた体躯の差など勝負を降りる理由にはならなかった。
取り出したるは、一枚のカード。
「飲み込まれでもしたらシャレにならねェだろ……ンなのは御免だからな」
 ――女王様の御戯れに付き合ってもらうぜ。
 ひらりと翻せば猪の黒い眼に愛情深い女性の姿が映り、それを契機とするように猪とのチェイスはクロヴィスの独走状態となる。
「あと任せた」
 クロヴィスの要請に応えるのは、虚空から現れたナイフの軌跡。運動能力の著しく低下した猪の喉に食い込み、肉を裂き、切り開いていく。
「シーッ…邪魔をするなよ。お休みの時間だ」
 程なくして崩れ落ちた猪の傍ら、何者かが空間を掴んだとでも言おうか、景色が奇妙に歪み、それが捲られるように取り去られればヴィクティムが姿を現す。
「端役が主役の膳立てする時間だからな、」
 引き抜かれたナイフは瞬く間もなく宙を翔け、茂みの中へ。程なくしてどさり、と重量を感じさせる音。
「端役以下には出番はねぇよ」
 茂みの先に居た猪の眉間にナイフが突き立ち、舞台袖から姿を見せさせることなく退場させていた。
 この程度造作もないとばかりに新たなナイフを取り出し、ヴィクティムの視線はすでに周囲へ。程なくして四匹の獣の……否、三匹の獣と一人の獣の影を捉える。
「……ッ!」
 手足で土の上を這うように、獣が如く身を低くしたジェットが猪にナイフを突き立てていた。傍らの二つは既に亡骸で、前足と後ろ足とをロープで拘束されている。
 一先ずの仕事を終えたジェットは、姿勢をそのままに這い進んでいく。一度側面を確認するように顔を上げれば、薄暗い森を目を凝らしながら歩く男の子の横顔が見えた。
「……もう一仕事してくる。子供たちの護衛は任せた」
 振り向く事も無く、呻くような声でクロヴィスとヴィクティムに伝えれば、鉄兜を被った獣は子供たちの進路から脇に逸れ、茂みを分け入って姿を消していく。きっとその先には、新たな猪の群れ。未然に処置をするための孤高の行軍。
「あぁ? あー、ちゃんと追いついて来いよ。来なくても探さねぇからな」
 探すのは女神様の幸運だけにしてェ。そんな事を嘯きながらクロヴィスがそれに応え、ヴィクティムと共に子供たちの側面を進んでいく。
「っかし、こう暗いと気が滅入って来るだろうな。子供の体力じゃそろそろ疲れも出て来るだろ」
 ヴィクティムが遠目に見た男の子の横顔からは、他の猟兵から聞いていた楽しそうな様子は隠れてしまっているように見えた。
「しっかりしてくれよ? 幕切れまで膳立てしてやるからよ」
 男の子の、子供たちの道行きを祈りながら、自分に与えられた役回りを、為すべき事を再確認しながら、男たちはそれぞれの森を行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天命座・アリカ
では、影ながら支援と行こう!こそこそっと見守るよ!【迷彩1】
これでも舞台演出は得意だからね!裏方もこなせるゆえの天才だ!

というわけで、必要なのはスタッフさ!
手伝ってもらえるとありがたいが……こちらでもどうにか賄おう!
ここに来るまでに、動物はいくらか『視て』いるからね!
それではおいでよ森の友達(強化版)!
危険な動物を追い払ったり!こそっと道を示したり!
なかなか分厚い台本さ!


……ところで、ついでに演出を挟んじゃだめかい?
より仲良くなる為にさ!ちょ、ちょっとだけ冒険にスパイスを加えるだけだよ!
二人の青春を彩りよくしたいのさ!物語には緩急が必要だ!
危機を乗り越えて!二人は急接近!みたいな!きゃーっ!


作図・未来
さて、困ったな。
子供たちが見つかったのはいいけれど、ここから見つからずにサポートするのはかなり骨が折れそうだ。

野生の脅威に関しては頼りになる味方に任せることができそうだ。
僕はどうにか彼らを導く方法を考えよう。

砕牙の舞踏。
また君たちに頼めないかな。そうだな、今回はリーダーでない君たちに頼みたい。
やることは簡単だ。子供たちが道を外れそうになったら、その近辺でがさがさと草の音を立ててくれるだけでいい。
できれば子供たちとは別の方向を見ていてくれると嬉しいかな。

何かいるのだろうかと思って見てみたらこちらに気付いてない狼がいる。
流石にそのまま進みはしないだろうからね。

これで無事に泉に辿り着けると良いけれど



「ここから見つからずにサポートするのは骨が折れそうだけれど……」
 子供たちの後方、彼らを追う未来は現在地と進路、そして泉の位置とを頭の中に浮かべていた。東へと逸れ気味の子供たちの進路を思えば、彼らを導くために一計を案じる必要がある。
「君たち、頼めないかな」
 そんな彼が視線を向けるのは自身の足元、傍らを共に行く三匹の白狼の霊。狼たちは召喚者の視線と思惑とに一つの頷きを返し、散り散りに散開していく。
「……ところで、ついでに演出を挟んじゃだめかい?」
 狼を見送った未来の顔を覗き込むように、桃色の髪を揺らしてアリカが笑いかける。
「より仲良くなる為にさ! ちょ、ちょっとだけ冒険にスパイスを加えるだけだよ!」
 この通り!と手を合わせて頼むアリカ。こそこそと、声を抑えてはいるものの一挙一動の賑やかさは相変わらずだ。
「子供たちに危険がないなら……。でもそれ、いい思い出になるんだろうね?」
「これでも舞台演出は得意だからね! 安心安全へ足取りを!二人の青春に彩をさ!」
 斯くして導きの一計はその色を変える事となる。

お世辞にも歩きやすいとは言えない森の中を男の子と女の子が歩いている。
「あっ! 見て見て、リスが居るよ!」
「ほんとだ。ふふっ、仲良しみたい。リスの夫婦かなあ?」
 ふと、男の子の視線の端に入り込んだのは、番の――アリカが自身の記憶領域から再現した――リス。二匹は仲睦まじそうに寄り添い合っていて、子供たちに気付くと人懐っこそうに近づいてくる。
「うわぁー、可愛い!」
「おいでおいで……あれ?」
 迎えるように屈んで手を伸ばす女の子。しかしリスたちは何かに気付いたように途中で止まってしまう。
 一匹が反転してひと鳴き。その呼びかけに応じるようにもう一匹も向きを変え、連れ添って茂みの中へと姿を消していった。
「どうしたんだろ……?」
 顔を見合わせ残念がる二人。彼らの耳に、がさがさと草の揺れ動く音が入ってくる。和やかな空気が一転して、子供たちに緊張が走った。
 恐る恐る音の方を探ってみれば、視線の先には列をなして歩く三匹の白狼の姿。幸いまだ気付かれていない様子だが、それで胸を撫で下ろせるほどの余裕は子供たちにはなかった。
 見つかったら大変な事になる。一体どうすれば。慌てふためきながらも必死に考える男の子の脳裏に、つい今しがたの光景がフラッシュバックする。
「……こっち! 付いてきて!ほら早く!」
「え……う、うん!」
 手を差し延ばす男の子と、その手を取る女の子。
 二人は連れ添って、リスが姿を消した茂みの方へと……より泉へ近道となる進路に逃げて行くのだった。

「危機を乗り越えて!二人は急接近!みたいな!きゃーっ! どうだ見たかい未来君! 女の子は守ってくれる騎士が居ると安心するものなのさ!」
「男の子の方も満更でもなさそうだ。これは……うん、二人の記憶に残るだろうね」
 だろう? と得意げに胸を張るアリカ。そんな彼女の仕草にか、言葉にか、童心を感じた気がして未来の口からはくすりと小さな笑いが零れる。
 二人の前方には一難を乗り越え誇らしげな男の子と、その背中を頼もしそうに、笑顔で見つめる女の子の姿があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーファ・レイウォール
連携・アドリブ歓迎

『宝物』ってどんなものかしらね?
それを見れば今日の冒険を思い出す様な、そんなものよね。

肉食獣の居場所は自分でも探すけれど
仲間からの発見情報は【聞き耳】で漏らさない様にする

魔法が得意でも頭脳労働は得意ではないのよ
だから、肉食獣を子供達に近づけさせないようにするわね

【動物と話す】で話が通じればいいけど
それで通じないなら……仕方ないわよね?

ユーベルコードは、あくまでも肉食獣の動きを封じる物
炎と【殺気】で【恐怖を与える】わ
「このまま、焼いちゃってもいいのよ?」

襲いかかってきたら、炎混じり(【属性攻撃】)の【衝撃波】を発生させて【範囲攻撃】で【なぎ払い】
手加減せずに【傷口をえぐる】だけ


ロク・ザイオン
(子供たちの冒険を森番は見守っている)

(【野生の勘】【追跡】総動員。子供に牙向ける獣は尽くを【先制攻撃】。森番はみなぎっている。よき森番の務めであるがゆえに)
(子供がかわいいがゆえに)
(はらはら見守る。見守りながら山刀を【早業】で音もなく振るう。断末魔すら許さない。だって子供が怯えるではないか)

(あまりにも子供たちが危険な道に嵌りそうなら。遠くから、あえて「惨喝」で追い払おう。おれの声はみにくいから、きっと、近寄りたくなくなる。
または「生まれながらの光」で導くのも、出来るかも知れない。こどもは不思議なものを好むだろう)


黒白・鈴凛
まだ怪我してないようで良かったネ

しかし、此処から先そうもいかないアルカ
つまり、此処からが冒険の本番ってことアル

ワタシ無駄な殺生好きじゃ無いネ
猛獣達も生きるためだろうが、今回ばかりは引いて貰うヨ
なに、自然の動物達は単純ね
要は"強い"か"弱い"か
弱肉強食というやつアル

つまりはワタシの強さを証明すれば動物達は引くはずネ

やることは単純、進路を先行して猛獣を薙ぎ倒す
殺さずに追い払うアル
本当は森のボス動物を見つけられれば楽だけど探すのも手間ネ

薙ぎ倒すのには【怪力】【捨て身の一撃】【力溜め】を使うアルヨ
あと引き続き笹を食べとくネ



 子供たちの姿が遠くにあるのは、足を止めざるを得ない状況に出くわしたから。話し合うにためは足を止め、向かい合うべきだと思ったから。
「……引いてはくれないかしら? あなたたちの縄張りを奪おうとか、そういうつもりはないのよ」
 薄い笑みを湛えるリーファ。彼女が語り掛けるのは牙を見せ、低く唸る狼たちの群れだ。
 この森に住まう、この辺りを縄張りとする狼たち。彼らの耳にリーファの声は届いているようだが、しかし彼らは威嚇することを止めない。
 姿勢は低く、四肢には力が籠り、今にも飛びかかってきそうな気配さえ見せていて。
「話が通じないなら……仕方ないわよね? 少し炎に灼かれて、反省しましょうねー」
 そんな狼たちにリーファは顔色を変えず言い放つ。同時に、彼女の手にする真紅の刃を持つ鎌から青い炎が放たれる。
「ワタシ無駄な殺生好きじゃ無いネ。お前たちも生きるためだろうが、……今回ばかりは
引いて貰うヨ」
 炎と同時に飛び出す影。解き放たれる力。
 リーファが狼たちへ語り掛ける最中、その怪力を如何なく発揮するために力を溜めていた鈴凛が地を蹴り、狼へと肉薄していた。
 青炎は森の中に一筋の線を引き、鈴凛が拳で以って狼を薙ぎ払い、その線の奥へと叩き込んでいく。
「ワタシたちとお前たち、どっちが強いか弱いか、わかったアルカ?」
 犬歯を見せて笑う鈴凛。しかしその笑みは口元だけのもので、右目は厳しい視線を炎の先の狼たちへと向けている。それは紛れもなく、威嚇の表情だった。
 炎への本能的な恐怖に襲われたのだろう、弱肉強食の理を本能で悟ったのだろう。狼の群れは一匹、また一匹と背を見せ、薄暗い森のさらに奥へと去っていく。
「さてさて、それじゃあ早い所ロクに追いつくネ」
 また一つ子供たちの安全を確保し、リーファと鈴凛は先を急いで駆け出すのだった。

 ロクは子供たちからほど近い位置で、彼らの様子をつぶさに確認していた。
「…………! …………!!」
 凛と引き締まった表情を変えぬまま、彼らに悟られぬよう言葉は紡がぬまま。しかし彼らが十歩進めば赤い三つ編みが波を打ち、彼らが不整地を越えれば左手で拳を作り、ぐっと握りしめていた。
 一方で彼女の右腕は、そこだけが別の人間の持ち物であるかのように音も無く、素早く振るわれていた。その手に握るのは鞘に納められた山刀。振るう先を一瞥することも無いのにその状態を維持できているのは、偏に彼女の野生の勘ゆえか、はたまた心に漲る何かがあるからだろうか。
 彼女に向かって飛びかかる野生の狼たち。しかしその全てが正確に喉を打ち払われ、鳴き声も上げられぬまま叩き落されていく。
「ご機嫌みたいネ?」
 笹の香り、楽しげな声。ぴたりとロクの右腕が動作を止める。
「そういう……わけじゃ、…………。……それよりも、静かに」
 子供たちにバレては駄目だ、と追いついてきた鈴凛に人差し指を立てて見せるロク。子供たちの為に真剣に取り組み、彼らを見守る彼女の姿に、鈴凛と共に追いついたリーファは微笑みを浮かべ、助け船を出す。
「ご機嫌なのはあの子たちの方こそみたいですよ。ほら見て、女の子の表情」
 リーファにつられて視線を飛ばす猟兵たち。彼女らの瞳に薄暗い森を照らす花のような、女の子の横顔が映る。
「……ちゃんと見守っているから、な」
 女の子の、子供たちの冒険を支えながら、自分が行うべき仕事を、守るべきものを再確認しながら、女たちは共に森を行く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

浅葱・シアラ
ひぅ……。冒険冒険って張り切ってたけど……
男の子と女の子、どんどん進んでいくね……。
泉にはたどり着くかもしれないけど。危険なことは避けて通れないね……


【WIZ】で判定
使うユーベルコードは「紫光蝶」

泉にたどり着くのも大事かもしれないけれど、ここで満足して帰ってもらえれば一番かもしれないね。
宝物になるもの……なら、任せて!
シアの大事な大事な精霊さん達の出番だよ!
紫色に輝く光の蝶達を沢山呼び出して、2人の前を飛ばせるよ。
キラキラ光る蝶々さん達を見れたらきっと満足してくれるかも。
もし、満足してくれなくても、紫光蝶たちに子供達を安全な道へと導いてもらっちゃおう。


シュシュ・シュエット
お年頃の男の子や、女の子の望む『宝物』……っ!
かっこいい剣や、かわいいお洋服とか……は森の中にはないですよねっ!
逆にあったら少し不自然に思われてしまいそうですし、逆に森の中にあって不自然ではないものがいいですよね……?

……物じゃなく、『景色』なんかはどうでしょうっ。
*動物さんとお話したり、【縁の下の力持ち】のネズミさんたちでお二人を誘導し、
きれいな景色や蝶々さんの群れ、きれいなお花の咲いている場所、木漏れ日の射す小道を見せてあげたいですっ。

お二人とも、無事に町へ帰ったら、きっと叱られちゃったりすると思うのです。
だから、せめて冒険の最中だけは、沢山の森のきれいな景色を眺めさせてあげたいですねっ。


ロカロカ・ペルペンテュッティ
『宝物』、ですか。
例えばあまり取れない果実や、普段は見れない景色など、でしょうか?
何か良いものはないか、再度、森の地霊達に聞いてみるとしましょう。(技能:地形の利用、第六感)何か良いものがあれば良いのですが。

他の猟兵の方々とも協力し、トロフィーが定まったら、次は彼らの誘導ですね。

そうですね、ボクの身の内から、《御霊渡しの銀蝶》を呼び出し、その力を借りましょう。
《銀蝶》の鱗粉には身体を癒す力があります。疲労回復にもいいですから、まずは、子供達の頭上を舞わせて鱗粉をふりかけます。その後、彼らを導くように《銀蝶》を飛ばし、『宝物』の在り処へと導いて行きましょう。



「お年頃の男の子や、女の子の望む『宝物』……。森の中にあって不自然ではないものがいいですよね……?」
 むむむ、と考え込むシュシュ。子供たちを如何にして誘導するかだけに留まらず、彼らの冒険の思い出に残るような、宝物になるようなひと時をも作り出せるようにと思考を巡らせている。
「例えばあまり取れない果実や、普段は見られない景色など、でしょうか?」
 ロカロカは共に思索に耽り、ぽつりぽつりと浮かんだ選択肢を口にしていく。
「といっても、上手く進路上にそういうものがあればですけれど……」
 再び森の地霊たちの声に耳を傾けるべく首から提げる装飾品に手を伸ばそうとするロカロカだったが、
「シアたちで作ってみるの、どうかな?」
 耳元で囁かれる……いや、囁くような小さな声にその手を止める。
 シアラがその小さな身体を二人の顔の間に滑り込ませ、微笑みながら小首を傾げていた。
「普段は……ううん、きっとどこに行っても見られないような、そんな景色の宝物!」
 夢見る少女のように手を合わせ、瞳を閉じるシアラ。瞼の裏で彼女はどんな光景を描いているのだろうか。祈りにも似た彼女の仕草に応えるように光の蝶が姿を現し、三人を淡い紫色で照らしながら飛んでいた。瞼を開けたシアラは喚び出した蝶を誇るように、あどけない笑顔をシュシュとロカロカに向ける。
「蝶々、森の中にぴったりかもしれません。それにこんなに綺麗な蝶々なら……よし、わたしたちは道を作りますっ」
 任せて欲しいと挙手するシュシュの足元には子供たちの冒険を助ける縁の下の力持ちになろうと、意気込むネズミたちが整列し、立ち上がっていた。
「そういうことなら、ボクも協力できそうな子を喚ぼう」
 穏やかな視線で頷くロカロカ、その視線は周りで翅をはためかせる紫の蝶を追っていた。
 シュシュが軽やかにステップを踏めば、その靴に携えられた鈴がしゃらしゃらと音を奏でる。それを合図にひと塊となって走り出していくネズミたち、一匹一匹は小さくとも協力し、統率のとれた動きで小枝を齧り、藪を均し、見る間に道が拓いていった。
 ロカロカが喚び出すのはその身に封じたUDCの力の一つ、銀光を放つ蝶たちだ。銀は紫と戯れるように舞い飛び、二色の光で薄暗い森の中に幻想的な光景を作り出していく。
「お願いね、シアたちの蝶々さん!」
「今日のキミたちは森の渡し手だ。頼んだよ、行っておいで」
 シアラは小さな腕を大きく振り、煌めく蝶の群れを見送るのだった。

「……二人とも、もう大丈夫そうですね」
「うん、楽しそうに歩いてた……! それにシュシュとネズミさんたちが道を作ってくれたから、ここからは逸れずに泉まで歩いて行けるはず」
「ロカロカさんとシアラさんの蝶々があの子たちを導いてくれますし……それに疲れも随分軽そうです」
 木陰に潜む三人の視線の先、森に作られた小道を蝶の光を追いかけるように歩く子供たちが通り過ぎていく。ひらひらと揺らめく紫の光は、そして時折降る銀の鱗粉は二人の気力と体力を養っているようで、道の歩き易さもあって子供たちの足取りは軽い。
「じゃあ……あとはあの子たちに任せて、ボクたちは先を急ぎましょうか」
「うん……! 男の子と女の子が泉に来る前に、最後の危険をなんとかしよう!」
 ロカロカとシアラの言葉にシュシュが頷く。三人の視線は子供たちの背中を……その先、今はまだ見えない泉とそこに棲む水の大蛇を見据えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『水の大蛇』

POW   :    水の身体
【液体の身体により】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD   :    口からの水弾
レベル×5本の【水】属性の【弾丸】を放つ。
WIZ   :    身体の復元
【周囲の水を体内に取り込み】【自身の身体を再生】【肥大化を行うこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 野生動物の危険を排し、悪路に道を拓き、ロマンスと宝物で先導して――。
 猟兵たちは二人の幼い冒険者がその旅路の中で遭遇するだろう困難を、陰ながら見事に取り除いた。
 だがしかし、後は彼らが泉へ辿り付くのを待つだけとはいかない。
 旅路の果ての最後の困難を排さなければ、悲劇の終わりを変えられなければ、これまでの努力が水泡に帰してしまう。

 森の中、泉の縁。久方ぶりの開けた視界は幾分かの解放感を猟兵たちに与えていた。
 ……同時に緊迫感も。

 渦巻き、逆巻き、とぐろを巻き――。
 猟兵たちに相対するのは清流のようなしなやかな身体と激流のように荒々しい敵意を向ける存在、水の大蛇。
 子供たちがこの泉に辿り着くまで、あと如何程の時があるだろうか。
 猟兵たちに与えられた猶予は、大蛇の体調程には長くないだろう。
浅葱・シアラ
ひぅ……!
冒険の果てに待ち受ける泉は……やっぱり危険なままだね……
だったら、シアたちの出番だよ!
迅速に、この水の蛇さんをやっつけちゃうんだから!


使用するユーベルコードは「エレメンタルファンタジア」
『氷』属性と自然現象『竜巻』を合成させて極低温の氷の竜巻を発動させるよ!
泉の中心へ向かってこの氷の竜巻を放って攻撃だ!
技能【属性攻撃】と【全力魔法】で強化して、【高速詠唱】で迅速に、そして何度も発動させて強大な氷の竜巻で攻撃していくよ

一見水に氷なんてあまり意味無いかもしれない
だけどね、水が凍りついてしまえば物理攻撃は通っていくはずだよね!

それに、戦闘後に暖かい場所でも凍った神秘的な泉になるはずだよ。


リーファ・レイウォール
さてと……仕上げといきましょうか
冒険の思い出が、幼い命と共に消えてしまわない様に

【高速詠唱】で【全力魔法】、【マヒ攻撃】を乗せユーベルコードを発動
大蛇の上半分に対して、旋風の縛鎖と、それに纏わせた炎。
「さすがに、泉を蒸発させてしまうわけにはいかないものね?」
子供たちが目指しているのが、ここなのだし。
でも
「この炎は、そう簡単には消えないわよ?」
花火が水の中でも燃え続けるのと、基本的な原理は同じね。

通常攻撃は炎と風の【属性攻撃】の多段による【2回攻撃】
【衝撃波】を発生させて、飛散させるのを狙うわ

周囲にも気を払って他の猟兵仲間に【援護射撃】
味方の攻撃の軌道や範囲へ誘い込むわ(【おびき寄せ】)


シュシュ・シュエット
たとえ大蛇さんがぐうぐうとおなかを鳴らせていたとしても、おふたりをもぐもぐさせるわけにはいきませんっ。
おふたりを守れなければ、町の皆さんは男の子と女の子の帰りを……ずっと、ずっと、待ち続けることになります。
それだけは絶対にさせたくありません……っ。

【時は物語る】を使い、大蛇さんの行動を瞬間的に封じていきましょう。
攻撃の挙動を*見切りながらわずかでも*時間を稼ぎ、他の猟兵の皆さんをサポートします。
おふたりが戦いの音に気づく前に……っ。

お水を取り込まれ、お体の一部として転用されるのなら。
体積の変化を観察することで、お力の何を強化されたのか*野生の勘や*学習力により、お調べできたらいいと思いますっ。


クロヴィス・オリオール
おー、よーやっとお出ましか。そーそ、最初から居るって分かってりゃこっちも驚かねェっつーの
……ガキどもが来たら真っ先に狙われちまうだろうしな、とっとと片付けンぞ

ひいふうみ…それなりに猟兵の数は居るみてぇだな
っし、それなら手堅く行く必要もねぇだろ!
「なぁ、ちょーっとアイツの事引きつけといてくんねぇか」
誰かが快く引き受けてくれたら『一点賭け』

さあて、どこにベットしたもんかね…的は小せえが、それだけロマンがあるような場所っつーと…『瞳』、か?
ヘビヤローと目ぇ合わせンのは気が進まねえが、男ならロマンと大当たりは狙っていかねぇとな

よーく狙って…ルーンソード『Elemental』で一気に斬り込むぜ


四樫・マコル
【アドリブ歓迎】
よーやくお目見えっすねー!!
蛇さん!あんたに恨みは特に無いっすが!
健全な少年少女の青春のためにここで倒させてもらうっす!!
なるはやで!!

【SPD】

飛んでくる水弾は「野生の勘」と「逃げ足」駆使して避けまくるっす!
そして、あたしは避けながらも『繋いだその手は離さない(ゴー・トゥ・ヘブン)』による爆撃攻撃を行うっす!!
どんな爆弾が出るかはわからんっすけど、蛇に対して有効なやつっす!
効き目は抜群っす!
周囲の水を取り込むって言うなら周りの水ごと爆破しちゃえばいいっす!!!
あ、でもでも泉ごとふっ飛ばしたら元も子もないっすから抑えめにっす!
抑えめにっす~!!!


ピート・ブラックマン
ここまで来たんだ。最後までガキどもの面倒見てやっか。

Jane(バイク)に跨って、敵の攻撃を避ける。
悪ぃが、俺とJaneの前じゃ「下手な鉄砲数撃てば当たる」ってわけにはいかねぇよ。

そんでもって、隙を見て右腕のサイコキャノンで反撃だ。
本職ほどじゃねぇが、多少はスナイパーとしての心得もあるしな。
相手が手数で押してくるっつうなら、俺は狙いすました一発で勝負を決めてやるよ。

【他の参加者との連携やアドリブ等歓迎】


小此木・くどら
さぁさぁ最後の大一番!
決めてやろうか決めに行こうか!

といっても余のやることはさほど変わらないけどな!!
走るぞ相棒!大蛇すら切り裂くスピードで!!

ベルで集まるならちょうど良し!
ほらほら集まれ森の者共!!
ついでにそなたらの力を貸してくれ!!

なぁに、なんとかなるさ!!

余は配達員!!
子供たちに夢を届けに参りましたぁ!!!

ってな!!!



 水面から生えるように伸びる水の大蛇の姿。その頭は森の木々のように高くにあり、その胴は大樹のように太い。尾は水面下、その名が表わす通りの水の身体のせいで視認することは叶わず、果たして全長は如何程なのか、或は泉そのものと相対しているのではないか、そんな感覚さえ覚えさせられる。
「おー、よーやっとお出ましか。そーそ、最初から居るって分かってりゃこっちも驚かねェっつーの」
「ひぅ……! 冒険の果てに待ち受ける泉は……やっぱり危険なままだね……」
 威嚇の鳴き声を……いや、その巨体故に最早咆哮と形容して差し支えない吠え声を上げる大蛇。その大音響を伝える空気の波がクロヴィスとシアラ、二人のフェアリーの小さな身体を震わせる。
「迅速に、この水の蛇さんをやっつけちゃわないと!」
 蛇との体高差は如何程だろうか。この泉にしてみても、彼らの瞳には広大な湖のように見えているかもしれない。しかし身体が震わされても心から震えることなく、シアラは毅然と大蛇に向かい合う。
「そうっす! あんたに恨みは特に無いっすが、健全な少年少女の青春のためにここで倒させてもらうっす!!」
「ここまで来たんだ。最後までガキどもの面倒見てやっか」
 トントン、とブーツの爪先で地を打ってシアラの言葉に応えるように言い放つマコル。彼女の隣にはバイクに跨るピートの姿があった。
 一歩、また一歩と今もこの泉に歩を進めているはずの子供たちを思いながら二人はそれぞれに足腰の、愛車の状態をチェックし、万全と見れば左右に分かれ、泉の淵をそれぞれに駆け出す。
「たとえ大蛇さんがおなかを空かせていても、おふたりをもぐもぐさせるわけにはいきませんっ」
 子供たちを、そして今まさにクライマックスへ向けて綴られている彼らの物語を守るために、透き通るような青い瞳でシュシュが大蛇を見上げる。
「……仕上げといきましょうか。冒険の思い出が、幼い命と共に消えてしまわない様に」
 言葉と共に、赤髪を靡かせながら泉へと歩むリーファ。髪と共に白い梨の花が揺れ動く。
 二人の心に灯る子供たちへの思いも確かな強さがあった。
 リーファは歩みを止めぬまま、両腕を振るう。右腕は風を呼び、左腕が生むのは紫青の炎。両の腕、風と炎が交差して巻き起こるのは焔を纏う旋風。水の大蛇へ向けて放たれたそれはその巨体を縛るように絡みついていく。
「この炎は、そう簡単には消えないわよ?」
 炎は風の膜に包まれ水の身体に直接触れることなく、また絶えず風によって酸素を供給されながらその熱だけを大蛇に伝え、その表面を蒸発させていく。
 しかし大蛇も黙ってその身を削られるのに身を任せはしない。風に縛られたその身体で泉の水を吸い上げ、その嵩を維持する。
「さすがに、泉を蒸発させてしまうわけにはいかないわよね……」
 この調子で水分を奪い続ければいつかはこの大蛇を乾涸びさせることが出来るかもしれない。しかしそれは子供たちの目的地の様相を一変させてしまうことになる。
「なら、炎の次は――」
 水面に可憐な声が躍る。翅が揺らす空気はこの森本来のそれより冷たく、厳しく、もがく大蛇が跳ねさせた水飛沫を凍らせていた。
「氷っ! いっけぇーーー!!」
 シアラが叫びと共に一際強く翅をはためかせれば、生まれた小さなそよ風は冷気を孕み、進む度その勢いを増し、触れる空気を飲み込んで肥大化し、やがて極低温の竜巻となって泉の中心で身動きの取れない大蛇へと突き進んでいく。
 大蛇の身体を飲み込んだ竜巻がキラキラと輝きを放っている。それは空気中の、リーファの炎によって蒸発した水分が冷えて固まったことによって放たれる輝き。竜巻の中で寄り集り、氷塊となって次々と泉に落ちていく。
 炎と氷の風が晴れれば、そこには身体を所々凍りつかせた水の大蛇の姿があった。
 だがその姿を変じさせたのは大蛇だけではない。泉もまたあちこちに氷塊が浮かび、竜巻の通った道筋は凍り付いていて、
「よっ! ほっ! とりゃあっす!」
 マコルが氷塊を足場に軽快に跳ね、
「泉の上を走るってのは、中々出来ねぇ貴重な経験だな」
 ピートが氷の道にエンジン音を轟かせる。
 自分のフィールドと信じて疑わなかった泉、そこに現れた二人の猟兵の姿に大蛇は怒りを露わにし、牙を剥き出し、咢を開く。
 放たれるのは無数の水の弾丸。弾倉は泉そのもの。有限なれど、弾切れは遥か彼方。マコルに放ち、反動で首を振ってはピートに狙いを定めて吐き出し、右に左にと首を撓らせ暴れ撃つ。
「遅い遅い! 遅いっす! それじゃあ草食動物一匹捕まえられないっすよ!」
「悪ぃが、俺とJaneの前じゃ『下手な鉄砲数撃てば当たる』ってわけにはいかねぇよ」
 自慢の逃げ足で躱し、勘が告げるものがあれば跳ねる氷塊を変え、大型な愛車のボディを巧みに操り、愛でるようにグリップを撫で。弾幕の中、二人は確実に大蛇との距離を詰めていく。
「チッ、やたらめったら動きやがって……」
 時に激しく、時に軽やかに展開する泉上の戦い。開戦からそれを観察し続けていたクロヴィスが大蛇の動きに舌を打つ。その視線は右に左に、大蛇の動きに合わせて忙しなく動いていて、暫く瞬きもしていないのか、堪えるように眉間には皺を寄せていた。
「動き、止めたらいいですか?」
 ――しゃら、しゃら。鐘の音が響く。
「でしたら、余り長くはないですけれど……」
 クロヴィスと同じく大蛇の観察に努めていたシュシュがガラスの靴でステップを踏む。その足取りに合わせて響く音色が一つ伝わる度、大蛇の動きがぎこちないものになっていく。それはまるで停止と再生が繰り返されるようで。
「おぉ……。やるじゃねぇか、その調子で……危ねぇ!」
 停止と停止の狭間の僅かな時間、大蛇の首が確実に音の方へ、シュシュの方へと向いて行く。
 睨む眼光が照準となり、放たれる水の弾丸。クロヴィスが片手剣を引き抜き斬って落としていくが、庇いながら全てを防ぐにはその数は余りに多く、そして大きかった。
「――いぃヤッホォォォーゥ!!」
 高らかな叫び、一陣の風。
 クロヴィスの前を横切る風が……いや、ママチャリが、ママチャリにあるまじき速度で生み出した風圧で以って水弾を吹き飛ばす。
 ママチャリはドリフトするように土や雑草を抉りながら減速、
「さぁさぁ最後の大一番! 決めてやろうか決めに……」
 搭乗者であるくどらは顔を上げて戦況を確認すると、
「遅刻か!? 余、配達遅れをしでかしたかーーーッ!?」
 再び叫び声をあげた。
「遅いっス!」
「遅いぞ」
「遅ぇ!」
 マコルが、ピートが、クロヴィスがお返しとばかりに叫ぶ。
「あいやスマン! ちょっとな! 協力者を手懐けるのにな!」
「いいから来い、仕掛けるぞ!」
 くどらの説明を置き去りにするようにピートがアクセルを踏む。
「承知した! ほらほら集まれ森の者共!! そなたらの力を貸してくれ!!」
 くどらがペダルを漕ぎ、ママチャリに備え付けられた二つのベルを鳴らせば木々の奥から吠え声が響き、二頭の熊が駆けこんでくるではないか。ママチャリは助走距離を取るように大周りにカーブし、水の大蛇へと前輪を向ける。くどらと大蛇とを繋ぐ直線の間、泉の淵にはママチャリを熊たちが待ち受け、
「飛ぶぞ相棒! 大蛇すら切り裂くスピードで!!」
 十分な助走距離で加速したママチャリとのすれ違いざま、遡上する鮭を獲るように二頭の熊がその後輪を掬い上げ、太い腕でママチャリを空へと送り出す――。
「泉ごとふっ飛ばしたら元も子もないっすから抑えめにいくっすよ!」
 くどらが重力を振り切る僅か前、ピートの声に合わせて最初に仕掛けたのはマコルだった。喚び出されるのは巨大な、水の大蛇の巨体に見合った大きさの、先端にはさみ状の可動部を持つ蛇捕獲棒で大蛇の皮膚の凍り付いた部分をがっちりと挟み込む。
「そのガジェットは寂しがり屋っすから、一緒に居てあげてほしいっすよ~!」
「高いな。顎下から狙うか……?」
 拘束される大蛇の姿を見上げながらJaneで走るピート、その視界が揺れ、角度を変えた。
「上なら、シアが運ぶよ!」
 いつの間にかピートに追従するように、彼の背中を風よけに飛んでいたシアラが前方をなぞる様に指で線を引く。線に沿って巻き起こる冷気の風は氷の坂を作り出し、その上を走るピートとJaneを大蛇の頭の高さまで飛ばす発射台となる。
「捉えたぜ」
「大蛇に風を届けに参りましたぁ!!!」
 発射台を抜け、勢いのままにJaneが宙に躍り出る。その勢いの頂点で、ピートの右腕が煌めいた。その先腕の先にあるのは五本の指ではなく一本の銃身。凍てついたままの大蛇の牙へ向け、そこから己が生命エネルギーを迸らせる。
 放たれた一条の光と交差するように飛来するママチャリは大蛇とのすれ違いざま、突風で抉るように水の身体を弾き飛ばし、
「爆ぜるっす!!」
 二人のライダーが重力に身を任せて大蛇から距離を離せば、マコルの喚びだしたガジェットが眩い閃光と共に炸裂して凍り付いた皮膚を破砕した。
 水の大蛇が、その身体が、悲鳴を上げる。苦しみ、もがき、身体を癒すために頭から泉の中へ潜り込もうと動く。
「させませんよっ!」
 その動きを止めるのは、再びの鐘の音。シュシュの瞳は大蛇の行動を確りと捉えていた。透き通るような青で巨体を見据え、まだ少し、あと少し解けないで十二時の鐘を鳴らし続ける。
 停止と再生を繰り返す巨体。視線の先の、その身にすればほんの僅かしかない水面までの距離が、今は果てしなく遠い。
「……見えたぜ。こいつは……当たるッ!」
 水面と大蛇の頭部、その隙間目指してクロヴィスが、その身体からすれば長い長い距離を矢のように翔けていく。
「当てさせますよ、絶対にね」
 クロヴィスの背を暖かな風が押した。風に乗って届くのは、リーファの穏やかな声。彼女の赤い髪に咲く花が示す言葉は――愛情。
「ヘッ、ならこのストレート・アップは何が何でも当ててやるッ!」
 コートの中のハートのクイーンが微笑んだ気がした。
 風に乗って弾丸となった身体で見事に大蛇の鼻先へと辿り着き、くるりと翻って直上、憎悪の視線を放つ大蛇の瞳へ剣を突き立てる。大蛇は身を捩る事も、悲鳴を上げる事すらままならず、停滞の鐘の音が苦痛の時間さえ引き延ばしていく。
 その鐘はクロヴィスにとっては当たりを告げる鐘だったろうか。瞳を貫く剣、そこに刻まれた四つのスートに、しかし血はおろか水も滴ってくることはなく、凍り付いた左瞳の砕ける音だけがそこから零れ出た。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒白・鈴凛
くふふ、いよいよ小さな冒険の終わりが近づいて来たアルナ

大蛇を討ち取って私たちの仕事も閉めるとするヨ

【野生の勘】で攻撃を避けつつ
大蛇の肉体の一部を掠め取って喰らうアル
そうすればワタシのユーベルコード、悪食晩餐が発動するネ
ワタシの腕は触れたものを喰らうものへと変化するヨ。いくら摩擦を消されようと関係ない

大蛇の全てを喰らってやるアル
私は【大食い】アルからな。

さて、大蛇を倒せば受けた仕事は終わりネ
此処からはアフターサービス
子ども達の帰り道も護衛するヨ
冒険は帰りつくまでが冒険ネ


ロク・ザイオン
(真の姿を解き放ち)

……さあ。
狩りだ。

(水を吸っても変わらないどこか。核があるのではないか)
(目玉か。脳天か。【野生の勘】で見当を付け、目掛けて「烙禍」で焼き潰す。体表の水を消し飛ばし更に「烙禍」で【傷口をえぐる】。どんなに図体が大きくとも掘り進む。
大きくなるのはヴィクティムがとめてくれると言うが。自分も増えた分を消し飛ばせる)

……あまり、すると。
湖が無くなるのは困るけど。

(短期戦だ。繊細に、大胆に行こう)
(子供たちだって、がんばったのだ)


(長い鬣と尾を持つ、自分の真の姿を)
(――あねごは、猫だと仰っていた。)


作図・未来
さて、残りはこいつを退治するだけだ。
この物語、二人の幸せな結末で完結とさせてもらおう。

僕は呪縛の舞踏で戦うよ。
動きを鈍らせれば、味方の攻撃のチャンスはあるはずだ。
上手く強化のタイミングを遅らせたりできれば、それはとても効くはず。

……前に僕は天命座君を守ると誓った。
でも、彼女は僕なんかよりもよっぽど強くて、気高くて。
未だにその誓いを完遂できたとは言えない。
今だってそうだ。僕にはまだその力があるとは到底言えない。

だったらどうするのか? 決まっている。
今の僕に出来る全力を尽くすだけだ。

この、自分の力不足による苦しみを【呪詛】に変えて。
君に恨みは無いが、個人的な理由で、全力で呪わせて貰うよ――!!


ヴィクティム・ウィンターミュート
さーて、語られざる外伝のクライマックスだ。悪ィが、メインのストーリーを食われちまうと、観客が冷めまうんでな。端役と踊るくらいで満足してくれや。なーに…退屈はさせねえよ?

時間もねえ。何べんも再生されちゃ敵わん。ユーベルコードで「身体の復元」を相殺しにかかる。一回目で破れりゃ儲け。ミスっても【見切り】と【情報収集】でサンプルデータが採れる。そいつを解析してやりゃいい。
解析までは何とか【時間稼ぎ】して、2回目の再生が来たら【見切り】と【早業】ですかさずそれを阻害する!

よー!蛇公!ご自慢の再生ができねえ気分はどうだ?あんまダラダラ舞台に立たれてもよー、観客はもう沸かないぜ?
だから…そろそろ引っ込んどけ


天命座・アリカ
さて、そろそろクライマックス!
時間がないよね急がないとさ!さながら私は白ウサギ!
時計の針より更に速くさ!短期決戦と行こうじゃないか!
悪いがね、ボーイミーツガールはハッピーエンドと相場が決まっているんだ!

サクサクっと終わらせよう!少しばかり奥の手を使っちゃおうかな!
さあさ見たまえ晴れ姿!といっても、天使の片翼までだがね!
これ以上はねお釣りがくるよ!

水の大蛇とは中々に芸術的ではあるが!ふむ、水なら炎、いや雷かな?
試せるものは全部試す!君の存在に打ち込んであげよう!これくらいの情報なら連射して問題もない!

多少の傷は省みず!攻撃火力に集中しようじゃないか!
なあに、騎士様がいるかもしれないしね!


ロカロカ・ペルペンテュッティ
水蛇のオブリビオン。周囲の水を吸収して強大化する恐ろしい敵、ですね。
しかし、彼らが来るよりも早く、片付けてやらねばなりません。
……ボクの一番の友達の力を借りるとしましょう。
ボクの深奥で眠る彼の力を眠りについた彼の力を借りるのは少し申し訳ないところですが、子供たちを守るためならば、許してくれるでしょう。
再生の隙を与える間も与えないよう、全力を一撃に注ぎ込みましょう。
複合式連鎖刻印と封鎖紋による限定を解除し、UDCの因子を活性化して呪力を引き出します。さらに祭礼呪具と祭礼の呪杖を使って生み出した呪力を増幅し、すべてを友たる《雷鳥》に捧げて、全力の稲妻を放ちます。(技能:属性攻撃、捨て身の一撃)



 半凍結の泉に大きな水飛沫が上がる。
 それは水の大蛇の巨体が泉に潜り込むことによって起きた水飛沫。
 跳ねた水がその勢いを失い、水面を叩く。泉に戻るものがあれば、入れ替わるように這い出てくるものもあった。泉の水分を取り込んだ大蛇が水面を潜り抜けた時、
「一口貰うヨ!」
 眼前にあったのは鈴凛の姿。
 氷上を滑り、駆け、跳ねた鈴凛はすれ違いざまに大蛇の横っ面へ向けて腕を振るう。
 しかし鈴凛の腕に手ごたえはない。ざぶ、と水面に突き入れるように大蛇の頬の中に入り込んで、勢いのままに通り抜けていく。
「……やっぱり一筋縄ではいかないみたいネ?」
 結果や言葉とは裏腹に鈴凛は余裕の笑みを浮かべ、ぺろりと舌なめずり。対岸の氷へと着地する。
 一瞬の交差は大蛇の勢いを削ぐことはなく、再び泉上に姿を露わにする大蛇。その長い身体に刻まれた傷は確かに新たな水で補われている。しかし、
「やっぱ重要なのは普通の水であること、か」
 折られた牙も破砕された皮膚も、傷口とそこに残るその歪な表面を露わにしたままだ。
それらに共通するのは、傷口を蓋するように未だ当該箇所が凍り付いているということ。
 ヴィクティムが視覚強化の施された網膜、そこから伸びる硬質な視線で大蛇の身体を、それが復元されるプロセスを射貫き、推測を立てている。
「あれは。どう説明する」
 視線を切らさないヴィクティムの耳に飛び込んできたのは、ノイズのような、砂嵐のような音が紡ぐ言の葉。その主、ロクが指差すのは大蛇の左目。瞳が収められていた眼窩。凍った他の傷口と違いそこには流体の動きが伺えるが、瞳が再構成される気配はない。
「あの砕けちまったやつか。代えの利かない器官もあるって事だろ」
「なら。そういう器官のどれかがあいつの核になっている、はず。ちがうか?」
「……あるな。問題はそれが何処なのかだけど……」
「つまり! それを見つければ問題解決というわけだね!」
 水の大蛇討伐の糸口を掴むべく言葉を交わすヴィクティムとロク、彼らの背後で高らかな声と足音が響いた。
「問題を解き明かすのは! 天使か悪魔かそれとも何か! 答えはそうさ天才美女さ!」
 一歩進む度にその身体は電子に置き換わり、泉の淵に辿り着く頃には片翼の天使に成り変わり、
 ――さあ、天命座を始めよう!
 自称天才美女、アリカは堂々と声を上げ氷上へと駆けだした。
 総当たりで核を探すとばかりに大蛇に向けて放つのは魔力の弾。記憶領域の情報をエネルギーとする輝き。電気に類する情報を乗せ、帯電した魔力弾が大蛇の身に降り注いでいく。
 苦しみもがく大蛇。泉の中へ退散しようとするその姿を、
「行かせないよ」
 冬の空気のように冷徹な呪詛が阻む。
 未来の喚び出した怨霊たちが大蛇を逃がすまいと水面に漂っていた。
 逃げ場を失った大蛇はそれでも諦めない。凍結した水面を割り砕き尾を露わにすれば、その身を苛む雷撃を放ち続けるアリカ目掛けて薙ぎ払うように振るってみせる。
「それも駄目だ」
 露わになった尾、それが生む影から這い出るように新たな怨霊たちが姿を現し、
「(……前に僕は天命座君を守ると誓った)」
 薙ぎ払いを抑えにかかる。
「(未だにその誓いを完遂できたとは言えない……今だって、そうだ……っ)」
 呪詛と巨体が鬩ぎ合う。食い縛られた歯に尚力が籠るのは大蛇の筋力に抗するためか、内に抱える苦しみ故か。
「――助かるよ未来君! 攻撃に集中できる!」
 余裕のない未来の心にやって来たのは、騎士が現れると信じて疑わなかった者の言葉。顔を上げればウィンクするアリカの姿。
「(……でも、どうするのかなんて決まっている!)」
「全力で守らせて貰うよ――!!」
 その眩しさに、そして抱く理想にまだ届かない歯痒さを噛み締め、一層の力で大蛇の尾を押し留めるのだった。
「雷、有効なようですね。……なら、ボクの一番の友達の力を借りるとしましょう」
 水の身体ゆえに全身を行き渡り、帯電した魔力弾。呪詛に自由を奪われながら悶える大蛇の姿を見たロカロカが身体の内で呪力を編む。力は表層に流れ、皮膚に刻まれたタトゥに循環し、それと連動する刻印が血を啜っていく。
「起こしてしまってごめんね。だけど、君の力が必要なんだ。偉大なる翼。猛き雷」
 四肢の術具が更にロカロカの呪力を高める。握る呪杖に祈りを込め、その身の中の友へと語り掛けるロカロカ。
 その声に応えるように地より放たれた一筋の雷が空を撃つ。飛び立つのは――、
「《偉大なりし雷鳥》」
 雷の化身。嘴から雷鳴を轟かせ、瞳に宿すは雷光。翼には万雷の羽根を蓄え、稲妻を放つその巨鳥は落雷の如く泉に降下し、その翼で以って大蛇の尾を両断してみせる。
 大質量を一度に失い絶叫を上げる大蛇。水へと還る尾を見下ろし、次いで傷口に視線を動かすが新たな尾が生えてくることはなかった。
「よー!蛇公! ご自慢の再生ができねえ気分はどうだ?」
 大蛇を嘲笑うように言葉を放ったのは、水面と氷の境界で腰を降ろすヴィクティムだ。冷えた水にさらすように、泉の中に片手を指し込んでいる。
「悪いな、ここの水は全部俺の物だ。お前を支えてくれる裏方はもう居ねぇよ」
 ヴィクティムが泉に行き渡らせたのは対象の使用権限を奪うウィルスプログラム。大蛇の使用できない物へとその性質を変じさせていた。
「さーて、語られざる外伝のクライマックスだ。……そろそろ引っ込んでもらうぜ」
 嘲るように笑みを浮かべていた表情が冷ややかな、いつまでも退場しない敵役に辟易した観客の顔となる。
 忌々しげに咢を開いた大蛇がヴィクティムへ向け水の弾丸を放つが、
「そうは問屋が卸さない! この天命座が許さない!」
 その悉くをアリカの魔力弾が鮮やかに撃ち落していった。
 水を供給する術を失った結果水弾を放つには身を削るしかなく、その体積を少しずつ減じさせていく大蛇。それを看過できない者が居た。
「食べるところが減ってしまうヨ。ワタシ、大食いアルネ」
 長く編まれた白い髪を躍らせ、鈴凛が宙を舞う。
 一つ、二つ、三つと繰り出される連撃。今回はその全てが水の身体を通り抜けることなく、大蛇の身を削ぎ落していく。
「酸いも甘いも全て喰らってやるヨ」
 ようやくありつけたご馳走に恍惚の表情を浮かべる鈴凛。大蛇の身体の持つ性質によって躱された初撃だったが、その際に触れた蛇の身体を元に、それを喰らうことに特化した存在へと自身の腕を変化させていた。
 水を取り込むことも出来ず、その身体さえ攻略された大蛇は、最早自身の巨躯に頼るしかなかった。素早く鎌首を擡げ、八口目を食べ終えて着地した鈴凛目掛け、折れた牙で向かっていく。
「大人しくするんだ。舞台を降りる引き際を、見誤らない方がいい」
 それを受け止め、離すまいと未来の喚び出した怨霊たちが呪詛で縛り上げる。押すも引くも出来なくなった大蛇を迅雷が貫いた。一筋の光は尾に続いて胴を断ち、大蛇の上体を刎ね飛ばしていく。
「ありがとう、この分なら彼らが来るよりも早く片付きそうだ」
 雷鳥は天へと昇り、雷となって再び地に落ちる。友へ感謝を告げ、再び己が内へと迎え入れるロカロカ。彼の視線の先では水面で暴れ狂う蛇の胴体に更なる雷撃が加えられていた。
 降り注ぐ魔力弾に散り散りと吹き飛ばされ、水となって雨のように降り注ぐ胴体。未だ頭が健在で右の瞳を輝かせているならば、
「こっちはハズレか! キミの番だよ森の番! そいつの頭に見舞ってやれ!」
「―――おおおおっ!!」
 片翼の天使が空を仰ぐ。そこには猫のようにしなやかな体躯で跳躍したロクの姿があった。彼女は揺れる鬣と長い尾で垂直に線を引き、大蛇の頭目掛けて落下していく。
 その勢いのまま手にした山刀を、咎を焼き潰す一撃を大蛇に突き立て、その膂力と体重も乗せて押し込んでいく。
 これ以上この異物を進ませるわけにはいかないと摩擦抵抗を減らすことなく抵抗する大蛇であったが、その頭部からは次第に泡が立ち、火にかけられた鍋の水のように沸騰していく。
「燃え、落ちろ……!」
 所変われば周囲を炭化させるほどの熱量が撃ち込まれ、更にその体積を減らされる大蛇に、最早断罪の印を止める術はなかった。
 赤い右眼がさらりと溶けだし、色を失い、水の大蛇が泉へと還っていく。
「狩りは、終わりだ」

「……やっと着いた!」
「すごーい、広いね! 所々氷も張ってて……きれい」
 ぱたぱたと泉へ走り寄る足音、弾む声音。冒険者の奏でる音が木陰へ、茂みへ、森へ、そしてその影となる猟兵たちへ響く。
「青い鳥はどこかな?」
「こんなに寒かったら他の場所に行っちゃったかな……」
 静かな水面、きらきらと輝く氷、澄んだ空気。しかし彼らはここに来た本当の目的を忘れてはいない。
 きょろきょろと周囲に視線を巡らせ、樹上を探り、
「「あっ……」」
 不意に見つけた青に息を飲む。
 氷を輝かせていた陽の光。いつしか雲が晴れ、顔を覗かせていた冬の空。
 未だ葉を茂らせる常緑の木々は泉の形にぽっかりと口を開け、
「……だからこの泉にしか住んでいないって言ってたんだ」
「こういうことだったんだぁ……。ふふ、わたしたちこれで幸せになれるかな」
 羽ばたく鳥の形に、青を切り取っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月31日


挿絵イラスト