帝竜戦役㉙~群竜大陸の帝王・帝竜ヴァルギリオス~
●アックス&ウィザーズ・群竜大陸「世界樹イルミンスール」
四方を呪力高山に囲まれた世界樹「イルミンスール」。この場所こそ、群竜大陸の王座の地にして、至高なる帝王が鎮座する場所である。
群竜大陸に君臨する帝竜達の魔力がある限り、絶対破壊できない結界が張られた神域ではあるが、すでにその魔力は途絶え、ついにその領域に侵攻することができる。
「よくぞここまで来た、猟兵達よ。余こそが群竜大陸の主、帝竜ヴァルギリオスである!」
そして圧倒的な威圧感を放ち、帝竜ヴァルギリオスは高らかに宣言する。ここまで再孵化してきた帝竜達を倒してきた猟兵達に対して、惜しみない賞賛を与える。
だが勝利を与える気はない。帝王は最後に勝ってこその帝王なのだ。帝竜ヴァルギリオスはここで猟兵達を骸へと変えるつもりだ。
「奥の手であった『ワーム』にさえも辿り着くとは、見事なり。だが、最強の帝竜である余を倒さぬ限り、『カタストロフ』は止まらぬ」
奥の手を潰されようとも、自身の元へたどり着こうとも、帝竜ヴァルギリオスが健在な限り、群竜大陸は揺るぎはしない。そしてカタストロフを起こし、この世界を蹂躙する。
そして「界渡るもの」として異なる世界へと羽ばたくのだ。それを邪魔する猟兵と、いよいよ雌雄を決する時だ。
「さあ猟兵達よ、最終決戦といこうではないか!」
最強の帝竜にして、何者にも並ぶ者なしの種族ドラゴンの頂点、ヴァルギリオスとの死闘がいよいよ始まる。
●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「見ての通り、転移したら一気に決戦じゃけー、心して行ってほしいのー」
一通りの予知を見せて電脳ウィンドウを閉じたグリモア猟兵のメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)。映し出されたのは今回の帝竜戦役の元凶にして、最強の帝竜、群竜大陸の主・ヴァルギリオスである。
「言うまでもないが、今までの帝竜で段違いに強い。それは心して挑んで欲しいのー」
帝竜ヴァルギリオスは多くの竜頭を持つ巨大なドラゴンである。そして炎水土氷雷光闇毒の八属性の首を持つ、世界最強のドラゴンでもある。その攻撃力・防御力は圧倒的で、隙らしい隙は全く無いともいえる。
そしてどう足掻いても帝竜ヴァルギリオスの行動が先手を取ってくる。怒涛の猛攻をしのぎ、反撃のチャンスを掴むことこそ、唯一の勝機と言える。
「じゃけど、今までいろんなオブリビオン・フォーミュラを葬ってきた皆なら、きっとやってくれると期待しておるからのー」
不安など一抹も感じていないといった口調でメイスンは転移術式を開始する。群竜大陸における戦いの中で、最後にして最大の決戦。必ず勝利を掴み取る決意と共に、猟兵達は世界樹へと飛び立つ。
ライラ.hack
いよいよ戦役も最終決戦を迎えることになりました。
このたびは群竜大陸を支配する帝竜達の王、群竜大陸の帝王ヴァルギリオスとの一戦となります。
難易度は普通より「かなり」高めなのでご注意ください。
そしてこのシナリオでは以下の特殊ルールがあります。
プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
最強の帝竜の前に小手先はいりません。皆様の知恵と力を振り絞って戦い抜いてください。
それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『帝竜ヴァルギリオス』
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POW : スペクトラル・ウォール
【毒+水+闇の『触れた者を毒にするバリア』】【炎+雷+光の『攻撃を反射し燃やすバリア』】【氷+土の『触れた者を凍結するバリア』】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 完全帝竜体
【炎と水と雷の尾】【土と氷と毒の鱗】【光と闇の翼】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : ヴァルギリオス・ブレス
【8本の首】を向けた対象に、【炎水土氷雷光闇毒の全属性ブレス】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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才堂・紅葉
流石は親玉、肚が据わってるじゃない
なら、真っ向勝負ね
「コード・ハイペリア!!」
真の姿の【封印を解き】、左右の手に「対戦車杭打銃“楔”」と「高周波シャベル」を構える
先制対策
重力制御で一つ飛びし、【野生の勘。見切り】で凍結バリアを極力回避【オーラ防御】で超重力場を分厚く纏い、残る二つとのバリアとの直接接触を最小化して凌ぐ【毒耐性、火炎耐性】
「幕引きの時間よ」
激戦で得た流血を掬って戦化粧
反撃は氷+土バリアを狙い、シャベルで物理的に穴を開ける
超強化のパワーで、凍結よりも更に速くだ【気合、トンネル掘り、怪力、衝撃波、メカニック、重量攻撃】
後は紋章の力を乗せた“楔”で突貫し、フルバーストで【吹き飛ばす】
火土金水・明
「ついに『帝竜ヴァルギリオス』との決戦ですね。こちらも全力で迎え撃ちましょう。」「その翼、斬らせてもらいます。」
相手の先制攻撃に対しては、【見切り】【野生の勘】【第六感】の技能を駆使して回避を試みます。
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【高速詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【銀の流れ星】で、『帝竜ヴァルギリオス』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【勇気】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。
ビードット・ワイワイ
アドリブアレンジ連携歓迎
図体ばかりがでかいやつがここまで集まれば尊大になるか
巨人崩すにもまず弱らせて、我が身削りて、敵を削らん
目立たぬよう攻撃見切りて武器と盾にて攻撃受け
接触の瞬間我自身を吹き飛ばす様に衝撃波を出さん
有象無象の存在だと思わる様、演技せん
そうすることで我がUCはより一層働く
これより我が姿は何物にも知覚できず
この身見えるは我のみである。我が武器であり防具なりし
腕を改造し槍へと変え、鉄腕に溜めるは力、呪詛、毒
汝の鎧砕き、無視する邪なるもの
脚部動かし汝へ近づく。その行いは我がUCを解かぬ限り認知できず
汝の体を串刺しにする。微々たるものでも巨竜を倒す
その図体で思い知れ
ウィリアム・バークリー
【ボーダー】
ついにここまでやって来たね。
帝竜の王ヴァルギリオス。あなたの命運もここまでです!
攻防共に備える、強力な自己強化ですね。
ともあれまずは、尾や翼からの攻撃を警戒して、「全力魔法」氷の「属性攻撃」の「オーラ防御」を。
先制攻撃を凌ぎきったら、Active Ice Wallを「高速詠唱」「全力魔法」氷の「属性攻撃」「盾受け」を乗せて展開。
カズマの足場にもなるよう、上を平らな形で生成して戦場へ送り出す。併せて、戦場全体を見ながら、ドラゴンブレスを防ぐ盾として動かすよ。
牽制として、「衝撃波」を纏わせた氷塊を、砲弾としてヴァルギリオスの頭へ叩き込む。
あなたの相手はそっちじゃない。このぼくだ!
瀬尾・カズマ
ボーダー
いやー、ここまで長かったな。山あり谷あり水あり金は無いってな!
ウィル。…死んでくれるなよ。援護頼む
先制攻撃はウィルの防御の陰に隠れてやり過ごす 頃合を見てUC発動。俺(とニョグ)を高速戦闘モードにする
UCで上がった反射神経とスピードと【足場習熟】でウィルの氷の盾を足場にして移動しつつ、観察
敵は急激に超強化した。なら流血なり毒なり、体に負荷があるはずだ。その弱体化した部分を【見切り】、氷の足場に俺の影を広げ高速戦闘モードのニョグを召喚。ありったけの数の巨大触手を出して【部位破壊】を狙う
滅ぶのはアンタだ、龍の王。灰は灰に、塵は塵に、過去は過去に。どうか御身の眠りに安らぎがあらんことを
世界樹イルミンスール。帝竜達の王・ヴァルギリオスの居城でもあるその地は、四方を呪力高山に囲まれたまさしく鉄壁の要塞であった。恐るべきは帝竜達の魔力で結界が張られていたことである。
それがある内は帝竜ヴァルギリオスの玉座へ近づくことすらできなかった。だが今、帝竜達は次々と倒れ、最後の帝竜ワームもまさしく沈もうとしている段階である。
だがそれでもヴァルギリオスに焦りの色は何一つない。最強の生物ドラゴンの頂点にして、至高なる8本の頭がいまだ勝利を諦めていない。
「よくぞ来た、猟兵よ。屍をここにて晒すがよい!」
その威容に誰もが怯みたくなるような威圧感を感じる。だがそれを肌で嫌でも体感しながらも瀬尾・カズマ(ニョグタノオトシゴ・f25149)は陽気に口を開く。
「いやー、ここまで長かったな。山あり谷あり水あり金は無いってな!」
ここまでの道程は決して楽なものではなかった。途中で立ちはだかる帝竜達も並大抵ではなかった。だがこの帝竜ヴァルギリオスを倒せば戦役が終わるとなれば、最後の力を振り絞るしかないとカズマは笑う。
そして金策はここで手に入れたお宝をどう金に換えるかも考えつつ、相棒であるウィリアム・バークリー(“聖願(ホーリーウィッシュ)”/氷の魔法騎士・f01788)がヴァルギリオスの前に立つ。
「ついにここまでやって来たね。帝竜の王ヴァルギリオス。あなたの命運もここまでです!」
多くの帝竜達を葬って来たことにウィリアムもまた自信を深めていた。だがそのウィリアムだからこそ、感じ取れる。目の前の帝竜ヴァルギリオスは別格である、と。
その帝王を前に勇気ある発言をし、一切の畏怖も恐怖も感じさせない二人にヴァルギリオスも高らかに笑う。
「フハハハハッ! まるでかつての勇者の如しよ。それでこそ余が相手にするに相応しい!」
そして帝竜ヴァルギリオスはいきなりカードを切ってくる。初手だからこそ、一気に潰し先手を取らなければならない。だからこそ、完全帝竜体へと変化していく。
その尾が炎と水と雷を宿し、翼が光と闇の力で覆われていく。さらに竜鱗が土と氷と毒に変化していき、まさしく8属性の防御を兼ね備えた完全なる竜体となり、力がさらに強大になっていく。
「攻防共に備える、強力な自己強化ですね」
「ウィル。…死んでくれるなよ。援護頼む」
その帝竜ヴァルギリオスの完全帝竜体の前に冷静に分析するウィリアム。だが隙がないその姿にカズマの額にも汗が流れる。戦わなくては生き残れない、その気持ちが身体を動かす。
ウィリアムは翼や尾の攻撃を警戒して、魔力を即時に練り上げ、攻撃を遮断する氷の防壁を築き上げる。カズマはその防壁に隠れるように過ごそうとする。
「無駄なことよ。余の完全帝竜体を前にしては無力」
そう言って帝竜ヴァルギリオスは氷の防壁を薙ぎ払うかのように、炎の尻尾を振り回す。粉々に砕かれていく。ウィリアムがさらに予備の防壁で防ごうとするが、それも雷の尻尾が瞬時に動き、水の尻尾が氷壁を刻んでいく。
そうして露わになったウィリアムとカズマの姿にヴァルギリオスの一頭の口が開く。そこにはすべてを焼き尽くす炎が吐き出されんとしていた。
「終わりだ、猟兵達よ」
氷を追加で張る隙すら与えないと言わんばかりにヴァルギリオスの炎。だがそれがウィリアムとカズマを焼くことはなかった。
二人の前に立ち塞がるのは、鉄で出来た機械の壁であった。
「ビードットさん!」
「図体ばかりがでかいやつがここまで集まれば尊大になるか」
二人の前に立って火炎を大きな装甲盾で受けているのは、ビードット・ワイワイ(根源的破滅招来者・f02622)だ。巨大な鉄の要塞たるその巨躯をもってヴァルギリオスのブレスを防いでいる
だがそのビードットの巨体をもってしてもヴァルギリオスの巨大さには及ばない。だがその機械の瞳は冷静に、冷酷に目の前の強大な帝竜に挑戦的な瞳を向ける。
「巨人崩すにもまず弱らせて、我が身削りて、敵を削らん」
「その心気はよし。だがいつまで耐えられる? 機械の猟兵よ」
その炎のブレスはもちろん、さらにウィリアムの氷壁を破壊していた3本の尻尾がビードットに襲い掛かる。衝撃に対しても大きな防御力を誇るビードットであるが、雷・水・火と属性が付与されて強化されたヴァルギリオスの尾の襲撃。
ブレスを防ぎながら対応できるはずもない。火と雷の尻尾は片手で防いだが、水の尻尾がビードットの腹部に直撃し、派手に吹き飛ばされる。イルミンスールの樹木に激突し、倒れ込むビードット。
それにトドメを刺そうとするが、これを邪魔するように氷壁が再び立ち塞がる。ビードットが稼いだ時間は決して無駄ではない。ウィリアムの詠唱の時間はしっかりと稼げたのだ。
「今だ、カズマ! 行って!」
「おう、任せろ!」
ウィリアムが氷壁と共に、魔法「Active Ice Wall(アクティブ・アイスウォール)」を発動させる。ヴァルギリオスはおろか、イルミンスールを取り囲むように展開する氷塊の群れ。それこそが帝竜ヴァルギリオスの攻撃への盾となり、また道となる。
カズマはこれを待っていた。ウィリアムが危機にされようとも、ビードットが吹き飛ばされようとも、ただ攻撃の機会を待ち続けたのだ。すべてはヴァルギリオスに勝利するという目的のために。
そして「クロックアップ・スピード」の発動キーとなる指を鳴らし、自身と内に宿るUDC「ニョグ」は高速戦闘モードに入る。後の反動など二の次だ。反射神経とスピードを持って、ウィリアムの足場を突き進む。
「氷壁の次は氷塊の大群か。多芸なことだな」
だが無意味と言わんばかりに再び3本の尻尾がカズマの迎撃に向かう。そして動きを止めた瞬間、またあの炎のブレスが飛んでくるのだろう。だがカズマは伊達に見に回っていなかった。
帝竜ヴァルギリオスの完全帝竜体は確かに凄まじい強化である。だがそれにはどうあっても反動が存在する。100%以上の力を発動させれば、どこかに歪が生じるのは人間でも同じだ。ならばその身体の負荷がある箇所を狙えば、という考えだった。
「滅ぶのはアンタだ、龍の王!」
そして目を付けたのは、迫り来る炎の尻尾だった。炎に交じって蒸発する箇所を見つけ出したカズマ。それこそ、そこがヴァルギリオスの肉体が出血しているという証拠。氷に出来た自身の影からUDC「ニョグ」を出現させ、自身の力の限りありったけの巨大触手を呼び出す。
それを束にしてヴァルギリオスの尾にも負けない触手となったそれを、弱点部分へと叩きつけるカズマ。出血していた部分に負荷がかかり、やがてそれは亀裂となって肉が裂ける。そしてニョグの触手が喰らうようにヴァルギリオスの傷に殺到し、ついに炎の尻尾を切断するほどに食い破る。
「塵は塵に、過去は過去に。どうか御身の眠りに安らぎがあらんことを」
「尻尾を一つ破っただけで、もう余の冥福を祈るか。気が早いことだ」
帝竜ヴァルギリオスは炎の尾を切断されても動揺一つ見せていない。それどころか、炎のブレスでカズマを足場ごと焼き尽くそうとしている。それを阻止したのが、今だ氷塊を維持し足場を保ち続けているウィリアムだ。足場となっている氷塊を束ねて砲弾として、炎が放射される前に飛ばして潰す。
「あなたの相手はそっちじゃない。このぼくだ!」
その威勢のよさにヴァルギリオスもウィリアムの方向を向くが、それが足場を使って別方向から進む才堂・紅葉(お嬢・f08859)と火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)を死角へと追いやった。それは絶好の接近の隙となる。
「流石は親玉、肚が据わってるじゃない。なら、真っ向勝負ね」
「ついに『帝竜ヴァルギリオス』との決戦ですね。こちらも全力で迎え撃ちましょう」
紅葉は尻尾一つ斬られても動揺しないヴァルギリオスに対し、一切の侮りを捨てていた。数はこちらが多いとはいえ、一切の油断のできない相手。重力制御一つとってしても、失敗が許される行動をすれば、待つのは死である。
明もまたヴァルギリオスに対しての侮りはない。帝竜をまとめ上げ、再孵化も行うことで戦力を増やし、自身もまた桁違いの力量を持つ。今ここで倒さなければ、世界の災いとなる。なればこそ、ここで叩くという思いだ。
「コード・ハイペリア!!」
真の姿の封印を解き、真紅の髪に染まる紅葉。左右の手に「対戦車杭打銃“楔”」と「高周波シャベル」を構えている。だが死角から迫る二人に気が付いたヴァルギリオスの光の翼が羽ばたく。巻き起こるは、暴風と共に風を切り裂く光の刃の乱舞である。
それらを紅葉は重力制御で、明は魔力の残像と氷塊を盾にしながら突き進む。だが羽ばたくたびに無数の光の刃を発生させるヴァルギリオスの翼。その刃が残像をすべて吹き飛ばし、明本体に迫ろうとしていた。
「させる、ものですか!」
それを庇ったのは紅葉だった。仲間がズタボロにされるのを指をくわえてみているほど、彼女は薄情ではない。超重力場のオーラを分厚く纏って、盾のように明の前でヴァルギリオスの光刃の乱舞に身を晒す。ある程度は重力に落とされ避けてくれたが、それでも身を切り裂くような痛みが紅葉を襲う。
それを冷静に踏み越えて、明は魔力をジェットのように噴き出して突き進む。紅葉が庇ってくれたことの感謝は、行動にて示す。その手には己の魔力をすべて込めた銀の剣。そして向かうは、ヴァルギリオスの光の翼である。
「その翼、斬らせてもらいます!」
そいて放たれる「銀の流れ星(ギンノナガレボシ)」。魔を断つ流星の双撃は、的確に出血で脆くなっている箇所を切断し、ヴァルギリオスの翼の一翼を見事に断ってみせた。
そして紅葉はというと、光刃に斬り裂かれて出血した血を手で掬い上げ、血の化粧を顔に施す。
「幕引きの時間よ」
飛んでくる水の尾に対して、勇猛果敢に突っ込む紅葉。能力「対戦車杭打銃“楔”(ロンギヌス)」によって死せる奪還者の無念を宿したことにより、すでに恐怖はなくなっている。尾の強化されていない部分の竜鱗の境目に躊躇なく高周波シャベルを叩き込む。
肉まで食い込むくらい入り込んだシャベルを土を盛り返す要領で掬い上げる。それこそ、紅葉のトンネル掘りの技術を応用した「鱗返し」であった。綺麗にヴァルギリオスの尻尾の竜鱗がひっぺ剥がされる。
「吹っ飛べ! 禊(ロンギヌス)!」
その露わになった尻尾本体に紋章の力を乗せた“楔”で突貫し、一気にエネルギーを炸裂させる。杭に加工された超偽神兵器の欠片の活性化がとてつもない威力で爆裂し、ヴァルギリオスの水の尻尾を粉砕し、切断する。
「我が姿は何物にも知覚できず、この身見えるは我のみであった」
ヴァルギリオスが雷の尾を振るおうとしたが、それが止まる。動かすことができない力で抑え込んでいるのは、さきほど世界樹まで吹き飛ばされて破壊されたと思われたビードットであった。
実はあの吹き飛ばしはビードットの演技であった。派手に吹き飛ぶように直撃の瞬間、足にブーストを駆けて吹っ飛ばされたように偽装。すでに倒され破壊された有象無象の存在だと思わすことに成功した。
そしてその隙に発動した「実行仮想破滅・己の存在不証明(アクセス・イマジナリールーイン・ルックミー)」で如何なる手段でも存在認識不可能な不可視体となり、知覚されることなく、その脚部を動かして凄まじいスピードで雷の尾を捕えたのだ。
「これより汝の尾を串刺しにする。微々たるものでも巨竜を倒す。その図体で思い知れ」
すでに片方の腕は巨大な鉄槍と改造されており、掴んだ腕には出血と毒を蔓延させる呪詛を送り込んでいる。そして自壊が助長されたところに叩き込まれる、ビードットの一撃。雷といえどもビードットを壊すことはできずに、あえなく貫かれて崩壊するヴァルギリオスの雷の尾。
「これが猟兵か。よもや帝竜完全体でここまで余の玉体に傷をつけるとはな」
そういってヴァルギリオスは唸る。雷・炎・水の尾をすべて失い、さらに光の翼の一翼も失ったヴァルギリオスの損傷は軽くない。そして猟兵の奮闘を見て、さらに警戒度を上げるヴァルギリオス。
まだ戦いは始まったばかりだ。だが圧倒的な帝王でも倒せないことはない。そのことを証明した五人の攻撃によってヴァルギリオス攻略戦は始まりを迎えたのだった。
成功
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ハロ・シエラ
現れましたか、オブリビオンフォーミュラ。
その強さは良く分かりますが……せめて一太刀、浴びせさせてもらいます。
敵の攻撃はブレスですか。
完全に回避するのは難しいでしょう。
なので【第六感】でダメージが少ない場所を察知して敵に接近します。
なるべく毒属性の場所を【見切り】、そこを【オーラ防御】と【毒耐性】、【息止め】、【激痛耐性】で凌ぎながら【ダッシュ】して進みましょう。
帝王の竜であろうと、永遠にブレスを吐き続ける事は無いはず。
剣の届かない位置で私が生きていれば、敵は息継ぎし、再度ブレスを放つでしょう。
その隙にユーベルコードで攻撃します。
【だまし討ち】出来るまで私が立っていられるか、倒れるか……勝負!
プリンセラ・プリンセス
連携・アドリブ可
ブレスはウマに◎騎乗することによる速度上昇と◎フェイントを混ぜた移動。
◎見切り、◎第六感、◎視力で軌道予測。
◎迷彩で◎めくらましで回避。
回避後はジャッジメント・クルセイドによる頭上からの◎だまし打ち
8本のうち1本でも方向が違えばブレスは放たれないはず。
その隙に接近して、聖剣による◎2回攻撃、◎鎧無視攻撃を行う。
狙うは胴体。
「八つ首あれども体は一つです!」
「私達は独りではない。一撃でも通れば充分なのです!」
仇ゆえに自ら倒したいという思いはあれど、負けてしまっては意味がない。
重い代償を支払ってプリンセラはその事を身を持って知ったのだ。
大総・統
フハハハ!我が名は秘密結社オリュンポスが大総統!!
ほう、最強の帝竜に小手先はいらないとな?
面白い! ならば、トカゲの長がどれほどのものか教えてもらおう!
統は、ヴァルギリオスを敢えて煽りながら(存在感+挑発)で、8本の首全て、自分側に向けるように仕向けます。
我が至強にして、偉大なるグランドフォースの力(念動力+オーラ防御、各種耐性)を以って、正面から全部受け止めてくれよう!!(つまり、理力で攻撃を受け止め、散らしながら、効いてないぞ!アピールと他の猟兵の行動に繋げる為の囮兼肉壁となる)
反撃の際は、UCを利用した嘗てヴァルギリオスと相打ちになった勇者たちを呼び出します。
*:アドリブ、絡み、連携可
リプリー・エイプリル
これがフォーミュラ…!
今までに無いほど心臓が早鐘をうっている
それでもやるんだ ボクだって猟兵なんだから
自棄にはならないけど無理をしない選択なんてとても出来る相手じゃない!
【リミッター解除】で限界まで身体と反応をブースト
【継戦能力】も一時的に上昇させる
攻撃軌道を読みやすくする為【虫退けの護帯】も使う
各種ブレスに相殺可能な【属性攻撃】の塗料をぶつけて…十中八九完全な相殺なんて無理だね
減衰及び軌道を逸らし空いた隙間を潜り抜けて肉薄
籠手による切削機能と【衝撃波】【怪力】で鱗を引き剥がして傷口を付ける
そこから相手の体内に指定UCをねじ込もう
アイツが他の味方に対応しようとする瞬間を狙って起動するよ
帝竜ヴァルギリオスは悠然と猟兵達を見渡している。その戦意には幾分も翳りはなく、自身の圧倒的力に対する気負いも感じられない。
この感覚に覚えはある。かつて群竜大陸にて敗北し、封印させられたこの世界の勇者達のことであった。あれらは誠に勇敢で、力を持った勇士達であった。だからこそ、同様の危険を感じる猟兵を生かす理由はない。
「界を渡る前に、やはり余が葬らねばならないか」
後顧の憂いはここで断たなければならない。そう決意を新たにヴァルギリオスは8本の頭を動かし始める。それぞれが異なる属性を吐き出すと呼ばれる8種の属性ブレス。それは多くの勇者を屠ってきたヴァルギリオスの必殺の一撃だ。
「フハハハ! 我が名は秘密結社オリュンポスが大総統!!」
そう言って大きく笑いながらド派手に宣言をかました人物こそ、大総・統(秘密結社オリュンポス大総統・f16446)。闇から世界を牛耳る秘密結社オリュンポスの大総統にして神の一柱。それが帝竜ヴァルギリオスに立ち塞がる。
「ほう、最強の帝竜に小手先はいらないとな? 面白い! ならば、トカゲの長がどれほどのものか教えてもらおう!」
「言うではないか。ならば最強のトカゲと侮る余のブレスによって滅ぶがよい!」
ヴァルギリオスは8本すべての首を統へと向けて8属性のブレスを放たんとする。それは統の挑発という名の煽りが成功したと確信する瞬間であった。つまりこの言動はあくまで計算されたことだ。
最初から統は攻撃をすべて受け止めるつもりであった。そしてヴァルギリオス・ブレスが放たれ、8属性のブレスがうねりを上げて統へと迫る。
「フハハッ、我が至強にして、偉大なるグランドフォースの力を以って、正面から全部受け止めてくれよう!!」
統はすぐさま自身の中のフォースのすべてを、ヴァルギリオス・ブレスを受け止めるだけの盾を作り上げることに注力する。その護りは各種耐性が込められており、結界としては一流の域を誇った。ブレスとフォースの盾が激突しても押し負けないくらいで、統は大きく笑ってヴァルギリオスを見る。
「フハハハハハッ! 効かぬ! 効かぬぞ!」
「ほう? 余のブレスを真正面からとは、やるではないか。だがいつまでその虚勢、続くかな?」
そう言いながらヴァルギリオスは見抜いていた。統がすでに余力なく、やせ我慢をしていることに。フォースを使いながら体内の理力を急激に消耗し、肉体は悲鳴を上げる。身体を襲う激痛にも統は不敵に笑うのだ。
だがそれはやせ我慢などではない。なぜならば、彼は囮であることを理解しているからだ。
「現れましたか、オブリビオンフォーミュラ」
「これがフォーミュラ…! それでもやるんだ。ボクだって猟兵なんだから」
ヴァルギリオスが統に対してすべてのブレスを放つ中で、一本の首へと迫るはハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)とリプリー・エイプリル(愛の芸術の面影・f27004)だ。
「その強さは良く分かりますが……せめて一太刀、浴びせさせてもらいます!」
統に放たれた圧倒的ブレスから見てもハロは一人ではどうにもならない相手であることは自覚している。だが全員の力を合わせて、至強を倒す。それができることはこれまでの帝竜戦でも証明してきたことだ。故にハロはできることだと確信し、愛用のレイピア「リトルフォックス」を構える。
一方のリプリーも今までに無いほど心臓が早鐘をうっている。これまで戦ったことのない圧倒的な存在「オブリビオン・フォーミュラ」。それを肌で実感し、恐怖が支配しそうになる。だが身体を止めることは許されない。故に恐怖をねじ伏せながらリプリーもまた進む。
そんな二人が迫るというのにヴァルギリオスは統へのブレスをやめようとしない。仕留めるなら各個撃破、統を殺すまでブレスを続けるという確たる決意のもとヴァルギリオスは攻撃をしている。そしてその代わりと言わんばかりに翼や腕による攻撃でハロとリプリーを撃ち落とそうとする。
「ブレスならば難しかったですが、舐めるなヴァルギリオス!」
ヴァルギリオスによるブレスを警戒していたハロは大きく吠える。だが内心ではブレスを受け続ける統に感謝しながら、ヴァルギリオスの翼の軌道、爪の襲撃を見極め、身体を捻るようにしながらギリギリで回避していく。リプリーもまた、ハロについていく為に身体のリミッターを解除して、その巨大なる竜の攻撃を避け続ける。
身体は悲鳴を上げ続けているが、無理をしなければ確実に殺されるである以上、リプリーに選択肢はない。自分の持ちうる力をすべて駆使する。自身のリボン「虫退けの護帯」が敵の敵意を察知し、攻撃タイミングを見極めていく。
「無視はさせないよ!」
そしてついに毒のブレスを吐くヴァルギリオスの一頭へと到達したリプリーが一筆を叩き込む。相殺を狙うために用意した炎の塗料をその顔面と塗り込み、炎上させる。
それを見てついに毒のブレスを吐くヴァルギリオスの頭がリプリーへとブレスを放射する。だがそれを筆からの塗料をぶちまけることで減衰させて、隙間を縫うようにさらに至近距離へと近づく。
「貴方の飾り、剥がさせて貰う」
そう言って籠手による切削機能で竜鱗を剥がしたリプリーは題名「貴方が本当に必要だったもの」の豪奢な装飾の鏡をヴァルギリオスの身体に埋め込む。その鏡は虚飾を暴くことで、能力を強制解除させる不思議なる鏡。
その鏡が光輝くと毒のブレスは霧散し、口を開けたヴァルギリオスの頭だけが残る。その先には「ディール・ウィズ・ザ・デヴィル」の魔銃の銃口を向けるハロがいた。
「勝負は私の勝ちだ。倒れるのは貴様だ!」
ブレスを吐き出すことができずに呆けたように開ける口に、ハロは容赦なく渾身の魔力で作り出した魔弾を撃ち込む。それは口内へと入り込み、肉体に刺さった瞬間、大きく炸裂する。そしてリプリーの鏡を巻き込んで破壊した時、毒のブレスもまた爆発に巻き込まれて暴発。
その結果、ヴァルギリオスの頭の一つは下あごから上が吹き飛ぶほどの大爆発を起こし、血が溢れ出す様を晒す。そのことについにヴァルギリオスの顔が歪む。
「まさか、この状況で余の頭を潰すとは……!」
そして突き刺さる上空からの光のエネルギー。闇のブレスを吐き出すヴァルギリオスを狙い撃ちするように放たれた光は、不意を突く一撃となった。
その攻撃をした少女は闇のブレスを吐き続けるヴァルギリオスの頭を指さし続けていた。プリンセラ・プリンセス(Fly Baby Fly・f01272)の渾身の魔力を込めた「ジャッジメント・クルセイド」であった。
「帝竜ヴァルギリオス! 我が国の仇よ! 今こそ裁きの時!」
プリンセラは滅ぼされた国を想う。殺された民を想う。家族の無念を想う。その想いを胸にウマに騎乗しながら戦場を駆ける。今だ統に対しブレスを向け続けるヴァルギリオスに一矢報いる為に。
ブレスは向かってこない。ならば撃ち降ろされる腕による攻撃に全神経を集中させるのみと、フェイントを交えながら巧みに大地を駆けていく。そして手に持った聖剣が胴体に届く位置にまで至った時、想いが爆発する。
「八つ首あれども体は一つです!」
そして刻まれる聖剣による斬撃。今まで積み上げた経験のすべてを込めた聖剣の一撃。確かにヴァルギリオスの身体を裂き、その傷から血が溢れ出す。
「亡国の王女か。ならば散って家族の元へと逝け!」
ついに身体に傷をつけられたヴァルギリオスの頭がプリンセラの方向へと向く。そこから放たれるは七頭によるヴァルギリオス・ブレスだ。
「私達は独りではない。一撃でも通れば充分なのです!」
ヴァルギリオス・ブレスが直撃して、身体が吹き飛び、傷が噴き出る中、そう吠えたプリンセラは思う。仇ゆえに自ら倒したいという思いはあれど、負けてしまっては意味がない。
だからこそこの代償は重いが、甘んじて受けようと。そして吹き飛ぶヴァルギリオスが追撃のブレスを持ってトドメを刺そうとする。
「フハハ! いや王女よ。お前は確かに一人ではない! 後は勇者たちに任せるがいい!」
それを救ったのはヴァルギリオス・ブレスを受け続けてフォースを使い切った統だ。だが能力「神代に続く英雄の船(テオゴニア・アルゴナウタイ)」はそれは関係ない。神代の武器で武装した古の英雄の幽霊達が戦ってくれるのだから。
そして呼び出したのは、嘗てヴァルギリオスと相打ちになった勇者達。それを空飛ぶアルゴー船に乗り、ブレスを吐こうとするヴァルギリオスへと迫る。狙うのは、光の柱を受けてダメージがある闇のブレスを吐く頭だ。
「ヴァルギリオスよ! 再び勇者達を知るがいい!」
「ここであの勇者達だと!」
犠牲を厭わない勇者たちの怒涛の攻撃がヴァルギリオスの頭の身体を削り取っていく。ブレスで消しても数で攻める勇者達。そして最後の一人がヴァルギリオスの頭を斬り飛ばした時、プリンセラはハロやリプシーが抱えてブレスの範囲外に逃げた後であった。
帝竜最強の帝王・ヴァルギリオス。決して油断したわけではない。最強の力をもって、最善の戦法を取り続けたはずだった。
だがそれすらもねじ伏せた猟兵達の連携攻撃によって、8頭の内2頭が戦闘不能になるという状態に追い込んだ。これはまさしく最強を倒す、確実な一歩となったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
アウレリア・フルブライト
ついに参りましたわよ、帝竜ヴァルギリオス!
勇者フルブライトの末裔として、フルブライト家の家名負う者として、何よりこの世界に生を受けた人間として!
貴方を、打ち倒してみせましょう!
小細工は不要、まずは只ぶつかるのみ。
バリアに対しては、齎されるダメージには【激痛耐性】、凍結にはこの魂の【情熱】と纏うオーラの闘志を以て対抗。
何より傷の全ては【覚悟】の上です、後は【勇気】を以て痛みを乗り越えるのみ!
【鎧砕き】の拳でバリアを叩き割ってくれましょう!
ユーベルコード発動の機が巡り次第、不撓不滅の闘魂を発動。
受けたる傷も力と変えて、最後の一押し、叩き込んでくれましょう!
リステル・クローズエデン
やれるかどうか……いや、やるしかありませんね。
バリアの阻止や解除はできませんが。
視力+第六勘+偵察+学習力で
バリアの特性と範囲を確認。
相手の攻撃を視力、聞き耳、第六勘で見切り。
ダッシュ+残像からの迷彩+目立たないで回避からユーベルコード発動。
空中戦+見切り+オーラ防御+環境耐性
毒耐性に電撃火炎氷結耐性。
バリアの境目。
なければ毒にするバリアに向けて、
心を『奴を斬る殺気』で満たし。
一気に突っ切る。
斬る
………………
お ま え を
斬 る !!
鎧無視攻撃+串刺し+怪力+息止め。
無名の刀を呪刀に変え両手持ちで斬る。
緋奈森・鈴音
いよいよ大詰めねー。
おねーさんももうちょっとだけやる気出すー。
「早く終わらせてーのんびり過ごすんだからー!」
炎と風の魔力を最大限に使って高熱のドーム空間をヴァルギリオスの周囲に展開!
「おねーさんも全力で頑張るからねー」
高熱で継続的にダメージを与えながら、
氷のバリアを溶かしながら、誰かが凍結されても熱で解凍し、
ただの高温の空間なので攻撃ではないのでおねーさんへ攻撃は反射されず、
毒にするバリアでも水を蒸発させて無効化させていくわー。
バリアを無効化できれば他の仲間の攻撃も通って勝機も掴みやすいだろうしー。
「こっちの方が使える属性は少ないけどやりようは有るのよー?」
疲れたからこの後はだらだら休むー!
帝竜ヴァルギリオスは常に考える。帝王として絶対なる力を持ちながらも、戦局を理解し、最善をもって動こうとする賢さが、知性が存在した。
それはかつて勇者達に敗れ、封印されたという過去があるからかもしれない。強さへの驕りは破滅を迎える。だからこそ、帝竜を生み出して機を待ったのだから。
「ここは守りを固める。余の頭の再生が最優先だ」
そして絶対の護りとなるスペクトラル・フォールが張られる。帝竜ヴァルギリオスを守るのは「触れた者を毒にするバリア」「攻撃を反射し燃やすバリア」「触れた者を凍結するバリア」。絶対の護りの防壁がヴァルギリオス最強の護りとなって猟兵の障壁となる。
「ついに参りましたわよ、帝竜ヴァルギリオス!」
そういって拳を握りしめて突き出すのは、アウレリア・フルブライト(輝くは黄金の闘志・f25694)。かつて帝竜と戦った勇者の末裔として、そしてこの地に住まう貴族の一員として、最強災厄の帝王へといざ挑む。
「勇者フルブライトの末裔として、フルブライト家の家名負う者として、何よりこの世界に生を受けた人間として! 貴方を、打ち倒してみせましょう!」
「余と倒した勇者の裔か。よかろう、力を示すがいい」
面白いと言わんばかりに口を歪める帝竜ヴァルギリオス。その余裕は自身の張るスペクトラル・フォールにあるのだろう。それに対してアウレリアに小細工など一切不要であった。
狙うは一転集中。躊躇ない正面突破である。対面するのは「触れた者を凍結するバリア」。その強烈なる拳が突き刺さるが、当然一撃で割れるほどやわではない。しかも拳を叩き込むたびに身体の熱は奪われ、凍り付いていく。
「それが何ですの? こんなものは覚悟の上!」
だがアウレリアは止まらない。魂を燃焼させるような燃え盛るオーラがその身の凍結を防ぐ。アウレリアは勇気をもって拳を叩き込む。それが無駄であっても、それが行き止まりであっても、アウレリアにできることは前進だけなのだ。
「痛みを乗り越え! こんなバリアも乗り越えてみせますわ!」
そして今まで重い一撃が凍結のバリアへと突き刺さる。そう、「突き刺さった」のだ。そこからアウレリアへの身体を急速に凍結させようとするヴァルギリオスのバリアであるが、すでに楔を撃ち込めたことでアウレリアは頬を緩める。
「ようやく……刺さりましわね! 勝機ある限り、幾度でも立ち上がってみせましょう!」
凍結を打ち払う黄金のオーラがアウレリアを包む。「不撓不滅の闘魂(インヴィンシブル・ソウル)」がアウレリアの負傷度合いと闘志の高まりに呼応し、自身に眠るすべての力を呼び覚ます。そしてバリアに撃ち込んだ拳をさらに奥へと進め、もう片方の掌底がその刻まれたヒビへと撃ち込まれる。
大地を揺るがす踏み込みから放たれた打撃。それはついにヴァルギリオスのスペクトラル・フォールの一角を粉砕し、その無防備な身をアウレリアの前に晒す。
「馬鹿な……余の鉄壁の護りを破るか、猟兵!」
「最後の一押し、叩き込んでくれましょう!」
そして力の奔流のまま飛翔し、ヴァルギリオスの身体へと身体ごと突撃するアウレリア。凄まじいスピードから突き刺さる拳は、全身に響く衝撃となってヴァルギリオスの身体に伝播する。
「やれるかどうか……いや、やるしかありませんね」
「いよいよ大詰めねー、おねーさんももうちょっとだけやる気出すー」
そしてヴァルギリオスのバリアの一角が敗れたことによって、機を伺っていたリステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)と緋奈森・鈴音(妖狐の化身忍者・f03767)が動き出す。
リステルはその明晰な頭脳から、バリアの阻止や解除はできないと思っていた。だがアウレリアが力づくでその一角を崩したことにより巧妙が生まれた。高速で移動するし、一気にヴァルギリオスへと接近する。
「甘いぞ。気づいていないとでも思ったか、猟兵!」
だが残ったスペクトラル・フォールをリステルの前に展開する帝竜ヴァルギリオス。アウレリアの打撃の浸透があるのか、追撃を喰らわない為に必死だ。
リステルはそんな心を見透かし、火の反射バリアを躱し、毒のバリアへと向かう。間をすり抜けるのは不可能。ならば一つを破って帝竜ヴァルギリオスに接近するしかない。
「やはり……そうか」
遠くから観察した時にも感じていたが、リステルは接近した時に確信した。この毒のバリアは他のバリアに比べて弱まっている。理由は明白、ヴァルギリオスの失われた二つの頭にある。
毒のバリアの構成属性は闇・毒・水。つまり二属性が弱まった状態で毒のバリアを構成しているのだ。つまり今ならば、リステルが持つ耐性に加えて、能力発動で何とかなると確信する。
「鎧装変換……斬刃の翼、断空の鎧」
発動する「鎧装変換・斬翼断空(ブレイドウィングメイル・カスタマイズ)」。光刃の翼を生やした鎧が身を包み、毒のバリアを斬り進むという一念を持ち、剣を振るう。
「斬る
………………」
毒が蝕もうとも、身体が軋もうとも、斬り進み、ヴァルギリオスへと向かう。
「お ま え を 斬 る !!」
強烈なヴァルギリオスへの斬意が、リステルを毒のバリア突破へと導き、その刃がヴァルギリオスの片翼と身体を斬り刻む。あまりの高速斬撃に、リステルが飛び去った後にダメージが来たくらいだ。
「くっ、バリアを再発動させねば」
そしてバリアを再び構築しようとするヴァルギリオス。だが周囲の様子がおかしいことにすぐに気づいた。
「早く終わらせてーのんびり過ごすんだからー!」
そんな未来への渇望、帝竜戦役に終止符を打つために鈴音は渾身の魔力をアウレリアとリステルが攻撃している間に練り上げていた。そしてその魔力を「トリニティ・エンハンス」に注ぎこみ、大魔法を発動させる。
「おねーさんも全力で頑張るからねー!」
火と風の魔力を最大限に使って創造したのは高熱のドーム空間だ。それをヴァルギリオスの周囲に展開させ、包囲。強烈な熱が傷を受けているヴァルギリオスをじりじりと焼く結果となる。
このドーム空間はまさしくヴァルギリオスへのバリアへの攻撃、そして仲間への援護である。ヴァルギリオスへの継続ダメージはもちろんだが、破壊された氷のバリアの構成を阻み、さらに毒のバリアの水分を蒸発させることで再発生を阻害する役割を担っているのだ。
バリアさえ無効化できれば、仲間の攻撃も勝機が掴みやすい状態となる。鈴音は悪戯っぽく笑いながら、ヴァルギリオスにウィンクする。
「こっちの方が使える属性は少ないけどやりようは有るのよー?」
そしてそれを象徴するようにアウレリアが追撃の拳を身体に叩き込み、リステルはUターンしてさらにヴァルギリオスの身体を斬り刻む。その猛攻にもはや、バリアでの籠城回復は無駄だと悟る。
「ならば、余も覚悟を決めなければならぬか」
残された翼を羽ばたかせ、世界樹イルミンスールの根本へと逃亡を開始する帝竜ヴァルギリオス。いともたやすく鈴音が拘束したドームを破壊する辺り、さすがは帝竜達の王という片鱗を見せつけてくれた。
「はー……疲れたからこの後はだらだら休むー!」
一息ついた後、鈴音は座り込んで世界樹の方向に視線を向ける。ヴァルギリオスはさらに傷を負った。だが倒すとなれば、これ以上の猛攻が必要となる。
どれだけ被害を少なくできるか。だがそれは鈴音達が考えることではない。今は戻ってくるアウレリアやリステルの健闘を称え、ヴァルギリオスが完全に打倒されることを祈るばかりであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ナハト・ダァト
全能でハ無いガ
万能にハ、私モ一家言あるんダ
対策
オーラ防御を展開
限界突破、ドーピング、継戦能力、時間稼ぎ、環境耐性で耐えている間に情報収集
ブレスの属性と放出の規則性を把握
残像を作り出し
へその緒で操作しながら
精神攻撃、催眠術、言いくるめで
現在耐えている方が残像であるように錯覚させる
ブレスが残像へ向いた直後
耐えていた本体は迷彩で消えたように見せかけ
騙し討ち、カウンター、捨て身の一撃技能で
属性ブレスから把握した弱点の触手でユーベルコードを放つ
言ったろウ
対応にハ、自信があル
8本全テ本体なラ
そノ全てニ対応するサ
ロバート・ブレイズ
「貴様が何処までも『最強』ならば私は人間を棄てぬ。勿論、輪郭だけの真実だがな」
8本の首全ての『思考』を収集し、何時『息を吐く』か見極める。その後回避
回避不可能な場合は致命を避けるべく鉄塊剣を盾にする
避けたor受けた次の瞬間に冒涜物発動。この地に存在する『負の感情』『普遍的無意識』に語り掛けよう
「貴様等の奴に対する『否定』此処に晒し給え――破壊する暴君に死刑を突き浸けろ。憑いた貴様等の強さだけ『奴』は絶え易く堕ちるのだ」
荒唐無稽だ。勇者に在らず『ただの人間』が竜を殺戮するなど。故の『繋がり』と知るが好い――先ずは一本、首を刎ねに走るのみ
「貴様の存在は否定された。過去と忘却の内に息『絶える』のだ」
戦場外院・晶
世界を壊し、渡る
「させませんとも」
そんな羨ましいことは
「戦場外院・晶と申します……よしなに」
祈りをもって身を守る……というと胡散臭いですが、生憎この祈りは目に見えます
「……くぅ」
ヴァルギリオス・ブレスを正面から踏破する苦行に挑むのです
自らを癒しながら、またその身を削る……修行
「……ふふ」
超重力の回廊を越えました
「……ここ!」
止まない攻撃を抜けて隙を突く術も骨の平野で習得済みです
「帝竜にも……手はあることを悔やみなさい!」
【手をつなぐ】
我が握手の秘奥は確かに彼を繋ぎ止め
「……おぉっ!」
投げる
この身に宿した怪力と技巧で、帝竜自身の力を使って崩して
「……破ぁ!」
破魔の拳を叩き込む……かくあれかし
もはや帝竜ヴァルギリオスは戦闘不能となった二つの頭の再生はこの戦闘中は諦める覚悟を決めた。身体に受けた傷の再生すら難しいだろう。
それほどまでに猟兵達は苛烈に攻めてくる。バリアを張ったとしても不完全なバリアでは突破される可能性がある。そしてその時再生で無防備になった態勢では回復以上のダメージを受けることとなる。
「ならば、猟兵よ。余の滅びが先か、余が滅ぼすのが先か。それだけのこと」
だからこそヴァルギリオスは自身の持てる力を攻撃へと回すことを決めた。これからは如何に相手に強力な攻撃を叩き込み、倒せるかが勝負となる。
「全能でハ無いガ、万能にハ、私モ一家言あるんダ」
そう言って顔に十字の光を宿すナハト・ダァト(聖泥・f01760)。その光は内から漏れ出す、生まれし時から持っていた光。だからこそ、今はそれに感謝することができる。
この光をもって、最強たるヴァルギリオスという光を飲み込もう。そう決意して、足を踏み出す。その隣には悟りの表情を浮かべる戦場外院・晶(燃えよドラゴン……この手を掴め・f09489)もいる。
「させませんとも」
ヴァルギリオスの大願である世界を破壊し、そして渡る。何という業、何という欲。晶は思う。願う。そんな羨ましいことは、させませんと。
「戦場外院・晶と申します……よしなに」
「来るか、猟兵。滅びを恐れるのなら来るがいい」
神への祈りを持って身を守ろうとする晶。その行動は何とも胡散臭くも感じるが、なぜか様になっている。隣にいるナハトもなぜかそう感じることができた。
そしてそんな二人へと、ヴァルギリオス・ブレスが容赦なく降り注ぐ。毒と闇を除く、6属性のブレスはそれでも破壊的な威力を持っていた。
「コれハ……中々……」
「くっ……!」
そのヴァルギリオスが放つブレスに対して、二人は避けることなく真正面から受けて歩を進める。だがナハトが全力で守りに注ぎ込んだオーラは徐々に削れて行くのがわかる。体内のリミッターを外し、ドーピングまで施して力を上げたというのに凄まじい攻撃だ。だがそんな中でもその瞳はヴァルギリオス・ブレスの特性を掴もうと分析を続けている。
一方の晶はただ耐えようとしている。それはまさしく苦行に挑む僧の如き難行であった。火や雷は肉を燃やし、水や氷は肌を荒らし、光と土は身体を刻む。だがそれでも片っ端から「生まれながらの光」で治癒を施しながら歩みを止めない晶。
だがナハトの姿が消えていた。すでに消滅してしまったのか、その姿を見ることはできなかった。ヴァルギリオスはそれでもブレスを緩めることはなく、晶を焼く。
「……ふふ」
しかし晶はそれでも笑っていた。思えば、群竜大陸で多くの試練に立ち向かったものだった。超重力の回廊も負荷にも耐えた晶の足は止まらない。そして至近距離まで近づいたところで晶を踏みつぶそうと爪を振り下ろすヴァルギリオス。
「……ここ!」
だがブレスで治癒を行っている晶はこれこそを待っていた。すでに疲労困憊の中、ヴァルギリオスの爪を掴み取る。止まない攻撃を抜けて隙を突く術も骨の平野で習得したものだ。
「帝竜にも……手はあることを悔やみなさい!」
「何……!」
帝竜ヴァルギリオスもさぞ驚いたことだろう。晶の握手の秘奥はヴァルギリオスの巨大な爪をもってしても繋ぎ止め、さらに気合の入った声と共に投げ飛ばしたのだから。
晶の身に宿る怪力、疲労の中で引き出せるすべての力を振り絞って技術を出し尽くし、ついにヴァルギリオスを地面へと倒した晶。
「……破ぁ!」
かくあれかし。その一念を持って渾身の拳を叩き込む。その魔を破る衝撃はヴァルギリオスにとっても苦悶の表情を上げるに十分だった。
そして驚愕はもう一度訪れる。空の上にはヴァルギリオスのブレスで消滅したはずの存在がそこにいたのだから。
「なぜ、生きている? 余のブレスで……」
確かに消滅したのをヴァルギリオスは見た。だがナハトは何事もなかったように存在している。これにはもちろん種がある。実はヴァルギリオスが消滅させたのは、ナハトの残像。へその尾でつなぐように接続しており、本体は景色に溶け込むようにしていたのだ。
身体を光らせていたのも、それを本物と見せるための催眠術であったのだ。そして晶が態勢を崩したことによって、その姿をもう一度晒し、「八ノ叡智・栄光(セフィラ・ホド)」が発動する。
「言ったろウ。対応にハ、自信があル」
その言葉通り、ナハトの近くにいたヴァルギリオスの水の頭に対し、万能に対応する深淵から召喚した触腕が襲い掛かる。水を蒸発させるような不定形な触腕がヴァルギリオスの頭を包み込み、やがて握りつぶしていく。
「8本全テ本体なラ、そノ全てニ対応するサ」
そしてヴァルギリオスも残りの頭をナハトに向けてブレスを放つが、すぐさま離脱をする。すでに水の頭はぐちゃぐちゃに粉砕された後であった。
「貴様が何処までも『最強』ならば私は人間を棄てぬ。勿論、輪郭だけの真実だがな」
光の後に闇ありき。それを象徴するような黒の渦巻きの仮面を被った深淵なる翁ロバート・ブレイズ(冒涜翁・f00135)は態勢整わないヴァルギリオスににじり寄る。
すでにナハトと晶の戦いを見たことで、得るべき情報は得ていた。『思考』を収集し、いつどういう状況で『息を吐く』かを察したロバートにとってもはやヴァルギリオス・ブレスを躱すのは難しいことではない。
すべては『思考』を集める隙を作ってくれた二人の賜物。それに応えるように鉄塊剣を抱えながら飛び、ヴァルギリオスの土のブレスを吐く頭の上へと乗る。
「貴様等の奴に対する『否定』此処に晒し給え――破壊する暴君に死刑を突き浸けろ。憑いた貴様等の強さだけ『奴』は絶え易く堕ちるのだ」
「冒涜物(ソウルアクセス)」発動。この地に存在する『負の感情』『普遍的無意識』に語り掛け、賛同を呼びかける。今こそ支配者を倒せと、復讐を果たせと、飲み干せ、と。
「余の頭の上に乗るとは、何たる不敬!」
「不敬? 荒唐無稽だ。勇者に在らず『ただの人間』が竜を殺戮するなど。故の『繋がり』と知るが好い」
そうして負の感情を収集したロバートの動きは早く、力強かった。それほどその語りに共鳴する者が多かったのだろう。あのヴァルギリオスの強大な首が泣き別れをする結果となった。
大いなる土のブレスはもはや吐き出されることはない。ロバートは斬り落とした首を前にして、ヴァルギリオスに問う。
「貴様の存在は否定された。過去と忘却の内に息『絶える』のだ」
その否定された首を、肉を、血を、骨を、すべてを絶やす。ロバートの深淵はヴァルギリオスの首すらも飲み干し、今や渦巻く普遍的無意識を取り込もうとしていた。
そうした異変にヴァルギリオスが退いたのはある意味で正解だったのかもしれない。それほどこの地に眠る勇者の念というのは強く残っている。それを干渉として力を出されてはヴァルギリオスであっても厄介なものだ。
そして8つあった頭は半分ほど潰された。身体にも無視できないダメージが積み重なる。絶対支配者の力が揺らぐ時が来た。ついに帝竜戦役最大の敵は、打倒の瞬間を迎えようとしていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
死之宮・謡
アドリブ歓迎
帝竜、帝竜ね…特殊能力は不要、と?…成程、面白い…
ただ強く、誰より強くあらんとするその帝王としての在り方、私は好ましく思うが…
貴様が私の評価をどう思うかなどには興味が無いし…どの道貴様はこの場で仕留める…さぁ、最期の闘争と洒落込もうじゃないか
・WIZ
減衰の「呪詛」を籠めた星の壁(全力魔法・占星術)を多重展開しブレスを防御しながらその壁に隠れその場を急速離脱
その後は「破魔」を籠めたレ・フィドラで応戦(呪詛・怪力・鎧砕き・2回攻撃)
手足の欠落と頭部のダメージだけを避けながら戦闘を展開し、致命傷を浴びた瞬間に【因果応報】を発動してフィニッシュ
メンカル・プルモーサ
ふむ……ここが世界樹…そしてあれが帝竜ヴァルギリオスね…
…これは確かに主に相応しい威圧感……強敵か…
…多種の属性を用いたブレス、と来たか……それなら……
…重奏強化術式【エコー】による八重高速詠唱…
…これによりブレスそれぞれの属性を減衰・停止させる障壁を同時展開…
…障壁が破られても遅発連動術式【クロノス】により破られた障壁を再度展開…
…仕込んでおいた術式が尽きる前に…【竜屠る英雄の詩】を発動…
…そして竜殺しの概念を得た黎明剣【アウローラ】を構えて…即興斬竜術式【ハバキリ】を発動…魔力の刃を伸ばして…
…ブレスと…その先の帝竜を『斬って』一気に殺すよ…
桐嶋・水之江
◆WIZ◆なんでも歓迎
分かり易いラスボスで結構
でもね、最強の生命体は私達人類なのよ
れっつごーワダツミ
回避は捨てて被害を抑える方向で耐えましょう
プロテクトフィールドを正面に集中展開した上でDプラスを盾にするわ
後は操縦テクというよりダメコン次第ね
最悪エンジンブロックさえ無事なら何とかなるわ
それにしてもこれじゃ最早歩く災害ね
そう、この規模は属性が織りなす自然現象なのよ
つまり狂乱する災厄の最大威力を発揮できる状況が整っているという訳
更に私が増幅した属性魔力をプラス
後は魔力の流れをハッキングして帝竜を触媒に全力詠唱
UCを盛大に暴走させるわ
カタストロフを呼ぶ力を依代にした魔法…暴走したらどうなるか楽しみね
ナイ・デス
流石……生前、まだオブリビオンでもなかったでしょうに、数千人の勇者と、相討ちしたドラゴン
とても迫力、ありますが……
カダスフィアさんが、言っていた、ですよ
どんな盤面からも、勝利の光明はみえる、と
負けません!
【第六感】と、首の動き注視で【見切り】
【念動力】で自身【吹き飛ばし】急加速することで目測誤らせ
【怪力ダッシュ】で懐潜りこむの目指す
近付けば、下手な攻撃は自らも傷つけることになる筈
受けても【オーラ防御、覚悟、激痛耐性、継戦能力】
諦めない
どんな盤面からでも、勝利の光明は、消えない、です
『いつか壊れるその日まで』
私(光)は、消えない
何度でも、立ち上がり
【生命力吸収】する光を解き放つ【鎧無視攻撃】!
群竜大陸の支配者。帝竜達を再孵化させて生み出し、配下とする。まさしく帝王と呼ぶにふさわしいドラゴン。最強の生物の頂点たる、ヴァルギリオス。
その最強のヴァルギリオスがついぞ追い詰められている。猟兵という、世界を渡り、オブリビオンを屠る者達の手によって、滅びを感じ取ることができる域まで追いやられている。
もはや使い物になる首は4つ。尻尾は斬り飛ばされ、翼も両翼の一部が損傷。身体も度重なるダメージで動きは鈍い。
「なればこそか。例え敗北が目の前にあろうとも、余はヴァルギリオス。帝竜達を統べる者」
最後の力を振り絞って猟兵を一人でも屠らん。その決意に、死之宮・謡(狂魔王・f13193)の真紅の瞳がヴァルギリオスを正確に捉える。
「帝竜、帝竜ね…特殊能力は不要、と?…成程、面白い…」
あまりにシンプル過ぎるその戦いに、ある種の敬意を表さざるを得ないだろう。謡はそう感じていた。
「ただ強く、誰より強くあらんとするその帝王としての在り方、私は好ましく思うが…」
だが同時に儚くもあると謡は思う。負ければすべてが消える砂上の城。だからこそ、派手に散ってしまうのも悪くないとヴァルギリオスは思っているのかもしれないが、戦っている者にとってはどうでもいいことだ。
「貴様が私の評価をどう思うかなどには興味が無いし…どの道貴様はこの場で仕留める…さぁ、最期の闘争と洒落込もうじゃないか」
そう言って、呪殺神槍レ・フィドラを握る謡はある意味シンプルだ。もはや戦いにとって己の殺意を表現することに何の躊躇もない。すでに倒し、倒される覚悟はできている。
そしてそんな黒き死神の横で、白き聖者は立つ。ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は謡とは、まるで逆の存在だ。
「流石……生前、まだオブリビオンでもなかったでしょうに、数千人の勇者と、相討ちしたドラゴン。とても迫力、ありますが……」
あまりの強大なドラゴンを前に、さすがの気迫と息をのむ。そしてその強敵が今や死を厭わない覚悟で挑んでくる。それは大きな脅威であろう。
だがそれでも、ナイは大きく息を吸う。これまでの戦いの道程。その中で学んだことはある。それこそが、ナイが生きる道でもあった。
「カダスフィアさんが、言っていた、ですよ。どんな盤面からも、勝利の光明はみえる、と」
最初に捨て駒になると決意していた帝竜の名に、その言葉を思い出して帝竜ヴァルギリオスは笑みを浮かべる。そして二人を屠るブレスを放つ。
「ならば、こう言おう。最終局面だ、猟兵!」
「負けません!」
すでに火・氷・雷・光の四属性となったヴァルギリオス・ブレス。だが並大抵のブレスには遠く及ばないほどの、破壊的威力を込めた奔流である。まともに食らえば命は保証できるものではない。
それに対し、謡は威力を減衰させる魔性の「呪詛」を編み込んだ星の壁を全力で構築。得意の占星術も駆使して創り上げた防壁はすぐに破壊できるものではない。それを多重展開しながらもブレスの直撃をさけて急速離脱・旋回を試みる謡。
一方のナイも大きく動く。謡とは大きく違うのは、旋回する回避ではなく、あえて前に突撃して活路を選ぶ方法。ブレスといっても全方位に対応しているわけではない。急加速してブレスが通り過ぎる前にスライディングで逃げれば隙間を通れる。そんなか細い隙を狙ってナイは飛び込み、懐に入ることに成功する。
「どんな盤面からでも、勝利の光明は、消えない、です」
ナイの身体も当然無事ではない。一部の身体は焼き焦げ、地面を滑り込んだことで下部分は皮膚が破けている。だがそれでも痛みを耐えて、「いつか壊れるその日まで(リジェネレイター)」で絶やす。
そして狙うは光のブレスを放つ頭。ヴァルギリオスの光のブレスに真正面から突っ込みながらも手を差し伸べて口の中に入る。痛みと再生を繰り返しながら、その中を立ち上がる。
「私(光)は、消えない……!」
仕込んだ武器を口内に差し込み、そのまま生命力と光を吸収しつくす力がナイの中から溢れ出す。
そんなヴァルギリオスの頭の一つで光が大きく輝く中、謡は攻防戦を繰り広げていた。他の頭のブレスを避けながらも、手足による爪や叩きつけによってダメージを負いながらも致命傷を避けて、ついに首の一本へと到達する。
「やっぱり帝竜。さすがだけど……因果応報よ」
「因果応報(ネメシス・ドライブ)」。意識を向けた相手に自身が負っている全ての傷を移し変える、ある意味の呪詛。それを行った瞬間、氷を吐き出していた首は大量の切り傷を負って大きくよろめく。そして命を絶つべく、傷口からレ・フィドラを刺し込み、脳漿へと到る。そして込められる魔を砕く魔力にて、ついにヴァルギリオスの頭は残り二つとなる。
「ふむ……ここが世界樹…そしてあれが帝竜ヴァルギリオスね……これは確かに主に相応しい威圧感……強敵か…」
「分かり易いラスボスで結構」
桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)は自身の艦である「ワダツミ【ワダツミ級強襲揚陸艦】」に搭乗し、倒すべき敵を見据える。その甲板には便乗と言わんばかりにメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)はヴァルギリオスの状況を測っているといったところか。
だが水之江はすでに勝利を確信していた。ヴァルギリオスは確かに強い生物である。それは群竜大陸を制したことからそう言えるのだ。しかし、水之江は自信を持ってこう言えるのだ。
「でもね、最強の生命体は私達人類なのよ。れっつごーワダツミ!」
その人類の最強の証明をするべく、人類の叡智の結晶たるワダツミはヴァルギリオスに向けて発進する。狙うは残されたヴァルギリオスの二本の首だ。
ヴァルギリオス・ブレスに対して、水之江は回避を選択しない。操縦テクニックに関しては自信はない。ならばと、プロテクトフィールドを正面に集中展開した上でウォーマシン型ドローン「Dプラス」を前衛にして配置するという徹底ぶりだ。
「最悪エンジンブロックさえ無事なら何とかなるわ」
「……そう、なら、私も手伝う。多種の属性を用いたブレス……それなら……」
そう言って冷静に状況を分析していたメンカルも動く。すでに二本の首がブレス発射態勢に入っている。それに対して、メンカルもまた水之江の防御対策を補強する形を取る。
重奏強化術式【エコー】による八重高速詠唱。これによってブレスそれぞれの属性を減衰・停止させる障壁を同時展開する。さらにすでに二属性まで減っているから、火と雷をそれぞれ四層にする冷静な分析も即座に反映させる。
さらに障壁が破られても遅発連動術式【クロノス】により破られた障壁を再度展開させるという保険もかけておいて、ヴァルギリオス・ブレスと水之江とメンカルの障壁は激突する。
「この程度の障壁が、破られないだと?」
ヴァルギリオスも絶句する。すでに二頭まで減らされたとはいえ、強大な自身の攻撃が人間が張る障壁すら突破できないという事実に。
そして障壁との激突に荒れ狂う様を見た水之江は静かに口を歪ませる。すでに準備は整っているのだから。
「……これじゃ最早歩く災害ね。そう、この規模は属性が織りなす自然現象なのよ」
それは水之江の「狂乱する災厄(インサニティ・ディザスター)」が最大限に発揮できる状況が揃っているということだ。水之江は障壁が突破される前に、空気に溢れる火と雷属性にさらに自分の増幅した属性魔力を加えていく。
そして電脳魔術によるハッキングで魔力の流れを察知し、帝竜を触媒に能力を発動させる。そう、制御不可能の嵐を巻き起こすために。
「さあ、盛大に暴走しなさい!」
そして災厄は巻き起こる。カタストロフを呼ぶ力を依代にした魔法は、世界樹イルミンスールすらもなぎ倒しそうな雷と火を巻き起こす嵐となって戦場全体を包み込む。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
さすがのヴァルギリオスも自身の力を依り代に使われている嵐に対して、身動きが取れるはずもない。そして一度気を抜けば、嵐に巻き込まれて身体が四散するような暴威に耐えている状態だ。
「厄討つ譚歌よ、応じよ、宿れ。汝は鏖殺、汝は屠龍。魔女が望むは災厄断ち切る英傑の業」
そんな帝竜ヴァルギリオスに、メンカルは「竜屠る英雄の詩(ドラゴンスレイヤーズ・バラッド)」をもって終わらせようとと詠唱を完了する。龍殺しの概念術式を宿した黎明剣「アウローラ」は薄く光る。そして嵐の中で吹き飛ばそうになってもワダツミの甲板に立ち続ける。
竜を断つ魔法術式の名前は【ハバキリ】。即興で編んだ術式は、アウローラの魔力の刃を引き延ばす。その場にいても帝竜を斬れるように、天を突く刃。
「……帝竜、これで終わり。一気に『殺す』よ……」
気怠そうな表情で、メンカルは刃を振り下ろす。その刃は雲を斬り裂き、炎と雷のブレスを斬り裂き、水之江の巻き起こしたカタストロフ災害をも斬り裂き、帝竜ヴァルギリオスの首ごと身体を両断した。その切り口は見事で、竜を殺す術式が、帝竜たるヴァルギリオスの身体を蝕んで殺していく。
「……見事、だ。余……を倒す……とは」
最後に残った首の口から猟兵に対して賞賛を起こるヴァルギリオス。ワダツミにいる水之江やメンカルはもちろん、地上に降りたナイや謡も耳を傾ける。
「……できることならば、界をわたり……帝竜の……力を……」
そして遺言を言い終わる前に、帝竜ヴァルギリオスの身体はボロボロに崩れ去り、後に残るのは雄大にそびえ立つ世界樹イルミンスールだけになった。依り代となったヴァルギリオスの消滅で、水之江の嵐はすでに収まっている。
刺し込む日差しが猟兵の勝利を祝っているようだった。この光を見て、地上にいたナイと謡も勝利を確信したのだった。
再孵化によって帝竜という脅威のドラゴンを復活させ、戦力を整え、界をわたろうとしていた帝竜ヴァルギリオス。界すらも渡ろうとしていた最強のドラゴンはこうして滅び去っていった。
帝竜戦役は猟兵達の勝利に終わり、群竜大陸も制圧が間もなく完了するだろう。この時をもって、アックス&ウィザーズに災いを齎す大陸は、ついに猟兵達によって完全制圧の時を迎えたのだった。
ついに人類は、ドラゴンの脅威に打ち勝ったのだ。
大成功
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