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星の海、銃弾走りゆく輸送戦

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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「左舷後部、第二居住区画に被弾! 区画ごとハッチ閉鎖し隔離します!」
「三番、七番銃座、共に沈黙ッ!」
「機関出力、十七パーセント減! 行き足が鈍りつつあり!」
 星の海を征く武装輸送船『アラート』号。快速と輸送船としては重武装が自慢の艦は、今まさに艦名の如く警告の報せがひっきりなしに飛び交っていた。その中心である操縦室で、船長である壮年の男が矢継ぎ早に指示を飛ばしている。
「ミサイル、無照準にて全弾発射! 誘爆したらお陀仏だ、抱え込むくらいなら煙幕代わりに吐き出してやれ! 操舵手、現行の速度で逃げ切れるか?」
「連中が我々と船を交換してくれれば楽々と!」
「成程、望み薄か。近くに小惑星地帯があったはずだ、そこへ逃げ込め! 前方機銃手は進路の邪魔になる石ころを吹き飛ばせ!」
 怒号、喧騒、狂乱。誰もが駆けずり回り、何とか危機を脱すべく己の職務をこなし続けている。だが目まぐるしく変化する状況に、誰も彼もが場当たり的な対処で手一杯になっていた。そんな苦境に歯噛みする船長は、射殺さんばかりに船外を睨みつける。
「帝国の宇宙バイク部隊風情など……物の数ではないというのにっ!」

 彼の視線の先では、幾条もの光が尾を引いていた。それら一つ一つが、宇宙バイクを駆る帝国兵である。アラート号はいま、宇宙バイク部隊の襲撃を受けているのだ。
 尤も、船長自身あれらの事は良く知っていた。仮にも『武装』と関する輸送船、ああした手合いを見ることも珍しくなく、撃退した回数とて片手の指以上はある。船員も対処に手馴れているはずだった。
 にも関わらず、こうも追い詰められているのには当然理由がある。
「ヤツさえ……あのくそったれな西部劇気取りさえいなけりゃ!」
 宇宙バイク部隊の中で、一際機敏に動く一機があった。それは機銃の掃射を易々と潜り抜け、手にした熱線銃でミサイルを打ち抜き、装甲や兵装を撃ち壊してゆく。
 船体と交錯する一瞬に見えたのは、青い軍服に身を包んだ男の姿。その者こそが、アラート号をここまで追い込んだ張本人であった。

「もうすぐ小惑星帯だ、船の調子は!?」
 船長の催促に、モニターへ噛り付いて画面へと目を走らせていた船員たちが叫び返す。
「速度、更に低下っ。各銃座、そろそろカンバンです! 連中、まだ食らいついてきやがる!」
「右舷に被弾! 艦首に被弾! 艦底に被弾! 火災発生、浸水発生!」
「そんなに当たっちゃいねぇだろっ。それに宇宙空間のどこに水があるんだ馬鹿野郎! そいつを操縦室から叩き出せ!」
 冷静さを保つ者がいる一方、錯乱した船員が船長に蹴り飛ばされ、廊下へつまみ出される。
「いよいよ、ケツに火がついてきたな……」
 錯乱した彼ほどではないにしろ、船員たちの精神は限界に近づいていた。終わりはもう近いと、船長は予測する……そう、都合よく騎兵隊でも来ない限りは。


「と、いう訳で今回依頼したいのは、輸送船の救援任務だよ」
 集まった猟兵たちへ、開口一番ユエイン・リュンコイス(f04098)はそう告げた。彼女は青い背の文庫本をぱたりと閉じると、説明を開始する。
「今回の舞台はスペースシップワールド。そこで生活必需品や医療物資の運搬を行っていた輸送船が、帝国の略奪部隊……通称宇宙バイク部隊に襲われているみたいだね」
 その船は相応の武装を用意していたようだが、相手部隊に強力な敵が混じっていたらしい。現在、為す術もなく攻撃され手をこまねいていれば遠からず撃墜されてしまう可能性が高い。
「そこでまずはみんなに、この輸送船の離脱支援をお願いしたいんだ」
 帝国の宇宙バイク部隊を倒すことが最終目的だが、手負いの輸送船を守りながらでは些か分が悪い。そこでまずは宇宙バイク部隊を蹴散らしつつ、安全圏まで輸送船を逃がすことが必要となる。
「取れる手段は、大きくみっつ」
 艦載兵装への弾薬補給やその利用、実際に船外へ出て各自の武器やユーベルコードによる迎撃。船の損傷個所への応急修理や、操船サポートによる逃走支援。ジャミングや欺瞞情報による攪乱や、混乱する船員に対する統制。これらを行って、船を逃がすのである。
「修理によって兵装が直って迎撃しやすくなったり、船員を落ち着かせることによって作業効率が上がったり……選択する内容によっては他の手段にも良い影響が与えられるかもしれないね」
 逃走に成功すれば、諦めた宇宙バイク部隊は彼らの拠点に戻るだろう。そうなれば、今度はこちらの反撃である。
「基地なり軍艦なり、彼らの後を追えば拠点が見つかるはずだ。そこへ乗り込んで、今度は逆に彼らを攻めたててやろう」
 宇宙バイクに乗っての戦闘ならともかく、地に足着けての戦闘であれば、猟兵に分があるだろう。配下の兵士や、指揮官と思しきガンマンを倒せば、依頼は成功だ。
「その為にもまずは、輸送船の救助を成功させなくてはね……お願いするよ?」
 そう話を締めくくると、ユエインは猟兵を送り出すのであった。


月見月
 どうも皆様、月見月でございます。今回は輸送船の救援を行って頂きます。
 それでは以下補足です。

●1章成功条件
 輸送船の安全圏への離脱。

 基本的に行って頂きたい内容はOPに記載の通りですが、最低限の要点を押さえて頂ければ、それ以外でも自由に行動していただいても構いません。
 やるべきことをやれば、1章はノリと勢い、浪漫で乗り切れる雰囲気です。

 章移行時には都度、状況説明の文章を挟む予定ですので、次の行動の参考にしていただけますと幸いです。

 その他、執筆傾向等は自己紹介を参照いただけますと幸いです。
 それではどうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『輸送船を狙う集団達』

POW   :    輸送船の兵装やユーベルコードでバイク集団を追い払う

SPD   :    相手以上のスピードで挑発、撹乱させて、その隙に輸送船を避難させる

WIZ   :    魔術やプログラムで輸送船に偽装を施したり、偽の輸送航路の情報をバラ撒く

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エメラ・アーヴェスピア
また忙しい現場に放り込まれたものね…!
でも私も仕事として受けた以上、しっかりとやらせてもらうわよ
…ああ、もう落ち着きなさい!猟兵よ、協力に来たわ!

色々やれそうな事はあるけど…今回は操船のサポートに回るわ
進路上を【情報収集】、破砕すべき岩を分析、結果を火器管制に(破壊狙いの猟兵が居るならそちらに)
後は細かい操舵部分の補佐…一応【操縦】があるので問題はないはず
さすがに操舵手の仕事を取る訳にはいかないわよね…総舵手の緊急時には変わる覚悟もしておくけど、ね

さぁ、振り切りましょうか…!

…【追跡】の為に敵のバイクに【ハッキング】でUC『CODE:Chaser』だけは仕込んでおきたいわね…



●操船支援、航路を定めよ!
「メーデー、メーデー! ヘルプミー! ・・・ ――― ・・・!」
「馬鹿な、十二基の銃座が僅か三分で……」
「工兵はさっさと機関出力を上げてくれ、このままじゃ逃げ切れない!」

「これはまた、忙しい現場に放り込まれたものね……! でも私も仕事として受けた以上、しっかりとやらせてもらうわよ」
エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)がアラート号の操縦室に転移してきた時、そこはまさに阿鼻叫喚の坩堝であった。助けを求める者、呆然とする者、怒声を上げる者。統制も何もあったものではない。
「……ああ、もう落ち着きなさいっ! 猟兵よ、協力に来たわ!」
「なに、猟兵だと? たまげたな、本当に騎兵隊のご到着か!」
 混乱の騒音に負けじとエメラが声を張り上げると壮年の男が駆け寄ってきた。男は彼女の姿を見るや、厳めしい顔が地獄に仏とばかりに喜色に染まる。船員たちも一瞬だけ手を止め、この小柄な女性サイボーグに視線を向けた。
「俺はこのアラート号の船長だ。歓迎するぜ、猟兵殿。もっとも、このままだとすぐお別れの時間が来ちまいそうでな……いきなりで悪いが、何が出来る?」
「操船のサポートを。端末をお借りしても?」
「勿論。丁度、ついさっき一席空いたところだ」
 船長に案内された椅子に腰を降し、エメラはコンソールへと手を伸ばす。
(小惑星地帯……進路上の邪魔になる岩石を算出。各銃座の被害状況は、と)
 雑多な輸送船内外の情報から必要なものだけを抜きだして取りまとめると、艦内各所へと素早く伝達してゆく。
「障害になる岩石を洗い出して、優先順位を割り振ったわ! 操舵手、各機銃手にデータも共有済みよ!」
「道さえわかりゃこっちのもんだ! じゃじゃ馬の扱いは任せろ!」
 号令一下、操舵手が小刻みにエンジンを吹かせて進路を調整し、連絡を受けた機銃手が指示された目標へと銃弾を叩き込む。元より船員としては優秀な者たちだ、きちんとした方針さえあればすぐさま反応してくれる。
(さて、と。ついでに通信回線を利用して、外のバイク部隊に追跡プログラムを流し込んだけれど……うまくいくかしらね)
 ちらりと、窓から船外を見るエメラ。彼女の支援が効果を発揮するか否かは、迎撃担当の者らが確かめてくれるだろう。
 かくして武装輸送船『アラート』号は、一路安全圏を目指し進み始めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

モース・レフレクソン
救援任務か…腕がなるな。敵が複数ならそれなりの戦い方で敵の戦力を削るとしよう…
しかしバイク部隊か…煽り運転もそこまでにするんだな…
まずはアームグレネードランチャーでバイク部隊の隊列の両端を狙う。その爆発で中心に寄る敵達が衝突事故を起こすのが狙いだ…そして中心に固まった敵にユーベルコード【破壊する槍(スピア·ディポウィフィト)】で持っているライフル、ランチャー、アサルト全てを持って火力をぶつけて一網打尽にしてやる…今回は弾薬は惜しまんぞ?覚悟しろ…


シキ・ジルモント
◆SPD
アドリブ歓迎

宇宙バイクで打って出る
少数の身軽さを活かし、敵部隊の撹乱を目的とした一撃離脱を試みる

速度で対抗する為ユーベルコードを発動
宇宙空間という『地形を利用』して『空中戦』を仕掛ける

敵の攻撃は『見切り』バイクの『騎乗』技術で回避、頭上や真下等の死角から急接近
敵にフック付きワイヤーを撃ち込み、武器や体の一部に引っかけすれ違うように前進、バイクの推進力も合わせて思い切り引っ張る
武器を奪ったり(『武器落とし』)、バランスを崩させクラッシュさせるかバイクから落とす
その後すぐワイヤーを回収、『逃げ足』の速さで離脱、次の標的を探して再び仕掛ける

後れを取るつもりはない、捉えられるものならやってみろ



●船外迎撃、追っ手を振り切れ!
 操縦室が統制を取り戻し始めた時より、数分の後。輸送船の外壁には二名の猟兵の姿があった。
「救援任務か……腕がなるな。敵が複数ならそれなりの戦い方で敵の戦力を削るとしよう……」
「こっちは宇宙バイクで打って出る。数では負けているが、身軽さでいえばこっちの方が上だからな、攪乱してやろう。火力支援は頼めるか?」
「問題ない……弾薬を惜しむつもりはないからな」
 がしゃりと、一個分隊を優に超えそうな兵装を広げるモース・レフレクソン(サイボーグの戦場傭兵・f06734)と、自動拳銃片手に宇宙バイクに跨るシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は互いに言葉を交わし合う。戦法について打ち合わせを終えるや、シキはエンジンを唸らせて星海へと飛び出してゆく。
『単騎駆けか? 英雄気取りはそのまま二階級特進させてやるよ!』
『囲んじまえば秒で終わるぜ!』
(一般回線でよく喋る……すぐに静かにさせてやるがな)
 耳障りな会話を聞き流しながら、シキは進路を敵中へと差し向ける。どうやら相手もシキを視認したのか、熱線銃を乱射しながら車列をなして殺到してきた。
「単騎だろうと、後れを取るつもりはない。捉えられるものならやってみろ」
 シキは体スレスレを通り過ぎる熱線を見切り、巧みな操作技術によって紙一重でかわしてゆく。互いに真正面から相対する形となっており、両者の速度も相まって瞬く間に彼我距離がゼロになる。
『ちっ、こうも速い上に近いんじゃ、狙いが……つぅお!?』
「後れは取らんといっただろう?」
 交錯の瞬間、がくんと最後尾のバイクがつんのめった。すわ故障かと後ろを見た兵士は、後部に引っかかったフック付きワイヤーとそれを打ちこんだシキを視界に捉える。
『つまらん小細工を……』
「……そこだ」
 動きを止めたのが運の尽き。モースの放った狙撃銃の弾丸が、宇宙バイクのエンジンを正確に打ちぬいた。一拍の間を置き、宇宙に爆炎の華が咲く。すると、俄かにバイク部隊の視線がモースに集中する。
『バイク野郎は囮かっ。本命はアイツだぞ!』
 機動戦から一転、群れを成して輸送船の外壁に陣取るモースへと攻撃を浴びせかけるバイク部隊。一、二発命中しようとも、彼は努めて冷静に武器を選び、照準を定める。
「バイク部隊、か。煽り運転もそこまでにするんだな……」
 放たれたのは数発のグレネード。それは車列先頭で炸裂し、爆風をまき散らす。衝撃は相手の出鼻を挫くとともに、モースの姿を数瞬だけ覆い隠した。
『煙幕代わりか。やはり次弾の装填に時間が、かか、る……』
 それを時間稼ぎと判断した帝国兵の判断は、半分当たりで半分外れ。彼は次弾どころか、手持ちの兵装全てを構えていた。
「一網打尽にしてやる……隠し芸の時間だ!」
『さ、散開しろッ、早く!』
 解き放たれる破壊の渦に、帝国兵は次々と爆発の華を咲かせてゆく。逃れた者も居るが、それでも撃ち落とされた数も少なくない。
『クソ、今ので何機食われたんだ!? というか隊長はどうした!』
『他の場所で、別の猟兵とやり合ってるんだとよ!』
 バラバラになりながら狙いを逸らそうとするバイク部隊だが、それでも猟兵が慌てる様子はない。
「……やはり、位置が分かるだけでもだいぶ違う」
「死角を狙われる心配が少なくなるのはありがたいな」
 モースとシキがたった二人で渡り合えるのも、実力もさることながら、味方が潜ませた追跡プログラムによるところも大きい。位置情報の把握は、地味であるが大きな優位条件だ。
 しかし、相手もまた数は多い。彼らは機動力と火力を武器に、帝国バイク部隊を翻弄するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

スリサズ・シグルズ
オブリビオンもやはり物資を求めるのだろうか?
考えても致し方ない
まずは殲滅あるのみ、ではなく輸送船を逃がさねば

幸い私は機械の身。迷わず宇宙空間に出て迎撃するとしよう。
船外に出て右手に保持した重機関銃で敵を牽制、
とにかく輸送船から敵を引き離すようにする

基本的に大体の方向に弾をばらまくが
たまに精密に狙いをつけて狙撃も行う
ただしエースクラスのガンマンに向けては牽制に留める
一個体に拘っていてはほかの接近を許してしまうからな

正直宇宙空間では火力不足のような気もするがとにかくできることをする


櫟・陽里
いいね!派手に宙を走って撹乱
俺もぜひ混ぜてもらわなきゃだな
相棒のライに乗り上機嫌で飛び出す
鬼ごっこといこうか!
操縦技術の腕試しをしようぜ
ワクワクさせてくれよ?

視野を広く取る
遊んでる風に見せかけて(実際楽しいけど)
敵の隊列を崩すように意識

まずは敵と同じ方向に走って追い抜き速度を見せつけ存在を示す
敵が攻撃してきたら技術と経験を活かして避ける
アエロバティックスを意識した宙返りやスクリューなんかをご披露だ
複雑な3D軌道のターンでポジションチェンジ
バックミラーの俺に気をつけな!
拳銃で攻撃
バイクの構造は得意分野、もちろん弱点もだ。
さぁて当たるかな?
当たらなくても威嚇にはなるだろ
(大火力武器に回す金は無い)



●火力投射、青軍服を撃退せよ!
「……オブリビオンもやはり物資を求めるのだろうか?」
 輸送船の船外、別方面で宇宙バイク部隊がきりきり舞いに翻弄されていたころ。
同様に迎撃を行っていたスリサズ・シグルズ(シグルズシリーズ・f11317)は、弾切れになった12,7mm重機関銃の箱型弾倉を取り換えながら、ふとそんなことを電子回路に思い浮かべる。だが、すぐさま頭を振って喫緊のタスクへと思考を切り替えた。
「考えても致し方ないか。まずは輸送船を逃がさねばな」
 初弾を送り込み銃口を宙空へ向けるや、引き金を引く。敵の位置は支援のおかげで把握している。気を付けるべきは、バイクで敵中を駆け回っている仲間に当てないことだ。彼の視覚カメラは、楽しむように宙を舞う櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)の姿をとらえていた。
「ほらほら、俺に追いつけるかな! 操縦技術の腕試しといこうぜ!」
『くそ、おちょくりやがって!』
 相手の車列を純粋な速度で追い抜き、かと思えば宙返りやスクリューなどの三次元的な軌道を披露し、技術面の差を叩き込む。着かず離れず、時々銃撃。
 なまじ至近距離を目まぐるしく走り回る陽里を捉えるのは並大抵ではなく、一機、また一機と数が減ってゆく。
「バックミラーの俺に気をつけな、っと! さて、この調子なら余ゆ……」
『……腕と足に自信あり、か。良いねぇ、俺の相手もしてくれよ?』
 すんっ、と音もなく背後に忍び寄った一機の宇宙バイクが、陽里のミラーに映る。間髪入れずに放たれた光線を避ける事が出来たのは、彼のテクニックとそれに応える性能のバイクがなせる技。でなければ今頃宙の藻屑となっていただろう。
「っ、青い軍服の拳銃使い……気をつけろ、そいつが隊長格だ!」
 両者の間を割るように、重機関銃の掃射が壁を作る。危なげない切り返しでそれを避けたのは、スリサズの言う通り青い軍服に身を包んだ男。乗っている宇宙バイク自体は、ほかの帝国兵と変わらない……つまり、陽里の裏を取ったのは純粋な技量によるものだ。
「はっ、願ったり叶ったりだぜ……ワクワクさせてくれよ!」
『それはこっちのセリフだ。楽しむ前に墜とされてくれるなよっ』
 黒々とした宇宙に、二条の流星は軌跡を描く。時折それらはぶつかり合い、熱線銃の短い閃光が火花のように輝きを放つ。操縦技術は伯仲しているが、銃の腕前で言うと青軍服に分があるようだ。また、手にした得物の差もあるだろう。かすり傷ではあるが、少しづつ陽里のバイクに損傷が蓄積してゆく。
『さて、楽しんでいたいのはやまやまだが、こっちも軍人なんでね。すまじきものは宮仕え、そろそろ本来の仕事に戻らせてもらおうか』
「っ!?」
 ぴったりと後ろに張り付き、熱線銃を構える青軍服。左右へ小刻みに動くも、離れることはない。陽里のバイクを照準に捉え、ゆっくりと人差し指に力を籠め。
「……銃弾をばら撒くだけが能ではないからな。火力不足は否めんが、位置が定まったのであればこういう芸当もできる」
 一発の銃弾が、青軍服のバイクを撃ち抜いた。咄嗟に命中個所をずらして停止は免れるも、流石にガクンと勢いを落とす。青軍服は詰まらなさそうな視線を攻撃の主、スリサズに向ける。
『勝負に水を差すのは頂けないんじゃないかなぁ』
「こちらの目的は輸送船の安全な離脱、それに従っただけだ」
『なるほど、ごもっともで……お前たち、俺は指揮に徹する。援護射撃ぐらいはしてやるから、纏めて蹴散らせ』
 スリサズの無機質な言葉に、青軍服は肩をすくめる。どのみち、相手の機動力はこれで大幅に減った。ここで無理をするほど愚かではないのだろう。
『了解です……手負いの相手に卑怯なんて言うなよ、これも戦場の習いだ』
「はっ、これくらいちょうどいいハンデだろ?」
 ぐんと配下の帝国兵たちが動き始め、再び陽里も鬼ごっこを再開する。
 互いの実力はどうあれ、こちらの戦場においても輸送船への注意を逸らすことに成功し、機動と狙撃をもって猟兵たちは時間を稼ぎ続けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種子島・友国
【SPD行動を選択】

【心情】
ははは、宇宙船で行き来する文明があるのにガンマンだってさ
時代錯誤って言葉知ってる?
(自分の火縄銃を撫でながら)

情報収集などを使い、兎も角輸送船が逃げる為に役立ちそうな物も立たなそうな物も根こそぎ集め、洗いざらい宇宙バイク部隊に向けてぶちまける

無いとは思うけど、乗り込まれたりしたらユーベルコードで応戦する

ちょっとおじさんよくわかんないんだけどさ
このツルツルしたヤツとかピカピカしてるボタンとか使ってみない?
(責任云々の追及をされたら)
僕は何もしてないのに壊れたとか適当に言い訳します



●残骸投棄、不要な荷を捨てよ!
「ははは、宇宙船が行き来する時代に、ガンマンだってさ。時代錯誤って言葉しってる?」
 輸送船の船体後部。窓の外で繰り広げられる迎撃戦を眺めつつ、一方で種子島・友国(ヤドリガミのアーチャー・f08418)は己が本体である火縄銃へ視線を向けぬまま撫でる。その言動に、彼へ協力するよう指示を受けた船員たちが物言いたそうに微妙な表情を浮かべていた。
(にしても、多少は余裕が戻ったようだね)
 船員たちの様子を窺うと、到着したときよりも随分と落ち着きを取り戻しているように見えた。猟兵の救援という要素もあるが、何よりも迎撃班によってバイク部隊による攻撃が止んだことが大きかった。
(音と衝撃。それが絶え間なく続くってのは、存外応えるものだからね)
 火縄銃などがまさにその先駆者。またかつての大戦時などでは、塹壕内で重砲射撃を浴び続けた兵士が精神を病むことも珍しくなかったという。だからこそ、それがないというだけで状況は大きく改善するのだ。
「これでほぼ全部かな?」
「ええ、船内中から根こそぎ搔き集めましたからね」
 友国と船員たちの足元には、ガラクタから備品までの雑多な物資がうず高く積み上げられていた。古来より、逃げる船は荷を捨てて身軽にすべしと相場が決まっている。
 流石に輸送物資を捨てるのは本末転倒だが、喫緊で必要のないものは輸送船中から集められていた。投棄ついでに目くらましにでもなれば一石二鳥である。
「……ところでこのツルツルピカピカしたボタンとかって、使ってなかったよね?」
「ええ、そこは居住区か、ってあ、ちょっと待っ!?」
 と、そこで友国はふと好奇心からか、壁に備え付けられていたボタンを押す。制止の声がむなしく響く中、彼の横にあった隔壁が開き……
 ――ボオオォッ!
「おわっ、熱っ!?」
 新鮮な空気を得た炎が彼の顔を舐めた。思わずのけぞる友国の横で船員が再度スイッチを押して隔壁を閉じる。
「あれは火災を起こした居住区画を隔離する防火壁の開閉ボタンですよ……消火装置が故障しているので、酸素切れを待っていたんです」
「お、おう、そうか……」
 確かめるように撫ぜた顔が無傷だったのは、正しく幸運だろう。
 兎にも角にも、ちょっとしたハプニングがあったものの不要物は無事船外へと投棄され、無重力空間へとばら撒かれてゆく。重荷を捨てた輸送船は、速度を上げつつ逃走を続けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

メイスン・ドットハック
【WIZ】
宇宙バイク部隊とはのー
何か日本の昭和の暴走族を連想させる連中じゃのー

まずは輸送船の外装を偽装するためにプログラミングを組む
偽装プログラムは小惑星を連想させるような模様で(ハッキング、暗号作成)

次にユーベルコード「木を隠すなら森の中」で小さな隕石を偽装した罠をばら撒く(罠使い、地形の利用、破壊工作)
接触した爆発を起こす罠で、輸送船との距離を離す役割も狙う(時間稼ぎ9
爆発の量は嫌がらせのような爆発が最初の方で、油断や覚悟を決めた辺りで大規模な爆裂を起こさせるように設置しておく


ヘスティア・イクテュス
操船のサポートよし、
迎撃よし、
ならわたしのやることは…

ティンク・アベルのサポートで【ハッキング】
航路の偽の情報をばらまくわ
ついでにホログラムの艦船を作って嘘の航路の方へ向けて移動させるわ【残像】

全員とはいかなくても半数にでも減らせれば迎撃も振り切るの楽になるでしょ?

【ティンク・アベル】
ヘス-お嬢様呼び
  執事のような話し方



●欺瞞工作、安全圏へと舵を取れ!
 迎撃や操船サポート、重量軽減などの対策が行われ効果を発揮する中、操縦室では逃走の為の最終準備が着々と進められていた。
「宇宙バイク部隊とはのー。何か日本の昭和の暴走族を連想させる連中じゃのー」
「ともあれ、操船のサポートも行われ、迎撃も十分。なら、わたし達のやることは……」
 操縦室の一角、主に船体や周囲への情報アクセス権を持った端末を前に、メイスン・ドットハック(引きこもり志望ハッカー・f03092)とヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)は画面を覗き込みながら、プログラムへの介入を開始していた。
「ティンク・アベル、船の進路について欺瞞情報を流すわ。加えてホログラムで輸送船を作って、囮としてそちらに進めたいのだけど、可能かしら」
『どちらも問題ございません、お嬢様。ただし、ホログラムの船は余り遠くまで表示し続けられませんが、よろしいですか?』
「構わないわ、お願い」
『承知いたしました』
 ヘスティアは持ち込んだサポートAIに指示を出し、偽の進路情報とそこを進む輸送船の残像を作り出す。暫くすれば維持できなくなるだろうが、相手の戦力を分散出来るだけでも結果としては上々である。
「そうさなー。ではこっちは船そのものに偽装をしておくかのー」
 カタカタと仮想キーボードをメイスンが爪弾くと、輸送船全体に一瞬モザイクがかかった。数拍の間をおいてそれが晴れると、輸送船は張り巡らされたテクスチャーにより大きめの小惑星へと偽装されていた。ゆっくりと別の進路を取るホログラム船と相まって、敵の注意がそちらに集中してゆく。
「ついでに、幾つか罠をば……ま、引っかかった方が間抜けという奴じゃけーのー」
 さらにユーベルコードを起動させ、ホログラム船の行き先に大小様々な隕石を敷設する。これらはどれもこれも、爆薬を仕掛けた偽装機雷であった。
「ホログラム船の進路を偽装機雷群の中へ。あれに実体はないから、不用意に触れて不審がられない様に」
『お任せくださいませ』
 ホログラム船が操作に従い、ゆっくりと小惑星帯を航行してゆく。操縦室からは、これが好機とばかりに船へ殺到してゆくバイク部隊の姿が見えた。それらは不用意に隕石へと近づくや、小規模な爆発に巻き込まれバランスを崩してゆく。
「おお、引っ掛かっとるなー。尤も、あそこら辺には嫌がらせ程度の威力のものしかまだ無いがのー」
「でも、それが逆に相手の対抗心を煽っているみたいね。むきになって深追いしていくわ」
「もうちょい奥に行けば、大玉が待っとるぞー」
 小規模な爆発は相手を挑発することに加え、実体のない船がさも攻撃により損害を受けているかのようにも見せかけていた。そうして疑われる事無く、ホログラム船は特に威力の高い機雷の待つポイントへと近づいてゆき……。
「接触、いまじゃのー。たーまやー」
「ティンクル・アベル。ホログラム船を消しなさい!」
 メイスンの暢気な声と同時に、一際大きい爆発によって周囲が白く塗りつぶされた。その瞬間を狙い、ヘスティアがホログラム船の維持を停止させる。衝撃と光が収まる頃には、ホログラム船は影も形もなく消え失せていた。
 バイク部隊の兵士たちにとってみれば、さも船が爆発四散したように見えただろう。目標を見失い、それまでホログラム船のあった場所をうろうろと彷徨うバイク部隊の様子が見て取れた。慌てふためく彼らをしり目に、小惑星に偽装した輸送船は安全圏へと逃れてゆく。
「……どうやら、うまく逃げ切れたようじゃの」
 それから暫しの後。もう安全だと思えるまで距離を稼いだ時には、追跡を諦めたバイク部隊がすごすごと帰投しようとする姿が遠目に映る。
 無事に助かった、離脱することが出来た。その事実を実感するや、操縦室は安堵と歓声に包まれるのであったーー。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『バトルドロイド』

POW   :    バトルスイッチオン
【超戦闘モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    精密射撃
【狙撃用プログラム】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【熱線銃(ブラスター)】で攻撃する。
WIZ   :    シュートダウン
対象のユーベルコードに対し【正確にタイミングを合わせた射撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 絶体絶命の危機を救われた『アラート』号の船長以下数多くの船員たちに感謝されながら、猟兵たちは輸送船を発つ。『アラート』号はこのまま無事に逃げ切れるだろうが、帝国の宇宙バイク部隊を放置しておけば第二第三の被害者が出かねない。
 その為にも猟兵たちは各々の方法で宙を駆け、見つからぬようひっそりとバイク部隊の後をつける。
 そうして暫し追跡行を続けると、行き先に大きめの小惑星が見えてきた。宇宙バイク部隊がそこに近づくと、ぽっかりと側面が開き、オレンジ色の光が漏れる。
 あれは小惑星をくり抜いて作った、宇宙バイク部隊の拠点に違いない!
 猟兵たちは音もなく彼らの最後尾に張り付くや、帰投する宇宙バイク部隊と共に基地内部へと滑り込む。
『あん? 何だ、俺の後ろにもまだ遅れてる奴が居たのか……って、テメェらは!?』
『猟兵だとっ。クソ、後をつけてきやがったのか! だが、飛んで火に入る夏の虫。お前らはもう袋の鼠だぜ!』
 ゴウンゴウンと音を立てて、背後で隔壁が閉じる。こうなれば目の前の帝国兵を倒すより道は無い。
 無数の銃口が向けられるのと同時に、猟兵たちもまた眼前の敵へと挑みかかってゆくのであった。
メイスン・ドットハック
なんじゃー、宇宙暴走族化と思ったが、ドロイドか
悪いが、興味はないけー、片づけさせて貰うのー

ユーベルコード「300の守護神兵」で電脳スパルタ兵を召喚
盾を構えてファランクス陣形で、精密射撃を通らせないくらいの防壁を築く
後衛の味方も一緒に守らせるのもありで

射撃が一段落したら、持っている槍を投げさせて攻撃
面積が広い胴体部分を狙ってみる
さらに槍には衝撃で爆発する爆弾を配置(破壊工作)
当たらなくても敵を吹き飛ばせる小細工はしておく

さらに隙を見て敵のバイクにトラップを設置(罠使い、破壊工作)
敵が逃げそうになって、エンジンをかけたら連動して爆発するようにしておき、脱出手段を潰す


スリサズ・シグルズ
「完全な送り狼というものだな、もっとも襲うというか殲滅だが」

主に右手の重機関銃で戦う

主に白兵戦を行う味方への誤射に注意しつつ射撃中心で攻撃
敵機体は頭部と胸部がコア部分ではないかと予測して主にそれらの部位に向けて射撃するが
まずは動きを止めることを狙いつつ撃つ
1G重力下で足を使って移動しているならまずは脚部を破壊して、動きを鈍らせたあと止めの攻撃
空中戦なら、推進器やそれに類する部分を破壊してやはり動きを止めてから止めを刺す

敵が超戦闘モードに入ったら、動きを止めて精密射撃中心の攻撃に切り替え
右手の銃や、左肩に装備した滑腔砲(弾頭は徹甲弾)で狙撃する


種子島・友国
【心情】
離脱支援じゃああまり良いとこ無かったしね
おじさんなりにがんばって挽回してみようかな

【行動】
選択したUCを使用して戦闘に加わるとしよう
自身の攻撃時には【2回攻撃】を併用してより手数を増やす

また、自身は前には出ずにUCで増えた火縄銃を使い、接近戦を行うメンバーを【援護射撃】するのも忘れずに行う
交戦中に得た敵の行動傾向や脆弱な部分を【情報収集】し【戦闘知識】で分析
活かせそうなアドバイスがあれば仲間と共有して連携しよう

共闘やアドリブ歓迎
(敵の射撃を受けた時)
「ふうん、君たちは鉛玉じゃなくてそういうの撃つんだ?へえー?そう?」
(ピンチになったら)
「僕はあんまりこういうの好きじゃないかな!」


櫟・陽里
相棒に騎乗したまま突入
傷だらけだが…もーちょい頑張ってくれ
あの青軍服にやられっぱなしで帰る訳にもいかねぇからさ!
せめて1撃入れなきゃな

帰投した残存宇宙バイク部隊が同戦場にいるなら
拳銃の狙撃でバイクを壊しておく

バトルドロイド相手なら走り回って牽制し敵を追い込む
味方が攻撃しやすい場所に誘導
さっきの空中戦、ホンットに楽しかったんだ
最高に集中してて…生き甲斐すら感じた
…仲間の支援があったおかげだって分かってる
今度は俺がサポートでお返ししたい

これが終わったら相棒は修理入院だ
どうせなら敵の攻撃に割り込んで車体で仲間を庇う
俺自身もナノマシンで防御できるし

敵が固まって薙ぎ払いやすい陣形だったら
円形ターンで力技



●突貫、帝国拠点へ突入せよ!
『へっへっへ、数はこっちの方が上。さて、どう料理してやろうか……って、あ?』
 銃を構える機械化兵たちだったが、彼らの視覚が隔壁閉鎖ギリギリに滑り込んで来る宇宙バイクを捉えた。それは、先ほど隊長格の男とデッドヒートを繰り広げた陽里である。
「傷だらけだが……もーちょい頑張ってくれ。あの青軍服にやられっぱなしで帰る訳にはいかねぇからさ!」
『っ!? あの野郎、イカレてんのはブレーキか、それとも頭のネジかっ!?」
 速度を一切落とさず迫りくる姿に、帝国兵はたまらず絶叫した。高速で突っ込んでくるバイクは、ただそれだけで質量兵器と化す。
『げ、迎撃を、撃っちまえばそれで』
『そんなんで止まるか! 散るんだ、ち……ぐわぁあああっ!』
 判断を下せる者が居なかったのが彼らの不幸か。決断する前に、素早く円形ターンを決めた陽里によって前列が纏めて薙ぎ払われた。不運な者は帝国のバイクに突っ込み、爆破炎上している。
「おーおー、派手にやるもんだのー。ただ、これで相手に隙が出来たわの。とくと見よ、これぞ筋肉の門じゃー!」
「「「俺たちがスパルタだぁあああっ!」」」
 戦いは数だ。帝国兵に一斉射されれば、それだけで脅威である。ただ、出鼻を挫いたことにより、猟兵側に態勢を整える余裕が生まれた。メイスンがプログラムを走らせるや、無数の電脳スパルタ兵が召喚され隊列を組み、強烈な存在感により相手を圧倒する。
『ファランクスって、戦列歩兵ですらねぇぞオイ!』
「……こやつら、ドロイドの癖に暴走族臭いというか、不良兵士というかのー」
「教育プログラムに戦争映画でも利用しているだろう……ともあれ、送り狼らしく食い破らせて貰おう。狩りというよりも殲滅だがな」
 筋肉の門はそうそう抜けないだろうが、統制を取り戻されれば防御を破られる可能性もある。そうなる前に数は減らしておきたい。スリサズは重機関銃の安全装置を外しながら、メイスンに声をかける。
「掃射を行う、射線を空けてくれるか?」
「お安い御用じゃのー」
「感謝する。狙うは頭部か胸部、もしくは機動力低下を狙って脚部か……」
 盾で射撃を防ぎつつ、槍を手に殴り合っていたスパルタ兵が命令を受けて横にスライドする。そうして空いた隙間から、猛烈な弾幕が繰り出された。銃弾をばら撒きながら、スリサズは相手の上半身と脚部へと重点的に狙いをつけてゆく。それにより弱点を見極めるつもりであったのだが……。
『筋肉だぁ? 硬度なら金属の方が上だろうが!』
『馬鹿正直に付き合うな。文明の利器ってやつを教えてやれ!』
 だがここで帝国兵たちも巻き返しを図るべく反撃を開始する。距離を取りながら、統制した一斉射撃によってスパルタ兵を撃ち抜いてゆく。それにより、徐々にではあるが背後へも射線が通り始めた。
「っつ、これでは弱点どころではないな」
「なら、ここは僕に任せてくれないかな? 離脱支援じゃあ余り良いとこ無かったしね、おじさんなりにがんばって挽回してみたいんだ」
「……分かった、頼む」
 友国の申し出に、スリサズが攻撃を続けながらも射線を譲る。彼は敵を一瞥するや、ふんと鼻を鳴らした。
「君たちは鉛玉じゃなくてそういうの撃つんだ? へー、そう。でも僕はそういうの、あんまり好きじゃないかな」
『ほざけ、骨董品が!』
「ほえ面をかくのはどっちだろうね?」
 放たれた熱線に対する答えは、呼び出された無数の火縄銃。刹那、鳴り響くは二度の銃声。射撃と玉込めを瞬時に行った二連射は、機械化兵の頭と胸部を正確に打ちぬいていた。がしゃりと、倒れ伏した兵士は一拍の間をおいて爆散する。
『んなっ……あんなロートルに!』
「得物的に言うたら、こっちの方が古いのー。そーれ、投擲」
 残ったスパルタ兵が手にした槍を投擲する。呆気にとられていた帝国兵も、更に原始的な武器を前に怒声を上げた。
『石器時代じゃねぇんだ、当たるかこんなもん!』
 そこは流石に機械、帝国兵は精密な射撃で槍を次々撃ち落していくが……。
「ま、読めておるよ。そのくらいはのー」
 それは誘導された結果だ。穂先にはメイスンにより爆薬が仕込まれており、撃ちぬいたことによって次々とそれが爆発。室内を煙が満たしてゆく。
『ぐっ、小癪な真似を……』
「さて、さっきので構造は把握できたからね。君たち程度、鉛玉で十分だ」
『ジジィ、てめっ……』
 煙に紛れた友国の銃撃が、帝国兵の頭を吹き飛ばす。先ほどの銃撃戦で、装甲の薄い個所は割り出せている。そこを狙えば撃破も容易いが……そう、思惑通りに運ぶとは限らない。
『この野郎……ぶっこロシャアアアアアルルルルッ!』
 激昂した数体が理性と引き換えに暴走、超攻撃力と耐久性を発揮しながら吶喊してきたのだ。スパルタ兵を薙ぎ払い、攻撃に耐えながら突き進む。その勢いは猟兵たちをそのまま蹂躙しかねない。
「……さっきの空中戦、ホンットに楽しかったんだ。最高に集中してて、生き甲斐すら感じた」
 それを押し留めた一陣の風。両者の間に滑り込んだ陽里が、バイクをそのまま壁代わりに足止めを行う。自らの愛車が傷ついてもなお、彼はその場から動かない。
「仲間の支援があったおかげだって分かってる。だから、今度は俺がサポートで返す番だ!」
「ならばこちらも、それに応えねばな。しかし、あの様子では12,7ミリでは手に余る……であれば」
 強引な戦法には、それをねじ伏せる火力を以て対応を。スリサズは左肩の滑空砲を展開するや瞬時に発射。陽里が退避するのと入れ替わる様に着弾した徹甲弾が、帝国兵を貫いた。
『ガ、ガガッ……』
 流石に耐え切れず四散し、鉄屑と化す帝国兵。だが、敵の数はまだまだ多い。
 猟兵たちは焦る事無く、着実に相手の戦力を削り取ってゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

グロリア・グルッグ
「袋のネズミとは申しますが、騎兵に追いつかれた者の末路はご存知ですかね。蹂躙あるのみですよ蹂躙」
「電脳騎兵の戦い方ってやつを教育して差し上げましょう」
騎兵走法とジャンプ、ダッシュやスライディング等を組み合わせて天を地を自在に駆け巡り空中戦を仕掛けます。
電脳魔術に戦闘知識やスナイパーを合わせ、敵の攻撃を先読みしたり回避動作を計算して命中精度を高めます。
攻撃には雷の属性攻撃を乗せた誘導弾や、鎧無視攻撃の徹甲弾等を叩き込んでいきます。
また好機が来れば力溜めと全力魔法、高速詠唱で雷の属性を乗せた一斉発射で敵陣に大火力をぶち込みます。
同席した仲間がいれば援護射撃も使いつつ、上手く合わせて攻撃します。


ヘスティア・イクテュス
あら?どちらが袋の鼠かしらね?
輸送船を襲うなら逆に海賊に襲われて身ぐるみ全部剥がされても文句はないわよね?


前衛は味方に任せて後方へ…
あら、銃の勝負なら負けないわよ?

敵の熱線銃をミスティルテインの狙撃で撃ち抜いて前衛への攻撃を防ぐわ【スナイプ&武器落とし&援護射撃】
「敵の銃撃は任せなさい!」

こちらへの攻撃はガーディアンから発生するバリア【オーラ防御】
で防ぐわ
うちのボディーガードは優秀なのよ?


エメラ・アーヴェスピア
CODE:Chaser、うまくいったようで良かったわ
それじゃあ、これ以上被害を出さない為にも反撃を開始しましょうか

とりあえず、一番後ろに陣取るわ
…あら、袋の鼠なのはあなた達も同じよ?『この場は既に我が陣地』…!
同僚さん達の行動を邪魔しないよう戦域の脇の位置と私の壁になるよう前方に配置
同僚さん達が戦っていない敵を抑える感じで【一斉発射】
他の敵を気にしないで戦えるように【援護射撃】とするわ
それと、後がないのは実際の話だから、押し込まれない様に抑えないといけないかしら
まぁ、その為の私の前方に配置なのだけどね(【拠点防御】)

援護はするわ、好きに戦いなさい
そして…火に入るのは貴方達、さぁ、派手に行くわ!


シキ・ジルモント
◆SPD
確かに逃げ道は閉ざされたが、元より逃げるつもりも無い
たとえ帰れと言われようと、仕事を完遂するまで居座らせてもらうぞ

敵の武器は熱線銃、おまけに数も多い
こちらも無暗に突っ込まず銃の射程を利用し、遠距離攻撃で一体ずつ確実に減らす事を重視する

狙いを付けさせないよう『逃げ足』を活かして動き回る
味方への『援護射撃』で攻撃や立て直しに手を貸しつつ、自分が攻撃する機会を窺う

チャンスがあれば攻撃に転じる
敵の行動を観察、外さないよう動きを『見切り』、ユーベルコードを発動して行動妨害・弱体化を試みる
ユーベルコードの命中で隙ができたら追撃する
一度攻撃を当てたら『2回攻撃』で畳み掛け立て直す暇を与えず撃破したい


デブラ・ヘックシュバイン
ぬっひっひっひー。
良いじゃねいですか、標的がたくさんだァ。
こりゃあモ式だけじゃ追い付かないゾ!

てなわけで、久しぶりに08式を持ち出してみますかねい。
弾薬だって使わなきゃ腐っちまうっすからね、と!!(ズルリ、と大砲を担ぎ出す)

退路は無く、眼前は敵の大軍。状況はサイコーってヤツだぜ!
数が多いなら減らすまでってなァ。
私の役目は敵全体に薄く広く傷をつける事!
トドメをさすのは仲間がやってくれるだろうから、
道筋をつけるってわけだ。

敵の前に身を晒して、狙いを引き付けつつ…
さァ、時間稼ぎの始まりだ!
今日はどこまで捨てがまれるかなァ、最後までイケたらお慰み!!
ひょっとしたら本日こそが「良い日」かも、なァ!!



●陣地戦、帝国兵を包囲殲滅せよ!
『オイオイ、ここは俺たちの拠点で数だってこっちの方が上だってのに……有利なはずだろうが!』
「袋のネズミとは申しますが、騎兵に追いつかれた者の末路はご存知ですかね。蹂躙あるのみですよ、蹂躙」
「輸送船を襲うなら、逆に海賊に襲われて身ぐるみ全部剥がされても文句はないわよね?」
『テメェらは猟兵だろうがっ! いや焦るな、普通にしていれば正面からゴリ押しできんだ……!』
 仲間達が倒されてゆく光景を前に激昂する帝国兵。にべもなくそれを切って捨てるグロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)とヘスティアに対し、彼らは熱線銃の掃射を以って返答とする。
「正面? 宇宙まで来て、随分と平面的な考えですね。電脳騎兵の戦い方ってやつを教育して差し上げましょう」
 だが、それらは虚しく大気を灼くだけだ。そこに居たはずのグロリアは、既に空を蹴って敵群の頭上へ。その姿を仰ぎ見る相手の顔面へ、徹甲弾を一つ叩き込んだ。遅れて放たれた対空砲火の熱線を躱しながら、彼女は制空権をもぎ取ってゆく。
「注意が上と下に分かれたわね。それじゃあ、狙い撃たせてもらおうかしら。彼我距離把握、弾道予測、射軸安定……今っ!」
 計算されつくされたヘスティアの精密狙撃。それは頭上へと注意を向けていた帝国兵の胸を撃ちぬき、確実に機能停止へと追い込む。咄嗟にヘスティアへと射線を向ける帝国兵も居たが、それは逆に頭部をグロリアに刈り取られた。
『ちぃっ、陣形を整えろ、前列は射列を形成して後ろを狙わせるな! 後衛は対空砲火、動ける範囲を狭めて追い込め! 落ちろ、蚊トンボがぁ!』
 天と地、三次元的な攻撃は有効ではある。が、相手も当然策を講じてくる。流石に一人で注意を惹き続けていてはいつか限界が来てしまうのは明白だ。
「ぬっひっひっひー。良いじゃねいですか、標的がたくさんだァ」
「袋小路だろうが数で劣ろうが、元より逃げるつもりも無いからな。たとえ帰れと言われようと、仕事を完遂するまで居座らせてもらうぞ」
 尤も、手をこまねいてそれを見過ごす道理などない。敵の群れに舌なめずりをするデブラ・ヘックシュバイン(捨てがまれず・f03111)と、大口径の拳銃を手にしたシキがそうなる前に戦力を削り取るべく動き出す。
「こりゃあモ式だけじゃ追い付かないゾ! 久しぶりに08式を持ち出してみますかねい。弾薬だって使わなきゃ腐っちまうっすからね、と!」
 デブラは普段使いの拳銃をホルスターに収めると、とっておきの大物を構える。それは銃ではない、携行用として手を加えた速射砲だ。相応の重量があるが、威力は折り紙つき。
「退路は無く、眼前は敵の大軍。状況はサイコーってヤツだぜ!」
『ふざけんな、あんなもん最早武器でなく兵器じゃねぇか!』
 帝国兵も撃たせるものかと銃撃を加えるが、デブラは被弾を気にも留めない。獰猛な笑みを浮かべながら敵中へ砲弾を放ち、陣形を崩すべく揺さぶりをかける。
 彼女が面で制圧を行うとすれば、一方のシキは点だ。距離を取りながら戦場を駆けずり回り、損傷の大きな相手を狙って拳銃で撃ちぬいてゆく。
『舐めるなよ、貴様の動きは先の戦闘で学習済みだ!』
「ああ、そうかよ。でもな……」
 そんな中、動きを予測して反応して見せた帝国兵がシキと銃口を突きつけあう。互いに発射の瞬間はほぼ同時だ、が。
「こいつを見せた覚えはないんだがな。学習済みかどうかは……聞くまでもないか」
 帝国兵の熱線がシキを傷つけることは無かった。腕、足、頭部へと一瞬にして放たれた三点射撃が相手の継戦能力を奪い去っていたからだ。半壊した機械が動くことはもうない。
 数で劣る猟兵側は戦術でもって対抗し、戦果を上げている。しかし、それは危うい均衡の上に成り立つものでもある。
「っ、流石に避けきれませんか」
『いよっしゃぁ、捉えたぞ! これだけ囲めば、自慢の機動力も発揮できまい!』
 天地を駆けて敵陣をかく乱していたグロリアが、ついに捕捉されてしまった。撃墜された落下地点は運悪く敵のど真ん中。援護に向かおうにも、敵陣の壁は厚く容易くは近寄れない。ぐるりと四方から銃口が向けられ、正しく絶体絶命の状況に。
「あら、袋の鼠なのはあなた達も同じよ? これ以上被害を出さない為にも反撃を開始しましょうか。『この場は既に我が陣地』……!」
 一番後方で戦局を見据えていたエメラが動いた。小柄な機械女に何が出来ると高をくくる帝国兵の周囲へ――。
『袋の鼠ぃ? それはコイツの事だろう。お前は黙ってみて……』
 百を優に超える小型砲台が召喚される。口径はそこまで大きくなく、耐久力も一撃喰らえば自壊する程度だ。だがこれは紛れもなく、左右と前に展開された砲兵陣地による包囲殲滅の構え。余りにも唐突な展開に、帝国兵も言葉を失った。
『は? ……………………はぁっ!?』
「火に入るのは貴方達。援護はするわ、同僚さんたちも好きに戦いなさい」
 さぁ、派手に行くわよ。一斉に火を噴く砲台が、思考停止した帝国兵へと降り注ぐ。あちこちに砲弾痕が出来る度に、焼け焦げた機械部品がまき散らされた。生き残った帝国兵も悲惨というより他ない状況である。
『こんなもん放置したまま戦えるかよっ! ぶっ壊してやる』
『いや、まずはここから離脱しなきゃ戦闘にすらならねぇぞ!』
 ある者は砲台を壊そうとし、ある者は唯一無事な後方へ逃げようと試みる。全員が好き勝手に動き、最早軍隊としての体を成してはいない。
「おい、どこに行くつもりだ? 敵前逃亡は重罪だろう」
「無防備に背中を見せるなんて、狙ってくれと言っているようなものよ?」
 こうなれば、趨勢は一気に猟兵へと傾いてゆく。百人と一度に戦うのと、一人と百回戦うのとでは天と地ほどに差がある。シキは逃げる兵士の胴体をワイヤーで絡め取り引き寄せると、頭部と胸部を銃撃し確実に機能を停止させる。またその横では一定のリズムを刻みながら、次々とヘスティアが背後を狙撃していった。
『もう駄目だ……隊長はどうしたんだよ!? あの人が居れば立て直しも』
『バイクの調子が悪かったからって早めに戻ってたんだよ! 今頃部屋でおねんねじゃねーの!』
『先に俺らが永遠におねんねしちまうだろうがああアアアアアッ!』
 逃走すらままならないと悟った帝国兵たちは、なけなしの理性すら放り捨てて狂乱へと身を任せる。破れかぶれの突撃にエメラは動じることなく砲撃で迎え撃つも、呼び出した砲台では火力不足は否めない。
「抜けない、か。後がないのは実際の話だから、押し込まれると少しばかり面倒ね」
「なら、アタシに任せな! 今日はどこまで捨てがまれるかなァ、最後までイケたらお慰み! ひょっとしたら本日こそが『良い日』かも、なァ!!」
 相手と敢えて真っ向から向き合い、デブラは怒涛の攻撃へと身を晒す。当然、体を熱線が貫き肉を焼くも、彼女はそれが望みとばかりに応射を繰り出してゆく。しかし、徹甲弾であろうとも超戦闘状態の帝国兵を貫くことは出来ない。
 だが、彼女の目的はあくまでも囮と時間稼ぎだ。本命は彼らの後方。
「最後に教育してあげましょう……電脳騎兵の自慢は、機動力だけではないということをね」
 元より敵中にいたグロリアは、必然的に相手の背後を取れる位置にいた。構えられるは二門の固定砲。内部に押し留められていた膨大な魔力が、雷となって解き放たれる。大気を破裂させ、視界を塗り潰す眩い閃光。
 それが晴れた時、暴走状態の帝国兵は跡形もなく消え去っていった。最早、動く者は猟兵の他になし。あれだけいた帝国兵は、一人残らずスクラップと化したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ファントム・ガンマン』

POW   :    ボムファイア
【ブラスター銃の最大出力放射】が命中した対象を燃やす。放たれた【ブラスター銃の熱線の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    クイックドロウ
レベル分の1秒で【熱線銃(ブラスター)】を発射できる。
WIZ   :    ブラストキャンセラー
対象のユーベルコードに対し【ブラスター銃の一斉射撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は麻生・大地です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちによって、宇宙バイク部隊を構成していた兵士たちは全て鉄屑と化した。これで彼らが組織だって活動することはもうない。だが、ある意味それ以上となる脅威が、まだここには残されている。
「……あっれぇ。やけに騒がしいなと思ったら、こりゃまた愉快なことになってるじゃないの」
 響く声に怒気や驚愕の色は無く、どこまでも暢気なもの。あくび交じりに戦場へと足を踏み入れてきたのは、隊長である青軍服の拳銃使い。彼は床中に転がる部下『だった』ものを一瞥し、面白そうに笑みを浮かべる。
「へぇ、やっぱり中々やるみたいだな。結構数も居たはずなんだが……ま、猟兵相手じゃ性能不足だったか」
 その姿に、猟兵たちは底知れない不気味さを感じる。部下が全滅したことも、それを成した猟兵が眼前にいる事にも、一切の関心が無いようだった。感じられるのはどこまで純粋なーー。
「やっぱり楽しいなぁ、お前らは。こうなれば任務も何もない」
 闘争心。男は熱線銃を引き抜くと、ゆっくりと脱力しながら構えを取る。
「さぁ、決闘といこうじゃないか。OK?」
 開戦の合図替わりに放たれた一条の熱線。文字通り、それが戦いの火蓋を切るのであった。
ヘスティア・イクテュス
あら、隊長さんの割には部下がやられたっていうのに覇気のないこと…ね!

やる気のない感じだけど、流石は隊長ね…
真っ向勝負は不利かしら?

ティターニアを噴かして回り込む動き…【ダッシュ】
相手の背後からマイクロミサイルを発射!
普通のミサイルだと思った?残念、煙幕弾よ!【属性攻撃:煙幕弾】

視界を遮ることで味方の攻撃を避けにくく&味方へ攻撃を当てにくい状態へ

更にその間に他の猟兵をオプティカル・カモフラージュで姿を消してホログラムの偽物で一撃を当てれるよう援護を【残像&フェイント】

卑怯、なんて言わせないわよ?


エメラ・アーヴェスピア
あら、帝国兵にしては変わった連中だったけれど…親玉も多少変わっているみたいね
それじゃあ、きっちりとお仕事を終わらせましょうか
…あ、私に決闘相手は無理よ?基本的に兵器召喚するだけで私自身の戦闘力は…ね

位置は変わらず最後方として…どうしたものかしら
このまま陣地を…いえ、何か嫌な予感がするわ
仕方ないわね…同僚さん達が時間を稼ぐ事に期待しましょう
呼び出すのは大型の重砲(攻撃力重視)を数門…さすがに大型を複数呼び出すのは時間が掛かるのよ…!
…よし、『我が砲火は未来の為に』!隙を見せたら容赦なく撃ち込むわよ!
攻撃は盾頼り…燃やされるのは本当に嫌よ?
「そろそろ終わりにさせてもらうわよ」

※アドリブ・絡み歓迎


メイスン・ドットハック
【SPD】
こういう奴は厄介じゃのー
僕もあんまり相手はしたくないところじゃけどのー

ユーベルコード「木を隠すなら森の中」で射線を遮る壁を作成
それを隠れ蓑にしながらトラップ設置を試みる
壁はブラスターで焼き切られると、煙幕を発生させ、敵の熱線を弱めたり、こちらの姿をはっきりと視覚させないようにする

煙幕と壁の間にワイヤートラップと地雷を仕掛けて、味方と戦っている間に引っかかるように誘引する(罠使い、破壊工作、おびき寄せ)

うまい具合に味方同士で立ち回って敵に本領を発揮させないように心がける


蛇塚・レモン
他の猟兵との連携歓迎

世界知識と学習力で敵を観察
なるほど~っ、つまり熱線銃が撃てなければ怖くないよね?

物陰(地形の利用)から先制攻撃+だまし討ち!
ユーベルコードで蛇神様を召喚!
蛇神様の呪縛と呪詛とマヒ攻撃で敵の身体を硬直させて熱線銃の一斉射撃を封じるよっ!
そしてあたいの念動力を纏った蛇腹剣クサナギで、熱線銃を持つ敵を斬り付けて熱線銃を手から落とすよ!(範囲攻撃+鎧無視攻撃+衝撃波+武器落とし)
あとは逃げないように蛇神様を敵に巻き付けて締め上げてもらっちゃおう

ガンマンさん、銃を拾って
あたいと早撃ち勝負だっ!
超霊力オーラガンで両者背中合わせから3歩進んでクイックドロウ
さようなら
戦闘狂にはなむけの弾を



●決戦、青き拳銃使い!
「いやぁ、嬉しいねぇ。老若男女よりどりみどり、目移りしちまうな」
「あら、隊長さんの割には部下がやられたのに随分と覇気がないこと……ねっ!」
 品定めするようにゆっくりと視線を向けてくる青軍服の視界から、ヘスティアの姿が掻き消える。背部に装備した上下二基の推進装置を吹かせながらの全力疾走。最小半径で弧を描くように背後を取るや、超至近距離からミサイル群を斉射する。
「おっ、瞬間速度はバイク以上じゃないの。見逃してたぜ、俺じゃなきゃな」
 だが青軍服の腕もまたさるもの。右手に握った熱線銃を左脇へと回すや、振り向くことなく全弾を打ち落とす。だが、その結果に起こったのは爆発ではなく、濃密な白煙の放出だった。
「ええ、貴方なら撃ち落とせると思っていたわ」
 ヘスティアとて相手がその程度はしてくるだろうと予想はつけていた。故に弾頭には火薬ではなく煙幕を仕込んでいたのだ。
「はっはっは、一杯喰わされたたか。だが腕前を期待されるってのは悪くないな」
 視界が効かなくなる中、怒るでもなく愉快気に笑う青軍服にエメラが半ば呆れたような声を上げる。
「帝国兵にしては変わった連中だったけれど……親玉も多少変わっているみたいね。ともあれ、きっちりとお仕事を終わらせましょうか」
「お、次の相手は御嬢さんかい?」
「冗談、私に決闘相手は無理よ? 私自身の戦闘力では……ね」
 姿を隠しながら、彼女は悟られぬよう相手から距離を取った。位置取りは隊列の最後尾としつつ、取るべき手を思案する。
(さっきと同じく陣地を呼び出す……いえ、嫌な予感がするわ。帝国兵の残骸から、倒された方法を予測してもおかしくない。ここは仕方ないわね……同僚さん達が時間を稼ぐ事に期待しましょうか)
 やるべきことは決まったが、準備に少々時間がかかる。エメラは慌てず焦らず、だが着実に次の一手への準備を進め始めた。
「あらら、つれないね。さて、となるとこっちから仕掛けて……」
「……お願い、蛇神様っ! あいつ、悪い奴だから懲らしめちゃってっ!」
 肩を竦めた青軍服が攻撃に転じようとした、その瞬間。底抜けに明るい声が戦場へ響き渡った。漂う煙越しに光が瞬くや、ずるりと霧中で巨大な何かが蠢く気配が生まれる。
「おいおい、宇宙生物パニックか? 軍人とは相性が悪いんだわ、ああ言うのだと大抵真っ先に食われちまうからなっ」
 青軍服が気配の源へ一斉銃撃を行うのと、煙幕を吹き散らしソレが姿を現したのはほぼ同時。ソレはそれまで息を潜めて機を伺っていた蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)の呼び出せし、白き巨大な蛇神霊だった。蛇神霊は銃撃を物ともせず、相手の全身を締め上げる。
「ふっふん。どんなに凄腕でも、熱線銃が撃てなければ怖くないよね?」
「ま、その通りではあるがね、それを実現できるかは別問題だ……銃ってのは腕一つ、指一本動けば十分なのさ」
 相手の得物を叩き落すために、蛇腹剣を振るうレモン。だが先に得物を振るったのは彼女にも関わらず、分割した刃一片一片に熱線が叩き込まれ弾き返される。手首の動きのみで披露された電光石火の早撃ち、その最終弾が少女へと大火力で放たれ――。
「こういう奴は厄介じゃのー。油断も隙間ないから、僕もあんまり相手はしたくないところじゃけどのー」
 爆発が起きた。だが、それは熱線が原因ではない。メイスンが一瞬にして作り上げた爆薬を内蔵した即席の防壁によるもの。耐久力は一撃耐えきれるかどうか程度ではあるが、爆発反応装甲のように自爆することによって相手の射撃を相殺したのだ。
「疑似的なリアクティブアーマー……敵じゃなかったら工兵としてスカウトしたいくらいだぜ、っと」
 ひゅうと口笛を吹きながら青軍服は蛇神霊に銃撃を浴びせて脱出すると、くるくると熱線銃を回す。
「搦め手も良いけどさ、少しは真正面からでもやりあいたくなってきたな」
「銃を落とせなかったのは悔しいけど、それならあたいと早撃ち勝負だ!」
「ほう、本当に付き合ってくれるとは。古式に則る余裕までは無いが……」
 ならばと応ずるレモンの手にも銃……ではなく霊力を纏った指鉄砲。だが青軍服はそれを嗤うことも侮ることもなく、熱線銃をホルスターに仕舞う。コイン替わりの鉄片が指で弾かれ、くるくると宙を舞い。
 ――チャリン。
 地面へと落ちた瞬間、両者の銃が火を噴く。青軍服の射撃がレモンの腕を掠める一方、彼女の一撃は青軍服の左腕を撃ちぬいていた。
「っ、動きが鈍った……? 蛇に触れた時、麻痺毒でも流し込まれたか」
「気は済みましたか? であれば続きといきましょう……光学迷彩を展開するわ」
 ひゅんという風切り音と共に、ヘスティアの銃撃が放たれる。だが、声はすれども姿が見えない。宣言通り、背景と同化して姿をくらましているのだ。
「どこぞの狩猟民族に狙われた気分だなぁ、これ」
「あら、卑怯なんて言わせないわよ?」
「はっ、言うものかよ。見えはしないが、聞こえ無い訳じゃないんだぜ?」
 ヘスティアの銃撃を受けながらも、風の音や流れ、銃撃の方向を見定め、その位置を特定せんと神経を集中させる。こつこつとステップを踏みながら、少しずつ位置取りを行い……。
「動きはもう分かったぜ……そこだ!」
「うむ、そこじゃのー」
 熱線銃を構えた瞬間、がくんと青軍服が体勢を崩した。ハッと足元を見やれば、ワイヤーとその傍に仕掛けられた地雷。そしてゆっくりと迷彩を解くメイスンの姿。ヘスティアが迷彩を施せるのは自分だけでなく、他にもう一人。相手が決闘を行っているうちにメイスンを透明化させ、気づかれる事無く罠を仕掛けていたのだ。
「卑怯とは言わないんじゃったのー?」
「ああ、言わんし言えないな! 自分の軽口が恨めしいッ!」
 ヘスティアの射撃が地雷を撃ちぬき、発生した爆風で青軍服が地面へと転がる。素早く立ち上がった青軍服は、そこでようやく戦場の後方に大きな影が生まれていることに気付いた。
「おいおい、そいつは……卑怯とは言わんがなぁ!」
「威力重視の重砲よ。準備に時間がかかるのが難点だけれど、ここまでくれば……『我が砲火は未来の為に』!」
「お前ら、そこらの部隊よりも装備が充実していないか……?」
 解き放たれるは三門の重砲撃。時間を掛けただけに威力十分のそれは、床材ごと青軍服の居た場所を吹き飛ばす。濛々と硝煙が立ち込めるそのただ中で。
「……砲弾を撃ちはしたが、完全な無力化は流石に無理か」
 トレードマークの青軍服を土埃と血糊で汚し、ボロボロになりながらも男は立っていた。その手には銃も握られ、相応のダメージは負ったものの未だ健在。
「ああ、全く…………これだから戦いは楽しいんだ」
 そうニヤリと笑う男は、やはり恐怖を感じている様子など微塵も見せる事は無い。熱線銃を握り直しながら、青軍服は戦闘を継続するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種子島・友国
【心情】
親玉との直接対決、か
少ししんどい戦いになりそうだけど、ここは勝ちにいかないとね
個人的には熱線銃に後れを取るのは気に入らないしね

【行動】
【選択したUC】を使用して戦闘に参加する
味方の行動に合わせて【2回攻撃】、【援護射撃】を使用し有利な状況を作ろう
亡霊とは可能な限り距離を置き、敵から同時に捕捉される事を避けて行動する

これまでの戦闘や青軍服との交戦状況から【情報収集】し、【戦闘知識】で分析
青軍服の射撃の癖や熱線銃の性能について情報を共有したい

【その他】
「何の為にあの船を狙ったのかね?荷物が欲しかったか、ただの嫌がらせか」
(射撃戦で打ち負けた時)
「指一本で連射出来るとか反則じゃないかな?!」


シキ・ジルモント
◆SPD
この状況であの余裕か
油断はできない、真の姿を解放し交戦する
(月光を纏うように全身が淡く光る。犬歯が大きく伸びて尖り、夜の狼のように瞳が輝く)

熱線銃は敵のバイク等を『地形の利用』で遮蔽物として使い回避を試みる
撃ち合いつつ接近、ある程度近づいたら弾倉を交換して遮蔽から出る

フック付きワイヤーで兵士の残骸を絡めとり、今度は引き寄せずにそのまま敵に投げつける(『投擲』)
避けられても『フェイント』としての役割を果たし隙を作れたら上出来だ
多少のダメージは『覚悟』の上で敵が体勢を整える前に距離を詰める
『クイックドロウ』で銃を構え、『零距離射撃』の距離でユーベルコードを発動
さあ、この距離で避けられるか?


スリサズ・シグルズ
「来たか」

右腕の重機関銃で戦闘
前線の維持は他猟兵に任せて移動しながらの牽制援護射撃と静止しての狙撃射撃を織り交ぜて戦う

牽制は敵の意識をこちらに向けるためにばらまき他猟兵の攻撃の成功率を上げる
狙撃は敵の攻撃の直後に着弾するように射撃
特にボムファイアの後は最大出力放射を行った後なので狙い目だと判断する

被弾時に撃ち返して
「熱線が劣る、というわけではないがやはり着弾の衝撃は実弾には敵わなかろう」

他者連携希望 アドリブ可


櫟・陽里
お出ましだな青軍服…
さっきは銃の腕の違いを見せつけられちまった
さぁ考えろ、差を縮める工夫をしなきゃなんねぇ
攻撃を避け走り回る足は止めずに
仲間の援護射撃しつつ周囲を観察
破壊して目くらましにできそうな物はないかな
煙や蒸気が出そうな何か…配管とか…
ストックの弾薬箱とか…

こっちの優位は人数と各自の技の幅の広さ
とにかく手数で相手の処理能力を上回れるようにするのはどうかな
味方の連携の繋ぎに射撃をして隙を伺う
何十何百のうち1発でも当たればいいんだ

もし何のごまかしも効かない完全な一騎討ちになったとしたら…
俺の『真の姿』は
最速のための最善を即座に判断してノーミスで実行する集中力を得る事
ただ撃つ、それだけ
命中重視



●決着、弾丸は流星の如く!
「さぁ、いい感じに温まってきたからな。続きといこうか」
「あれだけの一撃を受けた状況でもその余裕か……良いだろう、もう出し惜しみは無しだ」
 パンパンと土埃を払いながら笑う青軍服に、シキは全力を以って相対することを選んだ。体が淡い光を帯び、口元からは犬歯が伸び瞳が満月の如く爛々と輝く。忌むべき姿であろうとも、それを使うに足る相手であると断じたが故に。
「生憎と銀の弾丸は持ち合わせが無いんだがね!」
「気にすることは無い、狩りたてるのはこちら側だからな」
 シキは人の知性と獣の強靭さを発揮しながら、周辺に散らばる残骸に紛れて銃撃を行う。それはまるで狩りの如き動きだ。銃弾と熱線、点と線が戦場で交錯してゆく。
「少しばかりしんどい戦いになりそうだけど、ここは勝ちにいかないとね。個人的には熱線銃に後れを取るのは気に入らないしね、意地ってものを見せてやろうじゃないか」
 その銃撃戦へ新たに加わるのは友国。彼の周囲には、ゆらゆらと半透明の人影が揺らめいていた。人の姿を得る前、かつて己がただ一丁の火縄銃であった頃の使い手たちの亡霊。
「お休みのところ悪いけど、ちょっと手伝ってもらおうかな?」
 彼は己の分身を複数展開するや、それを亡霊たちへと持たせる。それはさながら戦国時代の鉄砲隊、洗練された新しさは無くとも、古き重みの無骨さがある。火縄が落とされるや、轟音と共に鉛玉が斉射された。
「自慢じゃないが、速射連射は得意でな。全部は落とせなくともっ!」
 脚や肩に当たるものは無視し、青軍服は急所に当たるであろう銃撃のみを迎撃する。数体の亡霊を撃ちぬく代わりにジワリと青い布地が紅に染まるも、致命にまでは至らない。
「こっちは都度玉込めが必要なのに、指一本で連射出来るとかやっぱり反則じゃないかな?!」
「とは言え、実弾には実弾の利点もまたある。いかに連続で撃てようが、ただ一発急所に当たれば斃れてしまうのが戦場だ」
 歯噛みする友国へ宥める様に言葉を掛けつつ、スリサズは常に移動しながら重機関銃を構え、引き金を引いた。体に伝わる振動を巧みに抑えながら、相手の全身へ万遍なく銃弾を浴びせてゆく。
「幾ら迎撃出来るとはいえ、細かな傷は増えてゆく。対処しきれなくなった瞬間が、貴様の終わりだ」
「その前に、そっちの銃弾が尽きる方が先だと俺は思うがね。生憎とこいつは弾切れに縁が無いんでな!」
 奇しくも、この戦場に集った者たちは誰も彼もが銃器を主武装としている。大口径弾が、鉛玉が、12,7ミリ弾が、たった一人の男目掛けて四方八方より浴びせかけられる。対する青軍服も時に撃ち落し、時に避け、時に反撃することによって、致命的な一撃を回避し続けている。それは正に驚異の一言に尽きた。
(さっきは銃の腕の違いを見せつけられちまった……さぁ考えろ、差を縮める工夫をしなきゃなんねぇ)
 陽里は仲間と共に銃撃を行いながら、同時に思考を走らせる。じりじりと此方が押してはいるが、ほんの小さなきっかけで戦況はひっくり返される。それが出来るだけの実力を相手が持つことを、彼は知っていた。故に周囲を観察し、利用できる物が無いか探し……。
(っ、これなら……!)
 陽里は残骸の中、ある物を見つけると手早くソレを引き起こした。一方、視界の端でその行動を捉えた友国は相手の注意を惹きつけるため、亡霊と共に射撃を行いながら会話を投げかける。
「ところで気になっていたんだけど、何の為にあの船を狙ったのかね? 荷物が欲しかったか、ただの嫌がらせか」
「両方さ。俺たちは略奪部隊だぜ? 物資を奪えば相手のは減り、こっちは増える。一石二鳥だ」
 その回答は理には適っている。だが、そうなると別の疑問も浮かぶ。
「そうまでして物資を集めて、何を企んでいるんだい」
「さてね、近々デカい戦争が起こるとかなんとか……ま、いまはそれよりも目の前の戦いが最優先だがなぁ!」
 これ以上の問答は無用。言外にそう告げながら青軍服はより攻勢を強め始めた……その矢先。
 ――ヴヴン、ヴヴヴヴッ!
 戦場にけたたましいエンジン音が響き渡る。男がさっとそちらを見ると、噴煙に包まれながら一機の宇宙バイクが猛スピードで疾走してくるところだった。
「ああ、そういや腕の良いバイク乗りが居たな。そのこだわりは嫌いじゃないが……その程度の煙量じゃなぁッ!」
 真っ向から斉射される熱線は、煙に遮られながらもバイクとその乗り手を正確に貫く。だが爆発する機体は、青軍服がよく見知った帝国軍の宇宙バイクのそれ。乗り手の姿はシート上にない。
「な、に……!?」
 目を剥く男の胸を、スンッと一条の光線が貫いた。バイクの走って来た方向で身を隠していた陽里による、全神経を研ぎ澄ませた射撃。
 元々、彼のバイクは既に限界だった。代わりに辛うじて起動可能だったバイクを見つけるや、持ち前の機械知識で手早く改修。燃えそうな物を括り付け、アクセルを入れたまま突撃させたのだ。
「悔しいけど、純粋な射撃の腕じゃ敵わない。だけどバイクの事についてだけは……俺の方が上だぜ」
「なまじ、一度顔を合わせてたのが不味かったか……だけど、ここですんなりくたばるほど、素直な性格はしてなくてなぁッ!」
 胸からは滂沱と血が流れ落ちるも、それでもなお青軍服は止まらない。半ば熱線銃を暴走させながら最大出力の一撃を放たんと、銃口を構え――。
「その隙を待っていたぞ」
 銃口を塞ぐように、帝国兵の残骸が投擲される。シキの振るったワイヤーが兵士の部品を絡め取るや、狙い違わず射線を封じたのだ。行き場を失ったエネルギーが暴れ狂い、熱線銃が暴発する。手元で起きた爆発に、流石の青軍服も体勢を崩した。
「熱線が劣る、というわけではないがやはり着弾の衝撃は実弾には敵わん……それに言っただろう、対処できなくなった瞬間が終わりだと」
 そしてその隙をスリザスは決して見逃さない。重機関銃に滑空砲、全武装を解放した一斉射撃。為す術もなく被弾した青軍服の右足が根元より吹き飛び、左腕が抉り取られる。
「ま、だ、だ……!」
 それでも利き腕一つ、指一本動けば。そう諦める事を知らぬ男へ。
「いいや、こいつで……」
「僕らの勝ち、だね」
 トドメの銃弾が叩き込まれた。友国の一斉同時射撃とシキの零距離連続射撃。それらを急所という急所に撃ちこまれた青軍服は。
「あーあ……こりゃ、負け、だな」
 悔しそうな、惜しむような、それでいて楽しそうな。そんな複雑な感情の入り混じった言葉を残しながら、ばったりと地に倒れ伏すのであった。

 かくして、輸送船は無事に逃げ切り、帝国兵は全滅し、青軍服は戦場に斃れた。
猟兵たちは自らの勝利と依頼の成功を確認すると、帝国軍の拠点を後にするのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日


挿絵イラスト