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帝竜戦役㉑~炎獄

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #帝竜 #ガイオウガ #群竜大陸


●炎の帝竜と炎獣達
 炎が燃え盛る大地に、炎が群れている。
「垓王牙ヨ、猟兵ガコノ地ニヤッテキマス!」
「奴ラハ未ダ群体! 全ニシテ壱デアル垓王牙ヨリ劣ル存在」
 ――竜、虎、狼。
 様々な姿形を持つ炎の獣達。
 それが見上げるは、自らを生んだ王であり帝竜が一尾。

 燃え盛る炎の如き巨怪――帝竜『ガイオウガ』。

「……シカシ、我等ハ知ッテイマス!」
「例エ『再孵化』ニヨリ記憶ガ失ワレヨウト、ソノ魂ガ覚エテイマス」
「間違イアリマセン。アノ者達ハ全テヲ破壊スル『牙』!」
「ヒトタビネジ伏セヨウトモ、何度デモ喰ライツク魂ノ持チ主!」
「我等ガ偉大ナル垓王牙ヨ! アナタ様ガ敗北スル可能性モ十二分ニアリマス!」
「備エメサレヨ、偉大ナル垓王牙!」
 炎の獣達は、片言な声で口々に言上する。
 敵に備えろと。

●炎の戦場へ
「備えてくれなくていいのにねぇ……」
 溜息交じりに呟いて、ルシル・フューラー(ノーザンエルフ・f03676)は集まった猟兵達を見回した。
「さておき、今度の帝竜はガイオウガ」
 垓王牙とも書く、炎の巨竜である。
「まず何と言っても、大きい。ものすごく大きい。背中に幾つもの火口がある。まるで火山そのものが竜になったような巨体だよ」
 その巨体だけでも脅威と言えるが、ガイオウガの武器はそれだけではない。
 火山と同等と言わしめる巨体の内に秘めるは、燃え盛る炎と煮えたぎる溶岩。
「攻撃は炎のオンパレード。炎の獣の卵と言える炎弾を全身の火口から放ち、超高熱の溶岩流に竜の炎も自在に操る、まさに炎の化身だ」
 まずその熱に耐えられる存在でなければ、例え牙を剥いても、その牙が届く前に灼き尽くされる。あらゆる生命の存在を許さぬ、圧倒的な炎の力。
 そしてガイオウガにとって、その力は息するように使えるものだ。
「先手は取れない。それは覚悟して臨んで欲しい」
 既にガイオウガのいる一帯は、自身が生み出した炎の獣以外がいない燃え盛る死と炎の大地と化している。猟兵はその暑さにも、耐えねばならないのだ。
「けれどね。さっきも話した様に、周りの炎獣達が騒いでいるんだよ。ガイオウガが敗北する可能性も十二分にあり得る。備えろ――と」
 それは獣の本能か。
 それとも、彼らの言葉通りに、魂に刻まれた何かなのか。
「どちらでも構わない。その可能性、現実のものにしてやろうじゃないか」
 それが出来るのは、猟兵だけなのだから。


泰月
 泰月(たいげつ)です。
 目を通して頂き、ありがとうございます。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、『帝竜戦役』の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 帝竜戦役㉑。
 帝竜ガイオウガとの戦闘シナリオです。

 今回はシンプルにガイオウガを倒すのみ。

 またガイオウガは必ず先制攻撃をしてきます。いかに敵の攻撃を防御して反撃するか、と言うところが重要になります。
 と言う事で今回のプレイングボーナスは『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』です。
 炎やら溶岩やら流れている物凄ーい暑いフィールドで、炎の帝竜との、文字通りに熱い戦いになるのではないかと。

 プレイングは5/16(土)8:30~とさせて頂きます。
 締め切るタイミングは別途告知しますが、最低24時間は受付中とします。

 ではでは、よろしければご参加下さい。
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第1章 ボス戦 『帝竜ガイオウガ』

POW   :    垓王牙炎弾
【全身の火口から吹き出す火山弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【『炎の獣』に変身する】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    垓王牙溶岩流
自身の身体部位ひとつを【大地を消滅させる程の超高熱溶岩流】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    垓王牙炎操
レベル×1個の【ガイオウガに似た竜の姿】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
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亜儀流野・珠
…………ふは!
火山そのものとは大袈裟な、と思ったが……。
そんなことはなかったな! 火山だ火山!

お前が何処から渡って来たかは知らんが、
この火山の地を旅の終着点とするがいい!

奴の先手は……炎か!
なら壁を生やせる「金璧符」を周囲の地面に貼り岩壁を生成、
自らを壁で密閉する!
蒸し焼きになる気はするが直火焼きよりはマシだろう!

初撃を凌いだら木槌「砕」で壁を壊し脱出、突撃開始だ!

奴の放つ炎は横っ飛びで躱しながら、躱しきれんやつは木槌や「焔弾」で散らしながら進む。
なるべく力は温存しつつだ。

そして出来る限り接近したら……
顔付近を狙い、近距離からの全力「焔弾」連発だ!
爆風で視界を失え!
そしてそのまま砕けとけ!


ニコ・ベルクシュタイン
垓王牙、か
俺はお前の事なぞ知らぬが、俺の本体はどうだろうな
何せ百年の時を刻み、界をも渡った時計だ
或いは――まあ良い、些事だよ

実質大量の炎竜を凌がねばならぬのか
難題だ、氷の「全力魔法」で「オーラ防御」の障壁を纏いつつ
赤熱する大地の「地形の利用」を狙い
「ダッシュ」で翻弄する程度しか思い付かぬ
迫る炎竜が噴き出すマグマにぶち当たり一瞬でも動きが止まれば僥倖
其の隙に別の竜をいなすべく奔走しよう
杖で地面を打ち据えれば、意図的にマグマも出せるだろうか

反撃の機が見えれば【時計の針は逆さに回る】を
昔話をする趣味は無い、疾く失せよと
箒に乗って一気に機動力を上げて垓王牙へ迫り
杖を振るって「捨て身の一撃」をくれてやる


忠海・雷火
可能なら地形を利用し身を隠しつつ移動。良い岩場があれば良いが
熱気は気合で堪えよう

竜炎が押し寄せる前に、盾として使う死霊をなるべく多く喚び
炎の大きさも不明だが、直線的に飛来してくるなら見切で避ける
だが操作主はそれを見越していると考え、回避直後は死霊を盾に身を守る
強化炎には死霊と防御オーラを総動員、それらで軽減しつつ武器受けから薙ぎ払い
完全消滅は出来ずとも、僅かでも揺らぎ・切れ目を作りそこから突破
UC条件もある為、被弾自体は覚悟の上。火炎・激痛耐性も駆使し行動不能は避ける

頃合いを見てUC発動。雷の死霊を、炎の操作主へ差し向ける
一つは小さくとも、積み重ねて約70倍。頭部の外殻くらいは抉じ開けたい所




 そこは見渡す限り一面が赤熱した、灼熱の荒野となっていた。
「これはまた……見事に焼き尽くしたものね」
 その光景に、忠海・雷火(襲の氷炎・f03441)が溜息交じりの声を溢す。身を隠せそうな岩場でもあればと言う淡い期待は、あっさりと砕かれた。
 そんな地獄のような光景の中心にいるのが、巨大な岩山の如き竜。
「垓王牙、か」
 火山の如き巨体を見据え、ニコ・ベルクシュタイン(時計卿・f00324)は柊の杖を両手で構える。
「ふはっ!」
 その近くで、笑いと溜息が混ざったような声が上がる。
 ――まるで火山そのものが竜になったような巨体。
 そう聞いた時、亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)は流石に大袈裟な誇張だろうと思ったのだ。思いたかった、と言った方が正しかったのかもしれない。
「そんなことはなかったな! 火山だ火山!」
 珠はそれを口に出した。言葉にした。
 認めよう。あれは火山に等しい威容の巨体を持つ敵だと。
 認める事は、諦めではない。
「お前が何処から渡って来たか知らんが、この火山の地を旅の終着点とするがいい!」
 言い放つ珠の声と瞳に、恐れの色はなかった。

 3人を睥睨していたガイオウガの口が、ゆっくりと開かれる。
 その奥から、赤い、紅い、赫い輝きが溢れ出す。
 ガイオウガの口から、炎が飛び出した。放つでも、吐き出すのでもない。飛び出したのだ。炎自体が竜であるかの様に。
 ガイオウガそっくりの形を持った竜の炎の群れ。優に二百を越えるであろう炎が、3人の猟兵に襲い掛かろうとしていた。


 問答無用で襲い掛かる竜の炎。
「竜の炎の群れか! 炎の帝竜と言うだけはあるな!」
「実質、大量の炎竜を凌げと言う事か――」
 その数に珠は開き直って笑いを浮かべ、ニコは対照的に内心で舌打ちしているように眉間を寄せる。
「仕方ないねえ――なんとかやるしか」
 やり過ごせるほどの地形が見当たらない以上、自力でやるしかない。3人は誰からともなく頷くと、同時にその場から散開した。

「金璧符!」
 竜炎が迫る直前、珠は数枚の符を足元に放つ。
『ソンナ紙キレデ垓王牙ノ炎ガ防ゲルモノカ!』
 周囲の炎獣が騒ぎ立てる中、珠の周囲の地面がせり上がった。
 その全てが、珠の姿を炎獣達から完全に隠す、大きな壁となる。それが金璧符の力。
「おっと。こっちも塞いでおかないとな!」
 ぐるりと囲む壁の端に、珠はさらに追加で金璧符を放つ。壁の一部がさらに壁となり、柱状に並んだ壁の上を塞ぐ屋根の役割を果たす。
 完全に珠の姿が壁の中に消える。そこに、竜の炎が襲い掛かった。壁が竜の炎に飲み込まれる。
 ――しかし炎が通り過ぎても、壁は変わらず珠を隠して立っていた。


 竜の炎はガイオウガの意のままに操れる。逃げるだけでは、限界がある。
「いきなり難題だな」
 口ではそう言いながらも、ニコは己の取るべき対策は既に見出していた。
 ニコは柊の杖『Bloom Star』を迫る竜の炎の方へと掲げる。杖に絡む一輪の花が白い輝きを放ち、同じ色の星型の光が、幾つも幾つも花開いて咲き広がっていく。
 氷の魔力で作られた花の魔力が重なり合い、障壁となってニコに迫っていた竜の炎を食い止める壁となった。

「来たれ、来たれ。我が意に従え――」
 竜炎から距離を取りながら、雷火が口走るは死霊を呼ぶ言葉。
 雷火は死霊術師の力を使い、この燃える大地の底から名も知らぬ死霊を喚び続け、それらを従えながら駆けていた。
「でかい炎だが――このくらい!」
 死霊を集めさせまいとしてか、雷火の横から竜の炎が遅いかかる。
 雷火はそれを横っ飛びに躱し――たと思ったのも束の間。竜の炎はまるでそれ自体が意思を持っているの様に向きを変えて、再び雷火に向かっていく。
「やはり見越していたね」
 だが、ガイオウガが竜炎を一度避けられることを見越していた様に、雷火も避けた後にもう一度炎が来るであろうことを見越していた。
 そのための、死霊だ。
「もう一度だったらすまないね。焼かれてくれ」
 雷火は死霊を重ねて並べ、竜炎からの盾とする。その中に、ガイオウガに焼かれたものの死霊はいたのだろうか。

 竜の炎に対する3人の答えは、素材こそ違えど壁だった。
 金行の壁、氷の魔力で咲かせた壁、死霊の壁。
 それらは確かに、ガイオウガの竜炎を防ぎ、食い止めた。だが――ガイオウガはならばと竜の炎を重ねていく。

 シュゥッと氷が溶ける様に、障壁を為す氷の魔力の星花が一輪消えていく。
 ニコが阻む竜の炎は幾つもの竜炎が重なり、三頭の竜炎となっていた。
「凄まじい火力だな――此れでも長くは持たぬか」
 このままで抑えきれない。
 そう感じたニコは、障壁が持つ内に距離を取る事を選んだ。駆け出したニコの背後で障壁がついに溶けて、竜の炎が再び動き出す。
 全力で駆けるニコの背中に、徐々に迫る竜の炎。ニコの背中を伝う汗は、その炎の熱のせいか、それとも――。
「……ここだ!」
 もう数mで炎に背中を焼かれるかというところで、ニコは『Bloom Star』の軽く振り下ろし、己の足元をコツンッと叩いた。
 ズドンッ!
 ニコが流した炎の魔力に誘発されて噴き上がったマグマが、炎の竜とぶつかり、互いに消滅した。

 2つ、3つ、4つ、5つ。
 竜炎が重なるにつれて、その大きさと火力が増していく。
「くっ……」
 雷火の前の竜の炎も、頭の数が増えていく。比例して、火力が増していく。
 盾とした死霊が、炎に呑まれていく。
「こじ開けろ!」
 雷火が声を上げた刹那、竜の炎が割れた。呑まれたに見えた死霊が、内側から竜炎に食らいついてこじ開けたのだ。
 雷火とて、名もなき死霊程度の力で、竜の炎に勝てるとは思っていない。
 欲しかったのは、この瞬間。雷火は腕で顔を護りながら、割れた竜の炎の中を突っ切って突破すると、ガイオウガへ向かって駆け出した。

「予想以上に暑い……」
 壁の中で、珠が項垂れる。
 竜の炎が頭を増やして火力を増しても、壁は炎を防ぎ続けていた。
 この地域に残る地面は、ガイオウガの炎にも溶けなかったから残っている。ならばその地面を作り替えた壁が、炎を防げぬ筈がない。
 だが――珠にも誤算だったのは、中の熱さ。
 壁に変えた地面自体が高温だったのだ。
 直火焼きよりは蒸し焼きがマシだろう――そのくらいは珠も思ってはいたが、実際、このままだと蒸し焼きになりかねない。
(「まだか……まだか……」)
 内心焦りを感じながら隙を伺う珠の耳には、まだ壁の向こうで轟々と竜の炎が燃え盛る音が響いていた。


「ちっ!」
 背後から迫る竜炎を、雷火は前に飛び出して躱した。
 何度も受け身を取った腕は火傷で赤くなり、身体中も擦り切れているか大小様々な火傷を負っている。
 ほんの数秒前から、竜の炎が全て、雷火へ向けられていた。
 防ぐか、相殺するか、突破するか。
 三者三葉の猟兵の動きに、ガイオウガは悟った。
 竜の炎を散発しているだけでは、猟兵は簡単には倒せないと。
 だからガイオウガは、竜の炎をすべて雷火へ向けた。自分へ向かってくるものから、各個撃破するつもりで。
 だがそれは――驕りだ。
 他の2人が何をしようと、脅威になる筈がないと言う。

「百年の時を経て今此処に甦れ、我が力の根源よ!」

 ニコが掲げた『Bloom Star』の星型の花が、今度は白銀の輝きを放つ。
 竜の炎が周囲からなくなったこの好機、ニコが逃す筈もない。
 ニコの周囲に、幾つもの光の時計が浮かび上がる。
 そしてその文字盤の上で、全ての針が回り始めた。逆さまに。

 時計の針は逆さに回る――リメンバランス・クロックワークス。

 ニコの周囲で、時計が回る。時を刻むのではなく、戻す方向へと。
「垓王牙よ。俺はお前の事なぞ知らぬが、俺の本体はどうだろうな? 何せ百年の時を刻み、界をも渡った時計だ」
 或いは――。
 その先の言葉を飲み込んだニコの姿が変わっていく。戻っていく。
 赤い帽子を被り赤いマントを背負った――ニコの本体の懐中時計に最も多くの魔力を溜めた、とある魔法使いの姿へと。
「どうせ聞いていないだろうが、忘れろ。些事だ。昔話をする趣味は無いのでな!」
 熱でフレームが歪んでいた眼鏡を外して新しい眼鏡に変えると、ニコは箒に跨って飛び出した。

「今だ!」
 壁の向こうに感じていた熱気が消えた。隙間から覗けば、炎はない。
 待っていた竜の炎が途切れる瞬間の訪れを悟った珠は、自ら作った壁を振り上げた木槌「砕」で叩き壊して、その残骸を跳び越えた。
『垓王牙ノ元ニ行カセルナ!』
 飛び出した珠に気づいて、阻もうと周囲の炎獣達が炎を放つ。
「ちっ!」
 飛び交う炎を横っ飛びに避けながら、珠は突き進んだ。
 金璧符はまだ残っている。炎を阻む壁は、作ろうと思えばまだ作れる。だが、壁を作って炎を防いだところで、進めなければ意味がない。
 辿り着いても、一矢報いる力がなければ意味がない。
 だから珠は、もう止まる事を考えない。今は進むのみだ。

「もういいだろう」
 何度目かの竜炎をスレスレで躱した雷火が、小声で呟く。
 既に唇も渇き切って、大きな声は出なくなっていた。
「骸の海より来たれ、来たれ」
 乾いた声で、雷火が再び死霊を喚ぶ言葉を紡ぐ。
「我が痛苦の雷宿し、黄泉より逃れしかの怨敵を灼きはらえ」
 バヂッと雷鳴が響いて、雷火の回りに幾つもの雷の塊のような霊が現れた。

 火雷怨舞――ホノイカヅチノエンブ。

 火雷(ほのいかづち)。国産みの神話にて地獄に生まれし八柱の雷神が一柱。
 その名を冠した雷型の霊は、雷火が負った傷の痛みに比例し、激しさを増す。雷火は自分に竜炎が全て向いたと気づいた瞬間、敢えて盾を作らず身を晒したのだ。
 バヂヂヂヂッィッ!
 飛び出した70体の雷霊が、雷火の周囲の竜の炎を噴き散らした。

「両腕焼かせてやったんだ――その70倍、食らって貰おうか!」
 雷火の霊は荒れ狂う雷霆となり、ガイオウガへ向けて真っすぐに飛んで行く。
 それを見たガイオウガが、再び口を開く。竜の炎で、迎撃するつもりか。
 だがガイオウガは気づいていなかった。赤熱した地面スレスレを飛んでくる、赤い魔法使いの姿に。
 箒から手を放し足だけで身体を支え、ニコは『Bloom Star』を両手で振りかぶる。
「疾く失せよ!」
 最短を真っすぐに一直線に。新幹線を優に超える速度で、ニコは炎が放たれようとしていたガイオウガの口元に飛び込んで、『Bloom Star』を叩き込んだ。
 衝撃でガイオウガの口から溢れた炎が、ニコに降り注ぐ。
 一歩間違えば竜の炎をまともに浴びていたであろうニコの捨て身の一撃が、ガイオウガの口が強制的に閉じさせた。
 バヂヂヂヂッィッ!
 そこに飛来した雷火の雷霊が、ガイオウガの眉間に突き刺さる。

 同時に、珠が金璧符で作った壁を足場に、ガイオウガの顔の高さまで跳んでいた。
「貫き通せ!」
 空中で、珠が拳を突き出す。散々さらされた熱で赤くなった拳から、炎が放たれた。
 ――焔弾。
 狐火を超圧縮して放つ業。
 炎の化身たるガイオウガに、炎で挑む。目には目をと言う事か。効かないと言う事はないだろうが、並大抵の炎では通じまい。
「そのまま砕けとけ!」
 質で叶わぬなら、量で攻める。
 珠が身体に残る力を絞り出して立て続けに放った焔弾が、ガイオウガの顔の前で爆ぜてその視界を爆炎で覆いつくした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

一駒・丈一
凄い暑さだ。まるでサウナだな。
水風呂があれば良いが勝機とセットで見当たらない

敵先制の火山弾は、弾道軌道を【戦闘知識】にて【見切り】全力回避だ。
問題は次。火山弾からの飛び火が獣化する為、これを早急に掃討し敵本体に切り込む必要がある

ならば…災禍には、災禍にて応じるしかない、か
奥の手だ。あまり使いたくは無かったが…
UC【籠より放たれし鬼】を発動。増幅した戦闘力を以って
【早業】で獣を殲滅し敵本体に対して間合いを一気に詰めて一太刀浴びせよう
火傷は構わん。罪人への業火だ、甘んじて受け【継戦能力】で耐え、更に一太刀

俺に平穏が無いのはもう識っている。故に他の者の平穏の為に…対価が罪人への誹りならば、安いものだ


白石・明日香
蠢く火山ってところかね?砕くけど!
予めスタングレネード、煙幕弾を大量に用意
早く間合いを詰めるためバイクで全速前進。落ちてくる火山弾は軌道を見切って回避、変身した獣たちには用意していたスタングレネード、煙幕弾をばらまき視界をくらます。少しでも攻撃を妨げれば上等。
変身した獣たちの攻撃はこれまでの集団戦の戦闘知識を総動員して挙動を見切って回避または武器受けでいなしオーラ防御、激痛耐性で耐え進む。
バイクが無理そうになったら手近な獣に向けて突っ込ませてそれに気を取られている隙に飛び降り
残像で攪乱しながらダッシュで接近、間合いに入ったら怪力、2回攻撃、属性攻撃(水)、鎧無視攻撃で叩き切る!


司・千尋
連携、アドリブ可

炎の化身か…
なら潔く燃え尽きてもらうぜ


常に周囲に気を配り敵の攻撃に備え
少しでも戦闘を有利に進められるように意識

先制攻撃は鳥威を複数展開
威力を相殺し『翠色冷光』で迎撃
火山弾も炎の獣も全部撃ち落とす

近接や投擲等の手持ちの武器も使いつつ『翠色冷光』で攻撃
弾道をある程度操作して追尾させ敵の攻撃も撃ち落とす
垓王牙が範囲外の時は『翠色冷光』の範囲に入るよう位置調整

死角や敵の攻撃の隙をついたりフェイント等を駆使
確実に当てられるように工夫
深追いせずダメージ蓄積を狙う


敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
手数が足りなければ武器や『翠色冷光』を使い迎撃
間に合わなければ回避


リュカ・エンキアンサス
倫太郎お兄さん(f07291)と

備え、大事だよね
…敵の備えがいらないのは、全力で同意する
お兄さんはなんか備え、してる?

それはさておき
先制攻撃は第六感と戦闘知識を交えて、絶望の福音を使って回避
あんまり当たりたくない攻撃ばっかりだから、しっかり当たらないようにしていきたい
勿論、合間合間に撃つものは撃つけど
まずは安全第一だから
お兄さん、すごい攻撃は任せた(投げた
うんうんお兄さんのかっこいいとこ、見てみたい(聞いちゃいない

俺はお兄さんが攻撃をしやすいように、地味に足とか、目っぽいところとか、その辺を狙って妨害に徹するよ
勿論大きそうな攻撃を察知したら、お兄さんにも声をかけて退避
基本安全第一、無理しない


篝・倫太郎
リュカ(f02586)と
お前には赤より青のが似合うなぁ、リュカ
こうさ、水のイメージあるじゃん?

そんでもって、備えはそこそこには?
こう見えても子持ちですから?(しれっと)

先制対応
戦場の状況は環境耐性で対処
視力を用いた見切りや残像も使用して
着弾直前で退く形で直撃回避
回避不能時や余波がある場合はオーラ防御で防ぎ
激痛耐性と火炎耐性で凌ぐ
以降の攻撃への対応も同様に

さてっと、んじゃ反撃の時間と行こうじゃねぇか
リュカ、ヨロシク!

攻撃力強化に篝火使用
華焔刀に鎧砕きと生命力吸収を常に乗せて攻撃
フェイントも交ぜて、急所には部位破壊も乗せて攻撃

確実の一撃ってな
本来は俺の役割じゃねぇンだぜ?
リュカの奴、無茶言いやがる


鈍・小太刀
これまた凄い迫力ね
火山そのものみたいだわ

群体…そうね、私達に統一された意志は無い
それでも誰もが未来を目指し戦ってる
背負う背景はバラバラでも
いやだからこそ
戦術の幅も未来への可能性も広がるってものよ
生きとし生けるものの一人として
私も全力で戦うわ!

仲間と連携し行動
【オーラ防御】【火炎耐性】で防御を固めつつ
氷の【属性攻撃】と【地形の利用】で溶岩固化させ足場を確保する

火山弾の噴出を【見切り】仲間に声掛け攻撃回避
炎の獣を【武器受け】でいなし
氷の斬撃と【範囲攻撃】な【衝撃波】で押し返す

垓王牙は巨体だし死角も多いよね
腹側に回り込み急所を探す
竜型だし逆鱗とかあるのかな?
見つけたら【鎧無視攻撃】
渾身の剣刃一閃を!




 竜の炎を凌いで反撃を加えた猟兵達と入れ替わり、また数人の猟兵がガイオウガに向かっていく。
「まるでサウナだな」
 竜の炎が吹き荒れた後もあって異常に高い気温。勝手に頬から顎に流れて伝った汗を拭い、一駒・丈一(金眼の・f01005)が呟いた。
「水風呂が欲しい所だが、勝機とセットで見当たらないな」
 周囲を見回し、最後にガイオウガの巨体を見上げて、丈一は苦笑を浮かべる。水風呂はサウナならば大抵セットであるものだが、こんな所にある筈もなかった。
 こんな――こんな地獄のような光景に。

「これまた凄い迫力ね。火山そのものみたいだわ」
 鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)が、ガイオウガの巨体を目の当たりにして思わず息を呑んでいた。
「成程、確かに炎の化身って感じだな……」
 同じ巨体を見上げて、司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)が呟く。火山の様な外殻の中に、凄まじい炎が滾っているのが伝わって来る。
「蠢く火山ってとこか」
 宇宙バイク『ベトゥラー』の上で、ガイオウガの巨体を見上げて白石・明日香(十字卿の末裔・f00254)が軽く目を細める。
「ま、砕くけど」
 明日香が続けた言葉は、もう軽い口調になっていた。
 想像以上の巨体だろうが、やることは変わらない。

『垓王牙ヨ、新タナ猟兵ガ!』
『奴ラハ群体! サレドヤハリソノ牙ハ垓王牙ニ届キ得ル』
『備エメサレヨ』
『奴ラヲ滅ッサレヨ!』
 猟兵達の戦意を受けて、ガイオウガの周りに控える炎の獣が口々に声を上げる。
「備え、大事だよね」
 そんな炎獣達の声に、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)が神妙に頷いた。
 数多の戦場を渡り歩き、戦って戦って戦い抜いて生きてきたリュカだ。戦いに対する備えが大事だと言うのは身に染みている。
「……敵の備えがいらないのは、全力で同意するけど」
 ぼやくように言いながら、リュカは視線を感じて隣に顔を向ける。
 篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)が、何やらじっとリュカの方を見ていた。
「お前には赤より青のが似合うなぁ、リュカ」
「……どうしたの、突然?」
 唐突な倫太郎の言葉に、リュカの目が丸くなる。
「こうさ、リュカって水のイメージあるじゃん?」
「……あるのかな?」
 やっぱり唐突な倫太郎の言葉を肯定も否定もせず、リュカは首を傾げる。
「……そうかも? 鯨喚べるし」
「え、リュカそんなん出来るの?」
 自分の持つ力を頭の中で並べてそれを思い出したリュカの言葉に、今度は倫太郎の方が驚く番だった。
「ちょっと見てみた――」
「その内ね」
 倫太郎が口走りかけた好奇心を遮って、リュカは大きく4――5歩下がる。
「リュカ?」
「お兄さんも避けた方がいいよ」
 リュカが告げた直後、ドーンッと言う重たい音が幾つも重なって響いた。


 ガイオウガの巨体から幾つも生えて、聳えている火口。
 全ての火口から煌々と輝く炎が噴き上がり、火山弾が放たれる。ガイオウガの次なる攻撃は、火山弾の無差別砲撃。

「うぉぉぉっ!?」
 上空から迫る火の玉――火山弾の着弾点から、倫太郎が流石に走って離れた。
「リュカ……お前、予測してたなら言えよ」
「あのタイミングでも、お兄さんなら大丈夫だと思って。俺より足長いし」
 少し焦って走ったせいで肩を上下させる倫太郎に、リュカがさらりと返す。
「それはさておき、お兄さんはなんか備え、してる?」
「備え? そこそこには?」
 リュカが戻した話題に、倫太郎がバツが悪そうに少し目を逸らす。たった今、思いっきり慌てたばかりだし。
「こう見えても子持ちですから?」
 けれど倫太郎はしれっと表情を変えて、愛用の薙刀、華焔刀[凪]の柄を掴んだ。
「ご馳走様、って言えばいいのかな?」
 リュカも涼しい顔で、背負ったアサルトライフル『灯り木』を構える。
 2人の周囲には、砕け散った火山弾から生まれた炎獣が、唸り声をあげていた。

「来たか――」
 見上げた空から降って来る、巨大な火山弾。
 直撃すればただでは済まない――などと言うレベルではないのは、文字通り、火を見るより明らかだ。だがその巨大さと炎の熱ゆえ、見切るには難しい事ではない。
 火山弾が着弾するよりも早く、丈一は前に向かって飛び出した。
(「問題は、次だ」)
 背後で火山弾が当たって、砕け散る音が聞こえる。
『グルァ……』
『ガルルルッ』
 そして――丈一の背後に獣の唸りが生まれた。

 ガイオウガの放つ火山弾は、弾丸にして炎の卵のようなもの。
 砕け散った火山弾が炎獣と生る。それ故の無差別砲撃。ガイオウガにとって、火山弾は当たらなくとも構わない攻撃であった。

 氷の力を纏った刃と、炎の爪が交錯する。
『群体ニシテハ強イ……ダカラ垓王牙ニ近ヅケサセヌ』
『猟兵、行カセルモノカ』
 火山弾から生まれた炎の獣と、最初からガイオウガの周囲にいた炎の獣の群れが、小太刀を取り囲んでいた。
 小太刀も、火山弾は完全に見切っていた。
 だが、周囲に落ちた火山弾が生った炎獣を倒しきるよりも、次の火山弾が放たれる方が早い。いつしか、小太刀は炎獣に半ば囲まれていた。
「群体……そうね、私達に統一された意志は無い」
 愛用の刀『片時雨』で小太刀は炎獣の爪を払い、返す刃で斬りつける。
「背負う背景はバラバラよ。それでも誰もが未来を目指し戦ってる」
 自身が見てきた猟兵の姿を言葉にして告げながら、小太刀は別の炎獣に斬りかかる。
「だからこそ、戦術の幅も未来への可能性も広がるってものよ」
 炎獣達が群体と呼ぶ形を、小太刀は可能性と見ていた。
 確かに猟兵は一枚岩ではない。何度も肩を並べて良く見知った相手であっても、望む未来が異なる事もある。だからこそ、可能性が広がるのだと。
「生きとし生けるものの一人として、私も全力で戦うわ!」
 だから炎獣に囲まれようと、小太刀が怯む事はなかった。

「炎弾は見切りやすいが、手数で来たか」
 明日香は宇宙バイク『ベトゥラー』を高速で走らせながら、そのシートの上で独り毒づいていた。
 『ベトゥラー』の速度があれば、火山弾の見切って着弾前に離れるのは明日香には難しい事ではない。だが――。
『グルァ……』
『ガルルルッ』
 いつしか、明日香を追っている炎獣の数が増えていた。
 火山弾から生まれたものと、元々ガイオウガの周りにいたものと。
「この数は拙い――なぁんて言うと思ったか!」
 明日香は『ベトゥラー』の機体外部につけてあったものをまとめて掴み取ると、聞こえた唸り声だけを頼りに、それを放り投げた。
 カンッと軽い音を立てて、何かが落ちる。
 直後、音と光と煙が一帯を劈いた。
『何ダ、コノ光ハ』
『眩シイ――奴ハ何処ニ!?』
 明日香が投げたスタングレネードに虚を突かれた炎獣達が、戸惑いの声を上げる。
(「今の内に――!」)
 さらに明日香は煙幕弾を投げ、炎獣達を煙に巻く。
(「今の内に――!」)
 一気にガイオウガに迫ろうと、明日香は『ベトゥラー』のハンドルを握り――。
『構ウナ! 焼キ払エ』
 炎獣の1体が声を上げた直後、まだ光の影響も煙も消えやらぬ中、炎獣が一斉に炎を放った。他の炎獣を巻き込もうと構わないと放たれた炎が、明日香に迫る。

(「あれは直撃したら、俺の本体燃やされそだな」)
 降って来る火山弾の炎を見上げ、飾り紐のヤドリガミである千尋は、胸中でそんな事を呟いていた。
 さりとて、焼き尽くされる気などない。
「鳥威、展開」
 他の猟兵達が火山弾を避ける中、千尋は空中に光盾『鳥威』を放っていた。
 限界まで分裂した光を重ねて、火山弾の落下起動に壁と配する。
 パリンッ。
 そんな音が聞こえてきそうなほどあっさりと、鳥威は火山弾に砕かれた。止められていたのは、ほんの数秒か。
 だがその僅かで千尋には十分だった。
「消えろ」
 千尋が向けた掌から、青い光弾が放たれた。
 光弾と火山弾が空中でぶつかり合う。大きさは火山弾の方が圧倒的に大きい。だが千尋の光弾はその炎の影響を受けずに拮抗していた。

 翠色冷光――それは『周囲の影響を受けない』光の弾丸。

 火山弾の炎の影響を受けない光弾が、炎の中の火山弾の核ともいえるようなものを撃ち砕いた。
 砕け散った火山弾の破片が、落下を待たずに空中で炎の獣へと変じていく。
「降り立たせるものかよ」
 それを見た千尋は、翠色冷光の青い光に向けた指を忙しなく動かした。指の動きに従って光弾が縦横無尽に動き回り、生まれたての炎獣を撃ち抜いていく。
「これで――っ!?」
 全ての炎獣を撃ち抜いた光弾を勢いそのまま、千尋はガイオウガに放とうと――。
 直後、千尋の頭の中に激痛が走って、光が霧散した。
 翠色冷光の副作用。細かく動かせば動かすほどに、痛みが強くなる。炎獣を一掃しようと、動かし過ぎたか。
「この程度……」
 頭の中の鈍痛を堪え、千尋は再び掌から光を生み出した。


「お兄さん、そっちとあっち。炎を吐いてくる」
「リュカ、右は任せる!」
 絶望の福音――10秒先が見えているような予測能力でリュカが攻撃を察知した炎獣の片方へ向けて、倫太郎が地を蹴って駆け出す。
 焔舞う黒柄を確りと握って、倫太郎は下から掬い上げる様に華焔刀を振り上げた。綺麗な波紋の浮かぶ刃が、炎狼の首をゴトリと斬り落とす。
 背後から、タタタッと連続射撃の銃声。
「お兄さん! そのまま突っ切って!」
 だが直後、リュカが少し焦った様子で声を張り上げた。
 何故とは訊かず、倫太郎は今しがた斬り倒した炎獣の身体を蹴って、炎獣達の包囲の向こう側へと飛び越える。
 数秒遅れて、リュカが同じく飛び越え滑りこんできた。
 直後、2人の後ろに轟音を立てて火山弾が降って来る。
「うげ。また増えるのかよ」
 その破片が炎獣に変わりゆくのを見て、倫太郎が眉を顰めた。
 火山弾は巨大で、発射時の音も大きい。リュカの先読みで避ける事は難しくない。だが発射自体を止められなければ、炎獣が増える一方だ。
「なあ、リュカ。そろそろ反撃の時間と行こうじゃねぇか」
「……安全第一だと、追いつかないか」
 倫太郎の提案に、リュカもこくりと頷いて――。
「お兄さん、すごい攻撃は任せた」
 ぶん投げた。
「おいおい。確実の一撃ってな、本来は俺の役割じゃねぇンだぜ?」
「うんうんお兄さんのかっこいいとこ、見てみたい」
 マジかと半笑いを浮かべる倫太郎に、リュカはしれっと真顔で返す。
「聞いちゃいねえし」
「援護はするから」
 倫太郎に突っ込まれても、リュカは表情を変えずにけろっと返す。
「はぁ……ま、いいか。反撃って言い出したのは俺だ」
 苦笑を浮かべて、倫太郎は踵を返しガイオウガに向き直る。
 炎獣に銃口を向けたままのリュカと、自然と背中合わせになった。
「さってと、行くか。リュカ、ヨロシク!」
「うん。10秒は頑張るから」
「30秒は頑張ろうか!?」
 しれっとリュカが言ってくる冗談とは裏腹に響き出した銃声を聞きながら、倫太郎はガイオウガの方へと駆け出した。

「あまり使いたくは無かったが……災禍には、災禍にて応じるしかない、か」
 覚悟を決めた丈一の首筋が、朱く染まる。そこには攻撃を受けていないのに。
 その朱は、本来辿るはずだった罪人としての運命の証。
 嘗て幼い頃の丈一が、目の前で失った――首を落とされ晒された一族の運命の末路。
 罪人の運命に一時的に覚醒する事で、災禍の大罪人となり力を高める業。

 籠より放たれし鬼。

(「罪人には似合いの景色かもしれんな」)
 胸中で独り言ちて、丈一は介錯刀の柄を強く握る。
「奥の手だ。災禍の獣共!」
 瞬間、刀の間合いを超えた斬撃が丈一の前方を阻む炎獣達を薙ぎ払った。
 その斬撃、鬼の如し。
 斬り散らした炎獣の包囲を抜けて、丈一が駆け出した。

(「あった――!」)
 目指す地形を見つけた小太刀が、胸中で声を弾ませる。
 それを炎獣に悟られないよう、顔に出ないようキリッと押し殺し、小太刀は大上段に構えた『片時雨』を振り下ろした。
 しかしその刃は炎獣を浅く斬っただけで、そのまま下の地面に刃が当たる。
『ドコヲ狙ッテ――ッ!?』
 炎獣の足元から、蒸気の煙が上がった。
 小太刀が刃を振り下ろしたのは、炎獣の足元にあった溶岩溜まり。そこに氷の力を纏わせた刃を振り下ろせば、どろりとした溶岩が黒い岩石へと冷えて固まる。
 足場を固めると同時に、蒸発による蒸気で炎獣たちを煙に巻く。
「ふっ!」
 包囲を抜けた直後、小太刀は振り向きざまに斬撃の衝撃波を炎獣達の足元へと放つ。冷気の衝撃がさらなる蒸気となって炎獣達の中に立ち込めた。


『炎ヲ放テ。同士討チヲ構ウナ――』
 蒸気の中から、炎獣達が炎を放とうとする。
「こっちでも同じ発想か。所詮、獣だな!」
 そこに別の猟兵の声が響いて、煙を裂いて黒い機体が飛び込んだ。明日香の乗る『ベトゥラー』だ。
 明日香も同士討ちも構わず炎獣が放った炎に呑まれかけたが、そんな闇雲に放った炎の隙を突いて抜け出すのは、『ベトゥラー』の全速なら難しくない。
 そのまま最短距離を突っ切ってきたら、この蒸気の中に突っ込んできただけだ。
 乱入に困惑する炎獣を轢いて、明日香はそのまま突き進――。
 ボンッと『ベトゥラー』の何処かで、妙な音が響いた。
「……そろそろ限界か」
 大分無茶な運転を続けた。だがお陰で、距離は充分に詰められた。
 『ベトゥラー』を乗り捨てた明日香は、ガイオウガまでの最後の距離を己の足で駆け抜ける。
「貰ったぁ!」
 ガイオウガの目の前で跳び上がった明日香は、呪剣ルーンブレイドを振るう。
 水の属性を乗せた斬撃は、明日香の顔にある傷跡と同じ十字の軌跡を描き、同じ形の傷跡をガイオウガの顔に刻み込んだ。

(「盾に攻めろってか。リュカの奴、無茶言いやがる」)
 倫太郎が無茶と言う事をリュカが求めたのも、ただノリで言ったのではない。
 事実、駆ける倫太郎の後ろを着かず離れず、リュカが『灯り木』で立てる銃声が付いてきていた。倫太郎の背後を炎獣に突かせないための制圧射撃。
 自身も移動しながらそれを熟す技量がリュカにはある。
 だが、ぶん投げた『すごい攻撃』には、倫太郎の方が向いている。
 倫太郎だって、判っている。だから――。
 盾として生きると決めた身だが、今は刀の真似事でもしてみよう。

「見せてやるよ。祓い、喰らい、砕く、カミの力を――!」

 ガイオウガを見据える瞳を吊り上げて。倫太郎は駆ける足を緩めずに、斜めに構えた華焔刀に、神力を集める。
 災魔を祓う焔、災魔を喰らう水、災魔を砕く風――三種合わせて、篝火と為す。
(「急所なんて見当たらねえ――だったら、脚を奪っとくか」)
 倫太郎とて、リュカと軽口叩きながら炎獣を倒していただけではない。他の猟兵達がガイオウガに攻めるのを見ていた。
 見ていて、それでも急所らしい急所は見当たらずにいた。
 ガイオウガの状態を見ても、まだ倒しきれないだろう。ならば、あとに続く猟兵に残す傷をつける
 集めた神力の全てを攻めに回し、倫太郎はガイオウガの脚を狙って振り上げる。
 綺麗な刃紋が入った刃が、ガイオウガの外殻を砕いて脚を半ばまで深く斬り裂いた。

「ふっ!」
 ガイオウガにある程度近づいた丈一が、刃を振り上げる。
 放たれた斬撃が、ガイオウガのまだ無事な脚を覆う硬い殻を斬り砕いた。
 噴き出す炎が丈一に降りかかる。
(「構うものか――これは罪人への誹りだと思え!」)
 浴びせらる炎の熱と痛みを堪えながら丈一は振り上げた刃をそのまま、大上段の構えへと変えていた。
 己に平穏など無いのはもう識っている。
 それでも――他の誰かの平穏の為にこの刃を振るえるのなら。その対価が、この地獄のような世界で罪人への業火を浴びる事ならば――安いものだ。
 だが、その時。
 丈一のすぐ上にガイオウガの身体から生えている火口が、赤い輝きを放っていた。
 至近距離から火山弾を浴びては――。
「させるか!」
 だがそこに千尋の声が響いて、赤熱する火口に青い光が飛び込む。
 頭痛を堪えここまで来た千尋が、翠色冷光を操作して火口に放り込んだのだ。周囲の影響を受けない光が、内部で放たれた火山弾を――せき止める。
 ドンッとガイオウガの中で炎が爆ぜた。
「撃つなら撃ってみろ。塞いでやる」
 また鈍く響き出した頭痛を堪え、千尋が不敵に笑う。
 そして――。
「己の今を否定してでも、貴様を討つ……!」
 敵を求め彷徨う丈一の刃が放った斬撃は、今まさに不発に終わったガイオウガの火口を斬り砕いて、その体から切り離していた。

(「垓王牙は巨体なら、やっぱり腹側は死角みたいね!」)
 ガイオウガが顔と脚を斬られている隙に、小太刀はその腹の下に潜り込んでいた。
 確かに死角の様で、気づかれていない。
 とは言えそこはガイオウガの熱と、燃え盛る大地の熱。上と下からの高熱にさらされるオーブンレンジ状態。
「長くは持たない、か……逆鱗でもあればいいんだけど」
 熱で空気が揺らめく中、小太刀は竜の弱点を探す。だが、見当たらない。ガイオウガにはないのか、こちら側にはないのか。
「弱点がないなら――作るまでよ!」
 とめどなく流れる汗で張り付いた髪を払って、小太刀は両手で刀を構える。
 そのまま駆け抜け、ガイオウガの腹の下から飛び出しざまに、剣刃一閃。
 小太刀の渾身の斬撃が、その喉元を斬り裂いた。

 グラリ、とガイオウガの巨体が傾く。
「効いたか――って、うぉ」
 倫太郎の真上から、赤い輝きがドロリと流れ落ちて来た。
「お兄さん。そろそろ離れようか」
 煤けた顔のリュカに頷いて、倫太郎はガイオウガから離れる。その巨体に、変化が起きていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ペイン・フィン
ファン(f07547)と

……挑ませて貰うよ

ファンを始めに様子見したい人のために
ある程度目を引きつつ、回避に集中

恐怖を与える&存在感で、自分の存在を主張
貴方を倒す牙は、ここに居る

情報収集、偵察、世界知識、戦闘知識で戦場の把握
環境耐性、サバイバルで環境効果を無視
限界突破、継戦能力、ドーピング、リミッター解除で限界を超え
聞き耳、第六感、視力で感覚強化

例え溶岩流の攻撃でも
それが、身体の変化なら、攻撃も、その延長
残像、武器受け、見切りで回避する

ファンの攻撃の命中を確認し次第、こちらもコードを使用
ファンの刃の元へ転移し、追撃

扱うは焼き鏝"ジョン・フット"
挑んだからには、せめて一太刀、与えないとね……!


ファン・ティンタン
【SPD】光陰貫く矢をば
ペイン(f04450)と
※戦況把握のために後発希望

でっかいね、地形を相手するようなものだよ
それでもやらないとな部分が、猟兵の辛いトコだね


【目立たない】ように荒れた【地形の利用】を考慮しつつ潜伏
最大射程約5.7kmいっぱいに距離を取り開戦直後から【情報収集】に努める
あれだけの巨体、こちらが見失う事はない
けれど、その逆はどうだろうね?
認識が無ければ、“私との”戦いは始まらない
されど我らは群体、他の攻め手は数多だよ?

見に徹する【時間稼ぎ】の間にも【力溜め】を十全にこなす
そして最良の機に、我が身【天華】を【オーラ防御】に包み【投擲】

【第六感】が囁くよ
その喉奥、【串刺し】てあげる


泉宮・瑠碧
垓王牙…
君が、破壊と死の炎ならば
炎は怖くとも…私は、制します

水と氷に風の精霊の力を纏い
可能な限り、熱や炎を退けて
杖を手に、跳ぶ様にして走りながら

溶岩流は地を流れるなら
地の精霊へ願い
液体が流れ込む陥没を故意に作り
陥没へ落とすか、川の様に道を作って逸れた方向へ

流れを凌ぐか、多様に溶岩を動かされるなら
水と冷気をぶつけて
一時的にでも、固形へ変容するか粘性を上げたり
視界妨害に水蒸気が発生する様にして回避

続けて私は協奏流舞

まず溶岩流の部位へ
圧縮した冷気の塊を爆弾の様に
氷の精霊と共に、絶え間なく撃ち続けて温度を下げ

徐々に他部位へも撃ち
力を籠める一瞬の猶予が出来れば
風で覆った氷の槍を全力魔法で

…もう、おやすみ


浮世・綾華
理玖(f22773)と

炎の化身
同じ炎操る身とは言え力の差は歴然
世辞にも相性が良い相手とは言えねえ
悪い、理玖

その代わり、熱さにはちょっと強いよ
(鉄の熔ける温度は岩石より高かったはず)

変身する理玖に瞬き
へえ、すげ…

ガイオウガさん
ちょいと相手してよ

理玖の初撃が決まるよう扇を大げさに展開し注意を引く

攻撃は操り浮遊させた扇に掴まって避け
避けきれない分は残る扇から放つ炎で吹き飛ばす

理玖の初撃が決まれば
後も近距離で戦う彼の上空には多くの扇を配置

――相殺しきれるなんて、驕りはねえ
避ける隙が作れれば…

直接攻撃する余裕はないから
俺は俺に出来ることを、全力で
だから
お前が一緒にいてくれて良かったと
(――理玖、頼んだ)


陽向・理玖
綾華兄さんf01194と

…暑
師匠がいなくなったあの日
酷く暑くて

独りになったと思ってた
けど仲間が出来て

これ位問題ねぇ
綾華兄さん
頼りにしてるぜ

龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
残像纏い敵体表の高い位置へジャンプ
ダッシュも駆使
目指すは頭部
溶岩流って言っても流れるもんだし
高い所なら躱し易いはず
それに綾華兄さんが時間作ってくれた
これ位なら避けれる
動きや流れ見極め見切り
オーラ防御張ってるし多少の熱は耐えられる
大体この熱量本人だって多少は影響あるだろ
UC起動しグラップル
拳で殴る
部位破壊し吹き飛ばしぶつける

頭壊せば止まんだろ
それに見えてる
壊れるまで殴る
拳の乱れ撃ち

任されてんだ
大地だろうと負けらんねぇ


サギリ・スズノネ
こいつがガイオウガですかー、すげーでかいのですよ!
相手が火を操るなら、サギリも負けていられないのです!
火ならちょっと得意ですよ!(※『火炎耐性』)

【錬成カミヤドリ】でサギリの本体である本坪鈴をたくさん出現させ、相手の攻撃にぶつけて相殺を試みます
炎に飲み込まれないように『火炎耐性』と『破魔』の力も籠めます

押し負ける可能性があるので、鉄鍋を構えて相手の攻撃を『見切り』つつガード
何とか凌げたら反撃なのです!

小鈴鳴丸を振るって『衝撃破』で攻撃
相手や周囲の炎を散らしながら、攻撃が効きそうな箇所を『情報収集』

上手く発見できればそこを、
出来なければ口や目などをめがけて、残った本坪鈴をぶつけます!


ガーネット・グレイローズ
凄まじい熱さだ。これがガイオウガの領域か!
まるで太陽の上でも歩いているみたいだ。

宇宙仕様カスタムのマシンウォーカーに乗り込んで出撃
高温の惑星でも活動できるように設計されているが、
果たして耐えられるかな。
マシンウォーカーを<操縦>して流れてくる
溶岩を<ジャンプ>で躱し、ホバー装置による<空中浮遊>でより
高く飛んでやり過ごす。溶岩状態では実弾兵器が通用しない
可能性も考慮し、作戦前に<メカニック>知識と<武器改造>で
溶岩を冷却できる氷<属性攻撃>の液体窒素弾を搭載しよう。

第一波を凌いだら【ブレイカーシップ・ブレイブナイツ】を召喚。
ミサイルによる<砲撃>でガイオウガの頭部を攻撃し、地上部隊を援護せよ!




「確かにでっかいね。これだけ離れてても、あれがそうだろうって見えるんだから」
 ガイオウガから5km以上も遠くにいても、ファン・ティンタン(天津華・f07547)にはその巨体が見えていた。
 身を隠すような岩塊や傾斜も焼き尽くされた荒野とあって、ガイオウガの姿は例えこれほど離れていても見えている。
「私には見えている。けれど――その逆はどうだろうね?」
「……見えてないかもね。だから、行ってくる。自分を見せてくる」
 白い仮面を着けたペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)が、ファンの隣から歩き出す。炎を飛ばすガイオウガに向かって。
 それからしばらくして――。
 遠目にも岩山の様に見えていた巨体が、ところどころから輝きを放ち出したのが、ファンにも見えていた。
 本当に火山になってしまったかの様に。


「こいつがガイオウガですかー!」
 ガイオウガの巨体を見上げて、サギリ・スズノネ(鈴を鳴らして願いましょう・f14676)も目を丸くしていた。
 サギリくらいの背丈では、脚だけでも潰されかねない。
「すげーでかいし、なんかドロドロなのですよ!」
 だが、踏みつぶされる以上の脅威が、サギリの目の前で起きようとしていた。ガイオウガの身体から生えた火山の様な火口が爆ぜて、ドロリと溶けていく。
 煌々と紅く輝く溶岩流となって。
「っ……そういう炎も操れるですか!」
 一気に高くなった周囲の温度に、サギリは思わず眉を顰める。

「凄まじい熱さだな。これがガイオウガの領域か!」
 宇宙仕様の二足戦車、マシンウォーカーの中で、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が驚嘆の声を上げていた。
 モニタに映った外気温等のデータは、まるで今までの領域とは別世界。
「まるで太陽の上でも歩いているみたいだな……果たして、マシンウォーカーが何処まで耐えられるか」
 次々とモニタに映る数字はどれも常軌を逸していて、ガーネットに不安を抱かせる。
 マシンウォーカーは未開惑星での活動も視野に入れた機体だ。
「性能テストに丁度いいか」
 高温の惑星でも活動できる設計の機体の中で、ガーネットは不敵に微笑んだ。

 ガイオウガの外殻――火山の様な火口が次々と溶岩流に変化していく。
 それが地面に落ちた瞬間、大地が氷の様に溶けて形を変えた。
 地形すら変えて流れる溶岩流は、その周囲に残っていた炎獣も容赦なく飲み込む。
「垓王牙……」
 その巨体を覆う外殻を次々と溶岩流に変えるガイオウガを、泉宮・瑠碧(月白・f04280)は何処か悲し気に眺めていた。
 ガイオウガの身体が変化した溶岩流が落ちた瞬間、地面が氷の様に溶けて形を変える。 地形すら変えて流れる溶岩流は、ガイオウガの周囲に残っていた炎獣も一切の容赦なく飲み込んでいた。
 自ら生んだ獣すらも、飲み込む。
 まさに、破壊と死の炎。
 その光景に瑠碧が感じていたのは――怖れだ。
 瑠碧は嘗て、森の巫女であった。
 森で生きる者にとって森を灼くほどの炎を怖れるのは、本能と言えるかもしれない。
 それでも。
「君が、破壊と死の炎ならば……私は、制します」
 炎が怖くとも、ガイオウガに挑む。
 そう決めて顔を上げた瑠碧を、水気を含んだ冷たい風がふわりと包み込む。
 精霊達からの贈り物を纏い、瑠碧は流れる炎の方へ踏み込んだ。


 大地を溶かし進む炎の川。
 その熱に、陽向・理玖(夏疾風・f22773)の頬を汗が伝っていた。
「……暑」
 こんな風に暑い中で汗を拭うと、理玖は良く思い出す。
 師匠がいなくなったあの日も、酷く暑い日で――。
「悪い、理玖」
 白昼夢に入りかけていた理玖を、浮世・綾華(千日紅・f01194)の声が呼び戻す。
 声の方を見れば、珍しく綾華が渋面を浮かべていた。
「ありゃ確かに炎の化身だ。世辞にも相性が良い相手とは言えねえ」
 綾華も炎を操る術を持つ身とは言え、その差は歴然だ。
 まさに文字通り火の海と変わりつつある光景を見れば、綾華も認めざるを得ない。
「でもその代わり、熱さにはちょっと強いよ。鉄の溶ける温度って、岩石よりも高かった筈だし」
 ヘアピンの様に髪に差した鍵の一つを指さして、綾華は理玖に笑みを向ける。

(「――独りになったと思ったんだ」)
 あの酷く暑い日に。
 理玖はそれでも師の志を継ごうと、何とかやって来た。
 そして仲間が出来た。
 こんな場所でも笑い合える仲間が。

「これ位問題ねぇ」
 綾華の様に笑おうとして、理玖は不器用な笑みを浮かべる。
「変身ッ!」
 理玖の指が龍珠を弾いた。
 握り締めた虹色を腰のドラゴンドライバーに嵌め込む。竜の横顔が虹色を食らい、光が理玖の姿を包み込む。
 光が収まると、理玖は竜を模したような全身装甲を纏った姿に変わっていた。
「へえ、すげ……」
「綾華兄さん、頼りにしてるぜ」
 目の当たりにした変身に目を瞬かせる綾華に告げて、理玖はマグマを流し続けるガイオウガへと駆け出していく。
「あんなに真っすぐ言われちゃ、頑張らないわけにはいかねぇな」
 その背中を見送り呟いて、綾華はガイオウガの頭の方へと駆け出した。


「……挑ませて貰うよ」
 流れる溶岩を跳び越えて、ガイオウガの前にペインが進み出る。
 その手には、猫鞭“キャット・バロニス”が握られていた。
「ガイオウガさん、ちょいと俺の相手もしてよ」
 もう1人、溶岩流を跳び越えて、綾華もガイオウガの前に躍り出た。その手に、闇黒と黄金が交互に重なる扇『夏ハ夜』を広げて。
 ちらりと横目で、ペインと綾華が視線を交わす。
 それだけで大体通じていた。お互い、もう1人の為にガイオウガの気を引こうとしているのだと。
「貴方を倒す牙は、ここに居る」
 決して大きくはないが不思議と存在感のある声で低く告げて、ペインがキャット・バロニスを振るう。
「喋らないのか? 無口だな」
 笑って言って、綾華は大仰な動きでガイオウガに見せつける様に扇を振るう。
 九鞭の先端の鍵爪が空を裂き、ガイオウガの巨体へ迫り――。
 舞う様な優雅な動き――と見せかけ、扇から鬼火の炎が放たれる。
 ドンッ!
 ガイオウガの火口がまた1つマグマと変わって噴き上がった。ペインがキャット・バロニスを九鞭も、綾華の炎も、両方纏めて纏めて全てを一気に吹き飛ばす。
「ちっ――」
「あらら」
 しかも新たに流れ出た溶岩は、舌打ちしたペインと驚いた様に目を丸くした綾華の退路を断つように、背後へと流れ込んでいた。
 溶岩流となっていても、それはガイオウガの一部が変化したもの。溶岩流の特性の範囲内であれば、ある程度は操れるのか。
 大地を溶かして流れる溶岩流が、2人の足元に迫る。
「おっと――ここはこれをこうして、と」
 その瞬間、綾華がふわりと浮き上がった。
 否。正確には、いつの間にか増殖していた『夏ハ夜』がふわりと浮いたのだ。掴まっている綾華も一緒に。
 絡繰ル指。
 任意の装備を一つ分裂させ、念力で操る業。まるで糸で釣られる絡繰りが扇で飛ぶが如く、綾華はガイオウガの近くの空をふわりふわりと浮かび舞う。
 一方ペインの足元には溶岩流れが届き――。
「遅いんだよ」
 ペインの声は、溶岩が流れた場所とは全く違い所から聞こえた。
 呑まれたかに見えたペインは、残像だ。
 溶岩流は自然現象だが、ガイオウガの身体の一部が変化したものならば、それはガイオウガの攻撃の延長だ。
 そう捉え、持てる感覚全てをドーピングで高められるだけ高めて研ぎ澄ませば、例え背後から不意を突かれても見切るのは不可能ではなかった。

 2人が時間を稼いでいる隙に、理玖は溶岩流を幾つも跳び越え、ガイオウガの巨体を目指していた。
(「綾華兄さんが時間作ってくれた。このまま、頭部を目指す!」)
 ガイオウガが身体を変えて流す溶岩流。大地をも溶かして進むそれは、確かに地上にいては脅威だった。
 けれど――溶岩流なのだ。流れるものなのだ。
 流れとは、水の様に高い所から、低い所へと行くものだ。流れを逆転させるのは難しいだろうと踏んで、理玖はガイオウガの巨体を目指して赤熱の荒野を駆ける。


「サギリも負けていられないのです!」
 さっとサギリが片手を掲げると、その上に幾つもの鈴が現れた。小さな鈴ではない。一抱え程ありそうな鈴である。
 誰もが一度は鳴らした事があるであろう、神社でお賽銭を入れた後に綱を引いてガランガランと。
 そう言った拝殿前に下げられる鈴を本坪鈴と言う。
 そして、サギリの本体である。
「せき止めるです!」
 サギリは錬成カミヤドリで複製した本坪鈴――自身の本体を、流れるマグマの前に壁となる様に並べた。
 いくら一つ一つが大きいとは言え、金物の部類である鈴で、流れるマグマをせき止められる筈もない。
 ――普通ならば。
「ふふーん! サギリ、火ならちょっと得意ですよ!」
 サギリの分身と言える本坪鈴は、マグマを止めていた。
 かつてとある小さな神社にあったサギリは、自身の本体は魔除けのようなものだと自負していた。自負するだけの、力を付けた。
 炎の耐性と、破魔の力。
 サギリが持てる力を込めた本体の複製は、ガイオウガのマグマの熱にも溶ける事無く耐えていた。
 水であれば鈴と鈴の隙間から流れていただろうが、マグマは遥かに粘度が高い。鈴の隙間を抜ける前に溜まったマグマが地面を溶かし、深いマグマ溜まりを造っていく。

「っ!」
 地中から突然噴き出した炎を、瑠碧が咄嗟に避ける。
 溶岩流の熱を受けてか、大地の中で炎の力が暴れ出している。時折噴き出る炎を跳び越え駆ける瑠碧へ、溶岩流も迫っていた。
 溶岩流となっていても、それはガイオウガの一部なのだ。ある程度は意図的に、猟兵を狙って流れている節はあった。
 だが、瑠碧はむしろ自ら溶岩の方へと向かっていた。
 大地を消滅させ流れる溶岩を瞬時に止める術は、流石に瑠碧にも思い浮かばない。だがその流れを誘導する事ならば――。
「地の精霊よ――お願い」
 常に共にある水の精霊が変化した杖を足元に向けて、瑠碧が地の精霊に願う。
 すると、迫る溶岩流と瑠碧の間の地面が、ディッシャーで削った様に半球状にごそっと陥没した。
 ガイオウガの溶岩は、陥没で出来た穴へと流れ落ちて行く。その熱で流れ落ちた穴の底を溶かして、更に穴を深くしながら。
「水と氷の精霊よ」
 溶岩の流れが止まった事にガイオウガが気付くよりも早く、瑠碧は次の手を打った。
 ガイオウガになるべく近い、目の前の2人を焼き尽くそうと流した溶岩流を狙って水と氷の精霊の力を放つ。
 威力よりも速さを重視してなった水と氷の力は、溶岩流に当たった瞬間、ジュッと音を立てて消失した。
 熱を奪われた溶岩流が、黒色の岩塊へと変わりはしたが、それは溶岩流全体のほんの一部に過ぎない。文字通りの、焼け石に水。
 ――それで良かったのだ。

 ガシャンガシャンと鋼の足音を響かせ、マシンウォーカーが駆ける。
 その行く手を阻む溶岩流。マグマの川。
 しかしガーネットは迷わずマシンウォーカーを進ませ――。
 ビョンッと何処かカエルを思わせる動きで、マシンウォーカーが跳んだ。跳躍から足底のホバー機能を起動させる。
 圧縮空気の噴出で、宙に浮かぶマシンウォーカー。
 その中で、ビーッビーッと喧しい警告音が鳴る。
 ガーネットの視線がモニターの中で明滅する赤いアラートに向けられ――。
「機体が持っても、その前に私自身が危ないか」
 苦笑して、操縦桿を握り直した。
 ガーネットが見たのは、マシンウォーカーの機内温度。既にサウナを超えている。こうなると機体が持っても、中で干からびかねない。
「長期戦は不利だな」
 ガーネットは意を決して、マシンウォーカーを進ませる。
「これでもくらえ」
 ガーネットが何かのスイッチを押すと、マシンウォーカーから撃ち出された青いラベルの爆弾が溶岩流へ落ちていった。
 ボチャンッと落ちた瞬間。ボシュッと空気が抜ける音がして、白く冷たい煙がマグマの中から立ち昇る。
 ガーネットが溶岩流に放ったのは、氷の属性力を利用した液体窒素弾だ。
 超低温の液体窒素は、溶岩流を凍らせるには至らずとも、流れを止めて粘度の高い黒い砂へと変える事なら可能だった。

 瑠碧の水と氷の精霊の力。
 そしてガーネットの科学の力。
 性質は違えども、2人の行動で溶岩と冷気が衝突し、大量の水蒸気が発生した
 それはガイオウガから、他の猟兵達の姿を隠していた。


「……言葉無く、我が意を汲み、共に流れる様に……」
 蒸気でガイオウガの視界から外れた中、瑠碧は三つ目の手を打つ。
 協奏流舞――ミスティック・ラプソディ。
 常に寄り添う精霊達と、より深いレベルで同調する術。以心伝心。口にせずとも、心で思うだけでその力を行使できる程にまで。
 ――ヒュゥと、風が吹いた。
 その風に乗って、瑠碧は溶岩流を跳び越えガイオウガに迫る。溶岩流と変わって流れ続ける部位に掌を向ければ、圧縮された凍気の塊が立て続けに放たれた。
 精霊の力を自在に操る超高速連続攻撃が、ガイオウガの巨体の一部から熱を奪い、溶岩流を黒い溶岩へと変えていく。

「今のうちに、反撃なのです!」
 ぴょんと溶岩流を跳び越えて、サギリが蒸気に紛れてガイオウガに近づく。
 ある程度は距離を取って、サギリは振袖の中から短刀を取り出した。
 その銘、小鈴鳴丸(こすずめまる)と言う
 預かり物の刃を、サギリはスラリと鞘から抜き放つ。
 落とさぬ様、鞘を帯に挟み込み、サギリは小鈴鳴丸を両手で握って頭上に構えた。
「ていやっ!」
 サギリなりに力を込めた声で、短い刃を振り下ろす。
 それは、いつか別の世界での戦いで炎を合わせた、誰かの構えの見様見真似。同じように行かずとも、小鈴鳴丸から放たれた衝撃波がガイオウガの身体を叩いていた。
 しかしガイオウガは平然としている。
「むむ……全っ然聞いてなさそうですね!」
 ならば見つかるまで、続ける。サギリは小鈴鳴丸を振り回し衝撃波を放ちながら、ガイオウガの周りを走り始め――。
「あ」
 そして、気づいた。蒸気に紛れて近づいていた理玖が、瑠碧が氷の精霊の力で黒い溶岩に変えたガイオウガの外殻を登っている事に。

 ガシッと、理玖の手がガイオウガの背中に届く。
 ぐっと身体を持ち上げ、理玖がついにガイオウガの背中に乗った――その瞬間。
 その足元から光が溢れ、外殻がドロリと溶けだした。
「うぉっ!? ここでかよ!」
 咄嗟に飛び退いた理玖の前で、炎が爆ぜる。
「自分の背中で流せば、少なからず影響あるだろうに……お構いなしかよ!」
 自身のダメージになっていたとしても構わず、ガイオウガは理玖を落とそうと自身の上に溶岩流を流し――。
 轟!
 横から吹き荒れた炎が、溶岩流を押し流す。
 見れば扇に掴まったままの綾華が、二っと笑っていた。
 理玖は親指を立てて返すと、踵を返してガイオウガの背の上を駆けだした。
「――見えた!」
 目指すは首の向こう。ガイオウガの背中を蹴って、理玖が跳ぶ。
「頭壊せば止まんだろ!」
 着地と同時に、ガイオウガの頭部に上から拳を叩き込んだ。
「硬っ……だったら壊れるまで殴るだけだ!」
 理玖の拳は一撃では止まらない。何度も何度も、左右の拳を叩き込む。
「させねぇよ」
 ガイオウガが明らかに理玖の方へと流す溶岩流を、綾華が扇から炎を放つ。
(「もう少しだ――もう少し、理玖に時間を作れれば」)
 炎では溶岩流を相殺しきれない――だとしても、構うものか。
「それはさせないのです!」
 そこに、サギリの声が響いた。
 まだ動かせる本坪鈴の複製を全てを、サギリは理玖を狙って流れる溶岩流の変化の起点となった場所に突っ込ませ、重ねていく。
 元を断てば、溶岩流とて途絶える。
「しばらくは塞げると思います!」
 そして、元を断たれて勢いが弱まった溶岩流に、綾華が全力で炎をぶつける。
 理玖が壊れるまでガイオウガを殴るなら、綾華はその為の時間を作る。
(「俺は俺に出来ることを、全力で――理玖、頼んだ」)
 互いに、自分に出来る事を全力でする。
 それは他の猟兵も同じ事だ。

「勇敢なる騎士たちよ、今ここに集え!」
 ガイオウガから流れる溶岩が減った瞬間、ガーネットも動いていた。
 ブレイカーシップ・ブレイブナイツ。
 英雄の船団が空から降って来る。
「頭部――は任せるべきだな。ガイオウガの尾を攻撃し、地上部隊を援護せよ!」
 ガーネットは当初の考えと予定を変えて、ブレイブナイツにガイオウガの後ろに回らせた。頭部では他の猟兵も狙っており、援護どころか妨げにもなりかねない。
「ブレイブナイツ、一斉砲撃!」
 ガーネットの指示に答えて、ブレイブナイツの全機体からミサイルが放たれる。
 爆音が響いて、ガイオウガの尾が半ばから千切れていた。

「壊せないとでも思ってたか? ――見えてんだよ」
 ゴンッ、と理玖の拳がガイオウガの頭部を叩く。
 理玖はただ、闇雲に殴っているわけではなかった。
 二撃目よりも、三撃目。三撃目よりも四撃目。
 重ねるごとに、ずれが僅かになっていく。攻撃するたびに敵の動きの癖やパターンを覚えて、次の打撃をより正確にしていく業――明鏡止水。
 いつしか理玖の拳は、寸分のズレもなく同じ二点だけを叩いていた。
「任されてんだ! 大地だろうと負けらんねぇ!!!」
 理玖が吠えて振り下ろした拳の下で、ガイオウガの頭部の殻が砕け散った。
(「ファン、今だ――」)
 それを見た瞬間、ペインが胸中でファンに呼びかけていた。


「結局、私と戦っている事に気づいていなかった様だね」
 遥か離れたところで、ファンが独り呟く。
 結局溶岩流は、一滴もファンの元に流れてはこなかった。
「認識が無ければ、“私との”戦いは始まらない」
 ガイオウガは、気づいていなかった。
 戦っているのは目の前でちょろちょろと避けるペインだけではない。
 他の猟兵達だけでもない。
 遠く離れたファンとの戦いも、始まっていたのだと。
「我らは群体、他の攻め手は数多だよ?」
 ファンは離れて様子を見ているのではない。攻撃の為の力を溜めていた。十全に、十二分に。今から放とうとしているのは、一度限りの一手の為に。

(「ファン、今だ――」)

 遠くでペインが声にすら出さなかった言葉。
「これだけ離れていれば、攻撃が届く筈ないと思ったかな」
 それが聞こえていたかの様に、ファンが身構える。
「我らは群体、他の攻め手は数多だよ?」
 ファンが柄頭を握って構えたのは、一振りの白い刀。
「遠くへの攻撃は得意ではないけれど……出来ないわけでもない。その喉奥、串刺してあげるよッ!」
 名を『天華』と言う白い刀に、熱に負けぬよう護りの光を纏わせて。
 ファンは目に見える巨体と、あとは己の第六感を頼りに刀を投げた。
 ガイオウガの視点からでは、何か光が瞬いただけ。
 次の瞬間には、ガイオウガの喉元に白い刃が突き刺さっていた。
 まるで白羽の矢が如く。
 それこそが、その投擲の業の名。刀に溜めた力に応じて、投げて届く飛距離と威力を伸ばす業。
 普通ならば刀を投げても届く筈の無い距離を、ファンが矢となれと投げ放った天華はほんの何秒かで飛び越えた。
 その、たった一矢の為に。
 最良の機に、最大の一撃を撃たせる為に、ペインは一人先行したのだ。
「言っただろう? 貴方を倒す牙はあると」
 そのペインは、いつの間にかガイオウガの喉元にいた。

 ――傍に居ずとも心は共に。

 仲間の元にテレポートする術で、ペインはそこに飛んだのだ。
 ガイオウガの喉に突き刺さった『天華』。
 その白い刀は、かつて一人の少女と寄り添、祈りと詩を重ねた護り刀。それはファンの原点たる刃であり、つまりファン自身。
 だからペインは、そこに飛べたのだ。
「その牙が、僕だとは言っていない。まあ挑んだ以上、一太刀は浴びせるけどね」
 焼き鏝"ジョン・フット"。魂をも焼く蒼い炎を纏った焼き鏝を、ペインは『天華』を引き抜いた傷口に突き立てた。

 頭部を砕かれた喉を貫かれ魂を焼かれたガイオウガが、ぐらりと崩れ落ちる。
 それでも、まだ溶岩流が流れ続けていた。ガイオウガはもう、生きているとは言えないのに。まだ終われていない。
 その体を全て溶かしつくして、燃え尽きるまで終われないと言うのか。
 だから瑠碧は力を集める。
 氷を集めて槍と変え、そこに風を纏わせる。
「……もう、おやすみ」
 凍って眠れと。
 瑠碧が投げた風と氷の槍が、殆ど溶岩の塊となったガイオウガを貫いた。

 急速に熱を失い、ガイオウガだったものが黒い溶岩と変わって崩れ落ちていく。
「あ、やべ。降りる事考えてなかった」
「ったく、世話焼けるな」
 崩れ落ちる頭部から飛び降りるか逡巡する理玖の前に、綾華が扇で浮かんでくる。
「でも、お前が一緒にいてくれて良かったよ」
「――俺もだ」
 変身を解いた理玖は、綾華の扇に運ばれながら、不器用な笑みを浮かべた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月20日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト