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少年少女博物館

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 昼なお暗い、ダークセイヴァーの街外れに位置する屋敷。陽の射さぬその屋敷は一見廃屋にも見えるが、実際は住んでいるモノがいる。それは、人間ではなかったが。
 その屋敷の門を一台の馬車が潜って行った。荷台は幌に覆われて見えない。御者台に座るのは人間の男性だ。その表情は暗い。本当は、こんなことに加担したくはない。だが、従わなければ彼も、彼の家族の命もなかった。街ぐるみで館の住民に従っている。館の主に、そして脅された街の人々に、排斥されるのは間違いない。
 男性は馬車を館の玄関に横付けした。玄関から現れた出迎えの者は、屋内から現れたにも関わらずフードの付いた外套を纏っていて、その正体は掴めない。しかし男性は知っていた。ソレが人間ではないことを。
 ソレが荷台の幌をめくり、中身を丁重に引きずり出す。荷物を傷つければソレも罰を受けることになるのだろうが、男性には知る由もなかったし知りたくもなかった。ソレが恐怖を感じるかどうかも。
 ソレは荷物の一部を手にした小剣で斬り落とし、残りを荷台に戻す。男性はほっとした。一部だけでも持ち帰れることに。荷物にも、一縷の望みを抱いて待っている家族がいるのだ――。
 ソレが切り取った一部を持って屋敷に入って行ったのを目にしながら、男性は馬車を引く馬に鞭を打った。こんな場所からは一刻も早く立ち去りたい。
 屋敷の者が持って行ったもの。それは、年端も行かぬ子供の脚だった――。

「ダークセイヴァーは、陰鬱な事件が多いですね。仕方のないことですが……」
 レニー・ヴァッサー(赤いグリフォン・f02063)は、大抵はお気楽なキマイラだ。珍しくその表情を沈ませて、彼は言葉を紡ぐ。
「ダークセイヴァーのとある街を、支配しているオブリビオンがいます。それ自体はあの世界では普通のことかもしれませんが……それを打ち破って頂きたいんです」
 普通のことに立ち向かうこと。それは、とても大変なことだ。しかし、それを成す力を持つのが猟兵という存在。
「オブリビオンは自らの屋敷を博物館としています。そこに街の子供達の死体を集め、その一部を切り落として飾っているんです。何とも悪趣味なことに……子供の死体の中には、そのためだけに殺された者もいます」
 レニーは悍ましい事実を、猟兵の目を真っ直ぐ見つめて言った。猟兵の『状況を打ち破る力』を信じて。
「その屋敷に潜入し、オブリビオンを倒してください。屋敷の中は拷問器具や罠の仕掛け、迎撃を行う手下達が待ち構えていますが……皆さんならそれらを打ち倒してくれると、信じています」
 碧色に透けるグリモアを指先に閃かせ、レニーは固い面持ちで頭を下げた。


天風あきら
 こんにちは、天風あきらです。
 今回は、ダークセイヴァーにてオブリビオンの邪悪な行いを正して頂きたく思います。珍しいとお思いかもしれませんが、シリアスです。
 どうぞよろしくお願い致します。
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第1章 冒険 『悪趣味な博物館』

POW   :    正面から堂々と入る、窓を割って入る

SPD   :    窓や裏口から侵入、関係者を装って潜入

WIZ   :    関係者から屋敷の情報を得る、屋敷の図面を入手

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クリスティア・エルンスト
敵地に潜入するのであれば、準備は万全にした方が良さそうだよね。
町はずれの廃屋、という事なら、建設に携わった人や中を探検したことがある子供とかいるかもしれないし。
大っぴらに呼びかけるのは敵がいるって示すことになるから、地道に足で稼ぐことにしようかな。

まずは屋敷の図面を確保する事を目標にしながら、侵入経路などの情報も集めてられるといいかな。
図面を確保したら、罠を仕掛けやすい所とか戦うのに適した場所を割り出す為に、色々考えてみよう。
あとは、大きなお屋敷だと隠し部屋とかもあるかもしれないから、そこも含めて要チェック。

殺されちゃう子供達も、子供達を生んだ親達も、皆が悲しまない様に、出来る限り頑張ろう。



 ダークセイヴァーに到着したクリスティア・エルンスト(舞い散る真白の(スノー・ドロップ)・f03593)は、人通りの少ない街中を独り歩いていた。街には人自体が少なかったが、特に子供の姿がほとんど見当たらない。きっと家の中にいるのだろう。屋敷の主を怖れて。
 クリスティアが目指すのは、街の中心街にある酒場だ。そこに屋敷の建設に携わった建築家がいるという情報を得ての行動だった。屋敷の主に対して大っぴらに自分達猟兵の存在を明かさない為の秘密裏の捜査、支配されている街の人々も口は固く、その情報を得るだけでも容易なことではなかった。
 必ずこの街を救う。
 その言葉を根気よく伝え、やっとのことで建築家の情報を得た。これで、屋敷への潜入がある程度し易くなるだろう。
 酒場に着いたクリスティアは、躊躇うことなくその扉を開いた。まだ幼い彼女が酒場にいるのは、周囲の大人達に違和感を覚えさせる。疑念と警戒。そして哀れみ。数人しかいない客達の視線には、それらが多分に含まれていた。
「お嬢ちゃん、こんなところにどうした。早く帰りな」
 カウンターの店主が声をかける。しかしクリスティアはそれに首を振って答えた。
「……この街が今、どういう状況かわかっているだろう。悪いことは言わない。家で大人しくしていなさい」
「だから来たんだよ」
 帰宅を促す言葉を繰り返す店主に、クリスティアも退かずに言葉を返す。そして店内を見回し、話に聞いた特徴の人物を探す。四十代、茶色い髪と髭の、長身痩躯の男性。それに当て嵌まる者は、一人しかいなかった。
「ギュンターさん、だね」
「……なんだお嬢ちゃん」
「単刀直入に聞くよ。街外れの、あのお屋敷の間取りが分かる図面が欲しいんだ」
 ギュンターは酒を呷る。クリスティアを見上げる青い瞳は、偶然にも彼女の瞳の色によく似ていた。
「……帰れ。子供が近寄っていい場所じゃない」
「これ以上、子供達が犠牲になるのを食い止めたいんだよ」
 ギュンターが手酌で酒を注ぐ手が止まる。酒は盃から溢れ、瓶に一滴も残らず机に零れた。
「殺されちゃう子供達も、子供達を生んだ親達も、皆が悲しまない様に、出来る限り頑張りたい。その為に、貴方の力が必要なんだよ。お願い」
「……」
 クリスティアの真摯な瞳を、ギュンターのくすんだ瞳が見つめ返す。しかしその奥には、微かだが輝きが見て取れた。
「……勝算は?」
「ある」
 嘘……ではない。だが、未だ敵の全容が知れていない現時点で、そう言い切ることは正直出来ない。しかし、そう言わなければ彼の協力は得られないだろう。そして、それを嘘にしない為の覚悟が、彼女には――彼女達には、あった。
「……ついて来な」
 ギュンターは席を立った。意外と簡単に応じてくれた彼に首を傾げつつ、その協力は有難いことだったので、クリスティアは大人しく後に続く。
「ありがとう」
 礼だけ言うと、ギュンターは彼女の頭をぽん、と撫でた。
「俺にも娘がいた。生きていればお前さんくらいの歳だ。だが……」
 続きは、聞かずともわかった。
「娘の眼は奴に奪われた。俺も、奴が憎い……それだけだ」
 クリスティアの瞳は、その娘に似ていたのだろうか。そう思わせる程、ギュンターの瞳は怒りと優しさに溢れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルーナ・ユーディコット
【POW】正面から堂々と入る

相変わらず、悪趣味な奴が多い
どうせそこら中に死体が展示してあるんだろうから好んで中に入りたくはない
でも、被害が増える方が入るのより嫌だから
「殴りこむ」

正面玄関か窓から殴り込み
出来るだけ大きな音をたてながら突っ込んで【ダッシュ】で屋敷を走り回りながら中にいる監視を引き付ける……やりたいことは陽動

後、罠や障害物を壊したり、とびかかる火の粉を振り払う為に
トリニティ・エンハンスを攻撃と守りを同じくらい重視して使う
あくまで他の猟兵が侵入する隙を作るの優先、倒すのは頭数が揃ってから考える

死体の事はあまり考えない
悼むのも祈るのも最後でいい
感傷に浸りながら戦えるほど、器用じゃない


旗村・グローリー
真正面から乗り込もう。

赴く場所が博物館である以上、正面入口からの入館以外は考えられない。
まずはチケットを買う、千円くらいだろうか……一般一枚だ。
そしてその裏表を見る。平凡なものなら鑑賞後に捨ててしまうが、
たまに秀逸なデザインのものがあるからな。そういうのは保存しておくのだ。

博物館内はゆっくりと進む。そして順番に鑑賞してゆこう。
おれの鑑賞タイムを邪魔するマナーの悪いものがいれば、排除するだけだ。
博物館では走らない、飲食をしない、斧以外の物を持ち込まない。
そんな基本的なルールも守れないとはまったくもって嘆かわしい。

頭を割ってやろう。首をはねてやろう。
すこしは静かになるかも知れないからな。


嶋野・輝彦
【POW】窓を割って入る
蹴破って「悪い子はいねがー」って侵入

蹴り入れたり叩き割ったりアサルトウェポン撃ったり
屋敷の中のものを破壊しながら
【恫喝】【存在感】で
「おうおうオブリビオンさんよお、いるのはわかってんだよさっさと出て来いやぁ!!」
「さっさと来ねぇと大事な作品も全部ぶっ壊しちまうぞゴラァ!!」
破壊するものの中に子供の一部を使った作品もあるかもしれないがその辺は【覚悟】で顔色を変えずに破壊
動揺したり弱みを見せるのは不味いだろ?
敵をおびき出す
これ以上被害を出さない
優先順位を間違えちゃいかんわな

派手に破壊しながら大声で【恫喝】しながら屋敷を練り歩いて
オブリビオンなり手下なり出てくる様に仕向ける



 旗村・グローリー(ザ・ジャイアントパンダ・f04986)は、屋敷の正面入口のノッカーを叩いていた。暫し待ち、現れたのはフードを目深に被った外套のモノ。
「ここが博物館と聞いてな。見学に来たんだが」
「……こノ屋敷は、主の専用のモのダ。客ハ呼んデいなイ」
 どこか片言の言葉で、ソレはグローリーに応じる。
「おかしいな。博物館と言うからには、展示物を鑑賞する者が必要だろう。それを主一人で占有するとは……感心しないな」
「少シ、待て」
 ソレが屋内に引っ込んで暫し。やがて再び現れたソレは、グローリーに入館の許可を出した。
「主ノ特別の許シが出タ。入るガイイ」
「感謝する。しかし……やはりチケットなどは、ないのだろうな」
「……」
 すると、意外にもソレは外套の下から一枚の羊皮紙を取り出した。それがチケット代わり、ということだろうか。そこには赤いインクで『チャイルド・ミュージアム』の文字と、主のサインらしきものが記されていた。チケットとしては一見面白みも何もないが、嫌な予感がして鼻を近づけてみると……鉄の臭いがした。紙の手触りもどこか滑らかだ。これは、人皮ではなかろうか。
「昨日、仕入れタばかリのインクと紙だ。八年物、男だッタ、カ」
「……そうか」
 流石に捨ててしまうのが躊躇われて、グローリーはそれを黒い背広のポケットに収めた。
「案内は結構。おれは勝手気ままに鑑賞させてもらう」
 そう言ってソレを追い返し、グローリーは館内をゆっくりと進む。展示物は、切り取りやすいからか手足が多かった。観賞用の剣のように、壁に掛けられている。中には胴が美しいガラスケースに収められたもの、頭部が年齢順に陳列された部屋、一枚一枚剥がされた爪を貼り付けて点描のように描かれた絵画などもあった。
 グローリーは表面上、無感情にそれらを鑑賞していた。

 ばたん。がしゃん。
 扉の開く音、窓の割れる音。猟兵達のうち、正面から殴りこむことを選択した者達が、行動を起こしたのだ。
 ルーナ・ユーディコット(Basilico・f01373)は全速力で屋敷を走り回りながら、監視の目を引きつけていた。狙い通り、屋敷の奥から次々と警備のモノが現れる。ソレらは一様にフードの外套を身に着けている。それが翻ることはあっても、不思議と中身が見えることはない。
 屋敷内を一目見て出た感想は「相変わらず、悪趣味な奴が多い」だった。そこいら中に子供の身体の一部が展示されている。目についた部屋に入ると、不思議な液体に漬け込まれた眼球達が一斉にルーナを見返していた。
「う……」
 好んで入りたくはない。でも、被害が増える方が入るのより嫌だ。
 死体の事はあまり考えない。悼むのも祈るのも最後でいい。感傷に浸りながら戦えるほど、器用じゃない。
 その時、部屋の扉が閉まる。と同時に、じりじりと天井が落下してくる。吊り天井だ。
 ルーナはユーベルコードを用い、三つの魔力で自身を強化しながら、天井に向かって偃月刀【月桂樹】を放つ。緑色のドラゴンは偃月刀に変身し、天井を破壊した。降り注ぐ瓦礫の中、天井に開いた穴を見上げると、二階にも部屋があるようだった。そこに飾られた骸骨の昏く落ち窪んだ眼窩が、こちらを見ている。
 ないはずのその視線を振り払い、ルーナは只管に駆け回った。

「悪い子はいねがー!」
 それは、同時に入った嶋野・輝彦(人間の戦場傭兵・f04223)も同様だった。いや、彼の場合ルーナよりも荒っぽい。壁という壁に蹴り入れ、目に入る窓という窓を叩き割り、しまいにはアサルトウェポンを連射する。
「おうおうオブリビオンさんよお、いるのはわかってんだよさっさと出て来いやぁ!!」
 アサルトウェポンの弾丸が、赤一色に染められた壁に穴を開ける。
「さっさと来ねぇと大事な作品も全部ぶっ壊しちまうぞゴラァ!」
 一つ一つ綺麗に並べられた耳を蹴散らし、輝彦はルーナと逆方向に走った。彼の破壊には容赦がない。子供の一部を使った作品を顔色を変えずに撃ち抜く。そこには猟兵としての経験の未熟さを感じさせない。
 そうだ。動揺したり、弱みを見せる方が危険だ。敵を誘き出す、これ以上の被害を出さない。優先順位を間違えてはいけない。
 自ら動く鉄の処女を粉々に破壊し、騒ぎを聞きつけて現れた警備のモノを薙ぎ倒す。
 やがて警備も慌ただしく、ルーナや輝彦の元へ走り出て来た。
 そこへ。
 警備のモノの頭を、グロリアスアックスが叩き割る。
「博物館では走らない、飲食をしない、斧以外の物を持ち込まない。そんな基本的なルールも守れないとはまったくもって嘆かわしい」
 ドライヴアックスが、ソレらの首を刎ねる。それはフードに覆われたまま床に転がり、胴もまた沈黙した。
「これですこしは静かになるか」
 グローリーの二刀斧が、戦場を蹂躙する。
 ルーナは罠を破壊しながら、戦場を縦横無尽に走り回る。
 そして輝彦のアサルトウェポンが、戦場を破壊し尽くす。
 猟兵達の『陽動』は、正に騒々しく進行していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

赭嶺・澪
【SPD】窓や裏口から侵入
あたしは博物館には技能『忍び足』『目立たない』、UC『ステルスソルジャー』を使って侵入するわ。
出来れば目立ちにくい裏口から侵入したいわね。
そうじゃなければ鍵が開いてる窓から。最終手段は窓を割って入るしかないわね。

戦闘は可能な限り避けるわ。
今この場で騒ぎを起こすわけにはいかないからね。
もしもの場合は武器『SOM Mk-25』の弾倉を非殺傷弾に切り替えて、技能『マヒ攻撃』『気絶攻撃』で相手を昏倒させましょう。
倒した相手は草陰等の見つかり辛いところに隠すわ。


リーヴァルディ・カーライル
…ん。まだ敵の正体は分からない
だけど、吸血鬼であろうと無かろうと、このまま放置はできない…

事前に防具を改造しておき、石ころのように自身の存在感を消す呪詛を付与する
後は中の様子を見ても動揺しないように、自身を鼓舞しておく
行こう。これ以上、犠牲を出さない為に…

潜入が可能な窓や裏口を見切り、第六感で危険がないか警戒
体に魔力を溜めた怪力を【吸血鬼狩りの業】の体捌きの応用で制御して機動力に変換
目立たないよう屋敷に潜入する
…さて。折角なら行けるところまで見つからずに進みたいけど…

…もし見つかりそうになったら【見えざる鏡像】で不可視化してやり過ごす
…ん。なるべくなら消耗は避けたいところ。これは最後の手段、ね


彩花・涼
なんとも悪趣味なオブリビオンだな…これ以上子供の犠牲者を出すわけにはいかない、必ず打ち倒そう。

フードを被り極力【目立たない】服装で裏口から侵入する。
【戦闘知識】と【地形の利用】で罠の仕掛けられそうな場所は警戒して避けつつ、屋敷内を探索しよう。
屋敷の関係者や使用人らしきものがいれば【追跡】して、屋敷の主の居場所を特定する。
見つかりそうになった場合は【ダッシュ】で素早く物陰に隠れよう。

至るところに子供の体の一部が飾られているな…終わったら、遺体と共に弔ってやりたい。
だがその前に、此処の主とやらに後悔させてやらねばな。


有澤・頼
本当に悪趣味な奴だな。昔の嫌なこと思い出しちゃったよ……

「忍び足」を使用して窓口から潜入するよ。勿論、敵にみつからないように注意をしながら進んでいくよ。

子供が犠牲になる、か…本当に…嫌な話だな…でも、私たちがやらなきゃまた新たな犠牲者が現れる。気を引き締めていこう。



「なんとも悪趣味なオブリビオンだな……」
「本当に悪趣味な奴だな。昔の嫌なこと思い出しちゃったよ……」
 彩花・涼(黒蝶・f01922)と有澤・頼(人間の剣豪・f02198)がほぼ同じ感想を漏らす。その声は小さい。
 ここは屋敷の裏手。仲間が入手した見取り図により、密かに侵入するならばここからが最良だと導き出された場所である。
「……ん。まだ敵の正体は分からない。だけど、吸血鬼であろうと無かろうと、このまま放置はできない……」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は不倶戴天の敵の種を挙げるが、彼女の言う通り敵の正体は謎に包まれている。ダークセイヴァーであるなら吸血鬼の可能性は高いが、断定するには早すぎるのが実情だ。
 そしてこれも彼女の言う通り、猟兵としてこの事態を放置することは出来ない。
「これ以上子供の犠牲者を出すわけにはいかない、必ず打ち倒そう」
 涼の言葉に、頷く猟兵達。ここに集った猟兵は、この作戦の中でも最多だ。
 屋敷内からは破壊音が響いている。が、その中に悲鳴はない。何者も倒されていないのか、何者も悲鳴を上げない性質なのか。そこまではわからないが、中の警備を仲間が引きつけているのは確かなようだった。
 各々、礼装に事前に存在感を消す呪詛を付与していたり、フードを被り目立たない服装を取ったり、忍び足をしたり、様々な工夫で敵に見つからない侵入方法を取る。その最たるものは赭嶺・澪(バレットレイヴン・f03071)のユーベルコードだ。常に疲労し続ける弱点はあるものの自らを透明にし、ほぼ気付かれない。
 彼女達は屋敷の裏口から侵入した。そこはキッチン。流石にここには展示物はなかったが、使われているのかも怪しいほど埃が積もっている。
「行こう。これ以上、犠牲を出さない為に……」
 リーヴァルディの声が、油断なくしかし中を見て動揺しない様に、己を鼓舞する。
 キッチンを抜けると、廊下が伸びている。壁には、額に収められた何か白っぽいものが貼られている。近づいてみるとそれは、正中切開され広げられた子供一人分の皮だった。
「うわ……」
「子供が犠牲になる、か……本当に……嫌な話だな……でも、私たちがやらなきゃまた新たな犠牲者が現れる」
 頼はいたましげに目を伏せて、一瞬だけ黙祷を捧げた。
「……気を引き締めていこう」
 猟兵達は彼女に頷き返す。
「終わったら、遺体と共に弔ってやりたい」
 涼が零したのは、人として当たり前の感情だ。
「だがその前に、此処の主とやらに後悔させてやらねばな」
 そして次に零したのは、猟兵として当たり前の感情だった。
 彼女らは只管に進む。リーヴァルディの鋭い第六感や【吸血鬼狩りの業(カーライル)】で警備の動きを察知しながら。
 途中、涼が上階へ続く階段を上るモノを発見した。この騒ぎの中、ソレだけが流れに逆行している。おそらく、主の元へ向かっているのではないか。図面によれば、二階はそれほど広くはない。
 主の居場所を特定しようとその後を追いかけようとしたが、ソレが振り返ったため素早く物陰に身を隠す。これ以上の追跡は危険そうだ。自分達の身を危険に晒すより、主の居場所が二階とほぼわかっただけでも良しとしなければ。
 ソレがそのまま立ち去ったのを確認し、彼女らは再び廊下に姿を現わした。リーヴァルディの姿隠しの最後の手段は、使わずに済んだようだ。
「さて、そうと決まれば……」
「このまま主の元に突っ込む?」
「いや、それよりは……」
「皆と合流して、一気に攻め込んだ方が……っ!?」
 一度やり過ごして、一瞬の油断があったのだろうか。警備の者が一体、こちらに気づいた。
「何モ……」
 声を上げかけたソレに、澪が隠密用ハンドガン『SOM Mk-25』で非殺傷弾を撃ち込んだ。相手を昏倒させる腹積もりだったが……ソレは昏倒はしなかった。ソレは、人間と同じ体構造はしていなかったから。
「これで気絶しない……!?」
 澪は怯んだが、声を上げさせないことには成功した。すぐさま非殺傷弾を連射し、今度こそ相手を沈黙させる。人間だったら死んでいるかもしれない、ぎりぎりの攻撃だ。
 しかし、フードの下から現れたのは。
「……これは」
 冷たく固い、しゃれこうべ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『スケルトン』

POW   :    錆びた剣閃
【手に持った武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    バラバラ分解攻撃
自身が装備する【自分自身のパーツ(骨)】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    骸骨の群れ
自身が戦闘で瀕死になると【新たに複数体のスケルトン】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 派手に暴れて陽動を行なう者達、裏口から潜入し密かに館を探った者達。
 二つの猟兵集団は、玄関ホールで合流した。警備の大多数を挟み撃ちにして。
「首尾は!?」
「突き止めた、主は二階!」
 後は警備の奴らを、そして主を倒すのみ。
 警備兵達は、猟兵達の攻撃によってその外套をほぼ剥がれていた。そのフードの下は、やはり全て骸骨兵――スケルトン。
 その群れを倒し、いざ向かえ。悪しき館の主の元へ。
旗村・グローリー
ほねほねマンを蹴散らそう。

警備員にしては数が多過ぎる。
客を威圧するかのような動きも好ましくないし、
博物館の予算を考えると人件費……否、骨件費は抑えるべきだろう。
何よりも、警備役を担う者としては、些か戦力不足なのが致命的だ。
おれは親切なジャイアントパンダなので、この不出来な警備兵を減らしておこう。
なに、感謝の言葉は不要だ。

ほねほねマンは半端に砕くと増える様子。
なのでしっかりと砕いていくことにしようか。
後で掃除のおばさんがごみに出しやすいようにな。
おれは親切なジャイアントパンダなので、こういう心配りもできる。
なに、感謝の言葉は不要だ。



「警備員にしては数が多過ぎる。客を威圧するかのような動きも好ましくないし、博物館の予算を考えると人件費……否、骨件費は抑えるべきだろう」
 グローリーが両の手で二刀の鉄斧を振り回しながら淡々と述べると、彼の攻撃を軽々と躱したスケルトンの一体がかたかたと嗤った。
「かカか……こノ博物館の運営予算は潤沢ゾ?」
「無駄が多いと言っている。何よりも、警備役を担う者としては、些か戦力不足なのが致命的だ」
 ソレを追撃し、腹があったであろう部分の少し向こう……背骨を斧で砕く。スケルトンは真ん中からぽきりと折れて、床に崩れた。
「おれは親切なジャイアントパンダなので、この不出来な警備兵を減らしておこう。なに、感謝の言葉は不要だ」
「かかカかカ!」
 すると崩れたスケルトンの頭部は、尚も不気味な嗤い声を上げた。
「個の力で敵ワぬ……ならバ群の力ヲもっテ対抗すルのみ!」
 倒れているスケルトンの周囲に、寸分違わぬスケルトンが複数召喚される。新たに現れたスケルトンの集団が、一斉にグローリーへ襲い掛かった。
「そういうところが、質が悪いと言うのだ」
 グローリーは斧を一閃、力強い一撃でほとんどの細いスケルトンを巻き込み、頽れさせた。そのスケルトン達は、皆一様にかたかたと嗤う。
「博物館では静かに、と言っている」
 それらの頭蓋骨を革靴で踏みつけ、しっかりと粉々に砕いていく。
「この方が後で掃除のおばさんもごみに出しやすいだろう」
 頭の先から足の指まで踏んでいけば、ようやくスケルトンは沈黙した。
「おれは親切なジャイアントパンダなので、こういう心配りもできる」
 一体一体、確実に、再びの死を与えていった。それは事務的に。
「なに、感謝の言葉は不要だ」

成功 🔵​🔵​🔴​

クリスティア・エルンスト
沢山の敵。でもこれを超えないと、子供達の無念を晴らせない。
だから、みんなと一緒に頑張って、骸骨兵をなぎ倒そう。

私は、闘いが始まったら、トリニティ・エンハンスを使う。
氷の魔力を纏う事で攻撃力を強化して、少しずつ着実に数を減らしていくつもり。

突破出来たら、後は親玉だけ。一生懸命、頑張るよ。


「……んっ、大丈夫、負けない」
「骨は、寒さを感じなさそう、だね。だけど、凍てつく刃で、先を開く……!」
「ギュンターの為にも、ここは、押し通る……!」



 沢山の敵。でもこれを越えないと、子供達の無念を晴らせない。
 クリスティアは、ユーベルコードを発動した。纏うのは、氷の魔力。その髪が冷気に舞い、瞳の奥に冷たさと決意が宿っている。
「骨は、寒さを感じなさそう、だね。だけど、凍てつく刃で、先を開く……!」
 青氷銀の細剣が、魔力で覆われる。常に氷の魔力を帯びている細剣だが、ユーベルコードの力でその切れ味はより研ぎ澄まされた。そう、骨を砕くまでに。
 伸びた細剣が、スケルトンの首骨を切断する。頭が飛び、一瞬棒立ちになるスケルトンだったが、その身体は尚も崩れなかった。
 ソレの肋骨が、分解する。そしてクリスティアに襲い掛かった。軟骨を失った鋭い先端がクリスティアの頬と二の腕を掠める。頬の皮を、服の袖を裂き、鮮血が滲んだ。
「……んっ、大丈夫、負けない」
 しかし彼女は気丈にも、再びスケルトンに向き直った。剣を構え、未だ飛来する肋骨を弾く。
「ギュンターの為にも、ここは、押し通る……!」
 思い出すのは、鏡の中の己に似た深い青の瞳。それを思い浮かべた瞬間、クリスティアの剣速は肋骨の飛ぶ速度を超えた。
 冷気が、剣の触れた先から骨を凍らせる。そして凍った先から骨は砕け、空気中に塵として霧散していく。
 後には何も残らなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩花・涼
骨か…銃で撃ち殺すのは難しそうだな。
右手に黒華・改を握り、左手に黒爪・改を持つ。
左は敵の剣を【武器受け】して弾いたり受け流すのに使用、攻撃を受けた際には右で【カウンター】して斬り返すぞ。

味方に攻撃が集中しそうなら【殺気】で敵の意識をコチラに逸す。
コチラにターゲットが映ったら【見切り】で回避しつつ、黒柵で敵の動きを妨害して攻撃しやすくする。
縛ってしまえばスカスカだろうが関係あるまい、叩き折ってやる。

自分が苦戦している場合は、黒蝶の鎮魂歌を使用して黒蝶で敵の目くらましや妨害しつつ【残像】で敵の死角から斬りかかる。

コイツらを倒せば、後は悪趣味な主ただ1人。更に気を引き締める必要がありそうだ。


有澤・頼
「ラスボス前の準備体操って感じだね!さっさとやっつけよう!」

他の猟兵のサポートに入るよ。敵は多数だし、ちょっと厄介なユーベルコード持っているから「咎力封じ」を使って敵の攻撃力を下がらせるよ。全て対象に当たればユーベルコードを封じることができるからなんとなるかも…敵の攻撃に対しては「残像」で避けるよ。

「館の主人とやらに早く戦いたいけど邪魔者は排除しなきゃね!」



「骨か……銃で撃ち殺すのは難しそうだな」
 そう判断した涼は黒鳥を収め、右手に黒華・改を握り、左手に黒爪・改を持つ。
「ラスボス前の準備体操って感じだね! さっさとやっつけよう!」
 頼もその隣で、武器を構えた。
「館の主人とやらと早く戦いたいけど邪魔者は排除しなきゃね!」
 襲い来るスケルトンに対し、ユーベルコード製の三本の縄を放つ。一本はその手首に、一本は胴に、そして一本は顎に。それぞれ伸び、スケルトンの動きを封じる。それはスケルトンのユーベルコードを封じたが、スケルトンは尚も封じられたその手で細い剣を振るってきた。
「……!」
「こっちだ!」
 涼が放つ殺気が、頼に向かったスケルトンの注意を逸らす。その剣を黒爪・改で受け流し、黒華・改によるカウンター。更にその左手は黒柵を操り、スケルトンを拘束する。
「縛ってしまえばスカスカだろうが関係あるまい、叩き折ってやる」
 黒華・改がスケルトンの背骨を捉える。いくら人外であろうと人型をしているので、急所は人間とそう変わらない。黒剣は背骨を砕き、スケルトンを真っ二つにした。それでも床で蠢くスケルトンを、蹴りつけて沈黙させる。
「ありがとう」
 頼の笑顔に、涼も頷いて返す。その背後に伸びていた影に、頼は笑顔のまま再び拘束縄を飛ばした。ぎしっと新手のスケルトンを捉えた縄が、頼の手元で軋む。
「後ろを取られるとはな……」
 振り向きざまの黒剣が脊椎を捉える。頭蓋骨を蹴りで砕き、胴を寸断し、骨盤を粉砕する。脚の骨も念入りに踏み砕けば、そのスケルトンも動かなくなった。
「これでお相子、かな」
「だな」
 頼のサポートで、涼が砕く。その流れを、二人は掴みつつあった。これならば、真の姿を曝すまでもない。そう思っていたのだが。
 二人の戦いは、確実ではあったが続々と押し寄せるスケルトンの速度に追いつけなくなりつつあった。ユーベルコードによる召喚で際限なく増え続けるスケルトンに、徐々に数で押され始める。
「このままじゃっ、ジリ貧だね……っ」
「仕方ない……この手を使うか」
 涼が呟くと同時に、その姿が足元から湧き上がった黒蝶の群れで覆われ始める。黒蝶は涼の姿だけでなく、スケルトン達の視界をも覆い尽くし、その動きを妨害した。
 そして姿の見えない涼が黒華・改でスケルトン達の死角から斬りかかり、次々と屠っていく。
「……折角の真の姿も、それじゃ見えないね」
「それでいい」
 頼の苦笑に、涼は黒蝶に霞む視界の向こうから応えた。
「……ここからは、更に気を引き締める必要がありそうだ」
 その呟きは、既に先を見据えている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロベリア・エカルラート
さて、コイツらがただのオブリビオンなのか、それとも元は人間だったのか……
こういう辛気臭い空気だと色々想像しちゃって駄目だね、やることは変わらないのに

「ま、せめて一息にトドメを刺してあげるよ」

バラバラになっても動き出しそうだし、咎力封じで能力を封じてから、愛剣ロメオジュリエッタで切り裂くよ

一応この剣……正確にはこの剣の片割れには【破魔】の力があるけど、動く骸骨に効いたりするのかな?

ま。こういう相手にいちいち顔を顰めてもどうしようもないし。
さっさと終わらせて気に入らない黒幕を倒しにいこうかな

※他の方との連携や合わせもOKです


ルーナ・ユーディコット
行き先が定まったなら、雑魚に用はない
嫌なものを見せてくれたお礼をしよう
手は抜かないから安心して倒されてほしい

敵が多くて出来るだけ味方を巻き込まないところに【ダッシュ】で回り込んで突っ込む
その際バラバラのパーツに多少当たるのは【覚悟】しておく
頃合いを見て【人狼咆哮】を全力で
やたらと数の多い骨のパーツごと、一挙に叩く
天井や壁が崩落してくるかもしれないけど、敵に当たる分には構いはしない
増えるならそれを上回る速度で叩かないといつまでたっても先に進めやしないんだから
この悪趣味な博物館に「閉館の時間」を報せる時だ
ひとしきり暴れたら月桂樹で【薙ぎ払い】をしつつ、味方に合流


リーヴァルディ・カーライル
…ん。ここで足止めを喰らう訳にはいかない
この骸骨達も犠牲者かもしれないけど…ごめんなさい
今は、手加減して闘う余裕はない

改造した防具の存在感を消す呪詛を使用し
気配を遮断してから【限定解放・血の教義】を発動
…大技を仕掛ける。退避して…!

吸血鬼化した生命力を術式に吸収して力を溜め、
暴走の限界を第六感を頼りに見切り、
不浄な者の傷口を抉る“光の暴風”を二重発動

1回目は包囲網の中心に向けて発動し敵をなぎ払い、
召喚された【骸骨の群れ】を2回目の攻撃で消し飛ばす

…これが私の魔法。全てを吹き飛ばす光…!
眠りなさい。安らかに…

戦闘中も背後から敵が来たら仲間に知らせる
粗方片付いたら、討ち漏らしや罠等が無いか警戒する



「さて、コイツらがただのオブリビオンなのか、それとも元は人間だったのか……」
 ロベリア・エカルラート(花言葉は悪意・f00692)の呟きが、虚空を滑る。それは今はわからないことだが、どの道館の主の趣味と無関係とは到底思えなかった。子供(お気に入り)は飾りに、大人(対象外)は警備兵にした、ということではなかろうか。
「こういう辛気臭い空気だと色々想像しちゃって駄目だね、やることは変わらないのに」
 そう、やることは変わらない。この屍兵の群れを突破し、館の主を討つ。
「ま、せめて一息にトドメを刺してあげるよ」
 ロベリアは三本の縄を放ち、目の前に迫るスケルトンの動きを封じる。
「カっ」
 嗤い声すらまともに上げられなくなった相手の首を、縁切鋏ロメオジュリエッタで斬る……というより、その峰で叩く。茨に巻かれた鋏状の剣は、スケルトンの頸椎を砕き頭蓋骨を地面に叩きつけて粉々にした。
「一応この剣……正確にはこの剣の片割れには【破魔】の力があるけど」
 動く骸骨には効くのだろうか。
 その疑問は、骨を易々と断つ膂力の前に証明されることはなかったが、少なくとも彼女の剣がスケルトンを葬る力を擁していることは間違いがなかった。

「……ん。ここで足止めを喰らう訳にはいかない」
 リーヴァルディもまた、スケルトン達が被害者である可能性に気づいていた。けれど。
「ごめんなさい。今は、手加減して闘う余裕はない」
 潜入時にも使用した、防具の存在感を消す呪詛。それを用い、気配を遮断。スケルトンの群れの中央へ。
「……大技を仕掛ける。退避して……!」
 そこで味方に注意を促した上で発動されたのは、【限定解放・血の教義(リミテッド・ブラッドドグマ)】。属性と自然現象を合成した現象の発動。その属性は光。そして自然現象は暴風。光の奔流は幾体ものスケルトンを巻き込み、呑み込んでいく。
 彼女がスケルトンの群れの中央に行ったということは、スケルトンが彼女を包囲しているということ。しかしその中央で彼女が発動したユーベルコードはそんなことはお構いなしに敵を薙ぎ払い、繰り返された召喚によって生まれた骸骨兵の群れを消し飛ばす。
「……これが私の魔法。全てを吹き飛ばす光……!」
 眠りなさい。安らかに……。

「行き先が定まったなら、雑魚に用はない」
 ルーナは顔を顰めて、スケルトンを睨み据える。
「嫌なものを見せてくれたお礼をしよう。手は抜かないから」
 その群れの真ん中に、全速力で突っ込む。
「安心して倒されてほしい」
 そんなルーナに骨の破片が雨あられと飛来するが、その程度は覚悟の上。頬を、二の腕を、太腿を切り裂かれながらも突進を止めない。
 そして群れの真ん中で、発動。【人狼咆哮】。その全力の咆哮は周囲の骸骨兵を無差別に薙ぎ倒す。もし味方が傍にいれば危険だったが、ルーナは予め味方を巻き込まない位置を選んでいた。しかし彼女の咆哮が、玄関ホールの天井や壁をも破壊する。
 それでもルーナは咆哮を上げ続けた。敵に当たる分には構いはしない。そんな捨て身ともいえる戦法で、圧倒的な力で、敵を減らしていく。
(「増えるならそれを上回る速度で叩かないといつまでたっても先に進めやしないんだから」)

 大規模無差別破壊技を繰り出した二人の少女の周囲には、骨の欠片と建物だったものの破片が広がっていた。リーヴァルディは己の魔法が少しだけ暴走した余波で、ルーナは降り注いだ建物の破片で傷つき、ぼろぼろだ。しかしそんな彼女達に、残り僅かなスケルトンが襲い掛かる。
 それを防いだのは振るわれるロメオジュリエッタ。
「二人とも、ちょっと無茶しすぎだよ」
「……ありがとう」
 ロベリアは二人を背後に庇いつつ、縄で能力を封じスケルトンを叩き切る。正確なユーベルコードと剣戟で着実にスケルトンを永遠の眠りに戻らせる。
「さっさと終わらせて気に入らない黒幕を倒しにいこう」
 その言葉と同時に、最後のスケルトンが切り伏せられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『子ども遣い『チャイルドマン』』

POW   :    理不尽な言いつけ
【攻撃】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    財産喰らい
自身の身体部位ひとつを【対象の親もしくは同じくらい信頼している人】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    操り人形
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【一時的に幼い頃の姿】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はステラ・リトルライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 破壊しつくされた玄関ホール。そこを後にし、猟兵達はひた走る。目指すは二階。入手した間取り図によれば、二階には客室が二つ、展示室が一つ、そして書斎兼屋敷の主の寝室が一つ。おそらく最後の部屋だろうと目算を付けて、猟兵達が雪崩れ込んだ先には、この館で既に猟兵達以外で唯一動くものとなった、オブリビオンがいた。
「……ここまで来たか」
 館の主は、書斎の椅子からゆっくりと立ち上がり、その指先を動かす。その指一本一本には糸が括られ、その先は……人形に繋がっていた。その人形は、子供の姿をしている。
 否――その人形は、よく見ると元は人間だったパーツを組み合わせて造られていた。ばらばらの肌色をした腕が、足が、胴が、首が。繋がれて、ひとつのヒトガタを成している。
「折角だ、私のお気に入りの人形と共に屠ってあげよう。猟兵達」
有澤・頼
「その人形…殺された子供の体を繋ぎ合わせて作ったものか…本当に悪趣味な奴だな…!」

沢山の子供達の命を奪ってきたチャイルドマンには容赦なくかつ全力で戦うよ。
「剣刃一閃」を使用、「傷口をえぐる」よ。敵の攻撃に対しては「残像」で避ける。特に相手のPOWのユーベルコードは当たると厄介な感じがするから気をつけるね。
「私は命を弄ぶ奴は大嫌いだ。大人しく斬られろ…!」
チャイルドマンを見ていると過去の嫌なことを思い起こされて感情がどんどん高ぶっていく。でも、冷静にならなきゃね。この戦い、絶対に勝とう…!



「その人形……殺された子供の身体を繋ぎ合わせて作ったものか……本当に悪趣味な奴だな!」
 頼は怒りを露わにしてオブリビオン――チャイルドマンに向け拷問具とサムライブレイドを構えた。
「お前達にはこの高尚な志向はわかるまい。美しいだろう? 無垢なるものの一番美しい部分を継ぎ合わせたのだから」
「吐かせ!」
 くつくつと嗤うチャイルドマン目掛けて、走る。剣先が、チャイルドマンの肩口を捉える。咄嗟に後退したチャイルドマンに届いたのは切っ先程度……だが頼のその一撃にはユーベルコードの力が乗せられていた。切っ先は予想以上にチャイルドマンの肩口を切り裂き、更に頼はその傷口に拷問具を捩じ込み、抉る。
「ぐっ……」
「私は命を弄ぶ奴は大嫌いだ。大人しく斬られろ……!」
「くっ……『黙れ』」
 チャイルドマンの指先が動く。その先に伸びる人形の手には、短剣が握られていた。その刃先に左腕を斬られかけ、頼は後退る。人形が斬ったのは頼の残像だった。
「嫌だ! 誰が黙るか!」
 チャイルドマンを見ていると、頼の中で過去が呼び起こされる。実験体として扱われた幼い日々。親友の内、一人を失った辛い思い出。
 けれど、それでも立ち上がったのが彼女の強さ。
 頼は頭を振って、冷静さを取り戻した。
「この戦い、絶対に勝つ……!」

成功 🔵​🔵​🔴​

キファ・リドレッタ
主の人形をちらと見て。
低俗ね、と眉を寄せた。

そちらの趣味に付き合う気はないけれど、あまり人形を壊したくないわ。
もう生きていなくても、いえ、だからこそ親元へ返しに行かないと。
『金枝の罪』は頭に宿る食人花。大花の蔓がお前を裁く。
近寄らないで、『早業』よ。お前、避けられるかしら。
私にだけは触れないで。
『毒』でどろりと溶けたくはないでしょう?

理不尽な言いつけは聞けないわね。
歩めなくても水鞠を動かすことはできる。
『逃げ足』には少し、自信があるの。
財産喰らいは、おそらく、人狼の――
などと、目を見開く合間に噛みつくのなら。
触らないでと言ったのに。お前、『毒』がこわくはないの。



「低俗ね」
 キファ・リドレッタ(涯の旅・f12853)は操られる人形をちらと見て、眉を寄せた。
「そちらの趣味に付き合う気はないけれど、あまり人形を壊したくないわ」
 もう生きていなくても、いえ、だからこそ親元へ返しに行かないと。
「そうか……分かりあえないとは悲しいことだな。残念だ」
「お前と分かりあうことなど何もないわ」
 頭に宿る『金枝の罪』を振るう。艶やかに咲く食人花の蔓が伸び、敵を狙い定めた。
「お前、避けられるかしら」
 蔓の先がチャイルドマンを打ち据える。その蔓が当たった脛の一部が、毒素ででろりと爛れる。
「な、何だこれは……」
「私にだけは触れないで」
「成程……ならば『動くな』」
「理不尽な言いつけは聞けないわね」
 人魚のキファは歩けない。水鞠に乗って動いている。キファはその水鞠を動かし、人形の短剣を鮮やかに避けてみせた。
 財産喰らいは、おそらく、人狼の――。
 チャイルドマンの人形を操っていない手が、キファに掠める。
「触らないでと言ったのに」
 お前、『毒』がこわくはないの。
 奴の手が、その一瞬で青黒く腐り、人形を操る指の何本かが使い物にならなくなる程歪んでいった。
「ぐぅぅ……っ」
 悶絶するチャイルドマン。彼にとって人形を……子供を操れなくなることは何よりの苦痛だった。
「せいぜい、苦しんで逝きなさい」

成功 🔵​🔵​🔴​

旗村・グローリー
人形遣いを滅ぼそう。

展示品の鑑賞も終わったのでそろそろ帰ろうと思ったが……
何やら展示物を組み合わせて遊んでいる不届き者がいる様子。
人体のパーツを陳列するのはまあいい。何かを集めることには価値がある。
だが目の前の男は、それらを滑稽にもつなぎ合わせてしまっているではないか。

古今東西の宝石を接着剤で固めたところで、それに意味はあるのか。
名だたる画家の作品群をちぎって別個のものにして、そこに価値はあるのか。

実に、実に嘆かわしい。なので葬ろう。
人形を操れないよう、まずはその腕を切り落とすところから始めたい。
うむ、展示品に並べられるように上手く分割できればベストだ。



「展示品の鑑賞も終わったのでそろそろ帰ろうと思ったが……」
 グローリーは背広に包まれた逞しいジャイアントパンダの首を、こきこきと鳴らした。
 展示物を組み合わせて遊んでいる不届き者を前に。
「人体のパーツを陳列するのはまあいい。何かを集めることには価値がある。だが」
 目の前の男を、黒い縁取りに覆われた双眸が見据える。それらを滑稽にも繋ぎ合わせてしまっている男を。
「古今東西の宝石を接着剤で固めたところで、それに意味はあるのか。名だたる画家の作品群をちぎって別個のものにして、そこに価値はあるのか」
 双斧を、構える。
「実に、実に嘆かわしい」
 なので葬ろう。
 革靴に包まれた爪先が、絨毯に覆われた床を音もなく蹴る。声を出させる暇はなかった。次の瞬間、チャイルドマンの左腕は、肩口から別れを告げていた。
「……!?」
「うむ、展示品に並べられるように上手く分割できたな」
 血飛沫が上がる。壁際に並べられた子供の脚が、血に塗れた。
「おのれ……私には、私自身を展示する趣味はない!」
 チャイルドマンのその傷を受けた肩が変形する。それは、ジャイアントパンダの形をしていた。同種から見れば差異はあったのだろうが、人の目にはグローリーと同じモノにしか見えない。
「何……」
 その膂力は正にジャイアントパンダの如く。熊猫と称されるに相応しい怪力。それがグローリーに噛みつき、血を啜った。
「ふ……はは、貴様を飾ってやれないのが残念だよ。この博物館の志向の範囲外だ」
「代わりにお前を飾ってやろう。せいぜい価値ある展示物となるがいい」

成功 🔵​🔵​🔴​

ルーナ・ユーディコット
解体したのを並べて展示したと思えば、継ぎ接ぎして
生き物を積み木か何かと勘違いしてるのかな
どうあったとしても、その悪趣味の代価を支払う時だ
支払いは……その命で結構

孤狼【彗星】の高速移動を駆使し戦う
敵を屠る為なら命を燃やしてもいい、そして何もかもを貫く【覚悟】が私にはある
最早帰る故郷もありもしないのだから
最適と思うタイミングで【捨て身の一撃】で一息に【串刺し】に、【激痛耐性】で強引にでも討ちにいく
人形を盾にするなら【鎧砕き】も使う
「失せろ、埒外の蔓延っていい世界じゃない」
我ながら、ずいぶん酷い自虐を言えたものね

真の姿を解放
髪は黒く、瞳は赤く、人狼になる前の人間だったころの姿へ

※連携、アドリブ歓迎


彩花・涼
子供の体の一部で人形を作るとは、本当に悪趣味だな。
あまり人形には傷を付けたくないが……致し方あるまい、そこで躊躇していては倒すことは出来ないからな。

躊躇している味方が居れば【鼓舞】して敵を倒す方へ意識を向けさせつつ、
【ダッシュ】で敵に接近して【残像】でフェイントをかけながら黒華・改で斬りかかりにいく。
人形を盾にしてきそうだがな、その場合は構わず【2回攻撃】で人形もろとも斬る。
敵の攻撃が命中した場合は、簡単なルールなら破らないように注意するが
可能な限り【見切り】で回避する。

苦戦するようなら真の姿になり、黒蝶の鎮魂歌を使用して人形に纏わりつかせて動きを封じ、その隙に本体に黒爪・改の銃弾を叩き込む。



「子供の身体の一部で人形を作るとは」
 涼は表情の薄い顔を微かに歪める。両の手の黒い武器を握る手が、僅かに震えた。
「生き物を積み木か何かと勘違いしてるのかな」
 ルーナの声もまた、声以外のもので震えていた。
「どうあったとしても、その悪趣味の代価を支払う時だ。支払いは……」
 ルーナの身体を青い炎が包み込む。その重心が低く沈んだと思われた次の瞬間、彼女の身体は弾丸と化して敵に飛びかかっていた。
「その命で結構」
 『孤狼【彗星】(コメット)』。命を削り続けるその技が、目にも止まらぬ高速移動と衝撃波の放出を可能とする。
 衝撃波がチャイルドマンの髪に咲いたオダマキの花を一輪散らした。後退してルーナの突進を躱した男に、涼の手にした黒い刀身が迫る。
 その剣が届く前に、涼とチャイルドマンの間に人形が割って入った。チャイルドマンの残る右手の仕業であることは明白だ。
「あまり人形には傷を付けたくないが……」
 しかし涼は躊躇うことなく、腕を振り抜く。人形の左腕がチャイルドマン同様落ち、諸共チャイルドマンの脇腹が斬り裂かれた。
「何……っ」
「致し方あるまい。貴様のような下衆を倒すためだ」
「ぐっ……よくも私の芸術品を……『止まれ』!」
 命令と共に下された人形の短剣の一撃を、見切る。涼に掠りもしなかったのは、ルーナが人形遣いの横から激突したからだ。
「ぐお……っ」
「るぅぅ……」
 ルーナの喉奥が鳴っている。それとは反対に、彼女の姿は変じつつあった。髪は白から黒へ、瞳は金から赤へ。頭頂にぴんと伸びていた耳は頭部の横へ丸くなり。その姿は、ルーナが人狼となる前の人間そのもの。
「お前を屠る為なら命を燃やしてもいい、そして何もかもを貫く覚悟が私にはある」
 最早帰る故郷もありもしないのだから。
 【月桂樹】が、男の心の臓を串刺しにしようとする。チャイルドマンは右に退き、人形を盾にした。チャイルドマンの代わりに、その残された胴の肋骨が砕かれる。
「失せろ、埒外の蔓延っていい世界じゃない」
 我ながら、ずいぶん酷い自虐。表情を失いつつある自分とこの人形、何が違うと言うのだろう。
 その差は――正に覚悟。彼女が先程固めたもの。
 ルーナがチャイルドマンの動きを封じている間に、涼もまた姿を変えていた。先程の骸骨兵との戦いと同じように、彼女の足元から黒蝶が溢れ出す。それは涼の身体を覆い尽くすに留まらず、人形に纏わりつき動きを阻害した。
「う、動かぬ……!」
「喰らうが良い」
 左手の黒爪・改から放たれる銃弾。それはチャイルドマンの腐りかけた脚に着弾し、奴の動きを完全に止める。
 左腕を、片脚を失い、男は展示物と同じ姿に近づいていた。
「おのれ……!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。手早く済ませる為とはいえ、少し、無理し過ぎた
この傷だと全力を出せるのは後一撃…その一撃で、仕留める…

改造した防具の存在感を消す呪詛を再使用
気配を遮断して敵の行動を見切り機を伺う
敵が隙を晒したと第六感が感知したら【限定解放・血の聖槍】を発動

吸血鬼化した怪力を瞬発力に変え敵の懐に潜り、
掌打と同時に血と生命力を吸収する血杭を放つ
その後、力を溜めた血杭から無数の血棘を放ち、傷口を抉る2回攻撃を行う

聖槍は反転する。抉り喰らえ、血の魔槍…!

戦闘後…子供や犠牲者達の遺体や部位を埋葬して祈りを捧げる
…本当は親の元へ帰してあげたかったけど、ごめんなさい
もう貴方達を傷付けるものはない。安らかに眠って…


クリスティア・エルンスト
漸く元凶と対峙、だね。ここまで来たんだから、負けるわけにはいかない。
相手の攻撃は落ち着いて【見切り】ながら、《エレメンタル・ファンタジア》で吹雪をぶつける感じ。
お人形は可愛そうだけど、操られているよりは静かに眠りたいだろうから、盾にされても動揺しない様に覚悟を決めよう。

「――悪事もここまで。これ以上の犠牲は、出させない……!」
「今まで散々、色んな子を、痛めつけたんだし……君も、沢山、痛がりなよ……!」
「負けちゃダメ。頑張れ、私――大丈夫、うん……!」

全部無事に終わったら、ちゃんと弔ってあげられるといいな。
何か甘い物を少しずつ、お供えとか出来たら――なんて、ね。



「――悪事もここまで。これ以上の犠牲は、出させない……!」
 クリスティアの細剣が、氷晶柱が、再び冷気を纏う。それはやがて巨大な吹雪となり、横殴りの暴風がチャイルドマンを叩く。その氷雪は、手負いのチャイルドマンには痛手だった。
「ううぅ……」
「今まで散々、色んな子を、痛めつけたんだし……君も、沢山、痛がりなよ……!」
 暴走の危険に耐えながらも、クリスティアが吹雪を維持する。その長い銀髪が強風に舞った。
「負けちゃダメ。頑張れ、私――大丈夫、うん……!」
 己を鼓舞しながら剣と杖を構え続けるクリスティアの後ろから、別の白い影が姿を現わす。いや、白と思われたそれは銀――リーヴァルディ。彼女はよろめきながら、吹雪の中心にひた走る。
「……ん。手早く済ませる為とはいえ、少し、無理し過ぎた」
 骸骨兵を退けた時のダメージが、その足をふらつかせる。吹雪に、浚われそうになる。それを押し止めるのは、猟兵としての意志。
 この傷だと全力を出せるのはあと一撃……その一撃で、仕留める……。
 防具に施した呪詛は、三度目の使用にも耐えた。吹雪の中心で片手片脚で人形に縋る救いようのない男を捉え、懐に潜り込む。
 『限定解放・血の聖槍(リミテッド・ヴラッドパイル)』。
 リーヴァルディの掌打が顎を打つと同時に、血杭を放つ。それは血と生命力を吸収し――。
「聖槍は反転する」
 力を溜めた血杭から無数の血棘が生まれ、傷口から顎を抉り、頭を刺し貫く。
「抉り喰らえ、血の魔槍……!」
 その槍は、断末魔すら飲み込んで男を磔にした。一目ではその姿は翼の生えた聖人のようにも見えたが、その内実は祈りを捧げる価値すらない外道であった。

 戦いの後、猟兵達は犠牲となった者達の遺骸を一つ一つ埋葬した。それは展示物とされた子供、骸骨兵になった大人達の区別なく、骨の一片、爪の先に至るまでの丁寧なものだった。
「……本当は親の元へ帰してあげたかったけど、ごめんなさい」
 墓標の前で、リーヴァルディが頭を垂れる。彼女の想いは皆同じだったが、遺骸の個の由来を知ることは最早不可能であった。
「もう貴方達を傷付けるものはない。安らかに眠って……」
 祈りを捧げるリーヴァルディの隣で、クリスティアが墓の一つ一つにクッキーや飴などの甘いものを供えている。それを手にしている無邪気な子供の顔を思い浮かべながら。奇しくもクリスティアと年のそう変わらないだろう子供の顔を。
 そして一緒に全員が祈りを捧げ、やがて猟兵達は無数の墓標が佇む屋敷を去る。平和の訪れを、今生きる街の人々に伝えるために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月25日


挿絵イラスト