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帝竜戦役⑱〜 冷静と情熱の温泉卓球

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #群竜大陸


●おはだけはありません。
「サー!」
 高熱を放つ温泉地帯。
 その片隅に、群竜大陸に存在するには激しい違和感を感じさせるものがある。
「フィフティー・ラヴ! セット!」
「なんということでしょう。帝竜の加護がありながら負けてしまうとは……」
 飛び交うピンポン玉。揺れるネット。
 そう、これは卓球台だ!
「温泉といえば卓球ですよね!」
 激しいスマッシュにサンゴのかけらが宙を舞う。
 ふわりとローブの裾を翻しながら、神龍教派のクレリックたちはラケットを振り回していた。

●噴き出す、「何か」
「諸君! 群竜大陸における戦いも半ばと言ったところか! 連日ですまないが此度も戦いの知らせだ!」
 ゴッドオブザゴッド・ゴッドゴッドゴッド(黄金存在・f16449)が何故かつやつやしながら告げる。次なる戦いの舞台を。
「向かってもらいたいのは、冷静と情熱の珊瑚礁! 高熱を放つ「サウナ珊瑚」の生える温泉地帯だ! この地に住まうオブリビオンを退治してほしいのだ!」
 この温泉に浸かった者は、特定の感情を爆発的に増加させるという。
 そして、これを抑え込み我慢すれば我慢するほど、戦闘力が上昇するのだ。
 効果時間は長くないが、これを利用すれば戦いは有利に運ぶだろう。
 温泉につかり、この効果をしっかり受けて戦ってくれ、とゴッドは続けた。

「では、この地で膨れ上がる感情について説明する! それは、その……卓球をしたいという気持ちだ!」
 卓球。球技の一種。ピンポンともいう。
 卓球台を挟んで向かい合い、ラケットで球を打ち合って勝敗を競う。
「いや、気持ちはわかる。だがこれを抑え込み、冷静な対処を行えば諸君の力は増大し、勝利は近づくであろう!」
 戦場で卓球を始めるものなどいるのだろうか。
 そもそも台がないだろう、という当然の疑問。
 しかし、そのあふれんばかりの情熱はオブリビオンたちにも湧き上がっているのだ!
「諸君が温泉から上がると、どこからともなくオブリビオンは卓球台とラケットを持って現れる! その誘惑はすさまじく、逃れることは困難だ!」
 敵は神龍教派のクレリック。帝竜を信じ敬う彼女たちだが、その信仰心にも劣らぬ勢いで卓球に誘ってくるらしい。
 普段であれば抗うこともできようが、温泉の力により卓球がしたくて仕方のない状態だ。その強烈な誘惑に抗うのは、猟兵たちであっても難しい。
 しかも彼女たちの実力はユーベルコードの力もあってかなりのもの。負ければどうなってしまうのかは、想像に難くない。
「卓球を断り続ければ、奴らも実力行使にうつるだろう! だが、その時諸君の力は増大している……いいか、くれぐれも冷静な対応を心がけてくれ! 温泉の効能があれば勝利は目の前だ!」

 と、そこでもう一つ。これを忘れてはいけないと大事なことを示す。
「知っての通り、群竜大陸には様々な財宝がある……この地で手に入るもの、それはサウナ珊瑚だ!」
 水を温泉化する、成分が摩耗することもない不思議な珊瑚。おそらく、クリーンな火力発電としても利用できるといわれているのだ。
 親指大のひとかけらでも、金貨100枚程度の価値はあるだろう。
「では、しかとこの地を制圧し、帝竜戦役の後に続く成果を上げてきてもらいたい! 諸君の活躍に期待しているぞ!」


納斗河 蔵人
 お世話になっております。納斗河蔵人です。
 今回は帝竜戦役、冷静と情熱の珊瑚礁での戦いです。温泉といえば卓球。
 こういうのアリなのかな、と思いましたが公開されているなら大丈夫ということです。
 力を増幅させる温泉に浸かった後は、卓球をしたい気持ちを抑えてオブリビオンを討伐してください。

 今回は下記の通りプレイングボーナスがあります。

 プレイングボーナス……「爆発的な感情」を発露させた上で、抑え込む。

 内容が内容ですので卓球してもいいですが、その場合は当然↑のボーナスはつきませんので(通常のものはプレイング次第で少しつきます)承知の上でお願いします。
 以上、プレイングをお待ちしています。よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『神龍教派のクレリック』

POW   :    信仰心の証明
自身の【神龍教への信仰心】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    神罰の吐息
【天から降り注ぐ聖属性の突風】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に神龍教徒のみに及ぼす加護が満ち溢れ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    神龍降臨の儀
無敵の【神龍】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
👑7
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ベール・ヌイ
卓球…ボールを打つ…
つまりこれだね?(護理雷ビーチボールを渡す)
え?違う…でもヌイこれしか持ってない…
用意されてる…?怪しくて使いたくない…
いやだって…やってみたいけど…いや…使うならこのボール…
とか押し問答してぐだぐだにげつつ、【ベルフェゴールの矢】をこっそり一本だけだして後ろ手で刺して感情を抑えます
相手が襲ってきたら残りの矢を全部打ち込んで感情を0にします
怠惰になったその頭で無敵をまだ信じられる?
多少のこうげきは「激痛耐性」で耐えます
アドリブ協力等歓迎です



 冷静と情熱の珊瑚礁。
 サウナ珊瑚の産み出した温泉は、群竜戦役で激しい戦いを続ける猟兵たちの体に染み渡る。
 しかし、この温泉は、入った者のある感情を爆発的に増加させるのだ。
「うう、なんだかうずうずする……」
 風呂上がりに寝ぼけ眼でつぶやいたのはベール・ヌイ(桃から産まれぬ狐姫・f07989)であった。
 彼女は膨れ上がった感情の正体をまだ知らない。
 胸の内のもやもやとした感情に戸惑っていた、そのときだった。
「あなたの感じている感情は私たちが知っています!」
「さあ、卓球をしましょう!」
「ヴァルギリオスさまもそれを望んでいます!」
 突如現れた神龍教派のクレリックたちが血走った目で卓球台にピンポン球、ラケットを手にベールを取り囲む!
「え、なに?」
 突然の出来事に、彼女は首をかしげたのだった。

「卓球……ボールを打つ……」
「はい、温泉といえば卓球です! ヴァルギリオスさまもそう言っています!」
 本当に帝竜がそんなことを言ったとは思えないが、クレリックたちは熱心にベールを誘う。
 どんなルールで、何を競うのか。そしてその楽しさを布教よりも熱心に語り上げる。
 その熱意に、彼女も一つのひらめきを得たようだ。
「つまり、これだね?」
「違いますっ!」
 クレリックが盛大にずっこける。
 ベールが取り出したのは護理雷の描かれたビーチボールだった。球技には違いないが……
「え? 違う……でもヌイこれしか持ってない……」
「それではビーチバレーです! これ、これを使うんです!」
 ぐいぐいとラケットを押し付けられ、表情が歪む。
 そうする間にもクレリックたちは辛抱ならないと卓球台を広げ、ネットをセットし始めた。
 だが、ベールはその圧力に疑念を抱く。
「用意されてる……? 怪しくて使いたくない……」
「何を怪しむのですか! あなただって卓球がやりたくて仕方がないって顔をしてますよ!」
「いやだって……やってみたいけど……」
「ならまずはやってみましょう! はい、このピンポン球を手に持って!」
「いや……使うならこのボール……」
「それじゃラケットより大きいでしょう!? 卓球はこの台の上でやるの!」
 押し合い、へし合い。ぐだぐだと続く問答。
 だがその時。ベールの指先から一本の矢が飛びだし、彼女自身へと突き刺さった。
「ふぁ……ねむぃ……」
「さあ、やりましょう!」
「いや……だるいからやらなくていいんじゃないかな……」
「えっ、なんだかんだ言いながらさっきまでやる気満々に見えたのに!?」
 あくびを、ひとつ。この矢は『ベルフェゴールの矢(タイダニイタルユマイ)』の一本。
 怠惰を誘う、感情を奪う一矢。この力で彼女は、『卓球をしたい』と言う気持ちを完全に抑え込んだのだ。
 すなわち、温泉はそれに応じて力を増幅させる。
「だってさ……温泉の後はだらだらしたくない……?」
 ベールの矢は目にも留まらぬ早さでクレリックたちにも突き刺さった。
 ごろん、と身を投げ出す彼女に続いて、オブリビオンもラケットを投げだし口からはあくびが漏れる。
「ですよねー。卓球とかだるいです」
「ヴァルギリオスさまとかどうでもいいやー」
「ぬいぬい」
 彼女たちは、完全に落ちた。怠惰へと。
 ――先ほどまでの熱が嘘のように辺りは静まりかえり、やがて小さな寝息だけが響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

護堂・結城
温泉といえば卓球…くっ、なんて恐ろしい誘惑なんだ
だけど卓球台にラケットまでセットで来るって…それでいいのかオブリビオン!?

【POW】
氷牙を刀に変化させ【怪力・なぎ払い】で牽制
【歌唱・大声】に【生命力吸収】をのせて戦場に溢れた感情を喰らう【大食い・範囲攻撃】
自身の卓球への衝動を【捕食】して、敵は冷静にならない程度に加減して吸収、指定UCを発動だ
【焼却・属性攻撃】をのせた白き劫火の剣群を召喚

「まぁ、今戦争中だから、ね…?」

感情を食って落ち着いた心に湧き上がるこの衝動…抑えきれない…!
心からの叫びと共に剣群を投擲、炸裂させて【爆撃・衝撃波】で攻撃する

「――遊んどる場合かぁああ!!?」



「くっ、なんて恐ろしい誘惑なんだ」
 護堂・結城(雪見九尾・f00944)はわなわなと手を震わせ、膨れ上がった感情に抗う。
 しかしその魅力は彼を誘い、引き寄せる。
 一試合だけならいいのでは? 火照った体を冷ますには体を動かすのも良いに違いない。
「温泉といえば卓球……そう、それはそのとおり」
 そのつぶやきに声がかけられる。それは温泉にも劣らぬ熱で彼を誘う。
「さあ、やりましょう! 卓球を!」
「何試合でもお付き合いしますからね! むしろ逃がしません!」
 神龍教派のクレリックたちの手により、テキパキと整えられていくフィールド。
 そう、これは卓球台!
 A&Wの、群竜大陸に卓球台!
「だけど、卓球台にラケットまでセットで来るって……それでいいのかオブリビオン!?」
「いいんです! ヴァルギリオスさまもそう言っています!」
 あふれ出す卓球をやりたいという気持ちとツッコみたい気持ち。
 どうやらほんの少しだけ、後者が勝ったようだ。

「叫んだらちょっと冷静になったぜ……」
 寄り添う竜の氷河を刀に変え、卓球に誘うクレリックへと一閃。
 少し惑わされそうになったが彼女たちはオブリビオンなのだ。
 外道にかける情けはない。
「暴力行為反対!」
「私たちに勝てないと思って!」
「スポーツマン精神がないんですか!」
「これは卓球漬けにしてやるしかありませんね!」
 だが、その行いには非難囂々だ。今の彼女たちには卓球しかない。それを拒むものは敵なのだ。
「まぁ、今戦争中だから、ね……?」
 結城は苦笑し、刀へと己の感情を喰らわせる。卓球をしたいという衝動を。
 そしておあつらえ向きに、彼女たちの感情も自分への怒りという形で発現している。
 狙うならば、そこだ。
「その感情、喰らってやる!」
 冷静になった頭の片隅でそんなことを考えながら、結城は吼える。
 刀の軌跡に添って氷が散った。
「きゃっ……」
「許せません! そんなことしても卓球に勝ったとは言えませんよ!」
 だがクレリックたちもやられっぱなしではない。
 猛烈な勢いで迫る一撃。
 風を切り、正確に結城の頭へと突き刺さった。
 ぺこん、と音を立てて。
「……なんだこれ」
「ピンポン球です!」
「私のスマッシュを捉えられるものはいない……」
「さあ、次々と飛んでくる球を打ち返して見せなさい!」
 ピン、ポン。卓球台を華麗に跳ねて彼へとぶつかってくる。
 全く痛くは無いが。
「……お前ら」
「どうしたんですか! 降参ですか!」
「私たちの指導が通じましたか!」
 
「――遊んどる場合かぁああ!!?」
 
「わーっ!?」 
 叫びと共に彼の周囲に劫火をまとった剣が浮かび上がる。
『雪見九尾の劫火剣乱(ナインテイル・ソードフレア)』は感情のままに周囲を焼き、切り裂く。
 勢いのままに卓球台は真っ二つ。
 感情を食って落ち着いた心に湧き上がる衝動。
 オブリビオンの怒りを喰らい、あふれ出す衝動。
「この衝動……抑えきれない……!」
 それは温泉のせいなのか、彼本来の気質なのか。
 激しいツッコミが爆発し、辺りは激しい熱に包まれたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルセティ・ソルレスティア
【ダブルス前衛/f00964】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「テニスを小さくしたのが卓球だよね?」
スポーツあまり詳しくないけどなんとかなるかな?
【行動】
テニスウェアにテニスラケットを装備して温泉に浸かるね。
「テニスの格好でも卓球やりたくなるから不思議ー」
でもテニスも卓球も似たようなもの。敢えて卓球欲を少し逸らして
テニスに興じる作戦だよ! 卓球やりたなーって思っても、
「やっぱりテニスのほうがカッコいいし」
と自己暗示かけてみるよ
ボクが前衛でフィオ姉ちゃん後衛。
卓球に誘うクレリックの前に立ちはだかってテニスで勝負だ!
「いまだ、スマッシュ!」
フィオ姉ちゃんに続いてクラロ・デ・ルーナでやっつけちゃうよ!


フィオリナ・ソルレスティア
【ダブルス後衛/f05803】【WIZ】(連携・アドリブ可)
■作戦
卓球? いやテニスでしょ!と謎のテニス魂で卓球欲を抑えて戦う
■行動
「ちょっと丈が短すぎるかしら」
何故かテニスウェアで温泉地帯へ。膝まで温泉に浸かってから卓球台の前へ
温泉、浴衣、スリッパ、卓球
(確かにあの謎なラバーラケットを持ちたくなるけど…)
「私達にはテニスがあるわ」
きつく握ったテニスラケットを天高く掲げて、謎の自信で卓球欲を抑える
小さなピンポン玉よりテニスボール
「ここはダブルスで勝負よ」
卓球台の前に立つクレリック二人に無茶苦茶な勝負を挑む
「いくわよ、炎のサーブ!」
と言いながら【ウィザード・ミサイル】を放ちクレリックを撃破する



 ちゃぽん、と温泉に波が立つ。
「フィオ姉ちゃん、良いお湯だね」
 足を湯につけつつそう語りかけたのは、フォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)だ。
 何故かテニスウェアに身を包み、その手にはテニスラケット。
「そうね、フォルセティ」
 答えるのはフィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)。
 彼女もまた、同様にテニスの格好だ。裾を気にしつつ、つぶやく。
「ちょっと丈が短すぎるかしら」
「いいんじゃないの、似合ってるし」 
 さて、二人の姿はどう見ても温泉に入る格好ではないが、これにはもちろん意味がある。
「それにしても、テニスの格好でも卓球やりたくなるから不思議ー」
「そうね……でも、この欲を押さえ込んで力を得ないと」
 ヘへ、と笑うフォルセティの言葉。
 そこに猛烈な勢いで反応を示すものがいた。
「今卓球をしたいとおっしゃいましたか!」
「その願い叶えましょう!」
 ずざざ、と音を立てて現れたのは神龍教派のクレリックたちであったのだ。

「卓球台はもちろん、ラケットも各種用意していますよ」
「お望みならば浴衣とスリッパもあります! 温泉に入った後と言えばこれですよね!」
 見つけた獲物は逃がさない。すさまじい圧力でクレリックたちは二人に迫る。
 温泉が膨れ上がらせた、卓球をしたいという感情。
 そこにこの怒涛の勧誘である。抗うのは困難なのである。 
「テニスを小さくしたのが卓球だよね?」
「あら、あなた卓球をご存じない!」
「テーブルテニスとも言うくらいですから共通点はありますが……」
「いいですよ、基本からお教えしますからね!」
「ちょ、ちょっと近いってば」
 疑問の言葉にクレリックは血眼だ。
(確かにあの謎なラバーラケットを持ちたくなるけど……)
 戸惑うフォルセティの姿を横目に、フィオリナはチラリ、と卓球台の方を見やる。
 温泉、浴衣、スリッパ、卓球。この誘惑には抗いがたい。
 乗ってしまえば、温泉がもたらす力は効果を失ってしまうだろう。
 だがあえて、彼女はこういった。
「フォルセティには私が教えるわ。だから……ここはダブルスで勝負よ」
「ほう! 私たちのコンビネーションに勝つ自信があると」
「いいでしょう、相手をいたします」
 ふふん、と笑いながらクレリックたちは卓球台の対面へ。
 自信満々なフィオリナだが、本当に大丈夫なのだろうか?
 フォルセティも少し不安げに、問いかける。
「フィオ姉ちゃん、本当に大丈夫なの?」
「ええ。私達にはテニスがあるわ」

「ちょっと待ったー!」
「そのラケットは明らかに違います!」
 台を挟んで向かい合った猟兵とオブリビオン。しかしここでオブリビオン側から物言いが入る。
 それもそうだろう。猟兵二人が掲げたラケットは、卓球用のラバーが張られたものではなくテニスラケットであったのだから。
「卓球! 私たちがするのは卓球です!」
「卓球? いやテニスでしょ!」
「やっぱりテニスのほうがカッコいいし」
 なんという事だ! テニスウェアを着ていたのも全てはこのときのためであった!
 二人は卓球に向かう気持ちをテニスへと転化することによって、その情熱を逸らそうとしていたのだ!
 フィオリナの謎の自身はテニス魂を燃やしていたからである。
 フォルセティも口にしてみれば、テニスのかっこよさに心惹かれている。
「試合が成り立たないでしょう!?」
「さあ、テニスで勝負だ!」
「いくわよ、炎のサーブ!」
「ちょっと話聞いてくださいよ!」
 クレリックの言葉を華麗にスルーし、フォルセティが試合の開始を宣言した。
 フィオリナはテニスボールをトス。強く握りしめたラケットで先制のサーブを放つ。
 ぎゅん、と言う音と共に。卓球台が燃えた。
「テニスですらない!」
 そう、彼女はボールと共に『ウィザード・ミサイル』による炎の矢を放っていたのだ。
 ツッコミの叫びを気にもとめず、続けて二打目。
「今のはこちらのポイントね。フィフティーン・ラブ。さあ、続けていくわよ!」
「この人話聞く気ないわ!?」
 ふわり、とスコートを浮かび上がらせ、再び炎をまとったサービスがクレリックたちのコートへ。
 初手には反応できなかったものの、彼女たちも負けていない。
「させるかーっ!」
「ヴァルギリオスさま、私たちに力を!」
 無敵の神龍の力は強大だ。何より彼女たちは卓球に燃えているのだ。
 想像から想像された龍は卓球台と化し、ボールを跳ね上げる!
「こっちは卓球のルールで勝ってやるわ! スマーッシュ!!!!」
 跳びあがったクレリックはラバーの張られたラケットで強引にテニスボールを捉え、打ち付ける。
 ギリギリと、ラケットとボールはせめぎ合い、そして。
「まさか炎のサーブを返すなんて」
「さあ、炎のスマッシュを返せるものなら返してみなさい!」
 それまでよりも勢いを増したボールが、一直線にフィオリナへと向かって猟兵コートに戻っていく。
「そうはさせないよ!」
 が、その間に入り込むものがいた。フォルセティだ。
 彼は前衛、フィオリナは後衛。温泉の効果は彼らの力を増大させている。
 ネットの目前まで一気に詰め、ラケットを力強く振り回した!
「スマッシュ!」
 気合いと共にボールは光に包まれ、オブリビオンコートへと向かっていく。
 炎の力だけではない。『クラロ・デ・ルーナ』の力も乗せて、テニスボールは弾丸となった。
 いかなオブリビオンとはいえ、光速の一撃を打ち返すことはできようもない。
「私たちは……卓球がしたかっただけなのに……」
 爆発音と共に、クレリックたちの姿は光の中に消えた。
 卓球 VS テニス 異種球技マッチはオブリビオンの戦闘不能により猟兵チームの勝利!
「やったね、フィオ姉ちゃん」
「やっぱり卓球よりテニスだったわね」
 パチン、と音を立てて二人の手のひらがぶつかり合った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クシナ・イリオム
アドリブ歓迎

私、卓球ってやったこと無いんだけど…それでもやりたくなるのがこの温泉の恐ろしいところだね
一体何がどうなってこの温泉と卓球が結びついたんだ…?

さて、【魔法罠即席設計】でピンポン玉サーブマシンを召喚
このまま炎の大特訓と行きたいところだけど…
…残念ながらフェアリーの私ではラケットを持つことが出来ないからね
この気持を抑えて…というか抑えざるをえないから相手を卓球に熱中させながらこっちは普通に戦闘
相手がカコンカコンやってる玉をすり抜けながら卓球台の上を走って接近し【暗殺】するよ

(戦闘後得点板を弄りながら)
戦闘より卓球をとってしまったのがそちらの敗因
今回はこっちのポイントにさせてもらうからね



「私、卓球ってやったことないんだけど……」
 肘をつき、両の足をぱしゃぱしゃ。
 クシナ・イリオム(元・イリオム教団9班第4暗殺妖精・f00920)は温泉につかりながら、自分の内に生まれる感情に戸惑う。
「それでもやりたくなるのがこの温泉の恐ろしいところだね」
 群竜大陸での戦いも、始まってから三週間が過ぎようとしている。
 温泉による戦闘力の向上はもちろん、熱い湯は彼女の疲れを流していく。
 これまでにもこの温泉地帯がもたらす爆発的感情は感じてきた。
 それでも、疑問に思うのだ。
「一体何がどうなって、この温泉と卓球が結びついたんだ……?」
 サウナ珊瑚も、それに影響を受けたオブリビオンも、謎ばかりである。

「ここに卓球への熱意を感じました!」
「さあやりましょう!」
「……ってあら? 私たちが読み違えるなんてまさかそんな」
 クシナが温泉から出て身なりを整えていると、騒がしく神龍教派のクレリックたちが現れた。
 だが彼女はフェアリー。
 人間サイズの相手を探すクレリックたちは戸惑いを隠せない。
「や、ここだよ」
「あら、小さな卓球少女!」
 声をかけられてようやく気付く。
 しかし、卓球ヘの熱を発散するにはサイズの差が大きく立ち塞がっていた。
「うーん、是非一緒に卓球をしたいんですけど……」
「……残念ながら、フェアリーの私ではラケットを持つことが出来ないからね」
 さすがにフェアリーサイズのラケットも卓球台も用意されていない。
 気落ちするクレリックたちだったが、クシナはここで魅力的な提案をする。
「でも、こういうのはどうかな」
 手を掲げ、『暗殺技能・魔法罠即席設計(マホウワナソクセキセッケイ)』の力を解き放つ。
 現れたのはピンポン玉サーブマシンであった。もちろん人間サイズである。
「おおっ、これは!」
「炎の大特訓、といってみないかい」
「なるほど、このために私たちはここへと導かれた……」
 クシナに言われるがまま、疑うこともなくいそいそとクレリックたちは卓球台を準備。
 暗殺だの罠だのというユーベルコードの名前を、彼女たちは知るよしもない。

 カコンカコンとラケットがピンポン球を打ち返す音が響く。
「よっ、はっ!」
「もっと速度を上げてもいいですよ!」
 マシンから吐き出されるピンポン球は相手コートに向かって行く。
 クレリックたちはすっかり熱中し、マシンに夢中だ。
「私もやりたい気持ちはあるんだけど、どうしても抑えざるを得ないからね」
 物理的に卓球ができないクシナは、抑え込んだ感情の影響で身体能力を増している。
 台の上を行き交うピンポン球をすり抜けて、相手コートへと歩を進めていった。
「それそれそれ……ぐふっ」
 突如、クレリックの一人が崩れ落ちる。だが他の面々はそれでも卓球をやめない。
「それそれそれ……ぐふっ」
 また一人。クシナは淡々と処理を続ける。
 そしてやがて、ピンポン球を打ち返すものがいなくなったところでクシナはふう、と息をついた。
「戦闘より卓球をとってしまったのがそちらの敗因」
 彼女はその存在を知覚させることなく、一人残らずオブリビオンを暗殺してしまったのだ。
 物言わぬ死体に向けて、クシナは言う。
「今回はこっちのポイントにさせてもらうからね」
 少し力を込めるとくるん、と得点板が回転し、00-21を示した。
 
 

成功 🔵​🔵​🔴​

ベアトリス・アールエル
アドリブ連携歓迎
SPD

最近納品された白ビキニ姿で入浴
力を増幅させる温泉に浸かりリフレッシュした後
卓球をしたい気持ちを気合で何とか抑え敵を討伐するよ

天から降り注ぐ聖属性の突風を
早業、野生の勘、見切りで避けUC発動

強化したダッシュ、空中浮遊、クライミング、高速泳法、遠泳技能を
活かして敵が地形効果で戦闘力を高めてしまう前に
素早く倒してしまうよ

温泉を地形の利用で泳いだり潜ったり
いきなり翼で空中ダッシュしたり
岩場をクライミングしたりして距離を詰め
怪力のシッポや手足による肉弾戦とグラップルで掴む投げ技で
卓球のラリーのように次々に吹き飛ばすよ

「帰ったら久しぶりに卓球しようかね。財宝のサンゴも貰ってくよ」



「っかー、いいねぇ、温泉ってのは」
 温泉につかり、息を漏らすのはベアトリス・アールエル(ツーヘッド・ドラゴン・f18089)であった。
 白ビキニが眩しい。
 温泉に水着は邪道という者もいるだろうがここはこらえて欲しい。おはだけはありません。つまりそういうのもありません。
「戦いばっかじゃ疲れちまうし、命の洗濯ってね」
 サウナ珊瑚の作り出した奇跡の湯は彼女の体を、心を癒やしまだ続く戦いへの活力を産み出す。
 しかし、同時に。
「いや、ほんとに卓球がやりたくなるなんてね」
「卓球と言いましたね!」
 何処までも膨れ上がる感情がオブリビオンを引き寄せるのだ。

「さあやりましょう」
「すぐやりましょう」
「どんどんやりましょう」
「いやいやいや、待った待った」
 神龍教派のクレリックたちは猛烈な勢いで卓球台を広げ、ラケットのラリーを始める。
 普段ならばなんと言うこともないだろうが、ベアトリスも今は温泉の影響を受けて卓球をやりたくて仕方がない。
「ううううう、この誘惑。なんとも引きつけられるぅ―」
「遠慮することないのですよ。さあ、」
 だから、ふらふらとついラケットに手を伸ばしてしまう。
 ピンポン球をはじき、打ち返し、猛烈なスマッシュ。それは確かに気持ちのいい瞬間に違いない。
 が、そこでぶんぶんと首を振った。いけない。この感情を抑え込まなくては。
「いや、駄目だ! 私は卓球をするわけにはいかない!」
「えっ、何でですか!?」
「……とにかくこれを手に取るわけには……行かないんだよ!」
 気合いと共に彼女はパチンと指を鳴らす。『モーラー』の合図だ。
 同時に、誘惑から逃れるべく猛ダッシュ。でこぼことした温泉地帯を駆け抜けていく。
「待ってください! ちょっとだけでいいから!」
「断る!」
 クレリックたちも負けてはいない。卓球台を担ぎ上げベアトリスを追う。
「あなたは卓球をするんです! そのダッシュ力、才能があります!」
「……駄目だって言ってるだろ!」
 ベアトリスはドボンと温泉に飛び込み猛烈な勢いで泳ぎ始める。
 しかしクレリックたちもそれを追って、離されまいとついてくるではないか。
 もちろん、卓球台は背負ったままである。
「その体力! 卓球をするために……」
「しつこいっての!」
 今度は翼を羽ばたかせ、空中を駆けた。
 さすがにこれにはついてこられまい、と思ったところで突風が吹く。
「帝竜よ、彼女を導きたまえ……」
「そういうのありなのかい?」
 風にのり、クレリックたちはやはりベアトリスを追う。
 しかし、ここまで卓球を我慢してきたことで彼女の力は既に十分高まっている。
 くるりと方向を転換し、地に足をつけた。
「観念しましたか! さあ卓球を……」
「……いいだろう、でも球はお前たちだよ!」
 どん、と音が響く。宙返りしながら叩きつけられた尾が一撃でクレリックをたたきのめしたのだ。
 反動で浮かび上がる体。そのまま横薙ぎに振るえば、ピンポン球のようにオブリビオンは吹き飛んでいく。
「ぎょえーっ!」
「ほらほら、ラリーを続けられないのかい」
 今度は背負い投げで吹き飛んでいくクレリック。
 そうする内に、いつの間にかベアトリスはオブリビオンをぶちのめしていたのだった。
 ぱんぱん、と手を叩き、埃を払う。
「帰ったら久しぶりに卓球しようかね。財宝のサンゴも貰ってくよ」
 戦いの衝撃で剥がれ落ちたサウナ珊瑚を拾い上げ、ベアトリスは揚々と帰路についた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬飼家・ヤング
※アドリブ連携超展開大歓迎!

…かーっ!サウナでさっぱりええ男~っとな♪
せや、やっぱ温泉の後は卓球…って待てや、よーく考えたら、汗かいた直後に激しい運動したら脱水症状でぶっ倒れるんちゃうか?
それに、温泉気分といえば…

瓶入り牛乳~!!(テテテテッテレー)

腰に手を当てぐいっと一気飲み!
……ぷはーーー!! やっぱこれやで、これ!
水分補給も出来て一石二鳥や!

さーて今度こそ卓球…いや、まだ我慢や
すきっ腹で運動は出来んからの
その前に激ウマ串カツ食って腹ごしらえっと
(その時、流れピンポン玉の直撃で串カツが地面に落下)

あ、わいの串カツが…
…ウワァァァァン!どないしてくれるねんボゲェ!!
(バカウケ怒りの場外乱闘)



「は~びばのののん、っと」
 温泉地帯に響く鼻唄。
「バシーン、っとな」
 濡れたタオルが何かを叩く音。
「……かーっ! サウナでさっぱりええ男~っとな♪」
 火照った体に風を受け笑うのは馬飼家・ヤング(テレビウムのちっさいおっちゃん・f12992)であった。
 その視線の先には、清楚な衣服をまとった少女たち。神龍教派のクレリックである。
「おっ、卓球か! せや、やっぱ温泉の後は卓球……」
「ええ! その通りです! あなたも一緒にやりましょう!」
「ええなええな、若いじょーちゃんと一緒に卓球! 浴衣のお色気ハプニングがなさそうなのは残念やが……」
 あっさりと誘いにのって卓球台へと歩を進めるヤング。
 このまませっかくの温泉パワーを失ってしまうのか!?

 と、その時ヤングに電流走る……!
「って待てや。よーく考えたら、汗かいた直後に激しい運動したら脱水症状でぶっ倒れるんちゃうか?」
「えっ、そんなことあります?」
 ピタリと足を止め、考え込む。テレビウムの脳細胞がめまぐるしく働き出す。
 導き出された答え、それは。
「温泉気分と言えば……」

 瓶入り牛乳~!! (テテテテッテレー)

 光と効果音。取り出されたのはよく冷えた牛乳であった!
 ぐっ、と腰に手をあて、瓶を傾ける。
 白い液体はグビグビという音と共にヤングの喉へと流し込まれていった。。
「……ぷはーーー!! やっぱこれやで、これ! 水分補給も出来て一石二鳥や!」
「よかったですね! では卓球に……」
 
「いやいやいや待て、まだ我慢や」
「えっ、まだなにかあるんです?」
 卓球をしたくて仕方のないクレリックはそわそわと落ち着かない。
 しかしヤングはにやりと笑い、再び何かを取り出した!

 激ウマ串カツ~!! (テテテテッテレー)

 光と効果音。取り出されたのはタレのよくしみた串カツであった!
「すきっ腹で運動は出来んからの」
 ガハハと笑うヤング。 
 が、その時!
 試合を続けていたクレリックたちの卓球台で事件が起きた!
「スマッシュ!」
「きゃーっ、とれない!」
 激しく卓球台を跳ねたピンポン球。勢いを失わず、ヤングの方へと一直線。
 不意の衝撃! 視界から消える串カツ! 何かが落ちる音!
「あ……」
「あ……」
 憐れ、串カツは地に落ち砂にまみれる。サウナ珊瑚の温泉地帯には細かい粒が散っていたのだ。
「わ、わいの串カツが……」
「あっ、すいません……」
「あの、また買ってきますから」
「その、卓球やって忘れましょう?」
 ぷるぷると震えるヤング。その姿に少し引き気味に慰めるクレリック。
 だが、言葉は届かない。卓球をしたいという爆発的感情より大きなものが彼の内から吹き出した!
「グルメの道は一期一会。『また買えば?』では腹の虫が収まらんのじゃワレ。ドートン堀の底より深い絶望がオノレに分かるかゴルァ!?」
「すいませんわかりません!」
 そう、これは『くいだおれ野郎の逆襲(タベモノノウラミハラサデオクベキカ)』だ!
「……ウワァァァァン! どないしてくれるねんボゲェ!!」
「ひえええええーっ!?」
 叫びと共に爆発音。殴打音。聞こえてはいけない音。
 大変問題のある状況のため音声のみでお送りしております。
 
 ああ、食べ物の恨みとは恐ろしい。
 かくして猟兵たちの活躍により、冷静と情熱の珊瑚礁を舞台に繰り広げられた戦いは決着を迎えたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年05月21日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト