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白い花嫁の染まったヴェール

#サクラミラージュ


●素晴らしき門出
 ―ぱぱぱぱーん、ぱぱぱぱーん。

 天気は快晴、ファンファーレの響くめでたい日に二人の男女が綺麗な衣装に身を包み立っている。
 互いに見つめ合う二人には、その深い愛を見ることができた。

 サクラミラージュでは少々珍しいかもしれない、しかし決して少ないとは言えないであろう洋風の婚姻儀式。
 二人が身を包む衣装も、洋風らしい、ウエディングドレスとタキシードであった。

「素敵だよ、ミオナ。とても綺麗だ…」
 夫となるミオトは、花嫁のその美しさに見惚れていた。
 素敵だ、綺麗だ、とよく聞く言葉を連呼している。どうやら、語彙力が足りないらしい。
 普段から気弱であり、口下手な彼は元から語彙力なるものは足りていないのだろうが、今回ばかりは、それだけが原因ではないだろう。

「そればっかり、ミオトはいっつもそうなんだから!……今日ばっかりは、かっこよくしてよね!」
 妻となるミオナもまた、口ではそういうものの花婿のその凛々しさに見惚れていた。
 馬子にも衣裳とはよく言うもので、白いタキシードを身に纏った彼はとてもよく似合っていた。
 つん、と照れ隠しにそっぽを向くミオナの様子に、ミオトは落ち込んだような様子だ。

「新郎新婦さま、お出番です」
 式場のスタッフに声を掛けられ、はーい、と返事をすると二人は準備をするため待機室を出る。

「素敵よ、ミオト」
 横を通るその瞬間、小さく、彼にしか聞こえない程の声で彼女は囁いた。
 もちろん、愛する妻の言葉を聞き逃すわけはない。ミナトはさっきまでの様子が嘘のように意気揚々とその場を後にしたのだった。

 新しい門出。二人を祝福するは、友人と、家族と、お天道様と、そして……。

●グリモアベース
「はあん、結婚式ですって!素敵ね!女の子の夢よね~♪」
 結婚式という単語にテンションが高くなる案内人、リディー・プレヴェール(夢見る乙女のプリン(セ)ス・f27338)。
 リディーはそこそこ体格のいい身体でぴょこぴょこと跳ねつつ、話を続ける。

「どうやら夫婦になるお二人さんを祝福するのは、あの場にいる人たちだけじゃなかったみたいなのよね…」
 あの日、二人の前に現れたのは赤い糸の繋がった人形(ひとがた)だった。
 愛を誓うその瞬間、証のキスをしようとしたその瞬間、花嫁はその人形に撃ち抜かれたのだ。
 騒然となる会場に一人の少女が現れた。少女は倒れた花嫁に近寄ると、その見た目とは裏腹に花嫁を軽く持ち上げ連れ去ったらしい。
 花婿は突然のことで全く動けなかった。やっとの思いで手を伸ばしたが、すでに遅かった。

「その場に残されたのは…その時の血で染まった、花嫁のヴェールだけだったそうよ」
 残念そうに目を伏せるリディー。すぅ…と息を吸う。

「花婿は未だ式場で項垂れてるらしいです。…ふざけんじゃねぇっつーの!なにさらしてやがりますか!」
 途端に声を張り上げ、先ほどまでとは打って変わって雄々しい。
 彼は、アナタ達にお願いするわ!と続けた。

「花嫁を取り返すの!そして二人の門出をやり直すのよ!!!」
 ビシッと指を差し、彼は言った。

 ―いざ、劇的な追いかけっこへ!


楔之 祈
 お初にお目にかかります。楔之 祈です。
 今回は初めてのシナリオということで、緊張しておりますが、ぜひ皆様の大切なお子さんを劇的に、かっこよく、ロマンあふれる活躍を!
 ということで、攫われた花嫁を取り返せ!というシナリオをご用意させていただきました。
 ネタあり!思う存分、自身の思うかっこいい、をどうぞ!

●当シナリオについて
 当シナリオは、活劇浪漫逃走劇をモチーフにした三章構成となっております。

 「第一章」
 冒険です。逃走劇です。悪漢(影朧)に花嫁が攫われたところから始まります。
 花嫁をさらった悪漢(影朧)をとにかく追いましょう。
 ギミックは町そのものです。建物の壁、屋根、街路、全てがギミックとなっております。
 飛んで跳ねて走って飛んで、ノンストップでかっこよく追い詰めましょう!

 「第二章」
 集団戦です。追い詰められた悪漢は数々の手下を使って追っ手を払おうとします。
 皆さんは足を止めることなく手下共を振り払い追いかけてください。
 しかし、この手下達、何やら思うことがあるようです。戦闘だけでなく、話を聞いてやるのもいいかもしれません。

 「第三章」
 ボス戦です。ついに追い詰めた悪漢から、花嫁を取り返しましょう。
 最後の決戦です、悔いの無い様、かっこよく、ロマンチックな戦闘を繰り広げてください。
 ボスの説得はお任せします。が、倒してしまうのが賢明です。
 悪漢らしく惨めに死ぬか、心を入れ替え綺麗に死ぬか、は皆さま次第です。

 以上が各章の簡単な説明となります。
 ご興味が湧きましたら、ぜひ、よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『華の帝都の追走劇』

POW   :    とにかく走れ。力の限り道を征く。障害物も退けたりしよう。

SPD   :    壁を伝って走ろう。建物の上を行こう。屋根を飛んで伝って追いかけるのだ。

WIZ   :    地図を読んで先回りしたり魔力で追いかけたり。様々な智慧で追跡しよう。

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●希望の光
 騒然とした式場。
 せっかくのおめでたい日なのにと残念がる声、これも組み込まれたドッキリなのではと楽観的な声、花婿は何をやっているんだと恫喝する声。
 口々に好き勝手言っている参列者、泣き崩れる女性とそれをなだめる男性…新婦のご両親なのだろう。
 そして一番奥の神の前で項垂れている男性。新郎は、新婦の残した赤いヴェールをただただ、抱きしめていた。
 明るいはずの式場は、光が入っているにも関わらず暗くどんよりとしていた。
 その時だ。
 先程まで騒々しかった雰囲気は、一瞬にして静まったのだ。
 式場の入り口から入ってくる人々。彼らを前に、自ずと新郎への道が開く。
 彼らは優しく、声をかける。新郎はその声に、ようやく顔を上げた。
 振り向いて見えた彼らの後ろから、外の光が漏れている。
 それは、まるで後光のようだった。その場が一瞬にして明るくなるのを感じた。
勘解由小路・津雲
取り戻せ、ということは、まだ花嫁は息があるのだな。よし、ならば急ごうか。

【行動】
 ヴェールが残ったのは僥倖だ。【式神召喚】を使用。「疾く来たりてこの布の持ち主を追いかけたまえ。急急如律令!」

よし、【追跡】は任せて、おれは地図で相手の行き先を予想しよう。式神とは五感を共有しているから、どこを移動しているかはわかるはず。【情報収集】してだいたいの進路に予想がついたら、【地形を利用】して先回りだ。なんだったら式神を通して【衝撃波】や【念動力】で攻撃し、こちらの優位な場所に追いこんでもいい。上手く行くかはわからんがな。

やれやれ、おれは体を動かすのはそんなに好きじゃないんだ。とっとと終わらせてしまうぞ。


寧宮・澪
あれまー……大変ですね、花婿さんも。
頑張ってきますので、立ち直ってくださいねー……花嫁さん迎える為に。

電脳ゴーグルに、帝都の地図を映しましてー……そしたら、影朧の逃げた方角へ、猫の召喚で呼び出した猫さん達を放ちましょうねー……。
壁や屋根もお手の物、障害物も登って走って、飛び降りてー……身軽く走って行ってくださいなー……。
もちろん、猫さんの視界と、地図で、どこにいるか、把握しますよー。

猫さん達が影朧と少女を見つけたら、追跡してもらってー……私も、飛んで、地図上を一直線、最短距離で追いかけましょー……。

しかし何でしょね、何を目的にしてるのやらー……まあ、追っかけてみましょー……まずは、そこから。



●悪漢の逃走
「あなた…たちは?」
 新郎は入ってきた人達に問いを投げかける。
 先程の恐怖も合わさってか、注意深く見てみると彼は少し震えているようだ。

「あれまー…怖いですか?」
 一人の女性が新郎へ近づく。寧宮・澪(澪標・f04690)だ。
 彼女は適度な距離までくると、彼女はその場にしゃがみ優しく声をかける。
 その様子は、まるで怯えた子猫へ接しているようにも見えた。

「私は、寧宮 澪ですよー。私たちは、あなた達を助けに来たんですよ」
 安心してください、とふわりと微笑んでみる。
 緊張を解くように。恐怖を和らげるように。うまく笑えているかはわからないが、これは優しい彼女の気遣いだ。

 後ろから、ぬっとまた一人の男性が新郎へと歩を進めた。
 勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)だ。
 彼は澪の後ろまで来ると、足を止め、同じようにしゃがんだ。
 警戒を解くように、目線を合わせたのだ。

「事は聞いている。あんたの大切なものを取り戻す手伝いをさせてくれないか?」
 彼もまた優しく優しく声をかける。怯えさせぬように。
 その甲斐あってか、新郎の震えは止まり、立ち上がれるようになっていた。
 新郎は立ち上がると、抱きしめたヴェールをきゅっと強く抱きしめ、意を決したように口を開いた。

「妻が。ミオナが攫われたんです」
 新郎は攫われた状況を詳しく話す。
 あの時、新婦が貫かれた時、その傷は肩辺りであった事。
 現れた少女は連れ去った時、追いかけて来いと言わんばかりに挑発的だった事。
 聞いた限りでは、新婦がおそらくまだ死んではいないだろう。

「なんでしょね、目的がわかりませんねー……」
 話を聞いた澪は、考え込む。
 夫婦の誕生を阻止したいのは、幸せが妬ましいのか。花嫁を嫌っていたのか。
 はたまた、快楽犯なのかもしれない。
 もちろん、考えたってわかるものではない。
 いずれにしても、まずは後を追わねば。

「ふむ。であれば、まだ息がある可能性が高いのだな」
 津雲も少し考える素振りを見せた後、よし、と顔を上げる。

「ならば急ごうか。それが、残されたヴェールだな?」
 新郎の持っているヴェールに視線を向ける。
 新郎は残されたヴェールをまた強く抱きかかえた。

「なに、どうしようという訳ではない。少し見せてもらいたいだけだ。心配なら、そのまま持っていても構わん」
 本来なら渡すべきなのだろうが、新郎はやはり渋る。
 その代わり、抱えるのをやめ、腕を開いた。津雲が見やすいようにと。
 津雲はありがとう、と伝えると、ヴェールに近づき手を合わせる。

「疾く来たりてこの布の持ち主を追いかけたまえ。急急如律令!」
 津雲が唱えると、ふわっと光が舞い始め、それはやがて鳥の形を成し飛んでいく。
 津雲は召喚した式神を使い追いかけるようだ。
 五感は共有している。体を動かすのが苦手な主の代わりに、式神はその全てを目に写すのだろう。
 それを見た澪もまた、動き始める。

「あっちのほうですかー……。さて、さて、猫さん、いらっしゃいなー…?」
 澪が声をかけると、ニャー、と声がし始める。
 ふと見ると、椅子の後ろ、祭壇の下、式場の至る所に小さな猫が顔を覗かせた。
 元から居たのか、外から来たのか。定かではないが、少なくともこの小さな猫達は澪の声に反応し、現れたことは確かだった。

「ゴーグルの調子は……良好ですねー。では、いきましょうー」
 どこから取り出したか、電脳ゴーグルを装着し小さな猫達に指示を出す。
 先程の津雲の式神のおかげで逃げた方角は把握できたのだ。
 小さな猫たちは、流石というべきか身軽に飛び出していく。
 壁を登って屋根を行くもの、机の下を走っていくもの、積まれた木箱をひと蹴りして飛び越えていくもの。
 この程度の障害物は、きっと彼らにはあってないようなものなのだろう。


「ふん、ふん、ふーん♪」
 鼻歌交じりに少女は屋根の上に座っている。
 ローブを纏い、フードで顔を隠し、花嫁を抱えてその髪を撫でている。
 軽く止血されており、手当てをされている所を見ると、現段階では殺す気はないのだろう。
 するとそこに小さな光の鳥が飛んできた。津雲の放った式神だ。
 その奥には小さな猫の集団が走ってきている。
 いち早くたどり着いた津雲の式神は、念動力を用いて威嚇の攻撃する。
 もちろん、少女には当たらなかったが、少女は狙いが自分なのだと気づいた様子だ。
 んーと伸びをすると、少女は花嫁を抱え立ち上がる。

「なぁんだぁ、あの人じゃないんだぁ。つまんないの、ま、いっか」
 残念そうな少女はそのまま、小さな追っ手達に叫んだ。

「待ちくたびれたんだから、楽しませてよねー!!」
 そして少女は屋根を飛び去っていく。逃走劇の始まりだ。



「あれまー…案外まだ近くにいたんですねー……私もいきましょかね」
 召喚された猫達と五感を共有している澪。
 つまり、猫達を通して澪はその少女の姿を見ることができる。
 少女の姿を確認した澪は、ゴーグルに帝都の地図を映し出し、自身も少女を追うため外へ向かう。
 外へ出る前に一度、振り向き新郎へと声をかける。

「頑張ってきますね。頑張ってきますので、新郎さんも立ち直ってくださいねー……花嫁さんを、迎えるために。それがあなたの、お仕事ですよー……」
 そういうと澪は外へ出ていく。
 そしてその綺麗な翼を広げ、飛び立っていった。


 
 澪が発見できたということは、津雲もまた対象を認識できたということだ。
 追跡を式神に任せ、津雲は地図を開く。
 現段階ではまだ目的地はわからない。しかし、おそらくどこか、行く先があるはずなのだ。
 津雲は全神経を式神と地図に集め、情報収集に徹した。
 目的地が分かり次第、先回りができるように。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ベム・クラーク
アドリブ連携歓迎です!

センサーで周囲の地図を検索し、逃げる影朧を全力で追いかけます。

仲間の猟兵が追いかけているなら、屋根の上を走りながら撒いたと思った影朧の横からブースターで浮かび上がり、けん制のマシンガンを撃ちます。
「逃がしはしません!花嫁を返しなさい!」

ただし、瓦は派手に弾けるものの、影朧たちには当らず降下します。

そのあと、先回りして影朧たちの行く先の屋根が途切れたところから銃口を向けて浮かび上がり、同じように足元の屋根に斉射して、逃走方向を誘導します。

迫る追手、襲い来る巨大ロボ、ド派手な逃走劇、がんばれ影朧


バックミュージックはスピーディーなジャズでお願いします。


琴平・琴子
人の幸福を邪魔する奴は馬に蹴られて倒れてしまえ、でしたっけ
お望みのようなので蹴飛ばしてしまいましょうか

「白馬の王子様」で追いつけませんかね
(お前→白馬の名前。まだ名づけていないだけ)
お前、一緒に頑張りましょうね
憤るのは分かりますがそれは私も同じですからね、よしよし、どうどう
花嫁さんを味方と捉えお前に乗って追いつきたいです
私は背が低いので、屋根を跳んで伝って追いかければ見渡しやすいでしょう
・・・食べられるかさておき。お前、言う事聞かないと馬肉にしますよ
気高いお前、今回ばかりは粗相を許します
足だか手だかわかりませんけど蹴っておしまいなさい!

良くできたら褒めてあげましょう、よしよし




 澪と津雲に続くはベム・クラーク(ウォーマシンの鎧装騎兵・f27033)。
 二人の放った追手のおかげで逃げた方角が分かったベムは、後を追い助走をつけ飛びあがる。
 跳ねるように走り、少女との距離を詰めていく。
 少女の場所を正確に把握しようとセンサーを巡らせると、少し先にその対象を補足した。

「見つけましたよ!」
 ベムは加速し追い詰めていく。
 センサーの範囲内であった反応は、ついに彼が目視で確認できる距離まで来ていた。

「あらら、また増えたの?」
 一方でそれは、少女に認識される位置である、ということでもある。
 ベムの姿を確認した少女は、きゃっ♪と声を上げる。
 まるでこの状況を楽しんでいるようだ。


「さて、私達も行きましょう」
 ベムの飛び去った後、その方角の空を見上げながら琴平・琴子(まえむきのあし・f27172)は白馬に声をかけた。
 幻想的な美しい鬣のその白馬は、ぶるる…と急かす様に嘶き、琴子に返事を返した。
 どうやら憤慨しているようだ。それは白馬自身の感情なのか、はたまた琴子の感情を読み取ったようにも見えた。

「えぇ、えぇ。お前、憤るのは分かりますよ。ですから、一緒に頑張りましょうね」
 琴子は白馬を落ち着かせるように撫で、どうどう、と声をかける。
 そして優しく、かつ力強くこう続けた。
 攫われた花嫁さんは、自身の味方であると。そして助けたいのだと。
 お前と共に救いたいのだと。お前に乗って、共に追いかけたいのだと。
 そして……言う事を聞かないのであれば、馬肉にしますとも。
 琴子は白馬に跨るともう一度優しく撫でる。

「気高いお前。良く出来たらほめてあげましょう。今回ばかりは粗相を許します。足だか手だかわかりませんけど、あの悪い人を蹴っておしまいなさい!」
 その声と同時に一人と一頭は駆け出した。


 ベムはなおも少女を追っていた。
 追いつきはしたものの、動きを止めるまでとはいかない。
 
「逃がしません!花嫁を返しなさい!」
 ベムはブースターで浮かび上がり、マシンガンで牽制射撃を行う。
 マシンガンから放たれた数多の弾丸は派手に足元の瓦を砕いていく。
 がらがらと大きな音と砂埃をまき散らしながら落ちていき、視界を奪う。
 一瞬の静寂。しかし、次の瞬間もくもくと舞い上がる砂埃から三つの線が伸びた。
 少女を先頭に、ベムと琴子が砂埃を突き破ったのだ。
 琴子はなんとか動きを止めようと白馬を寄せるが、少女はひょいと隣の屋根へ、と飛び乗っていく。
 ベムも再び牽制を行うが少女は物ともせず勢いが落ちる気配がない。
 そのスピードある攻防は、街の人から見れば映画か何かの撮影にも見えただろう。
 この時、もし耳を澄ます余裕があったならば。
 彼らの耳に、ある部屋で流れていたスピーディーなジャズが届いたのかもしれない。

 地図によれば、この先少しずれたところに開けた場所があり屋根の切れ目がある。
 そこに誘導できれば、動きを止めることができるかもしれない。
 そう考えたベムは、少女の前に牽制射撃を置き進路を変えさせる。
 もちろん、一筋縄ではいかない。少女は分かっているかのように反対方向へ逃げていく。
 何度も何度も試すうち、琴子はベムが何かをしようとしていることに気が付いた。
 冷静沈着な彼女は状況を分析し、なんとなくだが、行かせたくない方向があるのではと考えた。
 そうとなれば、と琴子はその方向へと白馬を寄せ、進路を断つ。
 琴子とベムの連携のおかげで誘導は成功し、少女を開けた場所へと誘導するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ココマル・イチバーニャ
ガガッ、ガガッ、ピー……戦略シミュレーションの最適化に成功しマシタ。障害物の有無に関わらず、最短ルートで影朧を追跡しマス。

「ガガッ、ピー……前方に目標を確認。」
ガションガションと機械特有の走行音を鳴らし、50メートル14秒台の最大速度で移動しマス。
スピードが出ない分、フルパワーで勝負。木箱や酒樽が積まれていようトモ、何食わぬ顔で掴んで放り捨て、道を作りマショウ。

オヤ?多数の高エネルギー反応を感知シマシタ。何やらニンゲン達が、弁償しろと怒鳴っていマス。
しかし、ワタシは優秀なウォーマシン。
「請求はコチラマデ」
リディーサマの連絡先を渡し、カレーに立ち去るのデス!

ーーー
POW/アドリブ連携◎




 ガガ、ガッ、ガガッガ―ピ―。
 続いて追うのはココマル・イチバーニャ(主人の帰りを待つ・f27277)。
 出遅れはしたものの、戦闘シミュレーションを最適化し最短距離での追跡を行う。
 どこか古めかしい、少し心配になるような音を響かせつつも、最適化に成功した。

「ピピッ、最適化に成功しマシタ。コレより、最短ルートにて追跡しマス」

―ガションガション…。
 機械特有の走行音を響かせながら、追跡を開始する。

「最大スピードデス!」
 声を張り上げると、移動スピードを上げていくココマル。
 そして、トップスピードに達した時。
 ……まだ50メートル進んだ辺りだった。
 恐らく、運動は苦手なのだろう。そういえば、50メートルの最高記録は14秒だったっけ?
 最後に運動したのはいつだろう。旦那さまと追いかけっこをした時だろうか。
 その時の記録だったかな?
 ふと、メモリーから溢れた記録。これは、人でいう記憶というものなのだろう。
 影朧との追いかけっこをふと、それに重ねてしまったのかもしれない。

「ガガッ、ピ―、障害物検知。パワーアシストモードに移行シマス」
 お店の前の木箱はもちろん、先程の瓦礫の山等がココマルの行く手を阻んでいた。
 木箱の中には、そのお店の売り物が詰められている。

「ナンのコレ式ー!」
 移動スピードの遅い分、その能力は力に振られていた。
 ぎっしりつまった木箱をまとめて持ち上げ放り投げる。
 木箱は大きな音と共に砕け、中から果実のような甘い匂いと汁が溢れていた。
 次に積まれているのは酒樽。この酒樽は…自家製ワインかもしれない。
 もちろんこちらも一瞬にして消えてしまったのだが。
 さぁ、次は瓦礫ゾーンだ。同じように放り投げようとしたその時。

「ガガ…ピー。多数の高エネルギー反応感知シマシタ」
 何やら騒々しい後方に気づき、ココマルは振り向いた。
 先程通った道を、数人の住民が追いかけてきてる。
 何やら怒鳴っている様子だ。とてつもなく怒っている。

「こんにゃろおぉおおお!よくもうちの商品をぉぉおおお!」
「っざけんじゃねぇ!あのワインは20年は寝かせて、やっと売りに出せるもんだったんだぞ!!!」
 中にはうちの屋根が!!!という声も聞こえてくる。それはココマルがやったことではないのだが。
 捕まってしまえばただでは済まない。そもそも、そんな時間はココマルには無い。
 ココマルは再び走り始めた。
 とはいえこのスピードだ。捕まるのも時間の問題である。
 ココマルは考えた。どうにかする術はないものか。
 これでは追っているのか追われているのかわからない。

「「「弁償しろぉぉぉおおおおお!!!」」」
 声を揃えて怒鳴っている。
 弁償…すれば怒りは収まるだろうか。
 とはいえ金額が予想もつかない上に半ば不可抗力。依頼遂行のために致し方ない犠牲でもあるというか。
 事件が起きてすぐであるため、何が起きたのか等は伝わっていない。
 中には、映画の撮影か何かだと勘違いしてる人もいるのだから、いくら撮影でもやりすぎだと怒っていてもおかしくはない。
 走りながら思考を巡らせる。

「ベンショウ、すればいいノデスカ?」
 はっ、とした様子で立ち止まり、何やらメモを書き始める。

「てめぇ、わかってんだろうなぁ!?」
 どうやら書いている間に追いつかれてしまったようだ。住民達はココマルを囲み、怒りに任せて声を荒げている。
 その時、先程書いていたメモを差し出し、ココマルは一言言った。

「ご請求は、コチラマデ」
 流石はワタシ、優秀なウォーマシンデス。と内心自画自賛している。
 住民達も、払ってくれるのならとそのメモのおかげで怒りも収まったようだ。
 ココマルは再び追跡を開始する。スピードは相変わらずだが。

 後日、リディーの所に膨大な金額の請求書が届いたことは、また別のお話…。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シュゼ・レッドカラー
不採用含めて全て歓迎っス!
POW対応

誘導は成功したんスね!
それなら自分は相手を逃がさないように、足を調達するっス。
ここサクラミラージュは初めて来たっスけど、そこいらに馬車があるし馬をお借りするっス。
緊急事態なんスから、協力してくれないようならUCでアピールしつつ、場合によっては地面を殴り砕いて脅しをかけるっスよ!

無事にお馬さんを拝借できればゴーストレイト、目標目指してまっしぐら。
とにかく走る、力の限り征くっスよ~、邪魔な壁も殴り砕くっス!
……ところで、止まる時とか曲がる時って、どうすればいいんスかね?




「へぇー、ここがサクラミラージュっすかぁ」
 シュゼ・レッドカラー(牙ある野生、双拳を持ちて食らいつく。・f25319)もまた、少女を追う影の一つだった。
 シュゼは初めて見るサクラミラージュの景色に思わず声を漏らす。
 好奇心に任せ街並みを見渡していると、少し離れた場所の屋根上に例の少女の姿を見つけた。

「アレっすね!あーと…走るぐらいじゃ追いつけないっすねー……」
 屋根を行く少女に追いつくには同じ道を進むべきなのだろうが、シュゼのいる場所からはたどり着けないようだ。
 なんとか足になるものを探そうと思いつく限りの物を探す。
 車に電動式自転車、普通の自転車に馬車…馬車?
 丁度その時だ。

 ―ガタガタ、ヒィン。
 一台の馬車が近くに止まる。
 シュゼは占めたとばかりに大きな声で呼び止めつつ近づいた。

「ちょっとーすいませーん!」
 移動しようとしていた馬車は、声に気づき馬を止める。
 馬車を動かす青年は、自身を呼び止めたのかと声の主を探している様子だ。

「こっちこっち、自分っす!ちょっとお願いがあるんすけど…」
 シュゼは小走りで駆け寄ると、青年に言った。
 青年は、駆けてくるシュゼを発見するとなんです?と馬車から降りてくる。

「ちょっと、その馬を貸してほしいんすよ」
 は?と青年は零す。

「悪いことした人追いかけてるんすけど、追いつくためには走るんじゃだめなんす」
 そういうと頼み込むように手を前で合わせ、頭を下げる。
 青年はその姿を見て困惑するものの、やはり商売道具なのだ。簡単に貸せるものではない。
 申し訳ない、と馬車へ戻ろうとする青年の腕を引っ張り引き留めるシュゼ。
 人の命がかかっているんだと言っても、青年は他をあたってくれと突っ返す。
 なるべく穏便に、と考えていたシュゼは仕方ない、と目を伏せた。

「あんまりこういうこと、したくないんすけど…」
 そういうとシュゼは軽く肩を回し、ガンッと拳を打ち合わせた。
 ただならぬ音と、その雰囲気に青年はビクッと身を揺らす。
 ひょろっこい、所謂もやし男子であろう青年にはそれだけでも十分恐怖心を煽ることができた。
 青年は苦渋の色を見せつつも、愛馬を貸すことに承諾してくれたのだった。


 さて、無事に借りることのできたシュゼはその馬に跨る。
 心配そうにしている青年に向き直り声をかけた。

「感謝するっすよ!大丈夫っす、ちゃんと無事に返すっすから!」
 ニカッと自信に満ちた顔で笑うと、シュゼは走り出した。
 最後に少女を見た方角に向かって馬を走らせる。しばらくは一直線であった。
 しかし、もちろん一直線が続くわけではない。
 直に壁へとぶち当たった。
 レンガでできた塀だろう、奥に家が見えるわけではないためただの道の区切りだろうと思う。
 曲がらなければならない。が…。

「……これって、どうやって止まるんすか?」
 自信満々ではあったものの、よく考えてみれば乗馬経験があるわけではなかった。
 止まり方がわからない。なら、曲がってUターンなりするしかない。が……。

「……曲がり方もわからないっす」
 彼女の馬に対する知識は無であった。
 もしかしたら飛び降りれば止まったかもしれないが、かなりのスピードを出していた為、飛ぼうものなら無傷では済まないだろう。
 馬が止まる確証もない。無事に返すと約束して借りたのだから、怪我をさせるなど自身が許さない。
 となれば。

「ゴーストロングっす!行くしかないっす!」
 吹っ切れたのか。シュゼは再び拳を打ち合わせると、目の前の壁へ全力で突き出す。

 ガバゴゴゴゴゴッ。

 盛大な音と共に崩れるレンガの壁。
 馬は変わらず走り続けている。うまくいったようだ。

「この調子で追いかけるっす!うおおおおお!」
 これでいける!
 壁への対処法を確立したシュゼは、士気を高め追跡に当たるのだった。

 この後帝都の壁に穴が開きまくることになるのは、まだ誰も知らない。

成功 🔵​🔵​🔴​

神賛・ヴァキア
追えばいいんだな。
そういうのは前職のジョッキーから得意だ。

相棒の馬、マロンウィナー号に騎乗して全力で追う
声援もないし整った馬場でもないがこれはレースだ
いいから追え 全力で追え
差す サシ殺す!

鞍上の方が行きたい気持ちがいっぱいになりつつも、
馬の方は冷静にしかし素早く相手を追い詰める

私とマロンウィナーがレースで負けるわけないじゃないか




 ぶるる…。
 ここでもまた馬の嘶きが聞こえる。
 追い詰められていく少女の進路方向に、二つの影が見えた。
 神賛・ヴァキア(鞍上大暴走・f27071)と彼女の相棒、マロンウィナーだ。
 少女は二つの影に感づいたか、逃走進路をずらしていく。

「あれを、追えばいいんだな」
 そういうのは得意だ。と、ヴァキアはマロンウィナーに騎乗する。
 少女が二人と同列の位置まで来たと時、その火蓋は切って落とされた。

 声援もない、道はただの街路、舗装されてはいるものの所詮は人の歩く道。
 それ用ではないのだから、マロンウィナーも少しばかりやりづらそうな様子だ。
 しかし、そうだとしても。
 これはレースなのだ。私とマロンウィナー、二人揃えば、二人で走ればこれは誰が何と言おうとレースなのだ。
 そして、私とマロンウィナーが揃っていて、レースで負けるわけがないのだ。

 ずっと屋根の上を伝っていた少女は、二人の気迫ににやりと笑う。
 少女は挑戦的にヴァキアを見た。
 ヴァキアもそれに同じ目で返す。絶対に負けないと。
 難しいことは考えない。考えている余裕がない。
 追え、追え、追え。いいから追え、全力で追え。差す、サス、サシ殺す!
 気持ちが逸り、前のめりになる。
 そんな彼女の気持ちを抑えるかのように、マロンウィナーは食らいつく。
 冷静に、ルートを見極め、体力を考えスピードを一定に保つ。
 その甲斐あってか、少女との距離は縮まりつつあった。

「皆すっごいね!」
 あれだけたくさんの追手に追われ続けていてまだ体力は残っている。まだまだ余裕といった顔の少女。
 しかし、スピードは明らかに落ちてきている。
 このままいけば捉えられる。このレース、私達が勝つ!
 ヴァキアとマロンウィナーはとにかく追った。あと少し、あと少しだ。
 屋根もなくなり、ついに開けた場所に出る。
 少女は開けた場所の中心につくと、くるっとヴァキア達に向き直った。

「はー、追いかけっこ楽しいねぇ♪アタシにあれだけついてこれるんだもん、みーんなすっごいよ!」
 花嫁は未だ少女に抱えられている。
 あれだけ激しく逃げ回っていたにもかかわらず、汚れているのはドレスのみで外傷は見当たらなかった。

「強がっていられるのも今のうちだぞ」
 今までの猟兵が同じく辿り着く。少女は建物を背に囲まれてしまった。
 異質な雰囲気に、周りには人だかりができ始まる。

「ふーん。勝った気でいるの?アタシはまだまだもの足りなーい!でも飽きちゃったし疲れてきちゃった♪」
 淡々と話す少女。この状況で、危機を感じていないらしい。

「もっともーっと追いかけっこするの。この人がどれだけ愛されているのか試してあげるの。どんな所にだって追いかけてくれる人がいるのかな?居なかったら、救ってあげなきゃ。愛されないってつらいもの」
 ふふ、と笑うと少女はくるりと振り向いた。

「じゃ、第二回戦、かーいしーっ!」
 少女は人込みへ逃げ込み、建物へと入っていった。
 猟兵達は急いで後を追う。少女が逃げ込んだ建物は…。

―駅だった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『南京袋の女たち』

POW   :    イヤ! ヤメテッ!
【爪や噛みつき】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    キャーッ!
【激しい悲鳴】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ヤメテッ! サワラナイデッ!
全身を【南京袋】で覆い、自身が敵から受けた【怪我と心の傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●恋路列車
 少女を追い詰めた猟兵達。
 しかし、既の所で逃亡を許してしまう。
 少女は駅へと入っていく。どうやら彼女は次は列車で逃亡を図るようだ。

「あはっ、今度は誰が追ってくるのかなぁ♪楽しみだね、お嫁ちゃん♪」
 少女は列車の屋根に上り、風にあたりながらつぶやいた。

 猟兵達はある電車の屋根に少女の姿を発見した。
 しかし、列車相手では分が悪い。追いかけようにもどうしたものか。
 列車のダイヤを確認する。一人の猟兵が口を開いた。

「ねぇ、これなら追いつくよ」


 少女の乗る列車。まもなく一つの橋の下を通過するところだ。
 その橋の上には幾つもの人影が。
 列車が橋の下を通った時、活劇浪漫逃走劇の幕が、再び上がるのであった。
●悲恋の迎撃
 列車が橋の下を潜る。
 その瞬間、次々と猟兵達が列車に乗り移った。

「へー…てっきり諦めたのかと思ったよ」
 橋から降りてきた猟兵達に少女は感嘆の声を漏らす。

「なら、こういうのはどうかな?」
 なおも自身を追ってきた猟兵達に、この逃走劇の新たなルールを追加する少女。
 彼女の声に反応してか、わらわらと南京袋がはい出てくる。
 ただの南京袋ではない。よく見ると腕が生えている。
 細さ的に、女性の物だろうか。

「う…うゥ…」
 小さな声が聞こえてくる。それはか細い女性の物だった。
 間違いない、あの袋の中にいるのは。

「その娘達ね、大切な人に捨てられたの。ううん、最初から愛されていなかったの。
 可哀想でしょ?だからね、救ってあげたんだ♪」
 少女は言う。
 彼女たちは心に決めた男性に愛を騙られていたのだと。
 袋に詰められ、売り飛ばされ、モノとして扱われた。だから愛(殺)してあげたのだと。

「だから、貴方達も愛してあげて?救ってあげて?」

 少女はそういうと先頭車両へと走っていく。
 南京袋の女性達は、猟兵達へと襲い掛かるのだった。
シュゼ・レッドカラー
不採用含めて全て歓迎っス!

こんな鉄?の塊が魔法なしにこんな速さで走るんだから、世界ってのは凄いスねぇ。

花嫁さんを助けるには邪魔な奴らがいるみたいスね。
激痛耐性、継戦能力で蛮戝ナイフを持って斬り込むっス。
UCを発動してどんどん行くっスよー。
相手の悲鳴には武器受けで声を受け止めてカウンターっス。
手が痺れそうっスね。蛮戝ナイフを盾、攻撃は拳メインにするっス。手が痺れて拳が甘くなっても、斬るより殴るのが当てやすいっスから!

敵っスもんね、オブリビオンスよね?
倒した相手は味見するっス。毒耐性でイケそうなら決戦前の腹の足しにするっスよ~。



●荒涼の心
 「うわぁ、こんな鉄?の塊が魔法なしにこんな速さで走るんだから、世界ってのは凄いんスねぇ…」
 列車の上で、カンカン、と足を鳴らしている。
 シュゼ・レッドカラー(牙ある野性、双拳を持ちて食らいつく。・f25319)だ。
 様々な世界を行き来し依頼をこなす猟兵達だが、シュゼはこのサクラミラージュには初めて来たのだ。
 この列車に関しても、魔法を用いて動く物はあれど、蒸気で動く物は初めて見たのだろう。

「さて、と…花嫁さんを助けるには邪魔な奴らがいるみたいスね」
 ちらりと見やる先には南京袋。

「なんかよくわかんなかったスけど、オブリビオンスよね。敵っスよね」
 食えるんスかね。と考えながら、シュゼは構える。
 その様子に、敵と判断した南京袋は襲い掛かった。

「キィイイイ!ヤメテェェエエエエ!」
 南京袋はシュゼに飛びつき、爪を立てる。
 シュゼは間一髪避けたが、かすった様で腕に傷をつける。
 急いで距離を取るが南京袋も食らいついてくる。

「キャアァアアアアアアア!!!」
 超音波とも思える様な叫び声。
 シュゼは聴覚を防ぐことができず、まともに受けてしまう。

「うぐぅ…う…」
 思わず膝をつくシュゼ。その様子に、止めを刺さんと再び近寄ってくる南京袋。
 その時、持っていた蛮族ナイフを振りかざした。

「キ、キィィィ」
 南京袋は怯む。もしかしたら、生前を思い出したのかもしれない。
 その一瞬をシュゼは見逃さない。
 シュゼはナイフを振り回す。刺すように、切るように。
 致命傷とはいかないものの、その刃は確実に南京袋を刻んでいく。

「イヤアァァァァアアアアア!!!!」
 南京袋はまた叫ぶ。
 しかし、シュゼはもう一度膝をつくことはなかった。

「これで、終わりっスよ!」
 ナイフを盾に音波を受ける。腕にはビンビンと痺れを感じる。
 しかし、引けない。引いてはならない。
 ここで、決めるのだ。

「うぉぉぉおおお!」
 渾身の一撃。
 受けた叫びをカウンターし、全てを返す。
 南京袋はまともに受け、吹き飛んでいった。

 動かなくなった南京袋に近づくシュゼ。
 持っていたナイフで見えている腕部分を少し切り、口にする。

「うーん。しょっぱくて食べれないっスね」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

寧宮・澪
花嫁さんを、返してくださいなー……。

……南京袋。中は。
……お話聞きましょね。
何か、話したければ聞かせてください。
彼女達の話をゆっくり、聞きます。
聞いたら、せめて彼女達が安らかに眠れますよう。
揺り籠の謳……痛みのないよう眠らせて。
一緒に毒を、女性達に苦しまぬよう、安らかに眠れる毒を流しましょう。
周りに散らぬよう、風を操って。
どうぞお眠りなさい。もう苦しくないですよ。
望まぬなら触りません。ただ安寧を祈ります。
おやすみなさい、いい夢を。

もう救えない女性達には罪がない。
ですのに……腹立たしい、下衆がいたものですね。
そんな男は、もげた上で地獄に落ちてて欲しいですが。

……さて、追いかけましょかー。



●安寧を祈る謳
 「お話、聞かせてください」
 南京袋の前に立ち塞がるのは寧宮・澪(澪標・f04690)。
 澪は優しく優しく、南京袋に声をかける。
 南京袋はその声に耳を傾け、唸るような声を上げた。

「ド、シテ、ナン、デ、ドコニ、イッタ?」
 絞り出すように、言葉を紡ぐ。
 澪は、うん、うん、と優しく頷き南京袋に相槌を打つ。

「アイシテルとイッタのニ、アイシテルと、イッテ、くれたノニ」
 愛されていると思っていたのに。愛されていたはずなのに。
 誓い合ったはずなのに。私と歩んでくれると、貴方と歩ませてくれると言ったのに。
 あの人と歩むために全て捨てたのに。

「ドウシテ、ココに、ここにイナイのおおおおおおお!」
 彼は言った。自分のために全てを捨ててくれと。
 自分は許されないから。親を捨ててくれと。自分を愛しているのなら、できるだろうと。
 彼女は言った。貴方のために全て捨てようと。親も、家も、何もかも全て。
 貴方を愛しているからと。

「ウソウソウソウソ嘘うそだったうそうそ!!!!」
 嘘だった。愛しているなんて嘘だった。一緒にいたいというのも嘘だった。
 全部嘘だった。
 南京袋はぽろぽろと、赤黒い液体を流し始めた。
 きっと彼女なりの涙なのだろう。
 そしてそのまま、バサっと崩れる。その様子は泣き崩れる女性そのものだった。

「大丈夫。大丈夫ですよー……。苦しかったですね、疲れましたね、眠りましょ」
 眠って忘れてしまいましょう。起きればきっと、全て変わっていますから。
 ゆっくりと、休みましょう。
 澪は静かに、小さな謳を謳った。
 優しく、緩やかに、静かな静かな子守唄。
 南京袋の動きは次第に鈍くなり始めた。

「どうぞ、お眠りなさい。もう、苦しくないですよ」
 そういうと今度は風が南京袋を包み込む。
 風は優しく緩やかに流れながら、南京袋へ安眠を届けた。
 その風に甘い、優しい毒が流れている事は、彼女は知らない。

「おやすみなさい。いい夢を」
 毒が散らぬよう、風に乗せて運ぶそれは、見事に成功したのだった。
 もう救えない彼女達には罪はない。
 もう彼女達は救えない。
 そんな悔しさと、下衆への怒りを胸に、澪は少女を追う。
 今目の前には、救える命があるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

琴平・琴子
ああ可哀想に
その綺麗な手や爪は誰かを傷つけるためのものではなく
その薬指に輝きを乗せて誰かと手をつないで歩むものだったでしょうに

ごめんなさいね、貴女がたに愛を囁く事も花嫁にしてあげることはできません
「手をつないで」ダンスを踊ってお姫様にする事はできましてよ
お手をどうぞ、花嫁さま

私の体は一つなので大勢の方とダンスはきっと無理でしょう
手の空いた方に飛びついてしまうかも
それにダンスはあまり得意とは言えないので、怒らせてしまったらその時はその時死の舞踏と行きましょうか
近い距離にいたり味方に及ぶのであれば「無敵城塞」を

お転婆が過ぎる花嫁は嫌われますよ?
革命の剣でその袋、引き千切りますからね



●哀愁の舞踏会
「イヤアァァァァ、ヤメテェェエ!!!」
 南京袋は琴平・琴子(まえむきのあし・f27172)へと襲い掛かる。
 琴子はひらりとかわすと、その綺麗な手に惹かれた。
 あぁ、可哀想に。
 その綺麗な手や爪は、誰かを傷つけるためのものではなかったでしょうに。
 その薬指に輝きを乗せて、手を繋いで歩むためのものだったでしょうに。
 琴子は南京袋を前にそんなことを思う。
 きっと生前は美しかったのだろう。
 真っ赤な爪は手入れをされていたはずだ。きめ細かい肌は努力をしていたはずだ。
 愛する者に、褒めてもらうために。

「ごめんなさいね。私には、貴女に愛を囁いてあげることも、花嫁にしてあげることもできません」
 悲しそうに、伏目がちに声をかける。
 怒りに任せた攻撃は、威力は高いが命中率は低い。
 南京袋も感情を制御できないのだろう。琴子めがけて暴れ狂う。
 琴子は南京袋の攻撃をかわすと、その手に自身の手を重ねた。

「ですが、お姫様にすることはできましてよ」
 お手をどうぞ、花嫁様。
 琴子は手をしっかりと握り、ゆらり、ゆらりとダンスに誘う。
 南京袋は初めは、意味が分からず手を振り払おうと暴れるが、琴子はうまくその力をいなし踊り続ける。

「アッタカイ、アッタカイ」
 ダンスを続けるうち、南京袋の手に琴子の手の温もりが伝わってくる。
 温かく、優しい琴子の手に、南京袋は身を委ね始めた。
 列車がガタン、と跳ね上がる。
 その動きすらダンスに変えてしまう琴子と南京袋は、優雅な時間を過ごした。

 すっかり戦意を失くし、琴子とのダンスを気に入った南京袋。
 ずっと願っていた温もりを手にできた南京袋は、すっと離れると、何か言いたげに琴子を見る。

「そう、ですか」
 何が言いたいのか分かった琴子は、革命の剣を引き抜いた。
 そしてしっかり、その剣で南京袋を引き千切った。
 顔は見えないが、南京袋の嬉しそうな雰囲気が伝わってくる。
 刻んだ南京袋は、ふわっと消える。
 その時、琴子の耳には聞こえた気がした。
 アリガトウ、と。

成功 🔵​🔵​🔴​

ココマル・イチバーニャ
ガガッ、ピー。
捨てられタ、愛されなかっタ……ナゼ、ニンゲンはそれ程マデニ、愛に執着するのデショウ?この長い歴史の中デ、愛情システムをデリートする機会は何度もあった筈デス。ナゼ、致命的なバグを残し続けるのデスカ?

ガガッ、ワタシには他人の心情を慮るシステムが搭載されていマセン。任務遂行を阻む者は排除スル、タダそれだけデス。

……アア!!列車の上には、自慢のパワーアームで掴めるモノがありマセン!ピーー、額に冷やオイルが滲みそうデス。
ナラバ、
「ナンノコレ式!」
景色を通過ザマに傍らの樹木を掴み折リ、武器にしマショウ!南京袋の攻撃が届かぬ、木の全長ぶん離れた距離に位置取り、突いて攻撃するのデス!

ーーー
POW



●哀のシステム
―ガガ、ピー。
 ココマル・イチバーニャ(主人の帰りを待つ・f27277)は、思考する。
 愛されなかった、捨てられた、一体それがどうしたのだと。
 愛とはなんなのか。そんな非効率的なシステムを、何故人間は有するのか。

「ワタシには、心情を慮るシステムは搭載されていマセン」
 少女の言ったことがわからない。目の前の南京袋の心情なんてわからない。
 ココマルにはいくら考えても、わからなかった。

「グギ、グギググ」
 何か言いたそうに立っている南京袋。
 しかし、言葉が発されることはない。

「任務遂行を阻む者は、排除スル。タダそれだけデス」
 ちらりと周りを見やると、なんと何もない。
 列車の上には武器になりそうなものはなかった。
 ココマルの額に冷オイルが滲む。
 これでは排除できないではないか。
 悩むココマルを他所に、南京袋はその爪で襲い掛かる。
 ココマルは運動は苦手だ。なんとか避けようとするものの、うまくいかなかった。
 勢いよく吹き飛ばされ、列車の屋根をごろごろと転がるココマル。
 その姿を南京袋は眺めていた。

「ナン、ノ、コレ、式!!!」
 ココマルは怪我を負いながらも立ち上がると、列車脇に生える木々を見た。
 そして手を伸ばし、一本の木を掴み折り南京袋へと向け構えたのだ。

「コレなら、近づけマセン!」
 ココマルはつん、つん、と煽る。
 南京袋は再び攻撃に移ろうと爪を立てるのだが、なかなか近づけない。
 間合いを取り、互いに虚を突くため様子を見ている。
 先に沈黙を破ったのはココマルだ。
 自慢のパワーアームを使い、突きを連続で繰り出していく。
 南京袋はうまく避けていくものの、全てを避けることはできず袋に穴が開いていく。
 これ以上攻撃を受けるのはまずい。と南京袋はさらに距離を取った。
 またの停戦。

「ぐぎ、ぐぎぎ…ドウ、シテ」
 南京袋は小さく呟く。

「ドウ、して、アノコロに、戻りタイ、だけナノに」
 南京袋はそういうと、また距離を詰める。
 すごい速さで木の横を抜け、ココマルへ一直線に突っ込んでくる。
 焦るココマル。この速さでは下がって突くことはできない。

「これナラ、どうデス!」
 下がれないのなら、とココマルは力いっぱい木を振った。
 横にぐるりと回し、南京袋を振り払ったのだ。
 南京袋はそのまま落下していく。
 列車の上に残ったのはココマルのみだった。

 ふと、ココマルはメモリーを探る。
 店主との記録を。
 きっと彼にとって楽しかった思い出なのだろう。
 楽しいという感情は、彼には分らない。戻ってこないという哀しみもきっと彼には分らない。
 それでもその言い表せない感覚は、彼に確かに残ったのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ベム・クラーク
アドリブ連携歓迎です!

「享楽のままに殺し貶めた。見過ごせません。」

列車から落ちるのが怖いので車両の屋根に登攀用の爪を食い込ませて攻撃しながら敵を殲滅します。

「愛するという行為は理解できませんが、この場合の救うという意味は理解できます。」

先を行く怪盗と花嫁をレーダーで見失わないようにしながら先を急ぎます。



●哀の救い
―ガタタン、ガタタン。
 列車は上下に揺れながら走り続ける。
 ベム・クラーク(ウォーマシンの鎧装騎兵・f27033)はそんな列車の上で、車両の屋根に登攀用の足爪を食い込ませ落ちないようしがみつく。

「享楽のままに殺し貶めた。…見過ごせません」
 少女の話と、目の前の南京袋にベムは思う。
 愛する、という行為は理解できない。愛が何かすら今は分からない。
 きっと、愛するという行為に正解はなくて、それぞれに愛のカタチがあるということにも、彼が気づくのは先になるのだろう。
 そんな彼でも、今、この場合の救うという意味は理解できる。

「…行きます」
 カチャ、とマシンガンを構える。
 南京袋はその様子に敵意を捉え、爪を鋭く光らせた。
 しばしの静寂。破ったのはベムだ。

 マシンガンの射撃音が響く。
 鼓膜を殴られる感覚。まるで何かに訴えるような気さえする。
 弾丸を列車に当ててしまえば無事では済まない。
 下からは叫び声も聞こえてくる。乗客がいないわけではないのだ。
 その為、列車に当ててしまわないよう気をつかわねばならない。
 故に命中率が下がってしまう。

「ヤメテェエエエエ!」
 南京袋はその身を丸め、すっぽりと袋へ入り込む。
 それは袋そのものにしか見えない。

 しかし、その状態では動けない。
 ベムは、今だと言わんばかりに弾を打ち込む。
 手応えはある。確かに当たっている。

「このまま押し切る!」
 ベムは攻撃の手を緩めない。
 少しずつ近づきながら南京袋の様子を確認する。

「…シ…ア…テ…ダ、ケ…ノニ」
 近づくと何かを言っている。
 ぶつぶつと小さく呟く南京袋。

「アアアアァァアアアアアアア!!!」
 南京袋は突如叫ぶと今までしまい込んでいた腕を突き出し、ベムに襲い掛かる。
 ベムは近づいていた為避け切れず、攻撃を受けてしまう。
 直撃はしたものの、なんとかその力の分散には成功しており、致命傷にはならなかった。
 しかし、厄介なことに今の攻撃で南京袋の傷は回復してしまった。

「ぐ…、しかし、幾分戦いやすくなりましたよ!」
 ベムは自身の傷と引き換えに至近距離に接近できたことで列車を気にすることなく攻撃できる機会を手に入れた。
 グイっとかみつく南京袋を持ち上げると放り投げる。
 そして空に向かって肩の固定砲台で吹き飛ばした。
 まともに攻撃を受けた南京袋は、後に跡形もなく消え去ったのだった。

「…次は愛されるといいですね」
 降り注ぐ塵にそう呟くと、ベムは先を急いだ。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ファン・ティンタン
【SPD】ぴょん、くるり
アドリブ共闘歓迎

何やら騒がしい様子だったから来てみたけれど
あまり、面白い光景ではなさそうだね
とは言え素通りする訳にもいかないか
少しだけ、手を出すとしようか

【浄刀八陣】
足場の狭い列車上は色々と不便だね
魚群の如く有機的に陣を組む刀身も、足場代わりにはなるかな?
この技の特性は、調停
“私自身は”、誰が傷付くことを許さず、彼女らさえも害さない
その悲鳴は刃の糧として霧散させ、彼女達が憐れ地へ落ちる事も阻む
彼女ら自身が悲鳴を上げ続け、【継戦能力】を失っていくのは、勝手だけれどね
引導は、他のヒトに任せるよ

私はあくまで通りすがり
見知った顔への、お節介焼き
物語が佳しとなれば、早々に退散だよ



●白い護り
「…あまり、面白い光景ではなさそうだね」
 ぴょん、と列車の屋根に飛び乗る白い影。
 それはファン・ティンタン(天津華・f07547)の物であった。
 戦闘音を聞きつけ登ってきたらしい。
 ふと乱戦の中に見知った顔を見る。そしてもう一つ、自身を見るものがあった。
 見知った顔がいて、敵にも自身を認識されてしまった。
 これでは素通りする訳にもいかないな。
 ふぅ…とため息交じりに息をすると、ファンは戦闘態勢に入る。

「少しだけ、手を出すとしようか」
 とは言え揺れる列車の上では分が悪い。
 
「我が白刃の権能は浄化、禍を断ち祓いて浄土を成せり」
 ファンがそう唱えると、彼女の周りに白い刀身が陣を組む。
 彼女を囲う様に成されたそれは幻想的にも見える。
 さて、始めよう。ファンはそっとその刀身達を一つの南京袋に向けた。
 刀身達は南京袋めがけ飛んでいき、そして有機的に陣を組んだ。
 ファンは揺れる足場が少し不快なようだ。南京袋を囲う刀身の一つにぴょんと飛び乗ると、とんとん、と足場代わりになるかと確認する。
 うん、と頷くとファンはその刀身に腰を下ろした。

「勘違いしちゃあいけないよ。“私自身は”、誰が傷つく事も許さない」
 この技の特性は“調停”。
 誰かが傷つくことを許さず、それは彼女達南京袋も例外ではない。
 内からも外からも攻撃を通さず、双方を護るための要塞。
 中では南京袋が叫んでいる。
 自身の気持ちをぶつけるが如く。
 ちらりとみやると、ファンは小さく呟いた。

「まぁ…自爆する分には、勝手だけれどね」

 彼女達の叫びは刃の糧となり分散する。
 まるで彼女達が憐れ地へ落ちる事を阻むように。
 辺りでは大きな戦闘音が鳴り響く。しかし、ここだけは静かだった。
 本当の静寂、まるで世界が違う様に。

「…そろそろ。かな」
 ひょい、と刀身から身を降ろし、術を解く。
 その場にはぐったりとした南京袋が転がっていた。

「後は任せようかな」
 私はあくまで通りすがり。見知った顔へのただのお節介。
 ファンは最後にちらっと見知った顔へ視線を向け、ぴょん、と姿を消すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

勘解由小路・津雲
やれやれ、とんだ運動をさせられた。何か見たことのある白い影がいたような? まあいいか。
どうやら相手は歪んだ愛情(?)の持ち主のようだ。さっさと倒して後を……と思ったが、またやっかいなものを。
まあよい、移動する電車ならどこにも行けまい。腰を据えて相手をするか。

【戦闘】
【七星七縛符】を使用、相手のユーベルコードを封じる。ああ、大丈夫、大丈夫だ。触ってない、どこも触ってないぞ。
そんなところ(袋)に引きこもっていないで、出てきちゃどうだい? 
おれにはあんたたちを救うことは出来ないだろうが、せめて苦痛のないように、【破魔】で浄化を試みよう。
モノとして扱われたあんたらを、せめて人として弔うとしようか。



●弔いのカタチ
「やれやれ…とんだ運動をさせられた」
 列車の上で、呟くは勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)。
 もともと運動が苦手な津雲は少し疲れた顔をしている。
 列車への飛び乗りは少し難しかったようだ。
 さて、と南京袋へと顔を向ける津雲。
 少女は歪ん愛情を持っている。ならば早急に対処するべきなのだが…。
 その前に対応すべき問題ができた。
 幸い、ここは移動している列車だ。どこか逃げ込める場所はない。

「腰を据えて相手をするとしようか」
 南京袋は荒々しい気配を漂わせている。
 そしてやめて!触らないで!と爪を立て津雲に襲い掛かる。

「七星七縛符!」
 津雲は護符を構えると、襲い掛かる南京袋に向けて放つ。
 襲い掛かる勢いに呑まれ見事に術にはまった。
 護符に当たった瞬間、ピタリと止まる南京袋。津雲はそんな南京袋に優しく声をかけた。

「大丈夫、大丈夫だ。触ってはいないぞ」
 頷きながら目線を合わせるように話しかける。
 南京袋は未だ荒々しい気配で、ぐるる…と獣のように唸っていた。

「そんなところに引きこもっていないで、出てきちゃどうだい?」
 津雲は彼女に優しく優しく声をかける。
 彼女は答えはしない。が、心なしか先程より気配も落ち着いている気がする。
 自身には彼女達を救うことはできないだろう。
 ただ消してしまうのは簡単だ。しかし、それではなんとも憐れではないか。
 憐れんでしまうのは、彼女達には失礼かもしれない。
 それでも、これ以上不遇に扱われるのは些か不憫ではあるまいか。
 そうであるならば。モノとして扱われた彼女達を、最後は人として終わらせてやることが。
 人として弔ってやることが、自分なりの“救い”だ。
 せめて苦痛のないように。人としての最後を迎えられるように。

「次は、いい人に出会えるといいな」
 津雲は浄化を試みる。南京袋は苦痛の声を漏らした。
 おそらく浄化されているのだろう。
 しばらく苦痛の声を上げた後、彼女はふっと消えた。
 その姿は生前の彼女なのか、あの南京袋の姿ではなく、美しい女性の姿に見えた。

「…ん?」
 ふと視界の端に、見知った顔を見た気がした。
 その場所にはもう一つの南京袋が力なく項垂れている。
 なんとなしに、誰がいたのか分かった津雲は、その命をまた浄化したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

涼場・応為
アドリブ連携等歓迎

ガタガタッと屋根の上から足音が響く。仕事からの帰りの列車で
ウトウトとしていたウチはその音で目が覚めた。

怯える周囲の乗客をスルーして、好奇心で窓から列車上をのぞき込む。

上からは捨てられた、救ってあげて等中々に物騒なセリフが聞こえてきた。

……上で戦ってる? 実に興味深い。

そう思ったウチは逆上がりの要領で屋根に上る。

「混ぜて混ぜてですよ」

目の前には絶叫悲鳴や怨嗟を繰り返す袋達。
こういうのを癒し、次のサイクルに還元するのがウチラ桜の精のお勤め。

他の猟兵さん達の邪魔にならないように打刀を抜く。
走行する列車の上、足を狙えば落下も狙えるか。
転生のことも忘れずに斬りかかった。



●転生を司る乱入者
 列車に乗ると眠くなる。そういう人は珍しくないのではないか。
 夜遅くの列車には、うたたねしている男性も多く見受けられる。
 仕事終わりの疲れた時に、列車の音と揺れは揺り籠の如く安心させるものだろう。
 そしてここにもまた一人。

 ガタガタッと屋根上からの大きな音に、夢から引き戻されるは涼場・応為(紆余曲折のバトル探偵・f27148)。
 応為はその音に興味を持ち、周囲の怯える乗客をスルーして屋根上へと顔を覗かせた。

「ふーん。興味深い」
 聞けば捨てられただの、救ってあげてだの、中々に物騒な声がしている。
 さらには絶叫悲鳴や怨嗟を繰り返す袋達。

「うん、これはウチらのお仕事ね」
 桜の精である応為にとって、これを癒し次のサイクルに還元することは自身の勤めである。
 故に見過ごす事もない。

「混ぜて混ぜてですよ」
 ひょい、と屋根に立つと応為は打刀を抜く。
 揺れる足場、動きが制限される中、南京袋の足場を狙い切りかかる。
 うまくすれば落ちるのではないかと試してみるが、南京袋もただでは落ちない。
 爪を立て、しっかり屋根を掴み耐える。
 動きはそこそこに俊敏で、中々仕留めるにはいかなかった。

 応為はぐっと霊力を高めると、じっと相手の動きを見る。
 しっかり間合いを取り、確実に一撃を入れるタイミングを探る応為。
 いくら飛びつこうともなかなか詰められぬ距離に、少しの焦りを覚える南京袋。
 その分、動きに精度がなくなってくる。
 そしてその次の攻撃の時だ。
 応為は鈍った動きに一撃を入れる。
 その刀は肉体すら傷つけないものの、彼女達の哀しみに囚われた心を切った。
 ふわりと落ちる袋にそっと触れてみる。
 先程までの殺気立った気配はなく、安心したように最後の一撃を入れた。
 ゆっくりと眠れるように。

 詳しいことは分からない。どうしてこんなことになったのか。
 自分はこれからどうしようか。このまま皆を追うのか、はたまた列車内に戻るのか。
 ただ一つ確かなことは、一つの命をサイクルに戻してやることができたということだ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『『恋まじない』のうらら』

POW   :    はい、縁切った♡
【呪い】を籠めた【鋏】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【恋心】のみを攻撃する。
SPD   :    恋煩い、苦しいよね?
【恋煩い】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【恋愛に関する幻から】から、高命中力の【不安になる言葉】を飛ばす。
WIZ   :    おまじないはお呪い♡
自身が【仲を引き裂きたい気持ち】を感じると、レベル×1体の【人形(ひとがた)】が召喚される。人形(ひとがた)は仲を引き裂きたい気持ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
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●恋成る鐘の岬
 列車の着いた先は大きな鐘の見える岬。
 そこにはある言い伝えがあった。

―恋の成る鐘。
 その鐘の音を二人で聞くと、二人は結ばれるというジンクスのある岬だ。
 パワースポットとして地元の人間はよくプロポーズや告白に使うスポットなのだそうだ。
 鐘の下には少女の姿。そして、花嫁の姿もあった。
 花嫁は気が付いたのか自力で立ち、少女の後ろで恐怖の色を浮かべている。

「ねぇ…ここ…ど、こ?」
 花嫁は声を絞りだし聞いた。声には困惑の色が伺える。
 ただの少女であるはずなのに、その姿には恐怖を覚えさせる。
 怖い、怖い、怖い、怖い。

「ねぇ。愛されていると思う?」
 少女は答える。しかし、花嫁の望んだ答えではない。
 質問を質問で返す少女。花嫁はさらに困惑する。

「愛…?何を言っているの…?」
「結婚するんでしょう?なら、あの男の人に愛されてるって思うでしょう?」
 少女は淡々と問う。理屈っぽく質問を重ねてくる少女に、不信感しか抱けない花嫁は口を噤んだ。

「本当にそうだと思う?どうして愛されてると思うの?
 利用されているとは思わないの?利用するために結婚で縛り付けようとしてくるってだけなんじゃないの?」
 少女は次々と言葉を紡ぐ。
 不信感を自身ではなく、花婿に向けるように。

「だってね、貴女をここまで連れてくる間、追いかけてきたのは全然別の人なのよ?
 あの人はぜーんぜん追ってこないの。ねぇ、ほんとに愛されてる?」
 一方通行の愛は辛いのよ。貴女だけが愛していても、愛されないなら辛いだけなのよ。
 やめてしまえばいいのに。そんな気持ち捨ててしまえばいいのに。
 私を愛せばいい。私が愛してあげる。貴女を救ってあげる。
 そんな言葉の数々に、花嫁は耳を塞いだ。

「私…私は…ミオトを…」
涼場・応為
アドリブ連携歓迎

愛憎縺れの問題は本当に事件の動機になりやすい。
大抵は事実相手憎しから起こり、大抵は勘違いから起こる。


結論は相手に問いただしてからでもいいと思うけど
今回はちょっと影牢さんの言い分に無茶があると思う。
不誠実ではあるが方便でなんとかしよう。

「花婿さん心配してましたよ、皆に必死で止められて」

と声をかける。見てもない癖に。
でもとりあえず無事に返すのが大事。後は当人でもめて欲しい。

さて恋心対策。結局のところ自分には恋焦がれる相手などいない。
あえて言うなら探偵小説……寂しいなあ。

なので気にせずブッパする。

「恋まじないが得意なようですが」

抜刀。

「前途ある若者を誑かさないで下さい」

と斬りかかる。




 その場に姿を現した猟兵達。
 目の前には崩れ込む花嫁と、肩を抱く少女の姿だった。

「追いつきましたよ」
 一歩前に出るは涼場・応為(紆余曲折のバトル探偵・f27148)。
 その後、結局好奇心から後を追ってきたようだ。

「ふーん、ここまできたんだね」
 少女は猟兵達の姿に気づき、立ち上がる。
 ゆっくりと前に出てくる少女。そしてゆっくり話し始めた。

「恋って楽しいよね。綺麗だよね。想い合って幸せで、天にも昇る気持ちよね」
 目を輝かせて、明るい声で語る。
 デートをして、一緒に美味しいもの食べて、映画みて、触れ合って。
 愛し合うって素敵よね。

「でもさ、想われないって辛いよね。寂しいよね。地獄みたいだよね」
 相手に好きな人がいたりとか。どれだけ努力しても振り向いてもらえないとか。
 好きだなんて言っておいて、騙していたりとか。
 それってすっごく惨めよね。
 少女はそういうと先程までの雰囲気ではなく、殺気立ったそれに変わった。
 だから殺したと。愛したのだと。救ったのだと。
 そこまで聞いた応為は思う。
 それは少々、無理があるのではないかと。

「花嫁さんは、どう思うのですか?」
 応為は少女を見ずに、その奥を見て問うた。
 花嫁はぴくりと反応する。

「花婿さん、心配してましたよ。皆に必死で止められて」
 嘘だ。応為は騙る。
 わかるはずもない。見てもいないのだから。
 とは言え、好き勝手吹き込まれて放っておいていい訳がない。
 愛憎縺れの問題は事件に発展しやすい。
 事実、大抵は相手への憎悪から起こる。大抵は勘違いによるすれ違いから起こるのだから。
 故に不誠実ではあれど、方便で少しでも花嫁の混乱を解かなければ。
 しかし、少女はそれを聞いてにやりと笑う。

「ミオトが…?ミオト…?……そんなわけ、ない、ない、ない!」
 花嫁はさらに混乱する。それが嘘であると気づいたからだ。
 心配はしているのだろう。しかし、彼が皆に止められる程行動力があるはずがなかった。
 花婿の性格は、彼女がよくわかっている。そんなことができる訳がない。
 少しの希望と、絶望がさらに花嫁を苦しめる。

「あはっ」
 少女に気持ちが伝わる。そしてそれを喜んでいる。
 だって、愛してあげるには、愛してくれなければいけないのだから。

「望めばいつだって愛してあげる」
 少女はくるりと可憐に踊ると、その背中から赤い糸の繋がった人形(ひとがた)がふわりとなびく。
 その手には大きな鋏を持っている。
 邪魔しないで、ということなのだろう。

「ぐ…」
 応為はぎゅっと拳を作る。
 そして、応戦するため刀を抜いた。
 少しでも、時間稼ぎだけでも。できるのならば。

「恋まじないが得意なようですが、前途ある若者を誑かさないでください!」
 抜いた刀を構え、戦闘態勢に入る。
 互いに戦闘態勢に入り、一瞬の静寂の後、先に仕掛けたのは少女だ。

「あなたも呪ってあげよっか」
 少女は応為の恋心に語ろうとする。
 しかし、応為には効かなかった。彼女には恋焦がれる相手がいないのだ。
 強いてあげるのであれば、小説だろうか。推理物の。

「残念。私には不要ですね」
 にこりと突き返す応為。
 少女はその返答につまらなそうにしている。
 そんな少女に向かって応為はぐっと霊力を籠め切りかかった。

 少女はその刃を避けることができずその身で受ける。
 応為は少女の“邪心”を切ったのだ。
 もちろんその全てを切るには至らなかったが、少しばかり削ぐことはできた。
 少女は呟く。

「そりゃあ、最初からそんなつもりじゃないわよ」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

シュゼ・レッドカラー
不採用含め全て感激っス!
方針:敵の言葉を無視しぶん殴る
この手合いは暴力で解決しないから面倒ス。

単独なら勇気、決闘で覚悟を決めて正面突破。
チームなら死角から側頭をパンチっス。
敵の攻撃はリベットガントレットで武器受けカウンターで気絶攻撃。
一瞬でも相手が無防備になればUC始動、腕の傷が気になるけど数打ちゃ当たるの精神で限界突破、最後はストレートっス!

女の子同士ってよくわかんないスけど要は横恋慕っス!そういうのは駄目っス!
花婿さんが花嫁さんを心配してないとか、そんなのはアンタと何の関係もないっス!
そういうのは二人でまた話し合えばいいんスよ。結婚てのはそういうことっス。
これ以上の邪魔はさせないっスよー!




「この手合いは暴力で解決しないから面倒っス」
 はぁ、とため息交じりに呟くはシュゼ・レッドカラー(牙ある野性、双拳を持ちて食らいつく。・f25319)。
 恋だの愛だの、そういった心の関連は、暴力に訴えては解決はしない。
 もともとそういった類が苦手のシュゼには、少々面倒に感じていた。

「恋とか愛とか、女の子同士とか、そういうのはよくわかんないっスけど…」
 相手がいる人を奪う。不安にしその目を自身に向ける。これは立派な横恋慕だ。
 それはいけない事だと、シュゼにもわかっている。

「花婿さんが花嫁さんを心配してないとか、そんなのはアンタに何の関係も無い事っス。
 そういうのは、二人で話し合う事っス。結婚てのはそういう事だと思うっス」
 自分なりの考えをまとめる。
 今はそういった相手はいない。詳しいわけでもない。だから、あくまで今彼女が思う事だ。
 それを聞き少女はうーん…と悩む。
 少女は様々なカタチを見てきたのだろう。
 シュゼの言う事がわからないわけではないようだ。
 しかし、様々なものを見てきたが故に、納得もできないのだろう。

「とにかく、これ以上二人の邪魔はさせないっス!」
 拳をきゅっと握り、構える。
 そして飛びつくように少女との間合いを詰めた。

「本当にそれだけでいいのかしら」
 ふと、少女は呟く。

「アナタだって、裏切られたら悲しいでしょう?」
 少女は続ける。シュゼに訴えかけるように。
 しかし、シュゼは聞かない。一切の少女の言葉を塞ぎ、拳を突き上げる。
 少女はかすりながらも受け流し、その勢いで飛び退く。

「…それは、そう思わないの?聞こえていないの?それとも…聞こえないふり?」
 シュゼはそれにすら返事はしない。

「ふーん」
 じゃき、と鋏を構える。
 聞こえないなら、聞かないなら、聞かせてやろうと。
 少女は間合いを詰め攻撃に移る。

―ガキンッ!

 鈍い音が響く。
 見るとシュゼのガントレットが鋏を受け止めていた。
 その瞬間、シュゼが反撃に入る。
 その一撃は至近距離故に避けられず、まっすぐ少女に入った。
 少女は少しよろける。
 そして、よろけて出来た隙をシュゼは見逃さない。

「ここっス!」
 シュゼは凄い速さで拳をねじり込む。
 いくつもの拳が少女を貫いた。
 先の戦闘で腕を負傷していたにも関わらず、全ての拳を当てるシュゼ。

「これで、終わりっス!!」
 最後の一撃。
 ぐっと全身の力を込め、放ったストレートは少女を吹き飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベム・クラーク
アドリブ連携歓迎です!

人間の『愛』は理解できない。
『愛』したから幸せだと輝くように笑う
『愛』したから不幸せだと絶望に暮れる
『愛』で許し、『愛』で争う
人間は理解できない。

それでも、真摯に『愛』を告げる人間は光センサーにすら反応しないキラキラに満ちている。だからこそ救わねば。

「『愛』は理解できません。しかし、おまえが答えを誘導して二人の『愛』を否定する必要もない」
オブリビオンにマシンガン斉射

「花嫁さん、花婿と紡いできた時間を覚えていますか。二人で歩んできた日々を。結婚式で見つめあった瞬間をは幸せでしたか?」

戦闘兵器としてオブリビオンを攻撃しながら思う

あなたの『愛』とはなんですか




「花嫁さん。花婿と紡いできた時間を覚えていますか。
 二人で歩んできた日々を。結婚式で見つめ合った瞬間は、幸せでしたか」
 ベム・クラーク(ウォーマシンの鎧装騎兵・f27033)は花嫁へと声をかける。
 花嫁は錯乱しており、返事こそないものの、聞こえていないわけではない様子だった。

 人間の『愛』は理解できないと、ベムは言う。
 『愛』したから、人は幸せだと輝くように笑う。
 『愛』したから、人は不幸だと絶望に暮れる。
 『愛』で許し、『愛』で争う。
 人間の『愛』は理解できない。人間は理解できない。
 しかし、それでも。
 ベムには理解出来ることがあった。
 真摯に『愛』を告げる人間達は、キラキラと輝いている。
 自身のセンサーには反応しない。それでも分かる程の綺麗な輝きをベムにも感じることができた。

「だからこそ、救わねば」
 ベムはそう固く決める。

「私には、愛は理解できません。しかし、おまえが二人の愛を否定する必要もない事は、理解できます」
 マシンガンを構えるベム。
 少女はベムに対し警戒しながら口を開く。

「アナタなら理解できそうかな。そうだよ、救わなきゃ」
 救う、という単語に興味を示す少女。
 少女も救う事を目的としている様子だった。

「なら、どうしてこんなことを?」
 ベムは問う。

「どうして?必要だからでしょ。愛のために」
 不思議そうに答える少女。
 愛を深めるために出した試練。そう少女は説明した。
 ベムにはまた理解のできない返答だった。
 その様子に気づいた少女は、少し残念そうに鋏を構える。
 アナタも理解してくれないのね。
 少女はそういわんばかりにベムへと襲い掛かった。

 最終武装モードへと変わったベム。
 その防御力の高さに、少女の鋏は役に立たない。
 防御力だけではない。攻撃力も各段に上がっているのだ。
 その反撃に成す術なく、一度距離を取る。
 しかし、攻撃の手は緩まらない。
 もともと遠距離型のベムには好都合だった。

「あなたの『愛』とはなんですか」
 少女へ問いかけるように呟くと、ベムはマシンガンを斉射する。
 それは、弾が切れるまで続いた。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

ココマル・イチバーニャ
ガガッ、ピー。南京袋を討った掌を眺めてモ、ワタシは何も感じマセン。他の皆サマのヨウニ、影朧へ寄り添う姿勢モ、プログラムされていマセン。……。きっと愛モ、感情モ、一生理解できないのデショウ。

シカシ、アナタは違いマス。
愛されなかっタ、捨てられタ、自分の事ではナイデスカ?
花嫁サマを誑かし、憎むヨウニ、苦しむココロもある……あっタのデハ、ナイデスカ。

UCを用いテ影朧をもてなし、邪心のみヲ攻撃しマス。
お客サマ、カレーの辛さはどうデスカ。ナンはお代わり自由デス!最近、調子はどうデスカ。泣いタリ、していマセンカ。ガガッ、ピー。

反撃にハ、足元へレーザーを撃っテ砂埃を巻き上げ、目眩した間に後退しマショウ。

POW




 ココマル・イチバーニャ(主人の帰りを待つ・f27277)は、自身の掌を眺めて思う。
 何も感じない、と。
 南京袋を討ったこの手を眺めてみても、何かを感じることはできなかった。
 あの一瞬の気持ちはなんだったか。思い出せないままでいた。
 自分には、人へ寄りそう姿勢もプログラムはされていない。
 相手の気持ちを理解することもできない。自身はきっと、愛を、悲しみを、感情を理解することは一生できないのだろう。

「シカシ、アナタは違いマス。愛されなかっタ、裏切られたノハ、アナタなのでハ?」
 ココマルは少女に問う。
 今までの話は全て、自身の事なのではないのかと。

「私?私は愛されていたわ。嘘だってつかれたことない。でもね、いろんなものを見たの」
 少女は否定する。
 自分のことではないと。しかし、似たようなことはたくさん見てきたのだと。
 ある人は、告白をするための勇気を求めた。叶えてあげた。
 ある人は、プロポーズの成功を願った。与えてあげた。
 ある人は、家族の永遠の幸せを祈った。見守ってあげた。
 もちろん、皆が皆嘘だったわけじゃない。
 しかし、嘘だったと泣きに来た人も多かった。とても辛そうだった。
 中には、自分で人生を終わらせることを選んだ人もいた。
 少女は気づいた。中途半端な愛は、苦痛でしかないのだと。

「知っているでしょう?私は、恋のまじないができるのよ」
 少女は悲しそうに目を伏せた。

「ナラバ、アナタは寄り添えるのデスネ。ココロを、理解し、寄り添えル」
 ココマルは言った。
 そんなあなたは優しいのではないかと。
 そして、ココマルはそんな少女にの心に訴えかけるようにカレーを作る。
 もちろん、本当に作っているわけではないが。
 華麗な流れで少女の目の前にカレーを出す芝居をする。

「お待たせいたしマシタ。コチラが、当店自慢のカレーデス」
 ぐっと胸のあたりを押す。
 少女は後ろによろけると、はらりと光が落ちた。
 
 ココマルはそんな少女におもてなしをする。
「お客サマ、カレーの辛さはどうデスカ。ナンはお代わり自由デス!最近、調子はどうデスカ。泣いタリ、していマセンカ。ガガッ、ピー」

成功 🔵​🔵​🔴​

勘解由小路・津雲
先ほどの猟兵のはったりのおかげで、花婿と花嫁の絆の程は確認できたな。相手をよく理解しているではないか、何を今さら不安に思うことがある? 

【行動】
相手も術師の類だな。呪いは言葉の術、であればこちらも花嫁を勇気づけることで、呪詛返しを試みるか。

駆けつけるだけが愛でもあるまい。花婿はあんたのヴェールを握りしめ、決して放そうとしなかったぞ。それだけでも、あんたに想いの強さは伝わるんじゃないか?

この場合、敵はどちらを狙うだろう?
「引き裂きたい」ということで言えば花嫁の方か。【歳殺神招来】を使用し、神の加護を受けた戦士霊を花嫁の護衛につけておこう。そちらで攻撃を防ぎ、おれが錫杖を【投擲】して攻撃しようか。




「しっかり相手を理解しているではないか。何を今更不安になることがある?」
 勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)は花嫁に語る。
 先の応為のおかげで、二人のしっかりとした絆を確認できた。
 津雲は一度その事に安堵し、少女に向き直った。
 少女の術は言葉の術。自身も言葉を使って呪詛返しができないかと試みる。

「追うだけが愛の証ではあるまい。花婿は、あんたの残したヴェールを握りしめ離しやしなかったぞ。それだけでも、あんたには伝わるんじゃないか。
 その想いの強さが」
 津雲は出会ったときのことを話す。
 と同時に、花嫁に護衛を付けた。

「八将神が一柱、歳殺神の名において、式神、来たれ」
 少女が再び花嫁に攻撃をしないとも限らない。そのために護衛を付けたのだ。
 花嫁は津雲の言葉に顔を上げ、ぎゅっとその身を抱える。
 先程までとは違い、落ち着いた様子だった。

「それは…本当ですか」
 花嫁は小さく零す。
 津雲しっかり頷き、花嫁に答えた。
 花嫁は信じきれてはいないようだが、あと一押しあればといったところだろう。
 
 その様子を見て面白くないのは少女だ。

「余計なことしないで!!!」
 案の定、人形(ひとがた)を発現させる。
 そして花嫁へを放った。
 津雲は護衛に付けた戦士は炎の槍で全ての人形を振り払った。

「あんたの相手はおれだ!」
 津雲は少女に叫び、その気を引くと自身の持っている錫杖を投擲する。
 しっかり狙った錫杖は少女へまっすぐ飛んで行った。
 直撃した少女はぐっと津雲をにらむと猟兵達へと向き直った。
 その姿は満身創痍、かなりボロボロであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

琴平・琴子
影朧は皆さんにお任せして新郎を回収します
行きますよお前、新郎めがけてテレポートです

弱気な新郎は引きずってでも連れて行きましょう
え?衣装が汚れる?知りませんよ
花嫁さんはもっと傷ついておりますが?

健やかなる時も病める時も添い遂げるのでしょう?
そんな時に腰が引けてどうしますか!
新郎に向かって鼓舞

お前、重労働になりますが花嫁の元へ頑張ってください
新郎さん、鐘の下で愛を叫んで下さい!

恋の痛みも、愛の苦しみも私はわかりません
けれどその苦痛を受けて貴女の苦しみが分かるなら安い
辛かったでしょう、悲しかったでしょう
私にできるのは痛くない様に剣を貫くことのみ

どうか次の恋も愛も貴女が笑えて幸せになれますように


寧宮・澪
花嫁さん、花婿さん、追いかけられずとも……ずっと心配、してました、よー……。
ちゃんと、連れて帰ってくるまでに、頑張って、立ち上がってますよ……。
だから信じてあげてください、なー。
貴方方が、愛して、恋していた時間も心も。

さて、愛は呪い。そして死で救わなくちゃいけない。
……全部を否定は難しいですが、とりあえず。
今回は誰もそれでは救われませんよー……。
死へ、過去へと変えても……救ったことにはならない。
優しい貴方が苦しんで、考えているのでしょうか。

霞草の舞風、優しく眠れる毒を入れて……恋心の影朧へ。
愛も恋も、人によって形が変わる。けれどそれを強引に変えちゃうのは……だめだと、思いますよ。
いい夢を。




「行きますよ、お前」
 白馬の鬣を優しく撫で、声をかける琴平・琴子(まえむきのあし・f27172)。
 琴子は新郎をここへ連れてこようと考えた。
 きっと誰のどの言葉よりも、花嫁には必要なものだと考えたのだ。
 白馬は嘶き、琴子の声に応える。
 琴子は白馬の背に乗ると、白馬は花婿めがけてテレポートをした。

 式場では、未だヴェールを抱き祈っている花婿の姿があった。
 しかし、少女を追う前とその様子は少し違っている。
 よく見ると、彼の服は少し汚れているようだ。
 式場につき、琴子は花婿へと近づく。
 その足音に気づき、ゆっくり花婿が振り向いた。

「彼女は…っ、ミオナはっ!!!」
 琴子の姿を確認した瞬間、花婿は駆け寄り、強く琴子の肩を掴む。
 その手に抱いていたヴェールすら落として。

「大丈夫、見つかりましたよ」
 琴子はひとまず見つかったことを伝える。
 花婿はその場に崩れ落ちた。安堵からか、一気に力が抜け、ぽろぽろと雫が頬を伝う。
 そんな花婿を他所に、琴子は言う。

「行きますよ」
 花婿は涙に塗れた顔で琴子を見る。
 琴子の顔は、きりっと凛々しく、格好よく見えた。

「花嫁さんには新郎さんの言葉が必要です」
 健やかなる時も病める時も、添い遂げると決めたのでしょう。
 琴子は花婿へ言葉を紡ぐ。
 次第に、周辺の親戚からも声が上がる。

「今度こそ迎えに行け!」
 新郎はあの後、一度は追いかけて行ったらしい。
 澪の言葉で立ち上がり、少しの勇気を持って走りだした。
 が、スピードに追い付けず、途中から見失ってしまい断念したのだ。
 つまり、今の彼には少しの勇気がある。
 そして、居場所もわかっている。

「…連れて行ってください!」
 花婿は先程とは違い、しっかりした顔で琴子を見る。
 琴子は頷くと、さぁ、と手を差し出した。
 その手を取る花婿。ぐっと引っ張られ、白馬に乗った。

「お前、重労働になりますが、花嫁のもとへ頑張ってください」
 その声に応えるように、二人を乗せた白馬は駆け出した。


 その頃、時同じくして花嫁に声をかけている寧宮・澪(澪標・f04690)。

「花嫁さん。花婿さんは、ずっと心配してました、よー…」
 澪は優しく花嫁に話す。
 それは、花婿に話をした時と同じように。
 すこしでも、花嫁が落ち着けるように。
 二人で過ごした時間を、愛して、恋していた時間を、その心を。

「信じてあげてください、なー…」
 花嫁が信じられるように。

 愛は呪い。そして死で救わなくてはいけない。
 その全てを否定するのは難しい。
 少女の言うそれが、全てが横暴であるとは澪には思えなかった。
 一理あるとも思うのだ。
 しかし、愛のカタチは様々だ。と同時に、きっと救い方も数あるはずだ。
 今回は、そのやり方では誰も救えない。
 その想いを過去へと変えてしまっても。死へ変えてしまっても。
 少女の優しさが歪んでしまった結果なのだろう。


 その時だ。ふわりと白馬が舞い降りる。
 その背には、琴子と花婿の姿があった。
 花婿の姿に、目を見開く少女。
 その表情には、心なしか安堵の色も伺えた。

「ミオナ!」
 花婿は花嫁へと駆け寄る。
 そしてその肩を優しく抱き寄せ、花嫁を包んだ。
 花嫁はそのぬくもりを感じ、花婿の名前を何度も呼びながら泣きじゃくる。
 その様子を少女はただ見守っていた。

「はーあ。来るのが遅いっつーの!」
 少女は不貞腐れている。
 そんな少女に、猟兵達が立ち塞がった。
 少女は、んーと少し考える素振りを見せた後、鋏を持った。

「貴方が、何を考えているのかわかりません」
 琴子が少女へと声をかける。

「私には、恋の痛みも愛の苦しみもわかりません」
 貴方の苦しみも。と琴子は続けた。
 自分には何もわからない。言葉だけでは、全て想像するには足りない。
 だからこそ。

「その苦痛を受けることで、少しでもその苦しみがわかるのなら」
 琴子は剣を抜く。
 少女はその言葉を聞くと、琴子へと飛び掛かった。
 鋏を琴子へ突き立てる。琴子はあえてそれを受けた。
 少女は気づいていたのだろうか。鋏は決して致命傷にはならない部位へと刺さっている。
 しかし、決して楽ではない部位に。
 抉る様に刺さっている鋏は、少女の少しの意地悪だろうか。
 琴子は痛みに顔を歪める。が、そのまま剣を少女へ突き刺した。

「辛かったでしょう。悲しかったでしょう」
 どうか、次の恋が、愛が、貴女の笑えるものでありますように。
 幸せになれるものでありますように。


 琴子に貫かれた少女は、ふらふらと崖まで歩いていく。
 澪はそんな少女に、最後の声をかける。

「愛も恋も、人によって形が変わる…だから、貴方にとっての愛も、きっと」
 それは、少女を想っての言葉だった。
 きっと変わる。歪んだ愛のカタチも、悲しいものばかりだった恋の物語も。
 必ず変わるものだから。
 だからこそ、強引に変えてはいけないのだと。

「そうだと、いいわね」
 小ばかにしたように笑うと、少女は呟く。
 それは澪に向けたものなのか、それとも自身に向けたものなのか。
 澪は、少女がゆっくりと眠れるように。いい夢を見られるように。
 毒を乗せた花びらを少女へと降らせる。
 花弁は風に乗り、少女を包み込む

「かすみが如くー……舞い踊れー」

 その風を受けて、少女は覚悟を決めたように深呼吸をする。
 そして、花婿へと叫んだ。

「及第点をあげるわ。裏切ったら許さないから」
 そういうと少女は崖から自ら飛び降りた。
 崖の下は岩肌も激しく、波も高くなっている。
 生死は分からなかった。


 無事花嫁を取り戻した。
 皆の顔に安堵の表情が伺える。
 すると、白馬と他の猟兵に支えられながら立っている琴子が一つの提案をした。

「この鐘の音を二人で聞くと、結ばれるそうですよ」
 せっかくなのだから、今ここで愛を誓ってはどうかと。
 それを聞いた他の猟兵達も、いいじゃないかと賛同する。
 花婿は照れ臭そうに花嫁を見ると、花嫁も同じような顔をしていた。
 こほん、と咳払いをすると、花婿は口を開いた。

「遅くなってごめん。
 でも、その…こんなことがあって…やっぱり、君がいなくなるのは耐えられないんだ」
 花婿はゆっくり、ゆっくり、たどたどしく言葉を紡ぐ。
 花嫁は、言葉を遮らないように、うん、うんと頷いている。

「こんな自分だけど、頼りないかもしれないけど…。
 自分と、一生を添い遂げてもらえませんか」
 花婿は跪き、手を差し出す。

「…ばか。ミオトじゃなきゃやだよ。
 よろしくお願いします、ミオト!」
 花嫁はその手を強く握り、答えた。
 そして、二人でその鐘を鳴らす。
 透き通るような、綺麗な綺麗な音色が響き彼らを祝福する。

 二人にはまだまだたくさんの壁が邪魔をするのだろう。
 それでも、この二人なら。
 きっと数多の困難をも乗り越えていける。
 そう猟兵達は思ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月26日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サクラミラージュ


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は永倉・祝です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト