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帝竜戦役⑫〜春のカボチャ狩り

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #群竜大陸


「やあ、君たち。カボチャは好きかい?」
 机の上に画用紙らしきものを広げてチョキチョキとハサミで切りながら、猫人のグリモア猟兵グィー・フォーサイス(風のあしおと・f00789)がそう口にした。
「煮ると甘くてホクホクで美味しいし、お菓子にいれても美味しいよね。カボチャのクッキーやケーキなんて、僕は大好きさ」
 ああでも、かぼちゃプリンも捨てがたい。そう口にしながらもグィーの視線は手元のハサミからは動かされず、ケットシーサイズの小さなハサミを器用に動かして細長い四角形の紙片へと切り分けていく。
「今回君たちに行ってきてもらいたいのは、『時蜘蛛の峡谷』と呼ばれる場所さ。既にこの場所の事を知っている者も居るとは思うけど――っと、出来た」
 大きな画用紙から切り分けた紙片を集めて山を作り、そうして角を整えて束としながらグィーは説明を続ける。
 時蜘蛛の峡谷――その地に棲むオブリビオンは皆、手足が増え、自らの寿命を消費して頑丈な糸を紡ぐ『時蜘蛛』と呼ばれる怪物に変貌している。彼等の放つ糸は触れた者を『幼児化』させるが、糸を生み出した怪物を倒せば元に戻る事ができる。しかし、幼児化中は実戦経験等も奪われてしまう……という、それは恐ろしい谷なのだ。
 そして今回訪れる谷は既に蜘蛛糸が張り巡らされており、訪れた途端に猟兵たちはその糸に触れてしまうこととなる。
「つまり、君たちは幼児化を逃れられない。年齢は……大体5歳児くらいかな。体が縮むだけでなく、身体能力もそれくらいになってしまうよ。例え機械の身体だとしても、小さくなるし性能が落ちてしまうそうなんだ。恐ろしいよね……」
 そして何より、これこそが重要なのだと言いたげにグィーは小さな顎の下で短い手指を組み合わせる。(爪の先しか合わせられなかったので、ちょんと手を合わせた。)
「身体が小さくなると、どうなると思う……?」
 ま、まさか――。ごくりと誰かが息を呑む音が響いた。
「そう、服や装備は身につけていられなくなるんだ。――僕は、君たちを全裸で谷に放り出したりはしないよ。そこで、これさ!」
 視線が集まる中、猫人は何やら先程切り分けた紙片を手にし、残る片手で猫の顔型の何かを手にして掲げてみせた。
 テテーン!
「あるだわわっぺーん!」
 ――説明しよう。アルダワワッペンとは、自分の名前が書かれたワッペンを身につけておく事によって、その時の姿に応じたアルダワ魔法学園の制服姿になれるという魔法アイテムである。魔法で小さくなっちゃった、魔法に失敗して服が弾けちゃった、なぁんて時にとても便利なアイテムなのだ。ちなみに、アルダワ魔法学園の購買部で売られている。
「そんな訳で、これに名前を書いて身につけておけば、君たちの尊厳は護られるよ」
 はいっと近くの猟兵へ紙片とマジックを手渡した。
「戦ってもらう相手は、蜘蛛足の生えたカボチャだよ。固くておいしいお野菜さ。ただね、蜘蛛足が生えてるからサカサカ動くし、とても大きいよ」
 見た目は、ハロウィンで見かけるカボチャ頭のよう。人によって幼児化の度合いは違うようだが、心まで幼児化してしまうともしかしたら恐ろしく見えてしまうかもしれない。
 しかし、顔は恐ろしいが味は濃厚な上栄養価は非常に高い。料理に出来たらとても美味しそうだ。
 主な攻撃手段は、蔓の鞭や吐き出される種子だ。蔓はしなやかに動いて叩きつけてくるが、既にカボチャは糸を吐きまくった後。幼児姿でも重傷になるようなことはない。べちっと叩かれるのが痛くて、心が弱いと泣いてしまう程度だろう。
 地面に隠れていることもあるようだ。バアっと突然出てきたら驚いてしまうし、潜んでいたと思われる穴に足を取られることもあるだろう。穴を見つけたら慎重に行動したほうが良いかもしれないねとグィーは真面目な顔をした。
「君たちは小さくなってしまって、力も無くしてしまう。だから、武器も用意しておいたよ」
 希望するならこれも持っていって。そう差し出されたのは、子供用の小さな斧だ。軽くて丈夫。転んでも大丈夫な安全仕様。肩に斜めがけ出来る紐も通してある。
 普段使っている大きな武器が振り回せなくても、この小斧にユーベルコードを乗せて斬りつければ攻撃は通ることだろう。
「あとは、小さな君たちが頑張れるようにおやつとジュースも用意してあるから、必要だったら持っていっておくれよ」
 準備を始める君たちの姿を見守ってから、グィーの掌の上に手紙が踊る。封が開いてパッと飛び出た便箋に、何事か文字を書き込む仕草をすれば道は開かれる。
 行き先はアックス&ウィザーズ。
 剣と魔法と竜の世界、その時蜘蛛の峡谷。
「それじゃあよろしくね、アルダワ魔法学園幼等部・グィー組のみんな!」


壱花
 ごきげんよう、小さい子が大好きな壱花です。
 幼児を書かせてください、よろしくお願いします!

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。1フラグメントで終了します。

●受付期間
 5月15日(金)8:31~
 締切は物理的に締まるまでとなります。

●シナリオについて
 OPに書かれている通り、皆さんは幼児化してしまいます。これは避けられない運命です。
 身体が縮むと元の服が着れないので、ワッペンを身につけて頂き魔法学園幼等部の制服姿になって頂くか、少し動きにくいかもしれませんが元の服を巻きつける等をして頂けますと幸いです。(転送地点に残された服や装備はグィーが回収しておきます。)
 ワッペンは、全員猫の顔の形。アルダワ魔法学園幼等部特別クラス・グィー組です。ワッペンを付けて参加した場合、最初からアルダワ魔法学園幼等部姿だと思ってくださって大丈夫です。
 他にも色々支給されているので、必要に応じて活用してカボチャを狩ってください。

 また、このシナリオにはプレイングボーナスが発生します。
 プレイングボーナスは『幼児化への対抗策を考える』ことです。

●幼児化について
 身体は子供、頭脳は大人!
 身体は子供、頭脳も子供!
 どちらでも大丈夫ですが、OPに述べられている通り身体能力は子供です。
 機械も人形も妖精もヤドリガミも何故か子供サイズになります。

●迷子防止
 同行者が居る場合は冒頭に、魔法の言葉【団体名】or【名前(ID)】の記載をお願いします。また、文字数軽減用のマークをMSページに用意してありますので、そちらを参照ください。
 揃ってからの確認になりますので、同行者さまとは失効日を揃えてください。

 それでは、皆様の素敵なちびっこキャッキャなプレイングをお待ちしております。お待ちしております!
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第1章 ボス戦 『お化けカボチャ』

POW   :    蔓の鞭
【蔓の鞭】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を貫いて地面から養分を吸収し超回復しつつ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    種マシンガン
【着弾すると破裂して飛び散る種子】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    不意打ち
【蔓で穴を掘り地面に潜行、不意打ち】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑8
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💎この戦場で手に入れられる財宝
 宝物「時の蜘蛛糸」……若返りの効果が若干残った、時蜘蛛の紡いだ蜘蛛糸です。
 一巻きで金貨950枚(950万円)の価値があります。
シズホ・トヒソズマ
穴対策ならあのからくり人形でいいんですが、子供になると指の長さの問題で複雑な糸操作ができないんですよね…なので一体化でいきましょう

早速子供になってしまいましゅからわっぺんで学生服にチェンジでしゅ!
ゆーべるこーどでシュヴェラと合体してロボに変身でしゅ!
これで人形の機能を自分として使えましゅ
重力を弱めて◆空中浮遊でしゅ。これで穴に落ちたり足を引っ掛けられたりはしましぇん!
蔓が伸びてきたらふわふわして避けて◆重力属性光線を発射して蔓や見えたりした本体をどんどん軽くしちゃいましゅ!
ふわふわしちゃえばその内穴からも浮いてきちゃって地面からも離れちゃいましゅ!
後は空中にいるところをどっかーん砲撃しましゅ!




 グリモア猟兵が作ったゲートを抜ければ、そこは蜘蛛糸まみれの谷の底でした。
 ちゃんと良い子にグリモアワッペンをつけていたシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)ちゃんは、小さくなってしまった身体を見下ろします。
「本当に子供でしゅ」
 アルダワ魔法学園幼等部の制服に身を包んだ、小さな体。いつもより小さな、子供の指。
(この指ではからくり人形をあやつれましぇん。なので!)
 早速ユーベルコード《絡繰合身・オーヴァードM(トリニティフュージョン)》を使用して、へーんしーん! 着用者、重力制御/重力攻撃人形『シュヴェラ』、そしてシズホちゃんの三位一体の最強ロボット、ここに降臨!!
「いつもより小さいでしゅけど、これで人形の機能を自分として使えましゅね」
 手をにぎにぎしてちゃんと動くことを確認するその姿は、さっきまでの二倍。それだけでもシズホちゃんの視界はぐんと広がった気がしました。
「重力を弱めて~っと……」
 ぷかり、シズホちゃんの身体が浮かびます。すごいね、シズホちゃん。小さいのに空が飛べちゃうんだ。
「これで穴に落ちたり足を引っ掛けられたりはしましぇん!」
 穴が空いていてもへっちゃらになったシズホちゃんがぷかぷか浮かびながら移動すれば。
「あっ、いたでしゅ!」
 シズホちゃんの声に、ぐるりと顔を動かしたのは大きなお化けカボチャ!
 すかさずびゅんっと飛んできた蔓もシズホちゃんはふわふわ飛んで避けちゃいます。
「えーいでしゅ!」
 そうして、ビビビビビ!
 避けては重力属性の光線を蔓やカボチャの頭に浴びせれば――
「!?」
 シズホちゃんみたいにぷかぷかと浮かんだお化けカボチャはとっても驚いちゃったみたい。
「そのまま飛んでいくといいでしゅ!」
 どっかーん砲撃!
 軽くされたお化けカボチャはその勢いのまま、ぴゅーんっとどこかへ飛んでいくのでした。重力光線の効果が切れるところまで!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
幼女アリスは夢見が恥な女の子☆今日も今日とて現実と妄想の境界を取っ払って妄想世界を具現化するのでした。
わぁい♪かぼちゃさんだー☆
カートゥーンアニメのキャラみたいなお化けカボチャを見て幼女アリスは大歓喜♪
そうだ、アリスがテンカウントするまで種マシンガンしたらダメよ♪
ルールの宣告、もし破ったらカートゥーンアニメみたいなリアルでやったらエグい妄想悪戯をするつもりのようです。
「いーち、にーい(略)きゅーう……Q!」
罠使いで最後のカウントを変えて嵌める悪戯です☆
「わーい♪ひっかかったー☆じゅう!それじゃおしおきね☆」
理不尽な妄想悪戯がお化けカボチャを襲う!そして更なるルール宣告が……無限ループて怖くね?




 いつもより小さなアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)ちゃんは、いつもよりも夢見がちな女の子☆
 楽しい妄想を繰り広げるのはいつもと変わらず、どうやら今日も今日とて現実と妄想の境界を取っ払って妄想世界の具現化に勤しむようです。
「わぁい♪ かぼちゃさんだー☆」
 大きな大きなお化けカボチャを見て、アリスちゃんは全く怖がらず、むしろとっても喜びました。何故ならそれは、アリスちゃんの大好きなカートゥーンアニメのキャラみたいだと思えたから!
 大きなカボチャの前にいるのは、小さな可愛い女の子。なのにどうして怖がらないのだろうと、お化けカボチャは不機嫌そうにしながらも今にも種を噴き出しそうです。
「まって、ダメよ♪」
 けれど、アリスちゃんは待ったをかけます。本来ならそんな言葉を無視してしまえばいい訳ですが、アリスちゃんは簡単に力の説明をして。
「アリスがテンカウントするまで種マシンガンしたらダメよ♪」
 そういうルールなの。と微笑みました。
 たったの10秒。それくらい、カボチャだって守れます。
「いーち、にーい……」
 お化けカボチャは今すぐにでも種マシンガンを浴びせたい気持ちをぐっと押さえ、アリスちゃんのテンカウントを待つことにしました。
「きゅーう……Q!」
 ダダダダダダ……!
「わーい♪ ひっかかったー☆」
 打ち込まれる種子の爆弾が破裂するなか、アリスちゃんが笑います。種マシンガンを打ち込まれる事を知っていながら避けることをしなかったアリスちゃんは当然被弾しますが、それでもアリスちゃんは笑っていたのです。
 現実ではできないような妄想悪戯がこれからお化けカボチャを襲うところを今から見れるのを思うと、それがとっても楽しくて!

大成功 🔵​🔵​🔵​

朝沼・狭霧
【風月華】♢♡
【心情】子供になっちゃった、ちょっと心細い
でも、わたしせんせーだからがんばるの(ガッツ

子供になったのを自分の胸を触って確認
ちっちゃくなったー
ついでにミリアちゃんのお胸も確認?
オルヒちゃんはそのままでした


はぐれない様にみんなで手をつないでいく
おやつとジュースも貰って準備万端です

仲間が泣いてたらなでなで
かぼちゃなんかにまけないぞー
おやつを半分わけてあげます


ベイメリアすごいやる気
一緒にがんばろー、おー


かぼちゃさんが現れたら
UCねこさんの召喚を使用
わたしは小さくなってもねこさんはおおきいもん
まけないぞー
ねこさんにカボチャさんと戦って貰います
ねこさんの踏み潰し
パンプキンパイになっちゃぇー


ベイメリア・ミハイロフ
【風月華】♢
呼び方:さぎりさま
オルヒさま
ミリアさま

アルダワワッペン、とってもかわいい!
小斧ももらってごきげん

みなさまとお手てをつないで参りますわ
みなさまはわたくしがおまもりいたしますの
さぎりさま、おー!なのですわ!

あーっ!ミリアさま、高いところに!とっても楽しそう!
気を取られていたら、穴からかぼちゃが出てきてびっくり
ひゃあ!って声が出ちゃいそうです
な、なかないです、がまんします(涙目)

でもおなかまがびっくりさせられたり
いじめられたりしたら
もう!わたくしおこりましてよ!
赤ばらの花びらとオーラ防御をまといながら
属性攻撃で炎をつけて
てかげんなしに燃やしちゃいます!

※幼児化すると口調が少しくだけます


ミリア・プレスティール
【風月華】♢♡・幼等部の制服着用
ミリアは身も心も幼児化してしまい、相棒の手袋型UDC『ミトン』にべったりとなっている。『ミトン』自身も精神はそのままだが幼児化の影響かいつもより巨大になることができない。
『ミトン』はミリアを抱えて【空中浮遊】で地面から離れ、【空中戦】で空から攻撃を仕掛ける。…心なしかミリアが観覧車に乗った子供の様にはしゃいでいる。
【ミリアの心情】
みんないっしょです?ミトンもはなれたらやだぁ。…のってもいいの?わあぁ!すごいすごい!たかーい!
【ミトンの心情】
とにかくミリアが迷子になるのは厄介だ。戦闘は俺がミリアを抱えながら戦うしかない。地面は危険だから空から攻めるか。


オルヒディ・アーデルハイド
【風月華】♢♡
元々が6歳だから5歳くらいになっても問題ないと思ってた
でもこの1歳の差は大きかった
幼児化した結果
見た目は余り変わらなかったが
白銀の槍が想像力に応じてピコピコ光る玩具の魔法のステッキーに変化
幼児化したので臆病
やっぱりお化けカボチャは怖い
同年代に幼児化したお友達と手をつなぎ勇気を貰う
ボクはひとりじゃないんだ
こんなきもちはじめて
もうなにもこわくない
勇気を持って立ち向かおうとした
その時、奇跡は起きた
エーデルシュタインヘルツが輝きだしプリンセスナイトに変身
勇気に反応して華麗なる姫騎士が発動
例え幼児でも魔法少女には変身できる
憧れだったアニメのように
飛翔能力で全力全開で突撃してランスチャージ




 ぺたん。
「本当に子供になっちゃった」
 ぺたぺたん。
「ちっちゃくなったー」
 何の話でしょう? 答えは、胸の話。
 胸を触らずとも小さくなってしまったのは姿を見れば解るけれど、そこはほら、何となく触覚でも認識してみたくなったのでしょう。自分とミリア・プレスティール(被虐少女と手袋守護霊・f16609)ちゃんの胸をぺたぺたと触って確認した朝沼・狭霧(サギリ先生・f03862)ちゃんは、少しだけ心細くなってしまう気持ちを他の子たちに見抜かれてしまわないように、ほんの少しだけグッと目に力を入れました。
(だって、わたしせんせーだから)
 がんばらないとっ!
 一人で決意を固める狭霧ちゃんを余所に、ニコニコとご機嫌なのはベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)ちゃん。アルダワ魔法学園幼等部の制服の胸にはにゃんこのお顔のワッペン。可愛いワッペンを見ればニコニコ、踊るようにくるりと回ればローブとスカートがひらりと舞うのも楽しくてニッコニコ。手に握りやすい小さな斧にだってお花の飾りがついていて可愛くて、ベイメリアちゃんはこの上なくごきげんです。
 普段とあまり姿の変わらなかったオルヒディ・アーデルハイド(アリス適合者のプリンセスナイト・f19667)くんが蜘蛛糸だらけの薄暗い谷を不安そうに見れば、ベイメリアちゃんは優しくその手を取って、ちょっぴりお姉さんの顔でにっこり。
「オルヒさま、だいじょうぶなのですわ」
「ほ、ほんとうに?」
「そうですよ、みんなそばにいますから」
「みんないっしょです?」
 狭霧ちゃんがオルヒディくんの残りの手を握れば、相棒の手袋型UDC『ミトン』に半ば包まれるようにしながらミリアちゃんがそっと顔を覗かせて。
「ええ、みんな一緒」
 狭霧せんせーは皆が不安にならないように笑顔を浮かべて。
「みなさまはわたくしがおまもりいたしますの。さぎりさま、おー! なのですわ!」
「みんな一緒にがんばろー、おー」
「お、おー……」
「……おー」
 元気な二人の声に合わせて遠慮がちに声を上げるミリアちゃん。
 二人が握っている手をおーっと上げたものだから、両手を上げた形で皆に続くオルヒディくん。少し驚いてしまったけれど、じんわりと両の手から伝わってくる勇気と優しさに、不安に揺れていた心も落ち着いたようです。おともだちパワーってすごい!
(ボクはひとりじゃないんだ)
 こんな気持ちは初めて。
 誰かが居てくれるのって、とっても心強い。
 お揃いの学生服。お揃いの目線。お揃いの目的。その全てが、子どもたちの足取りを少しだけ軽くするのでした。
 手をつないで歩く三人と、ミトンに乗せてもらってはしゃぐミリアちゃんたちは、薄暗い谷になんて負けません。怖くて前に進む足が重くなった時はおやつとジュースで心を一休みさせ、四人の子どもたちは勇敢に谷の奥へと進んでいきます。
「あっ」
「ミリアさま、何か見つけました?」
 ぷかぷか浮かぶミトンに抱えられて、高い高いと楽しそうにしているミリアちゃんがちょっとだけうらやましくて見上げていたベイメリアちゃんが、小さな声にすぐさま反応します。
 けれど。
「ひゃあ!」
 そんなベイメリアちゃんのすぐ目の前の土から、何かがびゅんっと飛び出てきたのでした!
 飛び出てきた怖い顔をした大きな大きな南瓜頭に、一緒に歩いていたオルヒディくんもびっくり! 思わずジリ……と足を後ろに引いてしまいそうになったけれど――
(ボクは、ひとりじゃないんだ)
 両の手は、まだ二人と繋がっていて。
「ちょ、ちょっとびっくりしただけです!」
 泣かないように我慢しているベイメリアちゃんが居て。
 反対側には、二人を守るように一歩前に出た狭霧せんせーが居て。
(もうなにもこわくない)
 大きな怖い顔の南瓜は怖いけど、怖くない。だって皆がいるのだから!
「っ」
 勇気を持って立ち向かおう。少年の心がひとつ成長した瞬間、ピコピコ光る玩具の魔法のステッキと化していた元白銀の槍『エーデルシュタインヘルツ』が眩い光を放ち――少年の身体は光に包み込まれてしまいました。
「ど、どうしましたの、なんですのっ オルヒさまはごぶじですの!?」
「オルヒちゃん!?」
 光に弾かれるように繋いでいた手が離れてしまったベイメリアちゃんとミリアちゃんは、光に包まれてしまったオルヒディくんのことを心配します。
 けれど、心配にはおよびません。すぐに光は収まり、そこには《華麗なる姫騎士》でプリンセスナイトに変身したオルヒディくんが姿を現したのです!
 シャボンのように浮かんだ光の中に、波を描くフリルが揺れて。小さくても可愛くてかっこいい、まるでいつかのアニメーションで見た魔法少女のような姿で!
「ボクもたたかえる」
「オルヒさま……!」
「いっしょにいきましょー、いくよー」
 ねっこねこ、にゃーん♪
 魔法ステッキを握るオルヒディくんの隣に並ぶベイメリアちゃんの周りにぶわりと赤い薔薇の花が舞い、狭霧せんせーが呼び出した大きな幻影の猫さんが「にゃー」と鳴いて。
「ミトン。ミトンもいける?」
 ミトンに大切に抱えられたミリアちゃんが伺うようにそっと尋ねれば、言葉は介さなくてもミトンの意思は伝わってきます。
 ぎゅんっと高く昇って、くるりと回ればジェットコースター。
 弧を描きながらゆるやかに空中を舞えば観覧車。
 本当のアトラクションだったら少し怖いかもしれないけれど、ミリアちゃんは楽しげにはしゃぎます。だってミリアちゃんが乗っているのは、大好きなミトンなのだから。大きな時は少し悩みの種になったりもするけれど、小さなミリアちゃんにとっては離れるなんてもっての外な信頼できる相棒。大好きな友達です。
 大人の姿の時でもとても大きなお化けカボチャは本当に大きくて、小さな皆を翻弄してしまうけれど、小さな皆だってたくさん翻弄して、たくさん困らせてあげちゃいます。
「もう! わたくしおこりましてよ!」
 狭霧せんせーが猫さんごと蔓でぺちんっとされるのを見て、ベイメリアちゃんはきりりと眉をあげます。薔薇の香りが濃くなって、淡い光りに包まれたベイメリアちゃんはお化けカボチャに突撃!
「燃やしちゃいます!」
「ボクも!」
 アニメの魔法少女のようにふわりと飛んだオルヒディくんも一緒に突撃!
「パンプキンパイになっちゃぇー」
「ミトン、やっちゃえー!」
 いつもより小さな猫さんではとっても大きなカボチャは踏み潰せないけれど、涙をぐぐっとこらえた狭霧せんせーも反撃ぱーんち! ミリアちゃんを乗せたミトンもびゅんっと飛んで――!
 そうして四人は、怖い顔をしたお化けカボチャを退けたのでした。
 一緒に歩む友達との友情と、困難や恐怖へ立ち向かう勇気をもって!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紅葉・智華
【紅葉姉妹】

※アドリブ・連携歓迎

前提
予め『自身と華織(f12932)の体積や体重に変化があった場合にサイズの合った服(デザインは軍服ワンピース)を着用する』電脳魔術がオートで発動するように設定。

「からだはサイボーグのまま……ちいさくなるのであって、わかがえる、ではないってことかあ……」
『ラプラス』がなかったら多分、思考力にも影響が出ていそうだけど、なんとかなる。今回はラプラスに頼りっきりになる。
【選択UC】(第六感)で攻撃を【見切り】ながら【ダッシュ】で接近。隠れていようと、既に見えてるなら怖くない。接敵したら借りた小さい斧で叩き斬るのみ(鎧無視攻撃)。
「かおりにはきずひとつつけさせやしない」


紅葉・華織
【紅葉姉妹】

※アドリブ・連携歓迎

衣服に関してはお姉ちゃん(f07893)の策にお任せ。小さくなると同時にお姉ちゃんとお揃いの服になる――筈。

「……うう、たおさなきゃっていうのはわかるけど……」
記憶はある。猟兵の自覚もある。普段なら倒せる事も理解しているのに、、足が動かない――。

――でも、頭に直接愛刀が「自分を使っといてその程度の異常にやられるとか何?」とか挑発してくるんじゃあ、動かない訳にいかないよね。
でも、ごめん月華(愛刀)。今の身体じゃ持てない。「そんな!」とか言わない。手裏剣『炎蛇』を片手に【ダッシュ】で駆けて、【選択UC】で攻撃を回避して攻撃する。
「まもられるだけでおわってたまるか!」




 お揃いの、黒いスカートがひらり。けれどそれはアルダワ魔法学園の制服ではなく、軍服ワンピース。予め自分たちの体重等に変化があった際に発動する電脳魔術の効果で紅葉・智華(紅眼の射手/自称・全サ連風紀委員・f07893)ちゃんと紅葉・華織(奇跡の武術少女/シスコン師範代・f12932)ちゃんは黒い軍服ワンピースに身を包んでいました。
 発動した、ということは身体が小さくなった、ということで。
「からだはサイボーグのまま……ちいさくなるのであって、わかがえる、ではないって

ことかあ……」
 改造手術前のサイボーグではない生身の身体になるわけではないのか、と。智華ちゃんは不思議そうに呟いて、手を握っては開いて、小さな体の動作確認。目に嵌った『虚構の神脳(ラプラス)』が機能しているかの確認もしてみたところ、やはり性能は落ちているようです――が、機能はしていることを確認しました。
「……うう、たおさなきゃっていうのはわかるけど……」
 冷静なお姉ちゃんの智華ちゃんに対し、妹の華織ちゃんは落ち着きなく視線を彷徨わせています。記憶もあって、猟兵の自覚もある華織ちゃん。普段なら愛刀を手に勇ましく駆けていくし、普段の姿ならば切り伏せることも可能なことは解ってはいるのですが……。
(どうしよう……足が、動かない――)
「かおり」
 敵が居るよ。大きな大きなお化けカボチャの姿は、もう見えています。
「かおりはそこにいて。わたしがたおすから」
 お化けカボチャも二人に気づき、今にも種を吐き出さんとしています。
「かおりにはきずひとつつけさせやしない」
「おねえちゃん……!」
 智華ちゃんが、お化けカボチャに向かって駆けていきます。
 待って、一緒に行く。行きたい。けれど、華織ちゃんの足は縫い付けられたように動きません。
『自分を使っといてその程度の異常にやられるとか何?』
 愛刀の声が直接頭に響いて。その声に前を向き、きゅっと唇を噛んで。
 背中を押される気持ちで、地面を――蹴れた!
(でも、ごめん『月華』。今の身体じゃ持てない)
『そんな!』
 頭に響く小さな声に笑みを浮かべ、斧を手に種マシンガンを交わす智華ちゃんの背を追いかけ、手にした手裏剣『炎蛇』を投げつけて智華ちゃんのサポートを!
「かおり!」
「まもられるだけでおわってたまるか!」
 いつまでもお姉ちゃんの背中を追ってばかりではいられません。
 戦闘経験の無い小さな身体でも、姉妹の力を合わせて肩を並べて奮闘すれば、お化けカボチャは困った顔になって逃げていくのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【梓(f25851)と】♢
(「りょう」と書かれたワッペン付き幼児制服)
あはは、似合ってるよ梓ー
この身体じゃあえんぺらーが持てないけど
この斧があればばっちりだね
ちっちゃいえんぺらーって感じ
えいっえいっ……あたっ(振り回してこける

梓と一緒に焔の背中に乗る
落ちないように梓の服にしっかり掴まる
小さくなった分、いつも以上に
空が大きく感じられてきもちいい
慣れてきたら持ってきたおやつをもぐもぐ

あのカボチャも食べられるの?
じゃあ俺、切るねー
焔の背から思いっきりジャンプして
カボチャ目掛けてUC乗せた斧をおりゃーっと振り下ろす
欠けたカボチャをひとかじり…かたい
あっ、ちょっ、いたっ(蔓の鞭でペチペチされ
助けて梓ーっ


乱獅子・梓
【綾(f02235)と】♢
(「あずさ」と書かれたワッペン付き幼児制服)
…これを着たら俺達のそんげんは守られると
グリモア猟兵は言ってたけど
なんか逆に大事なものをなくした気がしなくもない…

おい、綾!転ぶなよ…ってもう転んでるし!
しょうがねーなー…焔!
ドラゴンの焔を呼んで成竜に変身させ
綾と一緒に乗って空へ!
このままカボチャのとこまで一気に行くぞー!
あ、こら!俺の服で口拭くな綾ー!

おう、あんだけデカかったら
いっぱいカボチャ料理が作れるな!
ってなに勝手に飛び降りてんだー!!
ジャンプして行った綾を急いで追いかける
綾をいじめんな!焔、全部燃やせー!
焔のブレスで焼きカボチャにしてやる!
こうすれば美味いぞっ




 お揃いの、アルダワ魔法学園幼等部の制服。
 お揃いの、ねこちゃんの可愛いワッペン。
 小さくて可愛い姿はいっしょのはずなのに。
「あはは、似合ってるよ梓ー」
「なんか逆に大事なものをなくした気がしなくもない……」
 あははといつもより高い声で笑う灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)くんに対して、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)くんはちょっぴりご不満な様子。「尊厳は守れても……」って? 梓くん、難しい言葉を知っていますね? グリモア猟兵が言っていた? そっかー。
 二人の男の子の胸に魔法の力でぺたんと貼られたアルダワワッペンには、『りょう』『あずさ』としっかりとそれぞれの名前が書かれています。もしかしたら記憶まで小さい頃に戻っていたかもしれないし、小さかったら漢字が読めなくなっちゃいますからね。うんうん。
 小さな手足を見下ろして梓くんがどんよりとした空気を漂わせている間に、綾くんは手にした新しいおもちゃ――小さな斧をぶんぶんぶん! いつもの相棒『えんぺらー』は持てないけれど、この斧があればばっちり! 歩く邪魔になる小枝も切れるし、怖いのが出たってへっちゃらだ。
「わー、ちっちゃいえんぺらーって感じ」
 えいっえいっ
 ぶんぶん! ぶぉん!
「おい、綾! あぶないぞ、転ぶなよ――」
「……あたっ」
「って、もう転んでるし!」
 小さくっても斧は斧。その重みをしっかりと手に感じるし、ぶんぶん振り回せばその重みで身体だってぐらついてしまいます。けれども綾くんは、転んでも泣きません。男の子ですからね!
「しょうがねーなー……焔!」
 頭に蜘蛛糸をくっつけながら、もそもそもぞりと立ち上がる綾くんを見て、梓くんはため息をひとつ。そして、ドラゴンの『焔』を呼びました。
「あれ、焔ってこんなに大きかったっけ?」
「俺たちが小さいだけだろ。焔、大きくなれるか?」
「キュー!(がんばる!)」
 一声鳴いた焔はむむっと頑張って大きくなってみました。
 ボンッ!
「すごい、大きい!」
 シュルルー……
「あ……」
 成竜の姿になれた! と思ったのも一瞬。辺りに満ちた時蜘蛛の糸に触れてしまい、焔の姿はしゅるしゅると縮んでしまいます。
「あー」
「……でも、乗れないことはない、か」
 小さくっても、ドラゴンはドラゴン! 人の成長と巨大種の成長は違うもの。小さな二人が乗るにはぎりぎり大丈夫かなと感じるくらいの大きさになった焔の頭をひと撫でして、梓くんは焔に乗ってみることにしました。
「大丈夫か、焔」
「キュキュー!」
 いけるー! と元気に焔はとっても人懐こくて強い子です。その背に綾くんもよじよじ登ったら、出発進行! 少し不安定にぐらりと揺れたけれど、小さな二人を背に乗せて、焔は勇敢に飛び立ちました。
 綾くんは落っこちないように梓くんの服にぎゅうっと捕まって、空を見上げます。飛び立つ高さは、きっと成竜の焔より全然低くて。きっと空だって遠いはず。けれど小さな綾くんには今日の空はとても大きく感じられて、心のなかにふわふわとした何かが浮かんでくるようでした。
「このままカボチャのとこまで一気に行くぞー!」
「……ん」
 空の旅に慣れてきた綾くんは、お菓子を食べ始めたため返事は少ないようです。
 ぱりぱり、ぽりぽり。ちょっと濃い目の味が美味しくて、とっても満足。けれど食べれば手と口が汚れてしまって……そうだ、拭けばいいんだ! 目の前にある布で手と口を拭けば、綾くんの手と口はキレイキレイにもどりました! よかったね、綾くん。
「あ、こら!俺の服で口拭くな綾ー!」
 その布が何だったかなんて、しらんぷり!
「あ、カボチャだ」
「こらー、話をそらすな……ってほんとだ。てか、思ってたよりもデカいな」
「あのカボチャも食べられるの?」
「おう、あんだけデカかったらいっぱいカボチャ料理が作れるな!」
「そっか」
 じゃあ俺、切るねー。
 ふ、と梓くんの背中から気配が消えて。
「ってなに勝手に飛び降りてんだー!!」
 綾くんが斧を手に思いっきりジャンプしたものだから、焔の飛行はぐらぐら。その背を宥めるように撫でて、焔といっしょに綾くんを追いかける梓くん。
「おりゃーっ」
 その武器は、『皇帝』ではなく。身体だって小さくて、戦闘経験もなくなっている。条件を満たさずに完璧には決められないユーベルコードを携えて、それでも小さな身体で綾くんは大人の自分よりも何倍も大きなカボチャへと斧を振り下ろしました。
 がきんっ!
 とても硬い皮に、斧がぐぐっとはまって。
「あっ、ちょっ」
 取れない! と慌てる綾くんに、怒った顔になったカボチャは蔓を伸ばして容赦なくペチペチ!
「いたっ! 助けて梓ーっ」
「綾をいじめんな! 焔、全部燃やせー!」
 ごうっと吐かれた炎がカボチャを熱すれば、良い香りが漂って。
「あ、うまそ」
 斧に力を込めれば、柔らかくなった場所ごとごろん。
 顔くらいの大きなカボチャの塊と転げ落ちた綾くんは、すかさず焔がキャッチ!
 ホクホクで甘くて美味しい焼きカボチャを残して、お化けカボチャは逃げていったのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三上・チモシー
♢♡

ワッペンを受けとって、いってきまーす!
見た目はこども、中身もこども!
チモシー5さいです!

巨大熱帯魚のライ麦ちゃんにのって、おそらをとぶよ
ライ麦ちゃんはまだこどものナマズさんだからねぇ、糸にさわってもあんまりちっちゃくならないんだよ

わー、カボチャにあしがあるよ
カブトムシみたいでかっこいいね!
つるのむちがこっちにきたらねぇ、ライ麦ちゃんによけてもらうよ

じゃーん! 剣だよ!
これもったらねぇ、火がでるよ!
ふどうみょうおーにきみょうしたてまつる。えっと、えっと……めつじんしたまえー!

カボチャをやいたら、いいにおいがしたよ
チモシーはカボチャプリンがすきだよ
おなかすいたなぁ


フィーナ・シェフィールド
ひらがなで『ふぃーな』と書かれたワッペン、幼等部の制服に身を包み、黄色の帽子をちょこんと被って元気に出発です!

キラキラと丸く青い瞳、すべすべした頬に、小さくパタパタと動く白い翼。

ふふ、そろそろ幼児化にも慣れてきました。
何度か会ったことがあるお友達にご挨拶しながら、カボチャ狩りにいきましょー♪

おやつはなんだろうねー?
かぼちゃのくっきーかなー?
と、楽し気にお話ししながら歩いていきます。

「きゃぁぁっ!」
カボチャが足元から不意打ちしてきたら、びっくりしてとっさに、純粋無垢なオーラを纏った【紺青の拳】(と言う名のお子様ぱんち)で叩き落します!

ちょっぴり涙を浮かべつつ、残りのカボチャもやっつけますね。




 アルダワワッペンを受け取って、元気に「いってきまーす!」と時蜘蛛の渓谷へとやってきた三上・チモシー(カラフル鉄瓶・f07057)くんは、巨大熱帯魚の『ライ麦ちゃん』の背中に乗って、お空をふよふよぷかぷか。まだまだこどもナマズのライ麦ちゃんは、時蜘蛛の糸に触ってもあまり姿が変わらないからチモシーくんもこうして空の旅ができたのでした。
「こんにちはー」
 ふよふよと空を泳ぐライ麦ちゃんとチモシーくんに、誰かがご挨拶。あれれ、お空なのに誰だろう? 不思議に思って振り返ると、そこには青い瞳に真っ白な翼のオラトリオさんがパタパタ。
「わー、こんにちはー。えっと、天使さんは『ふぃーな』ちゃん?」
「うん。わたし、フィーナ。あなたは……」
 猫さんのお顔のワッペンを見れば、小さなお友達の名前はわかっちゃう。お揃いの魔法学園制服にもなれちゃうし、とっても便利!
 こうしてチモシーくんとフィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)ちゃんはお空の上で出会い、せっかくだからと一緒にカボチャ狩りをすることにしました。
「おやつなんだろうねー?」
 ライ麦ちゃんがいいよとジェスチャーしてくれたから、フィーナちゃんもチモシーくんといっしょにライ麦ちゃんの背中の上。渡されたお菓子の可愛い包みからは、まだ空けてもいないのに甘い香りが漂って、こどもたちの興味をひいてしまいます。
「おいしそうだよね」
「はやくたべたいなー」
「もうちょっとカボチャをさがして、見つからなかったらたべちゃおっか」
「さんせー!」
「フィーナちゃんは、カボチャりょうりは何がすき?」
「わたしはかぼちゃのくっきー。チモシーくんは?」
「チモシーはカボチャプリンがすきだよ」
 どっちも甘くて美味しそう! 食べたいねと微笑みあえば、ライ麦ちゃんもうんうんと同意を示しているようです。
「あっ」
「カボチャ、いた?」
「わー、あしがあるよ」
「わあ」
「カブトムシみたいでかっこいいね!」
「そう、かなー……」
 チモシーくんはかっこいいとお目々をキラキラ。フィーナちゃんは、うーんっと少し悩む表情。だってあれは、クモさんの足だもの。ムシさんへの好みはわかれてしまいますよね。
 こどもたちの声に気付いたお化けカボチャが蔓を鞭のようにしならせてライ麦ちゃんへと飛ばします。
「よけて、ライ麦ちゃん!」
 すいっと避けたライ麦ちゃんの背を撫で、えらいえらいと褒めたチモシーくんはその背に立ち上がりました。
「じゃーん! 剣だよ!」
「わ、すごい。チモシーちゃんの剣は火がでるのー?」
「そうなの、かっこいいでしょー!」
「うん、かっこい……きゃぁぁっ!」
 ビュンッ!
 お化けカボチャの大ジャンプ!
 ライ麦ちゃんの身体がぐらりと揺れる中、びっくりしたフィーナちゃんが悲鳴とともにパーンチ! 涙目のフィーナちゃんが繰り出すパンチは……ポーズは可愛いお子様ぱんちなのに、何故だかとっても型が決まっているようです! すごいね、フィーナちゃん!
「いまだ! ふどうみょうおーにきみょうしたてまつる。えっと、えっと……めつじんしたまえー!」
 ぼこっと殴られて落ちていくお化けカボチャへ向けて、チモシーくんの炎の剣が炸裂! いつもより炎は小さくて丸焼きになんて全然できないけれど、なんだかとっても甘い香りが広がって。
「おなかすいたなぁ」
 ぐうとおなかが鳴いたから、二人は仲良くおやつタイムにするのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

大紋・狩人
♢仄か
(二人の名をワッペンへ書き)
きみの前で子どもになるのか
何だか面映ゆいな

(男子制服おちつかない)
ラピタびっくりしたねえ
あ、可愛い!
ラピタいつも素敵な子だけど
ちっちゃいのも可愛いし
いつもと違う格好すごく似合ってるよ!
(肉体精神幼児化のストレートさ!)

南瓜お化け……!
ラピタをかばう!
僕、南瓜なんてこわかぁないんだから
食べれるし南瓜パイ好きだもん!
(足生えて
ぺちぺちして怖いけど我慢
戦人泣かない)
ん、連れてく
頑張る
ラピタも一緒に食べようね

あっち、怖くないよ!
【隣人】宝探し
怖い鬼ごっこの中
辛うじて掴む宝物のよに安全な道を見つけ
ラピタの手を引き懸命に走ろう

南瓜もうへいき?
よかったぁ
うん
半分こしようね!


ラピタ・カンパネルラ
♢仄か
※盲

(名前を書いて貰ったワッペンぺたし!)
(こころはそのまま)

(はに)(かみ)
(君はいつも優しいけど、そんなに真っ直ぐ言われちゃうと)
僕、変身よりびっくりしちゃったかもしれない

大丈夫だよ、カロン
僕がすぐに、南瓜のパイに
オウガゴーストーーいや
今のカロンに、代償による怪我なんて見せたら
泣いちゃう
だめ

ディアユー、『カロンに、美味しい南瓜をご馳走してあげる』
少し、怖いのを辛抱して。
僕を、南瓜に捕まらないように、隠れ鬼ごっこ、してくれるかい?

食べられる気のない南瓜に不運の星巡り
転げたり鳥に襲われたり、地を掘ったら硬い岩にぶつかって気絶しちゃう。筈!

大丈夫
南瓜動かないみたい
うん
お腹いっぱい、半分こね




「きみの前で子どもになるのか。何だか面映ゆいな」
 グリモア猟兵から受け取った二人分のワッペンに、それぞれの名を大紋・狩人(黒鉛・f19359)が書く。ペンを握る指はまだ長く、これから縮んでしまうなど考えるだけでもとても不思議だ。
「はい、ラピタ」
 盲いた目の彼女の代わりに連ねた文字を確認して、書けたよと手渡せば、ラピタ・カンパネルラ(薄荷・f19451)は紅い義眼を細めてゆるやかに咲った。

 胸に魔法でぺたんとくっついたアルダワワッペンが優しくふんわりと光れば、時蜘蛛の糸に触れた瞬間には既に二人の姿は変わっていました。ラピタちゃんは女の子の制服、狩人くんは男の子の制服に。
「ラピタびっくりしたねえ」
 普段と違う、男の子の服は慣れなくて。少しだけそわそわと狩人くんが振り返れば、そっと猫さんワッペンに指を伸ばしているラピタちゃんの姿がありました。ラピタちゃんの視界はほとんどおぼろげで見えないけれど、ぼんやりとした世界に光がさしたのがわかったのでしょう。
「カロン」
「あ、可愛い!」
 声が聞こえた方へとラピタちゃんの顔が動きかけたところへ、幼くも素直な声が重なります。
「ラピタはいつも素敵な子だけどちっちゃいのも可愛いし、いつもと違う格好すごく似合ってるよ!」
 狩人くんのただひたすらに真っ直ぐな言葉に、ラピタちゃんはゆっくりとはにかんでしまいます。
(君はいつも優しいけど、そんなに真っ直ぐ言われちゃうと)
 変身したことよりも、何よりも君の言葉に驚いてしまう――と、ラピタちゃんはひとつ跳ねた気がした胸を小さな手で押さえるのでした。
「ラピタ、いこ」
「うん」
 転ばないように、手を握って。
 ラピタちゃんが歩く障害となりそうなものを避けたり、狩人くんが取り除いたりして、小さな二人は谷の中を歩んでいきます。
 すると。
「南瓜お化け……!」
 大人よりも大きな大きなカボチャを二人は見つけたのでした。
 ギョロリ。お化けカボチャが小さな小さな二人を見下ろします。自分たちの何倍も大きなカボチャのなんと恐ろしいことか――!
「僕、南瓜なんてこわかぁないんだから! 食べれるし南瓜パイ好きだもん!」
 ほんとだぞ、ほんとなんだぞ。
 普通のカボチャサイズじゃないし、蜘蛛の足も生えてて変だし、顔も怖い。けれどけれど、怖くなんてない! と虚勢を張る狩人くん。目にはふるふる涙が溜まってきてはいるけれど、ぐっと我慢。だって、男の子だから!
「大丈夫だよ、カロン。僕がすぐに、南瓜のパイに――」
 言いかけたラピタちゃんの唇が止まります。
(だめ、カロンが泣いちゃう)
 自身に憑依するオウガに攻撃させ、炎で焼いてホクホクおいしいカボチャのパイにするためには、ラピタちゃんの身体を代償に捧げないといけません。そんなことをしたら、今の狩人くんがどうなるか――なんて、考えればすぐに解ること。ふるりと髪を揺らしたラピタちゃんは、少しだけ震えている狩人くんの手をぎゅっと握りました。
 ――ねえ、世界。小さなわがままを聞いてくれる?
 小さなわがままは、誰かのために。《ディアユー》。
「『カロンに、美味しい南瓜をご馳走してあげる』。だからカロン、少し、怖いのを辛抱して」
 できる? と問うラピタちゃんの声はとても優しくて。引き寄せられるようにラピタちゃんを見た狩人くんは、しっかりと頷いて手を握り返します。
「僕を、南瓜に捕まらないように、隠れ鬼ごっこ、してくれるかい?」
 いっしょに、隠れ鬼をしようよ。
 いっしょに駆けて、いっしょに隠れて。
 だから導いて。
「ん、連れてく」
 ラピタちゃんの盲いた目の光の代わりになることを、狩人くんが躊躇うことなんてありません。
「隠れ鬼ごっこ、頑張る。ラピタも一緒に南瓜パイを食べようね」
 小さな頷きが返ってきたら、それが隠れ鬼ごっこの始まりの合図。
 鬼は、大きくて怖いおばけカボチャ。
「あっち、怖くないよ!」
 小さな狩人くんの怖さに満ちる世界の中で安全な道というものは、それは宝物のよう。危険の中に隠された財宝のひとつを探すように集中をするけれど、今までのようにそれは全然見えてはきません。けれど狩人くんは諦めず、最善を探しながらラピタちゃんと駆けます。小さな体の体力も知れているため、逃げ回り続けるよりも身を隠す場所が必要だったのです。
 小さな少女の手を離さずに、ぴょんっと飛び込んだ小さな道。そのすぐ後を、大きな大きなお化けカボチャが、恐ろしい蜘蛛の足をザカザカ動かして駆けていきます。
(――ヒッ)
 思わず漏れそうになった言葉を、手で塞いで堪えた狩人くん。その傍らのラピタちゃんの唇は淡い笑み。
 ラピタちゃんは、『カロンに、美味しい南瓜をご馳走してあげる』と《わがまま》を口にしました。けれどお化けカボチャには食べられる気など全く無いし、逆にふたりをパクンと食べてしまうつもりでした。ラピタちゃんの願いに反する行動、そこには不運の星が巡ってしまうのです。
 二人が隠れて、そんなに経たずにそれは起こりました。
 ずどぉぉぉぉん。
「わ」
 突然の、何か大きなものが倒れるような地響き。
 そろりと顔を出して右・左・右! 安全を確認してから見に行けば、そこには目を回した大きなお化けカボチャの姿がありました。
「南瓜、もうへいき?」
「大丈夫、動かないみたい」
 すぐには近寄らず、伺う二人。何かあっては大変ですからね。
「よかったぁ」
 とてとて小走りに近寄ってカボチャをよぉく見てみれば、誰かがくり抜いたのか、焦げ跡とぼこりと減った橙色。お腹が空いてしまいそうな良い香りに思わず顔を見合わせて。
「半分こしようね!」
「うん。お腹いっぱい、半分こね」
 カボチャが目を回している間に、二人で力を合わせてカボチャの顔を少しもらってしまいましょう!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロカジ・ミナイ
【エレル】

へぇ、ワッペンだってさ
変身グッズみたいでカッコいいじゃないの

5歳の僕は髪が黒い
あとは概ね27歳と同じ!
ホラホラちいちゃいエンジくん、やや雷の眉毛を見てよ!ニャハハ!

ビックリしたらちょびっと尻尾が出ちゃうかもしれないけど
ちいちゃい僕だから許しておくれ
ビックリ系はね、あんまりね、得意じゃないからね、ちいちゃいからさ
ぎゃ!このカボチャ足生えてる!きもちわるっ
ほらみろヨシュカが泣いちゃったじゃんか!先生ー!
あっ、尻尾、(赤面)

いつもの刀は一人で抜けないし
カボチャ狩りにも向いてないから
…斧を二刀流で
ちいちゃい頃は二刀流だったのよ
棒とか火箸とかカブトムシとか

えっ、カボチャ生えるの!?やべぇすげぇ


エンジ・カラカ
【エレル】

あるだわっぺんー
そーちゃく
うんうん、かんぺきかんぺき

コレは変わらない
そのまま小さくなるだけー
分かりやすい分かりやすい

ヨシュカもそのまま、小さいなァ……。
ロカジンはやっぱり……ダレだ!!!
ヨシュカ、知らないチビがいるいる!!!
ロカジンを返せ!!!

アァ……でもこのチビ、ロカジンっぽいなァ……。
かぼちゃー、野菜はキライキライ
キライだカラ噛み付くー
気持ち悪いかぼちゃー

カタイ
かぼちゃのガード……カタイ……。
賢い君、賢い君、かぼちゃの種がたーっくさん
賢い君のイトをぶんぶん回して種を跳ね返す

ヨシュカ、アレに当たるとカラダからかぼちゃが生えてくるンだ
知ってた?知ってた?


ヨシュカ・グナイゼナウ
【エレル】

5歳児といってもわたし昔からこの大きさだったのですが?不思議!
それよりも時蜘蛛…蜘蛛って…やだなあ…

5さいのわたしは少し髪が短いのです、肩くらい
エンジさまもおんなじくらいに小さいですね、新鮮です
あれはロカジさまです…よ?ピンクじゃない!

小さくなったらねこさんから頂いたお菓子とジュースを持ってお化け南瓜のもとへ

や゛ーーーーーーー!!!!あんなのカボチャじゃないです!!
クモ!です!!う゛あ゛ああ……う゛っうっ…(嗚咽)
恐怖のあまりちょびっとでていた尻尾を掴んじゃうかもしれません

涙の代わりに溢れた【惑雨】を拭いながら、それをまとった斧を南瓜(暗示)に投擲
カボチャ…はえる…??(半泣き)




 魔法のアイテムというものはいつだって少年の心を揺さぶる存在である。
「へぇ、ワッペンだってさ」
 例え少年と呼ばれる年齢からは等に抜けていたとしても、いくつになっても根底にあるものは変わらない。受け取ったアルダワワッペンを興味深そうに眺めたロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)は、カッコいいじゃないのと胸にぺたんと貼り付けた。
「そーちゃく。うんうん、かんぺき」
 魔法の力でロカジに貼り付いたワッペンを見たエンジ・カラカ(六月・f06959)もワッペンをぺたーん。狼型のワッペンじゃないのが少し不満だけれど、これしかないのなら仕方がない。
「時蜘蛛……蜘蛛って……やだなあ……」
 蜘蛛にはいい思い出がないのか、少しだけ元気のないヨシュカ・グナイゼナウ(明星・f10678)もワッペンをぺたんとつければ出発だ。

 到着早々、ぺかんとワッペンが光りました。
 光が収まると、三人の目には高い高い険しい崖と、その向こうの細い青い空。そして視線を下ろせば、アルダワ魔法学園の制服に包まれた小さな自分の手足が見えました。
 ミレナリィドールのヨシュカくんは、昔も今も変わらぬ姿なはずなのに、小さく縮んでしまった自分が不思議で新鮮で、身体をぺたぺた。頭を動かせば頬に髪が触れ、髪が短いことにも「おお」と思わず感嘆の声をあげて。
 その声に気付いたのでしょう。小さな黒い人狼の男の子が近寄ってきました。本当にただ縮んだだけの、面影の残る姿。間違えようもないので、その子が誰かヨシュカくんはちゃぁんとわかります。
「エンジさま! エンジさまもおんなじくらいに小さいですね、新鮮です」
「ヨシュカも小さいなァ……いっしょいっしょ」
「はい、おんなじです!」
 いつもは頭ひとつ分くらい大きな人たちと、同じ高さの目線。ヨシュカくんは少し嬉しいのかも知れませんね。
「おおい、僕もいるよ」
「ロカジンはやっぱり……ダレだ!!!」
 そのままだと言おうと思ったけれど――どうやらそうではないみたい?
「エンジさま、あれはロカジさまです……よ? えっ、ピンクじゃない!」
 二人の視線の先には、くりっとした青い目の黒い髪の男の子が居て。
「僕だよ」
「ヨシュカ、知らないチビがいるいる!!!」
「そうです、知らないひとです!」
 ヨシュカくん、エンジくん、その子は知らない子ではないです。
「ロカジだよ!」
 ロカジくんです! 黒いけどロカジくんです!
「うそだ! ロカジンを返せ!!!」
「ロカジさまはピンクいのです!!」
「そうだそうだ、ロカジンはピンクのキツネ!」
「そういう言い方はちょいとばかしいやだなぁ」
 やれロカジくんを返せだの、偽物立ち去れだの、二人はわあわあ騒いで信じてくれません。どうしよう、ロカジくん?
「ホラホラちいちゃいエンジくん、やや雷の眉毛を見てよ!」
「その雷の眉毛は……?」
「アァ……でもこのチビ、ロカジンっぽいなァ……」
「やっと信じてくれたのかい? ニャハハ!」
 トレードマークの雷眉毛(成長中)を指差して、どうにか信じてもらえたようです。
「アァ……ロカジンのせいでのどがかわいたなァ……」
「そうですね、ロカジさまのせいで」
「僕のせいかい? まあまあご両人、ジュースでもお飲みよ」
 渓谷についたばかりなのに、もうお菓子とジュースで一休み。全部は食べず、ヨシュカくんは後から食べる分も残しておきます。えらいね!
 おやつタイムを終えたら早速お化けカボチャ探しに向かいます。
「実はね、斧をふたつもらってきたのさ」
「二刀流というやつですね、かっこいいです」
「かっこいいかっこいい、埴輪にも持たせよう」
 なぁんて話しながら、てくてくてく。
 そうすれば……。
「ぎゃ!」
 突然足元からビョンッと飛び出てきた大きなカボチャに、ロカジくんの尻尾がぴょんっと出てしまいました。どうやらロカジくん、ビックリ系は苦手みたい? けれど尻尾が出たことには気づかずに、視線はカボチャに釘付けです。
「このカボチャ足生えてる! きもちわるっ」
「かぼちゃー、野菜はキライキライ」
 うえー、まずそう。嫌そうな顔をしたエンジくんは嫌いな野菜をやっつけようと牙を覗かせて、今にも飛びかかろうとしましたが……
「や゛ーーーーーーー!!!!」
 響いた大きな声にビョンっと耳を立ててびっくり。
「あんなのカボチャじゃないです!! クモ! です!!」
「ほらみろヨシュカが泣いちゃったじゃんか! 先生ー!」
 あああ、ヨシュカくんが泣いてしまいました。泣かないで、ヨシュカくん!
 カボチャがヨシュカくんをいじめてるー! と告げ口されても、先生はそこにはいないので、助けてあげられません。がんばれ、ロカジくん!
「う゛あ゛ああ……う゛っうっ……」
 ぎゅう。
「あっ、尻尾、」
 ぎゅうう。
 きっと縋れるものを探したのでしょう。ヨシュカくんがちょびっと出ていたロカジくんの尻尾を掴むと、ロカジくんはようやく尻尾が出ていたことに気付いて頬を染めるのでした。
 泣いているヨシュカくんはロカジくんに任せ、エンジくんはヨシュカくんを泣かせた悪いカボチャ退治に飛び出します。えいやーっと組み付いて、がぶー!
「カタイ」
 そうです、カボチャの皮の緑のところは硬いのです。口に入った苦い皮をぺぺぺっと吐き出すと、お化けカボチャも種をぺぺぺっと吐き出してきました。
 『賢い君』をぶんぶん振り回してエンジくんが種を跳ね返していると、ふたつの斧を構えたロカジくんも参戦! 何とか立ち直った……というよりも必死に自分に暗示を掛けているヨシュカくんも参戦!
「あれはカボチャあれはカボチャあれはカボチャ!」
 涙の代わりに溢れた液体を纏わせた小斧を投擲すれば、わずかにお化けカボチャの動きが止まって。その隙きに賢い君が縛り上げ、斧を手にしたロカジくんはエンジくんの肩を借りて大ジャンプ!
「ちいちゃい頃は二刀流だったのよ」
 棒とか火箸とかカブトムシとかで、だけれど。
 カボチャのおでこにバッテンを作ったロカジくんがニカッといい笑顔。
 こんなところにいられるか! と言いたげなお化けカボチャは種をペペペペペペっと吐き出して逃げていきます。
「ヨシュカ、アレに当たるとカラダからかぼちゃが生えてくるンだ。知ってた? 知ってた?」
「カボチャ……はえる……??」
「えっ、カボチャ生えるの!? やべぇすげぇ」
「そう、アシのあるかぼちゃが生える生える」
「や゛ーーーーーーー!!!!」
 小さな三日月色が弧を描きながら肯定を示せば、渓谷に再び悲鳴が響くのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セラータ・ファルチェ
【月狼】


ワッペン…
これ、可愛すぎないか?俺が付けて大丈夫か?と、視線でアルに助けを求め…

あぁ、そうか狼姿……
悩んだ末、小さく溜息をついて結局つける

(中身も5歳児)

あな、あいてる…
地面の穴を離れたとこから見つめた後
銃を用意、着弾すると衝撃波を放つ弾を入れて…ニヤリ
あは、だいじょーぶ
ズドンッと穴へと撃ち込めば反動で尻餅ついてケラケラ笑う

…おまえ、なにおんないじめてんだよ
ユエが攻撃されれば毛を逆立てて怒る
ちょこまか動き回ってカボチャを翻弄
借りた斧を振りかぶり、スイカ割りならぬカボチャ割り(鎧砕き使用)

粉々になった?カボチャを見て思うのは…
……なぁ、これででっかいかぼちゃぷりんできねーのかな?


月守・ユエ
【月狼】
♢
ワッペンとっても可愛ね♪
ふふ、大丈夫だよ2人共
小さくなったら、みんな可愛いから!

小さくなれば思考も幼児に変身!

はわわ、セラくん
いたいの、だいじょーぶ…?
セラくんが尻餅ついたのを見ると心配して駆け寄る

敵を見れば首傾げ
かぼちゃ…かぼちゃのおばけ?
アルくん、セラくん
あれは、こわい子なぁの?

興味津々に敵を見ていたら
べちんっと不意に南瓜に攻撃される
泣くまではいかないが
涙を浮かべ

ううっ
いたいの、いたい…
いたいことするの、だーめ!

戦う時
斧と勇気を持ってUC
「おつきさま
みんなをおうえんしてほしいの!」お歌を歌って”鼓舞”
いっしょにやっつける!

ぷりん!こんなにあるもん
きっと、おっきーのつくれるよ!


アルバ・ファルチェ
【月狼】

(アドリブ歓迎)

あははっ、ワッペン可愛いね…ほら、セラも着けなきゃ恥ずかしいことになっちゃうよ?

…ふと思ったけど、狼姿なら着けなくても大丈夫じゃない?ま、いっか気にせず装着!

(中身も5歳児、やや舌足らず)

ふきゅ、ふたりともこあくないの、すごいねぇ。

わふっ、せら、せら、ずどんってだいじょーぶ?

わぅ、ぼくがまもるの。いたいいたいさせないもん!

(体が小さくなただけなら残る腹部の貫通痕。

守れなかったモノへの【祈り】と、次こそ守るという【覚悟】を乗せて二人を【かばう】)

いたいことするわるいこは、いなくなっちゃえ!!

(【耐性】で耐えながら【カウンター】でUCを乗せた攻撃をズドン!)




 猫の顔の形の、可愛いアルダワワッペン。それはどう見ても幼児が胸に付けている名札で、その可愛らしさが大人の胸元を飾るのは不釣り合いだ。だと言うのに、180cm以上の長身の青年がそれを手にしていた。
 思わず、ごくり、とセラータ・ファルチェ(蒼蒼の盾・f03368)の喉が鳴る。
(これ、可愛すぎないか? 俺が付けて大丈夫か?)
 付けた途端、そんなご趣味がと怪しまれたり、似合わないと罵倒されたりとか本当にしない? 本当に大丈夫? 絶対に大丈夫?
 妙な緊張感と迷いを篭めた視線を、セラータは同じくらいの身長であり同性でもあり、そして一卵性の双子の弟でもあるアルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)へと向けた。大丈夫かと問う視線だ。きっと同性の彼ならわかってくれて――
「あははっ、ワッペン可愛いね」
 わかってくれて……、
「……ほら、セラも着けなきゃ恥ずかしいことになっちゃうよ?」
 悲しいかな、わかってくれはしなかった。
 そんな二人の視線のやり取りを見て、ふふっと月守・ユエ(皓月の歌葬者・f05601)が小さく笑う。
「ワッペンとっても可愛いね♪ 大丈夫だよ、ふたりとも。小さくなったら、みんな可愛いから!」
「それはそうなのだが」
「……狼姿なら着けなくても大丈夫じゃない?」
「あぁ、そうか狼姿……」
「ふふ、小さい狼なふたりもきっと可愛いよ♪」
 小さくなってしまう現実は変えられない。狼姿も魅力的ではあるが……その場合わんこわんこと可愛がられるのではないだろうか。
 しばらく悩んだ末、セラータは小さなため息を吐き、アルダワワッペンを胸へと付けた。

 ぼわん☆
 ゲートをくぐればすぐに時蜘蛛の糸に触れ、そのせいでアルダワワッペンが発動! アニメーションの魔法少女モノ的な光と効果とともに、三人はアルダワ魔法学園幼等部の姿にへーんしーん! 優秀ですね、アルダワワッペン。
 小さな姿になったユエちゃんは、とってもごきげん。セラータくんとアルバくんとお揃いの制服姿で、いっしょに冒険までできちゃうのだから。セラータくんは元気いっぱいに先頭を歩き、アルバくんはキョロキョロと辺りを見ながら少しだけ遅れて付いていきます。
「あ」
 セラータくんが足を止めます。どうやら、何かを見つけたようです。
「セラくん、どうしたの?」
「こあいかぼちゃ、いた?」
「あな、あいてる……」
 あそこ。セラータくんが指差す方向には、大きな大きな……大人の大人よりも大きな穴がありました。土を掘って潜り込んで、その過程で土がかぶさったと解る、穴。
「ほんとだー、あなー! って、セラくん、あぶないよー?」
「ふきゅ、ふたりともこあくないの、すごいねぇ」
 二人の声を背に、セラータくんは穴へと少し近づいて。
 子供の手にはあまる大きさの銃を握りしめると、ニヤリ。悪戯を思いついたワルい笑みを浮かべたら――
 ――ダァン!
 着弾すると衝撃波を放つ銃弾を打ち込んだセラータくんの身体は、立ち上る硝煙の中にふわと一瞬後方へ飛んで、ぼすん。銃を打った反動で尻もちをついてしまいました。
「はわわ、セラくん。いたいの、だいじょーぶ……?」
「わふっ、せら、せら、ずどんってだいじょーぶ?」
「あは、だいじょーぶ」
 ユエちゃんとアルバくんが慌てて駆けてくる中、ケラケラとセラータくんは楽しげに笑います。
「わっ」
 ダダダダダダ……。
 お化けカボチャからの反撃の種マシンガン。尻もちをつき避けれる大勢ではなく、戦闘経験もないセラータくんは種の雨を受けてしまいます。そしてそれは、お化けカボチャの範囲内に居る人はみんな対象に――流石に笑っていられなくなったセラータくんがハッと二人へを顔を向けます。
「きゃっ」
「せら、だめ、あぶない」
 駆け寄ろうとしていたセラちゃんをアルバくんが止めてくれました。よかったね、セラータくん。
 安堵の表情を浮かべるも束の間、穴から勢いよくお化けカボチャが飛び出します!
「かぼちゃ……かぼちゃのおばけ?」
 思わずきょとんと見上げて、無防備になるこどもたち。大きなカボチャは、みんなが思っていたよりもとても大きくて。全部使ってお菓子を作ったら、お城でパーティが開けちゃいそうなくらい。
「アルくん、セラくん、あれは、こわい子なぁの? ――きゃっ」
 べちんっ!
 無防備なユエちゃんにお化けカボチャはギザギザな形を意地悪く歪めて、ユエちゃんのおでこめがけて種をペッと吐き出したのです。
「ううっ」
「……おまえ、なにおんないじめてんだよ!」
「わぅ、ぼくがまもるの。いたいいたいさせないもん!」
 セラータくんはふかふかな尾の毛を逆立てて怒り、アルバくんはおでこを押さえて今にも泣きそうな顔のユエちゃんの前に立ちます。ユエちゃんはなんとか涙を堪らえようとしているのか、小さく言葉を零しながら震えていました。がんばれユエちゃん、負けないで!
「いたいことするの、だーめ!」
 痛みに屈しなかった少女が叫び、
「おつきさま、みんなをおうえんしてほしいの!」
 ぎゅっと小さな斧を握りしめると勇気を出して歌を歌いはじめます。それは二人を応援する、狩猟と月の女神の戦歌。歌に背を押されたセラータくんは斧を手に駆け、アルバくんは制服の上から腹部の貫通痕をひとなでしてから歌を歌うユエちゃんを種からかばいます。
「これでもくらえ!」
 戦闘経験のないこどもの身では、ただ斧を叩きつけるだけでは硬い皮に弾かれて。
 けれど、一人ではダメでも二人ならば?
「いたいことするわるいこは、いなくなっちゃえ!!」
 狼姿に変身したアルバくんが、微風を纏いながらセラータくんが手にした斧へ突撃!
 ぐぐっと深くハマった斧は、二人でせーの! と倒せば、ごろんとオレンジ色の果肉が斧といっしょに落ちてきました。
「わぅ、かぼちゃ! とれたよ、かぼちゃ」
「でっかいかぼちゃぷりんができそーだな!」
「ぷりん! きっと、おっきーのつくれるよ!」
 お家にある一番大きなお皿で作っても大丈夫そうなプリンが!
 子どもたちがキャッキャと楽しげにはしゃぐなか、いなくなれと言われていたお化けカボチャは『もうこれ以上身体を減らしたくない』と言いたげに蜘蛛足をサカサカ動かして立ち去ったのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟櫻沫


ふふ
わぺんもせいふくも嬉しくてご機嫌
短い尾鰭がぴるりぴるり
がんばって游ぐけれどすぐ疲れちゃうんだ
ちゃよ!だっこして
なんで?ノアちゃまはだっこしてくれたよ?

ふふ!
だっこはいいねぇ
桜のいいにおいがする

ちゃよ、かぼちゃをやっつけよう
ぼくだってやるんだから!
斧ぶんぶん!!
え?
むー、ぼくだってできるよ
まいく?おはなのかたち
きらきらしてかわいいな
わかった
斧はちゃよにあげるね
ぼくはまいくで、うたっちゃうんだ
ぼくね、かぼちゃはほこほこしたのがいい
だからうたうのは、「こいのうた」だ!
もやしちゃう
だからちゃよは、えいってして
あのね
ぼくねかぼちゃのプリンがたべたい

かえったらつくってよ
そしたらぼくがんばれる


誘名・櫻宵
🌸櫻沫


あらー!わたち、ちいさくてもおしゃれね
このせいふく、気にいったわ
リルもよくにあってるわよ
わっぺん、ね
え?まだ全然およいでないじゃない
もう少しがんばれない?
……そこでおちちうえを出すのはずるいわ!

リルを抱えて、転ばないよう気をつけながらよいしょよいしょと進みゆく
ちいさいとだっこもたいへんね
ヨルは下りてちょうだいよ

あ、かぼちゃがいたわ!
そうねやっつけましょ!
でも刀じゃなくて斧だから心配だ……リル!
ふりまわちたらだめよ!
リルはこれ!乙女のまいくでうたって
ちいさくても可愛い歌声だわ!
…弱火って感じだけど効いてるわよたぶん
わたちも斧で「絶華」するわ

かぼちゃぷりん作ったげる
も少しがんばりましょ!




「ふふ」
 小さく漏れた、ご機嫌な笑み。猫さんのお顔のワッペンも、着慣れないアルダワ魔法学園幼等部の制服も、大好きな彼とお揃いで。いつもよりも短い尾鰭をぴるりと震わせて、リル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)くんは誘名・櫻宵(貪婪屠櫻・f02768)くんの隣を泳ぎます。
 リルくんの隣を歩く櫻宵くんも、アルダワ魔法学園の制服にニッコニコ。どんな服でも似合っちゃうわたち、すごい! な気分なようです。ご機嫌な人魚にも自分にも似合っていて、たまにはこういう服装もいいかちら、なんて。好意的に思っちゃいます。
 ぴるぴる游ぐ人魚はご機嫌で、お花ないかなー何か無いかなーと道を外れてふらりと游いでいくので、櫻宵くんは元の道に手を引いて連れ戻さなくてはいけませんが、櫻宵くんはリルくんのお世話をするのも好きなので問題はありませんでした。
「リル、ウロウロするとつかれちゃうわよ」
「へいきだもん」
「そんなこと言って、しらないわよ」
 なんて話したのはほんの少しだけ前。
 ぴるると尾鰭をすこうし揺らせば。
「ちゃよ! だっこして!」
 ほら! やっぱり!
「まだ全然およいでないじゃない。もう少しがんばれない?」
「なんで? ノアちゃまはだっこしてくれたよ?」
 だっこしてをお願いしたら、リルくんのお父さんは優しく抱き上げてくれました。それなのに、なんで? なんでちゃよはだっこしてくれないの? 純粋な目が櫻宵くんを貫きます。
「……そこでおちちうえを出すのはずるいわ!」
「ふふ! だっこはいいねぇ」
 小さくなっているのは一緒なのに。よいしょと櫻宵くんが抱き上げれば、リルくんはご機嫌! ぎゅうと抱きついて頭も預けて、桜の匂いを胸いっぱいに吸い込みました。
 そうして、さもそれが当然! みたいな顔をして仔ペンギンのヨルがぴょんっと飛び乗ります。
「ヨルは降りてちょうだいよ」
「きゅ?」
「ヨルもいっしょがいいよねぇ」
「きゅ!」
 降りる気のないヨルをどうしてくれよう、なんて考えながらも、櫻宵くんはよいしょっよいしょっ。足元に気をつけながら渓谷を進んでいきます。がんばれ、櫻宵くん!
 あんまり長い間歩いては、小さな身体はすぐ疲れてしまいます。そろそろお菓子とジュースで休憩でもしようかと思った頃、「きゅきゅー!」とヨルが鳴きました。
「あ、あ、かぼちゃがいたわ!」
「かぼちゃ!」
 名残惜しいけど、ぴょんっと腕を飛び出して。
「ちゃよ、かぼちゃをやっつけよう」
「そうねやっつけましょ!」
「ぼくだってやるんだから!」
 いつもの刀では無くて心許ないけれどと考える櫻宵くんの隣では、抱っこもしてもらったからかやる気満々のリルくんは元気に斧をぶんぶん!
「……り、リル!」
「え?」
「ふりまわちたらだめよ!」
 そうだよ、リルくん危ないよ。
 けれどリルくんは少し不満顔。ぷっくり頬を膨らませて「ぼくだってできるよ」と斧を構えてみせます。
「リルはこれ! 乙女のまいくでうたって」
「わあ、かわいい。わかった、斧はちゃよにあげるね」
 キラキラしたお花の形の可愛いマイクは、人魚の心と瞳を惹きつけて。斧とマイクを交換こ。尾鰭でぴちぴちリズムを取ったなら、大きく息を吸って小さなリルくんはお歌を可愛くうたいます。
 南瓜は焼くと甘くてホコホコ。だから歌うは《恋の歌》。小さなリルくんではごうごうと強い炎では焼けないけれど、カボチャには弱火でじっくりで丁度いいみたい。
 食欲を誘う香りが漂う中、櫻宵くんも斧を構えて駆けて――。
「さぁ、桜のように……(かぼちゃだわ……)……とにかくちりなちゃい!」
 小さいから、威力はちょっぴり。
 けれど焼かれた上に斧でバシッとされたお化けカボチャは、涙目になってサカサカ走ってにげていっちゃいます。
「ありゃ、にげちゃった」
「あのね、ちゃよ、かぼちゃのプリンがたべたい」
「かえったら作ったげるわ」
 だから、ね。
 もう少し頑張りましょう!
 斧とマイクをえいえいおーと掲げて、二人は逃げたカボチャを追いかけるのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紫・藍
◇♡
あいちゃんくんでっすよー?
あいちゃんくん、ようしょうじはただのゆかり・あい、でしたのでー。
あいちゃんくんなままようじかしてるのは、ありえざるもしもでふしぎなきぶんなのです。

かぼちゃさんはじめんにかくれてるとのことでっすのでー。
あなをみつけたら、すてーじおとしで、あなをふさいじゃうのでっす!
もぐらたたきなのでっす!
いえいえ、いっきにふたをできるかもでっすがー!
ちいさくなったすてーじのうえで、ほんじつげんてい、ちっちゃいあいちゃんくんのらいぶとだんすなのでっす!
これはむしろ、あーすでいう、おゆうぎかいなのではー?
とってもたのしいきぶんになって、こわくなんてないのでっすよー!


ジャック・スペード
♦♡

猫のワッペンカワイイな
これで俺も幼等部の生徒か
子ども用の斧を持って、いざ

――おお、世界が大きいな
おまけに地面が近くて、総てがいつもと違う
これは、とてもタノシイ……!

空を飛んだらもっと楽しいと
翼を生やしてみるけれど余り飛べず
ぴょんぴょんと跳ねてしまう
……これもタノシイな

疲れたのでマスクを外し
おやつとジュースで休憩して
ええと、そう……そうだ
南瓜を狩りに来たんだった

銃も刀も持てないので
斧を片手に南瓜の元へ跳ねて行こう
不意打ちで敵が出て来たら
少し驚いてしまうかもしれないが
翼も活かしつつ跳ねて避けられたらと

何度かそれを繰り返して
不意打ちのタイミングを掴んだら動きを見切り
力いっぱいに斧を振おう


ヘルガ・リープフラウ
♢♡

アルダワワッペン、ありがたく使わせていただきますわ
旦那様以外には決して肌は見せないと、操を立てておりますの

お化けカボチャ……なんだかいつもより大きく見える……
でも、とても栄養たっぷりでおいしいのよね?
おうちに帰ったら、あのカボチャをおみやげにして、旦那様においしいお料理作ってあげるの!
パイにスープ、プディングに煮っ転がし
きっと喜んでくれるわ

敵が地面に潜ったら、翼で空を飛んで第六感で避けるの!
みんなの元気がでるように【英雄騎士団の凱歌】を歌うの!
痛くたって泣かないもん!
怖くたって負けないもん!
勇気と覚悟を決めて、えーい!と斧攻撃

世界の平和と、彼への愛妻料理のために
わたくし、がんばりますわ!


リダン・ムグルエギ
♢♡
服飾師としては子供服もデザイン…いえ、ワッペンをもらうわ!
童心に帰ってクラス一丸で遊ぶ
そういうのもたまにはいいわね

アタシ、撮るよ!面白カボチャ!
きっとバズるよね!

子供のアタシは動画が大好きな一般的キマフュ住人よ
力は無いけど、応援したり撮影するのが大好き
だから応援しあう事で流行を生み、パワーアップできるこのコードはそのまま使えるはず

アタシ、しってるよ!
おおきなカブもカボチャも、力あわせるのだいじ!
だから、みんなでいおーよ!

がんばれー!XXちゃん!
あぶないー!じめんをみて、○○ちゃん!
まけるなー!▽△ちゃん!

子供らしいブームの仕掛け方で応援して力を底上げ
皆で声を掛け合うことで不意打ちを避けるわ




 切り立った崖はどこまでも高くて。険しい崖の向こうに青い空が細く覗くも、たくさんの蜘蛛糸が垂れ下がり、お空はあまり見えません。そんな時蜘蛛の渓谷から、元気な声がたくさん聞こえてきます。
「――おお、世界が大きいな」
「小さい子目線っていうのも、たまにはいいわね」
「おくれている人はいらっしゃいませんね?」
「あいちゃんくんもちゃんとついていってるでっすよー!」
 ワイワイ歩く小さな一行は、アルダワ魔法学園幼等部特別クラス・グィー組のジャック班です。班長さんは、一番大きな身体のジャック・スペード(J♠️・f16475)くん。「先頭を歩いてもいいか」と挙手してみたところ、三人揃ってお願いしまーすと元気なお返事が返ってきました。
 いつもはとっても大きなジャックくんも、今日はみんなといっしょで小さな姿。とは言っても、みんなよりは頭がひとつ大きいかな? しっかりした身体の頼りがいのある男の子です。
 元気にパシャパシャと写真を撮りながら歩くリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)ちゃんは、いつもは服飾師をしているだけあって、いろんなデザインや珍しいものに興味津々。ワッペンがピカッと光ってアルダワ魔法学園の幼等部の制服に変わった時は、一番はしゃいでいたっけ。みんなを巻き込んで自撮りもしていました。
 はぐれた子がいないか気にしてくれているのは、白いオラトリオのヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)ちゃん。旦那様が居るヘルガちゃんは、変身にはリダンちゃんとは反対の反応を示していたね。ちゃんと変身できたことにホッとしていたみたい。穏やかそうなヘルガちゃんだけれど、その胸の内は炎がメラメラ。すっごくやる気充分みたい。頼もしいね。
 てくてくついていって、キョロキョロしているのは紫・藍(覇戒へと至れ、愚か姫・f01052)くん。猫さんのワッペンは勝手に性別で制服姿にしてしまうから今日は男の子の格好で、ちょっと不満そうにしていたけれど「たまにはいいでっす。ちいさいあいちゃんくんはそれだけでかわいいでっすのでー」ってリダンちゃんの自撮りにすすんで混ざっていっていました。
 そんな四名が、ジャック班のメンバーです。わー、ぱちぱち。
 男女の違いはあるけれど、みんなお揃いのアルダワ魔法学園幼等部の制服に身を包み、ジュースの入った水筒を肩から斜めがけ。ジャックくんとヘルガちゃんは小さな斧を、水筒の紐とばってんになるように掛けています。
「かぼちゃさん、どんなすがたなんでしょうねー」
 きになるのでっすと藍くんが口にすると、普段と全然違う視界に心なしかワクワクとしていたジャックくん(みんなの目には静かなお兄さんに見えているかもしれないけれど、ジャックくんの心はとても弾んでいました!)は少しだけ気を引き締めながら頷きを返します。
「ハロウィンの南瓜のようだそうだが……」
 ちょうど良い頃合いだ。休憩しようとみんなを促せば、つかの間のおやつタイム。猫さんの形のクッキーにヘルガちゃんが微笑み、藍くんとリダンちゃんがいえーいと写真を撮るのを眺めたら、ジャックくんもマスクを外しておやつとジュースを楽しみます。
「アタシ、撮るよ! 面白カボチャ! きっとバズるよね!」
「バズ……? 大きくてとても栄養たっぷりでおいしいのよね? わたくしはお味のほうが気になりますの」
「ヘルガちゃんはおりょーりできちゃうんでっすか?」
「はい! おうちに帰ったら、あのカボチャをおみやげにして、旦那様においしいお料理作ってあげるの!」
 パイにスープ、プディングに煮っ転がし。美味しいと旦那様が喜んでくれる姿が目に浮かびますと幸せそうに微笑むヘルガちゃん。
「ヘルガちゃんは大好きな人がいるのね! ステキ! じゃあアタシ、たくさんおうえんしちゃう!」
「あいちゃんくんもがんばるでっすよー」
「ああ、俺もしっかりと南瓜を狩ってみせよう」
「みなさま……!」
 おかしとジュースとおしゃべりでひとつ仲よくなったジャック組、再出発です!
 ジャックくんを先頭にてくてくと探索を再度始めたら、何かを発見したジャックくんが手をさっと横に出して、みんなに『止まれ』の合図を送ります。
「どうしたでっすかー?」
 ぴょこりと覗き込む、そこには――
「わあ!」
「すごーい!」
「大きい……」
 大きな大きな穴が、ボコボコボコ! 大きな大きな穴は、空いたところに土がかぶさっているとはいえ、こどもじゃなくても埋まってしまいそうです。みんなが想像していたよりもお化けカボチャはずっと大きなカボチャのようです!
「近くにいそうだな」
「あいちゃんくんにおまかせでっす!」
 もしかしたら、この穴ぼこのどれかに潜んでいるかも知れない。気を引き締めて斧を手にするジャックくんの隣に、ずずいと並んだのは藍くん。
「あなをふさいじゃうのでっす!」
 ぴゅーーーーーーーん!
 突然天に現れたステージが、どすーん!
「きゃっ」
「わあっ」
「っ」
 ヘルガちゃんは翼をぱたりと思わず飛び上がり、ジャックくんも機械仕掛けの翼を生やしてぴょんっと飛びました……が、すぐに落ちてしまいました。
「すごーい! ステージがふってきたわ!」
「もぐらたたきなのでっす!」
「がんばれー! あいくーん!」
 どすーん、どすーん! どすーん!
「これですこしはあながへったのでっす! なのでここからはー……」
 小さな藍くんのライブとダンスの始まりです!
 穴を塞いだ小さなステージの上で、フレーフレーっと皆を元気つけるダンスを始めた藍くん。リダンちゃんも「アタシ、しってるよ! おおきなカブもカボチャも、力あわせるのだいじ!」とステージに飛び乗り応援をしだせば、ヘルガちゃんもステージの上に降り立って。みんなで即興のアイドルグループ(ブームの仕掛け人)!
 怖いお顔のカボチャがいつ飛び出してきても心が負けないように。
 怪我をしても泣かないように。
 《トライアンフ・オブ・ブレイブナイツ》。小さな英雄騎士団の歌をヘルガちゃんが歌い上げ、皆が楽しい気持ちになれるようにと藍くんが踊り、リダンちゃんがたくさん声を掛けていきます。それはどれも、皆を応援するもの。皆の背中を押すものです。
 時折違うステージがボコンと揺れるのはきっと、地面を掘って移動したお化けカボチャが中から体当たりしているからなのでしょう。
 ボコン、ボコン、ボコン――。
 あっちに移動して、次はこっち。それなら次は――
「――そこだ!」
 機械の翼を活かしてびょんびょん跳ねながら、ジャックくんが走ります。
 その手には、いつもの銃や刀は持てなくて。不慣れな子ども用の斧がひとつ。
 けれど、ジャックくんは負ける気なんてまったくしません。
 何故なら!
「いけー、ジャックくん!」
「そこでっすよー!」
「♪いざゆけ、こころざし高き有志たちよ」
 皆の応援が背中を押して、力を与えてくれているのだから!
 土を上げて飛び上がろうとしたお化けカボチャの頭に、ジャックくんの斧は見事命中。仲間たちのおかげで、硬い皮にも斧が深く食い込んで……ぼろんっと大きな橙の塊が転がったのです。
 それは小さなみんなよりも、みんなの中で一番大きなジャックくんよりも大きな塊で、ヘルガちゃんは「旦那様にたくさん食べていただけるわ!」と手を合わせて喜びました。
 小さくってもみんなで力を合わせれば何でもできちゃう!
 すごいぞ、えらいぞ、ジャック班のみんな!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐東・彦治
♢♡
え、子供になってしまうの…?
行こうって、なんでアキはそんなに嬉しそうなの…既にワッペン付けてるし…。
いつの間にかワッペン付けられてるし…。

アキは姿変らないんだね。すでに子供姿だからかな?
手を引いてもらいながら、脅かされたり叩かれたり、そもそもかぼちゃの顔に心が折れそう…。
中身も、子供に寄ってるのかも。
驚いたり痛かったりで、泣きそうになるたびにアキになだめられて…。アキが兄みたいで、なんか…。
お菓子やジュースはおいしいけれど…。それが目的じゃないし…。
かぼちゃは、アキの狐火に焼いてもらいながら、『皇帝召請』でもって攻撃を。

(ほんとうは、こうしたかったんだ)




 時蜘蛛の渓谷の話をされて、はいっと差し出されたアルダワワッペンを見て、佐東・彦治(人間の學徒兵・f22439)は半歩引いた。谷へ行くと小さくなるという摩訶不思議なことが起こるのだ、たじろぐのは無理もない話だ。
 けれど既にワッペンをぺたんとくっつけた『アキ』が手をひいてくる。
「なんでアキはそんなに嬉しそうなの……」
 機嫌良さげに細められた目と、立った耳。そしていつの間にか彦治にもワッペンが貼られていて、既に否やは言えない状況のようだ。
「わかったよ、アキ……」
 肩をがっくりと落とすと、彦治は諦めてゲートをくぐる。楽しげにくっついてくる、アキを連れて。

 谷についたと思った途端、ぺかんと光ったワッペンで彦治くんは小さな子供になったことを知りました。いつもと違う服装を見下ろして、いつもと違う高さの視線を動かせば、バアっと飛び出してくるのはぷかぷか浮かんだままのアキくん。
「アキは姿変らないんだね」
 元々子供だからかなと首を傾げる彦治くんの手を、するりと取ったアキくんが握ります。こっちだよと言うように手を引いて彦治くんの一歩前を歩いて連れて行ってくれるようです。
 切り立った高い崖の上に、鳥の影が通り過ぎます。それだけで彦治くんがびくっと大きく震えてしまうと、アキくんは手を強く握ってくれたり励ましてくれます。転びそうになったら支えてくれて……何度も何度も彦治くんを助けてくれます。
(なんだか……)
 アキくんがお兄さんになったみたい。
 不安や怖さとは別の涙が浮かびそうになってぐいと袖で拭えば、泣かなくてえらいねと撫でられて。いつもの小さなアキくんじゃないみたい。
 彦治くんが疲れてしまわないように、頃合いを見て休憩しようと勧めてくれたのもアキくんです。美味しいお菓子とジュースを二人でわけっこすれば、気分は少しだけ上向いて。もう少しがんばれる? と差し出された手を彦治くんは元気に握り返すことができました。
 怖い顔のカボチャが飛び出してきた時も、彦治くんはとても怖くて泣きそうになったけれど、アキくんが前に立って守ってくれました。
 ごうっと火を吐くアキくんは頼もしくて。
 何故だかいつまでも見ていたい気持ちになってしまう彦治くんですが、いまだよって合図があったからハッとして、タロットを煌めかしてカボチャを撃退したのでした。
 逃げていくカボチャを残念そうに見送るアキくんはやっぱしいつものアキくんに見えて、彦治くんは少しだけホッとしました。
 そんな彦治くんを、チラリとアキくんが見たことには気づかずに。

 ほんとうはね、アキくんはずっとこうしたかったんだよ。
 ずっと、ずうっとね。

大成功 🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【菊】

ワッペン付け

ぷにぷに…
小さい手で自分のほっぺぷにぷに
ちびの俺ってこんなだったのか
記憶がないから逆に新鮮
けどいつもは年上のきよ兄さんと並ぶのは何だか悪くない

だいじょーぶっ
ちゃんとおのももったし!
心はいつも通りのはずなのに体に引きずられ子供らしい口調
斜めがけした小斧真似してぽんぽん

おー!と手を上げ
こっくり頷き
手をしっかり握ろうと
小さくてもきよくんはきよくんだ!
言って自分に少し驚く

…不思議だ
いつもより素直に感情が出せるし笑える
頭じゃ覚えてないけど体は覚えてる
…きっとちびの俺は幸せだったんだ

見上げてびくっ
かおこわい

うん!
やっつけよう!!

ありがとっ、きよくん
プリンになーれ!
うんしょっと斧振り下ろし


砂羽風・きよ
【菊】

大きな文字できよと書かれた
アルダワワッペンを胸に付けて

理玖と同じ背丈で同じ年齢になるのは
少しだけ不思議な感覚

りく!おかしちゃんともったか?
あとでたべよーぜ!
にしっと八重歯を見せてリュックをぽんぽんと叩く

よっしゃ、カボチャオバケたいじしにいくぞ!
ちゃんとてつながないとな!
はぐれないように!と理玖に手を差し伸べて

穴から突然出て来たら手を離して
ぎゃあああー!おば、おばけ!!
――じゃねーじゃねぇか!おどりょかすなよ!

(いや、カボチャオバケだからオバケなのか?)
泣くのをぐっと堪えて
り、りくだいじょぶだ、こわくない

大きいゴミ袋を敵に向って放ち前を見えなくさせる
いまだっ
カボチャプリンにしてくってやる!




 柔らかな手足、柔らかな身体。
「おお……」
 思わず掌で感触を確かめてしまった頬はぷにぷに。視線をぐるりと動かせば、「どうした?」と首を傾げるきよ兄こと、砂羽風・きよ(末のきよし・f21482)くんのほっぺもぷっくりとしています。きっと自分のほっぺもあんな感じなのだろうと、小さい頃の記憶のない陽向・理玖(夏疾風・f22773)くんはぼんやりと考えながら「なんでもない」と首を振ってきよくんの隣へ駆けていきます。
 並ぶ視線は同じくらい。年齢もきっと同じ。いつもより丸い目も、頬も。それからアルダワ魔法学園幼等部の制服だってお揃いだし、胸には『りく』『きよ』と書かれた猫さんワッペンもお揃いです。
「なんだよ」
「なんでも」
 お互いに、それが不思議な感覚なのでしょう。ついつい見てしまって、そして一緒に小さく笑ってしまいました。
「りく! おかしちゃんともったか? あとでたべよーぜ!」
「だいじょーぶっ! ちゃんとおのももったし!」
 八重歯を見せながらニシっと笑ったきよくんがリュックをポンポンと叩けば、理玖くんも真似して小さな体に斜めに掛けた小斧をポンポン。うん、渡されたものはなくさずちゃんと持ってきていますね!
「よっしゃ、カボチャオバケたいじしにいくぞ!」
「おー!」
 お菓子も武器も持ってきているから大丈夫!
 おー! と元気に腕を上げたら、はぐれてしまわないようにと差し出されたきよくんの手を理玖くんはしっかりと握ります。見上げる空は遠くて、渓谷はとても深いので、はぐれたら泣いてしまいそうですからね。まずは迷子にならないことが大事です!
「小さくてもきよくんはきよくんだ!」
「おう。おれはおれだぜ!」
 何当たり前なこと言ってるんだよーときよくんは笑うけれど、理玖くんは少し驚いた顔。片手をきよくんと繋いでなくて、残る片手を振り上げていなかったら、口を思わず押さえていたかもしれません。
「どーした?」
「わかんない」
「わかんないってなんだよ」
「んーー、わかんないもんはわかんないっ」
 ちゃんと思ったのに、小さな身体では言葉にするのが難しいのかな。
 いくぞーと手を引かれ、てくてくてく。いつもならひょいと越えれる段差も、二人で力を合わせて乗り越えて。小さくないと見えないもの、気付けなかったことに心を震わせて、二人は進んでいきます。
 けれど、アクシデントは突然起こるものなのです。
「ぎゃあああー! おば、おばけ!!」
 突然巨大な何かがバッと飛び出してきたため、きよくんは思わずぎょっと手を離してびょんっ! 理玖くんの肩もビクゥッと跳ねて、目を見開いてしまっています。
「――じゃねーじゃねぇか! おどりょかすなよ!」
 ぎゃんっと虚勢を張るけれど、言葉は噛んで、目には涙のきよくん。けれどお化けカボチャの怖いお顔に固まっている理玖くんの一歩前に出て守ります。だって、いつもは理玖くんよりお兄ちゃんだから!
「り、りくだいじょぶだ、こわくない」
 顔は怖いけれど、あれはカボチャ。カボチャは甘くてホクホクで、食べれるもの。
「カボチャプリンにしてくってやろうぜ、りく!」
「うん! やっつけよう!!」
 大きなゴミ袋でカボチャの視界を塞ぎ、いまだの掛け声に理玖くんが飛び出して、うんしょっと斧でざくっ! 固くて跳ね返されてぽーんっと理玖くんの身体は飛んでしまったけれど、いっしょに大きなカボチャの塊もごろん。
「りくー! だいじょうぶかっ」
「わ、おっきなかぼちゃだ! きよくーん、かぼちゃとれたよー!」
 駆けてくるきよくんに、頭よりも大きなカボチャを指差して満面の笑みで笑う理玖くん。いつもより素直に気持ちや言葉を伝えられて、素直に表情だって変えられる理玖くんの身体。いっしょに喜んで、全身で伝えて。笑って、想って、強く、強く。感情が、心が、身体が弾んで、弾けてしまいそうです。
(……きっとちびの俺は幸せだったんだ)
 記憶のない理玖くんの、知らない理玖くん。
「りく、なにしてるんだ? もってかえろーぜ」
「うん、かえろ! プリンにしよっ」
 きっとそれは、帰ったら失われてしまうかもしれません。
 けれどきっと、ここで思ったことは忘れることはないのでしょう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三咲・織愛

ヨハンくん(f05367)と

猫さんワッペンかわいいですね!
これでお洋服の心配もないですし、
張り切っていきましょー!
(と、峡谷に乗り込み心も幼児化するエルフ)

ほくほくかぼちゃ おいしいかぼちゃ
たっくさんとっていきましょうねーっ、ヨハンくん
おねーさんがしっかり守ってあげますからね! (むねはり)
見つけたら私に言うんですよ

はぐれないように手をつないでいきましょう!(ぐいぐい)
……きゃーっ!(飛び出す南瓜にびっくりエルフ)
やだー! もうー! たたかないでー!(ありったけ怪力グーパンチ)

……ぐすっ
いたかったです……
でもいっぱい獲れてよかったですね!
帰ったらパンプキンパイをつくりましょー


ヨハン・グレイン

織愛さん/f01585 と

南瓜を獲りに行くという話では……?
なんだか騙されたような気がしなくもないが、
さっさと獲って帰った方が被害がなさそうだな……
大人しくワッペン装備で行きます

いや元々そんなに歳も違わないですし、
今は見た目も同じですよね
…………ん? 普段とそこまで変わらない気がしますけど、
ひょっとして心まで幼くなっているのでは……?

別に子供ではないんですから繋がなくても……い、痛い
痛いが……!? 身体能力下がってもこれか??
大丈夫ですよ、南瓜が飛び出してきただけですよ
だから手を握ったまま暴れないように痛い痛い痛い

……つ、疲れる
ほら、泣かないでください。無事だったでしょう
はぁ……元気なことだ




「はいどうぞ、ヨハンくん!」
「これは……?」
「猫さんワッペンです! かわいいですね!」
「そうではなく……いえ、南瓜を獲りに行くという話では……?」
 困惑の表情の黒衣の青年――ヨハン・グレイン(闇揺・f05367)が三咲・織愛(綾綴・f01585)からぐいっと押し付けられたアルダワワッペンを受け取ったのは、ひとえに面倒くささが勝ったからである。何だか騙されてグリモアベースまで連れてこられて来たような気がするが、さっさと彼女の望み通りのカボチャを手に入れて帰った方が被害が無いだろうし、ここでひと悶着しても疲れるだけだ。
「さあ、張り切っていきましょー!
 やる気満々な様子でえいえいおーっと腕を上げる織愛の隣で、ヨハンはさっさと終わらせようと大人しくワッペンを身につけるのであった。

 転送先につけば、ぺかん☆ とワッペンが可愛い光を発した瞬間、二人の姿はアルダワ魔法学園幼等部の制服にへーんしん!
「わあ、ヨハンくんちいさいですねー! だいじょうぶですよ、おねーさんがしっかり守ってあげますからね!」
「……いや元々そんなに歳も違わないですし」
「かぼちゃを見つけたらおねーさんの私に言うんですよ」
「……いやだから」
 腰に手を当ててえっへんとお姉さんアピールをした織愛ちゃんは、ヨハンくんのお話を全然聞いていないみたいです。
「たっくさんとっていきましょうねーっ、ヨハンくん」
 ほくほくかぼちゃ♪ おいしいかぼちゃ♪
 楽しげに歌うように口にした織愛ちゃんは、はぐれないようにとヨハンくんの手を繋いで歩きだします。そんな織愛ちゃんに「ん?」とヨハンくんは視線を向けるのですが……。
(ひょっとして心まで幼くなっているのでは……? って――)
「……い、痛い」
「おなかですか?」
「いえ、手! 痛いんですけど?」
 どうやら織愛ちゃん、小さい頃からものすごく力が強い女の子だったようです。
「もうヨハンくんってば大げさ……きゃーっ!」
「痛い痛い痛いっ」
 足元からビュンっと飛び出してきたお化けカボチャに、織愛ちゃんはびっくり!
 繋いだ手に思わずぎゅっと力を込めれば、ヨハンくんの口からは悲鳴が上がります。
「おばけー!」
「かぼちゃですので、手を」
「やだー! あっ」
 太い蔓がべちっと地面と織愛ちゃんを打てば、みるみる織愛ちゃんのピンクの瞳には涙が溜まって。
「もうー! たたかないでー!」
「……(手を離してから暴れてください)」
 織愛ちゃんは全力でカボチャをグーパンチ! もう片方の手で手を繋がれ続けているヨハンくんは『もう何も言うまい』的な無表情になってしまっています。大丈夫、ヨハンくん? 生きてる? 手は粉砕していない?
 殴られたカボチャは殴られたところからボロボロと橙の実を零し、『今日は怖い幼児ばかりでもういやー!』と言いたげに逃げていきました。今日はたくさんの似た格好の子どもたちに出会う度に焼かれたり切られたり。どんどんと体積を減らしていっているので仕方のないことです。
(……つ、疲れる)
 何もしていないけど肩で息をしたヨハンくんはカボチャを見送ると、隣でぐすんぐすんと泣く織愛ちゃんへと視線を移します。このまま泣かれ続けては、きっとお家に帰れません。し、手も痛いままです。
「ほら、泣かないでください。無事だったでしょう」
「うう……いたかったです……」
「南瓜、たくさん落ちてますよ」
「あ! そうです、かぼちゃ!」
 パッと顔を上げた織愛ちゃんの表情はもう、キラキラ!
「帰ったらパンプキンパイをつくりましょー」
「はぁ……元気なことだ」
 さっきまで泣いていたはずの織愛ちゃんは、パアッとうれしげに瞳を輝かせると、早速落ちたカボチャを拾い集めに行きます。ヨハンくんを引きずっていますが気にしません!
 二人の顔よりも大きな実でも織愛ちゃんはへっちゃら! 重たさなんて気にせず、たくさん作れますーとニコニコ抱えてお家に帰りましたとさ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

織座・このみ
【夕辺(f00514)】さんと

●このみ
いきなり目の前に初めて見る怖いお化けがいて、おねーちゃんの背中に隠れるんよ

おねーちゃんの声に動こうとしたけどつまづいて、そこをツルで叩かれて
「ぇう、ぅぅ……ぅえぇええん」



●姉様
何が起きたのかわかりませんがぁ
こわがってる妹を守るのが一番ですよぅ

「!よけますよぅ!」
飛んで来たら攻撃をよけるよう背中に声をかけますがぁ



妹たちの泣き声が聞こえた瞬間、全力で殴り掛かりますよぅ!
「これはこのみを泣かせた分!こっちは友達の分!」
黒焦げになっても許さないですからねぇ!!




※ワッペン装備、頭脳も子供
幼児期なので口調は素の訛り気味
人前では狐面外さない
協力、アドリブ歓迎


佐々・夕辺
※ワッペン着用

このみさん【f04890】と

…?
ここどこ? せーれーさん?
あ!せーれーさんいた!

あ!
おんなのこがかぼちゃさんにいじめられてる!
た、たすけなきゃ
ええと、ええと、これつかお
(持ってきた斧を迷いなく掴む)

た、たすけにきたぞー!がおー!
が、がおー!こわいぞー!
かぼちゃさんなんて、こわ、こわくな、うぅ…
でもでも、がんばってるこがいるから
わたちもがんばらないと!

えいえい!
もっていた斧でカボチャさんをたたく
精霊の氷を乗せて
凍っちゃえ!

えいえい! えいえ……(ぺちん)
ぁぅ! ぁ……ふ、ふえ……
ふええええええん!
カボチャさんがたたいたあああ!

なんとか撃退出来たら
「……だいじょぶ?」
相手に声をかけ




 ぺかん☆
 魔法的な光を目の端で捉えながら織座・このみ(半身は焔となりて傍らに・f04890)ちゃんが視線を向けるとそこには――お化けカボチャがこのみちゃんを見下ろしていました。
「っ!」
 パチッ! 確かに狐面の奥の目が合って。
 このみちゃんは急いで傍らに居る『このかお姉ちゃん』の背中に隠れます。
 驚いていたのは、きっとお化けカボチャも、なのでしょう。突然現れた幼女に咄嗟に反応できず、このみちゃんがこのかお姉ちゃんに隠れるまで何もしてきませんでした。
 このみちゃんに合わせて小さくなっているこのかお姉ちゃんも、咄嗟のことにどうすればいいのかわかりません。けれど妹が怖がって背中に隠れていて、目の前に怖い顔のカボチャが居て――それだけ分かれば、ただ、妹を守るだけでした。
 我に返ったのか、カボチャが蔓の鞭をしならせます。宙に持ち上げられ、ビュンっとしなる蔓の鞭。
「! よけますよぅ!」
 このかお姉ちゃんは攻撃を避けるようにと背後のこのみちゃんへ声を掛けて促します、が――。
「あっ」
 慌てて動こうとしたこのみちゃんは躓いて、そこをぺちんと蔓に叩かれてしまいました。既に寿命の殆どを使い切ってしまっているカボチャの攻撃は見た目ほど痛くはありませんが、小さな子供には『叩かれる』という行為自体恐ろしく、怖いもの。
「ぇう、ぅぅ……ぅえぇええん」
 小さなこのみちゃんの泣き声が、谷に響き渡りました。

 カボチャ地点よりも少し離れた場所。そこにはもうひとり女の子がいました。美しい琥珀色の三角耳を天に向けて、きょろきょろ。何かを探しているのかな?
「ここどこ? せーれーさん?」
 きょろきょろ、きょろきょろ。
 無垢な瞳が彷徨って。そして、何かを見つけて、パッと輝きます。
「あ! せーれーさんいた!」
 見えない何かに手を伸ばし、蜂蜜色の妖狐の少女――佐々・夕辺(凍梅・f00514)ちゃんは満面の笑みを浮かべました。けれどその大きなお耳がぴくっと動いて、バッと顔を動かして……あれ、夕辺ちゃんどこへいくの!? 夕辺ちゃんは突然走り出してしまいました。
「あ! みっけた! おんなのこがかぼちゃさんにいじめられてる!」
 さっきのは、泣いてる女の子の声が聞こえたのですね。駆けつける夕辺ちゃんえらい! 正義の味方みたいですね!
「ええと、ええと」
 あれれ、でもまた何やらバタバタしはじめちゃいました。どうしたのでしょう。
「あ、これつかお」
 身体に斜めにかけていた斧を、小さな手でガシィッ! 戦っちゃうんですね、とっても勇敢です。
「た、たすけにきたぞー! がおー!」
 わんわん泣く女の子とその前に居る大きな大きなかぼちゃさんへ、がおー!
「が、がおー! こわいぞー! わたち、つよいんだからっ! かぼちゃさんなんて、こわ、こわくな、うぅ……」
 ああ……夕辺ちゃんの尻尾が足の間に……。がんばれ、夕辺ちゃん!
 夕辺ちゃんはぶるぶる震えて。けれど、大きなカボチャの前にいる女の子の方がきっととっても怖いはず。怖くて涙が出そうになってしまうけれど、ぐっと顎を引いてまっすぐに前を見つめ、しっかりと斧を握り直しました。
「こうしちゃう! えいえい!」
 がん、がん! がきぃん!
 寒そうな色の狐型の精霊が夕辺ちゃんに力を貸してくれて、カボチャはひんやり。
 けれどカボチャだってただ攻撃を受けているわけではありません! このみちゃんを守るお姉ちゃんをぺちぺちしていた蔓を夕辺ちゃんに向けて、ぺちん! 仕返しをしました。
「ぁぅ!」
 ぺちんと叩かれた夕辺ちゃんは、ころんと後ろに転がって。手からも斧がころり。
「ぁ……ふ、ふえ……」
 泣かないように我慢して、心を奮い立たせて頑張ってきたのに……それがポロポロと崩れていきます。
「ふええええええん! カボチャさんがたたいたあああ!」
「ぅえぇええん、おねーちゃぁぁぁん」
 二人の少女の泣き声の大合唱。
 小さい女の子を泣かせるなんて!
 ぶわぁっとこのかお姉ちゃんの炎が膨らみます。
「これはこのみを泣かせた分! こっちは友達の分!」
 炎をまとったパンチを、夕辺ちゃんが冷やしたところに叩き込みました!
 怒っても普段よりも小さな炎。けれど確かにカボチャは焦げて……ボロボロと実を零して逃げていきます。このかお姉ちゃんはフンッと息を吐いて腰に手を当てて「次はないですからねぇ!」なんて、逃げ行くカボチャに言い放つのでした。
 本当は追いかけてずっと焼き続けてやりたい気持ちだけれど、このかお姉ちゃんは妹を置いていくことはできないので、見逃してあげたのです。
 カボチャが居なくなれば、うわぁぁんはぐすぐすになり、そして……すんっと鼻を鳴らしながらも小さな二人は徐々に落ち着きを取り戻していきます。
「……だいじょぶ?」
 傍らの女の子へと夕辺ちゃんが声を掛ければ、このかお姉ちゃんの後ろに少し隠れながらも、このみちゃんはしっかりと頷きを返すのでした。みぃんな無事で、良かったね!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
千之助(f00454)、5歳をじっと覗き込んで…
成る程…と一人納得。
頭脳は大人なので!

おないどし。たしかに。
かわいい…。
ゆうかいとかされませんでした?だいじょうぶ?
あ…(食べさせられた

敵は足元注意し、接近…
って、せんのすけもうつかまってるー!?
わざと?でもよくない!
蔦に小斧で攻撃…ダメか。
ワッペン借りてますが、こんな時は…
鋼糸ー!
この歳で持っては無かったですけど、
髪に仕込んでて良かった暗器使い。
これを蔦に斧にとくるっと巻いて…
斧を回し遠心力利用して、シュッと引き斬れるのでは!

ぶじ?
ならよかった。
足どめありがとう。
…でも、あんなむちゃダメです。
こんなにほそくて小さくて…だいじなからだなんですから


佐那・千之助
クロト(f00472)と。
白銀の髪、紅眼、心は大人
闇夜の児童に直射日光は厳しい、フードを被ろう

同い年で嬉しい
へやにかざっておきたいかわいさよ…(若干舌足らず
吸血鬼の子を誘拐したらすごいが
プリンたべさせたい、はいあーん(幸せ
かわいい…お子様舌には程よかろう(自分も食べる

借りた斧で応戦
うでがだるい、つかれた…
体力少なく次第に劣勢
おのれ、おさなごをむちうつとはなんたるげどう
蔓を鷲掴み、転がって毛糸玉のごとく全身に絡み付けて南瓜の動きを封じ
あとはたのんだ(蔦の中から親指を立てる

なんとかなったじゃろ?信じておったぞ
う…、しんぱい、した?ごめん
…いやまて
大きくなってもムチャばっかりしている者がいうかそれ




 いつもの長身はなくなって。いつもの鋭さはなくなって。いつもの声の低さもなくなって。――そこに残ったのは、いつもより色白で柔らかな肌の小さな身体と、いつもよりまぁるい険のない瞳と、子供らしい可愛い囀りでした。お互いに。
「なるほど……」
 アルダワ魔法学園幼等部の制服のローブのフードを被った佐那・千之助(火輪・f00454)くんをクロト・ラトキエ(TTX・f00472)くんは思わずじいっと見つめて、ひとりで納得したように頷きました。
 同い年で嬉しいと控えめに笑みを浮かべれば、お互いにどうやら思う気持ちは同じのようで。
「かわいい……」
「へやにかざっておきたいかわいさよ……」
「ゆうかいとかされませんでした? だいじょうぶ?」
 吸血鬼の子を誘拐する者などいないと思いつつも口には出さない千之助くんは、確かにそこにクロトくんの隙を見出して、ヒョイッ
「はいあーん」
「あ……」
「かわいい……お子様舌には程よかろう」
 策が上手くいったとご満悦顔で支給されたプリンを頬張りました。こどもらしく、いっしょにおやつを食べるのもまた一興、ですね。
 おやつを食べ終えカボチャ探しに出発し、いくらか歩けば手足の長さにも視線の高さにも慣れてきて。大人よりも大きな大きなお化けカボチャを見つけた二人は、こっそりと近寄ることができました。
「せんのすけはこちらから。ぼくはあちらにまわります」
 斧を持った千之助くんがこっくり頷きます。
 そうして挟み撃ちにするべく、足元に注意を払いながら回り込んで接近しようとするクロトくんでしたが……。
「って、せんのすけもうつかまってるー!?」
「おのれ、おさなごをむちうつとはなんたるげどう」
 移動するクロトくんへとカボチャお化けの視線にが向いたのに気付いた千之助くんは先に斧で応戦。けれど子供の体力は少なく、そして筋力もなく、蔦に巻かれてしまったのです。
 大きなお化けカボチャの蔦は大人の腕以上の太さなので千之助くんにはどうすることもできませんが、蔓をこうして巻きつけておくことでクロトくんが打たれることはないでしょう。
(……わざと? でもよくない!)
 後は頼んだと蔓の中から親指とぶらぶら揺れる足だけをだけを覗かせる千之助くんに、クロトくんは正直ムカッとしてしまいます。足止めのためなのも、クロトくんが傷つかないようにと思ったことも、わかっています。作戦だってことも、わかっています。けれど、それと気持ちは別なのです。
 千之助くんを絡めている蔓へと斧を叩き込み――カンッ! 何度か打ち込んでも弾かれて。ズザザと足を滑らせながらも、クロトくんは思考を巡らせます。
(ならば――)
 後頭部へと手を忍ばせると、シュッと取り出されたのはキラリと光る鋼の糸。髪に仕込んでいたそれをしゅるりと飛ばし、蔓に、斧にとくるくるり。そうです、腕力がないのなら他の力を使えばいいのです!
 子供の腕では切れない蔓も、斧を振り回した遠心力を利用すれば、ほらこの通り! テテーン! スパッと切れましたー!
 お化けカボチャは、千之助くんを放り出して逃げていきます。
「なんとかなったじゃろ? 信じておったぞ」
「ぶじ?」
 ころりと転げ落ちた千之助くんに駆け寄って安否を確認すれば、千之助くん、何だかちょっぴりドヤ顔です。
「……足どめありがとう。……でも、あんなむちゃダメです」
「う……、しんぱい、した?」
「こんなにほそくて小さくて…だいじなからだなんですから」
「……ごめん」
 小さなクロトくんが悲しげに眉を寄せれば、千之助くんも少し反省。
 しかし。
「……いやまて。大きくなってもムチャばっかりしている者がいうかそれ」
 思わず据わってしまった目を向ければ、美少女のようなとびっきりの笑顔が返ってきて、心の天秤ががたがたと揺れまくる千之助くんなのでした。
 可愛さに騙されてあげるか、ここぞと追求したかは、きっと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

華折・黒羽
【荒屋】

5歳児になった事は3回程
でも意識は自分のままでしたし
身体だけが縮んだ感じでした
今回は…

…かぼちゃに顔と足がついてる
あ、でもいいにおいだ
おいしいかぼちゃのにおい

意識もすっかり5歳児に

おれのなまえ…えっと
これ(ワッペンぐいと見せて)
るいさん?
ん、かぼちゃとる
かぼちゃはおいしいんだ
おやつもありがとう…(きらきら)

いざ出陣
戦闘態勢はさながら獲物を狙う猫の様に四つ足ついて
尾はゆらり
出てくる南瓜にとつげきー!と
素早く跳び付き勢いのまま蹴り
体勢崩そうと

るいさんかっこいい

斧でやっつける姿におお、と感動顔
しかし水と聞けばびくり肩揺らし

水…?
おれ水やだ
からだおもくなる、やだ

おとな(年上)はこわい、と思った


冴島・類
【荒屋】

幼児時代がないものでも縮むって不思議
君は体験ある?
僕は先日初めてなったが、記憶がないんだよね…
わっぺん装備して、いざ

たくさんかぼちゃがいる!
君は…くろば君?
ぼく、るい
おんなじ組だね、おやつあげる
かぼちゃすき?
一緒にいっぱいとって帰ろ
(ぶんぶん斧素振り)

記憶なくし
なぜなに期、好奇心旺盛っ子
でも、ふわしっぽの君よりは
としうえぶり
先に見つけてみせるんだ!

みてみて、穴があったよ
巣かな、とつげきー!
わ、くろば君はやーい!(きらきら
きゃっきゃ歓声あげ
体勢崩したのをかち割りに

…あ、ねえ
ここに水注いだら
ありみたいに穴から出てくるかなぁ

えっ
くろば君をじゃなくてかぼちゃにだよ
嫌われたらどうしよう、おろおろ




 柔和な容姿の青年――冴島・類(公孫樹・f13398)はヤドリガミである。物から生まれた、物に宿る神。生命。姿を得たときから変わらぬ者、ヒトの子のように育つ者。その有り様は彼らの年齢の名乗り方からも伺える通り、様々だ。そして類はというと――。
(幼児時代がないものでも縮むって不思議)
 どうやら、前者のようだ。小さな幼子が、動けぬ体の前で駆け回るのを見てきた。今だって幼い子供を見守ったりもする。けれど自身の経験はと言うと、たったの一回のみなのである。しかも、そのことを覚えていなかったりする。
「君は体験ある?」
 傍らの黒い猫耳の青年――華折・黒羽(掬折・f10471)へと話の先を向ければ、小さな頷きとともに獣の指をみっつ立てられる。
「三度程あります」
「三度も! 其れは心強いなぁ」
 その三度は、意識は己を保ち、ただ身体が縮んだだけだった。今回もきっとそうだろうと考えた黒羽は頷きを返して類と一緒にアルダワワッペンを装着し、カボチャ狩りへと向かうのだった。

「かぼちゃがいる!」
 ぺかん☆ とワッペンが光って目を閉じて、聞こえてきた声に黒羽くんは目を開けます。そこには知らない男の子と、遠くに大きな大きなカボチャの頭のさきっぽが見えました。大きなカボチャは、それはそれは大きいのでしょう。あまり距離感が掴めません。
「だれ……?」
 小さな呟きに男の子がパッと振り返り、黒羽くんと同じように目を瞬かせます。
「君は……」
「おれのなまえ……えっと」
 名前、名前。と身体を見下ろせば、お揃いのアルダワ魔法学園幼等部の制服の胸に、可愛い猫さんワッペンを発見!
「あ、これ」
「くろば君? ぼく、るい」
 『くろば』と書かれたワッペンをぐいと引っ張って見せれば、類くんも同じ仕草でワッペンを見せてくれます。おんなじ猫さんの顔の形は、同じ組の証拠。クラスメイトです。
 何故ここにいるのか解らない二人ですが、うーんっと思い出そうとしてみると……自分たちよりも小さな猫みたいな先生が『かぼちゃとってきてー!』と言っていたような気がしました。
「ん、かぼちゃとる」
「かぼちゃすき?」
「かぼちゃはおいしいんだ」
 おかずになってもおやつになっても、かぼちゃはおいしい。
「おんなじ組だし、一緒にいっぱいとって帰ろ」
 おやつもわけてあげるねと持っていたおやつの半分を分ければ、黒羽くんはキラキラな目を向けながら両手で恭しく受け取りました。おやつもらえるの、うれしいね。類くんありがとう!
 ちょこんと見えているカボチャへ向けて歩みだした二人は、元気に谷の底をあるいていきます。類くんはお兄さんぶって、斧をぶんぶん勇敢に。黒羽くんはふわふわ尻尾を揺らしながらきょろりと辺りを見渡して。はぐれてしまわないように気をつけながら、二人は元気にずんずんずん!
(なんで遠いのにカボチャが見えるのだろう)
 大きなカボチャに類くんは興味津々。好奇心と年上ぶりたい気持ちが類くんの背中を押して、数歩だけ先行させます。
「あれ?」
「きえちゃった」
 確かに大きなカボチャが見えていたのに、気付けば見えなくなってしまっていました。蜘蛛の糸がたくさんあるから、それで見えないせいかも?
 二人は首を傾げながらも前進すれば、程なくして怪しげな地面の膨らみを見つけました。まるで、何かが穴を掘って入って、その上に土が被ったような。
「みてみて、穴があったよ。巣かな、とつげきー!」
 言うや否や前方に見つけた土ぼこに斧を構えて駆け出した類くんでしたが、その隣を四足で黒い何かが駆けていきます。
「わ、くろば君はやーい!」
 獲物を狙う猫のように、力強く地面を蹴って。
 駆ける黒羽くんの前に、土が唐突に盛り上がります!
「わ、おおきい!」
 目をキラキラさせて駆ける黒羽くんを追いかけていた類くんはびっくり! けれど黒羽くんは勢いを殺さずそのまま跳びつき、キーック!
 大きすぎるカボチャは、小さな子供の蹴りではびくともしません。けれどそれは、攻撃を受ける面積も大きいと言うことです。黒羽くんが飛び退いたら、類くんが大きく振りかぶった斧を振り下ろします!
 ガキィン!
「るいさんかっこいい」
 大きな斧(子供視線)を振るうお兄さんは、お菓子もくれて優しいのに、とっても強くて勇ましい。斧を振るう姿に、思わず「おお」と感動してしまいます。
 既にたくさんの子供達に襲われてきたカボチャは身体のあちこちが欠けていました。『またこいつらか!』みたいな顔をして出てきた穴へと逃げていってしまいます。
「にげちゃった」
「にげちゃったねぇ………あ、ねえ。ここに水注いだら、ありみたいに穴から出てくるかなぁ」
 類くん、閃いちゃいました。カボチャさんきっと苦しいよね。……報告書を読んだ先生は『成長するんじゃないかな?』って思うけれど、黒羽くんはちがったみたい。ぴるると小刻みに耳を揺らし、思わず半歩足を引いて類くんを見ます。
「水…? おれ水やだ。からだおもくなる、やだ」
「えっ、くろば君をじゃなくてかぼちゃに、だよ」
「やだ、水やだ」
 ぷるぷる。ずり、ずりり。黒羽くんの足が、少しずつ類くんから離れていってしまいます。やだ、やだ。水はやだ。
 ――嫌われたら、どうしよう。
 ――おとなはこわい。
 ぷるぷると小刻みに頭を振って離れていく黒羽くんに、類くんはおろおろ。
 お家に帰るまでに、ちゃんと仲直りできたのかなぁ?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルル・ミール
♢♡
心身共に5歳

斧と猫型ワッペンに超ご機嫌
気分は最強勇者だけどお菓子の誘惑には勝てない
早速一つ食べながら、何で持ってたかわからない紙を見る
紙には知的で強そうなゴリラの絵が!

『ゴリラせんせえ』?(目キラキラ

大事にしまって耳をぴこぴこ
しー、です。と忍び足
穴を見つけたらそっと近くへ
出てきた所をドカッと…のつもりが南瓜の脅かしに尻餅すてんっ

ふぇ

(泣きそう
(ゴリラ先生の絵を思い出す
(沸きあがる勇気!

あるわわまほおがくえん、よおとおぶ!
とくえつくらす、ぐーぐみのっ、ルルです!
かぼしゃしゅきだけど
ごりらせんせえのほうがいっぱいしゅき!

うんしょと斧持ち上げ、UC発動

やっつける!
せんせえいるからこあくないもん!




 時蜘蛛の糸が垂れ下がる峡谷。切り立った崖の間のその谷に風が駆け抜ければ、ローブとスカートがふわりと踊ります。アルダワ魔法学園幼等部の制服に身を包んだルル・ミール(賢者の卵・f06050)ちゃんは、風の尻尾を見つけるように振り返り、そしてまた歩みだします。
 胸には可愛い猫さんのワッペン。子供サイズの小さな斧は肩から斜めがけ。そしてアルダワ魔法学園の可愛い制服。さいきょーの防具にさいきょーの武器は、さいきょーの装備。今日のルルちゃんの冒険が書かれたさいきょー勇者の冒険譚とか出ちゃうかも知れません。そしたらそしたら、ルルちゃんは……!
「ふふっ」
 楽しい想像に胸を膨らませながら、持っていた可愛い包みからワッペンと同じ猫さん型のクッキーを取り出して、ぱくり。どんなにさいきょーだってお腹が空いたら動けないし、心の栄養は必要ですものね。
 お菓子の包みとは別に、何故か持っていた紙。なんだろうと思いながら畳まれた紙を開けば――。
「ごりらせんせえ?」
 知的そうな目をして正面を見る、強そうなゴリラの絵。それを怖がることもなく、ルルちゃんは一種の憧れを含んだようなキラキラとした瞳で見つめます。強そうでかっこいいその姿は、ルルちゃんが目指すべきさいきょー勇者の姿なのかもしれません。
 大切に折りたたんで、無くさないようにちゃぁんとしまって、ぽんぽん。ちゃんとそこにあること確認するように、そこにあることを忘れないように叩いて、三角のお耳をぴこぴこ。きりりっと視線を上げてルルちゃんは進みます。
 行動は、静かに。こっそりこっそり、忍び足。
 大きな鳥が飛び立つ音がしてびっくりしても、ルルちゃんは大きな声をあげませんでした。しーっと我慢して、ゴリラ先生のいる場所を押さえて、慎重に。
 そうして進んだ先で見つけた、土ぼこ。何かが穴を掘って、その上に土がかぶさったようなものを見つけたら、そっと近寄って様子を伺おうとして……ビュンッ!
 ちゃんと構えて、出てきたところを斧でえいってしようと思っていたけれど、ルルちゃんよりもお化けカボチャの動きが早かったみたい。ビュンッと飛び出してきたカボチャにびっくりしたルルちゃんは尻餅すってんころり。
「ふぇ……」
 びっくりして、お尻は痛くて、さいきょー装備に身を包んだ勇者でもみるみる涙が溢れて――けれど、ルルちゃんは思い出します。あの知性溢れる優しい眼差しを。屈強な身体を。ルルちゃんは一人ではありません! ゴリラ先生がついています!
「あるわわまほおがくえん、よおとおぶ!」
 泣きそうだった瞳をきりりとあげて。
「とくえつくらす、ぐーぐみのっ、ルルです!」
 名乗りあげながら、スックと立って。
「かぼしゃしゅきだけど、ごりらせんせえのほうがいっぱいしゅき!」
 大好きなゴリラ先生もついてきてくれています! かっこわるいところ、見せられないもんね!
「やっつける! せんせえいるからこあくないもん!」
 胸の内に溢れるのは、《あの日の絆》。ゴリラ先生とのハートフル・メモリー。
 ふわりと暖かな気配を背中に感じながら、ルルちゃんは斧を持ち上げてえいやー!
「せんせえがいっしょのルルはさいきょーなんだからっ」



 総勢38名の幼児たちに殴られたり焼かれたり斧でべしっとされたりで大変だったお化けカボチャは、大人よりも大きな大きな身体を少しずつ崩され、ついにはどうっと倒れて動けなくなってしまいました。
「かぼしゃ、たおせた!」
 明るい声を上げれば、まだ帰らずに休憩していたり、逃げたカボチャを捜索していたクラスメイトたち(仮)が寄ってきます。
「もう動かない?」
「ん、大丈夫」
「全部食べれるのかな」
「切り分けて持って帰りましょう」
「かたいなぁ……」
「火を当てるとやわらかくなるよ」
 小さな体で大人の知恵を奮う者。
 心も幼くとも知恵を絞る者。
 泣かないと、負けないと、立ち上がる者。
 みんなの小さな手で、力を合わせ、勇敢に。大人よりも大きな大きなカボチャを倒したのです。
 動かなくなったカボチャを持って帰れるように切り分けるのだって、共同作業です。それぞれの得意を活かして、アルダワ魔法学園幼等部特別クラス・グィー組のみんなは、お友達といっしょに――それはもうとっても頑張りました! 全員揃って花丸です!
 これにて、アルダワ魔法学園幼等部特別クラス・グィー組の特別課外授業、春のカボチャ狩りは終了ですが、小さなお友達のみんながこれからも力を合わせ、そして勇敢に、逞しくありますように!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月22日


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#アックス&ウィザーズ
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#戦争
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#帝竜戦役
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#群竜大陸


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アーデルハイド・ルナアーラです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト