帝竜戦役⑩〜ふんすこ島の救世主
浮遊岩諸島。
文字通り浮遊する無数の巨岩ひとつひとつに独自の生態系を持ち、
様々な特質を持つ群竜大陸においても生物学上とりわけ特殊な地域である。
そんな浮島のひとつ、さらにその片隅の森に、小さな丸い生き物が数十体集まって顔(?)を突き合わせていた。
「……残ったのはこれだけでふんすか?」
「ふんす子が島の裏側を見に行ってふんすが、あまり望みはもてないでふんす」
「このままでは全滅でふんす!みんなで戦ふんす!」
「どうやって戦うでふんす?みんな、ふんすこダンスとふんすこ音頭しかできないでふんすよ?」
ふんすふんすと騒ぐ生き物達の視線の先。島中から見えるふんすこ山の頂上には、彼らの優に10倍を超す大きさの恐ろしい生き物が今も睨みをきかせていた。
天敵の全くいない環境でのんびり生きてきた彼らは、その長い手足や鋭い武器の前になすすべもなく狩られ続け、絶滅の危機に瀕している。
「いったいどうすればふんす……」
小さな嘆きは高い空に吸い込まれ、未だ届く事はない。
●10年前の感覚で申し訳ない
「語尾でキャラ付けとかな!大体碌な奴いねえんだよ!!」
ガン・ヴァソレム(ちょっと前流行ったアレ・f06145)はいきなり全猟兵の3割を敵に回しだした。
「一生懸命付けたところで絶対ボロ出すしな!
ちくしょう、なんでだ!なんで俺様は語尾にゴリマッチョなんて……」
そんな事してたのか。
集まった猟兵達の温かい眼差しに我に返り、ガンは仕事に戻ることにした。
「さて、今回のオブリビオンはコイツだ」
表示された画像はケンタウロスのような四本足を持つ、武装したドラゴニアンだった。
「遠くからは足を止めに来る槍が無限に降ってくるし、近くに寄れば結界で無理矢理一騎打ちに持ち込んでくる。背中を狙うと後ろ足の反撃だ。いかにもな見た目のわりに隙の少ない相手だ。で、地の利を狙う為に現住生物の協力がいるんだが……」
次に表示された画像を見て、猟兵の1人が思わず声を上げる。
「……肉まん?」
「おう、肉まんがオスであんまんがメスな。大きさもそのくらいだから間違えて食うなよ」
ぬいぐるみのような目と口がついた中華まん、という形容がぴったりの、小さな生き物が写っている。あとなんかふるふるしてる。
「戦闘は見た目通りからっきしだ。
はしっこいから偵察や囮なんかはできるかもだが、臆病だからそれなりに調子もってやらないとダメだな」
じゃあどうすりゃいいんだよ、という猟兵の質問に、ガンは手元の端末を操作し……何故か顔を覆った。
「……う、歌と、ダンス……」
……まさかお前、それも。
「ちっ違うんです!ゴリゴリダンスは!持ち上げられて1回やっただけなんです!」
猟兵達は深く聞かない事にした。
荒左腕
荒左腕です。
キャラ立てるのって難しいですね。とりあえず戦争がんばりましょう。
●プレイングボーナスについて
プレイングに本シナリオでは以下の行動を織り込むことで有利な効果を得ることができます。
「奇妙な生物達の支援を得る。」
今回登場する生物の概要は以下の通りです。
「ふんす族」
すいませんそのまんまです。
OPで説明した通り、顔のついた中華まんです。ふんすふんす言ってます。
ゆるい環境で生きてきたためか、歌や踊りなど楽しいものがあるとすぐに気を許してしまうでしょう。
攻撃能力は皆無ですが、戦闘を有利に進めるための地形情報や偵察・攪乱など、思ったより色々なことができます。
「協力を得るための方策」や「どんな協力を得るか」がプレイングにあると、活躍しやすいと思います。
●財宝について
この戦場では以下の財宝を得ることができます。(実際のアイテムとして配布されるわけではありません)
「天空の冠」:オブリビオンが被っている、奇怪な王冠型の宝石です。ひとつ金貨850枚(850万円)の価値がありますが、精神汚染の恐れがあり、売るべきかは分かりません。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしておりまふんす。
第1章 ボス戦
『騎士竜アシド』
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POW : ネイル・ジャベリン
【右腕】から【無限に出現する槍】を放ち、【磔にする事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : ナイツ・サンクチュアリ
【強制的に1対1の戦闘にする結界】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ビハインド・キック
【背中】を向けた対象に、【後ろ脚からの蹴り】でダメージを与える。命中率が高い。
👑8
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フランチェスカ・ヴァレンタイン
わたし自身は歌も踊りも嗜む程度ですが… こういうのもありますよ?
ふんす族の方々の目の前で流行りの音楽データが詰まったメディアプレイヤーのスイッチをポチっと
……。あら、食いつきが予想以上に… はい?
ええまあ、ご協力次第では差し上げるのも吝かでは…
あ、はい。よろしくお願いします?
かなり食い気味にご承諾いただけましたら、優位を取れる地形へアシドを誘き出していただきましょう
空中戦機動で上空から強襲を仕掛け、槍を打ち出す隙を与えず斧槍での切込みと砲撃で畳み掛けます
そのままUCのワイヤーアンカーで簀巻きにし、振り回しから岩場への叩きつけと参りましょう
んー… 電源は太陽光で充電ができれば大丈夫ですかねー…?
シーザー・ゴールドマン
ふんす族
ハハハ、あの厄介な王が来るまでは平和だったようだね。
私達はその平和に戻す為にあれを排除に来た。
よければ協力をしてくれないかな?
何、危険を冒す必要はない。この島の地形を教えて欲しいんだ。
そう、四足歩行の獣が動きにくい場所をね。
教えてくれれば後は私がやる。
平和になったら君達の踊りをゆっくり見せてくれたまえ。
王
ウルクの黎明を発動。増大した戦闘力でオーラセイバーを振るって戦闘しながら、教えて貰った地形に誘い込む。
その上で飛行能力を解禁して超音速の高速機動戦闘で翻弄します。
敵powucは発動タイミングを見切って先制して右腕の破壊を試みます。
大技はオーラセイバーを振るって放つ巨大な衝撃波。
その思考を戦いで埋め尽くしたオブリビオン、騎士竜アシド。
力強い四本の足が怯えるふんす族を追い詰めた森の入り口で、それは現れた。
「……ご機嫌よう?」
フランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)の放ったワイヤーがアシドの右頬を掠め、緑の血を迸らせる。
「!?」
アシドは反射的にワイヤーの現れた方向へ右腕を突き出し、立て続けに数本の槍を射出するが、森の木々に阻まれ届かない。
「骸殻縛め 乱れ舞うもの(スウィング・バイ・アズーラ)!」
直線的に飛ぶ槍に対して、フランチェスカのワイヤーは自在に木々を避け、アシドの腕を絡めとる。
「もらったぞ!」
その隙を逃さず、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)が紅いオーラを煌めかせた。纏う「ウルクの黎明」の光と同じく、紅く輝く剣がアシドを捉える。
「さぁ、楽しませて貰おうか!」
すんでの所で体を捻ったアシドは、ワイヤーに縛られた腕1本を犠牲にして拘束から抜け出し、態勢を整えるべく退却を開始した。
「……作戦通りに追い込めているな」
「ええ。地形の助けもありますが、彼らがギリギリまで誘い込んでくれたからですね」
目を細めるフランチェスカとシーザー。
彼らの目はアシドが走り去った方向でなく、どこか遠くを見ていた。
「協力を……取り付けたからな」
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少し前。フランチェスカは猟兵達の間で流行っている楽曲をメディアプレイヤーに詰め込み、ふんす達に披露していた。
「なんて綺麗な音でふんす
……!」「ほわほわしふんす……」
「ええ、ご協力次第では差し上げる事もでは吝かではありませんわ」
異世界の音楽に肉まんもあんまんも興味深々だ。
「今度はこちらが歌う番でふんすね!フラふんすカ様も一緒に歌ふんす」
「フラふんって……いやそれより協力を」
「歌ふんす!ふんすこ音頭を!」
「えっ」
シーザーは別のふんす族に、四足の敵の動きを阻害する地形について聞いていた。
「後は私達に任せて、平和になったら君達の踊りをゆっくり見せてくれたまえ」
歯をきらりと光らせた微笑みに目を輝かせるふんす族。
「なんてありがたい言葉!感謝のあかしに今お見せふんす!」
「いやまずは敵を……」
「さあふんザー様も!一緒にふんすこダンスでふんす!」
「なっ」
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「……なあ、あの時のふ」
「忘れましょう」
「いや私はそ」
「忘れましょう」
「……わかった」
フランチェスカの顔に、有無を問う余地はなかった。
成功
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モルツクルス・ゼーレヴェックス
実際、騎士竜アシド強いっす
自分だけじゃ、すごいピンチ
「だから、ふんす族の皆さん力を貸してほしいんすよ。申し遅れました、自分はお節介焼きのゼーレヴェックス」
や、難しい事じゃないんすよ
奴のところに案内してほしいのと……
「歌って踊って、応援してほしいんす」
【天王星能】
実際強力なUCっすけどアシドに致命打を与えるには一工夫必要でしょう
「睨み合いになった時、明るく、応援してほしいっす。絶対勝ってみせるんで」
奴自身に変身したら、奴は慎重になるはず……そしてそうしてる間に自分の命は削れちゃう
奴と自分の差がさらに広がるとすれば、ふんす族への印象っすよ
彼等の応援に奴は苛立ち、勝負を急ぐ……自分は最高に、張り切る
シーザー・ゴールドマン
ふんザー、か発音が難しいの彼らなりのポリシーなのか。
しかし、押しが強い種族だね。
アシド撃破後のテンションが上がった彼等の踊りに巻き込まれるのは楽しみだ。
さて、アシド君は逃げたようだが……こんなこともあろうかと、ふんす族の皆にはあちらに罠(足止め)の設置をお願いしていたが……効果はどうかな?
追いかけてみよう。
飛行(空中浮遊×念動力×空中戦)して追いかけアシドを捕捉。
「そろそろ年貢の納め時の様だね」と
『シドンの栄華』『破壊の魔力』を籠めた極大の衝撃波を放ちます。
(衝撃波×範囲攻撃×全力魔法×破壊の魔力)
打倒後は『創造の魔力』でダンスステージを創り出して、ふんす族にプレゼントしたいね。
フランチェスカ・ヴァレンタイン
皆さん楽しく踊ってらっしゃいましたねえ
……わたしは音楽を提供しただけですよ? ええ、そういうことでひとつ
せっかく得られた協力ですし、引き続きご助力願いましょう
ふんす族の方々に宴などを興じていただけば、アシドが耳聡く聞きつけて狩りに現れそうですが… さて?
偵察に引っ掛かりましたら皆さんには一目散に逃げていただき、こちらは上空からの強襲で再度の交戦を
飛び交う槍を斧槍で斬り払いながら空中戦機動で攪乱し、雷装ユニットからの乱れ撃ちで爆撃など
爆炎に紛れて頭上を取り、急降下での浴びせ蹴りでUCを叩き込んで差し上げましょう…!
ナギツ・イツマイ
いやほら僕さ、荒事とかほんと向いてないからお茶を濁しに来ただけなんだけどね。歌えと言われたら喜んで歌うよ。さぁ⋯⋯
アニソンとかのサビの後で唐突に入ってくるクソダサラップパート!
yo-yo!オーバーザウィンド!風に傘も形なし踊るシャドウ!
追い風ストーム!背中押し照らすアマテラスのスキーム!
just carry on!
主人公属性の風とかふんすこ吹かせてみようか。ひとかけらの勇気と背中を押す風だ。
主人公とか言うけどふんすこの純白のスカートが捲れ上がってハラワタチラリとかは見たくないからね!?無理しちゃだめだよ。
戦闘?いやまぢむりだから。ふんすより戦闘力無いから。勘弁して。
手負いのアシドが態勢を整えるべく向かった先には、
モルツクルス・ゼーレヴェックス(素敵魔術師・f10673)が待機していた。
先程の森の近所で、身を隠すのに適した岩場。ふんす族の協力によって、猟兵達はアシドが逃げ込む場所までを予測していた。
ダメージが残る敵が立て直す前に追撃を加える算段であったが、いざ対するとその血気だった形相に血の気が引く。
「……それじゃ皆さん、お願いするっす!」
「まかせふんす!」「がんばりふんす!」
モルツクルスは意を決してアシドの前に躍り出し、星の力を開放する。
「星とは鏡、鏡は貴方……」
「天王星能(アート・オブ・ザ・ウラヌス)」。
天空の神の力を受けたモルツクルスの姿が見る間に変貌し、精悍な体躯と四つ足を備えたアシドと同じ姿をとった。
「さぁ、いくっすよ!」
その姿に一瞬虚を突かれたアシドだったが、真っ向の勝負を避ける思考など彼には存在しない。
受けて立つと言わんばかりに槍を捨て、片腕のままモルツクルスと組み合う。
腕の本数も含めて此方が有利にもかかわらず、その膂力にモルツクルスは目を見張った。
「ああっ、モふふんすス様が!みんな、作戦通り応援するでふんす!」
モルツクルスが彼らに頼んだのは、拮抗状態になった時の応援だ。
背中を押す味方の存在が、敵に動揺を、自分に戦意を与えると彼は信じていた。
「ふんす!ふんす達のふんすこ音頭で!」
♪ふんすふんすこ~、ふんすぅすす~♪ふんすっすうっす~ふんふ~
一心不乱の中華まんダンス。あっ1匹こけた。
(あっ、これは……思ったより……ゆるい……)
確かにアシドの腕から少し力が抜けたのを感じたが、同じくらい自分のも力も抜けていくのを感じる。だってこいつらひとつも声揃ってないんだもの。
「モふふんすス様、ふんす達の会心のおどりでふンっすァー♪」
不意打ちで裏声使われたせいでガクンと力が抜けた。
「わわ、どうしよう……?」
ナギツ・イツマイ(オンミョー・シャーマン・ヒーロー・ウィズ・ラッパー・f19292)は、出どころを誤ったと感じていた。
あんなムキムキケンタウロスに飛び込んでいくのは無理だと思っていたナギツは、ふんす達と共に歌で援護に回るつもりだったが、肝心の歌がどうにも不発のようだ。
「こうなれば僕が……いやいやまぢむり」
頭を抱えるナギツの横を、一匹のふんすが通り過ぎる。
「……フン、見ちゃいられなふんすな」
他のふんす族とは一線を画すその姿は。
「……ぴざまん?」
「おお、お前は12年前に音楽性の違いで里を離れたふんすドリック!」
長老っぽいふんす族がやけにくわしく説明してくれる。
「今こそふんすの音楽が目覚める時、ふんすこロックを聞きふんす!」
ふんすドリックはエアギターをかき鳴らし(手ないけど)歌い始めた。
♪フンスフンスコ~、フンスゥスス~♪
「「「……一緒だ
!!」」」
モルツクルスとナギツの声がハモる……カギ括弧3つあるよ?
「敵まで同じこと考えてたっす!」
ピンチなのも忘れてモルツクルスがつっこんだ。色んな意味で割とギリギリだ。
だが、敵味方双方に現れたこの隙間こそがナギツにとって最期の好機であった。
「うぅ……ままよ!
yo-yo!オーバーザウィンド!風に傘も形なし踊るシャドウ!
追い風ストーム!背中押し照らすアマテラスのスキーム!
just carry on!」
「双皿秤の詩演」。強力だが大雑把なユーベルコードを、ナギツは自身の歌で制御していた。
ブラックサウンド源流にしては女性声優の声がやけに似合う、Cパート大サビ前のラップを、ふんすこロックに無理矢理ねじこんでいく。
そこに込められたのは、誰もに勇気を奮い立たせる英雄の追い風だ。
「すこ……」「すこ
……?」「すこ……!」
高揚の風にあてられたふんす族達のサウンドに、百余年ぶりのイノベーションが巻き起こる。
♪ふんす!いえーが!ふんす!すこ!すこ!
足(ないけど)を一斉に踏み鳴らし、揃った音がより大きな波を生む。ふんす族に初めてハーモニーの概念が生まれた瞬間だった。
「エンジン……かかったっす!!」
歌声で膨れ上がった追い風がモルツクルスの背を押し、最後の力を振り絞る。
「いくっす!いえーが!ふんす!すこすこ!」
残る左腕を力任せに握り潰し、その身体を抱えて押し込むように空へ跳ぶ。そのまま地表へ叩きつけようとしたその時、モルツクルスの身体から急激に力が抜けた。
「しまった!間に合わな……」
リソースの限界。アシドは元に戻ったモルツクルスを軽々と投げ飛ばし、力を失った彼の身体は……
「間に合ったようだな」
「遅くなりましたわ」
シーザーとフランチェスカがついに合流し、モルツクルスの身体を支える。
「……だが君はあんまり人前ですこすことか言わない方が」
「何の話っすか?」
「後は私達が。あなたはお休みなさい」
「あの、何のはな」
「お休みなさい」
モルツクルスはお休みした。
地表に降りたアシドは間髪入れず、2人に再び槍の雨を降らせた。
先程から続く不思議な力の流れは、次第に相手の力を高めている。決着を急ぐ必要があった。
紅と白の翼を翻して上空へ飛翔し、2人は槍を回避する。
「これは……」
上昇速度が予想より高い。翼に何か別の力が宿っているかのようだ。
「策は完全に成った、ということでしょう」
島の地表から、肉まんあんまんピザまんと共に手をふるナギツが見える。
「ならば、あとは仕上げるだけだ」
示し合わせる2人の前に、再び槍の雨が迫る。広範囲に射出された槍は、遮蔽のない上空では回避の術がない。
だがフランチェスカは顔色を変えず、雷装ユニットを次々に展開する。無数の小型ミサイルが射出され、次々に槍と弾けあう。
「……天穹濤撃ち 蹴り砕くもの(レギンブロウ・ヴィブラカノーネ)!」
視界を奪われたアシドの眼前に、突如フランチェスカの爪先が現れた。
高空からの位置エネルギーと超振動がアシドの顔面を捉え、その兜を砕く。
そしてシーザーもまた爆炎に飛び込み、くずおれるアシドの背後へ降り立った。
「そろそろ年貢の納め時の様だね」
右手に集中させた破壊の魔力を、背中から突き入れる。
「――存分に味わえ、シドンの栄華(デウス・アニマ)!!」
ボコボコと内側から破裂するかのように、アシドの身体がはじけ飛ぶ。
爆炎の収まったその後に残っていたのは、伸びをするように翼を開くフランチェスカと魔力の残滓を弄ぶシーザーだけだった。
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「どうもありがとうでふんす!」「皆さまのおかげでふんす!」
「いやあ、自分なんか全然お役にたてませんで」
戦闘後、ぴょこぴょこ跳ねながら礼を言うふんす達に対して目を覚ましたモルツクルスが頭をかいた。実際、無我夢中すぎて何があったのかよく覚えていないのだ。
「そんなことはないぞ!ふんすの彼等に勇気を与えたのは君の姿だ!」
「ええ、あなたこそふんすの英雄です!」
ぼんやりした顔のモルツクルスの肩を叩き、シーザーとフランチェスカが声をかける。
「いやあ、そんなことないっすよ」
「あるんだよ!」「あるんです!」
なんていうか、必死だ。
「おーい、みんなでお祝いしようってさー」
そんなやり取りを知ってか知らずか、ナギツが声をかけに来る。
「……どうだろう、やはり最大の功労者であるモルツクルス君こそ、彼らの礼を受け取るにふさわしいと思うのだが!」
「まあ!素晴らしい考えですわ!」
まだぼんやりしていたモルツクルスには、2人の必死な誘導が伝わらない。
「いやあ、自分だけじゃどうにもならなかったっす!お礼はみんなで受けるっすよ」
「待て!そうじゃなくて」
シーザーが言い直すより早く、ふんす達の群れが押し寄せてなし崩し的に宴が始まってしまう。
「皆さまに感謝を捧げふんす!さぁ一緒に踊りふんす、
ふんす達の新しい文化、「すこすこ音頭」を!!」
「…………!」
悪意のない眼差しを一斉に受けて、
……猟兵達4人は、踊った。
成功
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