帝竜戦役⑯〜レアメタルの竜身にて
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「新たなる帝竜が、再び現われたようじゃな……うん」
ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、どこか口ごもるように切り出し、すぐに意識を切り替えた。
「敵は帝竜プラチナ、希少金属に覆われた大地レアメタルバトルフィールドを統べる「金属生命体の主」との事なのじゃが……」
見た目は六種類のレアメタルによって構成された巨大な竜だ。その六種のレアメタルをそれぞれ合成する事によって強力なユーベルコードを使用してくる。ただし、問題はそれだけではない――この強力な竜身が、ただの『鎧』に過ぎないという事だ。
「あの巨大な竜身のどこかに、『本体』がある。その『本体』を倒さなければ、帝竜プラチナは倒せぬのじゃ……」
その『本体』とは、少女の姿をしているのだという。ただし、姿形は少女であろうと帝竜である事に変わりはない――倒すべき敵じゃな、とガングランは厳しい表情でそう続けた。
「実際、帝竜と呼ぶのにふさわしい戦闘能力を持っておる。油断や迷いは、こちらの死に直結するじゃろう。覚悟して挑むがよい」
強固な材質で形成された飛翔剣、毒煙の防御とそれを弾丸として飛ばす攻撃、本体の少女を複製して念力で操る攻撃――そのどれにも先制攻撃がある。一つ一つ、対処法をもって当たらなければこちらが一方的に押し負けるだろう。
「いかに相手のユーベルコードに対処するか? 格上の相手との戦いならば当然の戦術じゃ。じゃが、ここまで戦ってきたおぬしらならば問題はないじゃろう」
帝竜もこれで半分――ここまで来れば、群竜大陸を駆け抜けるのみだ。
波多野志郎
懐かし……ごほん、帝竜もついに半分になりましたね? 波多野志郎です。
今回はレアメタルバトルフィールドにて、帝竜プラチナと戦っていただきます。
プレイングボーナスは、『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』というものになります。いかに対処して『本体』に至るか、のアイデア勝負となります。
それでは、レアメタルバトルフィールドにてお会いしましょう。
第1章 ボス戦
『帝竜プラチナ』
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POW : ジルコニア、プラス、バナジウム『絶対超硬剣』
自身の【本体(少女)を守る超硬装甲】を代償に、【剥離した装甲を飛翔剣化し、膨大なエナジー】を籠めた一撃を放つ。自分にとって本体(少女)を守る超硬装甲を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : テルル、プラス、ニオブ『悪臭毒ガス粘液塊』
自身に【本体(少女)を守る粘液状の毒煙】をまとい、高速移動と【悪臭の毒ガスを放つ粘液弾丸】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : プラチナ、プラス、バナジウム『命令電波プラチナ』
自身が装備する【本体(少女)】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
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シズホ・トヒソズマ
自由と言いつつ結局上の言う通りにしてるだけなんですよね
ヒーローとして、人々の為にも容赦なく倒します!
(全く、あの頃と何も変わっていやしない)
クロスリベルの力で反射と移動力を強化
回避に努め避けきれない分は◆早業で◆操縦したマジェスの喰剣(周りのレアメタルを吸収し強度を強化)や大帝巫の陰陽札(金属に強い◆火属性)で破砕します
敵の死角に入った隙に大帝巫の認識改変◆催眠術『私や人形の位置を大きくズレた場所に誤認する』を発動
敵が誤射した隙にUC発動
装甲が剥離し丸見えの本体を視線で捉え
本体のほぼ零距離に巨大な黒き槍の船をワープさせ突進させ、先端で◆串刺し
その隙に一気に接近しマジェスの高熱剣で斬り裂きます
雨音・玲
POW・アドリブ歓迎
すげぇな全部希少金属か…
無事に帰れたら武器のカスタム用に何個か持って帰りたいもんだ
しかし過少評価して
手加減してくれると動きやすいんだけど―ッ!!
『絶対超硬剣』に対して
「属性攻撃」で業火を宿した両手のガントレットを使用
「咄嗟の一撃」「武器受け」を併用
何とか弾くように回避を試みます
正直まともにやってられないだろコレは―…
材質はジルコニア?バナジウム?あたりかな
沸点は確か…2800度あれば足りるだろ!!
何とかして懐まで入り込み、軽く一発振動を
超硬装甲に自信が在るんだろ?
俺のUC「龍殺の炎拳」で引っぺがす
別にいいけどそのままだと豪華な「鉄の処女」になるぜ?
装甲の全解除をお勧めするよ
国栖ヶ谷・鈴鹿
【SPD】
希少金属!一体どんなのだろ!
すごく楽しみ!
【先制対策】
耐毒決戦仕様[メカニック]改造!
悪臭や毒に対応できるように紅路夢や銃に、[属性攻撃][衝撃波]迎撃用で粘液や煙を吹き飛ばし、装備品に[毒耐性][オーラ防御]加工で、ぼく自身の防御も高めておこう。
【戦闘】
本体へは、フロヲトバイ紅路夢の機動力と、ぼくの操縦テクニックで近づこう!ぼくのUCの射程まで来たら、理想世界改変で毒粘液は疲れた人に効く甘ーいプリンに!毒煙はバニラの香りに変えて、ついでに装甲まで取り払って、本体の注意を引き付けちゃおう。
本体が注意を引き付けられてるうちに……出来れば満足そうにしてる内に改変して倒しちゃおうか?
ナハト・ダァト
燦々ト鬱陶しイ。
そノ歪ナ輝キ、止めさせテ貰うヨ
対処法
アイテム 無限光を強烈に発光
帝竜の金属を利用する形で乱反射させ
目眩ましを行う
動きの止まった分身体は
トラップツールⅡを付けて武器改造
早業で行い、迷彩も掛けた
自身の残像として活用
その撹乱を行う間に
「瞳」を使って情報収集
医術の知識と合わせながら
本体がいるであろう部位を把握
改造した分身体を
分け与えた「へその緒」によるテレパシーで操作しつつ
めぼしい場所に、手当り次第攻撃する様見せかける
帝竜には催眠と精神攻撃で
本体が見つからず焦っている様に見せかけ
分身体の数が減り
演出した危機で油断した瞬間の
カウンターで反撃
不意討ちを絡めた
弱点属性の攻撃を一気に叩き込む
エルザ・メレディウス
アド〇
連携〇
格上の相手ですか...しかし、こちらには数で上回る猟兵がいます
数と質で圧倒させて頂きます
★他猟兵様との連携時は【集団戦術】や【鼓舞】を行いながら、連携の質や、士気を高められるように心がけます
■WIZ
数には数でお相手致します
【地形の活用】を活かし、地形の起伏などを活用して敵の攻撃に対処
【集団戦術】を活かして、ローマンレギオンや各猟兵の連携の質を向上させて迅速な行動や適切な行動を
召喚した兵士たちは、自分や仲間の猟兵様の盾→敵への攻撃として活用致します
敵への攻撃時は、召喚した兵士達による数を活かした攻撃を続けながら、敵の本体を探し、見つけられたらそちらへ【捨て身の一撃】を仕掛けます
白石・明日香
さてと、中身を拝みに行くとするか!
飛翔剣か・・・・その軌道がわかればどうという事はない!
バイクで全速力!敵の攻撃はこれまでの投擲武器の戦闘知識を総動員して軌道を見切って回避或いは武器受けでいなす、運転技術は伊達じゃねえ。奴がじれて一撃必殺の一撃を放てばしめたものその分装甲が減っているという事だからな。
バイクで躱すのが無理そうなら飛び降りて残像で攪乱しながらダッシュで接近、間合いに入ったら攻撃力重視で怪力、2回攻撃、属性攻撃(炎)、鎧無視攻撃で叩き切る!
ここで終わりだ
・・・・・アバよ!
波山・ヒクイ
ヘイプラチナちゃん、金属生命体って…生きてるけど無機物なんじゃよね?プラチナもバナジウムも無機物なんじゃよね?
何故そんな事を聞くかってそりゃ…かわいい子の事は気になるじゃん。
そんな事を尋ねながらエントリーするわっちです。
コピーのプラチナちゃん、略してコピチナちゃんが超大勢!自由を邪魔しに来たわっちを容赦なく袋叩きにしようと迫る―
って感じになると思うんじゃけど
ここで秘術…わっちだらけの術っ!コピチナちゃん…少なくとも左右に浮いてるアレはぜんぶわっちに早変わり!
わっち軍団一転攻勢の一斉攻撃じゃー!
…プラチナちゃんがテンション上がって先制してなかったら…逆の光景じゃったかもね。
ありがとう、自由。
フェリクス・フォルクエイン
「いくら超硬装甲を飛翔剣化しようとも、いくら威力があろうとも――」
当たらなければ無力
「行きますよ、エミリア!」
愛馬で天馬のエミリアに騎乗して空中戦
「突撃っ!」
「かかりましたね?」
先制攻撃対策として、残像を帯びつつこちらから突撃するというフェイントで攻撃を敢えて誘い、第六感と野生の勘の助けも借りて見切り回避します
念の為にオーラで身を守ってもおきますがこれは保険
「今度はこちらの番ですっ、この距離なら」
回避出来れば、カウンターに戦車キャノン砲を構え中距離から反撃の砲撃を行うふりをしますがこれもフェイントで偽装、更に距離を詰め装甲を失った帝竜の本体に斬り込んで本命のUCを叩き込みます
「捉えたっ!」
ステラ・エヴァンズ
今までの帝竜さん比べると…その、愛嬌のある方ですね?
相手のUCには全力魔法で地面を突出させて作る壁を何枚も形成
その壁を盾にして威力と速度を落とさせつつ見切りで回避
掠っても激痛耐性で耐えます
攻守交代と相成れば、本体が剥き出しのうちに一気に距離を詰め
高速詠唱でUCを発動、本体に斬りかかりましょう
最悪間に合わず再び装甲をつけたとしても問題はありません
レアメタルを腐食させる事はできないもしれませんが、宇宙線はより高エネルギーの放射線
腐食は出来ずとも完全に遮蔽する事は出来ません
多少威力は落ちても、この不可視の刃は必ず中の本体へ至りましょう
好き勝手した責任はきちんととっていただきますからね…!
アドリブ自由
無銘・サカガミ
【白寂・魅蓮(f00605)と行動】
少女、か…昔を思い出す。
まだ呪いについて不明瞭だった頃、不意に触れてきた少女が目の前で木乃伊の如く枯れて死んでいったこと…
昔の話しさ、さっさといくぞ。
今回の目的はあの竜の引きつけと、本体を守る毒霧を剥ぐこと。
そのためなら…覚悟を決めるか。
相手が高速移動を使うなら、こちらはその上を行くまで。
複呪混成なら、同じ高速移動の上に更に機動力が加わる。
攻撃はせず回避に専念しつつ接近。
研ぎ澄ました感覚で少女の場所を突き止めてから、その毒煙を【呪詛】を込めた一撃で剥ぐ。
悪臭は…多分、一周回って嗅覚が麻痺してると思う。
―――どうしたいか、だって?決まってるだろ。
殺すんだよ。
白寂・魅蓮
【無銘・サカガミさん(f02636)と行動】
あれが話に聞く帝竜か
金属をあんなたくさん纏って、如何にも硬くて煌びやかな存在って感じだ
本体は女の子の姿をしてるらしいけど…なに、僕達の敵である以上容赦はしないさ
サカガミさん?一体どうかしたのかい?
…そうかい、そんな出来事を体験してたとはね
でも悪いけど、それに同情してやれるほど今は甘い状況じゃない
たとえ相手がどんな形を取ってても僕はやるよ。君はどうしたい?
サカガミさんが敵の攻撃を引き付けている間に、僕は気づかれないように一気に敵の懐に入り込もう
多少の攻撃は呪詛耐性で無理にでも進む
上手く入り込んだら狙いは一点、敵の本体めがけて「迅月」を打ち込むまでだ
桐崎・早苗
なる程
その姿、鉱石の如く鋭く、そして硬い
この刃が何処まで届くか…いざ、勝負!
●
先制で来るであろう飛翔する無数の刃物に対し、【早業】による【武器受け】と【武器落とし】と【咄嗟の一撃】での切り払いを試みましょう
込められしえなじぃに対し風を纏うことによる【オーラ防御】も重ねたいところ
もし避けられるものがあればそれは避けたく思います
放つ刃の奇跡の予想は【投擲】や【戦闘知識】の知見も活かせるでしょうか
そして呪殺符を撒き【呪詛】を振りまくことで相手の動きも阻害いたしましょう
やがて濃霧が満ちたらばこちらの番
場は整いました
痛みがあれば【激痛耐性】と【気合い】と【覚悟】で自身を奮い立たせ、全力の斬撃を
北条・優希斗
連携・アドリブ可
心情
…失敗はしたが悪魔軍の創造主、即ち君主(デモノイド・ロード)と言ったところか?
(不意に脳裏を過ぎる光景を目にしながら)騎士を生み出されずに済んだのは幸いか…
…良いだろう
自由の真の意味を知らずその夢に溺れたままに骸の海へと沈め
【SPD】
プラチナが高速移動を開始したら見切り+早業+残像を乗せてUC発動
彼女の自由は自由では無いと言う意味を乗せ、お前を殺すと想いを籠めた剣舞で相手に不愉快を与え速度を遅く
舞いつつ蒼月・月下美人を抜刀二回攻撃+早業+鎧無視攻撃+見切りで攻撃毒の弾丸は見切り+残像で攪乱して回避するけれど
オーラ防御で防御しつつ毒をものともしない覚悟と医術の知識で耐え抜くよ
ユヴェン・ポシェット
帝竜プラチナか
攻撃が届かないなら…届くまで削るしかないだろう。
相手が、装甲を剥がしてくれるなら好都合。ただ、その分攻撃もやべぇだろうな…。
先ずは防御へ徹する。自身の布盾「sateenkaari」を構え敵の攻撃を受け止め、弾き飛ばす。また、ダークネスクロークの「テュット」がマントを翻し、俺へ向かう攻撃に立ち塞がり、俺を守る。
極力見切って躱すが、それでも防ぎ切れない分は何とか耐えてみせる。
…痛みにはある程度慣れてんだ。
敵の装甲が薄くなった好機は見逃さない。その為に耐えたのだから。
自身の手に構えるものを布盾から槍へと変える。
UC「ドラゴニック・エンド」使用
槍での串刺し、召喚竜による攻撃
…終わらせる。
備傘・剱
貴金属の塊か
加工して食器にするといいかもしれないな
さて、削り取ってやろうか!
青龍撃、オーラ防御、発動!
超硬剣
装甲を剥離し始めたら、高速移動で距離を取りつつ、剣を水弾で弾き返そう
弾けないまでも念動力と合わせれば軌道ぐらいは変えられるだろうぜ
粘液塊
オーラ防御を全身に巡らせて、外気を遮断、水弾で毒ガスを中和しつつ、同じく高速移動しながら、呪殺弾、衝撃波、誘導弾の弾幕を張り、迎撃
プラチナ
呪殺弾、衝撃波、誘導弾と一足りないのダイス攻撃、水弾で迎撃しつつ、接近を許した奴は爪で引き裂く
かわしたら接近し、カウンターで、鎧無視と鎧砕きを重ねた零距離射撃で装甲を破壊して持ち帰ってやる
アドリブ、絡み、好きにしてくれ
●レアメタルバトルフィールド
「希少金属! 一体どんなのだろ! すごく楽しみ!」
目を輝かせ決戦の地に向かった国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)は、その光景に息を呑んだ。
「わわわ! これはすごいね!」
レアメタルバトルフィールド――それは見渡す限りの希少金属に覆われた大地だ。かつてこの地に住んでいた生物が死滅した後、ある帝竜が築き上げた『彼女』の領地……なのだが。
「ふーん、ふふーん♪」
鼻歌混じりにその身からレアメタルを生産し続ける巨大な竜――帝竜プラチナの姿がそこにはあった。その圧巻の大地を見回して、コンコンと爪先で足元を叩いて雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)が呟く。
「すげぇな全部希少金属か……無事に帰れたら武器のカスタム用に何個か持って帰りたいもんだ」
「貴金属の塊か。加工して食器にするといいかもしれないな」
いくらでも有効利用できる、そう続けたのは備傘・剱(絶路・f01759)だ。無数のきらめきを放つ希少金属の荒野を尻尾を振りながら楽しげに広げる帝竜に、ステラ・エヴァンズ(泡沫の星巫女・f01935)も判断に困ったように言った。
「今までの帝竜さん比べると……その、愛嬌のある方ですね?」
愛嬌、確かにそうだろう。その声も少女のものだし、動きもどこか子犬めいた仕草で愛らしくある――そのサイズが見上げるばかりの巨大さで、無数の希少金属で形どった凶悪な竜の形をしていなければ、だが。
「ヘイプラチナちゃん!」
声を張り上げる波山・ヒクイ(ごく普通のキマイラ・f26985)に、呼ばれた事に気付いたプラチナが振り返る。その視線を受けて、ヒクイは問いかけた。
「金属生命体って……生きてるけど無機物なんじゃよね? プラチナもバナジウムも無機物なんじゃよね?」
問い自体に意味はない。何故そんな事を聞くかってそりゃ……かわいい子の事は気になるじゃん? とはヒクイ談。
「でーすよー! それを言ったらー、大概の有機物生命体もー、炭素生物じゃないですかー? ケイ素生物にもー、生命があっていいと思いまーす!」
律儀に答えが返ってきた。思った以上に、根本的かつ理論的な返答だ。加えて、どこか幼ささえ感じる声だ。
「あれが話に聞く帝竜か。金属をあんなたくさん纏って、如何にも硬くて煌びやかな存在って感じだ。本体は女の子の姿をしてるらしいけど……なに、僕達の敵である以上容赦はしないさ」
白寂・魅蓮(蓮華・f00605)は呟き、ふと隣に立つ無銘・サカガミ(「神」に抗うもの・f02636)に視線を向けた。
「サカガミさん? 一体どうかしたのかい?」
「……昔を思い出した。まだ呪いについて不明瞭だった頃、不意に触れてきた少女が目の前で木乃伊の如く枯れて死んでいったことを……」
「……そうかい、そんな出来事を体験してたとはね」
無表情で返すサカガミの感傷に、魅蓮は理解を示す。その上で、続けた。
「でも悪いけど、それに同情してやれるほど今は甘い状況じゃない。たとえ相手がどんな形を取ってても僕はやるよ。君はどうしたい?」
「昔の話しさ、さっさといくぞ」
戦いの意志を魅せるサカガミに、それ以上魅蓮は言葉を紡がない。帝竜プラチナは、ぶんぶんと尻尾を振り回して声を張り上げた。
「そっから、こっちに来ないでくださーい! ここはー、私の自由の大地なんですー!」
(「全く、あの頃と何も変わっていやしない」)
シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)は胸中で浮かんだ言葉を飲み込み、別の言葉で告げた。
「自由と言いつつ結局上の言う通りにしてるだけなんですよね。ヒーローとして、人々の為にも容赦なく倒します!」
「自分の意志で従うって決めてるんですから、いいんですー! むー、邪魔するなら、容赦しませんよー!!! プラチナ、プラス、バナジウム!!」
帝竜プラチナの周囲に、無数の少女の姿が浮かんでいく。その少女達が金属製の両の巨腕を構え――ドン! と一斉に飛び立った。
「……失敗はしたが悪魔軍の創造主、即ち君主(デモノイド・ロード)と言ったところか?」
北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)は、不意に脳裏に浮かんだ光景に眉をしかめる。
「騎士を生み出されずに済んだのは幸いか……良いだろう、自由の真の意味を知らずその夢に溺れたままに骸の海へと沈め」
少女の軍勢と猟兵が激突する――それが、このレアメタルバトルフィールドの戦いの幕開けを告げる合図となった。
●レアメタルの支配者
「燦々ト鬱陶しイ。そノ歪ナ輝キ、止めさせテ貰うヨ」
ナハト・ダァト(聖泥・f01760)は尽きる事無く、その身を照らす無限光を輝かせた。複製されたプラチナの軍勢が、その希少金属の大地で乱反射する輝きに視界を奪われ、一瞬目標を見失う。
「さて、削り取ってやろうか! 青龍撃、オーラ防御、発動!」
そこへ青龍撃(バレットスピーディング)によって空気中の水分を凝縮し形成した青龍の爪と牙を身にまとった剱が飛びかかる。複製体のプラチナ製の金属腕を軽々と引きちぎり、そのまま広範囲を青龍の爪が薙ぎ払い――。
「おまけだ」
ドン! と牙から放たれる高圧の水弾が、帝竜プラチナの巨体を撃った。だが、その金属さえ穿つ水弾は、希少金属の竜身に弾かれる! その光景を見た桐崎・早苗(天然風味の狐娘・f10614)が、退魔刀-玖式-とサムライブレイド -漣-を抜いて駆け出した。
「なる程。その姿、鉱石の如く鋭く、そして硬い。この刃が何処まで届くか……いざ、勝負!」
「私の自由は誰にも邪魔をさせませんよ!」
複製体のプラチナが、その道を塞ぐ。放たれる金属の義腕を早苗は振るう二刀で斬り伏せていった。
「さてと、中身を拝みに行くとするか!」
白石・明日香(十字卿の末裔・f00254)がベトゥラーのアクセルを吹かし、走り出す。複数の希少金属で固められた地面を物ともせず走るバイクを操り、明日香は襲い来る複製体のプラチナを掻い潜った。
「させませんよ!! テルル、プラス、ニオブ」
その瞬間、帝竜プラチナが飛び立った。その身の隙間から溢れ出した粘液状の毒煙の尾を引きながら、悪臭の毒ガスを放つ粘液弾丸を撃ち放ってくる。
「させないよ!」
百弐拾伍式・紅路夢で疾走し、鈴鹿が双式機関銃ナアサテイヤと双式機関銃ダスラを抜き引き金を引いた。耐毒決戦仕様対の機関銃の弾丸、衝撃波を伴う風属性を宿して粘液弾丸を吹き飛ばしていった。
「後のことは後で考える、どうせ呪いでは死ねない身だからな。さあ受けとれ、これが俺の……加減なしの全力だ!」
サカガミは八百万の呪い・複呪混成によって感覚過敏の呪いに加え、反動無視で身体能力を限界突破する呪い、更に全開の触れた相手の生命力を枯らす呪いを宿し自身を超強化。ガン! と金属の大地を蹴って跳躍した。高速機動が相手ならば、それを上回ればいいだけの事――移動先に回り込んで、呪詛を帯びさせた石に投擲した。
「ぎゃん!?」
ガキン! と高速同士が激突し、プラチナが短い悲鳴を上げる。石に施した呪詛が、毒煙の一部を消し飛ばした。
「あれは懐に入るのも一苦労しそうだ」
言い捨て、しかし、魅蓮の動きに迷いはない。サカガミが生んだ一瞬の間隙、その間に帝竜の死角へ回り込もうと駆け出した。
「格上の相手……でも、こちらには数で上回る猟兵がいるわ。数と質で圧倒させてもらうわ」
エルザ・メレディウス(復讐者・f19492)は鷲の軍団旗を掲げ、そして告げた。
「ケントゥリオのもとに……ここに」
エルザのローマンレギオンに応えたのは、古代の戦士達だ。複製体プラチナの軍勢とローマレギオン達が激突する。実力では、複製体プラチナに分がある――それもエルザには承知の上だ。
「今よ」
「ほーい!」
集まっていた複製体プラチナ達へ、ヒクイが飛び込む。まさに飛んで火に入る夏の虫、殺到してくるプラチナ達にどこか幸せそうな笑顔をヒクイが見せたのは、目の錯覚だろうか?
「コピーのプラチナちゃん、略してコピチナちゃんが超大勢!自由を邪魔しに来たわっちを容赦なく袋叩きにしようと迫る――って感じになると思うんじゃけど」
その瞬間、襲いかかったプラチナ達が刹那でヒクイの姿へと変わっていった。
「何ですか、それー!?」
「わっちが一人、わっちが二人……沢山のわっちでおもてなしじゃ! わっち軍団一転攻勢の一斉攻撃じゃー!」
秘術・わっちだらけの世界によってプラチナをヒクイの姿に変え、支配権を書き換えたのだ。しかし、ただこのユーベルコードを使ってもここまでの効果はなかっただろう――エルザがローマレギオンによって戦線を一点に集中させたからこその、絶大な効果だった。
気分的には、オセロでたった一手で大逆転をした気分だ。ようするに、相手にとっては大逆転されたのと同じな訳で、たまったものではない。
「むむむむ!! なら、これでどうですか!? ジルコニア、プラス、バナジウム!」
バキバキバキ……! と帝竜プラチナの体が一部剥がれていき、その欠片が飛翔剣化。ドドドドドドドドドドドドドドド!! と迫るヒクイの群れを紙切れのように切り飛ばしていった。
「危ないです!」
ステラがすかさず、地面から無数の壁を生み出し、飛翔剣を受け止める。しかし、それでも全部は止まりきれない。
(「帝竜プラチナか。攻撃が届かないなら……届くまで削るしかないだろう。相手が、装甲を剥がしてくれるなら好都合。ただ、その分攻撃もやべぇだろうな……」)
ユヴェン・ポシェット(ඛනිජ・f01669)はsateenkaariを翻す。そして、水分含む細長い布盾で迫る飛翔剣の切っ先を巻取り、強引に軌道を変えた。ヒュゴ! と隣を通り過ぎていく風切り音、それに続いて背後でした破壊音がその威力を物語っていた。
そんな飛翔剣が、二本、三本と続けざまにユヴェンに襲いかかる!
「ぐ……痛みにはある程度慣れてんだ」
回避しきれない分は、敢えて受け止めて食い止めた。それでも、ユヴェンは止まらない。
「少しは過少評価して手加減してくれると動きやすいんだけど――ッ!!」
玲は両腕のレッドショットに包まれた拳を握り、振りかぶる。
「正直まともにやってられないだろコレはー……材質はジルコニア? バナジウム? あたりかな。沸点は確か……2800度あれば足りるだろ!!」
玲は両の拳に業火を宿した。そのまま、自身に迫る飛翔剣に向かって拳を繰り出した。
「ぐ、お、お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ガキン! と拳と剣が、互いを弾き合う。しかし、玲の拳も飛翔剣も無事だ――即座に再び迫ろうとした飛翔剣へ、シズホが介入する。
「やらせませんよ!」
陰陽師型催眠人形『大帝巫』の投擲した火行の霊符が、飛翔剣に貼り付く。玲の業火と『大帝巫』の符によって、飛翔剣は半ばから溶け形を失った。
「いくら超硬装甲を飛翔剣化しようとも、いくら威力があろうとも――」
当たらなければ無意味、とフェリクス・フォルクエイン(人間の天馬聖騎士・f00171)はエミリアの手綱を手にする。
「行きますよ、エミリア!」
フェリクスの声に応え、ペガサスが飛び立つ。ヒュガガガガガガガガガガ! と降り注ぐ飛翔剣を、エミリアは見事に空を駆け回避し、避けきれないものは誓いの剣でフェリクスは弾いた。
「何なんですか、もう! 非常識な事ばっかりする人しかいませんね!」
「鏡を見ろ、鏡を」
優希斗は言い捨て、剣舞を踊る。彼女の自由は自由では無いと言う意味を乗せ、お前を殺すと想いを籠めた剣舞――優希斗の妖舞・月下蒼剣王舞に、苛立ちながらプラチナは言う。
「何なんですか!? 急にやって来て失礼な人達です!」
プラチナは気付かない。その剣舞を見て不愉快になる、楽しまない自分の速度が落ちているという事実に。速度で敵わないのなら、向こうを引きずり落とせばいい――優希斗のその意図に、プラチナは思い至らない。
「もう、怒っちゃいますよ、ぷんぷんですよ!!」
それでもなお、帝竜プラチナは強力だ。そのありあまる絶大な力で、猟兵達へ更に攻勢を強めた。
●自由の意味と、果てにあるもの
(「圧倒的ね……でも」)
帝竜プラチナの強さは、疑いようのないものだ。だからこそ、エルザは突け込む隙があると判断した。
(「ただ、その有り余る力を振るっているだけ。ならやりようはあるわ」)
エルザは、ローマレギオン達に陣形を組ませる。猟兵達の盾となるように――そして、それは次を生むために布石となるのだ。
「――お願いね」
「邪魔ですよ―!!」
ヒュガ! と飛翔剣が、ローマレギオン達を切り飛ばしていく。一体、二体、三体、としかし、一体として逃げずに飛翔剣にしがみつき、一本また一本と落としていった。
「――ソコ」
そして、『観察』を終えたナハトが動いた。希少金属の大地へ手を付き、そして唱えた。
「ALHIM TzBAVTh」
ナハトが深淵から召喚した無数の触腕が、大地から帝竜プラチナへ伸びる! それに帝竜プラチナが翼をはばたかせ旋回しようとした、その時だ。
「場は整いました」
帝竜プラチナの片翼を濃霧で包み、早苗が言い捨てる。そして、渾身を込めて二刀を振るった。
「我が一族に伝わりし退魔の秘剣――『霞朧』」
早苗によって繰り出された斬撃は、霧を通して伝わる無数の斬撃となって帝竜の片翼を切り飛ばす! 本来なら、この濃霧にも反応できた――そのはずだ。
「お、そい!?」
ここでプラチナは、自身が優希斗の妖舞・月下蒼剣王舞に速度を落とされていた事を自覚する。そして、ナハトの八ノ叡智・栄光(セフィラ・ホド)の腐食属性の触腕の連撃が帝竜の胸部を打ち砕いた。
「――っ!!!」
その胸部の中に、『本体』の姿があった。だが、プラチナは驚きの表情から即座に立ち直り、砕かれた胸部を分厚い毒霧によって包んで防御を固める。
「まだまだ、です! 私の自由は終わりません!」
「ようこそ! これがぼくの理想郷、夢見た世界さ!」
そこへ理想世界構築型ハイカラさん後光領域を、鈴鹿が放つ。毒霧から、甘い匂いが立ち込める。そして、やがて歓声が響いた。
「あまーい! 美味しい! 何ですか、これ!?」
「疲れた人に効く甘ーいプリンだよ、召し上がれ!」
どれだけ美味しかったのだろう、プラチナがパクパクとプリンに変わった毒霧に、夢中になって食らいつく……涙無くして見れない光景だった。
「銀河を支配する頂点なる過去、我が力となりて宇宙を駆け全て貫く船を呼ばん!」
「は!? これは罠!? ずるい、猟兵ずるい!?」
幻影装身・極:星海の玉座に座す皇帝(アームドフォーミュラミラージュ・リスアット)によって巨大な黒き槍の船をシズホが瞬間転移させる! その切っ先を間一髪で帝竜の鎧でプラチナは受け止めた。
「まだです! やられたりしないのですよ!」
その瞬間、帝竜の鎧の半分がシズホの船の一撃で砕け散り、その全てが膨大な数の飛翔剣となる。ヒュガガガガガガガガガガ! と降り注ぐ飛翔剣を、ヒクイは自分の分身を盾に味方をかばっていった。
「……プラチナちゃんがテンション上がって先制してなかったら……逆の光景じゃったかもね。ありがとう、自由」
ヒクイは心の中から、礼を言う。この数は、向こうが複製体を多く出してくれなければ使えない手だったからだ。そうでなければ、この一撃でこちらの陣営は半壊したかもしれない。
「道は作る」
そして、竜騎士の槍をなったミレヌをユヴェンは投げ放った。ガギギギギギギギギギギギ! と火花を散らし、竜となったミレヌが飛翔剣を弾き帝竜の鎧の一部を砕いた。
ユヴェンのドラゴニック・エンド、そのミレヌの背に乗って剱が両手を振るう。
「自分の得物だ。受け取れ」
ヒュガ! と念動力で動かした飛翔剣を剱はプラチナ本体へ繰り出した。プラチナは、両の義腕で刃を受け止める!
「その腕は邪魔だな」
そこへ回り込んでいた優希斗が月下美人を抜刀、ガギン! と月下美人の連撃が左右の義腕を肘から切り飛ばした。
「もう! せっかく自由になったのに! 意地悪な人達です!」
頬を膨らませ、プラチナは振り返りざまの飛翔剣を放つ。それを、優希斗はバックステップでかわした。
「好き勝手した責任はきちんととっていただきますからね……! 全てを切り裂け……終焉を賜わす不可視の光刃!」
続くステラの星間を切り裂く不可視の光線(ラディウス・プロトーネ)――不可視の刃状に高密度圧縮した宇宙線が、帝竜の鎧を大きく切り刻む。プラチナは、咄嗟に帝竜の鎧から飛び降りて――。
「今度はこちらの番ですっ、この距離なら――捉えたっ!」
フェリクスのインフェルノ・エッジが、プラチナを捉える。誓いの剣による連続斬りからの吹き飛ばしと炎の斬撃に、プラチナが吹き飛ばされた。
「ま、だだもん!」
帝竜の鎧が、突進する。それを真っ向から迎え撃ったのは、明日香と玲だ。
「ここで終わりだ……アバよ!」
「貫き喰らえ!!」
明日香の突撃による燃える呪剣ルーンブレイドと玲の龍殺の炎拳(アスカロン)が、完全に帝竜の鎧を破壊する! 轟音と共に息を呑むプラチナの背後に、魅蓮が滑り込んだ。
「銀狼の旋風からは逃げられないよ?」
魅蓮の扇が巻きおこす鋭い風、白狼ノ風「迅月」(ホワイトソニック)がプラチナを上空へ巻き上げる――そこで待ち構えていたのは、サカガミだった。
「―――どうしたいか、だって?決まってるだろ。殺すんだよ」
魅蓮の問いに自分だけに届く声で答え、サカガミは渾身の呪詛を撃ち込む。その一撃に、自由に憧れた帝竜は粉々に砕け散って消えていった……。
大成功
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