帝竜戦役⑭〜触手に骨がないと誰が決めた?
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うねうね、くねくね。
触手がうねる。
ぽきぽき、こきこき。
骨が鳴る。
ぶんぶん、しゅっしゅっ。
強者を待つ。
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「新たな戦場にござる!」
シャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)が今日も勢いよく声を上げる。
「皆様方のご活躍にて、この度古竜平原という場所へ攻め入ることができ申した。ここはかつてベルセルクドラゴンとの戦いに敗れ絶滅した、『古竜』なる竜の骨が残る平原でござる。この度はここにいる敵を討伐していただきたい!」
新たな場所でもやはり戦いは避けられない。分かっていたことではあるが、猟兵たちの顔が引き締まる。
「まず、今回戦う敵はイボル・ローパー……触手の敵でござる。相まみえたことのある方もおられるのでは」
触手という言葉を聞き、一部の猟兵が顔色を変える。それは嫌悪か、拒絶か……あるいは興奮か。
「そしてこのローパーたちでござるが、皆古竜の骨を纏っております。この骨は『触れたユーベルコードの威力を激減』という能力を持っておりまして、それで身を守りながら攻撃してくるのでござるよ」
しかも、着用者側のユーベルコードを阻害することはないという便利な防具でもある。
「細く筒状の骨を触手部分に連なるように装備し、その見た目はさながら多節鞭! そしてこのローパーたちはある目的の為に触手を振るい申す。それは……」
分かってる、言わなくていい、猟兵たちの視線がそう告げる。しかし。
「強者との闘い」
……は?
「このローパーたちは骨を装備したことで硬軟自在の動きを会得、それを実戦で試したくて仕方ない様子。吸盤で捕捉し、柔毛で集中力を削ぎ、肉瘤と骨で殴打するという連撃に、骨の硬度によって破壊不可能、一度嵌れば抜け出せず全方位からの攻撃を受ける触手の陣、敵の闘争心を喰らい実体を伴った分身を作り出す術と、自らの特性を生かした武術を極めたまさに気骨ある触手!」
……それが言いたかっただけじゃなかろうか。そんな視線を無視してシャイニーは続ける。
「先も言いました通り、古竜の骨はユーベルコードを軽減してしまいます。しかし、完全に全身を覆っているわけではありませぬ。まず根元の胴体部分には骨を装備しておりませぬし、触手の可動域を確保するために設けられた関節も狙えましょう。さらに敵の攻撃時にも機会はあります。肉瘤、柔毛、吸盤や触手陣の要となる出口部分、新しく出た分身などには全て骨が纏われておりませぬ。ここを突くことで戦いを有利に進められましょう!」
そう言ってシャイニーはぐっと拳を握る。完全にこの触手を一介の武闘派集団としてしか見ていないようだ。
「さらに群竜大陸での戦いの例に漏れず、ここでもお宝は手に入ります。ここでの宝は古竜の骨そのもの。価値は金貨84枚でござる! 小さな骨一つでこの値段でござるゆえ、うまく多数を倒せれば稼ぎがどんどん増えていき申す! 無論、容易くそれを許す相手ではござりませぬ故、欲張りすぎは命を縮めますぞ!」
どうもこれはシャイニーフィルターがかかっているのではなく、本当に武闘派触手が相手になるらしい。ほっとしたような肩透かしなような……そんな空気が猟兵たちを包む。
「骨のある相手でござるが、皆様ならきっと下すこと能いましょう。それでは、ご武運を!」
曇りないシャイニーの目が、猟兵たちを見送った。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。
帝竜戦役7本目。戦闘依頼ネタ風味お色気抜きでございます。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス……敵がまとっている「古竜の骨」に触れないよう、隙間を縫う攻撃などの対策を行う』
古竜の骨は主に触手部分に纏われており、単純なユーベルコードぶっぱでは全て防がれてしまうと思っていいでしょう。オープニングにもある通り関節部分を狙う、触手を掻い潜り本体部分を攻める、敵のユーベルコードの隙をつく、など何かしら一ひねりが必要です。他にも手は色々あると思われますので、是非色々工夫してみてください。
今回はお宝として金貨84枚相当の『古竜の骨』が、倒した敵の数だけ手に入ります。やっぱりアイテムとしての発行はありませんが、是非狙ってください。
最後にもう一度注意を。この触手は武闘派です。急所(性的な意味で)じゃなくて急所(生的な意味で)を普通に狙ってきます。やられプレをかけると本当にやられてしまいますのでご注意ください。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『イボル・ローパー』
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POW : マルチフォーム・テンタクル
【吸盤触手】【肉瘤触手】【柔突起触手】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD : アトロシャス・コリドー
戦場全体に、【融合進化したローパーの触手群】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ : マインド・チューイング
戦闘中に食べた【敵対存在の感情(種族、性別は問わない)】の量と質に応じて【新たなローパーが増殖】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
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伊美砂・アクアノート
【SPD 短刀法選・八天斬】
ーーーふん。普段は暗殺とか闇討ちばかりで正面から戦うのは好まないんだが……いいよ、やってやる。興が乗った。真剣勝負と行こうじゃないの…!
基本、鉈以外の武器は使い捨てていき、ユーベルコードで加速していく。狙うのは触手の可動関節、骨を剣や刀に準ずる武器だと思って警戒し、それを回避すると同時に斬り返して攻撃するよ。『早業、見切り、フェイント、戦闘知識』…暗器を一つずつ叩き込んでは使い捨て、そのぶん身軽になった身体でタクティカルマチェットを構えるよ。ーーーさあ、来ませい。刃渡り一尺の短刀なれど、至近なれば速さで負けませぬ。 種族は違えど、汝は間違いなく『強敵』であったーー。
かつてベルセルクドラゴンに滅ぼされた古竜の骨が一面に散らばる古竜平原。そこに居つくのは、その古竜の骨を纏い、武に目覚めたイボル・ローパーたち。
強者を待ち受ける触手の前に、まず一人の猟兵が立った、
「ーーーふん。普段は暗殺とか闇討ちばかりで正面から戦うのは好まないんだが……いいよ、やってやる。興が乗った。真剣勝負と行こうじゃないの……!」
伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)は目の前の触手に向かいそう告げた。その声は押し殺してはいるが、端々に本当にこの触手の姿勢を楽しんでいる様子が見て取れる。
ローパーもアクアノートを挑むべき強敵と認めたか、骨のついた触手を大量展開。触手迷宮を作り上げ、その中に彼女を取り込んだ。
骨と触手で組み上げられた迷宮の中、アクアノートは多くの武器を手に、神経をとがらせる。瞬間、アクアノートの背後から、骨を纏った触手がうなりを上げアクアノートに向けて振り下ろされた。
アクアノートは一歩踏み込み、その打撃を躱す。そのまま一回転しながら刃物の暗器を袖からだし、骨と骨の隙間、関節部分を断ち切った。
今自分を狙ったのはただの触手ではない。振るわれたのは一角の武人の腕であり、纏う骨は剣や刀に準ずる武器。そう心得て、その攻撃を反撃の刃で刈り取ったのだ。
今振るった暗器を捨て、さらに奥へ進むアクアノート。そこに今度は足元を狩るような低い横薙ぎの一撃が。それは一跳ねして躱し、踵に仕込んだ刃で踏みつけるように関節を切る。
使った暗器はまたもその場に捨て、徐々に身を軽くしながらアクアノートは先へと進んでいく。見切り、早く切り、時に自身の動きを幻惑に使い、そして使った武器は捨ててまた速さを上げる。迷宮で攻めかかるは無数の罠であり、あるいは己の技を持った武人と見れば、今まで培ってきた戦いの知識はその対応策をおのずと弾き出してくれた。
無数に襲い来る迷宮に、まるで呼応するようにアクアノートの技は冴え、その早さはどこまでも上がっていく。
やがて前方に見える光と、そこにある骨を纏わぬ、土台の様な肉の塊。
暗器はほとんど捨て去ってしまった。手に持つのはタクティカルマチェット一つのみ。だが、これでいい。この為に他の武器を全て捨ててきたのだ。
光の先にある出口へとアクアノートが駆け出すと、最後の猛攻とばかりに骨をつけた触手が縦横から叩き、絡み、刺し貫かんと一斉に迫ってきた。
その刹那、アクアノートは加速する。待ち受ける触手が自分の体を捕らえんとした場所を、それ以上の速さで走り抜ける。
「ーーーさあ、来ませい。刃渡り一尺の短刀なれど、至近なれば速さで負けませぬ」
抜けた体に方向を変えた触手が追いつく前に、神速の域に達したマチェットの一撃が、出口に聳えるローパーの胴部を切り裂いた。
ローパーが血と粘液を噴き出し両断されると、後方に広がっていた迷宮も崩れ去る。その跡には、ひびの入った古竜の骨とアクアノートが捨ててきた暗器が散らばるだけであった。
「種族は違えど、汝は間違いなく『強敵』であったーー」
粘液となって消えた『強敵』に一言そう告げ、アクアノートは回収すべきものを拾いその場を立ち去るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
月宮・ユイ
※ヤドリガミ
気骨ある触手、か
なかなか変わった敵のようね
「あえて機械的に処理していきましょう
◇竜騎士団
地にもUC阻害の骨がある為、空飛ぶ船を母艦に召喚。
○呪詛製呪殺弾生成、加え○念動付与し誘導弾化。
スナイパーライフル型『ステラ』
○情報収集+第六感+学習力
高い情報処理能力活かし、母艦より敵の動き見切り狙い撃つ
距離活かし伸ばす為増えた攻撃の隙つき狙撃○捕食:生命力吸収
竜騎士も銃撃中心。
騎竜に○属性風付与、風操らせ空中戦での飛翔力向上と
騎竜のブレスに風のせ触手逸らす。
5人1組でチーム組み、四方から攻め攻撃の密度減らし隙増やさせ
1人は増殖へ備える。
UCは骨で減衰されるが弾や風は非UC製
「触手、駆逐します
ヴィクトリア・アイニッヒ
中々に不気味な存在ですが、その気質は武人。
その武を競うのも悪くはありませんが…今は時が悪いですね。
ここは、一方的に撃ち祓わせて頂きましょう。
UC【神威の光剣】を使用。
敵の射程外に身を置き、無尽蔵に召喚される光剣での攻撃に専念する。
ユーベルコードを減衰する骨は厄介。ですが、その身全てを覆えはしません。
我が主の威光、そして私の聖気が続く限り召喚され続ける無数の光剣で、四方八方から攻撃を打ち込み続けましょう。
十本、百本、千本が防がれても構いません。無数の内の一が通れば、私の勝ちなのですから。
今は、消耗を抑え先へ進まねばなりません。
申し訳有りませんが、同じ舞台には立てぬのです。
ご容赦くださいね。
「気骨ある触手、か。なかなか変わった敵のようね」
月宮・ユイ(月城・f02933)は武に目覚めたローパーたちをそう評する。口調は冷たく表情も薄いが、よく聞けばその声色に相手への興味がにじみ出ているのが見て取れた。
「中々に不気味な存在ですが、その気質は武人。その武を競うのも悪くはありませんが…今は時が悪いですね」
そして、ヴィクトリア・アイニッヒ(陽光の信徒・f00408)もまた、同じようにローパー太刀を興味深げに見る。得た力で武に目覚め、それを実地で示さんとするその姿勢は好ましかったが、今は無数の戦いが各所で繰り広げられる戦争の最中。個人の気概や姿勢を優先していられる状況ではなかった。
「あえて機械的に処理していきましょう」
「ええ。ここは、一方的に撃ち祓わせて頂きましょう」
二人の意見は、あえてその心を封じ戦う方向で一致した。
「来たれ、竜騎士……」
まずはユイが、静かに機動戦闘母艦を召喚。地面にも散らばる古竜の骨に触れないよう飛行能力を持った航空母艦を召喚。それに飛び乗り、自身もスナイパーライフルに変形させた『ステラ』を構えてそこに呪詛の力を持った弾を込めた。
「主の威光よ、悪意を祓い給え! ──『神威の光剣』よ!」
対して声高く叫ぶのはヴィクトリア。その声に応じるように虚空から光の剣が無数に現れる。ヴィクトリア自身は後方にとどまり、その剣先だけをローパーへとむけた。
対するローパーは、骨を纏った触手を振り回しうならせながら、ずりずりと少しずつ二人に近寄っていく。さらにその途中、二人の静かな闘争心を読み取ったか、ずるりと胴が分かれ、骨を纏わぬ分身を次々と作り出していった。
一方的に包囲されはせぬとばかりに、分身を少しずつ横に展開させ、陣を広げていく。そして触手が届く間合いに入る一瞬前。
「撃ちます!」
攻撃に入ろうとする一瞬の隙をつき、ユイが呪殺弾を発射した。その弾は伸びた触手や骨のない分身を撃ちぬき、その生命力を奪い去る。
「我が主の威光、そして私の聖気が続く限り……」
同時にヴィクトリアの剣もまた、ローパーたちに一斉に放たれた。それは明確に狙いを定めているものではなく、そのほとんどが触手につけた骨によって弾かれ、掻き消えていく。しかし時折分身へ命中するものがあり、それは同を刺し貫いては消滅させていった。
その連続攻撃に乗るように、ユイの召喚した母船から竜騎士たちも飛び立ち、弾幕に加わっていく。
竜騎士は五人で一チームとなってローパーを四方から囲み、銃の連射で一斉に攻めかかった。さらには五人のうち一人はあえて攻撃に参加せず、分身が増えるごとにそこに一斉攻撃をかけて増殖を防いでいた。
竜騎士も、光の剣も、その本質はユーベルコード。故にその攻撃は骨を纏った触手にはほぼ通じない。しかし、骨を纏わない分身たちは出る端から次々と撃たれ、貫かれすぐに姿を消していく。
ユーベルコードを防ぎながら前に出た触手本体が、反撃の触手を力強く振るった。それはうなりを上げ、まっすぐにユイとヴィクトリアに襲い掛かる。
「風を!」
ユイの号令と共に、竜騎士の竜がブレスを吐いた。その標的は触手ではなく、その前の空間。ブレスは強烈な風圧を巻き起こし、それが触手にぶち当たった。ユーベルコードではない物理の力で触手の狙いはずらされ、クリーンヒットには至らない。
だがそれでも、骨を硬い武器として使い、しなりをつけて打ち付けられた触手は航空母艦の装甲を破壊。さらにはユイやヴィクトリアにも満足にとはいかないものの叩きつけることには成功し、二人は浅くない傷を負った。
「十本、百本、千本が防がれても構いません。無数の内の一が通れば、私の勝ちなのですから」
「触手、駆逐します」
しかしここまで来られても、二人の取る手は変わらない。減衰されようとゼロでないなら、千回防がれようと千一回放てば。
それは無数の試行回数こそを武器とする、まさに『機械』的な攻撃であった。
その中を突っ切り、ローパーは分身をすべて倒されながら、触手の全てを根元から叩き込める位置まで二人に肉薄する。そして触手を振り上げ……それは全て力なく前方へと垂れ落ちた。
猟兵の物量が、ローパーの不退転を防ぎきり勝利を収めた瞬間であった。
敵の沈黙を確認し、ユイは竜騎士たちを下がらせる。
「今は、消耗を抑え先へ進まねばなりません。申し訳有りませんが、同じ舞台には立てぬのです。ご容赦くださいね」
ヴィクトリアは前のめりに倒れたローパーの屍にそう告げると、少しだけ瞑目し、すぐに前に進み始めるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リミティア・スカイクラッド
武人の心意気に目覚めたローパーは初めて見ました
リムでは期待に応えられないかもしれませんが、全力で挑みましょう
触手の迷路に全方位からの攻撃とは厄介ですね
死角を作らないようフェンリルを喚んで背中合わせで戦います
魔女の刻印の「封印を解く」と「オーラ防御」で触手をガード
そして妖精杖を精霊形態にして飛ばし、敵の弱点を「情報収集」
出口や胴体など、敵の急所を見つけたら「高速詠唱」でUC発動
その位置に瞬間移動することで骨つき触手の妨害をすり抜けます
そのまま骨を装備していない部位を宝石剣で一突き
刀身から体内に魔力を叩きこんでトドメを狙います
無事に撃破できれば骨は拾っていきましょう
売る気はないですが、供養のために
一郷・亞衿
触手の迷路って嫌過ぎる……隙間は割とありそうなのがせめてもの救いか。
『都市伝説:隙間女』を使用。生成された迷宮の隙間を無理やり潜り抜けて本体を捜索・接近していこう。
古竜骨の“UCの軽減”っていうのがどの程度まで効果あるのか割と不安だから、もし迷宮内に骨があったらなるべく遠ざかって進むよ。
節々は骨で守ってないって話だったし、それなら触手群全体に骨を纏ったりはしてないんだろうから、避けていくのは訳無いはず。
本体に近づけたら、触手の根元を<呪詛>を纏ったカッターで斬撃!
ぬめりで武器を取り落とさないよう十分気を付けないとね。呪詛固めて刃付きの手甲みたいな形に生成すれば大丈夫かな?
うう、体洗いたい……。
リン・ベルナット
SPD
「触手かぁ……沢山ついてるからしっかり避けながら戦わないと危険だね」
全方位から攻撃してくるって言うなら、一気に出口まで駆け抜けていこう!
凄い装備で付けていたってスピード勝負なら負ける気はしないよ!
ユーベルコードは「陸上四種技能」を使用するよ。
敵の攻撃は「ダッシュ」して攻撃を回避したり、触手を「ジャンプ」して回避しながらどんどん進んでいこう!
攻撃を避けきれない時はバトンロッドで防御して進むよ。(武器受け)
出口についたらこっちのターン!
一気に接近しロッドモードのバトンロッドでぶっ叩きに行こう!
近づけないようなときは「槍投げ」の技術を生かしてジャベリンモードにしたバトンロッドを投げつけるよ!
戦いを望む触手たちが蠢く古竜平原。その中において、また三人の猟兵たちが触手の生み出す必殺の陣へと挑んでいた。
「触手かぁ……沢山ついてるからしっかり避けながら戦わないと危険だね」
リン・ベルナット(スポーツヒーロー・f17042)はそう言って周囲を見渡す。周囲は既に骨に覆われた触手の迷宮となっており、敵の懐中ともいてる場所と化している。
「武人の心意気に目覚めたローパーは初めて見ました。リムでは期待に応えられないかもしれませんが、全力で挑みましょう」
リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は敵の意思を汲み、それに全力をもって答えることを己と相手に誓う。その証として、召喚獣フェンリルを呼び、死角をなくすことで万全の構えを整えた。
「触手の迷路って嫌過ぎる……隙間は割とありそうなのがせめてもの救いか」
そして一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)は、ある意味では全く真っ当な感想を述べる。武人としての気概に感じ入るところがないのなら、骨を纏っていようが何だろうが触手は気持ち悪い。しかしその目はしっかりと迷路を構造する触手を観察し、その突破法を頭の中で組み立て始めた。
三人の中で、真っ先に動いたのはリン。
「全方位から攻撃してくるって言うなら、一気に出口まで駆け抜けていこう! 凄い装備で付けていたってスピード勝負なら負ける気はしないよ!」
鍛えこんだ肉体と有り余る体力が武器のリンは、それを最大限生かして迷宮を突破することを選んだ。
「鍛えに鍛えたこの技で!」
それはユーベルコードの域にまで鍛え上げられた、【陸上四種技能】の動き。飛んで、走って、投げる。スポーツの基本ともなる動きだ。
上から突き刺しにかかる触手は自分に届く前に走り抜け、低く足を払う触手はハードルのように飛び越える。体の真ん中を狙うものには愛用の武器『バトンロッド』で防御し、そこから棒高跳びの如く飛び越え進む。一歩も止まることなく進み行く様は、出口への一番乗りを目指す競技者のようでもあった。
対してフェンリルと背中合わせになり、全方位を警戒しながらじっくり進んでいくのはリミティアだ。
向かってくる触手は刻印の封印を解き、オーラを纏った腕で防ぐ。正面から来る触手を力尽くでねじ伏せていくと、今度はその触手を囮に、まるでフェイントをかけるが如く、先端のとがった触手がリミティアの後頭部を狙って突き出された。
だが、いち早くそれを察知したフェンリルが一声吠え、それを合図にリミティアは後方へと宝石剣を一閃、その触手を切り飛ばした。
そして触手の攻勢が止んだその瞬間、リミティアは妖精杖を精霊形態にして飛ばし、情報収集へと向かわせる。闇雲に進まず、冷静に最適解を探す。リミティアの静の突破が始まっていた。
亞衿はと言うと、どこにも姿が見当たらない。一体どこへ行ったのか。まさか既に触手に倒されてしまったのでは。
「うーん、さすがに壁は抜けられないか……」
何もない空間から亞衿の声が聞こえた。否、何もないのではない。迷宮を構成する触手と触手の隙間、その数ミリの狭間に、不気味な怪異の如き特性を得た亞衿が潜り込んでいたのだ。
古竜の骨の隙間を狙える、つまりは触手の群れの中に骨に覆われていないところがあるという点に着目し、その隙間自体を道にしてしまうという意表を突いた発想。静でも動でもない、第三の怪なる鬼手であった。
しかし、これにも弱点は二つある。まず一つは、あくまでユーベルコードを用いた技である、ということ。
「おっと、ここも遠回りしないと……」
骨が触れ合って密集しているところは通れないし、万一触れてユーベルコードが解けてしまったら、どうなるかは想像もしたくない。過剰なまでの慎重さを持って進む必要があった。そしてもう一つ。
「ぬめりが気持ち悪い……」
こればかりはどうしようもなく、甘んじて受け入れるしかなかった。
触手迷宮の出口。イボル・ローパーの本体が鎮座するその場所は、三人の猟兵のゴール地点でもあった。ローパーは自らの作り出した迷宮を突破してくる強者を、そこで待ち続けている。
まず最初に、彼の前に現れたのは。
「旧き神よ、古の妖精よ、盟約に従いて次元の扉を開け」
声と共に、ローパーの前に魔法陣が現れた。そこから飛び出してきたのは、宝石剣を構えたリミティア。
精霊を放ち、何度も撃墜されそうになりながらも情報を集めさせ、自身に襲い掛かる触手を相棒と共に打ち払い続け、そうして見つけ出した本体の場所。場所さえわかればもう迷宮を突破する必要はない。骨に触れぬ空中に転移陣を作り出し、そこを抜けるだけでよかった。
「お手合わせ感謝します、触手の武人よ!」
一番乗りの快哉の如く、宝石剣が骨纏わぬ本体に突き立てられた。
続いて現れたのは、触手迷宮の奥から駆け出してくるリン。
「うおぉぉぉ、ラストスパート!」
触手迷宮は骨に満ちている。それを踏み越えながら進むため、ユーベルコードでの肉体強化は大きく制限されていた。しかし、それに頼らなくともリンには鍛え抜かれた本物の運動能力がある。肉と骨を全力で動かし、小細工なし、迷宮を文字通りに踏破してきたのだ。
「貰ったぁぁぁぁ!!」
そしてその走りをそのまま助走にし、全力の槍投げでバトンロッドを本体に突き刺した。
そして最後に。
「やっと出口だ……あれ? もうみんな揃ってる?」
本体の足元、ほとんど密着するような場所からぬるりと現れた亞衿。時間はかかったが、徹底的に交戦を避けてきた結果、消耗はほとんどない。
その至近距離から、取り落とさぬよう呪詛で固められたカッターの一撃が、触手の根元を削ぎ切った。
三連続に与えられたダメージに、本体は粘液を噴き出しながら崩れ落ち、古竜の骨が転がり落ちる。
リンにはそれをまるでこちらの健闘をたたえた贈り物かのように見えた。
リミティアもその骨を拾い上げる。売るためではなく供養するために。
そして亞衿は。
「うう、体洗いたい……」
自分の取った戦法を少し後悔するのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
子犬丸・陽菜
触手にほね…それ弱くなってないかな。
関節ができるってことは弱点ができるってことだもん、うーん?
芯の通った攻撃ができるから、パワーアップは出来てるのかな、謎だぁ。
依代の宝珠を発動して動力を得るよ。
うぇ…相変わらず内臓かき回されるのきつい、よ…。
お腹の中からのぐちゃぐちゃした音は触手さんの音と似てるかも?
うーん、骨に触れないようにということは、枷で感覚共有すればいい、かもしれない、けど?
これ、内臓あるのかな…まぁ使ってみるけど!
効果がなかったら剣で戦うよ、効果があったら弱ったところを剣で戦うよ。
お金になるらしいし、ちょっと欲張ってみよっかな?
あたしは腹部をギュッと締められてしまうと、辛いかも、ね?
戦場外院・晶
触手が相手であれば、私も古式ゆかしき戦装束を着込んで赴かざるを得ませんね……
「……そう、スクール水着。いつもの尼僧服もいいけれど触手にはこれと……偉い人が言っておりました」
さておき戦ですとも
さぁさおいでなさい
その吸盤、肉瘤、柔い突起、みなみな戦への欲に満ちているのを感じますとも
「……ふふ」
伸びてくる触手に目を凝らし
【手をつなぐ】
如何に骨で覆おうとも、私に直に触れようと先端を出した事が敗着で御座います
私ほどになると、骨に触れずに手をつなぐなど、お茶の子サイサイ
「秘技――」
怪力をもって鞭を撓らせるかのように触手全体を宙に浮かせ
「――概念投げ、で、御座います」
骨の上からでも堪えましょう……
「触手にほね…それ弱くなってないかな。関節ができるってことは弱点ができるってことだもん、うーん?」
子犬丸・陽菜(倒錯の聖女・f24580)は柔軟性に富む触手が骨を纏うことに対して首を傾げる。
確かに元々関節などなく自由に動き、まさに柔よく剛を制すを地で行く触手が硬い装備を纏うのは己の持ち味を殺してしまう愚行のようにも見える。しかし纏っているのはただの骨ではなく、ユーベルコードの減衰という無二の効果を持つ古竜の骨だ。はたしてそれがどう出るのか、これは実際に戦ってみないことには分からない。
「触手が相手であれば、私も古式ゆかしき戦装束を着込んで赴かざるを得ませんね……」
もう一人、戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う・f09489)は敵が触手であると聞き、己の知る対触手用の衣装を着こんできた。その衣装とは……
「……そう、スクール水着。いつもの尼僧服もいいけれど触手にはこれと……偉い人が言っておりました」
晶が纏うのはスクール水着。普段肌を露出しない彼女がそれを着込んできたのは、彼女なりの戦意の表れか。
ともあれ、二人に骨を纏ったイボル・ローパーが触手を振り回しながら迫ってきた。
陽菜は依代の宝珠を発動し、自身の扱う拷問具の動力を得る。
「うぇ……相変わらず内臓かき回されるのきつい、よ……」
それは自身の体内をかき回され、苦痛を動力に変換するもの。それはすさまじい苦痛を陽菜に与えていくが、その分だけ陽菜の戦う力も増すのだ。
「さておき戦ですとも。さぁさおいでなさい。その吸盤、肉瘤、柔い突起、みなみな戦への欲に満ちているのを感じますとも」
晶は骨に覆われた触手の先端からはみ出す、相手を拘束し、攻撃するための部位を見てその戦意を感じ取る。それらが出ていることは、つまりローパーは既に臨戦態勢に入っているということ。その動きに、晶は油断なく目を凝らした。
まず最初に動いたのは陽菜だ。
「あたしの、苦痛の一端……感じてみますか? ん、ぐ、んぐぅっ!!」
依代の宝珠が激しく陽菜の体内をかき回し、強烈な苦痛に陽菜はたまらず呻き声をあげる。その苦痛は体を駆け巡って陽菜の視線に乗り……ローパーへと向かった。
視線という形ないものはローパーの体を直撃。ぐじゅ、という音が本体から聞こえ、その形を歪ませる。
いける、そう思い陽菜は苦痛に耐えながら、さらにローパーを睨みつけた。さらに形容しがたい水音が陽菜とローパーから聞こえ、ローパーはまるで腹を抑えるかのように触手をその体の前に垂らした。
そのままとどめを刺さんと陽菜は拷問剣を構え、ローパーに踏み出した。だがその瞬間、苦しんでいた様子が嘘のようにローパーは触手を振り上げ、陽菜を迎撃した。触手のしなりで硬い骨が叩きつけられ、陽菜を内臓とは違う外部からの痛みが襲う。
骨を纏った触手で本体を遮った結果、ローパーは陽菜の技を防ぐ術を偶然にも発見、防御しながらの攻撃を覚えてしまったのだ。
その様子を見た晶は両者の間に割って入り、その手を差し出す。
ローパーもまた、その手を叩き落とすが如く柔毛のついた触手を振り下ろした。そして触手と手が触れ合うその瞬間。
ぐしゃり。
骨からはみ出た柔毛部分が、晶の手に握りつぶされた。その手から垂れるのは粘液だけでなく、体内を循環していたであろう別の体液。ただ手を握る。それだけで、晶の手は触手の露出した『武器』を握りつぶしていた。
それから逃れるべく、肉瘤のついた触手が晶に向けて叩きつけられる。しかしそれもまた晶の手に握り取られ、そして、ぐしゃりと。
「秘技――」
晶は両手を持ち上げ、怪力をもって鞭を撓らせるかのように触手全体を宙に浮かせながら静かに呟く。
「――概念投げ、で、御座います」
強烈な音がして、触手の本体が地面に叩きつけられた。
本体は粘液を垂らし、苦しむように痙攣する。だが、まるでその本体を守るかの如く、吸盤の触手が晶に吸い付き、強烈に地に引っ張って縫い留めた。
ユーベルコードであるこの投げは、触手の方には軽減され、ほぼダメージが行っていない。もしこれで本体を叩きつけていなかったら、より強烈な切り返しを喰らっていただろう。捕まるだけで済んだのは僥倖であった。
その膠着状態に、陽菜のが拷問剣を構え、文字通りに切り込む。
「切られる苦痛も、あげちゃうよ!」
その言葉通り斬撃が骨の隙間を縫い、吸盤触手を切り捨てた。その間も陽菜の臓腑はかき回され続けるが、それが県にさらなる切れ味を与え、残る触手も切り裂き、さらに分身さえも出せぬよう本体へも切りかかる。
「しからば……これに!」
潰れ、切り傷のついた本体に、晶は両手をかける。そしてそのまま中央に向かい、力いっぱい握りつぶした。
大量の粘液が飛び散り、触手の本体は破砕される。
ユーベルコードによるダメージを防ぎきったものの、そうでない攻撃に倒されたローパー。陽菜はその骸から無傷の骨を拾い、笑みを浮かべるのであった。
成功
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セルマ・エンフィールド
武闘派……?
……妙なことをしてくるものよりは戦いやすいですし、気にしないことにしますか。
一体ずつ銃で撃ち抜いていては埒があかなそうですが……古竜の骨を纏っていないのであれば、話は早い。
【スノウマンレギオン】を発動、390体の雪だるまを呼び出しましょう。
手が足りないのであれば手を増やすだけです。
390体の雪だるまによる雪玉の『乱れ撃ち』で増殖したローパーを撃ち抜いてきます。
敵の本体は古竜の骨を纏っていますし雪だるまの攻撃は通らないでしょうが、ローパーが減り、雪だるまが敵の攻撃の壁になっている間にフィンブルヴェトを用い、氷の弾丸と『スナイパー』の技術で古竜の骨に覆われていない胴体を撃ち抜きます。
ツェリスカ・ディートリッヒ
なんというか、タチの悪い冗談のような奴だな……夢に出てきそうだ。
剥き出しの触手よりは幾分マシではあるが……。
気を取り直して、「グレイプニルの栞」を鎖形態へ。
敵が増殖しないうちに速攻で決めよう。
向こうの隙を突いて『覇界断章・封鎖磔刑』を発動。
直後に鎖を投擲し、触手を鎖本体と魔力の鎖の双方で絡め取る。
……まあ、UC減衰のせいで大した威力も拘束力もないだろうが。
要は、鎖と触手がぐちゃぐちゃに絡まってくれればいいのだ。
敵が鎖を引きちぎる前にダッシュで懐に飛び込み、同時に義足を刃状に武器改造。
そのまま無防備な胴体に蹴り込み、一気に串刺しにする。
戦利品の骨は……あまり触りたくはないな……。
「武闘派……? ……妙なことをしてくるものよりは戦いやすいですし、気にしないことにしますか」
セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は銃を構え、油断なくイボル・ローパーを見ながらそう呟く。戦場において戦闘を仕掛けてくるならそれはある種普通のことをしてくるというだけ。余計なことに気を取られず、戦いに専念できるとも言えよう。
「なんというか、タチの悪い冗談のような奴だな……夢に出てきそうだ。剥き出しの触手よりは幾分マシではあるが……」
ツェリスカ・ディートリッヒ(熔熱界の主・f06873)は骨を纏った触手、という外見と、触手でありながら武人気質を備えたという性質に対し頭を抱えるが、やはりそれでも一般的な触手モンスターがやってくるような行為をされるよりはよほどいい。
そう気を取り直して、栞型の魔導媒体『グレイプニルの栞』を鎖へと変化させた。
「封ずるは枷縄の栞! 魂縛る戒めの鎖!」
そのまま相手の前隙を狙い、【覇界断章・封鎖磔刑】を発動、そのまま鎖を放ち、触手を絡めとった。
だが、触手はまるで意に介さず、平然と動き回る。ユーベルコードの効果は触手に装着された古竜の骨によって軽減され、その効果をほとんど現していなかった。さらにはその攻撃の闘争心を喰らったか、ローパーの本体が分裂を始める。
だが分身が現れるに合わせ、セルマもまた動いた。
「一体ずつ銃で撃ち抜いていては埒があかなそうですが……古竜の骨を纏っていないのであれば、話は早い」
セルマの指揮のもと、現れるのは390体もの小さな雪だるま。彼らは皆銃で武装しており、その筒先をローパーの分隊たちへと向けていた。
「見た目で甘く見ると、痛いではすみませんよ」
その声が引き金になったかの如く、雪だるまたちは一斉に銃を乱れ撃った。そこから放たれるのは実弾ではなく雪玉だが、その勢いと硬さは到底遊びで済むようなレベルではない。分身たちは出る端から打ち倒され、消えていった。
ならば、とローパーは自ら触手を振るい戦おうとする。だが、先にツェリスカユーベルコードを防ぎきったはずのその触手は、思うようには動けなかった。
ユーベルコードを防ぎはしても鎖は鎖、同じ長物である触手とぐちゃぐちゃに絡み合い、その自由を奪っていた。
絡む鎖を引きちぎらんと、ローパーは触手を横に大きく展開する。それこそが、ツェリスカの待っていた瞬間であった。
「そこだ!」
素早く鎖から手を放し、ローパー本体へと駆け寄る。足に着けた義足が金属の刃に変わり、その本体を串刺しにした。本来なら分体が出る前に急いで仕留めたかったが、その分体はすべてセルマの雪だるまたちが始末してくれている。故に焦ることなく、ツェリスカは敵の触手に妨害をかけ、そこから攻撃を仕掛けることができたのだ。
ユーベルコードさえ囮にした強烈な一撃は、骨を纏わないローパーの体を真っ直ぐに貫く。
そしてそこに、もう一つの攻撃が襲い掛かった。
「スコープの向こうにいるのは獲物だけです」
セルマのマスケット銃『フィンブルヴェト』が、筒先から冷気を噴き出しながら氷の弾丸を撃ちだした。
熱い銃声と共に放たれたその冷たい弾丸は、ツェリスカの義足と交差するように、骨に守られていない体を貫いて冷徹なる一撃を下す。
本体の二か所に致命的な穴を穿たれたローパーは、そこから粘液を噴き出し、枯れ果てるようにその動きを停止した。
「この骨は……あまり触りたくはないな……」
粘液にまみれてしまった古竜の骨を見て、ツェリスカはそう呟く。
セルマもまた雪だるまたちを下がらせ、この戦場を後にするのであった。
大成功
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夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
触手さん達にも個性は有るでしょうし、こういうことも有りますよねぇ。
それでは、お相手致しますぅ。
『F●S』3種を展開し【白翼衣】を使用、触手さんの上を取り『FRS』による[砲撃]を行いますねぇ。
伸ばしてくる『触手』は速度を生かして距離を取りつつ回避、避けきれなそうなら『FSS』で受ければ、私自身に触れることは有りません。
そして、上にいる私を攻撃する為に体を伸ばせば、必然的に『根元』や『関節部分』が伸びきる形になりますので、そこを『FBS』の斬撃で狙いましょうかぁ。
『切断面』には骨は無いでしょうし、以降の[砲撃]はそこを狙いますぅ。
骨の破片も回収できると有難いですが、さて?
ガルディエ・ワールレイド
……確かにどんな姿形であろうと武を求める資格は有る……
このような事態を想像もしていなかった俺の不明か
新しい知見を教えてもらった礼だ
持てる力の全てで相手をしよう
◆武装
《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流
移動時を重視して鎧は無し
耐水性のボディスーツ着用
◆移動
既に戦争サバイバルで二千を超えて戦った地だ
その経験を活かしてルート選定し進むぜ
◆戦闘
【黒竜の騎士】を使用して近接戦
他節鞭のような触手ならば、骨に覆われていない連結部分が有る筈
その一点を《見切り》斬断していく事で対処するぜ
また触手に包囲されると厄介なので、一箇所にとどまらず《ダッシュ》を利用したヒット&アウェイを仕掛ける
いよいよ残り一体となった骨を纏うイボル・ローパー。しかしその戦う意思は衰えず、骨を纏った触手を振り回し、猟兵に戦いを挑む。
そんな武人としての姿勢を、ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)は正面から見据える。
「……確かにどんな姿形であろうと武を求める資格は有る……このような事態を想像もしていなかった俺の不明か」
普段から擦れたような言動の多い彼のその言葉は、一見すれば皮肉のようにも聞こえる。だがその生まれから、ガルディエが騎士道精神を重んじる気高い心を持つ男である、ということを知っていれば彼の言葉はまた違った……あるいはそのままの意味を持って聞こえることだろう。
「触手さん達にも個性は有るでしょうし、こういうことも有りますよねぇ。それでは、お相手致しますぅ」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も、おおらかに触手の個性を受け入れた。その態度はいつもと変わらぬものであるが、それと同時にいつもと同じよう、るこるは油断なく戦闘の構えにはいった。
「《大いなる豊饒の女神》の使徒の名に於いて、その証たる衣を此処に」
るこるは【豊乳女神の加護・白翼衣】を用いて、触手の上を取るべく浮き上がる。
その状態で浮遊兵装を広く展開。『FRS』からの一斉射撃を持って、ローパーとの戦闘開始の合図としたのであった。
「新しい知見を教えてもらった礼だ。持てる力の全てで相手をしよう」
一方ガルディエは、堂々とそう宣言すると『魔槍斧ジレイザ』と『魔剣レギア』の二つの武器を二刀流で構える。一方で鎧は着用せず、体は耐水性の高いボディスーツのみという、機動力を重視した装備だ。
その攻撃力と速さを兼ね備えた姿で、ガルディエは油断なくローパーへと詰め寄る。既に小競り合いも含めれば二千を超える回数戦った地である。無駄のない足の運び方など熟知していた。
天地から迫りくる強敵を、ローパーは触手を双方に伸ばすことで同時に相手取ろうとした。それは古竜の骨の守りへの自信か、あるいは死に場所を求め死闘へ向かうためか。それを見たガルディエは、真剣な眼差しでその意に応える。
「俺の全力を……いや、全力を超えた、その先を見せよう!」
【黒竜の騎士】の力によって己の力と速さ、そして反応力を限界をはるかに超えて引き出すガルディエ。しかしユーベルコード由来のこの力は、触手の骨に一度叩かれればたちどころに消え失せてしまうだろう。一撃も貰ってはいけない。その緊張感がガルディエの神経をより研ぎ澄ます。
一方るこるは、空中を三次元的に動いて触手の攻撃を躱す。それは闇雲に避けているように見えながら、避け切れない位置から来るものは『FSS』で的確に弾き、同時に少しずつ高さを上げ、触手が攻撃の度に伸びるように仕向けた。
るこるの高さに合わせ、触手はどんどん高い位置にまで攻撃を仕掛けていく。元が高い柔軟性を誇る触手故にそれはとてつもない高さまで伸びあがるが、それで伸びるのは触手のみ。固く、形を変えることのできない古竜の骨は触手に着いたままで、触手が伸びる程にその隙間は長く、大きくなっていった。
十分に伸び切った所で、その隙間を『FBS』が一斉に切断にかかる。いくつかの触手は反応し、先端の瘤でFBSを叩き軌道を変えることに成功したが、その大部分は隙間から切断、さらにその切断面に砲撃される追い打ちまで受けることとなった。
そして地上戦を挑むガルディエ。こちらは触手が多節鞭である、という意識でやはりその継ぎ目を狙っていく。だが彼の取る戦法は、隙間を広げるのではなく、元よりわずかしかない隙間を刹那に見切り切ること。そのために、硬き守りを捨てて早さを取ったのだ。
ガルディエが触手の間合いに完全に入った、その瞬間。ガルディエのその足を奪うべく、吸盤触手が恐るべき速さで繰り出された。
「……そこだっ!」
その先端が自分を捕らえんとした時、ガルディエは早く、しかし安定した踏み込みで一歩入り込み、しなりによって僅かに見えた連結部分にジレイザとレギアの刃を滑り込ませた。
切り飛ばされた触手が宙を舞う。それが地面に着く前に、追撃ができない場所までガルディエは走り去っていた。
そして再度素早く踏み込むガルディエ。空中からは、るこるの操る兵装が切断と砲撃を繰り返す。
骨を纏い、ユーベルコードへの守りは盤石だったはずのローパー。しかし、猟兵たちは全て承知の上で、その守りの隙をつくよう戦った。
結果として、ローパーは己の武器であり、防具である触手を全て切り落とされ、丸裸の本体を曝け出すこととなった。
最早戦う術はない。ローパーは短くなった触手さえ動かすことをやめ、猟兵の前にその身を曝した。負けた、介錯しろ、そうとでも言うかのように。
その意を汲むかのように、ガルディエの切り上げとるこるの切り下ろしが、ローパーの体を両断した。
「無事回収できました、有難いですねぇ」
るこるは古竜の骨を回収し、にっこりと笑う。
「武人よ、安らかに……とか言っとくぜ」
ガルディエは真剣なまなざしで切れた触手を本体にかけ祈るように言った後、取ってつけたように軽い言葉を繋げるのであった。
大成功
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