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書架迷宮の冒険

#アルダワ魔法学園


●予知・『書架迷宮』
(どうしてこうなったんだろう)
 迷宮の一角で、少年は糸が切れたようにへたり込み、幼き風貌に恐怖と困惑を浮かべながら独り言ちた。
 オブツダンが何とかという先生の話が、ヤバい魔物『オブリビオン』の事を言ってるのだと理解していれば。規制線を超える同級生の後ろ姿を見なければ。危険な罠の回廊や、軽業師でもなければ通れない不安定な足場に迂回路が存在してなければ。
 薄れゆく意識の中、次々にとめどもない『もし』を思い浮かべる。体が動かない。感覚が消えていく。寒い。
 少年の周りを、彼に致命傷を与えた本の群れが飛び交う。夥しい数のそれは、止めを刺すため一斉に邪悪な気配を増幅させていく。
 彼は残った力を振り絞り、立ち上がろうとして、それも出来ず地面に突っ伏せる。最期に見たのは、最深部への道を塞ぐ大扉。最期に考えたのは、自分を死出の旅に向かわせたとある存在であった。
(お宝、何だったんだろうな)

●グリモアベース
「『アルダワ魔法学園』の地下深くで、幼き命が散ろうとしています」
 メンテ・サンタバーバラ(エルフのクレリック・f00018)は、右手に浮かべる橙色の立方体『グリモア』に目をやり、それが垣間見せる未来を告げた。
「場所は学園地下に無数存在する迷宮の一つ、通称『書架迷宮』。先日迷宮の長にオブリビオンが君臨、その影響で迷宮構造やトラップが悪質化したことから、立ち入りが禁止されていました」
 猟兵達は怪訝に思った。立ち入りが禁止されている迷宮で、命が失われる予知とは?
「……いたはずなのですが、どうやら何名かの生徒がそれを破り、勝手に侵入してしまったようなのです。試みて制止された生徒達の証言によれば、彼らの間で『迷宮の奥に物凄い宝が存在する』という噂が出回っていたそうです」
 その疑問にメンテが答える。信憑性に欠け、出処も不明な怪しげな噂だ。だが彼らは胡散臭いと感じるよりも先に、『物凄い宝』という言葉の誘惑に負けてしまったようだ。
「皆さんの目的は『死の予知を覆し、生徒の命を救う』こと。予知の原因となった『書物の魔物の討伐』。そしてそれら全ての大本である『迷宮の長の討伐』、以上の三つです」
 予知の阻止は勿論、それらを引き起こしたオブリビオンも倒さねば、同様の予知はこれから何度でも繰り返され得る。全ての禍根をここで断たねばならない。予知に対処するだけでなく、そもそも防ぐべき予知が起こり得ない世界づくりを目指すのも、猟兵の重要な仕事だ。
「まず一つ目の目的である『死の予知を覆し、生徒達の命を救う』ことを達成しましょう。そのために『抜け駆けした生徒達よりも先に迷宮を踏破』して下さい。つまり彼らより先に、予知の起こる最深部手前まで到着し、オブリビオンを捕捉するのです。そうすれば予知が阻止され、命が失われる事態を防げるでしょう」
 逆に言うと、もたもたすれば幼くも才気溢れる生徒達が予知通り先に迷宮を攻略してしまい、そして予知通りにオブリビオンの手で命を落とすことになる。それだけは何としても阻止しなければならない。

「『書架迷宮』は文字通り無数の書架、つまり本棚で構成されています。それらが縦横や上下に入り組み、所々で崩落した本の山が坂道や悪路を形成し、道を塞ぐ――そんな迷宮です。頭上から無数の本が落下したり、突然本棚が倒れて動き出すといったトラップがオブリビオン君臨前より『名物』との事なので、注意して下さい」
 不安定な足場からの滑落、頭上よりの飛来物、動く本棚による圧迫などなど。多数の危険要素を兼ね備えた立派な迷宮であり、その攻略は猟兵言えども一筋縄ではいかない。
「生徒達の踏破状況は不明です。が、今からスタートラインに立つ私達が既に差を付けられている事には違いありません。とはいえ、今回侵入した生徒はいずれも10歳にも満たない若い子達なので、単純な身体能力差でもある程度は追い付けるでしょう。その上で各々知恵を絞った迷宮踏破手段を併用し、それを確固なものとすることを推奨します。私が今考え付く限りでは、本来迂回するトラップ地帯を力尽くで正面突破したり、近道ですが足場の悪い危険なルートを素早く通過したり……勿論彼らを説得して歩みを鈍らせ、あわよくば攻略自体を断念してもらうのもいいでしょう」
 無論、他に考えられる手段はいくつもある。己の得意分野に合った手段を選び、あるいは誰もが感心し驚嘆するような方法を見つけられれば、より迅速な踏破と確実な予知の阻止を実現出来るはずだ。
「幸い、迷宮道中にオブリビオンは確認されていません。オブリビオンは最深部手前の『書物の魔物』、そしてその先の『迷宮の長』のみです。まずは迷宮に専念して下さい」
 迷宮攻略中に戦闘は発生し得ない。予知以外で生徒達が犠牲になることもあり得ない。だがそれは同時に、生徒達を追い抜き止め得るのも猟兵しかいないということでもある。責任は重大だ。
「これより迷宮入口に転移し、『書架迷宮』攻略を開始します。召喚に専念するため私は助力出来ませんが、あなた達ならきっとやれるはずです。頑張って下さい」
 小さき命を救うため、まずは彼らを打ち負かす戦いが始まる。


前後
 皆さん初めまして。
 マスターの前後(ぜんご)です。よろしくお願いします。

 第1章の目標は「『書架迷宮』の踏破」となります。
 皆さんでしたら、あるいは皆さんの分身であるキャラクターでしたら、この本棚と本まみれの迷宮をどうやって攻略しますか? あるいはこの迷宮にどんな攻略法を見出しますか?
 絞った知恵、感じた思いをプレイングとしてぶつけて下さい。
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第1章 冒険 『冒険競争』

POW   :    力技で迷宮を攻略する

SPD   :    速度を活かして迷宮をショートカットする

WIZ   :    競争相手の生徒達の行動を読んで出し抜き先行する

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メアリツェッダ・ベシキリス
憂鬱そうに小さく溜息。
「メアリ、書架ってなんだか苦手なのよね……。」
でも、ひよっこさんたちを止めてあげなきゃいけなくてよ!

自慢の演算機能で先読みと、
学習能力で道とトラップを覚えられるかしら。

追いついたら引き返すよう説得しなくちゃね。
「あなたたち、オブリビオンって習わなくって?こんなダンジョンにはつきものでしてよ!」
まだまだひよっこの学生さんなら、
リザレクト・オブリビオンで驚かせないかしら?
「きゃあ大変!ほんとにオブリビオンだわ!?」
もちろん、誘導する先には気をつけなきゃいけないわね?



目の眩むような、書架。書架。書架。
 眼前の光景に、メアリツェッダ・ベシキリスは溜息を一つしながら、憂鬱そうに呟く。
「メアリ、書架ってなんだか苦手なのよね……。でも、ひよっこさんたちを止めてあげなきゃいけなくてよ!」
 乳白色の柔らかな色の、だが陶器のように艶やかな頬を両手でパチパチと叩き、決意を決める。

 見れば見るほど憂鬱になりそうな迷宮構造を、それでもあえて朝焼け色の眼に刻み付ける。まずは大まかな進路やトラップを把握しようとしている最中、少女を一人発見した。当の本人は一生懸命迷宮を突破しようとしているつもりであったが、どうやら入口近くまで戻ってきてしまったらしい。
「まずはあの子からですわ」
 第一発見少女に狙いを定め、息を吸い込み、
「そこのあなた!」
「はい!?」
 メアリの芝居めいた通るような声で少女が突然呼ばれ、ビクッとして足を止める。
「オブリビオンって習わなくて? こんなダンジョンには付き物でしてよ!?」
「お、オブリビオン!?」
 同級生達の間でも噂になっている『ヤバい魔物』を意味する言葉を聞き、思わず復唱する。少女の足が無意識に後ずさりを始める。
「で、でもオブリビオンがここにいるなんて証拠、どこにあるのよ」
 どうやら彼女も功名心に猛るあまり、人の話をちゃんと聞いてなかったらしい。だがあと一押しで完全に彼女の心を折れる。そしてメアリはその『一押し』をしっかり用意していた。

「……リザレクト・オブリビオンですわ」
 死霊騎士と死霊蛇竜、二匹の死霊を彼女の行き先に忍び込ませる。猟兵が制御出来るとは言え、これも紛れもないオブリビオン。説得力は完璧だ。
「きゃあ大変! ほんとにオブリビオンだわ!?」
「ま、マジで言ってるの……?」
 続く芝居で少女が目を逸らした隙に、目前へと蛇竜を這わせる。そして彼女が視界を戻すと、目の前に禍々しい姿の死霊蛇が。
「ぎゃああああ!! マジでオブリビオンだわぁぁぁぁ!?」
 まさかメアリがマッチポンプを仕込んでいるなど想像だにせず、完全に恐慌状態となり奥に逃げようとする少女。だがメアリはそれすらも想定していた。迷宮の奥側を死霊騎士でがっちり封鎖していたのだ。となれば、彼女が進むべき道は一つしかない。入口だ。
「オブリビオン! オブリビオンよぉぉぉぉ!?」
 少女のやかましい金切り声が迷宮中に響き、今姿の見えない生徒達も一斉に足を止める。生徒一人を安全裡にリタイアさせたのみならず、他の生徒達に「マジでこの迷宮にオブリビオンいるの?」という疑念を生じさせ、足を鈍らせることに成功した。これ以上ない戦果である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

五条・巴
「探検、宝探し、楽しいよね」
命あってこその話だけどね。
困ったように微笑みながらさてどうしようかなとあたりを見回す。
千里眼射ちを活用出来たら、矢を放つことはしないが、視認できる100メートル先までを見て最短経路を探す。可能な限りショートカットして攻略してしまおう



「さて、どうしようかな」
 五条・巴は困ったような微笑みをし、だがすぐにモデルめいた顔を研ぎ澄ました。千里眼射ちの技法を応用し『書架迷宮』を視界に入れる。
 あらゆる近道を射抜くが如く瞳によって、一部書架の影に隠れて見えない部分もあったが、巴は概ね最短経路を捉えた。
 本が積石塚の如く積まれた飛び石状の道、何段も書架を重ねたグラグラと動く一本橋、空の書架で作られた大梯子。今回侵入した少年はおろか、大の大人でもなかなか突破し得る俊敏さと度胸が得られぬ難関ルート。だが猟兵、そして巴ならやれる。

 まるでパルクールのような軽やかさで、生徒達が皆回避したルートを駆け抜け、あっという間にそれらを遠回りした少年の目の前に先回りした。
「な、何ですか。彼女はきっと何かと見間違えただけです。オブリビオンだなんて……」
 少年は聞いてもないのにオブリビオン騒ぎを口に出し、巴が何も言ってないのに抗弁をしだす。
「探検、宝探し、楽しいよね」
「え、あ、はい」
 巴の問いかけに、思わず頷く少年。

「……命あってこその話だけどね。発見や宝物を生きて持ち帰ることこそ、本当の冒険なんじゃないかな」
 プルシアンブルーの純粋な瞳に諭され、思わずその顔を見つめてしまう少年。死して屍拾うものなし。思わずその言葉を思い出し、俯く少年。
「じゃあ、先に行くよ。まだ先行している子がいるしね」
 空を舞う羽根のような軽やかさで、自分では到底不可能なルートを突き進む後ろ姿を見た少年は、しばらくとぼーっとし、
「……あっ、待ってくださーい」
 遠回りルートで必死に追い縋ろうと試みた。

成功 🔵​🔵​🔴​

キャサリン・エンスレイヴ
・事前準備

a.予め地図を入手。
 問題となるトラップ地帯と足場の悪い危険なルートを把握。

b.保護対象に食べさせる飯と水、毛布を用意。

・POW
 
a.「オブリビオンの凶行以外では保護対象は死なんのだろ?」
 ユーベルコードで迷宮をショートカット。
 迷宮踏破まで可能な限り連続使用とするが、他参加者の配慮は怠らない。

b.「知恵? なんだそりゃ食いもんか!」
 力技によるショートカットが不可能or効率が悪い場合は[SPD]と[WIZ]で方針を修正。
 保護対象の行動を先読みしたうえで、道中の足場の悪いルートをユーベルコードで地ならし。
迅速に迷宮をショートカットする。

c.方針が他参加者の妨げとなるなら、都度修正。



「オブリビオンの凶行以外では保護対象は死なんのだろ?」
 モデル体形の美女、キャサリン・エンスレイヴはハスキーボイスで言い放つ。予めオブリビオン君臨前の地図を手配し、同時に先発の猟兵からそれらの迷宮の情報を照合すると、意外な事に気付く。
「げっ。地図と全然違う」
 オブリビオンによる『書架迷宮』の悪質化は、全体構造にまで及んでいた。それはあたかも迷宮そのものが生きているかのように姿形を変え続け、あるいはこの瞬間も一寸先を進んだら退路が塞がっているかも知れない、そんな不安定さであった。しかしまるきり何もかも違う訳でもなく、類似の地形を見つければある程度応用も利くことも分かった。それだけでも十分な収穫だ。

「……ぶっ壊せば全部同じ!」
 キャサリンのユーベルコード『紅い世界』が、『書架迷宮』に彼女が見出した真理を突き付ける。迷宮が一瞬朱く色づく程の凄まじい爆発が、トラップ地帯も悪路も等しく次々平らに均す。
 しかしそれに待ったをかける、意外な伏兵が隠れていた。本である。巻き込み切れなかった本の山が、絶妙にキャサリンの足を鈍らせる。食えない奴め、と思わず毒づく。キャサリンの手法自体は悪くないどころか、むしろ一つの正解と言っても良かった。もう少しうまい感じに本毎吹き飛んでいれば進みやすかっただろうが、今回は若干運に恵まれなかったようだ。

 何度目かのユーベルコードの使用で、キャサリンは自身が破壊した進路を遠回りしてきた雌のケットシーに追いつく。
「お腹空いたニャ。寒いニャ。しかもさっきからギャーギャードカンドカンうるさいのニャ」
「お、猫さんみっけ」
 キャサリンが気さくにケットシーの少女に声をかける。
「ニャ、ニャニ奴!? お宝一番乗りは渡さないニャ!」
 気勢を上げフシャーと威嚇するも、その直後に情けない腹音を鳴らす。
「……食う?」
 キャサリンが遭難した生徒の存在を考慮して持ってきた食料、ついでに水と毛布を渡す。
「お宝は渡さないニャ。でもご飯は有難く頂くニャ。ありがとニャ」
 ケットシーの少女はランチタイムとばかりに毛布を敷いて食事を頬張り始める。恐らく十分に体力を回復すれば再び迷宮競争に挑むだろうが、しばらくは足止め出来るだろう。あるいは眠くなってそのまま帰ってしまうかもしれない。

「さて、もうひと踏ん張り」
 キャサリン自身は迷宮踏破まで止まるつもりはない。再び最短距離での中央突破を目指す。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

大門寺・炳人
まぁ、禁止って言われたら多少危なくてもやりたくなるよねぇ普通。僕らはそう言う年頃だし…命あっての物種とも言うけど…死ぬ事がわかってるのに止めに行かないってのも薄情だよね。よし!行くなら早い方がいい。強行突破、力技でガンガン進むよ!トラップったって本が落ちて来たり、本棚が倒れてくるだけだろ?むしろドミノ式に倒れた本棚が近道になるってこともあるかもしれないし。
(それに本の迷宮なら僕の探している、元の世界に帰る方法が書かれた本もあるかもしれない)さて、行くと決めたらそうだな、まずはおやつを買いにいこう。300円まで、バナナはおやつに入らない計算で。



「まぁ、禁止って言われたら多少危なくてもやりたくなるよねぇ普通。僕らはそう言う年頃だし……」
 おやつとバナナを携え、大門寺・炳人は普通の少年達が抱く心情に共感を示す。タブーはいつだって人々を惑わせてきたものだ。さらにお宝の噂まで重なれば、大人達がお宝を独占するために禁止してるんだと穿つ少年少女がいてもおかしくはない。
「でも、命あっての物種とも言うし。死ぬと分かってるのに止めないのも薄情だしね」
 生徒達からすれば軽い火遊びのつもりだろう。その対価を命で払わねばならないなど間違っている。だから止めに行く。
 そうと決まれば後は簡単。己の能力、そして性にあった手段でそれを実現するのみ。そして炳人が選んだ手段は、強行突破。トラップを避けることも破壊もせず、あえて正面から受け止める道である。

「ガンガン進むよ!」
 身長の十数倍もの高さから降り注ぐ無数の本。積み重なって山となり、迂闊に足を取られれば頭部に直撃を受け得る落石ならぬ落本トラップ。上から落ちて来る本を時には最小限の動きで避け、時には黒剣で受け止める。一瞬足を取られても、猟兵としての身体能力を生かし、強引に抜き取り突破する。
 次は炳人にとって若干予想外のトラップだった。本棚がグルグルと回転し、迂闊に近づくものを弾き飛ばす回転書架地帯だ。だがそれも強行突破の応用だ。正面から本棚を受け止め、動きを止める。回転軸に徐々に負荷がかかり、やがて何かが圧し折れる音と共に回る本棚は完全に機能を停止した。

 小細工なしの正面突破によって、無傷でこそないものの素早い踏破に成功し、上機嫌でおやつを食べながら進む炳人。だが彼にとって一番の誤算だったのが『書架迷宮』の構成構成の一つである、本であった。
「????????」
 それっぽい表紙の本の一冊を拾い、安全な場所でパラパラとめくってみたのだが、全く理解出来ない。それもそのはず、書架迷宮の本の文章は、すべて無意味な記号の羅列。故にお宝を求める生徒達は誰一人として見向きもしない。
 つまり『書架迷宮』の本は二種類しかない。本と見せかけた本もどき、そして本と見せかけたオブリビオンのみである。

「本のオブリビオンか……何としても止めないとね」
 倒れたり起き上がったりする本棚の通路を前に、炳人は決意を新たにする。
 迷宮競争も佳境に入る。この調子で行けば生徒達より先に迷宮を踏破し、オブリビオンに先回り出来るだろう。だがまだ油断は禁物だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

影守・吾聞
「死んじゃったらコンティニュー、ってわけにはいかないものね。必ず助けなきゃ」
軽く準備運動しつつ、真っ直ぐに進行方向を見つめる

俺よりも小さい子たちの足なら、全力で走れば追いつけないかな?
SPDを活かして、迷宮を一気に駆け抜けるよ

足場が不安定な道があったら
『バトルキャラクターズ』で召喚したキャラクター達に
足場代わりになってもらって飛び移りながら先へ進むね

トラップは『野生の勘』で察知して避けてやる!



「死んじゃったらコンティニュー、ってわけにはいかないものね。現実世界にはコインも石もないから」
 柔らかな毛で覆われた耳と尻尾を持つ狼のキマイラ、影守・吾聞は、屈伸をしながら真っ直ぐ先を見据える。
 吾聞も齢で言えばまだ少年と呼ぶ程である。だがこれから犠牲になり得るのはそれよりもさらに若い子達だ。
「……必ず助けなきゃ」
 準備運動を終え、決意を固めた吾聞は、迷宮最深部を目指して走り出す。

 彼が取った作戦は至極単純。己の持ち味である敏捷性を生かした全力疾走である。大地を蹴り、駆ける姿は草原を走る白狼の如く。
「わわわっ、また僕を追い抜いてくんですかー」
「ニャニャニャッ、ご飯食べたばかりで走ると脇腹が痛いニャー」
 次々と生徒達を追い抜き、吾聞は風となる。もはや彼らが猟兵達に追いつくことは出来ないだろう。

 そして辿り着いた先には、飛び石のように積まれた本もどきの山。迷宮前半部で見かけたものよりさらに高く高く積み重なっている。『対岸』の書架まで、超えねばならない本の塔は三つ。
 まず一つ目の山は難なく着地し、そのまま跳躍する。
 続いて二つ目の山は着地した瞬間にグラグラ揺れ始め一瞬バランスを崩すも、そのまま持ち直し跳躍。それは吾聞が飛んだ直後に崩落した。
 そして最後の三つ目は着地しようとする前に既に崩落し始めている。だが彼の野生の勘が、ここで成すべきことを直感的に伝える。
「頼んだよ! バトルキャラクターズ!」
 崩れかけた本の山を守るため、四人のゲームキャラクターが出現し、それぞれ四方を支える。維持出来たのは僅かな時間であったが、吾聞が三つ目に着地し、それを蹴り上げるには十分過ぎる時間であった。
 華麗な足さばき、そして機転を利かせたユーベルコードの運用によって、無事近道に成功する。

 迷宮最深部まで、あと僅か。

成功 🔵​🔵​🔴​

ピグマリオン・エリュトロス
未来ある子供たちの為、迅速に迷宮を攻略していきたいと思う。

力業で潰せるトラップがあるルートがあればそこを通ろう。この体なら多少強引にトラップを潜り抜けても問題ないはずだ。落下物にはヴァリアブル・ウェポンで対処。書物は少し勿体無いないが。

もし生徒を発見したなら、迷宮内は危険なので引き返すように伝えておく。それでも食い下がるのであれば、気は引けるが…自らの武装を見せながら、少しだけ、脅させてもらう。
「怖いと思ったか?…この奥には俺より怖いやつがいる。そんなやつに遭いたくなかったら、早く帰るといい。身の為だ。」
…怖がらせた生徒には悪いことをしたな。一言謝ってから先を急ぐとしよう。



「未来ある子供達のためだ。迅速に迷宮を攻略しないとな」
 赤く鋭い眼光を持つサイボーグ、ピグマリオン・エリュトロスは、高空から降り注ぐ本の罠を、ヴァリアブル・ウェポンの命中率モードで撃ち抜き、粉々に粉砕する。いくつか迎撃し損ねた本がピグマリオンの体を掠めるが、それらはいずれも危険度が低く、また彼の屈強な肉体を止めることは出来なかった。
 彼にとって守るべきは過去よりも今と未来。そしてアルダワ魔法学園の将来を担う若く有望な少年が、過去そのものであるオブリビオンに命を奪われるなど、彼にとって到底許せぬことであった。

 そして迷宮を進むピグマリオンは、一人の生徒の少年を発見する。あれがメンテの言っていた、オブリビオンに殺される予知に出てきた少年か。
 ピグマリオンが少年に促す前に、彼は先手を打って言葉を紡ぐ。
「おっさん。あんたの言いたいことは分かってる。危険だから引き返せってんだろ?」
「……」
「お宝は俺のだ。誰にも渡さない」
「……少年」

 ダン!
 ピグマリオンは心を鬼にし、ヴァリアブル・ウェポンの火力モードを彼の顔の横に撃ち込む。
「ひっ……!!」
 少年の顔は恐怖で引き攣り、その場にへたれ込む。
「怖いと思ったか。この奥には俺より怖いやつがいる」
「オブリビオン……」
 彼自身も、少女がオブリビオンと叫ぶ金切り声は何となく聞こえていた。だがそれを甘く見ていた。無理だったら逃げればいいやと考えていた。だがこの一撃で彼は考えを改める。おっさんの一撃にすら全く反応出来なかったのに? 本当に逃げられるとでも?
「そんなやつに遭いたくなかったら、早く帰るといい。身の為だ」
「……ウグッ……チクショウ……」
 少年はうずくまり、涙を流した。恐怖ではない。恐怖に屈し、そして今の自分ではオブリビオンに決して叶わないという己の弱さに、涙した。

「悪いことをしたな。だが少年、お前はきっと強くなれる」
 完全に心を折られた生徒の少年に謝罪の一言をかけ、ピグマリオンはその場を後にする。この瞬間、オブリビオンが引き起こす死の予知は前提条件を失い、最悪の結末は阻止されたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​


生徒達との迷宮競争に勝利し『書架迷宮』を踏破した猟兵達。彼らは最深部唯一の入口と思わしき大扉の前に辿り着いた。メンテが言っていた予知の場所はここに違いない。生徒達のある者は心を折られ、またある者は大差を付けられ、彼らだけでここに辿り着くという最悪の事態を回避出来たことに、一同は胸を撫で下ろす。

 だが直後、無数の殺気を感じ取り、猟兵達は一斉即座に臨戦態勢を取る。本当の戦いはここからだ。


第2章 集団戦 『書物の魔物』

POW   :    魔書の記述
予め【状況に適したページを開き魔力を蓄える】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ページカッター
レベル分の1秒で【刃に変えた自分のページ】を発射できる。
WIZ   :    ビブリオマジック
レベル×5本の【毒】属性の【インク魔法弾】を放つ。
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数十もの殺気は、大扉周りの書架から、あるいは地面に散乱した本の中から次々に浮かび上がり、猟兵の周囲や真上を取り囲むように陣取る。その大本は知恵そのものが力と化した存在か、あるいは陰惨な叙事を繰り返さんとする歴史書か。魔書は互いに共鳴し合い、邪悪な存在感を増幅させ続ける。

 そして魔物の出現に呼応し、大扉には鎖めいた封印の文様が幾重にも表出する。文様から放たれる力は空飛ぶ本と同質。門番であるあの書物型オブリビオンを倒さなければ、最深部への道は開かれないだろう。

 例え心折られようと猟兵の戦いを最後まで見届けんとした少年が固唾を呑んで見守る。お宝を諦めきれず最後まで追い縋った生徒達も、その異様な光景、そして強烈な殺意の前にようやく目を覚ます。十分な距離を取りつつも、だが完全に怖気づいている生徒達。戦いに巻き込まれることはないだろうが、助力を期待することも出来ない。

 猟兵を半球状に取り囲んだ『書物の魔物』は、数の優位を頼みに一斉に襲い掛かる!
メアリツェッダ・ベシキリス
書物と子供。何故だか記憶機構の奥がちりちりと痛むみたい。
頭を振り、ネクロオーブを埋め込んだ黒剣を抜くわ。
「ああもう!わたくし、とってもとっても気分が悪くてよ!」

他にお仲間がいるとはいえ、咄嗟に上手く連携できるかわからない。
包囲を解いて道を開くことを意識しながら、
召喚した【死霊騎士】に攻勢をかけさせて、
【死霊蛇竜】に術者であるメアリを守らせるわ。

メアリは「呪詛」を唱えて術をブーストする。
これ、子守歌みたいって言われることあるのよね。

…あ、これ見られたらさっき騙したのがばれちゃうわね?
ま、仕方がなくってよ!



「ああもう! わたくし今、とってもとっても気分が悪くてよ!」
 書物と子供。その二つが本人も知らぬ何かを連想させ、何故か痛む脳裏の記憶に不機嫌になるメアリツェッダ・ベシキリス。だが考えても分からない。頭をぶんぶん振って黒剣を抜く。不機嫌の代償は『書物』に払ってもらうわ、とばかりに内に秘めた僅かな狂気を滲み出させた。
 
 剣を構え、埋め込まれたネクロオーブと子守歌のような透き通る『呪詛』の補助詠を受けつつ、リザレクト・オブリビオンで二体のオブリビオンを召喚する。一体目である死霊騎士が『書物の魔物』の包囲に切り込み、その網に綻びを生じさせる。すかさず『書物の魔物』も毒のインクを放って反撃するも、メアリを守る二匹目の死霊蛇竜の守りを崩すことは出来なかった。
 
「ねえ、あれってオブリビオンですよね」
「言わなくてもオブリビオンニャ」
「まさか、さっきあいつが叫んでたのって」
 先にメアリが一手を打って騙した少女は入口まですっ飛んでしまいここにはいない。だが今ここにいる少年二人と雌猫一匹は、ここにいない彼女と自分達がまんまとハメられたことに気付き――同時に感謝した。メアリもまた、メアリのやり方で自分達を助けてくれたのだと気付いたのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

大門寺・炳人
やれやれ、貴重な本があるかと思えば、あるのは落書き以下の紙束ばかり…おまけに向こうは殺る気満々とか………いいね♪初陣の相手としては申し分ない。覚悟決めて、覚悟極めて行くしかないね!

真の姿である黒い羊頭の悪魔の様な姿に生り、右手に黒剣、左手にフォースセイバーを持ち手近な魔書を切り裂き、串刺しにしながら門番へ突き進む。

さぁ!紙くずに生りたい奴からかかってきな!ちり紙にしてリサイクルしてやんよ!



「やれやれ、貴重な本があるかと思えば、あるのは落書き以下の紙束ばかり」
 大門寺・炳人は『書架迷宮』において、お目当てどころか、実物の本の一冊も見つからなかったことに不満げな様子である。
「そしてお次の本もどきは殺る気満々とか……いいね♪」
 だが次の『書物の魔物』が放つチリチリするような殺意には不平を抱くどころか、初戦の相手には申し分ないと気合と覚悟を入れる。
 
 両手に剣を構え、魔物の群れに突撃する。まず一匹目を切り裂き、二匹目を貫く。
「さぁ!紙くずになりたい奴からかかってきな――」
 だが彼が突撃したタイミングが悪かった。今まさに一斉攻撃を仕掛けんとする魔物達のど真ん中に飛び込む結果となり、ここぞとばかりに無数のページの刃が炳人に襲い掛かる。次々と体を引き裂き、大きなダメージを負う炳人。決して彼の行動が悪手ではない。それこそ完全に覚醒してなおうまく行かないレベルで、致命的な悪運を引いてしまったのだ。
 
「グゥッ、オブリビオンめ……ちり紙にしてリサイクルしてやんよ……!」
 深手を負いつつも憎悪に満ちた炳人の姿は、漆黒の羊頭を持つ悪魔の如く変貌していく。

失敗 🔴​🔴​🔴​

ピグマリオン・エリュトロス
少年たちのことは何とかなったようだが、これで終わりではない。…門番との交戦を開始する。奥へ進む為にも早々に扉を開けてもらうぞ。

完全戦闘形態へ変身。右腕がブレードモードへ移行する(肘から下が剣の形へと姿を変える)。
初手はヴァリアブル・ウェポン(攻撃回数重視モード)による攻撃を行う。数には数を。兵器は体中に多数仕込んである。遠慮はしない。致命傷にはならずとも書物の数や勢いは減らせるだろう。
接近戦では右腕のブレード(右腕をヴァリアブル・ウェポンの一部とみなして良い場合は攻撃力重視モード)で攻撃。
距離を取った際には、左手に持ったガラテア(アサルトウェポン)による二回攻撃を行う。



「少年たちのことは何とかなったようだが」
 だがオブリビオンを倒すまでは終わりではない。ピグマリオン・エリュトロスは右腕の肘から下を剣へと変え、内蔵武器を開放し、さらに左手にアサルトウェポン『ガラテア』を構え臨戦態勢を取る。敵は決して油断ならぬ。だがそれでも、ここで負ける訳にはいかない。

「早々に扉を開けてもらうぞ」
 ピグマリオンは距離を詰めつつ、攻撃回数を重視した体中のヴァリアブル・ウェポン、そして左手のアサルトウェポンによる波状攻撃を見舞う。手数を重視した攻撃に『書物の魔物』の陣形に綻びが生じる。
 その耐久力を警戒した魔物達は、己の記述から彼を倒し得る必殺の一撃を探し、そして魔力を増幅させる。だがピグマリオンも座して敵の強打を待つつもりなど毛頭ない。右腕の剣を振りかぶり、攻撃力重視の一撃を繰り出す。『書物の魔物』も同時に魔力を込めた一撃を繰り出すが、ピグマリオンの方が速かった。力を込めた一閃は複数の本の魔物を同時に薙ぎ払い、魔物の攻撃はピグマリオンを掠めるだけであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

キャサリン・エンスレイヴ
・事前準備

a.予め複数の革袋を用意し、全ての油を詰めておく。
 火種となる火打石とトーチの準備も忘れない。

・POW

a.「ああうん、ユーベルコード使うわ」
 他参加者に初手で行動する事を告げ、討ち漏らしの掃討を口早に要請。

b.「子供たちが戦場にいるってのがうまくない。何とかならないものか」
 ユーベルコードを同じ対象に連射する事で慎重に各個撃破を試みる。
 可能なら他参加者がダメージを与えた敵に攻撃を加えて止めを刺す。

c.いい具合にダメージを与えたら、敵を十分にひきつけて用意した油を浴びせる。
 仲間に注意を促し、火を点けるまでの時間稼ぎを要請。
「燃やすぞ!」と大声で叫んで着火する。
群がる敵を更に攻撃…。


サクヤ・ニイヅキ
「どうにか間に合った? 観客のいる戦場(ステージ)なんて、悪い気分はしないの☆」
わたしの役目はオブリビオンの討伐。
だけど道化師として観客を笑顔にするチャンスも見逃せないの。
「さぁさぁご照覧あれ! 本日の演目は猟兵たちの災魔退治! 見事成し遂げたならどうか拍手喝采を!」
パフォーマンス技能を駆使して大仰な身振りや台詞で生徒達を安心させようとするの。ついでに敵の注目も自分に集められれば、味方が動きやすくなってラッキーなの。
そして襲ってくる書物の魔物にレインボウ・ジャグリングで攻撃。
数には数で対抗するスタンスで、相手の攻撃を七色のクラブで迎撃しつつ反撃するの。


五条・巴
生徒さんたちが無事でよかった。仲間の君たちも。
ここに来るまでに準備運動はしっかりできてる。ひとつ残らず射ち落とそう。
僕は千里眼射ちも活用して弓で遠くから攻撃する本や仲間の隙をついて襲ってくる本を徹底的に射ち落としていく。
仲間の攻撃に合わせていくよ。
僕の死角やフォローできない部分はできる限りライオンライド、騎乗せずにライオン人も頑張ってもらおう。



「生徒さんが無事でよかった」
 五条・巴は、先に見知った少年、そして彼の仲間達の無事を確認し安堵し、彼らを安心させるため、自分達は大丈夫だと笑顔を向ける。先の少年は顔を赤らめ、仲間の少年と雌猫が、
「何照れてんだよ」
「惚れたのニャ? あたしは惚れたニャ」
 と突っ込みを入れる。純粋に人を魅了する心身の美しさを、巴は持ち備えているようだ。
「でもまだ戦場にいるってのがうまくない。何とかならないものか」
「観客のいる戦場(ステージ)なんて、悪い気分はしないじゃない☆」
 遠く離れた場所から戦いの趨勢を見守る三人の生徒に、キャサリン・エンスレイヴが懸念を口にしながら目をやり、サクヤ・ニイヅキがそれもまた彼らに勇気と笑顔を取り戻すチャンスだと返す。猟兵達が既に交戦中である以上、今から彼らを何とかするのは難しい。そして彼らは不安げに、しかし同時に猟兵達の戦いを見守る覚悟でここにいる。なれば、彼らの期待と覚悟に応え、大事になる前に片づけるのが最大の安全策であろう。

「ああうん。みんな、ウィザード・ミサイル使うわ」
 キャサリンがしなやかな指先から小さな火を見せ、攻撃手段を告げる。それだけで他の仲間も言葉にすることなく巴とサクヤは意図を掴み、言外に作戦を組み立てていく。
「でしたら……さぁさぁご照覧あれ! 本日の演目は猟兵たちの災魔退治!」
 道化めいた身振りや手振りで注目を集めるサクヤ。生徒からだけでなく、『書物の魔物』からの殺意も一身に受けるが、それも彼女の意図通りである。一斉に放たれる毒のインク弾を、大仰な動きを取りつつ紙一重で回避し、攻撃が飛んできた方向へ七色七属性の魔法のクラブ、レインボウ・ジャグリングを投げ返す。多様な属性の攻撃が『書物の魔物』の群れにダメージを与え、次々に撃ち落とす。

「準備運動はしっかり出来てる。邪魔出来ないよう、一冊残らず射ち落とさせてもらうよ」
 サクヤを補い、キャサリンに近づけさせないよう、巴も千里眼射ちで一体ずつ確実に射落としていく。死角から不意を突こうとする魔物が、攻撃手段である紙の刃ごと矢で射抜かれて吹き飛び、その勢いのまま書架に縫い付けられる。千里眼射ちには集中が必要であり、本来想定していたライオンライドとの併用とまではいかなかったが、それでも巴の意図は僅かなダメージで確実に達成されていく。『書物の魔物』が構築した必勝の陣形――猟兵を包囲する態勢が、少しずつ綻びを見せていく。そしてついに、未だ数で勝る『書物の魔物』が逆に猟兵に包囲される形となった。

「燃やすぞ!」
 敵を一カ所に集めての一網打尽。キャサリンの意図はこれであった。流石に油までは用意出来なかったが、キャサリンの指先から撃ち出される無数の火の矢は、オブリビオンをまとめて焼き尽くすには十分な量と威力を持つ。
 『書物の魔物』も負けじと毒のインク弾を飛ばすが、最大の武器である全方向攻撃を封じられたそれが、キャサリンに痛打を与えることはない。紅蓮の炎に包まれ、焼き焦げていく魔物達。さらにサクヤがダメ押しとばかりに攻撃を加え、包囲から逃れようとする魔物も巴の正確無比な射撃が逃さない。
 三人のコンビネーション攻撃によって、数が頼みの『書物の魔物』の残りが、今や猟兵よりも少ないという壊滅的状態にまで追い込まれた。
 
「それでは皆さん、どうか拍手喝采を!」
 サクヤのカーテンコールで連携を締めると、三人の幼い観客はそれに拍手で答えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

影守・吾聞
「わわ、いかにもダンジョンのモンスターって感じ……」
猟兵になってからアルダナ魔法学園で磨いてきた剣の腕、何処まで通じるかな?
緊張半分、挑戦心半分でルーンソードを構えていざ勝負!
猟兵と学園、どっちの仲間も守ってみせるよ!

敵の動きはしっかり警戒
『野生の勘』も頼りに動きを見破りつつ身を守る

隙ができたら『トリニティ・エンハンス』で自分を強化、状態異常力を高めるよ
『マヒ攻撃』で敵の動きを鈍らせて、炎の『属性攻撃』を叩き込んでやる!



「わわっ、いかにもダンジョンのモンスターって感じ……僕の力、何処まで通じるかな?」
 緊張半分、挑戦心半分でルーンソードを構える影守・吾聞。既に残った敵は僅か。だが窮鼠猫を噛むを言うことわざもある。油断は禁物だ。
「猟兵と学園、どっちの仲間も守ってみせるよ!」
 手負いの獣に遅れを取らぬよう、耳を立て警戒しながら『書物の魔物』に斬りかかる。
 
 麻痺の力を込めた一撃で敵を薙ぎ、動きを封じた敵を返す刃で一閃し、着実に数を減らしていく。そして残り一冊となった時、彼の野生の勘が危険を伝える。最後の一冊はせめて吾聞だけでも道連れにしようと、自身が壊れんばかりのパワーを集中させる。
「みんなを守る。それは自分も生きて帰るってことだよ!」
 断末魔の一撃を最小限の動きで避け、その流れのまま振りかぶり、同時に刀身に炎を滾らせる。
「トリニティ・エンハンス! 行っけぇー!」
 燃え盛る炎の刃は『書物の魔物』最後の一匹を正確に切り伏せ、消滅させた。それと同時に、扉を閉ざし封印していた封印の文様の最後の一本が消え去る。最深部への道が開かれたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『錬金術ドラゴン』

POW   :    無敵の黄金
全身を【黄金に輝く石像】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    ドラゴンブレス
【炎・氷・雷・毒などのブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    アルケミックスラッシュ
【爪による斬撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に錬金術の魔法陣を刻み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
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『書物の魔物』との戦いに勝利した猟兵は、閉ざされた大扉を開き、その先へと進んだ。扉の先、短い通路を挟み大広間が広がる。迷宮の最深部だ。そして『それ』は探すまでもなくその中央に鎮座していた。
 その姿は琥珀色の大水晶を背負い、黄金色に輝く巨竜。一瞬『凄いお宝』の噂が真実かと思わせるほどの美しさと威容を誇る。しかし『それ』こそが、『書架迷宮』を致死の魔境へと変貌させた元凶『迷宮の主』であった。
 
 かつて『錬金術ドラゴン』と呼ばれたそれは、だが厳密はそれそのものではない。先ほどの魔書と同質の、そしてさらに強い邪悪な力が、その正体をオブリビオンであることを見るもの全てに明示している。そしてそれは闖入者である猟兵に対し敵意を隠そうとはしない。
 『錬金術ドラゴン』は、その名の通り自らを錬金し続け己を強化する。『書架迷宮』を変貌させた後に大きな動きを見せなかったのも、前座として『書物の魔物』を従えていたのも、恐らくは自らの強化に専念するためだったのだろう。ここで倒し損ねれば次の戦いはさらに困難になることは間違いない。いや、次戦う時に果たして『錬金術ドラゴン』の範疇に留まってくれているかすら定かではない。

 黄金の魔竜は翼を大きく広げ、前傾姿勢を取り爪を立てる。それは威嚇ではない。敵対者を確実に仕留める『戦い』の構えだ。猟兵達もそれに呼応し戦闘態勢を取る。『迷宮の主』を討ち取り、グリモアが示した悪夢を完全に断ち切るため。『書架迷宮』最後の戦いが、今始まる!
五条・巴
連携が上手くいってよかった。この調子で行こう。
それにしてもキラキラ輝いててすごいね、眩しいや。
紙はよく燃えてくれたけど、これは硬そうだなあ。
でも、これ以上強化させたりはしないよ。大人しくなってね。

仲間の攻撃に合わせて後方支援で弓を放つ。
隙を見て達人の智慧で厄介な敵の攻撃を少しの間停める。その間に攻撃をお願いしたいな。
もちろん僕も徹底的に攻撃。
協力して倒しちゃおう
笑ってお疲れ様って言い合えるように。


大門寺・炳人
あぁくそ、痛ってーなぁ。紙くずの次は金ぴかドラゴンかよ。おまけに奥にはデカい水晶、こいつは確かにお宝だ(苦笑)。まぁ、多少大きすぎるけどね。いいよ、持ち運べるくらいにまで分解(ばら)してやるよ。しかし…あぁ全く本当に…オブリビオンってやつは…本当に俺をイライラさせる!

部屋の中とはいえ、デカい図体で上を取られると不味い。まずはフェイントをかけつつ奴の翼を破壊し機動力を奪う。

竜とはいえ、生き物なら首の内側、目、口内は弱いはず。まぁ、デカイし鱗もあるからそこ以外は固そうだし効き目薄そうだよね。いや…口内は火を噴くかも知れないからやっぱ注意だな、ドラゴンだし。
 
よっしゃ、さっさと片付けて皆で帰るよ!



「次は金ぴかドラゴンかよ。おまけに背中にはデカい水晶、こいつは確かにお宝だ」
 まあそれにしても大きすぎるけどな、あぁくそ痛ってー、と大門寺・炳人は先の戦いで負傷した身を押しつつ、目の前の『錬金術ドラゴン』に苦笑した。
「確かにキラキラ輝いてすごいね。眩しいや」
 黄金色の肢体から玉虫色の光を乱射する姿を見て、五条・巴もそれに同意する。それが獰猛なオブリビオンであるという一点を除けば、やはり噂もある程度的を射てはいたのだろう。
「でも、これ以上強化させたりはしないよ。大人しくなってね」
「ああ、さっさと片づけて皆で帰るよ!」
 しかしそこが最も肝心である。オブリビオンになる以前からも恐るべきモンスターとして知られる『錬金術ドラゴン』、それを見逃すという選択肢はない。そしてドラゴンの方も、自らの強化を邪魔した猟兵を一人として逃すつもりはないようだ。故に、戦いは避けられない。
 
「炳人君、僕が隙を作る。本命は任せていいかな」
「いいよ、持ち運べるくらいにまで分解(ばら)してやるよ。あの紙くずみたいに消えちゃうかも知れないけどさ!」
 短い会話でお互いの役割分担を決定し、炳人が『錬金術ドラゴン』に向けて走る。ドラゴンは向かってくる彼の迎撃しようとして、翼に矢の一撃を喰らう。巴の援護射撃だ。そして気を取られた隙に、既に炳人は目の前にまで迫っていた。
 翼を徹底的に攻め、機動力を奪う。炳人はあえて頭を攻撃すると見せかけて眼前まで走り込み、そこから脇に抜ける作戦だ。ドラゴンの噛みつきが空気を噛む。だが『錬金術ドラゴン』もさるもの、波状攻撃に対する対策を本能的で発動させた。
 
 ガキンッ!
 炳人の翼への斬撃が、鉄か石を斬るように硬く弾かれる。ドラゴンは全身を硬化し、攻撃を防ぐ。
「あぁ全く本当に……オブリビオンってやつは……本当に俺をイライラさせる!!」
 巴の連続射撃も悉く弾かれ、ダメージを与えられない。
「これは堅そうだなあ……ですが。『石と化したままで、どう反撃に転ずるんです?』」
 巴の口にした言葉は、疑問でも嘲笑でもなく、敵の特技その弱点を指摘することで封じるユーベルコードだ。
「達人の智慧か! じゃあこっちも……Damons・Hate!」
 炳人の憎悪が、彼の姿を悪魔じみたものへと変える。先の負傷が闇のオーラを大きく増大させ、真の姿の力を相乗的に増大させる。
 なおも続く連続攻撃によってついに弱点を突かれたドラゴンの硬化は、その効果を失い解除される。
 
「今です!」
 炳人と巴の同時攻撃が、硬化が解除された直後の頭部に叩き込まれる。
「ギャォォォォン!!」
 『錬金術ドラゴン』は痛打に悲鳴する。戦闘は始まったばかり、されど幸先のよい出だしだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ライラック・エアルオウルズ
「冒険小説は専門外なんだけどね」
知人(f00255)の助太刀を、と思ったけど。
…ドラゴン。うん。少し後悔しているよ。
らしくないことをする物じゃないね。

…まあ、そんなことも言ってられない。
足止めでも出来たら良いんだけど、
僕には確実に削ることしか出来なさそうだ。
余裕があれば『力溜め』をしておいて、
『奇妙な友人』で友人を呼ぼう。
「ドラゴンに友人を紹介するなんて、
 想像もしなかったな…」
友人を手招く様にしてナイフや炎で攻撃。
危なそうだから極力距離を取って、
敵の攻撃に備えて 避けられる様に。
もしもの時は、仲間にも危険を報せるよ。

(f00255には気付かれたくないので、
 集団に紛れる位置で見守る姿勢)



「ドラゴンかぁ。冒険小説は専門外なんだけどね」
 ライラック・エアルオウルズは、目の前に黄金竜の姿を見て少し後悔していた。知人の助太刀を、とは思ったが『錬金術ドラゴン』の威容は予想外だった。
「まあ、そんなことも言ってられない。確実に削るよ」
 幸い、先の戦いで小さな打撃の積み重ねに対するドラゴン側の回答『無敵の黄金』がしばらく封じられている。彼の戦術プランは有効に機能しそうだ。
 
「ドラゴンに紹介するとは想像もしなかったけど、これが僕の友人だよ」
 力溜めを経て、招くように発動したライラックのユーベルコード『奇妙な友人』。カンテラとナイフを持った霊が現れ、ドラゴンに斬りかかる。
 『錬金術ドラゴン』は爪による迎撃で『友人』を叩き伏せようとするも、彼はそれを紙一重で回避。逆にカンテラを押し当てて前足を焼き焦がし、続いてナイフを突き刺す。ドラゴンは両前足を振り回し、『友人』はそれを軽やかに回避を繰り返し、すかさず反撃。一見ドラゴンが完全に翻弄されているように見える……だが。

「魔法陣か……参ったな」
 『錬金術ドラゴン』の爪撃の連打は、例え外しても大地に強化の文様を刻む攻防一体の一撃『アルケミックスラッシュ』。手傷を負いつつ、己を強化し一矢報いる布石を置く。ここからどう攻め込むべきか。次の一手が問われる。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

メアリツェッダ・ベシキリス
随分派手なドラゴンさんね?でも、負ける訳にはいかないわ!
「この姿を見せるのは、あまり気が進まないけれど…」

上手く真の姿を開放できれば、蕩けるような闇が絡みつく黒鎧を纏った青年騎士の姿へ。
「さあ、怪獣さん。楽しく踊ろうじゃないか!」

動きを見てから、
「ミレナリオ・リフレクション」で反撃。
「学習能力」には自信がある、動きは覚えられると思う。
蕩ける闇が絡みつくハルバード型の黒剣を爪がわりにカウンターを狙う。

「悪いが、こういう時の物覚えは良くってね!」

その時、完成した魔法陣に傷を付けることで強化を阻めたりしないかな?
強化されてるってことはダメージが通りにくいかもしれない。
「生命力吸収」でダメ押ししたい。



「随分派手なドラゴンさんね? でも、負ける訳にはいかないわ!」
 メアリツェッダ・ベシキリスはハルバード型の黒剣を己の牙爪として構え、『錬金術ドラゴン』に対峙する。ドラゴンは自ら作った魔法陣に陣取り、己を強化し続ける。牛歩戦法で己の強化と猟兵の疲弊を待つつもりか。
「でしたら本気を出すしかないですわね。この姿を見せるのは、あまり気が進まないけど」
 ならば一気呵成に攻め込むべし。負傷が少なくその真価は十全に発揮出来ないが、それでも覚醒を行うことを決める。メアリの体に蕩けるような闇が絡みつき、美麗な少女はその真の姿、青年の騎士としての姿に変貌する。
「さあ、怪獣さん。楽しく踊ろうじゃないか!」

 闇を帯びた黒剣をドラゴンに振りかざす。ドラゴンはメアリを迎撃しつつ、築いた魔法陣をさらに強化せんと、地面を叩き引っ掻くよう前足を繰り出す。お互いに攻撃は多くが有効打を与えられず空を切り、地面を次々に穿つ。――お互い? そう、お互いだ。
 ミレナリオ・リフレクション。敵のユーベルコードを鏡写しにすることで、その効果を相殺する技法。いくらドラゴンが魔法陣を刻もうと、メアリも同様に魔法陣を刻む。それどころか、同じ場所に三つも魔法陣が重なり、混線することでその全てが効果を失いつつある。
「悪いが、こういう時の物覚えは良くってね!」
 先に敵の『アルケミックスラッシュ』を目撃する機会があったのが『彼』にとって有利に働き、その作戦はうまく働いた。そして生命力吸収の力を込めた黒剣のハルバードがドラゴンの前足に叩き込まれるに至り、ドラゴンは折角築いた陣をむざむざ放棄する決断に踏み切った。

成功 🔵​🔵​🔴​

サクヤ・ニイヅキ
 ドラゴン退治! クライマックスに相応しい演目なの!
 だったらこっちも役者を揃えないといけないの。

「来たれ、来たれ、我が傀儡。来たれ、来たれ、古きもの」
 ※表情は常に笑顔だけど、詠唱時のみ無表情。
 リザレクト・オブリビオンで【死霊騎士】と【死霊蛇竜】を召喚。
 死霊騎士は破壊されるまで可能な限りドラゴンの攻撃をその身で受け止め、同時に攻撃部位を拘束。
 その隙に死霊蛇竜が牙で喰らいつき、尾を叩き付けるの。
 既にダメージを受けている部位を重点的に狙わせて、傷を抉っていくの。

 最後はみんな笑顔でハッピーエンド。
 そのためにも、過去の演者にはご退場いただくの。



「ドラゴン退治! クライマックスに相応しい演目なの!」
 サクヤ・ニイヅキはハイテンションのまま、笑顔で『錬金術ドラゴン』と対峙する。幾らか傷を負ったものの、ドラゴンの巨体は未だ健在。
「だったらこっちも役者を揃えないといけないの」
 敵はソリスト。ならばこちらはトリオで勝負。『リザレクト・オブリビオン』により、二体のオブリビオンを召喚する。
「来たれ、来たれ、我が傀儡。来たれ、来たれ、古きもの」
 詠唱の最中、サクヤの顔から笑顔が消え、機械のような無表情となる。それを見たものは、きっと彼女の本質を垣間見ることになるだろう。彼女の詠唱に応え、死霊の騎士と蛇竜が召喚され終わるると、再びサクヤに笑顔が戻る。
「それでは最終幕、スタートなの!」

 まず騎士がドラゴンの前に立ちはだかる。それを迎撃し、同時に性懲りもなく魔法陣を刻もうと爪を叩きつける。だが死霊の騎士はあえてそれを受け止め、強化の紋を刻ませることも、追撃を行うことも許さない。ドラゴンが騎士に爪を食い込ませ、そのまま押し潰そうと試みる。
 その横から蛇竜が長い尻尾を顔面に打ち付ける。一瞬短い咆哮をあげて怯むドラゴン。その隙を逃す騎士と蛇竜ではない。騎士が捕らえた前足に斬撃と噛みつきを同時に叩き込み、同時に騎士もドラゴンの押し潰しから逃れる。連続でダメージを受け続け、ドラゴンの利き足は重篤なダメージを負う。
 
「最後はみんな笑顔でハッピーエンド。そのためにも、過去の演者にはご退場いただくの」
 この世に時代遅れの悲劇は似合わない。未来に繋がる喜劇が一番。サクヤは笑顔で答えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アーネ・リンドヴァル
錬金術を使うドラゴンとは厄介ですね……!

他の猟兵さんとタイミングを合わせてドラゴンに集中攻撃します
ドラゴンから距離を取りつつ「ウィザード・ミサイル」(属性攻撃、2回攻撃、全力魔法、高速詠唱)で65本の炎の矢をドラゴンの脚を狙って撃ち、魔法陣を刻むの妨害できないか試みます
魔法陣を刻まれた場合は味方を巻き込まないように「ウィザード・ミサイル」(属性攻撃、2回攻撃、全力魔法、高速詠唱、範囲攻撃)で魔法陣を消せないか試みます


ピグマリオン・エリュトロス
黄金色の巨竜…ようやく元凶との対面か。あのような予知を繰り返させはしない。少年たちの為にも、俺の信念の為にも。…迷宮の主との交戦を開始する。

前回の完全戦闘形態を継続。右腕をブレードモードからナックルモード(肉弾戦向きの形態)へ移行。無敵中の動けないうちに攻める。
足元、間接、首、頭…胴体と比べて脆い箇所はいくつかあるはず。その内の攻めやすい箇所を見つけ集中攻撃。
重火器はあてにならないか?ならば、パワーを右腕に集め一気に距離を縮めて【重き一撃】を放つ。至近距離からの衝撃、受けてみろ。
これが決め手にならなくても、バランスを崩すくらいはするはずだ。無敵効果が解けたならなお良し。隙のある内に畳みかける。



「錬金術を使うドラゴンとは厄介ですね……!」
 アーネ・リンドヴァルは、その琥珀色の瞳で『錬金ドラゴン』を見つめる。攻撃、防御、強化とあらゆる手段で錬金術を応用する中で、アーネもまた強化に重きを置いた『アルケミックスラッシュ』を危険視していた。長期戦に持ち込まれるとこちらが不利だ。
「黄金色の巨竜……ようやく元凶との対面か。あのような予知を繰り返させはしない」
 少年達の為にも、己の信念のためにも、負ける訳にはいかない。ピグマリオン・エリュトロスは己の右腕を鉄の拳に変え、ドラゴンに対峙する。ここで倒し、全ての禍根を断つ。それがここにいる全猟兵達の共通の答えだ。
 
 アーネが詠唱したの確認し、ピグマリオンはドラゴン目掛けて駆け抜ける。ドラゴンはそれを迎撃し、同時に文様を刻もうと爪を振り上げ、叩きつける。ピグマリオンは叩きつけた衝撃で一瞬怯むも、動きは止まらない。ドラゴンは攻撃を回避されたことを察知すると、『無敵の黄金』で自らを黄金の石像へと変える。
「至近距離からの衝撃、受けてみろ」
 だがそれこそがピグマリオンの思惑であった。黄金像と化したドラゴンに、生半可な攻撃は通用しない。だが、その攻撃が効果範囲に制約がある代わりに生半可でない一撃だとすれば? 『重き一撃(ワン・インパクト)』は『無敵の黄金』の一撃を軽々と砕き、顔面を変形させるほどの痛打を与えた。

 このまま二撃、三撃と受ければ身が持たない。そう判断した『錬金ドラゴン』は、素早く守りを解く。これ以上の追撃は無理だろう。が、
「行きます!」
 アーネの一言でピグマリオンはそのまま横に抜ける。そして彼女は詠唱を完了し、黄金像化を解いたドラゴン目掛けて『ウィザード・ミサイル』を放つ。あるいは黄金像のままなら軽く弾き返せたであろう無数の炎の矢。だがそれは守りを解いた瞬間、無防備な状態に対し突き刺さる。
 魔術の火矢は『錬金ドラゴン』だけでなく周りの地面にも突き刺さり、刻んだ文様ごとドラゴンを焼き、炎に包む。特に重篤なダメージを受けた片前足と頭は、火が消える頃には黒く焦げてボロボロと化していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メアリツェッダ・ベシキリス
引き続き真の姿で戦う。

母上(f01246)(※赤の他人かつ男性)の姿を目ざとく見つける。
この僕の母上センサーを舐めないでほしいな?
「母上ー!」と参観日の子供ばりの笑顔で手を振り振り。

さて、と向き直り、
「母上に良いところ見せなくちゃね。」

仲間との戦いを見て「学習能力」で敵の癖は掴んだ。
あの死霊術士の子の手に倣いつつ、
あえてダメージを食らわせつつ騎士と蛇竜に撹乱させ、今度は仲間の追撃を促す。
同じ手は食うまいと対策してくるだろうから、かえって気を引けるかなって。
利き足でなくともドラゴンの爪は危険なので、自分が食らわないよう誘導させようかな。

僕は低く響く異郷の子守唄のような「呪詛」を唱えるよ。


キャサリン・エンスレイヴ
・作戦

a.「これ力技でいいだろ…」
 まず敵の直下を狙い、紅い世界を複数回使用してクレーターを作る。
 飛び上がるなら狙いを敵の直上に変更し、爆風で地面に押し付ける。
 クレーターが出来た場所へ狙いをつけ、更に紅い世界を使用。
 飛び立つなら直上に…だ。

b.[a]を行いつつ、敵のWIZはやはり紅い世界に対処。
 敵の技使用の兆しを確認次第、後の先をとり地形を徹底的に破壊。
 足場を潰す。

c.敵がPOWを解除して攻撃に出る機会を見計らって、紅い世界を使用。
 出来る限り叩きこむ。

d.以上の手順で戦闘を行うものとする。
 不測の事態は都度修正。


劉・甜
おとと、ここで追撃思たらダイマチガイ!(おおまちがい)
手負いの虎、いや手負い竜だたネ、七星七縛符で残た腕も封じるデス!

(ほかの猟兵に向けて)
あまり長くは抑えられないデス、さっさとブチかますデス!



「母上に良いところ見せなくちゃね」
 メアリツェッダ・ベシキリスは、真の姿である青年騎士の姿のまま、満身創痍の『錬金術ドラゴン』に向く。敵の癖や趣向は概ね掴んだ。あとは畳みかけるのみ。
「ああ、ここまで来たらあとは力技でいいだろ」
 キャサリン・エンスレイヴもここで仕留めるとばかりに決意を固める。
「おとと、ここで追撃思たらダイマチガイ!」
 『迷宮の主』を完全に仕留め、そして誰一人犠牲になることなく全員で帰る。手負いの竜との道連れなど御免だ、と劉・甜も答える。
 『書架迷宮』の戦いも終わりに近づいてきた。
 
「そろそろ終わりにしようか!」
 迷宮全体に響くような声量の、それでいて低く穏やかな子守歌の『呪詛』を伴い、『リザレクト・オブリビオン』で二つの影を召喚する。
「『紅い世界(アカイセカイ)』を見せてやる!」
 二つの影を左右に従え、キャサリンがドラゴンの足元に大爆発を伴う一撃を叩き込む。ドラゴンは対応するために『無敵の黄金』で体を硬化するも、その一撃を完全には防ぎ切れない。動かない、動けない敵に対し爆撃の如く次々に叩き込まれるキャサリンのユーベルコード。このままではジリ貧だと判断したドラゴンは無敵化を解除。キャサリンの攻撃を受け続け、それでも起死回生の一撃を掴もうと攻撃を繰り出すが、そこにメアリの召喚した一対の死霊が立ちはだかる。
 
 ここでメアリが選んだのは、あえて他の猟兵が使用した作戦をそのまま使用すること。騎士と蛇竜がドラゴンに貼り付き、妨害と錯乱を試みる。
 当然『錬金術ドラゴン』も馬鹿ではない。腕を受け止めるつもりでも、次は同じ手は食うまい。今度は体全体を使い、受け止められないほどの大振りで腕を振り回し、横一閃の一筆で簡易の術式を刻む。キャサリンは辛うじて回避するも、騎士と蛇竜は勢いよく吹き飛ぶ。しかし『紅い世界』に穿たれた不安定な地面で無理な反撃を結果、文様は魔法陣として成立しない程にグニャグニャとなり、さらに致命的な隙を晒す。
 
 ドラゴンは咄嗟に態勢を立て直し、せめてキャサリンだけでも道連れにしようと大口を開き、噛み砕こうとする。だがそこに甜の『七星七縛符』が腕に、口に、翼に貼り付き、まるで硬直したかのように体が止まる。
「あまり長くは抑えられないデス、さっさとブチかますデス!」
 甜のユーベルコードは強力だが、秒毎に寿命を削る危険なものだ。ならばこれで決める。キャサリンは態勢を立て直し、メアリも死霊を再召喚し、もはや射的の的と化したドラゴンに一斉攻撃を仕掛ける。爆発が背負ったを粉々に粉砕し、蛇竜が喉を噛み千切り、そして騎士がドラゴンの心臓を刺し穿つ。

 ついに崩れ落ちた『錬金術ドラゴン』は、断末魔すら上げることも出来ず、暗い闇となって消え去った。ある意味感銘を覚えるほどの美しさを誇った宝の如く死せる竜の体は、だがオブリビオンであるが故に何一つ残すことなく、黒い闇と化し、それすらも大気と混じり消え去っていく。 
 ここに『迷宮の主』は討伐され、『書架迷宮』は攻略されたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2018年12月16日


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#アルダワ魔法学園


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト