帝竜戦役⑤〜目覚めし大賢者
●かつての激戦地にて
「それじゃ、ブリーフィングを始めるわ。今回はここ、勇者の墓標よ」
アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)がいつものようにマップをスクリーンに表示し、説明を始める。
皆殺しの平野の北部にある、谷のような場所が今回向かうポイントだ。
「ここはかつて群竜大陸に渡った数千人の勇者達が、生前のヴァルギリオスと激しい戦いを繰り広げた戦場ね。激戦の爪痕が大きく穿たれた竪穴となって残っているわ」
その竪穴には相討ちで全滅した『勇者の残留思念』が漂っていると言う。
当然、ヴァルギリオスに至るためにはこの地を突破せねばならない訳だが、ここから先には進ませまいと敵が待ち受けているようだ。
「みんなが戦うべき相手は『氷皇竜メルゼギオス』、強大な氷の力を使う竜よ」
竜が相手ともあらば、一筋縄でいかないのは間違いない。
まともにやり合っても苦戦は必至だ。
果たして倒す手立てはあるのだろうか?
「でも、勇者の残留思念の力を借りれば討伐は出来るはずよ」
その残留思念は『大賢者アイネ』と言う名のエルフの魔術師だ。
主に補助魔法に長けており、かつてはその力で勇者達を存分に援護し、結果的には相討ちとなったものの生前のヴァルギリオス討伐を陰から支えた勇者の一人だなのだとか。
「もちろん、力を借りるには心を通わせる必要があるんだけど……難しく考える必要はないわ。みんなが戦うところを、この世界を救う勇者である事を存分に見せ付けて”力を貸すに相応しい存在である”と思わせれば、彼女は喜んで力を貸してくれるわ」
何のために戦うか、などと言った動機を話して認めさせるのも有効だろう。
上手くアイネの援護をもらえれば、互角以上に戦えるはずだとアヤカは言った。
「彼女は掴みどころの無い性格だから、ちょっと扱いが面倒かもしれないけど……みんななら出来るって、わたしは信じてるわ」
そして説明を終えるとアヤカはグリモアを展開しゲートを開く。
「それじゃ、みんなに勇者の加護と勝利を! 十分に気を付けてね!」
NS
はいどうも、NS(えぬえす)でございます。
進軍がいい感じに進んでいて何よりですが、油断は禁物です。
戦争シナリオ四本目、今回もどうぞよろしくお願いします。
●目的
勇者の残留思念『大賢者アイネ』の力を借り、氷皇竜メルゼギオスを倒す。
力を借りる条件はOPにありますが、あまり難しく考えなくとも大丈夫です。
勇者であるところを見せるなり何なりすればOKです。
●アイネについて
大賢者と称されたエルフの魔術師です。
補助魔法の腕は世界レベルとも言われ、生前は勇者達を援護しました。
力を借りられれば、状況に応じて猟兵を支援してくれます。
見た目は若いですが、それなりに長く生きてきたと思われます。
●ご注意
戦争シナリオにつき、リプレイはなる早でお返し出来ればと思います。
このフレームはクリアに必要な青丸の数が従来通りですが、もしプレイングの来た数が多い場合は不採用も出る事になるのを予めご了承下さい。
それでは、大賢者の力を借りて強敵を倒しましょう。
第1章 ボス戦
『氷皇竜メルゼギオス』
|
POW : アブソリュート・ゼロ
【物体を一瞬で分子レベルまで氷結させる冷気】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : アイシクル・ミサイル
レベル×5本の【標的を高速追尾する氷結】属性の【鋭く尖った氷の棘】を放つ。
WIZ : アイス・リバイブ
全身を【無限に再生する氷の鎧】で覆い、自身が敵から受けた【負傷を瞬時に回復し更に負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
●長き眠りより覚めし者
――同時刻、勇者の墓標。
竪穴の付近では氷皇竜メルゼギオスと大賢者アイネが対峙していた。
「貴様は……今頃になって何故現れた! 忌々しき大賢者め!」
「どうして来たか? そりゃあ私の千里眼が見たのさ、新たな勇者がここへやってくるってね。それなら、ここでいつまでも寝てなんていられないじゃないか!」
余裕の笑みを浮かべるアイネ。
既に死んだ身であるため自身は戦う事は出来ないし、攻撃魔法は専門外だ。
……だが、自分には仲間を超絶強化する魔法が出来る。
もうすぐやってくるであろう勇者に力を貸すために、彼女は目覚めたのだ。
(さあ、新たなる勇者達よ……早く来ておくれ。そして、私が君達に力を貸すのに相応しい存在であるかどうか、見極めさせてくれよ)
大賢者は新たな勇者、すなわち猟兵の到着を心待ちにしている。
彼らこそが今、危機の迫るこの世界を救ってくれると信じて……
ソラスティベル・グラスラン
ふぅーっ……寒いですね
貴方が原因ですか、凍土の竜よ
体を暖めたいので…すこーし、運動に付き合って貰えませんかっ?
此処に誓うは不退転の意思、これがわたしの【勇者理論】!!(防御重視)
【盾受け・オーラ防御】で全力防御!巡りて滾れ火の魔力!【氷結耐性】
盾を構え冷気を防ぎつつ、前進!
魔法は門外漢ですが、【勇気】なら誰にも負けません!
どんな敵も、どんな逆境も、どんな悪天候も!
それが退く理由にはなりません、誰も出来ないならば勇者がやるのみ!
人々の希望を、祈りを背負い生まれた物語の英雄、それが勇者です!
『大賢者アイネ』よ、ご覧あれ!
わたしの刃が、あの竜に届く瞬間を!!【怪力・鎧砕き】
●勇気を胸に
「ふぅーっ……寒いですね」
周囲の空気が冷えている事を体が認識したのか、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)が白い息を吐く。
何せ氷の力を持つメルゼギオスだ、その身から冷気を常に放っているのだろう。
「貴方が原因ですか、凍土の竜よ。体を暖めたいので……すこーし、運動に付き合って貰えませんかっ?」
ソラスティベルは冷えた大地を踏みしめ、強大な力を持った竜へと立ちはだかる。
敵が現れた事に気付いたメルゼギオスの真紅に光る目が、こちらを睨む。
凄まじいプレッシャーだ。
「来たか、ヴァルギリオス様の覇道を阻む者、忌々しき猟兵め! この我が貴様の体を凍り付かせてやろうぞ!」
「……来たようだね。待っていたよ、新たな勇者」
アイネが振り返る。
その身は残留思念故に半透明に透けてはいるが、生前の若々しい姿のままだ。
「全てを凍り付かせる恐るべき氷皇竜、君はどう戦う?」
「それはもちろん、決まっていますっ!」
自信に満ち溢れた顔をして、ソラスティベルが叫ぶ。
「此処に誓うは不退転の意思、これがわたしの『勇者理論(ブレイブルール
)』!!」
それは勇気、気合、根性の三つで自身を強化するユーベルコードであった。
……そんな精神論で竜と戦えるのか、そう思う者もいるやもしれない。
「矮小なる者よ、凍り付くがいい!」
メルゼギオスが冷気を放つ。
僅かでも触れてしまえば瞬時に体が凍り付き、凍死も避けられない攻撃だ。
「巡りて滾れ火の魔力! 前……進っ!」
ソラスティベルが漆黒の鋼竜がその身を変えた黒翼の盾『モナーク』を構え、冷気を受ける。
盾から冷気が伝わり、彼女の体が凍り……付かない!
「何ッ!? 我の冷気を受け止める、だと!?」
「こいつは驚いた! 私はまだ何もしていない……なのに、どうして!?」
メルゼギオスとアイネが驚愕する。
普通なら凍死も避けられない攻撃を盾で受け止め、なおかつ前進しているのだ。
一体何をすればこんな事に?
「魔法は門外漢ですが、勇気なら誰にも負けません! どんな敵も、どんな逆境も、どんな悪天候も!」
……勇気、それこそが彼女を突き動かす物であった。
困難に立ち向かう心があれば、無敵なのだと。
「それが退く理由にはなりません、誰も出来ないならば勇者がやるのみ! 人々の希望を、祈りを背負い生まれた物語の英雄、それが勇者です!」
その身からオーラを放ち、冷気を受け止め前進を続けるソラスティベル。
勇気の力とは、かくも強大な物なのか。
「『大賢者アイネ』よ、ご覧あれ! わたしの刃が、あの竜に届く瞬間を!!」
ソラスティベルが飛んだ。
「やあぁぁぁぁぁーーーっ!」
その手には雷の神竜がその身を変えた蒼空色の大戦斧『サンダラー』があり、全力を込めた一撃が叩き込まれる。
「無駄だ、我の鱗にその程度の攻撃など!」
「そうだね、普通の攻撃ならね」
アイネの言葉が割り込む。
「でも、私のエンチャントが入ったのならどうかな?」
「何? ……ぐおぉぉぉッ!?」
見ればサンダラーがメルゼギオスの鱗を打ち砕き、竜の肉体に傷を与えていた。
その刃は大賢者の魔力が乗って光り輝いている。
「君の勇気、見せてもらったよ。勇者に相応しいほどの真っ直ぐっぷりだったね」
「いえ、わたしだけじゃありません。他にも仲間が来ています!」
ソラスティベルが振り返れば、そこには他の猟兵達の姿が。
氷皇竜を討つために集った勇者達の戦いは、ここに始まったのだ。
成功
🔵🔵🔴
ミルセリア・カマンギル
そもそも
犯人とは犯罪を犯した、健全な人々の敵である
そして氷皇竜も生きとし生ける者を脅かす敵
そうなると三段論法的には奴も犯人だ
つまり犯人と氷皇竜は敵であり、しかし奴らは犯人同士という仲間とも言える
だからこそ犯人から竜への攻撃はその奇跡の力の対象外となるエラーが発生することで無限の再生に楔を打ち込めるのではないか
「って思うんやけどどうやろ!」
「え、明らかにあかん? そんなんに力かせへん?」
目の前にはもういいかと口を開けた氷の竜
手元には作りたて新型爆弾『忌避すべき最悪の結末』
「……この手は、使いたくなかってんけど」
そう、爆発オチである
彼女の名はミルセリア・カマンギル
シリアス担当猟兵である
●アイネは後に「あんな変わった勇者は初めて見た」と語った
「頼もしい勇者達がまだ他にも来ているのか! こんなに楽しくなってきたのは生まれて初めて……ああいや、私はもう死んでいるんだけどさ」
後からやってきた猟兵達を前に、アイネはジョークを飛ばしつつも目を輝かせる。
「さて、それじゃ君はどうかな? 私の求める勇者かい?」
アイネが声をかけたのはミルセリア・カマンギル(深海の葬列探偵・f26294)だ。
なかなかミステリアスな外見をしている、それが彼女の第一印象であった。
「……そもそも犯人とは犯罪を犯した、健全な人々の敵である」
ミルセリアが口を開いたかと思えば、いきなり意味不明な事を言い出した。
「そして氷皇竜も生きとし生ける者を脅かす敵、そうなると三段論法的には奴も犯人だ」
「……え、ちょっと待って。君、いきなり何を言い出すんだい?」
「つまり犯人と氷皇竜は敵であり、しかし奴らは犯人同士という仲間とも言える」
アイネの問いを無視してミルセリアが続ける。
一応、猟奇探偵である事からこのような事を口にしているようだが、周りの者達からすればキョトンとする他ない。
「だからこそ犯人から竜への攻撃はその奇跡の力の対象外となるエラーが発生することで無限の再生に楔を打ち込めるのではないか」
「……よし、ちょっと落ち着こう! 私にも分かるように言ってもらえないかな!」
まさかアイネが振り回される事になるとは思わず、本人も困惑している。
「って思うんやけどどうやろ!」
「だから何がさ!? あと犯人って誰よ!」
緊張感漂うはずの戦場が、途端に変な空気に包まれる。
「んー、さっき言った通りやけど……え、明らかにあかん? そんなんに力かせへん?」
「いや、君もあの氷皇竜と戦うために来たのだろう? なら私が力を貸すのに相応しいかどうかを見せてくれと言いたいんだが……」
アレで通じるとはとても思えないが、本人は割と大真面目だったらしい。
すると、この妙な空気を受けて沈黙していたメルゼギオスが大口を開き、今にも襲い掛かろうとしていた。
「……ええい、先程から一体なんなのだ! 貴様は我と戦う気があるのか!?」
するとミルセリアが意を決したかのように懐から何かを取り出す。
「……この手は、使いたくなかってんけど」
手元には作りたて新型爆弾『忌避すべき最悪の結末』があった。
「うん、さすがの私もこんな理解の追い付かない展開は初めてだな!?」
とうとうアイネが混乱し出した。
「この事件の犯人は……いや、君らやない、ええから引っ込んどいて?」
ミルセリアが『犯人は俺たちだ!(ハンニンハオレタチダ)』を使い、多種多様な事件を起こした犯人達の幽霊を召喚すると、メルゼギオスに襲いかかる。
「何をするかと思えば無駄な事を……ッ!?」
幽霊の攻撃を受け流していたメルゼギオスが目を見開く。
犯人の幽霊は囮、本命は爆弾を持って特攻するミルセリアであった。
「この距離ならバリアは貼れへんな!」
ほぼ至近距離まで近付くと、盛大に自爆する。
……しかし、爆風の中から煤だらけになったミルセリアの姿が。
「あー、死ぬかと思った」
「そりゃ私が咄嗟に君の爆弾と体に補助魔法入れたからね……」
アイネはなんやかんやあって、補助をあの状態でも入れてくれたらしい。
本人はやたらと疲れた顔をしていたが。
「ぐ、ぐぐ……一体何なのだ貴様は!?」
そして自爆攻撃が意外にも効果があったらしく、メルゼギオスが困惑する。
彼女の名はミルセリア・カマンギル、シリアス担当猟兵である。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
敵のせいで泣き叫ぶ人がいる
奪われる命が、笑顔がある
それ以上に、戦う理由なんてある?
初めまして、アイナさん。シノと申します
知り合いからの評価は『大馬鹿野郎』
『猪突猛進』『酷いお人よし』
どうぞよろしく
見境なしに人を助けて自分は気にしない馬鹿だって
そう言われることもあるね、そんなことないけど
だって自分が笑ってる間に世界の誰かはこうやって虐げられてる
そんなの放置してられないよ!
英雄と言うには未だ未熟者
それでもこの想いだけは世界に捧げる
どうかご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします、先輩!
高速詠唱で加速
第六感で行動を見切り回避しながら
念動力で光の鎖を操作、捕縛
全力魔法でなぎ払い攻撃
敵UCには自UCで対抗
●竜に挑む者
矮小な物共など、あっと言う間に始末してやろう。
そう思っていたメルゼギオスだが、立て続けにダメージを与えられた事に驚きを隠せずにあった。
「かつての勇者達とは違う、と言う事か……だがヴァルギリオス様は強大無敵。貴様らが勝てるはずなど億に一つもあるまいに。何故、戦おうとする」
「敵のせいで泣き叫ぶ人がいる。奪われる命が、笑顔がある……それ以上に、戦う理由なんてある?」
敵からの問いに、鈴木・志乃(代行者・f12101)がキッパリ答える。
そして、アイネの方へと振り返ると挨拶をする。
「初めまして、アイネさん。シノと申します。知り合いからの評価は『大馬鹿野郎』『猪突猛進』『酷いお人よし』……どうぞよろしく」
「よく来たね、シノ……しかし君のその評価は随分な言われ様じゃないかい?」
「見境なしに人を助けて、自分は気にしない馬鹿だってそう言われることもあるね、そんなことないけど」
助けられる人がいるのなら、手を差し伸べる。
そう言うところは志乃のブレない部分なのだろう。
「君は見境なしにわざわざ人を助けに? 何故、そうしようとする?」
「だって自分が笑ってる間に世界の誰かはこうやって虐げられてる……そんなの放置してられないよ!」
その言葉を聞き、アイネは志乃が『大馬鹿野郎』『猪突猛進』『酷いお人よし』と言われている事が、少し理解出来たような気がした。
なるほど、確かにこれはそう呼ばれても仕方ないなと。
「英雄と言うには未だ未熟者……それでもこの想いだけは世界に捧げる。どうかご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします、先輩!」
と言い、頭を下げる志乃。
「……はは、そうまで言われちゃあ私も黙っている訳にはいかなくなったな。気に入ったよ、シノ。君のようなド直球なタイプ、私は結構好きなんだぜ?」
アイネが笑ってみせた後、真剣な表情に切り替わる。
「君は私が力を貸すのに相応しい勇者と見込んだ。やってみせてくれよ」
「はい!」
改めてメルゼギオスへと向き直ると、志乃が駆け出した。
「突っ込んでくるとは愚かな! 引き裂いてくれる!」
メルゼギオスが冷気を纏った爪を振り下ろす。
巨体ながらにその速度は機敏だ。
「見える……!」
「な、早い!?」
志乃は相手の攻撃を余裕で避けた。
駆け出すと同時に高速詠唱で加速しているが、いつになく体が軽い。
まるで自分が風になったかのようにも思え、それは相手にもそう思わせるには十分すぎるほどであった。
「疾風のエンチャントだ、あいつを引っ掻き回してやれ!」
アイネの援護がこうも心強いとは。
志乃は言われるがままに、速度で相手を翻弄していく。
「これなら行ける!」
動き回りつつ志乃は念動力で光の鎖を伸ばし、メルゼギオスの捕縛を試みる。
四方八方から飛んできたそれは竜の巨体を確実に縛り上げた。
「ぐ……小賢しい真似を! だが、貴様の攻撃は通じん事を……」
メルゼギオスは無限に再生する氷の鎧をその身から生成しようとする。
だが、それは突然聞こえてきた志乃の『生命賛歌(セイメイサンカ)』による、生きとし生ける者を守る歌が生成を封じ、光の鎖の拘束を更に強めた。
「な、何故だ!? 何故我の氷の鎧が……」
「……この一撃、受けるがいい!」
そして、気を取られた隙を狙って志乃が全力魔法でなぎ払う。
アイネの力でブーストされた一撃がメルゼギオスに直撃した。
「がぁぁぁぁぁッ!?」
重い一撃をもらって吹き飛ばされ、崖部分に叩き付けられる。
大賢者の援護の力……メルゼギオスはその脅威を認識せざるを得なかった。
成功
🔵🔵🔴
シン・バントライン
勇者とは諦めない者への称号だろう。
相手が例え強大な竜であろうとも必ず倒すという決意と覚悟、それを持ってして諦めない。そんな心の有りようが周りの者にも伝染する。きっとそういう者だろう。
大賢者アイネ、この世界を救う為に再び貴女の助力が必要です…どうか。
UCを発動し鯨と鯱の影を召喚。
違う方向からメルゼギオスを攻撃させ注意を引かせる。
その隙に自分はメルゼギオスの死角へと移動し、剣を抜き攻撃。
UCで氷の鎧を剥がし、再生する前の瞬間を狙う。
アイネから援助を貰えるのなら、その瞬間に攻撃出来るよう集中しておく。
迷った時は第六感と野生の勘で対応。
大賢者は掴みどころの無い性格との事です。
心を掴めれば良いのですが。
●勇者、とは
「なんだい、あの強さ!? 生前の勇者よりも滅茶苦茶強いじゃないか、君達は!」
猟兵の活躍に興奮したような様子のアイネ。
とても大賢者とは思えないはしゃぎっぷりだ。
「君達の事はよく知らなくて恐縮なんだが、あれくらい強い勇者が他にもいっぱいいるのかい?」
「……勇者とは諦めない者への称号だろう」
アイネの問いに答えたのはシン・バントライン(逆光の愛・f04752)だ。
「相手が例え強大な竜であろうとも必ず倒すという決意と覚悟、それを持ってして諦めない。そんな心の有りようが周りの者にも伝染する。……きっとそういう者だろう」
「諦めない、か……なるほど、確かにそうなのかもね」
何かを思い出すかのように、アイネが語り出す。
「……昔、ここに大勢の勇者が立ち向かっていってさ。動機はそれぞれだったけど、みんな『ヴァルギリオスを倒すためなら命は惜しくない』って奴らばっかりでね」
「貴女も、そうだったのでしょう?」
「まあね。故郷の森でただひたすら魔術の研究しかしてなかった私が、突然召集されたんだぜ? 出来る事なんて魔法が少々ってなだけだったのにさ」
だけど、みんな諦める事なく最後まで戦った。
それはアイネも例外ではない。
「貴女達の活躍は聞いています。群竜大陸に挑んでいった勇者達であると、この世界の人々がそう、称えていました」
「そうか……それなら私達が命を張っただけの価値はあったのかもね」
「大賢者アイネ、この世界を救う為に再び貴女の助力が必要です……どうか」
言うべき事は言った。
後は彼女の心を掴めるか、それに全てがかかっている。
シンの問いに、アイネが笑ってみせた。
「ふふ、ははは……君にそうまで言われちゃあ、私も頑張るしかないな。それなら、私の力を貸そうじゃないか!」
その時、崖部分に叩き付けられたメルゼギオスが態勢を立て直し、咆哮する。
「……行けるね?」
「はい、やります……いえ、やってみせます!」
シンは彼女の信頼に応えるかのように力強く宣言する。
そして心強い味方と共に、氷皇竜へと挑むであった……
「おのれ、矮小なる者共め! よくも我をコケにしてくれたな!」
怒り心頭のメルゼギオスに鯨と鯱の影が襲いかかる。
シンが『狂濤(キョウラン)』で召喚した物だ。
「フン、こんな物ごときで我を止められる物か!」
翼を羽ばたかせて強烈な冷気を放つと、鯨と鯱の影が凍て付き砕け散る。
これが氷皇竜の冷気の力なのか。
しかし別方向から他の鯨と鯱の影が突進してくると、それに気付かず攻撃を許してしまう。
「ええい、小癪な!」
鯨と鯱の影に気を取られている間、シンはアイネからもらったエンチャントで高速移動しつつメルゼギオスの死角へと回っていた。
いくら支援をもらっていても、攻撃のチャンスは一瞬しかない。
狙うのは鯨と鯱の影が氷の鎧を剥がし、再生する前の瞬間だ。
鯨と鯱の影が一斉に突進する。
それを見て、ワンテンポ遅れるようにシンが走り出す。
突進が氷の鎧を砕き、灰色の竜の身が晒される。
……ここだ、このタイミングだ。
相手の死角から飛んだシンは剣を抜く。
刀身はアイネからもらったエンチャントで赤く燃えている。
そして――全力で振り抜いた!
何かを断った感触が剣に伝わり……
「グオオォォォォォォーーーッ!?」
メルゼギオスの咆哮と共に、胴体部分に大きな横一文字の切り傷が刻まれると青黒い血が噴き出す。
それは囮に気を取られ、死角からの攻撃に気付かない自らの慢心であった。
……氷皇竜が追い詰められつつある。
成功
🔵🔵🔴
安河内・誓吾
俺には他の連中みたいに大義名分を謳って見せる事は出来ないが
挑むと決めた以上死力を尽くして奴を潰す気概はあるつもりだ
人の世なんて面白い事ばかり起きる天下を
過去の残骸に奪われては面白くないからな
俺に賭けるなら損はさせないが、どうする?
言いたい事言ったら
後はお楽しみだ
正直一度相反する性質の戦いと言うやつをやってみたかったんだよ
灼角鬼と成り、死闘を求める熱と共にいざ尋常に斬った張ったをしようじゃねえか
熱を以て肉にダメージを通すことを狙って立ち回る
再生する硬い鎧?無視だ無視
内を狙う方が通りがいいだろ
最も相手の回復の速度を上回り打ち克てるかはあの賢者次第か
賢者の支援関係なくやると決めた事はやり通すがね
●熱き炎と凍て付く氷
「おのれ、このような事などありえぬ……何故だ……!」
メルゼギオスはここまで受けた傷を癒そうとするが、エンチャントの効果で傷付けられた影響なのか、自己治癒が思うように行かず苛立っている。
「大分痛めつけられてるようだが、あいつはまだ生きているね……やれやれ、しぶとい奴だよ」
「なら、徹底的に潰すまでだ」
無骨な無銘の片刃大剣『岩砕鉄破』を手に安河内・誓吾(渇鬼・f05967)が一歩前に出る。
「俺には他の連中みたいに大義名分を謳って見せる事は出来ないが、挑むと決めた以上死力を尽くして奴を潰す気概はあるつもりだ」
つまりは全力で挑み、戦って倒すのみ。
今までだってそうしてきたのだ。
「人の世なんて面白い事ばかり起きる天下を、過去の残骸に奪われては面白くないからな」
「過去の残骸か。言われてみれば、あいつもヴァルギリオスもそうなんだろうね。だが、私も似たような物じゃあないかい?」
「アイネは人の世を守るために戦ったんだろう? そして今、俺達を助けるためにここにいる……違わないか?」
そして間を置いた後にこう言った。
「俺に賭けるなら損はさせないが、どうする?」
「……あいつと全力でやり合うんだね?」
「無論だ」
この世界を救えるのは猟兵しかいない。
だからこそ、ここに来た。
自分だけではない、他の仲間達もそうなのだ。
「よし、ならば賭けてみようじゃないか。君のその真っ直ぐな全力にね」
「決まりだな」
誓吾がニヤリと笑う。
これでようやく全力でぶつかれると言う物だ。
灼角鬼と氷皇竜の激突がいよいよ始まろうとしていた。
「後はお楽しみだ。正直一度相反する性質の戦いと言うやつをやってみたかったんだよ」
「貴様、その物言い……もしや炎を使うか。面白い!」
「ここから先は命のやり取りだ。死闘を求める熱と共にいざ尋常に斬った張ったをしようじゃねえか」
誓吾が『灼角鬼(オウガランページ)』でマグマを纏う紅角黒髪白肌の鬼に変身すると、周囲の空気がゴウッと熱に包まれた。
メルゼギオスの放つ冷気と誓吾の放つ熱気が互いを相殺し、両者の間で火花を散らす。
「ほう……少しは出来るようだが、果たして我に届くかな?」
「それじゃあ始めるとしようか、楽しい闘争をな」
燃える刃の岩砕鉄破を手に、誓吾が仕掛ける。
赤い軌跡を描き、メルゼギオスの氷の鎧を焼き斬ってみせたがそれは瞬時に再生していく。
「我の鎧を容易く斬るか! だがその程度ではな!」
「なら、何度でもだ」
炎の斬撃と氷の鎧の再生が何度となく続いていく。
確かにこれは少々厄介な力だ、誓吾はそう思わざるを得なかった。
それでもアイネの支援に関係なくやると決めた事はやり通す。
そう思っていたところで、ようやく大賢者が動き出した。
「よし、この状況下ならこいつが効くはずだ。さあ、受け取りたまえ!」
状況を判断したアイネが太陽の力を誓吾に注ぐ。
体の中がより熱く燃え上がる感覚と共に、力が沸き上がる。
「熱く……なってきたぜ!」
「何!? この力は
……!?」
氷の鎧が再生するよりも早く、炎と太陽の斬撃がメルゼギオスの肉体を焼く。
熱を以て肉にダメージを通す……それを狙っていた誓吾は更にラッシュを仕掛け、相手の肉体を着実に焼く事で傷を与えていった。
(バカな、我の傷の再生が……間に合わんだと!?)
メルゼギオスは焦りを感じていた。
自身の身を焼く炎と太陽の力に、押されている。
「おぉぉぉぉらぁぁぁーーーッ!」
「ぐ、あぁぁーッ!?」
そこへ誓吾が岩砕鉄破を大きく振り下ろすと、メルゼギオスの体に超高熱で焼き切ったような傷を深々と刻み込んだ。
いくら傷を再生する力のあるメルゼギオスとて、この傷を治す事は最早不可能であろう。
成功
🔵🔵🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
成程、大賢者様ですかぁ。
私自身は、所謂勇者パーティで言うところの『遊び人枠』という気はしますが、何とか頑張ってみますぅ。
掴みどころの無い方でしたら、会話よりも行動で示す方が良いでしょうかぁ。
『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FRS』『FSS』をエネルギー供給に回し【耀衣舞】を使いますねぇ。
相手の『冷気』は『光の結界』で多少は凌げるでしょうから、これに『光速の突撃』を『移動手段』に利用しての『範囲外への退避』を重ねれば、対処は可能でしょう。
距離が空いている間は『FRS』を攻撃に回して[砲撃]、『冷気』の放射を終えたら『光速突撃』に切り替えて『首』か『眼球』を狙いましょうかぁ。
●戦い続ける者
(成程、大賢者様ですかぁ)
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はこれまでのアイネを観察していた。
少々変わった性格ではあるが、支援魔法の腕前は間違いなく超一流である事はこれまで仲間達が戦っている時に十分見てきた。
(私自身は、所謂勇者パーティで言うところの『遊び人枠』という気はしますが、何とか頑張ってみますぅ)
るこるは自身を遊び人枠と評しているようだが、これでも各地の戦場を戦い抜いてきており、遊び人とは到底思えないほどの活躍ぶりである。
「ん? 君、さっきから私をジロジロ見ているようだが……なんだい、もしかして私のファンか何かかな?」
「はい、凄い大賢者様と聞いて」
アイネのジョークをるこるは率直に返す。
すると、それに気を良くしたのかニンマリ顔になり得意げに言う。
「わはは、そうだろうそうだろう? いやー、こうやって名前が残るとは私も命がけで戦った甲斐があったと言う物だね!」
「と、言う訳で今から全力で戦ってきますぅ」
るこるは『FBS』を四肢に嵌め、ふわりと浮かび上がる。
会話よりも行動で示そうと言うつもりなのだろう。
「私の戦いっぷりを見ていてくださいねぇ」
立て続けに傷を負ったとは言え相手はまだまだ健在だ。
決して油断は出来ないだろうが、そるこるは臆する事なく立ち向かう。
大きな傷を受けたメルゼギオスへ向け、彼女が飛び立った。
「我をここまで追い詰めるとは……忌々しいが貴様らを認めねばならぬようだ。しかし、それもここまでと知れ!」
最低限の応急処置を施し、メルゼギオスが咆哮する。
その視界には飛行状態でこちらに向かってくる、るこるの姿があった。
いつもの浮遊武装はエネルギー供給源として『豊乳女神の加護・耀衣舞(チチガミサマノカゴ・カガヤクコロモノマイ)』に回し、光の結界を纏っている。
「血まで凍るがいい!」
メルゼギオスが手から絶対零度の冷気を放つと、光の結界が阻む。
しかし防ぎきれないのか、凄まじい冷気が肌に突き刺さる。
「う、これはまともに浴びると危険ですねぇ……」
すぐさまるこるは光速で後退し、冷気の範囲外から脱する。
あと数秒、あの場に留まっていれば危ないところであったろう。
そして距離を放すと同時に『FRS』の砲撃で牽制を行う。
「効かぬわ!」
すぐにメルゼギオスはるこるを追い、冷気で追撃する。
しかし光速移動の彼女を捉える事は出来ず、冷気を避け続ける事で相手を翻弄していく。
一見すれば、単に相手から逃げ回っているようにしか見えないだろうが……
(ふむふむ、大体タイミングは掴めましたよぉ)
るこるはただ逃げ続けている訳ではなく、冷気の切れ目のタイミングを見計らっていた。
反撃のチャンスはそこしかないと踏んだからだ。
(ははーん……なるほど、そう言う事か)
時を同じくアイネがるこるの動きを見て、その狙いを察知する。
ああ見えて、彼女は頭が回るタイプなのだなと気付いたようだ。
「ええい、チョロチョロと!」
苛立ちと共にメルゼギオスが冷気を放出する。
冷気の切れ目はあと3秒後のはずだ。
(3、2、1……)
0のタイミングで冷気が途切れた。
「ここですぅ!」
「なんだとッ!?」
冷気が途切れた今ならやれる!
るこるは急速反転し、光速突撃に切り替える。
その時、何故かは知らないが体から妙に力が湧き上がるような気がした。
もしかしたら、これは……
「いっけぇぇぇーーーっ!」
きっとアイネがここ一番で後押しをしてくれたのだと確信し、るこるがメルゼギオスの右目を狙う。
そして――!
「グゴアァァァァッ!?」
衝撃と共に鮮血が噴き出し、氷皇竜の右目を叩き潰した!
まさか攻撃後の僅かな隙を突かれるとは思わず、片目を失うとは。
メルゼギオスは多大な傷と屈辱を受け、苦しみ出した。
成功
🔵🔵🔴
村上・篠
勇者を名乗れるような強さなんて、私にはありません。
猟兵になってから怖くて逃げたくなること、何度もありましたから。
でも、戦わず逃げてしまったら、何もかも敵のやりたいようにされてしまいます。
世界を壊されてしまったら、何もなくなってしまうのが怖いから、戦います。
この気持ちからは、逃げられません。
敵の氷の力がある限り、銃と身体の冷却の心配はなさそうですね。
相手の再生能力を上回るように、氷の鎧の一点を狙って【緑水晶閃】を撃ち続けます。
回避は最小限に、早急に敵を追い詰めるため射撃に集中。
勇者や味方の助力を得られたなら、きっと大丈夫です。
(アドリブ絡み歓迎)
鈴木・志乃
譲らないよ
この先には私の愛するものが沢山あるんだ
決して戦闘は得意とは言えないね
力が強い訳でも人より知恵があるわけでもない
叶うことなら戦いなんてなく平和な世の中であってほしい
ずっとそう願ってる
竜は人々を長年苦しめて来た
生者のみならず死者までもだ
同じ戦場、別の場所で多くの勇者が捕らえられていた
お前を逃がせば、同じことが起きるかもしれない
誰一人捨て置く気はない
生者も死者も勇者もその心も
一切合切全て拾い上げる為に戦ってる
そうしてその姿を見せつけるんだ
今代の勇者なら大丈夫だって
思ってもらうためにな!!
敵UCに自UCで対抗【歌唱】
第六感で行動見切り念動力で油をぶちまけ
高速詠唱全力魔法で燃やし尽くす
●恐怖を乗り越え氷皇竜を討て
「……凄い、なんて強大な」
ここまでの激戦を目の当たりにした村上・篠(根無し草・f26883)は足が震えている事を自覚していた。
まだ猟兵として日の浅い彼女だが、あれだけの強敵を前にしたのは初めてだ。
「怖いかい?」
「はい。勇者を名乗れるような強さなんて、私にはありません」
アイネの問いに篠は正直に答える。
「猟兵になってから怖くて逃げたくなること、何度もありましたから」
今回は特にそうだ。
あんな敵は生まれて初めて見たし、自分にやれる相手なのかも分からない。
「でも、戦わず逃げてしまったら、何もかも敵のやりたいようにされてしまいます」
「……だから君はここに来た、そう言う事かな?」
「はい、世界を壊されてしまったら、何もなくなってしまうのが怖いから、戦います」
過去から舞い戻った亡霊が世界を滅ぼす。
それは猟兵となった時に聞かされた世界の真実だ。
自分の知らない世界をもっと見たい、知りたい。
そして、その世界に住む人々を守りたい。
だからこそ――
「この気持ちからは、逃げられません」
それが篠の戦う理由。
彼女の正直な言葉はアイネの心に強く深く響いた。
「恐怖を受け入れ、懸命に立ち向かう心か……はは、君は謙遜しているが勇者としての素質は十分あるじゃないか」
「そうなのでしょうか……」
「そうさ、私が保証する。そして君のような勇気ある者を助けるために、私は今ここにいるのさ!」
アイネが力強く宣言する。
その口ぶりから力を貸してくれるのは確かなようだ。
「さすがは竜と言ったところだね。どこまでもしぶとい……」
そこへ志乃が戻ってくる。
先にメルゼギオスへ一撃叩き込んだが、まだまだやれるらしい。
「おや……シノ、君はまだやれるのかい?」
「はい。あいつは弱っています……今こそトドメを刺す時です」
既にメルゼギオスは体中に多くの傷を付けられ、右目も潰された。
自慢の再生能力も大きく鈍り、弱体化しているのは事実だ。
「よろしい、では確実にあいつを倒してくれたまえ。二人とも、出来るね?」
「はい、やってみせます」
「無論です」
アイネの問いに篠と志乃が頷く。
二人とも覚悟の決まった目を見て、満足そうな笑みを浮かべると……
「そうと決まれば私も出し惜しみは無しだ。出来る限りの援護を約束しよう!」
その言葉と共に二人に多重の支援魔法がかけられると、いつになく体が軽くなり無限の力が沸いてくるのを感じた。
「これは……凄い!」
「今なら負ける気がしない……篠さん!」
「はい……!」
迷う事なく、疾風のように篠と志乃が飛び出していく。
今こそ氷皇竜を討つために、最後の攻撃が始まる……
「ぐ、ぐぐ……我は氷皇竜メルゼギオス、矮小な者共にこうもやられるなどありえぬ……何故だ、何故だ!?」
怒りに打ち震えるメルゼギオス。
「譲らないよ。この先には私の愛するものが沢山あるんだ」
「この世界、滅びさせはしません……倒します」
大賢者の助力を得て、二人の猟兵が竜に立ち向かう。
既に二人の顔に恐怖はどこにも無かった。
「決して戦闘は得意とは言えないね。力が強い訳でも人より知恵があるわけでもない
……叶うことなら戦いなんてなく平和な世の中であってほしい、ずっとそう願ってる」
「平和だと? 笑わせる! 矮小なる者共が吠えるか!」
支配者たる竜のプライドがそれを許さないのか、メルゼギオスが一蹴する。
「……竜は人々を長年苦しめて来た。生者のみならず死者までもだ。同じ戦場、別の場所で多くの勇者が捕らえられていた。お前を逃がせば、同じことが起きるかもしれない」
志乃は意に介さず言葉を続ける。
「逃げるだと? この我が貴様らごときに逃げるものか!」
「それならただ、討つまです」
篠が愛銃『カワセミPPK』を構える。
「誰一人捨て置く気はない。生者も死者も勇者もその心も一切合切全て拾い上げる為に戦ってる。そうしてその姿を見せつけるんだ」
「アイネさんは私達を認めてくれました。だから……戦います」
「今代の勇者なら大丈夫だって思ってもらうためにな!!」
二人が強大な竜を相手に啖呵を切る。
もしこの場に他の勇者たちの残留思念があれば、アイネのように彼らの心を打っていたであろうか?
「我を……舐めるな! 偉大な竜の力を思い知りながら死ぬがいい!」
咆哮するメルゼギオス。
その身には早くも氷の鎧が生成されようとしているが、既にその手を志乃は見ている。
「全ての生命と意志を守ろう、『───』!」
二度目の生命賛歌がメルゼギオスを包むと、生成されつつあった氷の鎧が中途半端な状態で固まる。
これでもうあの鎧は使えないし、傷の治療も不可能となったはずだ。
「またあの忌々しい歌か!? おのれ……ッ!」
「撃ち抜きます、ただひたすらに……!」
「ぐ、ぐおッ!? き……貴様ァッ!」
篠が円を描くような動きで『緑水晶閃(プラシオライト・ブラスター)』を連射すると、圧縮成形した淡緑色のビーム徹甲榴弾が竜の肉体を貫いていく。
本来このような無茶をすると、カワセミPPKにかかる負荷が大きくなるのだが……今は違う。
アイネからかけられたエンチャントで、武器性能が倍増している今だからこそ出来るのだ。
(凄い……これが大賢者の力……)
改めてアイネの凄さに驚きつつも、篠は射撃を続ける。
次々とメルゼギオスの体に穴が開いていき、その都度体力を削っていく。
「さあ、炎で焼かれて生き延びられるかな!?」
そこへ更に、志乃が念動力で用意していた油をブチ撒けると同時に高速詠唱全力魔法で着火。
盛大に竜の体が炎上し、炎に巻かれる。
当然ここにもアイネの支援が入った事で炎は超高熱となり、メルゼギオスの冷気では鎮火出来ないほどにまで燃え上がる。
「わ、我が炎に巻かれるだと!? このような事が……!」
「さあ、最後の仕上げだ。私の千里眼を少しだけ貸そう!」
アイネが右手を掲げると、篠の体が光に包まれる。
その時、竜の体内のビジョンが最大の弱点である部分も含め、うっすらと見えたのを感じた。
どうやら、これが全てを見通す千里眼の力らしい。
「……心臓部、確か見えました。これで決めます……!」
篠が足を止め、カワセミPPKを構えるとメルゼギオスの心臓部へ向けて緑水晶閃を放つ。
淡緑色の光弾は氷の心臓を確実に貫き破壊した。
「バ、バカな……この我が、我が再び、滅ぶ、など……こんな、こんなバカな事がァァァッ!?」
心臓を破壊され生命活動が停止した事で、炎に焼かれた氷皇竜はそのまま盛大に燃え尽きていった。
……その跡にはもう何も残ってはいなかった。
「これが君達、猟兵の力か……存分に見せてもらったよ。大したものだ」
アイネが実に晴れやかな顔で猟兵達を見ていた。
その身は少しずつ消えかかっている。
「ああ、これかい? どうやら魔力を使いすぎたようだね。なに、元々死んでいた私さ。あるべきところへ帰るだけだよ、気にしないでくれたまえ」
最後まで彼女は飄々とした様子だ。
「だが、消える前に一つ言わせてくれ。……もう言わなくても分かっているかもしれないが、一応ね」
そう前置きをした上で、アイネはこう言った。
「……この世界を、私が生まれた世界をヴァルギリオスから守っておくれよ。それが出来るのは君達だけだ」
その言葉に猟兵達が頷く。
「よし、それが言えたのならもう思い残す事はない。では、さらばだ新たな勇者達よ! 君達の戦いに幸運があらん事を!」
猟兵達に未来を託し、アイネの姿が消え去る。
それを見届けると、猟兵達は静かにその場を去っていった。
その後には静寂だけが戻って来たと言う……。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴