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ジャグル・グラディエーター

#キマイラフューチャー


●ジャグリングとは、戦いである
 アスファルトの上にバラバラと落ちてくるものがある。信号機のような赤青黄色、三色に彩られたリボンの巻かれたそれは、ジャグリング用具の一つ、クラブだ。その傍にしゃがみ込んで右腕を抑えて悔しそうな顔をしている兎のような姿のキマイラはその持主。この辺りではジャグラーとしてもそれなりに知名度のあるキマイラだ。
 そしてその彼の前に立っている男は、ピエロのような派手な帽子と恰好にジャグリングで使う独楽、ディアブロのような、いや、ディアブロそのものの頭をしていた。なるほど、こいつが噂のジャグリング勝負を挑んでくる怪人だったのかとキマイラが傷の痛みに顔をしかめるのを横目に、怪人はにやりと笑ったようだった。

「ふっふっふっ、これでまたひとつ!このディアブロ・ジャグラ様が優れたジャグラーであると証明する動画が撮れた。そーれ、早速お前の負け姿をアップロードしてやるぞ!」

 高笑いと共に押された投稿ボタン。少しして、怪人の持つ端末へと大量の通知が届き出す。回る再生数、増えるコメントの数に一人ほくそ笑んで、怪人は手にしていたクラブを腰のベルトへと刀のように差し直し、くずれ落ちるキマイラを横目に路地裏へと消えていくのだった。

「所詮、毛と肉球だらけの手でジャグリングなど無謀!!俺のように五本の指で繊細なコントロールの出来る者こそが、真なるジャグラーだ!このジャグラには誰も勝てるわけがない!!どぅーーーーわっはっはっはっはぁ!!!!旧人類、最高!!」

●クラブ=ボウリングピンのようなアレ
「あの、皆さんはコンバット、というゲームを知っていますか?」
 両手にビニールボールを山ほど抱えた三蔵・迅(ヤドリガミのサイキッカー・f04775)は猟兵たちへ向かってそう切り出した。迅は念動力を発動させて抱えていたボールを宙へ浮かべると、ボールを投げては観覧車のようにぐるぐると巡らせる。

「皆さんもご存じの通り、キマイラフューチャーにはパフォーマーが多くいます。ですがここ最近、彼等を相手に謎の怪人が現れては対戦を挑んでくる事件が多発しています。その怪人が挑んでくる対戦種目がこのジャグリング、もとい、コンバットなのです。」

 コンバットとは、ジャグリングの大会でも競われる種目の一つ。ルールは簡単で、一定の範囲内で二人から複数人でジャグリングを行い、最後までジャグリングを続けていた一人が勝者となる。しかしクラブを使ったジャグリングの最中に相手のクラブを攻撃して叩き落としたり、逆に相手のクラブを奪ったりと、相手への妨害がルールとして許可されているのだ。もちろん、争いを避けて誰も攻撃せずにジャグリングを続けていても構わない。最後に残りさえすれば、その時点で勝ちとなる。
 しかし、コンバットでは自分の手足といった身体の一部を使っての攻撃は禁止、相手のクラブ以外を攻撃してもいけないし、クラブを奪う際も自分の素手を使うなどといったルールも定められている。あくまでも己のジャグリング技術と、相手への精神的揺さぶりで戦う競技なのである。
 そして件の怪人は、キマイラが道端でジャグリングをしているところへ現れてはこのコンバットを挑んでくるという。そしてその勝負内容を動画に収めては、パフォーマーたちの人気を自分へ集めようとしているのだ。

「この怪人に負けたジャグラーは自らの技量に自信を無くし、一部は再起不能になる被害が出ています。既に怪人が出没する地域では道端で気軽にジャグリングをする、ということも出来なくなってしまったようで、これはいわばひとつのパフォーマンスの衰退の危機とも言えるでしょう。」

 迅は念動力で浮かせていたボールを一度渦巻きのように回転させてから、自分の手元へ回収する。色とりどりのビニールボールは互いにぶつかっても跳ねることなく、静かに彼の手中へ収まっていく。

「サイキック能力を使えば私にも似たようなことはできますが、本物のテクニックには敵いません。負けたキマイラたちも、自分の腕前に自信を持っていたのは確かです」
「これまで腕を磨いてきたパフォーマーたちの無念を晴らす為にも、お願いします。自分こそが一番だと宣言する怪人を退治して、キマイラフューチャーのパフォーマンス界に平和を取り戻してください。」

 怪人は今もキマイラフューチャーで勝負を仕掛ける相手を探している。例え相手が猟兵でも、パフォーマンス勝負を挑まれれば応じるはず。普通に正面から勝負を受けて戦うことも出来るが、自身の腕に憶えがあれば技を試してもいいだろう。もしくは知恵や口車の回る者であれば勝負をそれとなく避け、戦うことなく怪人を退けることも可能だ。
 しかし、ただ怪人を倒すだけでは意味がない。彼等は勝負に負けても敗北を認めずに逃走し、またどこかで事件を起こすだろう。この事件の解決には彼等の拠点を探し、根本から叩くことが必要だが、その為の情報が今はまだ足りない。
 何度か敵の挑戦を退けていけば怪人が拠点へ逃げるしかない状況がいずれ訪れる。その時こそ、猟兵と怪人、双方にとって真の決戦の時となるはずだ。
 よろしくお願いしますね、と君たちを送り出す迅の声を背に、猟兵たちはキマイラフューチャーへと降り立った。


本居凪
 初めまして、本居凪です。皆様の猟兵としてのご活躍をいつも応援しています。
 今回はキマイラフューチャーにて、怪人との対決です。個人戦も団体戦も出来るものは何かな、と考えた結果ジャグリングになりました。猟兵たちの能力値から出来ることは以下のような感じでしょうか。なお、行動が上手く行くかはプレイング次第です。
 【POW】:正面から対決。根性やスタミナを重視。
 【SPD】:技量で勝負。手先の速さ=テクニックを重視。
 【WIZ】:知恵や口車で勝負をうやむやに。裏技的なイメージです。
 第一章では敵の撃破は出来ません。あくまで純粋な対決だけです。勝敗が決まった後も一章の間はまだ追跡できませんので、プレイング内容は対決メインで大丈夫です。
 なお、プレイングによっては同日に連戦したり、日を改めて戦ったりするリプレイになるかと思います。他の猟兵も交えて団体で戦いたい、もしくはお知り合いと一緒に戦いたいという場合はプレイングにその旨を記載していただければ、採用の際になるべく反映できるよう努力いたします。
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第1章 冒険 『ライバル怪人の挑戦!』

POW   :    勝負を正面から受けて立つ

SPD   :    ワザを編み出す、有利になる情報を掴む

WIZ   :    知恵や口車で勝負自体をうやむやにする

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轟・富士王
SPD
よーし怪人、おじさんが相手だ!(クラブをビシッと突き刺す)
ジャグリング…まあ故郷(サムライエンパイア)でいうお手玉みたいなもんだろう?
大丈夫できるってへーきへーき。

…正直、おじさん素人だし最初から勝負に勝てるとは思ってないよ。
ただおじさんが人柱として勝負を挑むことで、相手の技や妨害の癖やタイミングなどを他の猟兵に報せることができるんじゃないかな。
でもまあ、やるからにはなんとか良い所は見せたいよね。あっさりやられたら人柱にもなれないし。
手持ちのクラブが飛ばされたときは、オリジナルのユーベルコード『飛閃・流れ星』でおじさん自身が星になり、すれすれでクラブを拾って勝負を長引かせたいと思うよ。


リダン・ムグルエギ
ジャグリングなんてした事ないのよね
練習なんて面倒臭いし…ま、「通りかかるだけ」なら出来るけれど

相手が他の猟兵や一般人とのコンバットを間近で観戦・撮影する事で
ジャグラくんの視界内に入って、ユーベルコードを発動するわ
服に仕込んだ暗示は「みえない」
自分のクラブを見えなくなったら、さすがに負けるでしょ?

勝負が無効だとか暴れるようなら、その様子も撮影してアップロードね

ジャグラが負けることも大事だけど
今回の目的の一つに
観戦中に挙動や癖を撮影して仲間へ周知することもあるわ

もう一つの目的は…楽しく観戦する事よ
勝者にもう一度ジャグリング芸をお願いするわ
面倒じゃない手段で二度おいしい、最高じゃない

アドリブ大歓迎


ユェン・ウェイ
ジャグリングって奥が深いんだねー
コンバットってのもちょっと激しいけど面白いなぁ、それを結果的に衰退させるオブリビオンはボッコボコにしてやらないと

僕はジャグリングの経験はないけど、身のこなしなら少しは自信がある
だからこの身のこなしを武器に怪人へ勝負を挑む!
普通にルール内で戦いつつ、積極的に踏み込んだりリカバリーするよ
必要があれば『スカイステッパー』で飛び回ったりもするね
僕もキマイラだ
今まで怪人が酷い目に遭わせてきた人の分まで頑張るよ!

まわりに他の猟兵がいたらその人の邪魔はしないように
攻撃するのは怪人だけ、とりあえずこいつに負けを認めさせればいいんだからね
僕一人なら遠慮なくやらせてもらうよ


竹城・落葉
使用する能力値:POW

意気込み
成程、コンバットで対決をするのだな。まぁ、やった事は無いが、見様見真似で何とかなるだろう。

行動
怪人の前にさっそうと現れて、勝負を仕掛ける。対決の際は無表情だが、闘志を燃やしつつ冷静にジャグリングを行う。元武将である為、例えコンバットだとしても勝負は譲れない。そうして、怪人に敗れた方々の無念を晴らそうとする。
「怪人よ、我とコンバットで勝負をして貰おう」
「貴様に敗れ去った者の無念は、我が晴らしてやろう!」
「……コンバットは今までやった事が無いが、まぁ、見様見真似で何とかなるだろう」


ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
あらかじめ自分のクラブに練成カミヤドリで作成した分身(青色の金剛石)を仕込んでおくわ。
そしてクラブは念力で動かす。
一見ジャグリングしているように見せかけるけど、相手の妨害を受けてもこちらのクラブは微妙にかわすわよ?
「あらあら、私は運が良かったみたいね」
あとはSPDを活かしてスピードを上げて相手を煽ってあげるわ。
こちらは失敗しないからあとは相手が自滅するのを待つばかり、ね。
「あなた、自分の敗北シーンはアップしないのかしら?」


アノルルイ・ブラエニオン
これはwiz勝負!私は煽る!
「待ちたまえ怪人君! こういう言葉を知っているかね!
『勝負は時の運だ』……!
君が最強だと?! 今まで挑んだジャグラー達とあと100回戦い、全て勝利せねば認められんな!」

自分は支援が主なのでね!
直接戦うのはジャグラー達だ
彼等も鼓舞する
「君達はただ一度の敗北で自信を失う程度の覚悟しかなかったのか?!」

もちろんただ戦わせるだけではない
サウンド・オブ・パワーで戦意を高揚させるぞ
踊り回るように歌う
キマイラだけ共感できるように、歌詞はキマイラの応援歌だ!

キマイラが勝つまで続ける!
全てのジャグラーよ、心を合わせて戦え
旧人類に破滅あれと!
「お前らの誇りは、お前らの手で守れッ!」


白斑・物九郎
尋常に競い合ってるだけならまだしも、敗者をアップしてあげつらうのはアウトでしょうわ

入っちまいましたわな?
ワイルドハントの狩場に

俺めが相手ンなってやりますでよ
ジャグリングでなァ!(クラブ持参)


●WIZ
・知恵&口車
・勝負をうやむやに

野生の勘コミで敵からの仕掛け時の察知に努めつつジャグリング勝負
クラブを取り落とされそうになったら策発動

ずばり「咄嗟に繰り出したガチキマイラ(尻尾のライオン)で落としそうになったクラブを咥えてキャッチ」!

えっ?
尻尾使っちゃダメなんて最初に言ってましたかよ?
キマイラにしてみりゃ尻尾も体の一部っスよ?
(尻尾も敵クラブを奪いに行く手数に入れようとこれみよがしにライオン頭部待機)


フルーネ・フローライト
真向面から受けて立つ…といいたいところではあるが。
そんないきなり真向面から堂々と戦ってどうにかなる相手でもないと思われるので味方が少しでも後々有利になるべく真向面から受けて立つふりをして時間を稼ぎます


大虚・空
【SPD】技量勝負

ジャグリングか

あんまりやったことはないが、手先の器用さがものを言うのだろう?
なら自分でもなんとかできそうだな

しかも、相手は肉球を馬鹿にしてるだろう?
これは喧嘩を売られたも同然だと判断した

……とはいえ、真っ向から勝負するのも味気ないか

相手が仕掛けたのをうまくかわして
逆にクラブを奪うのが良さそうだな

あとは、少しずつ数を増やしていこうか
増やしすぎて失敗したら意味はないし、
8個ぐらいを目安に、相手が対抗してきたら10個ぐらいまでいこうかな

所詮、安定的にできる技を長く続けるだけじゃダメなんだよな
最強を名乗るなら、誰にもできないようなことを
誰よりもできるようにならなきゃさ



●ジャグラ・ファーストバトル
 キマイラフューチャーのとある高架下で、クラブの打ち合う音が鈍く響いた。今日も勝利を収めたディアブロ・ジャグラはぐるりと自信たっぷりにクラブを回転させ、勝者の余裕を見せている。
「ふむ、このあたりのキマイラもこの程度か。これで私の名がまたひとつ、コンバット界で脅威を持って知れ渡るな」
 やれやれと言いたげな口調だが、にじみ出るのは優越感。己の腕前によほどの自信があるようだ。ジャグラはディアブロ頭の片方から取り出した地図へと赤いバツ印を引いて、ジャグラは次の相手を探そうと耳を澄ませる。耳を澄ませて、どこからかジャグリングをする音がしないかと待ち伏せているのである。
 しかし今のキマイラフューチャーでは、道端でジャグリングをする者自体が少なくなっていた。これまでジャグラが暴れたことで、ジャグリングは「やっていると厄介者が絡んでくるようなダサいパフォーマンス」というイメージがついているのかもしれない。パフォーマーに勝負する前からやる気を無くさせる。怪人とは、本当に面倒な存在であると言えよう。
 そこへ近づく影が一つ、否、二つ。
「ム、この気配……貴様たち、ジャグラーだな?!」
 カッと目を見開いて、ジャグラは不敵に笑う。その言葉に、ジャグラの前へと現れた対照的な二人の剣豪が、お互いにそれぞれの得物(クラブ)を構えた。
「さあ、怪人よ、我と勝負をして貰おうか」
「おっと、彼女だけじゃなくておじさんもだ。お相手させてもらうよ」
 立っているのは、黒髪の女性剣豪、竹城・落葉(一般的な剣客・f00809)と、白髪の男性剣豪、轟・富士王(テキトーおじさん・f03452)だ。落葉は無表情ながらその身のこなしに隙は無い。富士王は口調こそ軽いものの、クラブを構え相手へ突き刺す姿は実に決まっている。対照的な二人を前にしてもジャグラは余裕の笑みを崩さない。今はまだ、調子に乗りに乗っている。普段相手にしているキマイラとはまるで違う姿の相手が現れたところでまったく気にもしていないようだ。
「よかろう!ルールは把握しているな?相手の身体に触れることなく、最後までクラブをジャグリングし続けたものの勝利だ!」
 自分もクラブを抜き放ち、ジャグラは周囲を見回す。高架下だが、高さはある。くるくると回したクラブは顔の位置よりも高く上がり、クラブ自体をスピンさせれば滞空時間も長くなっていく。グルグルと回り続ける三本のクラブが、彼らの試合の始まりを告げた。
 正直なところ、富士王はジャグリング未経験者だ。だが物を投げ渡すのがジャグリングであるなら、彼の故郷、サムライエンパイアに伝わるお手玉と似たようなやり方で対抗できるはず。そしてその読みは外れていなかった。富士王は素人である自分が熟練者である怪人に戦って勝てるとは最初から思っていない。だが自分が出ることで、後ろへ続く仲間の為に相手の技や妨害方法に関する情報を集められればいいと、そんな思いでここに立っている。まあ、やるからには自分もやれるのだと、良い所を見せたい気持ちもあるのだが。
 同様に未経験者であった落葉も、見様見真似でぎこちない己の手さばきを過去の経験によってカバーする。傭兵としての戦闘用人格を表に出す彼女の無表情の仮面の下。そこには闘志が燃えていた。職場を失い、元とはいえ彼女は武将だ。例え怪人相手に不慣れな種目でも、勝負を譲る気はさらさらない。そして怪人にやられたキマイラたちの無念も、必ず晴らす。負けられないという熱い思いを胸に、けれど手さばきは冷静に、落葉は堅実にジャグリングの回数を重ねていく。

●ジャグラ・ファーストリザルト
「なるほど、荒削りだが良い腕ではある。しかし、動かないままでこのジャグラ様が倒せるとでも?棒立ちのジャグラーなどパフォーマーとしては三流だァ!いくぞっ、大・カマキリ!」
「轟、何か来るぞ、気を付けろ!」
 自分のペースを崩さないようにと場の状況を冷静に見ていた落葉が、敵の動く気配に気づいて声をあげる。ジャグラがその両手を振り上げる速度を上げていくと、まるで蟷螂の振り上げた鎌の様な軌跡が描かれていき。グォン、グオォンと、勢いのついたクラブは、富士王の方へ向かって高く投げ放たれた。二投目のタイミングをずらしてクラブ同士の衝突を避けようとした富士王だったが、ジャグラのクラブは少し掠っただけでも、クラブの軌道を変えるには十分だった。
「なにっ、……いいや、まだだ!」
 跳ね返ったクラブが富士王の頭上を越えていく。このままではクラブが地面に落ちてしまうだろう。だが、富士王はそれで終わる男ではない。
「そっちがとっておきを使うなら、こちらも使わせてもらうよ……はああっ!」
紫の瞳を見開いて、富士王の足下がきらめいていく。轟・富士王のとっておき、それは彼自身が星になることだ。これこそが【飛閃・流れ星】。自分の身体を秒速で発射させ、まさしく流星の如き疾走を見せて落下するクラブへ追いついた富士王に、ジャグラは忌々し気に舌打ちをする。
「チッ、ジャグリングに負けぬ魅せ技を持っているようだが、たった一度チャンスを拾った程度だろう。まだまだ俺には及ばぬわ!」
「……それはどうだろうな、ジャグラ。貴様の手を見てみることだ」
「なあっ、なにぃ?!」
 ジャグラの頭のディアブロ部分がぐるりと回転して、右方にいる落葉を見る。今もジャグリングを続ける彼女だが、その姿は先ほどまでとやや異なっていた。どこがと問われれば、投げ挙げるクラブの数が。それに気づいたジャグラが驚愕の表情を浮かべて両手と落葉を見比べたその一瞬、ジャグラの手先はぶれ、クラブが甲高い音を立てて地面へと落下した。
「相手のクラブを弾くことに気を取られたのか、轟の動きに視線を奪われたのか……どちらにしても得物を失い、それを我に指摘されるまで気付かないとは、貴様は精神面まで達人という訳でもなさそうだな」
「いいや違う!俺は達人だ!達人ジャグラー、ディアブロ・ジャグラ様だ!」
 落とさないように細心の注意を払いながら四本のクラブでジャグリングを続けていた落葉も富士王も、ジャグラのクラブが落ちた音に手を止める。無表情であるが故に、堂々とした印象さえ受ける落葉の指摘が図星だったのか、ジャグラは声を荒げてその発言を否定する。
「大・カマキリを避けただけでなく、俺のクラブを奪い侮辱までするとは……!もはや許さん!!次に会った時がお前たちの最後と思うがいい!」
 どこから取り出したのか、大量のビニールボールを取り出すジャグラ。そのままコンクリートの地面に叩きつけられたビニールボールは、縦横無尽に跳ねまわって、ジャグラの後を追おうとする二人を足止めしたのだった。

●ジャグラ・セカンドバトル
 ビニールボールの足止めで逃げたジャグラを待ち受けていたのは動くスクラップの山だった。……ではなくて、それはフルーネ・フローライト(ウォーマシンの人形遣い・f05947)の変身姿。ウォーマシンに乗り込み、2mを超える巨大なスクラップを装備したロボットの彼女が、ジャグラの行く先を塞ぐようにして立っていた。
「ヒッ。あ、ああいや、なんだお前は!そこをどけ!」
 目の前に突然現れた巨体にややビビりながら、ジャグラはフルーネへと大声でがなる。声が聞こえていても、無口なフルーネからの反応は乏しい。真正面から大きなロボットに見下ろされている状況が落ち着かないでいるジャグラは袖口から新たなクラブを取り出した。
「どうしてもどかないというならば……仕方ない、ジャグリングで勝負だ!俺が勝ったらそこをどいてもらおうか!」
「別に、普通に受けて立つけど。むしろなんでその結論になったのか……まあ、私が負けても、相手するのは私だけじゃないし」
「はい?」
「おーーぅ、おうおう、ようはお前さん、入っちまったわけですよ。この俺めの縄張り、ワイルドハントの狩り場になぁ!」
 ロボットの巨体、その肩から顔を出して勢いよく飛び降りてきたのは白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)。黒い髪の合間から、金色の爛々と獣じみた光を宿すキマイラの瞳が光る。持参したクラブでピンとジャグラをまっすぐ指して、物九郎はひひひと歯を向いて笑った。
「そンなに勝負したいってぇなら、俺めが相手ンなってやりますでよ。ご自慢のジャグリングのその腕前、じっくり見せてもらいましょう」
「いいだろう……!その言葉、後で後悔するなよ!」
 ジャグラは二人から距離を取ってクラブを両手へ構える。元からキマイラはジャグラの標的。ここで倒せばまたひとつ、キマイラフューチャーでのジャグラの知名度がアップすることだろうという目論見だ。左腕に謎の刻印があるキマイラの男に、巨大なウォーマシン。一般的な見た目には不穏な取り合わせに思うものだが、ジャグラにとって重要なのは相手がジャグリングが出来るか否か、という点だけで、他の要素は気にも留めない様子である。
 では猟兵たちの方はと見れば、気になるのはウォーマシンに乗ったフルーネだ。通常サイズのクラブは小さすぎるように思えたが、意外にもクラブを試すように投げるその手つきはしっかりとしている。人形遣いとしてウォーマシンを動かしてきたフルーネは、その経験を存分に生かして手先を駆使しているのだ。何度か力加減を確かめてから、フルーネは無骨な機械の手でクラブを握る。
(真向面から受けて立つ……といいたいところではあるが)
 戦場にいる時は無口なので表にはあまり出ていなかったが、フルーネも内心では、敵は正面から堂々と戦っていきなり勝てる相手でもなさそうだと感じていた。だが、そこは真正面から受けて立つ。……フリをして、時間を稼ぐ。後々、少しでも仲間が有利になるように。自分に出来るのは、それくらいのことだろうから。
 お互いの準備が完了したことをどちらともなく感じ取り、ジャグラと猟兵たちはじりじりと向かい合う。二人の視線を受けたジャグラが大げさな動きで一歩前に出ると、クラブを大きく上へと投げあげる。それを合図に、三人三本のクラブが一斉に冬空へと跳ねあがった。

●ジャグラ・セカンド・リザルト
 既に一戦を終えた後ではあるが、ジャグラの動きには疲れが見えない。屈辱に身を震わせていたことなど無かったかのように、今の試合に集中している。ぐるぐるとクラブを投げる手は止めずに、やかましい位にフルーネと物九郎へ話しかけてくる。
「ふはは!お前たちもさっきの奴らも中々の胆力ある相手ではあったが、まだまだぬるい、さっさとこのジャグラ様にひれ伏すのだ!」
「あー、うるっさいっスねェ、ちょっと、てめェはなんでそんなぴーちくぱーちく囀ッてられるんすか、ねっ、と」
「知れたことよ!相手の動揺を誘うことが勝利への近道だからだ!集中を途切れさせる為ならいくらでもうるさくしてやるし軽口だって叩いてやる!」
「なーに、その無駄にネガティブな努力の仕方。面倒臭くないの?」
 はた迷惑なことを自信満々に語るジャグラ。勝つことだけがすべてだと豪語する彼にかけられたのは、いつの間にか三人が戦う様子を動画で撮影していた山羊のキマイラ、リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)からの一言だった。カメラ付きの携帯端末の画面を覗きながら、リダンを視界に収めたジャグラへと彼女はハァイ、と自分の存在を示すように顔の近くで軽く手を振った。
「乱入者だとっ、一体どこへ隠れていたのだ!」
「やーね、ただの通りすがりよ。アタシもあなたが今戦ってる彼らと同じ、猟兵だけど。ふふ、あなたが負けるところ、しーっかり撮ってあげるから、ね」
 冗談めかしてそう言うリダンだが、彼女がここへ来た目的もあながち間違っていない。ジャグリング勝負ではなく、情報収集の為の動画撮影。コンバット中のジャグラの挙動や癖を撮影して仲間へ周知する為に、彼女はこうして携帯端末を構えている。そしてそれ以外にも、彼女にはとある目的があった。
「『あーあ、面倒臭いわ。見た時点で、戦う前に勝負は決まってるのに』」
 自分へ、より正確に言えば自分の服へとジャグラの視線が向いた瞬間に発動する【ゴートリック・ファウスト】。リダンの服に描かれた模様に仕込まれた暗示に反応し、偽りの情報に惑わされたジャグラ自身の脳によって彼の五感は一時的に支配され、ジャグラの視界は真っ暗になる。解除までは数秒でも、受けた側には永遠に続くように思える暗闇へ叩きこまれたのと同じ。ジャグラは戸惑い、顔を青くする。
「どう?アタシの仕込んだ「みえない」暗示(デザイン)。自分のクラブも見えなくちゃ、どうしようもないわね」
「何をこれしきーっ!太陽の光も差さない地下深くの迷宮でジャグリングするイメージトレーニングだと思えば、いくらでもっ!」
 強がりを言うジャグラだが、実際にその目はクラブを追えていない。ジャグラーとしての経験と勘を頼りに手探りでなんとか受け止めてはいるが、ミスのひとつが命取りになるこの状況。相手を妨害するには絶好の機会を、悪知恵に長けた物九郎が見逃す筈は無かった。本来はクラブを取り落とされそうになった際に使おうと思っていた策。【ガチキマイラ】でライオンに変化させた尻尾で敵のクラブを奪わんと、物九郎は二本のクラブを手に軽業めいた動きでもってジャグラへ迫る。
「あらよっと。へっへっへ、てめェの得物、いただきやしたぜェ!」
 はっとジャグラが気づいた時には落ちてくる筈の三本目の感覚は無くなっていた。暗闇からは脱したものの、まだぼやけて見えにくい視界の中でも素早く動いているものへクラブを取り戻さんと向かっていく。だがその前に立ち塞がる、大きな壁。既にクラブを落としてしまい、コンバットから一抜けしていたフルーネのウォーマシンだ。ジャグラが回り込もうとしても、その大きな機体は思ったよりも素早く、明瞭でない視界ではくぐり抜ける隙も見つからない。ならばせめてもと、ジャグラは声をあげた。
「おい、そこのキマイラ!今、尻尾使っただろう!?尻尾!!」
「そーっスよ、えっ、なに?尻尾使っちゃダメなんて最初に言ってましたかよ?キマイラにしてみりゃ尻尾も体の一部っスよ?それを反則みたいに言われちゃァ、心外っスよー」
「屁理屈を……!いいか、コンバットで使えるのは素手のみ!クラブを奪う時に足を使うのはルールに反する!勿論体の一部である尻尾を使っても、だ!」
「あ、それ。ローカルだけど、足も使っていいルールもあるらしいわ。だから体の一部である尻尾もルール違反じゃないの。おわかり?」
 物言いをつけるジャグラを意にも解さない物九郎に、横からアシストするリダン。そして後ろで口数少なく、だがしっかりとジャグラを見ているフルーネ。味方がいないことを察したジャグラは、ぐぬぬぬとまだ負けを認めていない顔だ。
「ほら、さっきのあなたの動画。これ以上勝敗のことを言うなら、結果を動画の視聴者に決めてもらってもいいのよ」
「ぐ、ぐぅぅぅぅ、それは、それは……!」
「いやいやそれは流石に。尋常に競い合ってるだけならまだしも、敗者をアップしてあげつらうのはアウトでしょうわ。どっかの誰かならともかく、ねェ」
「うおぉうっ!これで勝ったと!思うなよーーっ!!」
 トドメを刺されたように胸を抑えたかと思うと、ばっさ、ばぁっさ!とディアブロ・ジャグラはその場でぐるぐる回りだす。鍛えられた怪人の自転によって生じた風はその場にいる全員の目を眩ませて、次に目を開いた時にはそこでジャグラが回転したのだろう、丸い円形に磨り減った跡だけが残されていた。

●ディアブロ・ジャグラ・ラストバトル
 リダンの投稿した動画は、キマイラの間でもそれなりの反響があったようだ。何せあれだけ暴れたディアブロ・ジャグラを倒したとなれば、驚きと同時に、どんなパフォーマンスを見せてくれるのかと期待の込められたキマイラたちからの視線も増えるというもの。そうしてジャグラとの三度目の戦いは、猟兵の戦いぶりを見物にきた大勢のキマイラが取り囲む中で始まったのだった。
「わぁ、どうしたの、この応援の数。すごいね?」
 山羊の耳をぴこぴこさせて、カンガルーの尻尾でバランスを取りながら、ユェン・ウェイ(M.Y.W・f00349)は驚いたように周りを取り囲むギャラリーを見渡す。
「前にどこかの猟兵があの怪人に勝利した動画をアップしたらしくて、それを見たキマイラが集まっているようね。期待されているのか、面白い見世物と思われているのか……さてさて」
 ユェンに集まったギャラリーの理由を教えたのは、手にしたクラブの調整を行っているヤドリガミのヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)だ。手にしたクラブに何かを仕込んでいる彼女の、時折その藍色の瞳を細めて笑う姿は少女のようでいて、どこか作り物めいていた。さらにその横に先ほどまで立っていたはずのアノルルイ・ブラエニオン(変なエルフの吟遊詩人・f05107)は何時の間にやら輪の外で、飛び入りの実況パフォーマーらしいキマイラと何事か話しあっている。やけにニコニコとしているが、何を企んでいることやら。キマイラたちのざわめく声をBGMに聞きながら、白い毛並みのケットシー、大虚・空(ヴォイドウォーカー・f03327)は猟兵たちと向かい合っている例の怪人、ディアブロ・ジャグラのほうをちらりと見た。
 ここにいる猟兵のほとんどがそうだが、空もジャグリングの経験は少ない。しかし手先の器用さがものを言うのならば、人形遣いの自分にもなんとかなりそうだ。そして空には更に、ジャグラと戦わねばならない理由があった。肉球でジャグリングなど、無謀だと。これはもう、自分に喧嘩を売られたも同然だ。
(……とはいえ、真っ向から勝負するのも味気ないか)
 ならば、どう戦うか。ジャグラを前に猟兵たちはそれぞれの思う最良の作戦を考えてきた。その成果を今、見せる時。ジャグラは不敵な笑みを浮かべて、猟兵たちの前に立つ。そこへ飛びだしたアノルルイ。彼は自信満々に、堂々とした佇まいで、ジャグラへと向けて朗々と語り出す。
「待ちたまえ怪人君!こういう言葉を知っているかね!『勝負は時の運だ』……!」
 アノルルイの言葉に、ジャグラはディアボロ頭でウムウムと頷く。キマイラフューチャーの成り立ち的にも、今の言葉に感じる部分があるのかもしれない。
「君が最強だと?!今まで挑んだジャグラー達とあと百回戦い、全て勝利せねば認められんな!」
「いいや、パフォーマンスの世界は弱肉強食、一度負けたものは勝ったものより弱いのが世の常識!下剋上など優れた才能の前にはありえぬ夢想!もう一度やったって絶対俺が強くて勝つから強いに決まっている!」
 アノルルイの煽りをまともに受けて燃え上がるジャグラ。彼の闘志を見て周囲を囲むギャラリーの輪の中から進み出てきたキマイラは、どうやら審判役のつもりであるらしい。派手な色のフラッグを手に、猟兵たちとジャグラを交互に見る。
 鋭く響くホイッスル。翻る旗の音が静寂を割って、歓声とクラブが、空を切る。

●ジャグラ・ラストリザルト・アンド……?
 猟兵三名に、ジャグラを含めて総勢四人でのコンバット。どれが誰のクラブであるのかも、慣れていないと判別がつきにくい状況でも、猟兵たちは自分の能力を活用して見事にジャグリングを続けていた。四人?そう、四人だ。アノルルイは輪の外でキマイラのジャグラーたちと戦っている仲間を応援で支援している。彼の【サウンド・オブ・パワー】が、仲間の戦意を高揚させてくれる。キマイラへと向けて歌い上げる応援歌も、今このキマイラフューチャーの為に戦う彼らの守るべきものを思い出せてくれる。そして周囲のキマイラたちからも歓声が沸き上がる。そんな応援歌とキマイラの声援を背にして、猟兵たちも戦っている。
 ジャグリングって奥が深い。このコンバットってのもちょっと激しいけど面白いなぁ。そんな感想を抱きながら、ユェンは身軽な動きで落ちてくるクラブをキャッチ、もう片方の手で持っているそれを次のクラブを受け取る為に投げ上げる。楽しいものを、結果的に衰退させるオブリビオンはボッコボコにしてやらないと!決意と共に心の中で拳を握るユェンは、自分の身のこなしに自信があった。あえてジャグラの近くまで踏み込んでみたり、大きく飛んだクラブをリカバーしてみたり、アクロバティックな動きを見せるユェンにギャラリーも盛り上がる。
 ジャグラに一矢報いたいと考える空は、クラブを奪ってやろうと近づいてくるジャグラの逆を突き、小柄な体躯と猫並みの瞬発力でジャグラの手を離れたクラブを奪う。目線を向ければ、ジャグラは奪われたその一瞬で、腰のベルトから抜いたクラブを補充していた。どうやら最後までバレなければ勝ちなのだと、敵は開き直ったらしい。しかしそれはジャグラにもう後がないのだと思わせる行為でもあった。ならばと再び空はクラブを奪い、それが最初から自分のものであったかのように軽々と回してみせる。増えたクラブを巧に操り、空はジャグラの技に対抗する。
 素晴らしい腕前というならばヴィオレッタも、まるでクラブが自分の一部であるかのように自由自在に動かしている。軽く手を翻せば舞い上がるようにクラブが飛び、吸い付くようにヴィオレッタの手へ戻る。
 種を明かせば、彼女は戦う前に自分のクラブへ【錬成カミヤドリ】で作成した自分の分身、青色の金剛石を仕込んでいたのだ。念力で操作されるクラブを彼女の手で操っているように見せていたのである。いくらジャグラが妨害を仕掛けてこようとも、当てようと飛ばされたクラブはなぜかぎりぎりで回避されるし、奪おうと伸ばした手もあと少しですり抜ける。歯噛みしながら遠ざかるジャグラへとわざとスピードを上げて煽ってみせるテクも、煽りに弱いジャグラには効果的だった。
 時にアノルルイが鼓舞し、ユェンが迫り、空が奪い、ヴィオレッタが遮って。開始から十分後、やがてジャグラのクラブが底を尽き、長いようで早い、決着を向かえる時が来た。

「……所詮、安定的にできる技を長く続けるだけじゃダメなんだよな。最強を名乗るなら、誰にもできないようなことを、誰よりもできるようにならなきゃさ」
「あなた、自分の敗北シーンはアップしないのかしら?」
 追い打ちをかけるようにしゃがみ込んだジャグラへと、空とヴィオレッタの声がかけられる。何かを言われるたびにぐさぐさと胸に刺さったかのようなジェスチャーをするジャグラを見て、実は結構余裕なんじゃないかな、とユェンは思った。この怪人に酷い目を合わされたキマイラの為にも、怪人自身にしっかり負けを認めさせたいんだけどな。ちなみに先ほどキマイラたちと大音声で歌っていたアノルルイは、先ほどのジャグラの発言を取り上げて実に楽しそうに弄っている。
「覚えてやがれ……覚えてやがれ……拠点に帰ってやり直しだ、お前らなんて、お前らなんてーーーっ!」
「あ、ちょっと!こら待て、まだ負けましたって聞いてないよーーっ!」
 ディアブロ・ジャグラは悲哀に満ちた声で叫ぶと、足からディアブロ型のタイヤを生やした。呆気にとられる猟兵たちとキマイラを後に、涙の光る跡ととても独特なタイヤ痕を残して、ディアブロ・ジャグラはキマイラ・フューチャーの路地裏へ消えていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『怪人を追え!』

POW   :    とにかく全力で追いかける

SPD   :    ルートを読んで事前に罠を仕掛けておく

WIZ   :    話しかけて注意をひく

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●ディアブロ・すぐ煽られる
 猟兵たちによって自信という自信を折られたディアブロ・ジャグラは己の脚部に装着されたディアブロを回転させ、走っていた。思い起こすのは輝かしいあの日々。爪とか肉球とか毛皮とか翼とか、どうやってジャグリング器具を使っているのだと問いたいキマイラ特有のあれやそれ。キマイラのちょっと手先が器用なやつらを打ちのめしてやった快感。おお、あの頃は良かったなぁ。
 ジャグラには自信があった。それは自分が優れた旧人類であることの他に、ジャグリングの腕前という意味での自信でもあった。
「そうだ、俺だ。俺が一番上手く、ジャグリングが出来るんだ!」
 ……しかしそれも奴らによって木っ端微塵に砕けてしまった。失意を胸に、走るジャグラ。だが道路から道路、路地裏を駆け抜けていくディアブロ頭のディアブロインラインスケーター。そんな面白存在の彼を見逃すようなキマイラたちではない。
「なあ、あいつってあの動画のアレじゃね?」
「まじ?でもあれだとスケーターじゃんか、違うっしょ」
「パフォーマンス転向だろ、こないだよく知らないけど立て続けに負けたらしいし」
「えー!動画でアレだけ最強ジャグラー言ってたのに?!」
 ざわざわざわ、彼が駆け抜ける度に後ろから聞こえてくる会話に。
「俺はジャグラー!ディアブロ・ジャグラだー!!」
 キマイラ・フューチャーの街角で、ジャグラの叫びが響き渡った。
●ディアブロ・ジャグラを追え!(行動方針について)
第一章、プレイングありがとうございました。どれも楽しそうなプレイングで、その楽しさに引っ張られて書かせていただきましたが、ご満足いただけたら幸いです。
一旦間章を挟んでからの第二章では、皆さまに逃走するディアブロ・ジャグラの追跡を行っていただきます。
今回の各能力値に対する行動の方向性は以下のような感じです。

POW とにかく全力で追いかける
SPD ルートを読んで事前に罠を仕掛けておく
WIZ 話しかけて注意をひく

何かひとつ、追いかけるにあたって自信のあることを教えてください。
PCさんのそういった面をなるべく重視したリプレイを書ければと思います。
文章については、やや長いですが一章リプレイを読んでいただければ、大体の傾向と方向性が分かると思います。
竹城・落葉
 意気込み
 逃がすものかっ。そう考え、余計な事は考えず追跡に集中する。

 行動
 元武将の体力を活かし、ひたすら追跡する。冷酷な雰囲気を醸し出し、無表情かつ無言でどこまでも追跡する。執念深く追跡する事には、自信がある。物を投げつける、路肩の物を倒すなどで妨害を仕掛けてきたら、足を止めず、その妨害の対象を『剣刃一閃』で切り伏せて追跡を続ける。万が一、怪人が住人に危害を加えようする、或いは住人に危害が及んだら、追跡を中止し、住人を守る、或いは住人を助ける。


ユェン・ウェイ
よしよし、ちゃんと拠点へ向けて逃げ出したね
そこも見つけ出してボコボコだ!

僕は再び『スカイステッパー』を使って追跡するよ
建物の上をどんどん跳んでショートカットしつつ進んでいくね
空を飛び回るのは得意だから、この方法なら簡単には見失わないはず
上から視認しにくい場所なら仲間の様子を見ながらルートを推測するね

相手が向かっている方向をなんとなく推測して、他の仲間をサポートすべく上から妨害したりもするよ
道を塞ぎきらない程度に物を落としたり、適当に煽ったりするね
僕はお前が負けを認めるまで追いかけるからねー!

他の仲間と連携出来そうならしっかりする
空からの目は頑張るから、陸の目は仲間に任せようかな


ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
飛び道具を使うから目の良さには自信があるつもり。
あらかじめ地図を入手。遠くを見通せる場所を選んで通り、ディアブロを見つけたら行先を推測。
その先にロープの罠でも仕掛けておきましょうか。
通りかかったらさっと引っ張って足を引っかけるようにしましょう
「まるで本人がジャグリングのクラブみたいよね?」
うまくいったらそんな感じで話してみましょうか。



●追う者たち
 逃亡を続けるディアブロ・ジャグラ、だが、猟兵たちはその後を追いかける。
 先陣を切って走るのは、竹城・落葉(一般的な剣客・f00809)だ。疲れを見せないのは流石武将というべきか。無表情かつ無言で背後に迫る落葉の威圧感に、ジャグラは首元に日本刀の刃を当てられているようなヒヤリとしたものを感じていた。

(逃がすものか……っ!執念深く追跡することには、自信があるんだ)

 余計なことは考えず、ただひたすらにジャグラを追いかける落葉。ジャグラが人ひとりしか通れないような狭い道を選んでも臆することなく突き進んでいく。

「うおおっ、俺の後を追ってくるなァ!!」

 走りながらジャグラが両手を交差させると、バッと広げた手に握られているのは前に逃走した時に見たビニールボールだ。狭い路地の中で投げ放たれたボールは周囲に置かれた段ボールやポリバケツに跳ね返って当たり、崩れたそれらが落葉の行く手を塞ごうと転がっていく。だが落葉は眉一つ動かさず、走る速度も緩めない。
「フッ!!」
 【剣刃一閃】、走る勢いも上乗せした居合切りが彼女の邪魔をするものを両断し、彼女が進む度に後ろへ両断された段ボールやポリバケツの残骸が積まれていく。冷や汗かく様子すら見せないその仕事人というべき姿にジャグラは更にボールを飛ばし、落葉は冷静に対処する。
 ジャグラが店の裏に山と積まれたポリバケツを進みながら崩していく一方で、落葉はそれを斬り、時に避けつつ行く。順調に追いかけてはいるが、徐々に落葉とジャグラとの間には距離ができつつあった。微々たる誤差ではあるが、これ以上路地裏を進ませるのは落葉にとって分が悪い。何より、切り捨てていくのはキマイラたちの迷惑にもなるだろう。
 ならば、と路地の合間から空を見上げる落葉。そこには屋根から屋根へと飛び移る、ユェン・ウェイ(M.Y.W・f00349)の姿があった。
 【スカイステッパー】でキマイラ・フューチャーの空を跳びながら、ジャグラを見失わないようにユェンは目を凝らす。屋根から屋根に飛び移り、時にスライダーのようにカーブした屋根の上を滑りながら、ジャグラまでの距離をショートカットしていく姿はまるでピンポン玉のようだ。派手なネオンの看板を吊るしている鉄の棒を支点にして、勢いのまま一回転、北風のように素早い動きでジャグラへ近づいていく。

「僕はお前が負けを認めるまで追いかけるからねー!」
「ならば俺はお前たちが諦めるまで逃げ切ってやるーっ!」

 ジャグラの頭上を飛び越しながらユェンが煽れば、負けじとジャグラも大きな声で返してくる。

(よしよし、ちゃんと拠点へ向けて逃げ出したね。そこも見つけ出してボコボコだ!)

 空から見えない屋根の下へとジャグラが逃げ込めば、落葉が後を追いかけて、ユェンにも見える場所へと追い込む。空からはユェンが、陸からは落葉が。
 二人が協力しあってジャグラを追う一方、そこから少し離れた歩道橋の上では。

「ふぅん、ジャグラは今あのあたりみたいね。……次の角を曲がったら、その先はボロボロのバラックだらけ、ね。少し足止めと誘導が必要かしら?」

 跳び回るユェンを遠くに見つけ、地図を確認したヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)。アーチャーである彼女は、ここからジャグラを探して、逃走する方向から次の行き先を推測しようとしていた。
 彼女も飛び道具使いとして、目の良さには自信がある。見つけたジャグラの追跡はそちらが得意な他の仲間に任せて、自分はジャグラの行く先に罠を仕掛けることにしよう。
 跳んでいくユェンの位置をもう一度確認して、ヴィオレッタはジャグラよりも先に回り込む為に自身が予測した場所へと走っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

白斑・物九郎
「逃げる獲物に追う猟師
オゥケィ、ワイルドハントの始まりっスよ
リダンのねーさんが裏で控えてくれてますでね
こっちゃはせいぜい前へ出張って追い立ててやりますわ」


●SPD
野生の勘コミで先回りを試みる

自信アリ:『砂嵐の王』での自分有利な陣地の敷設

UCを「当てて致傷する」ではなく「周囲の視覚情報をグチャグチャにし、次の逃走経路を得辛くさせる」目的で運用
先回り成功時、左腕を宙へ一振り・砂嵐(モザイク)を喚起
敵前方・進行方向上をUCで扇状に広く薙ぐ

モザイク空間の只中に立ち己を強化状態に
他者の連携にも繋げ易いよう逃走経路の限定・誘導の企図を含んで威嚇
敵が己のサイドを抜けようとたら組み付き系のグラップルで捕捉せん


リダン・ムグルエギ
さて、ここに新たな流行(トレンド)を生み出そうじゃない
既にデザインは完成されているわ…第一章からね
アタシは「負けたディアブロの動画」という「作品」を公開することでユーベルコード発動
相手への致傷ではなくキマイラフューチャーで「負け惜しみを叫ぶディアブロの動画を撮影するブーム」を生み出す事を狙うわ
安全に離れた場所から撮ってね、と注意書きし
動画にはブームを起こしやすいようサブリミナル的「催眠術」も仕込み
モザイクが目印、とか撮影者側への情報も掲載

すると自宅で寝てる間にネットにディアブロの動画が溢れかえる、という寸法よ

ワイルドハントの狩場はこの町全体
最新の情報を取捨選択してぶっちーや皆へ連絡し続けましょ



●策練る者たち
 落葉とユェン、二人の追跡も効果を上げているが、逃げるジャグラを追い詰めているのはそれだけではなかった。
「お、なぁあんた、あのジャグラー追っかけてるんだろ! あいつならさっきあっちへ向かったよ! 曲り道が多いから、最後にはあのビルの辺りだろうね!」
「えっ、あ、ありがとうー?行ってみるね!」

 空から追いかけるユェンに、ベランダからかけられる声。同様に落葉にも、応援する声がキマイラたちからもたらされる。
 彼らに広がっている、一過性で局地的なブーム。リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)が作り出した、新たな流行(トレンド)だ。
 逃亡したディアブロ・ジャグラを見てまず彼女が公開した、ジャグラとの決戦を撮影した動画。彼女の【トレンドメーカー・GOATia】によって、動画を見たキマイラたちの間へじわりじわり、サブリミナル的に仕込まれた催眠術も相まって浸透し、短い時間の内に『逃げるディアブロ・ジャグラを見付けよう!』というブームとなって、キマイラたちはこぞって自分の目撃したジャグラの動画を上げだしたのだ。

「さて、ここに新たな流行(トレンド)を生み出そうじゃない」

 自分の安全に配慮して、離れた場所で撮影しましょう。動画の冒頭でそんなメッセージを発する、自分を模した山羊のミニキャラを見ながらリダンは笑む。ぶれた画面の中、通過する横顔や遠ざかる豆のような後ろ姿や、頭上から撮影されたと思しき写真。次々にリダンのアカウントへ寄せられる目撃情報の内、最新かつ有用なものを選り分けて仲間へと送りつつ、撮影するキマイラへ向けたジャグラの情報も更新する。

「ワイルドハントの狩り場はこの町全体。無事に逃げられるなんて、思わないことだわ」
 よろしくね、ぶっちー。そんな言葉と共に、送信されたジャグラの位置情報。
 新しいメッセージを受信した端末の画面を見ながら、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は肩をぐるっと回して息を整える。彼もジャグラを追いかけつつ、自身の有利な場所へ追い込まんと画策していたのだ。

「逃げる獲物に追う猟師。オゥケィ、ワイルドハントの始まりっスよ」

 真っ直ぐに追いかける落葉とユェン、物九郎もその横道を行く形でジャグラの後を追っていた。ジャグラの先へ回り込むように、リダンからの情報と野生の勘コミ、脇道を通り抜けて走るジャグラへ近づいていき、いまや向かってくるジャグラを目視できる位置に物九郎はいた。追い立てられながら走るジャグラを見て、物九郎はユェンへと自分の方へ誘導するよう頼むジェスチャーを送る。
 はたしてその意図を理解したのか、ユェンは近くにあったポップな色のピエロの像に飛び移ると、コンコンコンと鼻を叩く。途端、ブルブル震えたピエロの胴体から飛び出してきたのは大量のボウリングピンだ。ざあざあと川のように足元を流れていくピンに、ジャグラは避けるように道を大きく曲がる。
 そこへ立ち塞がるのが、物九郎だった。

「おのれまたしてもお前かキマイラ! 邪魔をするな、どけぇぇぇぇい!!」

 突進してくるジャグラを見ても、物九郎は一歩も引かない。待ち構えるように、にやにやとした笑みを浮かべたままで左腕を宙へ一振り。腕の刻印から吐き出されるようにモザイクが彼の周囲へ滲んでいき、街の風景を歪ませる。鮮明だった世界が組み替えられていく。やがてジャグラの行く手を阻むように、物九郎の【砂嵐の王】が展開された。
 このままモザイクの中へ突き進むことにジャグラは多少の不安を覚えたが、最早後には引けない。両腕を振って三連に繋がったカラーボックスの盾を出現させると、顔の前で腕を組んで固定。物九郎ごと吹き飛ばそうと突撃していく。
 スピードを上げたジャグラの突撃でかき消されるモザイクの砂嵐。物九郎が横を抜けようとしたジャグラをグラップルで捕捉しようと飛びつくも、あえなく弾き飛ばされてしまった。

「フハハハハ、軟弱よなァ!! たかがモザイクで俺を傷つけられると思うなよ!!」
「ま、なかなかにやるんじゃァねーですかねェ。とはいえこちらのお目当てに気付かないんじゃ、まだまだっスけど」
「なにぃ……?」
「へへへ、ワイルドハントの狩り、見せてやりまさァ!」

 ようやくジャグラは違和感に気付く。自分の見ている世界に、貼りつけられた歪み。右を見ても、左を見てもモザイクだらけの空間。
 物九郎は元より、攻撃が目的ではなかった。ジャグラの逃走経路を潰す為、視界から得る情報を無くして選択肢を狭めたのだ。彼の目的に気付いたジャグラが目を擦っても、物九郎がモザイクで塗り潰したこの空間にいる限り、そのモザイクは晴れることはない。

(リダンのねーさんが裏で控えてくれてますでね。こっちゃはせいぜい前へ出張って追い立ててやりますわ)

 物九郎のそんな思惑の通り、ジャグラはこの場さえ離れればなんとかなるだろうと思うも、それには進もうとしていた道を行くしかなくなることに気付く。
 その場所に住んでいる者でなければ、道がどこに続くか、どこが行き止まりかは分からない。ただでさえ落葉とユェン、二人の猟兵に追い立てられて、リダンの扇動するキマイラたちの目が彼を探しているのだ。そんな状況で、何の情報も無い道を行くほどにディアブロ・ジャグラは無謀ではなかった。
 だからこそ、例え敵の作戦だと分かっていても、彼が熟知するルートを選ぶしかない。着実にジャグラの道は、破滅へと向かって一直線に整えられていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フルーネ・フローライト
まぁ逃げる相手は追うが妥当だけど図体はでかいままだと移動もままならないしむしろ逆に威圧感有りすぎで狭い路地とかに行かれたら追いかけるすべがない…
とりあえず味方に逃げ道を誘導してもらって終着点で待ち構えたほうが無難かなこれは

スクラップの山を壁にすれば偽装はできるし


アノルルイ・ブラエニオン
ルートを先回りして罠を仕掛ける…
罠とは! この! 私のことだ!
実質WIZ勝負

奴は今、自信を無くしている
そういう時に聞きたいのは自分を許容してくれる歌だろう

ならば歌おう!
だって私は吟遊詩人だから!

ちなみに得意な楽器はリュートだ

ルートを予測して先回りし
奴の前に現れる

そして呼びかける
「ヘイ! ジャグラー!
ジャグリング好きなら諦めんなよ!
私の歌を聞いていけええええ!」

「♪Oh ジャグラ ディアボロ・ジャグラ
たとえ今日に負けたとしても
明日勝てればそれでいい」

とは言え……
他者を蹴落として目立とうとしたお前には
明日は来ないだろう

今は帰るがいい



●待ち受けていた者たち
 物九郎のユーベルコードによる視界の撹乱。ジャグラはとにかくその場を離れる為に走っていく。しかし猟兵たちの追跡網は確実に狭まっていた。

「くっ、このジャグラ様がこのような醜態を晒そうとは……ジャグラーたるもの、いつでも余裕に! 華麗に! そうでなくてはいかんのだ!」

 まったく余裕でも華麗でもない逃げ恥を晒しながら、ジャグラは狭い路地裏を抜け出そうと走る。彼の脚部に生えたディアブロタイヤも、道ならぬ道を一度も止まらずに走り続けたことで随分と消耗している。
 暗く狭い路地裏を進んでいくと、開けた場所が見えてきた。光が差し込む方へとジャグラが更に加速しようとした瞬間、かなり強めの衝撃がジャグラの足へと広がった。主に、向こう脛付近を中心として。
「………おっ?おおおうっ、うぅおおおおおーーーーーっ?!」

 弾かれたようにジャグラはバランスを崩して、前方へとつんのめる。頭と両手を中心に庇うようなしぐさで丸まって地面と衝突した際の衝撃を和らげようとするが、逆にその態勢が勢いをつけてしまうこととなり、積まれた工事用の土のうやカラーコーンが並ぶ、建築途中で放棄されたような佇まいの現場の中へ、ジャグラはごろごろと転がっていったのだった。

「い、いったい何が……はっ、あれはルォーーープ?! ロープだとぉっ!」

 前転からの倒立を経て、とうっ!と着地するディアブロ・ジャグラ。素晴らしいバランス感覚を見せた彼が自分の転がり出てきた路地への入り口を見れば、そこには真横に新しいロープが張ってあった。ジャグラの向こう脛に走るジンジンとした痛みは、そのロープにトップスピードで勢いよくぶち当たったからだろう。ジャグラが怪人でなければ、しばらく動けなかったかもしれない。痺れる足でなんとか立っているジャグラがこんなことをした犯人を見つけようと辺りを見渡すと、罠に使ったロープを回収しながら、そのしぶとさに呆れたような顔をしているヴィオレッタが物陰から姿を現した。

「非道な罠の使い手はお前だったか!」
「倒せるとも思っていなかったけどね。それにしても、まるで本人がジャグリングのクラブみたいよね?それなりに面白いパフォーマンスだったわ」
「ほほう……ふっはっは!! なかなかに見る目があるようだな! そう、俺はジャグリングの怪人! すなわち俺が、俺こそがジャグリングの化身!」

 褒めたわけではないのだが、面白いという言葉に高らかに笑っているジャグラ。煽られやすいその性格は、褒め言葉でなくても褒め言葉に聞こえるくらい単純なようだ。そんな彼の背後で、リュートの音色が響く。柔らかく、慰めるように、繊細な音でジャグラに向けた曲を奏でているのはアノルルイ・ブラエニオン(変なエルフの吟遊詩人・f05107)だった。彼もまたディアボロ・ジャグラよりも先回りし、罠を仕掛けようとした一人だ。
 そして、その罠とは……果たしてこれを罠と言ってもいいのだろうか?

「罠とは! この! 私のことだ!」
 じゃらん、と弦を鳴らすアノルルイが、滔々とジャグラへ語りかける。

「キミは今、自信を無くしている。そういう時に聞きたいのは自分を許容してくれる歌だろう……?」
「お前たちに負けたことなどっ、俺にはまったく! まったく効いておらんわ!」

 負け惜しみを言うジャグラだが、その目はチラチラとヴィオレッタを見ている。コンバットの乱戦の最中、何度挑んでも彼女のクラブへ掠ることさえ出来なかった光景がまだ頭の中で渦巻いているのだ。

「ならば歌おう! だって私は吟遊詩人だから!」
 じゃらららん、アノルルイはリュートを更にかき鳴らす。そして彼が歌い、紡がれていくのは応援の歌。ジャグリングを諦めるなと、明日には明日の勝利があるとアノルルイは歌う。ジャグラも唐突な歌に様子を見ていたが、アノルルイの音楽に乗せられてきたのかしっかりと彼の方を向いて彼の歌を聞いていた。

 ようやく足を止めたジャグラに、後を追いかけてきた猟兵たちも続々と集まってくる。歌うアノルルイとそれを拝聴するジャグラの姿に独特な空気が出来上がりつつあるのを感じながらも、逃亡しないように彼らの周囲を囲んで様子を見ている。
 サビらしき歌詞が続いた後、リュートの最後の余韻が響く。感動したように拍手を繰り返すジャグラへ向かって、アノルルイは笑って口を開き。

「とは言え……だ。他者を蹴落として目立とうとしたお前には、明日は来ないだろう!今は帰るがいい、ディアボロ・ジャグラよ……」
 
 上へ上へと持ち上げておいて、梯子を外す。少なからずこのリュート野郎もちょっといいんじゃね?と思っていたジャグラの心にぐっさりと刺さる一突き。周りで見ていた誰もの耳に、心がパッキリ折れる音が聞こえた気がした。

「鬼か悪魔だ、このうるさいエルフ野郎ーーー!」

 ディアボロ・ジャグラが涙を堪えて再度脚部のタイヤを回転させる。それを逃すまいと周囲に集まった猟兵も構える中で、ディアブロ・ジャグラはそのマントから長い棒を取り出す。先端を紐と紐でつないだスティックこそ、ディアボロ・ジャグラ、その名にも冠している、ジャグリングを代表する独楽を回す為に必要なもの。
 ディアボロ・ジャグラは縄跳びをするように両手でスティックを持つと、脚部のディアボロで紐へ飛び乗る。
「本来は時間をかけて回転させなければならないが、仕方ない……はぁぁーっ!」

 脚部のタイヤが回転し、紐が左右に引かれる。ディアボロ・ジャグラは自身を独楽として、ディアボロのように放り投げようとしているのだ。
 しかし、ここには彼を追っていた猟兵たちが集まっている。ディアボロ・ジャグラを追いかけて来た者もあれば、先回りをした者もいる。そして、ヴィオレッタのようにここで彼を待ち構えていたのは、アノルルイだけではなかった。
 ディアボロ・ジャグラがその自主回転でもって飛び上がろうとしていた、その瞬間。工事現場に積まれたガラクタの山の中から、偽装の為のスクラップを振るい落として動き出したのは、誰あろうフルーネ・フローライト(ウォーマシンの人形遣い・f05947)なのであった。

「もうこれ以上は逃がさない、よ……」

 路地裏を抜けて逃げ回る怪人の追跡に一番頭を悩ませたのがフルーネだろう。なにせこの巨大なウォーマシンがあっては、移動もままならない上に相手にはすぐに見つかってしまう。それこそ小さな道や入り組んだ路地へ入られては、追いかけようにも成す術がない。だからこそ、フルーネは味方にジャグラの逃げ道を誘導してもらって、終着点で待つことにした。大きすぎるその機体は、工事現場にあった大量のスクラップで隠して。
 フルーネの巨体は、周囲の包囲網から逃れようと飛び出すジャグラの上を行く。
 空を目指すジャグラを、覆い被さるように防いだ分厚い鉄の壁。ガツン、だか、ガゴゴゴン、だか、鈍い鈍い音響かせて、ジャグラは空へ羽ばたくことなく墜落したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ティラノサウルス怪人』

POW   :    ザウルスモード
【巨大なティラノザウルス】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ティラノクロー
【鋭く長い爪】による素早い一撃を放つ。また、【装甲をパージする】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    学説バリエーション
対象の攻撃を軽減する【羽毛モード】に変身しつつ、【体から生えた鋭く尖った針のような羽毛】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
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●ディアボロ・ジャグラは牙を剥く
 ついに猟兵たちは、ジャグラー怪人、ディアボロ・ジャグラを追い詰めた。
 地面へ転がる、ディアボロ・ジャグラ。その体に亀裂が入り、頭のディアボロが左右に割れる。頭のディアボロは被り物、本来の顔を隠していた仮面に過ぎなかった。
 衝撃的な驚きの声をあげる猟兵たちに、割れたディアボロの隙間から、ギロリと睨む野生の目。

 広がりながら、戦闘態勢を取り始めた猟兵たちの前で起き上がる、ディアボロ・ジャグラ。その手には鋭く長い爪が伸びている。

「俺に、俺の爪を、出させたなぁァーーーっ!」

 吠える、吼える、ディアボロではなく、暴君と呼ばれたトカゲの顔を持つ怪人が、咆哮する。猟兵たちを許さないと、雪辱を晴らさんと。
 武器を構えよ。目を逸らすな。これが最後の、戦いだ。
【マスターより】ボス戦です。ここまで来たらもう言うことはありません。
戦って、勝つ。それだけです。皆様からのプレイング、お待ちしています。
アノルルイ・ブラエニオン
爪を出したか…
と言うことは、ジャグリングも言葉も捨ててただ殺し合おうというのだな

いいだろう、決着を付けよう

ただし私は言葉と音楽を捨てないが!


これだけの猟兵が集まっているのだ
【楽器演奏】【パフォーマンス】技能を最大限活用し【サウンド・オブ・パワー】で戦闘力を高めるぞ

「戦えッ! イェーガーーーーーーッ!!!」

シャウトから始まるアツいナンバーをお届けするぜ! stay tuned!

「研ぎ澄まされた牙 それはキマイラの牙だ
鍛えられた刃 それはサムライの得物だ
虚空を射抜くブラスター 謎を食らう触手
闇を穿つブレイズ 蒸気仕掛けの巨人
オブリビオンよ どの世界にも
俺達は現れる
イェーガー 戦場(ここ)にあり!」



●うたうたいしもの
 ディアボロ・ジャグラの咆哮がビリビリと工事現場に響いている。ガキンガキンとこすれあう鉄の爪の音は、聞く者にその硬質さ、鋭さを予感させる。

(爪を出したと言うことは、ジャグリングも言葉も捨ててただ殺し合おうというのだな)
 アノルルイはそのまま、周囲から一歩踏み出してジャグラに呼びかける。リュートのじゃらんと鳴らされた音に、ジャグラの視線が彼に向いた。

「いいだろう、決着を付けよう。 ……ただし私は、言葉も音楽も捨てないが!」

 リュートの調べにのせてアノルルイが歌うのは、戦う猟兵たちへと捧げる歌だ。時に速く、熱く、かき鳴らされるイントロが、これから始まる激闘を予感させて周囲に立つ猟兵たちの気分を高めていく。

「戦えッ! イェーガーーーーーーッ!!!」

 アノルルイのシャウトが空高く響く。
 手慣れた彼の楽器演奏に、場を盛り上げる渾身のパフォーマンスは聞いた者の心を震わせて、歌詞に宿る音楽の力、【サウンド・オブ・パワー】が戦場にいる猟兵たちの心を揺さぶり、敵へと挑む彼らの背を力強く押す。
 声を限りに、我ら猟兵はここにありと、目の前のオブリビオンに宣言するようなアノルルイの歌声が、彼らの戦いの始まりを告げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

竹城・落葉
 どうやら、ここまでのようだな。我ら猟兵が引導を渡してやろう。しかし、成程。その吠え方を見るに、それが貴様の本性と言ったところか。ジャグリングを楽しむその姿は仮面に過ぎなかったというのか。敵とはいえ、その事は実に残念だ……。そう考えた後は戦闘に集中し、余計な事は考えない。
 我は『剣刃一閃』で怪人を切り伏せよう。戦闘中は追跡時と同じく、冷酷な雰囲気を出して無表情かつ無言で攻撃を仕掛ける。


リダン・ムグルエギ
うんうん、いい啖呵ね。実に動画映えするわ!
でも、本気を出すのが…少し遅すぎたわね
だってフルーネさんを始め、複数人が事前に待ち構えていた場所よ
情報を皆に融通してたアタシが仕込んでないとでも?

という感じで(あるいは戦闘中に
仕掛け罠を設置して、隠れて撮影してるわ
大量のビニールボールが溢れるとか、足場が突然高速回転するとか
ま、気を引ければ十分なの

その気を引いた一瞬を利用して……アタシは手持ちの糸を活用し防具改造を試みるの
対象は怪人の装甲や被り物
それを、「パージできなく」してしまうのよ
あら?服飾家の前でなら、服はちゃんと着ないとね

そして、後はずーっと動画撮影に勤しむわ
戦いは専門家にお任せよ

アドリブ大歓迎



●実直と柔軟
 怪人がまず狙ったのは、その歌声によって彼らの中で最も目立っているアノルルイだった。鋭く光る鉄の爪で、彼が抱えるそのリュートごと引き裂こうとジャグラは右腕を振り上げて突き出す。
 
 しかし、その爪がアノルルイに届くことはない。
彼とジャグラの間に入るようにして、爪を刀で受け止めているのは落葉だった。

「どうやら、ここまでのようだな。我ら猟兵が引導を渡してやろう」

(しかし、成程。その吠え方を見るに、それが貴様の本性と言ったところか。ジャグリングを楽しむその姿は仮面に過ぎなかったというのだな。)

 ぎらぎらとした目のジャグラを見て実に残念だ、と心では思いながらも、その顔はジャグラと最初に出会った時から見せていた無表情を貫いていた。

「おのれ、この程度で俺の爪を防げるとでも思ったか!」

 邪魔な刀ごと握りつぶそうとするジャグラの爪を横へ薙ぐことで振り払った落葉は、そのまま刀を切り返し、腰から肩の高さまで、跳ね上げるようにその切っ先を上げての【剣刃一閃】、ジャグラの胴を狙って斬りかかっていく。
 その剣戟を避けようとしたジャグラの足が、何かに当たった感覚で止まる。何かと見れば、この場に似つかわしくないビニールボールが転がっていた。
 こんなもの、今のジャグラなら踏みつけてしまえば何の苦も無く割れるだろうが、わざわざ不安定な場所へ立つことはないだろう。
 そう考えてボールの波の中を進もうとするジャグラであるが、足下を転がるビニールボールの数は徐々に増えていく。ジャグラを巻き込むように転がっていくビニールボール。それはなぜか落葉たちの方には一つも転がっていかない。それこそが、リダンの仕掛けた罠だった。
 ジャグラの視界を阻むように一列に並んだドラム缶の陰に隠れて撮影を続けながら、リダンは端末の画面を覗いて言う。

 「うんうん、いい啖呵するじゃないの、実に動画映えするわ」
 コンバット勝負の際から、一貫して動画を撮り続けていたリダン。彼女は自分が作る動画の被写体としての目線でジャグラを見ていた。

 「でも、本気を出すのが……少し遅すぎたわね。だって、アタシに仕込みの時間を与えちゃったんだもの」
 そもそもこの工事現場には、フルーネを始めとしてジャグラを待ち受けている猟兵が何人もいた。キマイラたちの撮影した写真や動画の情報、ジャグラの進行方向から到着地点を予測し、この場所の位置を仲間たちへ伝えたのは誰あろう、リダンである。そして彼女は予測地点でジャグラを待ち構える間に、その場にあるもので即席の罠を準備していたのだ。時間は少なかったが、その手先の器用さと【レプリカクラフト】によって彼女が作った罠は、罠としては荒い造りをしていても、足場を塞ぎ動くことを妨害するだけならば十分な役割を果たしたと言えよう。
 
 ようやく不安定な足場から抜け出したジャグラが鋭く長い爪で猟兵たちへかかっていくが、スピードに乗り切れていない状態では、見てから避けるのも容易いものだ。軽くいなされ、逆に斬りかかってくる落葉に苛々とした様子でジャグラはその肩を震わせる。それは怒りからではなく、肩を覆う外殻をパージすることで速度を得んが為の動き。しかしそれも、リダンの手の内。
 落葉に集中しているジャグラの一瞬の不意をついて、リダンはその手にもった糸でジャグラの肩を縫い付ける。防具の改造で手慣れたその針さばきによって、パージ寸前の装甲は糸を引きちぎる勢いで浮かび上がったが、しかし完全には外れなかった。

「これぐらいで俺の力を封じたと思うなど、甘い甘いあまーーーいっっ! トウッ、学説交換(セオリー・チェンジ)! 俺には羽毛だって生えるのだ!」

 ジャグラの勢いはまだ止まらない。外れなかった肩の装甲を手で押さえ直すと、今度はぐるっと空中へ飛び上って一回転。そのまま着地した体には、鱗の代わりに羽毛が生えていたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

白斑・物九郎
●SPD
爪の解禁にエラい檄してますわな
さぞガンガン使って来ると見ましたでよ

[野生の勘]コミで敵攻撃を掻い潜り、喧嘩殺法[グラップル]で真ッ向勝負

と見せ掛けて不意討つ気満々
殴ると見せ掛け、実は指間に鋭く握り込んでる鍵を狙い澄ましてブッ刺す[だまし討ち&鎧無視攻撃]、なんなら目も狙って[目潰し]、命中次第[傷口をえぐる]

攻防中はさっき奴のクラブを掠め取るのに使った尻尾をちら付かせ続けまさ
これは「尻尾からガチキマイラが来る」と思わせる作戦ですでよ

注意とガードを誘導出来たら、ここぞの所で[怪力]ブースト付き[グラップル]
次は[グラップル]を警戒させて尻尾ガチキマイラをブチ込むコンボで翻弄してやりますわ


大虚・空
……ふむ

ディアブロが弾けたらティラノとは
思いもよらなんだな

まぁやることは特に変わらない
……敵は殲滅するのみ、だ

敵は見たところ小細工は苦手そうだし
スピードでかく乱しつつ少しずつ削っていくとするか

基本的にヒット&アウェイで
敵が徐々に焦れていくような動きを心がけよう

大ぶりで隙だらけな攻撃が来たらチャンスだ
【オペラツィオン・マカブル】で大ダメージを与えてやるよ

失敗したら自分が大ダメージだが
そのあたりは絶対に失敗しないタイミングを見計らえば良いだけのこと

敵は一人で
こちらは複数

連携さえ十分なら恐るるに足らず、だろうさ

さぁ、準備はいいか?
覚悟は出来たか?

では征こうか
気負うことはない
所謂簡単な仕事ってやつさ



●狩人たちの空
 ディアボロ・ジャグラの体を覆っているのは、体から生えた羽毛だった。鳥の羽のような柔らかそうな羽毛が鱗のあったところへびっしりと生えている。変わらないのは鋭く長い爪を備えた大きなその体格と、牙を持つティラノ頭くらいなものだった。

「ふははっ、その目は俺の形態変化に驚いているな! これが俺の羽毛モード……お前たちの攻撃など柔らかく包み込んでしまう、柔軟な盾よ! そして!これが!」

 高笑いと共に自分の姿を解説するディアボロ・ジャグラは、羽毛で覆われた自分の腕を顔の前で掲げる。するとその羽毛は鋭く尖った針のように逆立ち、ジャグラが腕を左右に広げた途端に猟兵たちへ向けて発射された。

「ちょいとー、あっぶねェですよッ!いきなり撃つヤツがありますかッてェの!」
 自分も隙あらば不意討つつもりでジャグラの様子を伺っていた物九郎は、尻尾の毛が逆立つような野生の勘で首を右へ傾けて羽毛の一本を回避する。羽毛は後方へ積まれたスクラップ置き場へ当たったらしく、積み重なった一斗缶の崩れるようなガラガラという音が物九郎の抗議の声に被さって響く。

「ふぁーはっはっは!! 見たか、これぞ俺のスペシャルな羽毛シュート! 硬いぞ速いぞ貫くぞ! ……おぉう、羽毛と共に心も奮えるなぁ!」
 ぶるぶると羽毛の生えた胸を震わせるジャグラ。だがその震えはジャグラの慢心から来るものでは無く、羽毛モードの維持で奪われる身体の熱を補おうとする切実なものでもあった。羽毛のままでいるだけでも、失われていくものがあるようだ。

「……ふむ、ディアブロが弾けたらティラノとは思いもよらなんだな」
 嘆息する空だが、彼のやるべき事は変わらない。
(敵は殲滅する、それだけだ)
 ジャグラは形態変化前と同じく、小細工の苦手そうな所は変わっていない。ならばスピードで撹乱し、徐々に奴の余裕を奪っていけば勝機も見えよう。

「では、征こうか」
 その名に違わぬ空色の瞳をひとつ伏せて、開く。十の指に嵌めたリングでたわめた糸を引けば、空の背後で花嫁のような白いドレスを纏ったからくり人形が起き上がる。からくり人形、銘を「壊世」。彼の一族が得てきた知識と技術、その結晶。未だ真価を秘めたまっしろな彼女は只静かに目を伏せて、空の後ろで佇んでいる。

「ま、つまりはこいつに撃たせなけりゃァいいってことですわな。ナァニ、撃っても前みたく、こいつでキャッチしてやりやしょう」
 へらへらと笑う物九郎がその尻尾の存在を示してみせると、【ガチキマイラ】でクラブを奪われ負けた過去を思い出したジャグラは、物九郎へとリベンジに燃えた目を向けた。

「貴様ぁ……一度ならず二度までも、おのれおのれおのれぇぇぇ……!」

 変身したジャグラの能力を警戒し、距離を取っていた猟兵たちの視線はジャグラへと注がれている。低く低く、物九郎は弓を引き絞るようにその足をじりじりと引き、空はからくり人形を操る指を引いて、次の一手を待つ。双方、スピードには自身のある二人だ。その目は油断なくジャグラの動きを追っていた。

「ならば散々とおちょくってくれた礼をしてやろう、キマイラッ!」
「応、真ッ向勝負といきましょうや!」

 両腕の爪と目を鋭く光らせて、ジャグラは足に力を込める。地面を蹴って走るジャグラへと、射た矢の様に跳躍一つで追いついた物九郎はそのまま、グラップルの有効範囲である接近戦へと持ち込んだ。持ち込みはしたが、ここで思い出してほしい。物九郎は最初の対戦、それに次ぐ追跡で、何を成したか。

 悪知恵上等、口より先に生まれたような彼が真ッ向などと口にしていても、本当にそうするかは彼次第。案の定、真っ先に放たれた拳はティラノの眉間へ向かう。ジャグラが眉間へ届く前にその長い鼻先で手を弾けば、指と指の間でわずかに光っていた鍵の先端が手首を曲げたことで露出したのだった。
 不意打ちに失敗してもそのまま目を狙って目潰しを仕掛けるものの、首を回して避けたジャグラの頬へ物九郎の拳が掠った程度。カウンターとして逆にジャグラの爪が物九郎の肩を打ち、しかし吹き飛ばされた物九郎の影から更に小さい身体を生かして接近した空が、ジャグラの顎をダガーの柄で打ち上げたのだった。

 素早い二人の連撃は続く。物九郎の尻尾を変化させたガチキマイラとグラップルでの攻撃を取り混ぜたフェイント、空のヒット&アウェイ戦法はジャグラを翻弄し、時折発射される羽毛シュートも避けられる。羽毛モードによって消耗していく体力に、ジャグラは焦りを感じていた。

「ちょこまかちょこまかと、よくうご、動っ……ていやぁ!」
「……焦れば焦るだけ、不利になる。自分が一人で、相手が複数なら、尚更だ」

 羽毛の弾丸を避けることもせず、空色の毛並みで覆われた指で糸を引く。糸の先、大きく空を切って広げられた羽毛の両腕、無防備に差し出されたその腕の中へと、白きからくり人形がするりと飛び込んだのだった。

 発動する、【オペラツィオン・マカブル】。羽毛の針は確かに空へ届いたが、彼へダメージを与えることは無かった。からくり人形を通して排出されたダメージを受けたのは、針を飛ばしたジャグラ本人だ。
 自分の技と同じ威力の技を食らって吹き飛ぶジャグラだったが、その目にはまだ、野性的な命の光が残っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フルーネ・フローライト
アレが正体…いやあの見た目なら顔隠す必要性無いんじゃないかな

と容姿が結構アレな自分を顧みて思いつつも今までの分と犠牲者の無念をのせて容赦なく攻撃します。

相手が最終手段でティラノサウルスになるならこっちはベルセルクトリガーで対抗だ!

おまけに周囲のスクラップでビルドマシーンで更にパワーアップして大迫力な巨大戦に…でもやってることは殴りあい


ユェン・ウェイ
えーっ!?あの顔って本当の顔じゃなかったんだ!?結構可愛いって思ってたのに……
とはいえ凶暴な怪人だ、倒すよ倒すよー

僕はまず【ダッシュ】と【スライディング】を使いつつ位置取りをするね
あの爪に当たるのは危なそうだし……
縦横無尽に動き回って、【野生の勘】でチャンスを見つけたらユーベルコード!
『ドラゴニック・エンド』で攻撃するよ
相手をしっかり【串刺し】に出来るよう、何度も槍を突き刺しにいくね
上手く当たればあとはドラゴン君にお任せ、トカゲよりドラゴンのが強いもんねー!

まわりに仲間がいれば連携を試みるよ
動きで相手を翻弄するのは僕に任せてね!


ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
「ええ、出させたわよ。それがどうかしたのかしら?」

他の皆が戦っている後方から集中しての千里眼射ち。
味方が危険になりそうなタイミングで狙い打つわ。

援護射撃1、誘導弾2、2回攻撃2、鎧無視攻撃1、恐怖を与える1、気絶攻撃1、鎧砕き1など使えるスキルはすべて導入するわ。
距離を詰められそうになったら味方の支援を得られるところまで逃げつつ、クイックドロウ1での射撃も浴びせてあげる。



●最後はかいじゅうだいけっせんだ!!!
 爪の一撃も破られ、羽毛モードも破られて。最早ボロボロ、満身創痍なディアブロ・ジャグラであったが、彼はまだまだ諦めてはいない。

「まだだ……まだこの手は勝利を掴める、なぜなら俺の手なのだから……!」

 羽毛に覆われた手と鋭利で硬質な爪を空へとかざして、ジャグラは宣う。だって、今まで勝ってきたんだ。この惑星での生存競争には負けたとしても、キマイラたちパフォーマーを倒してきたことは、間違いじゃないんだ!
 彼の心の奥底には、そんな自信がまだ残っているようだった。

 しかし、そんな彼の姿に疑問を呈する者も数名。
(えーっ!?あの顔って本当の顔じゃなかったんだ!?結構可愛いって思ってたのに……)
(アレが正体…いやあの見た目なら顔隠す必要性無いんじゃないかな……)

 ユェンとフルーネの二人である。すっかりあのディアブロという仮面(?)を見慣れていたので、その下に隠されていたのがあのティラノザウルスヘッドということに驚きの声も上がるというものだ。ただ、フルーネはウォーマシンと仮面という違いはあるが、顔も体も隠している同士、ジャグラのあの中身位ならまだマシと言えそうな気もするけど、と考えてもいたが。
 とはいえこれもお仕事ですので。凶暴な怪人を放っておかない為、犠牲者の無念を晴らす為、二人ともしっかりとジャグラを倒すつもりでいる。

 ボロボロの羽毛を脱ぎ捨てるように学説バリエーションを解除したディアブロ・ジャグラ。その体の鱗は傷だらけで、無事なところなど無いように見える。
 だが、ジャグラはまだその余裕な態度を崩さない。むしろ更に増長しているような気さえする。まるで、ジャグラの体ごとその態度も大きくなっているような……いや、彼の体は確実に大きくなっている!
 ようやく猟兵たちが違和感に気付いた頃には、ディアブロ・ジャグラはティラノザウルスのような姿の人間から、猟兵たちを見下ろせるほどに巨大なティラノザウルスそのものへと姿を変貌させていたのだった。ブルブルと巨大な頭を振るわせて、ジャグラは猟兵たちへ大きな口を開いて哄笑する。

「ふふふふふ、お前たちもこれで終わりだ! この俺に最後の姿を出させてしまうとはなァーーーーーハッハッハッ!!」
「ええ、出させたわよ。それがどうかしたのかしら?」

 一口で食べられてしまいそうな体格差でもまるで物怖じせずに、ヴィオレッタが言ってのける。まったく自分を恐れていない様子の彼女に、ジャグラはその発言が本心からのものであると悟って牙を剥いた。

「分かっていないようだな。いいか、これこそ俺の最強の力、最強の姿なのだ!」
「だけどそれじゃ、クラブどころかボールもジャグリングできそうにないじゃないの。そんな姿で最強なんて、笑っちゃいそうだわ」
「そうだよねー、君はジャグラーとして、最強なんじゃなかったの?」
 ヴィオレッタの言葉に頷いて、ユェンが続ける。ジャグラは痛いところを突かれたのか、それともすっかりそれを忘れていたことに気が付いたのか。ぽかんと大きな口を開けていた。

「た、例えクラブが握れなくても、オレこそ最、さ、さい、グ、ギ、ギャォォォーーーッス!!!」
 ドスン、ドスン、ドンドンドンドン!!!
 はっと気が付いた様子で、何かを言いかけたジャグラだったが、突然、溢れるエネルギーを抑えられないとでもいう様に彼はその場で足踏みをしはじめた。
 しかしその姿には、今までのような憎き猟兵たちを倒そうという敵意が感じられない。そのままジャグラは工事現場に置かれたままのドラム缶を踏みつぶし、散らばっていた三角コーンやコンクリートブロックはジャグラの凶暴な力によって、スクラップと呼べる段階を通り越して曲がりきった屑鉄へと変えられていく。

「なんか、様子が変じゃない……?」
 首を傾げるフルーネの下、ユェンの野生の勘が告げていた。今の状況、すっごくヤバい、と。

 ジャグラはまだ暴れ足りないのか、今度はぐるんぐるんと長い尻尾を振り回す。ジャグラを取り囲むように位置取っていた猟兵たちは、各々で緩慢な尾の動きを軽く避け、それぞれの得意な技で攻撃を仕掛ける。しかし、ティラノサウルスとなったジャグラにはまるで効果がない。むしろ素早く周囲をちょこまかと動いている小さな生き物どもが癇に障ったようで、特に素早いヴィオレッタや空、次いでユェンを狙って叩き潰してやると尾を使っての乱れ打ちを繰り出してきた。

「わーっ、わわーーっ!あっぶないなぁ、もう!」
 ひょいひょいとダッシュとスライディングを繰り返し、ユェンはジャグラの足元を潜り抜けて執拗な攻撃を回避する。ヴィオレッタも第六感で振り下ろされる尾の行方を感じとったり、ジャグラの攻撃で潰れたスクラップを盾にして攻撃を防いでいるものの、このままでは皆してあの恐竜に踏みつぶされてしまう。そんなことはさせないと、スクラップの中でフルーネは立ち上がった。

「皆、どいて!」
 ピンチはチャンス。危険な時こそ、猟兵の真の姿は解放される。フルーネは【ベルセルクトリガー】を発動させ、ウォーマシンごと最終武装モードへと巨大化する。周囲のスクラップも力に変えて、ティラノサウルスに対抗するように立ち上がった、巨大ロボット、もとい最終武装モードのフルーネ。彼女は理性を無くしながらも、暴れるティラノサウルスを止める為、ジャグラへと体当たりする。

「いきましょう、フルーネを援護するわよ」
 ヴィオレッタは自分の持てるすべての能力を使い切るつもりで、回転式拳銃の引き金を引く。これは平和を作るもの、ならば、その名に恥じぬ活躍を。
 彼女の【千里眼撃ち】が、ティラノザウルスの肩を撃ち抜く。撃たれた反動にやや頭を引きはしたものの、しかしまだティラノザウルスは倒れない。

「オッケー、動きで相手を翻弄するのは僕に任せてね!」
 そう言って、ユェンが大きく飛び出した。ドラゴンランスを構えて、フルーネと掴み合っているティラノザウルスの周囲をぐるぐると回って視線を引き付ける。視界の端でチラチラと動いているユェンに気を取られたティラノザウルスの隙をつき、フルーネはティラノザウルスを横薙ぎに、どう、と地面へ引きずり倒した。
 すかさず、ユェンが跳躍してその開いた腹へと、串刺しにするつもりでドラゴンランスを投擲する。だが、彼女の槍は腹へと届く前にティラノザウルスの尾で弾き飛ばされてしまうのだった。

「あぁ、もう!あとちょっとなのにっ!」
 急いで槍を回収するものの、次の機会を狙うのは難しいだろう。しかし、ユェンの行動がすべて無駄になった訳では無い。ユェンの槍へと意識を向けたティラノザウルスが態勢を整えて立ち上がろうとする前に、フルーネがその巨体で圧し潰すようにマウントを取って、殴る。殴る。とにかく殴る。何の怨みがと思うくらいに殴る。犠牲者の無念とか、今まで逃げられた分とか、理性が無くとも心に宿した多くの思いを乗せて、フルーネはティラノザウルスを力の限りに殴り続けたのだった。

 
 まるで怪獣映画の様な光景がしばらく続いた後、とうとう動かなくなったティラノザウルスに、疲れ果てて最終武装モードが解除されたフルーネ。重なり合って固まる二つの巨体はだんだんと縮んでいき、巨大化する前の見慣れたサイズへ戻った。

「う、うぅ……」
「おお、しんでしまうとはなさ……いや、まだちょっとだけ息があるとは、なんというタフさだ!」
 びくびくと跳ねているディアブロ・ジャグラを見て、アノルルイが言った。その言葉通り、今にも消えそうな息も絶え絶えの状態で、ジャグラはへへ、とその口の端を歪めて笑ったようだった。

「こんな爪の俺でも何かが出来ると思って……見つけたジャグリングだったのに……お前らなんかに負けちまったよ……」
「やっと……、やっと認めるんだね? 君の負けを」
「ああ、身軽な動きのキマイラの娘よ……確かに認めよう、俺はお前達に負けた……」
 ようやく自らの口で負けを認めるジャグラに、ユェンは胸を撫で下ろした。不慣れなジャグリングでのコンバット勝負を挑んで、逃げるジャグラを追いかけて、ティラノサウルスとなったジャグラと戦って、長く続いた気がするこの仕事にもついに終わりの時が来たようだ。猟兵たちは互いに顔を見合わせて喜びを確かめ合う。

「だが!負けたのはお前達にであって、キマイラになどではなーーい!!」
カッッッ!!と最後の力を振りしぼるように、目を見開いてジャグラは宣言する。
「俺達怪人はまだまだ!いっぱい!沢山!!キマイラたちを虐げ、暴れてやるのだ!どぅーーーーわっはっはっはっはぁ!!!!旧人類、最高!!」
 そんな言葉と、エコーがかった笑い声の余韻を残して、ジャグラの姿は強く吹いた冷たい冬の風に吹かれるように、跡形も無く消えていったのだった。
 そして視点は、澄んだ冬の空へとパン。

「はい、これで撮影終了、ね。おつかれさまでした」
 ピ、と停止ボタンを押して録画を終えるリダン。戦闘中でもずっと彼女は撮影を続けていた。その手に持った端末には、どんな映像が残されているのだろう。そしてそれは、公開されることはあるのだろうか。それぞれに思うところはあるだろうが、しかし今は、勝利を喜ぶことにしよう。
 キマイラフューチャーでの彼らの冒険は、こうして幕を閉じたのだった。






 後に、キマイラフューチャーの動画サイトの片隅でひっそりと閲覧数を伸ばす動画があった。それはとてもリアルなティラノサウルスと、とてもリアルなスクラップの集合体のロボットが、組みあい押しあい殴りあい、大乱闘を繰り広げる動画だ。

 その動画を投稿したアカウントは匿名の上にプロフィールの大半が非公開なので、キマイラたちは動画の真偽について、投稿者の喧々諤々、時に真面目に時におふざけ半分に、それぞれが面白いと思う結論を持ち寄って、今日も議論を楽しんでいる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2018年12月25日


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#キマイラフューチャー


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト