帝竜戦役④〜キノコの森の仔竜
●『胞子飛び交う毒の森』
大小さまざまなキノコの森。目に見えるほど厚く立ち込めた胞子が視界を遮る。
そんな森の中で、何匹もの小さな影が仲間内で戯れている。
「ギャウ!」
遊んでいるのは生まれてそうそう経ってない仔竜たち。何も知らず、周囲の環境に染まりやすいソレは、この場所で育つことにより、自然と毒を纏うようになっていた。
何も知らない仔竜たち。無知からくる故の無邪気さは、裏で糸を引くものにとってむしろ都合が良い。
―――猟兵たちへ差し向けられた彼らは、無邪気という名の悪意をもって爪を振るう。
●『みんな、ガスマスクは持ったカナ?』
「何も知らない仔竜たち。善悪の判断基準も、力加減も。何とも哀しいネ
......」
さてどうしたものかと、いつになく複雑な表情で石動・レイン(刹那的快楽主義者・f03930)は集まった猟兵たちに説明し始める。
もし仔竜らが戦場にいなければ、猟兵たちへの刺客として配置されていなければ
......。ifを語ってもしょうがない。それが道を塞ぐのであれば時に非情な判断を下すこともまた必要だ。
「できることなら倒さずに、と言いたいところなんだけどネ。彼らはもう、周囲の毒を取り込み、それを使うことも覚えてしまっている程ほど環境に適応してきているヨ」
だからこそ、放っておけばやがては災厄を振りまく存在へとなりかねない。
「そして場所が場所ダヨ。毒の胞子舞うキノコの群生地、対策なく迂闊に入り込めば
......」
ほんの少しでも吸い込めば、肺から入った毒が身体を侵す。少しずつ細胞を破壊し、いずれは手遅れとなる。そんな恐ろしい毒がこの場所全体を覆っている。そして何よりも厄介なのは、仔竜たちはこれを武器として使ってくるということだ。
「ただ幸い、と言っていいのカナ?適応したといっても仔竜たちの耐性も万全じゃない。高濃度の毒を直接接種させることができれば効かないわけじゃないヨ」
とはいえそんな物騒なモノ、猟兵にとっても危険でしかない。
「まあそんなわけで、あまり気乗りするようなものでないかもしれないケド
......よろしく頼むヨ」
―――そういってレインは、猟兵たちを送り出す。
「あ、そうそう。戦場には宝石トリュフなる宝物が埋まってることもあるそうダヨ。なんでもたいそう香しく、腐敗することない宝石のように輝くトリュフだそうな
......時間があれば探してみるといいかもネ
......」
まあそんな気分になれないかもしれないけどネ
......そんな呟きを背に、猟兵たちは次なる戦場へと足を踏み入れる。
外持雨
外持雨です。帝竜戦役その④。次の戦場はキノコの森。ファンタジーですが危険な毒が舞っている物騒な場所です。イメージ的には惑星フェルー〇ア。
毒をどうにかしないことには継続してスリップダメージを受けます。ここももうじき腐海に沈む。これこそは!というようなアイデア大歓迎です。
それでは皆さんのプレイングをお待ちしています。
そうそう、宝石トリュフとやらは1個につき金貨44枚(44万円)の価値があるそうな
......。
第1章 集団戦
『戯れる仔竜』
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POW : じゃれつく
【爪 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 未熟なブレス
自身に【環境に適応した「属性」 】をまとい、高速移動と【その属性を纏わせた速いブレス】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 可能性の竜
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑7
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黒玻璃・ミコ
※スライム形態
◆行動
ふーむ、万毒の群生地とは実に素晴らしい響きです
しかも幼生とは言え竜種が入れ食い状態
こう言う場所は【空中戦】の要領で
ほよよんと群生地の中を【念動力】で跳ねつつ
毒の胞子やキノコを少しずつ【捕食】して
私の真価である【毒耐性】を更に環境に適応させ攻略しましょう
【気合い】と【ドーピング】で力任せで乗り切るのですよー
オブリビオンにはこの地の霊脈を通じて【生命力吸収】をするつもりと見せかけ
その実は【黒竜の遊戯】による圧倒的な物量で【範囲攻撃】として封殺しましょう
【毒使い】である私が精製した触れれば腐食する毒も一緒に散布しながら、ですね?
◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブOK
あたり一面に生える色彩豊かなキノコ群。サイケデリックで目に毒なソレは、目だけではなく、実際に猛毒。そんな危険なエリアに立ち入っても平気な顔をしている猟兵がここに一人。
「ふーむ、万毒の群生地とは実に素晴らしい響き」
キノコの傘を踏み台に。舞い散る胞子も意に介さず、重力のくびきから解き放たれたかのように跳ぶ黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)。
ブラックタールである彼女、今は人型ではなくスライムの形態を取っている。ふよんぽよんふよよんとでも擬音がつきそうな光景でキノコの上を飛んでいく黒饅頭。
「しかも幼生とはいえ竜種が入れ食い状態。なんともありがたいことです」
跳躍する度に、足場にしたキノコが揺れる。それは猛毒の胞子の放出を促すだけの行為にほかならない、が
......
「ピリッと辛くてスパイシー」
毒なんて元から効かない上、ちょっとずつ捕食しては身体の内に蓄えていく。これもブラックタールという種族の強みであろう。
そうこうして探索すること、数十分。キノコが開けた空き地一つ。そこにはじゃれあう仔竜たちの姿。
「それじゃあお仕事しますかー」
のんびりとした声でそう言うと、仔竜たちに気づかれないよう毒を散らしていく。この森の毒よりもはるかに凶悪な、触れた箇所から肉が腐り落ちていく劇毒。
『いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第玖の竜よ!』
続けて放つは【黒竜の遊戯】。解放された純粋な魔力が仔竜たちを打ち据える。
攻撃を受けてから、やっと彼女の存在に気付いた仔竜たち。一回りほど大きな体躯の仔竜が数匹、必死に反撃しようと飛び掛かるもその爪は彼女まで届かない。
「そこはもう私の領域ですから」
怒りの特攻もただ彼女が散布する毒に突っ込んでいっただけ。爪を振るうこともできず。翼が、四肢が腐り、一匹、また一匹と落ちていく。
その光景を見て恐れをなし、残った仔竜たちは逃げ出していく。
「ありゃー。逃げちゃいましたか
......まあ他の猟兵が何とかしてくれるでしょう」
まあいいや、と地面でのたうつ仔竜へと視線を向ける黒玻璃。これからとる行動に邪魔さえ入らなければべつに構うことではない。
のそり、のそりと地を這いながら、まだ息のある仔竜へとゆっくり近づいていく。
これから起こる未来を垣間見たのか、必死にもがく仔竜だが、腐り落ちた四肢ではもう動くことなどできない―――ましてや逃げるだなんてことは。
「それじゃあ
......」
―――イタダキマス。
ガバリと広がる漆黒。
霞む視界が闇に包まれていく中、生れてはじめて恐怖と絶望を覚えた仔竜。だが次に生かすチャンスなど、もう巡ってこない。
成功
🔵🔵🔴
朱酉・逢真
(深呼吸)フゥー……やァ、いい毒だなァ。下手にこねくりまわしてねえ、純粋に有害な毒。俺はこういうンがいっちゃん(一番)好きだ。うめえし。病毒は俺の得物でね、撒くも喰らうもお手の物さ。
さて、たっぷり喰って元気も出た(当社比)し、俺からも毒をお返ししようかィ。定命の間じゃァ三倍返しがはやりらしい。ひと吸いで粘膜をびらんさせ肺を腐らせ血管を壊す《毒》をくれてやろう。少しずつ破壊するだなんて悠長だぜ。オヤいらない。遠慮すんなってェ。《虫》や《鳥》に運ばせようか。こいつらは耐性があるから、運ぶことができるのさ。さァさァ、遠慮無く。
ハロ・シエラ
仕方の無い事ですね。
せめて毒を持っていなければ、とも思いますが……相手が子供でも倒すしかありません。
とにかく厄介なのがこの地域の毒です。
気休めな上に息苦しいですが、布か何かで口と鼻を覆っておきましょう。
戦場ではなるべく【息止め】しておきます。
また、呼吸数を減らす為に余り動かず敵の攻撃を待ち、その動きを【見切り】【カウンター】のユーベルコードで迎え撃ちます。
可能なら、爪を【武器受け】気味にレイピアで受け、それごと切断してしまいましょう。
ここまで毒を吸わない様に悪あがきはしましたが、実際戦って全く吸わないと言う事も無いでしょうね。
その時は最後の砦の【毒耐性】
で何とかしましょう。
ベム・クラーク
アドリブ連携歓迎!
「輝く宝石トリュフ、楽しみですね。」
ベム自身が手に入れるつもりはありません。ただ見てみたいと思い、宝石トリュフの埋まっている場所の情報を集めます。
そして、ベムの機械の体に毒が通用するかはともかく、浄化フィルターとコーティングをしたうえで出撃します。【毒耐性】
「危険濃度を測定。…なぜこの環境で生命活動が可能なのでしょう。機械竜でしょうか?」
生命の不思議を感じますが、現れた仔竜に銃口を向け、距離をとって攻撃します。さらに、一か所に集まるように誘導出来たらフルバースト・マキシマムを斉射します。
ただし、宝石トリュフが埋まっていそうな場所に流れ弾がいかないように細心の注意を払います。
秦田・麻弓
胞子くらいのサイズなら行けるハズなので、口鼻は普通の濡れマスクで防護して、あとは能力で帯電して静電気的に吸着したり電圧掛けて焼いたりして、体内に入るのを防ぎます。
だ、大丈夫ですよねこれで、苦しかったり死んだりとかしないですよねっ?
武器として使われるともっと対策大変そうなので、長距離からバレないようにスナイパーです。
中枢でも末端でも、とにかく血が多めに出そうな部位を。
呼吸系とか消化系は早い段階で順応してるかもですけど、血液系は直接摂取するとなるとかなり刺激的なんじゃないかな、とか。
無邪気でもどうでもオブリビオンですし、可愛いけど敵ですし。
難しいこと考えないのは得意なので、任せてくださいっ
尾守・夜野
毒…かぁ
各種耐性で耐えつつ、自身の指ににかみつき吸血、刻印で解析
解析した毒から解毒薬(毒使いより)作成し、回していこう
更に判明した毒に耐性のある生物のパーツに四肢を置き換えとく
気休めだが多少はましに成るだろ
毒の種類が複数だろうが…
即死じゃないなら森は俺のフィールドだ
キノコやらから生命力を奪い回復しながら動くからな
オートヒール&毒耐性獲得しながらいこう
お前らは遊んでるだけかもしれんが…
恨みはないが消えてもらう…!
相手の攻撃に合わせ皆(剣)で切り裂こう
キノコにも興味はあるが…
刻印の限界のが近いからな
適宜吸血しながら敵を倒そう
まぁこの毒きのことトリュフは最後探してみるか
「フゥー
......やァ、いい毒だなァ」
まるで人気のない山の空気が美味しいとでも言うかのように。これでもかというほど深く息を吸い込む朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)。常人であるならば、ほんの少しでも胞子が肺に至れば、血を吐き、のたうち、苦しみもがく猛毒であるはずなのだが
......
「下手にこねくりまわしてねえ、純粋に有害な毒。俺はこういうンがいっちゃん好きだ。実に美味い」
毒を喰らって美味いなどと評価できるのは、あくまで彼が病毒を得意とる神であるからだ。撒くも喰らうもお手の元さと自慢気に笑う。
「危険濃度を測定
......なぜこのような環境で生命活動が可能なのでしょう。機械竜の類でしょうか」
ふと頭をよぎった疑問を口にするベム・クラーク(ウォーマシンの鎧装騎兵・f27033)。彼もまた人ではなくウォーマシン。機械の身体を有する彼に細胞を害する毒など効きようもないが、念のためにと、今回は耐毒コーティングに浄化フィルターを搭載してきている。
「だ、大丈夫ですよね?マスクで防げていますよねっ?毒で死んだりとかしませんよねっ?」
「今のところは大丈夫なようですし、いざとなれば息を止めれば肺には入らないでしょう。少し苦しい程度ですむのでは?」
「いやぁ!!苦しいのは嫌ぁ!?」
「騒げば余計に胞子を吸い込むだけですよ」
対策はしているとはいえど不安なのか、秦田・麻弓(びびりびりびり・f00217)が尋ねるも、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は淡々と冷静に返す。
二人とも布で鼻と口を覆っているために、もごもごとくぐもった声になっているが他に動物の気配がない森の中では十分に騒がしい。
「問題ない。既に周囲の毒はオレが解析した。もし吸ってしまっても解毒薬は作ってあるから問題ない」
身体の組織を毒に耐性のある生物へと置き換えて、尾守・夜野(墓守・f05352)が安心しろと言う。
だが解毒剤があるといってもそれはあくまで解毒するためもの。つまり使うためには一度毒を受ける必要があるわけで
......
安心できない問題しかないと、より一層騒ぐ秦田だが、尾守がそれを意に介すことはない。
「なぁに、お前さんたちがあんまし遠くにいかねえンなら大丈夫さァ」
クックッと笑いながら、朱酉が問題ないと太鼓判を押す。
一行の中にいるのは毒を喰らう神に、毒を浄化していくウォーマシン。この二人の存在のおかげで周囲の毒は、他と比べて格段に薄いものとなっている。あくまで彼らの周囲だけだが。それに解毒剤もあれば万が一があったとしてもたいしたことではないと。
どこか和やかな光景。だがここは猛毒の立ち込める敵地。決して気を抜いてよい場所などではなく
......
「地形スキャンに動体反応あり。敵のお出ましのようです」
ついでというよりもむしろこちらが本命と、各種センサーを駆使して宝石トリュフを探していたベムのセンサーに何かが反応する。彼の注意に従って、各々が武器を構え、気を引き締める。
胞子の雲で良好とはいえない視界の中、接敵するまであと数秒。
「ぎゃう!」
胞子の雲を突っ切って現れた仔竜を電撃が貫き、肉の焼け焦げた臭いがあたりを漂う。まずは一匹。だがこれで終わりではない。
続々と現れる仔竜の群れに応戦する猟兵たち。
「あ、そちらは宝石トリュフが埋まっていそうなので注意してください」
「細けェなァ
......荒らさなきゃいいンだろう。どれ、俺からは毒をお返ししようかィ。なに遠慮はいらねェさ」
宝石トリュフの埋まる地面を荒らさないように、精密な射撃で仔竜たちを追い立てていくベム。そして朱酉は、こいつァプレゼントだと、眷属の虫を介して毒を送り込む。粘膜を侵し、肺を腐らせ、血管を壊す毒。例え毒に抵抗のある仔竜とて十分量で死に至らしむる、そんな毒。まあ数匹の虫から注入される分量では即座に致命とはならないが。
「ひぃい、こっちに来ないでくださいお願いします!」
それでも動きを鈍らせるには十分。毒を喰らった仔竜の動きが鈍ったところを、怯えた声とは裏腹に、秦田のライフルから放たれた雷撃が正確に一匹ずつ撃ち抜いていく。
例え雷撃をかいくぐり、猟兵たちに近づいたとしても
......
「お前らに恨みはないが消えてもらう
......!」
尾守が異形と化した四肢を振るい。
「......」
息を吸わぬようにと、無言のまま、ハロはレイピアを振るう。
前衛として待ち構えていた二人の攻撃は、確実に仔竜たちを仕留めていく。
「これで、最後の一匹!」
最後の仔竜をレイピアが貫き、ほっと一息つく猟兵たち。これでもうこの辺り一帯に敵はいない。
「では戦闘も終わったことですし、宝石トリュフを探しましょう!」
ウキウキとした声ではしゃぐベムに返された反応は二つ。やれやれといった男性陣と、一刻も早く毒の森から抜け出したい女性陣。
とはいえ結局のところ、浄化フィルターを持つベムがいなければ安全に森を抜け出せないわけで
......
―――つまるところ、哀しいかな、選択肢なんて最初から一つしかないわけであった。
成功
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