帝竜戦役③〜黒白の地で知略の帝竜は嘲笑う
群竜大陸の一画に、チェス盤のような黒白に分かれた大地が広がっていた。
そこには火急に戦力を揃えんと躍起になっていた帝竜が存在した。
「僅かに一手。僅かに数日……。猟兵の進撃速度を侮っていた……」
正しくは、決して侮ってはいなかった。
群竜大陸のどの帝竜よりも猟兵の進撃速度を危惧していたこの帝竜。
最速で迎撃体制を整えていた。手抜かりはなかった。
それでも、間に合わなかったのだ。
脳裏に蘇るは、朧気ながら目の前の敵の首元に食らいつきながらも敗北した苦い記憶。
「だが、それはつまり。 どのような盤面からでも、勝利の光明は見えるという事。例え捨て駒となろうとも、この帝竜カダスフィア、勝利の栄光をヴァルギリオス様の御元に捧げん!」
チェス盤の上で、帝竜は咆哮するのだった。
「アックス&ウィザーズでの帝竜戦役で、最初の帝竜のエリアへ進めるようになったよっ! 予知の中でも、帝竜がみんなの進撃速度に驚いていたよ~っ!」
グリモア猟兵の蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)は、グリモアベースに集まってくれた猟兵達へ任務内容を説明し始めた。
「今回の任務は、帝竜カダスフィアの討伐だよっ! チェス盤のような大地で帝竜カダスフィアは皆を待ち構えていて、周囲のあらゆるものをチェス盤や、チェスの駒をモチーフにした眷属に変える能力を持つよっ!」
予知で見た帝竜カダスフィアのユーベルコードの内容をまとめた資料をレモンが猟兵達へ配布する。なるほど、確かにチェスだ……。
「これらのユーベルコードを、帝竜カダスフィアは必ず先制して皆に放ってくるよっ! 今までの戦争の有力敵同様、敵のユーベルコードへの対処法を編みだして凌ぎ切ったあと、みんなの反撃で大打撃を与えちゃってほしいなっ!」
上手く対処できれば、それだけ反撃の際に有利に此方が仕掛けることが出来る。
使える手段や道具は惜しみなく使うべきであろう。
「いよいよここからが群竜大陸攻略の本番と言っても過言じゃないよっ! 相手は強敵だけど、皆ならきっと勝つって、あたいは信じてるからねっ!」
レモンの激励の言葉を胸に、猟兵達は帝竜カダスフィアが待つ黒白の大地へ向かう!
七転 十五起
なぎてんはねおきです。
このシナリオの難易度は【やや難】です。
アックス&ウィザーズの戦争シナリオ『帝竜戦役』の第一の帝竜戦をお届けします。
このシナリオのプレイングボーナス:『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
敵のユーベルコードは、猟兵側の使用するユーベルコードの種類に対応して使用します。猟兵側のユーベルコードの複数回・複数種の使用は、敵のユーベルコードの使用回数と種類をそれだけ増すがゆえに非推奨です。
また、【状況的に不可能な先制攻撃への対処法】や、【公序良俗に反する内容と判断したプレイング】、更には【極端に文字数が少ない若しくは内容の薄いプレイング】については却下対象とさせていただきますので、此方もご了承願います。
コンビ、チームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずお相手の呼称とID若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能です)
なお、本シナリオは速度重視のため、全てのプレイングを採用できない可能性があります。予めご了承くださいませ。
それでは、帝竜カダスフィアの戦術眼への挑戦、お待ちしております。
第1章 ボス戦
『帝竜カダスフィア』
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POW : ビルド・カダスフィア
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【チェス盤化した、半径100m以上の大地】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD : ミリティア・カダスフィア
【チェス型ゴーレムの大群】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 形成するもの
自身からレベルm半径内の無機物を【チェス盤やチェスの駒を模した怪物】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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アイン・セラフィナイト
自分を捨て駒扱いする、その覚悟、素直に尊敬しちゃうね。
……だけどこれは戦争。キミを倒して、帝竜ヴァルギリオスへの一歩にする。
勝負だ、カダスフィア!
【対策】
『神羅の鴉羽』で『空中戦』、念のため『暁ノ鴉羽』で飛び道具や魔法を『オーラ防御』しておくよ!
【反撃】
盤面は怪物たちの軍勢、逆に盾として使われる可能性もあるね。
それなら、怪物とカダスフィアその全てを飲み込む程の大魔法で焼き尽くす!
UC発動、【イフリート・フレア】で『全力魔法・範囲攻撃・属性攻撃・リミッター解除』、空から降り注ぐ業火によって全てを灰燼と化せ、イフリート!(魔力溜め・蹂躙)
いち早く戦場へ転送されてきたのは、ドラゴニアンの精霊術士かつウィザードのアイン・セラフィナイト(精霊の愛し子・f15171)であった。
「あれが……帝竜カダスフィア!」
その巨躯は、アイン自身が蟻になったと錯覚するほどの圧倒的体格差であった。
だが、怯んでいられない。自身を奮い立たせ、アインはカダスフィアへ啖呵を切った。
「自分を捨て駒扱いする、その覚悟、その忠誠心、素直に尊敬しちゃうね」
「来たか、小さき者よ。ヴァルギリオス様こそ、この世界の真の支配者に相応しい御方。故に、大義の前に自らの生命を捧げることなど造作もないことだ」
カダスフィアの物言いに、アインはますます興味をそそられる。
「なるほど……これが戦争だって理解した上での発言か。ますます尊敬しちゃうね。敵として出会っていなければ、その戦術眼含めてボクは師事したいくらいだ」
「ふん、この帝竜カダスフィアの叡智を小さき者に理解できるとは思えないがな?」
「そうだね、決して理解し合えないから互いに戦争をしているんだ。だからボクはキミを倒して、帝竜ヴァルギリオス打倒への一歩にする」
「ならば、此方は蹂躙をもってヴァルギリオス様への忠誠を示そう!」
カダスフィアが天へと吼える!
その瞬間、周囲の地形の至るところが蠢き始めたではないか。
「勝負だ、カダスフィアーッ!!」
アインも全身の魔力を漲らせると、そのまま空中へ飛翔していった。
「カダスフィアが操るのはチェス盤やチェスの駒を模した怪物! ならば空中にいれば安全だ!」
黒翼・神羅の鴉羽によって、カダスフィアの巨躯よりもはるか頭上を位置取ったアイン。
だが、カダスフィアは慌てる様子が微塵も感じられない。
「それはどうだろうか、小さき者よ?」
すると、怪物たちは岩や盤面の一部を持ち上げて空中へ投擲!
「それも想定済みだ! 境界顕現:暁ノ鴉羽を展開!」
極光の如き輝きを放つ鴉羽の嵐が、アインの周囲を取り囲む。
『境界』から溢れた神性の鴉羽は敵の攻撃を弾き返す!
だが、アインは飛来してくる物体に目を疑う。
「怪物が空を飛んでいるだと!?」
結界で飛び付いてきた怪物を弾き落とすも、よくよく見てみれば、怪物たちが投げる岩やチェス盤の大地を、空中でカダスフィアが怪物化しているではないか!
「危なかったな。暁ノ鴉羽を展開して置かなかったら、何かされていたかもしれない……」
幸いにも結界の強度は堅牢を誇り、カダスフィアの目論見は全て失敗に終わった。
「ヒヤヒヤしたが、今度は此方の番だ!」
用心をして更に高度を上げるアイン。
カダスフィアの身体が豆粒くらいに見える高さまで飛翔すると、全身の魔力を最大出力で解放し始めた。
「四大元素のひとつ、火の精霊よ。我が声に答えよ。我が声に応じよ」
突如、アインの頭上に巨大な金の輪が出現する。
その数は351個。その内のひときわ大きな穴から、何かが顔を出し始めた。
「叡智ノ書架の主ことアイン・セラフィナイトが命ずる。眼下に見えるは我らが敵なり。あれなるは、かの世界を苦しめる厄災であり穢そのもの。故に、汝の炎をもって穢れを焼却せよ!」
次元の穴から這い出てきたのは、アインの身長の3倍はあろうかという巨体の大火精。
「力を示せ! 汝の名はイフリート、万物を浄化する意志持つ火焔の精よ!」
アックス&ウィザーズの空が真紅に燃えがる!
残りの無数の次元の穴が金色に輝き始めると、大火精は雄叫びを上げる!
『■■■■■■■■■■■■■■■■ーッ!!』
精霊言語の咆哮が群竜大陸を揺らす!
そしてアインは眼下を見下ろす。
怪物たちがカダスフィアへ集結し、盾になろうとしているのが見て分かる。
「それも最初から織り込み済みだ。盾として使われる可能性……確かにチェスの発想だ。だが、それなら、怪物とカダスフィアその全てを飲み込む程の大魔法で焼き尽くすまでだ!」
出力最大限まで高めた魔力全てを、アインは大火精へを回す!
「空から降り注ぐ業火によって全てを灰燼と化せ、イフリート!」
『■■■■■■■■■■■■■■■■ーッ!!』
350個の黄金に輝く浄化の炎が、次元の穴から一斉に放出された!
天から降り注ぐ飽和火力が、地上の怪物もろともカダスフィアの身を焼き焦がしてゆく!
「ぐぬぅぅ! おのれぇ、小さき者め!」
悔しそうに声を振り絞るカダスフィアに、上空を跳び続けるアインは呟く。
「さすがは帝竜といったところか。あの火力を凌ぐなんてね。でも、この調子ならすぐ倒れそうだ。ボクはこの上空から高みの見物をさせてもらおうかな」
こうして、アインは他の猟兵達の戦術を拝見すべく、眼下の戦況に注目するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
枸橘・水織
ある程度は覚悟は必要かな?
帝竜を名乗るだけあって、下手な攻撃系UCよりも厄介なのが揃ってる…自陣を強化して対象を初手でチェックメイト寸前まで追い詰める
行動
反撃の準備まで耐える(倒れるのが先か?反撃が先か?)
【魔力溜め・全力魔法・範囲攻撃・二回攻撃・早業】で現れたゴーレムの大群を大量の魔力弾で攻撃して少しでも減らし、その後は魔力弾で応戦しつつ回避主体、【激痛耐性】も活用して戦闘…しつつも【情報収集・学習力】で盤上の周辺魔力を捕捉…しつつ盤上の端の方へと移動
捕捉終了後に指定UCを使用…盤上の(視認している)敵すべてに拘束具を創成して【捕縛】
さらに【二回攻撃】で剣や槍などの武器を創成して攻撃する
枸橘・水織(オラトリオのウィザード・f11304)は帝竜カダスフィアの前に降り立つと、その巨体よりも戦術眼に注目する。
「帝竜を名乗るだけあって、下手な攻撃手段よりも厄介な戦術だね……自陣を強化して対象を初手でチェックメイト寸前まで追い詰めるなんて、ちょっとチートじゃないかな」
「ヒトの言葉には『戦わずして勝つ』という言葉があるらしいな、小さき者よ」
「み、みおは負けないよ……!」
枸橘は体を震わせながらもウィザードロッドを掲げて戦闘準備に入る。
「いでよ、我が眷属! 小さき者を蹂躙せよ!」
カダスフィアの掛け声とともに、周囲からは、チェス型ゴーレムの大群が出現し、枸橘の周囲を取り囲んだ。
「そのまま押し潰れるがいい、小さき者よ」
「これ、ある程度は覚悟は必要かな?」
唇を噛み締めた枸橘は、ウィザードロッドの先端に魔力を注入。
無傷で切り抜けられる事は諦め、生存第一で行動すると心に決めた。
そうと決まれば、彼女の行動は早かった。
「そこを……どいて!」
溜め込んだ魔力を全力放出、ゴーレム達が動き出す前に広範囲の魔力弾2連射によって包囲網を切り崩す。
慌てて包囲網を脱しようと駆け抜ける枸橘。
だが、その背後から1体のゴーレムが拳を振り上げてくる!
「きゃあっ!?」
咄嗟に身を捩って拳の直撃は避けたものの、拳で盤面が砕けた破片が飛び散り、一部が枸橘の身体に突き刺さってしまう。
「い、いたく、ないもん……!」
痛みを必死に堪え、身体を動かし、何かを探るような気配を見せつつも包囲網を辛くも突破する枸橘。
だがなお、戦力差と物量差は敵側が圧倒的に有利。
ジリジリと枸橘は盤面の隅へと追い詰められてゆく。
「さぁ、もう逃げられないぞ、小さき者よ」
カダスフィアも枸橘へと歩み寄り、真上から見下ろしていた。
しかし、枸橘の身体の震えはいつの間にか止まっていた。
ゴーレム達はほぼ自動的に標的へ襲い掛かってゆく。
しかし、カダスフィアだけが異変を感知して後退り始める。
すかさず、枸橘はユーベルコードを発現させた。
「逃さないよ。だって、あなた達はこの魔法から逃げ切る事は出来ないから……」
次の瞬間、枸橘が視認している敵全てに、補足した周囲の魔力から創造した拘束具を矯正装着!
勿論、カダスフィアも拘束具の餌食となって身動きが取れない!
「一体、何が起きた?」
「みおはね、ただ逃げているだけじゃなかったの。周辺魔力の感知と補足……これがみおの得意なことなの」
それを実践するがごとく、カダスフィアの目の前に無数の刀剣類が空間から出現するではないか!
「こうやって、周辺魔力から武器や道具を作れるんだよ。見えていさえすれば、4.6km先の標的にも攻撃を届けられるよ。ほら、こんな感じで……」
「ええい、眷属を追加だ! 拘束具を破壊しろ!」
「そうはさせないよ。新しくやってきたゴーレムにも、プレゼントを用意したから」
枸橘は追加で出現したゴーレム達へ素早く目配せすると、それらの顔の目の前に見覚えのある長細い物体が出現する。
「これはね、他世界で使われる凄い道具でね? 名前は……」
枸橘は慌てて自分の耳を塞ぎ、身を屈めた。
「――ダイナマイトっていうんだよ」
刹那、周囲が轟音とともに爆炎と爆風が入り混じり、ゴーレム達が全て木っ端微塵に砕け散っていった。
当然、カダスフィアも至近距離の爆発に巻き込まれて吹き飛ばされ、無様に白黒の盤面の上で悶え苦しむのだった。
成功
🔵🔵🔴
護堂・結城
帝竜、理不尽な強さだが…折れてやる道理はどこにもねぇ
外道狩り、始めるぞ
【POW】
・先制対策
【魔力溜め・全力魔法】で威力を上げ
【無酸素詠唱・多重詠唱・高速詠唱・早業】による無数の【呪詛・誘導弾・乱れ撃ち】
炎と風の【属性攻撃】も使って【爆撃・衝撃波・範囲攻撃】で攻撃への【カウンター】の相殺だ
・攻撃
存分に理不尽に反逆させてもらおう
氷牙を大槌に変化させ指定UCを発動、雷の巨大兵装を纏い全速力で飛翔、一撃離脱を繰り返す
雷光の目潰しをした後最高速度で突進し【力溜め・怪力・鎧砕き・捨て身の一撃】で大槌による全力の一撃を打ち込む
「この魂の炎消えぬ限り、残酷に屈することなく。打ち砕かれろ盤上の王」
続いて登場するのは、色とりどりの尾を持つ妖狐こと護堂・結城(雪見九尾・f00944)。彼は世界を渡り歩きながら『外道』を殺す処刑人である。
「帝竜、理不尽な強さだが……折れてやる道理はどこにもねぇ」
お供の竜こと雪見九尾の氷牙を剣に変えて柄を握り、その切っ先をカダスフィアへ突き付けた。
「さあ外道狩り、始めるぞ」
全身に魔力を湧き上がらせて解放!
対してカダスフィアは、足元のチェス盤型の大地を隆起させ始める。
「これぞ、この大地をヴァルギリオス様に任された証だ!」
カダスフィアはなんと、大地を身に纏い、更に巨大化!
約2倍まで巨大化したカダスフィアの姿は、完全にチェス盤を纏ったロボと化していた。
「小さき者よ、圧倒的暴力の前に己の無力を呪え!」
片足を上げて護堂を踏み潰そうとしてくるカダスフィア。
しかし、むざむざと下敷きになる道理はないと言わんばかりに、外道スレイヤーは感情を爆発させた。
「エゴで他者を蹂躙する言動、やはりその有様、外道だな!」
色とりどりの護堂の尾こと『雪見九尾』のひとつ、蒼月の尾は傲慢を冠する。その特性は、戦場の自然を支配することで各種属性魔法を繰り出すことが可能だ。
カダスフィアを睨みつけただけで、戦場に荒れ狂う竜巻と火災が発生。それをひとつではなく幾重にも放ち、巨大な敵へ足元からぶつけていった。
風圧でカダスフィアの足は大地を踏みにじることは叶わず、また勢いを増す火災はカダスフィアの全身へと延焼を開始。
風と炎は次第に融合し、魔力の衝撃波を撒き散らす火炎竜巻となって、文字通り災害クラスのカウンターを護堂は放ってみせたのだ。
「ぬぅぅっ!? その小さき身体に、これほど魔力が秘められているのか!?」
暴風と火炎で跳ね除けられたカダスフィアは、巨大化が仇となって身動きが取りづらい。
「はぁ……はぁ……っ! まだまだここからだ」
護堂は意識を集中させるためなのか、ここまで息継ぎなしで戦闘していた。
だが、敵が怯んだことを悟ると、反転攻勢に打って出る。
「それでは、存分に理不尽に反逆させてもらおう。氷牙、征くぞ」
握っていた氷剣が、次第に雷霆めいた巨槌へと変化。
理不尽に反逆する意志の強さと怪力をもって、ユーベルコードを発現する。
「嗚呼、納得いかねぇ!! 貴様ばかりデカいのは理不尽だよなぁ!?」
巨槌から放たれた雷光が護堂を包み込んだかと思えば、その光はたちまち巨大兵装となって護堂と合体!
まるでSF小説に出てくる巨大機動ロボの如き姿となった護堂は、空を駆け回りながらカダスフィアを殴っては空へ退避してゆく一撃離脱戦術を繰り返す。
その戦闘ぶりは、特撮映画に出てくる怪獣と超合金ロボの激突を彷彿とさせる。
「小さき者、いや今や巨人になりし者よ。空を飛ぶというのなら、此方も飛ぶまで!」
カダスフィアが翼をはためかせようとしたその時、頭上から護堂が稲光を放った!
黄金の雷撃はカダスフィアの脳天へ直撃し、一時的に視界と意識を奪うことに成功する。
そして護堂は巨槌を振り上げて急降下!
「この魂の炎消えぬ限り、残酷に屈することなく。打ち砕かれろ盤上の王」
急降下の衝撃と合わせた雷鳴の壊撃は、見事にカダスフィアの顔面に炸裂すれば、その自身が纏っていたチェス盤の大地が元に戻っていった。
大成功
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レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
にゃぉ大きいにゃねぇ……もしかしなくてもデカいのばかりにゃ?。
た、体格差でやり過ごせないかにゃあ。
僕は呪いで子猫に変身し、髭感知で動きを見切り、ミュージックエナジーの音で注意を逸らし、体格差で見つからない様に肉球で足音を消しながらこそこそ接近するにゃ。大人しくしてればいいけど、暴れたり見つかったら呪いのオーラ防御を纏った爪や肉球で、ダンスを踊る様にくるりくるりと攻撃や飛来物を受け流していくにゃん。
隙を見てMy首輪の特殊能力を解放し反撃の【ソウルアクセス】。
カダスフィアに触れ精神世界へ侵入したら、限界を超えて強化された敗北の悪夢(トラウマ)をおびきよせ具現化するにゃん。
織銀・有士郎
久方ぶりの大戦か……勘が鈍ってなければ良いんだが。
「大地を使ったチェス盤遊戯ってところかね」
賭けるのが命でなけりゃ面白そうなんだがなぁ。
現れるゴーレムの大群とやらに対しては【三千世界の太刀】で迎撃しよう。
とはいえ敵の方が力量が上だろうし、全てのゴーレムに対処できず押し切られる可能性もある。
チェスの動きを【見切り】つつ防戦し、『帝竜カダスフィア』を狙う隙が無いか伺いたい所。
ある程度迎撃し、ゴーレムの数が減ってこれば反撃の機会が訪れるはず。
隙あらば見逃さず、複製したサムライブレイドを【早業】で射出し『帝竜カダスフィア』を狙おう。
「にゃぉ、大きいにゃねぇ……」
フェアリーのレフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)は、そびえ立つ大山の如き帝竜カダスフィアを見上げて言葉を失いかける。
「もしかしなくても、帝竜ってデカいのばかりにゃ?」
「おそらくは、な?」
同タイミングで転送してきた白銀の妖狐、織銀・有士郎(織りなす銀の一振り・f17872)も敵を見上げて苦笑する。
「久方ぶりの大戦か……勘が鈍ってなければ良いんだが。さて、大地を使ったチェス盤遊戯ってところかね」
内心で『賭けるのが命でなけりゃ面白そうなんだがなぁ』なんて独りごちる。
「何度来ても同じことだ、小さき者達よ。この盤面の支配者はこのカダスフィアなのだからな!」
白黒の盤面の上に、チェス型ゴーレムの大群が出現し、陣形を組んで迎撃体制を整えた。
「見よ、小さき者達よ。これぞ我が軍団、我が戦術である!」
「なるほど、なかなか練度の高そうな軍団だ」
織銀は銀誓刀『涼鳴』を鞘から抜くと、レフティに告げる。
「なんとか好きを作れないだろうか? 流石にあの物量は多勢に無勢、敵の方が力量も上だろうし、全てのゴーレムに対処できず押し切られる可能性もある。だがある程度迎撃し、ゴーレムの数が減ってこれば反撃の機会が訪れるはずだ。頼めるか?」
「ごめん、撃破までは無理にゃ……注意をそらすことならできそうにゃけど……」
「わかった、それで構わない。やり方はお前さんに一任しよう」
織銀とレフティは互いにアイコンタクトを取ると、左右に散会していった。
「戦力を分断して切り込もうという腹積もりならば、甘いぞ、小さき者共よ!」
カダスフィアはゴーレム軍団全てを織銀へ差し向け、レフティには自ら突撃してゆく!
「こ、こっち来るにゃぁ~!」
レフティは慌てて瓦礫の影に潜り込むと、自身の身に掛けられた呪いを発動させる。
「……にゃあ?」
妖精から子猫へと姿を変えたレフティは、破砕される瓦礫から脱出してカダスフィアへ忍び寄る。
一方、カダスフィアは先程までの妖精の姿が消えたことに訝しがっていた。
「何処へ消えた? 宙を舞う羽虫が如き小さき者よ、隠れても無駄だぞ!」
カダスフィアはまさかフェアリーが子猫に変身するなんて思ってもいなかったようで、レフティ本人もとい本猫の潜む場所とはまるで見当違いの場所を蹴飛ばしていた。
「ぐぬぬ……こうなれば、さらなる破壊で引きずり出してくれよう!」
カダスフィアの周囲の白黒の盤面型の大地が隆起!
そのままカダスフィアの全身を覆うと、融合するよう巨大化!
メカメカしい巨大ドラゴンとなり、更に周囲を破壊し始めた。
しかし、その凄まじい振動は隠れているレフティにも影響を及ぼす。
「にゃああ!?(地面に亀裂が!?)」
思わず叫び声を上げてしまう。
「む、そこか!?」
その悲鳴をカダスフィアが聞き付けてしまった。
(まずいにゃ! こうなったら、コレを使うにゃ!)
レフティはカダスフィアの背後に妖精達の演奏のような音楽を宿したエナジーを破れかぶれで射出!
戦場に転がったエナジーは、愉快な音色を一斉に奏で始めた。
当然、カダスフィアは振り向いて反応する!
「何だ、この音楽は? 小さき者の罠か?」
音楽に警戒して動きを止めるカダスフィア。
(今にゃ!)
ここが正念場と、レフティは作戦を決行すべく、自身のヒゲで感じる気配を頼りにカダスフィアまでこっそり近付いてゆく……。
一方、織銀は銀誓刀『涼鳴』だけでは手数が足りず、退魔の声質を持つ銀誓刀『桜舞』も鞘走り、二刀流でゴーレム軍団を孤軍奮戦で掻っ捌いていた。
「やはり、これはちと厳しいか?」
敵の攻撃パターンや攻撃速度こそ単体であれば見切れるのだが、さすがはチェスの駒か、連携攻撃の連発に織銀は次第に盤外へ追い詰められてゆく。
「まだだ、まだ諦めるときではない。相手が有利を悟り、慢心したときこそ隙が生まれ、逆転の好機が見えるはずだ……!」
ユーベルコードを発動して迎撃しようにも、こうも絶え間なく襲いかかられては発動のタイミングを潰されてしまう。もっと言えば、このゴーレム軍団達がカダスフィアの盾となって、攻撃が届かない恐れがあった。
故に、狙いは一瞬。カダスフィアに隙が生まれ、ゴーレム軍団をすり抜けて攻撃が届く瞬間こそ、ユーベルコードを放つべき時だ。
「それまでは防戦一方というのが苦しいところなのだが……むっ!?」
突如、足元が轟音とともに大きく揺らいだ。
震源の方向を見れば、巨大化したカダスフィアがしっちゃかめっちゃかに暴れまわっているではないか。
「よし、あのフェアリーがやってくれたようだな!」
絶えず揺れる戦場は、ゴーレム軍団の足並みを大きく狂わせてしまう。
それを織銀は見逃さなかった。
「今こそ刀の錆……いや、刀の砥石にもならんガラクタにしてくれる!」
二刀流でゴーレム軍団へ切り込み、剣鬼のごとく傀儡をバターを斬るように容易く斬り捨ててゆく織銀。
「形勢逆転だ。数も減って、射線が通りそうだ。ならば!」
待望のユーベルコード『三千世界の太刀』を発動させる好機!
「我が太刀が織りなすは三千世界……ゆくぞ、一斉抜刀」
織銀は銀誓刀『涼鳴』を69本複製すると、念力で空中を漂わせる。
オリジナルの1本と合わせて70本の銀誓刀『涼鳴』をもって、織銀がゴーレム軍団の中心で刃の嵐を吹かせた!
「そこを退け! 狙うは大将首、唯ひとつ!」
ゴーレムがミキサーに掛けられたトマトのようにぐちゃぐちゃに潰れると、織銀はカダスフィアの足元へ肉薄!
超至近距離から69本の刃を高速回転させながら咄嗟に射出、バズソーめいた斬撃でチェス盤装甲と骨肉を削いでいった。
「その脚、もらった!」
「ぎぃッ!? いつの間に!?」
脚を失うわけには行かないと、カダスフィアはユーベルコードを解除してその場から離脱。
しかし、抉られた右脚の傷はかなり深く、織銀が着実にダメージを蓄積させた証左となった。
そこへぴょこんとカダスフィアの背に乗っかったのは、子猫になったレフティだ。
「我が肉球を以て、開け魂の扉。そなたの『世界』をここに」
レフティの首輪を媒介とし、カダスフィアの魂とのコンタクトを開始。
首輪が巨大化し、カダスフィアの首に嵌められる!
「私は世界を渡り歩き、戯れに『シャドウ』を招く者――それが子猫のシャドウ使い」
レフティがカダスフィアの背中へ猫パンチを見舞うと、レフティの身体が帝竜の中へと侵入してゆく。
「うぐッ……!? 小さき者よ、何をする気だ!?」
身悶えするカダスフィアの脳裏に浮かぶのは、遠い昔、朧気ながら目の前の敵の首元に食らいつきながらも敗北した苦い記憶。
「なぜ、だ!? 今、この記憶が思い起こされるのは、一体……?」
(それが帝竜カダスフィアの『悪夢』にゃん。限界を超えて強化された敗北の悪夢はトラウマとなって、今も残り続けているにゃあ。だから、これを強化して具現化すれば……)
カダスフィアは目を疑った。自身の周りには、かつてこの大陸に押し寄せた勇者たちの姿が顕在しているのだから。
(見えるかにゃ? 悪夢(トラウマ)は再び。今一度、滅びを再現してあげるにゃ!)
「やめろ、やめろォーッ!?」
勇者たちの幻影が一斉にカダスフィアへ殺到していくと、容赦なくその全身を滅多刺しや魔法の弾幕を放ってゆく。
「とんでもないユーベルコードだが、これこそ千載一遇の好機!」
織銀も勇者達の幻影に混じって、力の限りカダスフィアを斬り刻む。
幻影が消失し、レフティがカダスフィアの肉体から離脱した頃には、帝竜は既に満身創痍となっていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ルード・シリウス
以前、竜族の血肉を喰らったがアレは掛け値無しで美味かった。さて、世界を喰らわんとする帝竜の血肉は如何ほどだろうな…
という訳で、先ずはお前からだカダスフィア。お前の血肉…一つ余さず貰うぜ
神喰と無愧を構え、外套と靴の能力で気配と音を殺しつつ、残像を盤面の駒の様に囮として置きながら、同時に二刀で防御しつつ攻撃を凌ぐ
こちらの攻撃を読んでいるのは百も承知、だからこその最善手。なら…その最善手を逆手に取り攻撃の手を絞らせる
凌ぎきったら、その瞬間を見切って接近。同時に【魂装】で武装の真名及び自身の真の姿を解放。これまで喰らった敵を憑依して身体能力を強化
二刀による連撃と捕食の能力で暴食するが如く斬って喰らう
ナイ・デス
まだまだ、先は長い、ですから
このペースでも、まだ安心できない
ですから……あなたを倒して、更に進む
もっと、多くの帝竜を、驚かせてみせましょう……!
【怪力ダッシュ】で盤面を突き進む
迫る敵を【見切り、念動力】で自身【吹き飛ばし】急加速回避や
すれ違い【カウンター】鎧からの刃で斬って進み
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】とったと思わせても、止まらない
そう【存在感】発し、注目させて
倒される。終わったと思わせて、その瞬間
王手(チェック)、です
『フェイタルムーブ』
死角からの【鎧無視攻撃】で刃刺して【生命力吸収】
不意打ちと虚脱感で、仲間がチェックメイトする、チャンスをつくります
激痛耐性継戦能力
簡単には、離れない
龍ヶ崎・紅音
アドリブ・絡み歓迎
【POW】
「帝竜戦、まずは一体目…、どうやら策略を得意とするそうだけどその策略の隙を突ければ…!」
敵の攻撃を【気合い】で回避しながら、敵の策略を見極めてから接近
「黒焔竜剣 壱式」の【なぎ払い】の一撃で相手を態勢を崩してから、焔【属性攻撃】の『千手焔風衝』でロボを破壊してから、【力溜め】した【鎧砕き】の追撃で大きいダメージを与えつつ、相手の鱗や鎧を砕くことで防御力を激減させるよ!!
既に心身ともに満身創痍のカダスフィア。
だが新たに出現した猟兵3人を前に、最期の力を振り絞る。
「よく来たな、小さき者達よ。これが我が最後の一局となるであろう」
「帝竜戦、まずは一体目……、カダスフィア……!」
龍ヶ崎・紅音(天真爛漫竜娘・f08944)が固唾を呑んで眼前の敵を見上げる。
(どうやら策略を得意とするそうだけど、その策略の隙を突ければ……!)
あと少しだけ押し切れば、帝竜は必ず斃れる。
そう信じて、彼女は胸元の黒龍焔の呪印から噴き出した黒焔を黒焔竜剣 壱式『禍焔の大剣』へと変えた。
「さあ、このまま倒して突き進むよ!」
「……帝竜戦役、まだまだ、先は長い、ですから」
ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は今後の帝竜達の軍備が整う時間を頭の中で逆算していた。
あまり時間は掛けられない。ルートの選択は慎重に。
だが今は目の前の敵を睨み付けるのが先決だ。
「このペースでも、まだ安心できない。ですから……あなたを倒して、更に進む。あなたは私達がここに辿り着いた進軍速度を早いと驚いた。だったら……もっと、多くの帝竜を、驚かせてみせましょう……!」
その赤い双眸は、今までの他世界で諦観を知ることがなかった。
だから今回の帝竜戦役も、ナイの慧眼は曇らず最後の帝竜ヴァルギリオスを見据えていた。
そんな傍らでルード・シリウス(暴食せし黒の凶戦士・f12362)の真紅の目が、期待に満ちて鈍い輝きを放っていた。
「以前、竜族の血肉を喰らったがアレは掛け値無しで美味かった。さて、世界を喰らわんとする帝竜の血肉は如何ほどだろうな……?」
暴食剣『神喰』と呪詛剣『無愧』の黒白の魔剣二振りを携え、ルードは値踏みするかのごとくカダスフィアを見上げた。
「という訳で、先ずはお前からだカダスフィア。お前の血肉……一つ余さず貰うぜ」
「勇敢なる者、軍師の才を持つ者、そして食い殺す者、か……最期の盤面に相応しい相手だ。よかろう、全力で来い!」
カダスフィアが天へと咆哮!
チェス盤大地の上に再びゴーレム軍団が出現すると、自身も大地と合体して巨大メカドラゴンとなった。
「全軍……突撃開始!!」
ゴーレム軍団とカダスフィアが、猟兵達へ向かって駆け寄ってきた!
「2人とも、奴らを惹き付けてくれ。俺は背後に回ってカダスフィアを喰らう……!」
ルードが幻影の外套を纏って周囲の背景と溶け込むと、自身の残像を移動しながら魔力でランダムな間隔で配置してゆく。
ナイもすぐに行動を開始する。
「わかりました……では、ゴーレム軍団は、任せてください……」
黒剣鎧を纏ったナイは、鎧から生成した刃を奮いながら、全身の怪力から生み出す超ダッシュで戦場を駆け抜けていった。
「こっち、です……!」
立ちはだかるゴーレムを刃で真一文字に斬り捨てると、後ろから迫るゴーレム達を念動力で足止め。そのゴーレム達を足場にして三角跳びしたナイは、すれ違いざまに鎧の全身から刃を伸ばしてゴーレム達を膾切りにしてしまう。
「だったら、私はカダスフィアを!」
負けじと龍ヶ崎は、先程の猟兵達の戦闘によって生じたカダスフィアの脚の傷を狙ってゆく。
「どんなに大きくても、その脚を潰したら自重で耐えられないよね!?」
黒焔の大剣がカダスフィアの脚の骨肉を更に深く刳り取る。
これがかなり効果を与えたのか、カダスフィアは龍ヶ崎を真っ先に踏み潰そうとしてくる。
しかし、龍ヶ崎は戦場を駆け巡り、その足裏から気合で回避し続けている。
「流石に足の裏の面積が大きいから避けるのが一苦労だね!? でも、脚のダメージを庇っているようじゃ、動きが鈍るのは当然だね!」
「小癪な……この傷さえなければ!」
蓄積されたカダスフィアの脚のダメージは、いまや巨大化した自身の体重を支えるには文字通り荷が重かった。
素早い動きとバランスを崩され、更に龍ヶ崎の大剣の刃を集中的に浴びるカダスフィア。
「ゴーレムは、片付きました……」
ナイの的確な戦闘行動と作戦がゴーレムの軍団を素早く壊滅させてしまい、龍ヶ崎との合流を果たした。
「さぁ、あとは裸の王様、ただひとりです……」
ナイが真っ先にカダスフィアの前に躍り出る。
存在感ある黒剣鎧の両腕から剣身を伸ばし、カダスフィアへ捨て身の特攻を果敢に行う。
「やらせぬぞ! ヴァルギリオス様の勝利のためにも、此処で止める!」
カダスフィアの4本の腕が、弾幕のように次々と振り下ろされる!
「ん……ッ!」
それを両腕の刃で受け止めるナイ。
だが、上空の太陽さえ遮るほどの巨躯から繰り出される拳の弾幕は、ナイの足元を大地にめり込ませ、全身を容赦なく砕いてゆく!
「ナイさん!?」
「大丈夫、です……!」
ナイは覚悟を決め、防御を解除!
そのまま迫りくる帝竜の拳のひとつを刃でカチ割った!
竜の拳から迸る鮮血が戦場を染め上げる!
「うグッ!? この――!!」
だが、残る3つの拳がナイに殺到!
ナイの骨肉が潰れる音を龍ヶ崎はたしかに聞いた。
クレーターには、肉塊と変わり果てたナイがそこにあった。
「ナイさん!? ……あれ? そう言えば、前に同じような事があったような?」
龍ヶ崎とナイは、これが初顔合わせではなかった。
あれは2月に勃発した、アルダワ魔法学園での大戦時……第2の大魔王との決戦の最中。
「そうだった、あの時、ナイさんは大魔王に頭を潰されて……そのあと……」
「よく、覚えていましたね……?」
龍ヶ崎はナイの言葉を聞いて顔を上げた。
ナイはカダスフィアの背中に乗っているではないか!
「王手(チェック)、です。私はここにいて、ここにはいない。何故なら、『今はあなたの後ろにいる(フェイタルムーブ
)』……!」
「ナイさんはヤドリガミ! その身体は仮初で、いくら破壊されても再生して復活するんだった!」
思い出した龍ヶ崎は歓喜の声を上げた。
「なんだと……!? 小さき軍師よ、よもや不死身か!?」
「自分でもよく、わからない、です……? それより今は、あなたを倒します」
黒剣鎧の刃をこれでもかとカダスフィアの背中に突き刺したナイは、その生命力を吸い取ってさらなるダメージ蓄積を促す。
「ぐ、うぅ……力が、入らぬ……!」
「チャンスだね! 行くよ、ホムラ!」
相棒の白銀の槍竜ホムラを呼び付けると、その身を白銀の槍へと変えさせる。
そして、握っていた黒焔の大剣を全力で投擲!
先程から集中的に狙っていた脚の傷に突き刺した!
「これで……ハチの巣になっちゃえ!!」
すかさず駆け出した龍ヶ崎は、千手観音が如き手数の超神速疾風突きを一点に向って放った!
狙う場所は、突き刺さった大剣の柄の先。槍の穂先でネイルガンめいて連打することで、大剣の刃を脚だけではなく帝竜の胎内まで食い込ませてゆく。連続突きは纏っているロボの装甲をあっという間に破砕し、左半分はカダスフィアの肉体が露出してしまった。
「今です……チェックメイト、お願い、です!」
「やっちゃえ! ルードさん!」
「……言われなくとも喰らってやるさ」
身を潜めていたルードが、外套を放り投げてカダスフィアの前に姿を表す。
「させるか!」
カダスフィア、残された右側のロボ腕でルードを殴打!
クリーンヒット!
「殺ったぞ……!」
手応えを感じたカダスフィア。
だが、次の瞬間、カダスフィアは自身のロボ腕が粉砕される様をまざまざと目にしたのだ。
「なんだ、と
……!?」
空中を舞うのは、漆黒のオーラを纏い、全身に禍々しい文様を浮かび上がらせたルードの真の姿。
ユーベルコード『魂装・神魔喰ライシ暴食ノ暴君(リンケージ・タイラント)』により、二振りの魔剣『神喰』と『無愧』が真名開放形態へと移行。ルードの真の姿を引き寄せ、増大した捕食衝動によって理性が侵食してゆく。
『これが俺達の渇望』
『ソシテ、我等ガ憎悪ト狂気』
『捕食者の如く尽くを暴食し、暴君ノ如ク尽クヲ鏖殺シ、一つ余さず蹂躙シ尽クソウ……ッ』
嘗て捕食した敵を71体も自身に憑依させ、身体能力を強化!
『そノ帝竜ノ血肉、尽ク喰らってヤろウ!』
飛び掛かってきたルードの2つの魔剣が、カダスフィアの両目を潰した!
剣身そのものが血肉を啜る様は、何度見ても凄まじいと、ルードと何度か共闘している龍ヶ崎でさえも唖然としてしまう。
「がはッ!? ぅぐ……ここまで、か……!」
腸を貪られ、骨を齧り砕かれ、心臓を喰い千切られたカダスフィアは、気が付けば首だけ残して大地に転がっていた。
「嗚呼、美味い……! なんて美味いんだ、帝竜の血肉というのは! 最初の帝竜でこの魔力と美味だ、次の帝竜も期待が高まるな……!」
残ったカダスフィアの首に刃を振り下ろして『完食』したルードは、次の帝竜出現の予感を感じながら、他の猟兵とともに白黒のチェス盤のような大地を後にしたのだった。
大成功
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