帝竜戦役③〜1001の悪手の物語
●グリモアベースにて
「皆様、遂に帝竜が発見されました」
グリモアベースで猟兵たちを出迎えたのはアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)。ついにこの戦争における大きな壁、帝竜の中の一体が発見されたらしい。
「今回発見されたのは『帝竜カダスフィア』、チェス盤の様な大地の上に鎮座する竜の様です。周囲のあらゆるものをチェス盤や、チェスの駒をモチーフにした眷属に変える能力を持ち、確かな戦術眼を持つ強敵です」
何故大地がチェス盤の様になっているかはわからない。それに意味がないはずもない。
「まだこの戦いは始まったばかり、この先もどんな強敵が現れるかわかりません。しかし目の前の敵を倒して先に進まなければ戦いを終えることもできません。皆様、まずはこの帝竜を倒し、この群竜大陸の奥へと進みましょう」
これからも恐らく数多くの強敵と戦うことになる。
だからこそこんなところで足踏みをするわけにはいかない。例え相手がどれだけ強大であろうと猟兵たちはそれを超え、世界を救ってきた。
「どうやらカダスフィアは既に自軍の編成を終えている様子。早急に叩かなければどんな被害が出るかわかりません」
これ以上相手に時間を与えるわけにはいかない。この戦いは時間との勝負。
「皆様ならばこの強大な敵を撃ち滅ぼし、この大陸に再び平穏をもたらしてくださると当機は信じております。どうかご武運を」
こうしてカーテシーと共に猟兵たちの転移が開始された。
灰色幽霊
どうも、灰色幽霊です。
今回の戦争初の幹部戦となります。
相手は帝竜『カダスフィア』。
また例の如く今回も『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』ことでプレイングボーナスが発生いたします。帝竜は確実に先制してきますのでどう防ぎ、どう反撃するかをお考え下さい。
今回は幹部戦ですので基本的に『成功』か『大成功』のプレイングのみリプレイを執筆しますのでご了承ください。
その他注意事項などはMSページもご覧ください。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『帝竜カダスフィア』
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POW : ビルド・カダスフィア
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【チェス盤化した、半径100m以上の大地】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD : ミリティア・カダスフィア
【チェス型ゴーレムの大群】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 形成するもの
自身からレベルm半径内の無機物を【チェス盤やチェスの駒を模した怪物】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アイン・セラフィナイト
カダスフィア、チェス盤の上に立つ帝竜か……。
厳しい戦いになりそうだね。だけど、その一手、全てが思い通りになるなんてあり得ないってことを証明してあげるよ!
【対策】
『神羅の鴉羽』で『空中戦』、飛び道具とか持っている可能性も考えて、『暁ノ鴉羽』で『オーラ防御』しておくよ!
【反撃】
眼下にひしめく圧倒的物量。それなら、大魔術を撃つしかないよね。
神羅、万象、【魔を滅ぼせ】!使い魔たちの魔術、鴉羽の刃の嵐、全ての敵を看破し、光の刃で全てを『蹂躙』する。
『境界術式』展開。無数の魔書から魔弾の雨を振らせてカダスフィアもろとも攻撃だ!(属性攻撃・全力魔法・リミッター解除)
メンカル・プルモーサ
…ふむ…チェスを嗜む竜か…こんな状況でもなかったら1局相手して欲しかったかもね…
…さて、敵は無機物をチェスの駒を模した怪物にする…となればまずは改造装甲車【エンバール】に乗ってその怪物の隙間を縫うように走行…
…地面に遅発連動術式【クロノス】による術式罠を配置して怪物の妨害をしながら帝竜から付かず離れずの位置をキープ…まずは時間を稼ぐとする…
その間に【竜屠る英雄の詩】を詠唱・発動…自分の装備武器に竜殺しの概念を付与…そう。この車も「武器」…
…竜殺しカーが誕生したら攻めに転じる…竜より生まれた怪物を跳ね飛ばしながら一気に接近…そのまま帝竜を轢き殺しにいくよ…
トゥリース・リグル
連携アドリブ歓迎。
【SPD】にて勝負します。
流石に先程までのドラゴン達とは、格が違いますね。
…ですが、ここで立ち止まってはいられませんので、押し通らせていただきます。
【錬成カミヤドリ】で最大数まで複製ダガーを生成。
そして【範囲攻撃+鎧無視攻撃】を用いて、【戦闘知識】を生かして相手の連携を分断しつつ数を減らすように複製ダガーを操作・突撃させつつ、隙あらばカダスフィア本体を狙いに行きます。
僕自身も【ダッシュ】で突撃し、空中の複製ダガーを一つ掴んで本体と合わせて【鎧無視攻撃+二回攻撃】で相手を確実に仕留めていきます。
攻撃に対しては【第六感】を研ぎ澄ませ、【見切り+フェイント】で回避していきます。
玉ノ井・狐狛
※アドリブ連携などお任せ
さァ、帝竜サマよ。
一局ご指導願おうか?
🛡️
相手の技の肝はふたつ。
“操作する”コトと、“チェスを元にしている”コト。
まさかチェスのルールどおりにってワケじゃないだろうが(チェス盤が殴りかかってくるルールがあるかよ)、それでも意味のないモチーフじゃないだろ。なにせコイツは馬鹿じゃない、頭を使う竜だ。
以上を念頭に置いて、攻撃の法則性、あるいは狙いを看破。ピンポイントで厚めに障壁を張ってしのぐ。
▻見切り▻読心術
▻オーラ防御
⚔
相手が一瞬でも迷ったら、そこが契機。
“相手の次の一手を先読みして、宣言する”。
正答できれば◈UCが成立、ダイレクトダメージだ。
もう一局やるかい?
神宮寺・絵里香
●心情
・成程、チェスか。ならば陣取り合戦と行こうか。将棋と違って取った駒はそれで終わりだ。分かりやすくていい
●対策
・武器は有機物である黒剣を使用。序盤は敵のUCで生み出された怪物からの攻撃を、戦闘知識や第六感を駆使して見切り、武器受けをしながらひたすらしのぐ。ある程度敵を引き寄せたらUCを発動。無機物の怪物ならば雨雲に変えるし、そうでないならば足元の大地(無機物)を雨雲へと変換する。チェスの駒には羽根が生えた奴はいない。そのまま雲の中へ沈んでいけ。後は水上歩行の技能で水である雲に乗り、足場を作ってカダスフィアへと攻撃を仕掛ける。攻撃については黒剣を伸ばし、雷属性麻痺攻撃の串刺しをメインに攻める
ナイ・デス
私は、勇者のパートナーで、その勇者は、私も勇者だと
ですから
かつての勇者が、そうであるなら
喉元に喰らいつかれても、私も勝利、掴みにいってみましょう!
【怪力ダッシュ】で大群へ突撃
【見切り、カウンター】したり
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】傷つき壊れても【念動力】で身体動かし、止まらない
そんな【存在感】で私に意識を向けさせて、私は倒される。その瞬間
王手(チェック)です!
『今はあなたの後ろにいる』
死角から【鎧無視攻撃】黒剣鎧の刃を突き立てて
【二回攻撃で生命力吸収】払われるよりはやく、力を奪う
不意打ちと急な虚脱感で、誰かがチェックメイトできるような隙か
チェックメイトしやすくなるよう、消耗させ、ます……!
ユウ・タイタニア
【心境】
「げぇッまたなんか大物っぽいっす。」
騎士道大原則ひと~つ。騎士たるもの決して背中を見せてはならな~い!!
行くッすよネメシス。
【行動】
ドラゴンスケイルシールドで『盾受け』して攻撃をしのぐっす
「ぐわぁぁぁ…ま。まだ…だぁぁぁぁぁぁッ」
吹っ飛ばされたけど、気合いで立ち上がるっす!!
ネメシスに『騎乗』して空中から攻め込むっす。
ネメシス、ドラゴンインパルスっす。
『リミッター解除』!!
殺気のダメージで結構ボロボロっすけど…『限界突破』その限界を超えていくッす。
移動は最大加速したネメシスに突撃は任せるっす…あっしは攻撃の集中っす。
ルーンソードで『捨て身の一撃』でカダスフィアを切り裂くっす!!
エルス・クロウディス
うわなっつかしっ、他の二人元気ー?
とかやってる場合ではないですね。
チェス盤、か……駒による動作再現、あるいは再現することでブーストとか?
だったら動きの<見切り>は多少楽なんだけど……あ、装備の逆綴を地面に<早業>で広げてみよう。
目を潰したらどうなるかっと。
無駄だったとしても、雷<属性攻撃>による磁性付与で自分とゴーレム間の逆綴を補強、敵の動きで自分を押し出す形にして、まずは回避に集中。
後で【疑似全段観測】による戦況掌握、磁性を弄って都度の回避軌道を複雑化。
<迷彩>と<残像>で目を欺き、その間に<カウンター>で一撃離脱の繰り返し。
<激痛耐性>込みでも<継戦能力>はそこそこ……削れるだけ削るか。
●盤上の戦争
『来たか、猟兵たちよ』
黒と白に色分けされた大地の上、あまりにも巨大故に気づかぬかもしれぬがそれはまさしくチェス盤であった。
そしてキングの位置で猟兵たちを出迎えるのは帝竜カダスフィア。その前面に展開するのは駒を模した怪物たちだった。
「…ふむ…チェスを嗜む竜か…こんな状況でもなかったら1局相手して欲しかったかもね……」
「厳しい戦いになりそうだね!」
猟兵側のビショップ―――僧兵の役割を担うのはメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)とアイン・セラフィナイト(精霊の愛し子・f15171)の2人。術士である2人はその魔力を活かし、盤面を優位に変える。
同時にメンカルはもう一つの役割も担っていた。
「げぇッまたなんか大物っぽいっす」
相棒のドラゴンである『ドラゴンランス:ネメシス』に跨るユウ・タイタニア(フェアリーの竜騎士・f03116)。
「……よし」
呼び出した装甲車『改造装甲車【エンバール】』に乗り込んだメンカル。この2人が担う役割はルーク―――戦車と呼ばれる駒は何かに騎乗してこそ力を発揮する。
「さしずめ俺らの役割はナイトってとこか?」
「そう、みたい、です」
ナイト―――騎士の駒はエルス・クロウディス(昔日の残響・f11252)とナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)が担う。近接戦闘に一日の長がある2人だからこそ選ばれた役割だろう。
「僕はポーンですか」
ポーン―――尖兵はトゥリース・リグル(刃を為すモノ・f00464)、トゥリースが担うのは数の力。戦いにおいて最も重要視される力。
「オレがクイーン? ガラじゃないんだがな」
「役割次第なんだろうさ。じゃなきゃアタシがキングなわけあるまいよ」
クイーン―――女王の駒を担うのは神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)、盤上において最速にして縦横無尽。
そしてカダスフィアと対を成すキング―――王の位置につくのは玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)。つまり彼女が今回の指し手でありカダスフィアの対戦相手ということになる。
「こっちの準備も整ったぜ? さァ、帝竜サマよ。一局ご指導願おうか?」
ここに、猟兵とオブリビオン。黒と白の戦いの火蓋が切って落とされる。
『ポーンとナイトは前へ』
チェスを模しているとはいえ動き自体に制限が掛かっているわけではない。あくまでその駒を担う者には相応の力が付与されるだけ。カダスフィアが動かしたゴーレム兵が担う役割はポーンであり、その数自体が力だった。そのポーンを率いて前進してくるのは石でできた甲冑を着た竜の怪物ナイト。まずは物量で様子を見るということだろう。
これはチェスであってチェスではない戦い。カダスフィア側のポーンに数の制限はなく、カダスフィアが存在する限り無尽蔵に生み出されるのだから。
「奴さんも動いたみたいだし、頼むぜェお三方」
「ええ、承知しました」
「腕が鳴るってなぁ!」
「はい、です」
キングの命を受け迎え撃つのはこちらもポーンとナイト。
トゥリースは【錬成ヤドリガミ】を発動し、自らの名前が刻まれた古い改造ダガーを複製する。
「ん?」
しかしその数はいつもよりも多い。本来8つ存在するポーンの役割を一人で担うトゥリースが複製するダガーは実に8倍の数になっていた。これならば兵自体の数で劣っても手数であれば負けることはない。
「今だけだとしてもこれはありがたいです」
エルスとナイはその身一つで突貫する。ナイトである彼らはその技量が、その技があれば事足りる。
迫りくる軍勢を前に3人は立ち塞がる。
ポーンであるが故に数こそ多いが単体の強さ自体はそれほどでもない。3人であれば問題なくその進行は食い止められていた。エルスとナイはナイトを相手にしながらその周囲のポーンゴーレムも蹴散らし行く手を阻む。トゥリースはその2人の後方から複製したダガーを操りポーンゴーレムたちの隊列を分断する。
「数ばっか多くてもなぁ!」
エルスの操る双頭剣がまたポーンゴーレムの頭を一つ飛ばす。同時に振るわれる石竜の尾は磁性を帯びた自らの武器の反発で距離をとる。その先にいたポーンゴーレムは着地と同時に両断され、砂となり消える。
「邪魔です!」
「―――」
これで幾度目か、トゥリースの複製ダガーがポーンゴーレムの軍勢を貫き砂へと還す。同時にナイが戦う相手のナイトへ牽制を放ち援護する。石竜はその手に持つ槍で複製ダガーを斬り払うが相手はトゥリースだけではない。注意のそれた隙をナイは見逃さず、その手首から伸びる黒剣の刃を背後から石竜の首へと突き立てた。
ゴトリと音を立てて落ちる首。ポーンゴーレムと同じようにナイトの石竜もまた倒されると砂となり朽ちていく。
「おや、ナイトはもう作らないのかい?」
『その問いの答えはわかっているのだろう』
「確認というやつサ」
チェスではないとはいえそのルールの大部分はそれに沿っている。ポーンはその数自体が力であるが故に数に制限がない。だからこそ物量で押していけるのだが他の駒は違う。役職を持つほかの駒は数が決められておりその数以上に作ることはできない。故に破壊されればそれで終わりなのだ。
チェスにおいて復活の類のルールは存在しないのだから。
「―――なるほどな」
狐狛がカダスフィアに確認をとる直前、その事実に気づいた一人の男。
倒しても復活するのであれば倒す意味がない。だからこれまで時間稼ぎに徹していたエルスだったが倒しても復活しないのであれば話は別。ポーンが無尽蔵に増える以上数的有利は作り出せないが役職持ちを減らせば相手の戦力は確実に低下させられる。
「もう手加減する必要はない、と」
【疑似全段観測】による観測を防御から攻勢へシフト。石竜の攻撃を防ぐのではなく、それを超えて攻撃へと転じる。今エルスの使う『骸装:逆綴』は砂鉄に似た性質を持つ武装。双頭剣の形をさせてはいるがその実変幻自在。故に罠としても使うことができる。
マス目をなぞる様に延ばされたそれは石竜が足を踏み入れることを待ち続ける。位置はGの3、そこが石竜を捕らえる檻となる。
何度目かわからない鍔迫り合いと弾き飛ぶエルス。追撃すべく進行した石竜がそこへ足を踏み入れた瞬間、起動する罠。砂鉄は石竜の鎧の隙間から体の隅々まで行き渡りその動きを止める。
「これでお終いだ」
エルスの振るう双頭剣が身動きの取れなくなった石竜の首を切り落とす。これでカダスフィア側のナイトはどちらも陥落。形勢は猟兵の側へと傾いた。
『想像以上にやる。流石、と言ったところだな』
「で、お次はどんな手を見せてくれるんでぇ?」
ここまではどちらも小手調べ。本当の戦いはここからだろう。
カダスフィア側も猟兵側も出し惜しみなく総てを出し切る乱戦へと突入した。
「ぐわぁぁぁ…ま。まだ…だぁぁぁぁぁぁッ」
『ドラゴンスケイルシールド』でカダスフィア側のルーク、竜が引くチャリオットの突撃を受け止めるユウ。しかしそのサイズの差は単純な威力の差になり現れる。フェアリーであるユウが攻撃を受け止められ続けていること自体が賞賛に値する。
「ネメシス!」
相棒の名を呼び移動はすべて相棒へと一任する。ユウ自身は持てる力を攻撃へ。サイズが小さいのであればそれを活かしチャリオットへ纏わりつくように飛翔しその動きを阻害する。
はっきり言ってしまえばこのルーク同士の対決はカダスフィア側に分があると言っていいだろう。しかしチェスとは同種の駒を戦わせるモノではない。持てる駒を駆使し、相手のキングを獲るモノである。
「おっと、これはいけねぇ」
そしてこの盤上に置いて厳密に言うと手番というものは存在しない。ユウの様子を察知した狐狛から指示が飛ぶ。
「ナイトのお二人はあのけったいな戦車の相手を頼むぜ! ビショップは代わりにポーンを殲滅!」
手番が存在しないとなればカダスフィア側で最も脅威と成り得る駒はポーンであった。どこまで再現しているかはわからないがこの戦いがチェスを模している以上ポーンが自陣に攻め込めばポロモーション、成り上がりをされる可能性がある。もし、クイーンの駒が増殖されでもしたら手が付けられなくなる。だからこそポーンを常に押しとどめる者が必要だった。
「了解! いくよ!」
ナイトからその役目を引き継いだのはアイン。幸いなことに戦いが始まってからこれまで魔力を練る時間は十分にあった。その背に浮かぶ魔書は1000を超え、『神羅』と『万象』、2羽の鴉も同じく魔術を展開する。
その狙いは眼前に広がるポーンゴーレムの軍勢。
「【魔を滅ぼせ、我が神烏】!!!」
鴉の弱点看破の魔術で狙うべき場所は既にわかっている。そこへ目掛けて放たれる鴉羽の刃の嵐と魔弾の雨。ポーンゴーレムの数を超える圧倒的なまでの物量が盤面を蹂躙する。光の刃がポーンゴーレムの四肢を飛ばし、魔弾が体躯を貫き砂へと還る。
視界を埋め尽くすほど存在したポーンゴーレムたちはほとんどがその大魔術を持って消滅した。
『ポーンはまだ創り出せる。味方を撃つ可能性が消えればこちらも―――』
「そうはさせないっす!」
カダスフィアのビショップに迫る一つの影、ユウはルークではなくビショップへその矛先を変えていた。これまでは同士討ちを危惧して補助しか行わなかったカダスフィアのビショップだがポーンが一掃されれば動き出すのはわかっていた。だからこそ先手を打つための奇襲。
「……いくか」
有象無象がいなくなったことで行動に移れるのはこちらも同じ。メンカルは装甲車のアクセルを踏み盤上を走り出す。狙いはユウと同じく相手のビショップ。時折、ポーンゴーレムが行く手を阻もうと現れるがそんなものは意に介さずさらにアクセルを踏み撥ね飛ばす。
『勢いは負けている……だが』
キングの号令で再生成されるポーンゴーレム。その数は当初の半分にも満たないが増え続けている以上倒さなければ増え続ける。つまりこの戦いは最初から時間をかければかけるだけ猟兵たちにとって不利な戦いであった。カダスフィアの側で落ちた駒は2騎のナイトとビショップとルークが一1騎ずつ。
戦いは終盤へと進んでいく。
「そろそろオレの出番か」
「ええ、よく我慢してくださいやした」
ここまでキングである狐狛の護衛として、自陣の最終防衛ラインとして戦っていたクイーン―――絵里香が動き出す。
クイーンはチェスにおいて最強にして最速の駒。速度が絵里香より上なものは他にもいる。それにもかかわらず絵里香がクイーンの役割を担っているのにももちろん理由がある。
「大いなる水を司る白蛇の神の名の元に、万象よ雨雲となれ!」
その祝詞に従い盤面の一部が雲へと変わる。盤上の上空へ形成されていく雨雲の上に絵里香はいた。水を操る雨冠乃巫女たる絵里香にとって雲、水の上を歩くことなど造作もない事だった。
これこそが絵里香がクイーンの役割を担う理由。眼下の戦場がどれだけ荒れようと、敵の数が多かろうとそれを全て無視し、相手のキングへと肉薄できる禁じ手の駒。最速で相手の首に突き付けられる刃であった。
そして本来であれば存在しないクイーンに相当するもう一つの駒。それが装甲車を駆るメンカルだった。ビショップとルークの性質を併せ持つメンカルは実質的なクイーン。この盤面で最速の駒。
「…邪魔……」
装甲車と言えどもその行先を阻むモノがいればその動きは止まる。しかしメンカルの装甲車はそんなものは意に介さず撥ね飛ばす。それはメンカルが装甲車に付与した【竜屠る英雄の詩】の効果。竜殺しの概念が付与されたこの装甲車はカダスフィアだけではなく、カダスフィアが生み出したものすべてに対する絶対の武器となっていた。
地上と空、どちらからもかかるチェック。しかしカダスフィア側にももちろんクイーンは存在する。剣と鞭を持つ勝利を司る女神の石像。彼女こそがカダスフィア側の最終防衛ラインだった。クイーンの2人がクイーンを相手取り消耗してしまっては意味がない。
「私が、相手、です」
だからこそクイーンの相手を買って出たのはナイだった。ナイトを屠り、数多のポーンを退け、ルークとも交戦したナイの身体は既に限界が近い。身体の至る所から出血し、今動く身体はナイ自身の念動力で何とか動かしている。そんな状況だった。
『捨て駒か。確かに有用な戦術だ』
ナイが必死に女神へと喰らいつき、時間を稼ぐ間にキングへと迫る2種のクイーン。メンカルは立ちはだかるモノ全てを轢き倒し、絵里香は雲の上からキングへと辿り着く。
「将棋と違って取った駒はそれで終わりだ。分かりやすくていい」
絵里香の振るう『黒蛇剣 ウルミ』の切っ先がカダスフィアへと狙う。最初にキングへと到達したのは猟兵たち。あとはその首を獲れば勝負は決する。雷を纏う絵里香の黒蛇剣がカダスフィアの表皮を抉っていく。
クイーンを落とせば戦況を再び傾けられるとカダスフィアも知っている。しかしチェスにおいて空を飛ぶ駒というのは本来存在しない。故に雲に乗り、空から攻撃を繰り出す絵里香を倒しきれず手を拱いていた。
そしてここに来て遂にカダスフィア側2騎目のビショップが落ちる。つまりそちらに割かれていた戦力がキングへと向けられる。だが同時に猟兵側のナイト―――ナイの身体を女神の剣が貫いた。
『ようやく1騎! ここから―――』
しかしその瞬間、剣に貫かれたナイの身体が消滅する。死体が消えるなど本来はあり得ない。カダスフィア側の駒はカダスフィアの力によって生み出されたからこそ倒されれば元の砂へと戻るだけ。
つまりナイの身体も何らかの力によって消えたということだ。
「【今はあなたの後ろにいる】」
『―――ッ!』
肉体の廃棄と同時にナイはカダスフィアの背後に現れていた。両の手首から伸びる刃が狙うはキングの首。
「チェックです!」
カダスフィアが尾を振るい、薙ぎ払うよりも早くナイの双刃がカダスフィアを切りつけその命を吸い取り力を奪う。それにより訪れる唐突な虚脱感。巨大な尾を叩きつけられたナイの身体は大きく弾き飛ばされるがナイの生み出した好機を見逃さぬ者がいる。
「これでチェックメイトだな」
『グオォォォォォ!!!』
雷を纏う黒蛇剣がカダスフィアの首へと巻き付き、放電と共に引き裂いた。
―――しかし其処に居たのはカダスフィアではなくチャリオットを率いていた騎竜であった。
何故?
確かに絵里香とナイの連携でカダスフィアへその凶刃は届いたはず。
「くくく、チェックが掛かってからのキャスリングは反則だぜぇ? そのままアタシを狙おうってんだろ?」
そう、カダスフィアはルークとその位置を取り換えていた。本来のチェスであればこの状況での取り換えは反則で在り成立しない。しかしこれはあくまでチェスを模した戦い。本来有り得ないことが起きても不思議ではない。猟兵たちもルールを超えた禁じ手を使っているのだから。
だが―――狐狛はそれすら読んでいた。
『その通り! 我が爪が貴様を引き裂けばこの戦いは終わる!』
カダスフィアの奥の手を看破したことで狐狛のユーベルコ―ドが発動する。
【非認可の模範解答】、それは回答を披露した相手に屈辱の感情と魔力及び生命力の継続的喪失を押し付ける。
そして同時に狐狛はパチンと指を鳴らし宣言した。
「いや、アンタの攻撃は届かない。アタシもキャスリングだ」
カダスフィア側にできて猟兵側にできない理由はない。狐狛の身体は消失し、代わりに現れるのはメンカルの操る装甲車。竜に対する絶対の特攻兵器であるそれが力を喪ったカダスフィアへ突貫する。
「……さよなら…お前の反則負けだよ……」
『グルァァァアアアア!!!』
竜を屠る乗機の一撃で最速の竜は盤面に沈む。
「もう一局やるかい?」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ベム・クラーク
アドリブ連携灌漑です!
「チェス盤の大地。帝竜の1体目カダスフィアを射程内に確認しました。」
「無機物との合体とは重力、磁力?よくわかりませんが巨大な的です。鎧装騎兵の攻撃に耐えられますか?」
ベルのすることはただ一つ、全兵装をたたき込むのみ。まずは足に攻撃を集中して転倒を狙います。倒してしまえばあとはひたすら全力攻撃!開いた口の中に盛大にミサイルを叩き込みます。
【戦闘知識】【一斉発射】【砲撃】【誘導弾】【吹き飛ばし】あと効果があるなら【鎧無視攻撃】
フルバースト・マキシマムも惜しみなく打ち込みますが、仲間がいれば【援護射撃】でカバーします。
「このデータをグリモアベースから各猟兵に送信しましょう。」
尾守・夜野
ったく別の俺は好き勝手いいやがって!
一番腹黒な俺から色々内部で言われてうんざりだ
チェスだの将棋だのは苦手なのは確かだがよ
だが…的がでかいなら外しようがねぇ!
スレイに乗り初撃はよけ(ダッシュ・騎乗・空中戦)、そのまま指輪から身代わりの宝珠を黒纏から抜き、Nagelに込める
そしてどてっぱらに一発(早業・スナイパー)
合体してるなら奴さんも範囲さ
そして…動けない奴を相手に剣で茨のない部分をひたすら切る
体力?
相手が死ぬまで俺は切れないな
常に相手から供給されてるし
避けきれなかった傷?
とっくに回復してる
鱗を剥ぎ露出した傷に突き刺し血を流させ…喰らいながら切り続ける
アネット・レインフォール
▼静
チェス盤とは変わった趣を持つ竜だな。
だが、こうも広範囲を変異させるとなると
戦法も見直す必要がある。
――武器が必要だ。
一撃が大きく急所に響くような巨大な武器が。
今一度、思い描け。
仮にも武人なら扱える筈だ
▼動
予め刀剣を念動力で周囲に展開。
これを足場利用し、地形変化と共に宙へ逃れる。
敵の動き、急所を観察しつつ遥か上空・頭上へ
【洸将剣】でグラン・ギニョールの殺しの鉄槌を模倣。
的が大きい頭や心臓部を狙い
太陽を背に急降下しながら一撃を放つ。
必要なら刀剣を蹴り微調整。
余裕があれば一撃目をフェイクとし
居合の要領で本命の二撃目を叩き込む。
『俺は――アネットだ!』
武器がしゃべ…!?チェンジで
連携、アドリブ歓迎
緋神・美麗
アドリブ・絡み歓迎
さて、最初の大ボスのお出ましね。その力、どの程度のものか見定めさせてもらうわよ。
どうあがいても先制でロボ化されるのならロボ化したところを吹き飛ばすまでよ!
合体変形したカダスフィアを超巨大電磁砲で撃ち抜く
2回攻撃でカダスフィア本体と足元のチェス盤を同時に攻撃し、チェス盤は完全に粉砕する
「これでチェス盤との合体はもう出来ないでしょ」
もてる技能の全てを駆使してカダスフィアを完全粉砕する
フランチェスカ・ヴァレンタイン
巨大化はまあ、確かに脅威ではありますけれど… 小回りの利く相手には悪手では?
機動を細かく切り返す空中戦機動で相手の狙いを翻弄しながら、鈍重な巨体となった帝竜と追いかけられっこと参りましょうか
適度に挑発の砲撃など入れながら煙幕代わりに雷装の爆撃を乱れ撃ち、飛翔ビットを纏わり付かせることで牽制を
絶妙な加減速で間合いに捉えられる寸前まで帝竜を引き付け、UCの発動で急上昇することで一気に引き剥がしましょう
そのまま高高度で宙返り、ソニックブームが直撃して体勢を崩している帝竜へ向けて、垂直降下蹴りの一撃を
「ソラの果てより降り落ちる一撃を、どうぞ召しあが、れッ…! ハイペリオン――ディザスタァァァッッ!!」
●知恵の試金石
大地に伏したカダスフィア。視界を埋め尽くすほどいた配下の怪物たちもその姿は消え、盤上にはカダスフィアだけが残っていた。
『―――』
揺れる大地と共にカダスフィアは再び動き出す。チェス盤の大地はカダスフィアへと吸収され、そのまま外部装甲に。組みあがるのは最早竜ではなく兵器。カダスフィアは己の尊厳すら捨てて猟兵たちを倒すために兵器へとなり果てた。
『我は負けた。しかし貴様らの命だけは貰って逝く』
それはカダスフィアの覚悟の証でもあるのだろう。盤面を吸収したということはもう分離は叶わない。もうカダスフィアは指し手ではなくただの兵器と化したということだ。
「チェス盤の大地。帝竜の1体目カダスフィアを射程内に確認しました」
そして頭脳戦が終わりを告げたことで嬉々として戦場へと現れる者もいる。相手が暴力を振るうのであれば暴力を持ってそれを制する者たち。
ベム・クラーク(ウォーマシンの鎧装騎兵・f27033)がすることはただ一つ。己自身を固定砲台と化し、ただ全力を持ってカダスフィアへ全兵装を叩き込む。
「巨大化はまあ、確かに脅威ではありますけれど……小回りの利く相手には悪手では?」
「チェスだの将棋だのは苦手なのは確かだがよ……的がでかいなら外しようがねぇ!」
フランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)と尾守・夜野(墓守・f05352)はその機動力を以てカダスフィアへ肉薄。巨体と化し小回りの利かなくなった身体を責め立てる。
しかしベムの砲撃もフランチェスカの雷撃も夜野の斬撃も全長200mを超える兵器と化したカダスフィアへの決定打にはならない。
―――武器がいる。
強固な外部装甲を破壊し、内部へとダメージを伝えるための武器が。一撃が大きく急所に響くような巨大な武器が。
だからこそアネット・レインフォール(剣の異邦人・f01254)は想像する。この状況を打開するための武器を。該当するのはかつて戦った殺人鬼の振るう武器。あまりにも巨大な暴力の塊。
アネットが【【碌式】洸将剣】の力で想像から創造したのは先の戦争で刃を交えたグランギニョールの持つ殺しの鉄槌。本来の得物である刀ではないが今必要なのは技術ではなく威力。ただ振るうだけならばアネットでもできる、否、振ってみせる。
「俺が隙を作る!」
カダスフィアへの道は念動力で操作した刀剣たちで作り出す。元より巨大すぎる鉄槌のせいで素早い動きなどできはしない。だからこそアネットはただただ高く空へと上がる。カダスフィアの攻撃はフランチェスカと夜野が惹きつけてくれている。その間に高く、カダスフィアの頭上へ。
カダスフィアの頭上を越え、遥か上空から太陽を背にアネットは降下する。飛行能力など持たぬアネットはただ堕ちる。鉄槌の質量に従い加速しながら。
狙うのは頭、そして胴体。あまりにも巨大すぎる鉄槌では細かな箇所までは狙えない。
カダスフィアとてアネットの動きには気づいていた。もはや先の対局時の様な知能はないが迫りくる脅威には抵抗する。周囲を飛び交う2人の猟兵ではなくその矛先は頭上のアネットへ。
「させませんわよ?」
ダメージが薄いと言っても衝撃は無効化されない。フランチェスカはカダスフィアの振り上げた腕目掛けありったけの爆撃をお見舞いする。それに追従するかのように放たれるベムのミサイルがカダスフィアの腕を大きく弾き飛ばす。
「まずは一発!」
障害はなくなり、アネットは渾身の力で鉄槌を振り下ろす。上空からの加速を伴ったその一撃はカダスフィアの頭部へ炸裂し、頭から地上へと叩きつける。大地を揺らし地に伏すカダスフィア。
「もう、一発!」
「俺もやるぜ!」
勢いをそのままに2発目を振り上げるアネット。そして夜野はそれに合わせ『身代わりの宝珠』を取り出し自らの単発銃『Nagel』に込める。伏したカダスフィアはようやく再び立ち上がり、再起動しようとするがそれを許さぬ者がいる。
「動かなければいい的よね」
緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)はこの瞬間を待っていた。いかに【超巨大電磁砲】を用いて装甲を撃ち抜けるだけの威力を確保したとしても避けられては意味がない。だからこそカダスフィアの動きが止まるこの瞬間を待ち続けていた。周囲に転がる瓦礫を砲弾として帯電させながら。
「美麗、このデータを」
ベムもそれは同じこと。これまでの攻撃で得た装甲のデータを美麗と共有し、狙う個所を共有する。先のアネットの一撃と次の一撃で恐らくカダスフィアの外部装甲にほころびが生まれる。そこを突きさえすればあの巨大な装甲を剥がし、再びカダスフィアの本体を引きずり出すことができる。
「いっくぜぇぇぇえええ!!!」
アネット渾身の弐撃目がカダスフィアの背に叩きつけられるその瞬間。
『俺は――アネットだ!』
殺しの鉄槌を模倣しすぎた洸将剣は自我を持っていた。
「武器がしゃべ……!? チェンジッ!!!!!」
とりあえずムカついたのでそれも込みでアネットは全力で鉄槌をカダスフィアへ振り下ろす。
その一撃はこれまでどんな攻撃も傷をつけるだけだったカダスフィアの装甲に罅を入れる。そしてその罅目掛け放たれる夜野の弾丸。
「やれ!!!」
夜野の声と共に放たれるベムの【フルバースト・マキシマム】と美麗の【超巨大電磁砲】。放たれる砲弾たちがアネットの入れた罅を広げ、カダスフィアの全身へと広げていく。
「時間だぜ」
そして撃ち込まれた夜野の【贖罪の山羊は俺ではない】が発動し、『身代わりの宝珠』が茨となって装甲の中から生い茂る。
茨により動きが封じられ、砲撃に晒され続けるカダスフィア。罅の入った装甲はもはやその身体を守るモノではなく拘束具と化していた。
「これで終わりよ!」
「全弾発射」
再びの砲撃がカダスフィアの装甲を剥いでいく。その姿は最早兵器ですらなく傷ついた一匹の竜。チェス盤の大地も完全に粉砕され再度の合体もできはしない。
「これでチェス盤との合体はもう出来ないでしょ」
装甲は破壊され、チェス盤が喪われたとしてもカダスフィアは未だ諦めない。最後の力を振り絞り、喉元に喰らいつくべく起き上がる。
―――しかし猟兵はそれすらも許さない。
再び遥か上空から飛来する一つの影。それはフランチェスカのモノだった。装甲が剥げる前にフランチェスカは上昇し、この一撃に備えていた。
音速を超えるそのスピードが生み出した衝撃波がソニックブームとなりカダスフィアへと襲い掛かる。その速度と想定外の事態にカダスフィアはなにが起こったのかもわからずよろめいた。
『なに―――』
「ソラの果てより降り落ちる一撃を、どうぞ召しあが、れッ…! ハイペリオン――ディザスタァァァッッ!!」
【九天裂き往き 荒び散らすもの】、その極超音速の空中戦闘機動による垂直降下蹴りの一撃がカダスフィアの頭部に炸裂し粉砕した。
頭を失った身体は力なく倒れ、塵をなり消えていく。
対局を終え、番外戦術すらも超え、この戦いの軍配は猟兵たちへと上がった。
盤面を捨てた指し手に勝利の光明は微笑むことはない。
大成功
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