帝竜戦役③〜チェックメイト・ドラゴンロード
●帝竜『カダスフィア』との決戦
「皆さん、ついに帝竜の一匹、帝竜『カダスフィア』との戦いです!」
グリモアベースで猟兵たちに声をかけるのは、白い髪の電脳魔術師の少女、アイ・リスパー(f07909)だ。アイは手元のホロキーボードを操作すると、空中に三次元CG映像を表示させた。
そこに映るのは、一体の巨大なドラゴン。チェス盤のような大地に住まう帝竜『カダスフィア』だ。
ヴァルギリオスを倒すためには避けて通れない帝竜の一匹である。
帝竜たちは、ヴァルギリオスのいる世界樹を守る結界を張っている。それを破るためにも、帝竜『カダスフィア』はなんとしても撃破しなければならない。
「帝竜『カダスフィア』は、先制攻撃で非常に強力な攻撃を仕掛けてきます。ですが、この先制攻撃に対して有効な対処方法を編み出せば、帝竜『カダスフィア』の攻略も不可能ではありません」
チェスの駒のような装飾品を全身につけた帝竜『カダスフィア』は、チェス盤となっている大地と合体したり、チェス型のゴーレムの大群を呼び寄せたり、無機物をチェス盤やチェスの駒を模した怪物に変換して襲わせたりしてくる。
この先制攻撃をいかに防御し、反撃するかの作戦が非常に重要になるだろう。
「非常に厳しい戦いになると思いますが、皆さんなら帝竜『カダスフィア』を倒せると信じています」
気をつけて行ってきてください、と頭を下げ、アイは猟兵たちを送り出したのだった。
高天原御雷
このシナリオは「戦争シナリオ」です。1章で完結し「帝竜戦役」の戦況に影響を及ぼす特殊なシナリオとなります。
オープニングをご覧いただき、どうもありがとうございます。高天原御雷です。
帝竜戦役三本目のシナリオをお届けします。
今回は、いよいよ最初の帝竜『カダスフィア』との対決です。頑張って勝利を勝ち取りましょう。
以下、シナリオ詳細です。
●目的
帝竜『カダスフィア』を撃破すること。
●特殊ルール
帝竜『カダスフィア』は、必ずユーベルコードで先制攻撃を仕掛けてきます。
いかにユーベルコードを防御して反撃するかの作戦がポイントとなります。
敵ユーベルコードに対して有効な対処方法を編み出したプレイングには、プレイングボーナスが付与されます。
なお、複数回のユーベルコードの使用に対しては、ユーベルコード使用一回ごとに帝竜『カダスフィア』の先制攻撃が発生しますので、ご注意ください。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『帝竜カダスフィア』
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POW : ビルド・カダスフィア
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【チェス盤化した、半径100m以上の大地】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD : ミリティア・カダスフィア
【チェス型ゴーレムの大群】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 形成するもの
自身からレベルm半径内の無機物を【チェス盤やチェスの駒を模した怪物】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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アイン・セラフィナイト
凄い覇気だね。自身を捨て駒なんて言い放つ。相当な覚悟だ。
いくよ、カダスフィア。ボクはまだまだ未熟だけど……キミの一手を突き崩す!
【対策】
『黒翼・神羅の鴉羽』で『空中戦』、遠距離攻撃も考えて『暁ノ鴉羽』で『オーラ防御』しておくよ!
【反撃】
怪物を次から次へと……だけど、怪物ってことは自我を持っているってことだよね?
UC発動【暁ノ日輪】を視認した怪物たちは幻惑に呑まれる。カダスフィアを『ボク』と認知して襲いかかるようにする。
UC発動を解く?それとも、怪物を生み続ける?どちらにしろ……これで終わりだ!
『境界術式』展開、魔書から生み出される魔弾の雨で全てを『蹂躙』するよ!(属性攻撃・全力魔法)
●『僅かに一手。僅かに数日……。』
チェス盤のような大地が広がるカダスフィアフォートで呟くは、ヴァルギリオスの配下が一体、帝竜カダスフィア。
巨大な翼と角を持ち、全身にチェスを模した装備品を纏った帝竜の知将は、現れた猟兵たちと対峙する――。
「どうやらボクが一番手みたいだね」
青髪の少年、アイン・セラフィナイト(精霊の愛し子・f15171)が、背丈よりも長い杖を持って帝竜に金色の瞳を向けた。その落ち着いた物腰は、外見よりも大人びた雰囲気を醸し出している。
「凄い覇気……。相当な覚悟を感じるよ。いくよ、カダスフィア。ボクはまだまだ未熟だけど……キミの一手を突き崩す!」
『小さき者よ、この白と黒の大地に斃れるがいい』
術式を展開しようとするアインよりも、この地の支配者カダスフィアの行動の方が早い。
地面からチェスの駒を模した怪物が姿を現す。漆黒の馬に乗り馬上槍を構えた騎士――ナイトの駒を司る怪物だ。
漆黒の騎士は不規則な動きでアインへと肉薄する。
「黒翼・神羅の鴉羽!」
――ばさり。
アインの背中に漆黒の双翼が生まれ大きく羽ばたいた。鴉の羽を舞い散らしながら、アインは上空へと舞い上がる。その眼下を漆黒の騎士の槍が虚しく通り過ぎていった。
だが、カダスフィアが生み出すチェスの怪物はそれだけではない。ポーンを司る黒い歩兵団に、ビショップを司る司祭の怪物。続々と生まれてくる怪物たち。
黒い司祭が杖を掲げると、そこから放たれた一条の光弾がアインを襲う。
空中に舞い上がった直後のアインに光弾が直撃するかと思った刹那――。光弾はアインの周囲に舞い散る鴉の羽によってかき消された。
「残念だったね。ボクの『暁ノ鴉羽』は簡単には破れないよ」
にこり、と笑みを浮かべたアインは魔力を集中させる。
「全てを惑わす薄明の大群、ボクに力を!」
【幻術・暁ノ日輪】によって生み出されるのは、光り輝く鴉の大群と影でできた蝶の群れ。
鴉と蝶はチェスの怪物たちへと襲いかかる。
『愚かな……その程度の攻撃で我が駒を倒せるとでも思ったか』
「いや、思ってないよ。――だけど、ボクの暁ノ日輪を視認した怪物たちは幻惑に呑まれる」
アインの言葉と同時。黒き騎士が。黒き司祭が。黒き兵団が。一斉にくるりと向きを変えた。
「敵のキングを味方のキングに。味方のキングを敵のキングに。そう認識するよう幻惑をかけさせてもらったよ。彼らの標的はキミさ、カダスフィア」
黒き兵団が本来の主――カダスフィアに向かって攻撃を開始した。
黒き司祭の光弾が、黒き騎士の槍が、帝竜の鱗を穿ち貫く。そこに殺到する黒き兵団。
『ぐぬっ……』
カダスフィアはたまらずチェスの怪物を無機物に戻す。
だが、その隙はアインが攻撃準備を整えるのに十分すぎた。
アインの周囲の空間が歪んだかと思うと、空中に無数の魔書が姿を現した。『叡智ノ書架』より魔書を召喚する『境界術式』だ。
空中に浮かんだ魔書のページがパラパラとめくれ、魔法陣が輝いた。
「カダスフィア、これで終わりだ!」
魔書から放たれた無数の魔弾が、帝竜カダスフィアへと炸裂したのだった。
成功
🔵🔵🔴
神羅・アマミ
まずは第一のボスがお出ましか!
景気づけに一発ブチかましたろかい!
チェスゴーレムということは、それに準じた動きをすると安直に考えて良いのじゃろか?
しかし妾、ルールさっぱりわらかねーんじゃよな~!
そこで!
「マスとマスの境目」を意識してそこを【ダッシュ】することで、敵に誤認を引き起こす試みはどうじゃろか。
同マスへの移動を誘導してカチ合わせたり、同士討ちを誘発できれば御の字じゃのー。
こちらも無事にUC『箱馬』を発動できれば!
敵はあくまで盤面上の二次元的な動きに対し、こちらは三次元的な立体の撹乱が可能となる!
混戦に持ち込み狙うはクイーン。そいつが攻めの要なんじゃろ?
妾でもそれぐらい知ってるんじゃからな!
●『ヴァルギリオス様の仰られた程、我等は後手に回った訳ではない』
帝竜カダスフィアは考える。自分の準備は万全だったはずだ。
現にこうしてカダスフィアフォートにて迎撃準備を整え終えている。
「まずは第一のボスがお出ましか! 景気づけに一発ブチかましたろかい!」
和装の灰色髪の少女、神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)が、カダスフィアに向かって気合の声を上げる。
和風ゴシックロリータ服の上から鎧を身につけたアマミは、和傘を構えて赤い瞳に真剣な光を宿す。
『いでよ、我がチェスゴーレム軍団よ』
アマミよりも先に動いたのは、この地の支配者カダスフィアだ。
『ミリティア・カダスフィア』――チェスの駒の形をしたゴーレム兵団がカダスフィアを守るかのように布陣を整えた。
それを見たアマミは不敵な笑みを浮かべる。
「チェスゴーレムということは、それに準じた動きしかできないということじゃろう!」
『ぐぬっ!?』
自慢の兵団の唯一の弱点を指摘されたカダスフィアが、思わず狼狽の声を上げた。
アマミは推測が当たったことに内心ほくそ笑み――。
(しかし妾、チェスのルールさっぱりわからねーんじゃよな~!)
せっかくの作戦を台無しにするような台詞をぶっちゃけた。
「ならば、これでどうじゃ!」
アマミは、白黒に塗り分けられたチェスボード状の地面の上を疾走する。
カダスフィアに近づけさせるものかとチェスゴーレムたちが殺到し――飛びかかってきたナイト同士が衝突して地面に転がった。
高速で突撃してくるビショップの体当たりも、アマミの身体を掠るだけで直撃することはない。
さらに、並んだポーンが作る壁をも、アマミは隙間をすり抜けるように突破した。
『くっ、我が指揮する兵団を、こうも易々と突破するとは、貴様、このゲームやり込んでいるなっ!?』
「いや、初めてじゃが?」
チェスのルールが分からないアマミは、地面のチェス盤のマス目とマス目の間を駆け抜けることで、チェスゴーレムたちの動きをすり抜けたのだ。
「そして、ここまで近づけば妾の間合いっ!」
アマミが空高く跳躍する。
――否。ただの跳躍ではない。【箱馬】による、まるで空を駆け上がるかのような連続ステップ。敵のルークによる妨害も回避する立体機動。
遥か高空に達したアマミの狙いは唯一つだ。
「クイーン、そいつが攻めの要なんじゃろ? 妾でもそれくらい知ってるんじゃからな!」
アマミが、その双眸をカッと見開いた。
足が虚空を蹴り、地上へと急降下する。
「この高さからの蹴り、耐えられるかっ!? 死ねーッッ!!」
アマミは流星の如き勢いでクイーンへ急降下蹴りを放ち――粉々に打ち砕く。
『ばかな……我が兵団が!?』
「ついでじゃ、お主も死ねーッッ!!」
アマミは返す刀でカダスフィアの顎に蹴りを叩き込んだのだった。
大成功
🔵🔵🔵
尾守・夜野
…直情的な【俺】には任せておけませんね
ここは【僕】の出番です
僕は他人格からは腹黒で通ってますよ
チェス盤という事は無機物ですよね
怪物は知りませんが…
ゴーレムなら多分無機物でしょう
こちらが変化させ返します
チェス盤をひっくり返すように
離れた所からなら瞬時に僕に攻撃がくる訳じゃないですよね
怪物がくるまでの距離があるわけですし
変えられた領土の外からゆるりと置き換え返しながら進軍します
僕のは植物ですからね
有機物です…よ!
地面を苔で覆い、安全地帯とし攻撃手段には薔薇を用いましょう
チェス盤を元にしたからか白と黒の薔薇が咲きました
白は好みじゃないんです
なので…真っ赤に染めましょう
手始めに残った怪物で、そして龍で
●『しかし、それでも、この最速の我さえも、敵に先手を許す事となった』
チェスを戦いの道具とする帝竜カダスフィアは考える。
チェスは先手有利のゲームだ。そのため、カダスフィアを始めとした帝竜たちは戦いの先手を取ろうと準備をしてきた。
だが、蓋を開けてみれば敵に先手を許すことになった。
『さりとて、先手有利も決して覆せぬものではない』
チェス盤の支配者は、静かに戦いの準備を進める。
「……直情的な【俺】には任せておけませんね。ここは【僕】の出番です」
自身の中の他の人格に語りかけながら、漆黒の髪の青年、尾守・夜野(墓守・f05352)が黒いマントをなびかせる。他人格から『腹黒』と称されるその性格に似合った不敵な笑みが、色白の顔に浮かんでいた。
『性懲りもなく我の領地に来たか。いでよ、番人たちよ』
カダスフィアの【形成するもの】により、大地からチェスの駒を模した怪物たちを作り上げる。
黒き兵団、黒き騎士、黒き司祭、黒き戦車、黒き女王。
夜野が行動に移る前に、すでにカダスフィアは怪物たちの創造を終えていた。
だが、チェスの怪物たちを見ても、夜野は余裕の笑みを崩さない。
「チェス盤から作られた怪物たちですか。組成変換はおこなっていないようですから、無機物のままのようですね」
武器も構えず、夜野は無防備に歩を進める。
そこに襲いかかる黒き怪物たち。
――しかし、その攻撃が届く前に、怪物たちの動きが止まった。
「僕は腹黒で通ってますからね。戦いのルールなんかには従いませんよ」
『なん……だと、我が番人たちが……』
驚愕するカダスフィアの目の前で、怪物たちの身体から漆黒の薔薇が咲き誇った。
いや、怪物たちだけではない。夜野の周囲数十メートルの地面がチェス盤から苔に変化し、白と黒の薔薇が咲き乱れていた。
夜野が【【襲】穫祭】によって周囲の無機物を植物へと変換したのだ。
「僕のは植物ですからね。有機物ですから怪物は生み出せません……よ!」
言葉とともに腕を一振りする夜野。その動きに呼応するように、周囲に咲き乱れる白薔薇がカダスフィアに襲いかかった。
『ぐぬぉおっ!』
「僕は白は好みじゃないんです。なので……真っ赤に染めましょう。竜の血で……」
カダスフィアの皮膚を貫き、その鮮血を浴びた薔薇が赤く染まっていった。
成功
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フェルト・ユメノアール
相手の得意分野では勝ち目がないね
なんとか裏をかかないと…
まずは『トリックスターを投擲』して敵集団を牽制
囲まれないように軽業のような動きで攻撃を回避しながら後退
そして、敵を十分に引き付けた所で『ワンダースモーク』を使用し、相手が混乱した隙にUCを発動する
逆巻く水の魔術師よ!その魔力を以て、世界に新たな理を示せ!
現れろ!【SPマーメイジ】!
人魚の魔力で腕を鳥の翼に変えて飛行、チェスたちの群れを飛び越え、一気に帝竜の元へ
勝負は一瞬、翼を元の腕に戻して空中から急降下
さらに『イリュージョンライト』の光を最大出力で放つ事で帝竜の目を眩ませ
その隙を突いて落下速度を加えたトリックスターの一撃を頭部に叩き込む!
●『我を含む『再孵化』した帝竜に、それ以前の記憶は無い』
帝竜カダスフィアは黙考する。
『再孵化』を果たした帝竜たちは以前の記憶を持っていない。
ただ自らの使命を果たすだけだ。
このカダスフィアフォートに侵入するものたちを打ち倒す。それが全てだ。
「相手の得意分野では勝ち目がないね。なんとか裏をかかないと……」
顔にハートと涙のメイクをしたフェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)は、帝竜カダスフィアを前にして、対抗するための策を反芻する。
カラフルな道化師用衣装『ファンタシースター』に身を包んだフェルトは、サーカスに魅せられたエンターテイナーを夢見る少女だ。また、魔法のカードを自在に操ることもできる。
フェルトは、作戦の要である魔法のカードをそっと握りしめた。
『この地での先手は我がいただく』
重く低い声で唸った帝竜カダスフィア。その周囲にチェスの駒の形をしたゴーレムの大群が現れる。
ポーン、ナイト、ビショップ、ルーク、クイーンといったチェスゴーレムたちは、侵入者を撃退すべく動き出した。
「おっと、囲まれるとまずいかなっ」
迫りくるチェスゴーレムの群れに囲まれないよう、フェルトは曲芸用ダガーの『トリックスター』を複数投擲。チェスゴーレムたちを牽制する。突撃してくるルークやビショップの身体に手を突いて空中に飛び上がり、後方に三回転半捻りして着地。ピンク色の髪を軽やかに舞わせながら、フェルトは徐々にチェスゴーレムの集団から距離をとって後退していく。
フェルトを追撃してくるチェスゴーレムの群れ。だが、あと一歩のところでフェルトにギリギリ回避される。ポーンの群れの手がかいくぐられ、ナイトの突撃が紙一重でかわされる。
あと一歩、あと一歩。フェルトによってわざと誘導されているとも気づかず、ゴーレム軍団が深追いしたところで――。
「ここまで引き付ければいいかなっ!」
フェルトが地面に叩きつけたボール『ワンダースモーク』から、カラフルな煙が吹き出した。その煙はチェスゴーレムたちを包み込み、その視界を遮っていく。
こうなっては、チェスの駒たちも自由に動けない。
その煙の中からフェルトの声が高らかに響く。
「逆巻く水の魔術師よ! その魔力を以て、世界に新たな理を示せ! 現れろ! SPマーメイジ!」
直後、煙の中から飛び出してきたのは、両手を翼に変化させた人魚姿のフェルトだった。
ドローしたユニットカード【SPマーメイジ】をソリッドディスクにセットしたことで、フェルトは人魚に姿を変えたのだ。
飛翔するフェルトは、チェスゴーレムたちを一気に飛び越え、帝竜カダスフィアへと肉薄する。
もはや、カダスフィアを守る兵団はいない。
翼を腕に戻したフェルトは、空中から急降下しつつ『イリュージョンライト』を取り出した。
ライトの出力を最大にすると、レーザー並の強度の光をカダスフィアに向かって照射。その瞳を射抜く。
『ぐわっ!』
強力な光で目が眩んだ帝竜に向かってフェルトはダガー『トリックスター』を構えたまま落下。帝竜の右目に勢い良くダガーを振り下ろす。
『ぎゃぁあああっ!』
フェルトのダガーは、帝竜カダスフィアの右目に深々と突き立ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
クラウン・アンダーウッド
チェスはあまり得意じゃないからこの際だ。得意のダンスを披露しようじゃないか♪
人形楽団、音楽始め!
楽器を手にした道化人形達の演奏を背に9体のからくり人形と共に帝竜のもとへと突き進み、1体だけ別行動。
周囲の情報を逐次掌握して、からくり人形と共にゴーレム達の攻撃をまるでダンスをしているが如く受け流しながら怪力で粉砕していく。
おや?この程度なら大したことないなぁ♪
相手を挑発して自身に注目させ、攻撃が集中するように仕向ける。
別行動させているからくり人形(β)は、主人に攻撃が集中している隙に接近して自身のUCの射程に帝竜を納めて使用する。
ボクに付き合ってくれてどうもありがとう♪β!終焉の大火!
●『だが、我が脳裏には、苦い敗北の悪夢が刻まれている』
帝竜カダスフィアは右目に突き立ったダガーの痛みと、敗北の悪夢を重ね合わせる。
『再孵化』以前の記憶はないが、魂に刻みつけられた敗北の悪夢……。
今度こそ同じ轍は踏むまいと、迎撃の準備を進めていった。
「チェスはあまり得意じゃないからこの際だ。得意のダンスを披露しようじゃないか♪」
道化師の衣装に身を包んだクラウン・アンダーウッド(探求する道化師・f19033)が楽しげに声を上げた。ガントレットを嵌めた指からは伸びる糸には10体のからくり人形が繋がっており、仰々しくお辞儀をするクラウンに合わせて一斉に礼をする。さあ、楽しいダンスの始まりだ。
「人形楽団、音楽始め!」
後方で楽器を構えた自動人形の集団が、場の雰囲気を明るくするような楽しげなテーマを演奏する。
『またもや道化師か……』
右目の痛みを感じつつ、苛ついた口調で帝竜カダスフィアが吠える。
展開されるのは、チェスゴーレム兵団だ。
『先と同じ愚は犯さぬ。兵団よ、守りを固めよ』
チェスの駒の形をしたゴーレムたちは、向かってくるクラウンたちを迎撃する布陣をとった。
「クイーンの指揮の元、ポーンを前面に押し出して、その後ろにナイト、ルーク、ビショップを配置、か。どうやら深入りはしてこないみたいだね。なら、こちらから行かせてもらうよ」
クラウンは素早く戦況を分析すると、からくり人形たちを操作していく。
「γ、ζ、ι、κはポーンの相手を。α、δ、ε、η、θはボクのサポートだよ」
球体関節人形たちを糸で操作しつつ、敵陣に切り込んでいくクラウン。まるでダンスを踊るような軽やかなステップでナイトの跳躍攻撃を回避すると、すれ違いざまに拳を叩き込んだ。
クラウンが身につけているのは硬いガントレットだ。怪力とともに繰り出されたガントレットの一撃は、チェス盤の地面と同じ硬質な素材で作られたナイトのゴーレムを一撃の元に粉砕。その身体を拳が貫通し、ナイトの動きが停止する。
動きを止めたゴーレムを貫いている腕を引き抜きながら、クラウンは道化師らしい不敵な笑みを浮かべた。
「おや? この程度なら大したことないなあ♪」
『挑発とは道化らしいな。だが二度もその手には乗らぬ。兵団よ、その道化の動きを封じよ』
クラウンを警戒したカダスフィアは、敵のキングを包囲するように駒を動かす。
対するクラウンも、チェスゴーレムたちに包囲されないよう、9体の人形を操った。
襲いくるチェスゴーレムたちを球体関節人形が押し止める。その隙に、クラウンがルークの攻撃をガントレットでいなし、裏拳を叩き込んだ。
『人形遣いの道化師め、厄介な。ならば、その9体の人形を先に……む?』
クラウンの操る人形を見たカダスフィアが表情を変えた。
人形は初め10体いたはずだ。あと一体はどこに……。
「ようやく気付いたかい? けど、もう手遅れだね。ボクに付き合ってくれてどうもありがとう♪」
そこでカダスフィアはようやく気付く。
残った一体の人形――βが、戦場を迂回し至近距離まで接近していたことに。
『ぐっ、この我に奇襲だとっ!?』
「もう遅いよ! β! 終焉の大火!」
カダスフィアに接近したβが両手を伸ばすと、その先端に太陽の如き灼熱の塊が生じる。【人形固有能力・タイプβ】による劫火だ。それはカダスフィアを飲み込んでいき――。
『ぐぉおおおっ!』
帝竜の苦しみにまみれた声が響いたのだった。
「どうだい、驚いてくれたかな? それは道化師として光栄の極みだね」
大成功
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アリス・セカンドカラー
ふむ、シャーマンとして使役するチェスをモチーフとしたUDCの霊を召喚し、ルーク型の権能で擬似キャスリングでテレポート回避しましょ。あくまでもモチーフにした技なのでチェスルールの制限はありませぬ。
で、無事に凌げたら大いなる闇の軍勢を召喚するわ。戦士達にUDCを宿してチェスモチーフの美少女戦士にしましょうか。魔王陛下をキングに私がクイーンね☆盾役のルーク、回復役のビショップ、機動戦力のナイト、魔術砲台のクイーン。歩兵のポーンは敵陣深くまで送りこめればクイーンに変身させられるので彼女達を如何に多く送り込むかが鍵か。
雷霆や重圧の超能力で蹂躙しながら道を切り開きましょう。
●『敵の喉元に喰らいついておきながら敗北を喫した、苦い記憶が……』
帝竜カダスフィアの脳裏に悪夢が蘇る。
勝利を目前にして、手から水がこぼれ落ちるかのごとく、勝機を失った悪夢。
此度は同じ過ちを繰り返すまいと心に誓い、チェスの怪物を生み出していく。
「チェスの怪物ね……」
次々と生み出されていくチェスの怪物たちを目に、ピンク色のエプロンドレスを着た少女、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)が小悪魔的な表情を浮かべる。
腰までの長い銀髪をかきあげながら、蠱惑的な仕草で赤い瞳を細めたアリスは、シャーマンとして霊を呼び出した。
それは塔のような形――すなわち、チェスのルークの駒を象った霊だった。
『ふん、たった一駒で何ができる! そんな駒は無視してお前を叩き潰してくれよう』
カダスフィアがチェスの怪物たちに指示を送る。
怪物たちは怒涛の如くアリスに向かって押し寄せた。これではアリスが対応する余裕はない。アリスの姿はあっという間に怪物の群れに飲み込まれ蹂躙されていく。
『口ほどにもない……』
チェスの怪物の群れの中に消えたアリスを見て、満足げに嗤うカダスフィア。
だが、そこにアリスの声が響き渡った。
「あら、あの程度で私を倒したつもりだったのかしら?」
チェスの怪物たちの群れから離れた場所――アリスが召喚したルーク型の霊がいた場所の近くに、アリスの姿があった。当然、傷一つ負っていない。
『なに、まさか……』
「ええ、あなたならわかるでしょう? そう、チェスの特殊ルールの一つ、キャスリングによるテレポート回避よ」
――キャスリングとは、チェスにおいてキングをルークの方向に移動させることができるルールのことだ。一ゲーム中一回しか使えないが、重要なテクニックである。
「ま、疑似キャスリングなんで、チェスルールの制限をないけどね」
アリスはカダスフィアに向かってウィンクひとつ。余裕の笑みを浮かべた。
「さあ、今度はこちらの反撃よ! 我が呼び声に応えよ、常闇の亡霊!」
アリスの【大いなる闇の軍勢】によって呼び出されたのは空飛ぶ不思議な船だ。その甲板では、漆黒の剣で武装した戦士の幽霊たちが待機している。
だが、アリスが腐敗の魔少女と名乗っている真骨頂はここからだった。
「せっかくなら、戦士たちは美少女の方がいいわよね☆」
アリスは、船の玉座に座ったままの魔王陛下をキング、自身をクイーンに見立て、闇の軍勢たちをチェスの駒に見立てていく。
それも、アリスが考えることだけに、それが普通のチェスの駒であるはずがなかった。
「はーい、あなたは盾役の女聖騎士ルーク、こっちは回復役の聖女ビショップ、機動戦力の女騎士ナイト、魔術砲台の魔法王女クイーン。女戦士ポーンたちは敵陣深くまで送り込めば魔法王女に変身させられるので、彼女たちをいかに多く送り込めるかが鍵ね♪」
そう。アリスは飛行船に乗る戦士の幽霊たちを萌えチェス少女キャラにしていた。
「うふふ、擬人化チェスっ娘ゲーとかソシャゲで出したらヒットしないかしらね?」
アリスによって大量に生み出された擬人化チェスっ娘たちが地上に降り立ち、カダスフィアのチェスの怪物たちと激闘を繰り広げ始める。
「女戦士ポーン! 剣の錆にしてあげるわっ!」
「女騎士ナイト! 私の機動力を甘く見ないでねっ!」
「聖女ビショップだよっ! おねーちゃんたちの傷はわたしがなおすんだからっ!」
「女聖騎士ルーク推参! 魔王陛下と王女殿下はこの身に代えても守る次第!」
「そして、ポーンが昇格するまでは私が魔法王女クイーンね♪ さあ、萌えチェスっ娘部隊、出撃よ♪」
雷霆や重圧といった超能力を使ってチェスの怪物を攻撃する魔法王女アリスを先頭に、萌えチェスっ娘軍団は、カダスフィアのチェスゴーレム軍団との死闘を開始したのだった。
『くっ、ばかな……我がチェスで負けた……だと
……!?』
「ふふ、不気味な怪物が萌っ娘にかなうと思った時点であなたの負けだったのよ」
驚愕する黒のキング――カダスフィアに対し、白髪のクイーン、アリスが勝ち誇ったように笑い、部下たちに指示を下す。
「さあ、残るは敵キングだけよ! 合体技で決めるわっ!」
「「はいっ、王女さまっ!!」」
チェスっ娘たちは、魔法王女アリスの号令に合わせ、一斉に必殺技を放つ。
「可能性を秘めし女戦士の剣(プロポーショナル・スラッシュ)!」
「迅雷の如き女騎士の槍(エレクトリック・ライトニングサンダ―)!」
「清浄なる幼女の癒やし(プリティ・キュア)!」
「魔を封じし聖なる盾(ディバイン・ホーリー・セイント・バリア)!」
「そしてとどめは、腐敗の魔少女の悪夢(アリス・マインド・ドレイン)よ!」
『ぐ、ぐわぁあっ、チェスの駒に必殺技とはおかしいのではないかっ!?』
「甘いわねっ! ソシャゲとして売るには個性が重要なのよ、個性がね♪」
こうして(主に精神的な)ダメージを受けたカダスフィアだった。
大成功
🔵🔵🔵
葛葉・アリス
へぇ……ドラゴンもチェスをするの
そう、面白いわね
それはつまり、私とチェスで勝負したい、とそういう事かしら?
【戦場俯瞰遊戯】で、電脳空間にチェス盤を展開
向こうはチェス駒の怪物を生み出して攻撃してくるでしょうけれど、私の駒がそれを迎え撃つ
【ゴッド・クリエイション】で生み出した私の駒をぶつけて相殺
あるいは私の駒となってくれる周りの猟兵を、私の指揮で強化して、敵の駒を落としていくわ
ふふ、貴方の打ち筋はただ駒を並べて真っ直ぐ突っ込んでくるだけかしら?
だったら、プレイヤーとしては物足りないわね?
私の駒で1手ずつ確実に追い詰めて、チェックメイトにしてあげる
「ふふ、私の相手をするには全然足りなかったわね?」
メイスン・ドットハック
【SPD】
盤上を縦横無尽に動くゴーレム群のー
たいしたものじゃけど、将棋はネットでやっておるけーのー
先制対策
揚陸艦ロストリンクに甲板に搭載した二足歩行戦車KIYOMORIに搭乗状態で参戦
空中からチェス型ゴーレムの対空攻撃に対応しながら、ロストリンクの搭載兵器や、戦車のレーザー砲・ミサイル・榴弾などでゴーレムを狙い撃っていく
カダスフィアの直接攻撃にはAI制御の回避運動をして警戒
先制後はUC「迷宮主の領域に踏み込みし権能」で自分のコピー体を作り出し、電脳魔術でゴーレムを狙い撃ち、カダスフィアまでの進路を確保
空中からの指し手を読むように軌道を定め、戦車で駆け抜け射程で一斉発射する
アドリブ絡みOK
菫宮・理緒
およそチェスとかしそうにない見た目だけど、
見た目で判断したらいけない、かな……?
結界張ったりとかチェスモチーフのアクセつけていたり、
参謀とか軍師のポジションなのかな?
それにしても、合体してロボになるんだっけ?
なんだろ、ゴ●ラがメカゴ●ラになる感じ?
でもロボになるなら【メカニック】と【ハッキング】で、
弱点探したり、動きを止めたりできないか試してみよう。
攻撃は【リオ・セレステ】に乗って【テスカトリポカの鏡】を使って、
一撃大ダメージ狙って行くよ。
回避には【騎乗】と【見切り】【地形の利用】が使えるといいな。
どんなに大きくても固くても、
レーザーなら熱光線だし、ロボでも生身でも焼きつくせるよね。
玉ノ井・狐狛
※アドリブ連携などお任せ
デカいは強い。
発想はただしいと思うけどよ、それもうチェスとか関係なくないか?
🛡️
変形時に►カードを何枚か▻投擲しておく。
ン百メートル規模で巻き込むんなら、細かい篩い分けなんざしないだろう。
変形後にどういう動きをするのかは知らないが、仕込んだマーカー(カード)のおかげで、魔力の流れは追いやすいし、ちょっとは動きを鈍らせたりもできるかもしれない。
そのうえで、しばらくは動きを▻見切り、回避に徹しよう。
⚔
攻撃が途切れたら、◈UCで帝竜サマの足元を隆起させる。転倒狙いだ。
図体がでかけりゃその分だけダメージになるだろうし、何より動きを止められる。
あとは攻撃が得意なヤツに任せるぜ。
ルベル・ノウフィル
合体するロボ(かっこいい)
大地を早業念動力トンネル掘りで邪魔しましょう
チェス盤の黒を集め僕も合体
念動力でゴーレムみたいなの作って上に乗るのです
黒だけで足りなかったら白いのも仲間に入れてあげましょう
目にしたり
仲間を庇うのです、ぼくのゴーレムブラックロック〜!僕のオーラがお前を守るぅ
でも壊れそうになったらさっさと降りる
次はお前です彩花、とんでけー
とやりながら僕自身も目立たないようにダッシュ
小回りのきく体を活かして巨体の周りをぐるぐるしながら墨染で切りつけていくのです
鎧防御無視と申します
ちょこまかしてる僕を捕まえてごらんなさい!目を回してやりましょう
仕上げは腹の下に潜り込んで捨て身の一撃、限界突破!
ナイ・デス
私一人では、倒せない、でしょう
けれど……どのような盤面からでも、勝利の光明は見える、ですよね?
王手(チェック)目指しましょうか
仲間による、詰み(チェックメイト)に、つながるように……!
私は勇者のパートナー。誰かのサポートが、得意、です!
【怪力ダッシュ】で大群へ突撃
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】で傷ついても、身体が動かせなくなっても【念動力】で動かして【存在感】発し、捨て駒、囮のようにか
意識を割かせて、倒されて、次と思わせたところで
チェック、です
『フェイタルムーブ』
死角からの【鎧無視攻撃】黒剣鎧の刃を刺して
【2回攻撃零距離射撃生命力吸収】力を奪う光を、間髪いれず放つ
不意打ちと虚脱感で、隙を!
ルネ・プロスト
人形達は死霊憑依&自律行動
転移後直ぐにナイトに騎乗、『安寧』介して周囲にオーラ防御で障壁張りつつダッシュで逃げ回る
逃げる方向は森の友達の情報収集で敵の少ない方向へ、途中の敵駒は可能ならジャンプで飛び越え無理なら高圧の水球(属性攻撃)撃って吹き飛ばす
先制攻撃凌いだらUC使用
引き続き森の友達の情報とナイトの足で逃げ回りつつ『慟哭』から増幅した呪詛を弾丸化、呪殺弾を射出
細かい照準は弾丸に付与した誘導性に任せて帝竜本体を狙撃する
……何度も殴りに来てるせいでちょっとネタ切れ気味かも
同じチェス駒使いなのに駒盤遊戯使って対処してあげられないのは申し訳ないけど、ここは雑兵無視して本体を狙い撃ちにさせてもらうよ
エメラ・アーヴェスピア
あら、あれが帝竜と言う奴かしら?
それぞれが強力な竜と言うけれど…どれほどの物かしら
その力、試させてもらいましょうか
どうやら地面のチェス盤を起点に攻撃してくるようね
ならとりあえず「ドレスベース」の【空中浮遊】機能を全力で回して高く浮き、回避を重視して立ち回りましょう、とにかく相手のテリトリーは避けるわ
…本来は少し浮く程度を想定しているから、あまりこの状態を長くは続けたくはないのだけれど…
攻撃に関しては…チェス盤と言う「地形」と合体するなら好都合よ…『戦陣穿つは我が砲雷』!
地形ごと破壊する【砲撃】でその巨体、砕かせてもらうわ
爆発範囲も広いから他に出て来るものも巻き込めるし、ね
※アドリブ・絡み歓迎
エミリロット・エカルネージュ
●POW&対策
『空中戦』で『属性攻撃(重力)』と『オーラ防御』を覆った実体『残像』撒き
それを含む『地形の利用』つつ『第六感』で『見切り』回避
同時に『属性攻撃(デコイ)』を込めた『乱れ撃ち』の人型弾幕を『念動力』で遠隔操作し敵の間接部分を『鎧無視攻撃』で『部位破壊』を狙い『グラップル』して貰い
隙見て『早業』でUC発動(事前に『料理』したハイパーワラスポ餃子を『早業』で『大食い』)
【ハイパーワラスポ餃子怪人】になり『オーラ防御』込めた実体『残像』置きつつ『第六感』で『見切り』回避しつつ
『怪力』で『グラップル』しつつワラスポ部位を伸ばし間接の『鎧無視攻撃』の『部位破壊』を
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
●最終決戦
『だが、それはつまり。どのような盤面からでも、勝利の光明は見えるという事。例え捨て駒となろうとも、勝利の栄光をヴァルギリオス様の御元に捧げん!』
帝竜カダスフィアは心の底で咆哮した。
猟兵たちの攻撃により身体には無数の傷が生じている。
しかし、まだ諦めるには早い。どのような盤面でも勝利への道筋は決してなくなりはしない。ヴァルギリオスのためにも、ここで捨て駒となることも厭わない。
侵入者を迎撃すべく、カダスフィアは最後の力を振り絞り配下を召喚し、また自らの身体をチェス盤と同化させて絶対無敵の鎧を作り出した。
カダスフィアとの決戦に望む猟兵たちもついにその総力を上げて攻撃を開始する。
チェス盤のごときカダスフィアフォートの地に集いしは9人の猟兵たちだ。
「へえ……ドラゴンもチェスをするの。そう、面白いわね。それはつまり、私とチェスで勝負したい、とそういうことかしら?」
クールな口調でドラゴンに告げるのは葛葉・アリス(境界を操る幼き女神・f23419)。神の転生体にして、電脳と魔を司る幼女神だ。
「この世界は神の遊戯。あらゆるものは私の駒……なんてね?」
【電脳神の権能:戦場俯瞰遊戯】を展開したアリス。
その権能の効果は戦場全体をチェス盤に見立てて指揮をおこない、仲間の戦闘力を向上させるという強力なサポート能力だ。
その権能は、アリスを猟兵側の指し手たらしめる。
だが、権能を展開しようとしたアリスに、敵の指し手にしてキングたるカダスフィアが鷹揚に告げる。
『先手の我の許可なくして、貴様が手を打つことは許さぬ。行け、我が形成せしものたちよ!』
この戦場においては、カダスフィアが常に先手だ。
権能を発揮しようと精神を集中したアリスに、チェスの怪物たちが襲いかかる。
肉弾戦闘には不向きな電脳神たるアリスに、その蹂躙攻撃を防ぐ術は存在しない。
黒い津波に幼き神が飲み込まれる――。
――そう思った瞬間。黒き巨人が幼き神の前に立ちはだかり、怪物の津波から守り抜いた。
「アリス殿、ご無事でございますか!?」
白き目をした巨人――『ゴーレムブラックロック』の肩の上から、宵闇のごとき藍色の髪と血のような赤い瞳をした人狼の少年が声をかける。
「ええ、ありがと、助けてもらってしまったわね」
「敵が先制攻撃を仕掛けてくることはご存知だったのでしょう? なぜ、このような無茶をなさるのですか」
巨人の肩に乗ったルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)は、アリスの無事な姿を見てほっと息をついた。アリスに迫る敵の軍勢を見て慌てて地面を掘ったルベルは、念動力でチェス盤の黒タイルのみを組み合わせて即席の黒ゴーレムを作り出したのだ。
なお、ルベルがブラックロックゴーレムと名付けた石巨人の目の部分には白いチェスタイルを使用している。急いで作ったという割には、無駄なところで芸の細かい石巨人だった。
「無茶をしたつもりはないわよ? こうして守ってくれると信じていたから。ね、『ルーク』さん?」
ルベルに向かって淡く微笑んだアリスの脳内に【戦場俯瞰遊戯】によって生成されたチェス盤が現れる。そこに展開されるのは8体の白いチェスの駒――アリスの能力によって戦闘力を増強された猟兵たちを表すシンボルだ。
「――さあ、ゲームを始めましょうか」
くすり、と笑ったアリスは、敵陣の黒いチェスの駒に向かって味方の駒を進めていく。
「この感覚は……」
呟いたのは銀髪のミレナリィドールの少女、ルネ・プロスト(人形王国・f21741)だ。ルネの外見は、ちょうどアリスと同じ7歳。そしてクールな外見と共に、チェスの駒を操る【駒盤遊戯】という能力を持つことまでそっくりだった。
今、ルネの脳裏にはアリスが展開したチェス盤が浮かび、戦場の情報を伝えてきてくれている。それはルネにとって馴染み深い感覚だった。
「この戦いが終わったら、ルネも一局手合わせしてみたいところだね……」
アリスの方をチラリと見たルネは、死霊を憑依させた人形たちにで情報収集をした戦況をアリスへと送信。情報を共有すると戦場へと視線を戻す。
ルネは『十糸操縦・駒盤遊戯・遊撃騎兵』――ランスと全身鎧を着た半人半馬のナイト型人形――に乗って、戦場を駆け抜けた。
彼女に追いすがるチェスゴーレムたちに対しては、その動きを脳内のチェス盤で読み切り、月長石の飾られた杖による幻術で攻撃をひらりとかわす。
高圧水球を生み出してチェスゴーレムを破壊し、時にはナイトの跳躍で飛び越え、ゴーレムたちの包囲を抜け出したルネ。
チェスゴーレムの守りを突破してキングに肉薄したルネは、カダスフィアに対して呪詛を弾丸化した呪殺弾を放った。
その一撃は、チェス盤を纏ったカダスフィアの装甲に傷を付けた。
「このまま一気に――」
『小さき者がいい気にならんことだ』
呪詛を集中しようとしたルネに、カダスフィアの振るう尾が迫る。
「そうはさせない……です!」
ルネに迫る巨大な尾の前に飛び出したのは、小柄な少年のナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)だ。白い長髪をしたナイの色白の肌には、数々の傷がついている。白い服と革鎧も、ナイの血で所々赤く染まっていた。チェスゴーレムの大群を強引に突破してきた代償だ。
だが、痛みに耐えるナイの赤い瞳には、まだ戦いを続けるという強い意志の光が宿っている。
「私一人では、倒せない、でしょう。けれど……どのような盤面からでも、勝利の光明は見える、ですよね? 私は勇者のパートナー。誰かのサポートが、得意、です!」
ふっと淡い笑みを浮かべたナイは、ルネを尻尾の軌道から押し出すと――そのまま帝竜の尾によって遥か彼方へと吹き飛ばされた。
「かはっ……」
ナイは口から血を吐きながら、糸の切れた人形のように地面を転がり……そのまま動かなくなる。
「そんな、ルネをかばって――!?」
『ほう、身体を張って仲間を助けるか。だが、それも無駄なこと。この小娘もすぐに後を追わせてやろう』
カダスフィアが巨腕を振り上げ、一息に叩き潰さんとルネへと振り下ろそうとし――。
「チェック、です」
息絶えたはずのナイの声が帝竜の背後から聞こえた。
ナイの肉体が瀕死になると、その肉体を放棄すると同時に敵の死角に新たな肉体を生成するという、ヤドリガミのナイだからこそできる奥の手【フェイタルムーブ】だ。
『ばかなっ!?』
帝竜に振り向く間も与えずに、ナイの『黒剣鎧』の腕部から伸びた剣が、帝竜の身を覆うチェスの鎧を貫き、その首筋に突き立った。
『ぐおおおっ!』
激しく身体を揺らし、ナイを振りほどくカダスフィア。だが、そのダメージは小さくないものだと見て取れた。
「私は、王手(チェック)を積み重ねて、仲間による、詰み(チェックメイト)を、目指す、です……」
ナイとルネは、痛みと怒りに暴れまわるカダスフィアに次の一撃を放とうと武器を構える。
「受けてください、餃心拳の一撃!」
暴れるカダスフィアの頭上から響いたのは、空中に飛び上がり、急降下してきたドラゴニアン、エミリロット・エカルネージュ(この竜派少女、餃心拳継承者にしてギョウザライダー・f21989)の声だ。
赤い体毛を持つファードラゴンのエミリロットは、白い拳法着を着た身体に餃心拳の秘伝たる餃子のオーラを纏い、カダスフィアに向かって拳を振り下ろす。
『ぐぬっ、させるかっ』
だが、その攻撃を許すカダスフィアではない。エミリロットを迎撃しようと三本の腕を振り上げ――。
そのことごとくが、エミリロットの作り出した質量を持った残像を貫いただけだった。
「隙あり、だよっ!」
エミリロットの本体は、感覚を鋭く研ぎ澄ませ、カダスフィアの腕の動きを見極めて身をかわす。
そこにデコイとしてばら撒いた人型弾幕を念動力で操り、カダスフィアの左脚に取り付かせた。デコイたちはカダスフィアの膝関節を集中的に攻撃し、骨の砕ける鈍い音を周囲に轟かせた。
『ぐっ、ぬうっ……』
「ハイパーフード、ハイパー餃子の真価を今此処にっ!」
さらにエミリロットは事前に料理して持ち込んでいたハイパーワラスポ餃子を素早く平らげると【ハイパー餃子怪人】を発動。身長4mにも達するハイパーワラスポ餃子怪人に変身する。
『なめる、なぁっ!』
カダスフィアが三本の左腕でエミリロットを薙ぎ払おうとする。
――が、貫いたのは、エミリロットが残した残像だけだ。スーパーワラスポ餃子怪人は紙一重でカダスフィアの一撃を回避しつつ、ワラスポでカダスフィアの肘関節を粉々に打ち砕いた。
「デカいは強い。うん、バカでかいドラゴンも強いし、謎の餃子怪人も強い。発想は正しいと思うけどよ、それもうチェスとか関係なくないか?」
和風の着物の上着に、空色のフレアスカートをはいた金髪妖狐、玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)が、琥珀色の瞳を半眼にして呟いた。
彼女の目の前で展開されたのは、チェス装甲をまとった巨大ドラゴンと巨大餃子怪人との、特撮もかくやという格闘戦。序盤で電脳のチェス盤を展開してたのはなんだったのだろうか。
「こちらは、まだ【戦場俯瞰遊戯】でみんなを援護しているのだから、忘れないでもらえないかしら」
どこからか、幼女神のくーるな声が響いた。
「ま、あんだけ図体がでかければ、細かいとこまで気が回らねェだろ。となれば賭博師であるアタシの独壇場ってなァ!」
現代陰陽師であり代理賭博師でもある狐狛は、着物の袖口からプレイングカードを取り出すと、それをカダスフィアの身体を覆うチェス盤の鎧に打ち込んでいく。
カードは狐狛にとっては賭博の道具であり、陰陽術を使うための霊符でもある。狙った場所に正確に飛ばすのはお手の物だ。カダスフィアの纏う、元々半径100m以上の範囲のチェス盤の大地だったモノに、カードが突き立っていった。
「んじゃ、ちょいと地脈に細工させてもらおうかね、っと!」
陰陽術――それは大地を流れる霊力の流れである龍脈を探求する術でもある。
カダスフィアは大地だったものを纏っている。それはすなわち、陰陽師たる狐狛からは、そのチェス盤の鎧に流れる霊力――魔力が丸見え同然ということだ。
魔力の流れを弄られればどうなるか。それは火をみるより明らかだろう。
『ぐぬっ、我が鎧が……』
動きの鈍くなった身体に、カダスフィアが困惑の声を上げた。
暴れるカダスフィアだが、動きの遅くなったその攻撃を狐狛が見切って避けるのはたやすいことだった。
「盤上を縦横無尽に動くゴーレム群のー。たいしたものじゃけど、将棋はネットでやっておるけーのー」
アリスの電脳空間チェス盤を電脳AI搭載メガネを通して共有することで、地上の戦況を把握したメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)が、アメジストの瞳をきらめかせ不敵に微笑む。クリスタリアンの引きこもりたるメイスンがいるのは、当然屋外ではない。カダスフィアフォート上空に浮遊するワダツミ級強襲揚陸艦・亜種ロストリンクの甲板に立つ二足歩行戦車の操縦席の中だ。
O-Ⅶ型機動強襲用二足歩行戦車「KIYOMORI」。電脳魔術兵器を搭載した強力な兵器である。
メイスンは操縦席に収まったまま、空中からKIYOMORIやロストリンクの搭載兵器にゴーレムへの攻撃を指示した。
敵の指し手であるカダスフィアは猟兵たちとの激しいバトルの最中だ。今がチェスゴーレムの群れを殲滅するチャンスである。
「さて、空中からの攻撃にどこまで対応できるけーのー」
地上を埋め尽くす勢いのチェスゴーレムの大群だが、あくまでファンタジー世界であるアックス&ウィザーズでの戦いを念頭に置いて作られている。ビショップの駒が魔法による対空攻撃をおこなえる程度で、カダスフィアを除いてはロストリンクのプロテクトフィールドを破れる対空火力を持つものは存在しなかった。
ロストリンクの二連装メガビーム砲がチェス盤の地面ごとポーンゴーレムを蒸発させ、多連装ランチャーから発射されたミサイルがナイトを追尾し爆散させた。さらにKIYOMORIのレーザー砲がビショップを撃ち抜き、長距離プラズマレーザー砲が堅牢なルークを消し飛ばす。浮遊追尾型電脳レーザー砲ユニットがクイーンを蜂の巣にした。
だが、カダスフィアを倒さない限り、チェスゴーレムたちは何度でも湧き出してくる。
「まったく、面倒じゃのー。本当は僕は働きたくないんじゃが……」
ぶつぶついいながらメイスンが取り出したのは、アルダワ地下迷宮にあるオブリビオン培養施設の主の証であるアメジスト。それは培養施設にデータアクセスをおこなえるキーアイテム。
「迷宮の主として権能で生み出した僕達の電脳魔術、堪能していくといいのー」
【迷宮主の領域に踏み込みし権能】の鍵たるアメジストが力を開放すると、76体の小型メイスン――劣化コピー体が現れる。
現れた小型メイスンたちはロストリンクの甲板上からチェスゴーレムたちを電脳魔術で狙い撃っていく。
それはチェスゴーレムたちの一手先を読むような正確な射撃。メイスンもまた、アリスやルネと並ぶ指し手であることの証左であった。
「では、分身たち、まかせたけーのー」
メイスンはKIYOMORIを地上に降下させると、カダスフィアの元へと移動を始めたのだった。
「これが帝竜と言う奴ね……。それぞれが強力な竜というけれど……どれほどの物かしら。その力、試させてもらいましょうか。さあ、猟兵の仕事を始めましょう……」
黒と赤を基調にしたドレス姿の金髪の少女が目を細めながら呟いた。
まるで人形のような格好をしたエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)である。
「チェス盤と合体するといっても、機械的なものではなく、魔法的なもののようね。どちらかというとゴーレムに近いのかしら。興味深いわね……」
魔導蒸気機械技師たるエメラは、カダスフィアの使う技術を分析することも忘れない。
彼女は魔導蒸気技術で作られたバックパック型の兵器固定兵装『ドレスベース』で空中を移動しながら、帝竜カダスフィアの様子を伺っていた。
エメラはこの装備で高空を飛ぶことで、チェスゴーレムたちを避けてカダスフィアの近くまでたどり着いたのだ。
「本来はこんなに高く飛ぶことを想定していないから、あまりこの状態を長く続けたくないのだけれど……」
魔導蒸気機関を全力稼働させているため、いつオーバーヒートするかとヒヤヒヤするエメラ。
だが、眼下では手負いのカダスフィアが手足や尻尾をめちゃくちゃに振り回しているため、これより高度を下げるわけにはいかない。
エメラは仕方なく、『ドレスベース』に装着した魔導蒸気ガトリングガンを発射する。
魔導蒸気ガトリングガンから無数の銃弾が吐き出され、カダスフィアの纏うチェス盤の鎧に着弾。その表面を削り取り、装甲にダメージを蓄積させていった。
シューという音とともに蒸気を吹き出すガトリングガンとドレスベースを見て、排熱処理が間に合うか脳内で設計図を広げるエメラだった。
「あれがカダスフィアかー。チェスとかしそうにない見た目だけど、見た目で判断したらいけない、かな……? もしかしたら竜が遊べるくらいおっきなチェスの駒があるかもだし、ねー」
電子戦装備強化型戦闘艦『リオ・セレステ』を陸上装甲車モードにして、その運転席に座っているのは、黒髪の片目隠れ少女、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)だ。
「結界張ったりとかチェスモチーフのアクセ付けてたりとか、参謀とか軍師のポジションなのかな? ほんとにー?」
事前に聞いていた情報と、眼前で繰り広げられている大怪獣と巨大怪人の戦闘ショーを見て、首をかしげる理緒だった。
「それにしても、合体してロボになるって聞いてたけど、なんかイメージと違うな―。あれだとロボっていうより、ゴーレムだよね。ハッキングとかききそうになーい」
仕方なく理緒はリオ・セレステを発進させる。
進路上の地面はメイスンの爆撃によりクレーターが多数できているくらいにボロボロだが、理緒は華麗な運転テクニックでその荒れ地を踏破していく。
「アリスさんからの情報だと、このへんのゴーレムは片付いてるみたい」
チェス盤の情報を共有しつつ、メイスンが敵を排除してくれたルートを通ってカダスフィアへと向かう理緒であった。
●
「――読みきったわ。これでチェックメイトよ」
戦場俯瞰遊戯を展開しながら、アリスが確信に満ちた表情で呟いた。
「ふふ、ただ駒を並べてまっすぐ突っ込んでくるだけの打ち筋では私たち猟兵には勝てないわよ、カダスフィア?」
「そろそろ決着を付けましょう、カダスフィア!」
スーパーワラスポ餃子怪人ことエミリロットが、カダスフィアに向かって宣言する。
『ククク、面白い、来るが良い!』
空中に飛び上がったエミリロットが急降下してきて、カダスフィアと交錯する。
エミリロットがすっと立ち上がった瞬間。
『ぐぬぅっ』
カダスフィアが苦悶の声を上げて膝をついた。
エミリロットの一撃がカダスフィアの左膝を完全に破壊したのだ。
「いい勝負でした、カダスフィア。もし仲間がいなければあなたの勝ちだったでしょう。ですが、私はあなたのように心無い部下しかいない人とは違います。頼れる仲間たちが一緒なのです!」
仲間たちを見つめながらエミリロットが語る。
――ワラスポ餃子の被り物着てなければカッコいい台詞なのになあ、と思う仲間たちだった。
「よし、今がチャンスッ! 使えるモンは使っておかないとな!」
エミリロットによってカダスフィアの動きが止まったチャンスを突き、狐狛は【静かなる武装集団】を発動した。
それは、カダスフィアの足元の龍脈に作用し地面を隆起させる術だ。足元をすくわれたカダスフィアは重い鎧を身に着けていることが仇となり大地に転倒する。
「よし、あとは攻撃が得意なヤツに任せるぜ!」
狐狛は不敵な笑みと共に仲間に振り向いた。
「お任せくださいませっ!」
ルベルが戦いで破損したゴーレムブラックロックから飛び降り、カダスフィアに向かう。
「墨染、行きましょう」
その小柄な身体と人狼ゆえの敏捷力を生かし、ルベルは一気にカダスフィアとの距離を詰める。その手に持つは一振りの刀。墨を垂らしたかのような漆黒の刃を持つ愛刀、銘は墨染。
『ぐ、ぐぉおっ!』
切れ味鋭い妖刀は、カダスフィアの纏うチェス盤の鎧もものともせず、内部の帝竜を斬り裂いていく。
「仕上げはこれでございます!」
瞬時に地面に穴を掘ったルベルは、地面に倒れ伏したカダスフィアの心臓の直下に穴を開け、そこから体内をひと刺し。
「さすがは帝竜でございますね。心臓を刺された程度では死なないとは……。あとはお任せいたします、みなさま」
穴からひょこんと顔を出して頼むルベルだった。
「ええ、このまま、チェックを続ける、です」
詰将棋を指しているが如く、仲間に続くのはナイだ。
このまま王手(チェック)を続ければ、詰み(チェックメイト)へ至るはずという確信を持って、ナイは黒剣鎧の刃を煌めかせる。
それはゼロ距離からの相手の生命力を奪う攻撃。それも左右二刀による同時攻撃。
『ぐっ、おのれぇ……』
動けぬカダスフィアは、喉をかき切られながらも、身じろぎすらできずにいた。
「さあ、次の一手を、です!」
「“裡より来たれ、淵より来たれ。幾千数多の怨憎悲嘆。呪いに変じて我が身を満たせ”」
ルネは、仲間たちが攻撃している間に呪文を詠唱していた。
この仲間たちならば、必ずチャンスに繋いでくれるという信頼。それを信じて大魔術の詠唱を完了させたのだ。
純白のドラグノフ狙撃銃『慟哭』によって呪詛を増幅、弾丸化。呪殺弾を装填。
「―-呪術使いが本気出した時の恐ろしさ、見せてあげる」
【呪力増幅】によって増幅された呪詛がカダスフィアを撃ち抜いた。
『ぐあああっ』
「あなたはチェスの指し手には相応しくなかったようね」
ルネは静かに呟いた。
「では、次は僕の番じゃけんのー」
二足歩行戦車KIYOMORIの操縦席からメイスンの声が響く。
「KIYOMORI、長距離プラズマレーザー砲、リミッター解除! 主動力機関が焼け付いても構わん! 全力射撃じゃ!」
KIYOMORIに搭載されたプラズマレーザー砲の先端に眩いばかりの光が集まり、それが一気に照射された。
『ぐおおおっ!?』
カダスフィアの身体を焦がす程の大出力の攻撃。
帝竜の苦悶の咆哮が響き渡った。
「さて、では私の番かしら。カダスフィアがチェス盤という『地形』と合体しているなら好都合よ……。地形ごと破壊する砲撃でその巨体、砕かせてもらうわ」
エメラのドレスベース――魔導蒸気兵器固定兵装から、新たな武器が出現した。
それは浮遊型魔導蒸気グレネード砲。榴弾を発射できる兵装である。
「その障害物ごと爆砕してあげるわ。【戦陣穿つは我が砲雷】!」
地形を破壊するほどの威力を持つ魔導蒸気榴弾が発射され、カダスフィアに直撃。大爆発を起こした。周囲に激しい熱風と爆煙が巻き起こる。
「どうかしら、私の魔導蒸気兵器の威力は」
爆煙が収まった時、カダスフィアの全身を覆っていたチェス盤の地形は完全に消し飛んでいた。
もはや、カダスフィアを守るものは何もない。
「おー、邪魔なチェス盤が消えてロボじゃなくなったみたいだねっ! それじゃあ、遠慮なく全力でいっちゃうよー」
リオ・セレステに乗った理緒が、戦闘装甲車の主砲をカダスフィアに向けた。
その主砲は理緒の【テスカトリポカの鏡】によって、最高火力まで出力が向上される。
「レーザーなら生身でもこんがりウェルダンに焼き尽くせるよね! 射線クリア。いっちゃえー!」
リオ・セレステから発射された主砲は、カダスフィアに直撃し――。
『ぐおおお、我は、またもや苦い敗北を喫するというのかぁああ!』
帝竜カダスフィアは断末魔の声とともに躯の海に還ったのだった。
「ふふ、私たちの相手をするには、一手足りなかったようね」
消滅するカダスフィアに、幼女神が手向けの言葉を送ったのだった。
大成功
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