帝竜戦役②〜おおきな竜になるために
●竜なるもの
群竜大陸に住まう、小さな竜。自らのホームグラウンドであり、今日も今日とてキャイキャイと沢山の友達と遊んでいた。
そのうちの一匹が、不意に空を見上げる。風が吹く。力強い風、気持ち良い風。自らに生えている鱗が、角が、翼が、大きく、逞しくなる。新たに生まれ変わり、強くなることに喜びを持って、高らかに声を上げる仔竜たち。
ここは『皆殺しの平野』。竜が竜らしくなるための、呪われた地。
●グリモアベース
「竜殺しの時間だ。」
傍らに小さな紅竜を従えたナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)が、木製のテーブルの上に胡座を組みながら説明を始める。
「場所は郡竜大陸の『皆殺しの平野』。知ってるものも多いと思うが、オブリビオンをドラゴン化させる風が吹くことで有名だな。そこにいるドラゴンを狩ってもらいたい。対象はこんな感じだ。」
机の上に乗っていたプロジェクターを起動し、姿をスクリーンに映す。そこにいたのは小さなドラゴン。
「……何もドラゴンがドラゴン化することもないだろうにな。多分ここに住むことで早く成竜になれると思ったのだろう。実際、そこらで見かける仔竜よりもずっと強大だ。その分、体内に竜胆石という素材を持っているみたいだが。」
所々いびつに成長した鱗、体躯に見合わない大きな翼、不揃いな角。個体ごとに成長の度合いが違うが、どれもこれも不自然な成長の仕方をしている。
「放置したら完全な成竜になるのかもしれないな。だが今ならまだ問題なく狩れるだろう。あいつらがまともに力が振るえないうちに叩いておきたい。……ただし、空を飛ぶ能力に関してはかなり高いものを持っているし、成長した鱗の硬度は成竜と同格だろう。空中からの攻撃をしのぎつつ、鱗がまだ疎らな部位、顎の下や関節部だな、そこを狙うといいだろう。」
グリモアの魔法陣を回しつつ、ナイツが扉を開く。
「さあ戦士よ、竜を狩るのだ、ってな。……頑張ってこいよ。」
竜夢
竜夢と書いてリムと申します。竜の夢が竜になる竜のシナリオを書く羽目になるとは。もうわけわからないな?
●『帝竜戦役』のシナリオフレーム、『帝竜戦役②:皆殺しの平野』にあたるシナリオです。
このシナリオは1章のみです。
●敵:戯れる仔竜
ちいさな仔竜です。大きさ50cmぐらい。複数体います。
・POW:爪。リーチ短め。高速飛行して叩きつけてきます。
・SPD:風ブレス。風属性。ドラゴン化はしませんが強風でふっ飛ばしてきます。
・WIZ:属性暴走。風属性+霰。小さな風の弾丸を大量に降らせてきます。
プレイングボーナスとして、「空中からの攻撃に対処し、硬いうろこに覆われた「急所」を攻撃する」があります。
今回の急所は「関節部」または「顎の下(逆鱗)」です。
●財宝「竜胆石(りんどうせき)」
ドラゴン化した敵の体内から1匹につき1個取れる美しい宝石。金貨40枚(40万円)の価値。プレイングに書かれない限り、描写はありません。
●補遺
スピード勝負なのでリプレイ文字数はやや少なめとなります。
それでは、よいドラゴン退治を。
第1章 集団戦
『戯れる仔竜』
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POW : じゃれつく
【爪 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 未熟なブレス
自身に【環境に適応した「属性」 】をまとい、高速移動と【その属性を纏わせた速いブレス】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 可能性の竜
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑7
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レオンハルト・ヴァイスレーベ
・心情
皆殺しの平野…初めて踏み込む場所だ。
それでもボクはボクにできる事を!
・行動
戦闘中は味方をかばう盾役に徹します。
敵の攻撃に対しユーベルコードを使用。
他はオーラ防御やかばうを駆使して守りに徹します。
(人を惹きつける様な、澄んだ鈴の音の声で)
「ボクが皆の盾になります!その間に奴らを-!」
(防御時、誓いの剣を眼前に翳しつつ)
「ボクは進む-“救世”の道を…。ここで倒れる訳にはいかない!」
攻撃する隙があれば、武器受けからのカウンター、
または勇気を奮ってからの捨て身の一撃で急所を攻撃。
「守るだけだと思ったら大間違いだ!」
もし可能なら、竜胆石を回収。
「-王国復興の足しになればいいんだけどな」
リステル・クローズエデン
ドラゴンがドラゴン化?
その発想はありませんでしたが。
さて、鎧装変換・斬翼断空。
空中戦闘用意よし。
視力で彼方の敵を見て。
動きと攻撃を見切り。
飛翔と同時に迷彩で目立たないように
そして、関節を狙って。
呪剣で鎧砕き込みの暗殺をおこなう。
そのあとは、魔装の腕輪から、
呪詛を込めた誘導弾による援護射撃で
目潰しや武器落とし。
衝撃波の乱れ撃ちで相手の体制を崩し。
隙あれば呪剣で関節を部位破壊する。
相手の攻撃は常に動き回ることで回避。
無理ならば盾受けとオーラ防御で防ぎ。
激痛耐性で耐える。
小さくともドラゴンですか。
油断なきように……ですね。
ガルディエ・ワールレイド
急激に力を求める事を完全に否定するつもりは無い。
無論、ゆっくりと積み重ねて強くなるのが常道だろうが……それでは間に合わない時もある。
この世界のオブリビオンにとっては、今こそが譲れぬ最終決戦なのだろう。
だが、譲れないのはこっちも同じなんでな。
◆戦闘
武装は《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流。
空中から突進する敵を待ち構えて迎撃するぜ
【竜神の裁き】で敵の間合い外から迎撃。
急所を狙うというよりは、急所を含めての全方位攻撃を意図。
敵が間近に迫った時は、《見切り/武器受け》による受け流しや弾き返しで防御。
また近接戦では《念動力》を補助的に使って敵の姿勢を崩し、その上で急所を斬り裂く
木霊・ウタ
心情
ただ風に身を任せて
遊びたかっただけだったんだろ?
ついてなかったな
けどオブリビオンなら
きっちりと始末をつけるぜ
命を
未来を護るためにな
手段
地獄の炎纏う焔摩天を振るって炎の衝撃波を放ち
仔竜の群れを薙ぎ払う
:属性攻撃&破魔&薙ぎ払い&鎧砕き
遠距離攻撃は炎の壁を展開しつつ武器受け
風に煽られて炎は増々盛んに燃え盛るぜ
俺の炎を!そんな風でかき消せると思うな!
で痺れを切らして
爪を立てる為に向かって来たらチャンス!!
刃から爆炎を放って超加速した焔摩天を
カウンター気味に
関節部か顎の下へ叩き込むぜ
:属性攻撃&破魔&薙ぎ払い&鎧砕き
事後
鎮魂曲を捧げる
旋律は風に木霊し消えていく
:楽器演奏&歌唱&優しさ&手をつなぐ
シン・ドレッドノート
此処は元々ドラゴンが生息しているようですね。
純粋な龍から生まれる竜胆石、さぞかし純度が高いことでしょう。
趣味と実益のため、その石を頂戴いたします!
「さすがは風の竜。飛行能力は見事ですね」
風の攻撃に対し、それを逸らすべく閃光の魔盾の障壁を風を受け流す形状に展開。ソードビットで障壁を補強しつつ、狙撃体勢を維持します。
空中で攻撃が届かないと油断している敵に対し、真紅銃と4対のライフルビットでそれぞれ違う個体に照準。
「ターゲット・マルチロック…目標を撃ち落す!」
【異次元の狙撃手】による長距離狙撃で、顎の下から脳天にかけて撃ち抜きます!
戦闘後は入手した竜胆石を数えつつ、綺麗に磨いて持ち帰るとしましょう。
ソラスティベル・グラスラン
過ぎたる力は身を滅ぼす…というわけではないですけれど
急激すぎる進化はバランスを崩すようですね、故にそこが弱点です!
空を飛ぶ敵にはこちらも翼を広げ【空中戦】
敵の動きを見切り包囲されないように注意
【盾受け】で身の守りを固め突撃
【勇者理論】(防御重視)を発動、【オーラ防御】を特に強化し周囲に展開
爪のリーチに入る前にオーラで弾き、カウンター狙い!
万が一抜けてきたとしても【怪力】の盾で受け止め弾く二段構え
そうして得た敵の隙を狙い、急所に【鎧砕き】の大斧を!
与えられた力で満足するようでは、まだまだ幼いですねっ
誇り高き竜はそんなものに頼らずとも、もとより強いのです!
●剣二振、竜の爪を撃つ
吹き抜ける風。その風を受けマントをはためかす一人の従騎士。
「皆殺しの平野……初めて踏み込む場所だ。聞いたとおり、嫌な風が吹くな……」
グッと誓いの剣を握り締めるレオンハルト・ヴァイスレーベ(白の従騎士・f23015)。彼は臆することなく剣を掲げ、鼓舞する。
「さあ――行くぞっ!」
一方、同じく剣を握る木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)。風を受け、空を見上げる。小さな竜の影が楽しげに、爛々と輝いて見下ろしていた。
「ただ風に身を任せて遊びたかったんだろ?――ついてきな。」
先手を取り、竜たちに焔摩天の斬撃――地獄の炎の衝撃波を放ち薙ぎ払う。それは魔を焼き喰らう炎獄。鱗すら燃やす業火。ギャウッと鳴く仔竜。撃ち落とされるのもいれば、スルリするりと身軽な動きですり抜け、爪を立てるものもいる。これは遊び。獲物を狩る、追い詰めることを喜びとする遊び。爪を立てた仔竜が不気味に笑う。それに対応しようとしたウタの前に、剣を持ってレオンハルトが駆け込む。ガキン、と響く鈍い音。
「ボクが皆の盾になります!その間に、奴らを――!」
澄んだ鈴の音、しかしその言の葉に力を込めて。剣から発せられる障壁がガリガリと削られる。祈りを、誓いを込めて力を注ぎ込む。
「ボクは進む――"救世"の道を……。ここで倒れるわけにはいかない!」
爪に対抗して剣を思いっきり振り抜く。ギャウッと弾かれる仔竜。そこにウタが追撃を加える。
「きっちり始末、付けるぜ。焔摩天、ぶち抜けっ!」
刃の爆炎をブースターに、超加速した焔摩天を仔竜の顎部に打ち込む。そのまま頭を貫き、吹っ飛んだ仔竜はそのまま空で黒い灰と化して散っていく。
「……石を拾ったら次へ行きましょう。やるべきことのために。」
レオンハルトが言う。彼にはまだやるべきことがある。王国復興のために。
●狩るモノ狩られるモノ
「ここは元々もドラゴンが生息しているようですね。」
空を自由に征く仔竜。そのうちの小さな一匹がちらりと男を見る。
「おや……やりますか?」
不敵に笑う男――シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)が純白の愛銃『真紅銃<スカーレット・ブラスター>』を向ける。それをみた仔竜がクワッと暴風のブレスを放つ。一つ、二つ、三つ。普段の仔竜であれば連射はしないだろうが、翼が強くなった仔竜は反動も気にせずどんどん撃ち込んでくる。
「流石は風の竜。飛行能力は見事ですね。」
風を閃光の魔盾から発せられる障壁で受け流し、更に飛んでくるブレスには4対ソードビットで障壁を重ねがけして耐久を高めていく。しばらくは安泰。しかし攻めねばいづれ尽きる。他の仔竜も近くを飛んでいるようだ。力尽きたその時を狙って、獲物を狩るように。
ならばこちらはその前に落とし切るのみ。油断している今のうちに。狙撃体制を整え、真紅銃と4対のライフルビットで狙いを定める。怪盗の単眼鏡が煌めく。
「…………ターゲット・ロック……目標を狙い撃つ!」
放たれる5本のレーザー光。それぞれが瞬時に、同時に別個体の仔竜の弱点、顎を貫いて脳天を裂く。貫いたレーザーは更に拡散し、他の仔竜たちを襲う。それは網のように広がり仔竜の頭上から襲いかかり、貫いていく。
「一撃必殺、遠距離ってのはそうやって対応するものなんですよ?さ、収穫収穫~。」
鼻歌まじりに落ちてくる竜胆石を拾い集める。1個40金貨相当、それが沢山。金額もだが、キレイな紺色をした石を拾い磨く姿はとても楽しそうであった。
●空戦
見るものを恐れさせる大きな角。雄大で力強さを感じる大きな翼。分厚くあらゆる害を拒絶するかのような大きな鱗。見れば見るほど強大な『ドラゴン』であると感じさせられる。あどけなさの残る大きな瞳や小さな顔を見なければ。
「ドラゴンがドラゴン化……?一体どういうことかと思いましたが。」
リステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)が彼方を飛ぶ竜を見る。まだあの竜は気づいていない。気づかれぬうちに動く、それが彼女の流儀。
「『鎧装変換……』『斬刃の翼、断空の鎧。』『全てを断ち、命絶つその力を。』」
鎧を纏い、白き刃の翼を展開する。空を行く力は得た。次にやるべきこと。女は音を消し姿を消し青い空に溶ける。
少し離れたところには目立つ黒鎧の男が同じように空を見上げていた。
「急激に力を求める事を完全に否定するつもりは無い。譲れぬ最終決戦であるなら尚更だ。だが、譲れないのはこっちも同じなんでな。」
黒鎧のガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)が魔槍斧ジレイザと魔剣レギアを構える。二刀流。攻めに特化した構え。その横をふわりと飛ぶソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)。赤龍の翼を広げ、大空へ立つ。
「過ぎたる力は身を滅ぼす、というわけではないですけど、急激すぎる進化はバランスを崩すようですね。故に、そこが弱点です!」
彼方の竜へ向け飛び立つソラスティベル。ギャウギャウ、と複数体が対抗して飛んでくる。同じような翼、ならばきっと遊んでくれる、強くなった自分なら全力出してみてもいいよね、と無邪気で無慈悲な感情を出しながら爪を振るう。
二匹、三匹と向かってくる仔竜も増えてくる。まだ見切れる。包囲されなければしのぎきれる。勇者理論を自らにかけ、スチームシールドで耐える。
「気合で守り切りますよ!オーラシールド!」
薄い膜を更にはり、防御を整えつつゆっくりと誘導する。空の上では踏ん張りきれない。ならば地上にいる味方のもとへと。
ふわりと竜翼の少女の姿が空に見える。周りの仔竜たちと比べれば可憐な、しかし英絢で迫力のある、とガルディエは思った。自らの神も竜と似た姿を取るがヒトでありつつ竜の翼をもつ彼女はまた別の良さを感じる。そんなソラスティベルが誘導し、仔竜達は射程圏内。狙うは紺色の竜。穿つは赤き雷。
「この雷は半端じゃねぇぜ。行くぜ、覚悟しな!『ドラゴニック・ジャッジメント』!」
急所を狙うわけでもない、ただ只管に撃ち落とす雷。全方位への牽制であり、トリガー。翼を穿たれ、体が痺れてしまえば仔竜は体制を崩し、緩やかに落ちていく。そしてそれは詰めとなる。
「さよなら。」
リステルの呪剣・黒が喉元の鱗を貫き、切り裂く。そのまま空に溶け、次の標的に向けて魔装の腕輪から誘導弾が放たれ仔竜の眼や翼を撃ち抜いていく。
「竜も堕ちればただのトカゲってな。そぉらよッと!」
念動力で仔竜を無理やり動かし、急所へと刃を吸わせる。ソラスティベルも大斧をかざし、鱗ごと砕くように振りかぶる。
「まだまだ幼いですねっ!誇り高き竜はそんなものに頼らずとも、もとより強いのです!」
猟兵たちは竜を狩る。空を覆っていた小さい体はもういない。変化してしまった仔竜は倒されれば躯を残さず、竜胆石を残すのみ。それも猟兵たちは拾い集めた。なれば仔竜の姿はそこになく。皆殺しの平野。ウタの奏でるレクイエムが風に乗って消えていくだけであった。
大成功
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