帝竜戦役②〜どっさりぽよ
●みなごろしのへいや
恐ろしき竜の王が開戦の咆哮を上げ、帝竜戦役の火蓋が切って落とされた。
オブリビオン・フォーミュラの影響はアックス&ウィザーズに影響を及ぼしていく。
風が吹く、その荒野で。
オブリビオン達が次々とドラゴンへ変貌していく。
そう、あらゆるオブリビオンが。
にょきっ。
その緑の物体に2つの突起が生えた。角らしい。
ぱかっ。
更に背面辺りから平べったい部位が出てきて広がった。多分翼だと思われる。
かちんっ。
なんだか固くなったような音がした。気持ち硬そうなシルエットになっている。
ぽよんっ。
ぽよぽよ、ぽよん。ぽよよよよよよ……。
それらは次々と空から降ってきた。絶え間なく、兎に角降ってくる。
なんだか誇らしげな笑顔をしているそれらは、恐らく緑のスライムだった。
●みためはだいじだよー。
「あがめよー」
気の抜けた声で、小さな生物が両手を挙げてにこにこしている。
嬉しそうにポク・ョゥョゥと名乗ったグリモア猟兵はのんびりと自己紹介をしていた。
「ぽくはねー、ぱんだなのー」
大変つるつるした黒いお顔は純粋そうである。
挙げたお手々を下ろし、今度はぽんっとゆるい音を立て小さなお星さまを出現させた。
グリモアだそうだ。
「あのねー、アックス&ウィザーズで戦争するのー。がんばろー」
まあるいお手々をぐっと握る。ぱんだは応援をしているようだ。
「ドラゴンになったポポゥリンたんがねー、いっぱい降ってくるんだよー」
ここで話は冒頭に戻る。
緑のぽよっとしたスライムも竜帝の影響に漏れずドラゴン化したらしい。
図で説明すると小さいぱんだがごそごそ画用紙を取り出す。
クレヨンで描かれたポポゥリンっぽい生物にちまっとした角と申し訳程度の翼っぽい部分がついていた。
これが聞き間違いでなければドラゴンということになる。
ご丁寧に『かたいよー』と注釈も書かれていた。
「鱗でちょっと固くなったみたいなのー。外はかりっとー中はもちっとなのー」
やたら美味しそうな表現で解説した後、硬い鱗に隠された柔らかい箇所を探して突くと倒しやすい旨を付け足す。
こうだよーと小さな槍でえいえい何かを突く動作をするぱんだ。
一生懸命な実演説明をして満足したか、改めて猟兵達を見上げる。
「上からねー、いっぱい降ってくるから気をつけてねー。いっぱいだよー」
どれくらいかの質問に、んーと片手を顎に当て小首を傾げた。
少しして両手を横に広げてぐるぐる大きく回す。
「いーぱいだよー。埋もれるくらいー?」
自称パンダは笑顔でそういった。
「そう言えばー、ドラゴンポポゥリンたんを倒したらーキラキラ石が出てくるみたいだよー」
言い忘れを告げながら、小さなお星さまを輝かせる。
グリモアの煌めきはやがて空間を包み込み、猟兵達を戦場へと緩やかに導いた。
あきか
あきかです、お久しぶりです。
A&Wの戦争は是非にと参加いたしました。
●執筆について
プレイング受付開始のご案内はマスターページにて行っています。
お手数ですが確認をお願いします。
●シナリオについて
ドラゴン化したポポゥリンが、どっさり降ってきます。
めっちゃ降ってきます。気を抜いたら埋もれます。
外はそれなりに硬くなってますが中身はスライムなので弾力あります。
窒息しないように大量の敵を一掃しましょう。
降ってくるのを撃ち落としても、薙ぎ払っても、埋もれながら応戦してもよし。
豪快にどうぞ。敵も豪快にいきたいと思います。
なお敵を倒すと竜胆石(りんどうせき)という財宝が出てきます。
フレーバーですが金貨40枚40万円相当だそうです。目指せ一攫千金。
第1章 集団戦
『ポポゥリン』
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POW : 笑顔
レベル分の1秒で【スマイル】を発射できる。
SPD : 怒り
【怒り】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
WIZ : お前の顔は覚えたぞ
【体当たり】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【顔】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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ぽよん、かちん。ぱたたた。
本日晴天。気持ちの良い青空を丸っこい緑のスライム達が飛んでいく。
その笑顔は心なしか、そう。
ノリにノッている。そんな雰囲気を全体に纏っていた。
竜帝の力でわれらひゃくにんりき。
さあこい、たおしてやるぽよー。
……そう言っているかは定かではない。
マリアドール・シュシュ
アドリブ◎
まぁ!なんて可愛らしいドラゴンポポゥリンさん…
いえ、駄目よ!集中しなくっちゃ
…でも少し埋もれてみたいだなんて
マリアの旋律と詩(うた)でえいって倒すのだわ
マリア一人で何処まで対処出来るかしら
一角獣さん、どうかマリアを助けて頂戴
ケープ羽織り直し竪琴構え
純真の華飾衣を着用
高速詠唱で【華水晶の宴】使用
63体召喚
一角獣は煌めく
3体合体させ背に乗り移動
残りで豪快に挟撃
鱗に隠された柔な所を狙い角で強烈な攻撃
鋭敏な音の誘導弾で複数の敵おびき寄せ
竪琴で麻痺絡む鎮魂の旋律を高らかに奏でる(楽器演奏・マヒ攻撃
敵の攻撃は一角獣で防御
油断では無いが可愛さの余り抱き締めたい
竜胆石…マリアと同じ宝石ね
美しいのだわ
●ゆにこーんのおとめぽよ
大量に降る緑の軍勢、その第一陣がぽててんと地に降り立つ。
無事の着地に彼らはほっと一息。それから不意に顔を上げてみると……。
視界いっぱい、クリスタルが作り出す綺麗な銀糸が風に揺られ鮮やかに広がっていた。
「まぁ! なんて可愛らしいドラゴンポポゥリンさん……」
転送が完了したマリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)の透き通る声が弾む。
突如現れた華水晶の娘に敵達は驚いたものの、可愛いと言われちょっと嬉しそう。
そうだろーと言いたげに満足笑顔でぽより出した。突然の和み展開だ。
「……いえ、駄目よ! 集中しなくっちゃ」
うっかり心奪われかけた少女が気を取り直すと、何故か敵達もはっと我に返った顔をする。
そういや戦わねばならんかったと。
「でも……少し埋もれてみたいだなんて」
彼女の密やかで甘い呟きは近くの一匹に届いたようだ。
うもれとく? みたいな視線へマリアドールは花咲く笑顔でご遠慮した。
だってこれから蜜華の晶が紡ぐ旋律と詩(うた)でえいって倒すのだから。
多勢に無勢、可愛くとも倒すべき過去の存在は猟兵に牙……があれば剥く。
(マリア一人で何処まで対処出来るかしら)
強めの風を受け空より青いケープが舞い広がる。
サファイアの輝きで留め直し、黄昏色の竪琴にしなやかな指を引っ掛けた。
愛でられ咲いた華の顔に、しかし思っているような心配の色は存在しない。
「可愛い可愛い一角獣さん」
謡うのは、歌姫を護る精鋭達を喚ぶ詠唱。
荒々しい風を退けるベリルフラワーの旋律が歌声に乗せ周囲を彩る。
瞬く間に音の力は形を成して角を持つ勇士達を目覚めさせた。
「――どうかマリアを助けて頂戴」
緑の大群に立ち向かう、数多の煌めくユニコーン達。
静かに、左前足に3と刻印された集合体がマリアドールの前に進み出て跪く。
朝露のベールを翻して騎乗する。蜂蜜色のラメが、残り香のように舞い落ちた。
「鱗に隠された柔な所を狙って頂戴」
主の指示に従って戦闘態勢を取り、山盛りの敵へ突撃を開始する。
全ては彼女が振るう刃と成る為に。
宝飾の獣達が美しき鋭角を丸いドラゴン達に向け突き進む。
オブリビオン達も怯むことはない。数がモノを言い群れを成して飛来する。
緑の奔流と宝石の騎士団がぶつかり合い、硬い衝撃音と共にドラゴンポポゥリン達が吹っ飛んでいった。
すぐさま敵は空中で集合し、一角獣に乗る乙女へ纏めて降り注ぐ。
身を切り裂く鋭利な音の弾に数を減らしても尚突進する……がそれは誘き寄せに乗せられたに過ぎない。
曲の変更に気付いた時には高らかに奏でられた鎮魂の調べに多くが痺れ勢いを無くしていた。
その隙を付き、挟み撃ちにして絢爛の角が急所を貫く。
「っ!」
猛攻を突破した一匹が一直線に飛んできた。思わず受け止めるも衝撃が体に響く。
腕の中を伺うとドラゴンポポゥリンも衝撃で目を回し動けないでいる様子。
「……ちょっとだけなのよ」
油断ではない、と己に言い聞かせ思いっきり抱きしめてみた。
やはり表面は鱗で硬いが全体的にもちもちする。
ぽよんを堪能後すぐに前方へリリースし、他の個体と共に掃討していった。
気がつけば。
マリアドール達の周囲に散らばるのは緑の敵意ではなくなって。
竜胆色にキラキラ輝く石達が優しく降り注いでいた。
そっと、一つを手に取り陽に透かす。
「マリアと同じ宝石ね」
金の宝石を内に秘める乙女が小さく微笑む。
何方も劣らぬ美しさが其処には在った。
成功
🔵🔵🔴
龍ヶ崎・紅音
アドリブ・絡み歓迎
【POW】
「うわぁ!?本当にいっぱい降ってきた!!埋もれる前、なんとか弱点を見つけて倒さないと!!」
とにかく弱点を見極めて、焔槍形態のホムラを【槍投げ】で降ってくるポポゥリンを【串刺し】にしたり、着地したポポゥリンを「黒焔竜剣 肆式」の焔【属性攻撃】で突き刺したりして、埋もれる前に素早く数を減らしていくよ
もし、埋もれてしまっても『煉獄猛焔波動』で周囲のポポゥリンを弾き返して、すかさず弱点を突けば問題ないはず…!
●こんがりやけるぽよ
広い平野の全てで降り注ぐ緑のぽよっぽよは大迫力だ。
「うわぁ!? 本当にいっぱい降ってきた!!」
赤い眼をまんまるにして見上げると、青空をほぼ占領している緑の粒達。
徐々にそれらが大きな丸になってるのは距離が近づいている事になる。
つまり、かなりの大群が龍ヶ崎・紅音(天真爛漫竜娘・f08944)に迫ってきていた。
思わず声が出てしまうのは仕方がない。だってこのままでは全力で埋もれる。
あの笑顔で落ちてくる丸っこいオブリビオン達の下敷きになってしまう。
自分達大量におるよー。結構硬いよー。
ほらーぶつかっちゃうぞー。
とか聞こえそうな気がする。あくまで気がする。
それくらいドラゴンポポゥリンは良い笑顔だ。スマイルレベル分の1秒。
(埋もれる前に、なんとか弱点を見つけて倒さないと!!)
天真爛漫な竜の娘は考える。めっちゃ降って迫ってきてるけどとりあえず思考を回転させる。
見切れ私。相棒の竜を両手で握り締めると、応えるように焔を吹き出し彼女を包む。
ホムラの応援を受け、竜人少女は向かってくる緑玉に狙いを定めた。
「――そこだね!」
焔槍形態の一撃を投げつける。紅き軌道を描いた竜槍が鱗の隙間を見事貫く。
すかさず紅音はもう一つの武器を構えた。
華奢な体で扱うは魔竜の呪いを宿す無骨な巨大剣。禍々しい黒炎を生み、黒焔竜剣を黒乃村正へと変貌させていく。
地を蹴り、焔を纏わせた切っ先で一直線に突進してくる着地済みの個体を迎え撃つ。
呪炎は鱗を焦がし容赦無くドラゴンポポゥリンを焼き尽くした。
これで一息……つく間など無い。未だ空からは大勢がやってきている。
素早く蹴散らさなければ、埋められてしまう。
背後から突っ込んでくる数匹は空中旋回で急降下した焔槍が纏めて串刺しにした。
「行くよ。ホムラ!!」
再び相棒を手にする。妖刀を振るい槍で突き刺し、確実にオブリビオンを葬っていく。
一対一なら圧倒的に猟兵が勝るだろう。
しかし、数の暴力が今回猛威を振るい過ぎた。
「っ……!」
ぽよぽよ、ぽここここここ……どっさり。
あっという間にかちもちっとした山が出来上がってしまった。
どうだどうだーと頂上辺りの数匹が跳ねている。
勝利を確信したようだ。が、なんだかドラゴンポポゥリン山の様子がおかしい。
何かが焼けるいい匂いがする。むしろ下の方が熱い。
えーなにーな感じで恐る恐る覗き込んで様子を伺うと。
緑の隙間から、鮮やかな紅い焔が輝いていた。
「みんなまとめて燃えちゃえ!!」
力強い叫び声と共に、山が火山と化して豪炎を噴き上げる。
たちまちこんがり焼けたかっちりスライム達が上空へと勢いよく還っていく。
範囲内全ての緑を地獄の炎で染め上げ、燃え盛る翼を広げた紅音が地に降り立つ。
「後は残った敵の弱点を突けば問題ないはず……!」
槍を手に、ドラゴニアンの少女は猛焔の中を駆け回る。
煉獄が静まった後には、竜胆の輝きだけが残っていた。
成功
🔵🔵🔴
ルテネス・エストレア
今日のお天気は晴れのちスライム?
……本当に次から次に降ってくるのね
ちょっと埋もれてみたいとか、あらあらそんなことを思っている間に回りがスライムまみれになってしまったわ
一番近くのスライムをペタペタ触ってみようかしら
外はかりっと中はもちっと、成る程不思議な感触ね
急所は一番硬くなっている部分だと思うから、そこを狙ってみるわね
おいで、夜色の水晶剣
その身に星の加護を纏わせて、一斉に放つわ
【第六感】で大体の急所の位置を狙って、流星のような速度で水晶剣を飛ばしましょう
これはその先の物語へと導くための星の魔法
●よいてんきぽよ
平野に吹き荒れる風にも、鳥の子色の髪はふわふわと甘やかに広がった。
「今日のお天気は晴れのちスライム?」
永い時を得て在り続ける少女、ルテネス・エストレア(Estrellita・f16335)が柔らかく呟く。
隣で一緒に見上げていたドラゴンポポゥリンがそうかもーと言いたげに上下運動を行う。
現在降スライム確率はほぼ100%であった。
「……本当に次から次に降ってくるのね」
更に近くで着地していた別の個体がいい笑顔でぽよっている。
どんどんくるよーと主張したいようだ。
珊瑚色の瞳が和やかにそれを見つめ、ゆるり辺りも見回せば。
どんどこ降ってくる彼等にそろそろ地面も埋め尽くされそうだった。
「ちょっと埋もれてみたいとか、あらあらそんなことを思っている間に」
割ともっさりが深刻化している状況でも、彼女は動じず春の暖かな雰囲気を崩さない。
周りがスライムまみれになろうが、のんびりと。
幼さ感じる指先をそっと、穢れを知らぬ愛らしい頬へ乗せ考える。
(一番近くのスライムをペタペタ触ってみようかしら)
思いついたが早く、ルテネスはリボンをあしらう星と春色のスカートを揺らしてかちぽよに近づいた。
気付いた個体がぽんより顔を上げ目線が交わる。
気にすることなく栞のヤドリガミは好奇心に突き動かされた少女の如く手を伸ばす。
最初は鱗が掌と重なる。割と硬い。かりっとする位。
ゆっくり押すとそれだけ沈んでいく。離せば戻る。
リズムよく押すともちもちした。
「成る程不思議な感触ね」
そうねーなんて言いたそうに触られてる方がゆるゆる揺れる。
押してはぽよん、かっちりもちん。
一応戦場であるものの、今この時だけは穏やかな感触と時間が流れていた。
そうして粗方触りまくったら、少女の顔は緩めに微笑む。
「急所は一番硬くなっている部分だと思うから、そこを狙ってみるわね」
疑問符を浮かべるドラゴンポポゥリンをよそに、少女は再び空を見上げる。
「おいで、夜色の水晶剣」
秘密を打ち明けるような声色に誘われて、夜が現れ結晶と化し剣を創り出す。
流星が落ちる間の刹那、ルテネスの周囲に顕現する数多の煌めく刃達。
まるでそこだけ、満天の星空が展開しているようだった。
「――これはその先の物語へと導くための、星の魔法」
発動を告げる詠唱が、夜の剣に星の加護を纏わせていく。
力を与える度に輝く星の光に緑の大群はただただ見惚れていた。
そんな彼等に、聖者は優しい笑みを浮かべる。
「星綴」
彼女が思うままの場所へ、水晶の星達が放たれる。
流れ星は等しく急所を貫いていった。
「やっぱりちょっとだけなら良いかしら」
慌てて戦闘態勢に入った他の丸緑達を視界に、変わらない雰囲気でルテネスは星の剣を操り続ける。
この数が全て竜胆石になる前には、少しだけ埋もれそうな予感を感じながら
成功
🔵🔵🔴
佐那・千之助
この可愛いのもドラゴンなん??
ちょっとかちっとして強気そう…えっ可愛い…
むり…いとおしくて眩暈がするレベル…
だがこれも戦…っ
苦悩めいた胸のときめきを抑え込み
空中から落ちてくるスライムなど、簡単に避け…
られぬ!?多っ、多い!
固いところが当たるのは火花のオーラ防御で阻止ながら
どっさりぽよを堪能、あ、いやこれは不可抗力で、
あぁ…どこまでも弾むかわいい気持ちいい…
日々の色々がどうでもいい…
可愛いが集合したことによる暴力的な可愛さに涙を滲ませるも
堪能し切ったら…もとい覚悟を決めたら
UC炎の嵐でめちゃめちゃにして黒剣で弱点を穿つ
怪我してたら生命力吸収も
竜胆石は貧しい方にいっぱいあげたい
アドリブ絡み歓迎です
●おつかれぽよ?
「この可愛いのもドラゴンなん??」
紫水晶に似た輝きを放つ瞳が、驚愕の色を混ぜ眼前を凝視する。
佐那・千之助(火輪・f00454)が漏らした無意識の独り言へ、緑ぽよがもちっと振り向いた。
そうだぞーとか言いたそうな視線とかち合う。
「ちょっとかちっとして強気そう……」
見ればドラゴン化の影響でぽよっとした身体を包む一応硬いっぽい鱗がテカっている。
本スライム達的には鎧で武装した気分だった。
いいだろういいだろうなムーヴで見せびらかしている。ドヤ笑顔だ。
「えっ可愛い」
思わず長身の男性は胸を抑えた。気のせいかちょっぴり震えている。
そんな悶えに気付いたドラゴンポポゥリンが何故か一緒にぷるぷるしだした。
なんとなく共鳴したっぽい。
「むり……いとおしくて眩暈がするレベル……」
まだ戦ってもいないのに炎使いのダンピールは感無量、いっぱいいっぱいだった。
胸溢れる感情と戦う千之助の様子がなんだかとっても挙動不審だったので、数体が大丈夫? と言いたげに近寄ってくる。
そこはかとなく固めのもちもちセラピーはしかし逆効果だったようだ。
抑えられぬときめきに苦悶しながら、彼はぐっと拳を握りしめる。
「だがこれも戦……っ」
そう、これから戦わねばならない。
仕切り直しを提案したらあっさり緑ぽよ達は上空に帰っていく。
もしや飛べたのが嬉しかったのかと考えるのはさておいて、火輪はきっと空を仰いだ。
「空中から落ちてくるスライムなど、簡単に避け……」
見上げて気付く。着地済みのも戻ったので改めて彼らは降ってくる。
どっさりもっさり。
「られぬ!? 多っ、多い!」
予想外の自体に胸のときめきどころではなくなった。急いで猟兵の思考に切り替え戦闘態勢を取る。
みっちり空を埋め尽くす緑の合間から漏れる太陽の輝きを受け、陽光色の髪が一部鮮やかに光った。
それは火の花を誘い、瞬時にしてかりぽよ体当りを防ぐオーラと変貌する。
生成された陽のカーテンがまるで傘のように頭上で展開し次々と緑の雨からの衝突を阻止した。
ぽこぽこぽこん。ぽこぽこ。ぽぽぽぽここ。ぺちぺちん。
大量に降っては弾んでいく。若干押され気味だが透ける下から見る分には割と絶景であった。
「あ、いやこれは不可抗力で……」
誰にともなく言い訳を零しながらも、もちもち乱舞から目が離せない。
音と感触がやや硬めだが、それでもいい感じに癒やされる。弾力もさることながらBGMがもうヒーリングの域に達しそう。
(あぁ……どこまでも弾むかわいい気持ちいい……日々の色々がどうでもいい……)
前言撤回。彼はまだ猟兵の思考ではなかった。
しかしそろそろ鑑賞するにはあかん量になってきている。
押されすぎてオーラ越しに衝撃が来ている気がする。痛いかもしれない。
更に着地したドラゴンポポゥリン達が感動中の千之助に攻撃するべきか悩んでしまっている。
暴力的な可愛さを堪能しきり、うっすらと滲ませてしまった涙を拭い彼は顔を上げた。
覚悟を決め、今度こそ猟兵としての職務を全うする。
火の護りを消した瞬間、招かれたのは豪炎渦巻く灼熱の嵐。
スライム達を根こそぎ飲み込み、よりカリッと焼いた後は黒騎士の剣で急所を的確に斬り捨てた。
嵐が過ぎた晴れ空から、竜胆の雨が静かに降り注ぐ。
「この石は……貧しい方にいっぱいあげたい」
吸収した生命力で身を癒やし、おっとりした言葉は優しさを滲ませて。
胸の奥に抑えた想いを、そっと一息に込め空へ逃した。
成功
🔵🔵🔴
亜儀流野・珠
要約するとかわいい何かが降ってくる、と言ったところか?
……で、実際にかわいい何かが降って来てるな。
かわいいなあ……平和……ではないな!
これ死ぬな! 埋もれて死ぬな!
貼った物を壁に変換する「金璧符」を四方の地面に貼り
石壁をテントのような形で生成し自らを閉じ込める!
これで埋もれは回避できた。
が、ずっと籠っている訳にもいかん。
木槌「砕」を持ち、奥義「大薙ぎ」にて石壁ごと
外にいるであろうポポゥリン達を吹き飛ばす!
これで数はだいぶ減っただろう。
あとは一体一体ぷちぷち叩き潰して行こう。
硬いらしいが全力で叩けば大丈夫だろう!
竜胆石だったか?
この大群からどれくらい採れるんだろうな?
●かわいいはじゃすてぃすぽよ
あっちこっちで空を埋め尽くす緑はここでも猛威を奮っていた。
「要約するとかわいい何かが降ってくる、と言ったところか?」
転送前に聞いた話を纏めた亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)が結論付ける頃には割と大勢が落ちて地面でぽよっている。
「……で、実際にかわいい何かが降って来てるな」
何かってなんぞ。ドラゴンだぞと言いたげだが周囲の緑スライムはただぽよっているようにも見えた。
「かわいいなあ……」
小さな妖狐が呟き見るは、緑のややかっちりした生物達が平野でころころしている光景だ。
着地してはぽよっと跳ね、ちょっと光の量が足らない気がするが日向ぼっこも始めている。
「平和……」
更に上から降ってきたぽよが地面を埋め尽くしていく。
ぽよんぽよんと数を増やす。
終いには地の面積が足らないので仲間の上に着地して積み重なるものもいた。
雪だるまはやがてトーテムポールとなり、更なる高みを目指し積み上がる。
可愛いが周囲を圧倒する。圧倒的な可愛いの群れ。これすなわち平和の極み。
「……ではないな!」
ウォール・ポポゥリンができそうな時点で珠は我に返った。
いくら可愛い癒やしだとしても、限度がある。限界は突破している。
「これ死ぬな! 埋もれて死ぬな!」
四方がものすごくいい笑顔のスライムたちで囲まれてしまった。
狐っ娘、ピンチ。
急いで懐から取り出した霊符を、僅かに残っている自分周辺の地面に貼り付けた。
術式が展開され突然地が揺れ石壁が生成される。
衝撃で緑の壁もぐらぐら揺れ、あっさりバランスを崩したウォール・ポポゥリンが中心に向かって雪崩込んできた。
しかし間一髪、埋もれ不可避に見えた猟兵は石壁のテントに守られ事なきを得る。
自らを閉じ込める事によって埋没を防ぐ籠城作戦に出たのだ。
(が、ずっと籠っている訳にもいかん)
一時の避難にはなったが、こうしてる間にも石壁テントに乗っかるスライムの量は増えている。
耐えきれず石壁ごと埋められる未来も回避する為、彼女は自らの武器を手にした。
小さな体には大き過ぎる木槌を、ゆっくりと両手で握りしめ構える。
光無き石壁の中、珠の赤い瞳が暗闇に浮かび鮮やかに光る。
次の瞬間、砕と呼ぶ大獲物が珠の力を受け質量を増していき――。
「吹き飛べ!」
そのまま、詠唱の叫びと共に巨大化した一振りを力いっぱい石壁に叩きつける。
大薙ぎは激しい衝撃を与え、石壁と上に積まれたドラゴンポポゥリン達を豪快にふっ飛ばす。
まるでポップコーンが弾け飛ぶように一掃され、後は小さき妖狐だけが残りいい笑顔で空を見上げていた。
「これで数はだいぶ減っただろう、あとは……」
大木槌を軽々担ぎ、大爆発の衝撃でピヨるオブリビオン達を一体一体ぷちぷち叩き潰していく。
「硬いらしいが全力で叩けば大丈夫だろう!」
その細い腕のどこに力があるのか、悠々と大物を振り回す様は圧巻だ。
若干動けた何匹かの反撃もあったが、モグラならぬスライム叩きは確実に大群を減らしていく。
コツ、と足に硬いものが当たる。
拾い上げたそれは淡く美しい輝きを放っていた。
「竜胆石だったか? ……この大群からどれくらい採れるんだろうな?」
少なくとも彼女が倒し尽くした平野は所々掌の彩りと同じ煌めきを放っている。
どっさりから得たものもまたどっさりだった。
成功
🔵🔵🔴
真幌・縫
パンダさん?なグリモア猟兵さんに聞いてたけどぽよぽよだねー。
でも、いっぱい降ってくると押しつぶされちゃうからちゃんと退治しないと!
ぬいに出来るのはこれくらいだからね。
それじゃあいくよ!
【高速詠唱】【全力魔法】でUC【虹色の魔法】を発動【属性攻撃】虹で威力の強化。
「虹色の魔法…プリズムファンタジア!!」
ふふ、顔を覚えたって言うのならここまでおいで♪【挑発】
ぽよぽよさんの攻撃は【地形の利用】や【敵を盾に】しつつ【野生の勘】で【ダンス】するように避けるよ♪
キラキラ石…綺麗だったら一つだけもらおうかな?
●にゃーぽよ
ぴこぴこ、ぴこぴこ。
見つめ合う一人と一匹の、頭上に付いている2つのアレがおんなじように動いている。
片や真幌・縫(ぬいぐるみシンドローム・f10334)の白い猫耳が。
もう片方はドラゴンポポゥリンのちまっこい角がもちもち揺れていた。
「パンダさん? なグリモア猟兵さんに聞いてたけどぽよぽよだねー」
そう言えばグリモア猟兵もぽよぽよだった気がする。はさておいて。
謎のライバル心を可憐な白耳に抱いているのか、そだろうと言いたげな緑もちは生えたての角を一生懸命ぴこらせる。
更に言えば少女が抱く翼ねこのぬいぐるみにも対抗意識を燃やしてるらしい。
その様子、自分達の方がいけてるマスコットだと主張しているのかもしれない。
「サジ太可愛いよ?」
ほらと灰色の柔らかそうなぬいぐるみをつぶらな瞳の前に出す。
じーっと見つめるドラゴンポポゥリン。なぜか上下にぽよりだした。
柔らかさなら負けないというプライドなのだろうか。しかし今の彼らには致命的な点が存在した。
そう。今ちょっと外見が硬い。
そんなこんなでうっかり可愛い合戦になりかけているが、あくまでここは命扱う戦場だ。
「いっぱい降ってくると押しつぶされちゃうからちゃんと退治しないと!」
敵は目の前の一匹だけではない。上からどんどん、もりもり降り注いでいる。
「ぬいに出来るのはこれくらいだからね」
ふわふわの黒いくせっ毛を弾ませ、翼猫のキマイラが愛らしい杖を取り出した。
本人が纏う衣服と同じ、春色のウィザードロッド。花咲く一振りをくるんと一回転。
「それじゃあいくよ!」
さっきまで可愛いを見せ合っていた一匹に杖先を向ける。
にくきゅうっぽいデザインの宝石が淡く輝いたかと思えば、突如七色の光が溢れ出た。
鏡柄の瞳にも鮮やかに映る虹の魔法は主の詠唱に呼応しあっという間に周囲を包み込む。
彼女の全力が、緑一色の世界を極彩色に塗り替えた。
突然の色彩変化に慌てふためくドラゴンポポゥリンへ、縫は柔らかな笑みを浮かべてみせる。
「サジ太も一緒にやろう」
そっと翼猫ぬいぐるみの腕を取り、魔法の杖にぺたんと乗せて。
準備万端、桃色魔法使いが虹の奇跡を解き放つ。
「虹色の魔法……プリズムファンタジア!」
七色の光が、何本もの矢と成って弾け飛んだ。
虹色の軌道が緑を貫き、空の青さを取り戻していく。
数にモノを言わせ飛び込まれたって、少女は軽いステップ重ねて踊るように避けてしまう。
「! ……ふふ」
それでもぽこん、と一匹が背中に当たったとしても。
驚く顔はすぐに楽しげな彩に変わり、翼広げたキマイラがバックステップと宙返りで距離を取る。
「顔を覚えたって言うのならここまでおいで♪」
挑発に乗って再びの突撃を試みるも、縦横無尽にオブリビオンの雨を飛び回る彼女を捕まえられない。
勢い余って仲間同士で衝突したり、岩にぼいんとぶつかったりして。
最後は虹の光に射たれて消えていく。
「キラキラ石……綺麗だったら一つだけもらおうかな?」
緑が竜胆色に変わっていくのを瞳に捉えて、縫は呟いた。
お掃除完了まで後もう少し。
成功
🔵🔵🔴
小宮・あき
すずちゃん(f02317)と。
アドリブ連携歓迎です。
私の可愛いポポゥリン。
ドラゴン化したと聞いて驚きましたが、その愛らしさは変わりませんね。
ちまっとした角と申し訳程度の翼…、ふふ、可愛い!
そのスマイル連打、さすが私の宿敵です。
すずちゃんの傘になったUCの下で、降ってくるポポゥリンを確認します。
埋もれるの、楽しそう~~。でもそれは、普通のポポゥリンの時にしましょうか。
残念ですが、しっかり狙い撃ちを。
UC【愛雨霰】、73本のマスケット銃で、スナイパー、零距離射撃。
下から狙い打ったら、まさに宝石の雨ですね~。
ゲーム? モノポリーならやったことありますよ! あれ、違うの? RPG??
コイスル・スズリズム
オーナーさん(f03848)と同行!
外はかりっと中はもふりたくなっちゃうね!
空からふってくるポポゥリンにUCで作りだした紙片の傘で避けて「見切り」
ぷよん
とする!危ない!埋もれちゃうよ~!
オーナーさんはうもれるのも幸せかも?
紙片でできた傘をすずとオーナーさんの上に展開しつつ
「スナイパー」をのせたUCで空からふってくるポポゥリンを狙い撃つ
シューティングゲームみたいだね!
あれ?
出てきた財宝に、
おおっ!オーナーさん!今度はファンタジーのゲームのアイテムみたいだよ~!
オーナーさんってゲームしたことある?
モノポリー……さすがホテル経営者。お金のことになると強そう
今度、色んなゲームを教えるよ!
アドリブ大歓迎
●しゅくてきとげーむぽよ
青空が地上にふたつ、降り注ぐ緑を嬉しそうに見上げていた。
「私の可愛いポポゥリン……」
空色の持ち主が淡い髪色と同じ彩の吐息と言葉をゆっくり落とす。
小宮・あき(人間の聖者・f03848)の見つめる先に、見慣れた姿よりちょっぴり変わったかの姿。
「ドラゴン化したと聞いて驚きましたが、その愛らしさは変わりませんね」
ぽこんと通常よりやや硬めの音を立て、眼の前に落ちてきた緑のもっちりは彼女の宿敵だった。
「外はかりっと中はもふりたくなっちゃうね!」
どことなく満足げな人間の聖者の隣から、人間のシンフォニアがひょいと顔を覗かせる。
コイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)は興味深げにかりもちスライムを観察した。
鱗に覆われている割には、ぽよぽよ身体は弾みがち。
何よりつぶらなお目々はいつもと変わらない。
「オーナーさんはうもれるのも幸せかも?」
柔らかな金の髪をふわりと2つ、纏めたリボンと一緒に揺らして藍色の瞳が声かけた相手を見上げてみたら。
オーナーさんと呼ばれた少女はさっきよりもより幸せそうに丸い緑を見つめていた。
「ちまっとした角と……」
なんだか自分の事を言われてる気がする。そうドラゴンポポゥリンは感じたらしい。
二人の目の前でにょきっとちょい伸びた角を気持ち頑張って尖らせてみたり。
「申し訳程度の翼……」
よいしょっと向きを変え、ミニったい翼をぱたぱた動かした。若干浮いた。
なんと飛べるんだと言わんばかりの、輝く笑顔も一緒に添えて。
「ふふ、可愛い!」
百点満点の笑顔を宿敵同士でばっちり決める。
いつの間にやら辺りにはおんなじ顔したドラゴンポポゥリンが自分も自分もと集まっていた。
「そのスマイル連打、さすが私の宿敵です」
宿敵に太鼓判を押されて一時わあっと歓声が上がる……ようなヴィジョンが見えた気がする。
ぽよんぽよんと跳ね回る彼らは、笑顔のまま一旦ぴょーんと高く跳ね上がった。
跳ね上がって。
褒めてくれたお礼にと、勢いよく二人目掛けて落ちてきた。
「危ない!」
すかさず危険を察知したコイスルが空に向けて両手を伸ばす。
放たれたのは掌からではなく、袖口から……物語を記した紙片が捲る音を鳴らして飛び出した。
小冊の欠片達が間一髪、二人と大勢の間に展開されて盾と成る。
はたから見るそれは、緑の雨を防ぐ大きなハート型のペーパーアンブレラ。
紙と侮ることなかれ。スライムの衝撃はぽよんぷよんと跳ね返し、番傘の如く降り注ぐ困難を跳ね返した。
「でもこのままだと埋もれちゃうよ~!」
ぼよんぼとん。いくら傘が塞き止めたとしても消えない雨粒は周囲に積み上がっていく。
上がだめなら周りから。そんな雰囲気を彼らの笑顔からひしひしと感じ取る。
「埋もれるの、楽しそう~~」
アンニュイな娘の心配を他所に、笑顔は尽きないオーナーさん。
その様子はやっぱり幸せそうだなと紙吹雪を操り続ける少女が笑う。
一時の和やか空間ができかけるも、状況は変わらず二人が埋もれるのは時間の問題だ。
となれば、やるべきことは唯一つ。
「でもそれは、普通のポポゥリンの時にしましょうか」
気を取り直したあきは友達が創り出す傘の下で、一丁のマスケット銃を手に取った。
そっとひと撫で、愛しき文字が刻まれた箇所に薬指を滑らせる。
妻の危機に応えるのは、いつだって。
「私、愛されていますから」
紡がれた言葉に、賛同の意思がその数を増やし全方位に銃口を向けた。
突如出現した攻撃手段に慌てふためくドラゴンポポゥリンを尻目に、彼女は本体を抱きしめそっと引き金を引く。
「残念ですが、しっかり狙い撃ちを」
数多の銃声がオブリビオンの柔らかな急所を撃ち抜いた。
弾がヒットし消え去る緑。それはまるで的当てみたいな爽快感。すなわち。
「シューティングゲームみたいだね!」
空より僅かに緑がかった青をふたつ輝かせて、シンフォニアは言葉と気持ちを跳ねさせた。
この衝動、見ているだけでは収まらない。まだまだあの的はどっさりぽよんと降ってくる。
ならばならば、やってみるべきなのだ。
「誰かに恋する時のよに」
興奮と恋は似ているか? そんな疑問ごと撃ち放とう。
ハートの傘はそのままに、緑に支配された空へもう一度手を伸ばした。
「誰かを待つよに深く甘く続いてく!」
恋物語の一節を読むかのような詠唱で、再び袖口から彼女の弾を創り出す。
今度は狙い撃つ為の力を込めて。破れた紙片が鋭く尖り、切っ先が獲物達へと向けられた。
「狙い……撃つ!」
発射した紙の刃はハートの傘から溢れ出し、重力に逆らってもっちりな雨を迎撃していく。
狙いは抜群、ハイスコアを記録できそうだ。
愛の弾と恋の紙片が緑の大群を攻め尽くした頃、漸く空が澄んだ青色に戻っていく。
撃ち漏らして体当りしてきた数体を片付けて、やっと二人は武器を収めた。
「あれ? ……おおっ! オーナーさん!」
足元で消えた緑の代わりに出現した竜胆石を拾い上げ、コイスルが振り返る。
「今度はファンタジーのゲームのアイテムみたいだよ~!」
またもや上がるテンションを微笑ましく見つめたあきの視界にも、竜胆色が通り過ぎた。
視線を上にやれば、陽の光を受けて鮮やかに輝く石達が二人の元に落ちてくる。
「まさに宝石の雨ですね~」
宿敵を倒し、ドロップしたアイテムは価値ある財宝だなんて。
「オーナーさんってゲームしたことある?」
確かにファンタジーゲームだと思った所で、投げかけられた質問に思考が切り替わる。
「ゲーム? 財産を独占するボードゲームならやったことありますよ!」
「……さすがホテル経営者。お金のことになると強そう」
成程かの豪華大型リゾートホテルを経営しているだけのことはあるのだろう。
説得力という納得の文字を頭に浮かべる友の顔を見て、オーナーの少女が小首を傾げた。
「あれ、違うの? RPG??」
ほんの少し慌ててから考え込む友達に、彼女がすずちゃんと呼ぶ少女は表情を緩ませる。
経営者と言えども、猟兵と言えども。二人は年頃の女の子。
楽しい事はこれから幾らでもご一緒できるから、だから。
「今度、色んなゲームを教えるよ!」
最後はふたりで、最高の笑顔を交わしあった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
あの柔らかな物体が降ってくる…とな…?
どっさりと言うが…まあ、警戒する程でもなかろうと盾を手に平野を行く―も
空から降り注ぐドラゴンを見れば慌てながら宵へと手を伸ばそう
か、斯様な平野にて逸れて堪る…ものか…!
そう必死に宵を探すも降り注ぐ隕石の間に宵を見つければ駆け寄り確りと手を繋ぎつつ
【蝗達の晩餐】にてドラゴンを食らわせながらメイスで『薙ぎ払い』再び埋もれぬ様数を減らして行こうと思う
…ぷにぷにしたアレは愛らしいが…宵と逸れさせる等…言語道断だ…
竜胆石なる物が出て来たならば僅かに眉を寄せつつ持ち帰ろう
…ん?売らんぞ?ただなんだ油断は禁物という事を戒める為に、丁度よかろうから…な
逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と
スライムなる生物のひとつですよね
あれが空からどっさりと降ってくる……と
A&Wも広いですから埋もれるなんてそういうことあるわけ―――
ある、わけ―――
な、な、な
なんですかこのありさまは―――ッ!?
どこからかありえない数量で空から降るドラゴンポポゥリンにザッフィーロとはぐれてしまえば
ああ、僕とかれを引き離すなど、心の準備はできているのですね!?
と「野生の勘」「第六感」を使って彼らの弱点となる部位を探り出せば
「全力魔法」「範囲攻撃」を駆使した
【天撃アストロフィジックス】で彼らを打ち砕きましょう
ザッフィーロを見つければ手を伸ばしかれの手を握りしめ
ああ、悪夢でした……
●すらいむもくわないぽよ
恋人同士であれば、例え豪雨の中でも想いあえるものだ。
物語の冒頭がその一文で始まるのであれば、それは彼らの噺なのかもしれない。
「あの柔らかな物体が降ってくる……とな……?」
神が扱う銀食器の如く、磨かれたシルバーの瞳がまだ青く済んだ空を見上げていた。
ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)が歩む先は戦場と成る筈の平野。
風がまだ心地よく、陽光に映える白の祭服が緩やかに波打ち広がっていく。
「スライムなる生物のひとつですよね」
ふと、隣でかけられた言葉に動きを止め視線もそちらへ移した。
敵が気になりはするがそれより逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)の方が大事だ。
「あれが空からどっさりと降ってくる……と」
夜を彩る髪の間から思慮深い星が2つ瞬いて、天図盤に宿るカミが暗紫の瞳に緑を映す。
指輪のカミと対称的な黒をゆったりと靡かせ少しだけ目線の高い隣人を見上げる。
かち合う視線に言葉無くとも通じ合う。二人はほぼ同じイメージを脳内に抱いていた。
「どっさりと言うが…まあ、警戒する程でもなかろう」
「A&Wも広いですから埋もれるなんてそういうことあるわけ――」
結論を口にした方が、ゆっくり片手を開き視線を落とす。
己を守る上等な手袋から淡い光が溢れ出て、やがてそれは護りの盾を創り出す。
さぁ準備は万端だと顔を上げる。しかし、そう言えば会話が途中で切れたような。
「ある、わけ――」
上空一点を見つめたまま足を止めてしまった精霊術士に、聖者が不思議そうに小首を傾げる。
そうして宵の視線を辿り……ザッフィーロもまた、空を見上げて。
二人仲良く、おんなじ顔をした。
「な、な、な……なんですかこのありさまは――ッ!?」
さっきまで青かった空が別の色に占領されている。
夜に望める満天の星とかそういったレベルではない。
空を塗り潰す緑、緑、緑……が。迫ってきた。
「宵っ!」
先に気を取り直したヤドリガミが叫ぶ。同時に、二人の間へ緑の一撃が突進してきた。
「ッ――ザッフィーロ!」
黒と白のローブを翻し、二人はやむを得ず距離を取る。
すぐに想い人の姿を探そうとするも、既に雨は勢いを増し視界に圧倒的な緑を押し付けてきた。
息付く間も無く、ぽこんぽよんと空から猟兵達めがけて飛んでいく緑の丸っこいスライム達。
気のせいか降ってくるのが2つずつな気がする。なんだか彼らの笑顔がによによしているかもしれない。
がしかしそんな事を気にしている暇は無い。
「か、斯様な平野にて逸れて堪る……ものか……!」
もっちりくっつく団子達を光の盾で弾き、星彩のメイスを振り回せば2つ仲良く吹っ飛ばす。
急いで倒してしまわなければ、彼とはだいぶ距離が離れてしまっている。
豪雨が二人を分かつのか、そんな事は赦されはしない。
けれども緑の流星群が絶え間なく彼らの試練と立ち塞がった。
「ああ、僕とかれを引き離すなど……」
名工が創造した精巧の化身が顔をしかめる。
欲しいのは緑ではない。あの白い姿が、藍色の鮮やかな髪が、慈悲深い銀の眼差しが見たい。
「心の準備はできているのですね!?」
星の意匠を鏤めた杖を構え、限界だと叫ぶ。
美しき宝玉と同じ彩の瞳が見開かれると同時に、真昼の平野に夜が訪れた。
「太陽は地を照らし、月は宙に輝き、星は天を廻る」
アストロラーベが指し示す、星への導き。ただし、今日今この時だけは。
「そして時には、彼らは我々に牙を剥くのです……さあ、宵の口とまいりましょう!」
宵が探し観る者は、大事な大切な彼でいたい。
放たれた流星は煌めく弧を描き、観測の障害となるオブリビオン達に飛んでいく。
戦場の勘を遺憾なく発揮させ次々と敵の弱点を撃ち抜いた。
愛しい人の名を呼んだのは何方が先だったのか。
緑色隕石の間にいつも隣で見ていたあの星光を捉え、ザッフィーロは力の限り声を張り上げる。
届けと願う、かの星夜へ。言葉は……届いた。
「手を!」
手袋に隠した、己を伸ばす。触れるならば、この手が良い。
振り払ってなぎ倒して、弾き飛ばして撃ち抜いて……そうして、漸く。
同じ想いで伸ばしてくれたその手が、彼を嵌めた指を掴んだ。
引き寄せる力も丁度同じ。雨の中、逢えた二人が身を寄せ合う。
交わす言葉は互いの耳に届くだけの音で良かった。
「……?」
ふと気づく。なんだか視線をいっぱい感じる。
顔を上げた二人が見たものは……すんごい笑顔で仲良し猟兵を見てる野次馬達だった。
ふたっつずつくっつくドラゴンポポゥリンが、にこにこ寄り添いぽよってる。
ひゅーひゅーとか、なかよしねーとか。
そんな幻聴が聞こえたかもしれない。
「……ぷにぷにしたアレは愛らしいが……」
咳払い一つ、気を持ち直した聖職者がスライム達を静かに見回す。
同時に天廻と重なる影が不自然に蠢き、やがて暗い蝗の大群を生み出していく。
「宵と逸れさせる等……言語道断だ」
罪状は確定した。ならば、裁かねばならない。
なんだか雲行きが怪しいと感じ始めた時では既に遅すぎる。
オブリビオン達の目の前で、捕食者達が口を開けた。
「お前達も他の命を食い生きているのだろう?……きっと、それと、同じ事だ」
いえいえ滅相もございません的に、緑ぽよ軍団がめっちゃ早くぷるぷる身体を左右に振っている。
それでも晩餐会は無慈悲に執行されるのだ。
緑を、黒が喰らい尽くす。
食後の観賞用デザートが出ても尚、彼らは手を離さなかった。
「ああ、悪夢でした……」
地面が竜胆色の星空と化した頃に、宵は深い溜息を零す。
気は抜いたが繋いだ手は離す事無く、隣人の動きに視線を向けた。
ザッフィーロが眉を寄せながら腰を屈め、竜胆石をひとつ拾い上げている。
「……ん?」
上げた顔と視線が合った。
問いかける夜の星に、聖銀の瞳が優しく緩む。
「売らんぞ? ただなんだ油断は禁物という事を戒める為に、丁度よかろうから……な」
想い合えば、豪雨の中でも必ず逢える。
確かな絆をもう一度、握りあった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
夏目・晴夜
リュカさん(f02586)と
ええ?もふもふですか、あれ
まあ確かに手触りは(ゴツンと硬い音を聞き)…いい音しましたね
しかし余裕で勝てる気しかしません
まずリュカさんに好きなだけ撃ちまくって頂いて、
弾がめり込んでる所を私が【串刺し】にすれば楽勝ではないですか!
よっしゃ行きましょう、リュカさん
カッコいい狙い撃ちをよろしく頼みます
不安でしたら最も安全な場所ことハレルヤの後ろにいてもいいですよ!
お、また降ってきましたね
…なんか多いですね
とりあえず斬撃からの【衝撃波】で【なぎ払い】
いやマジで多いですね!
ちょっとストップ、多すぎでしょうが!ふざけてんのか!
(引っ張り出され)
…どうせならもふもふに埋もれたかった
リュカ・エンキアンサス
晴夜お兄さん(f00145)と
見て、お兄さん。ほらあれ
もふもふだよ
…え、違う?
でもほら、見た目から想像するにきっと手触りがいいはず…
(頭の上にひとつゴツンと落ちてくる
……
お兄さん、これ、硬い
(若干残念そうにダガーでとどめを刺した
うん、なんだかいっぱい落ちてきてるけど負ける気はしない
さっきは後れを取ったけれども、次はない。ってことで、灯り木で空中から落ちてくるのを狙い撃ちする
…え、いいの。じゃあ、お兄さんの後ろで守ってもらお…
お兄さん、お兄さん、埋まってきた……!
(制圧射撃で吹き飛ばしてお兄さんを引っ張り出す。気が緩んでた。しっかりしなきゃ
これでもふもふだったら最高だったのにね
●うもれてもいいんじゃぽよ
スライムが 上空に 現れた!
「見て、お兄さん。ほらあれ。もふもふだよ」
好奇心旺盛な言葉に対し、指差す少年の顔は落ち着き払っている。
リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)が示す先は、緑のほぼ球体が青空にぷかぷか浮いていた。
厳密に言えばちょっぴり尖ったりやや硬そうなフォルムをしているが、まるい名残はひしひしと感じられる。
「ええ? もふもふですか、あれ」
もふもふとはなんぞや。その定義を考える夏目・晴夜(不夜狼・f00145)も冷静だった。
何方かと言えば無表情に近い。表情筋だけがノーリアクションを貫いている。
「え、違う? でもほら、見た目から想像するにきっと手触りがいいはず……」
しかし彼らの内心は興味津々。一匹ぽこんと落ちてきたのでこれ幸いと不夜狼は手をのばす。
なんぞとむしろ触らせてくれる感じのドラゴンポポゥリンにタッチすると表面こそ硬いが押せば弾力を大いに感じる。
果たしてこれはもふもふに分類されるのだろうか。
「まあ確かに手触りは……」
ごつぽにょん。
突如白く大きな狼耳が大変不可思議な音を聞いた。
しいて言えば、紫の瞳は自分と一緒に手触りを確認しようとしていた友の頭に追加が落ちる瞬間を目撃していた。
「……いい音しましたね」
相変わらず表情筋が仕事をしない二人の反応は大変クールである。
二歳年上のお兄さんが大人のコメントをつけ、この流れでたんこぶすら出ない頑丈な戦場傭兵は徐に無骨な短剣を取り出した。
ここでようやっと若干の残念そうな表情を出して、目を回す加害スライムをさっくり葬る。
「お兄さん、これ、硬い」
締めのリアクションすら最小限だった。
仕切り直し、と言うことで。
改めて仲良く天を仰ぐ。二匹落ちてきた所で空の状態は変わら……さっきよりも増えている気がする。
現状は確実に二対大勢であることは間違いない。
「しかし余裕で勝てる気しかしません」
数の絶対不利、困難極まる状況だとしても晴夜の自信を崩す事態には程遠い。
かっちり着こなす上質と、汚れ一つ無い金襟の気高さに彼の強い意志が伺える。
「うん、なんだかいっぱい落ちてきてるけど負ける気はしない」
既に先陣は切られているので、少しずつ確実に敵は自分達へと降下し始めている。
空からゆっくり落ちる緑の雪……やがて大雨に成るだろう現実は、正にファンタジーだ。
さりとて冒険も戦場も常に予測不可能なもの。渡り歩いたからこそ、少年も動じず強い自信を胸に抱く。
「まず……リュカさんに好きなだけ撃ちまくって頂いて」
冷静に、白い人狼は勝利への道筋を脳内に組み立てる。
「弾がめり込んでる所を私が串刺しにすれば楽勝ではないですか!」
割とあっさりゴールは視えたらしい。名案だとばかりに声が弾むも表情が追いついていない。
外見と言葉のギャップが激しすぎて温度差を感じたか、最初に落ちてた一匹が盛大にくしゃみする。
風邪を引いては大変だとリュカが先程の個体と同様にさっくり実家(躯の海)送りにした。
散梅を軽く拭き取って、夜空を首に巻く少年はもう一丁の相棒に手をかける。
「さっきは後れを取ったけれども、次はない。ってことで、やるよ」
「よっしゃ行きましょう、リュカさん」
アサルトライフルの弾を確認する様子を尻目に、妖剣士が鞘無き一振りを手にとった。
相変わらずしっくりくるそれに、奥底から暗い食欲が湧き出てくるのを感じ取る。
「カッコいい狙い撃ちをよろしく頼みます」
返事を言葉で告げる時間は無かった。代わりに、灯り木が銃声を響かせる。
夜空の星を的にしてきたような腕前に、かっちりもちんと飛ぶ緑ぽよの狙撃はイージーモードだ。
早撃ち、牽制お手の物。更には撃ち抜いた音すら聞き分けて。
「お兄さん、多分あれが急所。守る鱗は、弾いた」
蒼炎が敵を丸裸にし、無防備になった箇所へ狼が刃を持って飛びかかる。
ちゃんと弾丸もめり込まれて至れり尽くせり。美味しく調理された、その獲物を。
「残さず食べて差し上げます」
悪食が喰らいつく。腹が減った腹が減ったと、衝動の儘に貫き切り裂いた。
「お、また降ってきましたね」
狩っても斬っても空腹だが、なんだか需要と供給のバランスがおかしい。
リロードを行う狙撃手も拭えぬ違和感に眉を寄せた。
「不安でしたら最も安全な場所ことハレルヤの後ろにいてもいいですよ!」
年下の彼に構いたいのか、攻撃の手を止め晴夜が堂々と胸を張る。
「え、いいの。じゃあ、お兄さんの後ろで守ってもらお……」
普通にオッケーする流れは言葉と共に強制中断され、改めて二人空を見上げた。
「……なんか多いですね」
なんかのレベルなのだろうか。
空が青くない。緑だ。緑に制圧されている。
条件反射的に不夜狼が妖刀を振り上げた。悪食が吐き出す呪詛の衝撃派は真っ直ぐ上空へと飛んでいく。
ぼちゅんとけったいな音が天空に鳴り響いた、瞬間。
緑の塊がぼろっと。空から剥がれるように落ちてきた。
大漁である。
「いやマジで多いですね!」
叫んだ所でどっさりは避けられない。迎撃するも、処理が追いつかない。
ぽよぽよぽよぽよ、ごつ、ごつぽよ、ぽっよんぽよよよよ。
「お兄さん、お兄さん、埋まってきた……!」
「ちょっとストップ、多すぎでしょうが! ふざけてんのか!」
心なしかさっき攻撃した人狼へスコールが集中している。
あっという間に食べきれない量が伸し掛かり、かりっとスライムの山が完成した。
流石に急ぎで対応する案件だが、それでも弾を込める指先に焦りはない。
「願いの重さに負けない強さを――」
数多の敵を、眼前の悲劇を。砕き吹き飛ばす為の力を放つ。
リュカの祈りは積み上がる緑ぽよだけを的確に撃ち抜き山を削り取る。
乗り越えた先に、質の良い手袋を発見した。
(気が緩んでた。しっかりしなきゃ)
己を戒めながら埋もれ狼を引っ張り上げる。
圧し潰された耳がぴんっと元気よく立ったのを見届けて、ほっと一息ついた。
「……どうせならもふもふに埋もれたかった」
不夜狼の嘆きに、黒髪の少年は青空の瞳を緩ませる。
「もふもふだったら最高だったのにね」
顔を見合わせ、つく呼吸は穏やかに。
最後までろくに仕事をしない表情の代わりと身体が改めて戦闘態勢を取った。
さぁ、やっぱり負ける気がしない戦いの続きといこう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ロロ・ゼロロ
ドラゴン化したスライム、とな。
外はカリカリ、中はもちもちとは……ずいぶん美味しそうな進化を遂げたものであるなー
【トリニティ・エンハンス】を発動。
群竜大陸に溢れしエレメント、揺らめく炎、たゆたう水、そして翔ける風よ。余に攻撃力を貸し与えたまえー
ポポゥリンの雨に向けて、三色の魔力を込めた剣を振るう。
豪快に切り裂けば、何体かには運よく弱点に当たるかもしれぬしな。
とりあえず先制を決めた後は、【空中浮遊】しつつ、敵の攻撃を回避。
先ほどの攻撃で、少しは鱗も傷ついたであろう
柔らかそうな場所を見極め、剣を突き立て、各個撃破である
おおー煌めく宝石。これが竜胆石であるな
戦役に参加した証として持ち帰るとしようー
●じゃりゅうとかしたわれらをおそれぽよ
「ドラゴン化したスライム、とな」
さっくり草原を踏みしめて、王子様は颯爽……というよりはのんびり登場した。
小首を傾げる幼い顔。ロロ・ゼロロ(ゆるチュウニ王子・f23416)の白い髪がふんわり揺れる。
一緒になってキラキラ動く小さな金冠を、興味深そうに目の前のドラゴンポポゥリンが見つめていた。
「外はカリカリ、中はもちもちとは……」
向こうも様子見ならこちらも観察と言わんばかりに、まじまじと眼前のぽよんを眺める。
つるんとした鱗がぴっちり、でも中身がスライムなので弾力豊かにぽよんぽよん。
なんだかこんな形の饅頭とかそこらがあるような気がする。
「ずいぶん美味しそうな進化を遂げたものであるなー」
えっ食べるのみたいな顔をする緑のもっちりだった。
「とりあえず先制を決めるであるか」
最初から変わらないトーンなので、攻撃の宣言をしてもいまいち空気が変わらない。
緑ぽよはむしろ食べられるのを警戒してじりじり距離を取っていたくらいだ。
「群竜大陸に溢れしエレメント、揺らめく炎、たゆたう水、そして翔ける風よ」
ゆっくり両手を挙げる王子様。魔力の風が巻き起こり、品の良いマントをはためかせる。
風は三つの色に染まり、ロロの手中へ集まっていった。
「余に攻撃力を貸し与えたまえー」
文句に対してなんとも穏やかな掛け声であったが、顕現せし魔力の塊はとてつもなく派手なエフェクトで剣を生み出していく。
鬼に金棒、王子に剣。約束された勝利を握りしめ少年は天空を仰いだ。
気のせいか、上から降って来る予定のドラゴンポポゥリン達も若干怯えている。
多分だが食べられたくないのかもしれない。
「豪快に切り裂けば、何体かには運よく弱点に当たるかもしれぬしな」
しかしそんな事はお構いなし。緩やかな初動から、一気に剣を空へ振り抜く。
ゆるさとはかけ離れた音をかまして三属性合体の斬撃がぽよん達を軽快にふっ飛ばした。
突然の緩さからの脱却に驚くスライム達であったが、今の衝撃でようやっと己等の責務を思い出す。
食われる前にやらねばならない。これが宿命、われらがさだめ。
何の前触れもなく空中浮遊しだした相手に動じてはならない。聖戦は始まっているのだ。
かくごせよーと言わんばかりに竜の軍勢は束になって剛速球の如く襲いかかる。
その効果音を正確に伝えるならぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ、と。勢いは大変良い。
一方猟兵側もプリンス衣装を存分に空中で映えさせ、華麗なターンでカチもっちりの滝を回避した。
「ふふふ、しかし先ほどの攻撃で少しは鱗も傷ついたであろう」
流石王子様弱点を突くことも忘れない。ぽよんを避けては剣を突き立て、うっかりぽこられてもすぐに反撃して着実に数を減らしていく。
すると怒った緑ぽよ達が空中で集合して協力し一つの形を作り出した。
その様、ぱっと見巨大ドラゴンポポゥリンに見えなくもない。
「成程あれが帝竜であるな」
これぞお伽噺の最終決戦。少年は剣を手にドラゴンへと飛び込んで……。
双方緩めの衝突音を響かせた後、緑のでかまんまるが盛大に弾けて飛んでった。
「おおー煌めく宝石。これが竜胆石であるな」
三色の魔法と緑が消え、残った彩を確りと掌に収める。
かくしてロロは見事ドラゴンを退治したのであった。
「戦役に参加した証として持ち帰るとしようー」
お土産もばっちり。
成功
🔵🔵🔴
メーメ・ドゥーズ
あらあら大変、ずいぶんたくさん増えてしまったのね?
物語の中のスライムにそっくりだわ
って、こっちが本物なのだから当たり前よね
【アリスナイトイマジネイション】使用
「大きなホタテの殻を傘にすれば、雨が降ってもスライムが降ってもきっと安心ね」
貝殻を散りばめた無敵のアーマードレスを想像から創造して防御力を上げるわ
メーメも「外はかりっと、中はもちっと」になれるのよ
ふふっ、メーメとポポゥリンさんたち、敵同士じゃなければお友達になれたかもしれないわね?
降ってくるのをやり過ごしたら、今度はこちらの番よ
三叉槍にしたフォークで【乱れ撃ち】
手数の多さが自慢なの!
竜胆石は売らずに持ち帰り
だってとっても綺麗なんだもの!
●かもしれなかったぽよ
あっちこっちで、ぽよぽよかちっぽよ。
空から湧き出たもっさりは、平野にどっさり降り注ぐ。
「あらあら大変、ずいぶんたくさん増えてしまったのね?」
緑スライムな雨の中、ふわっと言葉を発したのは澄んだ色した不定形。
可憐な少女の身体とぷかぷかの頭を揺らしてメーメ・ドゥーズ(まひるの月・f26566)が酸素の海を歩いていく。
「物語の中のスライムにそっくりだわ」
見上げて視えた感想告げると、ぷくり柔らかそうな頭の中で気泡が踊る。
そのまま彼女の中から飛び出して、シャボン玉っぽく空気へ浮かんで小さく弾けた。
声も、同じような所から聞こえてくる。
「って、こっちが本物なのだから当たり前よね」
海月の頂が何度か上下する。独り言と、頷きがあって。
ちゃぷりぷかりと足及び触手のような部位が動いたら、落ちてた緑のまるい形に近づいていた。
お互いの身体に、相手の色と姿が綺麗に映る。
片やスライム、片や動く水……の精霊。
なんとなく親近感を抱いても、敵同士なら倒さねばならない。
そして相手はあの数で、これから自分めがけても雨のように降ってくる。
だったらと透き通る人差し指を、そっと少女は立ててみた。
「大きなホタテの殻を傘にすれば、雨が降ってもスライムが降ってもきっと安心ね」
御伽噺を読むように、夢のような提案一つ。
そんな簡単な話があるものか、けれども彼女が想像豊かなアリスだったなら如何だろう?
忽ち魔法がメーメの夢を現実に、想像の奇跡が無敵の鎧を創造する。
ソーダの海から貝殻沢山喚び出して、まひるの月を護れと集まる。
更に年頃の少女ならばと綺麗に並んで模様を描く。
真珠層の輝きあしらえば、プリズム可愛い最高のドレスが出来上がり。
「メーメも『外はかりっと、中はもちっと』になれるのよ」
これが彼女の鱗とばかりにくるりと一回転。連なる貝の音色もきれい。
敵意も忘れて拍手代わりの上下運動ぽよぽよ繰り出すスライム達を見て、海のお姫さまが楽しく揺らいだ。
「ふふっ、メーメとポポゥリンさんたち、敵同士じゃなければお友達になれたかもしれないわね?」
そう言えばそうだったと、今更思い出した敵達がいそいそ一斉に飛びかかる。
だけども既に対策ばっちり。豪雨も正面からの体当たりすら、ぽいんと低反発に弾いてみせて。
怒涛のもち雨やり過ごしたら、防御はおしまい狙い時だ。
「今度はこちらの番よ」
海のアリスナイトが手にするのはとっても綺麗なシルバーフォーク。
力を願えば急成長、海神と同じ三叉槍に大変身して準備完了いざ攻勢へ。
「手数の多さが自慢なの!」
明るい声と一緒に飛び出し、落ちきったドラゴンポポゥリンの海へダイブする。
一匹華麗に突き刺して、今度は触手が槍を真後ろに運ぶ。
沢山の手が全方位に矛先向けさせ無駄なく急所を狙い撃ち。
更にお互いもちっとするものだから、時たまぽよんと気の抜けた効果音が響いたりして。
くらげの少女は緑の海を軽やかに泳いでいく。
ぽんと一匹やっつけて、出てきた宝物を透明な手が掴み取る。
竜胆色の宝石は売らずに持ち帰ると最初から決めていた。
「だってとっても綺麗なんだもの!」
あっちこっちで大暴れ。
緑の大群は猟兵達の猛攻に、かりっとぽよんと討ち倒されて減っていく。
そうしてどっさりなお掃除が終わったのならば。
穏やかな風が吹く平野に沢山の竜胆石がキラキラ綺麗に輝いていた。
成功
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