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しょっぱい話もあったもんだ

#アポカリプスヘル #真面目な方のみみずね


●メシマズではやってられないよなぁ
「不味い。まずいぞ、これは」
 もそもそ。物資の少ないアポカリプス・ヘル。食事はいつも以上に切り詰められている。
「味気ねぇ」
「それな」
「ちょっとでいいから塩味が欲しい」
「わかる」
「おれさ、こどもにゃあ美味いもん食わせてやりてぇよ」
「ほんそれ」

 不毛な会話。
 いや、正しくは全くの不毛ではない。生まれてくる子どもに少しでも食料を残したいと切り詰めたからこそ、いま彼らの食事は貧しく、まずい。
 ……塩っけのない食事、不味いなぁ……。

●そこに海があるじゃろ?
「塩が全くない食卓を経験したことのあるやつ」
 いるか?
 ぐるりと見渡す。えっ、いない? いる?
「いや、別に手ぇ挙げてくれってんじゃない。想像してみてくれたら結構。それで充分だ。ありがとな」
 エリオスは軽くウィンクを飛ばしてみせる。あっ、引かないで、引かないで。ちょっとした冗談だってば。

「えー、本題な。アポカリプスヘルでは慢性的に物資が不足してる、って話はまぁ、大体みんな知ってると思う。なんてったって俺たちが運べるのは猟兵とその付属品程度のちょっとしたモンだけだからな」
 それ以上の物を持ち込もうとすればオブリビオン・ストームが発生し物資がどうこう以前の災害を引き起こしてしまう。故に、かの世界への支援はいつも限られている、というわけだ。
 し、か、し〜〜〜? そう、『しかし』だ。
 ここに、ちょっとした例外があるとする。
「オブリビオン・ストームが起きても構わねぇっていう都合のいい場所があったらどうだ?」
 他世界から持ち込んだ物資を積んでおける場所があるとしたら?

 地図でいうと、こう。と示してみせる。物資を必要としてる人間がいるベースからはそこそこ離れたところに海岸があり、エリオスが示したのは海岸とベースの中間地点。ここを集合地点とすれば、物資を持ち込んだ猟兵たちがオブリビオン・ストームに対処できる。もちろん人々にも害はない、というわけだ。
 海岸付近には時々資源を求めてくる者もいるが、今回は予告してあるから被害が出そうな範囲に近付くものはいない。
 まずはこの海で……。
「塩造りだ!」
 塩……をつくる?
「近辺の居住区で塩が不足してるんだってよ。こいつは割と死活問題だ。最初っから塩持ってくるのは簡単だが、今回は塩田がすでにある。だがさっきも言ったとおりベースからはそれなりに距離もある。どうにも危険なもんで、現地の連中が管理しきれてない。そこを手伝ってやってほしいんだ」
 そう、つまり塩が無いなら作ればいいじゃない!
 資材を持ち込んで、塩田を整備する。あとは楽しい労働のお時間だ。力仕事が得意なやつ歓迎。知識があるやつはみんなに教えてやってくれ。その他の方法でもまぁ、塩が取れればなんでもいいや!
「で、作った塩と持ち込んだ資材もなんならついでに担いでベースまでの小旅行だ。このタイミングでオブリビオン・ストームを呼び寄せる」
 塩田に被害が出ない程度に遠ざかり、なおかつベースからも距離をとった中間地点。思う存分暴れてくれて構わない。

 とはいえ、そう簡単にはいかせてくれないだろう。なにせ奴らも物資を欲しがっている。
「相手は元は強盗団をやってた集団らしい。集団丸ごとオブリビオンになってるが、昔の記憶のまま、こっちの物資を奪いにくる。念のため先に言っとくが、見た目はかわいい女の子たちだ。だからって、哀れんで塩を分けたりするなよ」
 所詮向こうはオブリビオン。殲滅戦を予定している。

「あとは、たぶんいつも通りだ。無事に物資を守りきれたら、ベースの連中に配ってやってくれ。もしかしたらちょっとしたトラブルはあるかも知れないが……まぁ、お前らなら平気だろ」
 最後になって突然の投げっぱなし!!
「そんなわけで、あとはよろしくな」
 納得いったかいってないかを確認せず、エリオスはグリモアを起動した。


みみずね
 初めまして、あるいはまたお会いしましたねこんにちは。駆け出しMSのみみずねと申します。

 ご覧の通り、今回のシナリオは雰囲気ゆるめな予定になっております。

 一章の受付開始はオープニング公開直後から。
 二章以降もおおむね書き終わったタイミングになると思われます。気分屋で申し訳ない。あまりお待たせしないようにしていますが、体調次第ではギリギリまでお預かりするかもしれません。

●第一章
 塩を手に入れられれば何でもおっけーです。

●第二章
 作った塩を運びましょう。集団戦が発生します。
 彼女らは元は略奪者集団でしたが、探索中にオブリビオン・ストームに飲まれたのか、今では強盗団丸ごとがオブリビオンです。略奪者だった頃の記憶を頼りに物資を狙ってきます。守りきってください。

●第三章
 ベースに到着します。(する予定です)
 物資があればいいという状況ばかりではないですね。次の世代へ、希望を託しましょう。
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第1章 冒険 『嘗て財ですらあったもの』

POW   :    兎にも角にも力仕事だ!

SPD   :    組んだりなんなり教えたり!

WIZ   :    魔力とかでずるしても早く塩がとれるならよし!

👑11
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 雨は滅多に降らないからサァ。
 塩つくるにゃあもってこい。だがこんなに雨が降らないと、干からびて死んじまいそうだ。
 もうちょっと前にはもっと作れてたんだ。人手もあったしよ。そんで塩があれば他の食いもんとも交換出来ててよ。
 ああ、愚痴言っても仕方ねぇナァ。

 ……よし。仕事しよ。
ベム・クラーク
アドリブ連携大歓迎です。
塩分ですかー生身は大変ですね、力仕事は任せてください!
武器腕にシャベルなどのアタッチメントをつけて海水を溜める田んぼを作ったあと、田んぼに海水が降り注ぐように海からフルバースト・マキシマム!
「一気に行きます!塩田づくりは火力!」
広範囲に海水を降り注がせて塩田完成。仲間にも降り注いだのは計算外、衝撃で浮いてきた魚がいたら持って謝りに行きましょう。
あとは天日にさらして乾いたらフルバースト・マキシマム!を繰り返して海水を濃縮して塩の出来上がり。
「晴れ続きのおかげでよく乾いてくれました。」びしょ濡れの仲間からはカメラアイをそらしておきます。



●大変だったら大変だ
「塩分ですかー」
「塩分なんですよぉ……」
 よろよろ。この海岸で働いているという中年男性(仮称スミス氏)が力なく答える。

 そのスミス氏(仮)に、「生身は大変ですね」などとつぶやくのは彼、ベム・クラーク(ウォーマシンの鎧装騎兵・f27033)。ウォーマシンであるベムは100%無機物であり、生身の生物とは違ってバランスのとれた栄養摂取とは縁遠い。
 しかしベムがどうあれ、人々は塩がないと困るのだ。干からびかけたスミス氏だって汗もかけない。
「お手伝い願えますか?」
「力仕事は任せてください!」
 ベムはその紫色のボディにアタッチメントを次々と装着する。まず必要なのは塩田の基礎の部分、つまり田んぼになる地面だ。いくら海水を撒いても、地面に吸い込まれてしまっては意味がない。だから最初に塩を吸わない層を作らねばならないのだ。
 ガチャリ、カチャリ。装備したアタッチメントはシャベルと鋤。
「危ないのでどいてくださいねー!」
 一応、周囲に注意を促しておく。巻き込まれたら悲惨なんてものじゃないですから。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。
 ドドドドドドドドド。

 工事現場の重機がごとく。いや実際その大きさは280cm超の巨体。あっという間に地面を掘り起こし、更には均していく。
 ふう。これで準備は万端ですね。

 呆気にとられる周囲(スミス氏(仮)含む)には目もくれず、ベムはざぶざぶ海に入っていく。
「一気に行きます! 塩田づくりは火力!」
『え、ちょっと待って』
 誰かが止めた気がしたが当然間に合わない!
 海の中から塩田に向けて、フルバースト・マキシマム!! 装備している武装全てから放つ圧倒的パワー、すなわち圧倒的火力!

 バババババババババババ!!!!(弾ける海水)(空飛ぶ魚)

 いやー、完璧ですね。本日はお日柄も良く、天日干しにはちょうどいい乾燥具合。広範囲に海水も撒かれて……完全な火力による塩田の完成です。
 あとはこれを繰り返せば、塩も結晶化するでしょう。きらきらとした水晶のような見た目はベムの好む宝石にも似て。
「さあ行きますよ!」

 フルバースト・マキシマム!
「あの」
 フルバースト・マキシマム!!
「ちょ水が」
 フルバースト・マキシマム!!!
「みずぶぇぁ」
 フルバースト・……

「いやー、晴れ続きのおかげでよく乾いてくれました」
「ええ、まあ……」
 まあ確かに、海水はよく乾きました。
 代わりに作業をしていた人々(特にスミス氏(仮))がびしょ濡れですが……?

「……いやぁ、生身のみなさんは大変ですね……」
 そっと現実からカメラアイを逸らすベムであった。
 ※びしょ濡れになったみなさんにはあとで、攻撃の衝撃で浮いてきた魚をお詫びとして差し上げました

成功 🔵​🔵​🔴​

星野・祐一
塩…お塩かぁ
ポピュラーな調味料だし、よくお世話になってるけどさ
こうして自分の手で造る事になるとは思わなかったぜ

んじゃ、まずは海から水を汲んでくっか
数個持ってきたポリタンクに海水を入れてくぜー
…この作業、意外とキツいぞ…
詰めたタンクをリヤカーに載っけたらテスタロッサで運搬な

運んだ海水をフィルターで濾過して大鍋に移したら
火を炊いて煮詰めるぜ
…暑さでシンドくなってきたな…
結晶が出てきたら大釜に移してさらに炊きつめようか
完全に水気がなくなったら完成だ!

いやー、自分の手で作ると感動がひとしおだな!
ま、この方法だと対した量できないから何度もやらなきゃなんだが
…さーて、次のタンクを開けようか!

アドリブ等歓迎



●ぐつぐつ、ぐつぐつ
 塩……お塩かぁ。
 ふむ。改めて考えてみると、ポピュラーな調味料だし、よくお世話になってるけど。けどさ。
 まさかこうして自分の手で造ることになるとは思わなかったぜ。
 ここは物資切り詰めるアポカリプスヘル。どんなにポピュラーな調味料だって、労働無くしては手に入らないのだ。
 そんな今更すぎる、当然の事実を噛みしめるのは、さっそうとバイクから降りた星野・祐一(スペースノイドのブラスターガンナー・f17856)。

「んじゃ、まずは海から水を汲んでくっか」
 よいせと荷台からおろしたのは持ち込んだポリタンク。かぽ、かぽ。結構大きい。これを数個、持ってきてあるのだが……。
 ……とぷとぷとぷとぷ。ちゃぷん。とぷとぷとぷとぷ、ちゃぷん。
「……この作業、意外とキツイぞ……」
 海水をタンクに掬う。満杯になるまでしっかりいれる。するともちろんタンクは重い。立てるとゴトッと音がするのだ。一掬い、また一掬い。
 見た目は地味な割にこの作業、腰にくるな?

 ともあれタンクはいっぱいに。これを人力で運ぶとなると流石に祐一の体力がもたない。そこで愛機の登場だ。両親の形見でもある真紅の宇宙バイク、テスタロッサは頼りになる。リヤカーに全部載っけて、あとは牽引して運べばいい。

「よしっ」
 テスタロッサのご機嫌もバッチリ。運んできた海水をポリタンクから大きな容器に空けていく。これの容器はフィルター付きで、入れる端から次の工程の大鍋へ水が流れ込むようになっている。鍋で充分に熱したら次は大釜へ、という仕組みだ。
(まるで魔女の釜だな……)
 人がすっぽりと入りそうな鍋釜にそんな感想を抱きながら、祐一はせっせと火を焚いて中身を煮詰めていく。火の前での長時間作業は、控え目に言ってつらい。
「……暑さでシンドくなってきたな……」
 とりあえず上着を脱いで、火を煽いでいたうちわで己を扇ぐも、もわっとした熱気が顔にかかるばかり。
 うわシンドい。
 見ればそろそろ次の工程に入っても良さそうだ。ところどころに結晶化してきたのが見える。

 ……ぐつぐつ。ぐつぐつ。
 しばらく経って。

 完全に水気が飛んで、塩だけになったら完成!
 うーん、と伸びをしてちょっとした感慨に浸る。
「いやー、自分の手で作ると感動がひとしおだな!」
 しおだけに? 余計なお世話!!

「ま、この方法だと対した量できないから何度もやらなきゃなんだが」
 はあ。鍋の底にこびりついた塩の塊を指先で拭う。あれだけ必死こいて水を汲んで、苦労して暑い思いもして、やっとこれだけ。
 昔の人が塩を貴重品扱いした理由も、少し分かった気がする。

 ま、それはさておき。一休みもしたところだ。
「……さーて、次のタンクを開けようか!」
 まだまだ、やる気は残っている。どんどん塩を作って、送り届けてやらなきゃな。
 祐一はもう一度、火の前で腕まくりをした。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
心情
皆さんが生き抜いて
未来へ進んでいただく為に
何としてもお力になりたいです
;手を繋ぐ&鼓舞&優しさ&恩返し

手段
ここはマジックナイトの腕前の見せ所ですね

予め海岸に広めのシートを敷き
水の魔力を使い
大きな海水の塊をその上空へ

空中できらきら輝くその海を
更に水の魔力で霧状に変化させ
そこに温風(炎&風の魔力)を優しく吹きかけて
水分だけを蒸発
;早業&見切りで繊細な操作

するとほら
塩分は勿論
ミネラルたっぷりの白い欠片が
はらはらとシートの上に落ちてきますよ

まだまだ大変な世界ではありますけれども
美味しいものを食べれば
それは明日への活力に
未来の礎になりますよね

皆さんの笑顔を想像したら
何だかとても楽しくなってきました♪



●美味しく楽しい食卓のために
 海は広いなおおきいな。そこのけそこのけ猫がゆく。
 もとい、ケットシーが征く。

 海辺に佇むは黒猫の騎士、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)。こんなに海は広いのに、そこから人々が手に入れている資源はあまりに少ない。それもこれも、この世界あまりに厳しい世界だからだ。
 どうか、皆さんが明日を生き抜いてくれますように。未来へ進んめますように。ほんのわずかでも、そのお手伝いができますように。
 そんな思いを胸に抱きながら、仄々は改めて塩田へと向き合う。

 海岸には予め、広めのシートを敷いておきましょう。
 さあ。
「ここからは、マジックナイトの腕前の見せ所ですね」
 仄々の得意な三種類の属性魔法の合わせ技、篤とご覧あれ!

 まずは水の魔力。海と親和性の高いこの力で、海からたっぷりと水を持ってきましょう。たぷん、とぷん。大きな水の塊をシートの上空へ。
 空中できらきら輝く小さな海。魔力がこの海をもっともっと粒子の細かい霧に変えていきます。これは、水を蒸発させやすくするためのひと工夫。
 そして、霧にした海水には炎と風の魔力で温風を優しく吹きかけて……(もちろん、海水が飛んでいってしまわないように、細心の注意を払って!)。
 海水から水分が蒸発すれば、塩分だけじゃなく、ミネラルたっぷりの白い塩の結晶がはらはらと落ちていきます。狙い通りシートの上にさらさら、さらさら。雪のように真っ白な、塩の小山。

 ここは物資の乏しいアポカリプスヘル。
 まだまだ大変な世界ではありますけれども、このお塩で美味しいものを食べれば、きっとそれは明日への活力に。ひいては未来の礎になりますよね。

 このお塩、どんな人の食卓に並ぶのでしょう。どんなお食事になるのでしょう。美味しい、と笑ってくれるでしょうか。
「皆さんの笑顔を想像したら、何だかとても楽しくなってきました♪ 」
 ご機嫌に尻尾を揺らした仄々は、再び海のほうへと向き直る。水の魔法に集中しましょう。
 あと何度か繰り返せば、たっぷりの塩が取れるでしょう。塩分もミネラルも、ご飯と健康には欠かせないものですが、それ以上に、人々には笑顔が似合うというもの。
 それを想像しながらの作業は、繊細な魔力の調整に気を使いながらでも、全く苦ではないのでした。

成功 🔵​🔵​🔴​

スニッカ・カードルタン
まーネ、こういう作業は『自動化』するのがキモよ。
というワケで!まずはコレ(うごめく鉄大釜出し)
つづいてコレ(おとぎの国のロングシップ出し)

はーいじゃ船員トロール共ぉ、船に積んだタルを海水で満パンにしてこい!
……とまぁこうして送り出したトロール共が帰ってき次第、鉄大釜に海水を入れさせる。で、釜クンは自分で自身を加熱する火を起こして管理したり、かき回したりできる。のこった塩だって自力で掻き出せる。つまりパーペキに自動化できるってこったネ。
さーて、そうなったら後はサボらないように見張っておけば万事OK……
ってコラァさぼるなトロール共ぉ!(威力調節した月牙トバしておしおき)



●お塩製作、パーペキフルオート!
 ざっぱーん。波打ち際。さて、どうするか。
「まーネ、こういう作業は『自動化』するのがキモよ」
 クキキ、と笑う少女はスニッカ・カードルタン(“嗤い月”の魔女・f26922)。
「はあ、なるほど」「自動化」
 分かってるような分かってないような相槌をうつのは塩田の管理人、よぼよぼの老人Aと老人B。
 チッチッチ。分かってないなら見せるしかあるまい。
「というワケで! まずはコレ!」
 どん!
 最初に取りい出したるはこちら、うごめく鉄大釜。
「なんて???」
 老人A、うかつに近づかないほうがいいよ。手足生えてるし。動くし。実際知能もあるらしい。うわ、さっそく準備始めてる。

「つづいてコレ」
 次に出てきたのはおとぎの国のロングシップ。ガラスのボトルからポン! トロールの船員たちも乗ってます。
 あー、いますねいっぱい。トロールたち。
 あ、老人Bは避けてたほうが良さそうですね。

「はーいじゃ船員トロール共ぉ、船に積んだタルを海水で満パンにしてこい!」
 はいほー、キャプテン!
 トロールたちはスニッカの支持に従ってざぶんと海へと船を出す。ロングシップのいいところは持ち運びが簡単なところ。あっという間に海に出て、タルいっぱいに海水を汲んできます。

「さ、準備はできてるね?」
 スニッカは鉄大釜に視線を寄越す。
 もちろんばっちりですとも。

 しばらくして、トロールたちが海水たっぷりのタルを載せて帰ってくる。さあ製塩の始まりだ。
 この釜クンは自分で自身を加熱する火を起こして管理したり、かき回したりできる。のこった塩だって自力で掻き出せる。つまりパーペキに自動化できるってこったネ。
「ほー」「ははー」
 これたぶん、相変わらず目の前で何が起きてるか分かってないな、老人AとB。

 そりゃそうだろう。ボトルシップかと思ったらトロール船員付きの船が出てくる。大釜は手足が生えてて自分で中身をぐるぐる混ぜてる。海水の入ったタルを持ったトロールは船と鉄大釜、それと出来た塩を入れる壺を行ったり来たり……。
 いや、なんかよく見ると船の影でスヤァしてるトロールもいますね?
「ってコラァさぼるなトロール共ぉ!」
 こっそり昼寝をしていたトロールに向かってスニッカが杖を振ると、見えない刃が飛んでくる。
『ギャン!!』
 大丈夫、加減はちゃんとしている。
「まったく、油断も隙もない」
 全自動とはいえ、こればっかりは現場監督スニッカちゃんのお仕事だ。サボり癖のトロールは困りものだが、概ね順調と言えるだろう。
 やはり合理化、自動化こそ正義。
 スニッカは満足げに働く彼らを見守るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セツリ・ミナカタ
塩気のない食事、か…それは悲しい
(あまり表情は動かないが、心持ち眉を下げて)
子供たちの為であるなら尚更に
このセツリ、最大限に力を貸そう

ただ私は山の民だ、塩の作り方にはあまり詳しくなくてな…
先ずは管理人殿や猟兵の先達方の手順をよく観察して学ばせていただく
ふむ。塩水を、ふむふむ。乾かせば、ふむふむふむ。

管理人殿、今は使っていない塩田があるだろうか
皆さんの作業場からできれば離れた場所で、お借りしてもよいか?
田の際、海に向かって仁王立ちし、深呼吸一つ
「一の焔(アグニ)!」
…をどぱーんと海面に突っ込む

衝撃で大量の海水が田んぼに降る

炎を少し追加して乾かす

うむ。これでどうだろうか?
(心持ち満足げに)



●魔ではなく海を焼け
 波打ち際。虎眼石の瞳が彼方を見つめている。彼女はセツリ・ミナカタ(シャトヤンシー・f27093)。塩分のない食事……それはどんなにか悲しいものだろう、と思いを馳せる。
 普段からあまり感情の表に出ないセツリだが、どこか悲しげに眉が下がっているようにも見えた。
 
 味気のない食卓なんて悲しいことだ。それが子供たちの為であるなら尚更に。なんと切ないことだ。
「このセツリ、最大限に力を貸そう」
 ほんの少し和らいだ表情で、セツリは話しかける。そこにいた男。中年と言うには年が過ぎた、しかし老人とも言い難いその男性は、この塩田の管理もしているという。セツリに言葉に管理人氏は何度も礼を言った。
「うん、感謝してくれるのはいいんだが、実は、その」
 セツリは言葉に詰まる。まず何をすればいいのか、彼らから聞いておかなくてはならない。
「私は山の民だ、塩の作り方にはあまり詳しくなくてな……」
 山でも岩塩というものが取れる場所がある。だが海にはそれはない。海には海なりの塩の作り方があるはずだ。
 なるほどなるほど、と管理人氏は頷く。
「では、まず見ていかれるといい」
 管理人は他の作業している者たちを示す。塩田に元からいた者たちも、猟兵たちもいる。やり方はそれぞれだが、概ね共通していることは『海水を』『熱して乾かす』ことのようだ。
「ふむ。」「ふむふむ……」
 分かった気がする。

「管理人殿、今は使っていない塩田はあるだろうか?」
「ええ、働き手もずいぶん減ってしまいましたのでな……手入れも行き届かずに困っていたところです」
 それはちょうどいい。
「皆さんの作業場からできれば離れた場所で、お借りしてもよいか?」
 もちろん、と答えが返ってくる。

 ……よし。
 管理人の見守る中、セツリは塩田に仁王立ちする。
 すう、と深呼吸をひとつして、放つ。

 ──アグニ!
「【一の焔】!」

 どっ……っっっぱーーーん!!!!
 海面に放たれた焔が、衝撃で海水を塩田へと運ぶ。ざあと雨のように降った海水を、今度は慎重に火力を調整して熱する。
 貴石を使っての作業だ。ミスはない。(あってはならない)。

「……うむ」
 作業が一段落して、改めて管理人氏に向き直るセツリ。
「これでどうだろうか」
 大の大の大満足だ、と喜んで応える管理人にも、セツリの表情はわずか、満足そうに見えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

久遠・翔
アドリブ絡み歓迎



塩はある意味人間が生きていく中で必要な物っすからね
しっかり確保しないと…

選択UCを使用して使役獣達を召喚して人手を確保
全員多種な女の子や美女?気にしないでください…何でかそのタイプに懐かれたんで
UCレプリカクラフトで作った大釜でフィルターでろ過した海の水を熱してUC高速建築で塩田の元になる基礎を作ります

海の水のろ過と運搬は使役獣に任せ複数の大釜でどんどん煮詰め塩田に投入していきます
残りの使役獣は釣りや素潜りで魚や海藻、貝類の確保を指示
燻製にしたり石鹸にしたり肥料にしたりと万能っすからねー

と、いうか流石に100人単位でやると壮観っすねー

…いや、これで一部なんっすよねー…マジで(汗



●塩を作ってるだけだ、本当だよ
 塩。またの名を塩分。それは人間が生きていくのに不可欠な栄養素のひとつである。
「塩はある意味人間が生きていく中で必要な物っすからね」
 塩田を見渡している彼女……いや彼……いや彼女にしか見えないが……ひとまず本人の希望を汲んで彼と呼ぼう。彼の名は久遠・翔(性別迷子・f00042)。
「そうっスね」
 そして翔の言葉に相槌をうつのは現地で働く青年(なんと、塩田では若者は珍しい!)リンクス氏。
「しっかり確保しないと……」
「助かるっス」
 物資も人手も足りていないこのアポカリプスヘル。人手は一人でも多くほしいのだと、リンクス氏は礼を言う。
 ひとり?
「誰がひとりって言った?」

 ユーベルコード【使役獣召喚】

「?」
 右を見て、愛らしい美少女。
「?????」
 左を見て、むちむちぷりんの美女。
「あの、翔、さん。いえ久遠、さん??」
 混乱するリンクス氏。一歩引いてる。翔は気にしていない様子だが。
「あ、気にしないでください……なんでかそのタイプに懐かれたんで」
「そのタイプって何っスかぁあああ!!!??」
 嗚呼、ここは物資も人も衰えるアポカリプスヘル(二度目)。美人美女に恵まれるものだって多くはない。いや、はっきり言って皆無に近い。そのタイプもあのタイプもそこらにほいほいとはいないのだ。

 何と言われても懐かれてしまったものは懐かれてしまったのだ。使役獣を選べるならこういうときはもっと力のあるものを使役したいものだが、残念ながらそういう仕組みではない。
 手分けして塩田の基礎を作り上げ、フィルターを用意し、ろ過した海水を大釜で熱しては運び……。
 また別のグループは釣りや素潜りで魚や海藻、貝類の確保を指示されて海へ向かった。
「燻製にしたり石鹸にしたり肥料にしたりと万能っすからねー」
「そうっスか……そこまで考えてくれるなんて、ありがてぇっス……」
 ぐすっぐすっと嘆きながらも女の子に混ざって働くリンクス氏。偉いぞ。
「てか……すごい人数っスね」
 だがリンクス氏、自ら地雷を踏んだことには気付かない。翔も辺りを見回してうんうん、と頷く。
「流石に100人単位でやると壮観っすねー」
 えっ。そりゃ、「えっ」ってなりますよ普通。
「ひゃくにんもいるんスか?!」
 そしてその言葉に素直に答えてしまう翔。
「……いや、これで一部なんっすよねー……マジで」
 あはは、いや困るよなホントうじゃうじゃと。あんま近寄らないでほしい。
「久遠サン……アンタ……アンタってひとは……」
 素直。あまりに素直な恩人の言葉に泣き崩れた青年を慰める術を、翔はまだ知らない……。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『少女強盗団』

POW   :    「一斉に掛かれ!」「囲め囲めー!」
【手作りや拾い物の雑多な武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    「1班、2班で抑えろ!3班は回り込め!」
レベルm半径内の、自分に気づいていない敵を【メンバーの誰かのナイフ】で攻撃する際、ほぼ必ず狙った部位に命中する。
WIZ   :    「おい、アレ出せ!」「は、はいっ!」
自身の身長の2倍の【車高の、履帯と砲塔を備えた戦車】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
👑11
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●取り合いだ盗り合いだ!
 さても目的の塩を大量に手に入れた各々の猟兵たちは指示された合流地点へと向かう。急がなければ、オブリビオン・ストームに一般人が巻き込まれてしまう。
「どうぞご無事で」
 そう言って送りだしてくれた者たちもあっただろう。君たちはたくさんの物資を載せてベースへと移動を開始した。彼らの生活拠点へこれらが届けば、助かるいのちもあるだろう。明日を生きる希望を持ち直すものも出るだろう。

 そして、移動することしばし。合流地点に無事到着した頃合い、まさにその時。
 さあ、巻き起こるオブリビオン・ストーム。この世界で一番恐ろしい、世界を一度は滅ぼしかけた災害!!
 そして君たちの前に……

「ちょっと待ったーーー!!!」
 戦車から顔を出して来たのはポニテの女の子。
「その物資、アタシたちがいただくよ!」
 言葉を続けたのはツインテのかわいい子。
 いやいや、いちいち観察している場合じゃない。もっといる。彼女たちは少女でありながらオブリビオンであり強盗団。君たちが抱える大量の物資を奪いにやってきたのだ。

 さあ、戦うがいい猟兵たち。君たちは正しく未来へとこの荷物を送り届けなければならない。


▼マスターより
 集団戦です。強盗団は荷物を狙ってきます。いい感じに守りながら戦ってください。
 護衛のために送られてきた、実は最初からいた等、様々な理由があるでしょう。この章からの参加ももちろん可能です。
箒星・仄々
心情
皆さんが今を活き活きと生きて
未来へと進んでいただく為の大切なもの
護り抜きますよ

それに強盗団の皆さんはOストームの犠牲者です
せめて倒すことで海へ還してさしあげたいです

手段
魔法の迷彩で姿を隠し
戦車の側方や後方に位置取ります

見つかった場合は
動き回って狙いをつけさせないよう残像&見切りや
魔法で加速して回避したり
魔法の盾で防御

砲塔は急な動きには対応しづらい筈

側方/後方から魔法の矢

風の魔力を地面に打ち込み砂煙の煙幕
衝撃波で地面を砕き行動を阻害

砲塔やエンジンへ炎を放ち誘爆
履帯を高熱で焼き切る

放物状に撃ちだした水の魔力の五月雨で
上部の薄い装甲を串刺しに

戦闘後は少女強盗団の安らぎを願いリートを奏でます



● 騎士 の 祈り
 目の前に現れたのはまだ幼くも見える少女たち。けれど、物資を奪われるわけにはいかない。これは皆さんが今を活き活きと生きて、未来へと進んでいただく為の大切なもの。
「……護り抜きますよ」
 ひとつうなずいて、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は一歩前へ出る。

「おいっ、準備しろって、早くはやく!!」
 少女たちが互いに声をかけて大型戦車を動かしている。よし、今ですね。
「……あ?」
 間抜けな声。もとい、気の抜けた声が通信にのって飛び交う。
『ねぇお頭ーーーーっ! あの猫消えましたー!!』
『消えるわけねぇだろバカ!!! せめて見失ったって言え!』
 こっそり、ひっそり。戦車の支度に気を取られている間に、仄々は隠密の魔法で姿を消していたのです。こうやって、戦車の砲塔が向いていない側面に回りんで……。
 風の魔法で砂塵を巻き上げる。
『ギャッ!』
 ついで、魔法の矢を撃ち込んでいく!!
『敵襲! 敵襲! 三時の方向!!』
 衝撃でようやく仄々のいる方向を察した少女たちは慌てて頭を引っ込めて、砲塔を回転させようとする。しかし巻き上げられた砂塵で、仄々の姿を捉えることは容易ではない。それどころか、
「うわっ、待って待って!」
 キュルキュル、キュルキュル。衝撃波で地面が抉られたことで、履帯が空転している。
 動けないでいるところにさらに炎の魔法で追い打ちをかける。履帯を焼き切り、砲塔は圧し曲がった。もはや身動きは出来ない。
『頭ァ、七班戦闘続行不可能でさぁ!』
(……)
 仄々は放射状に放った水の魔法で戦車に狙いを定める。
「降れ、五月雨」
 言葉と同時。動けなくなった戦車の上部、装甲の薄い場所を静かな雨が穿いていく。

 さらり、戦車は少女たちを閉じ込めたまま、砂塵とともに跡形もなく消え失せていく。残ったのは局地的な雨の跡。乾いた大地に久しぶりの水分がじわりと染みて、そしてすぐに吸い込まれていく。
 仄々は、思う。彼女たちはすでに過去ではあったけれど、被害者でもある。せめて、骸の海へ還すことで安らかな眠りを願いたい……。

 ぽ ろん。ぽろろ ん。
 奏でるのはリート。少女たちの安らぎを祈って、ケットシーの騎士が奏でる優しさの音色。

 その音は、遠く、高く。彼女たちの故郷へ繋がる空へと溶けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベム・クラーク
アドリブ連携歓迎です!

「えー…質問ですが、オブリビオンも塩分が必要なんですか?…オブリビオンなのに?」
あと、ウォーマシン相手にその武器は無いんじゃないかとか気になりますし、世界を脅かす云々はどこにいったのかと、問い詰めたい気分がチラリ。

「スミスさん(仮)たちは物資の護衛を。急いで殲滅しましょう。…魚、傷みますし。」
捕れたての魚も心配です。

敵が物資に近づかないようにマシンガンでけん制、ミサイルで撃破し、戦車には砲撃を撃ち込みます。
攻撃は重装甲で凌いで、味方に近づいた敵は、物資に当たらないように【ヘッドショット】で援護射撃をして物資ごと守ります。

さあ、ベースに帰って好きなだけ塩を補給してください。



「えー」
 ひとつ、気になるので訊いてしまうんですが。
 と挙手(?)をするベム・クラーク(ウォーマシンの鎧装騎兵・f27033)。場違いなのは分かっている。百も承知で質問するのですけれど。
「オブリビオンも、塩分が必要なんですか……?」
 だって、オブリビオンなのに?

 ……そう、オブリビオンとは過去である。だがしかし、塩分を含む栄養とは未来を生きるためのものである。つまりオブリビオンには塩分は必要ない、Q.E.D.
「おぶりびおんって何?」「さぁ?」「オブリビオン・ストームのことじゃないの」
 少女たちは顔を見合わせる。彼女たちにはオブリビオンたる自覚がないのだ。ただ、今までと同じように物資を求め、仲間の元へと(略奪して)運ぼうとしているだけ。死の記憶がないのは果たして幸運なことだったのか、それとも。

 訊きたいことは他にもある。彼女たちが各々手にしているその武器だ。あまりにも不揃いでバラバラ。ものによっては手作り感満載。ウォーマシンと戦うには貧弱すぎる装備と言わざるを得ない。
 戦車がどうやら隠し玉らしいのはまだ分かる。そのサイズは少女たちの身長の倍程度……つまり、ベムよりちょっとだけ大きいというサイズだ。そう、ちょっとだけ。
 これが……この世界を滅ぼさんというオブリビオン・ストーム……から生み出されたオブリビオン?
 えー、ほんとにござるかー???

「ちょっと!! なんか分かんないけどアタイたちのこと馬鹿にしてるだろ!」
 ぷんすか怒るショートカットヘアの女の子。
「馬鹿にはしてません。ただ、その武装はさすがに無いんじゃないかなーと気になるだけです」
「じゅうぶんばかにしてるーー!!!!」
 手作りの斧を振り上げる少女。怒らせてしまったようだ。あまり脅威は感じないけれど、それはベムがこの場に一人であったらの話である。
「スミスさん(仮)、スミスさん(仮)」
 彼の隣には守らねばならない人々と物資が存在するのだ。スミス氏(仮)もまたその一人。塩田での作業を終えて、ベムたちと一緒に物資とともにベースを目指している。
「スミスさん(仮)たちは物資の護衛をお願いします」
 せっかく新鮮なお魚もあるので。
「急いで殲滅しましょう。……魚、痛みますし」
「あっ、は、はいっ!」
 言われたスミス氏(仮)はそそくさと物資を引いて遠ざかる。もちろん、オブリビオンの少女たちの前にはベムが立ち塞がっていて、それを追うことは叶わない。
「きゃん!」
 マシンガンでの牽制を受け、少女が飛び上がる。
「や、やったなぁぁああ!!」「ほら早く、こっちもアレ出すよ!」「あいさー、はんちょう!」「えっ、あのひと追っかけなくていいの?」「違う、4班はそっちだよ!!」
 どたばた、ドタバタ。何人かが戦車に乗り込もうとし、何人かはバラバラと物資のほうを狙いにくる。え、その手作り武器でですか?!(本日二度目)

(……うーん、あまり統率はとれていませんね)
 ウォーマシンを侮るなかれ。ベムはそのものつまり、“War Machine”である。素人の手作り武器や骨董兵器に抗える可能性がどれだけあるというのだろう。
 物資に近付こうとしたものは丁寧に狙撃して倒した。戦車からの攻撃は装甲で充分防げた。最後に、
『お頭ァ……6班と4班、任務続行不能……っす』
 通信を残して、砲撃を受けた戦車は沈黙した。

「すげぇや……」
 スミス氏(仮)は、呆然とそれを見ていた。
「さあ、ベースまではあと少しですよ」
 ベムはそんな彼に声をかける。
「帰って好きなだけ塩を補給してください!」
「は、はい!」
 ……いや、そうガソリン補給みたいにはいきませんけどね? という返しはさすがにスミス氏(仮)からは出てこなかった。代わりに、ベムから繰り出された次々と出てくるミサイルや華麗なヘッドショットに、ちょっとだけ尊敬と憧れの眼差しがまざるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠・翔
アドリブ絡み歓迎
選択UC常時発動


あー…こういう見た目の相手はやりづらいんっすよねー
でも物資を盗まれるわけにはいかないので対処しますか

色んな武器押収してしまえば問題ないっすよね?というわけでUCスティールで相手の武器を次々に盗んではUC小さな庭園世界に回収してしまいます
常に残像・第六感・地形の利用などでかく乱して不意打ち受けないようにしています

武器さえなければと、思ったら…あれ?なんか皆興奮してない?
そう思って後ずさると同時に複数に襲われ揉みくちゃに
ちょっ、誰っすか胸や股間触ってんの!?
ちょっ、やめっ…あぁー!?と岩の裏で声が

数分後
UC無自覚の使役術で使役獣になった子を回収しながら涙
また…増えた



●やっ、や、やめてーーーーーーっっっッ!!
 あー……。あー……。やだなー……。
「あー……」
 やる気のない声を絞り出す久遠・翔(性別迷子・f00042)。
 ……こういう見た目の相手はやりづらいんっすよねー……。
 でも物資を盗まれるわけにはいかないので。
「対処しますか」
 やる気は起きずともやらなくてはならない。
「お頭ァ、物資持ってるやついましたー!」「囲め囲めー!!」「あいつ弱そう」「てかかわいくない?」
 やいのやいの。集まってくる女の子たちは手にそれぞれバラバラの武器を手にしている。
「色んな武器押収してしまえば問題ないっすよね?」
「そう簡単にいくんスか?」
 問い返したのはリンクス氏。まだいたのかと言わないでやってほしい、彼だってベースの家族に塩を届けたい。
 で、簡単にいくのかと言われたら簡単だとは言えない。
 しかし難しいとも言わない。

 翔にはちょっとした得意技がある。【スティール】だ。翔のそれは名前から想像されるのとは少々違うが、相手を無力化するという意味では大して違わない。たぶん、おそらく。
 素早く敵の間を駆け抜け、隙をついて撹乱していけばいい。

「今更なんスけど」
「なんすか」
 リンクス氏の今更すぎる疑問に、答えなければならない。
「久遠サン、アンタ女の子だったんスかーーーー?!?!!」
 本当に今更である。しかしながらその疑問も仕方のないこと。普段はさらしで封印されている翔の胸部、誰がどう見ても女性だと確信するだけのたわわなそれは、翔の無自覚なユーベルコードによって無自覚なままに開放されてしまっているのである!
 その魅力にまいってしまっているのは、リンクス氏だけではない。先ほど無力化したと思った女の子たち……彼女たちもまた、例外ではない。あれっ、なんかみんな興奮してない? 顔色おかしいよ??
「ふぅん、久遠クンっていうの?」
「えっ」
 いつの間にかすり寄られている。えっ、やめてこわい。
「やだー、照れてる♡」「かわいい〜」
「照れてないっ! そうじゃない」
 後退るが既に逃げ場はなく。
「待って誰っすか今胸触っ……ちょ、股間はやめ……た、助けてーーー?!?!!!!!」
「あーーーあーーーージブンは何も見えないっス聞こえないッスーーーー!!!!!」
 岩の裏で起きる惨状。
 護衛のはずなのに助けを求める久遠翔。事態に耐えかねて目と耳を塞ぐリンクス氏。果たしてどちらが悪いというのだろう(否、どちらにも非はないのである)。

 ──数分後。
 ユーベルコードの使用でなんとか場をやりすごした翔。
「また……増えた……」
 使役獣が増えてしまったと嘆く翔。
「なんでもいいから……ソレしまってください……」
 目のやり場に困ると主張するリンクス氏。
 ……二人の負った傷は、少々ばかり深い……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セツリ・ミナカタ
達成感にほくほくと、世話になった管理人殿へは熱く握手を求めて
必ず。無事に届けて見せよう、必ずだ
(もはや塩が我が子のように思える心持ち)

追加物資は荒れ地でも育つ野菜の種、と干し肉と缶詰と子供達への焼き菓子をそれなりに
なに、担ぐ荷が少々……いや結構重くとも力には自信がある
ただ我が身以外の運搬手段を持たないのが歯痒いな
戦車に警戒しつつ、何か術を持った同輩がいればそれを守るように立ち回ろうか

戦いになれば荷を背に誰も通さぬ気合で
可愛らしい少女であろうとも、一切手を抜くつもりはない
向かってくる者は全て
この荷(私の作った塩)に手を出す者は全てだ―――我が炎を越えて行け

<連携アレンジ歓迎です>


星野・祐一
おっと、冗談じゃあないぜ
この塩は必死こいて作った大事な物なんだ
一粒すらくれてやる訳にはいかねえな!

[SPD]
【先制攻撃、2回攻撃】のUCで牽制しつつ
塩を積んだテスタロッサを自動【操縦で運転】させて
強盗団から距離取るように移動させるぜ
よーし、行って来い!

…さて、と
流星をガンスピンで抜いて【乱れ撃ち】
優先順位は左からバイク狙い<俺の近くにいる<その他の順な
おっと、避けようとしても【誘導弾】の前じゃ無意味だぜ
【マヒ攻撃】もプレゼントだ!
そんでマヒで鈍った相手を雷鳴で仕留める
【力溜め、衝撃波、吹き飛ばし】

防御は【視力】える相手は【見切り】
視覚外の相手は【第六感】で感知して避けて対処な

アドリブ・連携歓迎



● 運ぼう まもろう

「世話になった」
 セツリ・ミナカタ(シャトヤンシー・f27093)は管理人氏と固く握手をして、塩田を出発した。(これは後で聞いたところによることだが、セツリが管理人殿と呼んでいた彼は福管理人にあたる役職だったそうだ。別れ際にはあと二人、もっと歳嵩の管理人もいた)彼らに、この荷を頼むと何度も拝まれた。拝むようなものではないと言ったのだが、聞き入れてもらえなかった。
 だから代わりに、約束してきたのだ。
「無事に届けてみせよう、必ずだ」
 セツリからしてみても、色んな意味で苦労して作った塩である。何というか愛着がわいてしまって……変な言い方になってしまうが、我が子のように愛しい。包みをつい抱きしめたくなる。(ひしっ)

 さて、その大事な塩と一緒にセツリが運ぶつもりなのはこの荷物。追加物資は荒れ地でも育つ野菜の種、と干し肉と缶詰と子供達への焼き菓子をそれなりに。塩が手に入ったところで他の物資とすぐに交換に出せるわけでもないだろうから、食料の自給は大事だ。それと、子どもがいると聞いたからな。喜んでくれるといいが……。
 こうしてみると結構な大荷物になってしまった。なに、担ぐ荷が少々重いくらいなら……いや、結構重くとも力には自信がある。苦ではない。
「欲を言えば、何か運搬の手段があれば助かるんだが……」
 はた、と目があった。
 真っ赤な宇宙バイクにまたがる男は、星野・祐一(スペースノイドのブラスターガンナー・f17856)。バイクには塩が積まれているが、リヤカーも持参していた。
「そ、それ。お借りしても良いだろうか……?」
「あ? そりゃ、別に構わないが……」
 祐一としても、海水を運ぶのに使ったあと用途がなく。しかし物資の枯渇したこの世界でポイ捨てもどうかと引きずるしかなくて困っていたところである。
 これぞWin-Winの関係。交渉成立だ!

 そしてそれを待っていたかのように現れるのは。
「荷物置いてけーー!!」「おいてけー!」
 いやはやずいぶんと分かりやすい物盗りもあったもんだな。祐一はちょっと感心してしまった。いや感心している場合ではない。ひとまず先制してブラスターで牽制をかける。
「おっと、冗談じゃあないぜ」
 両手を上げてやれやれ、と呆れ顔を見せる。
 この塩は必死こいて作った大事な物なんだ。暑っっっつい思いしたんだぞ、これ。ほんと。
「一粒すらくれてやる訳にはいかねえな!」
 数グラム作るのにもひどく汗をかく、全く塩は本当に貴重なお宝だ。
「なあアンタ、名前は?」
 祐一は隣の女性に声をかける。セツリは短く名乗り、互いの名前を確認する。
「OK、セツリ。じゃあ荷物のほうを頼んだ!」
「ん、わかった」
「よーし、行ってこい!」
 祐一はとん、とバイクから降り、テスタロッサを走らせる。自動操縦で移動させたのだ。

 ん、わかったとつい答えたけど実は分からん。宇宙バイクが勝手に動き出したからセツリはひとまずそれについていく。
 ……どうやら物資は祐一の戦場とは離しておこうという方針のようだ。ならばそれに従うとしよう。
「あっちに行ったぞ!」「2班は向こうへ回れ!」
 強盗団たちの一部はそれを追う。しかし、祐一はもちろんそれを許さない。
「……さて、と」
 愛車と荷物はセツリがうまく守ってくれるだろう。こちらはこちらでやるだけだ。“流星”──熱線銃で近くの敵から順に掃討していくとしよう。
「えっ、やだ」「こわ!」
 きゃあきゃあと騒ぎたてながら回避を試みる強盗団たちだが、追尾能力付きの誘導弾の前には意味がない。
「びゃっ」「やーん」「びびびびび」
 麻痺攻撃で動けなくなったところ、さらに銃を持ち換えて──“雷鳴”、しっかりチャージして確実に、仕留める!

「っと、そっちは平気か?」
 流れ弾を躱しながら問いかける。少し離れた背後、セツリとテスタロッサの方角。
 見れば、既に趨勢は決していた。もとよりなんとしても荷物を守る覚悟であったセツリ。一見可愛らしい少女たちが相手であろうとも、一切手を抜くつもりはなかった。

「5班がやられたぞ」「負けるな、こっちだってやってやるー!」「せーのでかかるぞ!!」
 ぎゃいぎゃいと騒ぐ強盗団。一斉攻撃を仕掛けてくるつもりのようだ。
(……迎え撃つ)
 向かってくる者は全て。
 そう、この荷(私の作った塩)に手を出す者は全てだ。
 セツリは、荷を守るべく少女たちへとどめに最大の火力を放つ。

 ──我が炎を越えて行け
「……【一の焔】!」

 虎の子の貴石。だが惜しいとは少しも思わなかった。それより、荷を守りきれた達成感のほうが大きい。
 ほう、とセツリがため息をついたところ。ひゅう、と祐一が口笛を鳴らした。
「お疲れさん、助かったぜ」
「こちらこそ。やはり乗り物があるというのは、便利なものなのだな」
 二人は互いの健闘を称え合い、どちらからともなくハイタッチをした。そうして笑い合い、しばし休んでから、また先を急ぐことにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『あなたの産声』

POW   :    母親に付き添い、支え、勇気づける

SPD   :    出産の準備を手伝ったり、周辺の脅威に対処する

WIZ   :    医療や衛生に関する知識、技術を提供する

👑5
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 どうしよう
 どうしよう

 ああこんなときに限って

 いいや、分かっていたはずだ。

 彼女も必死だったさ。身重の身体で少しでも働こうとしてさ。
 生まれてくる子どもにつらい思いをさせたくないって。
 みんなもそりゃあ自分のメシを削って彼女に分けた。

 それでも限界ってものがあるだろう。

 やせ細った足がふらついたのを見ていた。
 細すぎる四肢に比べて、大きすぎるおなか。
 まだ産み月にははやすぎる。けれど、彼女の体はもうもたない。

 どうしよう。どうしよう。
 小さなベースには医者なんていない。
 薬なんて贅沢なものもない。

 子どもを取り上げたことのあるものがいるかい?
 医療の心得のあるものは?
 いいや、そんなものなくてもいい。
 だれでもいい。
 誰か彼女を、
 彼女と子どもを救ってやってくれないか──
ベム・クラーク
アドリブ連携歓迎です!

「物資はひとまず足りそうですね。」
○○が産気づいた!等の声が聞こえる。

「新しい命の誕生ですか。電力が必要なら供給します。必要なければ周囲の警戒に向かいます。」
拠点の未来がまた一つ、ここは全力で脅威を排除しましょう。

各種センサー最大出力で周囲を検索、危険生物などをしらみつぶしに排除します。ただし、振動や爆音が出産の妨げにならないように拠点から距離を取ります。

「惑星規模探索のためのセンサーです。拠点周辺なら見逃すことはありません」
マルチロックオン、【フルバースト・マキシマム】
盛大にミサイルが空を行く。

出産の音声を拾ったら、ついでに祝砲、日暮れなら花火も打ち上げます。


箒星・仄々
心情
大変な世界ですけれども
新たな命が
未来への希望が生まれるのですね
感動です!

手段
出産準備のお手伝い
細々と動きますよ
文字通り猫の手としてお役立ていただければ

綺麗なお湯とか魔法で支援もできますけれど
少々出しゃばりすぎでしょうか
これから先ずっとお手伝いは出来ませんし…

専門知識はありませんが
出産の補助を担いましょう
この時ばかりは必要があれば
三つの魔力で妊婦さんの気・血・水へ働きかけ体調を整えます
(魔力漢方的な

難産でしたら失礼して赤ちゃんをぺろぺろ
皆待ってますから早く出てきてくださいね〜
貴方が創る未来を私達は楽しみにしてますよ

事後は無事な出産と赤ちゃんや皆さんの未来を祝して歌い奏で
祝宴を盛り上げますよ♪


星野・祐一
ベースに着いたぞ!
…事前に聞いちゃいたがまさかまさかの、だぜ
とにかく何とかしねーとな

[SPD]
手元で役立ちそうなのは…お、あったあった
汗を拭くために用意してた未開封タオル数枚!
とりあえずある分だけ持って母親の側に置いておく
赤ちゃんが生まれたらこれで羊水拭き取ったり包んだりするといいぜ
でも綺麗な布とかあればそっちにしとくといいぞ

後は他の人に任せて俺は警戒に当たるか
母親のいる地点を中心に廻りつつ
【視力や第六感】を駆使して近づいてくる物体や気配を察知したら
流星と雷鳴でお出迎えと迎撃だ

この荒廃した世界で生まれようとする命
外敵には指一本触れさせねえ
だから安心して生まれてきなよっと!

アドリブ・連携歓迎です


久遠・翔
アドリブ絡み歓迎


これかなり緊急事態なんじゃないっすかね?
急いで行動しないと色々手遅れになるっすから出し惜しみはなしっすよ!

UC使役獣召喚でメイド達を呼びます。万能派遣ヴィラン隊に居た個体もいるので出産の手伝いもお手の物なはず
俺自体は選択UCで簡易的ではあるが病院を建てます

ベースにある石材や木材、鉄屑なんかを材料に作り上げますが足りない分は生命力を代償に補完します
薬は非常時にUC小さな庭園世界に保存しておいたものをオブリビオンストームが発生しない最低分だけ提供

医療器具はUCレプリカクラフトで代用
ともかく時間との勝負の為自身の疲労を無視してUCを使い、メイド達には迅速に働いてもらうっす!


セツリ・ミナカタ
待たせたな、もう大丈夫だ
貴方達が頑張ったからこそ助けが間に合った
あとは任せてほしい
事態は予断を許さないが、先ずは彼女と周囲に物資を見せ言葉をかけ
希望の火を絶やさぬように

故郷でお産を手伝った時を思い起こし
詳しい者がいるなら従って
かき集められるだけの清潔な布、水、食料を
そして周囲と連携し声をかけ合い
母親が身体を休め戦いに備える場を整えよう

夫がいるのであれば、さあ手を握ってやれ
子供には何て名をつけるんだ?
きっと可愛い子だろう、会えるのが楽しみだ
幸せな未来を思い奮い立つように声をかけ続ける

癒しの術を持たぬが歯痒いが
頼む、どうか生き抜いてくれ
この大地の上、確かな命を紡ぎ続ける強さがあるのなら



●それは日常の延長にして非日常
「ああ、アンタたち、よく来てくれた!!」
 ベースに到着するなり、飛び出してきた男が歓待の言葉を浴びせる。そしてその勢いでまくし立てる。
「実はついさっき、うちのカミさんが産気づいてよう!」

 ……は?

 サンケヅイテ……?

 しばしフリーズする猟兵数名。
「産気づいたぁ?」
 思わずリピートしてしまった星野・祐一(スペースノイドのブラスターガンナー・f17856)。ようやくベースに到着したと思ったら、これか。確かに『ちょっとしたトラブル』があるとは事前に聞いてはいた。聞いてはいたが……こういう種類のトラブルだとは聞いてないぞ?
 準備なんか出来てない。いや待て、何かしらあるはず。そうだ、確か荷物の中に……。
「お、あったあった」
 あの塩田でさんざん汗かいたからタオルならたくさん持ってるんだ。ちゃんと未開封の分がいくらかある。これなら役に立つだろう。赤ちゃんが生まれたときには拭ったりとか、包んだりとか、とにかく色んなことに使えるはずだ。
「これ、使ってやってくれ」
 ほいと、そこにいたケットシーへと受け渡す。

「あっ、はっ、はい!」
 出産! それは大変!
 大変も大変、一大事です!
 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)はにわかに慌てる己を引き締める。お産となると、専門知識はありませんが……文字通り猫の手程度のお手伝いくらいはできるはず。
 ええと、ええと、必要なものと言えば、まずは清潔なお湯とかでしょうか。タオルもそうですね、出産の為の様々なものを消毒しないと。魔法でお湯を……。

 ……。はたと、気付く。
 魔法でお手伝いするのは、過干渉でしょうか?
 ケットシーの騎士は魔法を行使しようとした手を止める。この世界に仄々が居られる時間は長くない。彼らをこれからもずっと手助け出来るわけではないのだ。でしゃばりすぎて、彼らが自らを助ける力を削いでしまったら……?

 ああ、でもでも!
 仄々は首をぶるんと振って、迷いを振り払う。
 だって見てみれば、目の前の妊婦さんはとても苦しそうなのです。せめて、これくらいはお手伝いさせてもらいましょう。ちょっとだけ魔力を使って、血行を良くして、気が滞りなく巡るように。少しは楽になるでしょうか。

 そうしていたところに、
「物資はひとまず足りたようですね」
 後ろから声がかかる。大きなむらさきのからだのウォーマシン、ベム・クラーク(ウォーマシンの鎧装騎兵・f27033)が積荷を一通りあるべき場所へ納めてきたところだ。
「何か、お手伝いできることは?」
 ええっとですね。かくかく云々、仄々は状況をベムに伝える。

 なるほど、状況は承った。
「新しい命の誕生ですか」
 電力が必要なら供給しますが、と申し出る。
 彼女らと共にいて自分が出来ることは多くないだろう、とベムは推測したのだ。
「ありがとうございます」
 けれど、この拠点では今すぐに必要な電気製品は無いと申し訳なさそうに答える人々。
「では、周囲の警戒に向かいますね!」
 それならそれでも、やれることはある。例えば、拠点周辺の警備とか。
「おう、じゃあ俺もそっちだ」
 祐一もそれに加わる。それなら、母親についててやるよりは得意分野だ。

 祐一たちがその場を離れようとしたとき、ちょうど少し遅れてやってきた者とすれ違う。
「っと、聞いたか?」
「え、なんすかなんすか??」
 久遠・翔(性別迷子・f00042)は二人から事情を聞かされる。
 なるほど、なるほど。
「……ってそれってかなり緊急事態じゃないっすかね?」
 そうだよ!

 翔が今から出来ることはなんだろう。まずは出産のための場所を整えることだろうか?
「えーっと、材料、材料……」
 そう、仮設でいいから病院的な施設を作ろう。翔のユーベルコードを使えば、多少大雑把ではあるがそれっぽい建物が作れる。それから妊婦さんを助ける人手を貸し出せる。
「んー、材料……」
 瓦礫でもなんでもいいから材料があれば、と思ったが。
「スミマセン……」
 無い。いや、無くはないが圧倒的に足りない。……って、今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ!
 行動だ。急いで行動しないと色々手遅れになる。そしてこのトラブルは、手遅れになったらすべてが水の泡になるタイプのやつだ。
 ならば、やることは決まっている。時間との勝負だ。
 どんなに疲労してでも、生命力を注ぎ込んででも、とにかく全力で必要なそれを作り上げる!!

「あー……もう無理」
 くたり。翔はその場にへたばり落ちる。無理やりユーベルコードを使った代償の疲労がすごい。だがこれでいい。
 ひとまず仮設ではあるが病院もできた。足りなそうな薬もほんの少しだが取り出して渡しておいた。あとは使役獣たちがなんとかしてくれるだろう。
 迅速に。とにかく迅速に動いてくれ。生まれてくるその小さな命を、決して取りこぼさないように。
「あと、任せた……」
 意識を手放した翔は、そのまま自身が作り出した仮設病院の端に搬送されていった。

 さて、仮設病院から出て、ベムは各種センサーを最大出力に設定する。
「……なんか、ずいぶんと大仰だな」
 祐一がベムを見上げる。
「惑星規模探索のためのセンサーです。拠点周辺なら見逃すことはありません」
 キリッ。
 ええ……? “惑星規模探索”……?? そこまでやるか。本気レベルがすげえ……。いやいや、驚いてる場合じゃない。祐一だってその仕事の一端を担うのだ。
「それじゃあ分担にしよう」
 祐一はベースからあまり離れず病院とその中の母親の警備。ベムはベースから少し離れて拠点自体の周辺警護。
「ええ、危険生物などをしらみつぶしに排除します!」
 もちろん、振動や爆音が出産の妨げにならないように拠点から距離を取って。
「OK、こっちも気をつける」
 それじゃ、またあとで。
 軽い挨拶をして別れる。祐一は軽く散歩するかのようなペースで周囲を巡回する。もちろん、危険なものは逃さない。いつでもゼロコンマ秒で抜けるように愛銃を携えて。

(生まれて来るのがどんな子なのか、男なのか女なのかも知らないけどさ)
 祐一は少しだけ、目を細める。
 これだけ厳重に守られてるんだ。これだけ多くのやつがその子と、母親を守ろうとしてるんだ。ちょっと笑っちゃうくらいにさ。
 こんな荒廃した世界で、必死に生まれようとするその命。俺たちが外敵には指一本たりとも触れさせはしないからよ。
(だから、安心して生まれてきなよ、ってな!)

 一方、仮設病院内。
 セツリ・ミナカタ(シャトヤンシー・f27093)は未だ苦しむ母親に寄り添っていた。
「もう大丈夫だ」
 優しく声をかける。
 貴方達が頑張ったからこそ助けが間に合った。私たちがここに間に合った。だからどうか安心して、あとは任せてほしい。
 ほら、色々な物資を運んできたんだ。薬を用意してくれた者もいる。だからどうか安心してくれ。
 どうかその心に、希望の火を絶やさぬように。

「誰か詳しい者はいるのか?」
 辺りを見渡せば幾人かの女性たち。清潔な布もある。
 水も食料も必要だ。ありがたいことに皆が揃えてくれている。セツリは故郷で手伝ったお産の記憶を手繰り、母親が身体を休め、戦いに備える場を整える。
 癒やしの術を何ら持たぬ己の身が歯痒く、もどかしい。だがこれは彼女の戦いなのだ。命をかけた、……命を紡ぐための戦い。
 夫がいるのかと周囲に訊いてみると、所在無さそうにしていたひょろひょろの男が手を挙げる。ああ、何をしているんだ。
「さあ、手を握ってやれ」
 男を彼女の横へ連れてくる。男はぎゅっと彼女の手を握る。これで二人の戦いだ。
「子供には何て名をつけるんだ?」
 セツリは二人に話しかける。きっと可愛い子だろうな。私も会えるのが楽しみだ。
 声をかけ続ける。幸せな未来を思い、奮い立つように。彼らが未来を諦めないように。

 その時、そばにいた女性たちの誰かが言った。
「逆子だ……」
 セツリも聞いたことがあった。慌てて確認するが、確かにそうだ。
 確か、赤ちゃんが生まれてくるとき、普通と頭と足が逆になってしまっている状態のこと。産道に引っかかって、産むのに時間がかかって母親に負担をかけるし、場合によっては赤ちゃんが窒息して死んでしまう!
「……頼む……」
 青ざめそうになりながらも、どうか、と願う。
 頼む、どうか生き抜いてくれ。

 そのとき、そこにいた一人のケットシー。
「ちょっとだけ、失礼しますね」
 意を決して、仄々は苦しむ妊婦さんのところへ寄っていく。あと少しだけ、……少しだけだ。手助けしたって、いいだろう。
「赤ちゃん、赤ちゃん」
 呼びかける。こちらへおいでなさい。皆があなたを待ってます。
 ぺろり、ぺろり。猫の毛づくろい。
 ねえ、赤ちゃん。まだ名前のないあなた。あなたは希望なんです。この苦しい世界で生きる皆さんの、未来への希望なんです。
 だから。

 ……。

 ふにゃ

 んにゃあ

 んにあああ!

 ──声だ!
 元気な赤ちゃんの声!

「おめでとうございます!」
「おめでとう!!」
 おめでとう、おめでとうの雨あられ。
「早産ですから少し小柄ですけれど、元気な赤ちゃんですよ」
「ほら、お母さんも……すっかり疲れちゃいましたが、健康です」

 しばらくぽかんとしていた夫……いや父親の男がふと思い出したように顔を上げて、セツリたちを見た。
「そう言えば、皆さんのお名前を伺っていませんでした」
 それもそうだ。このベースに到着してすぐの騒ぎだった。皆それぞれにやるべきことに忙しく、名前を言う暇も聞く暇もなかったのだ。
「皆さんのお名前を教えてもらってもいいですか? ……その、子どもの名前の参考に」
 父親は照れくさそうにそう言った。

「ああ、もちろんだ」

 この場にいるのは逆子を産み落とす手助けをした仄々。父親と母親を励ましていたセツリ。隣室で寝ているのはこの設備を用意してくれた翔。病院の近くを巡回すると言っていたのは清潔なタオルを提供してくれた祐一。少し離れて拠点全体を警護しているのは、物資もたくさん運んでくれたベム。
 どうだろう、参考になっただろうか?

「男の子でも女の子でも、みなさんのように心優しく、強い子に育って欲しいですから……」
 大いに参考にさせてもらいたい、と父親は子どもを抱いてようやく笑った。

● そして、宴
 祝いの歌声、リートが奏でられる。花火の音。ミサイルの祝砲。
 ようこそ、ようこそ。
 望まれて来た子。みんなの希望。未来へ繋がる新しいいのち。
 決して楽な世界ではないけれど、それでもあなたを歓迎しよう。ようこそ、この世界へ。この大地は決して優しくはないけれど。今日ばかりはきみのためのささやかな祝宴を開こう。
 
 生まれてきてくれて、ありがとう。

 ……ああ、なんだか喉の奥がしょっぱいなあ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月17日


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#アポカリプスヘル
#真面目な方のみみずね


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト