「おはようございます、領主様」
「ああ、ごきげんよう。いい朝だな」
グリードオーシャンに浮かぶ島々のひとつ。ダークセイヴァー世界に由来する島、『ナインライヴス領』。その中央に位置する領主の館において、島を治めるナインライヴス一族の当代当主、メーラ・ナインライヴスは寝台から起き出した。
「では、朝の支度をお願い致します。こちらは朝餉の準備をしておりますので」
深海人とおぼしき従者が応えて頷く。
「わかった。すぐ向かおう。たしか今日は農場の視察と……学舎での祝辞をやる予定があったな?午後は書類整理をする。それから……今は島に客人が来ているんだったか。せっかくの機会だ。夜会を開こう。招待状の手配を頼めるか?」
「承知いたしました」
「ああ。我は有能な従者をもって実に幸運だ。よしなに頼むぞ」
「御意に」
「ごきげんよう。よくきてくれたわ。それじゃあさっそくおしごとの説明をするのよ」
ロスタ・ジーリード(f24844)は、手元の端末を叩き画面にひとつの島の映像を投影する。煉瓦造りの家が建ち並ぶ街並み。島の半分程度は自然が育ち、実り豊かな農耕地帯や放牧される家畜の姿も見て取ることができる。――その島は、オブリビオンに支配されなければこうであっただろうと思わずにはいられぬような、あるいは、オブリビオンの支配を打破した先の未来に辿りつくべしと願わずにはいられぬような。そのような、誰かが夢想した平和なダークセイヴァー世界の姿をしていた。
「ナインライヴス領。ダークセイヴァーから切り取られた島ね」
ロスタは端末を叩き、表示された情報を読み上げる。
「この島はねー、『領主』の一族が代々支配しているのよ。ただしー、支配っていっても、べつに圧制もないの。ヴァンパイアの家系の領主一族がちゃんとお仕事をしてまっとうにやってるみたいなのね。当代当主はメーラ・ナインライヴス。ダンピールの女性よ。家督を預かったばかりのティーンエイジャー」
さて。本題はここからだ。
「いまねー、このナインライヴス領に『おきゃくさん』たちが何組かきてるんですって。で、夜会を開いて歓待する……っていう予定みたいなんだけど、その『おきゃくさん』のなかにコンキスタドールがまじってるのよ」
ざんねんながら、どのような姿をした敵なのかは予知では見通せなかったの。ロスタはゆるく首を振る。
「……とゆーわけで、みんなには『おきゃくさん』としてここの夜会に参加して、おなじくおきゃくさんとして忍び込んでいる敵の正体をさぐってほしいのよ。うまくいけば、先手を打って敵の船に仕掛けられるわ。そしたらいつも通りにやっちゃってね」
ここで開かれる夜会は晩餐会だ。島でとれた食材を用いた料理を味わいながら会話を楽しむ形式である。島で暮らす領主は外から来た客人がもたらす情報や冒険譚を聞きたがっているのだ。
「おしゃべりの中から考えて、敵を見つけ出すのよ。……あやしまれないように、みんなもたのしいおはなしを用意しといてね」
あやしまれればその後の動きもやりにくい。うまくいかなければ敵は島に攻め込んでくるだろう。その時は街や屋敷の中での戦いになる。住民にも被害が及ぶ可能性が生じるのだ。
「……はい。じゃあやることまとめるわ。まず、みんなは領主のひらいた夜会に参加する。ここでたのしいおはなしを披露しながら、ほかの『おきゃくさん』たちのなかにまぎれたコンキスタドールを探るのよ。ここでうまくいけば先手を打って敵を叩けるし、うまくいかなかったら島に攻めてくるからそこを迎撃するわ」
あとは、いつもどおりやっつける。以上だ。
「とゆーわけで、よろしいかしらー?よければもう送っちゃうわよ」
説明を終えたロスタは、既に転送の準備を始めていた。
無限宇宙人 カノー星人
ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
引き続き侵略作戦を進めてまいります。
この度も、あなたがたと共に旅路をゆけることを幸福に思います。
楽しんでいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
第1章 日常
『猟兵冒険譚』
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POW : 切った張ったの大立ち回りなエピソード
SPD : 自身の技術や素質が活躍したエピソード
WIZ : 機転や閃き、頭脳で身を救ったエピソード
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「やあやあ、ごきげんよう。我こそは、この領地を統べるナインライヴス一族の当主、メーラ・ナインライヴスだ」
ランタンの灯を街灯めいて吊り下げ、領主館の庭園を照らし出す。
まだ歳若い女領主は、しかしてその地位に在る者として不足ない堂々たる態度で客人たちを迎え入れた。
「この度は我が招待に応じてくれたこと、感謝する。礼を言おう」
「まあ、お礼を申し上げるのはこちらの方ですわ」
出席する客人のひとり――マダム・プラネッタは微笑んで頷いた。
マダム・プラネッタはメガリスを手にし、海を渡る才を得た冒険商人なのだという。夜会に相応しくきらびやかなドレスを纏って、女商人は席に着いた。
「せっかくの機会ですもの。たくさんお話を致しましょう」
「ああ、わざわざこんな夜会まで開いて歓迎してくれるってんだからな。俺の方からも礼を言っておくぜ。へへ、これで土産まで貰えたら言うことねえんだが」
「はっはっは。正直でいいことだ。わかった、会が終わるまでに何か用意させよう」
「ひゅう。さすが領主様!」
げらげらと育ちの悪そうな笑い方をする男は、海賊『美術蒐集家』のクルブシ。独自の美学に従い、芸術品を好んで集める趣味をもつ男なのだという。
「ごきげんよう、ミス・ナインライヴス。変わらず元気そうで何よりだ」
「おお、見覚えのある顔だと思っていたらウムル卿ではないか。ごきげんよう。久しいな、息災であったか?」
最後に、白いひげを生やした初老の男がナインライヴス嬢を挨拶を交わす。その腕は金属製の義手であった。
「……ああ、知らない者のために説明すると、我はDIYが趣味でな。ものづくりの心得があるのだ。ウムル卿には以前我の仕上げた義手を贈ったこともある」
「うむ、いただいた腕の調子も良い。領主の家柄でなければ良い職人になっただろうに……失礼。海賊のジョー・ウムルだ。ミス・ナインライヴスとは先代の頃から少々縁があってね」
「はっはっは。この家の生まれでなければ今の我はない。『たられば』は無粋というものだよ、ウムル卿」
客たちは挨拶を交わしながら席へとつく。
この場に集った客人は3名。それから、彼らの従者たちが幾人ずつか随伴している。
「では、さっそく歓談と致しましょうか?私、ぜひこの島のお話が聞きたいわ」
「おいおい待てよ。こちらの領主様はきっと外の話を聞きたくてウズウズしてるはずだぜ。先にこっちから聞かせてやるのが……」
「少し待ってくれ。まだ客がそろっていないのだ。間もなく来るはずだが――」
メーラが屋敷の門へと視線を向けたその時。
猟兵たちが、夜会の会場へと到着する。
「ああ、来たようだな。では、始めるとしよう」
領主が猟兵たちを迎え入れる。かくして、ナインライヴス嬢の夜会は幕を開けるのであった。
猿投畑・桜子
はー、「やかい」って凄いんだなぁ。みんな綺麗なおべべ着てらぁ。おらの着物で大丈夫だべかな……まあ一張羅はこれしかねぇからしょうがねぇべな!
領主さまにおらのこと話せばいいんだな?
困ったなぁ、「いえーがぁ」ってのの仕事は初めてだからそっちの話はできねぇし……おらの名前の話でもするべか!
んっとなぁ、おらがこぉんなちっけぇ時(2m弱のサイズを手で示す)にな、山から降りてきたこんなでっけぇお猿の大将(2.5m弱のサイズを手で示す。尚本人は身長5m強)を三町先(約300m強)の畑までぶん投げてずっぽり埋めてまったんだぁ。
それ見たじっさまが腰抜かしてなぁ、猿ぶん投げた畑にちなんで猿投畑って名字ばくれたんだぁ
才堂・紅葉
ダークセイヴァー由来にしては綺麗で穏やかな所ですね
骨を折る価値はあるようです
夜会に客人として参加しますね
アルダワ学園のお嬢コースで洗練させた【礼儀作法】が生きる時です
如才なく来客の方達と挨拶をかわし、【存在感】を発揮します
どこぞの名家の所縁の者とでも匂わせましょう
「さて。拙い腕ではありますが、一曲披露させていただきますね」
得意の「蒸気ギター」をアルダワ脅威の【メカニック】でヴァイオリンに改造、【楽器演奏】で【優しい】曲を流し注目を集めます
後は演奏のサビの部分で一瞬だけ【殺気】を楽曲に乗せ、周囲を【情報収集】
反応した者に目星をつけ、演奏後に【忍び足】で【暗殺】します
骨を折る価値はあるようです
「はー……『やかい』って凄いんだなぁ」
みんな綺麗なおべべ着てらぁ。猿投畑・桜子(f26313)は、席に着いたナインライヴス嬢と客人たちを見ながら嘆息した。
「おらの着物で大丈夫だべかな……」
「はっはっは。何を言う、その……キモノか。たしかエンパイアの様式の民族衣装であったな。実に見事ではないか」
不安がる桜子の姿を見上げながら、ホストであるナインライヴス嬢は桜子の纏う着物をほめた。――猿投畑・桜子は身長5メートルにも達する巨人の乙女である。必然的に、彼女の着る一張羅もそれに合わせた寸法。すなわちそれに見合った巨大なサイズである。そのような大きさでありながら実に見事に繕われた生地を見るに、メーラはそれを縫い上げた人々の姿と、桜子へと注がれた慈しみを思い描く。
「しかも、それだけの布地。集めるのも仕立てるのも苦労しただろう。――愛されていたのだな」
「あっはっは!すげーな。巨人族っつーのもまァ見慣れてっが、キモノ着た奴ははじめて見たぜ。しかも相当出来がいい。……お嬢さん、そいつ、俺に譲っちゃくれないか?」
客人の中から、海賊の男――クルブシが大喜びで声をあげた。美術品の蒐集者として、異界の文化である着物――しかも巨人サイズというレアものに興味をそそられたのである。
「それはだめだぁ。こりゃあおらの一張羅だべ。これしかねぇからな!」
「そいつは残念」
「残念、ではないぞクルブシ卿。我が客人といえど『服をよこせ』というのは流石に無礼だぞ。……すまなかった。気分を害してはいないか?」
「ははは、悪かった悪かった」
「いんや、おっかぁたちの繕ってくれた一張羅、ほめてもらったんだぁ。悪い気はしねぇだよ」
窘めるメーラへ、気にしてねぇだよ、と桜子は緩く首を振る。
「……失礼?夜会に遅刻はしてないかしら。お邪魔いたしますわ」
そんな折、時を同じくして夜会の席へと訪れたのは才堂・紅葉(f08859)である。
「おお、ごきげんよう。また会は始まったばかりだからな。そこにかけてくれ」
迎え入れるようにナインライヴス嬢が手を振って紅葉を迎え入れた。席にかけるように促す。
「どうも、ごきげんよう」
「ええ、ごきげんよう」
「今度は随分品のいいお嬢さんだ」
冒険商人のマダム・プラネッタと海賊のウムル卿が紅葉と挨拶を交わした。紅葉の所作はたいへんに堂に入ったものだ。正しく洗練された礼儀作法は彼女を完璧な名家の令嬢に見せる。紅葉は緩やかに礼をしながら微笑んでみせた。
「……では、一度乾杯といこうか。このあとも客人が来る予定だが、待っていてはいつまでも料理に手を付けられんからな」
ここでナインライヴス嬢は乾杯の音頭をとる。桜子にはグラス代わりに樽が準備され、そこにナインライヴス領で採れた林檎を絞ったノンアルコールドリンクが注がれた。
「乾杯」
「乾杯」
夜会に招かれた客人たちは、それぞれに語り始める。マダム・プラネッタはこの島の文化や人々の暮らしに興味を持ったのか、あるいは喋る糸口を与えようとしていたのか。ナインライヴス嬢へといくつも質問を繰り出した。一方で海賊のクルブシは自分の冒険譚を自慢する。メガリスであり美術品である獲物を奪い合って他の海賊とやりあった話は、場を大きく盛り上げた。ウムル卿はナインライヴス嬢の幼少期の話題を持ち出す。気恥ずかしく目線をそらしながら『その話はやめろ』とナインライヴス嬢が言いだすまで、ウムル老の話は止まらなかった。
「……そしたら、おらも……あんまり話せることはねぇだけど」
「なに、どうせ宴の席だ。どんな話でも難癖付けるものなどおるまい。もしそんな無粋な奴がいたら我が蹴りだしてやろう」
「あっはっは……面白ぇ領主さまだなぁ。それじゃ、おらの名前の話でもするべか」
「名前?」
夜会の参加者たちが首をひねった。
「んっとなぁ、おらがこぉんなちっけぇ時にな……」
『こぉんなちっけぇ時』で示す高さがおよそ2メートル弱。今の桜子に比すれば半分以下でこそあるが、この場にいる誰よりも高い位置である。巨人族の基準の話はスケールが大きい。ナインライヴス嬢は既に面白がるような笑みを浮かべて聞いていた。
「山から降りてきたこんなでっけぇお猿の大将を、三町先の畑までぶん投げてずっぽり埋めてまったんだぁ」
『こんなでっけぇお猿の大将』は、今の桜子の背丈の半分ほど。即ち2.5メートル程度の大きさだ。猿というよりかは狒々や猩々と呼ぶべき妖怪の一種であろう。――幼いころの桜子は、そいつを掴んでとんでもない距離を放り投げた、ということである。
「それ見たじっさまが腰抜かしてなぁ、猿ぶん投げた畑にちなんで猿投畑って名字ばくれたんだぁ」
「ほう……なるほど、我はご先祖からこの『ナインライヴス』を受け継いできたが……お前は自分でその名を得たのだな」
興味深い話であった。ナインライヴス嬢が微笑んで拍手する。
「……さて。いい頃合いでしょうかね。では、拙い腕ではありますが、一曲披露させていただきますね」
その折、紅葉は愛用の楽器を準備していた。得意の蒸気ギターであるが、今回はそれをカスタマイズし、ヴァイオリンめいた弦楽器として用いる。弓で弦を弾き始め、紅葉は庭園に曲を響かせた。
「ほう。これはこれは……」
目を輝かせるクルブシ、目元を緩めるウムル卿に、聞き入るマダム・プラネッタ。弦の奏でる優しい音色に、客人たちは微笑んだ。桜子にとってもヴァイオリンの演奏は馴染みのないものだ。目を輝かせて聴き入っている。
――だが、その折である。
「……!」
殺気。
演奏の最中、紅葉はほんの一瞬、鋭く空気を尖らせた。――これは、彼女の策である。島を狙うオブリビオン。即ち戦闘能力をもつ存在であれば、この殺気に反応し動きを見せる、と考えたが故だ。
「――」
「……」
「……」
――しかし、その殺気に反応したのは3人の客人全員であった。鋭く目を細めるマダム・プラネッタ。怪訝な顔をするクルブシ。無言で警戒心を露わにするウムル卿。――3人はいずれも鉄火場を潜り抜けグリードオーシャンを渡ってきた者たちなのだ。戦いが染みついているがために、向けられた殺気に全員が反応を示したのである。
反応した者がいればここで密かに先手を打って仕掛ける腹積もりではあったが、全員がそうであっては、手を出すことはできない。――だが、手出しこそしていないにしろ、殺気を放つ、というのは、敵対に繋がりかけない行為だ。空気が急激に冷え込むのを紅葉は肌で感じた。
「ああ、ドリンクのリフィル……ああ、おかわりはどうだ?」
「えぇだか?それじゃ、遠慮なくもらうだぁよ」
だが、ここで冷たく張り詰めた空気を溶かすように、ナインライヴス嬢は桜子にドリンクの追加を促した。明るい声音が、一触即発になりかけた空気をほどよく弛緩させる。
「ああ、そうするといい。我は寛大だからな」
「じゃあ、領主さまに乾杯だぁな」
「はっはっは。そうほめるな」
メーラは新たな樽の蓋を開けるよう従者たちに依頼し――そして、それから客人たちと紅葉の表情を見渡した。
「……で、だ。ここでの切った張ったは法度としている。……どのような目的だったか我は知らぬが、火がつかぬよう、努々気を付けることだ」
そうして、一言二言注意を添える。
「……ええ、そうですね」
「ああ、まったくだ」
驚かせやがって。口の端を歪めながら静かにクルブシが笑った。
――その一方で、紅葉はここまでのやり取りを反芻しながら席についている客人たちへと視線を巡らせる。
……あの3人の中に潜んでいるオブリビオンとは、誰の事なのか。――紅葉は一度短く息を吸って、歓談の輪に入っていく。しかして紅葉はそれと同時に客人たちの表情や仕草を慎重に観察していた。
和やかに進む夜会の裏で、「探り」は密やかに、そして静かに始まっていたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アリシア・マクリントック
私もDIYを嗜んでおりまして。この刀も私が自分で打ったものなんですよ。
剣は貴族のたしなみですから、命を預ける武器は自ら作りたいとおもいまして、刀匠に師事したんです。
その時のことは話せば長くなるのですが……
鍛冶で有名なある村で見て学び、そして別の村では高名な刀匠に手ずから技術を教わり……二つの村の技術をあわせて作り上げたのがこの鳳刀『暁』です!
僭越ながらナインライヴス卿にはこちらの短刀『昴』を献上したく。数打ちではありますが、私の業の全てを込めた品でございます。
帯刀を咎められたら刀はサムライの魂だから手放せないと言いはる(刀袋に入れて口を縛る等抜けないようにはする)
「お前たち、次の料理を出してくれるか」
「かしこまりました」
主人の呼びかけに応じて、従者たちが動く。テーブルへと魚料理の皿を運び込み、客人たちの前へと配膳していった。
「まあ、見事なお料理ですね」
席に着くアリシア・マクリントック(f01607)は、近海で獲れた魚介類を使ったムニエルに舌鼓を打つ。バターの香ばしい風味と焼き加減が絶妙だ。
「はっはっは。我が領地の民たちが丹精込めて作ったものだからな。皆、よく働いてくれる。領主たる我も彼らの尽力には頭が下がる想いだ」
食事を楽しみながらナインライヴス嬢は頷き、ナイフで切り分けた魚介のムニエルを口に運んだ。
「そういえば、ナインライヴス卿はDIYを嗜んでいらっしゃるのでしたよね」
「ああ。実は我、けっこうな技術系でな。屋敷の中に作業用の工房もあるんだ。こう見えて服飾も得意」
「それはすごいですね……。実は、私もDIYを嗜んでおりまして。この刀も私が自分で打ったものなんですよ」
アリシアはここで傍に置いていた剣を掲げてみせた。
「見事な細工ではないか。クルブシ卿、そちらの審美眼はどう言っている?」
「『素晴らしい芸術品』だねぇ。ぜひ俺のコレクションに加えさせてもらいたいが……」
「それは丁重にお断りします。剣は命を預ける相棒のようなものですから、おいそれとは」
「ははは、そいつは残念だ」
海賊クルブシが肩を竦めた。
「しかし剣を自分で打つとは。我も一度鍛治の手習いはしたことがあるが、どういったいきさつだ?」
ナインライヴス嬢は興味を惹かれた様子でアリシアに問う。
「剣は貴族のたしなみですから、命を預ける武器は自ら作りたいとおもいまして、刀匠に師事したんです。その時のことは話せば長くなるのですが……」
「ほう、とすると弟子入りしたわけか」
「はい。鍛冶で有名なある村で見て学び、そして別の村では高名な刀匠に手ずから技術を教わり……二つの村の技術をあわせて作り上げたのがこの鳳刀『暁』です!」
「実に素晴らしい。……その剣の輝きには我も興味がある。宴席ではあるが、抜くことを許そう」
「では、恐れ入りますが」
アリシアは掲げた『暁』を鞘から抜いた。ランタンの灯りを照り返し、刀身が光る。
「おお……なんとまぁ。見事な刃紋ではないか。我が領地にも鍛治はいるが、まるで遜色ない」
「……なるほど、これは見事だ」
海賊ウムル卿もまた暁の刃の輝きに見入る。
「お褒めに預かり光栄です」
アリシアは剣を鞘に収めて微笑んだ。それから、一振りの短刀をナインライヴス嬢の前に差し出す。
「それからこれは、僭越ながらナインライヴス卿にはこちらの短刀『昴』を献上したく」
「なに。……いやいや、そういうわけにはいかない。我は客人を歓待したかっただけで、何かもらおうという腹積もりではないのだ」
ナインライヴス嬢は緩くかぶりを振った。
「なら俺がかわりにもらってもいいぜ。これもなかなかの逸品……」
「む」
口を挟む海賊クルブシのナインライヴス嬢は僅か眉を顰めた。
誰かに贈り物をしようという時に、それを他人に横取られるのは贈る者としてもいい気はするまい。否、受け取りを断られるのもいい気はしないか。思い至るナインライヴス嬢は、少し悩む素振りを見せてから頷いた。
「わかった。では、有り難く頂戴しよう。丁度懐刀を切らしていたところでな、助かったぞ。礼を言おう」
「ありがとうございます。数打ちではありますが、私の業の全てを込めた品でございます」
かくしてナインライヴス嬢の手へと、『昴』が渡る。
「思わぬ貰い物をしてしまったな。大切にしよう」
「はい、お役に立てていただければ幸いです」
「ふふ。もらえるものはもらってしまえばいいのですわ。領主様はもっと欲張ってもよろしいのですわよ?この私のように」
面白がるように、マダム・プラネッタが笑った。
夜は徐々に深まってゆく。しかして、そこに潜むコンキスタドールは巧妙にその牙を隠し、島を狙っているのだ。戦いは既に始まっていると言っていい。
かくて、夜会は続く。
成功
🔵🔵🔴
セフィリカ・ランブレイ
ちゃんとした夜会とか久しぶり!
《アンタ、いつもの調子はやめなさいよ?王宮で右から左に聞き流してた礼儀作法、ちゃんと覚えてる?》
シェル姉……相棒の魔剣が注意を促してくる。失礼な
放浪中でもお姫様。必要なら礼儀作法はしっかりする!
でも先ずは相手方に良い印象持ってもらわないと
自分の冒険エピソードを面白おかしく語ったり
相手の好きに絡めて話題を作ろう
美術品がらみなら、ほら、シェル姉の話とか
喋る魔剣はネタにはなるでしょ
《そんなご丁重な扱いを受けた覚えがないんだが》
後は、DIY関係でいうなら、私もゴーレム作りとか好きだし
《会場で出すなよ……雰囲気がぶっ飛ぶからな》
大丈夫だよ、ちっちゃいのだってあるからネ!
御園・桜花
「ダークセイヴァーの領主は、不死の方が治めていると思ったものですから。大変失礼をいたしました」
歌姫として参加
UC「魂の歌劇」使用
生を領主を称える唄を歌い興味がなさそうな相手を覚える
「この海をずっと越えた先にある私の居た島は、年中桜が咲き、不死帝を名乗るコンキスタドールが絶対君主として、七百年に亘る一統治世を続けております。あの方の作り上げたシステムは、それを手にしたコンキスタドールだけが使える、世界を統一し唯一の王となれる力を与えるもの。それが分かって、ご自分も飽きてしまったのでしょう。最近は遊びをされなくなりました」
「海も渡れぬコンキスタドールは手に入らぬ力ですもの」
誰が興味を持つか観察する
「ごきげんよう、領主様。お招きいただきありがとうございます」
「ああ、ごきげんよう。礼を言うのはこちらの方だ。よく来てくれた」
セフィリカ・ランブレイ(f00633)は淑やかに一礼し、席に着いた。
「こちらの領主様は純粋なヴァンパイアではないのですね」
同じく招待客として夜会に訪れた御園・桜花(f23155)は、やや意外そうに声を漏らす。
「ああ。父上がそうだが、我はヴァンパイアと人間のハイブリッド。純血の者が治めていることが一般的だというが、ここは当面の間我が預かることになっている」
「そういうところもあるのですね……ダークセイヴァーの領主は、不死の方が務めていると思ったものですから。大変失礼をいたしました」
「よい。我は優秀で勤勉で寛容だ。その程度は不敬とも思わん。」
「寛大!ここの島はいい領主様が治めてるんだね」
着席したセフィリカがそのやり取りを眺めながら感心した。それから姿勢をただし、お行儀よくテーブルに向かい合う。
「……それにしても、ちゃんとした夜会とか久しぶり!」
セフィリカは出身世界においては一国の姫君だ。当然ながら王国にも社交界が存在し、彼女自身も夜会への参加経験は少なくない。礼儀作法だってばっちり――な、はずだ。
《アンタ、いつもの調子はやめなさいよ?王宮で右から左に聞き流してた礼儀作法、ちゃんと覚えてる?》
かちかち。鞘と鍔が音をたて、腰にさした剣が鳴った。意志持つ魔剣シェルファ。彼女の相棒である。
「む。シェル姉、それは私に失礼だよ。私だってお姫様。必要ならちゃーんと礼儀作法はしっかりできるんだから……」
《言う割にはアンタ、【礼儀作法】の技能が足りてないんじゃないかしら?》
「滅多(メっタ)なこと言わないでよ!」
「……ほう、ほう。それはあれだな。インテリジェントソードというものだろう。我も聞き及んだことがあるぞ、実物ははじめて見るが」
ナインライヴス嬢はセフィリカと意志持つ魔剣のやりとりを面白がるように見守りながら口を挟んだ。
「そいつもよさそうな品じゃーねぇか。なぁ、そいつ、いくらだったら譲ってくれる?」
「ちょっと、品がございませんわよ?」
「しかし、我々海賊としてはこんなものを目の前に見せられてはな。そうだろう、若いの」
3人の客人もそれを見ながら好き勝手に口を出す。
「いやいや!いくら積まれても売れないからね!?」
と、セフィリカは反発しながらがばと魔剣を抱えて海賊たちを威嚇した。
「はっはっは。今宵の夜会は実に賑やかだな。領民たちとの晩餐会ではこうはいかない」
「それでは、せっかくの機会です。私も盛り上げ役を務めさせていただきましょう」
上機嫌に笑うナインライヴス嬢の横をすり抜けて桜花が立った。会場の一角に即興の舞台を誂える。その手にデバイスをとった。静かに息を吸ってから、歌声と共に吐く。
「貴方の一時を私に下さい」
――【魂の歌劇】。ユーベルコードの力に織り交ぜて歌い上げる生命賛歌。
「……おー。これは見事」
《ちょっと、セフィリカ。口が開いてるわよ。お行儀よく》
「はっはっは。だが、聞き入るのも仕方あるまい。良い歌声だ」
「そうですわねぇ。素晴らしい歌声……。私の船にもこれくらいの歌姫がいればいいのに」
「まったくだ。俺も今度どっかの島で歌姫でもさらってこようかねぇ」
「くく。ならセイレーンでも捕まえてきたらどうだ」
「そりゃいい。それなら給料くれてやる必要もねぇしな」
客人の3人もそれに聞き入っていた。2人の海賊は無駄口を叩きながらではあるが、決して演奏や歌の邪魔はしない。歌とは元来グリードオーシャンの人々の娯楽文化の中でもっともポピュラーなものだ。こう見えて、彼らは歌い手に敬意をもっている。
「すごいすごい!いい歌だったよ!」
「ああ。我もたしなむ程度に歌は歌うが、悔しさがこみあげてくるほどの素晴らしい歌声だった」
歌を終えた桜花が即興の舞台から席へと戻るのを、ナインライヴス嬢とセフィリカが迎え入れる。
「しかし、こうも美しい歌い手がまだこの世界にいたとはな。……ちなみに、どのあたりの島から来たのだ?」
歌に興味をそそられたナインライヴス嬢が、席に着いた桜花に尋ねる。
「この海をずっと越えた先にある私の居た島は、年中桜が咲き、不死帝を名乗るコンキスタドールが絶対君主として、七百年に亘る一統治世を続けております」
――その『島』は、世界の壁を越えた先のサクラミラージュというのだが。
「なんと。不死帝」
ナインライヴス嬢は嘆息した。
「まぁ、そんな方がいらっしゃいますの?」
マダム・プラネッタが興味を示す。話の続きを促すように、桜花へと視線を向けた。
「あの方の作り上げたシステムは、それを手にしたコンキスタドールだけが使える、世界を統一し唯一の王となれる力を与えるもの。それが分かって、ご自分も飽きてしまったのでしょう。最近は遊びをされなくなりました」
「まあ……」
「ほう。そんな大それた力がまだこの海に残っていたのか」
ふうむ、と首を捻りながらウムル卿もまた口を挟む。
「……ですが、たとえメガリスを得た海賊やコンキスタドールでも、普通の手段ではその“海”を越えることはできません」
桜花は緩く首を振る。その海とは即ち、骸の、と頭に足さねばならぬ領域のことであるが故に。
「いやァ、俺はそういうのはいいな……いや、待てよ。その島にゃ芸術はあんのかい。工芸品とか、美術品とかよ」
「はい。独自の文化がございます」
「そりゃいい。俄然行きたくなってきたぞ」
海賊クルブシが頷いた。
「とはいえ、言っても詮無いことですね。“海”も渡れぬコンキスタドールには手に入らぬ力ですもの」
「……でも、あなたはその“海”を渡ってここに来たのでしょう?」
マダム・プラネッタはその双眸の奥へ、2人の海賊に劣らぬ欲望の光を灯しながら口の端をゆがめた。
「やはり世界は我の知らぬもので満ち溢れているのだな。……そうだ。そのインテリジェントソードも、地元にはたくさん……こう、生えていたりするのか?」
ここでナインライヴス嬢がセフィリカへと水を向ける。その視線は先から鍔を鳴らす魔剣へと注がれた。
《さすがに生えてたりはしないわよ。ごぼうやにんじんじゃあるまいし》
「シェル姉みたいなのがいっぱい生えてるの?それはちょっと想像したくないなあ……」
「はっはっは。冗談だ。……だが、実際に興味はあるぞ。お前からは油の匂いもする。技術系に心得があるな?」
「鋭いね、領主様。実は私、機械と魔法技術を絡めたゴーレムの組み立てなんかが……」
「ほう、機械と魔法のマリアージュ。我と同じくハイブリッドというわけだな」
――かくして。
ものづくりや技術系の話題に対して造詣深くDIYの趣味が合致したナインライヴス嬢はここからセフィリカへの質問攻めを始める。時折口をはさむ3人の客人たちへ、セフィリカと意志持つ魔剣シェルファが丁寧に答えてゆく。
その裏で、桜花は密かな目的を進めていた。――即ち、3人の客人の中に潜んだコンキスタドールが誰なのか。その見極めである。
ここまでのやり取りを反芻し、振り返り、桜花は思考する。
夜も更けはじめた宴たけなわに、密やかな戦いは水面下で続いているのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
まったく、殺伐とした夜会は勘弁だよ。
どうだいお客人、ちょいと外の風に当たりつつ
アタシの冒険譚でも聞いてやくれないかい?
そう『コミュ力』でさらに場を和ませつつ、
主だった面々を会場の少し外へ誘導するよ。
その先に鎮座してるはアタシの相棒、宇宙カブさ。
さぁさお立会い、こいつは一見おんぼろだ。
しかしてこれでも百戦錬磨、並み居る敵をバッタバタ!
アタシとコイツのコンビでね、数多の戦場を駆け抜けたもんさ。
そう口上を述べつつ、ひらりとドレス姿のまま『騎乗』し、
軽やかに水上を『操縦』してみせるよ!
こんだけの腕前と性能を見せつけたら、
羨望か警戒をするだろうね。
さ、テレパスはどう反応する?
「はっはっは……いやあ、今宵の夜会は実に愉快だ。お前たちを招待してよかった」
ナインライヴス嬢はグラスを傾けながら微笑んだ。
「そいつはどうも。おほめにあずかり光栄だね」
数宮・多喜(f03004)は笑みを返しながら頷く。
「刺激的な話ばかりだった。今夜は我も興奮でちゃんと眠れるか不安で仕方がない」
「ほほほ。褒めすぎでございましょう?」
「いやぁ、しかしたしかに面白い話が聞けたぜ。こんな機会もそうありゃしねえよ。なぁ、ジイさん」
「うむ。ミス・ナインライヴスの顔を見に来ただけのつもりだったが、運がよかった」
3人の客人も、猟兵たちが披露した冒険譚や様々な話を楽しんだ様子であった。グリードオーシャンの文化では、こうした会話こそが重要な娯楽なのである。彼らも存分に夜会を楽しんでいた。
「なら、アタシがオオトリを務めさせてもらおうじゃないか。夜会のシメに、どうだいお客人。ちょいと外の風にでもあたりつつ、アタシの冒険譚でも聞いてやくれないかい?」
そこで多喜は更に切り込み、話題の提供を申し出る。
「おお、自信ありげではないか。とっておきの物語があるとみたぞ」
頬杖をつくナインライヴス嬢が面白がるように多喜へと視線を向けた。多喜は頷いて席を立つ。
「ああ。面白いもん見せてやるよ。なに、ほんのすこしだけさ。アタシについてきてくれよ」
「よかろう」
「ええ」
「ああ、なんだかわからねえがついていこうじゃねえか」
「うむ」
ドレスの裾を翻し、進み始める多喜にナインライヴス嬢と客人たちが立ちあがり、ついてゆく。
屋敷の外。夜会の客たちを連れて多喜が向かった先では、一代のバイクが駐輪されていた。――多喜の愛車であるところの、宇宙カブである。
「……なんだいこりゃあ、随分……趣のある……なんだこりゃ」
海賊クルブシが困惑するように首を捻った。
「まぁ、何でございますの?これは」
「見たところ、他の世界に由来する乗り物のようだが」
本来、グリードオーシャンには存在しないものだ。彼らの中にバイクという乗り物を知る者はいない。その困惑は披露する多喜にとってアドバンテージだ。多喜は颯爽と愛車に跨った。
「こいつはアタシの相棒、宇宙カブさ。――さぁさあお立会い。こいつは一見おんぼろだ」
多喜はキーを回し、機体のエンジンに火を入れる。ヴォン。嘶くようにバイクが音をたてた。
「おお……」
ナインライヴス嬢が目を輝かせる。
「しかしてこれでも百戦錬磨、並み居る敵をバッタバタ!」
「おいおい、本当かよ?それにしちゃ随分ぼろっちく見えるが」
半ば冗談めいて海賊クルブシがヤジを飛ばした。多喜はにやりと笑って受け流し、ハンドルを握る。
「見た目に騙されてちゃ二流さ。――なら、見せたげようじゃないか。アタシとこいつの実力ってのをさ!」
ヴォン。機体が走り出す。出力を上昇させ、加速。この世界の基準において、それは凄まじい高速機動だ。ドレスの裾に風を受けながら、多喜は機体を走らせた。領内を流れる川の水面を滑るように水上機動も軽やかにこなす姿を見せつける。
「アタシとコイツのコンビでね、数多の戦場を駆け抜けたもんさ!」
「お、おお……」
「くくく、たしかにこいつはすごいじゃないか」
「これが猟兵なのですわね……」
「はっはっは。素晴らしいじゃないか。なあ、客人。我もそれに乗せてはくれないか?」
「そりゃちょっと難しいねえ……領主様、あんた免許もってないだろう?」
そもそもこの世界に運転免許という概念が存在するかどうかもあやしい。――そして、バイクを知らない者を乗せてタンデム走行は少々危険が過ぎる。多喜は丁寧に断った。
――さておき。
その一方で、多喜は身の内に宿すサイキックとしての力を密かに開放し、【超感覚探知/テレパシーリンク】を行っていた。
グリードオーシャンに存在しないマシンの性能と、それを引き出す自分の腕前を見せつければ、敵対する可能性をもつオブリビオンであればなんらかの反応を示すと考えた故である。
「いやぁ、悔しいがこいつは一本取られたな。……趣味じゃねーが、しかしそれでも欲しいな、アレ……なあ、いくらだったら譲ってくれる?」
海賊クルブシは言葉に偽りなく羨望の感情を素直に見せる。
「あなた、そればっかりですわねぇ。とはいえ、たしかに見事でしたわ」
マダム・プラネッタは心の動きが比較的少ない。
「くくく。幾つになっても新しいものを見ると胸がざわめくな。冒険心が疼く」
ウムル卿はクルブシ同様に素直な羨望と、同時に輝くような憧憬の色を映した。
「おいおいジイさん、それ不整脈かなんかじゃねえだろうな」
「縁起でもないことを言うんじゃない」
「そうだぞ。我、客人の葬式などやりたくないからな」
――かくして。
宇宙バイクの紹介を終えてナインライヴス嬢と客人たちは夜会の会場へと戻る。夜も深まった頃合いだ。夜会はこれでお開きになる。
だが――この中の誰かがコンキスタドールであり、密かに島への襲撃を企てているのは間違いないことなのだ。
先手を打つのは敵か、猟兵たちか。――どちらにせよ、間もなく戦いは始まるだろう。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『武装商船団・雇われ船員』
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POW : 姑息なる武装「商品使用」
装備中のアイテム「【湾曲刀(商品)】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
SPD : 偶然なる連携「十字砲火」
【好き勝手に動く船員達が銃撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 強欲なる叫び「士気高揚」
【誰よりも強い】という願いを【船員達】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
(――2章に参加予定の方へ。
プレイングをご検討頂く前に、1章の内容を確認し、『マダム・プラネッタ』『海賊クルブシ』『海賊ウムル卿』の3名のうち、誰がコンキスタドールであるか。ご回答をMSまでお手紙などでお寄せください。そちらを確認させて頂いたのち、こたえあわせとして2章の導入に入らせていただきます。よろしくおねがいいたします)
――夜会の客に紛れたコンキスタドールは、『マダム・プラネッタ』である。
猟兵たちは、そう結論付けた。
彼女の言動を思い返せば、確かに引っ掛かる点は多い。
例えば、夜会の始まりの時。
島で暮らす領主は外から来た客人がもたらす情報や冒険譚を聞きたがっている。そのことは、参加する客は皆理解していたはずだ――しかし、彼女は「この島の話を聞きたい」と言ったのである。
例えば、紅葉が殺気を見せた時。
いくつもの死線を抜けた海賊の2人が反応を示すのは当然かもしれない。しかし、彼女は商人であるはずが、彼らと同様に『気付いた』のだ。
例えば、多喜がバイクを動かして見せた時。
――彼女だけが、『猟兵』と口にしたのである。
確証に至れる程の材料ではなかったかもしれない。
しかして――結論から言おう。
猟兵たちが彼女に抱いたその疑念は、まさしく正解であった。
ナインライヴス領の東側。島を訪れる船が停泊できるよう整備された港に、マダム・プラネッタの船は錨を下ろしていた。
「――さあ、準備は整っておりますわね?ええ、ええ。勿論。しっかりと報酬は出しますわ」
時刻は深夜0時をまわったところ。夜会を終えて船へと戻った彼女は、甲板の上で彼女の手駒たちへと呼びかける。
「ええ、ええ……さあ、奪い尽くしますわよ。ほほ。こんなに素敵な領地、あんな『雑種』の小娘如きには勿体ないですものねぇ……あの雑種の小娘は晒し首にでもして差し上げようかしら」
優雅な所作で閉じた扇を指揮棒めいて掲げ、マダムは領内の街並みを指す。
「さあ、はじめておしまいなさい。――アア、でも油断はしないで頂戴ね?街まで攻め込めば流石に気付かれますでしょう。きっと猟兵どもが打って出てくるはずですわ」
「アイ・マム。もらう給料の分、仕事はきっちりこなしまさァ」
――かくして、彼らの襲撃は始まろうとしていた。
だが、今ならば間に合う。彼女がコンキスタドールであると看破した故に、猟兵たちはマダムの予測に先んじて、敵が領内を襲うより前に。すなわち、今この瞬間に仕掛けることができるのだ!
御園・桜花
「貴女がコンキスタドールと知れば、メーラ様が嘆かれそうです。女性の頭領に、親しみを感じていらしたようですのに」
「貴女だけが、島のこと、不死帝のことを気にしたように見えたから、ですね」
UC「桜吹雪」使用
船員全て切り刻む
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す
回避不可の場合のみ盾受け
手数が必要になったら高速・多重詠唱で破魔乗せた属性攻撃(雷撃)も連打
「金属を使う方には雷撃が良く効きますし、死者の方には破魔が良く効きますもの。マダムに顎で使われる貴方達は、最強には程遠いと自覚なさるべきかと」
「皆さまどうぞ骸の海へお帰りを。でも最強を目指す心意気があるなら、どうぞ転生を目指して下さい」
慰め乗せた鎮魂歌で送る
猿投畑・桜子
アドリブ歓迎
はー、あの綺麗なおばちゃんがこんきすたどーるだったんかぁ。いやぁおらさっぱりわかんねかったべよ。
んだば、"いぇーがー"のお勤めばきっちりやらねぇとだな!
ほぉらどんどん掛かってくるだ! おめぇ達みてぇ"ちびすけ"にゃあ負けねぇべ!
原初の巨人で15m超の大巨人に変化、向かってくる敵を片端から投げ飛ばし蹴り飛ばし、他の敵にぶつけるなどして薙ぎ払う。
敵の武器がユーベルコードの効果で3倍加しているならば、それごと叩き込めばより効果的だろう。
銃撃は巨大かつ強靭さを増した肉体には豆鉄砲同然。
誰よりも強い願いは、叶えるより早く賛同する敵を叩き潰す。
あるいはその凄まじい威容と戦力で賛同する心を折る。
「さあ、貴方たち。――お仕事の時間ですわよ?」
「へいへい――じゃ、やりますかねえ!」
おお、と夜を裂く男たちの声。行進めいて始まる進撃。マダム・プラネッタの船より、桟橋にコンキスタドールたちが降りる。そして、ブーツの靴音。オブリビオンの魔の手が、ナインライヴス領に暮らす無辜の人々へ伸ばされんとした――その時であった。
「……なんだ?」
不意に、花びらが舞った。
ダークセイヴァーに由来するこのナインライヴス領において、桜が咲くことはない。しかし、そこに広がる光景は仄かに光る桜の花吹雪である。見慣れぬ光景に男たちが訝しんだ。
「――貴女がコンキスタドールと知れば、メーラ様が嘆かれそうです」
そして、その花びら舞う中に、乙女の姿が浮かぶ。
御園・桜花(f23155)である。
「あら――貴女は、先の」
「ええ。ごきげんよう、マダム。……残念です。メーラ様は、おなじ女性の頭領である貴女に親しみを感じていらしたようですのに」
桜花は船上を見上げ、射貫くように鋭く死線を向ける。
「……」
対し、船上のマダム・プラネッタは口の端を歪めて桜花を見下ろした。
「よくぞ私の正体を看破いたしましたわね。――なにかボロがございまして?」
しかして、彼女は面白がるように声を弾ませさえしながら、挑発的に微笑む。
「ええ。……私のお話のとき、貴女だけが、島のこと、不死帝のことを気にしたように見えたから、ですね」
――その瞳の中に、海賊のそれとは明らかに異なる“侵略”の意志を見たからだ。桜花は恐れることなく対峙する。
「はー……あの綺麗なおばちゃんがこんきすたどーるだったんかぁ」
少々出遅れながらも、戦場となる港湾区域に到着した猿投畑・桜子(f26313)は一歩引いた位置から船上のマダム・プラネッタを見上げ、嘆息した。
「いやぁおらさっぱりわかんねかったべよ」
「あっは――。下賎で汚らわしい田舎巨人らしいですわねぇ?」
マダムは嘲るように見下ろしながら、桟橋に展開した私兵たちへと再び視線を投げかける。
「……わかってらっしゃいますわね?この女たちは猟兵ですのよ。手早く殺して差し上げて?」
「アイ、マーム。それなら仕事でなくてもやりまさァ」
――お喋りに時間を費やすつもりはない、とでも言うように。オブリビオンたちが動き出す。火薬の匂い。男たちの手の中でフリントロック銃が音をたてた。
「話し合いの余地はないようですね。……では、参ります」
「んだば、おらたちも“いぇーがー”のお勤めばきっちりやらねぇとだな!」
対して、2人もまた戦闘態勢をとった。先陣を切るように、桜子が前に出る。巨体が走り、桟橋が揺れた。
「ははは!巨人狩りは初めてだぜ!」
「でっけえだけさ!よく見ろ、ありゃ小娘だ。ちょちょいと痛めつけてやりゃいいのさ!」
射撃!男たちの構えたフリントロックが鉛の玉を吐き散らす!
「あまぐ見でっとあとで吠え面かくだぁよ!」
だが、桜子にとってみればそんなものは文字通りの豆鉄砲。少々痛いが耐えられないほどのものではない!桜子は更に踏み込みながら息を吐いた。――印を結ぶように、その手を合わせ指を組む。半ば無意識に口をついて言葉が出た。
「……これで、どうだぁ!」
その血が滾る。血脈を呼び起こす。それは祖先の血を辿り、そして原初の姿をここに現臨させる秘儀。【原初の巨人】を呼び起こす。巨大化した足が、桟橋の建材にひびを入れながら桜子を立たせた。巨大化した腕が、最前列にいた男たちを薙ぎ払った。
「っおおお!」
「な……に!?」
「あんだありゃ……でたらめじゃねえかよ!」
その力を開放した桜子は、額に角を燃え上がらせながら更に踏み込み、叩きつけるようにその腕を振り下ろした!轟音!砕ける建材とともにオブリビオンの群れが悲鳴をあげる!
「ほぉらどんどん掛かってくるだ!おめぇ達みてぇ“ちびすけ”にゃあ負けねぇべ!」
圧倒!15メートルにも届くスーパーロボットめいた巨躯!桜子が押し通るッ!『巨大である』。『重い』。『大質量』。それは、ただそれだけで圧倒的な力として吹き荒れるのである。一挙手一投足。そのひとつひとつが小さき者たちにとってはすさまじい暴力となって襲い掛かる!
「く、くそ……こんな無茶苦茶なのがいるなんて聞いてねえッ!」
「一旦態勢を立て直すんだ……!お、俺たちが負けるはず無え!力を合わせりゃ、俺たちだって……」
押される男たちは、しかし虚勢を張るように声を張り上げた。鬨の声めいたウォークライ。士気高揚を試みているのだ。
「――いいえ。いいえ、そうは在れません。貴方達は、決して“強い”などとは言えません」
だが、その声を遮るように一陣の風が吹いた。――否。風ではない。それは嵐だ。風と共に押し寄せる桜の花弁。【桜吹雪】が男たちを飲み込むように襲い掛かる。
「決意や覚悟も持たず、あちらのマダムに顎で使われるような貴方達は……『強さ』からは程遠いと自覚なさるべきかと」
「ぐ、おお、ッ!」
全身を削り取るような花の嵐を浴びながら男たちが悲鳴をあげる。その暴圧に耐え切れず、幾人かのオブリビオンが爆ぜて消滅した。
「皆さまどうぞ骸の海へお帰りを」
「こ、小癪なぁッ!」
だが、傷を負いながらも生存した男たちが咆哮しながら走る!手にしたカトラスを振り上げ、桜花めがけて襲い掛かった!
「やる気があるのは結構ですが……」
しかし桜花はその太刀筋を躱す。その手の中で桜鋼扇がばちと音をたてた。短い詠唱。桜花の武具に電光が宿る。カウンターめいて振るう一撃!跳ね上げた鉄扇が男のカトラスを叩き落とし、追撃の一閃!
「ぐえあごッ!」
衝撃にのけ反るオブリビオン!断末魔めいたうめき声を上げながら桟橋より水面へと落ちる。
「『誰より強い』――には、程遠いですよ。でも、最強を目指す心意気があるなら、どうぞ転生を目指して下さい」
桜花は油断なく構えを直しながら、更に迫る敵の群れへと鋭く視線を向けた。
「せーぇ――のっ!」
衝撃!
一方、前方の桜子は桟橋を走り抜け、停泊するマダム・プラネッタの船へと激突していた。
「まあ、まあ、まあ――!なんてはしたないこと!――であえであえ!止めなさい、この田舎娘を!」
「了解了解!」
揺れる船上でヒステリックに叫ぶマダム・プラネッタ。その叫びと共に、船内から新手のオブリビオンたちが姿を見せる。敵の増援だ!
「わぁ、まだいただか!」
「戦力を残していたんですね……一度後退しましょう。油断は禁物ですよ」
桜花と桜子はここで一旦後方へと下がり、態勢を立て直す。戦況は猟兵たちが押している状況ではあったが、油断と慢心は何よりの敵だ。2人は冷静に判断し、新たに現れた敵集団と間合いを取る。
――かくして、コンキスタドールの侵攻を阻むべく猟兵たちの戦いは始まったのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
ちっ、マダムの方だったかい!
けれどもこの時間、この瞬間なら、
地の利もこっちにある以上は押し切れる!
さぁ行くぜ相棒……奴らに目にもの見せてやろうじゃないのさ!
【人機一体・天】を発動させてカブを纏い、
その上で夜間『迷彩』を施して『闇に紛れる』。
誰か空から飛び降りたい奴はいるかい?
超特急でご案内さ!
それでなくとも、月を背にしないよう気を付けながら
街の上空にホバリングして。
機を見て一気に急降下!
手近な海賊を『踏みつけ』たら即座に『ジャンプ』して一撃離脱する!
そうして撹乱しつつ、甲板で集団が固まっているところを目掛けて
『範囲攻撃』の『衝撃波』をぶっ放すよ!
アリシア・マクリントック
死の商人御一行にはここで退場していただきましょうか。……変身!ヘパイストスアーマー!
あなた達の心とそのナマクラ、叩き直してあげます!
ジェネシスハンマーで敵を力任せに叩き潰していきます。そしてその合間に敵が手にしている銃や剣といった武器を『錬成』して作り変え、奪って味方に渡したり自分で使ったりしましょう。
これでよくわかったでしょう。武器にとって大事なのは素材ではなくそこに込められた想いであると。
いい勉強になったとは思いますが……お代はいただきませんよ、私は商人ではありませんから。
その代わり……この世界の『未来』を返していただきます!
才堂・紅葉
崖の上で蒸気ギターをかき鳴らし【存在感】を発揮する
派手な【パフォーマンス】は奴等を動揺させ、かつ注意を引き付ける為だ
趣味は一割ほどである
「折角の気持ちのよい夜会の余韻。なのに、少しばかし無粋ではありませんか?」
優雅な声かけと同時に、ギターの弾き鳴らしで音波【属性攻撃】ガジェットの【衝撃波】を【メカニック】で放つ
殺傷力は低いが広範囲に衝撃を当て、怯ませるのに有効だ
後は躊躇わず、背中向けに海老反りジャンプからのムーンソルトダブルニー
ローで崩しその場で海老反りからサマーソルトキック
海老反りでスープレックス等を駆使して戦闘
銃撃や斬撃は【野生の勘】で海老反りブリッジ回避だ
「夜会の海老美味しかったですね」
「下賎な猟兵どもが、よくもこの私の邪魔を……許せませんわ!」
船上においてコンキスタドールの首魁たるマダム・プラネッタが叫ぶ。
「やられっぱなしじゃあいられねえよなァ!」
その声に応じるように、カトラスとフリントロックピストルで武装した男たちが船上から桟橋へと降りた。再び攻勢に出るべく、領内の街へと続く進路へと駆けてゆく。
「――いやいや。そういうのはよくないですね」
だが、その時である。
夜の静寂を裂くように、ギターサウンドが響き渡った。
「なに……!?」
「新手の猟兵か!」
「ええ、ええ。ご明察。――しかしですね。折角の気持ちのよい夜会の余韻。なのに、少しばかり無粋ではありませんか?」
声の出所を探し、オブリビオンの群れは困惑しながら周囲の気配を探る。――才堂・紅葉(お嬢・f08859)は、港を見下ろす小高い崖からそれを見下ろして再びギターの弦に指をかけた。
「ロマンティックにセレナードでも弾きましょうか。そうしたら、少しは静かになるでしょう!」
ぎゅいん、ッ!蒸気ギターが唸りを上げる。音に乗せて放たれる音圧の衝撃波がオブリビオンたちに襲い掛かった!
「ぬうッ!」
「クソ、小癪なことを!」
衝撃に阻まれ二の足を踏む男たち。倒しきるには至らないまでも、怯み、その足が止まる。
「何をしてらっしゃいますの!早くお進みなさい!」
苛立つマダムの声が響く。舌打ちする男たちは視線を上げ、歯を食いしばりながら足を踏み出した。
「そうはいかないさ!ここは今から通行止めだよ!」
その道を遮るエンジン音と共に吹き込む一陣の風!バイクを駆る数宮・多喜(f03004)だ。
「ええ。通すわけにはまいりません。……マダム・プラネッタ。冒険商人の方だと伺っておりましたが……死の商人とおっしゃるのでしたら、看過できません。ここで退場していただきましょうか」
そして、並び立つようにアリシア・マクリントック(f01607)が男たちの行く手を阻むように桟橋から領内の街へと通じる道を塞いだ。
「小癪な小娘ども……お前たち!やっておしまい!」
「アイ、マム……構うこたぁねぇ!数はこっちの方が多いんだ……叩きのめしてやれ!」
「おお!ブッ殺してやる!」
男たちは息を吐き出しながらカトラスとフリントロック銃を抜き放ち、尚も進攻する。対峙する2人の猟兵が、迎撃の態勢をとった。
「そんな武器では、私は倒せませんよ――いきます!変身っ!」
アリシアの腰で巻かれたベルトが唸る。収束する光はセイバークロスの輝きだ。展開する強化外装を纏って、アリシアは敵の群れに対峙する!
「ヘパイストスアーマー、アクティブ!」
アリシアは更にその上から追加装備を展開した。火を纏い槌を携えるヘパイストスアーマー。地を踏み砕きながらアリシアは走る!
「向こうもヨロイか。それなら、こっちも負けちゃいられないな――さぁ、行くぜ相棒」
スロットル。多喜に応えるように、彼女の跨る宇宙カブのライトが明滅した。車体は急加速しながら発進し、エンジン音を響かせ飛ぶ。そして車体に無数の亀裂が走り、そしてばらばらに分解された。
「奴らに目にもの見せてやろうじゃないか――チャージアップ!」
【人機一体・天/チャージアップバディ・ジェットドライブ】!機体のパーツは多喜を中心に鎧を形作るように集まり、再構成!アリシアに続いて、鋼を纏う2騎の猟兵が桟橋を駆けた!
「アーマーだとぉ!?」
「アーマーですよ!あなた達の心とそのナマクラ、叩き直してあげます!」
アリシアは両腕で握りしめた戦槌を振りかぶる!鋼鉄の威容に怯む敵陣目掛け、飛び込みながら叩きつけた!
「グアーッ圧死!!!」
轟音!粉砕!衝撃がオブリビオンの群れをまとめて吹ッ飛ばす!
「なんつうパワーだ……!」
「間合いを取れ!囲んで叩くんだよ!」
「お、おおッ!」
辛くもハンマーの一撃を逃れたオブリビオンたちは陣形を再編。アリシアを包囲して叩く作戦に出る。
「そうはいきませんよ、っと!」
だが、そこに再びギターの音圧が浴びせられた!紅葉が援護に入る。更に響くエンジン音!バイクアーマーが出力を上げ、多喜は宙を駆ける。
「う、うおお……ッ!」
「誰か空から飛び降りたい奴はいるかい?――遠慮するなよ!超特急でご案内さ!」
急降下!猛禽が獲物を捕らえるように、多喜がオブリビオンを掴み上げる。そのまま空中へと連れ去り、高高度から水面へ向けて叩きつけるように放り投げた!着水!衝撃に耐え切れず爆散!
「グアーッ溺死!!」
「次いくよッ!」
多喜は再び空中を機動し、次なる敵に狙いを定めた。
「く、クソッ、鬱陶しく飛び回りやがっ……」
「えいやっ!!」
「グアーッ粉砕骨折!!」
そして、敵が空中の多喜に気を取られた瞬間に攻め込むアリシア!ハンマーで見事にカッ飛ばす!まとめて爆発し骸の海へと還るオブリビオンの群れ!
「派手にやりますね、あちらは!」
一方紅葉は崖を下って主戦場となっている港へと降りていた。アリシアと多喜の攻め手は敵を制圧しつつあるが、万が一の撃ち漏らしに備えたのである。
「……チクショウ!」
その瞬間である。破れかぶれで飛び出した男が、一瞬の隙をついて抜け出した。アリシアの脇をすり抜けながら、銃を掲げて領内を目指す。だが、先手を打って備えていた紅葉がそれを阻む!
「そう甘くはいきませんよ」
紅葉は銃撃を躱しながら徒手格闘の構え。敵が走る。カトラスを向ける。紅葉は太刀筋を見切りながら近接の間合いへと詰め、足を払った。痛烈なローキックが文字通りオブリビオンの足を止める。
「グア……!」
「――ここは、これでいきましょうか!」
紅葉は更に素早く男の背後に回り込み、腰を抱えて海老反り!即ち投げ放つジャーマンスープレックス!
「グアーッ頭蓋骨陥没!!」
見事な海老反りであった!これこそは彼女の戦闘技術のひとつ、【才堂式柔術居反り投げ・黒虎/ブラックタイガースープレックス】!海老の動きを模した形意拳に類する体術である。
「夜会の海老美味しかったですね」
敵を石畳に沈めた紅葉は海老反り姿勢から態勢を整えて更に転進し、次なる敵を迎え撃ちに行く!
「く、くそ、こいつら……がふッ!!」
「半端な気持ちでは、私たちには勝てません」
剣に貫かれ、オブリビオンが倒れ伏す。それを握るのはアリシアだ。倒れた敵から取り上げたカトラスを、【武器錬成/ウエポンクリエイト】の力で再錬成した刃である。その鋭さは、元のカトラスを大きく凌駕する。業物級の逸品だ。
「これでよくわかったでしょう。武器にとって大事なのは素材ではなくそこに込められた想いであると」
「おのれ、猟兵……!よくも私の傭兵たちを!」
「いい勉強になったでしょう?……お代はいただきませんよ、私は商人ではありませんから」
投げかけられる怒りの視線を、アリシアは微笑みながら受け流す。そして、再び戦槌を構えなおした。
「行くぜ相棒……天翔ける、翼となれ!」
そして、高高度から流星めいて地上へと駆ける鋼鉄の蹴り足。かなりの数の敵集団を排除した。残るオブリビオンたちは猟兵たちの攻撃を恐れ、二の足を踏んだ集団が攻めあぐねて固まっているのみだ。多喜は敵の群れに目掛けて、鉄槌を振り下ろすかのように急降下して飛び込んでいく!
「に、逃げ……」
「いえ、もう少しゆっくりしてはどうです?」
中空より迫り来る多喜の姿を恐れ後退しようとする男たちへと、再びギターサウンドが浴びせられる。音の衝撃に痺れ男たちが動きを止めた。ゴーサインを出すように、紅葉が空へ向けて親指を立てる。
「これで……どうだあッ!」
「グアーッ爆死!!」
そして、着弾。
加速度と質量はそのまま激突の衝撃となり、轟音と共にオブリビオンたちを文字通り粉砕し骸の海へと帰す。マダム・プラネッタはその様を見ながら、ハンケチを噛んだ。
「なんてことをしてくださいますの!!高貴な純血種たるこの私が!!あの下賎な“雑種”の小娘から領地を召し上げようとしているだけですのに!!こんな邪魔ばかり!!」
「なるほど、目的は島の乗っ取りだったというわけですね」
喚き散らすマダム・プラネッタを見上げ、紅葉が肩を竦めた。
「そんな横暴……私たちが許しはしません!奪おうとしていたこの世界の『未来』、返していただきます!」
「ああ。お前みたいな奴には渡さないよ!」
「下賎な者どもが……!お前たち!ぼさっとしてないで早く奴らをやっておしまい!」
猟兵たちは再び戦闘態勢をとり、侵略者へと対峙する。マダム・プラネッタは僅かに残った傭兵たちを呼び、僅かに残った者たちへと更に攻撃を命じた!
月明かりの下、戦いは続く!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
菅生・雅久(サポート)
アドリブ歓迎
見て見ぬふりが出来ないタチなんだ
俺で良ければ手を貸すよ
サバイバルが得意で、応急処置も可能だ
楽しい事は大歓迎
全力で楽しむのは礼儀だろ?
演奏なら俺も得意だ、1曲披露しよう
酒は好きだが強くない
恋人の話になると惚気出すが大目に見てくれ
バイクでの機動戦が真骨頂で
神鳥【カムロス】は単独行動や騎乗も可能だ
隠密性はカムロス
移動・戦闘力優先ならバイク
広範囲の探索や追跡は任せろ
足で掻回し先制狙いや遊撃は燃える
自分を囮に撹乱や飛び道具での援護も可能だ
敵を観察しゴーグルで解析
弱点を炙り出し鎧を砕く
大剣に炎や雷を纏い深く貫く事もある
仲間の無事と勝利は第一に
だが、敵の事情にも心が揺れる…他に道はなかったのか…
蛇塚・レモン(サポート)
いつも元気で優しく、快活な性格
その身に蛇神を宿す19歳の娘
霊能力と保有する技能及びアイテムを駆使して事件解決を試みます
普段の口調は語尾に『っ』を多用します
時々「蛇神オロチヒメ(裏人格)」ですが老人口調NG
UCで召喚されると巨大な白蛇として顕在化
戦闘スタイル
召喚術士だけど前衛役も出来るパワーファイター
武器は蛇腹剣と指鉄砲から放つオーラガン
基本的に脳筋だけど、左目の蛇神の眼力の催眠術で敵に幻覚を見せたりUCで行動不能に陥らせたり絡め手も得意
多少の怪我は厭わず積極的に行動
また、例え依頼の成功のためでも、他の猟兵に迷惑をかけたり、公序良俗に反する行動はしません
あとはお任せ
よろしくおねがいします!
ミスト・ペルメオス
【POW】
オブリビオンだから、とはいえ…「少し」不快だな。
ともかく――当機も遅ればせながら加勢します。
愛機たる機械鎧(人型機動兵器)を駆って参戦。
敵――マダム・プラネッタの手勢が歩兵だろうと一片の容赦も無し。
スラスターを駆使して飛翔、立体的な戦闘機動を行いつつ敵勢の上空より仕掛ける。
【オープンファイア】。可変速ビームキャノンとビームアサルトライフルによる対地掃射。
夜間ゆえに視界が悪いが、機体のセンサー類や各種デバイス、自らの念動力も駆使して探知。
誤射・誤爆の回避を試みながらも敵勢に砲火を叩き込んでいく。
余裕があれば敢えて超低空を滑空、威圧しながらの攻撃も試みる。
※他の方との共闘等、歓迎です
現状を整理しよう。
グリードオーシャンに浮かぶ島々の中の一つ、ダークセイヴァーの文化圏にルーツをもつ『ナインライヴス領』。ここにオブリビオンが迫っている、というグリモア猟兵からの情報によって、猟兵たちはこの島を訪れた。
ダンピールの領主、メーラ・ナインライヴス嬢の開いた夜会の招待客の中に紛れ込んでいたオブリビオンの正体を見抜いた猟兵たちは、島の人々に襲撃を仕掛けようとしていたオブリビオンたちの船が停泊する港を急襲。幾合かの交錯を経て、ここに至る――ということである。
「やれやれ、まったく。つく側を間違えたかねぇ」
「ハハ、違いねェや」
敵群は総崩れの状況にあると言える。マダム・プラネッタを名乗るオブリビオンの配下として雇われた男たちは、既に趨勢が決しているこの状況にぼやいた。
「――無駄口叩いてる暇がありますの!さっさとお行きなさい!」
不満を漏らした男たちを、マダム・プラネッタがどやす。肩を竦めた男たちは諦めたように首を振ると、得物を構えて攻撃態勢に入った。
「なるほど、そういう状況か」
救援要請を受け現着した菅生・雅久(f09544)は、愛車のエンジンに火を入れる。吼えるように音をたて、メッザノーテが始動した。
「オッケーオッケー。全部やっつければいいシンプルなお仕事でしょ?あたい“たち”にぜぇ~んぶまっかせなさ~いっ!」
同じく要請を受けて戦場に到着した蛇塚・レモン(f05152)が勾玉を握り込む。身に宿した蛇神の力を励起。高まる霊力に空気が震えた。
「小賢しい猟兵ども……!お前たち、早く始末しておしまい!」
激昂するマダムが船上からヒステリックに叫ぶ。仕方なし。フリントロックとカトラスを掲げ、手勢たちが走り出す。
「オブリビオンだから、とはいえ……『少し』不快だな」
駆動音。ブースターの推進剤を噴かし、鎧装ブラックバードが空より敵の群れを見下ろした。
「ともかく――当機も遅ればせながら加勢します。共に戦いましょう」
ミスト・ペルメオス(f05377)は、胸の中に淀んだ感覚をおぼえる。――マダム・プラネッタを名乗るオブリビオンの高慢さ、傲慢さ。その圧制的な空気が、彼の目にはひどく醜いものとして映っていた。
「ああ、俺で良ければ手を貸すよ」
「ええ、ぱぱっとやっつけちゃいましょっ!」
かくして3人は戦闘態勢を整え、迫りくる敵群へと相対する。
「さあ、いこうか!」
「はい!仕掛けます!」
雅久がアクセルを吹かし、メッザノーテのエンジンが咆哮。ターボ!即座にトップスピードに到達した車体が高速で駆け抜け、敵集団に突っ込んだ。同時にブラックバードが機動!
「相手が歩兵でも……」
宙を舞うブラックバードの機体が携行するビームアサルトライフルの筒先を桟橋へと向ける。トリガー。光弾が爆ぜて男たちを襲った!
「グアーッ蒸発!」
「いくぞ、メッザノーテ!」
ビーム光の中をメッザノーテの車体が駆け抜ける!雅久は最高速で突っ走り、敵群へと激突!
「グアーッ衝突事故!!」
衝突したオブリビオンは迎撃する間もなく衝撃に吹き飛びきりもみ回転しながら海に落ちて爆発する。雅久は更に機体を駆り、ライフルを抜き放つ。ベネトナシュの銃口を向けてそのまま素早く射撃!弾丸が奔りまた一人オブリビオンを骸の海へと還す。
「ちッ!道交法がないからって好き勝手しやがって!」
「あたいも好き勝手させてもらうわよっ!」
怯むオブリビオンたちへと、レモンが続けて飛び込んだ。その手首でブレスが光る。高めた霊力を指先に収束し放つオーラガン。光弾がオブリビオンを撃ち抜く!
「グアーッ!」
「この……クソアマ!」
反撃!うろたえながらも男は銃を抜き、レモンにその銃口を向ける。
「あたいと早撃ち勝負するっ?負けないよっ!」
だが、レモンは即座に指先を向ける。収束するオーラ光が弾丸となり、男のフリントロックが火を噴くより速く閃光が奔った。
「くそ、こうなるとわかってりゃ来るんじゃなかったぜ!」
「まあ!なんて情けない!それでも海の男ですの!」
船上のマダム・プラネッタに罵倒めいた叱咤を浴びせられながら、僅かに残ったオブリビオンたちは舌打ちして武具を構える。
「……もう止めた方がいいんじゃないか」
敵群の士気は明らかに低く、既にほとんど戦意を残していない。憐れむように雅久は目を細めた。
「悪いな、こっちも仕事なのさ……来な、ブッ殺してやる!」
「わかった。なら、全力で相手をするのが礼儀だな!」
憎まれ口をたたくオブリビオンの男は既に敗北を悟っている。虚勢であった。しかし雅久は油断なくライフルを構える。銃声。フリントロックが火を噴くよりも先にベネトナシュの銃口が吼える。弾頭が爆ぜ、男を骸の海へと還した。
「ああ、なんてこと!使い物にならない役立たずばかりで、本当に嫌になりますわ!」
かくして敵群は壊滅に至り――船上のマダムが激昂しながら叫ぶ。
「……醜いですね」
「なんですって?」
その醜態にミストが零した言葉に、マダム・プラネッタが睨む視線を向ける。
「お前は、醜いと言ったんです」
ブラックバードが武装を開く。ビームキャノンが駆動し、砲門を眼下へ。ターゲット・ロックオン。照星の先にマダム・プラネッタの船を捉える。
「まあ、まあ、まあ――!なんて不遜な!下賎な猟兵どもが、よくもこの私にそんな口を!」
「そうやって人を見下して……お前のようなオブリビオンを止めるために、私はここに来たんです!」
閃光!コクピットの中で、ミストはトリガーを引く。ビームキャノンの砲門が咆え、光が船を貫いた!
「ああ、ああ、ああ!ははは!やってくれますわね。やってくれますわね!」
爆ぜる光に砕ける船上で、しかしマダム・プラネッタは笑った。
「そんな余裕があるのかなっ!これでとどめだよっ!」
轟音!咆哮ッ!ビーム砲撃に揺らいだ船に、更に巨大な影が激突する!
《まったく》
首をもたげたその威容は、巨大な白蛇の姿をしていた。――オロチヒメ。レモンの裡に在る蛇神の顕現である。
《不遜はこちらの台詞よな》
「ははははは!大層なものを出してきましたわねぇ!」
蛇神の威力にオブリビオンの船がとうとう砕け散る。逃れるように跳んだマダム・プラネッタは海へと落ち――そして、水面に立った。
「役立たずの手駒ももう種切れ……。となれば、私もそろそろ手を出さなくてはなりませんわねぇ?」
だが、船を砕かれてなおマダム・プラネッタは余裕さえ残した表情を見せる。そして、口の端を吊り上げながら猟兵たちを見た。
ごぼ。
水面が泡立ち、そして揺れる。――オブリビオンの立つ水面が、舞台装置めいてせり上がる!
「あれは……!」
「隠し玉、というわけですか!」
「ええ、ええ、ええ!面倒だから出したくなかったのですわよぉ!」
威容!水面に異形が顔を出す。その上に立ったマダム・プラネッタを名乗るオブリビオンは、海より港を睥睨して哄笑した。
「ほほほほほ!これがわたくしの切り札ですのよ!徹底的に蹂躙してくれますわ。お前たち下賎の者どもも!醜い混血種の分際で領主などと気取るこの島の小娘も!」
《どうする、レモン》
「決まってるよ……やっつけようっ!」
水面に浮かんだ威容を前に、猟兵たちは対峙する。
かくして、ナインライヴス領を襲うオブリビオンとの戦いは、これより詰めへと入る!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『『侯爵夫人』と『島喰らい』』
|
POW : 島を喰らう牙
【『島喰らい』の牙 】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : ホエールシャーク・アンサンブル
【『島喰らい』の 】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【『侯爵夫人』】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ : コラプシング・ノクターン
装備中のアイテム「【堕落の音色を奏でるハープ 】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠銀山・昭平」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ほほほほほほ!私こそ麗しくも気高く誇り高き『侯爵夫人』ですのよ!」
――異形の怪魚、『島喰らい』の上に立ち、マダム・プラネッタ――『侯爵夫人』が哄笑する!
「もっとスマートに制圧するつもりでしたのに……あなた達のせいですのよ?あなたたちのせいですのよ!ほほほ!」
『Grr,rrRrWwW……』
獣めいて唸る『島喰らい』。その躯体が、低く唸りながら桟橋より港へと上陸すべく身を乗り上げた。
「できれば無傷でこの領地を召し上げたかったのですが――まあ、いいでしょう。私が許しますわ。さあ『島喰らい』!ゆきなさい!思うままに喰らい、蹂躙なさい!ほほほほほ!」
『GGGrrrRrRWwWwWW!』
そして、咆哮。
――かくして、その本性を現したマダム・プラネッタは異形の怪魚と共にナインライヴス領へと再び進攻を開始する!
蛇塚・レモン
<WIZ>
あたいの世界の諺に、こういうのがあるんだよっ!
『将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』!
ってことで、出番だよ、ライム!
勾玉から燃え盛るライムの魂魄を顕現
火属性鎧無視攻撃の爆撃と衝撃波で味方を援護してねっ!
ここでマダムが仕掛けてくるのはお見通しだよっ!
あたいのオーラ防御+蛇神様の鋼の身体を防音壁に音色を受け止るね
蛇神様は行動不能になるかもだけど、その神威と呪詛は自動発動するよ
※カウンター+だまし討ち+呪詛+念動力+マヒ攻撃
堕落の音色が弾かれて敵達が自滅したら
伸縮自在の蛇腹剣でマダムを島喰らいごと一閃!
※範囲攻撃+なぎ払い
残念っ!
あたいは将も馬も全部まとめて斬り捨てちゃうよっ!
喰らえーっ!
才堂・紅葉
「はっ! ようやく盛り上がってきたじゃない」
アーミールックに早着替え
「蒸気王!!」
指を鳴らす
戦闘方針は、『島喰らい』の上陸阻止
「蒸気王」で【グラップル】を仕掛け、街への被害を食い止めたい
【戦闘知識】で【地形を利用】し、一番被害の小さくなる場所への誘導を目指す
【怪力】で殴りつけつつ、【見切り】で装甲の厚い部分で【オーラ防御】して粘ります
街ごと潰す突進に対しては、真の姿と【超蒸気王】の【封印を解く】ことで対応
限界超過の出力で受け止め、【カウンター】のプロレス投げの【重量攻撃】で街から少しでも遠くに【吹き飛ばし】を狙う
後はもう【気合】で怪魚と殴り合います
「三分しか持たないわ! 手早く決めて!!」
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
はっ、笑わせるね。
スマートにだぁ?無傷で召し上げる?
その後滅茶苦茶にするのが目に見えてるじゃねぇか!
そんな輩にゃ客人としての礼は要らねぇだろ。
さっきの三下共と同じく、海の藻屑になっちまいな!
……骸の海の藻屑にな!
まずは引き続きカブを纏ったまま、
真正面から『島喰らい』にぶちかましを掛けるよ。
もちろん体格差が違い過ぎるからね、
思い切り弾き飛ばされるだろうさ。
その勢いを逆に利用し、後方に『ダッシュ』して加速!
最高速までの加速時間を縮めるよ。
そうして最高速に至ったなら『ジャンプ』一番!
マダムごと『島喰らい』に【黄昏砕く脚】を叩き込む!
夜明けにゃ早いが、眩しくてゴメンな!
「ほほほほ!さあ、行きなさい!」
『GGgGGgGrRRrRRwWwWW!』
ざ、ッ!押し寄せる波めいて海水と共に陸へと乗り上げた『島喰らい』が咆哮し、そして攻め入る!怒涛の如く激しさで、その巨躯が進撃を開始した!
「はっ! ようやく盛り上がってきたじゃない」
しかし才堂・紅葉(f08859)は恐れることなくその進路上に立った。羽織るミリタリージャケットは彼女の戦意を示す。
「まったくだねぇ。――それじゃ、派手にシメてやるとしようか」
数宮・多喜(f03004)はその隣で愛車に跨りながら、向かい来る敵の姿を見据えた。
「それじゃ、ここは共同戦線だねっ。よろしく頼むよっ!」
蛇塚・レモン(f05152)もまた戦線に加わりながら、3人は迎撃態勢を整える。――轟音と咆哮。今や眼前には迫りくる巨体の威容。『侯爵夫人』。すなわちマダム・プラネッタと『島喰らい』が襲い来る。
「OK、それじゃあ行きましょうか――蒸気王ッ!」
ぱちりと音を鳴らして、紅葉は走りながら指を弾いた。合図に応じて躯体が唸る。轟音!それは侵攻する島喰らいの足元からだ。異形の怪魚を打ち上げるように、突如地面の下から拳が突き出た!
『GgGGRrR!!』
衝撃に立ち止まる『島喰らい』。その隙に紅葉は走り、そして現れた鋼鉄の巨人へと飛び込んだ。吼えるヱンジン、スチヰム唸る。ここに立つ姿はアルダワ魔導機械技術の成果たるゴーレム、蒸気王!紅葉は蒸気王の操縦席でレバーを押し込んだ。鉄の拳で更に『島喰らい』をぶん殴る!
「多喜!こっちは私が抑えるわ。任せるわよ!」
「ああ、わかったよ!――負けてられねぇな。行くぜ、相棒!」
ヴォ、ッ!響くエンジン音。多喜は愛車であるカブを再び分解。鎧として再構成し、再び人機一体へと至る。背面のブースターに点火。その躯体が加速した!
「あたいも援護するよっ!――ってことで、出番だよ、ライム!」
『妹使いが荒いんだから……わかったよ、姉さん!』
更にそれを追って走るレモンが勾玉を掲げる。赤い光。そして顕現するのは炎を纏う女の姿だ。蛇塚・ライム。レモンの妹にあたる蛇神である。式としてこの場に招聘されたライムは、滑るように空を駈け最前線へと馳せ参じる!
「まあ、まあ、まあ!見かけはなかなか派手にやりますのね?でも――実力はいかほどかしらッ!!」
マダム・プラネッタがあざ笑うように口の端を歪める。島をも喰らう鋭く強靭な島喰らいの牙が蒸気王を襲った。凄まじい咬合力!万力めいた強力な顎の力が蒸気王の片腕を噛み砕く!
「く……ッ!まだまだッ!」
しかし怯んでいる暇はない。レバーを押し込み、紅葉は蒸気王と共に吼える。残った片腕でカウンターパンチ!島喰らいの顔面に強烈な一撃を叩き込んでやる!
「その程度のパワーで私の『島喰らい』を倒せると思ってかしらァ!」
「倒せる倒せないじゃなくって――倒すんだよっ!ライム、よろしく!」
『わかってるって!』
「――なんですって!」
側面、上方!実体を持たぬ魂魄体として現れたライムは重力の枷に囚われず、その姿は島喰らいの上に鎮座するマダム・プラネッタの真横に踊り出る。ライムはそのまま踊るように腕を払い、虚空に生み出した炎をオブリビオンへとたたきつけた!
「くうううう、ッ!!下賎なあばずれどもがッ!よくも純血種の高貴なるヴァンパイアであるこの私にいぃッ!」
裂帛!燃え上がる劫火を、オブリビオンの存在圧が振り払う!激昂とともにマダム・プラネッタは双眸を血走らせ、その手にハープを抱えた。――それは、メガリスだ!堕落の音色を奏でるハープ。聴く者の精神を削り取り生命力を奪う邪悪な秘宝である!マダムはその指先をハープの弦へと添わせ――
「そうは、させるかッ!」
「な……ッ!!」
側面よりの急襲ッ!出力を上げたブースターで十分な加速を加えた必殺の蹴り足!多喜がマダムへと仕掛ける!
「野蛮な!」
「どっちがだよ!」
だが、マダムは身を翻しながら盾代わりに突き出したハープでその蹴り足を叩き、シールドバッシュめいた迎撃エネルギーのベクトルを逸らした。多喜は僅かに後退し、島喰らいの背へと降りる。僅かに間合いを置いてにらみ合う2人。
「――言ったはずですわ。私はただ、高貴なる純血種の吸血鬼の務めとして、あの薄汚い混血(ダンピール)の小娘から、より相応しき統治者である私の手へこの領地を召し上げようとしていただけだと」
「は――そんなのただの乗っ取りだろ。スマートにだぁ?無傷で召し上げる?その後滅茶苦茶にするのが目に見えてるじゃねぇか!」
多喜は真っ向から対峙し、鋭く敵意を交わしあう。――しかし、ここで島喰らいが全身を震わせた。がりがりと石材の削れるような音がする。僅かずつであったが、島喰らいが領内へと向かって進んでいるのだ!
『GGGGggGrRRrRR!』
「ぐあ……っ!」
操縦席内で紅葉が苦悶の声をあげる。――島喰らいの凄まじいパワーに、蒸気王が押し込まれつつあるのだ!
「紅葉!」
「く、……ッ!もう、少し……もう少しだけ、……ッ!」
「ほほほほ!あとどれくらい持つか見ものねえ!」
「蒸気王……、超過、駆動ッ!」
【超蒸気王/スチームジャイアント・オーヴァーロード】!紅葉は操縦桿を押し込み、蒸気王の出力を上昇する!ご、ッ!戦況が傾いた。反撃に打って出るように、蒸気王が島喰らいを押す!
「三分しか持たないわ! 手早く決めて!!」
僅かな逡巡。そして決断。多喜は島喰らいの背を蹴り、ブースト機動。一旦空中へと逃れる。
「……レモン!こっち頼む!」
「おっけー!それならマダム、あたいがあんたの相手をしたげるよっ!」
「ほほ。小癪な小娘が!」
レモンはマダム・プラネッタと睨みあい、互いに攻め手のタイミングを伺う――。
「エンジン、サイキック、全開……!」
一方、宙へと舞った多喜はブースト機動で島喰らいとの間合いを取った。
『助走』には、これくらいの距離で十分だろう。咆哮するエンジンへと、更に火を入れる。そして、加速。――出力を上げる。スピードを上げる。十分な『助走』の距離を稼ぎ、そして至るトップスピード!その眼前に目標を捉え、鋼を纏うその身体が流星めいて敵の巨体へと向けて奔る!
「てぇいやぁぁぁぁぁ!」
【黄昏砕く脚/クリムゾン・トラッシュ・キック】!
凄まじい加速度と纏った電光、そして熱量のすべてを多喜は島喰らいへと叩きつける!爆轟!轟音!
「夜明けにゃ早いが――眩しくてゴメンな!」
『GGGgGGGWWWwwWWW!』
悲鳴めいた咆哮とともに、島喰らいが揺らぐ!――島喰らいは困惑していた。『何故』『か弱い生き物が』『これほどまでに!』。今まで感じたことのない苦痛が全身を駆け巡っている。骨格がひしゃげ、内臓が圧し潰されるのに似た感覚。激痛と困惑で思考が停止する!
「ええ、期待通りよ……なら、ぶちかましてやるわ。動きなさい、蒸気王ッ!」
駆動音!動きを止めた島喰らいへと、蒸気王が再び迫る。操縦桿を押し込んで紅葉はもう一度叫んだ。蒸気王の腕が島喰らいを掴む。
「だあああああッ!」
そして、全身全霊!唸るヱンジン!蒸気王は全身の駆動系をフル稼働し、そして掴み上げた島喰らいを海へとめがけて放ったのである!
「なん……ですって!?」
ここで困惑するのはマダムである。――島喰らいが、猟兵如きにここまで押されている!蒸気王に掴まれた時点で島喰らいを離れ地上に降り立っていたマダムは苦々しく眉根に皺を寄せた。
「あたいの世界の諺に、こういうのがあるんだよっ!『将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』――ってね!」
「島喰らいを叩いて馬を射た、とでも言うおつもり?おふざけはそのくらいにして頂戴!勝った気になるにはいささか早くてよ!」
そこに追撃をかけるようにレモンが剣を振るった。蛇腹剣が鞭めいて伸びながらマダム・プラネッタを追い立てる。
「この音色で……!」
マダムが反撃の構えを見せる。構えるのは秘宝たる堕落のハープ。指先を添え、そして奏でた!呪撃!呪詛を乗せた音色がレモンへと襲い掛かる!
「それを仕掛けてくるのは――」
《――お見通し、だ》
だが、レモンはその一枚上手を取った。彼女を守護する蛇の神格が表出する。オロチヒメの加護がオーラ防壁となって呪撃を阻んだのだ。
「馬鹿な……!」
「残念だったね、っ!」
レモンはそのまま更に踏み込んで、もう一度剣を薙ぐ!
「喰らえーっ!」
「ぐあ……っ!」
ざ、ッ!マダムの胸元で血飛沫があがった!――決して無視できないダメージ。マダム・プラネッタはぎりと歯噛みしながら猟兵たちを睨みつける。
「私としたことが、あなたがたを過小評価してしまっていたようですわね……!はッ!」
マダムはそのまま地を蹴って後退する。そのまま踏み切って、水面へと跳んだ。そして再び島喰らいの上へと降りる。
「もう容赦は致しませんわ……。ほほほ。多少は品のない姿をお見せするのも仕方がありませんわね。……間違いなく、殺して差し上げますわ」
そして、その瞳孔を細めた。
――オブリビオン、マダム・プラネッタ。そして彼女の使役する異形の怪魚、島喰らいは少なくないダメージを負ったものの、未だ健在だ。
ナインライヴス領の港を舞台に、尚も戦いは続く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
猿投畑・桜子
※真の姿:原初の巨人よりもっとおっきい
アドリブ歓迎
麗しいってよりうるさいおばちゃんだべなぁ……だけんどおらよりでっけぇ魚なんて久しぶりだぁ。腕がなるだよ!
真の姿で大幅に強化された超怪力で島喰らいの牙を真正面からがっちりつかみ取りびったんびったん。
牙が折れたら尻尾かヒレ辺りを掴んでさらにびったんびったん。
主にマダム・プラネッタを狙ってびったんびったん。
それでも倒しきれないようならびんた。
マダム・プラネッタにも全力びんた。
兎にも角にも圧倒的なパゥワァで叩きのめす。
無事倒したら領主と海賊二名にお駄賃貰えたらとても嬉しい。
御園・桜花
「不死帝に至る方を滅するのは気が咎めますが、貴女にその気遣いが不要そうです。どうぞ、配下の方と骸の海へお還りを」
UC「 桜吹雪」使用
マダムも怪魚もまとめて切り刻む
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す
「骸の海は、願いが全てを始めるところ。例え歪みがあっても、欲望にきちんと道筋を与えられるなら、何時か不死帝へ至る道も開くかもしれません…お休みなさい、良い夢を」
最後は破魔と慰め乗せた鎮魂歌で送る
戦闘後は領主の元へ報告に
多少片付けもしてから帰還
「マダムは残念でしたが、お友達になれる当主やお力添え下さる方はきっとこの海のどこかにいらっしゃいます。どうぞ良くこの領をお治め下さい。それが何時か世界を守るでしょう」
クレア・フォースフェンサー
マダム・プラネッタ。
おぬしが誇るのは、高貴な血筋と侯爵夫人という肩書きだけかの。
どちらもおぬしにたまたま与えらえたものに過ぎぬであろう。
翻ってナインライヴス嬢を見るに、彼女はこの美しい島を見事に統治しておる。
何ら成したものがないおぬしが彼女を見下すなど、傍ら痛いことじゃな。
プラネッタなどと名に惑星を冠しておるが、おぬしの器量にこの島は大きすぎる。
おぬしの領地には、その怪魚の上が御似合いじゃ。
島喰らいの牙の破壊の力は、【能力無効】の力を付与した光剣で相殺。
見術で敵の芯を見切り、最大射程の光剣をもって斬り伏せようぞ。
さて、侯爵夫人殿。
領地がなくなったならば、潔く骸の海に還ってもらおうかの。
ミスト・ペルメオス
【SPD】
脅威的だ。しかし、敢えて言おう。
――その選択に後悔は無いな?
引き続き、愛機たる機械鎧を駆って戦いに臨む。
念動力を最大限に。マシンヘルム等を介して活用、機体をフルコントロール。
『島喰らい』が『侯爵夫人』の頼みとするものならば、それを敢えて撃ち砕く。完全に。
出力最大、スラスター全力稼働。
飛び回りながらの射撃戦を展開し、敵の接近戦になど乗ってやらない。
近づこうが跳び掛かってこようが牽制射撃を撃ちかけながらの回避機動で凌ぎつつ、
可変速ビームキャノンによる砲撃を叩き込んでいく。
その巨体を穿ち、蹂躙していく。
遠い過去、数多の敵に対して【“黒い鳥”】がそうしたように。
※他の方との共闘等、歓迎です
「さあ、吼えなさい!叫びなさい!そして蹂躙し殺しなさい、島喰らいッ!」
『GGGGggGrRRrRR!!』
咆哮ッ!激憤に満ち満ちたマダム・プラネッタと島喰らいが再び水面より島へと迫る!
「麗しいってよりうるさいおばちゃんだべなぁ……」
それを陸で待ち受けるのは、猿投畑・桜子(f26313)である。
「だけんどおらよりでっけぇ魚なんて久しぶりだぁ。腕がなるだよ!」
「小賢しい!田舎娘が!」
激突!押し寄せる島喰らいの怒涛めいて強烈な威容が、桜子とぶつかり合った。しかし桜子はその全霊に力を込める。その姿は祖なる原初の巨人をも超える巨躯である。真なる力を解放しているのだ。島喰らいは強力なオブリビオンであるが、しかして桜子はそれに拮抗するほどの膂力を発揮している!
「……脅威的だな」
あれほどのパワーがあるのか。ミスト・ペルメオス(f05377)は、眼下に見下ろす港にて、桜子とぶつかりあい、それでもなお進み続ける島喰らいの姿に目を細めた。
「こちらブラックバード。これより仕掛けます。――後退を」
「わかっただぁよ!」
島喰らいの頭上!ブラックバードが兵装を起動した。
「敵は強大――しかし、敢えて言おう」
――ブラックバードの翼が開く。ミストは操縦桿を押し込みながら機体を降下。マシンのカメラアイ越しにマダム・プラネッタと視線を交わす。
「――その選択に後悔は無いな?」
「何を――!」
ここで桜子は相撲の張り手技めいて島喰らいを叩く。衝撃に後退する島喰らい。脳天を揺さぶられ思考が停止した。桜子もまたここで一歩退く。そこに生まれる間隙をめがけて、ブラックバードがビームアサルトライフルのトリガーを引き絞る。動きを止めた島喰らいへと、光弾の雨が降り注いだ。
「ちい、ッ!小癪な!」
『GgGggGrrRRrR!』
マダム・プラネッタは島喰らいの背を叩き、急かす。意識を取り戻すとともに飛び出すように急加速した島喰らいは光線の中を走り抜け、ダメージを抑えながら更に前進。その双眸の先に街並みを捉える。
「――因果応報、というやつじゃよ」
だが、その路を遮るように光が迸る!その指先に光を灯し、クレア・フォースフェンサー(f09175)がオブリビオンの侵攻を阻んだ。
「マダム・プラネッタ。……おぬしが誇るのは、高貴な血筋と侯爵夫人という肩書きだけかの」
更にクレアは指先の光を伸ばし、剣を構築する。光剣を振るいながら、真正面より島喰らいの威容へと斬りかかった。
「それで十分でございましょう!純血種たるヴァンパイアは、ニンゲンどもなどと違う高貴な存在!」
「どちらもおぬしにたまたま与えらえたものに過ぎぬであろう」
ガオンッ!クレアの剣を迎撃すべく、咆哮と共に島喰らいが突進する!クレアはその牙を刃で受け、勢いを受け流す。反動で跳んだクレアはアクロバティックな軌道で港の石畳に着地すると、再び跳ねて光を放った。
「翻ってナインライヴス嬢を見るに、彼女はこの美しい島を見事に統治しておる。何ら成したものがないおぬしが彼女を見下すなど、片腹痛いことじゃな」
挑発めいて口の端に笑みを乗せながら、クレアは横目で街並みを見やった。――美しく整った穏やかな街の姿である。それはここに暮らす人々が平穏に日々を送っていることを如実に示していた。
「お黙りなさい!私には、ここを足掛かりに勢力を伸ばし、いずれは不死にも至り真祖にも迫ろうという願いがあるのですよ!」
咆哮!マダムが島喰らいを叩く。再び前進を促したのだ。島喰らいは低く唸りながら、ゆっくりを這うように再び街を目指す。
「なるほど。それは残念ですね」
『GGGgggWWwWwWWW』
だが、再び島喰らいは足を止めた。痛みに悲鳴をあげるように、低く唸り声をあげる。
「――ぬ、ッ!」
マダム・プラネッタが眉根にしわを寄せた。――彼女と島喰らいを包み込むように、周囲に仄かな明かりを放つ無数の光源が浮かんでいたのである。それは桜の花弁であった。
「不死帝に至ろうという方を滅するのは気が咎めますが――貴女には、その気遣いが不要そうです。どうぞ、配下の方と骸の海へお還りを」
御園・桜花(f23155)は花を繰る。舞い散る【桜吹雪】。彼女の用いたユーベルコードの形作る桜の花は、刃のようにマダム・プラネッタと島喰らいを切り裂きながら嵐となって駆け巡り、吹き荒れる!
「がああッ!貴様アッ!」
『GGGGggGGgRRRrrRRwwWWwWW!!』
全身を傷つける花の嵐に激昂の叫びをあげながら、マダム・プラネッタと島喰らいは吼え、しかして未だ戦意を失わず猟兵たちを睨めつける!
「マダム・プラネッタ。少なくとも、この島はお前の領地にはふさわしくありません」
更に追撃。空中を機動するブラックバードが再び島喰らいへと仕掛ける。可変速ビームキャノンが砲身の先に敵を捉えた。ターゲットロック。ミストはトリガーを引いた。閃光がオブリビオンを灼く!
『GGggG……』
「ッ、おのれえッ!下賎の者どもがアッ!」
ここにきてとうとう島喰らいがその動きを鈍らせた。――もはや風前の灯か。呻く怪魚がのたうつように身じろぎする。
「うむ。プラネッタ。その名に『惑星』などを冠しておるが……おぬしの器量にこの島は大きすぎる」
そして再び閃光。交差するように放たれた光の刃が島喰らいへと更に致命的なダメージを叩き込む!
『GgGggG,RRrRrrrRR……!』
しかして島喰らいはまだ健在である。低く唸りを上げながら、残った全霊の力を牙へと乗せ、破壊のためにその身を押し出すように前進!
「は、ッ!」
だが、クレアがもう一度剣を振るう。その見術が力の流れを見通した。巧みに跳ね上げた光刃で、その“流れ”を断つ!結果、力の行く先を散らされた島喰らいは突進の勢いを削がれ、再びその動きが鈍る!
クレアはそのまま舞うように跳び、停止した島喰らいを足場にすると激昂するマダム・プラネッタの眼前まで飛び込んだ。
「おぬしの領地は、その死にかけの怪魚の上が御似合いじゃ」
「ッ、ええい!」
マダム・プラネッタは辛くも斬閃を躱し、島喰らいの上から港の石畳へと降り立つ。追撃。クレアの光刃がその後退路に追いすがった。
「どっこい――しょっ!」
その瞬間である。島を揺るがす巨大な足音。桜子である。桜子は低く唸る島喰らいへと再び突進すると、真正面からその牙を掴み、そこを取っ手代わりにして怪魚の巨体を持ち上げた!――そのまま、石畳へと叩きつける!【びったんびったん】!轟音!衝撃!揺らぐ大地!砕ける石畳!
『GGGgGGrRRrrRwWwWWwW!!』
「みんなに迷惑かけるわるいこはぁ、おしおきだべぇ!」
断末魔めいた悲鳴!手ひどく痛めつけられた島喰らいが悲痛な叫びをあげた。しかして桜子は容赦なくもう一度振り上げ、そして空に向かって放り投げる!
「――とどめです」
そして、宙へと浮かんだその躯体を光が包み込んだ。ブラックバードが再び島喰らいを照星の先に捉える。ジェネレイター出力上昇。可変速ビームキャノン、エネルギー充填。臨界。最大出力の砲火にて、異形の怪魚を貫く!
もはや声をあげる力すらそこには残されてはいない。エネルギーの奔流の中へ呑み込まれ、そして島喰らいは主よりも一足早く骸の海へと還った。
「わ、私の『島喰らい』が……!?く、っ、でしたら……」
趨勢は決した。もはや決着に等しい。――敗北を悟ったマダム・プラネッタは、視線をさまよわせながら思索する。この場を逃れる道筋を。
「どこに行かれるおつもりですか、マダム」
だが、そうするわけにはいかない。薄紅が舞い、再び花嵐がオブリビオンを包み込んだ。その逃げ道を塞ぐように、桜花が立つ。
「さて、侯爵夫人殿――もう、あの魚も消えてしまったようじゃ。領地がなくなったならば、潔く骸の海に還ってもらおうかの」
そして、クレアが剣を構えた。
「お。お待ちなさい……!こんなことが、こんなことが許されるとでも……!」
「続きは向こうで言うことじゃな」
斬閃。
輝く剣はその穢れた魂魄ごとオブリビオンを一刀の下に切り伏せ、そして滅びを刻み込んだ。
「骸の海は、願いが全てを始めるところ。例え歪みがあっても、欲望にきちんと道筋を与えられるなら、何時か不死帝へ至る道も開くかもしれません……お休みなさい、良い夢を」
光と共に散ってゆくオブリビオンの残骸を見送りながら、桜花は静かに祈り、そして言の葉を紡ぐ。
それは死の先をゆくものたちを送る、鎮魂の歌であった。
「――いやァ、まさか。あのマダムが敵だったなんてなァ」
「まったく。……気づけなかった我々はとんだ間抜けだったということか」
翌日のことである。
昨晩夜会が開かれたときと同じく、領主の館の庭先に猟兵たちと2人の海賊は招かれていた。
「なに、奴も巧妙に身分を偽っておったのじゃろ。わしらも最初は見抜けておらんかったからな」
仕方のないことじゃ、とクレアが首を振る。
「それより、港の方ですが……だいぶ壊してしまって、申し訳ありません」
席に着いたミストは申し訳なさそうに頭を下げた。――主な戦闘区域となった港周辺は、今や船を停泊することも困難な状態だ。そのうちのいくらかは、猟兵たちの武具やユーベルコードの余波でもあった。昨晩の戦闘機動を思い出し、ミストは申し訳なさげに目を伏せる。
「いや、気に病まないでもらいたい。詫びるのはこちらだ。すまない。本来であれば我が率先して気付き、対処しておくべき案件だった。……島の外の人間にこのような重大なことを任せてしまうとは。我はどう詫びればいいものか」
昨晩の戦いの顛末を猟兵たちから聞き取った領主メーラ・ナインライヴスは、まず真っ先に頭を下げた。
「いやぁ、おらたちもともとそのために来ただぁよ。気にしねぇでもらいてぇなあ」
庭先の芝生に行儀よく座った桜子が首を振る。
「はい。そもそもオブリビオンは私たちでなければ対処の難しい相手ですから」
桜花は用意された席に着き、微笑みながらナインライヴス嬢へと視線を返した。
「ああ。礼を言おう。そう言ってもらえるとこちらも気が楽だ。……だが、少々物悲しいところはあるな。せっかく知り合えたと思っていたのだが……」
領主のまなざしに影が差す。――友達になれるかもしれない、と思っていた者を失ったことは、彼女の胸を多少なりと痛めているようだった。
「……ま、運が悪かったのさ」
「この海は……こういうこともある」
海賊たちが不器用に言葉を挟む。下手な慰めであった。
「マダムは残念でしたが、お友達になれる当主やお力添え下さる方はきっとこの海のどこかにいらっしゃいます」
そこへ、桜花は更に言葉を重ねた。
「どうぞ良くこの領をお治め下さい。それが何時か世界を守るでしょう」
「……そうか。……そうだな。いや、気を回させてしまってすまない。礼を言おう」
ナインライヴス嬢は、もう一度、静かに頭を下げた。
「んじゃあ、おらたちはそろそろ行くだべ」
「そうじゃな。あんまり長居しすぎてもいかん」
「ああ。……そうだ。礼と言ってはなんだが、あとで街の市場に寄っていくといい。お前たちに、ささやかだが贈り物を用意してある」
席を立つ猟兵たちの背に、ナインライヴス嬢は投げかける。
「贈り物ですか?」
「ああ。――我が領地は林檎が名産でな。それを使ったアップルパイを毎日のように焼き上げているのだ。絶品だぞ。味は我が保証しよう」
「わぁ、ありがとうごぜえますだ!」
お駄賃代わりにもらっていこう。桜子は素直に喜んで、最後に一度丁寧なお辞儀をしてから領内の街へと向かってゆく。
「……もてなすつもりが、随分と世話になってしまったな」
「領主様。そろそろ執務のお時間でございます」
「ああ」
「仕事の時間かい。それなら、俺達も失礼するぜ」
「今度はまた、愉快な土産話を持ってこよう」
そうして客人たちを見送って、ナインライヴス嬢は庭先での茶会をお開きにする。
日常の執務に加え、島喰らいが暴れたお陰でぼろぼろになった港の修理。修理工の手配に資材の調達。工期スケジュールの組み立て。若き領主の目の前に、やるべき仕事は山積みだ。何から手を付けるべきか、女領主は頭を痛めたのであった。
かくして、ナインライヴス領の一日は平穏のままに過ぎてゆく。
猟兵たちを見送って、島の人々の日常は続いてゆくのである。
成功
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